IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テルモ株式会社の特許一覧 ▶ テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-533006細胞培養デバイス及び細胞培養システム
<>
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図1
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図2
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図3
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図4
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図5
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図6
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図7
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図8
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図9
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図10
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図11
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図12
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図13
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図14
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図15
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図16
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図17
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図18
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図19
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図20
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図21
  • 特表-細胞培養デバイス及び細胞培養システム 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】細胞培養デバイス及び細胞培養システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240905BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20240905BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240905BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M3/00
C12M1/34 B
C12M1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577625
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2022035072
(87)【国際公開番号】W WO2023054081
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2021160264
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507114521
【氏名又は名称】テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド
【住所又は居所原語表記】10811 West Collins Avenue, Lakewood, Colorado 80215, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】フェルト、トーマス ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB11
4B029BB12
4B029CC01
4B029DA04
4B029DF02
4B029DF04
4B029DG04
4B029DG06
4B029DG08
(57)【要約】
細胞培養システム(10)は、細胞培養デバイス(12)と支持装置(14)とを有する。細胞培養デバイス(12)は、バイオリアクタ(26)に接続された循環流路(68)内の培地をバイオリアクタ(26)内に流通させることにより細胞を培養する。細胞培養デバイス(12)は、循環流路(68)に繋がり当該循環流路(68)を流通する液体を廃棄するための廃液流路(62)と、廃液流路(62)から導かれた液体を収容する廃液収容部(22)と、を備える。廃液流路(62)には、循環流路(68)から当該廃液流路(62)に導かれた培地を採取するサンプリング部(34)が繋がっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクタに接続された循環流路内の培地を前記バイオリアクタ内に流通させることにより細胞を培養する細胞培養デバイスであって、
前記循環流路に繋がり当該循環流路を流通する液体を廃棄するための廃液流路と、
前記廃液流路から導かれた前記液体を収容する廃液収容部と、を備え、
前記廃液流路には、前記循環流路から当該廃液流路に導かれた前記培地を採取するサンプリング部が繋がっている、細胞培養デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング部は、
前記廃液流路に繋がったサンプリング流路と、
前記サンプリング流路に取り付けられたバイオセンサと、を有する、細胞培養デバイス。
【請求項3】
請求項2記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング流路は、
前記廃液流路に繋がった第1端と、
前記廃液流路における前記第1端と前記廃液収容部との間の部分に繋がった第2端と、を有し、
前記バイオセンサは、前記培地と接触するように前記サンプリング流路の途中部位に取り付けられている、細胞培養デバイス。
【請求項4】
請求項3記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング部は、
洗浄液が収容された洗浄液収容部と、
前記サンプリング流路における前記第1端と前記バイオセンサとの間の部分と前記洗浄液収容部とを互いに繋ぐ導入流路と、を有する、細胞培養デバイス。
【請求項5】
請求項3記載の細胞培養デバイスであって、
前記廃液流路における前記循環流路と前記サンプリング部との間の部分には、前記培地のガス成分の濃度とpHとの少なくともいずれかを測定するセンサ部が取り付けられている、細胞培養デバイス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞培養デバイスであって、
前記バイオリアクタは、
複数の中空糸膜と、
前記複数の中空糸膜を収容するハウジングと、を含み、
前記循環流路は、
前記複数の中空糸膜の内孔である第1領域に連通する第1循環流路と、
前記複数の中空糸膜と前記ハウジングとの間の空間である第2領域に連通する第2循環流路と、を有し、
前記複数の中空糸膜の各々は、前記第1領域と前記第2領域との間で前記培地の交換が可能に構成され、
前記廃液流路は、
前記第1循環流路に繋がった第1廃液流路と、
前記第2循環流路に繋がった第2廃液流路と、
前記廃液収容部に繋がった第3廃液流路と、を有し、
前記第3廃液流路は、前記第1廃液流路と前記第2廃液流路とが合流する中間合流部を含む、細胞培養デバイス。
【請求項7】
請求項6記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング部は、前記第3廃液流路に繋がっている、細胞培養デバイス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の細胞培養デバイスであって、
前記廃液流路のうち前記サンプリング部が繋がっている部分よりも上流側には、前記液体の前記廃液収容部に向かう方向の流通を許可し、且つ前記液体の前記循環流路に向かう方向の流通を阻止する逆止弁が取り付けられている、細胞培養デバイス。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング部と前記廃液流路とは、無菌接合されている、細胞培養デバイス。
【請求項10】
請求項1記載の細胞培養デバイスと、
前記細胞培養デバイスが取り外し可能に取り付けられる支持装置と、を備えた細胞培養システムであって、
前記細胞培養デバイスの流路を構成する壁部は、可撓性を有し、
前記支持装置は、前記壁部の外面を押圧して前記細胞培養デバイスの前記流路を閉塞させる複数のクランプを有する、細胞培養システム。
【請求項11】
請求項10記載の細胞培養システムであって、
前記細胞培養デバイスは、請求項2~7のいずれか1項に記載の細胞培養デバイスである、細胞培養システム。
【請求項12】
請求項10記載の細胞培養システムであって、
前記サンプリング部は、
前記廃液流路に繋がったサンプリング流路と、
前記サンプリング流路に取り付けられたバイオセンサと、を有し、
前記サンプリング流路は、
前記廃液流路に繋がった第1端と、
前記廃液流路における前記第1端と前記廃液収容部との間の部分に繋がった第2端と、を有し、
前記バイオセンサは、前記培地と接触するように前記サンプリング流路の途中部位に取り付けられ、
前記複数のクランプは、
前記細胞培養デバイスを前記支持装置に取り付けたセット状態で、前記廃液流路における前記第1端と前記第2端との間の部分に位置する廃液クランプと、
前記セット状態で、前記サンプリング流路における前記第1端と前記バイオセンサとの間の部分に位置するサンプリングクランプと、を含む、細胞培養システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養デバイス及び細胞培養システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、米国特許第9442047号明細書には、バイオリアクタと、バイオリアクタ内の培地(培養液)を採取するサンプリング部とを備えた細胞培養システムが開示されている。サンプリング部は、バイオリアクタに接続されたサンプリング流路を有する。サンプリング流路には、バイオリアクタ内の培地をサンプリング流路内に引き込むためのポンプが取り付けられている。
【発明の概要】
【0003】
ところで、バイオリアクタ内で細胞を培養する場合、バイオリアクタ内を無菌状態に維持する必要がある。そのため、バイオリアクタとサンプリング流路との間には、無菌フィルタが取り付けられることがある。しかしながら、この場合、培地成分に含まれるたんぱく質等により無菌フィルタの目詰まりが発生することがある。無菌フィルタの目詰まりが発生すると、当該無菌フィルタを介したサンプリングができなくなることがある。また、無菌フィルタの目詰まりが発生すると、サンプリング流路における無菌フィルタとポンプとの間の部分に陰圧が発生することがある。そうすると、ポンプをオフにした際に、サンプリング流路内の液体がバイオリアクタに逆流するおそれがある。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0005】
本発明の一態様は、バイオリアクタに接続された循環流路内の培地を前記バイオリアクタ内に流通させることにより細胞を培養する細胞培養デバイスであって、前記循環流路に繋がり当該循環流路を流通する液体を廃棄するための廃液流路と、前記廃液流路から導かれた前記液体を収容する廃液収容部と、を備え、前記廃液流路には、前記循環流路から当該廃液流路に導かれた前記培地を採取するサンプリング部が繋がっている、細胞培養デバイスである。
【0006】
本発明の他の態様は、上記の細胞培養デバイスと、前記細胞培養デバイスが取り外し可能に取り付けられる支持装置と、を備えた細胞培養システムであって、前記細胞培養デバイスの流路を構成する壁部は、可撓性を有し、前記支持装置は、前記壁部の外面を押圧して前記細胞培養デバイスの前記流路を閉塞させる複数のクランプを有する、細胞培養システムである。
【0007】
本発明によれば、廃液流路にサンプリング部が繋がっており、バイオリアクタから廃液収容部に向けて常に一方向のみに液体が流れている。そのため、バイオリアクタ内を無菌状態に維持するための無菌フィルタをサンプリング部に取り付ける必要がない。よって、細胞培養デバイスの構成を簡素にできる。また、無菌フィルタの目詰まりにより流路に陰圧が発生することがないため、サンプリング部内の液体が廃液流路を介して循環流路に逆流することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る細胞培養システムの模式的回路図である。
図2図2は、図1のサンプリング部とその周辺の模式的回路図である。
図3図3は、図1のコントローラの構成図である。
図4図4は、図1の細胞培養システムを用いた細胞培養方法を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、培養準備工程を示す説明図である。
図6図6は、プライミング工程を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、プライミング工程の第1回路説明図である。
図8図8は、プライミング工程の第2回路説明図である。
図9図9は、バイオセンサ校正工程を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、第1標準液測定工程を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、第1標準液測定工程の回路説明図である。
図12図12は、第2標準液測定工程を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、第2標準液測定工程の回路説明図である。
図14図14は、センサ部校正工程を説明するためのフローチャートである。
図15図15は、センサ部校正工程の回路説明図である。
図16図16は、培養工程を説明するためのフローチャートである。
図17図17は、サンプリング工程の回路説明図である。
図18図18は、バイオセンサ測定工程の回路説明図である。
図19図19は、バイオセンサを洗浄する工程の回路説明図である。
図20図20は、剥離工程の回路説明図である。
図21図21は、回収工程の回路説明図である。
図22図22は、細胞培養デバイスの変形例を示す回路説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る細胞培養システム10は、生体組織から分離した細胞を培地中で培養(増殖)する。細胞培養システム10に用いられる細胞は、接着細胞である。ただし、細胞培養システム10に用いられる細胞は、浮遊細胞であってもよい。具体的に、細胞培養システム10に用いられる細胞としては、例えば、ES細胞、iPS細胞、間葉系幹細胞等が挙げられる。細胞培養システム10に用いられる細胞は、上述した細胞に限定されない。
【0010】
細胞培養システム10は、細胞培養デバイス12と、支持装置14と、コントローラ16とを備える。細胞培養デバイス12内には、細胞液、培地、洗浄液及び剥離液の少なくともいずれかを含む液体が流動する。
【0011】
細胞液は、細胞を含む溶液である。培地は、細胞を増殖させるための培養液である。培地は、培養する細胞に応じて選択される。培地としては、例えば、MEM(Minimum Essential Media)が用いられる。洗浄液は、細胞培養デバイス12内を洗浄する。洗浄液としては、例えば、水、緩衝液又は生理食塩水等が用いられる。緩衝液としては、PBS(Phosphate Buffered Salts)及びTBS(Tris-Buffered Saline)等が挙げられる。剥離液は、細胞培養デバイス12の後述するバイオリアクタ26から細胞を剥離する。剥離液としては、例えば、トリプシン又はEDTA液等が用いられる。培地、洗浄液及び剥離液は、上述した液体に限定されない。
【0012】
細胞培養デバイス12は、一回の使用で(所定数の細胞が培養される毎に)廃棄される。つまり、細胞培養デバイス12は、使い捨て品である。細胞培養デバイス12は、供給部18、回収容器20、廃液収容部22及び培養本体24を備える。
【0013】
供給部18は、細胞液、培地、洗浄液及び剥離液を培養本体24に供給する。回収容器20は、培養本体24で培養された細胞を回収する。廃液収容部22には、培養本体24で発生した廃液を収容する。回収容器20及び廃液収容部22の各々は、例えば、軟質樹脂材料を袋状に成形した医療用バッグである。軟質樹脂材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル及びポリオレフィン等が挙げられる。ただし、回収容器20及び廃液収容部22の各々は、硬質樹脂で構成されたタンク等であってもよい。
【0014】
培養本体24は、バイオリアクタ26、培養回路28、ガス交換部30、センサ部32及びサンプリング部34を有する。
【0015】
バイオリアクタ26は、複数の中空糸膜36と、円筒状のハウジング38とを有する。複数の中空糸膜36は、ハウジング38内に収容されている。各中空糸膜36の一端部は、ハウジング38の一端部に固着されている。各中空糸膜36の他端部は、ハウジング38の他端部に固着されている。
【0016】
各中空糸膜36は、高分子材料により構成されている。具体的に、各中空糸膜36の構成材料としては、ポリプロピレン、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、再生セルロース等が挙げられる。ただし、各中空糸膜36の構成材料は、上述した材料に限定されない。
【0017】
バイオリアクタ26は、第1領域40と第2領域42とを備える。第1領域40は、複数の中空糸膜36の内孔である。第2領域42は、ハウジング38の内周面と複数の中空糸膜36の外周面との間の空間である。各中空糸膜36は、図示しない複数の細孔を有する。第1領域40と第2領域42とは、各中空糸膜36の複数の細孔を介して互いに連通している。各細孔の直径は、高分子(細胞等)の通過を阻止する一方で低分子(例えば、水、イオン、酸素、乳酸塩等)を通過できる大きさである。各細孔の直径は、例えば、0.005μm以上10μm以下に設定される。
【0018】
ハウジング38には、第1入口ポート44、第1出口ポート46、第2入口ポート48及び第2出口ポート50が取り付けられている。第1入口ポート44は、ハウジング38の一端に取り付けられている。第1入口ポート44は、複数の中空糸膜36の一端に位置する入口を介して第1領域40に連通している。第1出口ポート46は、ハウジング38の他端に取り付けられている。第1出口ポート46は、複数の中空糸膜36の他端に位置する出口を介して第1領域40に連通している。
【0019】
第2入口ポート48及び第2出口ポート50は、ハウジング38の外周面に取り付けられている。第2入口ポート48は、ハウジング38の長手方向において、ハウジング38の中央と第1入口ポート44との間に位置する。第2出口ポート50は、ハウジング38の長手方向において、ハウジング38の中央と第1出口ポート46との間に位置する。第2入口ポート48及び第2出口ポート50の各々は、第2領域42に連通している。
【0020】
培養回路28は、線状に延在した流路を有する。具体的に、培養回路28は、液体が流通する複数のチューブを含む。各チューブは、軟質な樹脂材料によって構成されている。すなわち、細胞培養デバイス12の流路(培養回路28)を構成する壁部は、可撓性を有する。
【0021】
培養回路28は、上述した構成に限定されない。培養回路28は、例えば、液体が流通する流路を含むシート部材を有してもよい。シート部材は、軟質な樹脂材料からなる2枚のシートを厚さ方向に互いに重ねて構成される。2枚のシートのうち流路を構成する部分以外の箇所は、互いに接合(融着)されている。2枚のシートのうち流路を構成する流路壁部は、互いに接合(融着)されていない。シート部材のうち流路壁部は、流路に液体が流通していない自然状態で、外方に膨出するのが好ましい。なお、シート部材のうち流路と交差する方向の両側の余分な部分は、切除してもよい。
【0022】
培養回路28は、第1供給流路52、第1循環流路54、第2供給流路56、第2循環流路58、回収流路60及び廃液流路62を備える。第1供給流路52の一端は、供給部18に接続している。供給部18は、細胞液、培地、洗浄液及び剥離液を1種類ずつ所定のタイミングで第1供給流路52に供給する。第1供給流路52の他端は、第1循環流路54に合流している。
【0023】
第1循環流路54のうち第1供給流路52が繋がった部分である第1合流部64は、第1循環流路54の延在方向の中間部分に位置する。第1循環流路54の一端は、第1入口ポート44に接続している。第1循環流路54の他端は、第1出口ポート46に接続している。第1循環流路54は、複数の中空糸膜36の内孔(第1領域40)に連通する。
【0024】
第2供給流路56の一端は、供給部18に接続している。供給部18は、培地及び洗浄液を1種類ずつ所定のタイミングで第2供給流路56に供給する。第2供給流路56の他端は、第2循環流路58に合流している。
【0025】
第2循環流路58のうち第2供給流路56が繋がった部分である第2合流部66は、第2循環流路58の延在方向の中間部分に位置する。第2循環流路58の一端は、第2入口ポート48に接続している。第2循環流路58の他端は、第2出口ポート50に接続している。第2循環流路58は、複数の中空糸膜36とハウジング38との間の空間(第2領域42)に連通する。以下、第1循環流路54と第2循環流路58とを併せて「循環流路68」ということがある。
【0026】
回収流路60は、第1循環流路54から延出している。第1循環流路54のうち回収流路60が繋がった部分である回収分岐部70は、第1循環流路54における第1合流部64と第1出口ポート46との間に位置する。回収流路60の延出端は、回収容器20に接続している。
【0027】
廃液流路62は、循環流路68を流通する液体を廃棄するための流路である。廃液流路62は、第1廃液流路72、第2廃液流路74及び第3廃液流路76を有する。第1廃液流路72は、第1循環流路54から延出している。第1循環流路54のうち第1廃液流路72が繋がった部分である第1分岐部78は、第1循環流路54における第1出口ポート46と回収分岐部70との間に位置する。
【0028】
第2廃液流路74は、第2循環流路58から延出している。第2循環流路58のうち第2廃液流路74が繋がった部分である第2分岐部80は、第2循環流路58における第2合流部66と第2出口ポート50との間に位置する。
【0029】
第1廃液流路72の延出端と第2廃液流路74の延出端とは、第3廃液流路76の一端に繋がっている。換言すれば、第3廃液流路76の一端は、第1廃液流路72の延出端と第2廃液流路74の延出端とが合流する中間合流部82である。第3廃液流路76の他端は、廃液収容部22に接続している。
【0030】
ガス交換部30は、第2循環流路58における第2合流部66と第2入口ポート48との間に取り付けられている。ガス交換部30は、第2循環流路58を流通する液体(培地)に所定成分のガスを通過させる。ガス交換部30で用いられるガスは、例えば、自然界の空気に近い成分を有する。換言すれば、当該ガスは、窒素、酸素及び二酸化炭素を含む。具体的に、当該ガスは、例えば、体積比で、75%の窒素と、20%の酸素と、5%の二酸化炭素とを含む。
【0031】
センサ部32は、第3廃液流路76に取り付けられている。センサ部32は、一体成形品である。センサ部32は、ガスセンサ84とpHセンサ86とを有している。ガスセンサ84は、第3廃液流路76を流通する液体のガス濃度を測定する。具体的に、ガスセンサ84は、酸素センサと二酸化炭素センサとを含む。酸素センサは、第3廃液流路76を流通する液体の酸素濃度を測定する。二酸化炭素センサは、第3廃液流路76を流通する液体の二酸化炭素濃度を測定する。pHセンサ86は、第3廃液流路76を流通する液体のpH(水素イオン指数)を測定する。ガスセンサ84及びpHセンサ86は、滅菌処理が可能な非酵素センサである。このようなセンサ部32は、例えば、両端をシールしたチューブの中間に取り付けた状態で滅菌処理を施すことができる。この場合、滅菌処理されたセンサ部32は、当該チューブの両端部を培養回路28の適宜の部分に無菌接合装置によって接続できる。
【0032】
サンプリング部34は、第3廃液流路76のうちセンサ部32と廃液収容部22との間の部分に繋がっている。図2に示すように、サンプリング部34は、測定回路88、バイオセンサ90、洗浄液収容部92、第1標準液収容部94及び第2標準液収容部96を備える。
【0033】
測定回路88は、線状に延在した流路を有する。測定回路88は、液体が流通する複数のチューブを含む。各チューブは、軟質な樹脂材料によって構成されている。ただし、測定回路88は、液体が流通する流路を含むシート部材を有してもよい。当該シート部材は、上述した培養回路28を構成するシート部材と同様に構成される。測定回路88は、サンプリング流路98、第1導入流路100、第2導入流路102及び第3導入流路104を有する。
【0034】
サンプリング流路98は、第1端106と第2端108とを有する。第1端106は、サンプリング流路98の一端である。第2端108は、サンプリング流路98の他端である。第1端106及び第2端108の各々は、第3廃液流路76に繋がっている。第3廃液流路76のうちサンプリング流路98の第1端106が繋がった部分である第3分岐部110は、第3廃液流路76におけるセンサ部32と廃液収容部22との間に位置する。第3廃液流路76のうちサンプリング流路98の第2端108が繋がった部分である第3合流部112は、第3廃液流路76における第3分岐部110と廃液収容部22との間に位置する。サンプリング流路98は、第3分岐部110及び第3合流部112の位置で第3廃液流路76に無菌接合されている。ただし、サンプリング流路98は、第3分岐部110及び第3合流部112の位置で、図示しないコネクタを介して第3廃液流路76に接続されてもよい。
【0035】
第1導入流路100の一端は、洗浄液収容部92に繋がっている。第1導入流路100の他端は、サンプリング流路98に接続している。サンプリング流路98における第1導入流路100が繋がった部分である第4合流部114は、サンプリング流路98の延在方向の中間部分に位置する。
【0036】
第2導入流路102の一端は、第1標準液収容部94に接続している。第2導入流路102の他端は、第1導入流路100に繋がっている。第1導入流路100における第2導入流路102が繋がった部分である第5合流部116は、第1導入流路100の延在方向の中間部分に位置する。
【0037】
第3導入流路104の一端は、第2標準液収容部96に接続している。第3導入流路104の他端は、第1導入流路100に繋がっている。第1導入流路100のうち第3導入流路104が繋がった部分である第6合流部118は、第1導入流路100における第4合流部114と第5合流部116との間の部分に位置する。
【0038】
バイオセンサ90は、サンプリング流路98における第4合流部114と第2端108との間の部分に取り付けられている。バイオセンサ90は、一体成形された酵素センサである。バイオセンサ90は、例えば、グルコースセンサ120と、乳酸センサ122とを含む。グルコースセンサ120及び乳酸センサ122の各々は、サンプリング流路98を流通する液体に接触する。グルコースセンサ120は、サンプリング流路98を流通する液体のグルコース濃度を測定する。乳酸センサ122は、サンプリング流路98を流通する液体の乳酸濃度を測定する。
【0039】
バイオセンサ90は、サンプリング流路98を流通する液体のグルタミン酸濃度を測定するグルタミン酸センサを含んでもよい。バイオセンサ90は、酵素センサに限定されず、非酵素センサであってもよい。
【0040】
洗浄液収容部92、第1標準液収容部94及び第2標準液収容部96は、上述した廃液収容部22と同様の医療用バッグである。ただし、洗浄液収容部92、第1標準液収容部94及び第2標準液収容部96は、硬質樹脂で構成されたタンク等であってもよい。
【0041】
洗浄液収容部92には、洗浄液が収容されている。洗浄液は、バイオセンサ90を洗浄するための液体である。洗浄液としては、例えば、上述した供給部18から培養回路28に供給される洗浄液と同様の液体が用いられる。
【0042】
第1標準液収容部94には、第1標準液が収容されている。第1標準液は、バイオセンサ90をキャリブレーションするための液体である。第1標準液のグルコース濃度は、第1標準グルコース濃度に設定されている。第1標準液の乳酸濃度は、第1標準乳酸濃度に設定されている。
【0043】
第2標準液収容部96には、第2標準液が収容されている。第2標準液は、バイオセンサ90をキャリブレーションするための液体である。第2標準液のグルコース濃度は、第2標準グルコース濃度に設定されている。第2標準グルコース濃度は、第1標準グルコース濃度とは異なる値である。第2標準液の乳酸濃度は、第2標準乳酸濃度に設定されている。第2標準乳酸濃度は、第1標準乳酸濃度とは異なる値である。
【0044】
図1及び図2に示すように、支持装置14には、細胞培養デバイス12がセットされる。支持装置14は、細胞培養デバイス12を支持するカセットを有する。支持装置14は、複数回使用できるリユース品である。
【0045】
支持装置14は、複数のポンプ124と、複数のクランプ126とを備える。複数のポンプ124の各々は、細胞培養デバイス12の流路壁部をしごくことにより流路内の液体に流動力を付与する。つまり、複数のポンプ124の各々は、図示しない押圧部材を有する。押圧部材は、例えば、回転部材と、複数の押圧ローラとを含む。複数の押圧ローラは、回転部材の外周部に取り付けられている。複数の押圧ローラは、回転部材の周方向に間隔を空けて配置されている。各押圧ローラは、細胞培養デバイス12の流路壁部の外面を擦る。
【0046】
複数のポンプ124は、第1供給ポンプ128、第1循環ポンプ130、第2供給ポンプ132、第2循環ポンプ134及び導入ポンプ136を含む。
【0047】
図1において、第1供給ポンプ128には、細胞培養デバイス12を支持装置14にセットした状態(以下、単に「セット状態」という)で、第1供給流路52の延在方向の中間部分の流路壁部が装着される。第1供給ポンプ128は、供給部18から第1循環流路54に向かう方向の流動力を第1供給流路52内の液体に付与する。
【0048】
第1循環ポンプ130には、セット状態で、第1循環流路54における第1合流部64と回収分岐部70との間の部分の流路壁部が装着される。第1循環ポンプ130は、第1入口ポート44に向かう方向の流動力を第1循環流路54内の液体に付与する。なお、第1循環ポンプ130は、第1出口ポート46に向かう方向の流動力を第1循環流路54内の液体に付与することもできる。
【0049】
第2供給ポンプ132には、セット状態で、第2供給流路56の延在方向の中間部分の流路壁部が装着される。第2供給ポンプ132は、供給部18から第2循環流路58に向かう方向の流動力を第2供給流路56内の液体に付与する。
【0050】
第2循環ポンプ134には、セット状態で、第2循環流路58における第2合流部66と第2分岐部80との間の部分の流路壁部が装着される。第2循環ポンプ134は、第2入口ポート48に向かう方向の流動力を第2循環流路58内の液体に付与する。なお、第2循環ポンプ134は、第2出口ポート50に向かう方向の流動力を第2循環流路58内の液体に付与することもできる。
【0051】
図2において、導入ポンプ136には、セット状態で、第1導入流路100の延在方向の中間部分の流路壁部が装着される。導入ポンプ136は、サンプリング流路98に向かう方向の流動力を第1導入流路100内の液体に付与する。
【0052】
図1及び図2に示すように、複数のクランプ126は、細胞培養デバイス12の流路壁部の外面を内面に向かって押圧することにより内部の流路を閉塞させる開閉弁である。複数のクランプ126は、回収クランプ138、第1廃液クランプ140、第2廃液クランプ142、第3廃液クランプ144、サンプリングクランプ146、第1導入クランプ148、第2導入クランプ150及び第3導入クランプ152を有する。
【0053】
図1において、回収クランプ138には、セット状態で、回収流路60の延在方向の中間部分の流路壁部が装着される。回収クランプ138は、回収流路60の延在方向の中間部分を開放及び閉塞する。第1廃液クランプ140には、セット状態で、第1廃液流路72の延在方向の中間部分の流路壁部が装着される。第1廃液クランプ140は、第1廃液流路72の延在方向の中間部分を開放及び閉塞する。第2廃液クランプ142には、第2廃液流路74の延在方向の中間部分の流路壁部が装着される。第2廃液クランプ142は、第2廃液流路74の延在方向の中間部分を開放及び閉塞する。
【0054】
図2において、サンプリングクランプ146には、セット状態で、サンプリング流路98における第1端106と第4合流部114との間の部分の流路壁部が装着される。サンプリングクランプ146は、サンプリング流路98における第1端106と第4合流部114との間の部分を開放及び閉塞する。
【0055】
第1導入クランプ148には、セット状態で、第1導入流路100における洗浄液収容部92と第5合流部116との間の部分の流路壁部が装着される。第1導入クランプ148は、第1導入流路100における洗浄液収容部92と第5合流部116との間の部分を開放及び閉塞する。
【0056】
第2導入クランプ150には、セット状態で、第2導入流路102の延在方向の中間部分の流路壁部が装着される。第2導入クランプ150は、第2導入流路102の延在方向の中間部分を開放及び閉塞する。第3導入クランプ152には、セット状態で、第3導入流路104の延在方向の中間部分の流路壁部が装着される。第3導入クランプ152は、第3導入流路104の延在方向の中間部分を開放及び閉塞する。
【0057】
図3において、コントローラ16には、供給部18、ガス交換部30、センサ部32、バイオセンサ90、複数のポンプ124及び複数のクランプ126が無線接続又は有線接続されている。コントローラ16は、例えば、演算部154(処理部)と、記憶部156とを備える。演算部154は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ(処理回路)によって構成される。
【0058】
演算部154は、ポンプ制御部158、クランプ制御部160、判定部162、センサ制御部164、センサ補正部166及びガス交換制御部168を含む。演算部154は、記憶部156に記憶されているプログラムを実行することによって、ポンプ制御部158、クランプ制御部160、判定部162、センサ制御部164、センサ補正部166及びガス交換制御部168を実現する。
【0059】
なお、演算部154は、集積回路によって、ポンプ制御部158、クランプ制御部160、判定部162、センサ制御部164、センサ補正部166及びガス交換制御部168の少なくとも一部を実現してもよい。集積回路としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が挙げられる。
【0060】
記憶部156は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含む。揮発性メモリとしては、例えば、RAM(Random Access Memory)等が挙げられる。この揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして使用され、処理又は演算に必要なデータ等が一時的に記憶される。不揮発性メモリとしては、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。この不揮発性メモリは、保存用のメモリとして使用される。当該不揮発性メモリには、プログラム、テーブル及びマップ等が記憶される。記憶部156の少なくとも一部は、上述したようなプロセッサ又は集積回路に組み込まれてもよい。
【0061】
ポンプ制御部158は、複数のポンプ124を制御する。クランプ制御部160は、複数のクランプ126を制御する。判定部162は、所定の判定処理を行う。センサ制御部164は、バイオセンサ90及びセンサ部32を制御する。センサ補正部166は、バイオセンサ90及びセンサ部32をキャリブレーションのために補正する。ガス交換制御部168は、ガス交換部30を制御する。
【0062】
次に、細胞培養システム10を用いた細胞培養方法について説明する。
【0063】
図4に示すように、細胞培養方法は、装着工程、培養準備工程、プライミング工程、バイオセンサ校正工程、センサ部校正工程、培養工程、剥離工程及び回収工程を含む。
【0064】
装着工程(ステップS1)では、細胞培養デバイス12を支持装置14にセットする。その後、クランプ制御部160は、複数のクランプ126を閉状態に制御して、細胞培養デバイス12の流路のうち複数のクランプ126に対応する全ての部分を閉塞させる。
【0065】
続いて、培養準備工程(ステップS2)が行われる。培養準備工程では、図5に示すように、クランプ制御部160は、第1廃液クランプ140、第2廃液クランプ142及び第3廃液クランプ144を開状態に制御して、第1廃液流路72、第2廃液流路74及び第3廃液流路76を開放させる。そして、コントローラ16は、供給部18を制御して、供給部18から第1供給流路52と第2供給流路56とに洗浄液を供給させる。
【0066】
また、ポンプ制御部158は、第1供給ポンプ128及び第1循環ポンプ130をオンにする。そうすると、洗浄液は、供給部18から第1供給流路52を介して第1循環流路54の第1合流部64に導入される。第1合流部64に導入された洗浄液は、第1入口ポート44から第1領域40を流通して第1出口ポート46に導かれる。第1出口ポート46に導かれた洗浄液は、第1循環流路54の第1分岐部78及び回収分岐部70を介して第1合流部64に戻される。つまり、洗浄液は、第1循環流路54、第1入口ポート44、第1領域40及び第1出口ポート46を含む環状流路を循環する。この際、第1循環流路54を流通する洗浄液の一部は、第1分岐部78から第1廃液流路72に流れる。
【0067】
さらに、ポンプ制御部158は、第2供給ポンプ132及び第2循環ポンプ134をオンにする。そうすると、洗浄液は、供給部18から第2供給流路56を介して第2循環流路58の第2合流部66に導入される。第2合流部66に導入された洗浄液は、第2入口ポート48から第2領域42を流通して第2出口ポート50に導かれる。第2出口ポート50に導かれた洗浄液は、第2循環流路58の第2分岐部80を介して第2合流部66に戻される。つまり、洗浄液は、第2循環流路58、第2入口ポート48、第2領域42及び第2出口ポート50を含む環状流路を循環する。この際、第2循環流路58を流通する洗浄液の一部は、第2分岐部80から第2廃液流路74に流れる。
【0068】
第1廃液流路72を流れる洗浄液と第2廃液流路74を流れる洗浄液とは、中間合流部82で合流する。中間合流部82で合流した洗浄液は、第3廃液流路76を介して廃液収容部22に導かれる。これにより、培養回路28及びバイオリアクタ26が洗浄液で満たされる。
【0069】
その後、コントローラ16は、供給部18を制御して、供給部18から第1供給流路52と第2供給流路56とに培地を供給させる。これにより、培養回路28及びバイオリアクタ26が培地で満たされる。つまり、培養回路28及びバイオリアクタ26に存在していた洗浄液が培地に置換される。
【0070】
続いて、プライミング工程(図3のステップS3)が行われる。プライミング工程では、図6に示すように、クランプ制御部160は、サンプリングクランプ146及び第1導入クランプ148を開状態に制御して、サンプリング流路98における第3分岐部110と第4合流部114との間の部分を開放させるとともに第1導入流路100を開放させる(ステップS4)。また、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオンにする(ステップS5)。
【0071】
そうすると、図7に示すように、洗浄液は、洗浄液収容部92から第1導入流路100、サンプリング流路98及び第3廃液流路76を介して廃液収容部22に流れる。この際、判定部162は、洗浄液が第3廃液流路76に到達したか否かを判定する(図6のステップS6)。
【0072】
具体的に、判定部162は、例えば、導入ポンプ136をオンにしてからの経過時間が所定の洗浄液導入時間に達したか否かを判定する。洗浄液導入時間は、サンプリング部34の形状、サンプリング部34の大きさ及び洗浄液の流速等に基づいて設定される。洗浄液導入時間は、記憶部156に記憶されている。なお、判定部162は、洗浄液を検出する図示しない洗浄液センサの検出信号に基づいて洗浄液が第3廃液流路76に到達したか否かを判定してもよい。この場合、洗浄液センサは、例えば、第3廃液流路76における第3合流部112と廃液収容部22との間の部分に配置される。
【0073】
図6において、洗浄液が第3廃液流路76に到達していないと判定部162によって判定された場合(ステップS6:NO)、ステップS6の処理が再び行われる。洗浄液が第3廃液流路76に到達したと判定部162によって判定された場合(ステップS6:YES)、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオフにする(ステップS7)。また、クランプ制御部160は、サンプリングクランプ146及び第1導入クランプ148を閉状態に制御して、サンプリング流路98における第3分岐部110と第4合流部114との間の部分を閉塞させるとともに第1導入流路100を閉塞させる(ステップS8)。これにより、バイオセンサ90の洗浄液の流通が停止する(図8参照)。
【0074】
続いて、バイオセンサ90に洗浄液を所定の接触時間だけ接触させる(ステップS9)。接触時間は、例えば、1時間以上に設定するのが好ましい。この場合、バイオセンサ90のうち洗浄液が接触する部分の全体に洗浄液を浸透させることができる。ただし、接触時間は、適宜設定することができる。接触時間は、記憶部156に記憶されている。これにより、プライミング工程は、終了する。
【0075】
プライミング工程を行う際、廃液流路62には、廃液収容部22に向かって培地が継続して流通している。そのため、プライミング工程中に、洗浄液が循環流路68に逆流することを効果的に防止することができる。
【0076】
プライミング工程の後、バイオセンサ校正工程が行われる(図4のステップS10)。具体的に、バイオセンサ校正工程では、図9に示すように、第1標準液測定工程が行われる(ステップS11)。図10において、第1標準液測定工程では、クランプ制御部160は、第2導入クランプ150を開状態に制御して、第2導入流路102を開放させる(ステップS12)。また、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオンにする(ステップS13)。
【0077】
そうすると、図11に示すように、第1標準液は、第1標準液収容部94から第2導入流路102、第1導入流路100、サンプリング流路98及び第3廃液流路76を介して廃液収容部22に流れる。この際、判定部162は、第1標準液がバイオセンサ90を通過したか否かを判定する(ステップS14)。
【0078】
具体的に、判定部162は、例えば、導入ポンプ136をオンにしてからの経過時間が所定の第1標準液導入時間に達したか否かを判定する。第1標準液導入時間は、サンプリング部34の形状、サンプリング部34の大きさ及び第1標準液の流速等に基づいて設定される。第1標準液導入時間は、記憶部156に記憶されている。なお、判定部162は、第1標準液を検出する図示しない第1標準液センサの検出信号に基づいて第1標準液がバイオセンサ90を通過したか否かを判定してもよい。この場合、第1標準液センサは、例えば、サンプリング流路98におけるバイオセンサ90と第3合流部112との間の部分に配置される。ただし、第1標準液センサは、第3廃液流路76における第3合流部112と廃液収容部22との間の部分に配置されてもよい。
【0079】
図10において、第1標準液がバイオセンサ90を通過していないと判定部162によって判定された場合(ステップS14:NO)、ステップS14の処理が再び行われる。第1標準液がバイオセンサ90を通過したと判定部162によって判定された場合(ステップS14:YES)、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオフにする(ステップS15)。また、クランプ制御部160は、第2導入クランプ150を閉状態に制御して、第2導入流路102を閉塞させる(ステップS16)。これにより、バイオセンサ90の第1標準液の流通が停止する。
【0080】
続いて、センサ制御部164は、バイオセンサ90を制御して、第1標準液の所定成分の濃度を測定させる(ステップS17)。具体的に、センサ制御部164は、グルコースセンサ120を制御して、第1標準液のグルコース濃度を測定させる。グルコースセンサ120は、測定された第1標準液のグルコース濃度である第1測定グルコース濃度をコントローラ16に送信する。
【0081】
センサ制御部164は、乳酸センサ122を制御して、第1標準液の乳酸濃度を測定させる。乳酸センサ122は、測定された第1標準液の乳酸濃度である第1測定乳酸濃度をコントローラ16に送信する。第1測定グルコース濃度及び第1測定乳酸濃度は、記憶部156に記憶される。これにより、第1標準液測定工程は、終了する。
【0082】
第1標準液測定工程の後、図9において、バイオセンサ90を洗浄する(ステップS18)。具体的に、クランプ制御部160は、図7に示すように、サンプリングクランプ146及び第1導入クランプ148を開状態に制御して、サンプリング流路98における第3分岐部110と第4合流部114との間の部分を開放させるとともに第1導入流路100を開放させる。また、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオンにする。
【0083】
そうすると、洗浄液は、洗浄液収容部92から第1導入流路100、サンプリング流路98、第3廃液流路76を介して廃液収容部22に流れる。これにより、バイオセンサ90が洗浄液によって洗浄される。バイオセンサ90の洗浄が終了すると、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオフにする。また、クランプ制御部160は、サンプリングクランプ146及び第1導入クランプ148を閉状態に制御して、サンプリング流路98における第3分岐部110と第4合流部114との間の部分を閉塞させるとともに第1導入流路100を閉塞させる。
【0084】
その後、第2標準液測定工程が行われる(図9のステップS19)。第2標準液測定工程では、図12に示すように、クランプ制御部160は、第3導入クランプ152を開状態に制御して、第3導入流路104を開放させる(ステップS20)。また、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオンにする(ステップS21)。
【0085】
そうすると、図13に示すように、第2標準液は、第2標準液収容部96から第3導入流路104、第1導入流路100、サンプリング流路98及び第3廃液流路76を介して廃液収容部22に流れる。この際、判定部162は、第2標準液がバイオセンサ90を通過したか否かを判定する(図12のステップS22)。
【0086】
具体的に、判定部162は、例えば、導入ポンプ136をオンにしてからの経過時間が所定の第2標準液導入時間に達したか否かを判定する。第2標準液導入時間は、サンプリング部34の形状、サンプリング部34の大きさ及び第2標準液の流速等に基づいて設定される。第2標準液導入時間は、記憶部156に記憶されている。なお、判定部162は、第2標準液を検出する図示しない第2標準液センサの検出信号に基づいて第2標準液がバイオセンサ90を通過したか否かを判定してもよい。この場合、第2標準液センサは、例えば、サンプリング流路98におけるバイオセンサ90と第3合流部112との間の部分に配置される。ただし、第2標準液センサは、第3廃液流路76における第3合流部112と廃液収容部22との間の部分に配置されてもよい。なお、細胞培養システム10は、上述した第1標準液センサの機能と第2標準液センサの機能とを備えた1つの標準液センサを有してもよい。
【0087】
図12において、第2標準液がバイオセンサ90を通過していないと判定部162によって判定された場合(ステップS22:NO)、ステップS22の処理が再び行われる。第2標準液がバイオセンサ90を通過したと判定部162によって判定された場合(ステップS22:YES)、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオフにする(ステップS23)。また、クランプ制御部160は、第3導入クランプ152を閉状態に制御して、第3導入流路104を閉塞させる(ステップS24)。これにより、バイオセンサ90の第2標準液の流通が停止する。
【0088】
続いて、センサ制御部164は、バイオセンサ90を制御して、第2標準液の所定成分の濃度を測定させる(ステップS25)。具体的に、センサ制御部164は、グルコースセンサ120を制御して、第2標準液のグルコース濃度を測定させる。グルコースセンサ120は、測定された第2標準液のグルコース濃度である第2測定グルコース濃度をコントローラ16に送信する。
【0089】
センサ制御部164は、乳酸センサ122を制御して、第2標準液の乳酸濃度を測定させる。乳酸センサ122は、測定された第2標準液の乳酸濃度である第2測定乳酸濃度をコントローラ16に送信する。第2測定グルコース濃度及び第2測定乳酸濃度は、記憶部156に記憶される。これにより、第2標準液測定工程は、終了する。
【0090】
第2標準液測定工程の後、図9において、センサ補正部166は、バイオセンサ90を補正する(ステップS26)。具体的に、センサ補正部166は、第1測定グルコース濃度と第1標準グルコース濃度との差である第1グルコース偏差を算出する。また、センサ補正部166は、第2測定グルコース濃度と第2標準グルコース濃度との差である第2グルコース偏差を算出する。そして、センサ補正部166は、第1グルコース偏差及び第2グルコース偏差が最小になるようにグルコースセンサ120の測定精度(測定感度)を補正する。
【0091】
センサ補正部166は、第1測定乳酸濃度と第1標準乳酸濃度との差である第1乳酸偏差を算出する。また、センサ補正部166は、第2測定乳酸濃度と第2標準乳酸濃度との差である第2乳酸偏差を算出する。その後、センサ補正部166は、第1乳酸偏差及び第2乳酸偏差が最小になるように乳酸センサ122の測定精度(測定感度)を補正する。これにより、バイオセンサ校正工程は、終了する。
【0092】
バイオセンサ校正工程を行う際、廃液流路62には、廃液収容部22に向かって培地が継続して流通している。そのため、バイオセンサ校正工程中に、第1標準液及び第2標準液が循環流路68に逆流することを効果的に防止することができる。
【0093】
続いて、図4において、センサ部校正工程が行われる(ステップS27)。センサ部校正工程では、図14に示すように、コントローラ16は、供給部18を制御して、供給部18から培養回路28に校正用の培地を供給させる(ステップS28)。そうすると、校正用の培地は、センサ部32を流通する(図15参照)。なお、校正用の培地の酸素濃度は、標準酸素濃度に設定されている。校正用の培地の二酸化炭素濃度は、標準二酸化炭素濃度に設定されている。校正用の培地のpHは、標準pHに設定されている。
【0094】
続いて、図14において、センサ制御部164は、センサ部32を制御して、校正用の培地の所定成分の濃度及びpHを測定させる(ステップS29)。具体的に、センサ制御部164は、ガスセンサ84の酸素センサを制御して、校正用の培地の酸素濃度を測定させる。酸素センサは、測定された校正用の培地の酸素濃度である測定酸素濃度をコントローラ16に送信する。
【0095】
センサ制御部164は、ガスセンサ84の二酸化炭素センサを制御して、校正用の培地の二酸化炭素濃度を測定させる。二酸化炭素センサは、測定された校正用の培地の二酸化炭素濃度である測定二酸化炭素濃度をコントローラ16に送信する。センサ制御部164は、pHセンサ86を制御して、校正用の培地のpHを測定させる。pHセンサ86は、測定された校正用の培地のpHである測定pHをコントローラ16に送信する。
【0096】
その後、センサ補正部166は、センサ部32を補正する(ステップS30)。つまり、センサ補正部166は、測定酸素濃度が標準酸素濃度になるように酸素センサの測定精度(測定感度)を補正する。センサ補正部166は、測定二酸化炭素濃度が標準二酸化炭素濃度になるように二酸化炭素センサの測定精度(測定感度)を補正する。センサ補正部166は、測定pHが標準pHになるようにpHセンサ86を補正する。これにより、センサ部校正工程は、終了する。
【0097】
センサ部校正工程の後、図4において、培養工程が行われる(ステップS31)。培養工程では、図16に示すように、播種工程が行われる(ステップS32)。播種工程では、コントローラ16は、供給部18を制御して、供給部18から第1供給流路52に細胞液を供給する。そうすると、細胞液は、供給部18から第1供給流路52を介して第1循環流路54の第1合流部64に導入される(図5参照)。第1合流部64に導入された細胞液は、第1入口ポート44から第1領域40を流通して第1出口ポート46に導かれる。この際、細胞液中の細胞は、バイオリアクタ26の各中空糸膜36の内面に接着する。
【0098】
続いて、細胞培養を開始する(ステップS33)。具体的に、コントローラ16は、供給部18を制御して、供給部18から第1供給流路52に培地を供給させる。そうすると、培地は、供給部18から第1供給流路52を介して第1循環流路54の第1合流部64に導入される(図5参照)。第1合流部64に導入された培地は、第1循環流路54、第1入口ポート44、第1領域40及び第1出口ポート46を含む環状流路を循環する。
【0099】
また、コントローラ16は、供給部18を制御して、供給部18から第2供給流路56に培地を供給させる。そうすると、培地は、供給部18から第2供給流路56を介して第2循環流路58の第2合流部66に導入される。第2合流部66に導入された培地は、第2循環流路58、第2入口ポート48、第2領域42及び第2出口ポート50を含む環状流路を循環する。
【0100】
さらに、ガス交換制御部168は、ガス交換部30を制御して、第2循環流路58を流通する培地のガス交換を行わせる。すなわち、第2入口ポート48に流入する前の培地に所定成分のガスを通す。これにより、バイオリアクタ26の第2入口ポート48に導入される培地のガス濃度(酸素ガス濃度及び二酸化炭素ガス濃度)とpHとを細胞培養に適した値に調整することができる。バイオリアクタ26では、第1領域40の培地と第2領域42の培地とは、各中空糸膜36の細孔を介して交換される。これにより、第1領域40の培地のガス濃度とpHとが調整される。
【0101】
また、クランプ制御部160は、適宜のタイミングで、第1廃液クランプ140を制御して、第1廃液流路72を開放又は閉塞させる。第1廃液流路72が開放すると、第1循環流路54内の培地の一部は、第1廃液流路72を介して第3廃液流路76に導かれる。また、クランプ制御部160は、適宜のタイミングで、第2廃液クランプ142を制御して、第2廃液流路74を開放又は閉塞させる。第2廃液流路74が開放すると、第2循環流路58内の培地の一部は、第2廃液流路74を介して第3廃液流路76に導かれる。
【0102】
細胞培養が開始されると、センサ測定工程が開始される(ステップS34)。センサ測定工程では、センサ制御部164は、センサ部32を制御して、培地の酸素濃度、二酸化炭素濃度及びpHを測定させる。センサ部32は、測定結果をコントローラ16に送信する。このセンサ測定工程は、培養工程が終了するまで行われる。
【0103】
続いて、サンプリング工程が行われる(ステップS35)。サンプリング工程は、細胞培養を開始してから適宜のタイミングで行われる。サンプリング工程では、例えば、クランプ制御部160は、第1廃液クランプ140を開状態に制御して、第1廃液流路72を開放させる。また、クランプ制御部160は、第2廃液クランプ142を閉状態に制御して、第2廃液流路74を閉塞させる。この場合、第1循環流路54を流通する培地の一部は、第1循環ポンプ130によって、第1廃液流路72を介して第3廃液流路76に導かれる。
【0104】
また、図17に示すように、クランプ制御部160は、サンプリングクランプ146を開状態に制御して、サンプリング流路98のうち第3分岐部110と第4合流部114との間の部分を開放させる。さらに、クランプ制御部160は、第3廃液クランプ144を閉状態に制御して、第3廃液流路76のうち第3分岐部110と第3合流部112との間の部分を閉塞させる。なお、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオフ状態に維持する。
【0105】
そうすると、第3廃液流路76に導かれた培地は、第3分岐部110からサンプリング流路98に流入する。サンプリング流路98に流入した培地は、バイオセンサ90、第3合流部112及び第3廃液流路76を介して廃液収容部22に流れる。
【0106】
サンプリング工程では、例えば、クランプ制御部160は、第2廃液クランプ142を開状態に制御して、第2廃液流路74を開放させてもよい。この場合、クランプ制御部160は、第1廃液クランプ140を閉状態に制御して、第1廃液流路72を閉塞させる。そうすると、第2循環流路58を流通する培地の一部は、第2循環ポンプ134によって、第2廃液流路74を介して第3廃液流路76に導かれる。すなわち、サンプリング工程では、サンプリング部34には、第1循環流路54を流通する培地と第2循環流路58を流通する培地とのいずれか一方を採取することができる。
【0107】
その後、図16において、バイオセンサ測定工程が行われる(ステップS36)。バイオセンサ測定工程では、図18に示すように、クランプ制御部160は、サンプリングクランプ146を閉状態に制御して、サンプリング流路98における第3分岐部110と第4合流部114との間の部分を閉塞する。また、クランプ制御部160は、第3廃液クランプ144を開状態に制御して、第3廃液流路76における第3分岐部110と第3合流部112との間の部分を開放させる。これにより、バイオセンサ90内の培地の流れを止めることができる。そして、センサ制御部164は、バイオセンサ90を制御して、培地のグルコース濃度及び乳酸濃度を測定させる。バイオセンサ90は、測定結果をコントローラ16に送信する。
【0108】
その後、バイオセンサ90を洗浄する(ステップS37)。具体的に、図19に示すように、クランプ制御部160は、第3廃液クランプ144を開状態に制御して、第3廃液流路76における第3分岐部110と第3合流部112との間の部分を開放させる。また、クランプ制御部160は、第1導入クランプ148を開状態に制御して、第1導入流路100を開放させる。また、ポンプ制御部158は、導入ポンプ136をオンにする。
【0109】
そうすると、洗浄液は、洗浄液収容部92から第1導入流路100、サンプリング流路98及び第3廃液流路76を介して廃液収容部22に流れる。これにより、バイオセンサ90が洗浄液によって洗浄される。
【0110】
次いで、図16において、コントローラ16は、バイオセンサ測定工程で測定された測定結果に基づいて細胞培養を終了するか否かを判定する(ステップS38)。細胞培養を終了しないとコントローラ16によって判定された場合(ステップS38:NO)、校正工程(ステップS39)が行われる。校正工程では、上述したバイオセンサ校正工程(ステップS10)と同じ処理が行われる。そのため、校正工程の詳細な説明は省略する。校正工程の後、ステップS35以降の処理が行われる。なお、校正工程は、省略してもよい。すなわち、校正工程は、必要な時にだけ行われる。
【0111】
細胞培養を終了するとコントローラ16により判定された場合(ステップS38:YES)、図4において、剥離工程が行われる(ステップS40)。剥離工程では、図20に示すように、クランプ制御部160は、第1廃液クランプ140を閉状態に制御して、第1廃液流路72を閉塞する。また、コントローラ16は、供給部18を制御して、供給部18から第1供給流路52に剥離液を供給させる。この際、ポンプ制御部158は、第2供給ポンプ132及び第2循環ポンプ134をオフにする。
【0112】
そうすると、剥離液は、供給部18から第1供給流路52及び第1循環流路54を介してバイオリアクタ26に導かれる。バイオリアクタ26において、剥離液は、各中空糸膜36の内面から培養された細胞を剥離する。
【0113】
その後、図4において、回収工程が行われる(ステップS41)。回収工程では、図21に示すように、クランプ制御部160は、回収クランプ138を制御して、回収流路60を開放させる。そうすると、第1循環流路54内の細胞を含む液体が回収流路60を介して回収容器20に導かれる。これにより、細胞培養方法の動作フローは終了する。
【0114】
細胞培養方法は、上記の例に限定されない。図9において、バイオセンサ校正工程では、第2標準液測定工程を省略してもよい。この場合、ステップS26では、センサ補正部166は、第1標準液測定工程の測定結果に基づいてバイオセンサ90を補正する。また、図4において、細胞培養方法では、バイオセンサ校正工程及びセンサ部校正工程の少なくともいずれかを省略してもよい。さらに、細胞培養方法では、第3標準液測定工程を追加してもよい。すなわち、細胞培養方法において、標準液測定工程の数は適宜設定可能である。
【0115】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0116】
細胞培養デバイス12は、バイオリアクタ26に接続された循環流路68内の培地をバイオリアクタ26内に流通させることにより細胞を培養する。細胞培養デバイス12は、廃液流路62と廃液収容部22とを備える。廃液流路62は、循環流路68に繋がり循環流路68を流通する液体を廃棄するための流路である。廃液収容部22は、廃液流路62から導かれた液体を収容する。廃液流路62には、循環流路68から廃液流路62に導かれた培地を採取するサンプリング部34が繋がっている。
【0117】
このような構成によれば、廃液流路62にサンプリング部34が繋がっており、バイオリアクタ26から廃液収容部22に向けて常に一方向のみに液体が流れている。そのため、バイオリアクタ26内を無菌状態に維持するための無菌フィルタをサンプリング部34に取り付ける必要がない。よって、細胞培養デバイス12の構成を簡素にできる。また、無菌フィルタの目詰まりにより流路に陰圧が発生することがないため、サンプリング部34内の液体が廃液流路62を介して循環流路68に逆流することを抑えることができる。
【0118】
サンプリング部34は、サンプリング流路98とバイオセンサ90とを有する。サンプリング流路98は、廃液流路62に繋がっている。バイオセンサ90は、サンプリング流路98に取り付けられている。
【0119】
このような構成によれば、廃液流路62を流通する培地をサンプリング流路98に流入させてバイオセンサ90に導くことができる。
【0120】
サンプリング流路98は、第1端106と第2端108とを有する。第1端106は、廃液流路62に繋がっている。第2端108は、廃液流路62における第1端106と廃液収容部22との間の部分に繋がっている。バイオセンサ90は、培地と接触するようにサンプリング流路98の途中部位に取り付けられている。
【0121】
このような構成によれば、バイオセンサ90を流通した培地を廃液収容部22に導くことができる。この場合、バイオセンサ90を流通した培地を収容するための廃棄用の培地収容部をサンプリング流路98に取り付ける必要がない。そのため、細胞培養デバイス12の構成を簡素にできる。
【0122】
サンプリング部34は、洗浄液収容部92と第1導入流路100とを有する。洗浄液収容部92には、洗浄液が収容されている。第1導入流路100は、サンプリング流路98における第1端106とバイオセンサ90との間の部分と洗浄液収容部92とを互いに繋ぐ。
【0123】
このような構成によれば、洗浄液を洗浄液収容部92から第1導入流路100及びサンプリング流路98を介してバイオセンサ90に導くことができる。これにより、バイオセンサ90に付着した培地を洗浄液によって洗浄することができる。よって、バイオセンサ90の寿命を長く保つことができる。
【0124】
廃液流路62における循環流路68とサンプリング部34との間の部分には、培地のガス成分の濃度を測定するガスセンサ84が取り付けられている。
【0125】
ところで、ガスセンサ84によって培地のガス成分の濃度を測定する際に、ガスセンサ84の内部に洗浄液が混入していると、ガスセンサ84の測定値は、大きく変化する。つまり、ガスセンサ84によって、培地のガス成分の濃度を精度よく測定できない可能性がある。しかしながら、このような構成によれば、バイオセンサ90を洗浄液で洗浄する際に、洗浄液がガスセンサ84を流通することがない。つまり、ガスセンサ84の内部に洗浄液が混入することがない。従って、ガスセンサ84によって培地のガス成分の濃度を精度よく測定することができる。
【0126】
バイオリアクタ26は、複数の中空糸膜36と、複数の中空糸膜36を収容するハウジング38と、を含む。循環流路68は、第1循環流路54と第2循環流路58とを有する。第1循環流路54は、複数の中空糸膜36の内孔である第1領域40に連通する。第2循環流路58は、複数の中空糸膜36とハウジング38との間の空間である第2領域42に連通する。複数の中空糸膜36の各々は、第1領域40と第2領域42との間で培地の交換が可能に構成されている。廃液流路62は、第1廃液流路72と、第2廃液流路74と、第3廃液流路76と、を有する。第1廃液流路72は、第1循環流路54に繋がっている。第2廃液流路74は、第2循環流路58に繋がっている。第3廃液流路76は、廃液収容部22に繋がっている。第3廃液流路76は、第1廃液流路72と第2廃液流路74とが合流する中間合流部82を含む。
【0127】
このような構成によれば、バイオリアクタ26によって効率的に細胞培養することができる。
【0128】
サンプリング部34は、第3廃液流路76に繋がっている。
【0129】
このような構成によれば、第1領域40を流通した培地と第2領域42を流通した培地とのいずれかを選択してサンプリング部34で採取することができる。
【0130】
サンプリング流路98は、第3廃液流路76に無菌接合されている。
【0131】
このような構成によれば、サンプリング流路98と第3廃液流路76との接合部分から細胞培養デバイス12の内部に菌が混入することを抑えることができる。
【0132】
細胞培養システム10は、細胞培養デバイス12と、支持装置14とを備える。支持装置14には、細胞培養デバイス12が取り外し可能に取り付けられる。細胞培養デバイス12の流路を構成する壁部は、可撓性を有する。支持装置14は、当該壁部の外面を押圧して細胞培養デバイス12の流路を閉塞させる複数のクランプ126を有する。
【0133】
このような構成によれば、細胞培養デバイス12にクランプ126を組み込む必要がないため、細胞培養デバイス12の構成を簡素にできる。つまり、使い捨て品である細胞培養デバイス12の製造コストを低下させることができる。
【0134】
細胞培養システム10において、複数のクランプ126は、第3廃液クランプ144とサンプリングクランプ146とを含む。第3廃液クランプ144は、セット状態で、第3廃液流路76における第1端106と第2端108との間の部分に位置する。サンプリングクランプ146は、セット状態で、サンプリング流路98における第1端106とバイオセンサ90との間の部分に位置する。
【0135】
このような構成によれば、第3廃液クランプ144を閉状態にするとともにサンプリング流路98を開状態にすることにより、第3廃液流路76の培地をバイオセンサ90に流通させることができる。また、第3廃液クランプ144を開状態にするとともにサンプリングクランプ146を閉状態にすることにより、第3廃液流路76の培地をバイオセンサ90に流通させることなく廃液収容部22に導くことができる。
【0136】
本発明において、センサ部32は、第3廃液流路76ではなくサンプリング流路98に取り付けられてもよい。サンプリング部34は、第3廃液流路76ではなく、第1廃液流路72及び第2廃液流路74のいずれかに繋がっていてもよい。この場合であっても、上述したサンプリング部34と同様の効果を奏する。サンプリング部34が第1廃液流路72に繋がっている場合、サンプリング部34は、第1領域40を流通した培地を採取することができる。サンプリング部34が第2廃液流路74に繋がっている場合、サンプリング部34は、第2領域42を流通した培地を採取することができる。
【0137】
細胞培養デバイス12は、培地のグルコース濃度と乳酸濃度とを測定する校正用のセンサを有してもよい。この場合、バイオセンサ校正工程において、センサ補正部166は、校正用のセンサの測定値に基づいてバイオセンサ90の測定精度(測定感度)を補正する。そのため、細胞培養デバイス12において、第1標準液収容部94、第2標準液収容部96、第2導入流路102及び第3導入流路104を省略することができる。
【0138】
図22に示すように、上記の細胞培養デバイス12において、第3廃液流路76における第3分岐部110とセンサ部32との間の部分には、逆止弁170が取り付けられてもよい。逆止弁170は、液体の廃液収容部22に向かう方向の流通を許可し、且つ液体の循環流路68に向かう方向の流通を阻止する逆止弁170が取り付けられてもよい。逆止弁170は、廃液流路62におけるサンプリング部34が繋がっている部分(第3分岐部110)よりも上流側であれば、どの位置に取り付けられてもよい。
【0139】
図22の変形例において、廃液流路62のうちサンプリング部34が繋がっている部分(第3分岐部110)よりも上流側には、液体の廃液収容部22に向かう方向の流通を許可し、且つ液体の循環流路68に向かう方向の流通を阻止する逆止弁170が取り付けられている。
【0140】
このような構成によれば、サンプリング部34からバイオリアクタ26への菌の混入リスクを逆止弁170によって低減することができる。
【0141】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0142】
上記実施形態は、バイオリアクタ(26)に接続された循環流路(68)内の培地を前記バイオリアクタ内に流通させることにより細胞を培養する細胞培養デバイス(12)であって、前記循環流路に繋がり当該循環流路を流通する液体を廃棄するための廃液流路(62)と、前記廃液流路から導かれた前記液体を収容する廃液収容部(22)と、を備え、前記廃液流路には、前記循環流路から当該廃液流路に導かれた前記培地を採取するサンプリング部(34)が繋がっている、細胞培養デバイスを開示している。
【0143】
上記の細胞培養デバイスにおいて、前記サンプリング部は、前記廃液流路に繋がったサンプリング流路(98)と、前記サンプリング流路に取り付けられたバイオセンサ(90)と、を有してもよい。
【0144】
上記の細胞培養デバイスにおいて、前記サンプリング流路は、前記廃液流路に繋がった第1端(106)と、前記廃液流路における前記第1端と前記廃液収容部との間の部分に繋がった第2端(108)と、を有し、前記バイオセンサは、前記培地と接触するように前記サンプリング流路の途中部位に取り付けられてもよい。
【0145】
上記の細胞培養デバイスにおいて、前記サンプリング部は、洗浄液が収容された洗浄液収容部(92)と、前記サンプリング流路における前記第1端と前記バイオセンサとの間の部分と前記洗浄液収容部とを互いに繋ぐ導入流路(100)と、を有してもよい。
【0146】
上記の細胞培養デバイスにおいて、前記廃液流路における前記循環流路と前記サンプリング部との間の部分には、前記培地のガス成分の濃度とpHとの少なくともいずれかを測定するセンサ部(32)が取り付けられてもよい。
【0147】
上記の細胞培養デバイスにおいて、前記バイオリアクタは、複数の中空糸膜(36)と、前記複数の中空糸膜を収容するハウジング(38)と、を含み、前記循環流路は、前記複数の中空糸膜の内孔である第1領域(40)に連通する第1循環流路(54)と、前記複数の中空糸膜と前記ハウジングとの間の空間である第2領域(42)に連通する第2循環流路(58)と、を有し、前記複数の中空糸膜の各々は、前記第1領域と前記第2領域との間で前記培地の交換が可能に構成され、前記廃液流路は、前記第1循環流路に繋がった第1廃液流路(72)と、前記第2循環流路に繋がった第2廃液流路(74)と、前記廃液収容部に繋がった第3廃液流路(76)と、を有し、前記第3廃液流路は、前記第1廃液流路と前記第2廃液流路とが合流する中間合流部(82)を含んでもよい。
【0148】
上記の細胞培養デバイスにおいて、前記サンプリング部は、前記第3廃液流路に繋がってもよい。
【0149】
上記の細胞培養デバイスにおいて、前記廃液流路のうち前記サンプリング部が繋がっている部分よりも上流側には、前記液体の前記廃液収容部に向かう方向の流通を許可し、且つ前記液体の前記循環流路に向かう方向の流通を阻止する逆止弁(170)が取り付けられてもよい。
【0150】
上記の細胞培養デバイスにおいて、前記サンプリング部と前記廃液流路とは、無菌接合されてもよい。
【0151】
上記実施形態は、上述した細胞培養デバイスと、前記細胞培養デバイスが取り外し可能に取り付けられる支持装置(14)と、を備えた細胞培養システム(10)であって、前記細胞培養デバイスの流路を構成する壁部は、可撓性を有し、前記支持装置は、前記壁部の外面を押圧して前記細胞培養デバイスの前記流路を閉塞させる複数のクランプ(126)を有する、細胞培養システムを開示している。
【0152】
上記の細胞培養システムにおいて、前記サンプリング部は、前記廃液流路に繋がったサンプリング流路と、前記サンプリング流路に取り付けられたバイオセンサと、を有し、前記サンプリング流路は、前記廃液流路に繋がった第1端と、前記廃液流路における前記第1端と前記廃液収容部との間の部分に繋がった第2端と、を有し、前記バイオセンサは、前記培地と接触するように前記サンプリング流路の途中部位に取り付けられ、前記複数のクランプは、前記細胞培養デバイスを前記支持装置に取り付けたセット状態で、前記廃液流路における前記第1端と前記第2端との間の部分に位置する廃液クランプ(144)と、前記セット状態で、前記サンプリング流路における前記第1端と前記バイオセンサとの間の部分に位置するサンプリングクランプ(146)と、を含んでもよい。
【符号の説明】
【0153】
10…細胞培養システム 12…細胞培養デバイス
14…支持装置 22…廃液収容部
26…バイオリアクタ 34…サンプリング部
36…中空糸膜 38…ハウジング
40…第1領域 42…第2領域
54…第1循環流路 58…第2循環流路
62…廃液流路 68…循環流路
72…第1廃液流路 74…第2廃液流路
76…第3廃液流路 82…中間合流部
84…ガスセンサ 90…バイオセンサ
92…洗浄液収容部 98…サンプリング流路
100…第1導入流路(導入流路) 106…第1端
108…第2端 126…クランプ
144…第3廃液クランプ(廃液クランプ)
146…サンプリングクランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクタに接続された循環流路内の培地を前記バイオリアクタ内に流通させることにより細胞を培養する細胞培養デバイスであって、
前記循環流路に繋がり当該循環流路を流通する液体を廃棄するための廃液流路と、
前記廃液流路から導かれた前記液体を収容する廃液収容部と、を備え、
前記廃液流路には、前記循環流路から当該廃液流路に導かれた前記培地を採取するサンプリング部が繋がっている、細胞培養デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング部は、
前記廃液流路に繋がったサンプリング流路と、
前記サンプリング流路に取り付けられたバイオセンサと、を有する、細胞培養デバイス。
【請求項3】
請求項2記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング流路は、
前記廃液流路に繋がった第1端と、
前記廃液流路における前記第1端と前記廃液収容部との間の部分に繋がった第2端と、を有し、
前記バイオセンサは、前記培地と接触するように前記サンプリング流路の途中部位に取り付けられている、細胞培養デバイス。
【請求項4】
請求項3記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング部は、
洗浄液が収容された洗浄液収容部と、
前記サンプリング流路における前記第1端と前記バイオセンサとの間の部分と前記洗浄液収容部とを互いに繋ぐ導入流路と、を有する、細胞培養デバイス。
【請求項5】
請求項3記載の細胞培養デバイスであって、
前記廃液流路における前記循環流路と前記サンプリング部との間の部分には、前記培地のガス成分の濃度とpHとの少なくともいずれかを測定するセンサ部が取り付けられている、細胞培養デバイス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか 1項に記載の細胞培養デバイスであって、
前記バイオリアクタは、
複数の中空糸膜と、
前記複数の中空糸膜を収容するハウジングと、を含み、
前記循環流路は、
前記複数の中空糸膜の内孔である第1領域に連通する第1循環流路と、
前記複数の中空糸膜と前記ハウジングとの間の空間である第2領域に連通する第2循環流路と、を有し、
前記複数の中空糸膜の各々は、前記第1領域と前記第2領域との間で前記培地の交換が可能に構成され、
前記廃液流路は、
前記第1循環流路に繋がった第1廃液流路と、
前記第2循環流路に繋がった第2廃液流路と、
前記廃液収容部に繋がった第3廃液流路と、を有し、
前記第3廃液流路は、前記第1廃液流路と前記第2廃液流路とが合流する中間合流部を含む、細胞培養デバイス。
【請求項7】
請求項6記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング部は、前記第3廃液流路に繋がっている、細胞培養デバイス。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の細胞培養デバイスであって、
前記廃液流路のうち前記サンプリング部が繋がっている部分よりも上流側には、前記液体の前記廃液収容部に向かう方向の流通を許可し、且つ前記液体の前記循環流路に向かう方向の流通を阻止する逆止弁が取り付けられている、細胞培養デバイス。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の細胞培養デバイスであって、
前記サンプリング部と前記廃液流路とは、無菌接合されている、細胞培養デバイス。
【請求項10】
請求項1記載の細胞培養デバイスと、
前記細胞培養デバイスが取り外し可能に取り付けられる支持装置と、を備えた細胞培養システムであって、
前記細胞培養デバイスの流路を構成する壁部は、可撓性を有し、
前記支持装置は、前記壁部の外面を押圧して前記細胞培養デバイスの前記流路を閉塞させる複数のクランプを有する、細胞培養システム。
【請求項11】
請求項10記載の細胞培養システムであって、
前記細胞培養デバイスは、請求項2~のいずれか1項に記載の細胞培養デバイスである、細胞培養システム。
【請求項12】
請求項10記載の細胞培養システムであって、
前記サンプリング部は、
前記廃液流路に繋がったサンプリング流路と、
前記サンプリング流路に取り付けられたバイオセンサと、を有し、
前記サンプリング流路は、
前記廃液流路に繋がった第1端と、
前記廃液流路における前記第1端と前記廃液収容部との間の部分に繋がった第2端と、を有し、
前記バイオセンサは、前記培地と接触するように前記サンプリング流路の途中部位に取り付けられ、
前記複数のクランプは、
前記細胞培養デバイスを前記支持装置に取り付けたセット状態で、前記廃液流路における前記第1端と前記第2端との間の部分に位置する廃液クランプと、
前記セット状態で、前記サンプリング流路における前記第1端と前記バイオセンサとの間の部分に位置するサンプリングクランプと、を含む、細胞培養システム。
【国際調査報告】