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  • 特表-紡績糸及びそれを用いてなる生地 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】紡績糸及びそれを用いてなる生地
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/02 20060101AFI20240905BHJP
   D02G 1/16 20060101ALI20240905BHJP
   D02G 3/26 20060101ALI20240905BHJP
   D04B 1/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
D02G3/02
D02G1/16
D02G3/26
D04B1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502639
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2022118881
(87)【国際公開番号】W WO2023040923
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202111087354.0
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111084526.9
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】王 健
(72)【発明者】
【氏名】▲ニイ▼ 春健
(72)【発明者】
【氏名】濱田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ユァン▼
(72)【発明者】
【氏名】許 金碧
【テーマコード(参考)】
4L002
4L036
【Fターム(参考)】
4L002AA07
4L002AB01
4L002AC07
4L002BA01
4L002CA00
4L002DA04
4L002EA05
4L002EA07
4L002FA01
4L036MA05
4L036PA21
4L036PA31
4L036PA41
4L036RA15
4L036UA01
4L036UA06
(57)【要約】
【課題】
低コスト、加工プロセスが簡単で、優れた抗ピリング性を具備し、耐摩耗性に影響を受けない紡績糸を提供すること。
【解決手段】
本発明は紡績糸及びそれを用いてなる生地に関するものである。該紡績糸は10回繰り返し伸長後の弾性回復率が50%以上の合成繊維を含み、且つ前記合成繊維の含有量が40wt%以上であることで、摩擦によって繊維が引き出されて毛玉が立つという現象の発生を効果的に抑制し、いかなるピリング防止剤を使用する必要がなく、繊維の強力が維持され、耐摩耗性に影響を受けない。該紡績糸を用いてなる生地はスポーツウェア、カジュアルウェアなどの製造に広く使用できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10回繰り返し伸長後の弾性回復率が50%以上の合成繊維を含み、前記合成繊維の含有量が40wt%以上であることを特徴とする紡績糸。
【請求項2】
前記合成繊維の結節強度が2~6cN/dtexであることを特徴とする請求項1に記載の紡績糸。
【請求項3】
前記合成繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の紡績糸。
【請求項4】
前記ポリエステル系繊維がポリエチレンテレフタレート繊維および/またはポリブチレンテレフタレート繊維であることを特徴とする請求項3に記載の紡績糸。
【請求項5】
前記紡績糸の撚り係数が2.0~6.0であり、前記紡績糸を構成する単繊維の繊度が0.5~4.0dtexであり、繊維長が35~110mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の紡績糸。
【請求項6】
前記紡績糸がサイロコンパクト紡績法、サイロ紡績法又はコンパクト紡績法により得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の紡績糸。
【請求項7】
前記紡績糸がボルテックス紡績法による得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の紡績糸。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の紡績糸を40wt%以上用いてなる生地。
【請求項9】
GB/T 4802.2:2008基準に準じて、前記生地の抗ピリング性が3級以上であり、および/またはJIS L 1096:2010基準 E法に準じて、耐摩耗性が3万回以上であることを特徴とする請求項8に記載の生地。
【請求項10】
前記紡績糸が少なくとも前記生地の片面に露出し、露出率が30%以上であることを特徴とする請求項8に記載の生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紡績糸及びそれを用いてなる生地に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生活水準の向上に伴い、人々は生地に対する要求も高まっている。紡績糸を用いてなる編物は柔らかい風合や良好な通気性などの長所を持つため、多くの消費者に愛されているが、ピリングし易く耐摩耗性も良くないという問題点が存在する。このため、多くの研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には35%より大きくない破断伸度及び1.7g/Dより大きくない結節強力を有する低ピル布帛用アクリル系繊維が開示されている。毛玉の形成を効果的に抑制し、抗ピリング性を改善したが、耐摩耗性に影響を与えた。
【0004】
また、特許文献2には抗ピリング性ポリエステル紡績糸からなる生地が開示されている。具体的には、抗ピリング性ポリエステル紡績糸と綿紡績糸を生地のタテ糸とし、抗ピリング性ポリエステル紡績糸と羊毛をヨコ糸とし、その中、抗ピリング性ポリエステル紡績糸が紡糸工程でピリング防止剤を添加して得られたものであり、ポリエステル繊維の表面に天然繊維のような構造を形成させることで、生地の抗ピリング性を大幅に改善することが開示された。しかしながら、紡糸工程でピリング防止剤を添加する方法はプロセスが複雑で高コストであり、また、繊維強力の低下を起こって生地の耐摩耗性に影響を与えるという問題も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開平4-240209号公報
【特許文献2】中国特許出願公開第102505261号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は低コスト、加工プロセスが簡単で、優れた抗ピリング性を具備し、耐摩耗性に影響を受けない紡績糸を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、前記紡績糸を用いてなる生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決する本発明は、以下のとおりである。
【0009】
(1)本発明の紡績糸は、10回繰り返し伸長後の弾性回復率が50%以上の合成繊維を含み、かつ、前記合成繊維の含有量が40wt%以上である。
【0010】
(2)前記合成繊維の結節強度が2.0~6.0cN/dtexである。
【0011】
(3)前記合成繊維がポリエステル繊維である。
【0012】
(4)前記ポリエステル繊維がポリエチレンテレフタレート繊維および/またはポリブチレンテレフタレート繊維である。
【0013】
(5)前記紡績糸の撚り係数が2.0~6.0であり、かつ、前記紡績糸を構成する単繊維の繊度が0.5~4.0dtex、長さが35~110mmである。
【0014】
(6)前記紡績糸がサイロコンパクト紡績法、サイロ紡績法又はコンパクト紡績法により得られたものである。
【0015】
(7)前記紡績糸がボルテックス紡績法により得られたものである。
【0016】
(8)前記(1)~(7)のいずれかに記載の紡績糸を40wt%以上用いてなる生地。
【0017】
(9) GB/T 4802.2:2008基準に準じて、前記生地の抗ピリング性が3級以上であり、および/またはJIS L 1096:2010基準 E法に準じて、耐摩耗性が3万回以上である。
【0018】
(10) 前記紡績糸は少なくとも前記生地の片面に露出し、露出率が30%以上である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の紡績糸は所定含有量の弾性回復性に優れた合成繊維を用いることで、摩擦によって繊維が引き出されて毛玉が立つという現象の発生を効果的に抑制し、いかなるピリング防止剤を使用する必要がなく、繊維の強力を維持でき、耐摩耗性にも影響せず、低コストであるので、それを用いた生地はスポッツウェア、カジュアルウェアなどの製造に広く応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】合成繊維単繊維が延伸された後の弾性回復を示す図面であり、aは伸長部の長さで、bは回復部の長さである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
合成繊維の単繊維が延伸された(特に10%延伸された)後、回復過程において延伸回復可能な部分と延伸回復不可能な部分が現れる。延伸回復可能な部分の割合は高ければ高いほど、繊維の弾性回復性は良いである。本発明の紡績糸には10回繰り返し伸長後の弾性回復率が50%以上の合成繊維を含むことで、摩擦過程で前記合成繊維が引き出されても、その多くが元に戻るので、毛玉になりにくい。一方、10回繰り返し伸長後の弾性回復率が50%未満の合成繊維であれば、繰り返し伸長後、疲労現象が顕著であり、摩擦過程で引き出された毛羽は元に戻らなく毛玉になり、後続の繰り返し摩擦に伴い、毛玉がだんだん大きく多くなるため、生地の抗ピリング性は悪くなる。
【0022】
本発明の紡績糸は、100wt%の前記合成繊維からなるものでもよく、他の短繊維と混紡してなるものでもよい。好ましくは、100wt%の前記合成繊維からなる。こうすれば、毛玉形成の可能性が低くなり、繰返し摩擦されても抗ピリング性が確保できる。本発明の紡績糸は前記合成繊維と他の短繊維とを混紡してなる場合、前記合成繊維の含有量が40wt%未満であれば、引き出されて毛羽立ち且つ毛玉ができやすい短繊維の含有量が高いため、生地の抗ピリング性に極めて大きな影響を与える。よって、本発明において紡績糸の中に前記合成繊維の含有量は40wt%以上であることが要求される。
【0023】
本発明の紡績糸は前記合成繊維と他の短繊維とを混紡してなる場合、混紡方法は特に限定されないが、混打綿又はカード工程で原綿混合の方法を用いてもよく、練条工程又はギリング混合工程でスライバー混合の方法を用いてもよく、精紡工程で複本数の粗糸を精紡加撚するなどの方法を用いてもよい。
【0024】
本発明の紡績糸の中の前記合成繊維は同じ弾性回復率を有する短繊維でもよく、異なる弾性回復率を有する短繊維でもよいが、弾性回復率とも50%以上でさえあればよい。
【0025】
好ましくは前記合成繊維の結節強度が2~6cN/dtexである。結節強度が2cN/dtex未満の場合、短繊維の破断強力が比較的低く、紡績糸の強力に影響を与える可能性があるため、得られた生地は耐摩耗性が低下する傾向にある。結節強度が6cN/dtex超過の場合、紡績糸の強力がある程度高くなるが、繰り返し摩擦過程において形成された毛玉が脱落し難いため、抗ピリング性が低下する傾向にある。
【0026】
前記合成繊維の種類は特に限定されないが、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維等が挙げられて、好ましくはポリエステル繊維である。前記ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレート繊維(PET)、ポリブチレンテレフタレート繊維(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート繊維(PTT)中の一種又は数種である。前記繊維は、生糸を用いて延伸、捲縮、熱セット(130~170℃)、カットなどの工程を経て得られるものである。
【0027】
その中で、PBT繊維の分子構造にはエステル基とベンゼン環構造を有し、レギュラーPET繊維に比べて、基本セグメントにおけるソフトセグメントが長く、融点が比較的低く、主鎖構造が螺旋状であるため、微細捲縮が発生しやすい。PTT繊維の分子構造は「トランス-ゴーシュ-ゴーシュ-トランス」構造を有し、明らかな「Z」字型構造を呈し、また、分子鎖に3つのメチレンセグメントを有するため、分子鎖の間には「奇数の炭原子(メチレン基)効果」が発生する。このような分子構造はPTT繊維にコイルスプリングのような変形能力を持たせる。編地は最も本発明の紡績糸の効果を具現できる用途であるが、PTT繊維のヤング率が比較的低いため、編地の寸法安定性に影響する可能性があり、一方、PTT繊維の伸度が比較的高いため、長時間摩擦又は高強度摩擦されると、引き伸ばされて長くなり、周囲の毛羽と絡み合いやすくなるため、抗ピリング効果が悪くなる傾向にある。よって、本発明においてより好ましくは前記合成繊維がPBT繊維である。
【0028】
また、紡積工程で繊維が伸びやすいと、紡績糸の品質低下や強度低下などの問題が発生することもあるので、最も好ましくは、前記合成繊維はヤング率が30cN/dtex以上、且つ伸度が75%以下のものである。
【0029】
前記他の短繊維の種類も特に限定されないが、必要に応じて選択することができる。例えば、天然繊維、再生繊維、弾性回復率が50%未満の合成繊維などが挙げられる。天然繊維としては、綿、麻、毛、絹などが挙げられ、再生繊維としては、銅アンモニア繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維などが挙げられる。
【0030】
撚り係数、紡績糸を構成する単繊維の繊度や長さも、本発明の紡績糸にとって重要なことである。英式撚り係数を例として、紡績糸の撚り係数が2.0未満の場合、短繊維同士の抱合力が低く、甘撚りの現象が多発し、紡績糸の強力が低下する傾向にあり、精紡工程では糸切れの頻度が増加し、毛羽とネップも増加する傾向にある。撚り係数が6.0超過の場合、単繊維の撚回角が大きくなり、単繊維の強力利用率が低くなり、紡績糸の強力が低下する傾向にあり、また、糸がねじれてスナールが生じ易くなり、糸切れに伴う停台又は生地欠点の発生率も増加する傾向にあり、且つ得られた生地の風合いが硬くなる傾向にある。単繊維の繊度が0.5dtex未満の場合、紡績加工が難しくなり、繊維の曲げ剛性が小さいため、ネップが発生しやすく、生地表面の品質に影響を与える可能性がある。一方、単繊維の繊度が4.0dtex超過の場合、同等条件下で、紡績糸を構成する単繊維の本数が減少し、繊維同士の抱合力が低下し、摩擦過程で毛羽が引き出されて毛玉になりやすく、抗ピリング性が悪くなる傾向にあり、また、単繊維の曲げ剛性が大きいため、カード不十分の可能性があり、形成したウェブの品質が低下する傾向にある。単繊維の長さが35mm未満の場合、繊維同士の抱合力が弱くなり、紡績時に糸切れの発生率が高くなる傾向にあり、また、紡績糸になっても、繊維が比較的短いため、摩擦過程に毛羽が引き出されて毛玉になりやすく、抗ピリング性が低下する傾向にある。一方、単繊維の長さが110mm超過の場合、混打綿工程又はカード工程で損傷・切断が発生しやすく、ネップの数が多くなり、前記ネップは摩擦過程に塊になりやすく、抗ピリング性が悪くなる傾向にある。よって、本発明においては、紡績糸の撚り係数は2.0~6.0で、紡績糸を構成する単繊維の繊度は0.5~4.0dtexで、長さは35~110mmであることが好ましい。
【0031】
本発明の紡績糸の紡績方法は特に限定されないが、ボルテックス紡績法、リング精紡法、サイロコンパクト紡績法、サイロ紡績法、コンパクト紡績法などが挙げられる。抗ピリング性と風合いを両立するために、好ましくはサイロコンパクト紡績法、サイロ紡績法又はコンパクト紡績法である。その中、サイロコンパクト紡績法は、サイロ紡績法とコンパクト紡績法を結合した新型紡績技術であり、2本の粗糸が所定の間隔をもってラッパ口を経て平行的にドラフト機構に供給され、フロントローラーを離れる時、負圧気流吸引作用によって収束され、次いで撚りをかけて一体化にし、構造がより緻密で、毛羽も大幅に減少するため、サイロコンパクト紡績法がより好ましい。ボルテックス紡績法は、ノズル内部に発生した高速化の空気渦流により繊維束に撚りをかけて糸にし、得られた糸が二重構造を有し、芯繊維が無撚りの状態で平行的に配列し、鞘繊維が芯繊維の外周に絡みつき、繊維の頭部と尾部とも紡績糸の内部に撚り込まれることで、構造が緻密で、毛羽が極めて少ないため、より良い抗ピリング性の点でボルテックス紡績法が好ましい。
【0032】
40wt%以上の上記紡績糸を原料として生地を製造する。ここでの生地は織物でも良いし、編み物でも良い。本発明の紡績糸を部分的に用いる場合、その他の糸は特に限定されないが、必要に応じて選択することができる。例えば、綿100%の紡績糸、レーヨン100%の紡績糸、ポリエステル/綿の混紡糸(ここでのポリエステル繊維は10回繰り返し伸長後の弾性回復率が50%未満のPET繊維である)などが挙げられる。ここで、編み物は丸編みとヨコ編みでもよいし、経編みでもよい。丸編物およびヨコ編物の組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、レース編、添え糸編、片畔編等が例示されるが、特に限定されない。タテ編物の組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ダブルハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が例示されるが、特に限定されない。なかでも、抗ピリング性の点で丸編み物がより好ましい。一方、層数も単層でもよいし、多層でもよいが、前記多層は2層又は層数がより多くの組織である。
【0033】
好ましくは、本発明の生地はGB/T 4802.2:2008基準に準じて抗ピリング性が3級以上であり、および/またはJIS L 1096:2010基準 E法に準じて耐摩耗性が3万回以上である。
【0034】
好ましくは、本発明の紡績糸は少なくとも生地の片面に露出し、露出率が30%以上である。もし、生地の片面において本発明の紡績糸の露出率が30%未満であれば、毛玉形成可能の糸の含有量が高く、摩擦による毛玉の発生率が増加し、生地の抗ピリング性が低下する傾向にある。
【0035】
また、生地が損なわれない範囲内であれば、後加工工程において、通常の染色加工、吸水加工、撥水加工などを施してもよいし、紫外線防止剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、反射剤、マイナスイオン発生剤などの機能を付与する各種加工を施してもよい。
【0036】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、本発明に係る各パラメーターは下記の方法で測定した。
【0037】
(1)合成繊維の弾性回復率及び混率
A.サンプリング
必要に応じて下記<1>又は<2>によりサンプリングを行い:
<1> 直接的に長さ5cmの紡績糸5本を準備して解撚し、長さ30mm以上の短繊維をサンプルとし、その本数をXと記録し、
<2> JIS L 1030-1:2012基準に準じて生地を構成する糸の種類を判断し、合成繊維を含む紡績糸を分解し、長さ5cmの紡績糸5本を準備して解撚し、長さ30mm以上の短繊維をサンプルとし、その本数をXと記録し、
B.試験設備
Orientecプリンタ(AR-6600-7)付きのRTC-1225 A型引張試験機(INTEC CO.,LTD製)を使って、EXTENSION CYCLE TESTプログラムを選択して伸長回復試験を行い、つかみ間隔20mm、伸度10%、引張速度20mm/分と設定した。
C.測定及び計算
まっすぐで伸長無しの状態下で、前記ステップAで用意したサンプル1本を試験機の上下つかみに固定し、試験開始のボタンを押して、伸度10%まで伸長した後回復させ、同時に1本目のカーブを自動的に描き、1分間後絵図の原点を調整し、指針がミリ座標紙の原点にあり、前記伸長回復の測定手順を繰り返し、2本目のカーブを描いた。合計10回を測定し、10本のカーブを得、図1に示した通り、ミリ座標紙においてaは伸長部の長さで、bは回復部の長さであり、最長カーブのヨコ方向長さをa+bと記録した。下式によって単繊維10回繰り返し伸長後の弾性回復率を算出した。
弾性回復率(%)=[b/(a+b)]×100。
【0038】
同様の方法ですべてのサンプルを測定し、各単繊維サンプルの弾性回復率を記録し、弾性回復率が50%以上のデータの平均値を求め、当該平均値を本発明の合成繊維の10回繰り返し伸長後の弾性回復率とする。弾性回復率が50%以上の繊維本数を数えてf1と記録し、下式によって合成繊維の混率を算出した。
混率(%)=(f1/X)×100。
【0039】
(2)紡績糸の混率
生地において一つの完全組織に印をつけて、該完全組織の縁に沿ってサンプル1枚を採取した。(もし一つの完全組織のサイズが5cm×5cm未満であれば、5cm×5cmのサンプル1枚を採取すればよい)。すべての糸を抽出してその重量を測ってmと記録する。JIS L 1030-1:2012基準に準じて、生地を構成する糸の種類を判別し、合成繊維を含む紡績糸をピックアップする。前記合成繊維の弾性回復率の測定方法に基づいて、紡績糸の中に弾性回復率50%以上の合成繊維があるかどうかを判断する。弾性回復率50%以上の合成繊維を含む紡績糸の重量を測ってm1と記録し、下式によって生地中の紡績糸の混率を算出した。
混率(%)=(m1/m)×100。
【0040】
(3)結節強度
JIS L 1015:2010基準に準じて測定する。
【0041】
(4)抗ピリング性
GB/T 4802.2:2008基準に準じて測定する。
【0042】
(5)耐摩耗性
JIS L 1096:2010規格(E法)基準に準じて測定する。
【0043】
その中、初回の測定では摩擦回数を2万回と設定し、2万回摩擦後生地の摩耗状況を確認する。生地に破損が生じる場合、測定を停止し、耐摩耗性が1万回と判定する。生地に破損(織物:糸切れ数が2本以上、編物:破損箇所あり)が生じない場合、測定を継続する。継続測定の場合、摩擦回数を1万回と設定し、1万回摩擦後生地の摩耗状況を確認する。生地に破損が生じる場合、測定を停止し、耐摩耗性が2万回と判定する。生地に糸切れ数が2本以上に達しない場合、測定を継続する。継続測定の場合、摩擦回数を1万回と設定し、1万回摩擦後生地の摩耗状況を観察する。生地に破損が生じる場合、測定を停止し、耐摩耗性が3万回と判定する。1万回毎に逐次に破損が生じるまでに生地の摩耗状況を確認する。摩擦回数が累計で10万回に達する場合、10万回摩擦後の生地の摩耗状況を確認し、生地に破損が生じる場合、耐摩耗性が9万回と判定する。生地に破損が生じない場合、耐摩耗性が10万回以上と判定する。
【0044】
(6)生地の片面において紡績糸の露出率
生地の片面において二つの完全組織を確定する。まずJIS L 1030-1:2012基準に準じて、一つの完全組織においての全ての糸の種類を判明し、合成繊維を含む紡績糸をピックアップし、前記合成繊維の弾性回復率の測定方法に基づいて、紡績糸の中には弾性回復率50%以上の合成繊維があるかどうかを判断し、当該紡績糸が完全組織での具体的な位置を明確にする。次いで、デジタル顕微鏡(キーエンス社製)を用いてもう一つの完全組織の写真を撮って、A4サイズの紙を使って写真を印刷した後(デジタル顕微鏡の最小倍率でも完全組織の写真を撮れない場合、デジタルカメラを使って写真を撮る)、ハサミで余計の部分を切り捨てて、一つの完全組織のみを残してその重量を測ってGと記録する。前記紡績糸が完全組織での具体的な位置により、紙から関係部分を切り取って重量を測ってg1と記録し、下式によって紡績糸の露出率を算出した。
露出率(%)=(g1/G)×100。
【0045】
(7)剛軟度
JIS L 1096:2010(A法)基準に準じて測定する。数値が小さければ小さいほど、柔軟性が高い。
【0046】
実施例1
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、順次に混打綿工程、梳綿工程、練条工程、粗紡工程、サイロコンパクト工程、巻糸工程を経て、ここで、練条工程:2回練条、ドラフト倍率8倍、定量16g/5mであり、粗紡工程:ドラフト倍率9倍、撚り係数0.6、定量3.5g/10mであり、サイロコンパクト工程:スピンドル回転速度12500rpm、ドラフト倍率49倍、撚り係数3.7、気流圧2300Paで、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸を得た。
【0047】
丸編み機にて、得られた紡績糸を用いて、平編み組織でヨコ密度45ウェルト/インチ×タテ密度62コース/インチの条件下で編成して生機を得、次いで、精練(90℃×20分間)→染色(分散染料DK9Z3、浙江龍盛染料化工有限公司製、120℃×30分間)→後加工(吸湿排汗加工剤 HS-TC-18、珠海華大浩宏化工有限公司製、使用量10owf%、浴中加工80℃×20分間)→乾燥(150℃×1分間)→セット(170℃×1分間)を経て、本発明の編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0048】
実施例2
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.2cN/dtexのPTT原綿(上海徳福倫化繊有限公司製)を原料とする以外は実施例1と同様にし、本発明のPTT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0049】
実施例3
繊度1.70dtex、繊維長38mm、結節強度5.5cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とする以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0050】
実施例4
繊度1.70dtex、繊維長38mm、結節強度6.5cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とする以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0051】
実施例5
繊度1.65dtex、繊維長38mm、結節強度2.0cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とする以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0052】
実施例6
繊度1.65dtex、繊維長38mm、結節強度1.5cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とする以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0053】
実施例7
繊度0.50dtex、繊維長35mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、サイロコンパクトの撚り係数を4.2に変更する以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0054】
実施例8
繊度4.00dtex、繊維長110mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、サイロコンパクトの撚り係数を3.0に変更する以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0055】
実施例9
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、サイロコンパクトの撚り係数を6.0に変更する以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0056】
実施例10
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、サイロコンパクトの撚り係数を2.0に変更する以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0057】
実施例11
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)からなるスライバーをスライバーAとし、ブラジル綿/アメリカ綿(重量比50:50)からなるスライバーをスライバーBとし、スライバーAとスライバーBとの重量比が65:35で3回練条を行うこと以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が65wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0058】
実施例12
繊度1.56dtex、繊維長38mm、結節強度3.9cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)をからなるスライバーをスライバーAとし、ブブラジル綿/アメリカ綿(重量比50:50)からなるスライバーをスライバーBとし、スライバーAとスライバーBとの重量比が45:55で3回練条を行うこと以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が45wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0059】
実施例13
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、順次に混打綿工程、梳綿工程、練条工程、粗紡工程、リング工程、巻糸工程を経て、ここで、粗紡工程:ドラフト倍率8倍、定量4g/10mで、リング工程:ドラフト倍率28倍である以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0060】
実施例14
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、順次に混打綿工程、梳綿工程、練条工程、粗紡工程、サイロ工程、巻糸工程を経て、ここで、サイロ工程:ドラフト倍率49倍である以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0061】
実施例15
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、順次に混打綿工程、梳綿工程、練条工程、粗紡工程、コンパクト工程、巻糸工程を経て、ここで、粗紡工程:ドラフト倍率8倍、定量4g/10mで、コンパクト工程:ドラフト倍率28倍である以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0062】
実施例16
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、順次に混打綿工程、梳綿工程、練条工程、空気渦流紡工程を経て、ここで、練条工程:3回練条、ドラフト倍率8倍、定量11g/5mで、空気渦流紡工程:総ドラフト率150倍、速度300m/分である以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0063】
実施例17
実施例1で得られた紡績糸と英式番手30番手の綿糸を用いて1:1割合で交編し、染色工程:まずPBT繊維を染めて(分散染料DK9Z3、浙江龍盛染料化工有限公司製、120℃×30分間)、次いで綿繊維を染める(活性染料RK901、無錫先進化薬化工有限公司製、60℃×60分間)以外は実施例1と同様にし、本発明の編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0064】
実施例18
実施例1で得られた紡績糸と英式番手30番手の綿糸を用いて1:2割合で交編する以外は実施例17と同様にし、本発明の編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0065】
実施例19
繊度1.56dtex、繊維長38mm、結節強度4.5cN/dtexのPET原綿(東レ株式会社製)を原料とする以外は実施例1と同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0066】
実施例20
繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料とし、サイロコンパクトの撚り係数を1.8に変更する以外は実施例11同様にし、本発明のPBT含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0067】
実施例21
繊度1.56dtex、繊維長38mm、結節強度4.5cN/dtexのPET原綿(東レ株式会社製)を原料Aとし、繊度1.67dtex、繊維長38mm、結節強度3.1cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)を原料Bとし、原料Aと原料Bが65:35の重量比で、順次に混打綿工程、梳綿工程、練条工程、粗紡工程、リング工程、巻糸工程を経て、ここで、練条工程:3回練条である以外は実施例1と同様にし、本発明のPET含有量が65wt%、PBT含有量が35wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0068】
比較例1
繊度1.56dtex、繊維長38mm、結節強度4.5cN/dtexのPET原綿(中国石化儀征化繊有限責任公司製)を原料とする以外は実施例1と同様にし、PET含有量が100wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0069】
比較例2
繊度1.56dtex、繊維長38mm、結節強度3.9cN/dtexのPBT原綿(東レ株式会社製)からなるスライバーをスライバーAとし、ブラジル綿/アメリカ綿(重量比50:50)からなるスライバーをスライバーBとし、スライバーAとスライバーBとの重量比が35:65で3回練条を行う以外は実施例1と同様にし、本発明のPET含有量が35wt%の英式番手40番手の紡績糸と編物を得た。具体的なパラメーターは表1を参照する。
【0070】
【表1】
【0071】
上表により、
(1)実施例1と実施例2から見ると、同等条件下で、弾性回復率80%で結節強度3.1cN/dtexのPBT短繊維からなる紡績糸は、弾性回復率82%で結節強度3.2cN/dtexのPTT短繊維からなる紡績糸と比べて、前者を用いて得られた生地の抗ピリング性と耐摩擦性とも後者より優れているが、剛軟度の数値が後者よりやや高く、即ち柔軟性が後者よりやや劣ることが分かった。
【0072】
(2)実施例3と実施例4から見ると、同等条件下で、結節強度5.5cN/dtexのPBT短繊維からなる紡績糸は、結節強度6.5cN/dtexのPBT短繊維からなる紡績糸と比べて、前者を用いて得られた生地の抗ピリング性が後者より優れているが、それぞれの生地の耐摩耗性と柔軟性(剛軟度)が同等レベルであることが分かった。
【0073】
(3)実施例5と実施例6から見ると、同等条件下で、結節強度2.0cN/dtexのPBT短繊維からなる紡績糸は、1.5cN/dtexのPBT短繊維からなる紡績糸と比べて、前者を用いて得られた生地の耐摩耗性が後者より優れているが、それぞれの生地の抗ピリング性と柔軟性(剛軟度)が同等レベルであることが分かった。
【0074】
(4)実施例1と実施例15から見ると、同等条件下で、サイロコンパクト紡績法で得られた紡績糸はコンパクト紡績法で得られた紡績糸と比べて、前者を用いて得られた生地の抗ピリング性や耐摩耗性とも後者より優れているが、剛軟度の数値が後者よりやや高く、即ち柔軟性が後者よりやや劣ることが分かった。
【0075】
(5)実施例1と実施例16から見ると、同等条件下で、サイロコンパクト紡績法で得られた紡績糸はボルテックス紡績法で得られた紡績糸と比べて、前者を用いて得られた生地の抗ピリング性は後者より劣るが、風合いが後者より優れていて、また、それぞれの生地の耐摩耗性が同等レベルであることが分かった。
【0076】
(6)実施例17と実施例18から見ると、同等条件下で、PBT紡績糸の露出率が40%の編物はPBT紡績糸の露出率が28%の編物と比べて、前者の抗ピリング性や耐摩耗性とも後者より優れているが、剛軟度の数値が後者よりやや低く、即ち柔軟性が後者よりやや優れていることが分かった。
【0077】
(7)実施例10と実施例20から見ると、同等条件下で、撚り係数が2.0の紡績糸は撚り係数が1.8の紡績糸と比べて、前者を用いて得られた生地の抗ピリング性や耐摩耗性とも後者より優れていて、剛軟度の数値が後者よりやや高く、即ち柔軟性が後者よりやや劣ることが分かった。
【0078】
(8)比較例1と実施例19から見ると、同等条件下で、弾性回復率40%のPET短繊維からなる紡績糸は弾性回復率55%のPET短繊維からなる生地と比べて、前者を用いて得られた生地の抗ピリング性はただ2級で、耐摩耗性も後者より劣ることが分かった。
【0079】
(9)比較例2と実施例12から見ると、同等条件下で、合成繊維(弾性回復率65%)含有量が35wt%の紡績糸は合成繊維(弾性回復率65%)含有量が45%wt%の紡績糸と比べて、前者を用いて得られた生地の抗ピリング性はただ2級で、耐摩耗性もただ2万回であることが分かった。
図1
【国際調査報告】