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特表2024-533027活性物質と溶媒から溶液を製造し、溶液を飲料調製機に供給するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】活性物質と溶媒から溶液を製造し、溶液を飲料調製機に供給するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/40 20060101AFI20240905BHJP
   A47J 31/60 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A47J31/40 104
A47J31/60
A47J31/40 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504497
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022085772
(87)【国際公開番号】W WO2023110972
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202021106869.8
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523198431
【氏名又は名称】エバシス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー、トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ベッセ、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ロシェール、グレゴワール
(72)【発明者】
【氏名】ロビル、セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンタン、デイビッド
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA18
4B104AA19
4B104BA06
4B104BA55
4B104DA02
4B104DA58
4B104EA17
4B104EA39
(57)【要約】
本発明は、活性物質と溶媒から溶液を製造し、溶液を飲料調製機(15)、特にコーヒーマシンに供給するための装置であって、活性物質(8)を受け入れるための溶解チャンバ(4)と、決定された量の活性物質(8)を溶解チャンバ(4)に供給するための供給装置(12)と、溶解チャンバ(4)に連結され、溶媒を供給するための溶媒ストア(20)に接続され得る溶媒ライン(1)と、溶解チャンバ(4)に接続され、飲料調製機(15)に接続され得る排出ライン(13)とを有する流体案内チャネル(1、13)とを備える装置に関する。溶液の体積全体で濃度分布が均一な状態で、溶媒中の活性物質の完全な溶解及び最適濃度を達成するために、装置は、溶解チャンバ(4)に導入することができる第1のピストン(6)と、第2のピストンと、第1のピストン(6)と第2のピストン(5)との間に配置された接続ライン(18)とを含むピストンユニット(5、6、18)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質(8)を受け入れるための溶解チャンバ(4)と、特定量の前記活性物質(8)を前記溶解チャンバ(4)内に供給するための供給手段(12)と、前記溶媒を供給するための溶媒供給源(20)に接続可能な溶媒ライン(1)及び前記溶解チャンバ(4)に接続され、飲料調製機(15)に接続可能な排出ライン(13)を有する液体ライン系(1、13)とを備え、活性物質と溶媒から溶液を製造し、前記溶液を前記飲料調製機(15)、特にコーヒーマシンに供給するための装置であって、前記溶解チャンバ(4)に挿入可能な第1のピストン(6)と、第2のピストン(5)と、前記第1のピストン(6)と前記第2のピストン(5)との間に配置された接続ライン(18)とを備えるピストンユニット(5、6、18)によって特徴付けられる、装置。
【請求項2】
前記第1のピストン(6)が、前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)から引き抜かれるベース位置(a)と、前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)内に位置する作動位置(b)との間で移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接続ライン(18)が、前記第2のピストン(5)の動きが前記第1のピストン(6)に伝達されるように、前記第1のピストン(6)と前記第2のピストン(5)とを接続する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のピストン(6)が、前チャンバ(3)内に移動可能に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記前チャンバ(3)が、前記溶解チャンバ(4)の上流側に配置され、前記接続ライン(18)を介して前記溶解チャンバ(4)と流体伝導的に連通していることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ピストンユニット(5、6、18)が、ばね要素(7)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ばね要素(7)が、前記第1のピストン(6)と前記第2のピストン(8)との間、特に前記接続ライン(18)の周りに配置されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ばね要素(7)が、前記前チャンバ(3)内の支持体(19)に支持され、前記支持体(19)と前記第2のピストン(5)との間に延在することを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記支持体(19)が、前記前チャンバ(3)の端部領域、特に前記前チャンバ(3)の底部に配置又は形成されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ばね要素(7)が、無負荷状態で前記第1のピストン(6)に予圧を加え、該予圧により、前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)から引き出されるベース位置(a)に、前記第1のピストン(6)が保持されることを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のピストン(6)が、前記溶媒ライン(1)を介して溶媒が供給されると、前記ばね要素(7)によって生成された付勢に抗して、ベース位置(a)から前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)内に位置する作動位置(b)に移動可能であることを特徴とする、請求項6から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記溶媒ライン(1)が、前記前チャンバ(3)の入口ノズルに接続されることを特徴とする、請求項4から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記前チャンバ(3)が、特に前記前チャンバ(3)の上端の領域に配置されたストッパ(21)を有し、前記第2のピストン(5)が無負荷ベース位置(a)で前記ストッパ(21)に当接することを特徴とする、請求項4から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記前チャンバ(3)が、前記溶解チャンバ(4)よりも大きな断面積、特により大きな直径を有することを特徴とする、請求項4から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第2のピストン(5)が、前記第1のピストン(6)よりも大きい断面積、特に、より大きい直径を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のピストン(6)及び前記第2のピストン(5)がそれぞれ、少なくとも1つのシール要素(17、17’)を含み、前記第1のピストン(6)の前記シール要素(17)が前記溶解チャンバ(4)の内壁に密封的に当接し、前記第2のピストン(5)の前記シール要素(17’)が前チャンバ(3)の内壁に密封的に当接することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記供給手段(12)が、前記溶解チャンバ(4)の上部領域又は上端に配置されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記供給手段(12)が、前記溶解チャンバ(4)の壁に開口部を備えることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のピストン(6)が、前記溶解チャンバ(4)への前記開口部からのアクセスが遮断される程度に、前記溶解チャンバ(4)内の作動位置(b)に位置する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記供給手段(12)が、前記活性物質を前記溶解チャンバ(4)内に投与する投与装置を備えることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記前チャンバ(3)が加圧ガスライン(2)に接続され、前記加圧ガスライン(2)が加圧ガス源(16)に連結することができ、好ましくは、上部部分内又は上部側面で前記前チャンバ(3)内又は前記溶媒ライン(1)内に開口することを特徴とする、請求項4から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
逆止弁(9)が前記圧縮ガスライン(2)に配置されることを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記溶解チャンバ(4)及び前記前チャンバ(3)が、垂直に延びる長手方向に延び、前記溶解チャンバ(4)及び前記前チャンバ(3)が、好ましくは中空円筒設計であることを特徴とする、請求項4から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
遮断弁(10)及び/又は制御弁、特に圧力制御弁、及び/又は減圧装置が、前記溶媒ライン(1)に配置されることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
遮断弁及び/又は制御弁(14)が、前記排出ライン(13)に配置されることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記活性物質が、液体、粉末、顆粒及び/又は錠剤として存在することを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記前チャンバ(3)が、好ましくは、特に40℃~100℃の温度を有する加熱溶媒を供給する溶媒供給源(20)に接続され、前記溶媒が特に水又はミルクであることを特徴とする、請求項4から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
ノズル(11)が前記接続ライン(18)に配置されることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか一項に記載の装置を備え、前記装置が、特に、高温飲料を抽出するための抽出装置及び/又はミルクを泡立てるための装置に連結される飲料調製機(15)、特にコーヒーマシン又は粉末飲料を調製するための機械。
【請求項30】
最初に特定量の活性物質(8)を計量して溶解チャンバ(4)に導入することにより、前記溶解チャンバ(4)内で活性物質と溶媒との溶液を製造し、次いで、前記溶媒を溶媒供給源(20)に接続可能な溶媒ライン(1)を介して前記溶解チャンバ(4)に供給することにより、前記活性物質(8)を前記溶媒に溶解させて活性物質溶液を形成し、次いで、前記溶解チャンバ(4)に接続された排出ライン(13)を介して前記活性物質溶液を飲料調製機(15)に供給し、飲料調製機(15)、特に請求項29に記載の飲料調製機に活性物質溶液を製造して供給する方法であって、前記活性物質が計量されて前記溶解チャンバ(4)に導入された後、第1のピストン(6)が、前記溶解チャンバ(4)内に導入され、導入された溶媒により生成された圧力によって前記溶解チャンバ(4)内に押し込まれることを特徴とする、方法。
【請求項31】
前記溶媒が、前記第1のピストン(6)を通って延びる接続ライン(18)によって前記溶解チャンバ(4)に導入されることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記溶解チャンバ(4)に供給される溶媒が、少なくとも40℃、好ましくは60℃を超える温度を有する、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のピストン(6)が前記接続ライン(18)を介して第2のピストン(5)に連結されることを特徴とする、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記溶解チャンバ(4)が前記前チャンバ(3)に流体連結され、前記溶媒ライン(1)が前記前チャンバ(3)に接続されて、前記溶媒を前記前チャンバ(3)内及び前記溶解チャンバ(4)内に導くことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項35】
前記第2のピストン(5)が前チャンバ(3)内に移動可能に配置される、請求項33又は34に記載のシステム。
【請求項36】
前記溶解チャンバ(4)が前記接続ライン(18)を介して前記前チャンバ(3)に流体的に連結され、前記溶媒ライン(1)が前記前チャンバ(3)に接続され、溶媒が前記溶媒ライン(1)を通って供給されるとき、前記第2のピストン(5)が、前記導入された溶媒によって生成された圧力によって前記前チャンバ(3)内に押し込まれることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記導入された溶媒によって生成された前記圧力が、最初に前記第2のピストン(5)に作用し、前記第2のピストン(5)によって前記第1のピストン(6)に伝達され、前記溶媒の圧力が作用する前記第2のピストン(5)の断面積が、好ましくは、前記接続ライン(18)を介して前記溶解チャンバ(4)に流入する前記溶媒によって生成された逆圧力が作用する前記第1のピストン(6)の断面積よりも大きいことを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記活性物質溶液の生成後、最初に溶媒の供給を停止し、次いで前記溶解チャンバ(4)に加圧ガスを導入することにより、前記活性物質溶液を前記溶解チャンバ(4)から前記排出ライン(13)に押し込むことを特徴とする、請求項30から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記活性物質溶液が前記排出ライン(13)に完全に移送されたときに前記溶解チャンバ(4)への前記加圧ガスの導入が停止され、前記加圧ガスの導入が終了した後、前記第2のピストン(6)が復元力により前記溶解チャンバ(4)からベース位置に自動的に移動することを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記活性物質がアクセス部を介して前記溶解チャンバ(4)に導入される供給手段(12)によって特徴付けられ、前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)の外側のベース位置にあるときに前記アクセス部が使用可能にされ、前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)の内側の作動位置にあるときに前記アクセス部が使用停止にされる、請求項30から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記溶解チャンバ(4)に供給される前記溶媒が、少なくとも3バール、好ましくは3バール~10バールの圧力を有することを特徴とする、請求項30から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
請求項30から41に記載の前記ステップが実行されるように、前記溶媒ライン(1)の弁(10)及び/又はそれに接続された溶媒供給源(20)を制御する制御装置と、前記決定された量の活性物質(8)を分配するための投与装置と、前記溶解チャンバ(4)内に加圧ガスを導入するための加圧ガス源(16)と、前記排出ライン(13)の弁(14)とによって特徴付けられる、請求項29に記載の飲料調製機(15)。
【請求項43】
前記制御装置が、特に前記飲料調製機(15)の動作に依存する所定のイベントの後、及び/又は所定の回数の後又は所定の回数で、特定量の前記活性物質溶液が前記飲料調製機(15)に自動的に供給され、特に、前記飲料製造用液体及び/又は前記飲料調製機(15)で製造された飲料と接触する前記飲料調製機(15)の前記構成要素を活性物質溶液と接触させ、及び/又は前記活性物質溶液が飲料の製造のために前記飲料調製機(15)に供給されるように設定又はプログラム可能である、請求項42に記載の飲料調製機(15)。
【請求項44】
前記排出ライン(13)を開閉するための遮断弁及び/又は制御弁(14)が前記排出ライン(13)に配置され、前記排出ライン(13)が少なくとも部分的に開いているとき溶媒が前記第1のチャンバ(4)を通過し、それによって前記活性物質(8)が溶解するか、又は混合されて前記活性物質溶液を形成し、前記活性物質溶液が前記排出ライン(13)を通って排出されることを特徴とする、請求項42又は43のいずれか一項に記載の飲料調製機(15)。
【請求項45】
前記排出ライン(13)を開閉するための遮断弁及び/又は制御弁(14)が前記排出ライン(13)に配置され、前記排出ライン(13)が閉じているとき、溶媒が前記第1のチャンバ(4)を通過し、それによって前記活性物質(8)が溶解するか、又は混合されて前記活性物質溶液を形成し、前記排出ライン(13)を開いた後、前記活性物質溶液が排出されることを特徴とする、請求項42から44のいずれか一項に記載の飲料調製機(15)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の、活性物質と溶媒から溶液を調製し、飲料調製機に溶液を供給するための装置、及び活性物質溶液を調製し、活性物質溶液を飲料調製機に供給するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半自動又は全自動コーヒーマシンなどの飲料調製機に組み込まれた洗浄装置は、飲料調製機を洗浄するための従来技術から知られている。洗浄装置は、例えば、コーヒーやミルクを運ぶコンポーネントのコーヒー及びミルクの残留物や不純物を洗浄し、及びこのようにして飲料調製機を常に完璧な衛生状態に保つために、運転中と飲料調製機のスイッチが切られた後の両方で、所定の洗浄サイクルで使用される。洗浄サイクルは、オペレータによって手動で、又は飲料調製機の制御系によって自動的に開始することができる。
【0003】
飲料調製機の自動洗浄のための洗浄装置は、従来技術から知られており、この洗浄装置では、中に洗浄剤が挿入されたカートリッジが使用される。このような洗浄装置は、例えば独国特許出願公開第102015108438号明細書から知られており、この洗浄装置では、洗浄剤で充填されたカートリッジが、液体、特に水をカートリッジに供給し、カートリッジに含まれる固形洗浄剤を溶解するために飲料調製機のホット飲料調製用の液体供給部に接続される。強力な洗浄剤はカートリッジ内に密封して保管されているため、飲料調製機のオペレータがこの洗浄剤に接触しないことが保証される。しかしながら、カートリッジを通過した水が固形洗浄剤を液体洗浄剤溶液に完全に変換させることができないため、カートリッジに供給される液体中でのカートリッジ内の洗浄剤の溶解は、不完全な場合が多い。このため、洗浄サイクルを完了するために必要な洗剤の量や、洗剤を液体に溶解して製造される洗剤溶液においてこの目的に必要な洗剤濃度を正確に計量することは困難である。更に、洗剤カートリッジ付きの洗浄装置には、廃棄物回避の観点から不利な点がある。というのも、通常、プラスチックハウジングを有するカートリッジは使い捨てを目的としているため、空になると廃棄しなければならないためである。
【0004】
水タンクと、加熱装置と、抽出ユニットと、水タンクから水ライン系を通して水を搬送するための供給ポンプを有する水ライン系とを有するコーヒーマシンを洗浄するための別の装置は、独国特許出願公開第102011054601号明細書から知られており、洗浄装置は、スケール除去剤及び/又は洗浄剤用のチャンバを備え、このチャンバは、水タンクからの水をコーヒーマシンの供給ポンプによってチャンバを通してコーヒーマシンの水ライン系に搬送することができるように、水ライン系に接続可能であるか又は接続されている。この洗浄装置は、スケール除去剤及び/又は洗浄剤の完全な溶解及び混合を可能にすることを意図しており、チャンバ内に位置する薬剤は、チャンバを通る水の導入及び輸送によって水溶液に溶解し、水溶液は、特に、抽出ユニット及び/又は加熱装置を洗浄剤溶液で洗浄するために、チャンバからコーヒーマシンの水ライン系に搬送される。しかしながら、この装置でも、洗浄工程に必要な洗浄剤の量や、洗浄剤溶液中の洗浄剤の濃度を正確に計量することは困難である。
【0005】
飲料調製機内で洗浄工程を実施するのに必要な特定量の洗浄剤を正確に計量するために、洗浄剤用の計量装置を備えた洗浄装置が従来技術から知られており、例えば粉末、顆粒、固体状の即ち錠剤の形態の固形洗浄剤が計量装置に供給される。例えば、欧州特許第1210894号明細書から、固形洗浄剤、特にプレス成形体の供給装置を備えた飲料機械、特にコーヒーマシンが知られており、この飲料機械には洗浄剤用の自動計量自己完結型計量装置が設けられている。投与装置は、固形洗浄剤用の貯蔵容器と、所定量の洗浄剤を貯蔵容器から投与口に搬送することができる可動投与チャンバを備えた投与ユニットとから構成される。
【0006】
自動飲料ディスペンサ、特にコーヒーマシン用の更なる洗浄系は、欧州特許第2584946号明細書から知られており、洗浄系は、飲料と接触する構成要素を洗浄液によって定期的に洗浄するための洗浄装置を含む。洗浄液を製造するために、特に球状又は錠剤の形態であり得る固形洗浄剤が洗浄装置内の洗浄液に溶解する。洗浄装置は、計量バリアが付いた制御計量装置を備え、この計量装置は、貯蔵容器に貯蔵された洗浄用ボール又は錠剤を計量開口部が付いた排出シュートに放出する。貯蔵容器と排出シュートとの間には、2つの逆回転計量スクリューが配置されており、これを介して洗浄用ボール又は錠剤を個別に排出シュート内に搬送することができる。
【0007】
固形洗浄剤の計量供給のための計量装置を備えた従来技術から知られている洗浄装置により、一方では、洗浄剤の簡単で安全な取扱いが可能になり、他方では、洗浄工程に必要な洗浄剤の量の正確な計量と、固形洗浄剤を溶解することによって製造される洗浄液中の洗浄剤の活性物質濃度の正確な計量とが可能になる。
【0008】
飲料調製機では、洗浄液の他に、溶媒中の活性物質の他のタイプの溶液、例えばスケール除去溶液、芳香物質や香料物質の溶液、水やミルクなどの液体溶媒中のミルク、砂糖又はチョコレート粉末などの粉末又は顆粒の溶液も必要とされる。したがって、活性物質と溶媒との溶液を調製し、その溶液を飲料調製機に供給するための装置であって、正確な活性物質濃度と飲料調製機への溶液の安全な供給と共に、溶媒中での活性物質の均一な混合又は完全な溶解を保証する装置が更に必要とされている。
【0009】
これに基づいて、活性物質及び溶媒から溶液を製造し、製造された溶液を飲料調製機に供給するための装置が必要とされており、この装置により、溶液の用量の体積全体で均一な濃度分布を有する溶液中の活性物質の最適濃度を製造するために、例えば、計量装置によって粉末又は錠剤の形態で供給される活性物質を溶媒に完全に溶解させることが可能になる。特に、溶液中の活性物質の完全な溶解又は均一な混合が達成されなければならない。更に、活性物質の消費は最小限に抑えられるべきである。本装置は、飲料調製機の制御装置によって全自動で制御可能であり、例えば、全自動で、洗浄サイクル又は製造サイクルに必要な量の活性物質を、洗浄サイクル又は製造サイクルに必要な用量の溶液中の最適な活性物質濃度で正確に投与し、飲料を製造するための事前にプログラムされた洗浄サイクル又は製造サイクルを実施できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015108438号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102011054601号明細書
【特許文献3】欧州特許第1210894号明細書
【特許文献4】欧州特許第2584946号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の根底にある目的は、活性物質と溶媒から溶液を製造し、その溶液を飲料調製機に供給するための装置を提供することであり、この装置により、異なる活性物質と溶媒から異なる溶液を製造し、飲料調製機に移送することができる。活性物質は、固体の形態、例えば粉末もしくは錠剤の形態、又は液体の形態で入手可能であるべきであり、溶液を製造するために液体の形態、特に水又はミルクの様々な溶媒を使用することが可能であるべきである。特に、溶液の体積全体で濃度分布が均一な状態で、完全な溶解及び溶媒中の活性物質の最適濃度が達成されなければならない。本装置は、例えば、それぞれの工程に必要な活性物質の正確な濃度や必要な溶液の量を用いて、洗浄工程やスケール除去工程、飲料調製工程など、予めプログラムされた工程を実施するために、飲料調製機の制御装置によって全自動で制御可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの課題は、活性物質と溶媒から溶液を調製し、請求項1の特徴を有する飲料調製機に溶液を供給するための装置、ならびに請求項30の特徴を有する飲料調製機に活性物質溶液を供給するための方法によって解決される。更に、本発明による装置を備えた飲料調製機は、問題の解決に寄与する。装置、装置を備えた飲料調製機、及び方法の好ましい実施形態は、従属請求項に見出すことができる。
【0013】
本発明による装置は、活性物質を受け入れるための溶解チャンバと、溶解チャンバに連結され、溶媒を供給するための溶媒供給源に接続可能な溶媒ラインと、溶解チャンバに接続され、飲料調製機に接続可能な排出ラインとを備える流体ライン系とを備え、ピストンユニットは、溶解チャンバに挿入可能な第1のピストンと、第2のピストンと、第1のピストンと第2のピストンとの間に配置された接続ラインとを備える。
【0014】
溶解チャンバ内にある活性物質溶液に所定量の活性物質を溶解させるために、溶媒ラインを介して、液体溶媒、特に水、ミルク又はアルコールが溶解チャンバ内に供給される。この点に関して、溶解チャンバ内に挿入可能な第1のピストンは、活性物質溶液中の活性物質の良好かつ均一な混合を可能にし、ピストンはまた、ピストンが作動位置で溶解チャンバ内に挿入されたときに、活性物質が供給される第1のチャンバへの活性物質アクセス部を閉じる。第1のピストンが溶解チャンバ内の作動位置にあるとき、溶媒を溶媒ラインを介して溶解チャンバに導入し、チャンバ内の活性物質溶液中の活性物質の量を溶解することができる。この目的のために、第1のピストンは、好ましくは、第1のピストンが溶解チャンバから引き出される上側ベース位置と、第1のピストンが溶解チャンバ内に位置する下側作動位置との間で、溶解チャンバ内に移動可能に配置される。これにより、一方では、活性物質溶液中の活性物質の完全な溶解と均一な混合、及び所定量の活性物質溶液中の活性物質の均一な濃度が可能になり、他方では、溶解チャンバに挿入されたピストンによってチャンバの活性物質アクセス部が閉じられるため、活性物質の溶解中又は混合中にそれ以上の活性物質がチャンバに入ることができないことが保証される。
【0015】
活性物質とは、例えば、洗浄剤もしくはスケール除去剤、又は砂糖、シロップもしくは他の濃縮物、ミルクもしくはチョコレート粉末、アロマや香料などの飲料、又はアルコールを含有する飲料の成分であり得る。
【0016】
本発明によれば、第1のピストンは、第1のピストンと、第2のピストンと、第1のピストンと第2のピストンとの間に配置され、2つのピストンを接続する接続ラインとを備えるピストンユニットの一部である。この場合、第2のピストンは、好ましくは、前チャンバ内に移動可能に配置され、この前チャンバは、溶媒ラインを介して供給される溶媒の流れ方向から見て溶解チャンバの上流側に配置され、接続ラインを介して流体伝導的な方法で溶解チャンバと接続される。接続ラインを介して、前チャンバ内の第2のピストンの動きが第1のピストンに伝達される。これにより、溶媒ラインは、好ましくは、前チャンバの入口接続部品に接続される。この配置により、溶媒ラインを介して溶媒が前チャンバに導入されると、接続ラインを介して接続された第1のピストン及び第2のピストンは、それぞれ溶解チャンバ及び前チャンバにおいて自動的に移動することが可能になる。導入された溶媒の圧力により、前チャンバ内の第2のピストンはベース位置から作動位置に、特に上から下へ移動し、それによって第1のピストンもその作動位置へ移動し、一方、溶媒は、接続ラインを通って前チャンバから溶解チャンバに流れ、溶解チャンバを溶媒で満たし、その中の活性物質の量を溶媒に溶解させるか、又は溶媒と混合して活性物質溶液を製造することができる。
【0017】
ピストンユニットに予圧を加えるために、ピストンユニットは、好ましくは、前チャンバ内の第2のピストンにベース位置で予圧を加えるばね要素を備える。溶媒が前チャンバに導入されると、ばね要素は、その復元力に抗して溶媒流の圧力によって圧縮され、その結果、第2のピストン及び第1のピストンはそれぞれの作動位置に移動する。ばね要素は、第1のピストンと第2のピストンとの間に、特に管状の接続ラインの周りに配置されることが好都合であり、ばね要素は、好ましくは、前チャンバ内の支持体に支持される。支持体は、好ましくは、前チャンバの端部領域、特に前チャンバの底部に配置され、ばね要素は、支持体と第2のピストンの端面、特に下端面との間に延在する。この配置により、ばね要素は、無負荷状態で第1及び第2のピストンに予圧を加え、第1及び第2のピストンをそれぞれのベース位置に保持し、第1のピストンはそのベース位置で溶解チャンバから引き出され、第2のピストンは前チャンバ内の(上)限の位置にあるベース位置にあり、その際、第2のピストンは前チャンバの(上側の)ストッパに当接する。
【0018】
溶媒が溶媒ラインを通って導入されるとき、第1のピストンの作動位置に安全かつ確実に移動するために、かつ溶媒の導入中に第1のピストンをこの作動位置に保持するために、前チャンバは、好ましくは溶解チャンバよりも大きい断面積、特に大きい直径を有し、これに対応して、第2のピストンも、好ましくは第1のピストンよりも大きい断面積、特に大きい直径を有する。第1のピストンの断面積が第2のピストンの断面積に比べて大きいため、溶解チャンバ内に導入された溶媒が、第1のピストン、特にその下端面に及ぼす反力は、溶媒流の圧力が第2のピストン、特にその上端面に及ぼす力よりも小さく、その結果、溶媒が溶媒ラインを介して導入される限り、第1及び第2のピストンはそれぞれ作動位置に保持される。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つの弁、特に遮断弁及び/又は制御弁、特に圧力制御弁及び/又は減圧装置が溶媒ラインに配置される。遮断弁の配置により、溶媒ラインの開閉が可能となり、それによって溶媒の装置内への導入と溶媒供給の停止が可能となる。溶媒ライン内に圧力調整弁及び/又は減圧装置を配置することにより、溶媒流の所定の圧力を設定することが可能になり、この圧力は、好ましくは3~10バールの範囲内である。
【0020】
第1のチャンバ及び前チャンバを密封するために、第1のピストン及び第2のピストンはそれぞれ少なくとも1つのシール要素を有することが好ましく、第1のピストンのシール要素は溶解チャンバの内壁に密封的に当接し、第2のピストンのシール要素は前チャンバの内壁に密封的に当接する。
【0021】
所定量の活性物質を供給するために、溶解チャンバは、少なくとも1つの活性物質アクセス部を有することが好ましく、活性物質アクセス部は、溶解チャンバの上部領域又は上端に好都合に配置される。活性物質アクセス部又は各活性物質アクセス部は、溶解チャンバの壁に開口部を備え、この開口部を通して、例えば錠剤もしくは球の形態で、又は顆粒、粉末もしくは液体として存在する活性物質を溶解チャンバに導入することができる。
【0022】
好ましくは、作動位置において、第1のピストンは、溶解チャンバへの活性物質アクセス部が遮断される程度に、溶解チャンバ内に位置する。これにより、溶解チャンバへの溶媒の導入中に、それ以上の活性物質が溶解チャンバへ導入されることはなく、それによって溶解チャンバ内の活性物質量の正確な計量及び活性物質溶液中の活性物質の精密な濃度が確保される。
【0023】
活性物質アクセス部は、活性物質アクセス部を通して溶解チャンバ内に所定量の活性物質を投与するために、ディスペンサ又は投与装置に好都合に連結される。ディスペンサ又は投与装置は、好ましくは、貯蔵容器に貯蔵された、例えば球又は錠剤の形態の固体活性物質を活性物質アクセス部に個別に供給することができるディスペンサである。このような投与装置は、例えば、欧州特許第2584946号明細書から知られている。これにより、活性物質アクセス部を介して溶解チャンバに導入される活性物質の量の正確な計量が確保される。例えば、予め定義可能な数の球状又は錠剤の活性物質を溶解チャンバに導入することが可能であり、その結果、球又は錠剤の数を介して溶解チャンバの利用可能な容積によって事前に決定された用量の活性物質溶液で、様々な濃度の活性物質を製造することができる。
【0024】
溶解チャンバ内で生成された活性物質溶液を飲料調製機の液体ライン系に接続された排出ラインに排出するために、装置は、圧縮ガス源に連結することができる圧縮ガスラインを備えることが好ましい。好ましくは、前チャンバは、この目的のために加圧ガスラインに接続され、加圧ガスラインは、上部部分内又は上部側面で前チャンバ内に好都合に開口する。代替的に、圧縮ガスラインも、溶媒ライン内に開くことができる。圧縮ガスラインを介して、溶媒供給が終了した後、好ましくは活性物質溶液中の活性物質の完全な溶解後に、圧縮ガス(加圧ガス)、例えば圧縮空気を装置内、特に、前チャンバ内、及び接続ラインを介して溶解チャンバ内に導入し、溶解チャンバ内で生成された活性物質溶液を、溶解チャンバに接続された排出ライン内に強制排出することができる。
【0025】
遮断弁及び/又は制御弁は、好ましくは、排出ラインを開閉するために、又は排出ラインに特定の流れ断面積を設定することを可能にするために、排出ラインに配置される。排出される活性物質溶液の体積流量及び/又は溶解チャンバ内の圧力は、排出ラインに配置された制御弁を介して調整することができる。
【0026】
装置は、排出ライン内の遮断弁又は制御弁の位置に応じて、連続モード又はバッチモードで運転することができる。連続運転では、溶媒が溶解チャンバを連続的に通過する間、排出ラインの停止弁又は制御弁は少なくとも部分的に開放されており、それにより溶解チャンバ内の活性物質は活性物質溶液に溶解し又は混合され、活性物質溶液は開放されている排出ラインを介して飲料調製機に直接かつ連続的に排出される。この場合、排出ラインに制御弁を使用すると、制御弁の位置によって排出ラインの流れ断面積を調整できるため有利である。排出ラインにおける流れ断面積を変化させることにより、活性物質溶液の体積流量及び活性物質溶液中の活性物質の濃度を調整することができる。接続ラインに配置されたノズルは、流出ラインの制御弁の位置にかかわらず、ピストンユニット、特に第1のピストンが所定の作動位置に確実に保持される。
【0027】
バッチ運転では、排出ラインの遮断弁又は制御弁が閉じられ、溶媒が溶媒ラインを介して所定の圧力で溶解チャンバに供給される。溶媒流の特定の圧力を設定するために、圧力制御弁及び/又は減圧装置を溶媒ラインに配置することが好ましい。装置のバッチ運転において、溶媒流の圧力を介して排出ラインを作動位置で閉じた状態で、溶解チャンバ内の第1のピストンの正確な位置を設定することができる。これにより、作動位置における第1のピストンの位置は、活性物質を溶解又は混合することによって活性物質溶液が生成される第1のチャンバ内での体積を決定する。したがって、作動位置における第1のピストンの位置は、飲料調製機で運転を行うために、本装置によって供給される活性物質溶液の投与量を決定する。活性物質溶液中で活性物質の溶解又は混合が完了した後、排出ラインの遮断弁又は制御弁を閉じることによって水の供給を停止し、排出ラインの弁が開いている間に、圧縮ガス、例えば圧縮空気を溶解チャンバ内に導入することによって、溶解チャンバ内にある用量の活性物質溶液を飲料調製機に供給する。飲料調製機に供給される活性物質溶液の体積流量は、排出ラインに配置された制御弁の位置によって調整することができる。
【0028】
飲料調製機における動作、例えば洗浄動作を制御するために、本装置は、好ましくは、飲料調製機の制御装置に連結され、所定の回数及び/又はイベントで、例えば飲料調製機がオン又はオフに切り替えられたとき、オペレータによる飲料選択後に、又は所定回数の飲料引き出し後に、動作、例えば洗浄動作もしくはスケール除去動作、又はオペレータによって選択された飲料の製造を自動的に開始する。これに関連して、様々なこのような工程を制御装置に設定又はプログラムすることもでき、各工程には、飲料調製機で工程を実行するのに必要な活性物質溶液の特定の投与量及び/又は濃度を割り当てることが好ましい。好ましくは、制御装置は、オペレータが自分の必要に応じて、又は飲料調製機によって製造された飲料に応じて、特定の動作及びサイクルを個別に設定できるようにプログラム可能である。
【0029】
装置を制御するために、溶媒ライン及び排出ラインに配置された弁は、制御装置に連結される。これは、溶媒ライン及び排出ラインを開閉できること、又は溶媒ライン内の溶媒流の特定の圧力及び/又は活性物質溶液の特定の体積流量を、飲料調製機に供給されるときに制御装置によって設定できることを意味する。更に、制御装置は、加圧ガスの供給を制御するために、加圧ガス供給源及び/又は加圧ガスライン内の弁にも連結されることが好ましい。活性物質入口がディスペンサ又は投与装置に連結されている場合、ディスペンサ又は投与装置も制御装置によって好都合に制御される。
【0030】
固体活性物質が溶解する温溶媒又は熱溶媒を溶解チャンバに供給することにより、特に迅速かつ完全に、活性物質溶液に固体活性物質を溶解させることができる。したがって、溶媒ラインは、特に40℃~100℃の温度を有する加熱溶媒を供給する溶媒供給源に連結されるのが好ましい。これにより、溶媒供給源は、飲料調製機のボイラー又は連続フローヒータに好都合に連結され、これは、例えば、飲料調製のための温水又はホットミルクを生成する。好ましい実施形態では、前チャンバは、溶媒ラインを介してボイラー又はフローヒータに接続され、少なくとも40℃の温度で加熱溶媒を供給する。溶媒供給源は、溶媒ラインを介してボイラー又はフローヒータに接続される。
【0031】
飲料調製機、特に本発明による装置を備えた飲料調製機に活性物質溶液を供給するための本発明による方法では、最初に活性物質と溶媒との溶液が溶解チャンバ内で調製され、即ち、特定量の活性物質が計量されて溶解チャンバに導入され、次いで溶媒が溶媒供給源に接続可能な溶媒ラインを介して溶解チャンバ内に供給され、その結果、活性物質が溶媒に溶解して活性物質溶液が形成され、次いで活性物質溶液が溶解チャンバに接続された排出ラインを介して飲料調製機に供給される。この方法では、本発明によれば、活性物質が計量されて溶解チャンバに導入された後、第1のピストンは、溶解チャンバ内に導入され、導入された溶媒によって生成された圧力によって溶解チャンバ内に押し込まれる。
【0032】
好ましくは、溶解チャンバに供給される溶媒は、少なくとも40℃、好ましくは60℃を超える、特に60℃~100℃の温度を有する。これにより、溶解チャンバ内での溶解工程の効率が向上する。更に、溶解チャンバに導入される溶媒は、好ましくは少なくとも3バール、好ましくは3バール~10バール、特に4バール~6バールの圧力を有する。導入された溶媒のこの圧力により、溶媒が所定の圧力で供給されている限り、第1のピストンは溶解チャンバ内に押し込まれ、その中で作動位置に保持される。
【0033】
この工程を実施するために、溶解チャンバは、好ましくは、前チャンバに流体的に連結され、溶媒を運ぶ溶媒ラインは、前チャンバに接続され、溶媒を前チャンバ内及び溶解チャンバ内に供給する。これにより、第1のピストンは、接続ラインを介して第2のピストンに接続され、第2のピストンは、前チャンバ内に移動可能に配置される。この場合、溶媒は、特定量の活性物質の計量後に溶解チャンバ内に導入され、第1のピストンは、溶解チャンバに導入され、溶媒供給中はその作動位置に保持される。これにより、入ってくる溶媒が最初に第2のピストンを前チャンバ内に押し込み、導入された溶媒によって生成された圧力が第2のピストンから第1のピストンに伝達され、溶解チャンバ内の第1のピストンをその作動位置に移動させる。これにより、第1のピストンがその作動位置に導入された後、溶媒は、第1のピストンと第2のピストンとを接続する接続ラインを通って第1のチャンバに流入する。特に管状である接続ラインは、好ましくは、溶解チャンバと前チャンバとの間の流体接続を確立するために、第1及び第2のピストンを通って延びる。
【0034】
溶媒が溶媒ラインを介して供給されると、第1のピストンは、導入された溶媒流によって生成された圧力によって溶解チャンバ内に押し込まれ、導入された溶媒によって生成された圧力は、最初に第2のピストン、特にその上端面に作用し、第2のピストンによって第1のピストンに伝達される。この場合、溶媒流の圧力が作用する第2のピストンの断面積は、好ましくは、第1のピストンの断面積よりも大きく、第1のピストンの断面積には、接続ラインを介して溶解チャンバに流入する溶媒によって生成される逆圧が作用する。
【0035】
溶解チャンバに供給された溶媒に活性物質を溶解又は混合して活性物質溶液を生成した後、最初に溶媒の供給を停止し、その後、圧縮ガス、特に圧縮空気を溶解チャンバに導入して活性物質溶液を溶解チャンバから排出ラインに押し込み、飲料調製機に供給する。連続運転では、溶媒がまだ供給されている間、溶解チャンバ内で生成された活性物質溶液を排出ラインに供給することもできる。
【0036】
活性物質溶液が排出ラインに完全に移送されるとすぐに、加圧ガスの溶解チャンバへの導入が停止され、第2のピストンは、ばね要素の復元力により、溶解チャンバからそのベース位置に自動的に移動する。
【0037】
第1のピストンが溶解チャンバ外のベース位置にあるとき、活性物質が溶解チャンバ内に導入される活性物質アクセス部は遮断されず、第1のピストンが溶解チャンバ内の作動位置にあるとき、活性物質アクセス部は遮断される。これにより、活性物質溶液の生成中に、活性物質が溶解チャンバに入り込むのを防ぐことができる。
【0038】
本方法は、好ましくは、活性物質溶液を調製し活性物質溶液を飲料調製機に供給するための上述のステップを実施するために、特に、溶媒ラインの弁及び/又はそれに接続された溶媒供給源を制御する制御装置、決定された量の活性物質を分配するためのディスペンサ又は投与装置、圧縮ガスを溶解チャンバ内に導入するための圧縮ガス源、及び排出ラインの弁によって自動的に制御される。
【0039】
これに関連して、制御装置は、好ましくは、飲料調製機の動作が、特に飲料調製機の動作に依存する所定のイベントの後に、及び/又は飲料調製機の通信インタフェースを介したオペレータの選択の後に、又は所定の回数で、自動的に実行されるように設定又はプログラム可能であり、動作に際して、製造された活性物質溶液は、例えば、飲料を製造するために、又は洗浄もしくはスケール除去動作を実行するために、飲料調製機で使用することができる。
【0040】
更に、本発明の目的は、飲料調製機、特にコーヒーマシンを提供することであり、この飲料調製機では、ホットミルクだけでなく、温ミルクフォーム又は冷ミルクフォームも、好ましくは、一体化されたミルクモジュールを介して調製することもでき、この飲料調製機は、本発明による装置を備える。好ましくは、本発明による装置は、飲料調製機に組み込まれるか、又は交換可能なモジュールとして挿入することができる。この場合、本装置は、生成された活性物質溶液を抽出装置及び/又はミルクモジュール、ならびに飲料及び飲料原料が輸送されるライン系のラインに供給することができるように、好都合には、ホット飲料を抽出するための抽出装置及び/又はミルクを加熱及び/又は発泡させるためのミルクモジュール、ならびにライン系に連結される。
【0041】
本発明のこれらの利点及び他の利点、用途ならびに特徴は、図面を参照して以下に説明される例示的な実施形態からもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ベース位置にある本発明による装置の第1の実施形態の概略図である。
図2】活性物質溶液の調製及び飲料調製機への移送のサイクルの開始時及び実行時の様々な位置における図1の装置の概略図である。
図2(a)】活性物質が供給される、ベース位置にある装置を示す。
図2(b)】溶媒が供給され、活性物質がそこに溶解して活性物質溶液が形成される、作動位置にある装置を示す。
図2(c)】活性物質溶液が排出される、作動位置にある装置を示す。
図2(d)】後続のサイクルのために活性物質を受け取る準備が整った、ベース位置にある装置を再び示す。
図3】ベース位置にある本発明による装置の第2の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示す装置は、内部で移動可能に配置された第1のピストン6を有する溶解チャンバ4と、内部で移動可能に配置された第2のピストン5を有する前チャンバ3とを備える。溶解チャンバ4及び前チャンバ3は、中空円筒設計であり、それぞれ円筒壁を有する。溶解チャンバ4は、開いた上端から下端まで垂直方向に延びており、下端は漏斗状で、溶解チャンバ4に接続された排出ライン13に開口している。第1のピストン6は、開いた上端を介して溶解チャンバ4内に挿入可能である。前チャンバ3は、溶解チャンバ4の上方に配置され、また上端と下端との間に延びており、下端は中央開口部が付いた底部を有する。前チャンバ3の上端には、溶媒ライン1が接続される入口ノズルが配置されている。溶媒ライン1は、本装置の液体ライン系の一部であり、溶媒ライン1及び排出ライン13を含む。溶媒ライン1は、溶媒、例えば水を供給する溶媒供給源20に接続される。溶媒は加熱されてもよく、好ましくは少なくとも40℃、特に60℃~100℃の範囲の温度を有する。溶媒を加熱することは、例えば、溶媒から洗浄剤溶液を製造する場合、より高温で効果が向上するため有利である。更に、溶解工程の効率は、これらの温度で改善される。遮断弁10は溶媒ライン1に配置され、溶媒ライン1を開閉する働きをする。遮断弁の代わりに、又は遮断弁に加えて、制御弁及び/又は減圧装置を溶媒ライン1に配置することもできる。
【0044】
前チャンバ3の上端の領域には、例えば、前チャンバ3の壁からチャンバ内に突出する環状フランジによって形成することができる、ストッパ21が配置される。前チャンバ3内に移動可能に配置された第2のピストン5は、ベース位置aと作動位置bとの間で前チャンバ3内を移動することができ、図1に示すベース位置aにある第2のピストン5の上側はストッパ21に当接し、図2bに示す作動位置bにある第2のピストン5の下側は前チャンバ3の底部に当接するか、又は少なくとも底部の近くに位置する。
【0045】
図1から分かるように、前チャンバ3は、溶解チャンバ4よりも大きな断面積、特に大きな直径を有する。したがって、第2のピストン5はまた、第1のピストン6よりも大きい断面積、特に大きい直径を有する。
【0046】
第1のピストン6及び第2のピストン5はそれぞれ、円筒形又はディスク形であり、接続ライン18を介して互いに接続されており、接続ライン18は、第1のピストン6及び第2のピストン5の両方を通って延び、前チャンバ3の底部の中央開口部を通過している。これにより、接続ライン18は、溶解チャンバ4と前チャンバ3との間の流体接続を提供する。ノズル11は、接続ライン18に配置されることが好ましい。
【0047】
ばね要素7は、前チャンバ3内に配置されており、例えば渦巻きばねであり、第2のピストン5の下面と前チャンバ3の底部との間に延びる。ばね要素7は、図1に見られるように、特に接続ライン18の周りに配置される。前チャンバ3の底部は、ばね要素7を支持する支持体19を形成する。前チャンバ3内の第2のピストン5は、ばね要素7によってその(上側の)ベース位置aで予圧が加えられている。したがって、接続ライン18を介して第2のピストン5に接続されている第1のピストン6も、第1のピストン6が溶解チャンバ4から引き出される(上側の)ベース位置aにある。
【0048】
第1のピストン6及び第2のピストン5はそれぞれ、その外周に少なくとも1つの円周シールリング17、17’を有し、第2のピストン5が前チャンバ3内でその(上側の)ベース位置aからその(下側の)作動位置bに移動し、第1のピストン6が同時に溶解チャンバ4内に移動するとき、第1のピストン6のシールリング17は溶解チャンバ4の壁の内側に当接し、第2のピストン5のシールリング17’は前チャンバ3の壁の内側に当接する。
【0049】
第1のピストン6及び第2のピストン5、ならびに接続ライン18及びばね要素7は、ばね要素7によってベース位置aで予圧が加えられており、外力を加えることによってベース位置aから作動位置bに移動可能なピストンユニットを形成する。
【0050】
溶解チャンバ4の上端の領域には、活性物質アクセス部12が配置されている。活性物質アクセス部12は、溶解チャンバ4の壁面に設けられた側方開口部(ここでは図示せず)を含み、これを通して、例えば錠剤やボール状の形態の活性物質8を溶解チャンバ4に導入することができる。所定量の活性物質8を溶解チャンバ4内に投与するために、活性物質アクセス部12は、活性物質8を活性物質アクセス部12を通して溶解チャンバ4内に投与するディスペンサ又は投与装置に接続される。好ましくは、活性物質8は、錠剤又は球状の形態であり、ディスペンサ又は投与装置によって溶解チャンバ4に個別に投与される。図1に溶解チャンバ4の漏斗状下端に位置する2つの球状の活性物質8によって示されるように、複数の錠剤又は球状の活性物質8を活性物質アクセス部12を介して溶解チャンバ4に導入することもできる。しかしながら、活性物質は、粉末、顆粒又は液体の形態であり得る。
【0051】
上端の領域では、圧縮ガスライン2が前チャンバ3に開口している。圧縮ガスライン2は、逆止弁9を含み、逆止弁9の上流で、圧縮ガス、例えば圧縮空気を供給する圧縮ガス源16に接続される。圧縮空気の代わりに、他の食品グレードのガスを圧縮ガス源16によって加圧して供給することもできる。この目的のために、圧縮空気の代わりに、例えば圧縮窒素ガス又は圧縮二酸化炭素を考慮してもよい。圧縮ガス源16は、例えば、周囲空気を引き込み、それを所定の圧力に圧縮するコンプレッサーによって形成することができる。
【0052】
前チャンバ4の下端に接続された排出ライン13は、飲料調製機15に連結され、特に、装置内で生成された活性物質溶液を飲料調製機15の液体ライン系に導くために、飲料調製機15の液体ライン系に接続される。排出ライン13には、排出ライン13を開閉するための少なくとも1つの弁が配置されている。好ましくは、排出ライン13は、調整可能な流れ断面積を有する制御弁14を含む。
【0053】
図1に示す装置は、飲料調製機15のハウジング内に好都合に配置される。好ましくは、装置は飲料調製機15のハウジング内に交換可能なモジュールとして挿入される。したがって、溶媒供給源20及び圧縮ガス源16は、好ましくは、飲料調製機15の構成要素であり、一方では、飲料調製機における飲料の製造、例えば、温水又は加熱ミルクの供給のため、及び圧縮ガス、特に圧縮空気の供給のために使用することができ、他方では、溶媒ライン1を介して溶媒を装置に供給し、圧縮ガスライン2を介して圧縮ガスを装置に供給することができる。これにより、溶媒供給源20は、特に、加熱水を供給する飲料調製機15のボイラー又は連続フローヒータによって形成することができる。
【0054】
本装置を制御するための制御装置が設けられており、この制御装置は、特に、溶媒ライン1及び排出ライン13の弁10及び14、ならびに圧縮ガス源16から圧縮ガスライン2を介した圧縮ガスの供給、活性物質アクセス部12を介した溶解チャンバ4への活性物質8の導入を制御する。これにより、この制御装置は、好都合には、飲料調製機15の制御装置の構成要素とすることができ、この制御装置は、特に飲料調製機15における飲料の製造に依存し、例えば通信インタフェースを介してオペレータによって選択され得る一定の回数もしくはイベントの後又はそのときに、飲料調製機15において、飲料調製機15が本装置において製造された活性物質溶液を必要とする工程が開始されるように設定される。
【0055】
図2では、図1の装置を用いて実行することができる、活性物質と溶媒から溶液を製造するサイクルの個々の段階が装置の異なる位置によって示されており、図2に示す段階は、連続運転又はバッチ運転において本装置内で活性物質溶液を製造して飲料調製機に渡すために、当該サイクル内で連続して実行される。
【0056】
図2aでは、装置は、図1の表示に対応するベース位置aに示されている。活性物質と溶媒から溶液を製造するためのサイクルを開始するために、圧縮ガス源16を遮断するか圧縮ガスライン2を閉じ、弁10及び14を閉じた状態で、最初に所定量の活性物質8、例えば、一定数の錠剤又はビーズ状の活性物質を、活性物質アクセス部12を介して溶解チャンバ4に添加する。次に、図2bに示すように、溶媒ライン1の弁10を開く。更に、排出ライン13内の制御弁14は、少なくとも部分的に開放され、特に所定の流れ断面積に設定される。その結果、温溶媒、例えば40℃~80℃の温度を有する水が、好ましくは3バールを超え、特に3バール~10バールである溶媒流の所定の圧力を有する水が、好ましくは溶媒ライン1から前チャンバ3の上側のエリアに流入する。これにより、必要に応じて、溶媒ライン1内の圧力調整弁又は減圧装置によって、溶媒流の圧力を特定の値に設定することができる。溶媒流の圧力が第2のピストン5の上端面に作用する結果、前チャンバ3内の第2のピストン5は、図2aに示すベース位置aから、前チャンバ3内の第2のピストン5が底部付近に位置する図2bに示す作動位置bに移動する。第2のピストン5は接続ライン18を介して第1のピストン6に連結されているので、これにより、第1のピストン6も、第1のピストン6が溶解チャンバ4から引き出された図2aに示すベース位置aから、第1のピストン6が溶解チャンバ4内に一定の高さで位置する図2bに示す作動位置bに移動する。これにより、第1のピストン6は、図2bに示すように、溶解チャンバ4内に位置するボール状の活性物質8の上方に配置される。図2bに示す作動位置bへの第1のピストン6の移動により、活性物質アクセス部12、特に溶解チャンバ4の壁の開口部が閉じられ、それにより、第1のピストン6の下方のエリアでは、もはや活性物質が溶解チャンバ4に入ることができなくなる。
【0057】
溶媒ライン1を介して前チャンバ3に流入した溶媒は、接続ライン18のノズル11を通って、接続ライン18を介して前チャンバ3と流体伝導的な方法で接続されている溶解チャンバ4に流入する。第1のピストン6の断面積は第2のピストン5の断面積と比べて大きいため、溶解チャンバ4に導入された溶媒によって第1のピストン6に加えられる反力は、溶媒流の圧力によって第2のピストン5に加えられる力よりも小さく、その結果、加圧された溶媒が溶媒ライン1を介して導入される限り、第1のピストン6と第2のピストン5はそれぞれ作動位置bに保持される。これにより、ノズル11は、ピストンユニットをその作動位置bに維持するために、ノズル11の上流で十分に高い圧力を確保する。
【0058】
第1のピストン6の下方のエリアで溶解チャンバ4に溶媒が流入する結果、溶解チャンバ4内に位置するボール状の活性物質8が溶媒に溶解し、活性物質溶液が形成される。活性物質溶液中の活性物質8の濃度は、溶解チャンバ4内の活性物質の量と、そこを流れる溶媒の体積流量によって決まり、体積流量は排出ライン13の設定された流れ断面積に依存する。
【0059】
活性物質アクセス部12が閉じられて、活性物質8の溶解中に溶解チャンバ4内の活性物質溶液に、更に活性物質が添加され得ないことが保証される。
【0060】
したがって、排出ライン13の所与の流れ断面積及び溶解チャンバ4内の活性物質8の所与の量に対して、活性物質溶液中で所与の活性物質濃度が確立され、活性物質溶液は排出ライン13に連続的に流入し、それによって飲料調製機15に、特に飲料調製機15の液体ライン系に搬送される。
【0061】
溶解チャンバ4に導入された溶媒流の温度及び圧力は、活性物質溶液中の活性物質8の完全な溶解と均一な混合を確実にする。飲料調製機で行われるオペレーションのために十分な量の活性物質溶液を移送した後、溶媒ライン1の弁10を閉じ、それによって溶媒供給を停止する。次に、-図2cに示すように-圧縮ガス、特に圧縮空気が圧縮ガスライン2を介して前チャンバ3の上部領域に導入されるが、圧縮ガスの圧力は、好ましくは1バールを超え、特に1.5バール~3バールである。前チャンバ3から接続ライン18を介して溶解チャンバ4に流入する導入圧縮ガスの圧力により、溶解チャンバ4内にまだ残留する活性物質溶液の残量が排出ライン13に押し出される。
【0062】
なお、上述した連続運転の代わりに、本装置をバッチモードで運転することも可能であり、最初に一定の濃度の活性物質を含む一定の用量の活性物質溶液を溶解チャンバ内で生成し、次いで、排出ライン13を介して飲料調製機15に供給する。このバッチ運転では、生成された活性物質溶液の用量の体積は、第1のチャンバ4内の第1のピストン6の作動位置bによって決定されるが、これは、この位置によって、活性物質8がある第1のピストン6の下方の溶解チャンバ4の体積が決定されるためである。これにより、溶解チャンバ4内の第1のピストン6のその作動位置は、排出ライン13が閉じているときに溶媒ライン1を介して導入される溶媒流の圧力によって調整することができる。このため、溶解チャンバ4内の活性物質溶液の用量の体積は、溶媒流の圧力によって変化し得る。したがって、活性物質8が溶媒に溶解するか又は混合されると、形成された活性物質溶液中の活性物質8は一定の濃度になるが、この濃度は、溶解チャンバ4内の所定量の活性物質8と、第1のピストン6の下方の溶解チャンバ4の容積とによって決定される。
【0063】
活性物質8を溶解チャンバ4内にある溶媒の用量に溶解させ混合した後、生成された活性物質溶液の用量は、溶媒ライン1の弁10が閉じられた状態で、排出ライン13、特に弁14を開き、圧縮ガスライン2によって圧縮ガスを溶解チャンバ4に導入することによって、排出ライン13を介して飲料調製機15に供給される。この場合、活性物質溶液の投与量には、一定の濃度の活性物質が含まれており、この濃度は、溶解チャンバ4に供給する活性物質8の量と、活性物質溶液の調製時の溶媒流の圧力とによって調整することができる。有利には、排出ライン13に配置された制御弁14により、活性物質溶液が排出されるときに、溶解チャンバ4から排出ライン13への活性物質溶液の比体積流量の設定が可能になる。
【0064】
本装置の連続運転又はバッチ運転において、溶解チャンバ4から飲料調製機15の液体ライン系に活性物質溶液を移送した後、弁10を閉じた状態で加圧ガスライン2を介した加圧ガスの供給を停止することによって(加圧ガス源16のスイッチを切ることによって、又は弁で加圧ガスライン2を閉じることによって)サイクルを終了し、本装置をベース位置aに戻す。これにより、第1のピストン6、第2のピストン5、及び接続ライン18を備えるピストンユニットは、図2dに示すそのベース位置aに戻る。この工程では、ピストンユニットは、ばね要素7の復元力によって自動的にベース位置aに移動し、第2のピストン5は、前チャンバ3のストッパ21に当接し、第1のピストン6は、図2dに示すように、少なくとも第1のピストン6が活性物質アクセス部12の上方、特に溶解チャンバ4の壁面の開口部の上方に位置する程度に、溶解チャンバ4から引き出される。装置のこのベース位置aでは、溶解チャンバ4は、所定量の活性物質8、特に所定数のボール状又は錠剤の活性物質8を受け入れるために再度利用可能であり、本装置を後続のサイクルに使用することができる。
【0065】
図3は、ベース位置にある本発明による装置の第2の実施形態を示す図である。この実施形態は、圧縮ガスライン2の配置を除いて、図1の装置に対応しており、図3の実施形態では、圧縮ガスライン2は前チャンバ3内に開口しておらず、溶媒ライン1内に開口している。この場合、圧縮ガスが溶媒供給源20の方向に圧縮ガスライン2から流出するのを防止するために、更なる逆止弁9’が溶媒ライン1に配置される。この実施形態では、活性物質が活性物質溶液に完全に溶解し、又は混合された後、溶媒ライン1の弁10が開いているときに溶解チャンバ4内にある活性物質溶液を排出ライン13に圧入するために、加圧ガス源16からの加圧ガスは、加圧ガスライン2を介して溶媒ライン1に導かれる。図3の実施形態は、前チャンバ3の構造がより単純であることによって、図1の実施形態と区別される。
【0066】
本発明による装置は、特に溶媒ライン1を介して供給される溶媒の圧力と温度により、溶媒中での活性物質の迅速かつ完全な溶解と均一な混合を可能にする。更に、事前定義可能な量の活性物質8の正確な投与も活性物質溶液中の活性物質の一定の濃度の維持も保証され、それにより、特に、溶媒ライン1を通って供給される溶媒流の圧力を介して正確な活性物質濃度を制御することができる。この点で、本装置は、単純でコンパクトな設計であり、装置をベース位置aから作動位置bに移動させたり、戻したりするためのモータ制御を必要としない。本装置に関して説明した本発明の特徴及び利点は、本方法にも関連し、逆もまた同様である。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質(8)を受け入れるための溶解チャンバ(4)と、特定量の前記活性物質(8)を前記溶解チャンバ(4)内に供給するための供給手段(12)と、前記溶媒を供給するための溶媒供給源(20)に接続可能な溶媒ライン(1)及び前記溶解チャンバ(4)に接続され、飲料調製機(15)に接続可能な排出ライン(13)を有する液体ライン系(1、13)とを備え、活性物質と溶媒から溶液を製造し、前記溶液を前記飲料調製機(15)に供給するための装置であって、前記溶解チャンバ(4)に挿入可能な第1のピストン(6)と、第2のピストン(5)と、前記第1のピストン(6)と前記第2のピストン(5)との間に配置された接続ライン(18)とを備えるピストンユニット(5、6、18)によって特徴付けられる、装置。
【請求項2】
前記第1のピストン(6)が、前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)から引き抜かれるベース位置(a)と、前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)内に位置する作動位置(b)との間で移動可能であり、
前記接続ライン(18)が、前記第2のピストン(5)の動きが前記第1のピストン(6)に伝達されるように、前記第1のピストン(6)と前記第2のピストン(5)とを接続する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のピストン(6)が、前チャンバ(3)内に移動可能に配置され、前記前チャンバ(3)が、前記溶解チャンバ(4)の上流側に配置され、前記接続ライン(18)を介して前記溶解チャンバ(4)と流体伝導的に連通していることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記ピストンユニット(5、6、18)が、ばね要素(7)を備え、前記ばね要素(7)が、前記第1のピストン(6)と前記第2のピストン(8)との間、特に前記接続ライン(18)の周りに配置されることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記ばね要素(7)が、前記前チャンバ(3)内の支持体(19)に支持され、前記支持体(19)と前記第2のピストン(5)との間に延在し、前記支持体(19)が、前記前チャンバ(3)の底部に配置又は形成されることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記ばね要素(7)が、無負荷状態で前記第1のピストン(6)に予圧を加え、該予圧により、前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)から引き出されるベース位置(a)に、前記第1のピストン(6)が保持され、これにより、前記第1のピストン(6)が、前記溶媒ライン(1)を介して溶媒が供給されると、前記ばね要素(7)によって生成された付勢に抗して、前記ベース位置(a)から前記第1のピストン(6)が前記溶解チャンバ(4)内に位置する作動位置(b)に移動可能であることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記前チャンバ(3)が、前記前チャンバ(3)の上端の領域に配置されたストッパ(21)を有し、前記第2のピストン(5)が無負荷ベース位置(a)で前記ストッパ(21)に当接することを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記前チャンバ(3)が、前記溶解チャンバ(4)よりも大きな断面直径を有する、及び/又は、前記第2のピストン(5)が、前記第1のピストン(6)よりも大きい断面直径を有することを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のピストン(6)及び前記第2のピストン(5)がそれぞれ、少なくとも1つのシール要素(17、17’)を含み、前記第1のピストン(6)の前記シール要素(17)が前記溶解チャンバ(4)の内壁に当接し、前記第2のピストン(5)の前記シール要素(17’)が前チャンバ(3)の内壁に当接することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記供給手段(12)が、前記溶解チャンバ(4)の上部領域又は上端に配置され、前記供給手段(12)が、前記溶解チャンバ(4)の壁に開口部を備え、前記供給手段(12)が、前記活性物質を前記溶解チャンバ(4)内に投与する投与装置を備えることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のピストン(6)が、前記溶解チャンバ(4)への前記開口部からのアクセスが遮断される程度に、前記溶解チャンバ(4)内の作動位置(b)に位置する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記前チャンバ(3)が加圧ガスライン(2)に接続され、前記加圧ガスライン(2)が加圧ガス源(16)に連結することができ、前記前チャンバ(3)内又は前記溶媒ライン(1)内に開口することを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項13】
前記溶解チャンバ(4)及び前記前チャンバ(3)が、垂直に延びる長手方向に延びることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項14】
遮断弁(10)及び/又は制御弁、及び/又は減圧装置が、前記溶媒ライン(1)に配置され、遮断弁及び/又は制御弁(14)が、前記排出ライン(13)に配置されることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項15】
前記前チャンバ(3)が、40℃~100℃の温度を有する溶媒を供給する溶媒供給源(20)に接続されることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の装置を備え、前記装置が、高温飲料を抽出するための抽出装置及び/又はミルクを泡立てるための装置に連結される飲料調製機(15)。
【請求項17】
最初に特定量の活性物質(8)を計量して溶解チャンバ(4)に導入することにより、前記溶解チャンバ(4)内で活性物質と溶媒との溶液を製造し、次いで、前記溶媒を溶媒供給源(20)に接続可能な溶媒ライン(1)を介して前記溶解チャンバ(4)に供給することにより、前記活性物質(8)を前記溶媒に溶解させて活性物質溶液を形成し、次いで、前記溶解チャンバ(4)に接続された排出ライン(13)を介して前記活性物質溶液を飲料調製機(15)に供給し、飲料調製機(15)に活性物質溶液を製造して供給する方法であって、前記活性物質が計量されて前記溶解チャンバ(4)に導入された後、第1のピストン(6)が、前記溶解チャンバ(4)内に導入され、導入された溶媒により生成された圧力によって前記溶解チャンバ(4)内に押し込まれることを特徴とする、方法。
【請求項18】
前記溶媒が、前記第1のピストン(6)を通って延びる接続ライン(18)によって前記溶解チャンバ(4)に導入されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のピストン(6)が前記接続ライン(18)を介して第2のピストン(5)に連結され、前記第2のピストン(5)が前チャンバ(3)内に移動可能に配置され、前記前チャンバ(3)が前記溶解チャンバ(4)に流体連結され、前記溶媒ライン(1)が前記前チャンバ(3)に接続されて、前記溶媒を前記前チャンバ(3)内及び前記溶解チャンバ(4)内に導くことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記導入された溶媒によって生成された前記圧力が、最初に前記第2のピストン(5)に作用し、前記第2のピストン(5)によって前記第1のピストン(6)に伝達され、前記活性物質溶液の生成後、最初に溶媒の供給を停止し、次いで前記溶解チャンバ(4)に加圧ガスを導入することにより、前記活性物質溶液を前記溶解チャンバ(4)から前記排出ライン(13)に押し込むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】