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特表2024-533044拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT
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  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図1
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図2A
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図2B
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図3
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図4
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図5
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図6
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図7
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図8
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図9
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図10
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図11
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図12
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図13
  • 特表-拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作を用いた制限付きTWT
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/06 20090101AFI20240905BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240905BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240905BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240905BHJP
   H04W 88/10 20090101ALI20240905BHJP
【FI】
H04W88/06
H04W84/12
H04W72/0457 110
H04W72/0446
H04W88/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508738
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 KR2022014140
(87)【国際公開番号】W WO2023048472
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/248,379
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/329,725
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/332,588
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/398,479
(32)【優先日】2022-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/933,279
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ルバイェト・シャフィン
(72)【発明者】
【氏名】ルーング・ボーン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルダン・ヴィシュヌ・ラトナム
(72)【発明者】
【氏名】アテフ・イブラヒム・アハメド・イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】ペシャル・ナヤク
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA14
5K067AA23
5K067CC04
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
ワイヤレスローカルエリアネットワークにおける拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作とターゲットウェイク時間(TWT)動作の共存を容易にするための方法および装置。非アクセスポイント(AP)MLDが、AP MLDの対応するAPとのリンクを形成するトランシーバと、プロセッサとを各々備えるSTAを備える。制限付きTWT(R-TWT)スケジュールが、第1のリンクで確立され、そのリンク上の第1のSTAは、そのリンク上のR-TWTサービス期間(SP)のメンバーである。第2のリンク上の第2のSTAは、第1のリンク上のR-TWT SPと重なる、そのリンクでのいずれのR-TWT SPのメンバーでもない。プロセッサは、非AP MLDをEMLSR動作に遷移させ、第1のリンクおよび第2のリンクは、EMLSRリンクペアを形成し、送信機会(TXOP)が第2のリンク上で始まったと決定し、TXOP中の第2のリンク上のAP MLDとのフレーム交換シーケンスが、第1のリンク上のR-TWT SPと重ならないように、STA間で協調する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アクセスポイント(AP)マルチリンクデバイス(MLD)であって、
AP MLDの対応するAPとのリンクを形成するように構成されたトランシーバを各々備える、ステーション(STA)であって、
制限付きターゲットウェイク時間(R-TWT)スケジュールは、前記リンクのうちの第1のリンクでの通信のために、前記第1のリンクで動作する前記STAのうちの第1のSTAが、前記第1のリンク上のR-TWTサービス期間(SP)のメンバーであるように確立され、
前記リンクのうちの第2のリンクで動作する前記STAのうちの第2のSTAは、前記第1のリンク上の前記R-TWT SPと時間的に重なる、前記第2のリンク上の他のいずれのR-TWT SPのメンバーでもない、STAと、
前記STAに動作可能に結合されたプロセッサであって、
前記非AP MLDを、前記第1のリンクおよび前記第2のリンクがEMLSRリンクペアを成す拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作モードに遷移させることと、
送信機会(TXOP)が前記第2のリンク上で始まったと決定することと、
前記TXOP中の前記第2のリンク上の前記AP MLDとのフレーム交換シーケンスが、前記第1のリンク上の前記R-TWT SPと時間的に重ならないように、前記STA間で協調することと
を行うように構成されたプロセッサと
を備える、非AP MLD。
【請求項2】
前記第2のSTAは、前記第2のリンクでのTXOPホルダーとして前記第2のリンク上で動作し、
前記プロセッサは、前記R-TWT SPが前記第1のリンク上で始まる前に、前記第2のSTAが前記第2のリンク上で前記TXOPを終了するように、前記STA間で協調するようにさらに構成される、
請求項1に記載の非AP MLD。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2のリンク上での前記TXOPが終了されたことに基づいて、前記第1のリンクに対してEMLSR初期制御フレーム交換が実施されることなく、前記第1のリンク上での前記R-TWT SP中に第2のフレーム交換シーケンスを始めるようにさらに構成される、請求項1または請求項2に記載の非AP MLD。
【請求項4】
前記R-TWTスケジュールのために前記第1のリンクにマップされるトラフィック識別子(TID)のセットが、前記第2のリンクにもマップされるとの決定に基づいて、前記プロセッサはさらに、
前記R-TWT SP中、前記第1のリンクがTWTドーズ状態にとどまることを可能にすることと、
前記トランシーバの少なくとも1つが、前記フレーム交換シーケンスの一部として前記第2のリンクで前記AP MLDに、前記TIDのセットに対応するトラフィックを送信することを可能にすることと
を行うようにさらに構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項5】
前記EMLSR動作モードへの前記遷移後に、前記プロセッサは、
前記第1のリンクが前記R-TWT SPにあることに基づいて、前記第1のリンクをEMLSRリスニングモードに遷移させることと、
前記R-TWT SPが終了した後、前記第1のリンクがTWTドーズ状態に入ることを可能にすることと、
前記残りのリンクを前記EMLSRリスニングモードに遷移させることと
を行うようにさらに構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記リンクのサブセット上で前記AP MLDとのEMLSR動作を実行するように構成され、
前記R-TWTスケジュールが前記第1のリンク上で確立されることに基づいて、前記第1のリンクは前記サブセットに含まれない、
請求項1から5のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項7】
前記第2のSTAは、前記第2のリンクでのTXOPホルダーとして前記第2のリンクで動作し、
前記プロセッサは、遅くとも前記R-TWT SPが前記第1のリンク上で始まるしきい値時間量前までに、前記第2のSTAが前記第2のリンクでの前記TXOPを終了するように、前記STA間で協調するようにさらに構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項8】
前記しきい値量は、前記EMLSRリンクペアに対して指定されるように、基本的マルチリンク要素のEMLSR遷移遅延サブフィールドで示されるEMLSR遷移遅延値に等しい、請求項1から7のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項9】
アクセスポイント(AP)マルチリンクデバイス(MLD)であって、
非AP MLDの対応するステーション(STA)とのリンクを形成するように構成されたトランシーバを各々備えるAPであって、
制限付きターゲットウェイク時間(R-TWT)スケジュールは、前記リンクのうちの第1のリンクでの通信のために、前記第1のリンクで動作する前記STAのうちの第1のSTAが、前記第1のリンク上のR-TWTサービス期間(SP)のメンバーであるように確立され、
前記リンクのうちの第2のリンクで動作する前記STAのうちの第2のSTAは、前記第1のリンク上の前記R-TWT SPと時間的に重なる、前記第2のリンク上の他のいずれのR-TWT SPのメンバーでもない、APと、
前記APに動作可能に結合されたプロセッサであって、
前記非AP MLDが、前記第1のリンクおよび前記第2のリンクがEMLSRリンクペアを形成する拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)動作モードに遷移しようとすることを決定することと、
送信機会(TXOP)が前記第2のリンク上で始まったと決定することと、
前記TXOP中の前記第2のリンクでの前記非AP MLDとのフレーム交換シーケンスが、前記第1のリンク上の前記R-TWT SPと時間的に重ならないように、前記AP間で協調することと
を行うように構成されたプロセッサと
を備える、AP MLD。
【請求項10】
前記第2のAPは、前記第2のリンクでのTXOPホルダーとして前記第2のリンク上で動作し、
前記プロセッサは、前記R-TWT SPが前記第1のリンク上で始まる前に、前記第2のAPが前記第2のリンク上で前記TXOPを終了するように、前記AP間で協調するようにさらに構成される、
請求項9に記載のAP MLD。
【請求項11】
前記R-TWTスケジュールのために前記第1のリンクにマップされるトラフィック識別子(TID)のセットが前記第2のリンクにもマップされるとの決定に基づいて、前記プロセッサは、
前記R-TWT SP中、前記第1のリンクがTWTドーズ状態にとどまることを可能にすることと、
前記トランシーバの少なくとも1つが、前記フレーム交換シーケンスの一部として前記第2のリンクで前記非AP MLDに、前記TIDのセットに対応するトラフィックを送信することを可能にすることと
を行うようにさらに構成される、請求項9または請求項10に記載のAP MLD。
【請求項12】
前記非AP MLDの前記EMLSR動作モードへの前記遷移後に、
前記第1のリンクが前記R-TWT SPにあることに基づいて、前記第1のリンクは、EMLSRリスニングモードに遷移し、
前記R-TWT SPが終了した後、前記第1のリンクは、TWTドーズ状態に入ることを可能にされ、
前記残りのリンクは、前記EMLSRリスニングモードに遷移する、
請求項9から11のいずれか一項に記載のAP MLD。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記リンクのサブセット上で前記非AP MLDとのEMLSR動作を実行するように構成され、
前記R-TWTスケジュールが前記第1のリンク上で確立されることに基づいて、前記第1のリンクは前記サブセットに含まれない、
請求項9から12のいずれか一項に記載のAP MLD。
【請求項14】
前記第2のAPは、前記第2のリンクでのTXOPホルダーとして前記第2のリンクで動作し、
前記プロセッサは、遅くとも前記R-TWT SPが前記第1のリンク上で始まるしきい値時間量前までに、前記第2のSPが前記第2のリンクでの前記TXOPを終了するように、前記AP間で協調するようにさらに構成される、
請求項9から13のいずれか一項に記載のAP MLD。
【請求項15】
前記しきい値量は、前記EMLSRリンクペアに対して指定されるように、基本的マルチリンク要素のEMLSR遷移遅延サブフィールドで示されるEMLSR遷移遅延値に等しい、請求項9から14のいずれか一項に記載のAP MLD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、マルチリンクデバイスを含むワイヤレス通信システムにおけるレイテンシに敏感なトラフィック用の省電力動作に関する。本開示の実施形態は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク通信システムにおいてマルチリンクデバイスでターゲットウェイク時間動作を用いて拡張マルチリンクシングル無線動作(enhanced multi-link single radio operation)の使用を容易にするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)技術は、デバイスが2.4GHz、5GHz、6GHz、または60GHzの周波数帯域でインターネットにアクセスすることを可能にする。WLANは、米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格に基づいている。IEEE802.11規格ファミリーは、速度および信頼性を上げること、およびワイヤレスネットワークの動作範囲を拡大することを目的としている。
【0003】
マルチリンクオペレーション(MLO)は、次世代超高速スループット(EHT)WI-FIシステム、たとえば、IEEE802.11beについての主な特徴である。MLOをサポートするWI-FIデバイスは、マルチリンクデバイス(MLD)と呼ばれる。MLOを用いると、非アクセスポイント(非AP)MLDが、AP MLDとの複数のリンクを発見し、認証し、関連付け(アソシエーション)を行い、セットアップすることが可能である。チャネルアクセスおよびフレーム交換は、AP MLDと非AP MLDとの間でセットアップされた各リンク上で可能である。
【0004】
ターゲットウェイク時間(TWT:Target Wake Time)は、IEEE802.11ax修正の重要な特徴の1つである。TWTは、電力効率を改善するためにアクセスポイント(AP)に関連付けされるステーション(STA)との間のウェイク時間ネゴシエーションを可能にする。TWT動作を用いると、STAは、ネットワーク内の他のSTAまたはAPとネゴシエートされた、あらかじめスケジュールされた時間にウェイクアップするだけで十分である。IEEE802.11ax規格では、2つのタイプのTWT動作、すなわち個別TWT動作とブロードキャストTWT動作が可能である。個別TWT合意は、2つのSTA間、またはSTAとAPとの間で確立され得る。一方、ブロードキャストTWT(bTWT)動作を用いると、APは、STAのグループに対して共有TWTセッションをセットアップすることができる。
【0005】
ウェイク間隔、ウェイク持続時間、および初期ウェイク時間(オフセット)などのネゴシエートされたパラメータは、QoS(サービス品質)または顧客体験に直接関係しているレイテンシ、スループット、ならびに電力効率に大いに影響を及ぼす。異なるトラフィック特性をもつサービスは、より良いQoSのために異なるTWTパラメータ構成を有することになる。加えて、TWT構成は、ネットワークおよびサービス状況の変化に適応すべきである。
【0006】
TWTは、非AP STAが指定された時間のみにおいてウェイクアップすることを可能にし、それによって電力消費量を減らす。いくつかの適用例(たとえば、クラウドゲーミング、ARグラス)は、極めて厳しいレイテンシ要件とともに周期的バーストトラフィックを有することがある。非AP STAによるTWTのセットアップ時に、STAは、APにおけるトラフィック遅延情報(すなわち、下りリンクトラフィックの到着時間)をもっていない可能性がある。これは、DLトラフィック到着時間とTWTサービス期間(SP)開始時間との間の大きな遅延につながるりうる。これは、レイテンシに敏感な適用例に著しく影響を及ぼしうる。非AP STAは、APにおけるトラフィック遅延についての情報を有する場合、それに応じて自身のTWTパラメータを調整することができ、したがってTWTトラフィックをより良くサポートすることができる。
【0007】
ブロードキャストTWT動作に基づく制限付きTWT(rTWTまたはR-TWT)動作は、レイテンシに敏感な適用例により良いサポートを提供することを目的として導入された特徴である。制限付きTWTは、制限付きTWTスケジュールのメンバーではない、BSS内の他のSTAにクワイエット要素(Quiet element)を送ることによって、そのメンバーSTAに対して保護サービス期間を提供し、この場合、クワイエット要素に対応するクワイエット間隔(Quiet interval)は、制限付きTWT SPの初期部分と重なる。したがって、制限付きTWTは、制限付きTWTメンバーにスケジュールされたSTAにより多くのチャネルアクセス機会を与え、レイテンシに敏感なトラフィックフローを助ける。
【0008】
TWT動作は、MLDのための効率的な電力管理には不可欠であろう。ブロードキャストTWTは、複数のSTAが同じTWTスケジュールのメンバーシップを取得することができるという特別な種類のTWT動作である。制限付きTWTスケジュール、ブロードキャストTWTスケジュールの変形は、効率的な電力管理のためにマルチリンクデバイスに対して設定され得る。
【0009】
802.11beの非AP MLDは、マルチリンクオペレーションに関して異なる能力を有することができる。多くの802.11be非AP MLDは、単一の無線のみを有し得る。拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)は、単一の無線でマルチリンクオペレーションを可能にする。EMLSR動作を用いると、非AP MLDは、減少したレイテンシでスループットの向上を、すなわち同時デュアル無線の非AP MLDに近い性能を実現することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の実施形態は、ワイヤレスローカルエリアネットワークにおけるMLDのために、TWT動作とEMLSR動作の共存を容易にするための方法および装置を提供する。
【0011】
一実施形態では、STAと、STAに動作可能に結合されたプロセッサとを備える、非AP MLDが提供される。STAは各々、AP MLDの対応するAPとリンクを形成するように構成されたトランシーバを備える。リンクのうちの第1のリンクでの通信のために、第1のリンク上で動作するSTAのうちの第1のSTAが、第1のリンク上のR-TWT SPのメンバーであり、リンクのうちの第2のリンク上で動作するSTAのうちの第2のSTAが、第1のリンク上のR-TWT SPと時間的に重なる、第2のリンク上の他のいずれのR-TWT SPのメンバーでもないように、R-TWTスケジュールが確立される。プロセッサは、非AP MLDをEMLSR動作モードに遷移させるように構成され、第1のリンクおよび第2のリンクは、EMLSRリンクペアを形成し、送信機会(TXOP:transmission opportunity)が第2のリンク上で始まったと決定し、TXOP中の第2のリンク上のAP MLDとのフレーム交換シーケンスが、第1のリンク上のR-TWT SPと時間的に重ならないように、STA間で協調する。
【0012】
一実施形態では、APと、APに動作可能に結合されたプロセッサとを備えるAP MLDが提供される。APは各々、非AP MLDの対応するSTAとリンクを形成するように構成されたトランシーバを備える。リンクのうちの第1のリンクでの通信のために、第1のリンク上で動作するSTAのうちの第1のSTAが、第1のリンク上のR-TWT SPのメンバーであり、リンクのうちの第2のリンクで動作するSTAのうちの第2のSTAが、第1のリンク上のR-TWT SPと時間的に重なる、第2のリンク上の他のいずれのR-TWT SPのメンバーでもないように、R-TWTスケジュールが確立される。プロセッサは、非AP MLDがEMLSR動作モードに遷移しようとすることを決定するように構成され、第1のリンクおよび第2のリンクは、EMLSRリンクペアを形成し、TXOPが第2のリンク上で始まったと決定し、TXOP中の第2のリンク上の非AP MLDとのフレーム交換シーケンスが、第1のリンク上のR-TWT SPと時間的に重ならないように、AP間で協調する。
【0013】
一実施形態では、ワイヤレス通信の方法が提供され、AP MLDの対応するAPとのリンクを形成するように構成されたトランシーバを各々備える非AP MLD STAによって実施され、リンクのうちの第1のリンクでの通信のために、第1のリンク上で動作するSTAのうちの第1のSTAが、第1のリンク上のR-TWT SPのメンバーであり、リンクのうちの第2のリンク上で動作するSTAのうちの第2のSTAが、第1のリンク上のR-TWT SPと時間的に重なる、第2のリンクでのいずれか他のR-TWT SPのメンバーではないように、R-TWTスケジュールが確立される。方法は、非AP MLDをEMLSR動作モードに遷移させるステップであって、第1のリンクおよび第2のリンクは、EMLSRリンクペアを形成する、遷移させるステップと、TXOPが第2のリンク上で始まったと決定するステップと、TXOP中の第2のリンク上のAP MLDとのフレーム交換シーケンスが、第1のリンク上のR-TWT SPと時間的に重ならないように、STA間で協調するステップとを含む。
【0014】
他の技術的特徴は、以下の図、説明、および特許請求の範囲から当業者には直ちに明らかになる可能性がある。
【0015】
以下の詳細な説明を行う前に、本特許明細書にわたって使用されるいくつかの語および語句の定義を説明することが有利でありうる。「結合する」という用語およびその派生語は、2つ以上の要素が互いに物理的に接触しているかどうかにかかわらず、それらの要素間のいかなる直接的または間接的通信を指す。「送信する」、「受信する」、および「通信する」という用語、ならびにそれらの派生語は、直接的通信と間接的通信の両方を包含する。「含む」および「備える」という用語、ならびにそれらの派生語は、限定はしないが含むことを意味する。「または」という用語は、および/またはを意味し、包括的である。「に関連付けされる」という語句、ならびにその派生語は、含む、中に含まれる、相互接続する、包含する、中に包含される、接続する、連結する、通信可能である、協働する、インターリーブする、並置する、近接している、結合している、有する、性質を有する、関係を有するなどを意味する。「コントローラ」という用語は、少なくとも1つの動作を制御する任意のデバイス、システム、またはその一部を意味する。そのようなコントローラが、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアおよび/もしくはファームウェアの組合せで実装される場合がある。いずれか特定のコントローラに関連付けされる機能は、ローカルかリモートかにかかわらず、集中化されるまたは分散される場合がある。項目の列挙とともに使用されるとき、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、列挙された項目の1つまたは複数の異なる組合せが使用される場合があり、列挙中のただ1つの項目が必要とされる場合がある。たとえば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、以下の組合せ、すなわちA、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、ならびにAおよびBおよびCのいずれかを含む。本明細書で使用する、「第1」および「第2」または「第1の」および「第2の」のような用語は、対応する構成要素を他のものと単に区別するために使用される場合があり、他の態様(たとえば、重要性または順序)の構成要素を制限しない。要素(たとえば、第1の要素)が、「動作可能に」または「通信可能に」という用語とともにまたはなしで、他の要素(たとえば、第2の要素)「と結合される」、「に結合される」、「と接続される」、または「に接続される」と表現される場合、それは、要素が他の要素と直接に(たとえば、有線で)、ワイヤレスに、または第3の要素を介して結合され得ることを意味することを理解されたい。
【0016】
本明細書で使用する「モジュール」という用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアに実装されるユニットを含む場合があり、他の用語、たとえば「論理」、「論理ブロック」、「部分」、または「回路」と互換的に使用される場合がある。モジュールは、1つまたは複数の機能を実施するように適合された単一の一体型構成要素、または最小ユニットもしくはその一部である場合がある。たとえば、一実施形態によれば、モジュールは、特定用途向け集積回路(ASIC)の形で実装される場合がある。
【0017】
さらに、以下で説明する様々な機能は、1つまたは複数のコンピュータプログラムによって実装され、またはサポートされることがあり、そのコンピュータプログラムの各々は、コンピュータ可読プログラムコードから形成され、コンピュータ可読媒体において体系化される。「アプリケーション」および「プログラム」という用語は、好適なコンピュータ可読プログラムコードに実装するように適合された、1つまたは複数のコンピュータプログラム、ソフトウェア構成要素、命令のセット、プロシージャ、関数、オブジェクト、クラス、インスタンス、関係するデータ、またはそれらの一部分を指す。「コンピュータ可読プログラムコード」という語句は、ソースコード、オブジェクトコード、および実行コードを含む、どんなタイプのコンピュータコードも含む。「コンピュータ可読媒体」という語句は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、または任意の他のタイプのメモリなどの、コンピュータによってアクセスされることが可能などんなタイプの媒体も含む。「非一時的」コンピュータ可読媒体は、一時的な電気信号または他の信号を伝送する、ワイヤード、ワイヤレス、光、または他の通信リンクを除く。非一時的コンピュータ可読媒体は、データが永久に記憶され得る媒体と、書き換え可能な光ディスクまたは消去可能メモリデバイスなどの、データが記憶され、後に上書きされ得る媒体とを含む。
【0018】
他のいくつかの語または語句の定義は、本特許明細書全体を通して与えられる。大半ではないにしても多くの場合、そのような定義は、そのように定義された語および語句の以前ならびに将来の使用に適用されることが、当業者には理解されよう。
【0019】
本開示およびその利点をより完全に理解するために、次に、同様の参照番号が同様の部分を表す添付の図面と併せて行う以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態による例示的なワイヤレスネットワークを示す図である。
図2a】本開示の一実施形態による例示的なAPを示す図である。
図2b】本開示の一実施形態による例示的なSTAを示す図である。
図3】本開示の実施形態による、非AP MLDがEMLSRモードに遷移する一例を示す図である。
図4】本開示の実施形態による、TWTドーズ状態とEMLSR動作のリスニングモードとの間の例示的な競合を示す図である。
図5】本開示の実施形態による、他のリンクでのEMLSR動作中の1つのリンクでのTWT動作の中断の一例を示す図である。
図6】本開示の実施形態による、EMLSRリスニングモードからのリンクの免除の一例を示す図である。
図7】本開示の実施形態による、EMLSRリスニングモードからリンクを免除するかどうかを決定するための例示的なプロセスを示す図である。
図8】本開示の実施形態による、リンク上でTWT SP中にEMLSRリスニングモードを実装する一例を示す図である。
図9】本開示の実施形態による、TWT SPの残りの持続時間に基づいてリンクでTWT SP中にフレーム交換シーケンスを開始することを回避する一例を示す図である。
図10】本開示の実施形態による、TWT SPとの重なりに基づいてEMLSR動作中の初期にTXOPを終了する一例を示す図である。
図11】本開示の実施形態による、TWT SPが異なるリンクでスケジュールされた期間中に、進行中のEMLSRフレーム交換を継続する一例を示す図である。
図12】本開示の実施形態による、TXOPが他のリンクでのスケジュールされたTWT SPと重なるとき、リンクでの進行中のEMLSR TXOPを継続するか、あるいは終了するかを決定するための例示的なプロセスを示す図である。
図13】本開示の実施形態による、R-TWTリンク選択フレームの例示的なフォーマットを示す図である。
図14】本開示の一実施形態による、WLANにおけるMLDのためにTWT動作とEMLSR動作の共存を容易にするための例示的なプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で説明する図1から図14、および本特許明細書において本開示の原理を説明するために使用される様々な実施形態は、単に例示とするものであり、決して本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本開示の原理は、適切に配置されたどんなシステムまたはデバイスにおいても実装され得ることを、当業者は理解するであろう。
【0022】
本開示の実施形態は、非AP MLDと連携している非AP STAが、AP MLDと非AP MLDとの間の1つまたは複数のリンクを通じて1つまたは複数の制限付きTWTスケジュールを確立し得ることを認識する。本開示は、非AP MLDが、AP MLDと非AP MLDとの間の単一のリンクを通じて1つまたは複数の制限付きTWTスケジュールを確立するシナリオを考える。
【0023】
本開示の実施形態は、TWTドーズ状態と、すべてのSTAがアウェイクであることを要求するEMLSRのリスニングモードとの間の相互作用、ならびにTWT動作を使用してリンクでの送信にレイテンシに敏感なトラフィックがスケジュールされる間、EMLSR動作がそのリンクにサイレントにとどまることを要求する可能性に起因して、EMLSR動作が、MLDにおいてTWT動作とのいくつかの競合をもたらすことをさらに認識する。したがって、本開示の実施形態は、ワイヤレスローカルエリアネットワークにおけるMLDのために、TWT動作とEMLSR動作の共存を容易にする装置および方法を提供する。
【0024】
R-TWTはTWTのサブセットであるので、R-TWTに関して本明細書で以下に説明する手順のいずれも、非制限TWTで機能することを理解されたい。R-TWTの目的(レイテンシに敏感なトラフィックを保護すること)は、シグナリングオーバーヘッドを低減させることによって果たされるが、シグナリングオーバーヘッドを低減させることは、トラフィックがレイテンシに敏感であるかどうかにかかわらず有益であり、したがって本開示の実施形態は、レイテンシに敏感なトラフィックを必ずしも含むとは限らないTWT動作モードに望ましいことを理解されたい。
【0025】
図1は、本開示の一実施形態による例示的なワイヤレスネットワーク100を示す。図1に示すワイヤレスネットワーク100の実施形態は、例示のためのものにすぎない。ワイヤレスネットワーク100の他の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0026】
ワイヤレスネットワーク100は、AP101およびAP103を含む。AP101およびAP103は、インターネット、専有のインターネットプロトコル(IP)ネットワーク、または他のデータネットワークなどの、少なくとも1つのネットワーク130と通信する。AP101は、AP101のカバレージエリア120内の複数のSTA111~114に、ネットワーク130へのワイヤレスアクセスを提供する。AP101~103は、Wi-Fiまたは他のWLAN通信技法を使用して、互いに、およびSTA111~114と通信し得る。
【0027】
ネットワークタイプに応じて、「ルータ」または「ゲートウェイ」などの、他のよく知られている用語が、「アクセスポイント」または「AP」の代わりに使用される場合がある。便宜上、「AP」という用語は、本開示では、リモート端末にワイヤレスアクセスを提供するネットワークインフラストラクチャ構成要素を指すように使用される。WLANでは、APもまたワイヤレスチャネルを争奪することを考えれば、APもまたSTA(たとえば、AP STA)と呼ばれることもある。また、ネットワークタイプに応じて、「移動局」、「加入者局」、「リモート端末」、「ユーザ機器」、「ワイヤレス端末」、または「ユーザデバイス」などの、他のよく知られている用語が、「ステーション」または「STA」の代わりに使用される場合がある。便宜上、「ステーション」および「STA」という用語は、STAが(携帯電話またはスマートフォンなどの)モバイルデバイスであるか、または標準的に(デスクトップコンピュータ、AP、メディアプレーヤ、固定センサ、テレビジョンなどの)固定デバイスと考えられるかにかかわらず、本開示では、APにワイヤレスにアクセスする、またはWLANにおいてワイヤレスチャネルを争奪するリモートワイヤレス機器を指すように使用される。このタイプのSTAは、非AP STAと呼ばれる場合もある。
【0028】
本開示の一実施形態では、AP101およびAP103の各々ならびにSTA111~114の各々が、MLDであってもよい。そのような実施形態では、AP101およびAP103は、AP MLDであってもよく、STA111~114は、非AP MLDであってもよい。各MLDは、2つ以上のSTAと連携している。説明の便宜上、AP MLDが、2つ以上のAP(たとえば、2つ以上のAP STA)と連携しているとして本明細書で説明され、非AP MLDが、2つ以上のSTA(たとえば、2つ以上の非AP STA)と連携しているとして本明細書で説明される。
【0029】
点線は、カバレージエリア120および125のおおよその範囲を示し、単に例示および説明の目的でおおよそ円形として示されている。カバレージエリア120および125など、APに関連付けされるカバレージエリアは、自然および人工の障害物に関連付けされる無線環境におけるAPおよび変形体の構成に応じて、変則的な形状を含む、他の形状を有する場合があることを明確に理解されたい。
【0030】
以下でより詳細に説明するように、APの1つまたは複数は、WLANにおけるMLDのためにTWT動作とEMLSR動作の共存を容易にするための回路および/またはプログラミングを含み得る。図1は、ワイヤレスネットワーク100の一例を示すが、図1には様々な変更が行われ得る。たとえば、ワイヤレスネットワーク100は、任意の適切な構成で任意の数のAPおよび任意の数のSTAを含むことができる。また、AP101は、任意の数のSTAと直接通信し、それらのSTAにネットワーク130へのワイヤレスブロードバンドアクセスを提供することができる。同様に、各AP101~103は、ネットワーク130と直接通信し、STAにネットワーク130への直接ワイヤレスブロードバンドアクセスを提供することができる。さらに、AP101および/またはAP103は、外部電話網または他のタイプのデータネットワークなど、他のまたは追加の外部ネットワークへのアクセスを提供することができる。
【0031】
図2Aは、本開示の一実施形態による例示的なAP101を示す。図2Aに示すAP101の実施形態は、例示のためのものにすぎず、図1のAP103は、同じまたは同様の構成を有することができる。本明細書で以下に述べる実施形態では、AP101は、AP MLDである。しかしながら、APは、多種多様な構成になり、図2Aは、本開示の範囲をAPの任意の特定の実装形態に限定しない。
【0032】
AP MLD101は、複数のAP202a~202n(たとえば、AP1~APnと呼ばれることがある)と連携している。連携したAP202a~202nの各々は、複数のアンテナ204a~204nと、複数のRFトランシーバ209a~209nと、送信(TX)処理回路214と、受信(RX)処理回路219とを含む。AP MLD101はまた、コントローラ/プロセッサ224と、メモリ229と、バックホールまたはネットワークインターフェース234とを含む。
【0033】
各連携したAP202a~202nの図示した構成要素は、開放型システム間相互接続(OSI)ネットワーキングモデルにおける物理(PHY)層および下側メディアアクセス制御(LMAC)層を表し得る。そのような実施形態では、AP MLD101の図示した構成要素は、OSIモデルにおける単一の上側MAC(UMAC)層および他の上位層を表し、これらは連携したAP202a~202nのすべてによって共有される。
【0034】
各連携したAP202a~202nについて、RFトランシーバ209a~209nは、アンテナ204a~204nから、ネットワーク100内のSTAによって送信された信号などの入力RF信号を受信する。いくつかの実施形態では、各連携したAP202a~202nは、異なる帯域幅、たとえば、2.4GHz、5GHz、または6GHzで動作し、それに応じて、各連携したAPによって受信される入力RF信号は、異なる周波数のRFであってもよい。RFトランシーバ209a~209nは、IFまたはベースバンド信号を生成するために、入力RF信号をダウンコンバートする。IFまたはベースバンド信号は、RX処理回路219に送られ、RX処理回路219は、ベースバンドまたはIF信号をフィルタリング、デコーディング、および/またはデジタル化することによって、処理されたベースバンド信号を生成する。RX処理回路219は、処理されたベースバンド信号を、さらなる処理のためにコントローラ/プロセッサ224に送信する。
【0035】
各連携したAP202a~202nについて、TX処理回路214は、コントローラ/プロセッサ224からアナログまたはデジタルデータ(音声データ、ウェブデータ、電子メール、または双方向ビデオゲームデータなど)を受信する。TX処理回路214は、処理されたベースバンドまたはIF信号を生成するために、出力ベースバンドデータを符号化し、多重化し、かつ/またはデジタル化する。RFトランシーバ209a~209nは、TX処理回路214から処理された出力ベースバンドまたはIF信号を受信し、ベースバンドまたはIF信号を、アンテナ204a~204nを介して送信されるRF信号にアップコンバートする。各連携したAP202a~202nが異なる帯域幅、たとえば、2.4GHz、5GHz、または6GHzで動作する実施形態では、各連携したAPによって送信される出力RF信号は、異なる周波数のRFであってもよい。
【0036】
コントローラ/プロセッサ224は、AP MLD101の全体的な動作を制御する1つまたは複数のプロセッサまたは他の処理デバイスを含むことができる。たとえば、コントローラ/プロセッサ224は、よく知られている原理に従ってRFトランシーバ209a~209n、RX処理回路219、およびTX処理回路214によって、順方向チャネル信号の受信および逆方向チャネル信号の送信を制御することができる。コントローラ/プロセッサ224は、より高度なワイヤレス通信機能などの、追加の機能もサポートすることができる。たとえば、コントローラ/プロセッサ224は、複数のアンテナ204a~204nからの出力信号が、出力信号を所望の方向に効果的に導くために異なるように重み付けられる、ビームフォーミングまたは指向性ルーティング動作をサポートすることができる。コントローラ/プロセッサ224は、出力信号が異なる受信者(たとえば、異なるSTA111~114)に対してサブキャリアの異なるサブセットに割り当てられるOFDMA動作をサポートすることもできる。WLANにおけるMLDのためにTWT動作とEMLSR動作の共存を容易にすることを含む、多種多様な他の機能のいずれかが、AP MLD101において、コントローラ/プロセッサ224によってサポートされることがある。いくつかの実施形態では、コントローラ/プロセッサ224は、少なくとも1つのマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含む。コントローラ/プロセッサ224はまた、OSなど、メモリ229に常駐するプログラムおよび他のプロセスを実行することができる。コントローラ/プロセッサ224は、実行中のプロセスの要求に応じてメモリ229の中に、またはメモリ229から外にデータを移動することができる。
【0037】
コントローラ/プロセッサ224はまた、バックホールまたはネットワークインターフェース234に結合される。バックホールまたはネットワークインターフェース234は、AP MLD101がバックホール接続を通じてまたはネットワークを通じて他のデバイスまたはシステムと通信することを可能にする。インターフェース234は、任意の好適なワイヤードまたはワイヤレス接続を通じた通信をサポートすることができる。たとえば、インターフェース234は、AP MLD101がワイヤードもしくはワイヤレスローカルエリアネットワークを通じて、またはより大きいネットワーク(インターネットなど)へのワイヤードもしくはワイヤレス接続を通じて通信することを可能にすることができる。インターフェース234は、イーサネットまたはRFトランシーバなどの、ワイヤードまたはワイヤレス接続を通じた通信をサポートする任意の好適な構造を含む。メモリ229は、コントローラ/プロセッサ224に結合される。メモリ229の一部は、RAMを含むことができ、メモリ229の他の部分は、フラッシュメモリまたは他のROMを含むことができる。
【0038】
以下でより詳細に説明するように、AP MLD101は、WLANにおけるMLDのためにTWT動作とEMLSR動作の共存を容易にするための回路および/またはプログラミングを含んでもよい。図2Aは、AP MLD101の一例を示すが、図2Aには様々な変更が行われ得る。たとえば、AP MLD101は、図2Aに示す任意の数の各構成要素を含むことができる。特定の例として、AP MLD101が、いくつかのインターフェース234を含むことができ、コントローラ/プロセッサ224は、異なるネットワークアドレス間でデータをルーティングするためにルーティング機能をサポートすることができる。別の特定の例として、各連携したAP202a~202nが、TX処理回路214の単一の事例、およびRX処理回路219の単一の事例を含んで示されているが、AP MLD101は、連携したAP202a~202nの1つまたは複数において、各々の複数の事例(RFトランシーバごとに1つなど)を含むことができる。代替的に、ただ1つのアンテナおよびRFトランシーバ経路が、レガシーAPなどの連携したAP202a~202nのうちの1つまたは複数に含まれてもよい。また、図2aの様々な構成要素が、組み合わせられる、さらに再分割される、または省略されることがあり、追加の構成要素が、特定の必要に従って追加されることがある。
【0039】
図2bは、本開示の一実施形態による例示的なSTA111を示す。図2bに示したSTA111の実施形態は、例示のためのものにすぎず、図1のSTA111~115は、同じまたは同様の構成を有することがある。本明細書で以下に示す実施形態では、STA111は、非AP MLDである。しかしながら、STAは、多種多様な構成になり、図2bは、本開示の範囲をSTAの任意の特定の実装形態に限定しない。
【0040】
非AP MLD111は、複数のSTA203a~203n(たとえば、STA1~STAnと呼ばれることがある)と連携している。連携したSTA203a~203nの各々が、アンテナ205と、無線周波数(RF)トランシーバ210と、TX処理回路215と、受信(RX)処理回路225とを含む。非AP MLD111はまた、マイクロフォン220と、スピーカー230と、コントローラ/プロセッサ240と、入力/出力(I/O)インターフェース(IF)245と、タッチスクリーン250と、ディスプレイ255と、メモリ260とを含む。メモリ260は、オペレーティングシステム(OS)261と、1つまたは複数のアプリケーション262とを含む。
【0041】
各連携したSTA203a~203nの図示した構成要素は、OSIネットワーキングモデルにおけるPHY層およびLMAC層を表し得る。そのような実施形態では、非AP MLD111の図示した構成要素は、OSIモデルにおける単一のUMAC層および他の上位層を表し、これらは連携したSTA203a~203nのすべてによって共有される。
【0042】
各連携したSTA203a~203nについて、RFトランシーバ210は、アンテナ205から、ネットワーク100のAPによって送信された入力RF信号を受信する。いくつかの実施形態では、各連携したSTA203a~203nは、異なる帯域幅、たとえば、2.4GHz、5GHz、または6GHzで動作し、それに応じて、各連携したSTAによって受信される入力RF信号は、異なる周波数のRFであってもよい。RFトランシーバ210は、中間周波数(IF)またはベースバンド信号を生成するために、入力RF信号をダウンコンバートする。IFまたはベースバンド信号は、RX処理回路225に送られ、RX処理回路225は、ベースバンドまたはIF信号をフィルタリング、復号、および/またはデジタル化することによって処理されたベースバンド信号を生成する。RX処理回路225は、処理されたベースバンド信号を(音声データの場合などは)スピーカー230に、または(ウェブ閲覧データの場合などは)さらなる処理のためにコントローラ/プロセッサ240に送信する。
【0043】
各連携したSTA203a~203nについて、TX処理回路215は、マイクロフォン220からアナログもしくはデジタル音声データを、またはコントローラ/プロセッサ240から他の出力ベースバンドデータ(ウェブデータ、電子メール、もしくは双方向ビデオゲームデータなど)を受信する。TX処理回路215は、処理されたベースバンドまたはIF信号を生成するために、出力ベースバンドデータを符号化し、多重化し、かつ/またはデジタル化する。RFトランシーバ210は、処理された出力ベースバンドまたはIF信号をTX処理回路215から受信し、ベースバンドまたはIF信号を、アンテナ205を介して送信されるRF信号にアップコンバートする。各連携したSTA203a~203nが、異なる帯域幅、たとえば、2.4GHz、5GHz、または6GHzで動作する実施形態では、各連携したSTAによって送信される出力RF信号は、異なる周波数のRFであってもよい。
【0044】
コントローラ/プロセッサ240は、1つまたは複数のプロセッサを含み、非AP MLD111の全体的な動作を制御するためにメモリ260に記憶された基本的なOSプログラム261を実行することができる。1つのそのような動作では、メインコントローラ/プロセッサ240は、よく知られている原理に従ってRFトランシーバ210、RX処理回路225、およびTX処理回路215によって、順方向チャネル信号の受信および逆方向チャネル信号の送信を制御する。メインコントローラ/プロセッサ240はまた、WLANにおけるMLDのためにTWT動作とEMLSR動作の共存を容易にするように構成された処理回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラ/プロセッサ240は、少なくとも1つのマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含む。
【0045】
コントローラ/プロセッサ240はまた、WLANにおけるMLDのためにTWT動作とEMLSR動作の共存を容易にするための動作など、メモリ260に常駐する他のプロセスおよびプログラムを実行することが可能である。コントローラ/プロセッサ240は、実行中のプロセスの要求に応じてメモリ260の中に、またはメモリ229から外にデータを移動することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ/プロセッサ240は、WLANにおけるMLDのためにTWT動作とEMLSR動作の共存を容易にするためのアプリケーションなど、複数のアプリケーション262を実行するように構成される。コントローラ/プロセッサ240、OSプログラム261に基づいて、またはAPから受信された信号に応答して、複数のアプリケーション262を動作させることができる。メインコントローラ/プロセッサ240はまた、I/Oインターフェース245に結合され、I/Oインターフェース245は、非AP MLD111に、ラップトップコンピュータおよびハンドヘルドコンピュータなどの他のデバイスに接続する能力を与える。I/Oインターフェース245は、これらのアクセサリとメインコントローラ240との間の通信経路である。
【0046】
コントローラ/プロセッサ240はまた、タッチスクリーン250およびディスプレイ255に結合される。非AP MLD111の操作者は、非AP MLD111にデータを入力するためにタッチスクリーン250を使用することができる。ディスプレイ255は、ウェブサイトなどから、テキストおよび/または少なくとも限られたグラフィックスをレンダリングすることが可能な液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、または他のディスプレイであってもよい。メモリ260は、コントローラ/プロセッサ240に結合される。メモリ260の一部は、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができ、メモリ260の他の部分は、フラッシュメモリまたは他の読取り専用メモリ(ROM)を含むことができる。
【0047】
図2bは、非AP MLD111の一例を示すが、図2bには様々な変更が行われ得る。たとえば、図2bの様々な構成要素が、組み合わせられる、さらに再分割される、または省略されることがあり、追加の構成要素が、特定の必要に従って追加されることがある。特定の例では、連携したSTA203a~203nの1つまたは複数は、AP101とのMIMO通信のために任意の数のアンテナ205を含んでもよい。別の例では、非AP MLD111は、音声通信を含まない場合があり、またはコントローラ/プロセッサ240は、1つもしくは複数の中央処理ユニット(CPU)および1つもしくは複数のグラフィックス処理ユニット(GPU)などの、複数のプロセッサに分割されることがある。また、図2bは携帯電話またはスマートフォンとして構成された非AP MLD111を示すが、非AP MLDは、他のタイプのモバイルまたは固定デバイスとして動作するように構成されることがある。
【0048】
EMLSR動作、およびEMLSR動作モード中の非AP MLDと連携したSTAの挙動は、802.11be規格において定義されている。非AP MLDがその連携したAP MLDとともにEMLSRモードで動作しようとする場合、非AP MLDと連携したSTAは、AP MLDと連携しているその関連付けされるAPにEML動作モード通知(Operating Mode Notification)フレームを送り、EML動作モード通知フレームにおけるEML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドは、1に設定される。
【0049】
非AP MLDからEML動作モード通知フレームを受信すると、AP MLDは、AP MLDと非AP MLDとの間のいずれか有効なリンクで、他のEML動作モード通知フレームを送ることができ、EML動作モード通知フレームにおけるEML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドは、1に設定される。AP MLDと連携しているAPは、AP MLDと非AP MLDとの間で最も最近に交換された基本的可変マルチリンク要素(Basic Variant Multi-Link element)におけるEML能力(EML Capabilities)サブフィールドの遷移タイムアウト(Transition Timeout)サブフィールドで示されたタイムアウト間隔内に、非AP MLDと連携しているSTAによって送られたEML動作モード通知フレームに応答して、EML動作モード通知フレームを送ることを期待される。
【0050】
非AP MLDは、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドが1に設定されたEML動作モード通知フレームを、AP MLDと連携しているAPから受信した直後、または非AP MLDによって送信されたEML動作モード通知フレームに含まれた最後のPPDUの終了後に、基本的可変マルチリンク要素のEML能力フィールドの遷移タイムアウトサブフィールドで示されたタイムアウト間隔が経過した直後、のうちいずれか最初に発生した方において、EMLSRモードに遷移する。EMLSR動作モードに遷移すると、非AP MLDと連携しているすべてのSTAが、アクティブモード(リスニングモード)に遷移する。
【0051】
図3は、本開示の実施形態による、非AP MLDがEMLSRモードに遷移する一例を示す。AP MLDは、AP MLD101であってもよく、非AP MLDは、非AP MLD111であってもよい。AP MLD101は2つの連携するAPとともに示され、非AP MLD111は2つの連携する非AP STAとともに示されているが、このプロセスは、任意の数の連携するAPまたはSTAを有する好適なMLDで適用され得ることを理解されたい。説明を簡単にするために、以下のさらなる実施形態におけるAP MLDおよび非AP MLDへの言及は、それぞれAP MLD101および非AP MLD111を指すことを理解されたい。
【0052】
この例では、AP1およびAP2は、AP MLDと連携している2つのAPである。また、STA1およびSTA2は、非AP MLDと連携している2つの非AP STAである。AP MLDと非AP MLDとの間で2つのリンクがセットアップされ、すなわちAP1とSTA1との間のリンク1、およびAP2とSTA2との間のリンク2がセットアップされる。この例では、リンク1とリンク2の両方が、有効なリンクである。
【0053】
非AP MLDは、EMLSRモードに遷移しようとし、したがってSTA2は、リンク2を通じてAP2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定したEML動作モード通知フレーム302を送る。非AP MLDによって送信されたEML動作モード通知フレーム302に応答して、AP2はSTA2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定した他のEML動作モード通知フレーム304を送る。AP MLDからEML動作モード通知フレーム304を受信した後、非AP MLDは、EMLSRモードに遷移し、STA1とSTA2の両方が、リスニングモードに遷移する。
【0054】
上記で説明したように、非AP MLDがEMLSRモードに遷移すると、非AP MLDと連携しているすべてのSTAが、リスニングモード(すなわち、アウェイク状態またはアクティブ状態、以下では簡単にするためにアウェイク状態と呼ぶ)に遷移しなければならない。しかしながら、すべてのリンクをアウェイク状態に遷移させるこの指令は、AP MLDと非AP MLDとの間の有効なリンクのいずれかで確立されるTWT動作(個別TWT、ブロードキャストTWT、または制限付きTWT)などの省電力動作には貢献しない。
【0055】
たとえば、1つまたは複数のTWT合意またはTWTスケジュールが、AP MLDと非AP MLDとの間のリンクで確立されるとき、非AP MLDがEMLSR動作モードに遷移することにより、すべてのリンクがアウェイク状態に遷移するよう要求される場合、1つまたは複数のTWT合意またはスケジュールが確立されたリンクでAP MLDと連携しているSTAに対するTWT動作は、そのSTAがTWT合意またはスケジュールに従ってTWTドーズ状態である可能性があるので、中断されることがあるが、EMLSR動作は、STAがアウェイク状態であることを必要とし、これらの2つのアクションは相反するものである。
【0056】
AP MLDが、非AP MLDがTWT合意/スケジュールに基づいてTWTドーズ状態であるリンクでEMLSR動作に対する初期制御フレームを送る場合、非AP MLDと連携し、そのリンクで動作しているSTAは、初期制御フレームを受信することができないことになる。したがって、そのリンクでの後続のフレーム交換シーケンスが可能にならない。
【0057】
図4は、本開示の実施形態による、TWTドーズ状態とEMLSR動作のリスニングモードとの間の例示的な競合を示す。この例では、AP1およびAP2は、AP MLDと連携している2つのAPである。また、STA1およびSTA2は、非AP MLDと連携している2つの非AP STAである。AP MLDと非AP MLDとの間で2つのリンク、すなわちAP1とSTA1との間のリンク1、およびAP2とSTA2との間のリンク2がセットアップされる。この例では、リンク1とリンク2の両方が、有効なリンクである。さらに、TWT合意/スケジュールが、リンク1上で確立される。
【0058】
図4の非AP MLDは、EMLSRモードに遷移しようとし、したがってSTA2は、リンク2を通じてAP2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定したEML動作モード通知フレームを送る。非AP MLDによって送信されたEML動作モード通知フレームに応答して、AP2はSTA2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定した他のEML動作モード通知フレームを送る。AP MLDからEML動作モード通知フレームを受信した後、非AP MLDは、EMLSRモードに遷移し、その時点でSTA1とSTA2の両方が、図3の例のように、リスニングモード(アウェイク状態)に遷移するはずである。
【0059】
しかしながら、図4の例では、確立されたTWT合意/スケジュールに基づいて、STA2はまた、リンク1でTWTドーズ状態であることを期待され、一方、EMLSR動作は、STA1がリスニングモードであるよう指示する。AP MLDが、リンク1上でEMLSR初期制御フレーム402(MU-RTSまたはBSRPなど)を送る場合、STA1は、そのTWT動作によりTWTドーズ状態にあるので、それを受信することができない。これはまた、クリアチャネルアセスメント(CCA)を実施するために、または初期制御フレーム402を受信するために、非AP MLDがすべてのリンク上でリッスン可能であること(すなわち、アウェイク状態であること)が必須であることを指示する、現在の802.11be規格と矛盾している。
【0060】
別の例では、非AP MLDが、EMLSRモードで動作し、フレーム交換シーケンスが、AP MLDと非AP MLDとの間の有効なリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で行われているとき、TWTスケジュールまたは合意が、同じAP MLDと同じ非AP MLDとの間の他のリンクを通じて設定される場合、および第1のリンク上のTWT SPが、第2のリンク上で行われているフレーム交換シーケンスと時間的に重なる場合、EMLSR動作中には、任意の所与の時間インスタントで1つのリンクしか送信または受信することができないので、第1のリンク上で動作している非AP MLDと連携しているSTAは、そのSTAがTWT SPの中にアウェイク状態であってもフレームを送信または受信することができない。これは、第1のリンクでのTWT動作を中断させる可能性がある。
【0061】
図5は、本開示の実施形態による、他のリンクでのEMLSR動作中に1つのリンクでのTWT動作を中断する一例を示す。この例では、AP1およびAP2は、AP MLDと連携している2つのAPである。また、STA1およびSTA2は、非AP MLDと連携している2つの非AP STAである。AP MLDと非AP MLDとの間で、2つのリンクがセットアップされ、すなわちAP1とSTA1との間のリンク1、およびAP2とSTA2との間のリンク2がセットアップされる。この例では、リンク1とリンク2の両方が、有効なリンクである。さらに、制限付きTWT合意/スケジュールが、リンク1上で確立される。
【0062】
図5の非AP MLDは、すでにEMLSRモードで動作しており、TXOP502中にAP2とSTA2との間のリンク2で、フレーム交換シーケンスが始まる。リンク2でのフレーム交換シーケンス中、制限付きTWT SP504が、リンク1で始まる。しかしながら、STA1は、非AP MLDがEMLSRモードで動作し、他のリンク(リンク2)でフレームを交換している間、リンク1でフレームを送信または受信するはずではないので、STA1のUL/DLのレイテンシに敏感なトラフィックは、制限付きTWT SP504を利用して送信されることが可能ではない。これは、非AP MLDのレイテンシに敏感なアプリケーションに影響を及ぼす。
【0063】
以下の本明細書の本開示の一実施形態は、図4および図5に示すようなシナリオについてTWT動作とEMLSR動作モードの共存を可能にするための機構および必要なルールを提供する。
【0064】
TWT合意またはTWTスケジュールがAP MLDと非AP MLDとの間のリンクで確立されるシナリオについての一実施形態によれば、非AP MLDがEMLSR動作モードに遷移する場合、TWT合意またはスケジュールが確立されたリンクは、そのリンクで動作している非AP MLDと連携しているSTAが、確立されたTWT合意またはTWTスケジュールに従ってドーズ状態であるようスケジュールされる場合、リスニングモードである必要を免除される。この実施形態によれば、AP MLDはそのリンクで確立されたTWT合意またはスケジュールの知識を有するので、AP MLDは、関連付けされるSTAがそのリンクで確立された既存のTWT合意またはスケジュールに基づいてドーズ状態であるはずであるリンクを通じてEMLSR初期制御フレーム(MU-RTS、BSRPなど)を送らない。すなわち、AP MLDは、関連付けされるSTAがドーズ状態であるはずであるリンクを通じてフレーム交換を開始しない。
【0065】
図6は、本開示の実施形態による、EMLSRリスニングモードからのリンクの免除の一例を示す。この例では、AP1、AP2、およびAP3は、AP MLDと連携している3つのAPである。また、STA1、STA2、およびSTA3は、非AP MLDと連携している3つの非AP STAである。AP MLDと非AP MLDとの間で、3つのリンク、すなわちAP1とSTA1との間のリンク1、AP2とSTA2との間のリンク2、およびAP3とSTA3との間のリンク3がセットアップされる。この例では、リンク1、リンク2、およびリンク3は、有効なリンクである。TWT合意/スケジュールが、リンク1上で確立される。
【0066】
図6の非AP MLDは、EMLSRモードに遷移しようとし、したがってSTA2は、リンク2を通じてAP2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定したEML動作モード通知フレームを送る。非AP MLDによって送信されたEML動作モード通知フレームに応答して、AP2はSTA2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定した他のEML動作モード通知フレームを送る。AP MLDからEML動作モード通知フレームを受信した後、非AP MLDは、EMLSRモードに遷移し、STA2とSTA3の両方が、リスニングモードに遷移する。しかしながら、確立されたTWT合意/スケジュールに従って、STA1は、リンク1でドーズ状態のままである。したがって、EMLSRフレーム交換では、AP MLDは、リンク2またはリンク3のいずれかで初期制御フレームを送り、リンク1では送らない。
【0067】
図7は、本開示の実施形態による、EMLSRリスニングモードからリンクを免除するかどうかを決定するための例示的なプロセスを示す。図7のプロセスは、図6のリンク1がEMLSRリスニングモードから免除されることを可能にするかどうかを決定するために使用され得るプロセスの一例である。
【0068】
TWT合意またはTWTスケジュールがAP MLDと非AP MLDとの間のリンクで確立されるシナリオについての一実施形態によれば、非AP MLDがEMLSR動作モードに遷移する場合、TWT合意またはスケジュールが確立されたリンクは、そのリンクで動作している非AP MLDと連携しているSTAに対するTWT SPが、同じ非AP MLDと連携している他のSTAによって送られたEML動作モード通知フレームに応答してAP MLDと連携しているAPによって送られたEML動作モード通知フレームの終わり、または基本的可変マルチリンク要素におけるEML能力サブフィールドの遷移タイムアウトサブフィールドで示されたタイムアウト持続時間の終わり、のうちいずれか最初に発生する方と時間的に重なる場合、依然としてEMLSRリスニングモードに遷移することができる。いくつかの実施形態では、そのリンクで動作している非AP MLDと連携しているSTAは、そのSTAに対するTWT SPが終わるまでリスニングモードにとどまる。
【0069】
図8は、本開示の実施形態による、リンク上でTWT SP中にEMLSRリスニングモードを実装する一例を示す。図8では、AP1、AP2、およびAP3は、AP MLDと連携している3つのAPである。また、STA1、STA2、およびSTA3は、非AP MLDと連携している3つの非AP STAである。AP MLDと非AP MLDとの間で、3つのリンク、すなわちAP1とSTA1との間のリンク1、AP2とSTA2との間のリンク2、およびAP3とSTA3との間のリンク3がセットアップされる。この例では、リンク1、リンク2、およびリンク3は、有効なリンクである。TWT合意/スケジュールが、リンク1上で確立される。
【0070】
図8の非AP MLDは、EMLSRモードに遷移しようとし、したがってSTA2は、リンク2を通じてAP2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定したEML動作モード通知フレームを送る。非AP MLDによって送信されたEML動作モード通知フレームに応答して、AP2はSTA2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定した他のEML動作モード通知フレームを送る。
【0071】
AP MLDから受信したEML動作モード通知フレームの終わりに(時間802に)、STA1は、そのリンク上で確立されたTWT合意またはスケジュールに基づいてTWT SP中、アウェイク状態である。したがって、AP MLDからEML動作モード通知フレームを受信した後、時間802において、非AP MLDは、EMLSRモードに遷移し、STA1、STA2、およびSTA3が、リスニングモードに遷移する。しかしながら、STA1は、そのTWT SP終了時間(時間804)までのみ、リスニングモードにとどまり、その後STA1は、TWTドーズ状態に遷移する。
【0072】
TWT合意またはTWTスケジュールが、AP MLDと非AP MLDとの間のリンクで確立されるシナリオについての一実施形態によれば、非AP MLDがEMLSR動作モードに遷移する場合、TWT合意またはスケジュールが確立されたリンクが、そのリンクで動作している対応するSTAがTWT SP中、アウェイク状態であるためにリスニングモードであったとしても、AP MLDがそのリンクでのTWT SPにおける残り時間が後続のフレーム交換シーケンスを完了するには十分ではないと決定する場合、AP MLDは、そのリンクでEMLSR初期制御フレームを送らない。そうでない場合、AP MLDは、そのリンクでフレーム交換シーケンスを開始することができる。
【0073】
図9は、本開示の実施形態による、TWT SPの残りの持続時間に基づいてリンク上でTWT SP中にフレーム交換シーケンスを開始することを回避する一例を示す。この例では、AP1、AP2、およびAP3は、AP MLDと連携している3つのAPである。また、STA1、STA2、およびSTA3は、非AP MLDと連携している3つの非AP STAである。AP MLDと非AP MLDとの間で、3つのリンク、すなわちAP1とSTA1との間のリンク1、AP2とSTA2との間のリンク2、およびAP3とSTA3との間のリンク3がセットアップされる。この例では、リンク1、リンク2、およびリンク3は、有効なリンクである。TWT合意/スケジュールが、リンク1上で確立される。
【0074】
図9の非AP MLDは、EMLSRモードに遷移しようとし、したがってSTA2は、リンク2を通じてAP2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定したEML動作モード通知フレームを送る。非AP MLDによって送信されたEML動作モード通知フレームに応答して、AP2はSTA2に、EML制御フィールドのEMLSRモードサブフィールドを1に設定した他のEML動作モード通知フレームを送る。
【0075】
AP MLDから受信したEML動作モード通知フレームの終わりに、STA1は、そのリンクで確立されたTWT合意またはスケジュールに基づいてTWT SP中、アウェイク状態である。AP MLDからEML動作モード通知フレームを受信した後、非AP MLDは、EMLSRモードに遷移しSTA1、STA2、およびSTA3が、リスニングモードに遷移する。しかしながら、TWT SPにおける残り時間902は短すぎ、AP MLDによって決定されるように、STA1との意図されたフレーム交換シーケンスを完了するのに十分ではない。したがって、AP MLDはリンク1を、EMLSR動作の下でのフレーム交換のための実行可能なオプションと考えず、EMLSRフレーム交換シーケンスに対してリンク2、またはリンク3のいずれかを選ぶ(この例ではリンク3が選ばれる)。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、有効なリンクのサブセット、すなわちEMLSRリンクセットが定義され得る。EMLSRリンクセットは、EMLSR動作が続行される有効なリンクのセットを示し、すなわち、EMLSRフレーム交換シーケンスは、EMLSRリンクセットに記載されているリンクの1つでのみ続行され得る。
【0077】
そのような一実施形態によれば、EMLSR動作中、AP MLDと、EMLSRリンクセットに記載されていない非AP MLDとの間の有効なリンクは、EMLSRリンクセットに記載されたリンクを通じてEMLSR動作とは無関係に動作することができる。この実施形態によれば、任意の所与のインスタントに、EMLSRモード動作中に複数の送信/受信可能なリンク、すなわちEMLSRリンクセットから選ばれた1つの送信/受信リンク、および非EMLSRリンク(すなわち、EMLSRリンクセットに記載されていない有効なリンク)からの1つまたは複数の送信/受信リンクがあり得る。
【0078】
他のそのような実施形態によれば、EMLSR動作中、AP MLDと、EMLSRリンクセットに記載されていない非AP MLDとの間の有効なリンクは、EMLSR動作の全体の間、ドーズ状態のままである。この実施形態によれば、任意の所与の瞬間に、EMLSRモードの非AP MLD全体においてただ1つの送信/受信可能なリンクがあり、送信/受信のためのリンクは、EMLSRリンクセットに記載されたリンクから選ばれる。
【0079】
また別のそのような実施形態によれば、AP MLDと非AP MLDとの間のリンクでTWT合意またはTWTスケジュールが確立されるシナリオについて、非AP MLDがEMLSR動作モードに遷移する場合、TWT合意またはスケジュールが確立されたリンクは、EMLSRリンクセットに含まれない。
【0080】
他の実施形態によれば、非AP MLDがEMLSRモードで動作しており、フレーム交換シーケンスが、AP MLDと非AP MLDとの間の有効なリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で行われているシナリオについて、TWTスケジュール/合意が同じAP MLDと非AP MLDとの間の他のリンク(たとえば、第1のリンク)を通じてセットアップされる場合、第1のリンク上のTWT SPは、第2のリンク上で行われているフレーム交換シーケンスと時間的に重なり、AP MLDは、TWT SPが第1のリンク上で始まる前に、第2のリンク上でフレーム交換シーケンスを終了する。非AP MLDと連携しているSTAがTXOPホルダー(holder)である場合、非AP MLDもまた、TXOPを終了することができる。
【0081】
図10は、本開示の実施形態による、TWT SPとの重なりに基づいて上でEMLSR動作中にEMLSRリスニングモードを実装する一例を示す。この例では、AP1、AP2、およびAP3は、AP MLDと連携している3つのAPである。また、STA1、STA2、およびSTA3は、非AP MLDと連携している3つの非AP STAである。AP MLDと非AP MLDとの間で、3つのリンク、すなわちAP1とSTA1との間のリンク1、AP2とSTA2との間のリンク2、およびAP3とSTA3との間のリンク3がセットアップされる。この例では、リンク1、リンク2、およびリンク3は、有効なリンクである。他の実施形態では、リンク3は、無効なリンクであることがある。TWT合意/スケジュールが、リンク1上で確立される。
【0082】
図10の非AP MLDは、EMLSRモードに遷移し、AP MLDは、非AP MLDとのフレーム交換シーケンスを開始している。リンク2で動作しているAP2は、リンク2でのTXOP1002についてのTXOPホルダーである。TXOP1002の元の終了時間1004は、リンク1でのTWT SP1008と時間的に重なる。したがって、AP2は、TWT SP1008がリンク1で始まる前に(すなわち、TWT SP1008の開始時間1006の前に)、リンク2でのそのTXOP1002を早期に(時間1010に)終了する。
【0083】
この例では、AP2はまた、TWT SP1008の開始時間1006のしきい値時間量1012前に、リンク2でのそのTXOP1002を終了する。このしきい値時間量は、非AP MLDが必要な無線Tx/Rxチェーンをフレーム交換リンク(リンク2)からTWTリンク(リンク1)に切り替えるために十分な時間を有するように、フレーム交換のために一方のリンクから他方へリンクを切り替えるために必要とされる時間とすることができる。一実施形態によれば、このしきい値時間量は、基本的マルチリンク要素のEML能力サブフィールドの中のEMLSRパディング遅延(Padding Delay)サブフィールドで示された時間量とすることができる。この実施形態によれば、このしきい値は、0μs、32μs、64μs、128μs、または256μsまたは512μsとすることができる。一実施形態によれば、このしきい値量は、基本的マルチリンク要素のEML能力サブフィールドの中のEMLSR遷移遅延(Transition Delay)サブフィールドで示された時間量とすることができる。他のしきい値もまた考えられる。
【0084】
非AP MLDがEMLSRモードで動作し、フレーム交換シーケンスがAP MLDと非AP MLDとの間の有効なリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で行われているシナリオについての一実施形態によれば、TWTスケジュール/合意が、同じAP MLDと非AP MLDとの間の他のリンク(たとえば、第1のリンク)を通じてセットアップされる場合、第1のリンク上のTWT SPは、第2のリンク上で行われているフレーム交換シーケンスと時間的に重なり、前の実施形態に基づいて、AP MLDまたは非AP MLDが、TWT SPが第1のリンク上で始まる前に、第2のリンク上でフレーム交換シーケンスを終了する場合、初期制御フレーム交換(たとえば、MU-RTS、CTSなど)は、TWT SP中に第1のリンク上でフレームを送信する前に必要とされない。代わりに、TWT SPの初めに、第1のリンクで動作している非AP MLDと連携しているSTAは、そのリンクのためのEMLSR初期制御フレーム交換なしに、AP MLDと連携しているその関連付けされるAPとフレーム交換を開始することができる。
【0085】
非AP MLDがEMLSRモードで動作し、フレーム交換シーケンスがAP MLDと非AP MLDとの間の有効なリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で行われているシナリオについての一実施形態によれば、TWTスケジュール/合意が、同じAP MLDと非AP MLDとの間の他のリンク(たとえば、第1のリンク)を通じてセットアップされる場合、第1のリンクでのTWT SPは、第2のリンクで行われているフレーム交換シーケンスと時間的に重なり、TWTスケジュールのために第1のリンクにマップされるTIDのセットが、第2のリンクにもマップされる場合、AP MLDは、第2のリンクでフレーム交換シーケンスを続けることができる。この実施形態によれば、リンク1で非AP MLDに宛てられたトラフィック(レイテンシに敏感なトラフィックを含む)は、第2のリンクで送信でき、第1のリンクで動作しているSTAは、TWT SP中でもTWTドーズ状態にとどまることができる。
【0086】
図11は、本開示の実施形態による、TWT SPが異なるリンクでスケジュールされた期間中に、進行中のEMLSRフレーム交換を継続する一例を示す。この例では、AP1、AP2、およびAP3は、AP MLDと連携している3つのAPである。また、STA1、STA2、およびSTA3は、非AP MLDと連携している3つの非AP STAである。AP MLDと非AP MLDとの間で、3つのリンク、すなわちAP1とSTA1との間のリンク1、AP2とSTA2との間のリンク2、およびAP3とSTA3との間のリンク3がセットアップされる。この例では、リンク1、リンク2、およびリンク3は、有効なリンクである。他の実施形態では、リンク3は、無効なリンクであることがある。TWT合意/スケジュールが、リンク1上で確立される。
【0087】
図11の非AP MLDは、EMLSRモードに遷移し、AP MLDは、非AP MLDとのフレーム交換シーケンスを開始している。リンク2で動作しているAP2は、リンク2でのTXOP1102についてのTXOPホルダーである。TXOP1102は、リンク1でのTWT SP1104と重なる。しかしながら、TWTスケジュールのためにリンク1にマップされるTIDのセットは、リンク2にもマップされる。したがって、TWT SP中にリンク1で送信されるよう意図された非AP MLDに対するトラフィックは、進行中のフレーム交換シーケンスの一部としてTXOP1102中にリンク2で送信可能である。STA1は、したがって、TWT SP1104中、TWTドーズ状態にとどまることが可能である。
【0088】
図12は、本開示の実施形態に従って、TXOPが他のリンク上のスケジュールされたTWT SPと重なるとき、リンク上の進行中のEMLSR TXOPを続けるか、あるいは終了するかを決定するための例示的なプロセスを示す。図12のプロセスは、図10の例に示すように、他のリンク上のスケジュールされたTWT SPと重なる進行中のEMLSR TXOPを終了するか、あるいは図11の例に示すように、TWT SPにスケジュールされた時間に入るまで進行中のEMLSR TXOPを継続するかを決定するために使用され得るプロセスの一例である。
【0089】
他の実施形態によれば、非AP MLDがその関連付けされるAP MLDとEMLSRモードで動作しており、AP MLDと連携し、AP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で動作しているAPが、そのリンクでのTXOPホルダーであるとき、同じAP MLDと非AP MLDとの間の他のEMLSRリンク(たとえば、第1のリンク)で、または非AP MLDが単一の無線デバイスである場合はいずれかのリンクで、R-TWTスケジュールが確立される場合、AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているAPは、R-TWT SPが第1のリンク上で始まる前に、れのTXOPを終了する。
【0090】
一実施形態によれば、上記のシナリオでは、APは、R-TWT SPが第1のリンク上で始まるしきい値時間量前に、第2のリンクでそのTXOPを終了する。このしきい値時間量は、非AP MLDが必要な無線Tx/Rxチェーンを第1のリンクからR-TWTリンク(第1のリンク)に切り替えるために十分な時間を有するように、フレーム交換のためにリンクを一方のリンクから他方へリンクを切り替えるために必要とされる時間とすることができる。一実施形態によれば、このしきい値時間量は、基本的マルチリンク要素のEML能力サブフィールドの中のEMLSRパディング遅延サブフィールドで示された時間量とすることができる。この実施形態によれば、このしきい値は、0μs、32μs、64μs、128μs、または256μsまたは512μsとすることができる。一実施形態によれば、このしきい値量は、基本的マルチリンク要素のEML能力サブフィールドの中のEMLSR遷移遅延サブフィールドで示された時間量とすることができる。他のしきい値もまた考えられる。
【0091】
一実施形態によれば、非AP MLDがその関連付けされるAP MLDとEMLSRモードで動作しており、非AP MLDと連携し、AP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で動作しているSTAが、そのリンクでのTXOPホルダーであるとき、同じAP MLDと非AP MLDとの間の他のEMLSRリンク(たとえば、第1のリンク)で、または非AP MLDが単一の無線デバイスである場合はいずれかのリンクで、R-TWTスケジュールが確立される場合、非AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているSTAは、R-TWT SPが第1のリンク上で始まる前に、そのTXOPを終了する。
【0092】
一実施形態によれば、上記のシナリオでは、STAは、R-TWT SPが第1のリンク上で始まるしきい値時間量前に、第2のリンクでそのTXOPを終了する。このしきい値時間量は、非AP MLDが必要な無線Tx/Rxチェーンを第1のリンクからR-TWTリンク(第1のリンク)に切り替えるために十分な時間を有するように、フレーム交換のために一方のリンクから他方にリンクを切り替えるために必要とされる時間とすることができる。このしきい値は、前の実施形態に示した値の1つとすることができる。
【0093】
一実施形態によれば、非AP MLDがAP MLDとEMLSRモードで動作しようとするとき、R-TWTスケジュールがAP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つで確立される場合、非AP MLDと連携し、R-TWTスケジュールが確立されたリンクで動作しているSTAは、非AP MLDがEMLSRリンクの1つでEML動作モード通知フレームを正常に送信し、基本的マルチリンク要素におけるEML能力サブフィールドの遷移タイムアウトサブフィールドで示される遷移遅延が終了した後に、またはAP MLDからEML動作モード通知フレームを受信した後に、またはEMLSRリンクのいずれかでのフレーム交換の終了後に、または非AP MLDと連携しているSTAがTXOPのイニシエータである場合にはTXOPの終了後にEMLSR遷移遅延サブフィールドで示される持続時間後に、リスニングモードである必要を免除される。
【0094】
一実施形態によれば、非AP MLDがAP MLDとEMLSRモードで動作しており、R-TWTスケジュールが、AP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つに確立されるとき、AP MLDと連携しているAPが、非AP MLDと連携し、そのリンクで動作している、R-TWTをスケジュールされたSTAに初期制御フレームを送信することなく、そのリンク上でフレーム交換を開始してもよい。
【0095】
一実施形態によれば、非AP MLDがAP MLDとEMLSRモードで動作しており、複数のR-TWTスケジュールが、AP MLDと非AP MLDとの間の複数のリンクで確立されるとき、それらのリンクもまた、EMLSRリンクに含まれる場合、および1つのリンク(たとえば、第1のリンク)でのR-TWT SPが、他のリンク(たとえば、第2のリンク)でのR-TWT SPと時間的に重なる場合、重なっているTWT SPがリンクのいずれかで始まる前に、非AP MLDは、EMLSRモードを無効にする。
【0096】
上記で説明したシナリオについての一実施形態によれば、R-TWT SPの重なりが始まる前にEMLSRリンクを無効にする代わりに、非AP MLDは、そのリンクでのR-TWT SP中の選択されたリンクでのフレーム交換のために、2つのリンクのうちの1つでの2つのR-TWT SPのうちの1つを選択してもよい。このシナリオの一実施形態によれば、非AP MLDは、2つのリンクのうちのどちらのR-TWTリンクがフレーム交換のために選択されたかを示すために、AP MLDと非AP MLDとの間の有効なリンクのいずれかを通じていくつかのシグナリングをAP MLDに送ることができる。そのようなシグナリングは、選択されたR-TWTリンクのリンクID情報、選択されたR-TWTスケジュールのブロードキャストTWT IDなどを含むことができるフレームを用いて実施され得る。たとえば、制御フレーム、R-TWT SPインジケータは、この目的で使用され得る。
【0097】
図13は、本開示の実施形態による、R-TWTリンク選択フレームの例示的なフォーマットを示す。R-TWTリンク選択フレームのブロードキャストTWT IDサブフィールドは、EMLSRフレーム交換のために重なっているR-TWT SPリンクのうちから選択されたリンクのR-TWTスケジュールのブロードキャストTWT IDを示す。R-TWTリンク選択フレームの選択されたリンクIDサブフィールドは、EMLSRフレーム交換のために重なっているR-TWT SPリンクのうちから選択されたリンクのリンクIDを示す。
【0098】
一実施形態によれば、他のR-TWT SPよりも早く始まる、(複数の重なっているR-TWT SPのうちの)R-TWT SPに対応するリンクは、EMLSRリンクに選択される。一実施形態によれば、他のR-TWT SPよりも長いSP持続時間を有する、(複数の重なっているR-TWT SPのうちの)R-TWT SPに対応するリンクは、EMLSRリンクに選択される。
【0099】
一実施形態によれば、他のR-TWT SPよりもR-TWTセットアップ段階中にネゴシエートされる優先度の高いTIDを有する、(複数の重なっているR-TWT SPのうちの)R-TWT SPに対応するリンクは、EMLSRリンクに選択される。両方のリンクが、ネゴシエートされるTIDの同じセットを有する場合、一実施形態によれば、より高い(またはより低い)ブロードキャストTWT ID値を有するSPが選択される。一実施形態によれば、第1のチェックは、より高い優先度を有するR-TWT SPを調べることである。重なっているSPのすべてが同じ優先度を有する場合、SPを選択するための第2のチェックは、前述の方法のいずれかに基づくものとすることができる。
【0100】
上述のシナリオについての他の実施形態によれば、AP MLDは、R-TWT SPの選択を行うこともでき、前の実施形態で説明した方法のいずれかに基づいて、選択したリンクを非AP MLDに示すことができる。
【0101】
一実施形態によれば、非AP MLDがその関連付けされるAP MLDとEMLSRモードで動作しており、AP MLDと連携し、AP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で動作しているAPが、そのリンクでのTXOPホルダーであるとき、同じAP MLDと同じ非AP MLDとの間の他のEMLSRリンク(たとえば、第1のリンク)で、または非AP MLDが単一の無線デバイスである場合はいずれかのリンクで、R-TWTスケジュールが確立される場合、AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているAPは、第1のリンクでのR-TWT SP開始時間にかかわらず、第2のリンクでのその送信を続けてもよい。下りリンク送信が第2のリンク上で止まっていないことを観測すると、非AP MLDと連携し、第1のリンクで動作しているSTAは、そのスケジュールされたR-TWT SP持続時間中でもドーズ状態にとどまってもよい。一実施形態によれば、上記のシナリオにおいて、AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているAPは、そのAPが、非AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているSTAに対する下りリンクレイテンシに敏感なトラフィックを有する場合、第2のリンクでのその送信を続けてもよい。
【0102】
一実施形態によれば、非AP MLDがその関連付けされるAP MLDとEMLSRモードで動作しており、非AP MLDと連携し、AP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で動作しているSTAが、そのリンクでのTXOPホルダーであるとき、同じAP MLDと同じ非AP MLDとの間の他のEMLSRリンク(たとえば、第1のリンク)で、または非AP MLDが単一の無線デバイスである場合はいずれかのリンクで、R-TWTスケジュールが確立される場合、非AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているSTAは、第1のリンクでのR-TWT SP開始時間にかかわらず、第2のリンクでのその送信を続けてもよい。この実施形態によれば、第2のリンクでの進行中の送信のために、非AP MLDと連携し、第1のリンクで動作しているSTAは、そのスケジュールされたR-TWT SP持続時間中でもドーズ状態にとどまってもよい。一実施形態によれば、上記のシナリオにおいて、非AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているSTAは、そのSTAがAP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているAPに対する上りリンクレイテンシに敏感なトラフィックを有する場合、第2のリンクでのその送信を続けてもよい。
【0103】
一実施形態によれば、非AP MLDがAP MLDとEMLSRモードで動作しており、AP MLDと連携し、AP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で動作しているAPが、そのリンクでのTXOPホルダーであるとき、同じAP MLDと同じ非AP MLDとの間の他のEMLSRリンク(たとえば、第1のリンク)で、または非AP MLDが単一の無線デバイスである場合はいずれかのリンクで、R-TWTスケジュールが確立される場合、AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているAPは、第1のリンクでのR-TWTスケジュールのためにネゴシエートされるTID(1つまたは複数)が、TIDからリンクへのマッピング(TID-to-Link mapping)を通して第2のリンクにマップされない場合、R-TWT SPが第1のリンクで始まるよりも、少なくとも基本的マルチリンク要素のEML能力サブフィールドのEMLSRパディング遅延サブフィールドで示される時間量前に、そのTXOPを終了すべきである。
【0104】
一実施形態によれば、非AP MLDがAP MLDとEMLSRモードで動作しており、非AP MLDと連携し、AP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つ(たとえば、第2のリンク)で動作しているSTAが、そのリンクでのTXOPホルダーであるとき、同じAP MLDと同じ非AP MLDとの間の他のEMLSRリンク(たとえば、第1のリンク)で、または非AP MLDが単一の無線デバイスである場合はいずれかのリンクで、R-TWTスケジュールが確立される場合、非AP MLDと連携し、第2のリンクで動作しているSTAは、第1のリンクでのR-TWTスケジュールのためにネゴシエートされるTID(1つまたは複数)が、TIDからリンクへのマッピングを通して第2のリンクにマップされない場合、R-TWT SPが第1のリンクで始まるよりも、少なくとも基本的マルチリンク要素のEML能力サブフィールドのEMLSRパディング遅延サブフィールドで示される時間量前に、そのTXOPを終了すべきである。
【0105】
一実施形態によれば、非AP MLDがAP MLDとEMLSRモードで動作しており、R-TWTスケジュールが、AP MLDと非AP MLDとの間のEMLSRリンクの1つに確立されるとき、AP MLDと連携しているAPが、非AP MLDと連携し、そのリンクで動作している、R-TWTをスケジュールされたSTAに初期制御フレームを送信することなく、そのリンクでのR-TWT SP中に、そのリンク上でフレーム交換を開始してもよい。
【0106】
図14は、本開示の一実施形態による、WLANにおけるMLDのためにTWT動作とEMLSR動作の共存を容易にするための例示的なプロセスを示す。図14のプロセスは、非AP MLDによって実施されると説明するが、対応するAP MLDが対応するプロセスを実施すると理解されたい。これらの役割は逆にされ得ること、および図14のプロセスは、AP MLDを用いて実施され得ることをさらに理解されたい。加えて、便宜上、図14のプロセスは、WI-FI AP MLDと連携している対応するAPとのリンクを形成するように構成されたトランシーバを各々備える複数のSTAを含むWI-FI非AP MLDによって実施されると説明される。さらに、リンクのうちの第1のリンクでの通信のために、第1のリンクで動作するSTAのうちの第1のSTAが、第1のリンクでのR-TWT SPのメンバーであり、リンクのうちの第2のリンクで動作するSTAのうちの第2のSTAが、第1のリンクでのR-TWT SPと時間的に重なる、第2のリンク上のいずれか他のR-TWT SPのメンバーではないように、R-TWTスケジュールが確立される。しかしながら、任意の好適なワイヤレス通信デバイスがこれらのプロセスを実施し得ることを理解されたい。
【0107】
図14を参照すると、プロセスは、非AP MLDが非AP MLDをEMLSR動作モードに遷移させることを決定することから始まり(ステップ1405)、第1のリンクおよび第2のリンクは、EMLSRリンクペアを形成する。いくつかの実施形態では、EMLSRモードへの遷移後に、第1のリンクがR-TWT SPにある場合、非AP MLDは第1のリンクをEMLSRリスニングモードに遷移させ、R-TWT SPが終了した後に第1のリンクがTWTドーズ状態に入ることを可能にし、残りのリンクをEMLSRリスニングモードに遷移させる。
【0108】
ステップ1405においてEMLSRモードに遷移した後に、非AP MLDは、いくつかの実装形態では、リンクのサブセット(たとえば、EMLSRリンクセット)でAP MLDとのEMLSR動作を実行してもよい。いくつかのそのような実施形態では、R-TWTスケジュールが第1のリンクで確立される場合、第1のリンクはサブセットに含まれない。
【0109】
次に、非AP MLDは、TXOPが第2のリンク上で始まったと決定する(ステップ1410)。非AP MLDは次いで、TXOP中の第2のリンクでのAP MLDとのフレーム交換シーケンスが、第1のリンクでのR-TWT SPと時間的に重ならないように、STA間で協調する(ステップ1415)。
【0110】
いくつかの実施形態では、第2のSTAが第2のリンクで、第2のリンクでのTXOPホルダーとして動作する場合、ステップ1415において、非AP MLDは、R-TWT SPが第1のリンク上で始まる前に、第2のSTAが第2のリンクでのTXOPを終了するように、STA間で協調する。第2のリンクでのTXOPが終了された場合、非AP MLDは、EMLSR初期制御フレーム交換が第1のリンクに対して実施されることなく、第1のリンクでR-TWT SP中に第2のフレーム交換シーケンスを始めてもよい。
【0111】
第2のSTAが第2のリンクで、第2のリンクでのTXOPホルダーとして動作するいくつかの他の実施形態では、ステップ1415において、非AP MLDは、遅くともR-TWT SPが第1のリンク上で始まるしきい値時間量前までに、第2のSTAが第2のリンクでのTXOPを終了するように、STA間で協調する。このしきい値量は、EMLSRリンクペアに指定される、基本的マルチリンク要素のEMLSR遷移遅延サブフィールドで示される、EMLSR遷移遅延値に等しいことがある。
【0112】
いくつかの実施形態では、R-TWTスケジュールのために第1のリンクにマップされるTIDのセットが、第2のリンクにもマップされると、ステップ1415において、非AP MLDは、第1のリンクがR-TWT SP中、TWTドーズ状態にとどまることを可能にし、トランシーバの少なくとも1つが、フレーム交換シーケンスの一部として第2のリンクでAP MLDに、TIDのセットに対応するトラフィックを送信することを可能にする。
【0113】
上記のフローチャートは、本開示の原理に従って実装され得る例示的な方法またはプロセスを示し、フローチャートに示した方法またはプロセスには、様々な変更が行われ得る。たとえば、一連のステップとして示されているが、様々なステップが重複する、並行して行われる、異なる順序で行われる、または複数回行われることがある。別の例では、ステップが省略される、または他のステップに置き換えられる場合がある。
【0114】
本開示を例示的な実施形態とともに説明したが、様々な変更および修正が当業者に思いつかれる可能性がある。本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るそのような変更および修正を包含するものとする。本出願における説明のいずれも、特定の要素、ステップ、または機能が、特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素であることを暗示していると解釈されるべきではない。特許される主題の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0115】
100 ワイヤレスネットワーク
101 アクセスポイント(AP)、AP MLD
102 AP
103 AP
111 ステーション(STA)/非AP MLD
112~114 STA
120 カバレージエリア
125 カバレージエリア
130 ネットワーク
202 AP
203 STA
204 アンテナ
205 アンテナ
209 無線周波数(RF)トランシーバ
210 RFトランシーバ
214 送信(TX)処理回路
215 TX処理回路
219 受信(RX)処理回路
220 マイクロフォン
224 コントローラ/プロセッサ
225 RX処理回路
229 メモリ
230 スピーカー
234 バックホール/ネットワークインターフェース
240 メインコントローラ/プロセッサ
245 入力/出力(I/O)インターフェース(IF)
250 タッチスクリーン
255 ディスプレイ
260 メモリ
261 オペレーティングシステム(OS)
262 アプリケーション
302 EML動作モード通知フレーム
304 EML動作モード通知フレーム
402 EMLSR初期制御フレーム
502 TXOP
504 制限付きTWT SP
802 時間
804 時間
902 残り時間
1002 TXOP
1004 元の終了時間
1006 開始時間
1008 TWT SP
1010 時間
1012 しきい値時間量
1102 TXOP
1104 TWT SP
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスネットワークに関連付けされる非アクセスポイント(AP)マルチリンクデバイス(MLD)であって、
前記非AP MLDと連携している第1の非APステーション(STA)であって、AP MLDと連携している第1のAPとの第1のリンク上で動作し、制限付きターゲットウェイク時間(R-TWT)スケジュールが前記第1のリンク上で確立される、第1の非AP STAと、
前記非AP MLDと連携している第2の非AP STAであって、前記AP MLDと連携している第2のAPとの第2のリンクで動作し、送信機会(TXOP)中に前記第2のリンク上でフレーム交換が行われる、第2の非AP STAと、
前記第1の非AP STAおよび前記第2の非AP STAに結合されたプロセッサであって、
前記第1のリンクおよび前記第2のリンク上で拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)モードで前記AP MLDとともに動作することと、
遅くともR-TWTサービス期間(SP)が前記第1のリンクで始まるしきい値時間量前までに、前記第2のリンク上の前記TXOPが終わるように、前記第2の非AP STAと前記第2のAPとの間で協調することと
を行うように構成された、プロセッサと
を備える、非AP MLD。
【請求項2】
前記第1の非AP STAは、前記第1のリンク上の前記R-TWT SPのメンバーであり、前記第2の非AP STAは、前記第1のリンク上の前記R-TWT SPと重なる前記第2のリンク上のいずれのR-TWT SPのメンバーでもない、請求項1に記載の非AP MLD。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2の非AP STAが前記第2のリンクでのTXOPホルダーである場合、遅くとも前記R-TWT SPが前記第1のリンクで始まる前記しきい値時間量前までに、前記第2の非AP STAが前記第2のリンク上の前記TXOPを終了するように、前記第2の非AP STAと前記第2のAPとの間で協調するように構成される、請求項1または請求項2に記載の非AP MLD。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第2のAPが前記第2のリンクでのTXOPホルダーである場合、遅くとも前記R-TWT SPが前記第1のリンクで始まる前記しきい値時間量前までに、前記第2のAPが前記第2のリンク上の前記TXOPを終了するように、前記第2の非AP STAと前記第2のAPとの間で協調するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項5】
前記しきい値時間量は、基本的マルチリンク要素のEML能力サブフィールドの中のEMLSR遷移遅延サブフィールドで示されるEMLSR遷移遅延に等しい、請求項1から4のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項6】
前記しきい値時間量は、前記第2のリンク上でフレームを交換することから前記第1のリンクでのEMLSRリスニングモードに切り替えるために、前記非AP MLDによって必要とされる時間に等しい、請求項1から5のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項7】
前記第1のリンク上の前記R-TWT SPは、前記第2のリンク上で行われるフレーム交換シーケンスと時間的に重なる、請求項1から6のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第1のリンク上の前記R-TWT SPのためにネゴシエートされるトラフィック識別子(TID)のセットが、フレーム交換のために前記第2のリンクにマップされる場合、前記フレーム交換が前記第2のリンク上で継続するように、前記第2の非AP STAと前記第2のAPとの間で協調するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項9】
前記第1のリンクおよび前記第2のリンクは、EMLSRリンクのペアを形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の非AP MLD。
【請求項10】
ワイヤレスネットワークに関連付けされるアクセスポイント(AP)マルチリンクデバイス(MLD)であって、
前記AP MLDと連携している第1のAPであって、非AP MLDと連携している第1の非APステーション(STA)との第1のリンク上で動作し、制限付きターゲットウェイク時間(R-TWT)スケジュールが前記第1のリンク上で確立される、第1のAPと、
前記AP MLDと連携している第2のAPであって、前記非AP MLDと連携している第2の非AP STAとの第2のリンクで動作し、送信機会(TXOP)中に前記第2のリンク上でフレーム交換が行われる、第2のAPと、
前記第1のAPおよび前記第2のAPに結合されたプロセッサであって、
前記第1のリンクおよび前記第2のリンク上で拡張マルチリンクシングル無線(EMLSR)モードで前記非AP MLDとともに動作することと、
遅くともR-TWTサービス期間(SP)が前記第1のリンクで始まるしきい値時間量前までに、前記第2のリンク上の前記TXOPが終わるように、前記第2のAPと前記第2の非AP STAとの間で協調することと
を行うように構成された、プロセッサと
を備える、AP MLD。
【請求項11】
前記第1の非AP STAは、前記第1のリンク上での前記R-TWT SPのメンバーであり、前記第2の非AP STAは、前記第1のSPと重なる前記第2のリンク上のいずれのR-TWT SPのメンバーでもない、請求項10に記載のAP MLD。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記第2のAPが前記第2のリンクでのTXOPホルダーである場合、遅くともR-TWT SPが前記第1のリンクで始まるしきい値時間量前までに、前記第2のAPが前記第2のリンク上の前記TXOPを終了するように、前記第2のAPと前記第2の非AP STAとの間で協調するように構成される、請求項10または請求項11に記載のAP MLD。
【請求項13】
前記しきい値時間量は、基本的マルチリンク要素のEML能力サブフィールドの中のEMLSR遷移遅延サブフィールドで示されるEMLSR遷移遅延に等しい、請求項10から12のいずれか一項に記載のAP MLD。
【請求項14】
前記しきい値時間量は、前記第2のリンク上でフレームを交換することから前記第1のリンクでのEMLSRリスニングモードに切り替えるために、前記非AP MLDによって必要とされる時間に等しい、請求項10から13のいずれか一項に記載のAP MLD。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記第1のリンク上の前記R-TWT SPのためにネゴシエートされるトラフィック識別子(TID)のセットが、フレーム交換のために前記第2のリンクにマップされる場合、前記フレーム交換が前記第2のリンク上で継続するように、前記第2のAPと前記第2の非AP STAとの間で協調するように構成される、請求項10から14のいずれか一項に記載のAP MLD。
【国際調査報告】