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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20240905BHJP
   A61F 2/958 20130101ALI20240905BHJP
   A61F 2/848 20130101ALI20240905BHJP
【FI】
A61F2/966
A61F2/958
A61F2/848
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510634
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 US2022045400
(87)【国際公開番号】W WO2023056027
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/251,213
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/956,672
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522054754
【氏名又は名称】リフロー メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス、テオドロ エス.
(72)【発明者】
【氏名】フルカーソン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リズク、アイザ
(72)【発明者】
【氏名】アグアーヨ、フランシスコ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA55
4C267AA56
4C267BB03
4C267BB05
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB26
4C267BB27
4C267CC07
4C267CC08
4C267GG16
(57)【要約】
ステント又は足場などの拡張可能要素のための送達システムが、そのようなシステムを使用するための関連する方法と共に記載されている。送達システムには、送達システムの全長に延びる必要がないシースによって取り囲まれたステント及び/又はバルーンが備わっている場合がある。代わりに、シースは、シースの後退及び前進のために制御ワイヤに結合することができる。ステント及び/又はバルーンを短いシースで取り囲むことによって、送達システムの外形が削減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張式バルーンを備える内部シャフトと、
前記バルーンを囲み、前記内部シャフトと結合されたステントと、
前記ステント及び前記膨張式バルーンの周りに円周方向に連続して延びるシースと、
前記シースの近位端に結合され、前記内部シャフトの横に前記シースから近位方向に延びるシース制御ワイヤとを備える送達システム。
【請求項2】
前記ステントは、フレームと、前記ステントが前記シースから解放されたとき前記フレームから半径方向に離れるように延びるように構成された突出機構とを備える、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記シースは、前記ステントの長さの200%未満の長さを有する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項4】
前記シースは、前記ステントの長さより10cmを超えない長さを有する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項5】
前記送達システムは、前記シースにおける断面寸法より小さい、前記シース制御ワイヤにおける断面寸法を有する、請求項1に記載の送達システム。
【請求項6】
前記内部シャフト内に摺動可能に配設されたガイドワイヤをさらに備える、請求項1に記載の送達システム。
【請求項7】
膨張式バルーンを備える内部シャフトと、
前記内部シャフトの一部の周りに延びるステントと、
前記ステント全体を覆うシースであって、前記ステントの長さの200%未満の長さ
を有するシースと、
前記シースの近位端に結合され、前記内部シャフトの横に延びるシース制御ワイヤとを備える送達システム。
【請求項8】
前記シースの前記長さは、前記ステントの前記長さより10cmを超えない、請求項7に記載の送達システム。
【請求項9】
前記シースは、前記バルーンの全体をさらに覆う、請求項7に記載の送達システム。
【請求項10】
前記シースの前記長さは、前記バルーンの長さの200%未満である、請求項9に記載の送達システム。
【請求項11】
前記シースの前記長さは、前記バルーンの長さより10cmを超えない、請求項9に記載の送達システム。
【請求項12】
前記ステントは、フレームと、前記ステントが前記シースから解放されたとき前記フレームから半径方向に離れるように延びるように構成された突出機構とを備える、請求項7に記載の送達システム。
【請求項13】
前記送達システムは、前記シースにおける断面寸法より小さい、前記シース制御ワイヤにおける断面寸法を有する、請求項7に記載の送達システム。
【請求項14】
前記内部シャフト内に摺動可能に配設されたガイドワイヤをさらに備える、請求項7に記載の送達システム。
【請求項15】
膨張式バルーンを備える内部シャフトと、
前記内部シャフトの一部の周りに延び、前記バルーンに軸方向に隣接するステントと、
前記バルーンを覆わずに前記ステントを覆うシースと、
前記シースの近位端に結合され、前記内部シャフトの横に前記シースから近位方向に延びるシース制御ワイヤとを備える送達システム。
【請求項16】
前記ステント及び前記シースは、前記バルーンの近位にある、請求項15に記載の送達システム。
【請求項17】
前記ステント及び前記シースは、前記バルーンの遠位にある、請求項15に記載の送達システム。
【請求項18】
前記ステントは、フレームと、前記ステントが前記シースから解放されたとき前記フレームから半径方向に離れるように延びるように構成された突出機構とを備える、請求項15に記載の送達システム。
【請求項19】
前記送達システムは、前記シースにおける断面寸法より小さい、前記シース制御ワイヤにおける断面寸法を有する、請求項15に記載の送達システム。
【請求項20】
前記内部シャフト内に摺動可能に配設されたガイドワイヤをさらに備える、請求項15に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「Delivery Systems」というタイトルで2021年10月1日に提出された米国仮特許出願第63/251,213号の利益を主張しており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本記載は、一般に、ステント又は足場などの拡張可能要素のための送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
多様なデバイスを使用して、患者の体内の所望の治療場所に薬剤を送達する、又は他の治療法を提供することができる。例えば、薬剤溶出ステント(DES)などのステントを動脈硬化によって生じた狭窄(動脈狭窄)の場所に位置決めすることができる。DESは一般に、金属ステント又は足場の上に塗布された薬剤含有ポリマー、或いは薬剤含有ポリマーで構成された生体吸収性ステント又は足場を含む。DESが体腔(例えば、血管)内の治療場所に送達された後、それは、体腔の壁(例えば血管壁)に当接して拡張され、壁との直接の接触を介して薬剤が放出される。血管壁への薬剤の直接の送達は、他の送達手段(例えば丸薬又は注射)を介して必要とされるものより、投与量をかなり低くすることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】送達システムの一例の部分概略側面図である。
図2】線2-2に沿って切り取った、図1の送達システムの一例の領域の断面図である。
図3】線3-3に沿って切り取った、図1の送達システムの一例の領域の断面図である。
図4】ステントが非拘束状態の、図1の送達システムの遠位部分の拡大された部分概略側面図である。
図5】組み立て前の構成での送達システムの一例の部分概略側面図である。
図6】展開の第1の段階での送達システムの一例の側面図である。
図7】展開の第2の段階での図6の送達システムの側面図である。
図8】展開の第3の段階での図6の送達システムの側面図である。
図9】展開の第4の段階での図6の送達システムの側面図である。
図10】展開の第1の段階での送達システムの一例の側面図である。
図11】展開の別の段階での図10の送達システムの側面図である。
図12】展開の第1の段階での送達システムの一例の側面図である。
図13】展開の別の段階での図12の送達システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
1つ又は複数の実装形態において、各図面における描かれる構成要素の全てが必要とされない場合があり、1つ又は複数の実装形態は、図面に示されない追加の構成要素を含む場合がある。構成要素の配置及びタイプの変更は、主題の開示の範囲から逸脱することなく行われてよい。追加の構成要素、異なる構成要素又はより少ない構成要素が主題の開示の範囲内で利用されてもよい。
【0006】
以下に記載される詳細な説明は、種々の実装形態の説明として意図されており、主題の技法が実施され得る実装形態のみを表すことは意図されていない。当業者が認識するように、記載される実装形態は、本開示の範囲から全て逸脱することなく様々な異なる方法で修正されてもよい。したがって、図面及び説明は、制限ではなく、本質的に例示としてみなされるべきである。
【0007】
以下の開示は、標的組織を貫通する及び/又はヒトである患者の体内に薬剤を送達するためのトゲ、フレイル又は他の突出機構を有するステント又は足場などの拡張可能構造のための送達システム、並びに関連デバイス及び方法の種々の実施例を記載している。送達システムは、拡張可能構造を体腔(例えば、血管)内に送達し位置決めするように構成することができる。加えて、これらの送達システムはまた、体腔内で拡張可能構造を展開し、拡張するように構成することもできる。送達システムは、体腔からの取り外しのために拡張した構造と係合し、構造を折り畳むようにさらに構成することができる。一部の実施例では、送達システムは、単一の処置において、又は複数の処置の間に、別の拡張可能構造又は同じ拡張可能構造を別の体腔に送達する、或いは同じ体腔に送達するように構成することができる。そのような送達システムは、経腔的処置を簡素化し促進することで、拡張可能構造を標的組織内により効果的に送達し位置決めすると予想される。送達システムは、展開後の拡張可能構造を再度捕捉するように構成された場合、拡張可能構造の展開など2つ以上の処置で使用することができる。
【0008】
詳細には、本明細書に記載される送達システムには、標的送達場所へのステントの拡張及び送達のために膨張式バルーンを覆って位置決めされるステントが備わっている場合がある。膨張式バルーンを覆い、その周りにステント位置決めすることによって、ステントは、シースに対して引き出されるとすぐにバルーンによって拡張される準備ができる。加えて、又は代替として、ステントは、バルーンに対して軸方向のずれた配置に位置決めされることで、重なり合う構成要素によって必要とされる空間の必要性を低減することができる。
【0009】
特定の詳細が、開示の種々の実施例の完全な理解を提供するために以下の記載及び図1図13に記載されている。開示の種々の実施例の記載を不必要に曖昧にするのを避けるために、拡張可能構造、突出機構、並びにそのような構造の製造に関連する構成要素又はデバイスに関連付けられることが多いよく知られた構造及びシステムを記載する他の詳細は以下に記載されていない。さらに、図面に示される詳細及び特徴の多くは、開示の特定の実施例の単なる例示である。したがって、一部の実施例は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく他の詳細及び特徴を有する場合もある。関連分野における当業者は、したがって、本技法は、関連付けられたデバイス、システム及び処置を含み、追加の要素又はステップを含む他の実施例を含んでもよい、及び/又は図1図13を参照して以下に示され記載される特徴又はステップのうちのいくつかを伴っていない他の実施例を含む場合もあることを理解するであろう。さらに、開示の種々の実施例は、図面に例示されるもの以外の構造を含む場合があり、図面に示される構造に明らかに限定されるものではない。
【0010】
図1は、送達状態(例えば、低い外形又は折り畳まれた構成)におけるステントに関する送達システム100の部分的な概略側面図を示す。送達システム100は、内部シャフト110及び/又はガイドワイヤ162の遠位部分を中に含むための内腔を有するシース120(例えば、管)を含む。シース120の近位では、シース制御ワイヤ122が、内部シャフト110及び/又はガイドワイヤ162の横に(例えば、それを取り囲まずに)延びている。いくつかの実施例において、シース120はまた、1つ又は複数の層を含んでもよい。これらの実施例では、例えば、シース120の層は、内部層、外部層、ライナー、又はその組み合わせを含むことができる。層の各々は、ポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、Pebax(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)又はその組み合わせを含む材料から形成することができる。いくつかの実施例において、シース120の層の各々は、同じ材料から形成される。しかしながら他の実施例では、層の1つ又は複数は、異なる材料から形成される場合もある。
【0011】
内部シャフト110は、コネクタ150から、シース120の中を通って、シース120の遠位部分120bを超えて延びることができる。内部シャフト110は、コイル状管、編組管、強化管又はその組み合わせなどの、管状構造(スリットを有する、又はスリットなしの)として形成することができ、ポリアミドなどのポリマー材料で構築されてよい。送達システム100は、内部シャフト110内にあり、送達システム100の近位端において接触可能なガイドワイヤを含むことができる。
【0012】
送達システム100の遠位部分100bの詳細な図では、先端115(例えば、傷つけないような先端)が、内部シャフト110の遠位の末端に配設される。例示されるように、先端115は、シース120の遠位の末端に隣接している。先端115の少なくとも一部は、シース120と同じ断面寸法を有することができる、又は先端115は、異なる断面寸法を有する場合もある。いくつかの実施例において、先端115の遠位端115bは、遠位端115bが先端の近位端115aと比較して小さい断面寸法を有するように先細にされる。先端115の遠位縁部及び/又は近位縁部は、送達、位置決め、展開などの間に、先端115が送達システム100の他の部分に捕らわれないように(例えば、嵌まらないように)湾曲される/丸められる場合もある。先端115は、シース120と同じ材料で形成することができる。しかしながら他の実施例では、先端115は、シース120と異なる材料から形成される場合もある。
【0013】
内部シャフト110は、患者の標的箇所(例えば、治療箇所)に経脈管的に接近するためにサイズが決められ成形することができる。いくつかの実施例において、例えば、内部シャフト110は、約150cmから約180cmの長さと、被験者の血管系内に位置決めするために適した断面寸法とを有する。内部シャフト110の長さは、被験者の血管系内に位置決めすることができる長さなど、作業長さであり得る。いくつかの実施例において、例えば、作業長さは、約70cmから約300cm、約150cmから約250cm、又は約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約130cm、約140cm、約150cm、約160cm、約170cm、約180cm、約190cm、約200cm、約210cm、約220cm、約230cm、約240cm、約250cm、約260cm、約270cm、約280cm、約290cm又は約300cmである。いくつかの実施例において、シース120は、約1センチメートル(cm)から約50cmの長さと、約1.33mm(4フレンチ)、約1.67mm(5フレンチ)、又は約2.00mm(6フレンチ)の断面寸法を有する。いくつかの実施例において、例えば、シース120の長さは、約1cmから約50cm、約2cmから約40cm、約3cm、約4cm、約5cm、約6cm、約7cm、約8cm、約9cm、約10cm、約20cm、約30cm、約40cm、及び/或いは上記の値を含む、若しくはその間にある任意の値又は範囲である。例示の実施例では、シース制御ワイヤ122は、シース120に結合される(例えば、接着を介して、及び/又は一体式に、或いはモノリシックに形成される)。
【0014】
送達システム100は、シース120の遠位部分において送達状態/折り畳まれた状態で、本明細書でさらに考察されるステントを担持するように構成される。ステントは、シース120によって少なくとも部分的に覆うことができる。いくつかの実施例において、ステントは、内部シャフト110に固定式に、又は取り外し可能に結合することができる。送達システム100は、ステントのための送達システムとして例示されているが、本技法の実施例はまた、ケージ、メッシュ、バルーン、膜、管状構造、円周方向の本体、拡張可能要素、拡張可能膜、拡張可能構造、拡張可能管状構造及びガイドワイヤ内腔を有する、又はそれを持たない、円周方向に拡張可能なカテーテル先端を含む場合もあることを理解されたい。
【0015】
図2は、線2-2に沿って切り取った図1の送達システム100の範囲の断面図を示す。図2に例示されるように、内部シャフト110は、シース120の内腔内に少なくとも部分的に配設することができ、ガイドワイヤ162は、内部シャフト110の内腔内に少なくとも部分的に配設することができる。いくつかの実施例において、シース120、内部シャフト110及び/又はガイドワイヤ162は各々、円形の断面形状を有する。しかしながらいくつかの実施例において、シース120、内部シャフト110及び/又はガイドワイヤ162は、卵形形状、「C」字形状、矩形形状、三角形状などの他の断面形状を有する場合もある。
【0016】
ガイドワイヤ162及び内部シャフト110は、例示されるような前面と背面、又は内側と外側など、任意の構成でシース120の内腔内に位置決めすることができる。さらに、ガイドワイヤ162及び内部シャフト110は、例示されるように互いに対してシース120の内腔内に位置決めすることができる、又はガイドワイヤ162は、内部シャフト110の外側に位置決めすることもできる。例えば、ガイドワイヤ162の長さに沿って内部シャフト110の内腔内に流体経路を画定することができる。流体経路は、コネクタ150のポート152に接続する、及び/又はポート152によって接触可能であり得る。
【0017】
図3は、線3-3に沿って切り取った図1の送達システム100の範囲の断面図を示す。図3に例示されるように、内部シャフト110は、シース制御ワイヤ122の横に延びることができ、ガイドワイヤ162は、内部シャフト110の内腔内に少なくとも部分的に配設することができる。いくつかの実施例において、シース制御ワイヤ122、内部シャフト110及び/又はガイドワイヤ162は各々、円形の断面形状を有する。しかしながらいくつかの実施例において、シース制御ワイヤ122、内部シャフト110及び/又はガイドワイヤ162は、卵形形状、「C」字形状、矩形形状、三角形状などの他の断面形状を有する場合もある。ガイドワイヤ162及び内部シャフト110は、シース制御ワイヤ122によって取り囲まれることなく、シース制御ワイヤ122の横に位置決めすることができる。図3に示される部分の全体の断面寸法D2(すなわち、シース制御ワイヤ122を含み、シース120は含まない)は、図2に示される部分の断面寸法D1(すなわち、シース120を含む)より小さくなり得る。
【0018】
図4は、展開状態での図1の送達システム100の遠位部分100bの側面図を示す。例示の実施例では、ステント190は、バルーン180を覆って延び、内部シャフト110に結合され、シース120からは引き出されている。近位の視覚化マーカー192が、ステント190の近位部分付近で安定化ワイヤ160上に配設され、遠位の視覚化マーカー197が、ステントの遠位端190c上に配設される。いくつかの実施例において、近位の視覚化マーカー192及び/又は遠位の視覚化マーカー197は、安定化ワイヤ160上に配設されてもよい。視覚化マーカー192及び/又は197は、ステント190が(例えば、標的血管内に)経脈管的に位置決めされる間に視覚化することができる任意の材料から形成することができる。一実施例では、例えば、視覚化マーカー192及び/又は197は、放射線不透過性マーカーである。安定化ワイヤ160を内部シャフト110に接続することができることで、本明細書でさらに考察されるように、内部シャフト110の移動は、安定化ワイヤ160を介してステント190をこれに対応して推し進めることになる。或いは、安定化ワイヤ160は、本明細書でさらに考察されるように、内部シャフト110に対して独立して可動である場合もある。
【0019】
先端115が、内部シャフト110の末端110c上に配設され、末端110cを囲繞し、遠位部分110bに沿って近位方向に、及び/又は末端110cから遠位方向に延びることができる。内部シャフト110は、シース120から遠位方向に、ステント190の内腔を通って延び、任意選択でステント190の遠位端から遠位方向に延びる。展開構成において、突出機構194が、本明細書でさらに考察されるように、ステント190の長手方向軸から半径方向に延びている。
【0020】
内部シャフト110はまた、本明細書でさらに考察されるように、膨張式バルーン(図示せず)を含むことができる。膨張式バルーンは、ステント190がシース120内で送達状態(例えば、低い外形又は折り畳まれた構成)にある間、及び/又はステント190が送達状態から最初に展開される間、ステント190の遠位で、又はステント190の近位でステント190と軸方向に重なることができる。
【0021】
ガイドワイヤ162は、内部シャフト110の中を通り、先端115を超えて延びることができる。したがって、ガイドワイヤ162は、送達システム100の他の部分より前に進めることができる。内部シャフト110、ステント190及びシース120は、ステント190が所望の標的送達場所と位置合わせされるまで、ガイドワイヤ162上を進めることができる。送達システム100の他の部分と重なるガイドワイヤ162の長さは、内部シャフト110の範囲内とすることができることで、それは送達システム100のいかなる他の構成要素にも干渉することはない。
【0022】
ここで図5を参照すると、シースは、シースの制御のために接続を維持したまま、送達システムのかなりの長さがそれ以外で覆われない状態のままで、送達システムの一部を取り囲むことができる。
【0023】
図5に示されるように、送達システム100は、組み立て前の構成で提供されており、そこでは、シース120は、送達システム100の残りの構成要素から分離されている。示されるように、シース120は、ステント190の長さL2及び/又は膨張式バルーン180の長さL3より大きい長さL1に沿って延びることができる(例えば、互いに重なり合っても、又は互いに軸方向に隣接しても)。したがって、シース120は、少なくとも1つのその構成においてバルーン180及び/若しくはステント190を覆う、並びに/又は取り囲むことができる。そのような取り囲みは、バルーン180及び/若しくはステント190の軸方向の全長に沿ってシース120を設けること、並びに/又はバルーン180及び/若しくはステント190の周りの円周方向の全距離に沿ってシース120を設けることを含むことができる。シース120の長さは、バルーン180及び/又はステント190の長さの100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%又は300%を超えない場合がある。シース120の長さは、バルーン180及び/又はステント190の長さより、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、16cm、17cm、18cm、19cm又は20cmを超えない場合がある。本明細書で使用される際、ステント190の長さは、突出機構194を支持するフレーム191の長さを指す。ステント190のそのような長さは、安定化ワイヤ160の長さを除外する。例えば、ステント190の長さは、ステント190の最も遠位の端から、安定化ワイヤ160に接続する最も近位の端部まで測定することができる。本明細書で使用される際、バルーン180の長さは、内部シャフト110を半径方向に超えて延びるその最も外側の寸法及び/又は長さを制御可能に増大することができる、その長さを指す。バルーン180の長さは、バルーン180の最も遠位の端部からバルーン180の最も近位の端部まで測定することができる。バルーン180のそのような長さは、バルーン180を近位方向に、又は遠位方向に超えて延びる内部シャフト110の長さを除外する。
【0024】
図5にさらに示されるように、シース120は、全体的に管状及び/又は円筒形状を形成することで、他の構成要素を囲繞し、その他の点では低い外形を維持することができる。シース120は、長手方向及び/又は円周方向に連続することができるため、その間には半径方向の開口が設けられない。いくつかの実施例において、シース120の外面及び/又は内面は、図2にさらに示されるように、滑らか(例えば円形)であり得る。いくつかの実施例において、シース120の外面及び/又は内面は、表面加工され得る、及び/又は溝、チャネル、凹部、空洞などを形成する場合もある。
【0025】
シース120の近位端では、シース制御ワイヤ122をそこに結合することができる。例えば、シース制御ワイヤ122は、コネクタ124によってシース120に結合することができる。一部の実例では、コネクタ124は、シース制御ワイヤ122の断面寸法からシース120の断面寸法まで移行する。シース120は、その管状形状の内腔を提供することで、バルーン180及び/又はステント190を収容することができ、その一方で、シース制御ワイヤ122は、送達システム100の他の構成要素を取り囲むことなく、そのような構成要素の横に延びることができる。例えば、シース制御ワイヤ122は、その軸方向の末端においてシース120の半径側(例えば上、下、左又は右)から延びることができる。これは、シース120の内腔を、内部シャフト110などの要素の通行のために塞がれない状態のままにすることができる。さらなる実例によって、シース制御ワイヤ122は、内部シャフト110の横に(例えば一般的にそれと平行に)延びることができる。
【0026】
連続するシース120の代わりにシース制御ワイヤ122を設けることによって、シース制御ワイヤ122が横切る長さに沿った送達システム100の全体の断面寸法は、シース120がそのような長さにわたって延び、その長さに沿って構成要素を取り囲む場合よりも小さくなり得る。
【0027】
シース120は、バルーン180及び/又はステント190を取り囲むための様々な構造のうちの1つを含むことができる。例えば、シース120は、金属(例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル合金など)、ポリマー(例えば、PEEK、HDPE、ポリイミドなど)及び/又は他の材料の管を含むことができる。いくつかの実施例において、シース120は、軸方向及び/又は円周方向に延びる連続する構造であり得る。いくつかの実施例において、シース120は任意選択で、スリット、空隙、開口、ひっかき傷及び/又は他の遮断物を含むことで、その長さに沿ってより大きな可撓性を提供することができる。いくつかの実施例において、シース120は、モノリシック構造であり得る。いくつかの実施例において、シース120は、組立体として形成することができ、例えば、らせん状に延びる細糸及び/又はらせん状コイルの編組管などであり得る。いくつかの実施例において、シース120は、その内面及び/又は外面上に1つ又は複数のコーティング層を含むことができる。例えば、そのようなコーティングは、ポリマー(例えば、PTFE、ポリエーテルブロックアミドなど)を含むことで、他の構成要素と接触する間のシース120の移動を促進することができる。
【0028】
いくつかの実施例において、シース120は、部品の組立体ではなく、金属などのモノリシック材料であり得る。本明細書で使用される際、モノリシック構造は、接合部分によって一緒に接合される別々の部品ではなく、材料の1つの部品で一体式に形成されるものである。モノリシックの、一体成形の、及び/又は単体構造の本体を提供することによって、シース120は、組み立てられた部品で生じるものなど、その中に接合部分又は不連続点を含むことがない。したがってモノリシックの、一体成形の、及び/又は単体構造の本体は、より精密で一貫した寸法で作成することができ、その中にステント190及び/又はバルーン180と相互作用するための滑らかな表面を提供することができる。
【0029】
シース制御ワイヤ122は、シース120の制御を促進するための様々な構造のうちの1つを含むことができる。いくつかの実施例において、シース制御ワイヤ122は、モノリシックワイヤであり得る。いくつかの実施例において、シース制御ワイヤ122は、多数の細糸の編組ワイヤなどの、組立体として形成することができる。例えば、シース制御ワイヤ122は、金属(例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル合金など)であり得る。いくつかの実施例において、シース120は、その外面上に1つ又は複数のコーティング層を含むことができる。例えば、そのようなコーティングは、ポリマー(例えば、PTFE、ポリエーテルブロックアミドなど)を含む、及び/又はシース120のコーティングと接合されることで、連続するコーティングを形成することができる。シース制御ワイヤ122は、適切な押す能力及び支柱強度を提供することで、張力でシース120を進め、それを後退させることができる。いくつかの実施例において、シース120から近位方向に延びる多数のシース制御ワイヤ122が設けられる。
【0030】
本明細書に記載される方法は、送達システム100の動作による標的送達場所へのステント190の送達を提供する。その種々の段階における方法が本明細書に考察され例示されているが、各方法の多数の変形も企図されることを理解されたい。例えば、方法は、追加の動作を有して、又はより少ない動作で動作の様々な順番で行われる場合もある。
【0031】
図6図9に示されるように、送達システム100には、標的送達場所へのステント190の拡張及び送達のために膨張式バルーン180を覆って位置決めされるステント190が備わっている場合がある。ステント190をバルーン180を覆い、その周りに位置決めすることによって、ステント190は、シース120に対して引き出されるとすぐに、バルーン180によって拡張される準備ができる。
【0032】
図6に示されるように、送達システム100には、送達システム100の他の構成要素を覆っているシース120が備わっている。例えば、シース120は、内部シャフト110の遠位端に位置決めされた先端115まで延びることができる。内部シャフト110は、シース120の近位で(例えば、シース制御ワイヤ122の横で)接触可能なその長さを有して、シース120まで、及びシース120の中に延びることができる。追加で、又は代替として、コネクタ150も、シース120の近位で(例えば、シース制御ワイヤ122の横で)接触可能であり得る。上記で考察したように、ガイドワイヤ162を先端115の前方に(例えば内部シャフト110の中を通って)進めることができることで、送達システム100の他の構成要素の前進のための経路を提供することができる。ガイドワイヤ162の近位端には、例えば、中の側壁開口を通って、内部シャフト110の中を通って接触することができる。
【0033】
図7及び図8に示されるように、シース120は、ステント190及び送達システム100の他の構成要素を引き出すために移動させることができる。例えば、送達システム100の遠位領域がひとたび所望の場所に位置決めされると、シース120は、シース制御ワイヤ122をコネクタ150に対して後退させることによって、内部シャフト110に対して少なくともある程度近位方向に後退されるように構成される。シース120がひとたびある程度後退されると、ステント190及び/又はバルーン180の少なくとも一部が引き出され、ステント190の突出機構194は、内部シャフト110から外向きに離れるように半径方向に拡張するように構成される。
【0034】
本明細書で使用される際、種々の構成要素の移動は、送達システム100の他の構成要素に対して、及び/又は送達システム100から離れた位置(例えば、患者の解剖学的組織、標的送達場所、及び/又は組織内の位置)に対するものであり得る。方向「近位」及び「遠位」は、送達システム100、その構成要素、及び/又は送達システム100から離れた位置に対するものであり得る。例えば、ガイドワイヤ162の移動は、シース120、内部シャフト110、ステント190及び/又はバルーン180に対してであり得る。ガイドワイヤ162が移動する間、シース120、内部シャフト110、ステント190及び/又はバルーン180は、静止している、同じ方向に(例えば、異なる速度で)移動する、又は異なる(例えば反対)方向に移動する場合があることを理解されたい。シース120、内部シャフト110、ステント190及び/又はバルーン180が移動する間、ガイドワイヤ162は、静止している、同じ方向に(例えば、異なる速度で)移動する、又は異なる(例えば反対)方向に移動する場合があることをさらに理解されたい。さらなる実例によって、シース120の移動は、内部シャフト110、ステント190及び/又はバルーン180に対してであり得る。シース120が移動する間、内部シャフト110、ステント190及び/又はバルーン180は、静止している、同じ方向に(例えば、異なる速度で)移動する、又は異なる(例えば反対)方向に移動する場合があることを理解されたい。さらなる実例によって、内部シャフト110、ステント190及び/又はバルーン180の移動は、シース120に対してであり得る。内部シャフト110、ステント190及び/又はバルーン180が移動する間、シース120は、静止している、同じ方向に(例えば、異なる速度で)移動する、又は異なる(例えば反対)方向に移動する場合があることを理解されたい。
【0035】
図9に示されるように、シース120は、後退されており、ステント190は引き出されている。安定化ワイヤ160は、アンカー部分196によって内部シャフト110に接続されており、シース120の後退中及び後退後にステント190の近位端と係合し、ステント190の位置を制御するように構成される。したがって、バルーン180を含め、ステント190の位置は、内部シャフト110に対して維持される。例えば、ステント190の長さ及び/又は軸方向の位置の何らかの調節が、ステント190の半径方向の拡張中に生じる可能性があり、安定化ワイヤ160は、ステント190の少なくとも一部の位置を、バルーン180の少なくとも一部を囲み、その部分と軸方向に位置合わせされるように維持することができることを理解されたい。バルーン180は、ステント190の軸方向の長さより大きい軸方向の長さを有することができるため、ステント190の全体がバルーン180と重なることになる。図9に示されるように、安定化ワイヤ160は、ステント190を、バルーン180に対して近位である内部シャフト110の一部に接続することができる。追加で、又は代替として、安定化ワイヤ160は、バルーン180に対して遠位である内部シャフト110の一部にステント190を接続することができる。
【0036】
ステント190とバルーン180の両方がシース120によって引き出され露出されたとき、バルーン180を膨らませることで、ステント190を拡張する、又はさらに拡張することができる。例えば、バルーンの内部領域は、内部シャフト110を介して、コネクタ150のポート152に流体接続され得る。ポート152を通して流体を提供することによって、バルーン180は、拡張され、これにより、ステント190を拡張する、又はさらに拡張することができる。標的解剖学的組織に対する拡張は、本明細書にさらに考察される。
【0037】
上記に記載した動作のうちの1つ又は複数に続いて、バルーン180をしぼませることができる。ステント190は、拡張状態における任意の持続時間の間維持することができる。例えば、ステント190は、標的解剖学的組織に治療処置(例えば、再建及び/又は薬剤送達)を提供するのに有効な持続時間の間維持することができ、治療された箇所を通るいかなる流体の妨害物も存在しない拡張したステント及びしぼんだバルーンを通る流体流れを可能にすることができる。
【0038】
追加で、又は代替で、送達システム100は、多数の場所に展開することができる。ステント190は、シース120をステント190の上で移動させることによって折り畳むことができる。ステント190及びバルーン180は、別の標的場所に移動させることができ、上記に記載した動作のうちの1つ又は複数を繰り返すことができる。
【0039】
追加で、又は代替で、送達システム100は取り外すことができる。ステント190は、シース120をステント190の上で移動させることによって折り畳むことができる。送達システム100の構成要素は、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から取り外すことができる。
【0040】
追加で、又は代替で、ステント190は、内部シャフト110から切り離すことができ、患者の体内にインプラントとして残すことができる。切り離しに続いて、ガイドワイヤ上を近位方向に後退させることによって、送達システム100の他の構成要素を患者から取り外すことができる。
【0041】
送達システム100は、ステント190が送達状態においてバルーン180を覆って位置決めされた状態で示されているが、他の配置も企図されることを理解されたい。例えば、ステントは、バルーンに対して軸方向にずれた配置に位置決めされることで、重なり合う構成要素によって必要とされる空間の必要性を低減することができる。図10及び図11に示されるような送達システム200並びに図12及び図13に示されるような送達システム300を参照されたい。送達システム200及び送達システム300の各々は、いくつかの態様において送達システム100と異なるが、本明細書に記載されるような送達システム100の構成要素及び機構は、送達システム200及び送達システム300のいずれか、又はその両方に適用することができることを理解されたい。同様の、又は同じ物品は、送達システム100に示されるものと同じ機能を果たすことができ、そのような物品の機構は、簡潔さのために、以下で全て考察されるとは限らない。
【0042】
図10及び図11に示されるように、送達システム200には、標的送達場所へのステント290の拡張及び送達のために膨張式バルーン280の近位に位置決めされたステント290が備わっている場合がある。ステント290を膨張式バルーン280の近位に位置決めすることによって、ステント290及びバルーン280は、シース220内で送達状態にある間、重なることはなく(例えば軸方向にずれている)、これにより、シース220内の空間要件を低減する。
【0043】
図10及び図11にさらに示されるように、シース220は、ステント290を引き出すために移動させることができる。例えば、送達システム200の遠位領域がひとたび所望の場所に位置決めされると、シース220は、シース制御ワイヤ222をコネクタ250に対して後退させることによって、内部シャフト210に対して少なくともある程度近位方向に後退されるように構成される。シース220がひとたびある程度後退されると、バルーン280の少なくとも一部及びステント290の少なくとも一部が引き出される。ステント290の突出機構294は、内部シャフト210から外向きに離れるように半径方向に拡張するように構成される。示されるように、バルーン280は、内部シャフト210の遠位部分210bに位置決めされ、ステント290は、内部シャフト210の近位部分210aに位置決めされる。内部シャフト210の近位部分210aは、バルーン280の外側断面寸法より小さい外側断面寸法を有することができ、これによりステント290が、ステント290がバルーン280上に折り畳まれた場合に達成されるものよりも小さい外形で近位部分210a上に折り畳まれることが可能になる。
【0044】
安定化ワイヤ260は、ユーザによって接触可能であり、シース220の後退中及び後退後にステント290の近位端と係合し、ステント290の位置を制御するように構成される。ユーザは、シース220が後退される間、安定化ワイヤ260を内部シャフト210に対して固定することができるため、シース220の後退中に、バルーン280を含め、ステント290の位置を内部シャフト210に対して維持することができる。
【0045】
ステント290及びバルーン280が共にシース220によって引き出され露出されたとき、ステント290をバルーン280に対して軸方向に位置合わせすることができる。内部シャフト210がステント290の中を通って延びているため、ステント290に対する内部シャフト210の近位の後退は、ステント290とバルーン280の軸方向の位置合わせを達成することができる。バルーン280は、ステント290の軸方向の長さより大きい軸方向の長さを有することができるため、ステント290の全体が、軸方向に位置合わせされたときバルーン280と重なることになる。追加で、又は代替として、内部シャフト210及びシース220は、ステント290に対して一緒に後退させることもできる。
【0046】
図12及び図13に示されるように、送達システム300には、標的送達場所へのステント390の拡張及び送達のために膨張式バルーン380の遠位に位置決めされるステント390が備わっている場合がある。ステント390を膨張式バルーン380の遠位に位置決めすることによって、ステント390及びバルーン380は、シース320内で送達状態にある間、重なることはなく(例えば軸方向にずれている)、これにより、シース320内の空間要件を低減する。
【0047】
図12及び図13にさらに示されるように、シース320は、ステント390を引き出すために移動させることができる。例えば、送達システム300の遠位領域がひとたび所望の場所に位置決めされると、シース320は、シース制御ワイヤ322をコネクタ350に対して後退させることによって、内部シャフト310に対して少なくともある程度近位方向に後退されるように構成される。シース320がひとたびある程度後退されると、ステント390の一部は引き出され、ステント390の突出機構394は、内部シャフト310から外向きに離れるように半径方向に拡張するように構成される。安定化ワイヤ360は、ユーザによって接触可能であり、シース320の後退中及び後退後にステント390の近位端と係合し、ステント390の位置を制御するように構成される。ユーザは、シース320が後退される間、安定化ワイヤ360を内部シャフト310に対して固定することができるため、シース320の後退中に、バルーン380を含め、ステント390の位置を、内部シャフト310に対して維持することができる。
【0048】
ステント390及びバルーン380が共にシース320によって引き出され露出されたとき、ステント390をバルーン380に対して軸方向に位置合わせすることができる。内部シャフト310がステント390の中を通って延びるため、ステント390に対する内部シャフト310の遠位の移動は、ステント390とバルーン380の軸方向の位置合わせを達成することができる。バルーン380は、ステント390の軸方向の長さより大きい軸方向の長さを有することができるため、ステント390の全体が、軸方向に位置合わせされたときバルーン380と重なることになる。
【0049】
本明細書に記載されるステントは示される機構を有するが、種々の異なるステント及び他のデバイスを本明細書に記載される送達システムと共に使用することができることを理解されたい。種々の機構は、限定ではなく、一例として以下に記載される。
【0050】
そのようなステント及び他のデバイスに関して、本明細書に記載されるフレーム、支柱及び/又は突出機構を形成するための材料は、強度、可鍛性、硬度、弾性、可撓性、曲げモジュール、曲げ強度、可塑性、剛性、放射率、熱伝導性、比熱、温度拡散率、熱膨張率、様々な他の特性のいずれか、又はその組み合わせなど、機械的特性及び/又は熱特性に基づいて選択することができる。熱特性を有する材料から形成された場合、材料は、所望の治療箇所への熱による治療を送達するために活性化させることができる。材料に関わらず、フレーム、支柱及び/又は突出機構は、レーザカット又は他の好適な技術によって、単線などの管又はワイヤから形成することができる。ワイヤから形成される場合、ワイヤの一部を化学エッチング又は別の適切な方法によって取り除くことで、ステントの内部寸法を形成することができる。
【0051】
本明細書に記載される実施例は、流体(例えば、血液)が、構造及び/又は他のデバイス若しくは治療手段が隣接する体腔内に配置されている治療領域を通って流れることを可能にしつつ、血管系などの体腔内の特定の領域に薬剤を送達するための手段を有する1つ又は複数の構造のための送達システムを提供する。いくつかの実施例において、流体は、システムの1つ又は複数の領域が送達される、展開される、位置決めされる、及び/又は体腔から取り外される間、治療領域を通って流れることが一時的に阻止される。加えて、送達システムは、治療箇所の近位又は遠位にステントを寄せることによって、ステントを引っ張ることによって、ステントの向きを変えることによって、又はそれらの組み合わせによって、治療のために体腔を準備するように構成することができる。いくつかの実施例において、送達システムは、機械的力が加えられるとき、ステントを回転させるように構成することができる。
【0052】
本明細書に開示されるシステムは、関連するステント若しくは他の構造の調節、回収及び/又は再展開、並びに/或いは異なるステント若しくは他の構造の展開を実現することができ、医師がより効果的に所望の領域をより正確により慎重に治療することを可能にする。いくつかの実施例では、ステント又は他の送達構造を一時的な期間の間(例えば、24時間未満の間)展開させ、その後、後退させ取り外すことができる。これらの実施例では、突出機構は、内腔壁と係合する、及び/又は内腔壁を穿刺し、ステント又は他の送達構造が取り外された後もその中に留まることができる、或いは、ステント又は他の送達構造と共に後退され取り外される場合もある。ステントは、送達システムから展開されたとき、自己拡張する、又は一部自己拡張するように構成することができ、また、バルーンがその中で拡張されたとき、体腔内でさらに拡張するように構成することもできる。ステントはまた、体腔から取り外されるとき、後拡張するように構成することもできる。いくつかの実施例において、ステント又は他の送達構造は、長期間の一時的な期間(例えば、2週間未満、1か月未満、6か月未満、一年未満)の間展開され、その後、後退され取り外される場合もある。いくつかの実施例において、異なるステント又は送達構造が、最初のステント又は送達構造が後退され取り外された後に展開される場合もある。異なるステント又は送達構造の展開の期間及び展開前の除去後の期間は、数分、数時間、数日、数週間、数か月又は数年まで変化する場合がある。これらの実施例では、最初のステント又は送達構造の取り外し及び異なるステント又は送達構造の展開は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回又は10回行われる場合がある。さらに、本明細書に記載される実施例は、現在利用可能なシステムよりも低い外形のシステムも許容することができる。
【0053】
本明細書に記載される実施例及び本技法に従って構成された他の実施例では、ステント及び他の拡張可能構造は、薬剤を標的場所に送達するように構成されていない、展開可能及び/又は拡張可能機構などの非突出機構を含む場合がある。例えば、ステント及び本技法に従って構成された他の拡張可能構造は、1つ又は複数の突出機構、1つ又は複数の非突出機構又はその組み合わせを含む場合がある。
【0054】
本明細書に記載されるステント及び/又は構造の多くの実施例は、ステントを含むが、ステント及び/又は構造などの拡張可能要素の追加の実施例は、非薬剤溶出ステント及び/又は非薬剤溶出構造を含む場合がある。これらの実施例では、非薬剤溶出ステントは、トゲなどの1つ又は複数の突出部材を含んでもよい。トゲは、体腔又は血管の一部と係合する、及び/又はそれらを貫通するように構成することができる。例えば、トゲは、血管壁を貫通することができ、これにより血管壁の弾性を低減する、及び/又はなくすことができる。これらの実施例では、突出部材は、血管壁が体腔に向かって内向きに進み、中の流れを制限する、及び/又は抑制するのを阻止するように構成することができる。突出部材は、支柱と共に一体式に形成する、又は支柱の表面に配置することができ、支柱から半径方向外向きに標的組織に向けて延びることができる。
【0055】
開示の態様の種々の実例が、便宜上条項として以下に記載される。これらは、一例として提供されており、主題の技法を制限するものではない。
【0056】
条項A:送達システムは、膨張式バルーンを備える内部シャフトと、バルーンを囲み、内部シャフトと結合されたステントと、ステント及び膨張式バルーンの周りに円周方向に連続して延びるシースと、シースの近位端に結合され、内部シャフトの横にシースから近位方向に延びるシース制御ワイヤとを備える。
【0057】
条項B:送達システムは、膨張式バルーンを備える内部シャフトと、内部シャフトの一部の周りに延びるステントと、ステントの全体を覆うシースであって、ステントの長さの200%未満の長さを有するシースと、シースの近位端に結合され、内部シャフトの横に延びるシース制御ワイヤとを備える。
【0058】
条項C:送達システムは、膨張式バルーンを備える内部シャフトと、内部シャフトの一部の周りに延び、バルーンに軸方向に隣接するステントと、バルーンを覆わずにステントを覆うシースと、シースの近位端に結合され、内部シャフトの横にシースから近位方向に延びるシース制御ワイヤとを備える。
【0059】
上記の条項のうちの1つ又は複数は、以下に記載される機構のうちの1つ又は複数を含むことができる。以下の条項は、互いとの任意の組み合わせで組み合わされてもよいし、例えば条項A、B又はCなどのそれぞれの独立条項に入れられる場合もあることに留意されたい。
【0060】
条項1:ステントは、フレームと、ステントがシースから解放されたときフレームから半径方向に離れるように延びるように構成された突出機構とを備える。
【0061】
条項2:シースは、ステントの長さの200%未満の長さを有する。
【0062】
条項3:シースは、ステントの長さより10cmを超えない長さを有する。
【0063】
条項4:送達システムは、シースにおける断面寸法より小さい、シース制御ワイヤにおける断面寸法を有する。
【0064】
条項5:ガイドワイヤが内部シャフト内に摺動可能に配設される。
【0065】
条項6:シースは、バルーンの全体をさらに覆う。
【0066】
条項7:シースの長さは、バルーンの長さの200%未満である。
【0067】
条項8:シースの長さは、バルーンの長さより10cmを超えない。
【0068】
条項9:ステント及びシースは、バルーンの近位にある。
【0069】
条項10:ステント及びシースは、バルーンの遠位にある。
【0070】
単数での要素の言及は、そのようにとりわけ述べられていなければ、1つ及び1つのみを意味することが意図されているのではなく、むしろ1つ又は複数を意味することが意図されている。例えば、「1つの(a)」モジュールは、1つ又は複数のモジュールを指す場合がある。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「the(その)」又は「前記(said)」に続く要素は、さらなる制約なしで、追加の同じ要素の存在を排除するものではない。
【0071】
タイトル及びもしあればサブタイトルは、便宜上使用されるものであり、発明を制限するものではない。例示の単語は、一実例又は例証として機能することを意味するために使用される。含む、有するなどの用語が使用される限り、そのような用語は、備えるという用語が、請求項において移行語として採用されるときに解釈されるように、備えるという用語と同じやり方で包含的であることが意図されている。第1の及び第2のなどの関連語は、そのような存在又は行動間の実際のそのような関係性又は順番を必ずしも必要としない、又は必ずしも示唆することなく、1つの存在又は行動を別のものから区別するのに使用されてよい。
【0072】
一態様、その態様、別の態様、任意の態様、1つ又は複数の態様、一実装形態、その実装形態、別の実装形態、任意の実装形態、1つ又は複数の実装形態、一実施例、その実施例、別の実施例、任意の実施例、1つ又は複数の実施例、一構成、その構成、別の構成、任意の構成、1つ又は複数の構成、主題の技法、開示、本開示、その他の変形形態などのフレーズは、簡便にするためであり、そのようなフレーズに関する開示は、主題の技法に必須であること、又はそのような開示は、主題の技法の全ての構成に適用されることは示唆していない。そのようなフレーズに関する開示は、全ての構成或いは1つ又は複数の構成に適用される場合もある。そのようなフレーズに関する開示は、1つ又は複数の実例を提供してよい。一態様又は任意の態様などのフレーズは、1つ又は複数の態様を指す場合があり、逆の場合もまた同様であり、これは、他の上述のフレーズにも同様に適用される。
【0073】
一連の項目に先行する「少なくとも1つの」というフレーズは、項目のうちのいずれかを分離するために用語「及び」或いは「又は」を伴って、リストの各構成要素ではなく、リストを全体として修飾する。「少なくとも1つの」というフレーズは、少なくとも1つの項目の選択を必要とするのではなく、むしろ、そのフレーズは、項目のうちの任意の1つの少なくとも1つ、及び/又は項目の任意の組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は項目の各々の少なくとも1つを含む意味付けを可能にする。一例として、フレーズ「A、B及びCの少なくとも1つ」又は「A、B又はCの少なくとも1つ」の各々は、Aのみ、Bのみ又はCのみ、A、B及びCの任意の組み合わせ、並びに/或いはA、B及びCの各々の少なくとも1つを指す。
【0074】
開示されるステップ、動作又はプロセスの特有の順番又は階層は、例示的手法の例証であることを理解されたい。そうでないことが明白に述べられていなければ、ステップ、動作又はプロセスの特有の順番又は階層は、異なる順番で行われてもよいことを理解されたい。ステップ、動作又はプロセスの一部は、同時に行われてもよい。添付の方法クレームがもし存在するならば、これは、種々のステップ、動作又はプロセスの要素を見本の順番で提示し、提示される特有の順番又は階層に限定されることは意味していない。これらは、連続して、直線的に、平行して、又は異なる順番で行われてもよい。記載される命令、動作及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア/ハードウェア製品に一緒に統合され、又は多数のソフトウェア/ハードウェア製品にパッケージされる場合があることを理解されたい。
【0075】
一態様において、結合されるなどの用語は、直接結合されていることを指す場合がある。別の態様では、結合されるなどの用語は、間接的に結合されていることを指す場合もある。
【0076】
上、下、前方、後方、側方、水平、垂直などの用語は、基準の自由裁量による構成を指し、基準の通常の重力構成を指すものではない。よって、そのような用語は、基準の重力構成において上方に、下方に、斜めに、又は水平方向に広がる場合がある。
【0077】
開示は、当業者が本明細書に記載される種々の態様を実施することを可能にするために提供される。一部の例では、よく知られた構造及び構成要素は、主題の技法の概念を曖昧にすることを避けるために、ブロック図形態で示される。開示は、主題の技法の種々の実例を提供し、主題の技法は、これらの実例に限定されない。これらの態様に対する種々の修正形態は、当業者に容易に明らかであり、本明細書に記載される原理は、他の態様に適用されてもよい。
【0078】
当業者に知られる、又は当業者に後に知られようになる、開示を通して記載される種々の態様の要素に対する全ての構造的及び機能的等価物は、参照により本明細書に明白に組み込まれており、特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。さらに、本明細書に開示されるものはいずれも、そのような開示が特許請求の範囲に明白に列挙されているかどうかに関わらず、公衆に提供されることが意図されていない。特許請求の範囲の要素は、その要素が、フレーズ「means for(のための手段)」を使用して明白に列挙されている、又は方法クレームの場合、その要素が、フレーズ「step for(のためのステップ)」を使用して列挙されている場合を除いて、35U.S.C.§112、第6段落の規定の下に解釈されるべきではない。
【0079】
タイトル、背景、図面の簡単な説明、要約書及び図面は、これにより開示に組み込まれており、制限的な説明としてではなく、開示の例証となる実例として提供されている。それらが特許請求の範囲又は意味を限定するために使用されないことの理解と共に提示されている。加えて、詳細な説明において、説明は、例証となる実例を提供し、種々の機構は、開示を合理化する目的のために種々の実装形態において一緒にグループ化されることを知ることができる。開示の方法は、特許請求される主題が、各請求項に明白に列挙されるものより多くの機構を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示される構成又は動作の全ての機構より少ない機構の中に見いだされる。特許請求の範囲はこれにより、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別々に特許請求される主題として自立している。
【0080】
特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されることは意図されていないが、特許請求の範囲の言語と一致する全範囲に適合されるべきであり、全ての法的な等価物を包含すべきである。それにも関わらず、請求項はいずれも、適用可能な特許法の要件を満たしていない主題を包含することは意図されておらず、またそのように解釈されるべきではない。
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【国際調査報告】