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特表2024-533059乾燥ミクロフィブリル化セルロースの再懸濁のための移動可能な分散システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】乾燥ミクロフィブリル化セルロースの再懸濁のための移動可能な分散システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/18 20060101AFI20240905BHJP
   D21H 15/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
D21H11/18
D21H15/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510728
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 IB2022000594
(87)【国際公開番号】W WO2023037167
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,700
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】タハムタン,ペイマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィンドバンク,マーク
(72)【発明者】
【氏名】スクーゼ,デビッド,アール.
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA11
4L055AC01
4L055AC05
4L055AF09
4L055AF46
4L055AG04
4L055AG08
4L055AG10
4L055AG11
4L055AG12
4L055AG27
4L055CA16
4L055CB13
4L055EA03
4L055EA32
(57)【要約】
ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物を液体媒体中に再分散させて液体組成物を形成するための可搬型システム(1)、ならびにミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の実質的に均質(均一)に再分散された懸濁液を生成するための関連する方法であって、ミクロフィブリル化セルロースの引張指数は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の同等の未乾燥懸濁液の引張指数に匹敵する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物の再分散のための方法であって、
(a)ある量の分散液を第1の入口を通じて混合タンクに供給する工程であって、前記混合タンクは、シアヘッドインペラを備える中程度の剪断混合装置を備え、前記混合タンクは、出口と、前記出口に取り付けられた第1のポンプとをさらに備える、供給する工程と、
(b)ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された、ある量の組成物を、固形物含有量約0.5wt%~約5wt%の繊維固形物の液体スラリーを生成するのに十分な量で、前記第1の入口を通じて前記混合タンクに供給する工程と、
(c)前記混合装置を介して中程度の剪断条件下で前記液体スラリーを混合し、流動性スラリーを形成するために前記液体スラリーを部分的に解凝集させる工程と、
(d)前記流動性スラリーを、前記混合タンクの前記第1の出口に取り付けられた前記ポンプを介して、出口、および前記出口に取り付けられたポンプをさらに備える第1段高剪断ロータ-ステータ装置の入口にポンピングする工程であって、前記第1段高剪断ロータ-ステータ装置の前記入口は、前記混合タンクの前記出口と連通しており、前記流動性スラリーに高剪断混合を施して、実質的に均質な懸濁液を形成する、ポンピングする工程と、
(e)前記実質的に均質な懸濁液を、前記第1段高剪断ロータ-ステータ装置の前記出口から、ロータ-ロータ装置、第2段高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機から選択される第2段高剪断装置の入口にポンピングする工程であって、前記ロータ-ロータ装置は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の均一に再分散された懸濁液を生成するために、前記実質的に均質な懸濁液に追加の高剪断処理を施すための逆回転リングを備え、前記ミクロフィブリル化セルロースの引張指数は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の同等の未乾燥懸濁液の前記引張指数に匹敵する、ポンピングする工程と、
(h)ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の前記再分散懸濁液を、さらなる最終用途のために適切な保持容器で回収する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記ロータ-ステータ装置に続くハイドロサイクロンをさらに備え、前記ハイドロサイクロンは、入口、第1のハイドロサイクロン出口、および第2のハイドロサイクロン出口を備え、前記ハイドロサイクロンは、前記実質的に均質な懸濁液を、(i)剪断された微粒子流と、(ii)剪断不足の粗粒子流とに分離し、前記剪断不足の粗粒子流の再循環、および前記混合タンク内の前記流動性スラリーとの再混合を可能にするために、前記剪断不足の粗粒子流を、前記混合装置の前記第1のハイドロサイクロン出口から第2の入口にポンピングし、前記ハイドロサイクロンの前記第2の出口から、ロータ-ロータ装置、第2の高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機から選択される、前記第2段高剪断装置の入口に前記微粒子流を流し、前記ロータ-ロータ装置は、前記実質的に均質な懸濁液に追加の高剪断処理を施すための逆回転リングを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ミクロフィブリル化セルロースの前記組成物は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、前記本質的に乾燥または部分的に乾燥された組成物が粉砕される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、前記本質的に乾燥または部分的に乾燥された組成物が粉砕される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、連続プロセス、半連続プロセス、またはバッチプロセスである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、連続プロセス、半連続プロセス、またはバッチプロセスである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記分散液は水である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記分散液は水である、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約0.5wt%~約2.5wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項11】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約0.5wt%~約2.5wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約0.75wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項13】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約0.75wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約1wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項15】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約1wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約1.25wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項17】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約1.25wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約1.5wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項19】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約1.5wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約1.75wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項21】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約1.75wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項22】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約2wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項23】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約2wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項24】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約2.5wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項25】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約2.5wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項26】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約3wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項27】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約3wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項28】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約4wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項29】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約4wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項30】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約5wt%の繊維固形物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項31】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約5wt%の繊維固形物である、請求項3に記載の方法。
【請求項32】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物、またはそれらの組合せから調製され得る、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項33】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物、またはそれらの組合せから調製され得る、請求項3に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上の無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩もしくは硫酸塩、含水カンダイト粘土、無水(焼成)カンダイト粘土、タルク、雲母、パーライトもしくは珪藻土、またはそれらの組合せを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の無機微粒子材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ベントナイト、石膏、カオリン、ハロイサイト、ボール粘土、メタカオリン、完全焼成カオリン、またはそれらの組合せを含み得る、請求項3に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の無機微粒子材料は炭酸カルシウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上の無機微粒子材料はカオリンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項38】
前記1つ以上の無機微粒子材料はカオリンおよび炭酸カルシウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項39】
前記炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、またはそれらの組合せである、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記炭酸カルシウムは、方解石、アラゴナイト、またはベテライト構造を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記炭酸カルシウムは偏三角面体または菱面体の結晶形である、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記カオリンはハイパープラティカオリンである、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記炭酸カルシウムの少なくとも約50wt%は、約2μm未満の等価球直径を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記カオリンの少なくとも約50wt%は、約2μm未満の等価球直径を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記重質炭酸カルシウムは石灰岩または大理石である、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記最終用途は、紙の製造または紙のコーティング、塗料、コーティング、建築材料、天井タイル、複合材料、またはバリアコーティングの方法を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1段高剪断ロータ-ステータ装置は、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項48】
前記第1段高剪断ロータ-ステータ装置は、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項49】
前記第2段高剪断ロータ-ステータ装置は、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項50】
前記第2段高剪断ロータ-ステータ装置は、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項51】
ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物を液体媒体中に再分散させて液体組成物を形成するための可搬型システム(1)であって、
シアヘッドインペラ(22)を備える混合装置(21)を備える混合タンク(20)であって、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の液体スラリーを受け入れるための第1の混合タンク入口(24)、およびポンプ(27)を備える混合タンク出口(26)を備える、混合タンク(20)と、前記混合タンク出口(26)に接続されたロータ-ステータ入口(31)およびロータ-ステータ出口(32)を備える第1段高剪断ロータ-ステータ装置(30)と、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機から選択される第2段高剪断装置(50)であって、前記第2段高剪断装置(50)は、前記第1段高剪断ロータ-ステータ出口に接続された第2段高剪断入口(52)および出口(53)を備える、第2段高剪断装置(50)と、前記ロータ-ロータ出口(53)に接続された貯蔵タンク入口(61)を備える貯蔵タンク(60)とを備える、システム(1)。
【請求項52】
ハイドロサイクロン入口(41)、第1のハイドロサイクロン出口(42)、および第2のハイドロサイクロン出口(43)を備えるハイドロサイクロン(40)をさらに備え、前記ハイドロサイクロン入口(41)は、前記ロータ-ステータ装置の前記ロータ-ステータ出口(32)に接続され、前記ハイドロサイクロンは、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の前記スラリーを、剪断された微粒子流と剪断不足の粗粒子流とに分離し、前記第1のハイドロサイクロン出口(42)は、前記剪断不足の粗粒子流を前記混合タンク(20)に戻すために、前記混合タンク(20)の第2の入口(25)に接続され、前記微粒子流は、前記第2のハイドロサイクロン出口(43)を介して、前記第2段高剪断入口(52)に流される、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
ミクロフィブリル化セルロースを含む前記本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
ミクロフィブリル化セルロースを含む前記本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
ミクロフィブリル化セルロースを含む前記本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項56】
前記液体媒体が水である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
前記液体媒体が水である、請求項53に記載のシステム。
【請求項58】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約0.5wt%~約5wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項59】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約0.5wt%~約5wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項60】
前記液体組成物は約0.75wt%の繊維固形物である、請求項50または請求項52に記載のシステム。
【請求項61】
前記液体組成物は約0.75wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項62】
前記液体組成物は約1wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項63】
前記液体組成物は約1wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項64】
前記液体組成物は約1.25wt%の繊維固形物である、請求項51または52に記載のシステム。
【請求項65】
前記液体組成物は約1.25wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項66】
前記液体組成物は約1.5wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項67】
前記液体組成物は約1.5wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項68】
前記液体組成物は約1.75wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項69】
前記液体組成物は約1.75wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項70】
前記液体組成物は約2wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項71】
前記液体組成物は約2wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項72】
前記液体組成物は約2.5wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項73】
前記液体組成物は約2.5wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項74】
前記液体組成物は約3wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項75】
前記液体組成物は約3wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項76】
前記液体組成物は約4wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項77】
前記液体組成物は約4wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項78】
前記液体組成物は約5wt%の繊維固形物である、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項79】
前記液体組成物は約5wt%の繊維固形物である、請求項53に記載のシステム。
【請求項80】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物、またはそれらの組合せから調製され得る、請求項51または請求項52に記載システム。
【請求項81】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物、またはそれらの組合せから調製され得る、請求項53に記載のシステム。
【請求項82】
前記1つ以上の無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩もしくは硫酸塩、含水カンダイト粘土、無水(焼成)カンダイト粘土、タルク、雲母、パーライトもしくは珪藻土、またはそれらの組合せを含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項83】
前記1つ以上の無機微粒子材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、カオリン、ハロイサイト、ボール粘土、メタカオリン、完全焼成カオリン、またはそれらの組合せを含み得る、請求項53に記載のシステム。
【請求項84】
前記1つ以上の無機微粒子材料は炭酸カルシウムを含み得る、請求項53に記載のシステム。
【請求項85】
前記1つ以上の無機微粒子材料はカオリンを含み得る、請求項53に記載のシステム。
【請求項86】
前記1つ以上の無機微粒子材料はカオリンおよび炭酸カルシウムを含み得る、請求項53に記載のシステム。
【請求項87】
前記炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、またはそれらの組合せである、請求項84に記載のシステム。
【請求項88】
前記炭酸カルシウムは、方解石、アラゴナイト、またはベテライト構造を含む、請求項84に記載のシステム。
【請求項89】
前記炭酸カルシウムは偏三角面体または菱面体の結晶形である、請求項84に記載のシステム。
【請求項90】
前記カオリンはハイパープラティカオリンである、請求項85に記載のシステム。
【請求項91】
前記炭酸カルシウムの少なくとも約50wt%は、約2μm未満の等価球直径を有する、請求項84に記載のシステム。
【請求項92】
前記カオリンの少なくとも約50wt%は、約2μm未満の等価球直径を有する、請求項85に記載システム。
【請求項93】
前記重質炭酸カルシウムは石灰岩または大理石である、請求項87に記載のシステム。
【請求項94】
前記第1段高剪断ロータ-ステータ装置は、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項95】
前記第1段高剪断ロータ-ステータ装置は、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項53に記載のシステム。
【請求項96】
前記第2段高剪断ロータ-ステータ装置は、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項51または請求項52に記載のシステム。
【請求項97】
前記第2段高剪断ロータ-ステータ装置は、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項98】
ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物の再分散のための方法であって
(a)本質的に乾燥または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースから取得されるミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む液体媒体を、シアヘッドインペラを備える中程度の剪断混合装置に流し、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む液体スラリーを形成する工程と、
(b)第1段高剪断ロータ-ステータ装置に前記液体スラリーを流す工程であって、前記液体スラリーに高剪断混合を施して、実質的に均質な懸濁液を形成する、前記液体スラリーを流す工程と、
(c)前記実質的に均質な懸濁液を、ロータ-ロータ装置、第2段高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機から選択される第2段高剪断装置に流す工程であって、前記ロータ-ロータ装置は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の均一に再分散された懸濁液を生成するために、前記実質的に均質な懸濁液に高剪断処理を施すための逆回転リングを備え、前記ミクロフィブリル化セルロースの前記引張特性は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の同等の未乾燥懸濁液の前記引張特性に匹敵する、実質的に均質な懸濁液を流す工程と、
(d)ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の前記再分散懸濁液を、さらなる最終用途のために適切な保持容器で回収する工程と
を含む方法。
【請求項99】
前記実質的に均質な懸濁液がハイドロサイクロンに流され、前記実質的に均質な懸濁液が剪断不足の粗粒子流と剪断された微粒子流とに分離され、前記剪断不足の粗粒子流が前記中程度の剪断混合装置に再循環され、前記剪断された微粒子流が前記第2の高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機に流される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
ミクロフィブリル化セルロースの前記組成物は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項101】
ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、前記本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物が粉砕される、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項102】
ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、前記本質的に乾燥または部分的に乾燥された組成物が粉砕される、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
前記方法は、連続プロセス、半連続プロセス、またはバッチプロセスである、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項104】
前記方法は、連続プロセス、半連続プロセス、またはバッチプロセスである、請求項100に記載の方法。
【請求項105】
前記分散液は水である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項106】
前記分散液は水である、請求項100に記載の方法。
【請求項107】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約0.5wt%~約2.5wt%の繊維固形物である請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項108】
ミクロフィブリル化セルロースの前記液体組成物は約0.5wt%~約2.5wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項109】
前記液体組成物は約0.75wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項110】
前記液体組成物は約0.75wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項111】
前記液体組成物は約1wt%の繊維固形物である、請求項98または99に記載の方法。
【請求項112】
前記液体組成物は約1wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項113】
前記液体組成物は約1.25wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項114】
前記液体組成物は約1.25wt%の繊維固形物である、請求項99に記載の方法。
【請求項115】
前記液体組成物は約1.5wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項116】
前記液体組成物は約1.5wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項117】
前記液体組成物は約1.75wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項118】
前記液体組成物は約1.75wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項119】
前記液体組成物は約2wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項120】
前記液体組成物は約2wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項121】
前記液体組成物は約2wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項122】
前記液体組成物は約2.5wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項123】
前記液体組成物は約3wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項124】
前記液体組成物は約3wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項125】
前記液体組成物は約4wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項126】
前記液体組成物は約4wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項127】
前記液体組成物は約5wt%の繊維固形物である、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項128】
前記液体組成物は約5wt%の繊維固形物である、請求項100に記載の方法。
【請求項129】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物、またはそれらの組合せから調製され得る、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項130】
前記ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物、またはそれらの組合せから調製され得る、請求項100に記載の方法。
【請求項131】
前記1つ以上の無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩もしくは硫酸塩、含水カンダイト粘土、無水(か焼)カンダイト粘土、タルク、雲母、パーライトもしくは珪藻土、またはそれらの組合せを含む、請求項100に記載の方法。
【請求項132】
前記1つ以上の無機微粒子材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、カオリン、ハロイサイト、ボール粘土、メタカオリン、完全焼成カオリン、またはそれらの組合せを含み得る、請求項100に記載の方法。
【請求項133】
前記1つ以上の無機微粒子材料は炭酸カルシウムを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項134】
前記1つ以上の無機微粒子材料はカオリンを含む、請求項100に記載の方法。
【請求項135】
前記1つ以上の無機微粒子材料はカオリンおよび炭酸カルシウムを含み得る、請求項100に記載の方法。
【請求項136】
前記炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、またはそれらの組合せである、請求項133に記載の方法。
【請求項137】
前記炭酸カルシウムは、方解石、アラゴナイト、またはベテライト構造を含む、請求項133に記載の方法。
【請求項138】
前記炭酸カルシウムは偏三角面体または菱面体の結晶形である、請求項133に記載の方法。
【請求項139】
前記カオリンはハイパープラティカオリンである、請求項134に記載の方法。
【請求項140】
前記炭酸カルシウムの少なくとも約50wt%は、約2μm未満の等価球直径を有する、請求項133に記載の方法。
【請求項141】
前記カオリンの少なくとも約50wt%は、約2μm未満の等価球直径を有する、請求項134に記載の方法。
【請求項142】
前記重質炭酸カルシウムは石灰岩または大理石である、請求項133に記載の方法。
【請求項143】
前記最終用途は、紙の製造または紙のコーティング、塗料、コーティング、建築材料、天井タイル、複合材料、またはバリアコーティングの方法を含む、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項144】
前記最終用途は、紙の製造または紙のコーティング、塗料、コーティング、建築材料、天井タイル、複合材料、バリアコーティングの方法を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項145】
前記第1段高剪断ロータ-ステータ装置は、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項146】
前記第1段高剪断ロータ-ステータ装置は、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項100に記載の方法。
【請求項147】
前記第2段高剪断ロータ-ステータ装置は、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項148】
前記第2段高剪断ロータ-ステータ装置は、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される、請求項100に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、あらかじめ本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物を再分散させるための可搬型機器システムおよび関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載されるタイプの可搬型機器システムは、最終用途のための実質的に均質な懸濁液として、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、あらかじめ本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物を再分散させるために低減されたエネルギー入力を必要とする。記載された可搬型機器システムは、ミクロフィブリル化セルロースの再分散に通常伴う凝集および/または角質化を最小限に抑えるか、または回避する。機器システムおよび関連する方法はまた、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料組成物のそのような再分散された組成物が利用される様々な最終用途において、再分散されたミクロフィブリル化セルロースの引張強度および引張指数を含む最適な引張特性を回復させる。記載された機器システムは、遠隔のエンドユーザの場所に設置され得る可搬型モバイル機器システムの必要性にも対応している。
【0003】
本発明はまた、一般に、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、乾燥され、粉砕された組成物の再分散性を改善する方法に関する。記載された方法は、あらかじめ本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む組成物のスラリーの調製を含み、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料のスラリーを1回のパスで再分散させることができ、同時にミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料組成物を再分散させるために低減されたエネルギー入力を必要とする。記載された方法は、再分散時のミクロフィブリル化セルロースの凝集および/または角質化を最小限に抑えるか、または排除する。記載された方法はまた、再分散されたミクロフィブリル化セルロースの引張強度および引張指数特性を含む最適な引張特性を回復させる。
【0004】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料、例えばアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸カルシウム)またはカオリン粘土は、多くの用途で広く使用されている。これらは、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料含有組成物の生成を含み、これは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,231,764号、第9,127,405号、および第10,100,464号に従って、紙の製造および/または紙コーティングにおいてフィラーとして使用され得る。紙およびコート紙製品では、そのようなフィラーは、典型的には、紙および/またはコート紙製品の他のより高価な成分の一部に取って代わるように添加される。フィラーはまた、紙および/またはコート紙製品の物理的、機械的、および/または光学的要求を変更する目的で、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,253,457号に記載されている方法で添加され得る。明らかに、含有できるフィラーの量が多ければ多いほど、コスト削減の可能性が高くなる。しかしながら、添加するフィラーの量および関連するコスト削減は、最終的な紙製品またはコート紙製品の物理的、機械的、光学的要件とのバランスをとらなければならない。したがって、紙および/またはコート紙製品の物理的、機械的および/または光学的要求に悪影響を及ぼすことなく、高い投入レベルで使用することができる紙および紙コーティングのための改善されたフィラーの開発が引き続き必要とされる。そのようなフィラーを経済的に調製する方法の開発も必要とされる。
【0005】
近年、ミクロフィブリル化セルロースおよびそれを含む組成物、ならびにミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む組成物が、紙、板紙、高分子成形品、塗料など様々な最終用途製品の機械的、物理的および/または光学的特性の強化を含む、様々な有用な特性を有することが示されている。
【0006】
通常、水性形態で調製されるミクロフィブリル化セルロース組成物は、組成物全体の重量を低減し、関連する輸送コストを削減するために、輸送のために乾燥されることが多い。次いで、エンドユーザは通常、意図した最終用途に使用する前にミクロフィブリル化セルロースを再分散させる。ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む組成物を脱水および乾燥するための例示的なプロセスは、米国特許第11,001,644号に記載されており、その全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、乾燥および再分散の後、ミクロフィブリル化セルロースの有利な特性の一部またはすべてが、ミクロフィブリル化セルロースの凝集および/または角質化を含む理由により、低下または失われる可能性がある。したがって、乾燥および再分散後のミクロフィブリル化セルロースの特性を改善する必要性が常にある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロースを含み、オプションで1つ以上の無機微粒子材料組成物を含む、脱水され、オプションで粉砕され、本質的に乾燥または部分的に乾燥された組成物を、分散液中で、オプションで無機微粒子材料以外の添加剤の存在下で、および/または無機微粒子材料の組合せの存在下で、凝集および/または角質化の周知の問題を回避しながら、再分散させるという問題に対処しようとするものである。添加剤および/または無機微粒子材料の組合せは、例えば、再分散されたミクロフィブリル化セルロースの機械的および/または物理的特性を増強させることができる。本発明はさらに、再分散されたミクロフィブリル化セルロースを含む組成物、および物品、生成物または組成物における再分散されたミクロフィブリル化セルロースの使用に関する。
【0008】
本発明は、紙および/またはコート紙製品の物理的、機械的および/または光学的特性を維持または改善しながら、紙および/またはコート紙製品中に比較的高い投入レベルで組み込むことができる、紙および/またはコート紙製品用の代替および/または改良されたフィラーを提供しようとするものである。
【0009】
本発明はまた、本明細書により完全に記載されるように、様々な最終用途のために同じものを含むそのようなフィラーを調製するために、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む組成物を再分散させるための経済的な方法および対応するポータブル製造システムを提供しようとするものである。そのようなポータブルシステムは、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む本質的に乾燥または部分的に乾燥された組成物を、最終用途の製造現場、例えば製紙現場および/または紙コーティング現場に近接した場所で再分散させるためのシステムの構築を可能にする。
【0010】
この問題の解決策は、本明細書に詳細に記載されるように、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む、あらかじめ本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物を再分散させるための可搬型システム、ならびにミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、あらかじめ本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物を再分散させるための関連する方法である。
【0011】
記載されたタイプの可搬型再分散システムは、流動性スラリー(すなわち、液体懸濁液)を形成するために、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を部分的に解凝集させるためのシアヘッドインペラを備える混合装置と、第1段高剪断ロータ-ステータ装置(例えば、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機)であって、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の流動性スラリーにさらなる高剪断混合を施して、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の実質的に均質な懸濁液を形成する、第1段高剪断ロータ-ステータ装置と、オプションで、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の実質的に均質な懸濁液を、剪断された微粒子流と剪断不足の粗粒子流とに分離するためのハイドロサイクロンであって、剪断不足の粗粒子流をさらなる中程度の剪断混合のために混合装置に戻し、微粒子流を、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の均一に再分散された懸濁液を生成するために実質的に均質な懸濁液に追加の高剪断処理を施すための第2段高剪断装置(例えば、ロータ-ロータ装置、第2高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機)に流すための再循環ループを含む、ハイドロサイクロンと、ミクロフィブリル化セルロースの引張特性は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の同等の未乾燥懸濁液の引張特性に匹敵し、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の再分散懸濁液を、さらなる最終用途のために適切な保持容器で回収することとを備える。
【0012】
ロータ-ロータ高剪断装置は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の実質的に均質または均一な再分散懸濁液を生成するために、微粒子流に高剪断処理を施すための逆回転リングを備え、ミクロフィブリル化セルロースの引張特性は、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の同等の未乾燥懸濁液の引張強度に匹敵する。このシステムは、ミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料の再分散懸濁液を、さらなる最終用途のために適切な保持容器で回収するための適切な保持容器を備える。
【0013】
関連する方法は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、あらかじめ本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物の再分散を含む。この方法は、以下の実施形態および工程を含む。
【0014】
ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物の再分散のための方法であって、
(a)ある量の分散液を第1の入口を通じて混合タンクに供給する工程であって、混合タンクは、シアヘッドインペラを備える中程度の剪断混合装置を備え、混合タンクは、出口と、出口に取り付けられた第1のポンプとをさらに備える、供給する工程と、
(b)ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された、ある量の組成物を、固形物含有量約0.5wt%~約5wt%の繊維固形物の液体スラリーを生成するのに十分な量で、第1の入口を通じて混合タンクに供給する工程と、
(c)混合装置を介して中程度の剪断条件下で液体スラリーを混合し、流動性スラリーを形成するために液体スラリーを部分的に解凝集させる工程と、
(d)流動性スラリーを、混合タンクの第1の出口に取り付けられたポンプを介して、出口、および出口に取り付けられたポンプをさらに備える第1段高剪断ロータ-ステータ装置の入口にポンピングする工程であって、第1段高剪断ロータ-ステータ装置の入口は、混合タンクの出口と連通しており、流動性スラリーに高剪断混合を施して、実質的に均質な懸濁液を形成する、ポンピングする工程と、
(e)実質的に均質な懸濁液を、第1段高剪断ロータ-ステータ装置の出口から、ロータ-ロータ装置、第2段高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機から選択される第2段高剪断装置の入口にポンピングする工程であって、ロータ-ロータ装置は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の均一に再分散された懸濁液を生成するために、実質的に均質な懸濁液に追加の高剪断処理を施すための逆回転リングを備え、ミクロフィブリル化セルロースの引張指数は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の同等の未乾燥懸濁液の引張指数に匹敵する、ポンピングする工程と、
(h)ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の再分散懸濁液を、さらなる最終用途のために適切な保持容器で回収する工程と
を含む。
【0015】
実施形態において、本質的に乾燥または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースは、混合タンク内で分散液と混合する前に粉砕され得る。
【0016】
さらなる実施形態では、ミクロフィブリル化セルロース組成物は、1つ以上の無機微粒子材料を含み得る。本発明の実施形態では、1つ以上の任意のコンポーネントがプロセスの一部を形成し得る。
【0017】
本発明の前述の態様の別の実施形態では、方法は、ロータ-ステータ装置に続くハイドロサイクロンをさらに備え、ハイドロサイクロンは、入口、第1のハイドロサイクロン出口、および第2のハイドロサイクロン出口を備え、ハイドロサイクロンは、実質的に均質な懸濁液を、(i)好ましくはFLT指数が目標値の25%を超え、Malvern d50が160μm未満である、剪断された微粒子流と、(ii)好ましくは剪断された微粒子流のMalvern d50よりも少なくとも20%大きいMalvern d50を有する剪断不足の粗粒子流とに分離し、剪断不足の粗粒子流の再循環、および混合タンク内の流動性スラリーとの再混合を可能にするために、剪断不足の粗粒子流を、混合装置の第1のハイドロサイクロン出口から第2の入口にポンピングし、第2のハイドロサイクロン出口から、ロータ-ロータ装置、第2の高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機から選択される、第2段高剪断装置の入口に微粒子流を流し、ロータ-ロータ装置は、実質的に均質な懸濁液に追加の高剪断処理を施すための逆回転リングを備える。
【0018】
本発明の前述の態様および実施形態の別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの組成物は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む。
【0019】
本発明の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物の再分散のための方法が提供され、この方法は、
(a)本質的に乾燥または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースから取得されるミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む液体媒体を、シアヘッドインペラを備える中程度の剪断混合装置に流し、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む液体スラリーを形成する工程と、
(b)第1段高剪断ロータ-ステータ装置に液体スラリーを流す工程であって、液体スラリーに高剪断混合を施して、実質的に均質な懸濁液を形成する、液体スラリーを流す工程と、
(c)実質的に均質な懸濁液を、ロータ-ロータ装置、第2段高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機から選択される第2段高剪断装置に流す工程であって、ロータ-ロータ装置は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の均一に再分散された懸濁液を生成するために、実質的に均質な懸濁液に高剪断処理を施すための逆回転リングを備え、ミクロフィブリル化セルロースの引張特性は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の同等の未乾燥懸濁液の引張特性に匹敵する、実質的に均質な懸濁液を流す工程と、
(d)ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の再分散懸濁液を、さらなる最終用途のために適切な保持容器で回収する工程と
を含む。
【0020】
前述の態様の別の実施形態および本発明の実施形態は、以下の工程をさらに含む。本発明の前述の態様の方法であって、実質的に均質な懸濁液がハイドロサイクロンに流され、実質的に均質な懸濁液が剪断不足の粗粒子流と剪断された微粒子流とに分離され、剪断不足の粗粒子流が中程度の剪断混合装置に再循環され、剪断された微粒子流が第2の高剪断ロータ-ステータ装置、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機に流される。
【0021】
前述の態様のさらなる実施形態および本発明の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの組成物は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む。
【0022】
本発明の別の態様では、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物を液体媒体中に再分散させて液体組成物を形成するための可搬型システム(1)が提供され、このシステムは、
シアヘッドインペラ(22)を備える混合装置(21)を備える混合タンク(20)であって、ミクロフィブリル化セルロース、およびオプションで1つ以上の無機微粒子材料の液体スラリーを受け入れるための第1の混合タンク入口(24)、およびポンプ(27)を備える混合タンク出口(26)を備える、混合タンク(20)と、混合タンク出口(26)に接続されたロータ-ステータ入口(31)およびロータ-ステータ出口(32)を備える第1段高剪断ロータ-ステータ装置(30)と、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置、または精製機から選択される第2段高剪断装置であって、第2段高剪断装置は、第1段高剪断ロータ-ステータ出口に接続された第2段高剪断入口(52)および出口(53)を備える、第2段高剪断装置と、ロータ-ロータ出口(53)に接続された貯蔵タンク入口(61)を備える貯蔵タンク(60)とを備える。
【0023】
本発明の前述の態様の別の実施形態では、システムは、ハイドロサイクロン入口(41)、第1のハイドロサイクロン出口(42)、および第2のハイドロサイクロン出口(43)を備えるハイドロサイクロン(40)をさらに備え、ハイドロサイクロン入口(41)は、ロータ-ステータ装置のロータ-ステータ出口(32)に接続され、ハイドロサイクロンは、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料のスラリーを、剪断された微粒子流と剪断不足の粗粒子流とに分離し、第1のハイドロサイクロン出口(42)は、剪断不足の粗粒子流を混合タンク(20)に戻すために、混合タンク(20)の第2の入口(25)に接続され、微粒子流は、第2のハイドロサイクロン出口(43)を介して、第2段高剪断入口(52)に流される。
【0024】
前述の態様のさらなる実施形態および本発明の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物は、1つ以上の無機微粒子材料をさらに含む。
【0025】
本発明の前述の方法の態様およびシステムの態様のさらなる実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む、本質的に乾燥または部分的に乾燥された組成物が粉砕される。
【0026】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらなる実施形態では、方法は、連続プロセス、半連続プロセス、またはバッチプロセスである。
【0027】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらなる実施形態では、分散液は水である。
【0028】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらなる実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの液体組成物は、約0.5wt%~約5wt%の繊維固形物、または約0.5wt%~約2.5wt%の繊維固形物、または約0.75wt%の繊維固形物、約1wt%の繊維固形物、約1.25wt%の繊維固形物、約1.5wt%の繊維固形物、約1.75wt%の繊維固形物、約2wt%の繊維固形物、約2.5wt%の繊維固形物、約3wt%の繊維固形物、約4wt%の繊維固形物、または約5wt%の繊維固形物である。前述の実施形態は、ミクロセルロースを含む組成物、ならびにミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料を含む代替組成物に関する。
【0029】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらなる実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物、またはそれらの組合せから調製され得る。
【0030】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらなる実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、含水カンダイト粘土、無水(焼成)カンダイト粘土、タルク、雲母、パーライトまたは珪藻土、またはそれらの組合せを含み得、あるいは炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、カオリン、ハロイサイト、ボール粘土、メタカオリン、完全焼成カオリン、またはそれらの組合せを含み得る。
【0031】
本発明の前述の方法およびシステムの態様の他の実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は、炭酸カルシウムを含む。
【0032】
本発明の前述の方法およびシステムの態様の他の実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は、カオリンを含む。
【0033】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらに他の実施形態では、1つ以上の無機微粒子材料は、カオリンおよび炭酸カルシウムを含む。
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらに他の実施形態では、炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、またはそれらの組合せであり、あるいは炭酸カルシウムは、方解石、アラゴナイト、またはバテライト構造を含み、あるいは偏三角面体または菱面体晶の結晶形態である。
【0034】
本発明の前述の方法およびシステムの態様の他の実施形態にでは、カオリンはハイパープラティカオリンである。
【0035】
本発明の前述の方法およびシステムの態様の他の実施形態では、無機微粒子材料、例えば炭酸カルシウムおよび/またはカオリンは、それぞれ、炭酸カルシウムの少なくとも約50wt%が約2μm未満の等価球直径を有するか、またはカオリンの少なくとも約50wt%が約2μm未満の等価球直径を有することを含み得る。
【0036】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらに他の実施形態では、最終用途は、紙の製造または紙のコーティング、塗料、コーティング、建築材料、天井タイル、複合材料、またはバリアコーティングの方法を含む。
【0037】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらに他の実施形態では、第1段高剪断ロータ-ステータ装置は、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される。
【0038】
本発明の前述の方法およびシステムの態様のさらなる実施形態では、第2段高剪断ロータ-ステータ装置は、ロータ-ロータ装置、Trigonal(登録商標)ミル、コロイドミル、超微粉砕装置または精製機から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料、およびオプションの添加物を再分散させるための可搬型機器装置の概略図およびプロセスフロー図である。図1Aに示す概略図は、供給ホッパーを含まない。図1Bに示す概略図は、供給ホッパーを含む。
図2】ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料、およびオプションの添加剤を再分散させるための可搬型機器装置の概略図およびプロセスフロー図であり、このプロセスまたはシステムは、ハイドロサイクロン装置をさらに含む。図2Aに示す概略図は、供給ホッパーを含まない。図2Bに示す概略図は、供給ホッパーを含む。
図3】振動ふるい技術による累積粒子サイズ分布のプロットである。
図4】実施例4:対照試験1の引張強度(FLT)結果のプロットである。運転条件は、全固形物3.5%、パルプの割合50%(POP)、流量12m/h、BVG Shear-Masterの速度100%、Cowlesブレードミキサーの速度100%であった。
図5】実施例5:12インチのSprout Refineを使用した対照試験2の引張強度(FLT)結果のプロットである。運転条件は、強度0.1J/m、パスあたりのMFC NET比エネルギー入力20kWh/DMT、1320RPM、先端長1.111km/revであった。全固形物は9%、POPは50%であった。
図6】実施例6:Trigonal(登録商標)SM180を使用した対照試験3の引張強度(FLT)結果のプロットである。運転条件は、5400RPM、ギャップ設定0.1mm、減速ツールはW3 F.S.GLであった。全固形物は9%、POPは50%であった。
図7】実施例7:Atrex(登録商標)CD650を使用した対照試験4の引張強度(FLT)結果のプロットである。運転条件は、55kg/min、2000RPMであり、全固形物はグラフ凡例に示すように変動した。Megatrexが開発した標準的な6リングの逆回転設計が使用された。
図8】Atrex(登録商標)CD650ロータ-ロータ高剪断装置の連続運転における引張強度(FLT)のプロットである。運転条件は、2000RPM、55kg/min、および全固形物9.7%(平均測定値)であった。スラリーは供給容器からAtrex(登録商標)を通ってバッファタンクにカスケードされた。第2のパスでは、バッファタンクの内容物が供給容器に移され、このプロセスを繰り返した。
図9A】6リングの使用を示す図である。
図9B】Atrex(登録商標)逆回転ロータ-ロータリングの8リングの実施形態を示す図である。
図10】Silverson(登録商標)バッチミキサーを使用したプレウェッティングを伴うAtrex(登録商標)8リング設計(第1のパス)のFLT結果を使用して得られた引張強度(FLT)結果のプロットである。運転条件は、55kg/min、2000RPM、全固形物9.7%(平均測定値)であった。POPは50%であった。
図11】Silverson(登録商標)バッチミキサーを使用したプレウェッティングを伴うAtrex(登録商標)8リング設計(第1および第2のパス)の引張強度(FLT)結果のプロットである。結果は、累積エネルギー投入(総エネルギー投入)に対して示される。
図12】2つの異なる固形物濃度における本発明システムおよびプロセス(シングルパス)の引張強度(FLT)結果のプロットである。
図13】選択したVortex-FinderとSpigotの比率が、4バールの圧力で全固形物1.7%における1インチハイドロサイクロンのD50にどのような影響を与えるかを示すグラフである。
図14】選択したVortex-FinderとSpigotの比率が、4バールの圧力で全固形物1.7%における1インチハイドロサイクロンの<300μm画分にどのような影響を与えるかを示すグラフである。
図15】選択したVortex-FinderとSpigotの比率が、4バールの圧力で全固形物1.7%における1インチハイドロサイクロンにおいて、Valmet Fibre-analyserによって測定された、フィブリル化率(一定の微粉子Bを用いた)にどのように影響するかを示すグラフである。
図16】選択したVortex-FinderとSpigotの比率が、4バールの圧力で全固形物1.7%における1インチハイドロサイクロンの全固形物にどのような影響を与えるかを示すグラフである。
図17】Vortex-FinderとSpigotの比率が、2バールの圧力で全固形物9%における2インチハイドロサイクロンの全固形物パーセンテージにどのような影響を与えるかを示すグラフである。
図18】Vortex-FinderとSpigotの比率が、2バールの圧力で全固形物9%における2インチハイドロサイクロンのMalvern D50にどのような影響を影響かを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
特定の定義
【0041】
本明細書で提供されるタイトル、見出しおよび小見出しは、本開示の様々な態様を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、以下に定義する用語は、明細書全体を参照することによって、より完全に定義される。本明細書で引用されるすべての参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0042】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の定めがない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0043】
本出願において、「または」の使用は、特に明記されていない限り、「および/または」を意味する。複数の従属請求項の文脈では、「または」の使用は、代替的にのみ、複数の先行する独立請求項または従属請求項を指し示す。「含む(comprising)」という用語と組み合わせて使用される「a」または「an」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」、「1つまたは複数(one or more than one)」の意味とも一致する。「または」という用語の使用は、本開示では選択肢のみおよび「および/または」を指す定義を支持しているが、選択肢が相互に排他的である場合に選択肢のみを指すことが明示的に示されていない限り、「および/または」を意味するものとして使用される。
【0044】
本出願を通じて、「約」という用語は、値に定量化デバイスの誤差の固有の変動、値を決定するために使用される方法、または研究対象者間に存在する変動が含まれることを示すために使用される。例えば、限定ではないが、「約」という用語が使用されるとき、指定された値は、プラスマイナス12%、または11%、または10%、または9%、または8%、または7%、または6%、または5%、または4%、または3%、または2%、または1%変動する可能性がある。「少なくとも1つ」という用語の使用は、1つだけでなく、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含むがこれらに限定されない、2つ以上の任意の量も含むと理解される。「少なくとも1つ」または「1つ以上」という用語は、それが付加される用語に応じて、100または1000またはそれ以上まで拡張する場合がある。加えて、より低いあるいはより高い限界値でも満足のいく結果が得られる可能性があるため、100/1000の量は限定的なものとは見なされない。加えて、「X、Y、およびZのうち少なくとも1つ」という用語の使用は、X単独、Y単独、およびZ単独、ならびにX、Y、およびZの任意の組合せを含むと理解される。序数用語(すなわち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など)の使用は、2つ以上の項目を区別することのみを目的としており、特に明記しない限り、項目同士の順序や重要性、または追加の順序を暗示するものではない。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」(および「comprises」、「comprises」、「comprised」などcomprisingの任意の形式)、「有する(having)」(および「have」、「has」などhavingの任意の形式)、「含む(including)」(および「includes」、「include」などincludingの任意の形式)、または「含む(containing)」(および「contains」、「contain」などcontainingの任意の形態)は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、未記載の要素または方法工程を除外するものではない。加えて、用語「含む(comprising)」とともに使用される用語は、用語「からなる(consisting of)」または「本質的に~からなる(consisting essentially of)」とともに使用することもできると理解される。
【0046】
「解凝集(deagglomerate)」、「解凝集(de―agglomerate)」、「解凝集(de―agglomerate)」などは、凝集物を分解するプロセスを意味する。
【0047】
「本質的に乾燥した」または「乾燥した」とは、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む水性組成物の含水量が、少なくとも約95重量%の水分だけ減少していることを意味する。
【0048】
「部分的に乾燥した」または「部分的に乾燥した」とは、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の含水量が95重量%未満の量だけ減少していることを意味する。特定の実施形態では、「部分的に乾燥した」または「部分的に乾燥した」とは、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の含水量が少なくとも50重量%、例えば少なくとも75重量%、または少なくとも90重量%減少していることを意味する。一実施形態では、水性懸濁液は、部分的に乾燥または本質的に乾燥した製品を形成するために、少なくとも一部または実質的にすべての水を除去するように処理される。例えば、水性懸濁液中の水の少なくとも約10体積%が水性懸濁液から除去されてもよく、例えば、水性懸濁液中の水の少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約95体積%、または少なくとも約100体積%が除去されてもよい。水性懸濁液から水を除去するために、例えば、圧搾の有無に関わらず、重力または真空補助排水、蒸発、濾過、またはこれらの技術の組合せなどを含む、任意の適切な技術を使用することができる。部分的に乾燥または本質的に乾燥された組成物は、ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料と、乾燥前に水性懸濁液に添加された可能性のある任意の他のオプションの添加物を含む。部分的に乾燥または本質的に乾燥された製品は、販売のために保管または包装することができる。部分的に乾燥または本質的に乾燥された製品は、本明細書に記載されているように、オプションで再水和され、製紙用組成物および他の紙製品に組み込まれ得る。
【0049】
ミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を含む部分的に乾燥または本質的に乾燥された組成物を調製するための様々な方法が当業者に知られている。例えば、従来技術に開示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる方法は、米国特許第10,435,482号および第11,001,644号に開示されている。
【0050】
米国特許第10,435,482号のプロセスは、再分散された、乾燥または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースの物理的および/または機械的特性を改善する方法として記載されており、この方法は、(a)ミクロフィブリル化セルロースの水性組成物を提供すること、(b)i.ベルトプレスによる脱水、ii.高圧自動ベルトプレス、iii.遠心分離機、iv.チューブプレス、v.スクリュープレス、およびvi.ロータリープレスのうちの1つ以上によって水性組成物を脱水して、脱水されたミクロフィブリル化セルロース組成物を生成すること、(c)脱水されたミクロフィブリル化セルロース組成物を、i.流動床乾燥機、ii.マイクロ波および/または高周波乾燥機、iii.熱風掃引ミルまたは乾燥機、セルミルまたはマルチロータセルミル、およびiv.凍結乾燥のうちの1つ以上によって脱水されたミクロフィブリル化セルロース組成物を乾燥させて、乾燥または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロース組成物を生成すること、および(d)乾燥または少なくとも部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを液体媒体中に再分散させることを含み、ミクロフィブリル化セルロースは、同等の濃度で乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の引張指数および/または粘度の少なくとも50%である引張指数および/または粘度、ならびに20~50の繊維急峻度を有する。
【0051】
米国特許第11,001,644号のプロセスは、再分散された、乾燥または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースの物理的および/または機械的特性を改善する方法として記載されており、この方法は、(a)ミクロフィブリル化セルロースの水性組成物を提供することであって、ミクロフィブリル化セルロースは、再生パルプ、または損紙、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物から得られる、提供すること、(b)ベルトプレスによる脱水、高圧自動ベルトプレス、遠心分離機、チューブプレス、スクリュープレス、およびロータリープレスのうちの1つ以上によって水性組成物を脱水して、脱水されたミクロフィブリル化セルロース組成物を生成すること、(c)脱水されたミクロフィブリル化セルロース組成物を、流動床乾燥機、マイクロ波および/または高周波乾燥機、熱風掃引ミルまたは乾燥機、セルミルまたはマルチロータセルミル、および凍結乾燥のうちの1つ以上によって脱水されたミクロフィブリル化セルロース組成物を乾燥させて、乾燥または部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロース組成物を生成すること、ならびに(d)乾燥または少なくとも部分的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを液体媒体中に再分散させることを含み、ミクロフィブリル化セルロースは、同等の濃度で乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の引張指数および/または粘度の少なくとも50%である引張指数および/または粘度、ならびに20~50の繊維急峻度を有する。部分的に乾燥または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させるための代替プロセスが米国特許公開第20200263358A1号に開示されており、この方法は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
米国特許公開第20200263358号では、脱水され、部分的に乾燥または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを再分散させる方法が提供されており、この方法は、(a)少なくとも第1および第2の入口および出口を有するタンクに、適切な分散液の量を添加する工程であって、タンクは、ミキサーおよび出口に取り付けられたポンプをさらに備える、添加する工程、(b)繊維固形物0.5~5%の所望の固形物濃度でミクロフィブリル化セルロースの液体組成物を生成するのに十分な量の、脱水され、部分的に乾燥または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースを第1の入口を通してタンクに添加する工程、(c)分散液と、脱水された、部分的に乾燥または本質的に乾燥されたミクロフィブリル化セルロースとをタンク内でミキサーを用いて混合し、流動性スラリーを形成するために、ミクロフィブリル化セルロースを部分的に解凝集させて再分散させる工程、(d)流動性スラリーをポンプでフローセルの入口にポンピングする工程であって、フローセルが、再循環ループおよび直列の1つ以上の超音波プローブと、少なくとも第1および第2の出口とを備え、フローセルの第2の出口がタンクの第2の入口に接続され、それにより、所望の時間および/または総エネルギーの間、スラリーへの超音波エネルギーの連続的な適用を提供する連続的な再循環ループを提供し、フローセルが、再循環スラリーの背圧を作り出すために第2の出口に調節可能なバルブを備え、さらに、工程(c)のミクロフィブリル化セルロースを含む液体組成物が、0~4バールの操作圧力および20℃~50℃の温度で再循環ループを通して連続的に再循環される、ポンピングする工程、(e)19~100kHzの周波数範囲で、最大60%、最大100%、または最大200%の振幅で、1~120分の間使用されるソニケータの物理的制限まで、超音波処理プローブによって200~10,000kWh/tの超音波エネルギー入力をスラリーに連続的に適用する工程、(f)強化された引張強度および/または粘度特性を有するミクロフィブリル化セルロースを含む再分散懸濁液を、フローセルの第1の出口から適切な保持容器で回収する工程を含む。
【0053】
「再分散(re-dispersion)」、「再分散(re-dispersing)」、「再分散(re-dispersed)」という用語は、乾燥が起こる前と同等の引張強度特性を達成するために、乾燥され、オプションで粉砕されたミクロフィブリル化セルロースおよびオプションで1つ以上の無機微粒子材料を水性媒体中に懸濁させることを指す。これは「引張指数」または「FLT指数」によって特徴づけられる。
【0054】
本明細書で使用する「FLT指数」は、実施例1の手順に従って実行される引張強度測定値である。
【0055】
FLT指数は、ミクロフィブリル化セルロースおよび再分散ミクロフィブリル化セルロースの品質を評価するために開発された引張試験である。ミクロフィブリル化セルロース/無機材料複合体の製造に使用された無機微粒子材料(無機微粒子材料を含まないミクロフィブリル化セルロースの場合、60wt%<2μmのGCC炭酸カルシウムが使用される)を添加することにより、試験材料のパルプの割合(「POP」)が20%に調整される。特注のBuchner濾過装置を使用してこの材料から220gsmのシートが形成される。得られたシートを調整し、業界標準の引張試験機を使用して、その引張強度を測定する。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「含む(include)」およびその文法的変形は、非限定的であることを意図しており、リスト中の項目の言及は、列挙された項目に置換または追加され得る他の同様の項目を排除するものではない。
【0057】
本明細書で使用する場合、本質的に乾燥または部分的に乾燥されたMFC組成物の「機械的特性」は、引張強度、引張伸び、引張指数、破裂強度、引裂強度、引裂指数、スコットボンド、破断エネルギー、破断伸びのうちの1つ以上を含む。
【0058】
本明細書では、「粉砕(pulverize)」、「粉砕(pulverized)」、「粉砕(pulverization)」という用語は、MFCプレスケーキを機械的に分解して、図3に示す粒子サイズ画分の降順にふるいを積み重ねた振動機を使用して測定した累積サイズ分布を有する粉末にすることを意味する。
【0059】
生データの線形補間により、以下の表1に示すように、次の曲線の特性を使用することができる。


【表1】
【0060】
本明細書で使用する場合、シアヘッドインペラを有するミキサーは、ミクロフィブリル化セルロース、またはミクロフィブリル化セルロースおよび1つ以上の無機微粒子材料組成物を含む本質的に乾燥または部分的に乾燥され、オプションで粉砕された組成物に「適度な剪断」を付与する。本発明で有用な中程度の剪断ミキサーの例は、保持容器内のCowlesブレード(ラジアルフローインペラ)であり、例えば、インペラ(D)対タンク(T)の直径比が0.5未満、すなわちD/T<0.5で、先端速度が20m/s未満となる。他の例示的なミキサーには、様々なプロペラミキサー、二重シャフトおよび三重シャフトミキサー(例えば、Rossミキサー)、ブレードミキサーを有する分散機、Silverson(登録商標)ミキサー、Myersミキサー、PVCミキサー、および当業者によって知られている他の同様の汎用ミキサーが含まれる。
【0061】
本明細書で使用するロータ-ステータミキサーは、例えば、Trigonal(登録商標)ミキサー(Siefer-Trigonalマシン)、あるいは、より一般的にはコロイドミルまたは精製機であり、これらは、要求される剪断レベルおよび設計の物理的制限に応じて、中程度の剪断を付与するシアヘッドミキサーと比較して、比較的高い剪断速度を付与する。別の装置としては、ドイツ、シュプロックヘーフェルのHagen & Funke GmbH.によって供給されるCavitron(登録商標)ロータ-ステータミキサーがある。
【0062】
本明細書で使用する「ロータ-ロータミキサー」は、従来のミキサーと比較して、高粘度スラリーで高い集中剪断力が得られる。ロータ-ロータミキサーは、高い剪断力を付与することができる2つの逆回転する混合エレメント(ロータ)を有する。ミキサーの形状により、液体スラリーはロータによって形成された高剪断力のゾーンを通過するように強制される。例示的なロータ-ロータミキサーは、フィンランド、レンパーラのMegatrex Oyによって供給されるAtrex(登録商標)ミキサーである。代替装置としては、超微粒子摩擦グラインダー(日本、Masuko Sangyo Co. Ltd.から入手可能なSupermasscolloider(登録商標))がある。Atrex(登録商標)ミキサーの一例は、ロータ-ロータディスパージェータ、モデルG30であり、直径500mm、6つのロータ周辺部、1500rpm(逆回転ロータ)で適用される回転数である。好ましいギャップ幅は、10mm未満、好ましくは5mm未満である。いわゆるロータ-ロータディスパージェータであり、分散液への一連の頻繁に繰り返される衝撃は、反対方向に回転する複数のロータのブレードによって引き起こされる。Atrex(登録商標)ディスパージェータは、そのようなディスパージェータの一例である。隣接するロータは1500rpmで反対方向に回転した。
【0063】
本明細書で使用する「剪断不足の粗粒子流」は、オーバーフロー/微粒子流d50(μm)よりも少なくとも20%大きい粒子サイズを含む。
【0064】
セルロースを含む繊維状基材
【0065】
セルロースを含む繊維状基材(本明細書では、「セルロースを含む繊維状基材」、「セルロース繊維」、「繊維状セルロース原料」、「セルロース原料」、「セルロース含有繊維(または繊維状)」などと様々に呼ばれる)は、バージンパルプまたは再生パルプから得られ得る。
【0066】
本明細書で使用する「実質的に」という用語は、後に記載される事象または状況が完全に発生すること、または後に記載される事象または状況がかなりの範囲または程度で発生することを意味する。例えば、特定の事象または状況に関連するとき、「実質的に」という用語は、後に記載される事象または状況が、少なくとも時間の80%、あるいは少なくとも時間の85%、あるいは少なくとも時間の90%、あるいは少なくとも時間の95%で発生することを意味する。「実質的に均質な懸濁液」の文脈では、懸濁液は最小限の凝集物を有すると理解される。
【0067】
本明細書で使用する「粘度」は、実施例2の手順に従って測定される。
【0068】
特に明記しない限り、本明細書で言及する無機微粒子材料の粒子サイズ特性は、本書では「Micromeritics Sedigraph 5100ユニット」と呼ばれるMicromeritics Instruments Corporation, Norcross, Ga., USA (telephone:+1 770 662 3620;web-site:www.micromeritics.com)によって供給されるSedigraph 5100マシンを使用して、水性媒体中に完全に分散した状態の微粒子材料を沈降させることによって周知の方法で測定されるものである。そのようなマシンは、当技術分野では「等価球直径(e.s.d)」と呼ばれる、所与のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の重量累積パーセンテージの測定およびプロットを提供する。平均粒子サイズd50は、このようにして決定された粒子e.s.dの値であり、そのd50値未満の等価球直径を有する粒子が50重量%存在する。
【0069】
あるいは、記載されている場合、無機微粒子材料について本明細書で言及される粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdによって(または、本質的に同じ結果を与える他の方法によって)供給されるMalvern Mastersizer Sマシンを使用して、レーザー光散乱の技術分野で採用されている周知の従来の方法によって測定されるものである。レーザー光散乱技術では、Mie理論の応用に基づいて、レーザー光の回折を使用して、粉体、懸濁液、エマルション中の粒子サイズを測定することができる。そのようなマシンは、当技術分野では「等価球直径(e.s.d)」と呼ばれる、所与のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の体積累積パーセンテージの測定およびプロットを提供する。平均粒子サイズd50は、このようにして決定された粒子e.s.dの値であり、そのd50値未満の等価球直径を有する粒子が50体積%存在する。
【0070】
本明細書で使用する「XからYまでの整数」という語句は、端点を含む任意の整数を意味する。例えば、「1から5までの整数」という語句は、1、2、3、4、または5を意味する。
【0071】
ミクロフィブリル化セルロース
【0072】
ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)は、当技術分野において周知であり記載されているが、現在開示されている、および/または特許請求される発明概念の目的では、単離されたセルロースミクロフィブリルおよび/またはセルロースのミクロフィブリル束のいずれかの形態のミクロフィブリルからなるセルロースとして定義され、これらはいずれもセルロース原料から得られる。したがって、ミクロフィブリル化セルロースとは、当技術分野で知られている様々なプロセスによって達成され得る、部分的または全体的にフィブリル化されたセルロースまたはリグノセルロース繊維を含むと理解される。
【0073】
本明細書で使用するとき、「ミクロフィブリル化セルロース」は、「ミクロフィブリルセルロース」、「ナノフィブリル化セルロース」、「ナノセルロース」、「ナノフィブリルセルロース」、「セルロースのナノファイバ」、「ナノスケールフィブリル化セルロース」、「セルロースのミクロフィブリル」、および/または単に「MFC」と互換的に使用することができる。さらに、本明細書で使用される場合、「ミクロフィブリル化セルロース」と互換性のある上記の用語は、完全にミクロフィブリル化されたセルロース、または実質的にミクロフィブリル化されたが、本明細書に記載および/または特許請求されるミクロフィブリル化セルロースの利点を妨げないレベルの非ミクロフィブリル化セルロースを依然として含むセルロースを指す場合がある。
【0074】
「ミクロフィブリル化」とは、セルロースのミクロフィブリルが、あらかじめミクロフィブリル化されたパルプの繊維と比較して、個々の種として、または小さな凝集体として、遊離または部分的に遊離するプロセスを意味する。製紙用に適した典型的なセルロース繊維(すなわち、あらかじめミクロフィブリル化されたパルプ)には、数百から数千のセルロース繊維のより大きな凝集体が含まれる。
【0075】
ミクロフィブリル化セルロースは、グルコース単位の繰り返しを含む天然由来のポリマーであるセルロースを含む。本明細書で使用する「ミクロフィブリル化セルロース」という用語は、MFCとも表され、ミクロフィブリル化/ミクロフィブリルセルロースおよびナノフィブリル化/ナノフィブリルセルロース(NFC)を含み、これらの材料はナノセルロースとも呼ばれる。
【0076】
ミクロフィブリル化セルロースは、事前の酵素処理または化学処理の有無にかかわらず、機械的剪断によって露出した可能性のあるセルロース繊維の外層を剥離することによって調製される。当該技術分野において知られているミクロフィブリル化セルロースを調製する多数の方法が存在する。
【0077】
非限定的な例では、ミクロフィブリル化セルロースという用語は、多くの場合100nm未満の少なくとも1つの寸法を有するナノスケールのセルロース粒子繊維またはフィブリルを含むフィブリル化セルロースを説明するために使用される。セルロース繊維から遊離したとき、フィブリルの直径は通常100nm未満である。セルロースフィブリルの実際の直径は、原料および製造方法によって決まる。
【0078】
フィブリル化セルロース繊維に付着した、または遊離したミクロフィブリルとしてのセルロースミクロフィブリルの粒子サイズ分布および/またはアスペクト比(長さ/幅)は、ミクロフィブリル化プロセスで採用される原料および製造方法によって決まる。
【0079】
非限定的な例では、ミクロフィブリルのアスペクト比は典型的には高く、個々のミクロフィブリルの長さは1マイクロメートルを超えることがあり、直径は約5~60nmの範囲内であってもよく、数平均直径は典型的には20nm未満であり得る。ミクロフィブリルの束の直径は1ミクロンよりも大きい場合もあるが、通常は1ミクロン未満である。
【0080】
非限定的な例では、最小フィブリルは従来、エレメンタリーフィブリルと呼ばれ、一般に直径は約2~4nmである。また、エレメンタリーフィブリルが凝集することもよくあり、これはミクロフィブリルと見なされる場合もある。
【0081】
非限定的な例では、ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも部分的にナノセルロースを含み得る。ナノセルロースは、100nm未満の直径、ミクロン範囲以下であり得る長さを有する、主にナノサイズのフィブリルを含み得る。最小のミクロフィブリルは、いわゆるエレメンタルフィブリルに似ており、その直径は通常2~4nmである。もちろん、ミクロフィブリルおよびミクロフィブリル束の寸法および構造は、ミクロフィブリル化セルロースの生成方法に加えて、使用する原料にも依存する。それにもかかわらず、当業者であれば、現在開示されているおよび/または特許請求された発明概念の文脈における「ミクロフィブリル化セルロース」の意味を理解することが期待される。
【0082】
セルロース繊維の原料およびセルロース繊維をミクロフィブリル化するために採用される製造プロセスによって、フィブリルの長さは、多くの場合、約1から10マイクロメートルを超えるまで変化し得る。
【0083】
粗いMFCグレードは、かなりの割合のフィブリル化繊維、すなわち細胞壁(セルロース繊維)から突出したフィブリルを含み、細胞壁(セルロース繊維)から遊離したフィブリルを一定量含む可能性がある。
【0084】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、レーザー光散乱によって測定された、約5μmから約500μmの範囲のd50を有する。特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有する。
【0085】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約0.1~500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有する。
【0086】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有する。
【0087】
一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、再生パルプ、損紙、および/または産業廃棄物、あるいは製紙工場からの鉱物フィラーとセルロース系材料を豊富に含む紙流から調製することもできる。
【0088】
ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、脱水および/または乾燥の前に処理することができる。例えば、以下に規定する1つ以上の添加剤(例えば、塩、糖、グリコール、尿素、グリコール、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、または以下に規定するそれらの組合せ)を、ミクロフィブリル化セルロースに添加することができる。例えば、ミクロフィブリル化セルロースには、1つ以上のオリゴマー(例えば、上記で規定した添加剤の有無にかかわらず)を添加することができる。例えば、分散性を向上させるために、ミクロフィブリル化セルロースに1つ以上の無機微粒子材料を添加してもよい(例えば、タルクまたはステアリン酸表面処理(例えば、ステアリン酸処理炭酸カルシウム)などの疎水性表面処理を有するタルクまたは鉱物)。添加剤は、例えば、低誘電率溶媒に懸濁させることができる。ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、脱水および/または乾燥の前に、例えば油/水エマルションなどのエマルション中にあってもよい。ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、脱水および/または乾燥の前に、マスターバッチ組成物、例えば、ポリマーマスターバッチ組成物および/または高固形物マスターバッチ組成物中にあり得る。ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、脱水および/または乾燥前の高固形物組成物(例えば、固形物含有量が約60wt%以上、または約70wt%以上、または約80wt%以上、または約90wt%以上、または約95wt%以上、または約98wt%以上、または約99wt%以上)であってもよい。脱水および乾燥後、再分散前または再分散中のミクロフィブリル化セルロースに、追加的または代替的に、1つ以上の処理の任意の組合せを適用することができる。
【0089】
セルロースを含む繊維質基材は、乾燥状態のセルロースを含む粉砕容器繊維質基材に添加することができる。例えば、乾燥した損紙をグラインダー容器に直接加えることができる。グラインダー容器内の水性環境は、パルプの形成を促進する。
【0090】
ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)を生成する様々な方法が当技術分野で知られている。粉砕手順によって生成されたミクロフィブリル化セルロースを含むいくつかの方法および組成物がWO2010/131016に記載されている。Husband, J. C., Svending, P., Skuse, D. R., Motsi, T., Likitalo, M., Coles, A., FiberLean Technologies Ltd., 2015, ”Paper filler composition,” PCT International Application No. WO2010/131016。そのようなミクロフィブリル化セルロースを含む紙製品は、紙の破裂強度および引張強度などの優れた紙特性を示すことが示されている。WO2010/131016に記載されている方法は、ミクロフィブリル化セルロースを経済的に生成することも可能である。
【0091】
WO2007/091942A1には、化学パルプをまず精製し、次いで、1つ以上の木材分解酵素で処理し、最後に均質化して最終製品としてMFCを生成するプロセスが記載されている。パルプの一貫性は、好ましくは0.4~10%であると教示されている。その利点は、高圧フルイダイザーまたはホモジナイザーでの目詰まりを回避できることだと言われている。
【0092】
WO2010/131016には、無機微粒子材料の有無にかかわらず、ミクロフィブリル化セルロースを生成するための粉砕手順が記載されている。そのような粉砕手順について、以下で説明する。その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2010/131016に記載されたプロセスの一実施形態では、このプロセスは、セルロースの前処理を必要とすることなく、費用対効果が高く、大規模にミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)を製造するために、セルロース繊維の機械的分解を利用する。この方法の一実施形態では、粉砕媒体ビーズを攪拌することによって繊維をMFCに分解する攪拌媒体デトリター粉砕技術を使用する。このプロセスでは、炭酸カルシウムやカオリンなどの鉱物が粉砕助剤として添加され、必要なエネルギーが大幅に削減される。Husband, J. C., Svending, P., Skuse, D. R., Motsi, T., Likitalo, M., Coles, A., FiberLean Technologies Ltd., 2015, ”Paper filler composition,” U.S. Pat. US9127405B2。
【0093】
ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料の水性懸濁液の調製
【0094】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物は、粉砕媒体の存在下でセルロースを含む繊維質基材をミクロフィブリル化することを含むプロセスによって得ることができる。このプロセスは、有利には水性環境で実施される。
【0095】
粒子状粉砕媒体は、存在する場合、天然素材のものでも合成素材のものでもよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬質鉱物、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含み得る。そのような材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、または約1300℃~約1800℃の範囲の温度でカオリナイト系粘土を焼成することによって生成されるムライトリッチ材料が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、適切な粒子サイズの天然砂の粒子を使用することもできる。
【0096】
粉砕は、1段階または複数段階で行うことができる。例えば、粗い無機微粒子材料をグラインダー容器内で所定の粒子サイズ分布まで粉砕し、その後、セルロースを含む繊維状材料を添加し、所望のレベルのミクロフィブリル化が得られるまで粉砕を継続する。本発明の第1の態様に従って使用される粗い無機微粒子材料は、当初、粒子の約20重量%未満が2μm未満の等価球直径(e.s.d.)を有する粒子サイズ分布を有することができ、例えば、粒子の約15重量%未満、または約10重量%未満が2μm未満のe.s.d.を有する。別の実施形態では、本発明の第1の態様に従って使用される粗い無機微粒子材料は、当初、Malvern Insitecまたは同等の装置を使用して測定される粒子サイズ分布を有し得、粒子の約20体積%未満が2μm未満のe.s.d.を有する、例えば、粒子の約15体積%未満、または粒子の約10体積%未満が2μm未満のe.s.d.を有する。別の実施形態では、セルロースを含む繊維状物質は、以下に記載するように、粉砕媒体の存在下、無機微粒子材料の非存在下で粉砕することができる。
【0097】
粗い無機微粒子材料は、粉砕媒体の非存在下または存在下で、湿式または乾式粉砕され得る。湿式粉砕段階の場合、粗い無機微粒子材料は、好ましくは、粉砕媒体の存在下、水性懸濁液中で粉砕される。そのような懸濁液において、粗い無機微粒子材料は、好ましくは懸濁液の約5重量%~約85重量%の量で存在し、より好ましくは懸濁液の約20重量%~約80重量%の量で存在し得る。最も好ましくは、粗い無機微粒子材料は、懸濁液の約30重量%~約75重量%の量で存在し得る。上述したように、粗い無機微粒子材料は、粒子の少なくとも約10重量%が2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子の少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または約100重量%が2μm未満のe.s.dを有し、その後、セルロースパルプが添加され、2つの成分がセルロースパルプの繊維をミクロフィブリル化するために共粉砕される。別の実施形態では、粗い無機微粒子材料は、Malvern Insitec装置(または同等品)を使用して測定された粒子サイズ分布に粉砕され、粒子の少なくとも約10体積%が2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子の少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約95体積%、または約100体積%が2μm未満のe.s.dを有し、その後、セルロースパルプが添加され、2つの成分がセルロースパルプの繊維をミクロフィブリル化するために共粉砕される。
【0098】
一般に、本発明で使用するために選択される粉砕媒体のタイプおよび粒子サイズは、特性、例えば、粉砕される材料の供給懸濁液の粒子サイズおよび化学組成に依存し得る。好ましくは、粒子状粉砕媒体は、約0.1mm~約6.0mm、より好ましくは、約0.2mm~約4.0mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。粉砕媒体は、装入物の約70体積%までの量で存在することができる。粉砕媒体は、装入物の少なくとも約10体積%、例えば、装入物の少なくとも約20体積%、または装入物の少なくとも約30体積%、または装入物の少なくとも約40体積%、または装入物の少なくとも約50体積%、または装入物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0099】
特に明記しない限り、ミクロフィブリル化セルロース材料の粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdによって(または、本質的に同じ結果を与える他の方法によって供給されるMalvern Insitec装置(または同等品)を使用して、レーザー光散乱の技術分野で採用されている周知の従来の方法によって測定されるものである。
【0100】
セルロースを含む繊維状基材は、パルプ(すなわち、水中のセルロース繊維の懸濁液)の形態であってもよく、これは、任意の適切な化学的もしくは機械的処理、またはそれらの組合せによって調製することができる。
【0101】
無機微粒子材料とミクロフィブリル化セルロースの混合物の粒子サイズ分布を、Malvern Insitec装置(または同等)を使用して特徴付けるために使用される手順の詳細が以下に提供される。
【0102】
セルロースを含む繊維状基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化され、レーザー光散乱法で測定された、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。セルロースを含む繊維状基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。
【0103】
セルロースを含む繊維状基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、約0.1~500μmの範囲のモード繊維粒子サイズおよび0.25~20μmの範囲のモード無機微粒子材料粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。セルロースを含む繊維状基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。
【0104】
セルロースを含む繊維状基材は、無機微粒子材料の存在下でミクロフィブリル化されて、Malvernによって測定された繊維急峻度が約10以上のミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。繊維急峻度(すなわち、繊維の粒子サイズ分布の急峻度)は、以下の式によって決定される。
【0105】
急峻度=100×(d30/d70)。
【0106】
ミクロフィブリル化セルロースは、約100以下の繊維急峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維急峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維急峻度を有し得る。
【0107】
より微細な鉱物ピークは、測定されたデータポイントにフィットさせ、分布から数学的に差し引くことで、繊維のピークを残すことができ、これは累積分布に変換することができる。同様に、繊維のピークを元の分布から数学的に差し引くと、鉱物ピークが残り、これも累積分布に変換することができる。これらの累積曲線はいずれも、平均粒子サイズ(d50)および分布の急峻度(d30/d70×100)を算出するために使用することができる。次いで、微分曲線を使用して、鉱物と繊維の両方の画分についてモード粒子サイズを求めることができる。
【0108】
無機微粒子材料
【0109】
無機微粒子材料は、存在するとき、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏などのアルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、カオリン、ハロイサイトまたはボール粘土などの含水カンダイトデイ、メタカオリンまたは完全焼成カオリンなどの無水(焼成)カンダイト粘土、タルク、マイカ、パーライトまたは珪藻土、または水酸化マグネシウム、または三水和アルミニウム、またはそれらの組合せであり得る。
【0110】
この方法に使用する好ましい無機微粒子材料は、炭酸カルシウムである。以下、本発明は炭酸カルシウムの観点から、炭酸カルシウムが加工および/または処理される態様と関連して論じられる傾向があり得る。本発明は、そのような実施形態に限定して解釈されないものとする。
【0111】
本発明で使用される粒子状炭酸カルシウムは、粉砕によって天然源から得ることができる。重質炭酸カルシウム(GCC)は、通常、チョーク、大理石、石灰石などの鉱物源を粉石し、粉砕することによって得られ、その後、所望の微粉度を持つ製品を得るために粒子サイズの分類の工程が続き得る。漂白、浮遊、磁気分離など他の技術も、所望の微粉度および/または色を有する製品を得るために使用することができる。粒子状固形材料は、自生的に、すなわち固形材料自体の粒子間の摩耗によって、あるいは、粉砕される炭酸カルシウムとは異なる材料の粒子を含む粒子状粉砕媒体の存在下で、粉砕することができる。これらのプロセスは、プロセスのどの段階でも添加することができる分散剤および殺生物剤の存在の有無にかかわらず実施することができる。
【0112】
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、本発明において粒子状炭酸カルシウムの源として使用することができ、当技術分野で利用可能な既知の方法のいずれかによって生成することができる。TAPPI Monograph Series No 30,”Paper Coating Pigments”の34~35ページは、製紙業界で使用する製品の調製に適した沈降炭酸カルシウムを調製するための3つの主な商業的プロセスについて記載しているが、本発明の実施にも使用することができる。3つすべてのプロセスで、石灰石のような炭酸カルシウムの供給材料をまず焼成して生石灰を生成し、次いで生石灰を水で消和して水酸化カルシウムまたは石灰乳を得る。第1のプロセスでは、石灰乳を炭酸ガスで直接炭酸化する。このプロセスには、副生成物が形成されず、炭酸カルシウム製品の特性および純度を比較的容易に制御できるという利点がある。第2のプロセスでは、石灰乳をソーダ灰と接触させ、複分解によって炭酸カルシウムの沈殿物および水酸化ナトリウムの溶液を生成する。このプロセスが商業的に使用される場合、水酸化ナトリウムは炭酸カルシウムから実質的に完全に分離され得る。第3の主な商業プロセスでは、まず石灰乳を塩化アンモニウムと接触させ、塩化カルシウム溶液とアンモニアガスが得られる。次いで、塩化カルシウム溶液をソーダ灰と接触させ、複分解によって沈降炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウム溶液を生成する。結晶は、使用される特定の反応プロセスに応じて、様々な異なる形状およびサイズで生成することができる。PCC結晶の3つの主な形態は、アラゴナイト、菱面体、偏三角面体であり、これらはすべて、これらの混合物を含め、本発明での使用に適している。
【0113】
炭酸カルシウムの湿式粉砕は、炭酸カルシウムの水性懸濁液の形成を伴い、次いで、懸濁液は、オプションで適切な分散剤の存在下で粉砕され得る。炭酸カルシウムの湿式粉砕に関する詳細については、例えばEP614948(その内容全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0114】
状況によっては、他の鉱物の少量の添加が含まれてもよく、例えば、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ボーキサイト、タルク、雲母のうちの1つ以上が存在することもできる。
【0115】
本発明の無機微粒子材料が天然に存在する源から得られるとき、いくつかの鉱物不純物が粉砕材料を汚染する可能性がある。例えば、天然に存在する炭酸カルシウムは、他の鉱物と関連して存在する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、無機微粒子材料は、不純物の量を含む。しかしながら、一般に、本発明で使用される無機微粒子材料は、約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満の他の鉱物不純物を含む。
【0116】
本発明の方法のミクロフィブリル化工程の間に使用される無機微粒子材料は、好ましくは、粒子の少なくとも約10重量%が2μm未満のe.s.d.を有する、例えば、少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または粒子の約100重量%の粒子が2μm未満のe.s.d.を有する粒子サイズ分布を有する。
【0117】
特に明記しない限り、本明細書で言及する無機微粒子材料の粒子サイズ特性は、本書では「Micromeritics Sedigraph 5100ユニット」と呼ばれるMicromeritics Instruments Corporation, Norcross, Ga., USA (telephone:+1 770 662 3620; web-site:www.micromeritics.com)によって供給されるSedigraph 5100マシンを使用して、水性媒体中に完全に分散した状態の微粒子材料を沈降させることによって周知の方法で測定されるものである。そのようなマシンは、当技術分野では「等価球直径(e.s.d)」と呼ばれる、所与のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の重量累積パーセンテージの測定およびプロットを提供する。平均粒子サイズd50は、このようにして決定された粒子e.s.dの値であり、そのd50値未満の等価球直径を有する粒子が50重量%存在する。
【0118】
あるいは、記載されている場合、無機微粒子材料について本明細書で言及される粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdによって(または、本質的に同じ結果を与える他の方法によって)供給されるMalvern Insitec装置(または同等品)を使用して、レーザー光散乱の技術分野で採用されている周知の従来の方法によって測定されるものである。レーザー光散乱技術では、Mie理論の応用に基づいて、レーザー光の回折を使用して、粉体、懸濁液、エマルション中の粒子サイズを測定することができる。そのようなマシンは、当技術分野では「等価球直径(e.s.d.)」と呼ばれる、所与のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の体積累積パーセンテージの測定およびプロットを提供する。平均粒子サイズd50は、このようにして決定された粒子e.s.d.の値であり、そのd50値未満の等価球直径を有する粒子が50体積%存在する。
【0119】
特に明記しない限り、ミクロフィブリル化セルロース材料の粒子サイズ特性は、Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Insitec Lマシンを使用して(または、本質的に同じ結果を与える他の方法によって)、レーザー光散乱の技術分野で採用されている周知の従来の方法によって測定されるものである。
【0120】
無機微粒子材料とミクロフィブリル化セルロースの混合物の粒子サイズ分布を、Malvern Mastersizer Sマシンを使用して特徴付けるために使用される手順の詳細が以下に提供される。
【0121】
使用するのに好ましい別の無機微粒子材料はカオリン粘土である。以下、本明細書のこのセクションは、カオリンの観点から、およびカオリンが加工および/または処理される態様と関連して論じられる傾向がある。本発明は、そのような実施形態に限定して解釈されないものとする。したがって、いくつかの実施形態では、カオリンは未処理の形態で使用される。
【0122】
本発明で使用するカオリン粘土は、天然源、すなわち生の天然カオリン粘土鉱物に由来する加工材料であってもよい。加工されたカオリン粘土は、典型的には少なくとも約50重量%のカオリナイトを含み得る。例えば、商業的に加工されたカオリン粘土は、約75重量%を超えるカオリナイトを含み、約90重量%を超える、場合によっては約95重量%を超えるカオリナイトを含み得る。
【0123】
本発明で使用されるカオリン粘土は、生の天然カオリン粘土鉱物から、例えば既知の精製または選鉱工程など、当業者に既知の1つ以上の他のプロセスによって調製することができる。
【0124】
例えば、粘土鉱物は、亜硫酸水素ナトリウムのような還元的漂白剤で漂白することができる。亜硫酸水素ナトリウムを使用する場合、亜硫酸水素ナトリウム漂白工程の後、漂白粘土鉱物をオプションで脱水し、オプションで洗浄し、再度オプションで脱水することができる。
【0125】
粘土鉱物は、不純物を除去するために、例えば、当技術分野でよく知られた凝集、浮遊、磁気分離技術によって処理することができる。あるいは、本発明の第1の態様で使用される粘土鉱物は、固体または水性懸濁液の形態で未処理であってもよい。
【0126】
本発明で使用される粒子状カオリン粘土を調製するためのプロセスはまた、1つ以上の破砕工程、例えば、粉砕または製粉を含むことができる。粗いカオリンの軽度の破砕は、適切な剥離を与えるために使用される。破砕は、ビーズまたはプラスチック(ナイロンなど)、砂、セラミックの粉砕または製粉助剤のビーズまたは顆粒を使用して行うことができる。粗いカオリンは、周知の手順を使用して不純物を除去し、物理的特性を向上させるために精製することができる。カオリン粘土は、所望のd50値または粒子サイズ分布を有する粒子を得るために、既知の粒子サイズ分級手順、例えばスクリーニングおよび遠心分離(またはその両方)によって処理され得る。
【0127】
セルロースを含む繊維状基材
【0128】
セルロースを含む繊維質基材は、木材、草(例えば、サトウキビ、竹)、ボロ布(例えば、繊維くず、綿、麻、亜麻)など、任意の適切な源に由来するものであり得る。セルロースを含む繊維状基材は、パルプ(すなわち、水中のセルロース繊維の懸濁液)の形態であってもよく、これは、任意の適切な化学的もしくは機械的処理、またはそれらの組合せによって調製することができる。例えば、パルプは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、または再生パルプ、または損紙パルプ、または製紙工場廃水流、または製紙工場からの廃棄物、またはそれらの組合せであり得る。セルロースパルプは、叩解(例えば、バレービーターで)および/または他の方法で精製(例えば、コニカル精製機またはプレート精製機で処理)して、当技術分野においてcm単位のカナダ標準濾水度(CSF)として報告されている任意の所定の濾水度にすることができる。CSFは、パルプの懸濁液が排出され得る速度によって測定される、パルプの濾水度または排水速度の値を意味する。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前のカナダ標準濾水度が約10cm以上である場合がある。セルロースパルプは、約700cm以下、例えば、約650cm以下、または約600cm以下、または約550cm以下、または約500cm以下、または約450cm以下、または約400cm以下である、または約350cm以下、または約300cm以下、または約250cm以下、または約200cm以下、または約150cm以下、または約100cm以下、または約50cm以下のCSFを有してもよい。次いで、セルロースパルプは、当技術分野で周知の方法によって脱水することができ、例えば、少なくとも約10%の固形物、例えば少なくとも約15%の固形物、または少なくとも約20%の固形物、または少なくとも約30%の固形物、または少なくとも約40%の固形物を含むウェットシートを得るために、パルプをスクリーンを通して濾過することができる。パルプは未精製の状態で、つまり叩解や脱水せずに、あるいは精製せずに利用することができる。
【0129】
セルロースパルプは、叩解(例えば、バレービーターで)および/または他の方法で精製(例えば、コニカル精製機またはプレート精製機で処理)して、当技術分野においてcm単位のカナダ標準濾水度(CSF)として報告されている任意の所定の濾水度にすることができる。CSFは、パルプの懸濁液が排出され得る速度によって測定される、パルプの濾水度または排水速度の値を意味し、この試験はT227cm-09TAPPI規格に従って実施される。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前のカナダ標準濾水度が約10cm以上である場合がある。セルロースパルプは、約700cm以下、例えば、約650cm以下、または約600cm以下、または約550cm以下、または約500cm以下、または約450cm以下、または約400cm以下である、または約350cm以下、または約300cm以下、または約250cm以下、または約200cm以下、または約150cm以下、または約100cm以下、または約50cm以下のCSFを有してもよい。セルロースパルプは、約20~約700のCSFを有し得る。次いで、セルロースパルプは、当技術分野で周知の方法によって脱水することができ、例えば、少なくとも約10%の固形物、例えば少なくとも約15%の固形物、または少なくとも約20%の固形物、または少なくとも約30%の固形物、または少なくとも約40%の固形物を含むウェットシートを得るために、パルプをスクリーンを通して濾過することができる。パルプは未精製の状態で、つまり叩解や脱水せずに、あるいは精製せずに利用することができる。
【0130】
ミクロフィブリル化セルロースは、当業者に知られているような多糖類の粒子サイズを低減する任意の方法によって生成され得る。しかしながら、多糖類の高いアスペクト比を維持しながら粒子サイズを低減する方法が好ましい。特に、少なくとも1つのミクロフィブリル化セルロースは、粉砕、超音波処理、均質化、衝突ミキサー、熱、水蒸気爆発、加圧-減圧サイクル、凍結-融解サイクル、衝撃、粉砕(ディスクグラインダーなど)、ポンピング、混合、超音波、マイクロ波爆発、および/または製粉からなる群から選択される方法によって製造することができる。また、製粉とそれに続く均質化など、これらの様々な組合せも可能である。一実施形態では、少なくとも1つのミクロフィブリル化セルロースは、1つ以上のセルロース含有原料中のセルロース繊維の結晶領域の一部がフィブリル化するように、1つ以上のセルロース含有原料を水性懸濁液中で十分な量の剪断にさらすことによって形成される。
【0131】
セルロースを含む繊維状基材のミクロフィブリル化は、セルロースパルプと無機微粒子材料の混合物を加圧し(例えば、約500バールの圧力まで)、次いで圧力の低いゾーンに通す方法によって、無機微粒子材料の存在下、湿潤条件下で得ることができる。混合物が低圧ゾーンに渡される速度は十分に高く、低圧ゾーンの圧力はセルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こすには十分に低い。例えば、圧力降下は、非常に大きな出口オリフィスを備えた狭い入口オリフィスを有する環状開口部に混合物を強制的に通すことによって得ることができる。混合物がより大きな容積(すなわち低圧ゾーン)に加速されるにつれて圧力が急激に低下することによりキャビテーションが誘発され、これがミクロフィブリル化を引き起こす。一実施形態において、セルロースを含む繊維状基材のミクロフィブリル化は、無機微粒子材料の存在下、湿潤条件下でホモジナイザー内で得ることができる。ホモジナイザーでは、セルロースパルプと無機微粒子材料の混合物が加圧され(例えば、約500バールの圧力に)、小さなノズルまたはオリフィスを通して強制的に送られる。混合物は、約100バールから約1000バールの圧力まで、例えば300バール以上、約500バール以上、約200バール以上、約700バール以上の圧力まで加圧され得る。均質化によって繊維は高い剪断力にさらされ、加圧されたセルロースパルプがノズルまたはオリフィスから出るとき、キャビテーションがパルプ中のセルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こす。ホモジナイザーを通過する懸濁液の流動性を向上させるために、水を追加してもよい。得られたミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む水性懸濁液は、ホモジナイザーの入口に再び供給され、ホモジナイザーを複数回通過し得る。好ましい実施形態では、無機微粒子材料は、カオリンなどの天然の板状鉱物である。したがって、均質化はセルロースパルプのミクロフィブリル化を促進するだけでなく、板状粒子材料の剥離も促進する。
【0132】
ミクロフィブリル化セルロースは、分散液(例えば、ゲルまたはゼラチン状)、希釈分散液、および/または懸濁液の少なくとも1つの形態であり得る。
【0133】
無機微粒子材料を添加せずに調製したミクロフィブリル化セルロース
【0134】
好ましい実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、粉砕完了後に除去される粉砕媒体の存在下で粉砕することにより、水性環境下でセルロースを含む繊維状基材をミクロフィブリル化する工程を含む方法に従って調製され、粉砕は、タワーミルまたはスクリーン式グラインダーで行われ、粉砕は、粉砕可能な無機微粒子材料の非存在下で行われる。
【0135】
攪拌式媒体ミルは、運動エネルギーを小さな粉砕媒体ビーズに伝達する回転インペラからなり、剪断力、圧縮力、衝撃力の組合せによって装入物を粉砕する。本明細書に開示された方法によってMFCを生成するために、例えばタワーミル、スクリーン式粉砕ミル、攪拌式媒体デトリターなど、様々な粉砕装置を使用することができる。
【0136】
粉砕可能な無機微粒子材料とは、粉砕媒体の存在下で粉砕される材料である。
【0137】
粒子状粉砕媒体は、天然素材のものでも合成素材のものでもよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬質鉱物、セラミックまたは金属材料のボール、ビーズまたはペレットを含み得る。そのような材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、または約1300℃~約1800℃の範囲の温度でカオリナイト系粘土を焼成することによって生成されるムライトリッチ材料が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、適切な粒子サイズの天然砂の粒子を使用することもできる。
【0138】
一般に、本発明で使用するために選択される粉砕媒体のタイプおよび粒子サイズは、特性、例えば、粉砕される材料の供給懸濁液の粒子サイズおよび化学組成に依存し得る。好ましくは、粒子状粉砕媒体は、約0.5mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。一実施形態では、粒子は少なくとも約3mmの平均直径を有する。
【0139】
粉砕媒体は、少なくとも約2.5の比重を有する粒子を含み得る。粉砕媒体は、少なくとも約3、または少なくとも約4、または少なくとも約5、または少なくとも約6の比重を有する粒子を含み得る。
【0140】
粉砕媒体は、装入物の約70体積%までの量で存在し得る。粉砕媒体は、装入物の少なくとも約10体積%、例えば、装入物の少なくとも約20体積%、または装入物の少なくとも約30体積%、または装入物の少なくとも約40体積%、または装入物の少なくとも約50体積%、または装入物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0141】
セルロースを含む繊維状基材は、ミクロフィブリル化され、レーザー光散乱法で測定された、約5μm~約500μmの範囲のd∞を有するミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。セルロースを含む繊維状基材は、ミクロフィブリル化されて、約400μm以下、例えば約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約125μm以下、または約100μm以下、または約90μm以下、または約80μm以下、または約70μm以下、または約60μm以下、または約50μm以下、または約40μm以下、または約30μm以下、または約20μm以下、または約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。
【0142】
セルロースを含む繊維状基材をミクロフィブリル化して、約0.1~500μmの範囲のモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。セルロースを含む繊維状基材は、存在下でミクロフィブリル化されて、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒子サイズを有するミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。
【0143】
セルロースを含む繊維状基材は、ミクロフィブリル化されて、Malvernによって測定された繊維急峻度が約10以上のミクロフィブリル化セルロースを得ることができる。繊維急峻度(すなわち、繊維の粒子サイズ分布の急峻度)は、以下の式によって決定される。
【0144】
急峻度=100×(d30/d70
【0145】
ミクロフィブリル化セルロースは、約100以下の繊維急峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下、または約50以下、または約40以下、または約30以下の繊維急峻度を有し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50、または約25~約40、または約25~約35、または約30~約40の繊維急峻度を有し得る。一実施形態では、好ましい急峻さの範囲は約20~約50である。
【0146】
一実施形態では、粉砕容器はタワーミルである。タワーミルは、1つ以上の粉砕ゾーンの上に静止ゾーンを含み得る。静止ゾーンは、タワーミル内部の最上部に向かって位置し、粉砕が行われるのが最小限である、またはまったく行われない領域であり、ミクロフィブリル化セルロースおよび無機微粒子材料を含む。静止ゾーンは、粉砕媒体の粒子がタワーミルの1つ以上の粉砕ゾーンに沈降する領域である。
【0147】
タワーミルは、1つ以上の粉砕ゾーンの上部に分級機を備えていてもよい。一実施形態では、分級機は最上部に取り付けられ、静止ゾーンに隣接して配置される。分級機はハイドロサイクロンでもよい。
【0148】
タワーミルは、1つ以上の粉砕ゾーンの上部にスクリーンを備えていてもよい。一実施形態では、スクリーンは静止ゾーンおよび/または分級機に隣接して配置される。スクリーンは、ミクロフィブリル化セルロースを含む製品水性懸濁液から粉砕媒体を分離し、粉砕媒体の沈降を促進するようなサイズにすることができる。
【0149】
別の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは攪拌媒体デトリターで調製することができる。攪拌式媒体ミルは、運動エネルギーを小さな粉砕媒体ビーズに伝達する回転インペラからなり、剪断力、圧縮力、衝撃力の組合せによって装入物を粉砕する。本明細書に開示された方法によってMFCを生成するために、例えばタワーミル、スクリーン式粉砕ミル、攪拌式媒体デトリターなど、様々な粉砕装置を使用することができる。
【0150】
一実施形態では、粉砕はプラグフロー条件下で行われる。プラグフロー条件下では、タワーを通る流れは、タワーを通過する粉砕材料の混合が限定されるようなものである。これは、タワーミルの長さに沿った異なる地点で、ミクロフィブリル化セルロースの微粉度が高くなるにつれて水性環境の粘度が変化することを意味する。したがって、事実上、タワーミル内の粉砕領域は、特徴的な粘度を有する1つ以上の粉砕ゾーンを含むと考えることができる。当業者であれば、粘度に関して隣接する粉砕ゾーンの間に明確な境界がないことを理解するであろう。
【0151】
一実施形態では、1つ以上の粉砕ゾーンの上の静止ゾーンまたは分級機またはスクリーンに近接するミルの上部で水を添加して、ミル内のこれらのゾーンでミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の粘度を低下させる。ミルにおいてこの時点で製品のミクロフィブリル化セルロースを希釈することにより、静止ゾーンおよび/または分級機および/またはスクリーンへの粉砕媒体キャリーオーバーの防止が改善されることが判明した。さらに、タワーを通過する混合の制限によって、タワーの下部でより高濃度の固形物を処理することが可能になり、上部では希釈され、希釈水の逆流が制限された状態で1つ以上の粉砕ゾーンに逆流する。ミクロフィブリル化セルロースを含む製品の水性懸濁液の粘度を希釈するのに有効な任意の適切な量の水を添加することができる。水は、粉砕プロセス中に連続的に添加されてもよく、一定の間隔で、または不規則な間隔で添加されてもよい。
【0152】
別の実施形態では、水は、タワーミルの長さに沿って配置された1つ以上の注水ポイントを介して1つ以上の粉砕ゾーンに添加することができ、各注水ポイントは、1つ以上の粉砕ゾーンに対応する位置に配置される。有利なことに、タワーに沿った様々なポイントで水を加えることができ、ミルに沿った任意の位置またはすべての位置で粉砕条件をさらに調整することができる。
【0153】
タワーミルは、全長にわたって一連のインペラロータディスクを備えた垂直インペラシャフトを備え得る。インペラロータディスクの作用により、ミルにわたって一連の個別の粉砕ゾーンが形成される。
【0154】
別の実施形態では、粉砕はスクリーン式グラインダー、好ましくは攪拌式媒体デトリターで行われる。スクリーン式グラインダーは、少なくとも約250μmの公称開口サイズを有する1つ以上のスクリーンを含んでもよく、例えば、1つ以上のスクリーンは、少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1000μmの公称開口サイズを有してもよい。
【0155】
すぐ上のスクリーンサイズは、上述のタワーミルの実施形態に適用可能である。
【0156】
上述のように、粉砕は粉砕媒体の存在下で行われる。一実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mm、例えば約2mm、または約3mm、または約4mm、または約5mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む粗い媒体である。
【0157】
別の実施形態では、粉砕媒体は、少なくとも約2.5、例えば少なくとも約3、または少なくとも約3.5、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.5、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.5、または少なくとも約6.0の比重を有する。
【0158】
上述したように、粉砕媒体は、装入物の約70体積%までの量であり得る。粉砕媒体は、装入物の少なくとも約10体積%、例えば、装入物の少なくとも約20体積%、または装入物の少なくとも約30体積%、または装入物の少なくとも約40体積%、または装入物の少なくとも約50体積%、または装入物の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。
【0159】
一実施形態では、粉砕媒体は装入物の約50体積%の量で存在する。
【0160】
「装入物」とは、グラインダー容器に供給される供給物の組成物を意味する。装入物は、水、粉砕媒体、セルロースを含む繊維質基材、および任意の他のオプションの添加物(本明細書に記載されているもの以外)を含む。
【0161】
比較的粗いおよび/または高密度の媒体の使用は、沈降速度の改善(すなわち、より速い)、および静止ゾーンおよび/または分級機および/またはスクリーンを通る媒体のキャリーオーバーの低減という利点を有する。
【0162】
比較的粗いスクリーンを使用することのさらなる利点は、ミクロフィブリル化工程で比較的粗いまたは高密度の粉砕媒体を使用できることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、少なくとも約250μmの公称開口を有する)を使用することにより、比較的高固形物の製品を処理し、グラインダーから除去することができ、これにより、比較的高固形物の供給物(セルロースおよび無機微粒子材料を含む繊維質基材を含む)を経済的に実行可能なプロセスで処理することができる。後述するように、エネルギー十分性の観点から、初期固形物含有量が高い供給物が望ましいことが判明した。さらに、(所与のエネルギーで)低固形物で生成された製品は、粒子サイズ分布が粗いことも判明している。
【0163】
一実施形態によれば、セルロースを含む繊維状基質は、少なくとも約1wt%の初期固形物含有量で水性環境中に存在する。セルロースを含む繊維状基材は、少なくとも約2wt%、例えば少なくとも約3wt%、または少なくとも約4wt%の初期固形物含有量で水性環境中に存在し得る。典型的には、初期固形物含有量は約10wt%以下である。
【0164】
別の実施形態では、粉砕は粉砕容器のカスケードで行われ、そのうちの1つ以上は1つ以上の粉砕ゾーンを含み得る。例えば、セルロースを含む繊維状基材は、2つ以上の粉砕容器のカスケード、例えば、3つ以上の粉砕容器のカスケード、4つ以上の粉砕容器のカスケード、5つ以上の粉砕容器のカスケード、6つ以上の粉砕容器のカスケード、7つ以上の粉砕容器のカスケード、8つ以上の粉砕容器のカスケード、直列の9つ以上の粉砕容器のカスケード、または最大10個の粉砕容器を含むカスケードで粉砕され得る。粉砕容器のカスケードは、直列または並列、あるいは直列と並列の組合せで動作可能にリンクされ得る。カスケード内の1つ以上の粉砕容器からの出力および/または1つ以上の粉砕容器への入力を、1つ以上のスクリーニング工程および/または1つ以上の分級工程に施し得る。
【0165】
ミクロフィブリル化プロセスで消費される総エネルギーは、カスケード内の各粉砕容器に均等に配分することができる。あるいは、エネルギー入力は、カスケード内の一部またはすべての粉砕容器間で異なっていてもよい。
【0166】
当業者であれば、各容器でミクロフィブリル化される繊維状基質の量、およびオプションで各容器での粉砕速度、各容器での粉砕の持続時間、および各容器での粉砕媒体のタイプに応じて、カスケード内の容器間で容器ごとに消費されるエネルギーが異なり得ることを理解するであろう。粉砕条件は、ミクロフィブリル化セルロースの粒子サイズ分布を制御するために、カスケード内の各容器で変化させることができる。
【0167】
一実施形態では、粉砕は閉回路で行われる。別の実施形態では、粉砕は開回路で行われる。
【0168】
粉砕される材料の懸濁液は比較的粘度が高い場合があるので、粉砕前に適切な分散剤を懸濁液に加えることが好ましい場合がある。分散剤は、例えば、水溶性の縮合リン酸塩、ポリケイ酸またはその塩、あるいは高分子電解質、例えば、数平均分子量が80,000以下のポリ(アクリル酸)またはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であり得る。使用される分散剤の量は、一般に、乾燥した無機微粒子材料固体材料の重量に基づいて、0.1~2.0重量%の範囲である。懸濁液は、好適には4℃~100℃の範囲の温度で粉砕され得る。
【0169】
ミクロフィブリル化工程中に含めることができる他の添加剤には、カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、木材分解酵素などがある。
【0170】
粉砕される材料の懸濁液のpHは約7または約7より大きくてもよく(すなわち塩基性)、例えば懸濁液のpHは約8、または約9、または約10、または約11であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは約7未満(すなわち酸性)であってもよく、例えば懸濁液のpHは約6、または約5、または約4、または約3であってもよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適量の酸または塩基の添加によって調整することができる。適切な塩基には、例えばNaOHのようなアルカリ金属水酸化物が含まれる。他の適切な塩基は、炭酸ナトリウムおよびアンモニアである。適切な酸には、塩酸および硫酸などの無機酸、または有機酸が含まれる。例示的な酸は、オルトリン酸である。
【0171】
所望の水性懸濁液組成物を得るための典型的な粉砕プロセスにおける総エネルギー入力は、典型的には、無機微粒子フィラーの総乾燥重量に基づいて、約100~1500kWht-1であり得る。総エネルギー入力は、約1000kWht-1未満、例えば、約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-1未満、約400kWht-1未満、約300kWht-1未満、または約200kWht-1未満とすることができる。このように、本発明者らは、驚くべきことに、セルロースパルプを無機微粒子材料の存在下で共粉砕すると、比較的低いエネルギー入力でセルロースパルプをミクロフィブリル化できることを見出した。明らかなように、セルロースを含む繊維質基材の乾燥繊維1トン当たりの総エネルギー入力は、約10,000kWht-1未満、例えば約9000kWht-1未満、または約8000kWht-1未満、または約7000kWht-1未満、または約6000kWht-1未満、または約5000kWht-1未満、例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、または約800kWht-1未満である。総エネルギー入力は、ミクロフィブリル化される繊維質基材中の乾燥繊維の量、およびオプションで粉砕速度および粉砕の持続時間によって変わる。
【0172】
ミクロフィブリル化セルロースの機械的特性
【0173】
再分散されたミクロフィブリル化セルロースは、乾燥前または少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースに近い機械的および/または物理的特性を有する。
【0174】
機械的特性は、ミクロフィブリル化セルロースに関連付けられた任意の決定可能な機械的特性であり得る。例えば、機械的特性は、例えば引張指数などの強度特性であり得る。引張指数は、引張試験器を使用して測定され得る。乾燥前と再分散後のミクロフィブリル化セルロースの引張指数を比較するように制御されていれば、任意の適切な方法および装置を使用することができる。例えば、比較は、ミクロフィブリル化セルロース、および存在する可能性のある任意の他の添加剤または無機微粒子材料の濃度を等しくして実施すべきである。引張指数は、例えばNm/gやkNm/kgなど任意の適切な単位で表すことができる。
【0175】
物理的特性は、ミクロフィブリル化セルロースに関連付けられた任意の決定可能な物理的特性であり得る。例えば、物理的特性は粘度であり得る。粘度は、粘度計を使用して測定することができる。乾燥前と再分散後のミクロフィブリル化セルロースの粘度を比較するように制御されていれば、任意の適切な方法および装置を使用することができる。例えば、比較は、ミクロフィブリル化セルロース、および存在する可能性のある任意の他の添加剤または無機微粒子材料の濃度を等しくして実施すべきである。いくつかの実施形態では、粘度はブルックフィールド粘度であり、単位はmPasである。
【0176】
特定の実施形態では、本質的に完全に乾燥または部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10.001,644号の手順に従って調製される。
【0177】
特定の実施形態では、再分散されたミクロフィブリル化セルロースの引張指数および/または粘度は、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の引張指数および/または粘度の少なくとも約25%であり、例えば、少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の引張指数および/または粘度の少なくとも約80%である。
【0178】
特定の実施形態では、再分散されたミクロフィブリル化セルロースの粘度は、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の粘度の少なくとも約25%であり、例えば、少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の粘度の少なくとも約80%である。
【0179】
ラジアルフローインペラ
【0180】
ラジアルフローインペラは、例えば水などの溶媒中での懸濁固形物の中~高の剪断混合を生成することができる。そのようなラジアルフローインペラの例としては、Cowlesブレードが挙げられ、インペラ(D)対タンク(T)の直径比が0.5未満、すなわちD/T<0.5で、先端速度が20m/s未満のものが利用される。
【0181】
ロータ-ステータミキサー
【0182】
ロータ-ステータは、水などの溶媒中の懸濁固形物の混合において、ラジアルフローインペラよりも高い剪断速度を付与する。ロータ-ステータ装置の例としては、例えばTrigonal(登録商標)ミキサーが挙げられる。ロータ-ステータミキサーは通常、先端速度が20m/sを超え、ロータ-ステータのギャップ幅は、要求される剪断レベルおよび設計の物理的限界に応じて、0.1、0.2、0.3mmなど、その場で調整可能である。
【0183】
ハイドロサイクロン
【0184】
ハイドロサイクロンは、流体抵抗に対する求心力の比率に基づいて、液体懸濁液中の粒子を分離または選別するための装置である。一般にハイドロサイクロンは、基端と頂端、および基端と頂端との間に細長い形状を有する分離室を備える。洗浄されるセルロース含有懸濁液を供給するための少なくとも1つの入口が基端に配置され、少なくとも1つのアンダーフロー出口が頂端に配置され、少なくとも1つのオーバーフロー出口が基端に配置される。本装置では、主に分離チャンバーに接線方向に供給される入口流は、アクセプト画分とリジェクト画分に分離される。アクセプト画分は、下流処理のためにシステム内で前方に送られる。ハイドロサイクロンアンダーフロー段階からのリジェクト画分は、さらなる処理のためにロータ-ステータミキサーに戻される。懸濁液は、渦を形成する方法でハイドロサイクロンに注入される。相の相対密度に応じて、遠心加速度によって、分散相は渦の中心核から遠ざかる、または中心核に向かって移動する。ハイドロサイクロンまたはサイクロンデバイスは、求心力を利用することによって液体混合物から粒子を分離することで知られている。混合液を容器に注入し、その中で回転させると、重い粒子や大きな粒子は求心力によって容器の壁に向かって外側に移動し、螺旋状に容器の底に移動する。軽い成分は容器の中心に向かって移動し、出口から排出され得る。この比率は、粗い粒子の分離では高く、細かい粒子の分離では低い。
【0185】
Vortex-FinderとSpigotの比率が、Malvern D50、>300μmの画分、フィブリル化率、および全固形物に与える影響をそれぞれ図13図14図15図16に示す。微細流と供給流は、粒子サイズ分布の観点で互いに非常によく似ている。アンダーフローの流れは、図6に示すように、より濃縮された流れ(すなわち、オーバーフローの全固形物濃度の1.5倍を超え、より粗い(オーバーフローD50の1.5倍を超える)。
【0186】
実施例
【0187】
実施例1:ミクロフィブリル化セルロースの再分散:FLT指数(引張指数)試験
【0188】
SILVERSON(登録商標)と呼ばれる高剪断ミキサーを使用することによって、ミクロフィブリル化セルロースとミクロフィブリル化セルロース、およびミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合プレスケーキ材料のスラリーへの分散を実験室規模で行うことができる。これらの工程は、プレスケーキを均質なスラリーに適切に分散させるために行われ、手漉き評価や品質管理の特性評価に使用することができる。
【0189】
空の清潔なポイズポットを天びんの上に置き、テアリングする。FiberLeanプレスケーキの材料をポイズポットに計量する。ポット内の質量に基づいて、水を使用して2%の繊維固形物に希釈する(50% MFCケーキの場合、約4%の全固形物)。1時間浸す。Silverson(登録商標)をフルパワーで1分間混ぜる。全固形物含有量を再測定する。
【0190】
ISO9001の準拠
【0191】
特注の濾過装置で、純度の高いミクロフィブリル化セルロースまたはミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合試料からシートを作成し、その強度を測定するための実験室手順。
【0192】
引張指数試験:パルプの割合(POP)20%以上のミクロフィブリル化セルロースFiberLean製品。ミクロフィブリル化セルロースおよびミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合体は、フィラーの添加により20%POPに調整される。約220gsmのシートは、希釈したミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料のスラリーを濾過装置で脱水し、次いでRapid Kothenドライヤーで圧縮し、乾燥することで作られる。シートに必要な試験はgsmおよび引張強度である。
【0193】
ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合体の方法。試料の%solidsおよび%POPを記録する(別の手順を参照)。POP%が20%を超える場合、ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合製品と同じタイプの鉱物を追加し、20%になるようにする(ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合ハンドシートについては別の手順を参照)。%POPが18%~20%の場合、結果に補正係数を適用する必要がある。試料を乾燥重量で約4.4g(固形物10%の試料では44g)採取し、水で400mLに希釈して全固形物約1.1%(繊維固形物0.22%)を取得する。これにより、装置の直径15.9cmの露出スクリーン上に220gsmのシートが作成される。よくかき混ぜて良好な分散を確保する。希釈した試料に0.2wt%ポリDADMAC溶液1mlを加え、よくかき混ぜる。排水が非常に遅い場合は、最大5mlまで増やすことができる。濾過ユニットから上部セクションを取り外し、スクリーンの上に濾紙を置く。洗浄ボトルを用いて濾紙を濡らし、できた気泡を濾紙の縁に押し出す。ユニット底部の排水弁が閉じていることを確認し、真空をオンにしてフィルターをスクリーンに密着させ、しわが寄らないように平らになるようにする。上部セクションを所定の位置に戻し、クランプで固定し、真空のスイッチを切り、排水弁を開いて真空を解除し、水を排出する。排水弁を閉め、試料をスパチュラなどの先端を介して上部セクションに注ぎ、均等な分布を確保する。試料を直接濾紙に注ぐことは避けるものとする。試料を数秒間落ち着かせて、真空をオンにし、試料を濾過する。これには約2分かかる。1分待ってから真空供給を止め、排水弁を開いて真空を解除し、ユニットから水を除去する。ユニット上部を解除し、取り外す。濾紙と濾過した試料を一緒に注意深く取り除く。試料とフィルターをRapid Kothenキャリアボードに置く。Rapid Kothenシートカバーを試料に置く。試料とカバーをRapid Kothen乾燥機に入れ、-0.9バールまたは-26.5インチHgの圧力で7分間乾燥させる。真空圧力が低い場合、乾燥機での時間をより長くする必要がある。乾燥した試料をフィルターとカバーから分離し、23℃±2℃、50%RH±5%で最低20分間調整する。
【0194】
試験。シートの重量を量り(4d.p.)、gsmを決定する。カッターを使用して試料を15mm幅のストリップに切る。最低5本のストリップが必要である。引張試験器を使用して各ストリップを破断するのに必要な力をニュートンで測定する。提供されたExcelスプレッドシートを使用して、セクション6と同様に各試料の引張指数を計算する。
【0195】
計算。シートの面積(A)(m)=0.0001×π×(直径cm)/4(直径15.9cmのシートでは0.0199)。シートgsm=シートの質量(グラム)/A。必要なスラリーの質量=100×220×A/TS(TS=全固形物)。ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合体引張指数kN m kg-1(T)=1000×F/(W×gsm)であり、式中、F=最大引張力(N)である。W=ストリップ幅(標準で15mm)gsm=試料のgsm。各ケースにおける5つの測定値の平均引張指数と標準偏差を記録する。POP%が20%未満の場合、Tcorrected=T/[1-7.6*(0.2-%POP)]に従って引張指数を補正する必要がある。
【0196】
機器のチェックと較正。較正および手順は以下の規格に定められたものに従う。紙の試験-T220 sp-96。
【0197】
実施例2:粘度の測定。ベーンスピンドルを使用した繊維固形物1.0%のミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合試料のブルックフィールド粘度試験。カオリンおよび炭酸カルシウムをベースとするミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合試料は、以下の方法で測定することができる。
【0198】
粘度計:Brookfield YR-1またはR.V.、またはベーンスピンドルを含む同様の器具。
【0199】
ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合体の方法。容器および内容物を激しく振って、スラリーが均一であることを確実にする。パレットナイフを使用して少なくとも100mlをすくい、ポリスチレンポットに移す。スパチュラ(またはスピンドル)でよくかき混ぜる。粘度計の速度を必要な速度(10rpm)に設定し、スイッチを入れる。スピンドルを30秒間回転させる。粘度計の読み取り値、速度、ベーン番号をメモして記録する。
【0200】
繊維固形物含有量1.0%での粘度測定。容器および内容物を激しく振って、スラリーを十分に混合する。ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合スラリーの代表的な一部(約100g)をタールが塗られたポリスチレンポットに移す。スラリーの重量を測定し、記録する。繊維固形物含有量1.0%を達成するために必要な水の追加量を計算する。指定された試験固形物を得るために必要な量の脱イオン水の体積を追加する。ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合体の粘度はミリパスカル秒(mPa.s)で表され、メーカーの指示に従って提供されたチャートから計算される。粘度500mPa.sを有するテストスラリーの標準偏差は5である。
【0201】
繊維固形物の計算。
【0202】
FS=TS×POP/10
【0203】
式中、FS=繊維固形物の割合(%)。TS=全固形物の割合(%)。POP=製品におけるパルプの割合(%)。
希釈計算。D質量%の希釈を行うのに必要な水の体積は、以下のように計算される。
【数1】
式中、V=必要な水の体積
I=初期繊維固形物wt%
R=必要な繊維固形物wt%
W=ポット内のスラリー内容物の重量
【0204】
希釈計算-全固形物濃度
【0205】
D質量%の希釈を行うのに必要な鉱物の重量は、以下のように計算される。
M=(I-R)×W/R
式中、M=必要な鉱物の重量
I=初期全固形物wt%
R=必要な全固形物wt%
W=ポット内のFibreLeanスラリー内容物の重量
【0206】
鉱物は、ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合スラリー内容物に使用される製品である。(炭酸塩またはカオリン)。
【0207】
%全固形物は、ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合スラリーを80~100℃で乾燥した後に得られる。
【0208】
製品におけるパルプの割合(POP)は、「全固形物」試料を450℃(カオリンは950℃)で燃焼させた後に得られる値である。
【0209】
以下の比較例および実施例では、すべての実験で重質炭酸カルシウム(60%<2μm)と漂白針葉樹クラフトパルプの乾燥した粉末状の混合物を使用した。総濃度は名目上75重量%で、乾燥製品中のパルプ濃度は50重量%であった。
【0210】
重質炭酸カルシウム(60%<2μm)と漂白針葉樹クラフトパルプの乾燥した粉末状の混合物を、メーカーが指定する最適条件下で、様々な市販の機器を使用して水と混合した。機器の組合せは、実質的に均質な懸濁液を実現するプロセスに発展した。
【0211】
再分散されたミクロフィブリル化セルロース組成物の分析は以下が含まれる。実施例1に記載した引張(FLT)強度、実施例2に記載したBrookfieldベーンスピンドル粘度計を使用した見かけ粘度。実施例3に記載した、Malvern Insitec Lによる光散乱法で測定した粒子サイズ分布。
【0212】
粒子サイズ分析計:Malvern Insitec L
【0213】
ミクロフィブリル化セルロースと無機微粒子材料の複合体の方法。
【0214】
容器および内容物を激しく振って、スラリーが均一であることを確実にする。
【0215】
Malvern Insitecユニットのスイッチを入れ、循環ビーカー内の水を清潔な室温±5℃の水道水(800ml~900ml)に入れ替える。再循環ポンプを起動し、ポンプ速度設定が2500RPMであることを確認する。
【0216】
コンピュータのデスクトップでMalvernの「RTSizer」ソフトウェアプログラムを開き、水道水のバックグラウンド測定を行う。
【0217】
有効なバックグラウンド測定の通知後、[New Size History]アイコンを使用して粒子サイズデータ収集を有効にする。
【0218】
ピペットを使用し、40%~60%の透過率に達するまでスラリーを再循環ビーカーに加える。
【0219】
40~60%の透過率で、装置にさらに1分間測定を継続させる。
【0220】
「Malvern RTSizer」ソフトウェア機能を使用して、1分間の粒子サイズ履歴データを平均化し、平均化したサイズ分布パラメータを記録する。
【0221】
データ収集後、システムは水道水と脱イオン水で洗浄され、ウィンドウセル上の残留物を除去する。
【0222】
実施例4:対照試験1。
【0223】
乾燥した粉末状の混合物を再分散させるために、高剪断ロータ-ステータインラインミキサーと直列の2台のCowlesブレード(鋸歯状インペラ)ミキサーからなるシステムが使用された。以下の図2は、制御システムを示している。
【0224】
機器の標準的な運転条件は、全固形物3.5%(POP50%の場合)、およびBVGシアマスターの速度100%であった。タンク内の滞留時間を最大にするために、流量は12m/hと低めに保たれた。
【0225】
図4に見られるように、スラリーは、2400kWh/DMTのMFC比エネルギー入力後、システムを18回通過した後でも、主要な試験パラメータ(引張強度および見かけ粘度)で不合格となった。
【0226】
実施例5:対照試験2。
【0227】
パイロットスケールの12インチスプラウト精製機を使用して、乾燥した粉末状の混合物の再分散を評価した。これは、製紙業界ではパルプ精製によく使用される。粉末はデンバーパルパー内で水と混合された後、12インチのスプラウト精製機と保持タンクの周りで再循環された。使用された最適化条件は以下の通りである。0.1J/m強度、1パスあたりのMFCネット比エネルギー入力20kWh/DMT、1320RPM速度、および切削エッジ長1.111km/revを実現するディスク設計。全固形物濃度は9%であった。パルプの割合(POP)は50%であった。
【0228】
結果を図5に示す。主要な品質パラメータ(引張強度および見かけの粘度)は、15回のパスと2840kWh/DMTのMFC総比エネルギー入力後に戻る。このため、残念ながらプロセスはバッチ運転に限定され、エネルギー消費量が多いため、経済的に実現不可能である。
【0229】
実施例6:対照試験3。
【0230】
Trigonal(登録商標)SM180を使用して、乾燥した粉末状の混合物の再分散を評価した。これはビチューメン業界では一般的に使用され、添加剤を均一に混合するためだけでなく、パルプのデフレーカーとしても使用されている。スラリーは小型容器内でハンドヘルドミキサーを使って混合され、混合されたスラリーはホールドアップタンクに収容された。ホールドアップタンクはTrigonal(登録商標)SM180と再循環で接続された。選択された条件は、一連の試験から最適であると決定された-W3F.S.。GL削減ツール(逆カット溝パターン)、5400RPM、ギャップ設定0.1mm、全固形物濃度9%であった。POPは50%であった。
【0231】
結果を図6に示す。主要な品質パラメータ(引張強度および粘度)は、18回のパスと1808kWh/DMTのMFC総比エネルギー入力後に戻る。これは、残念ながらバッチ運転に制限され、資本コストと運転コストが高くつく。
【0232】
実施例7:対照試験4。
【0233】
Megatrex Oy社のAtrex(登録商標)を使用して、乾燥した粉末状の混合物の再分散を評価した。これは、製紙業界では、損紙(抄紙機からの廃棄物)の再分散や、粗い鉱物の分解に一般的に使用される。回転速度2000RPM、流量55kg/minという最適条件が選ばれた。標準的な6リングデザインが使用された。各セグメントが逆回転することで、非常に高い剪断速度が生成される。流体中でこのような剪断速度を生成するために、高いモーター出力が必要となり、処理能力が制限される。
【0234】
結果を図7に示す。9%の全固形物を使用し、1000kWh/DMTのMFC総比エネルギー入力後のパス3で、主要な品質パラメータ(引張強度および見かけの粘度)は目標を上回った。パス2の後、全固形物9%を使用して、700kWh/DMTのMFC総比エネルギー入力で、目標に近づいていることがわかる。
【0235】
しかしながら、図8に示すように、連続運転では、2回のパスでは、製品を未乾燥スラリーと同じ品質パラメータまで完全に再分散させるには不十分である。このシステムは、エネルギー消費量とそれに対応する品質パラメータを考えると、実行可能とは思えない。Atrex(登録商標)は資本コストの高い機器であり、一定の処理量では1パスあたりの消費電力要件が著しく大きい。
【0236】
実施例8:対照試験5。
【0237】
Megatrexのエンジニアリングチームとの協議の結果、Atrex(登録商標)の逆回転リングがアップグレードされた。既存の6リング設計(図9Aの左側に示される)は、スラリー中の繊維/鉱物粒子との接触を最大にするために、より多くのバーを含むように再設計され、リング間の剪断効果を拡張するために、さらに2つのリングが追加された(図9Bの右側に示される)。
【0238】
乾燥した粉末状の混合物は、Cowlesブレードミキサーを使用した場合の効果を模倣するため、適度な剪断ヘッドのインペラを備えた混合タンクで事前に湿潤化された。FLTの結果は、以下の図10に見られるように大幅に改善されたが、依然として不十分である。図11に見られるように、2回のパスはプロセスの資本コストと運転コストを大幅に増加させる。
【0239】
実施例9:発明的トライアル例。
【0240】
フローシートに描かれているシステムは、部分的に濡れた浮遊繊維を高剪断の逆回転チャンバーに供給することで、Atrex(登録商標)の効率を向上させることを目的としている。Trigonal(登録商標)SM180とCowlesブレードミキサーは、低コストの事前湿潤デバイスとして機能し、ハイドロサイクロンは、フローストリームから非湿潤成分を分離することで、事前湿潤段階の効率を向上させる。濡れて分解された繊維-鉱物成分は、図12に示すようにAtrex(登録商標)高剪断ゾーンに移動する。
【0241】
例9のシステム:トライアルシートは、機器の組合せを使用して乾燥した粉末状のMFCを再分散するプロセスを示しており、個別に使用するときよりも資本コストおよび運用コストが低くなる。以下の表2に示すように、引張強度および見かけの粘度に関する性能は、同等である。

【表2】
【0242】
例9のシステム:トライアル1は、全体のコストを最小限に抑えながら、粉末状の混合物の再分散効率を最大化するために、低資本設備と比較的高資本設備を組み合わせたものである。Trigonal(登録商標)SM180による湿潤段の閉回路運転により、Atrex(登録商標)の前のスラリーの低エネルギー、高スループットで費用対効果の高い処理を可能にする。非常に高い剪断速度を生成するためのAtrex(登録商標)の電力消費要件とスループット制限は、シングルパス操作の下で低減される。したがって、これらの機器を統合することで、乾燥した粉末状のMFCを、総合的に費用対効果の高い方法で処理し、未乾燥のスラリーと同じ引張強度特性を持つスラリーを顧客現場で生成することができる。
【0243】
本出願で論じた参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0244】
本明細書で引用されるすべての特許、特許出願および刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの刊行物の開示は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。本明細書で引用される各特許、特許出願、刊行物、および受託番号の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0245】
本発明をその詳細な説明と併せて説明したが、前述の説明は、例示のためのものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲内にある。
【0246】
前述の実施形態および利点は単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるものではない。本開示は、他のタイプの方法にも容易に適用できる。また、本発明の実施形態の説明は、例示を意図したものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。多くの代替案、修正案、および変形案が当業者には明らかであろう。
【0247】
本明細書に記載された様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願および刊行物の概念を採用するように変更して、さらなる実施形態を提供することができる。
【0248】
本開示は、様々な実施形態を参照して開示されてきたが、本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態およびこれらの変形が当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての実施形態および同等の変形を含むように解釈されることを意図している。前述の書面による明細書は、当業者が実施形態を実施するのに十分であると見なされる。
【0249】
前述の説明および実施例は、特定の実施形態を詳述し、本発明者らが企図する最良の態様を説明するものである。しかしながら、前述のテキストがどれほど詳細に見えるかに関わらず、本実施形態は様々な方法で実施される可能性があり、添付の特許請求の範囲およびその均等物に従って解釈されるべきであることが理解されるであろう。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】