(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】抗BTN3A治療に対するレスポンダーの選択
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240905BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240905BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240905BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240905BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61P35/00
A61P37/04
A61K39/395 U
A61K39/395 N
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512096
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022075608
(87)【国際公開番号】W WO2023041622
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520098187
【氏名又は名称】イムチェック セラピューティクス エスエーエス
【氏名又は名称原語表記】IMCHECK THERAPEUTICS SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】バレンティン, エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】フローナ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】デ ガサート, オード
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、薬学分野に関する。より詳細には、本開示は、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する単離された抗BTN3A抗体であって、前記対象は、前記対象における血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を評価することによって、前記抗BTN3A抗体を用いた治療に選択されている、単離された抗BTN3A抗体に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する単離された抗BTN3A抗体であって、前記対象は、前記対象における血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を評価することによって、前記抗BTN3A抗体を用いた治療に選択されている、単離された抗BTN3A抗体。
【請求項2】
ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が、5000個細胞/mLよりも高い、10000個細胞/mLよりも高い、又は20000個細胞/mLよりも高い場合、前記対象は選択される、請求項1に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項3】
前記対象が、黒色腫、膵管腺癌(PDAC)、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膀胱がん、前立腺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頸部扁平上皮がん、及び尿路上皮がんから典型的に選択される固形腫瘍を有する対象であり、好ましくは頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)及び卵巣がんから選択される固形腫瘍を有する対象である、請求項1又は2に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項4】
前記対象が、例えば急性骨髄性白血病及び/又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫から選択される血液学的悪性腫瘍を有する対象である、請求項1又は2に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項5】
表面プラズモン共鳴によって測定される10nM以下のK
Dで、好ましくは5nM以下のK
Dで、ヒトBTN3Aポリペプチドに結合する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項6】
前記抗体が、活性化マーカーCD69の表面発現によって測定される0.1μg/mlを下回る、好ましくは0.01μg/ml以下のEC
50で、ヒトPBMCにおけるVγ9Vδ2 T細胞の活性化をインビトロで誘導する、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項7】
前記抗体が、脱顆粒アッセイにおいて測定される5μg/mlを下回る、好ましくは1μg/ml以下のEC
50で、BTN3発現細胞との共培養においてVγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項8】
変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域を含み、前記変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域が、野生型IgG1アイソタイプ定常領域を有する対応する抗体と比較した場合、Fcγ受容体への結合なし又は結合の減少を付与する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項9】
前記変異体IgG1定常領域が、IgG1トリプル変異体L247F、L248E、及びP350Sである、請求項8に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項10】
配列番号12のHCDR1、配列番号13のHCDR2、配列番号14のHCDR3、配列番号15のLCDR1、配列番号16のLCDR2、配列番号17のLCDR3を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項11】
配列番号1の可変重鎖ポリペプチドVH及び配列番号2の可変軽鎖ポリペプチドVL、典型的には配列番号4の全長重鎖及び配列番号6の全長軽鎖を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項12】
IL-2若しくはIL-15、又はそれらのペグ化バリアント等のサイトカインとの組合せで投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項13】
抗PD1又は抗PD-L1抗体、例えばペムブロリズマブとの組合せで投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項14】
前記抗BTN3A抗体が、各投薬7~200mg、例えば20~75mgに含まれる用量で少なくとも2回静脈内投与され、好ましくは第2の投薬が、第1の投薬の少なくとも15日後、典型的には約21日後に投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項15】
それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する単離された抗BTN3A抗体であって、前記対象が、抗PD1又は抗PD-L1治療に対して再発性又は難治性腫瘍を有しており、前記対象が、治療有効量の前記活性化抗BTN3A抗体との組合せで治療有効量の抗PD1又は抗PD-L1剤を投与される、単離された抗BTN3A抗体。
【請求項16】
前記腫瘍が、膀胱がん、黒色腫、非小細胞肺がん、及び頭頸部扁平上皮癌からなる群から特に選択される固形腫瘍である、請求項15に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【請求項17】
前記抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含み、前記活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内、好ましくは20~75mg以内であり、対象が、治療有効量のペムブロリズマブとともに投与される、請求項15又は16に記載の使用のための単離された抗BTN3A抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬学分野に関する。より詳細には、本開示は、活性化抗BTN3A抗体を用いてがん障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢血は、技術的に獲得しやすく、加工しやすく、より長い期間にわたって繰り返し入手され得、十分なサンプル容積を大抵提供する。これらの理由で、末梢血は、腫瘍患者における免疫集団モニタリングのための利用率が高い材料である(Schnellら、Biomedicines 2018、6、25)。それとは反対に、腫瘍組織に浸潤する種々の免疫細胞を入手すること及び表現型解析することは、依然として技術的に難しいままである(Maibachら、2020、Front Immunol 2020;11:2105;Laraら、2019、Nature、Scientific Reports 9:17589)。
【0003】
免疫系の多様性に富む動的な性質、表現型の変化を考えると、末梢免疫細胞の機能及び代謝は、腫瘍内で生じている変化を代表するものであるとは一般的に考えられない(Schnellら、Biomedicines 2018、6、25;Maibachら、2020、Front Immunol 2020;11:2105)。
【0004】
加えて、種々の免疫細胞集団の末梢血における頻度又は絶対計数と、腫瘍性組織におけるそれら免疫細胞集団それぞれの浸潤との間の明確な相関は記載されていない。このことは、NK細胞又はガンマデルタT細胞等、自然免疫細胞集団に特に当てはまる。
【0005】
国際公開第2020/025703号は、Vγ9Vδ2 T細胞の細胞溶解機能、サイトカイン産生、及び/又は増殖を活性化し、それによって、がん患者において観察される免疫抑制性メカニズムを克服する免疫療法剤として使用されることができる抗BTN3A抗体(活性化抗BTN3A抗体)を開示する。
【0006】
本発明者らは、末梢血におけるγδ T細胞の絶対計数と、腫瘍性組織におけるγδ T細胞の活性化との間の相関の証拠をここで提供し、それによって、末梢血におけるγδ T細胞の絶対計数に基づき、活性化抗BTN3A抗体を用いた治療に対するレスポンダーを選択する可能性を高める。
【0007】
本発明者らは、抗PD1抗体を用いた先行免疫療法を受けたことがある、難治性又は再発性腫瘍を有する患者における、抗BTN3A抗体及び抗PD1抗体を用いた併用療法に対する臨床効力の証拠を初めて更に提供する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の第1の態様は、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する単離された活性化抗BTN3A抗体であって、前記対象は、前記対象における血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を評価することによって、前記抗BTN3A抗体を用いた前記治療に選択されている、単離された活性化抗BTN3A抗体に関する。具体的な実施形態において、ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が5000個細胞/mLよりも高い、10000個細胞/mLよりも高い、又は20000個細胞/mLよりも高い場合、前記対象は前記治療に選択されている。
【0009】
本開示の別の態様は、それを必要とするヒト対象における固形腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する単離された活性化抗BTN3A抗体であって、前記対象は、前記対象からの固形腫瘍生検における腫瘍ベースラインVγ9+ T細胞密度を評価することによって、前記抗BTN3A抗体を用いた前記治療に選択されている、単離された活性化抗BTN3A抗体に関する。具体的な実施形態において、腫瘍ベースラインVγ9+ T細胞密度が2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個細胞/mm2よりも高い場合、前記対象は前記治療に選択されている。
【0010】
本開示は、治療有効量の活性化抗BTN3A抗体を投与するステップを含む、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療するための方法であって、前記ヒト対象は、前記対象における血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を評価することによって、前記抗BTN3A活性化抗体治療に選択されている、方法にも関する。
【0011】
本開示は、治療有効量の活性化抗BTN3A抗体を投与するステップを含む、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療するための方法であって、前記ヒト対象は、前記対象の腫瘍生検におけるベースラインVγ9+ T細胞密度を評価することによって、前記抗BTN3A活性化抗体治療に選択されている、方法にも関する。
【0012】
別の態様は、活性化抗BTN3A抗体治療に適格性がある対象を選択するための方法であって、前記方法は、前記対象における血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を評価するステップを含む、方法に向けられる。
【0013】
別の態様は、活性化抗BTN3A抗体治療に適格性がある対象を選択するための方法であって、前記方法は、前記対象の腫瘍生検におけるベースラインVγ9+ T細胞密度を評価するステップを含む、方法に向けられる。
【0014】
本開示は、治療有効量の抗PD1/PDL1治療との組合せで、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する治療有効量の活性化抗BTN3Aを投与するステップを含む、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療するための方法であって、前記対象は、先行抗PD1/PDL1治療の後に再発性又は難治性腫瘍を有している、方法に更に関する。
【0015】
Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する治療有効量の活性化抗BTN3Aを投与するステップを含む、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療するための方法であって、前記腫瘍は、膀胱がん、黒色腫、非小細胞肺がん、及び頭頸部扁平上皮癌からなる群から選択される固形腫瘍である、方法が本明細書に更に開示される。
【0016】
好ましい実施形態において、前記活性化BTN3A抗体は、本明細書に記載されるmAb1、又はmAb1の6つのCDRを有するその機能的バリアントである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】EVICTIONにおいて、免疫活性化及びIFNg産生は、ICT01用量及びベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞絶対計数の両方に関係することを示す図である。患者の血中におけるVγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)及び活性化マーカー(CD69及びPD-L1、D0+24時間)をフローサイトメトリーによって査定した。ICT01 Cmaxを超高感度PKアッセイ(Chimera Biotec、Germany)によってアッセイした。循環サイトカインレベルを商業的キット(MesoScale Discovery)によって査定した。IFNγ倍変化を、IFNγ AUC(D0、D+30分間、D0+4時間、及びD+24時間の時点を使用した)とIFNγベースラインAUCとの間の比として規定した。スピアマン相関。パネルA:CD69陽性NK細胞の%、パネルB:PD-L1陽性顆粒球の%、パネルC:IFNγ倍変化。
【
図1B】EVICTIONにおいて、免疫活性化及びIFNg産生は、ICT01用量及びベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞絶対計数の両方に関係することを示す図である。患者の血中におけるVγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)及び活性化マーカー(CD69及びPD-L1、D0+24時間)をフローサイトメトリーによって査定した。ICT01 Cmaxを超高感度PKアッセイ(Chimera Biotec、Germany)によってアッセイした。循環サイトカインレベルを商業的キット(MesoScale Discovery)によって査定した。IFNγ倍変化を、IFNγ AUC(D0、D+30分間、D0+4時間、及びD+24時間の時点を使用した)とIFNγベースラインAUCとの間の比として規定した。スピアマン相関。パネルA:CD69陽性NK細胞の%、パネルB:PD-L1陽性顆粒球の%、パネルC:IFNγ倍変化。
【
図1C】EVICTIONにおいて、免疫活性化及びIFNg産生は、ICT01用量及びベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞絶対計数の両方に関係することを示す図である。患者の血中におけるVγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)及び活性化マーカー(CD69及びPD-L1、D0+24時間)をフローサイトメトリーによって査定した。ICT01 Cmaxを超高感度PKアッセイ(Chimera Biotec、Germany)によってアッセイした。循環サイトカインレベルを商業的キット(MesoScale Discovery)によって査定した。IFNγ倍変化を、IFNγ AUC(D0、D+30分間、D0+4時間、及びD+24時間の時点を使用した)とIFNγベースラインAUCとの間の比として規定した。スピアマン相関。パネルA:CD69陽性NK細胞の%、パネルB:PD-L1陽性顆粒球の%、パネルC:IFNγ倍変化。
【
図2A】EVICTIONにおいて、ICT01後の腫瘍性免疫浸潤及び活性化の増加は、ベースラインγ9δ2 T細胞計数に関係することを示す図である。パネルA:ICT01投与前の患者の血中におけるVγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)。パネルB:使用可能な良質の生検ペアを用いた、群A及びCからのすべての患者における、多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。パネルC~E:多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。患者集団は、Vγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数、20000個細胞/mLカットオフに従って分けられている。
【
図2B】EVICTIONにおいて、ICT01後の腫瘍性免疫浸潤及び活性化の増加は、ベースラインγ9δ2 T細胞計数に関係することを示す図である。パネルA:ICT01投与前の患者の血中におけるVγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)。パネルB:使用可能な良質の生検ペアを用いた、群A及びCからのすべての患者における、多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。パネルC~E:多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。患者集団は、Vγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数、20000個細胞/mLカットオフに従って分けられている。
【
図2C】EVICTIONにおいて、ICT01後の腫瘍性免疫浸潤及び活性化の増加は、ベースラインγ9δ2 T細胞計数に関係することを示す図である。パネルA:ICT01投与前の患者の血中におけるVγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)。パネルB:使用可能な良質の生検ペアを用いた、群A及びCからのすべての患者における、多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。パネルC~E:多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。患者集団は、Vγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数、20000個細胞/mLカットオフに従って分けられている。
【
図2D】EVICTIONにおいて、ICT01後の腫瘍性免疫浸潤及び活性化の増加は、ベースラインγ9δ2 T細胞計数に関係することを示す図である。パネルA:ICT01投与前の患者の血中におけるVγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)。パネルB:使用可能な良質の生検ペアを用いた、群A及びCからのすべての患者における、多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。パネルC~E:多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。患者集団は、Vγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数、20000個細胞/mLカットオフに従って分けられている。
【
図2E】EVICTIONにおいて、ICT01後の腫瘍性免疫浸潤及び活性化の増加は、ベースラインγ9δ2 T細胞計数に関係することを示す図である。パネルA:ICT01投与前の患者の血中におけるVγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)。パネルB:使用可能な良質の生検ペアを用いた、群A及びCからのすべての患者における、多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。パネルC~E:多重定量的IHC(デジタル病理学、Veracyte、France)によって査定された種々の表現型についての腫瘍細胞密度(個細胞/mm2)のLog10倍変化(治療後対治療前生検)。患者集団は、Vγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数、20000個細胞/mLカットオフに従って分けられている。
【
図3】腫瘍におけるVγ9TCR+細胞は、循環Vγ9Vδ2 T細胞計数に関係することを示す図である。Vγ9TCR+のベースライン腫瘍細胞密度を、デジタル病理学、定量的IHC(個細胞/mm2)によって査定した。ICT01投与前の患者の血中における、Vγ9Vδ2 T細胞のベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり)。スピアマン相関。
【
図4A】ICT01は、EVICTION患者におけるPD-1発現を増加させることを示す図である。Vγ9Vδ2 T細胞のICT01誘導性活性化は、EVICTIONの群A(
図4A)及び群B(
図4B)において治療されたがん患者において、PD-1の表面発現(凍結生検に対するフローサイトメトリー、用量コホートあたりの平均)を増加させる。二元配置ANOVA及びホルム・シダックの多重比較検定。
【
図4B】ICT01は、EVICTION患者におけるPD-1発現を増加させることを示す図である。Vγ9Vδ2 T細胞のICT01誘導性活性化は、EVICTIONの群A(
図4A)及び群B(
図4B)において治療されたがん患者において、PD-1の表面発現(凍結生検に対するフローサイトメトリー、用量コホートあたりの平均)を増加させる。二元配置ANOVA及びホルム・シダックの多重比較検定。
【
図5A】ICT01/ペムブロリズマブ治療は、複数の免疫細胞集団の活性化及び遊走を誘導することを示す図である。種々の時点における、フローサイトメトリーによって査定された、患者の血中におけるベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり、ベースラインの%)及び活性化マーカー(CD69及びPD-L1、陽性の%)。パネルA:Vγ9Vδ2 T細胞、パネルB:NK細胞、パネルC:CD8 T細胞、及びパネルD:顆粒球。
【
図5B】ICT01/ペムブロリズマブ治療は、複数の免疫細胞集団の活性化及び遊走を誘導することを示す図である。種々の時点における、フローサイトメトリーによって査定された、患者の血中におけるベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり、ベースラインの%)及び活性化マーカー(CD69及びPD-L1、陽性の%)。パネルA:Vγ9Vδ2 T細胞、パネルB:NK細胞、パネルC:CD8 T細胞、及びパネルD:顆粒球。
【
図5C】ICT01/ペムブロリズマブ治療は、複数の免疫細胞集団の活性化及び遊走を誘導することを示す図である。種々の時点における、フローサイトメトリーによって査定された、患者の血中におけるベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり、ベースラインの%)及び活性化マーカー(CD69及びPD-L1、陽性の%)。パネルA:Vγ9Vδ2 T細胞、パネルB:NK細胞、パネルC:CD8 T細胞、及びパネルD:顆粒球。
【
図5D】ICT01/ペムブロリズマブ治療は、複数の免疫細胞集団の活性化及び遊走を誘導することを示す図である。種々の時点における、フローサイトメトリーによって査定された、患者の血中におけるベースライン絶対数(ミリリットルの血液あたり、ベースラインの%)及び活性化マーカー(CD69及びPD-L1、陽性の%)。パネルA:Vγ9Vδ2 T細胞、パネルB:NK細胞、パネルC:CD8 T細胞、及びパネルD:顆粒球。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
本開示がより容易に理解されることができるために、ある特定の用語がまず定義される。付加的な定義は、詳細な説明を通して明記される。
【0019】
本明細書において使用するとき、「BTN3A」という用語は、当技術分野におけるその用語の一般的意味を有する。具体的な実施形態において、該用語は、配列番号18のBTN3A1、配列番号19のBTN3A2、又は配列番号20のBTN3A3のいずれかを含む、ヒトBTN3Aポリペプチドを指す。
【0020】
本明細書において使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を指す。そのため、抗体という用語は、抗体分子全体だけでなく、抗体フラグメント並びに抗体のバリアント(誘導体を含む)も包含する。
【0021】
齧歯類及び霊長類の自然抗体において、2本の重鎖はジスルフィド結合によって互いに連結され、各重鎖はジスルフィド結合によって軽鎖に連結される。2つのタイプの軽鎖、ラムダ(λ)及びカッパ(κ)がある。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主な重鎖クラス(又はアイソタイプ)がある:IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgE。各鎖は、個別の配列ドメインを含有する。典型的なIgG抗体において、軽鎖は、2つのドメインである可変ドメイン(VL)及び定常ドメイン(CL)を含む。重鎖は、4つのドメインである可変ドメイン(VH)及び3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3、集合的にCHと称される)を含む。軽(VL)及び重(VH)鎖の両方の可変領域は、抗原への結合認識及び特異性を決定する。軽(CL)及び重(CH)鎖の定常領域ドメインは、抗体鎖会合、分泌、経胎盤流動、補体結合、及びFc受容体(FcR)への結合等、重要な生物学的特性を付与する。
【0022】
Fvフラグメントとは、免疫グロブリンのFabフラグメントのN末端部分であり、1本の軽鎖及び1本の重鎖の可変部分からなる。抗体の特異性は、抗体結合部位と抗原決定基との間の構造的相補性にある。抗体結合部位は、主に超可変領域又は相補性決定領域(CDR)由来のものである残基から構成される。時折、非超可変領域又はフレームワーク領域(FR)由来の残基が、抗体結合部位に参加し得る、又は全体的ドメイン構造、ゆえに結合部位に影響を与え得る。相補性決定領域又はCDRとは、天然免疫グロブリン結合部位の天然Fv領域の結合親和性及び特異性を一緒に規定するアミノ酸配列を指す。免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖のそれぞれは、それぞれL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、及びH-CDR1、H-CDR2、H-CDR3と指定される3つのCDRを有する。それゆえ、抗原結合部位は、重鎖及び軽鎖V領域のそれぞれ由来のCDRセットを含む6つのCDRを典型的に含む。フレームワーク領域(FR)とは、CDRの間に介在するアミノ酸配列を指す。したがって、軽鎖及び重鎖の可変領域は、以下の配列:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という4つのフレームワーク領域及び3つのCDRを典型的に含む。
【0023】
抗体可変ドメインにおける残基は、Kabatらによって考案されたシステムに従って従来的に番号付けされる。このシステムは、Kabatら、1987、Sequences of Proteins of Immunological Interest、US Department of Health and Human Services、NIH、USA(Kabatら、1992、Sequences of Proteins of Immunological Interest、DIANE Publishing、以降「Kabatら」)に明記される。この番号付けシステムが本明細書において使用される。Kabat残基指定は、配列番号の配列におけるアミノ酸残基の直線的番号付けと必ずしも直接対応しない。実際の直線的アミノ酸配列は、フレームワーク領域か相補性決定領域(CDR)かどうかにかかわらず、基本的な可変ドメイン構造の構造的構成要素の短縮又はそれへの挿入に対応する厳格なKabat番号付けにおけるよりも、数個の又は付加的なアミノ酸を含有することがある。残基の正しいKabat番号付けは、「標準的」Kabat番号付け配列を有する抗体の配列における相同の残基のアライメントによって、所与の抗体に対して決定されることができる。重鎖可変ドメインのCDRは、Kabat番号付けシステムに従って、残基31~35(H-CDR1)、残基50~65(H-CDR2)、及び残基95~102(H-CDR3)に位置する。軽鎖可変ドメインのCDRは、Kabat番号付けシステムに従って、残基24~34(L-CDR1)、残基50~56(L-CDR2)、及び残基89~97(L-CDR3)に位置する。
【0024】
本明細書において使用するとき、抗BTN3A抗体とは、BTN3Aポリペプチドに特異的に結合する抗体である。
【0025】
本明細書において使用するとき、「に特異的に結合する」という用語は、BTN3Aポリペプチド等の抗原に提示されたエピトープに検出可能に結合する抗体の能力を指す。一部の実施形態において、該用語は、下の実施例に記載されるように、フローサイトメトリーによる結合アッセイにおいて測定される、好ましくは50μg/mlを下回る、より好ましくは10μg/mlを下回るEC50で、末梢血骨髄細胞(PBMC)に発現されるヒトBTN3Aに結合する抗体を指すことを意図される。他の実施形態において、該用語は、実施例に記載されるように、マルチサイクル速度論分析によって測定される100nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、又は10pM以下のKDで、抗原(例えば、BTN3Aポリペプチド)に結合する抗体を指すことを意図される。
【0026】
本明細書において使用される「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含んでいない抗体を指す(例えば、BTN3Aに特異的に結合する単離された抗体は、BTN3A以外の他の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含んでいない)。しかしながら、BTN3Aに特異的に結合する単離された抗体は、他の種由来の関連するBTN3A分子等、他の抗原に対する交差反応性を有してもよい。更に、単離された抗体は、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含んでいなくてもよい。
【0027】
本明細書において使用される「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性及び親和性を呈示する。
【0028】
「抗原を認識する抗体」及び「抗原に対する特異性を有する抗体」という語句は、「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と本明細書において互換可能に使用される。
【0029】
本明細書において使用される「Kassoc」又は「Ka」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指すことを意図され、一方で、本明細書において使用される「Kdis」又は「Kd」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことを意図される。
【0030】
本明細書において使用される「KD」という用語は、Kd対Kaの比(すなわち、Kd/Ka)から獲得され、モル濃度(M)として表現される解離定数を指すことを意図される。抗体に対するKD値は、当技術分野において十分に確立された方法を使用して決定され得る。抗体のKDを決定するための方法は、表面プラズモン共鳴を使用する、又はビアコア(Biacore)(登録商標)システム等のバイオセンサーシステムを使用することによるものである。
【0031】
特異性は、他の非関連分子への非特異的結合に対して、特異的抗原への結合における親和性/アビディティーの、例えば約10:1、約20:1、約50:1、約100:1、10.000:1、又はそれを上回る比によって更に示され得る(この場合、特異的抗原はBTN3Aポリペプチドである)。本明細書において使用される「親和性」という用語は、エピトープへの抗体の結合の強度を意味する。
【0032】
本明細書において使用するとき、「活性化抗体」という用語は、エフェクター細胞の免疫機能を直接的に又は間接的に誘導し得る抗体を指す。特に、本明細書において使用するとき、活性化抗BTN3A抗体は、下の実施例に記載されるように、脱顆粒アッセイにおいて測定される5μg/mlを下回る、好ましくは1μg/ml以下のEC50で、BTN3発現細胞との共培養において、γδ T細胞、典型的にはVγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する能力を少なくとも有する。
【0033】
本明細書において使用するとき、「対象」という用語は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類等、哺乳類及び非哺乳類を含む。好ましい実施形態において、対象はヒト対象である。
【0034】
本明細書において使用するとき、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」という用語は、(1)疾患を阻害すること;例えば、疾患、病状、又は障害の病理学又は症状学を経験している又は呈示している個体における疾患、病状、又は障害を阻害すること(すなわち、病理学及び/又は症状学のさらなる発達を食い止めること);及び(2)疾患を改善すること;例えば、疾患の重症度を減少させること又は疾患の1つ若しくは複数の症状を低下させること若しくは緩和すること等、疾患、病状、又は障害の病理学又は症状学を経験している又は呈示している個体における疾患、病状、又は障害を改善すること(すなわち、病理学及び/又は症状学を反転させること)、のうちの1つ又は複数を指す。特に、腫瘍の治療に関して、「治療」という用語は、腫瘍の成長の阻害、又は腫瘍のサイズの低下を指してもよい。
【0035】
本明細書において使用するとき、「血中Vγ9Vδ2 T細胞計数」とは、例えば実施例に記載されるように、キャリブレーションビーズを伴う標準的フローサイトメトリー法によって決定される、対象のある特定の容積の血液サンプルにおいて循環するVγ9Vδ2 T細胞の絶対数を指す。
【0036】
本明細書において使用するとき、「腫瘍Vγ9+ T細胞密度」とは、例えば実施例に記載されるように、モノクローナル抗体7B6等、Vγ9TCRに特異的に結合する抗体を用いた免疫組織化学によって決定される、対象のある特定の容積の腫瘍生検におけるmm2あたりの細胞の数を指す。
【0037】
本明細書において使用するとき、「併用療法」、「共投与」、「組合せ投与」、又は「付随投与」とは、少なくとも2種の治療剤の組合せ投与を指し、第1の作用物質、典型的には活性化抗BTN3A抗体(例えば、mAb1)は、それを必要とする同じ対象において、第2の作用物質、例えば抗PD-1抗体(例えば、ペムブロリズマブ)と同じ時間に又は時間間隔内で別個に投与され、これらの時間間隔は、組合せパートナーが、障害、例えばがんを治療することに対して協調的な又は相乗的な効果を示すことを可能にする。これらの送達の方法は、本明細書に記載される範囲内にあるものの、該用語は、治療剤が同じ時間に投与されなければならないこと、及び/又は送達のために一緒に製剤化されなければならないことを暗示することを意図されない。活性化抗BTN3A抗体は、1種又は複数の他の付加的な治療法又は治療剤と同時に、その前に、又はその後に投与され得る。該用語は、作用物質が、必ずしも投与の同じ経路によって投与されない治療レジメンを包含することも目的としている。
【0038】
活性化抗BTN3A抗体治療を必要とする対象
活性化抗BTN3A抗体は、Vγ9Vδ2 T細胞の細胞溶解機能、サイトカイン産生、及び/又は増殖を活性化し得、それによって、がん患者において観察される免疫抑制性メカニズムを克服するために使用されることができる(WO2020/025703)。
【0039】
本明細書において使用するとき、「がん」という用語は、自律的成長の能力を有する細胞を有する過剰増殖性及び新生物性疾患状態、すなわち、急速に増殖する細胞成長によって特徴付けられる異常な状態又は病状を指す。過剰増殖性及び新生物性疾患状態は、病理性、すなわち疾患状態を特徴付ける若しくは構成する、として分類されることがある、又は非病理性、すなわち正常からの逸脱であるが疾患状態を伴わない、として分類されることがある。該用語は、組織病理学タイプ又は侵襲性の期にかかわらず、すべてのタイプのがん性成長又は発がん過程、転移性組織又は悪性形質転換した細胞、組織、若しくは臓器を含むことを目的としている。
【0040】
「がん」又は「新生物」という用語は、肺、乳房、甲状腺、リンパ、消化管、及び尿生殖路に影響を及ぼすもの等、様々な臓器系の悪性腫瘍、並びに大部分の結腸がん、腎細胞癌、前立腺がん、及び/又は精巣腫瘍等の悪性腫瘍を含む腺癌、肺の非小細胞癌、小腸のがん、並びに食道のがんを含む。
【0041】
がんは、典型的に、固形腫瘍がん(非血液学的悪性腫瘍)及び血液学的悪性腫瘍に分けられることができる。
【0042】
血液学的悪性腫瘍の例は、B細胞リンパ系新生物、T細胞リンパ系新生物、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性(Diffule)大細胞型B細胞リンパ腫(DLBLC)等のB-NHL、T-NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、NK細胞リンパ系新生物、及び急性骨髄性白血病を含めた骨髄細胞系統新生物を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0043】
非血液学的がんの例は、結腸直腸がん、乳がん、肺がん(例えば、NSCLC)、脳腫瘍、前立腺がん、頭頸部がん(例えば、HNSCC)、膵臓がん、膀胱がん、結腸直腸がん、骨がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、口腔がん、食道がん、甲状腺がん、腎臓がん、胃腸がん、精巣がん、尿路上皮がん、及び皮膚がん(例えば、黒色腫)を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0044】
具体的な実施形態において、抗BTN3A活性化抗体治療を必要とする前記対象は、再発性/難治性固形腫瘍を有している。より具体的な実施形態において、前記対象は、進行期、再発性/難治性固形腫瘍を有している。
【0045】
より具体的な実施形態において、前記対象は、抗PD1又は抗PDL1抗体等の抗PD1又は抗PDL1剤、典型的にはイピリムマブ、ニボルマブ、又はペムブロリズマブを用いた治療の後に再発性/難治性固形腫瘍を有している。より具体的な実施形態において、抗PD1又は抗PDL1剤を用いた治療の後に再発性/難治性固形腫瘍を有する前記対象はまた、膀胱がん、黒色腫、非小細胞肺がん、及び/又は頭頸部扁平上皮癌を有する対象からも選択される。
【0046】
以前の実施形態と組み合わせられてもよい他の具体的な実施形態において、抗BTN3A活性化抗体治療を必要とする前記対象は、卵巣がんに罹患している。
活性化抗BTN3A抗体治療
本明細書において使用するとき、「活性化抗BTN3A抗体治療」は、任意選択で他の治療用化合物との組合せで、治療有効量の活性化抗BTN3A抗体を活性成分として投与することを含む、任意の療法的治療に関する。
【0047】
そのような活性化抗BTN3A抗体治療の好ましい例は、国際公開第2012/80351号及び国際公開第2020/025703号に記載される。
【0048】
具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体は、例えば上で言及される疾患の治療又は阻止のために、単独の活性構成成分として、又は他の薬物と併せて投与されてもよい。
【0049】
具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体は、抗新生物剤との組合せで投与されてもよい。
【0050】
他の具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体は、細胞療法(特に、γδ T細胞療法)との組合せで投与されてもよい。
【0051】
他の具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体は、免疫サイトカイン(特に、IL-2、IL-15、IL-21、IL-12、GM-CSF)との組合せで投与されてもよい。
【0052】
他の具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体は、免疫チェックポイント阻害剤(特に、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗TIGIT、抗LAG-3、抗TIL-3抗体、又は他の抗PD1若しくは抗PD-L1剤)等の免疫療法薬とともに投与されてもよい。
【0053】
本明細書において使用するとき、「細胞療法」という用語は、それを必要とする対象への少なくとも治療有効量の細胞組成物のインビボ投与を含む療法を指す。患者に投与される細胞は、同種又は自家であってもよい。「γδ T細胞療法」という用語は、細胞組成物が活性成分としてγδ T細胞、特にVγ9/Vδ2 T細胞を含む細胞療法を指す。具体的な実施形態において、前記Vγ9/Vδ2 T細胞は、γδ T細胞アゴニストを用いてエクスビボで増大及び/又は活性化されている。
【0054】
細胞療法製品とは、治療目的のために前記対象に投与される細胞組成物を指す。前記細胞療法製品は、治療高効率用量の細胞、及び任意選択で付加的な賦形剤、アジュバント、又は他の薬学的に許容できるキャリアを含む。
【0055】
活性化抗BTN3A抗体(例えば、下で記載されるmAb1)との組合せで投与されてもよい抗新生物剤の例は、限定されることなく、アルキル化剤(シクロホスファミド、メクロレタミン(mechloretamine)、クロラムブシル、メルファラン、ニトロソウレア、テモゾロミド等)、アントラサイクリン(ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン等)、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル等)、エポチロン、トポイソメラーゼIの阻害剤(イリノテカン又はトポテカン等)、トポイソメラーゼIIの阻害剤(エトポシド、テニポシド、又はタフルポシド等)、ヌクレオチド類似体及び前駆類似体(アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、フルオロウラシル(flurouracil)、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、又はチオグアニン等)、ペプチド抗生物質(カルボプラチン、シスプラチン、及びオキサリプラチン等)、レチノイド(トレチノイン、アリトレチノイン、ベキサロテン等)、ビンカアルカロイド及び誘導体(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン等)、キナーゼ阻害剤等の標的療法(イブルチニブ、イデラリシブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ等)、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ等)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(ボリノスタット又はロミデプシン等)を含んでもよい。
【0056】
活性化抗BTN3A抗体(例えば、下で記載されるmAb1)との組合せで投与されてもよい免疫療法剤の例は、限定されることなく、ホスホアンチゲン(例えば、ゾレドロン酸又は他のビスホスホネート)、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗BTLA抗体、抗CTLA-4抗体、及びサイトカイン(インターロイキン2(IL-2)(Choudhry Hら、2018、Biomed Res Int.2018年5月6日)、インターロイキン15(IL-15)(Patidar Mら、Cytokine Growth Factor Rev.2016年10月;31:49~59)、インターロイキン21(IL-21)(Caccamo N.ら、PLoS One.2012;7(7):e41940)、又はインターロイキン33(IL-33)(Duault Cら、J Immunol.2016年1月1日;196(1):493~502)等)、若しくはそれらの組み換え形態及びそれらの誘導体、又はリンパ球活性(例えば、増殖又はサイトカイン産生又は代謝変化)を誘導し得る任意のサイトカインを含む。誘導体という用語は、ペグ化(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)鎖へのコンジュゲーション)、アミノ酸欠失、置換、若しくは挿入等の変異、又は強化剤との会合(例えば、IL-15が付加的に変異している(asn72asp)、IgG1 Fcに融合したIL15/IL15Ra複合体であって、その変異は、この複合体をIL-2及びIL-15Rβγスーパーアゴニストにする生物学的活性を更に増加させる(Rhode PRら、Cancer Immunol Res.2016;4(1):49~60))に依存し得る任意のサイトカイン改変に使用される(Barroso-Sousa Rら、Curr Oncol Rep.2018年11月15日;21(1):1)。
【0057】
「IL-2」という用語は、その用語の一般的意味を有し、ヒトインターロイキン-2を指す。IL-2は、身体の天然の免疫応答の一部である。IL-2は、IL-2受容体に結合することによって、リンパ球活性を主に調節する。
【0058】
「IL-15」という用語は、その用語の一般的意味を有し、ヒトインターロイキン-15を指す。IL-2のように、IL-15は結合し、IL-2/IL-15受容体ベータ鎖(CD122)及び共通のガンマ鎖(ガンマ-C、CD132)から構成される複合体を通じてシグナルを送る。IL-15は、T及びナチュラルキラー(NK)細胞の活性化及び増殖を調節する。
【0059】
「IL-21」という用語は、その用語の一般的意味を有し、ヒトインターロイキン-21を指す。IL-21は、NK細胞及びCD8+ T細胞の細胞傷害性を増強すること、形質細胞分化をモジュレートすること、並びにTreg細胞を阻害することを含むがそれらに限定されない、多面的特性の一因になっている。
【0060】
「IL-33」という用語は、その用語の一般的意味を有し、ヒトインターロイキン-33を指す。組織ストレス又はダメージがあると放出されるアラーミンと考えられるIL-33は、IL-1ファミリーのメンバーであり、ST2受容体に結合する。IL-33は、TH1免疫細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、iNKT細胞、及びCD8 Tリンパ球の有効な刺激因子として公知である。
【0061】
「PD-1」という用語は、当技術分野におけるその用語の一般的意味を有し、プログラム死-1受容体を指す。「PD-1」という用語は、CD28、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、誘導性共刺激因子(ICOS)、並びにB及びTリンパ球減衰因子(BTLA)を含む、受容体のCD28-B7シグナル伝達ファミリーに属する、I型膜貫通タンパク質も指す(Greenwald RJら、2005、Annual Review of Immunology、第23巻、515~548頁)。
【0062】
「抗PD-1抗体」若しくは「抗PD-1剤」、又は「抗PD-L1」という用語は、当技術分野におけるその用語の一般的意味を有し、それぞれPD-1又はPD-L1に対する抗体又は結合親和性を有する他の結合化合物、及びPD-1へのアンタゴニスト活性を指し、すなわち、抗PD-1抗体若しくは抗PD-1剤、又は抗PD-L1は、PD-1に関係するシグナル変換カスケードを阻害し、PD-1リガンド結合(PD-L1;PD-L2)を阻害する。そのような抗PD-1抗体/剤又は抗PD-L1抗体/剤は、受容体のCD28-B7シグナル伝達ファミリー(CD28;CTLA-4;ICOS;BTLA)の他のサブタイプ又はアイソフォームとのその相互作用よりも大きな親和性及び効能を有して、それぞれPD-1を優先的に不活性化する。化合物がPD-1アンタゴニストであるかどうかを決定するためのテスト及びアッセイは、Shaabani Sら(2015~2018).Expert Opin Ther Pat.2018年9月;28(9):665~678;Seliger,B.J.Clin.Med.2019、8、2168に記載される等、当業者によって周知である。
【0063】
そのような抗PD1又は抗PDL1抗体の例は、限定されることなく、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、又はアテゾリズマブを含む。
【0064】
具体的な実施形態において、「抗PD1/PD-L1治療」は、それを必要とする対象において、治療有効量の抗PD-1又は抗PD-L1剤、特に抗PD-1又は抗PD-L1抗体を投与することを含む。
【0065】
そのような抗CTLA4抗体の例は、限定されることなく、イピリムマブを含む。
【0066】
具体的な実施形態において、「活性化抗BTN3A抗体治療」は、本明細書に規定される活性化抗BTN3A抗体の治療有効量、及び少なくとも1種の第2の薬物物質の、例えば付随した又は逐次的な共投与を含む、上で規定される方法を含み、前記第2の薬物物質は、免疫療法剤(抗PD-1、抗PD-L1抗体、又は他の結合化合物等)、及び/或いはサイトカイン、例えば上で示される、例えばIL-2若しくはIL-15、又はそれらの誘導体である。具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体治療は、本明細書に規定される抗BTN3A活性化抗体の治療有効量、及び抗PD-1又は抗PD-L1抗体等の抗PD-1又は抗PD-L1剤の治療有効量の共投与を含む。他の具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体治療は、任意選択でペムブロリズマブ等の抗PD1抗体との組合せでの、本明細書に規定される抗BTN3A活性化抗体の治療有効量、並びに、例えば上で示される、IL-2若しくはIL-15、又はそれらの誘導体、そのペグ化バリアント及びスーパーアゴニストバリアントの治療有効量の、例えば付随した又は逐次的な共投与を含む。
【0067】
具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体は医薬組成物に製剤化される。例えば、医薬組成物は、緩衝剤、安定剤、抗酸化物質(antioxydant)、界面活性剤、又は塩を含めた、1種又は複数の付加的な賦形剤を含んでもよい。
【0068】
一実施形態によれば、活性化抗BTN3A抗体を含む医薬組成物は、水溶液、例えば注射可能な製剤である。特定の実施形態によれば、活性化抗BTN3A抗体を含む医薬組成物は、注入用溶液である。静脈内又は皮下投与のための抗体製剤は、当技術分野において周知であり、例えばRazinkovら、J Biomol Screen.2015年4月;20(4):468~83に記載される。
【0069】
活性化抗BTN3A抗体を含む医薬組成物は、様々な濃度で製剤化され得る。例えば、製剤は、0.1μM~1mM、より好ましくは1μM~500μM、500μM~1mM、300μM~700μM、1μM~200μM、100μM~200μM、200μM~300μM、300μM~400μM、400μM~500μM、500μM~600μM、600μM~700μM、800μM~900μM、又は900μM~1mMの濃度の活性化抗BTN3A抗体を含んでもよい。典型的に、製剤は、300μM~700μMの濃度の活性化抗BTN3A抗体を含む。
【0070】
典型的に、ヒト患者における活性化抗BTN3A抗体の治療用量は、投与あたり100pg~700mg(70kgの体重に基づき)の域にあるであろう。例えば、最大治療用量は、投与あたり0.1~10mg/kg、例えば0.1~5mg/kg又は1~5mg/kg又は0.1~2mg/kgの域にあってもよい。そのような用量は、腫瘍医/医師によって決定される種々の間隔で投与されてもよく;例えば、用量は、毎日、週2回、毎週、隔週、3週間ごとに、又は毎月投与されてもよいことが解されるであろう。
【0071】
典型的に、具体的な実施形態において、前記活性化抗BTN3A抗体は、典型的に21日ごとに、各投薬7~200mgに含まれる用量で少なくとも2回静脈内投与される。
【0072】
例えば、単独療法としての活性化抗BTN3A抗体(好ましくは、以降に記載されるmAb1)の静脈内投与のための適切な用量は、7、10、20、50、75、100、125、150、175、及び200mgから選択される。他の具体的な実施形態において、単独療法としての活性化抗BTN3A抗体(好ましくは、mAb1)の静脈内投与のための適切な用量は、7、10、20、50、75、100、125、150、175、及び200mgから選択される。より具体的な実施形態において、単独療法としての活性化抗BTN3A抗体(好ましくは、mAb1)の静脈内投与のための適切な用量は、投与あたり20及び75mgから選択される。
【0073】
前記活性化抗BTN3A抗体が、抗PD1又は抗PD-L1抗体との組合せで投与される具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体の静脈内投与のための適切な用量は、7、10、20、50、75、100、125、150、175、及び200mgから選択される。抗PD1又は抗PD-L1抗体は、メーカーの承認された用量に従って投与されてもよい。例えば、本開示の方法の具体的な実施形態において、ペムブロリズマブ(キイトルーダ(KEYTRUDA))は、前記活性化抗BTN3A抗体(好ましくは、mAb1)との組合せで投与されてもよく、典型的に、ペムブロリズマブは200mgの用量で静脈内注入によって投与され、mAb1は20~70mgの用量で投与される。
【0074】
具体的な実施形態において、本開示の方法に従った使用のための活性化抗BTN3A抗体(好ましくは、以降に記載されるmAb1)は、各投薬7~200mgに含まれる用量で少なくとも2回静脈内投与され、好ましくは第2の投薬は、第1の投薬の少なくとも15日後、典型的には約21日後に投与される。
【0075】
好ましい活性化抗BTN3A抗体
具体的な実施形態において、本開示の方法に従った使用のための前記活性化抗BTN3A抗体は、以下の特性のうちの1つ又は複数を有する:
(i)活性化抗BTN3A抗体は、例えば下の実施例に記載されるように、SPRによって測定される10nM以下のKDで、好ましくは1nM以下のKDでBTN3Aに結合する;
(ii)活性化抗BTN3A抗体は、例えば下の実施例に記載されるように、SPRによって測定される100nM以下のKDで、好ましくは10nM以下のKDで、配列番号21のカニクイザルBTN3A1、配列番号22のBTN3A2、及び/又は配列番号23のBTN3A3に交差反応する;
(iii)活性化抗BTN3A抗体は、下の実施例に記載されるように、フローサイトメトリーアッセイにおいて測定される50μg/ml以下の、好ましくは10μg/ml以下のEC50で、ヒトPBMCに結合する;
(iv)活性化抗BTN3A抗体は、下の実施例に記載されるように、脱顆粒アッセイにおいて測定される5μg/mlを下回る、好ましくは1μg/ml以下のEC50で、BTN3発現細胞との共培養において、γδ-T細胞、典型的にはVγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する。
【0076】
具体的な実施形態において、本開示の方法における使用のための活性化抗BTN3A抗体は、ヒト化抗体である。典型的に、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の少なくとも同じ親和性(又は優れた親和性)を有しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化される。具体的な実施形態において、活性化抗BTN3A抗体は、国際公開第2012/080351号に開示される親抗体mAb7.2のヒト化抗体である。他の例は、国際公開第2012/080351号に開示される親抗体mAb20.1のヒト化抗体を含む。
【0077】
一般的に、ヒト化抗体は、CDR(又はその一部分)が、非ヒト抗体、例えばネズミ科mAb7.2又はmAb20.1に由来し、フレームワーク領域(FR)(又はその一部分)が、免疫原性を低下させる変異を有するネズミ科抗体配列に由来する、1つ又は複数の可変ドメインを含む。
【0078】
ヒト化抗体は、ヒト定常領域の少なくとも一部分も任意選択で含むであろう。
【0079】
具体的な実施形態において、本開示に従った活性化抗BTN3A抗体は、ヒト化サイレント抗体、典型的にはヒト化サイレントIgG1又はIgG4抗体である。
【0080】
本明細書において使用するとき、「サイレント」抗体という用語は、実施例に記載されるもの等の結合アッセイにおいて測定されるように、FcγR結合及び/若しくはC1q結合を呈しない、又は低いFcγR結合及び/若しくはC1q結合を呈する抗体を指す。
【0081】
1つの実施形態において、「FcγR及び/若しくはC1q結合なし、又は低いFcγR及び/若しくはC1q結合」という用語は、サイレント抗体が、野生型ヒトIgG1又はIgG4アイソタイプを有する対応する抗体を用いて観察されるFcγR及び/又はC1q結合の少なくとも50%を下回る、例えば80%を下回る、FcγR及び/又はC1q結合を呈することを意味する。
【0082】
本開示の方法における使用のための好ましい抗体は、ネズミ科mAb7.2抗体の以下の6つのCDRを含む重鎖及び軽鎖を有する抗体の使用を含む(国際公開第2012/80769号にも開示される)。
【0083】
mAb7.2の及びmAb20.1のVH CDR1(HCDR1とも呼ばれる)、VH CDR2(HCDR2とも呼ばれる)、VH CDR3(HCDR1とも呼ばれる)、VL CDR1(LCDR1とも呼ばれる)、VL CDR2(LCDR2とも呼ばれる)、VL CDR3(HCDR3とも呼ばれる)のアミノ酸配列が表1に示され、CDR領域は、Kabat番号付け(Kabatら、1992、以降「Kabatら」)を使用して記述される。
【0084】
読みやすさのために、CDR領域は、以降、それぞれHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、LCDR3と呼ばれる。
【0085】
【0086】
より好ましい抗体は、表1に開示されるmAb7.2又はmAb20.1の6つのCDRを有するヒト化抗体を含む。
【0087】
他の具体的な実施形態において、本開示の方法は、国際公開第2012/80769号に開示されるmAb20.1抗体のCDRを含む重鎖及び軽鎖を有する抗体の使用を含む。特に、より具体的な実施形態において、本開示の方法は、親ネズミ科mAb20.1の、mAb20.1抗体のCDRを含むヒト化抗体の使用を含む。
【0088】
本開示の方法において使用されるヒト化抗体は、対応するネズミ科抗体と比較して、典型的にはmAb7.2又はmAb20.1の対応するフレームワーク領域と比較して、抗体の免疫原性を減少させるために、VH及びVL内のフレームワーク残基に加えられた改変を含んでもよい。
【0089】
1つの具体的な実施形態において、本開示の抗体は、親ネズミ科抗体mAb7.2のヒト化モノクローナル抗体であって、mAb7.2の6つのCDRを有し、親ネズミ科mAb7.2の元のネズミ科フレームワーク領域と比較した場合、VHフレームワーク領域において、少なくとも以下のアミノ酸変異:V5Q;V11L;K12V;R66K;S74F;I75S;E81Q;S82AR;R82BS;R83T;D85E;T87S;L108Sを更に含み;Vκフレームワーク領域において、少なくとも以下のアミノ酸変異:T5N;V15L;R18T;V19I;K42N;A43I;D70G;F73L;Q100Gを更に含むものある。
【0090】
別の具体的な実施形態において、本開示の抗体は、親ネズミ科抗体mAb7.2のヒト化モノクローナル抗体であって、mAb7.2と比較して、親ネズミ科mAb7.2の元のネズミ科フレームワーク領域と比較した場合、VHフレームワーク領域において、少なくとも以下のアミノ酸変異:V5Q;V11L;K12V;R66K;S74F;I75S;E81Q;S82AR;R82BS;R83T;D85E;T87S;L108Sを含み;Vκフレームワーク領域において、少なくとも以下のアミノ酸変異:T5N;V15L;R18T;V19I;K42N;A43I;S63T;D70G;F73L;Q100Gを含むものである。
より好ましい実施形態において、本開示の方法は、下の表2に記載される、mAb1、mAb2、mAb3、mAb4、及びmAb5からなる群から選択され、可変重鎖及び軽鎖アミノ酸配列、並びに任意選択でヒト定常領域(アイソタイプ)を含む、以下のヒト化組み換え抗体のうちの1種の使用を含む:
【0091】
【0092】
mAb1~mAb4及びmAb5を作出するために使用される、IgG1、IgG4、並びにそれらの変異体型IgG1 L247F/L248E/P350S及びIgG4 S241P/L248Eの定常アイソタイプ領域の対応するアミノ酸及びヌクレオチドコード配列は、当技術分野において周知である(Oganesyanら、2008;Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.64、700~704;Reddyら、2000;J.Immunol.164、1925~1933)。IgGに見出されるC末端リジンは天然に切断されることがあり、この改変は抗体の特性に影響を及ぼさない;そのため、この残基は、mAb1~mAb4及びmAb5の構築物において付加的に欠失されてもよい。
【0093】
mAb1、mAb2、mAb3、mAb4、及びmAb5の全長軽鎖及び重鎖、並びに対応するコード配列は、下の表3に示される。
【0094】
【0095】
以前の実施形態と組み合わせられてもよいある特定の実施形態において、本明細書において提供される抗体は、上で規定される抗体の抗体フラグメントである。
【0096】
本明細書において使用するとき、抗体フラグメントという用語は、元の抗体と、BTN3A標的に対する実質的に同じ機能的特性を有する抗原結合領域を維持する、抗体の任意のフラグメントを含む。
【0097】
抗体フラグメントは、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、ユニボディ、及びscFvフラグメント、ダイアボディ、単一ドメイン又はナノボディ、並びに他のフラグメントを含むが、それらに限定されるわけではない。
【0098】
具体的な実施形態において、前記抗体フラグメントは、scFvフラグメントのFab等、1価の抗体である。
【0099】
「ダイアボディ」という用語は、フラグメントが、同じポリペプチド鎖(VH-VL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指す。同じ鎖の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合し、2つの抗原結合部位を創出することを強いられる。
【0100】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべて若しくは一部分、又は軽鎖可変ドメインのすべて若しくは一部分を含む抗体フラグメントである。ある特定の実施形態において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、Waltham、MA;例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)。
【0101】
抗体フラグメントは、無傷抗体のタンパク質分解的消化、並びに本明細書に記載される組み換え宿主細胞による産生を含むがそれらに限定されない、多様な技法によって作製され得る。
【0102】
活性化抗BTN3A抗体を産生するための方法
本開示の方法における使用のための活性化抗BTN3A抗体(antobides)は、当技術分野において周知である、例えば組み換えDNA技法と遺伝子トランスフェクション法との組合せを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマにおいて産生され得る(Morrison、1985 Science 229、1202~1207)。
【0103】
1つの具体的な実施形態において、本開示に従ったクローニング又は発現ベクターは、適切なプロモーター配列に作動的に連結された、mAb1、mAb2、mAb3、mAb4、又はmAb5のうちのいずれか1種の重鎖及び軽鎖のコード配列の1つを含む。
【0104】
本開示の組み換え抗体を発現させるための哺乳類宿主細胞は、DHFR選択可能なマーカー(Kaufman及びSharp、1982 Mol.Cell.Biol.2、1304~1319に記載される)とともに使用されるdhfr-チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)(Urlaub及びChasin、1980、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.77、4216~4220に記載される)、CHOK1 dhfr+細胞株、NSO骨髄腫細胞、COS細胞、及びSP2細胞、例えばGS XceedTM遺伝子発現システム(Lonza)を一緒に有するGS CHO細胞株を含めた、CHO細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組み換え発現ベクターが哺乳類宿主細胞に導入された場合、抗体は、宿主細胞における抗体の発現に十分な期間宿主細胞を培養すること、及び任意選択で、宿主細胞が成長する培養培地への抗体の分泌によって産生される。抗体は、標準的タンパク質精製法を使用して、それら抗体の分泌の後に、例えば培養培地から回収及び精製され得る(Shuklaら、2007、J.Chromatogr.B 848、28~39)。
【0105】
1つの具体的な実施形態において、本開示の宿主細胞は、適切なプロモーター配列に作動的に連結された、それぞれmAb1、mAb2、mAb3、mAb4、又はmAb5の発現に適切なコード配列を有する発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞である。
【0106】
例えば、mAb1の重鎖及び軽鎖をそれぞれコードする配列番号8及び10の核酸を少なくとも含む宿主細胞が、本開示の方法に従った使用のための抗体を産生するために使用される。
【0107】
後者の宿主細胞は、次いで、mAb1、mAb2、mAb3、mAb4、及びmAb5からなる群から典型的に選択される活性化抗BTN3A抗体の発現及び産生のための適切な条件下でそれぞれ更に培養されてもよい。
【0108】
代替的に、無細胞発現システムが、任意の活性化抗BTN3A抗体、例えばmAb1、mAb2、mAb3、mAb4、及びmAb5の産生に使用されてもよい。典型的に、タンパク質又は抗体の無細胞発現の方法は、すでに記載されている(Stechら、2017、Sci.Rep.7、12030)。
血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数又はVγ9+ T細胞密度を評価する
本開示の方法は、上で記載される活性化抗BTN3A抗体治療に対する対象の応答のレベルを予測することを可能にする。ある特定の実施形態において、予測は、血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数の評価に基づく。他の実施形態において、予測は、患者の腫瘍の生検からのVγ9+ T細胞密度の評価に基づく。他の実施形態において、予測は、血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数及びVγ9+ T細胞密度の評価の両方に基づく。
【0109】
本明細書において使用するとき、「予測する」という用語は、治療前に、前記治療に対する応答のレベルを、ある特定のレベルの確率(統計的に有意な)を有して決定することを可能にする方法を指す。したがって、「予測する」という用語は、必ずしも絶対的応答からならない。むしろ、予測は、選択ステップなしの患者集団における平均確率と比較して、患者がレスポンダーであるより高い確率を決定することを可能にする応答からなってもよい。
【0110】
本明細書において使用するとき、「活性化抗BTN3A抗体治療に対する応答」又は等しく「活性化抗BTN3A抗体治療に対する臨床応答」は、前記活性化抗BTN3A抗体治療によって治療される対象となるがんの症状の少なくとも1つが、治療前の前記症状と比較して治療後に減少する場合に観察される。
【0111】
本明細書において使用するとき、「減少する」又は「増加する」という用語は、対照値の統計的に有意な減少又は増加、好ましくは、対照値の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも90%、又は少なくとも99%の減少又は増加を意味する。
【0112】
本発明の方法のある特定の実施形態によれば、患者は、治療前に、前記対象のある容積の血液サンプルにおいて決定される血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数の発現の評価に基づいて、レスポンダー又は非レスポンダーであると予測される。
【0113】
本発明の方法の他の実施形態によれば、患者は、治療前に、前記対象のある容積の腫瘍生検において決定されるVγ9+ T細胞密度の発現の評価に基づいて、レスポンダー又は非レスポンダーであると予測される。
【0114】
本明細書において使用される「レスポンダー」という用語は、非レスポンダー対象と比較して、活性化抗BTN3A治療に対してより良好な臨床応答を示す又は示す可能性がある患者を意味する。一実施形態において、レスポンダーは、例えば、標準的腫瘍査定、例えば固形腫瘍に対するRECIST、iRECIST、若しくはRECIL、又は血液学的適応症に対する他の標準的応答評価、例えばCheson/IWGによって決定される、腫瘍の有意なサイズ低下を示す又は示す可能性がある、がんに罹患している患者である。
【0115】
本開示のある特定の方法において、前記対象は、前記対象における血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を評価することによって、前記抗BTN3A抗体を用いた治療に選択されている。血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数が高ければ高いほど、前記抗BTN3A活性化抗体治療に対する応答はより良好である。本開示の他の方法において、前記対象は、前記対象の腫瘍の生検からの腫瘍Vγ9+ T細胞密度を評価することによって、前記抗BTN3A抗体を用いた治療に選択されている。腫瘍ベースラインVγ9+ T細胞密度が高ければ高いほど、前記抗BTN3A活性化抗体治療に対する応答はより良好である。
【0116】
本発明者らは、活性化抗BTN3A抗体、典型的にはmAb1活性化抗BTN3A抗体に対するレスポンダーを選択するための予測マーカーとしての、血中基礎γδ T細胞計数又は腫瘍Vγ9+ T細胞密度の使用についての臨床的証拠を実際に提供している。
【0117】
血液サンプルにおけるベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を決定するステップを含む方法
具体的な実施形態において、本開示の方法は、活性化抗BTN3A抗体治療で治療されるべき前記対象から得られた血液サンプルにおけるベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を決定するステップを含む。
【0118】
本明細書において使用するとき、血液サンプルは、バキュテナー等、標準的な血液回収法によって得られる。
【0119】
血液サンプルにおけるγδ T細胞の数を決定することは、免疫表現型解析の任意のルーチン的技法によって達成されることができる。典型的に、キャリブレーション用のビーズを使用したルーチン的/標準的フローサイトメトリー法。特定のアッセイ及びその構成要素に対する適当な条件は、当業者に周知であろう。
【0120】
ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数についてのこの査定は、典型的に、前記活性化抗BTN3A抗体の最初の投与の4日未満、好ましくは48時間未満、より好ましくは24時間未満前に行われる。
【0121】
高いベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数は、より良好な応答を予測することが見込まれる。しかしながら、治療に対する適格性について患者を選択するために使用されるべき正確なベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数は、患者の臨床的パラメーター(例えば、年齢、性別、先行ラインの治療)、がん診断、及び使用されるプロトコール(特に、前記活性化抗BTN3A抗体が、単独療法として、又は他の療法、典型的には抗PD1若しくは抗PDL1療法との組合せで使用される場合)に特に応じて、当業者によって決定されることができる。
【0122】
具体的な実施形態において、ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が、1000個細胞/mL、2000個細胞/mL、3000個細胞/mL、4000個細胞/mL、5000個細胞/mL、6000個細胞/mL、7000個細胞/mL、8000個細胞/mL、9000個細胞/mL、10000個細胞/mL、11000個細胞/mL、12000個細胞/mL、13000個細胞/mL、14000個細胞/mL、15000個細胞/mL、16000個細胞/mL、17000個細胞/mL、18000個細胞/mL、19000個細胞/mLよりも高い、又は20000個細胞/mLよりも高い場合、前記対象は、活性化抗BTN3A治療に選択される。
【0123】
具体的な実施形態において、前記対象は、固形腫瘍を有するがんに罹患しており、ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が、前記対象において20000個細胞/mLよりも高い場合、活性化抗BTN3A治療(典型的にはmAb1治療、好ましくは7~200mgに含まれる用量での2回以上の注射)に選択される。
【0124】
具体的な実施形態において、前記対象は卵巣がんに罹患しており、前記対象におけるベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が20000個細胞/mLよりも高い場合、活性化抗BTN3A治療(典型的にはmAb1治療、好ましくは7~200mgに含まれる用量での2回以上の注射)に選択される。
【0125】
具体的な実施形態において、前記対象は頭頸部扁平上皮がんに罹患しており、ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が、前記対象において20000個細胞/mLよりも高い場合、活性化抗BTN3A治療(典型的にはmAb1治療、好ましくは7~200mgに含まれる用量での2回以上の注射)に選択される。
【0126】
本開示は、それを必要とする活性化抗BTN3A治療に対する患者の適格性を査定ための方法であって、前記方法は、前記対象の血液サンプルにおけるベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数を決定するステップを含み、活性化抗BTN3A治療に適格性がある対象は、ある特定の参照値を上回る、典型的には1000~20000個細胞/mLに定められるベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数を有する、方法にも関する。
腫瘍生検におけるVγ9+ T細胞密度を決定するステップを含む方法
具体的な実施形態において、本開示の方法は、活性化抗BTN3A抗体治療で治療されるべき前記対象から得られた腫瘍生検におけるVγ9+ T細胞密度を決定するステップを含む。
【0127】
Vγ9+ T細胞密度を決定することは、免疫表現型解析の任意のルーチン的技法によって達成されることができる。典型的に、Vγ9+ T細胞密度は、例えば実施例に記載されるように、抗体7B6等、Vγ9+ TCRに特異的に向けられたモノクローナル抗体を用いた腫瘍生検における免疫組織化学によって査定される。
【0128】
ベースラインVγ9+ T細胞密度についてのこの査定は、典型的に、それを必要とする前記対象への前記活性化抗BTN3A抗体の最初の投与の4日未満、好ましくは48時間未満、より好ましくは24時間未満前に行われる。
【0129】
高いVγ9+ T細胞密度は、より良好な応答を予測することが見込まれる。しかしながら、治療に対する適格性について患者を選択するために使用されるべき正確なVγ9+ T細胞密度は、患者の臨床的パラメーター(例えば、年齢、性別、先行ラインの治療)、がん診断、及び使用されるプロトコール(特に、前記活性化抗BTN3A抗体が、単独療法として、又は他の療法、典型的には抗PD1若しくは抗PDL1療法との組合せで使用される場合)に特に応じて、当業者によって決定されることができる。
【0130】
具体的な実施形態において、ベースラインVγ9+ T細胞密度が、前記対象からの腫瘍生検において1個細胞/mm2、2個細胞/mm2、3個細胞/mm2、又は4個細胞/mm2よりも高い場合、前記対象は、活性化抗BTN3A治療に選択される。
【0131】
具体的な実施形態において、前記対象は、固形腫瘍を有するがんに罹患しており、ベースラインVγ9+ T細胞密度が、前記対象からの腫瘍生検において3個細胞/mm2よりも高い又は4個細胞/mm2よりも高い場合、活性化抗BTN3A治療(典型的にはmAb1治療、好ましくは7~200mgに含まれる用量での2回以上の注射)に選択される。
【0132】
具体的な実施形態において、前記対象は卵巣がんに罹患しており、ベースラインVγ9+ T細胞密度が、前記対象からの腫瘍生検において3個細胞/mm2よりも高い又は4個細胞/mm2よりも高い場合、活性化抗BTN3A治療(典型的にはmAb1治療、好ましくは7~200mgに含まれる用量での2回以上の注射)に選択される。
【0133】
具体的な実施形態において、前記対象は頭頸部扁平上皮がんに罹患しており、ベースラインVγ9+ T細胞密度が、前記対象からの腫瘍生検において3個細胞/mm2よりも高い又は4個細胞/mm2よりも高い場合、活性化抗BTN3A治療(典型的にはmAb1治療、好ましくは7~200mgに含まれる用量での2回以上の注射)に選択される。
【0134】
本開示は、それを必要とする活性化抗BTN3A治療に対する患者の適格性を査定ための方法であって、前記方法は、前記対象の腫瘍生検におけるベースラインVγ9+ T細胞密度を決定するステップを含み、活性化抗BTN3A治療に適格性がある対象は、前記対象からの腫瘍生検において決定される3個細胞/mm2よりも高い又は4個細胞/mm2よりも高いベースラインVγ9+ T細胞密度を有する、方法にも関する。
【0135】
本開示の方法の具体的な実施形態
E1.それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する単離された活性化抗BTN3A抗体であって、前記対象は、(i)治療前の前記対象の血液サンプルにおける血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数、又は(ii)治療前の前記対象の腫瘍生検におけるベースラインVγ9+ T細胞密度、のいずれかを評価することによって、前記抗BTN3A抗体を用いた前記治療に選択されている、単離された活性化抗BTN3A抗体。
【0136】
E2.(i)ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が、血液サンプルにおいて決定される5000個細胞/mLよりも高い、10000個細胞/mLよりも高い、若しくは20000個細胞/mLよりも高い、又は(ii)ベースラインVγ9+ T細胞密度が、腫瘍生検において決定される2個細胞/mm2よりも高い、若しくは3個細胞/mm2よりも高い、若しくは4個細胞/mm2よりも高い場合、前記対象は前記治療に選択されている、E1に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0137】
E3.前記対象が非血液学的がんに罹患している、E1又はE2に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0138】
E4.前記対象が、黒色腫、膵管腺癌(PDAC)、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膀胱、前立腺、非小細胞肺がん(NSCLC)等の肺がん、頭頸部扁平上皮がん、及び尿路上皮がんから選択されるがんに罹患している、E3に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0139】
E5.前記対象が、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)又は卵巣がんに罹患している、E4に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0140】
E6.前記対象が再発性/難治性固形腫瘍を有している、E1~E5のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0141】
E7.前記対象が血液学的悪性腫瘍に罹患している、E1又はE2に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0142】
E8.前記対象が、B細胞リンパ系新生物、T細胞リンパ系新生物、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B-NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBLC)、T-NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、NK細胞リンパ系新生物、及び急性骨髄性白血病(AML)を含めた骨髄細胞系統新生物から選択される血液学的悪性腫瘍に罹患している、E7に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0143】
E9.表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される10nM以下のKDで、好ましくは5nM以下の、例えば50pM~5nMのKDで、ヒトBTN3Aポリペプチドに結合する、E1~E8のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0144】
E10.SPRによって測定される100nM以下のKDで、好ましくは10nM以下のKDで、カニクイザルBTN3Aに交差反応する、E1~E9のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0145】
E11.活性化マーカーCD69の表面発現によって測定される0.1mg/mLを下回る、好ましくは0.01mg/mL以下の、例えば100pg/mL~0.1mg/mLのEC50で、ヒトPBMCにおけるVγ9Vδ2-T細胞の活性化をインビトロで誘導する;又は脱顆粒アッセイにおいて測定される5mg/mLを下回る、好ましくは1mg/mL以下の、例えば100ng/mL~5mg/mLのEC50で、BTN3発現細胞との共培養においてVγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する、E1~E10のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0146】
E12.配列番号12のHCDR1、配列番号13のHCDR2、配列番号14のHCDR3、配列番号15のLCDR1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む、E1~E11のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0147】
E13.ヒト化抗体である、E1~E12のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0148】
E14.VHフレームワーク領域における少なくとも以下のアミノ酸変異:V5Q;V11L;K12V;R66K;S74F;I75S;E81Q;S82AR;R82BS;R83T;D85E;T87S;L108S;及びVkフレームワーク領域における少なくとも以下のアミノ酸変異:T5N;V15L;R18T;V19I;K42N;A43I;D70G;F73L;Q100Gを含む、E1~E13のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0149】
E15.前記活性化抗BTN3A抗体が、変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域を含み、前記変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域が、野生型IgG1アイソタイプ定常領域を有する対応する抗体と比較した場合、Fcγ受容体への結合なし又は結合の減少を付与する、E1~E14のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0150】
E16.配列番号1の可変重鎖(VH)及び配列番号2の可変軽鎖(VL)を含む、E1~E15のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0151】
E17.配列番号1の可変重鎖(VH)及び配列番号3の可変軽鎖(VL)を含む、E1~E15のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0152】
E18.サイレントFc領域、典型的には変異体IgG1定常領域又は変異体IgG4定常領域を含む、E1~E17のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0153】
E19.前記変異体IgG1定常領域が、IgG1トリプル変異体L247F、L248E、及びP350Sである、E18に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0154】
E20.前記変異体IgG4定常領域が、IgG4ダブル変異体S241P、L248Eである、E18に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0155】
E21.配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含む、E1~E17のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0156】
E22.配列番号4の重鎖及び配列番号7の軽鎖を含む、E1~E17のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0157】
E23.配列番号5の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含む、E1~E17のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0158】
E24.配列番号5の重鎖及び配列番号7の軽鎖を含む、E1~E17のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0159】
E25.サイトカインとの組合せで投与される、E1~E24のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0160】
E26.前記サイトカインが、IL2又はIL15アゴニストである、E25に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0161】
E27.免疫療法剤との組合せで投与される、E1~E26のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0162】
E28.前記免疫療法剤が、抗PD1又は抗PD-L1抗体である、E27に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0163】
E29.前記抗PD1又は抗PD-L1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、又はアテゾリズマブから選択され、好ましくはペムブロリズマブである、E28に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0164】
E30.(i)抗PD1又は抗PD-L1抗体、並びに(ii)IL2若しくはIL15アゴニスト等のサイトカイン、又はそれらの誘導体、ペグ化バリアント、及びそのスーパーアゴニストバリアントとの組合せで投与される、E27に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0165】
E31.活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内である、E1~E30のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0166】
E32.前記抗BTN3A抗体がmAb1であり、活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内である、E1~E31のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0167】
E33.前記活性化抗BTN3A抗体が、各投薬7~200mgに含まれる用量で少なくとも2回静脈内投与され、好ましくは第2の投薬が、第1の投薬の少なくとも15日後、典型的には約21日後に投与される、E1~E32のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0168】
E34.7、10、20、50、75、100、125、150、170、又は200mgから選択される用量で投与される、E1~E33のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0169】
E35.mAb1であり、7、10、20、50、75、100、125、150、170、又は200mgから選択される用量で投与される、E1~E34のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0170】
E36.mAb1であり、抗PD1又は抗PD-L1抗体、例えばペムブロリズマブとの組合せで、7、10、20、50、75、100、125、150、170、又は200mgから選択される用量で投与される、E1~E34のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0171】
E37.前記活性化抗BTN3A抗体がmAb1であり、前記対象が、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)又は卵巣がんに罹患しており、(i)ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が、血液サンプルにおいて決定される5000個細胞/mLよりも高い、10000個細胞/mLよりも高い、若しくは20000個細胞/mLよりも高い、又は(ii)ベースラインVγ9+ T細胞密度が、腫瘍生検において決定される2個細胞/mm2よりも高い、若しくは3個細胞/mm2よりも高い、若しくは4個細胞/mm2よりも高い場合、前記対象は前記治療に選択されている、E1~E34のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0172】
E38.治療有効量の活性化抗BTN3A抗体を投与するステップを含む、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療するための方法であって、前記ヒト対象は、(i)血液サンプルからの血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数、又は(ii)前記対象の腫瘍生検からのベースラインVγ9+ T細胞密度、のいずれかを評価することによって、前記抗BTN3A活性化抗体治療に選択されている、方法。
【0173】
E39.(i)ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が、5000個細胞/mLよりも高い、10000個細胞/mLよりも高い、若しくは20000個細胞/mLよりも高い、又は(ii)ベースラインVγ9+ T細胞密度が、腫瘍生検において決定される2個細胞/mm2よりも高い、若しくは3個細胞/mm2よりも高い、若しくは4個細胞/mm2よりも高い場合、前記対象は前記治療に選択されている、E38に記載の方法。
【0174】
E40.前記対象が非血液学的がんに罹患している、E38又はE39に記載の方法。
【0175】
E41.前記対象が、黒色腫、膵管腺癌(PDAC)、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、膀胱、前立腺、非小細胞肺がん(NSCLC)等の肺がん、頭頸部扁平上皮がん、及び尿路上皮がんから選択されるがんに罹患している、E40に記載の方法。
【0176】
E42.前記対象が、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)又は卵巣がんに罹患している、E40に記載の方法。
【0177】
E43.前記対象が再発性/難治性固形腫瘍を有している、E38~E42のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
E44.前記対象が血液学的悪性腫瘍に罹患している、E38~E43のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
E45.前記対象が、B細胞リンパ系新生物、T細胞リンパ系新生物、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B-NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBLC)、T-NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、NK細胞リンパ系新生物、及び急性骨髄性白血病(AML)を含めた骨髄細胞系統新生物から選択される血液学的悪性腫瘍に罹患している、E44に記載の方法。
【0180】
E46.前記活性化抗BTN3A抗体が、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される10nM以下のKDで、好ましくは5nM以下の、例えば50pM~5nMのKDで、ヒトBTN3Aポリペプチドに結合する、E38~E45のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
E47.前記活性化抗BTN3A抗体が、SPRによって測定される100nM以下のKDで、好ましくは10nM以下のKDで、カニクイザルBTN3Aに交差反応する、E38~E46のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
E48.前記活性化抗BTN3A抗体が、活性化マーカーCD69の表面発現によって測定される0.1mg/mLを下回る、好ましくは0.01mg/mL以下の、例えば100pg/mL~0.1mg/mLのEC50で、ヒトPBMCにおけるVγ9Vδ2 T細胞の活性化をインビトロで誘導する、E38~E47のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
E49.前記活性化抗BTN3A抗体が、脱顆粒アッセイにおいて測定される5mg/mLを下回る、好ましくは1mg/mL以下の、例えば100ng/mL~5mg/mLのEC50で、BTN3発現細胞との共培養においてVγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する、E38~E48のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
E50.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号12のHCDR1、配列番号13のHCDR2、配列番号14のHCDR3、配列番号15のLCDR1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む、E38~E49のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
E51.前記活性化抗BTN3A抗体がヒト化抗体である、E38~E50のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
E52.前記活性化抗BTN3A抗体が、VHフレームワーク領域における少なくとも以下のアミノ酸変異:V5Q;V11L;K12V;R66K;S74F;I75S;E81Q;S82AR;R82BS;R83T;D85E;T87S;L108S;及びVkフレームワーク領域における少なくとも以下のアミノ酸変異:T5N;V15L;R18T;V19I;K42N;A43I;D70G;F73L;Q100Gを含む、E51に記載の方法。
【0187】
E53.前記活性化抗BTN3A抗体が、変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域を含み、前記変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域が、野生型IgG1アイソタイプ定常領域を有する対応する抗体と比較した場合、Fcg受容体への結合なし又は結合の減少を付与する、E38~E51のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
E54.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号1の可変重鎖(VH)及び配列番号2の可変軽鎖(VL)を含む、E38~E53のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
E55.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号1の可変重鎖(VH)及び配列番号3の可変軽鎖(VL)を含む、E38~E53のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
E56.前記活性化抗BTN3A抗体が、サイレントFc領域、典型的には変異体IgG1定常領域又は変異体IgG4定常領域を含む、E38~E55のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
E57.前記変異体IgG1定常領域が、IgG1トリプル変異体L247F、L248E、及びP350Sである、E56に記載の方法。
【0192】
E58.前記変異体IgG4定常領域が、IgG4ダブル変異体S241P、L248Eである、E56に記載の方法。
【0193】
E59.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含む、E38~E58のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
E60.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号7の軽鎖を含む、E38~E58のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
E61.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号5の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含む、E38~E58のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
E62.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号5の重鎖及び配列番号7の軽鎖を含む、E38~E58のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
E63.前記活性化抗BTN3A抗体が、サイトカインとの組合せで投与される、E38~E62のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
E64.前記サイトカインが、IL2又はIL15アゴニストである、E63に記載の方法。
【0199】
E65.前記活性化抗BTN3A抗体が、免疫療法剤との組合せで投与される、E38~E64のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
E66.前記免疫療法剤が、抗PD1又は抗PD-L1抗体である、E65に記載の方法。
【0201】
E67.前記抗PD1又は抗PD-L1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、又はアテゾリズマブから選択され、好ましくはペムブロリズマブである、E66に記載の方法。
【0202】
E68.前記活性化抗BTN3A抗体が、(i)抗PD1又は抗PD-L1抗体、並びに(ii)IL2若しくはIL15アゴニスト等のサイトカイン、又はそれらの誘導体、ペグ化バリアント、及びそのスーパーアゴニストバリアントとの組合せで投与される、E66に記載の方法。
【0203】
E69.活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内である、E38~E68のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
E70.前記抗BTN3A抗体がmAb1であり、活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内である、E69に記載の方法。
【0205】
E71.前記活性化抗BTN3A抗体が、各投薬7~200mgに含まれる用量で少なくとも2回静脈内投与され、典型的に第2の投薬が、第1の投薬の少なくとも15日後、例えば第1の投薬の21日後に投与される、E38~E70のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
E72.前記活性化抗BTN3A抗体が、7、10、20、50、75、100、125、150、170、又は200mgから選択される用量で投与される、E38~E71のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
E73.前記活性化抗BTN3A抗体がmAb1であり、前記活性化抗BTN3A抗体が、各投薬7~200mgに含まれる用量で少なくとも2回静脈内投与され、好ましくは第2の投薬が、第1の投薬の少なくとも15日後、典型的には約21日後に投与される、E38~E72のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
E74.前記活性化抗BTN3A抗体がmAb1であり、7、10、20、50、75、100、125、150、170、又は200mgから選択される用量で投与される、E38~E73のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
E75.前記活性化抗BTN3A抗体がmAb1であり、抗PD1又は抗PD-L1抗体、例えばペムブロリズマブとの組合せで、7、10、20、50、75、100、125、150、170、又は200mgから選択される用量で投与される、E38~E74のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
E76.前記活性化抗BTN3A抗体がmAb1であり、前記対象が、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)又は卵巣がんに罹患しており、ベースライン循環Vγ9Vδ2 T細胞計数が、5000個細胞/mLよりも高い、10000個細胞/mLよりも高い、又は20000個細胞/mLよりも高い場合、前記対象は前記治療に選択されている、E38~E75のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
E77.それを必要とする対象を治療するための薬物の製造における、本明細書に開示される活性化抗BTN3A抗体の使用であって、前記対象は、(i)本明細書を通して本明細書に記載されるように、前記対象の血液サンプルにおける血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数;又は(ii)本明細書を通して本明細書に記載されるように、ベースラインVγ9+ T細胞密度が、前記対象の腫瘍生検において決定される2個細胞/mm2よりも高い、若しくは3個細胞/mm2よりも高い、若しくは4個細胞/mm2よりも高い、のいずれかを評価することによって、前記治療に選択されている、使用。
【0212】
E78.それを必要とする対象における、本明細書に開示される活性化抗BTN3A抗体を用いた治療に対する適格性を決定する方法であって、(i)本明細書を通して本明細書に記載されるように、前記対象の血液サンプルにおける血中ベースラインVγ9Vδ2 T細胞計数;又は(ii)本明細書を通して本明細書に記載されるように、ベースラインVγ9+ T細胞密度が、前記対象の腫瘍生検において決定される2個細胞/mm2よりも高い、若しくは3個細胞/mm2よりも高い、若しくは4個細胞/mm2よりも高い、のいずれかを評価するステップを含む、方法。
【0213】
E79.それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する単離された活性化抗BTN3A抗体であって、前記対象が、抗PD1又は抗PD-L1治療の後に再発性又は難治性腫瘍を有しており、前記対象が、治療有効量の前記活性化抗BTN3A抗体との組合せで、治療有効量の抗PD1又は抗PD-L1剤を投与される、単離された活性化抗BTN3A抗体。
【0214】
E80.それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する単離された活性化抗BTN3A抗体であって、前記腫瘍が、膀胱がん、黒色腫、非小細胞肺がん、及び頭頸部扁平上皮癌からなる群から特に選択される固形腫瘍である、単離された活性化抗BTN3A抗体。
【0215】
E81.血液学的悪性腫瘍を治療することにおける使用のための、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する活性化抗BTN3A抗体であって、前記血液学的悪性腫瘍が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫及び急性骨髄性白血病から選択される、活性化抗BTN3A抗体。
【0216】
E82.それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療することにおける使用のためであり、前記腫瘍が、膀胱がん、黒色腫、非小細胞肺がん、及び頭頸部扁平上皮癌からなる群から特に選択される固形腫瘍である、E79に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0217】
E83.表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される10nM以下のKDで、好ましくは5nM以下の、例えば50pM~5nMのKDで、ヒトBTN3Aポリペプチドに結合する、E79~E82のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0218】
E84.SPRによって測定される100nM以下のKDで、好ましくは10nM以下のKDで、カニクイザルBTN3Aに交差反応する、E79~E83のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0219】
E85.活性化マーカーCD69の表面発現によって測定される0.1mg/mLを下回る、好ましくは0.01mg/mL以下の、例えば100pg/mL~0.1mg/mLのEC50で、ヒトPBMCにおけるVγ9Vδ2-T細胞の活性化をインビトロで誘導する、E79~E84のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0220】
E86.前記抗体が、脱顆粒アッセイにおいて測定される5mg/mLを下回る、好ましくは1mg/mL以下の、例えば100ng/mL~5mg/mLのEC50で、BTN3発現細胞との共培養においてVγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する、E79~E85のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0221】
E87.配列番号12のHCDR1、配列番号13のHCDR2、配列番号14のHCDR3、配列番号15のLCDR1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む、E79~E86のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0222】
E88.ヒト化抗体である、E79~E87のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0223】
E89.VHフレームワーク領域における少なくとも以下のアミノ酸変異:V5Q;V11L;K12V;R66K;S74F;I75S;E81Q;S82AR;R82BS;R83T;D85E;T87S;L108S;及びVkフレームワーク領域における少なくとも以下のアミノ酸変異:T5N;V15L;R18T;V19I;K42N;A43I;D70G;F73L;Q100Gを含む、E79~E88のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0224】
E90.前記活性化抗BTN3A抗体が、変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域を含み、前記変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域が、野生型IgG1アイソタイプ定常領域を有する対応する抗体と比較した場合、Fcγ受容体への結合なし又は結合の減少を付与する、E79~E89のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0225】
E91.配列番号1の可変重鎖(VH)及び配列番号2の可変軽鎖(VL)を含む、E79~E90のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0226】
E92.配列番号1の可変重鎖(VH)及び配列番号3の可変軽鎖(VL)を含む、E79~E90のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0227】
E93.サイレントFc領域、典型的には変異体IgG1定常領域又は変異体IgG4定常領域を含む、E79~E92のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0228】
E94.前記変異体IgG1定常領域が、IgG1トリプル変異体L247F、L248E、及びP350Sである、E93に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0229】
E95.配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含む、E79~E94のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0230】
E96.配列番号4の重鎖及び配列番号7の軽鎖を含む、E79~E95のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0231】
E97.配列番号5の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含む、E79~E96のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0232】
E98.配列番号5の重鎖及び配列番号7の軽鎖を含む、E79~E97のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0233】
E99.サイトカインとの組合せで投与される、E79~E98のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0234】
E100.前記サイトカインが、IL2又はIL15アゴニストである、E99に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0235】
E101.免疫療法剤との組合せで投与される、E80~E100のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0236】
E102.抗PD1又は抗PD-L1抗体からなる群から選択される免疫療法剤との組合せで投与される、E79~E101のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0237】
E103.ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、又はアテゾリズマブからなる群から選択される抗PD1又は抗PD-L1抗体、好ましくはペムブロリズマブとの組合せで投与される、E79~E102のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0238】
E104.活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内、好ましくは20~75mg以内である、E79~E103のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0239】
E105.前記抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含み、活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内、好ましくは20~75mg以内であり、対象が、治療有効量のペムブロリズマブとともに投与される、E79に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0240】
E106.前記抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含み、活性化抗BTN3A抗体の治療単位用量が、投与あたり7~200mg以内、好ましくは20~75mg以内である、E80に記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0241】
E107.前記活性化抗BTN3A抗体が、各投薬7~200mgに含まれる用量で少なくとも2回静脈内投与され、好ましくは第2の投薬が、第1の投薬の少なくとも15日後、典型的には約21日後に投与される、E79~E106のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0242】
E108.7、10、20、50、75、100、125、150、170、又は200mgから選択される用量で投与される、E79~E107のいずれか1つに記載の使用のための活性化抗BTN3A抗体。
【0243】
E109.治療有効量の抗PD1/PDL1治療との組合せで、Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する治療有効量の活性化抗BTN3Aを投与するステップを含む、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療するための方法であって、前記対象が、抗PD1/PDL1治療に対して再発性又は難治性腫瘍を有している、方法。
【0244】
E110.Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する治療有効量の活性化抗BTN3Aを投与するステップを含む、それを必要とするヒト対象における腫瘍を治療するための方法であって、前記腫瘍が、膀胱がん、黒色腫、非小細胞肺がん、及び頭頸部扁平上皮癌からなる群から特に選択される固形腫瘍である、方法。
【0245】
E111.Vγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する治療有効量の活性化抗BTN3Aを投与するステップを含む、それを必要とするヒト対象における血液学的悪性腫瘍を治療するための方法であって、前記血液学的悪性腫瘍が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫及び急性骨髄性白血病から選択される、方法。
【0246】
E112.前記腫瘍が、膀胱がん、黒色腫、非小細胞肺がん、及び脳転移からなる群から特に選択される固形腫瘍である、E109に記載の方法。
【0247】
E113.前記活性化抗BTN3A抗体が、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される10nM以下のKDで、好ましくは5nM以下の、例えば50pM~5nMのKDで、ヒトBTN3Aポリペプチドに結合する、E109~E112のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
E114.前記活性化抗BTN3A抗体が、SPRによって測定される100nM以下のKDで、好ましくは10nM以下のKDで、カニクイザルBTN3Aに交差反応する、E109~E113のいずれか1つに記載の方法。
【0249】
E115.前記活性化抗BTN3A抗体が、活性化マーカーCD69の表面発現によって測定される0.1mg/mLを下回る、好ましくは0.01mg/mL以下の、例えば100pg/mL~0.1mg/mLのEC50で、ヒトPBMCにおけるVγ9Vδ2 T細胞の活性化をインビトロで誘導する、E109~E114のいずれか1つに記載の方法。
【0250】
E116.前記抗体が、脱顆粒アッセイにおいて測定される5mg/mLを下回る、好ましくは1mg/mL以下の、例えば100ng/mL~5mg/mLのEC50で、BTN3発現細胞との共培養においてVγ9Vδ2 T細胞の活性化を誘導する、E109~E115のいずれか1つに記載の方法。
【0251】
E117.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号12のHCDR1、配列番号13のHCDR2、配列番号14のHCDR3、配列番号15のLCDR1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む、E109~E116のいずれか1つに記載の方法。
【0252】
E118.前記活性化抗BTN3A抗体がヒト化抗体である、E109~E117のいずれか1つに記載の方法。
【0253】
E119.前記活性化抗BTN3A抗体が、VHフレームワーク領域における少なくとも以下のアミノ酸変異:V5Q;V11L;K12V;R66K;S74F;I75S;E81Q;S82AR;R82BS;R83T;D85E;T87S;L108S;及びVkフレームワーク領域における少なくとも以下のアミノ酸変異:T5N;V15L;R18T;V19I;K42N;A43I;D70G;F73L;Q100Gを含む、E109~E118のいずれか1つに記載の方法。
【0254】
E120.前記活性化抗BTN3A抗体が、変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域を含み、前記変異体又は化学修飾されたIgG1定常領域が、野生型IgG1アイソタイプ定常領域を有する対応する抗体と比較した場合、Fcg受容体への結合なし又は結合の減少を付与する、E109~E119のいずれか1つに記載の方法。
【0255】
E121.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号1の可変重鎖(VH)及び配列番号2の可変軽鎖(VL)を含む、E109~E120のいずれか1つに記載の方法。
【0256】
E122.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号1の可変重鎖(VH)及び配列番号3の可変軽鎖(VL)を含む、E109~E120のいずれか1つに記載の方法。
【0257】
E123.前記活性化抗BTN3A抗体が、サイレントFc領域、典型的には変異体IgG1定常領域又は変異体IgG4定常領域を含む、E109~E122のいずれか1つに記載の方法。
【0258】
E124.前記変異体IgG1定常領域が、IgG1トリプル変異体L247F、L248E、及びP350Sである、E109~E123のいずれか1つに記載の方法。
【0259】
E125.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含む、E109~E124のいずれか1つに記載の方法。
【0260】
E126.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号7の軽鎖を含む、E109~E124のいずれか1つに記載の方法。
【0261】
E127.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号5の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含む、E109~E124のいずれか1つに記載の方法。
【0262】
E128.前記活性化抗BTN3A抗体が、配列番号5の重鎖及び配列番号7の軽鎖を含む、E109~E124のいずれか1つに記載の方法。
【0263】
E129.前記活性化抗BTN3A抗体が、サイトカインとの組合せで投与される、E109~E128のいずれか1つに記載の方法。
【0264】
E130.前記サイトカインが、IL2又はIL15アゴニストである、E129に記載の方法。
【0265】
E131.前記抗BTN3A抗体が、免疫療法剤との組合せで投与される、E109~E130のいずれか1つに記載の方法。
【0266】
E132.前記抗BTN3A抗体が、抗PD1又は抗PD-L1抗体からなる群から選択される免疫療法剤との組合せで投与される、E109~E131のいずれか1つに記載の方法。
【0267】
E133.前記抗BTN3A抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、又はアテゾリズマブからなる群から選択される抗PD1又は抗PD-L1抗体、好ましくはペムブロリズマブとの組合せで投与される、E109~E132のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
E134.活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内、好ましくは20~75mg以内である、E109~E133のいずれか1つに記載の方法。
【0269】
E135.前記抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含み、活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内、好ましくは20~75mg以内であり、対象が、治療有効量のペムブロリズマブとともに投与される、E109~E112のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
E136.前記抗BTN3A抗体が、配列番号4の重鎖及び配列番号6の軽鎖を含み、活性化抗BTN3A抗体の治療用量が、投与あたり7~200mg以内、好ましくは20~75mg以内である、E109~E112のいずれか1つに記載の方法。
【0271】
E137.前記活性化抗BTN3A抗体が、各投薬7~200mgに含まれる用量で少なくとも2回静脈内投与され、好ましくは第2の投薬が、第1の投薬の少なくとも15日後、典型的には約21日後に投与される、E109~E136のいずれか1つに記載の方法。
【0272】
E138.前記活性化抗BTN3A抗体が、7、10、20、50、75、100、125、150、170、又は200mgから選択される用量で投与される、E109~E137のいずれか1つに記載の方法。
【0273】
E139.好ましくは有効量の抗PD1又は抗PDL1剤、例えばペムブロリズマブ等の抗PD1抗体との組合せで、本明細書に開示される活性化抗BTN3A抗体の有効量を投与するステップを含む、それを必要とする対象の腫瘍における免疫細胞浸潤を増強するための方法。
【0274】
E140.前記免疫細胞が、Vγ9Vδ2 T細胞及びCD8+ T細胞を含む、E139に記載の方法。
【実施例】
【0275】
本開示に従った使用のための抗BTN3A活性化抗体を特徴付けする方法
1.1 結合親和性アッセイ:マルチサイクル速度論アッセイ(SPR)
マルチサイクル速度論分析は、ビアコアT200エバリュエーション(Evaluation)ソフトウェアV2.0.1(Uppsala、Sweden)をランするビアコアT200(シリアル番号1909913)機器を使用して、抗BTN3A抗体に対して実施され得る。
【0276】
精製された抗体を、2%BSA/PBS中2μg/mlの濃度に希釈する。各サイクルの開始時に、各抗体を、約146.5RU(約50RUのRMaxを得るための理論値)の密度で(RL)、プロテインAに捕捉する。捕捉後、BTN3A1抗原(Sino Biologicalカタログ番号15973-H08H)のインジェクション前に、表面を安定させる。BTN3A1を、25~0.78nMの2倍希釈域で、0.1%BSA/HBS-P+(ランニング緩衝液)において滴定する。会合相を400秒間、解離相を35分間(2100秒間)モニターする。速度論データを、任意の潜在的物質移動効果を最小限に抑えるために、50μl/分の流速を使用して得る。各サイクルの終了時に、10mMグリシン-HCL pH1.5の2回のインジェクションを使用して、プロテインA表面の再生を行う。2つのブランク(BTN3A1なし)、及び単一濃度の分析物の繰り返しを各テスト抗体に対して実施して、速度論サイクルにわたって表面及び分析物の安定性をチェックする。参照チャネルFc1からのシグナルをFc2、Fc3、及びFc4のものから差し引いて、参照表面への非特異的結合の差を補正する。付加的に、ブランクランを各Fcに対して差し引いて、ドリフト等の任意の抗原非依存的シグナル変動を補正する。グローバルRMaxパラメーター及びバルクシグナルなし(一定RI=0RU)を有する1対1結合数学的モデルを使用して、センサーグラムをフィッテイングさせる。
1.2 ヒトPBMCに対するフローサイトメトリーによる結合アッセイ
本開示に従った使用のための抗BTN3A抗体は、健常ドナーの血液から単離されたヒトPBMCへのそれら抗体の結合についても特徴付けされることができる。PBMCを、リンホプレップ(Lymphoprep)(Axis-shield、Dundee、UK)密度遠心分離を使用して、バフィーコートから単離する。次いで、PBMCを凍結し、要されるまで-80℃で又は液体窒素において保管する。
【0277】
1×106個細胞/mlの100μl細胞を、新しいU型底96ウェルプレートの各ウェルに移し、次いでプレートを遠心分離し、上清を捨てた。
【0278】
0.001μg/ml~150μg/mlの抗体の連続希釈を、PBS 2mM EDTAにおいて調製する。ヒトPBMCを、調製された50μlの希釈されたテスト抗体滴定シリーズに再懸濁した。
【0279】
暗所にて4℃における30分間のインキュベーションの後、プレートを遠心分離し、150μl/ウェルのPBS 2mM EDTAで2回洗浄し、その後、ウェルを、PBS 2mM EDTAにおいて1/100希釈されたヤギ抗ヒト抗体(PE標識された)、及び1/500希釈されたライブ/デッド(Live/dead)近IRから構成される50μlのミックスに再懸濁する。
【0280】
暗所にて4℃における15分間のインキュベーションの後、プレートを遠心分離し、150μl/ウェルのPBS 2mM EDTAで1回洗浄し、その後、ウェルを、200μl PBS 2mM EDTAに再懸濁する。細胞をBD LSRフォルテッサ(Fortessa)サイトメーターで分析する。データを、FlowJoソフトウェア(バージョン10、FlowJo、LLC、Ashland、USA)を使用して分析する。
【0281】
同じプロトコールを、カニクイザルPBMCに対して及びダウディバーキットリンパ腫細胞株に対して実施してもよい。
1.3 インビトロ機能効力:γδ-T細胞脱顆粒アッセイ
アッセイは、ダウディバーキットリンパ腫細胞株に対するγδ-T細胞脱顆粒に対する、抗BTN3A抗体の活性化又は阻害効果を測定することからなる(Harlyら、2012)。γδ-T細胞を、ゾレドロン酸(1μM)及びIL2(200Ui/ml)とともに11~13日間培養することによって、健常ドナーのPBMCから増大させる。IL2を、5日目、8日目、及びその後2日ごとに添加する。γδ-T細胞のパーセンテージを培養の始動時に決定し、パーセンテージが少なくとも80%に達するまで、培養の時間の間フローサイトメトリーによって査定する。凍結された又は新しいγδ-T細胞を、次いで、ダウディ細胞株に対する脱顆粒アッセイにおいて使用し(1:1のE:T比)、それによって、10μg/mlの7.2及び20.1ヒト化バリアント及びそれらのキメラ型の存在下で、細胞を37℃で4時間共培養する。PMA(20ng/ml)+イオノマイシン(1μg/ml)による活性化は、γδ-T細胞脱顆粒に対する陽性対照として、培地のみは陰性対照として働いた。4時間の共インキュベーションの終了時に、細胞をフローサイトメトリーによって分析して、CD107a(LAMP-1、リソソーム関連膜タンパク質-1)+CD107b(LAMP-2)に対して陽性のγδ-T細胞のパーセンテージを評価する。CD107は、活性化誘導性顆粒エキソサイトーシスの後に細胞表面に動員され、ゆえに、表面CD107の測定は、最近脱顆粒した細胞傷害性T細胞を特定するための高感度マーカーである。
【0282】
ダウディ細胞の代わりに、標的細胞として患者から単離されたAML芽球を使用して、同じプロトコールを実施してもよい。
【0283】
1.4 フローサイトメトリーによって絶対血中ベースラインγδ T細胞計数を決定する
γδ T細胞絶対計数の査定に関しては、新しい血液サンプル(100μl)を、PBS 1%胎仔ウシ血清(FBS)において調製された抗体(50μl)、キャリブレーションビーズ(例えば、BD製のトルカウントビーズ(Trucount beads)、及び生存率マーカーのカクテルと混合する。サンプルを、暗所にて室温で20分間インキュベートした。2mLのあらかじめ温めた1×RBC溶解緩衝液(Biolegend #420302)を添加し、ボルテックスし、さらなる2mLの1×RBC溶解緩衝液を添加し、それに続いて、暗所にて室温で15分間インキュベートすることによって、赤血球(RBC)を溶解した。PBS 1%FBSにおける洗浄の後、細胞ペレットを300μLのPBS 1%FBSに再懸濁し、BD FACSディーバ(Diva)ソフトウェア(v8.0)でのあらかじめ規定された適用設定を使用して、BD LSRフォルテッサX-20で取得した。データを、方程式:((MFIテスト-MFI IC)/(MFIテスト投薬前-MFI IC投薬前)×100)を用いて正規化した。分析を、FlowJoソフトウェア(v10.6)を使用して実施した。
【0284】
1.5 腫瘍生検におけるVγ9+ T細胞密度を決定する
腫瘍生検におけるVγ9+ T細胞密度の査定に関しては、ヒト患者からの生検サンプルを、治療前及び治療後28日目に回収した。各時点で、生検の半分をパラフィンに包埋し、もう半分を最適な切削温度化合物(OCT)において瞬間凍結した。免疫組織化学を、ボンドRX自動染色機(Bond RX Automatic Stainer)(Leica Biosystems)でVeracyte(Marseille、France)によって実施し、画像を、ナノズーマーXRスキャナー(Nanozoomer XR scanner)(Hamamatsu)を使用して取得した。簡潔には、新しい凍結サンプルの6μm厚切片を、亜鉛ホルマリンにおいてRTで5分間固定し、ブロッキングのための5%ヒト血清とともに30分間インキュベートし、2μg/mLの抗panBTN3A mAb(クローン20.1)又は抗Vγ9TCR mAb(クローン7B6、Huangら、Infection and Immunity 2008、426~436頁)でRTにて45分間染色した。抗原-抗体結合を、ボンドポリマーリファインRED検出キット(Bond Polymer Refine RED Detection kit)(Leica Biosystems)を用いて明らかにした。次いで、組織切片をヘマトキシリンで対比染色した。BTN3A2、BTN3A3、δTCR(クローンH-41)、CD3、CD4、FoxP3、Ki67、CD8、NKp46、及びグランザイムBに対する多重免疫組織化学染色を、単一のFFPEスライドにて、Veracyte製のブライトプレックス(Brightplex)を使用して実施した。簡潔には、パラフィン包埋された生検からの4μmスライドを脱ろうし、エピトープ復元溶液I(Epitope Retrieval Solution I)(Leica Biosystems)で20分間処理し、示されるmAbで連続して染色した。抗原-抗体結合を、MACH 2 HRPポリマー(Biocare)を使用して明らかにした。次いで、組織切片をインパクト(ImmPACT)(商標)AMEC Red(Vector Lab)で染色し、ヘマトキシリンで対比染色した。各染色サイクルの間、スライドをエタノールによってAMEC脱染し、抗体を変性溶液で剥がした。画像を、染色の各サイクルの間で取得した。
【0285】
実施例1:臨床調査-概要
進行期、再発性/難治性がんを有する患者における、単独療法としての及び免疫チェックポイント阻害剤(ICI)との組合せでの、ICT01の静脈内用量の安全性、忍容性、及び活性を査定するための、ファーストインヒューマン2パート非盲検の臨床調査(EVICTION調査)
【0286】
調査薬物:ICT01;ヒトブチロフィリン-3A(BTN3A)を標的にする、Fcエフェクター機能を低下させるように操作された、ヒト化活性化抗BTN3A免疫グロブリン(Ig)G1モノクローナル抗体(mAb)。
【0287】
パート1目的:
主要:進行期、再発性/難治性固形腫瘍又は血液学的がんを有する患者における、単独療法としての及びペムブロリズマブとの組合せでの、ICT01の広範な静脈内(IV)用量の全体的な安全性及び忍容性プロファイルを特徴付けする。
【0288】
副次的:
1.進行期、再発性/難治性固形腫瘍又は血液学的がんを有する患者に投与されるIV ICT01の薬物動態(PK)及び薬力学(PD)を特徴付けする。
2.単独療法としての及びペムブロリズマブとの組合せでの、ICT01に関する増大コホート(パート2)に対する推奨用量(複数可)を決定する。
3.進行期、再発性/難治性固形腫瘍又は血液学的がんを有する患者に投与される場合の、単独療法としての及びペムブロリズマブとの組合せでの、ICT01の広範なIV用量の予備的抗腫瘍活性を特徴付けする。
【0289】
パート2目的:
主要;進行期、再発性/難治性固形腫瘍又は血液学的がんを有する患者における、単独療法としての及びペムブロリズマブとの組合せでの、IV ICT01の予備的抗腫瘍活性を特徴付けする。
【0290】
副次的:
1.進行期、再発性/難治性固形腫瘍又は血液学的がんを有する患者における、単独療法としての及びペムブロリズマブとの組合せでの、IV ICT01の全体的な安全性及び忍容性を特徴付けする。
2.進行期、再発性/難治性固形腫瘍又は血液学的がんを有する患者に投与されるIV ICT01のPK及びPDを特徴付けする。
【0291】
調査デザイン:
この調査は、ICT01の安全性、忍容性、PK、PD、及び抗腫瘍活性を特徴付けするための、第I/IIa相ファーストインヒューマン2パート非盲検調査である。パート1は、進行期、再発性/難治性がんを有する患者に21日ごとに投与される単独療法としてのIV ICT01の用量漸増であろう(群A:混合固形腫瘍;群B:進行性血液学的悪性腫瘍)。IV ICT01とペムブロリズマブ(抗PD-1;キイトルーダ(登録商標))との組合せは、群C(ペムブロリズマブを用いた治療に適格であるが、治療の間、応答を示さなかった、進行した、又は再発した腫瘍)において評価されるであろう。
【0292】
パート2は、2種の固形腫瘍適応症(群D&E)又は血液学的悪性腫瘍(群F)における付加的な患者が、単独療法としての望ましいリスク/利益プロファイルを示しているパート1において特定されたICT01用量で治療されるであろう、調査の増大期である。群Gは、単一適応症における、ICT01(最高2つの用量レベル)とペムブロリズマブとの組合せの増大であろう。パート2における用量及び適応症についての最終的な仕様は、調査のこのパートを始める前に実質的改正(substantial amendment)によりプロトコールにおいて更新されるであろう。
【0293】
ICT01の投与の経路は、30分間にわたるIV注入であろう。
【0294】
ペムブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標))は、承認された用量である200mg IV q 21日の用量で、群Cにおけるすべての患者に使用されるであろう。メーカーによれば、キイトルーダの用量低下は推奨されない。キイトルーダを控えて又は中断して、付属書:ペムブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標))ペムブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標))製品特徴の概要に記載される有害反応を管理する。
【0295】
群D(卵巣がん)及びE(頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)):ICT01の2つの用量レベルは、7mg及び200mgであり、該用量は両方とも、薬力学的に活性であり安全であることが示されている。各用量群は、適応症あたり25人までの患者であろう。すべてのスクリーニング査定の完了後及び彼らの適格性の確定後、患者は、0日目に、ICT01の7mg又は200mgのいずれかに1:1比で無作為に割り当てられるであろう。
【0296】
群F及びG:各群に対する選択された患者集団及びICT01用量(複数可)を伝達するために、パート2を開始する前に実質的改正が提出されるであろう。
【0297】
患者は、3週間のスクリーニング期間の間に適格性について評価されるであろう。生検は、パート1におけるように回収されるであろう。患者は、群D、E、及びFにおいて単独療法として、又は群Gにおいてペムブロリズマブとの組合せで、IV ICT01で21日ごとに治療されるであろう。
【0298】
調査集団
パート1の組み入れ基準
以下の基準は、スクリーニング期間の間及びベースライン時にチェックされなければならない。調査に対象を含めるために、すべての組み入れ基準が満たされなければならない:
【0299】
1)≧18歳の男性又は女性
2)任意の調査関連のスクリーニング手順の実施前の、自らの意思で署名された書面のインフォームドコンセント
3)
a.群A:膀胱、乳房、結腸直腸、胃、黒色腫、卵巣、前立腺、及びPDAC
b.群B:急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫を含めた、血液学的悪性腫瘍
c.群C:黒色腫、膀胱、頭頸部SCC、及び非小細胞肺がん(ペムブロリズマブに対して、米国&欧州連合において承認された適応症)
を含めた、進行期又は再燃性がんの組織学的に又は細胞学的に確定された診断を有する再発性/難治性患者
4)ベースライン及び調査中の腫瘍生検を受けようとする積極的意思
5)≦1の米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス
6)治験責任医師によって査定される>3ヶ月間の平均余命
【0300】
7)臨床検査室:
a.血液学:
≧8.5g/dL(5.28mmol/Lに等しい;輸血依存性又は非依存性)のヘモグロビン;
群A/Cのみ:
≧75×109/Lの血小板計数;
≧0.5×109/Lのリンパ球計数;
≧1.0×109/Lの絶対好中球計数;
b.肝酵素:
≦2.5×正常の上限(ULN)(肝転移の場合には、<5×ULN)のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)及びアラニントランスアミナーゼ(ALT);
≦1.5×ULN(肝転移の場合には、<2×ULN)のビリルビン;
c.腎機能:<1.5×ULNの血清クレアチニン、又は≧1.5×ULNの血清クレアチニンに関しては、≧50mL/分のクレアチニンクリアランス(Cockcroft及びGault)
【0301】
8)避妊対策
a.妊娠可能な女性は:
i.調査薬物の最初の投薬の1週間以内に陰性の妊娠テストを有しなければならない
ii.調査の間及び調査薬物の最後の投薬後少なくとも5ヶ月間、産児制限の高度に有効な方法(複数可)を一貫して正しく使用しなければならない
iii.調査の間及び調査の最後の投薬後少なくとも5ヶ月間、生殖補助の目的で卵(卵子、卵母細胞)を贈与しないことに同意しなければならない
iv.調査の間及び調査薬物の最後の投薬後少なくとも5ヶ月間、授乳する計画はない及び妊娠する計画はないことに同意しなければならない
b.性的に活発である男性は:
i.調査の間及び調査薬物の最後の投薬後少なくとも5ヶ月間、精子殺菌フォーム/ゲル/フィルム/クリーム/座薬を有するコンドームを使用することに同意しなければならない
ii.調査の間及び調査薬物の最後の投薬後少なくとも5ヶ月間、精子を贈与しないことに同意しなければならない
iii.調査の間又は調査薬物の最後の投薬後5ヶ月以内に、子どもをもうける計画はないとしなければならない
【0302】
9)女性は授乳してはならない
10)固形腫瘍における応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)(RECIST)/リンパ腫における応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Lymphoma)(RECIL)による少なくとも1つの測定可能な病変、又は>5%の骨髄芽球
11)患者は、治療する治験責任医師によって決定される、彼らの疾患に対する使用可能な標準ケアを有してはならない
【0303】
12)ICT01組合せアームにおける患者は、ペムブロリズマブの承認されたパッケージラベルにおける適格性基準を満たさなければならず、以下の条件を満たさなければならない:
a.第一選択の患者であってはならない(すなわち、組み入れ基準#11を満たさなければならない)
b.間質性肺疾患のいかなる病歴も又は進行中の間質性肺疾患も有してはならない
c.アログラフト幹細胞移植を含めた、先行する前部臓器移植を受けたことがあってはならない
【0304】
パート2群D及びE:
13)組み入れ基準#3を置き換える:
a.群D:持続性又は再燃性の上皮性卵巣がん、原発性卵管がん、又は原発性腹膜がん;少なくとも1種の先行する全身性白金含有レジメンに失敗した
b.群E:少なくとも1種の先行する全身性レジメンに失敗した、転移性又は切除不能な再燃性HNSCC
を含めた、進行期又は再燃性がんの組織学的に又は細胞学的に確定された診断を有する再発性/難治性患者
【0305】
14)組み入れ基準#11を置き換える:患者は、調査への登録前に、彼らのがんに対する少なくとも1つラインの治療を受けたことがなければならない
15)スクリーニングの間、血液の≧20000個細胞/mLの循環γ9δ2 T細胞計数
【0306】
統計分析
分析集団
安全性集団は、固形腫瘍、血液学的腫瘍を有する、ICT01、又はペムブロリズマブとの組合せでのICT01の少なくとも1回の投薬を受けたすべての患者からなり、併用療法患者のデータは別個に分析されるであろう。効力評価可能な集団は、(i)ICT01(>1ヶ月間の療法)又は(ii)ペムブロリズマブとの組合せでの、効力評価にバイアスをかける可能性があるいかなるプロトコール逸脱も有しないICT01、の少なくとも2回の投薬で治療されたすべての患者からなり、一方で、治療意図(ITT)集団は探索目的に使用されるであろう。パート2に関して、効力評価可能な集団は、8週目抗腫瘍査定(例えば、RECIST)を有するすべての治療された患者からなるであろう。
【0307】
主要評価項目
パート1.安全性及び忍容性の主要評価項目は、治療により発生した有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)、調査治療の中断につながるTEAEの発生率、重症度、及び関係性;並びに臨床検査室テストに関する臨床的に重大な所見、バイタルサイン、ECG、及び身体検査によって、本調査において評価されるであろう(パート2における主たる副次的評価項目)。
【0308】
パート2.RECIST、RECILのとおり、又は血液学的悪性腫瘍に対する疾患特異的標準(例えば、AMLに対するCheson/IWG基準)のとおり、臨床応答基準を含む病勢コントロール率(Disease Control Rate)(DCR)。DCRは、完全奏功(Complete Response)/寛解(CR)+不完全回復(CRi)を有するCR+部分奏効(Partial Response)/寛解(PR)+安定(Stable Disease)の合計である。
【0309】
副次的評価項目
パート1では、予備的抗腫瘍活性評価項目は、RECIST、RECILのとおり、又は血液学的適応症における疾患特異的標準(例えば、AMLに対するCheson/IWG基準)のとおり、DCR及び客観的奏効率(ORR)であろう。固形腫瘍における免疫療法応答評価基準(iRECIST)は探索的と考えられるであろう。
【0310】
パート2では、RECIST、RECILのとおり、又は血液学的悪性腫瘍に対する疾患特異的標準(例えば、AMLに対するCheson/IWG基準)のとおり、客観的奏効率(ORR)。客観的奏効率は、完全奏功/寛解(CR)+不完全回復(CRi)を有するCR+部分奏効/寛解(PR)の合計である。iRECISTは探索的であろう。
【0311】
付加的な副次的評価項目は、安全性及び忍容性、無増悪期間(time to progression)(TTP)、並びに無増悪生存期間(progression-free survival)(PFS)を含む。
【0312】
パート1及び2において、ICT01のPKパラメーター(Cmax、AUC、t1/2、クリアランスを含む)は、用量レベルによって算出されるであろう。同じようにICT01のPD活性(用量及び患者集団による)は、末梢血におけるγ9δ2 T細胞及び他の免疫細胞の計数及び活性化状態、末梢血単核細胞(PBMC)、並びに腫瘍生検、循環サイトカインレベル(IFNγ、TNFα、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-17a、及びMCP-1を含む)、並びに腫瘍生検及びPBMCにおけるPD-L1、PD-1、及び他の免疫細胞マーカーの発現の、ベースラインからの変化を含むであろう。
【0313】
腫瘍生検からのベースラインBTN3A発現及びγδ T細胞、並びに循環におけるベースラインγδ T細胞及びBTN3A発現は、特徴付けされ、PD及び臨床応答分析に共変量として使用されるであろう。
【0314】
ICT01の活性用量レベルを決定するための主要なPD活性尺度は、フローサイトメトリーによって測定される、循環γδ T細胞の、ベースラインからの減少及び活性化の増加であろう。
【0315】
実施例2:レスポンダーを選択するための予測マーカーとしてのγδ T細胞計数又はVγ9+ T細胞密度の使用についての臨床的証拠
材料及び方法
患者及び臨床試験
EVICTION(NCT04243499)は、進行期、再発性/難治性がんを有する患者における、単独療法としての及びペムブロリズマブとの組合せでの、ICT01(ネズミ科mAb7.2に由来するヒト化抗体)のIV用量の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学、及び抗腫瘍活性を査定するための、ファーストインヒューマン2パート非盲検の臨床調査である。成人患者は、適格性がある彼らのがんに対するすべての使用可能な標準ケアに失敗していなければならず、試験の組合せアームにおける患者を除いて、試験の間に他の抗がん療法を受けてはならない。患者は、3週間ごとにICT01(域:20μg~200mg)を受け、安全対策、全血に対する免疫表現型解析、及び血清サイトカイン分析のために、複数の時点で血液サンプルが回収される。
【0316】
腫瘍生検をベースライン時及び28日目に回収し、Vγ9Vδ2 T細胞及び抗腫瘍免疫の他のマーカーに対して免疫組織化学によって染色する。
【0317】
多重サイトカインアッセイ
血清サイトカインレベル(IFNγ、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-13、TNFα)を、メーカーの使用説明書に従って、MSD(Mesoscale Discovery)プラットフォームを使用して測定した。
【0318】
フローサイトメトリー分析
ICT01投薬後の標的占有率(TO)の査定に関しては、新しい血液サンプル(100μl)を、PBS 1%FBSにおいて調製された抗体(50μl)の、抗CD45、抗CD3、抗CD19、抗BTN3A ICT01競合mAb(クローン20.1)、抗BTN3A ICT01非競合mAb(クローン103.2)、及び生存率マーカーを含有するカクテルと混合した。抗BTN3Aがそれら抗体それぞれのアイソタイプ対照によって置き換えられた第2のミックスを並行して使用した。サンプルを、暗所にてRTで20分間インキュベートした。2mLのあらかじめ温めた1×RBC溶解緩衝液(Biolegend #420302)を添加し、ボルテックスし、さらなる2mLの1×RBC溶解緩衝液を添加し、それに続いて、暗所にてRTで15分間インキュベートすることによって、RBCを溶解した。PBS 1%FBSにおける洗浄の後、細胞ペレットを300μLのPBS 1%FBSに再懸濁し、BD FACSディーバソフトウェア(v8.0)でのあらかじめ規定された適用設定を使用して、BD LSRフォルテッサX-20で取得した。データを、方程式:((MFIテスト-MFI IC)/(MFIテスト投薬前-MFI IC投薬前)×100)を用いて正規化した。検証された13カラーパネルを用いた同じ手順を使用して、免疫表現型解析を実施した。分析を、FlowJoソフトウェア(v10.6)を使用して実施した。
【0319】
免疫組織化学
EVICTION臨床試験からの生検サンプルを、治療前及び治療後28日目に回収した。各時点で、生検の半分をパラフィンに包埋し、もう半分を最適な切削温度化合物(OCT)において瞬間凍結した。免疫組織化学を、ボンドRX自動染色機(Leica Biosystems)でVeracyte(Marseille、France)によって実施し、画像を、ナノズーマーXRスキャナー(Hamamatsu)を使用して取得した。簡潔には、新しい凍結サンプルの6μm厚切片を、亜鉛ホルマリンにおいてRTで5分間固定し、ブロッキングのための5%ヒト血清とともに30分間インキュベートし、2μg/mLの抗panBTN3A mAb(クローン20.1)又は抗Vγ9TCR mAb(Huangら、Infection and Immunity 2008、426~436頁に記載されるクローン7B6)でRTにて45分間染色した。抗原-抗体結合を、ボンドポリマーリファインRED検出キット(Leica Biosystems)を用いて明らかにした。次いで、組織切片をヘマトキシリンで対比染色した。BTN3A2、BTN3A3、δTCR(クローンH-41)、CD3、CD4、FoxP3、Ki67、CD8、NKp46、及びグランザイムBに対する多重免疫組織化学染色を、単一のFFPEスライドにて、Veracyte製のブライトプレックスを使用して実施した。簡潔には、パラフィン包埋された生検からの4μmスライドを脱ろうし、エピトープ復元溶液I(Leica Biosystems)で20分間処理し、示されるmAbで連続して染色した。抗原-抗体結合を、MACH 2 HRPポリマー(Biocare)を使用して明らかにした。次いで、組織切片をインパクト(商標)AMEC Red(Vector Lab)で染色し、ヘマトキシリンで対比染色した。各染色サイクルの間、スライドをエタノールによってAMEC脱染し、抗体を変性溶液で剥がした。画像を、染色の各サイクルの間で取得した。
【0320】
結果
1.ベースラインγδ T細胞計数は、末梢血におけるCD8 T細胞、NK細胞、及び顆粒球の抗BTN3A抗体媒介性活性化と相関する
EVICTION患者からの血液サンプルを、治療前(ベースライン)、並びにICT01注入の30分、1、7、及び21日後に得た。免疫表現型解析を実施して、顆粒球、単球、B細胞、NK細胞、及びT細胞(CD4及びCD8 ab T細胞、並びにVγ9Vδ2 T細胞サブセットを含む)の絶対数及び頻度、並びにそれら細胞の活性化状態(CD69及び/又はPDL-1表面発現)を査定した。
【0321】
すべての患者において、ICT01は、投薬の早くも4時間後に、Vγ9Vδ2 T細胞の数及び頻度の両方の下降を誘導した。Vγ9Vδ2 T細胞レベルは、0.07~20mg ICT01を受けた患者において7日目~21日目にベースラインに次第に戻り、その一方で、それらのレベルは、≧75mgの用量を投薬された患者において依然として非常に低いままである。CD69表面発現の査定は、Vγ9Vδ2 T細胞が、大部分のICT01治療を受けた患者において、ICT01投薬後に活性化プロファイルを持つことを示した。≧7mg ICT01を受けた患者において、NK、従来のγδ T細胞及びB細胞数は、投薬の30分後一定して減少し、1日後ベースラインと比較して依然として低いままであり、すべてのコホートにおいて7日目にベースライン近くに回復した。この減少は、より低い程度で、NK及びCD8 T細胞に対する活性化プロファイル(CD69表面染色によって査定される)と関連している。加えて、顆粒球でのPDL-1発現の増加が、≧7mg ICT01を投薬された患者において一貫して観察される。
【0322】
本調査において査定された種々の免疫サブセットのベースライン数と相関する場合(スピアマン順位)、NK、CD8 T細胞、及び顆粒球活性化は、他の免疫対応物とではなく、循環Vγ9Vδ2 T細胞のベースライン数と有意に関連しているように見え、Vγ9Vδ2 T細胞のICT01媒介性活性化の副次的効果を示唆した。
【0323】
EVICTION試験からの群A、B、及びCの55人の患者において、ICT01後のNK細胞(CD69陽性)の活性化は、ICT01曝露及びベースラインg9d2 T細胞計数の両方に強く関係した(スピアマンr=0.56、p<0.0001)(
図1Aを参照されたい)。
【0324】
顆粒球(PD-L1陽性)の活性化も、ICT01曝露及びベースラインγ9δ2 T細胞計数の両方に強く関係した(スピアマンr=0.55、p<0.0001)(
図1Bを参照されたい)。
【0325】
2.ベースラインγδ T細胞計数は、サイトカインのインビボ抗BTN3A抗体媒介性産生と相関する
サイトカインの循環濃度を、治療前、並びにICT01治療の30分、4時間、1、7、及び21日後に、EVICTION患者の血清においてMSDプラットフォームを使用して定量した。ピーク濃度は、ピークがICT01投薬の30分後に観察されたTNFaを除いて、大部分のサイトカインに関してICT01投薬の4時間後に観察された。
【0326】
ベースライン時の循環γ9δ2 T細胞絶対計数と、ICT01投薬後の血清サイトカイン及びケモカインとの間の強い関係性が、IFNγ、TNFa、IL-6、IL-8及びIL-1b、IL-4、IL-13、並びにIL-12に関して観察された。
【0327】
EVICTION試験からの群A、B、及びCの75人の患者において、ICT01投薬後の最初の24時間における循環IFNgレベルの増加は、ICT01曝露及びベースラインγ9δ2 T細胞計数の両方に強く関係した(スピアマンr=0.79、p<0.0001)(
図1Cを参照されたい)。
【0328】
3.ベースラインγδ T細胞計数は、腫瘍における抗BTN3A抗体媒介性免疫腫瘍浸潤及び活性化と関連している
腫瘍性免疫浸潤を、デジタル病理学(ブライトプレックスプラットフォーム、HalioDX、Luminy、France)と連動した多重IHC、及び遺伝子発現プロファイリング(nCounter NanoStringプラットフォーム)の両方を使用して、治療前及び治療後の腫瘍生検において評価した。
【0329】
治療後対治療前生検における種々の免疫細胞集団の細胞密度の変化を比較した場合、ベースライン時に最も高い末梢血Vガンマ9 T細胞絶対計数を有する患者は、治療後生検において免疫浸潤及び活性化の増加に傾く(
図2A、2B、2C、2D、及び2Eを参照されたい)。
【0330】
それらの結果は、NanoStringプラットフォームを使用した遺伝子発現分析によって裏付けられた。治療後生検におけるより高い免疫浸潤及び活性化の明確な傾向が、ベースライン時に高いVガンマ9 T細胞計数を有する患者において観察された(示されず)。
【0331】
4.ベースラインgd T細胞計数は、腫瘍におけるVg9+ T細胞密度と相関する
EVICTION患者からの血液サンプルを、治療前(ベースライン)に得た。免疫表現型解析を実施して、絶対数Vγ9Vδ2 T細胞を査定した。Vγ9TCR陽性T細胞密度を、デジタル病理学(HalioDX、Luminy、France)と連動した、新しい凍結切片に対するIHCを使用して、治療前生検において評価した。
【0332】
ベースライン時の血中Vγ9T+細胞絶対計数とベースライン腫瘍生検におけるVγ9+細胞密度との間の相関の傾向(スピアマンr=0.5126、p=0.0027、n=32)が観察され(
図3を参照されたい)、ベースライン時に、Vγ9腫瘍性浸潤は、血中におけるそのサブセットの絶対計数に関係することを示唆した。
【0333】
実施例3:抗PD1/PDL1治療後の、難治性又は再発性腫瘍を有する患者における固形腫瘍についての、抗PD1抗体との組合せでICT01を用いた治療の臨床的証拠
1.ICT01は、EVICTION患者におけるPD-1発現を増加させる
凍結生検に対するフローサイトメトリーは、γ9δ2 T細胞のICT01誘導性活性化が、EVICTIONの群A(
図4A)及び群B(
図4B)において治療されたがん患者において、PD-1の表面発現(用量コホートあたりの平均が描写される)を増加させることを示した。
【0334】
二元配置ANOVA及びホルム・シダックの多重比較検定
【0335】
2.ICT01/ペムブロリズマブ治療後の複数の免疫細胞集団の活性化及び遊走
EVICTION群Cにおいて、フローサイトメトリー分析は、γ9δ2T細胞が投薬後迅速に遊走し、テストされたすべての用量でほぼ100%の遊走が観察され、効果の継続期間は用量依存的であり(絶対細胞数、ベースラインの%、
図5A、左のパネル)、24時間の時点で活性化の増加を有する(CD69陽性の%、
図5A、右のパネル)ことを示した。
【0336】
NK細胞及びCD8 T細胞に対する同様の薬力学的効果が7mg以上で観察され、ピーク効果は75mgで観察される(それぞれ、
図5B及び
図5C)。
【0337】
血液からの遊走は最小限であったものの、顆粒球の活性化がすべての用量で観察された(
図5D)。
【0338】
γ9δ2T細胞に対するピーク効果は治療の30分後に観察され、一方でCD8及びNK細胞に対するピーク効果は治療の24時間後に観察された。これらのデータは、本発明者らがサイトカイン媒介性であると特定している、これらの効果を生み出すために要される、γ9δ2T細胞活性化の後のステップがあることを示唆する。
【0339】
3.臨床活性
EVICTION試験の群Cの漸増相において、ICT01+ペムブロリズマブの組合せは、観察されるいかなるDLT又は安全性懸念もなく、忍容性良好であった。
【0340】
最もよく見られるTEAEは、ペムブロリズマブに対するよく記載される事象であるIRRと一貫している。免疫関連AESIは報告されなかった。
【0341】
血中におけるγ9δ2T細胞の活性化&遊走は、投薬後30分以内にすべてのICT01用量で観察された。加えて、血中におけるCD8 T細胞及びNK細胞の活性化&遊走は、≧7mg ICT01の用量で観察され、活性化γ9δ2T細胞からのIFNγ及びTNFαの放出によって媒介されるように見える。末梢免疫活性化は、γδ、CD3、及びCD8 T細胞による腫瘍の浸潤によって反映された。
【0342】
これらのCPI失敗患者における臨床応答は、2mgもの低さのICT01用量で、複数の異なる固形腫瘍にわたって観察され、作用の相補的メカニズムが、抗腫瘍免疫応答の増加につながることを示唆した。
【0343】
実施例4:本発明を実践するための有用な配列
【表4】
【0344】
【配列表】
【国際調査報告】