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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】液化ガス用貯蔵設備
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20240905BHJP
   F17C 3/02 20060101ALI20240905BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F17C3/04 A
F17C3/02
F17C13/00 302E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512997
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2022074721
(87)【国際公開番号】W WO2023036769
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】2109371
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボワイオ マルク
(72)【発明者】
【氏名】ドラノエ セバスティアン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BC05
3E172BC07
3E172BD02
3E172CA02
3E172CA10
3E172DA02
3E172DA13
3E172DA17
(57)【要約】
本発明は、開口部(12)を画定するように局所的に中断された上側支承壁(4)および頂壁(7)を有する、液化ガス用貯蔵設備であって、支承構造(1)は、開口部(12)の周り全体で上側支承壁(4)から突起するコーミング(18)を備え、頂壁(7)の密封膜が、開口部(12)の縁部(20)に対して垂直に延在する複数の平行な条板を有し、貯蔵設備が、頂壁(7)の密封膜およびシャフト壁(17)の密封膜に接続された接続ブラケット(31)を有し、貯蔵設備が、コーナ断熱箱(34)を有し、コーナ断熱箱は、頂壁(7)およびシャフト壁(17)の断熱障壁の連続部内に位置し、接続ブラケットは、コーナ断熱箱に固定される、貯蔵設備に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造(2)と、前記支持構造(2)内に配置された密封断熱タンクとを備える液化ガス用貯蔵設備(1)であって、前記支持構造(2)は、上側支持壁(4)を備え、前記タンクは、前記上側支持壁(4)に取り付けられた天井壁(7)を備え、前記上側支持壁(4)および前記天井壁(7)は、開口部(12)を画定するように局所的に中断されており、前記支持構造(2)は、コーミング(18)であって、前記開口部(12)の周り全体を前記上側支持壁(4)から前記タンクの外側に向かって垂直に突起し、液化ガスを前記タンク内に/から積み込みまたは積み下ろしするように意図された少なくとも1つの管(13)が通過するように意図された通路を画定する、コーミングを備え、前記コーミング(18)は、前記上側支持壁(4)に接続された少なくとも1つのコーミング支持壁(19)を備え、
前記タンクは、前記コーミング支持壁(19)に対して固定された煙突壁(17)を備え、前記煙突壁(17)および前記天井壁(7)は、前記開口部(12)の縁部(20)で互いに接続され、
前記天井壁(7)および前記煙突壁(17)はそれぞれ、前記タンクの外側から内側に向かって厚さ方向に、前記支持構造に固定された断熱障壁(21)と、前記断熱障壁(21)上に配置された金属密封膜(22)とを備え、前記天井壁(7)および前記煙突壁(17)の前記金属密封膜(22)はそれぞれ、前記開口部(12)の前記縁部(20)近傍に形成された端部を備え、
前記天井壁(7)の前記密封膜(22)が、前記開口部(12)の前記縁部(20)に対して垂直に延在する複数の平行な条板を備え、各条板は、平坦な中央部分と、前記中央部分に対して前記タンクの内側に向かって突起する2つの隆起縁部とを備え、前記天井壁(7)の前記密封膜(22)の前記条板は、繰り返しパターンで前記開口部(12)の前記縁部(20)に平行な方向に並置され、前記隆起縁部で互いに密封的に溶接され、前記条板(26)の少なくとも1つは前記開口部(12)によって中断され、
前記貯蔵設備(1)が、第1のウイング(32)と、前記第1のウイングに接続された第2のウイング(33)とを備える金属接続ブラケット(31)を備え、前記第1のウイングは、前記天井壁(7)の前記密封膜(22)の前記端部に接続され、前記第2のウイングは、前記煙突壁(17)の前記密封膜(22)の前記端部に接続され、
前記貯蔵設備が、直方体を形成するコーナ断熱箱(34)を備え、前記コーナ断熱箱(34)は、前記開口部(12)の前記縁部(20)において前記天井壁(7)の前記断熱障壁(21)および前記煙突壁(17)の前記断熱障壁(21)の延長部内に位置し、前記接続ブラケット(31)は、前記コーナ断熱箱(34)に取り付けられる、液化ガス用貯蔵設備。
【請求項2】
前記接続ブラケット(31)の前記第1のウイング(32)が、平坦であり、前記コーナ断熱箱(34)の第1の平坦面を覆い、前記第1の平坦面は、前記上側支持壁(4)に平行であり、前記接続ブラケット(31)の前記第2のウイング(33)が、平坦であり、前記コーナ断熱箱(34)の第2の平坦面を覆い、前記第2の平坦面は、前記コーミング支持壁(19)に平行であり、前記第1の平坦面に垂直である、請求項1に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項3】
前記固定板(51)が、前記第1の平坦面および前記第2の平坦面の各々に取り付けられ、前記第1のウイング(32)および前記第2のウイング(33)は、それぞれ前記第1の平坦面および前記第2の平坦面の前記固定板(51)に溶接される、請求項2に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項4】
前記コーナ断熱箱(34)が、底板と、前記底板に平行なカバー板と、前記カバー板を前記底板から離して保持する支持スペーサ板とを備える箱の形態で製造され、前記箱は、前記断熱充填材で充填される、請求項1から3のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項5】
前記天井壁(7)の前記断熱障壁(21)が、前記開口部(12)の前記縁部(20)に隣接する端部断熱ブロック(40)を備え、前記天井壁(7)が、前記開口部(12)の前記縁部(20)に沿って前記上側支持壁(4)に取り付けられ、前記端部断熱ブロック(40)の両側に位置する複数の金属長手方向取り付け支持体(35)を備え、各長手方向取り付け支持体(35)は、前記上側支持壁(4)に溶接された足部(38)と、前記足部に取り付けられたキャップ(37)とを備え、前記断熱障壁(21)は、前記端部断熱ブロックに配置された停止板(41)を備え、前記密封膜(22)の前記端部は、前記停止板に取り付けられた金属取り付け板(42)を備え、前記接続ブラケット(31)の前記第1のウイング(32)は、前記金属取り付け板(42)の第1の部分に溶接され、前記少なくとも1つの中断された条板(26)は、前記金属取り付け板(42)の第2の部分に溶接される、請求項1から4のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項6】
前記長手方向取り付け支持体(35)の前記足部(38)が、前記コーナ断熱箱(34)に隣接し、一方では前記上側支持壁(4)に、他方では前記キャップに取り付けられる取り付け板(39)を備え、前記取り付け板は、前記コーミング支持壁(19)に平行な平面内に形成され、前記コーナ断熱箱は、前記取り付けデバイス(44、48)によって前記天井壁(7)の前記長手方向取り付け支持体の少なくとも1つの前記取り付け板に取り付けられる、請求項5に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項7】
前記コーナ断熱箱(34)が、突起部(46)が突起する側面を備え、前記取り付けデバイス(44、48)は、前記長手方向取り付け支持体(35)の前記取り付け板(39)に取り付けられたスタッド(49)と、前記スタッド(49)に係合し、前記突起部(46)の支承面を支承する支承要素(50)とを備える、請求項6に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの中断された条板(26)が、前記密封膜(22)の前記端部を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項9】
前記煙突壁(17)の前記密封膜(22)が、前記開口部(12)の前記縁部(20)に平行に延在する複数の平行な条板を備え、各条板は、平坦な中央部分(27)と、前記中央部分に対して前記タンクの内側に向かって突起する少なくとも1つの隆起縁部(28)とを備え、前記条板は、繰り返しパターンで前記開口部(12)の前記縁部(20)に垂直な方向に並置され、前記隆起縁部で互いに密封式に溶接され、前記条板の少なくとも1つは前記開口部(12)によって中断され、前記中断された条板の端部は、前記接続ブラケットの前記第2のウイングに溶接される、請求項1から8のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項10】
前記煙突壁(17)の前記中断された条板が、前記端部とは反対側の前記条板の端部に位置する単一の隆起縁部(28)を備える、請求項9に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項11】
前記煙突壁(17)の前記断熱障壁(21)が、前記開口部(12)の前記縁部(20)に隣接する端部断熱ブロック(40)を備え、前記煙突壁(17)が、前記開口部(12)の前記縁部(20)に沿って前記コーミング支持壁(19)に取り付けられ、前記端部断熱ブロックの両側に位置する複数の金属横方向取り付け支持体(36)を備え、各横方向取り付け支持体(36)は、前記コーミング支持壁(19)に溶接された足部(38)と、前記足部(38)に取り付けられたキャップ(37)とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項12】
前記横方向取り付け支持体(36)の前記足部(38)が、前記コーナ断熱箱(34)に隣接し、一方では前記コーミング支持壁(19)に、他方では前記キャップに取り付けられる取り付け板(39)を備え、前記取り付け板は、前記上側支持壁(4)に平行な平面内に形成され、前記コーナ断熱箱は、前記取り付けデバイス(44、48)によって前記煙突壁(17)の前記横方向取り付け支持体の少なくとも1つの前記取り付け板に取り付けられる、請求項11に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項13】
前記密封膜(22)が、二次密封膜であり、前記断熱障壁(21)が、二次断熱障壁であり、前記天井壁(7)および前記煙突壁(17)はそれぞれ、前記二次密封膜上に配置された一次断熱障壁(23)と、前記一次断熱障壁上に配置され、前記液化ガスと接触するように意図された金属一次密封膜(24)とを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項14】
前記天井壁(7)の前記端部断熱ブロックが、二次端部断熱ブロックであり、前記天井壁(7)の前記一次断熱障壁が、前記二次端部断熱ブロックと並列に位置する一次断熱パネル(29)を備え、前記一次断熱パネル(29)は、固定デバイス(52)によって前記長手方向取り付け支持体の1つに取り付けられる、請求項5および13に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項15】
前記煙突壁(17)の前記端部断熱ブロックが、二次端部断熱ブロックであり、前記煙突壁(17)の一次断熱障壁が、前記二次端部断熱ブロックと並列に位置する一次断熱パネル(29)を備え、前記一次断熱パネル(29)は、固定デバイス(52)によって前記横方向取り付け支持体の1つに取り付けられる、組み合わせられた請求項11および13に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項16】
前記貯蔵設備が、一次コーナ断熱アセンブリ(53)を備え、前記一次コーナ断熱アセンブリは、前記開口部(12)の前記縁部(20)において前記天井壁(7)の前記一次断熱障壁および前記煙突壁(17)の前記一次断熱障壁の延長部内に位置し、前記一次コーナ断熱アセンブリは、面取りされた上面(55)を備え、前記一次コーナ断熱アセンブリ(53)は、少なくとも1つの固定デバイス(52)によって前記コーナ断熱箱(34)に取り付けられる、請求項13から15のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項17】
前記貯蔵設備が、前記一次コーナ断熱アセンブリの前記面取りされた上面に取り付けられた一次接続ブラケット(56)を備え、前記一次接続ブラケットは、一方では前記天井壁(7)の前記一次密封膜(24)に、他方では前記煙突壁(17)の前記一次密封膜(24)に溶接される、請求項16に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項18】
浮体式構造の形態で製造され、前記支持構造が、前記浮体式構造の二重船殻(72)からなり、前記第1の方向(L)が、前記浮体式構造の長手方向(L)である、請求項1から17のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項19】
低温液体製品を移送するためのシステムであって、請求項18に記載の貯蔵設備と、浮体式構造の船体内に設置されたタンク(71)を外部浮体式または陸上貯蔵設備(77)に接続するように配置された断熱パイプライン(73、79、76、81)と、前記断熱パイプラインを通る低温液体製品の流れを前記外部浮体式もしくは陸上貯蔵設備から前記浮体式構造の前記タンクに、または前記貯蔵設備に前記タンクから圧送するためにポンプとを備える、システム。
【請求項20】
請求項18に記載の貯蔵設備に積み込みまたは積み下ろしするための方法であって、低温液体製品が、断熱パイプライン(73、79、76、81)を介して、外部浮体式もしくは陸上貯蔵設備(77)から前記浮体式構造のタンク(71)に、または前記貯蔵設備に前記タンクから搬送される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封膜を有する密封断熱タンクを備える液化ガス貯蔵設備の分野に関する。特に、本発明は、例えば-50℃から0℃の温度を有する液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を運搬するためのタンク、または約-162℃の大気圧下における液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンクなど、液化ガスを低温で貯蔵および/または運搬するための密封断熱タンクの分野に関する。これらのタンクは、陸上または浮体式構造物上に設置される場合がある。浮体式構造の場合、タンクは、液化ガスの輸送を目的とするか、または浮体式構造の推進のための燃料として機能する液化ガスを受け取るように意図され得る。
【背景技術】
【0002】
支持構造と、支持構造内に配置された密封断熱タンクとを備える液化ガス貯蔵設備は、例えば欧州特許第3473915号明細書から知られている。
【0003】
この文献の貯蔵設備は、タンクの天井壁が担持される上側支持壁を備える。この上側支持壁は、コーミングの形態で液体ドームと呼ばれる上方に突起する空間を有する。液体ドームは、特に、垂直に延在し、上側支持壁から上方に突起するコーミング支持壁を備える。ドームの各支持壁は、タンクのドーム壁または煙突壁を支持する。液体ドームは、形成された開口部を覆うように意図された水平カバーをさらに備え、カバーは、特にタンクへの/タンクからの液化ガスを積み込みおよび積み下ろしするように意図された、カバーを通過する一連の管を有する。
【0004】
この文献では、タンクは、並置され、互いに取り付けられた波形金属板を使用して形成された2つの密封膜を含む。
【0005】
天井壁およびドーム壁は、それらの交差部に突起したコーナ縁部を形成し、すなわち、コーナ縁部がタンクの内側から見て突起するように、180°~360°、例えば270°の角度を形成する。したがって、このコーナ縁部において、天井壁の密封膜および液体ドームの密封膜は、面取り部を備える密封ブラケットによって、密封の連続性を維持するために互いに接続される。
【0006】
しかしながら、そのような文献は、突起したコーナ縁部の領域における波形膜の接続に関する。引張力および圧縮力を吸収するための波形を有するその設計により、突起したコーナ縁部で吸収される力のために特別な対策をする必要はない。
【0007】
使用される密封膜が「張力をかけられた」膜、例えば、条板から形成された膜を有する本出願人のNO96(登録商標)と呼ばれる貯蔵設備も知られている。
【0008】
このタイプの貯蔵設備では、液体ドームは、コーミング上に位置せず、天井壁と整列して位置する。これは、通常、「フラッシュ」ドームと呼ばれる。カバーは、したがって、天井壁と同じ平面内に置かれる。したがって、このタイプの設備には突起したコーナ縁部は存在しない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、条板で形成された膜などの「張力がかけられた」膜の場合、熱収縮、例えば船の梁の屈曲に関連する船体の変形、およびタンクの充填レベルから生じる引張力および圧縮力をタンクのコーナで吸収する必要があるという観察に基づいている。これは、そのような密封膜が、波形膜とは異なり、一方の方向に引張力および圧縮力を吸収するための領域を有さないためである。したがって、例えば突起したコーナに位置する接続領域は、これらの領域の密封不良につながる可能性がある大きな圧縮力および引張力を受ける可能性がある。
【0010】
本発明の基礎を形成する着想は、貯蔵設備の突起したコーナ縁部などの接続領域における密封膜の力に対する耐性を改善しながら、この領域における密封の連続性を確保することである。
【0011】
1つの実施形態によれば、本発明は、支持構造と、支持構造内に配置された密封断熱タンクとを備える液化ガス用貯蔵設備であって、支持構造は、上側支持壁を備え、タンクは、上側支持壁に取り付けられた天井壁を備え、上側支持壁および天井壁は、開口部を画定するように局所的に中断されており、支持構造は、コーミングであって、開口部の周り全体を上側支持壁からタンクの外側に向かって垂直に突起し、液化ガスをタンク内に/から積み込みまたは積み下ろしするように意図された少なくとも1つの管が通過するように意図された通路を画定する、コーミングを備え、コーミングは、上側支持壁に接続された少なくとも1つのコーミング支持壁を備え、
タンクは、コーミング支持壁に固定された煙突壁を備え、煙突壁および天井壁は、開口部の縁部で互いに接続され、
天井壁および煙突壁はそれぞれ、タンクの外側から内側に向かって厚さ方向に、支持構造に固定された断熱障壁と、断熱障壁上に配置された金属密封膜とを備え、天井壁および煙突壁の金属密封膜は、開口部の縁部近傍に形成された端部を備え、
天井壁の密封膜が、開口部の縁部に対して垂直に延在する複数の平行な条板を備え、各条板は、平坦な中央部分と、中央部分に対してタンクの内側に向かって突起する2つの隆起縁部とを備え、天井壁の密封膜の条板は、繰り返しパターンで開口部の縁部に平行な方向に並置され、隆起縁部で互いに密封的に溶接され、条板の少なくとも1つは、開口部によって中断され、
貯蔵設備が、第1のウイングと、第1のウイングに接続された第2のウイングとを備える金属接続ブラケットを備え、第1のウイングは、天井壁の密封膜の端部に接続され、第2のウイングは、煙突壁の密封膜の端部に接続され、
貯蔵設備が、直方体を形成するコーナ断熱箱を備え、コーナ断熱箱は、開口部の縁部において天井壁の断熱障壁および煙突壁の断熱障壁の延長部内に位置し、接続ブラケットは、コーナ断熱箱に取り付けられる、液化ガス用貯蔵設備を提供する。
【0012】
これらの特徴により、接続ブラケットは、天井壁と煙突壁との間のタンクの突起したコーナ縁部での密封を確実にする。さらに、コーナ断熱箱の支持は、突起したコーナ縁部で密封膜内の圧縮力および引張力を少なくとも部分的に吸収することを可能にする。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、そのような貯蔵設備は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0014】
1つの実施形態によれば、接続ブラケットの第1のウイングは平坦であり、コーナ断熱箱の第1の平坦面を覆い、第1の平坦面は、上側支持壁に平行であり、接続ブラケットの第2のウイングは平坦であり、コーナ断熱箱の第2の平坦面を覆い、第2の平坦面は、コーミング支持壁に平行であり、第1の平坦面に垂直である。
【0015】
1つの実施形態によれば、固定板が第1の平坦面および第2の平坦面の各々に取り付けられ、第1のウイングおよび第2のウイングは、それぞれ第1の平坦面および第2の平坦面の固定板に溶接される。
【0016】
1つの実施形態によれば、天井壁の断熱障壁は、開口部の縁部に隣接する端部断熱ブロックを備え、天井壁は、開口部の縁部に沿って上側支持壁に取り付けられ、端部断熱ブロックの両側に位置する複数の金属長手方向取り付け支持体を備え、各長手方向取り付け支持体は、上側支持壁に溶接された足部と、足部に取り付けられたキャップとを備え、断熱障壁は、端部断熱ブロックに配置された停止板を備え、密封膜の端部は停止板に取り付けられている。
【0017】
1つの実施形態によれば、端部断熱ブロックまたは二次端部断熱ブロックは、底板と、底板に平行なカバー板と、カバー板を底板から離して保持する支持スペーサ板とを備える箱の形態で製造され、箱はパーライト、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、グラスウールまたはロックウールなどの断熱ライニングで充填される。
【0018】
1つの実施形態によれば、コーナ断熱箱は、底板と、底板に平行なカバー板と、カバー板を底板から離して保持する支持スペーサ板とを備える箱の形態で製造され、箱は、断熱充填材、例えばパーライト、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲルまたはガラスもしくはロックウールで充填される。
【0019】
1つの実施形態によれば、断熱障壁は、端部断熱ブロックに隣接する断熱パネルを備え、断熱パネルは、厚さ方向に連続して、少なくとも1つの断熱発泡体の層および少なくとも1つの剛性板を備える。例えば、断熱パネルは、底板とカバー板との間に置かれた断熱発泡体の層を含む。
【0020】
1つの実施形態によれば、断熱発泡体は、ポリマー発泡体、例えばポリウレタン発泡体である。1つの実施形態によれば、この断熱発泡体は、100kg/mより大きい、好ましくは120kg/m以上、特に130、150または210kg/mに等しい密度を有する。
【0021】
1つの実施形態によれば、構造断熱発泡体は、例えばガラス繊維などの繊維で強化された強化発泡体である。
【0022】
1つの実施形態によれば、底部パネルは、合板またはガラス繊維との複合材のパネルである。1つの実施形態によれば、カバーパネルは、合板またはガラス繊維との複合材のパネルである。
【0023】
1つの実施形態によれば、前記厚さ方向における端部断熱ブロックの熱収縮係数は、断熱パネルの前記厚さ方向における熱収縮係数よりも小さい。
【0024】
1つの実施形態によれば、長手方向取り付け支持体の足部は、コーナ断熱箱に隣接し、一方では上側支持壁に、他方ではキャップに取り付けられる取り付け板を備え、取り付け板は、コーミング支持壁に平行な平面内に形成され、コーナ断熱箱は、取り付けデバイスによって天井壁の長手方向取り付け支持体の少なくとも1つの取り付け板に取り付けられる。
【0025】
1つの実施形態によれば、煙突壁の密封膜は、開口部の縁部に平行に延在する複数の平行な条板を備え、各条板は、平坦な中央部分と、中央部分に対してタンクの内側に向かって突起する少なくとも1つの隆起縁部とを備え、条板は、繰り返しパターンで開口部の縁部に垂直な方向に並置され、隆起縁部で互いに密封的に溶接され、前記条板の少なくとも1つは開口部によって中断され、前記中断された条板の端部は、接続ブラケットの第2のウイングに溶接される。
【0026】
1つの実施形態によれば、煙突壁の中断された条板は、端部とは反対側の条板の端部に位置する単一の隆起縁部を備える。
【0027】
1つの実施形態によれば、煙突壁の断熱障壁は、開口部の縁部に隣接する端部断熱ブロックを備え、煙突壁は、開口部の前記縁部に沿ってコーミング支持壁に取り付けられ、端部断熱ブロックの両側に位置する複数の金属横方向取り付け支持体を備え、各横方向取り付け支持体は、コーミング支持壁に溶接された足部と、足部に取り付けられたキャップとを備える。
【0028】
1つの実施形態によれば、横方向取り付け支持体の足部は、コーナ断熱箱に隣接し、一方ではコーミング支持壁に取り付けられ、他方ではキャップに取り付けられる取り付け板を備え、取り付け板は、上側支持壁に平行な平面内に形成され、コーナ断熱箱は、取り付けデバイスによって煙突壁の横方向取り付け支持体の少なくとも1つの取り付け板に取り付けられる。
【0029】
1つの実施形態によれば、コーナ断熱箱は、突起部が突起する側面を備え、取り付けデバイスは、取り付け板に取り付けられたスタッドと、スタッドに係合し、突起部の支持面を支承する支承要素とを備える。
【0030】
1つの実施形態によれば、少なくとも1つの中断された条板は、密封膜の端部を形成する。
【0031】
1つの実施形態によれば、密封膜は二次密封膜であり、断熱障壁は二次断熱障壁であり、天井壁および煙突壁はそれぞれ、二次密封膜上に配置された一次断熱障壁と、一次断熱障壁上に配置され、液化ガスと接触するように意図された金属一次密封膜とを備える。
【0032】
1つの実施形態によれば、天井壁の端部断熱ブロックは、二次端部断熱ブロックであり、天井壁の一次断熱障壁は、二次端部断熱ブロックと並列に位置する一次断熱パネルを備え、一次断熱パネルは、固定デバイスによって長手方向取り付け支持体の1つに取り付けられる。
【0033】
1つの実施形態によれば、煙突壁の端部断熱ブロックは、二次端部断熱ブロックであり、煙突壁の一次断熱障壁は、二次端部断熱ブロックと並列に位置する一次断熱パネルを備え、一次断熱パネルは、固定デバイスによって横方向取り付け支持体の1つに取り付けられる。
【0034】
1つの実施形態によれば、貯蔵設備は、一次コーナ断熱アセンブリを備え、一次コーナ断熱アセンブリは、開口部の縁部において天井壁の一次断熱障壁および煙突壁の一次断熱障壁の延長部内に位置し、一次コーナ断熱アセンブリは、面取りされた上面を備え、一次コーナ断熱アセンブリは、少なくとも1つの固定デバイスによってコーナ断熱箱に取り付けられる。
【0035】
1つの実施形態によれば、貯蔵設備は、一次コーナ断熱アセンブリの面取りされた上面に取り付けられた一次接続ブラケットを備え、一次接続ブラケットは、一方では天井壁の一次密封膜に、他方では煙突壁の一次密封膜に溶接される。
【0036】
1つの実施形態によれば、一次接続ブラケットは、一次コーナ断熱アセンブリの面取りされた上面に形成された金属部品に溶接される。
【0037】
1つの実施形態によれば、煙突壁の断熱障壁は、開口部の縁部に隣接する端部断熱ブロックを備え、煙突壁は、開口部の前記縁部に沿ってコーミング支持壁に取り付けられ、端部断熱ブロックの両側に位置する複数の金属横方向取り付け支持体を備え、各横方向取り付け支持体は、コーミング支持壁に溶接された足部と、足部に取り付けられたキャップとを備える。
【0038】
1つの実施形態によれば、二次金属取り付け板が、二次停止板の上面に取り付けられ、
積み込み/積み下ろし開口部によって中断されたそのまたは各条板の端部は、二次金属取り付け板に溶接される。接続ブラケットの第1のウイングは、例えば、二次取り付け板の第1の部分に溶接され、一方で、条板の端部は、二次取り付け板の第2の部分に溶接される。
【0039】
1つの実施形態によれば、二次金属取り付け板は、ニッケルを含む鉄合金、例えばInvar、マンガンを含む鉄合金、またはステンレス鋼で作製される。
【0040】
1つの実施形態によれば、天井壁または煙突壁の断熱障壁は、長手方向取り付け支持体の1つまたは横方向取り付け支持体の1つそれぞれと並列に位置し、固定デバイスによって前記取り付け支持体のキャップに取り付けられる一次断熱パネルを備える。
【0041】
1つの実施形態によれば、一次断熱パネルは、支承面を備え、固定デバイスは、キャップに取り付けられたベースと、前記ベースに取り付けられ、厚さ方向に延在し、二次密封膜の孔を密封式に通過するスタッドと、スタッドに取り付けられ、長手方向または横方向の取り付け支持体上に保持するように一次断熱パネルの支承面を支承する支承要素とを備える。
【0042】
1つの実施形態によれば、固定デバイスは、密封ワッシャをさらに備え、密封ワッシャは、スタッドに係合され、二次密封膜内の孔の周りで二次密封膜に密封式に取り付けられたフランジと、密封ワッシャとスタッドとの間の相対移動を可能にするように、密封ワッシャをスタッドに密封的に接続する変形可能なシールとを備える。
【0043】
1つの実施形態によれば、固定デバイスは、スタッドの一体部分を形成するフランジをさらに備え、フランジは、スタッドから半径方向外側に突起し、二次密封膜の穴の周りで二次密封膜に密封式に取り付けられる。
【0044】
1つの実施形態によれば、変形可能なシールは、変形可能なベローズを備え、前記変形可能なベローズは、中空であり、スタッドの周りに軸方向に延在する。変形可能なベローズは、例えばステンレス鋼で作られている。
【0045】
1つの実施形態によれば、固定デバイスは、変形可能な封止部を覆うベルを備え、ベルは円筒形状を有する。
【0046】
1つの実施形態によれば、一次断熱パネルの支承面は、一次断熱パネルのコーナ内に、または一次断熱パネルのコーナから距離を置いて位置する。
【0047】
一次密封膜は、様々な方法で製造されてもよい。1つの実施形態によれば、天井壁および煙突壁の一次密封膜は、互いに並置され溶接された複数の波形金属板を備え、一次密封膜は、第1の方向に延在する第1の一連の波形と、第2の方向に延在する第2の一連の波形とを備える。
【0048】
そのような貯蔵設備は、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備であってもよく、または浮体式構造物、沿岸または深海、特に液化ガス運搬船、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)、遠隔浮体式生産貯蔵設備(FPSO)などであってもよい。そのような設備はまた、任意のタイプの運搬船における燃料タンクとして使用されてもよい。
【0049】
1つの実施形態によれば、上述の貯蔵設備は、浮体式構造の形態で製造され、前記支持構造は、浮体式構造の二重船殻からなり、第1の方向は、浮体式構造の長手方向である。
【0050】
1つの実施形態によれば、浮体式構造は、低温液体製品を輸送するための運搬船である。
【0051】
1つの実施形態によれば、本発明はまた、低温液体製品を移送するためのシステムであって、上述のような貯蔵設備と、運搬船の船体内に設置されたタンクを外部浮体式または陸上貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプラインと、断熱パイプラインを通る低温液体製品の流れを外部浮体式または陸上の貯蔵設備から運搬船のタンクに、またはその貯蔵設備にそのタンクから圧送するためにポンプとを備える。
【0052】
1つの実施形態によれば、本発明はまた、上述のような貯蔵設備に積み込みまたは積み下ろしするための方法を提供し、低温液体製品は、断熱パイプラインを介して、外部浮体式もしくは陸上の貯蔵設備から運搬船のタンクに、またはその陸上貯蔵設備にそのタンクから搬送される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明は、添付の図面を参照して、単に非限定的な例示として提供される、本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明の間に、よりよく理解され、他の目的、詳細、特徴および利点がより明確に現れる。
【0054】
図1】液化ガスを貯蔵するための密封断熱タンクを支持する支持構造を備える貯蔵設備の概略斜視図である。
【0055】
図2】タンクの壁の多層構造の概略図である。
【0056】
図3】特に貯蔵設備のコーミングを示す概略断面図である。
【0057】
図4】二次密封膜を取り付ける前の、開口部の縁部における煙突壁への天井壁の接続を示す部分斜視図である。
【0058】
図5図4に拡大された部分斜視図であり、二次密封膜を取り付けた後の、開口部の縁部における煙突壁への天井壁の接続を示す。
【0059】
図6】一次密封膜を取り付けた後の、開口部の縁部における煙突壁への天井壁の接続を示す部分斜視図である。
【0060】
図7】特に突起したコーナ縁部におけるタンクの構造を示す、図6において拡大された部分斜視図である。
【0061】
図8】別の実施形態による固定デバイスを示す、図7と同様の図である。
【0062】
図9】液化ガス運搬船のタンクおよびこのタンクを積み込み/積み下ろしするためのターミナルの部分的に切断した概略的図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
実施形態の説明
慣例により、地球の重力場に対するタンク壁の向きに関係なく、「上(on)」または「上方(above)」または「上側(upper)」は、タンクの内部により近い位置を指し、「下(under)」または「下方(below)」または「下側(lower)」は、運搬船の支持構造により近い位置を指す。
【0064】
図1は、支持構造2と、支持構造2内に配置された密封断熱タンク71とを備える貯蔵設備1を概略的に示す。以下、密封断熱タンク71についてより具体的に説明する。
【0065】
支持構造2は、互いに接続された複数の壁、特に図1に見られるように貯蔵設備1の上部に位置する上側支持壁4を備える。
【0066】
貯蔵設備1が液化ガス運搬船などの運搬船上に配置されるとき、支持構造2は運搬船の二重船殻によって形成され、したがって内側支持構造および外側支持構造から形成される。したがって、内側上側支持壁4は、運搬船の内側デッキ4と呼ばれ、外側上側支持壁3は、運搬船の外側デッキ3と呼ばれる。
【0067】
タンク71は、底壁6と、天井壁7と、底壁を天井壁7に接続し、貯蔵設備1が運搬船上に位置するときに前方および後方に位置する2つのコファダム壁8と、2つの側壁9と、側壁を底壁6または天井壁7に接続する任意選択的に2つから4つの面取り壁10とから形成される主構造5を備える。したがって、タンク71の壁は、多面体構造を形成し、内部貯蔵空間11を画定するように互いに接続される。
【0068】
液化ガスをタンク71に積み込み、積み下ろしするために、貯蔵設備1は、上側支持壁4およびタンク71の天井壁7を局所的に遮断する積み込み/積み下ろし開口部12を備え、それによって、積み込み/積み下ろし管13がこの開口部12を通過することによってタンク71の底部に到達することが可能になる。
【0069】
また、貯蔵設備1は、タンク71の全高にわたって積み込み/積み下ろし管13およびポンプ(図示せず)のための支持構造を形成する、開口部12と並列にタンク71の内部に位置する積み込み/積み下ろしタワー14を含む。
【0070】
加えて、貯蔵設備1は、前記開口部12において内部貯蔵空間11を閉鎖するために、積み込み/積み下ろし開口部12内に置かれたカバー15を備える。カバー15は、積み込み/積み下ろし管13がカバー15を通過することを可能にする孔を含む。
【0071】
タンク71はまた、開口部12で主構造5上に位置し、タンク壁が内側デッキ4から外側デッキ3まで連続的に延在することを可能にする煙突16を含み、これらのデッキは、開口部12によって中断される。液化ガス貯蔵タンクの場合、前記カバー15を備えたそのような煙突16は、液体ドームと呼ばれる。
【0072】
本発明は、本明細書では液体ドームの領域に関して説明されているが、本発明は、従来のガスドームなどのタンク71の別の煙突にも適用可能であり得る。
【0073】
煙突16は、互いに接続され、垂直に延在する複数の煙突壁17を備える。煙突壁17の数は、例えば、矩形開口部12の場合には4つである。これらの煙突壁17は、内側上側支持壁4を外側上側支持壁3に接続する、支持構造のコーミング18、具体的にはコーミング支持壁19に取り付けられている。
【0074】
煙突16は、図1および図2に示される実施形態において、開口部12の3つの縁部20が天井壁7と煙突壁17のうちの1つとの交差部に突起したコーナ縁部を形成するように、後方コファダム壁8の延長部内に形成される。図示されていない別の実施形態において、煙突は、開口部12の4つの縁部20が突起したコーナ縁部を形成するように、後方コファダム壁8から距離を置いて置かれてもよい。
【0075】
説明の残りの部分では、開口部12と前方コファダム壁との間に形成される前方長手方向端縁部20のみが、後に詳細に説明される。突起したコーナ縁部を形成する他の縁部20は、同様または異なる方法で形成され得る。
【0076】
図2に示すように、各タンク壁、特に天井壁7および煙突壁17は、外側から内側に向かって、壁の厚さ方向に、支持構造2に取り付けられた二次断熱要素を備える二次断熱障壁21と、二次断熱障壁21の二次断熱要素に固定された二次密封膜22と、二次断熱障壁21の二次断熱要素または支持構造2に取り付けられ、二次密封膜22に載置された一次断熱要素を備える一次断熱障壁23と、一次断熱障壁23の一次断熱要素に固定され、タンクに含まれる液化ガスと接触するように意図された一次密封膜24とを連続的に有する。
【0077】
図4から図8は、より詳細には、開口部12の縁部20における煙突壁17への天井壁7の接続を示す。
【0078】
図4に示すように、天井壁7の二次断熱障壁21は、固定デバイス(図示せず)によって上側支持壁4に固定される複数の二次断熱パネル25を備える。二次断熱パネル25は、ほぼ平行六面体の形状を有し、例えば、長手方向Lおよび長手方向Lに垂直な横方向Tに平行列に配置される。
【0079】
煙突壁17の二次断熱障壁21もまた、固定デバイス(図示せず)によってコーミング支持壁19に固定される複数の二次断熱パネル25を備える。
【0080】
図5に示すように、天井壁7および煙突壁17の二次密封膜22は、隆起縁部を有する金属条板26の連続層を備える。条板26は、二次断熱障壁21の二次断熱パネル25上に載置された平坦な中央部分27を備え、平坦な中央部分27の両側に配置され、中央部分に対してタンクの内側に向かって突起する2つの隆起縁部28も備える。天井壁7に関して、条板26は、運搬船の長手方向Lに延在し、隆起縁部28は、運搬船の横方向Tにおいて平坦な中央部分27の両側に配置される。煙突壁17に関して、条板26は、貯蔵設備の通常の使用中に略水平に開口部12の周方向に延在し、一方、隆起縁部は、貯蔵設備の通常の使用中に略垂直に運搬船の高さ方向Hにおいて平坦な中央部分27の両側に配置される。
【0081】
条板26は、二次密封膜22と接触して二次断熱パネル25の上面に形成された溝に取り付けられた平行な溶接支持体上のそれらの隆起縁部28を介して溶接される。条板26は、例えば、典型的には1.2×10-6から2×10-6-1の膨張係数を有する鉄とニッケルとの合金であるInvar(登録商標)で作製される。
【0082】
図6および図7において、天井壁7および煙突壁17の一次断熱障壁23は、固定デバイス52によって二次断熱障壁21に固定された複数の一次断熱パネル29を備えることが分かる。一次断熱パネル29は、ほぼ平行六面体の形状を有する。さらに、それらは、二次断熱パネル25の寸法と実質的に同一または異なる寸法を有してもよい。図5に示す実施形態では、一次断熱パネル29は、二次断熱パネル25に対して長手方向Lに、および任意選択で横方向Tにもオフセットされるように配置される。
【0083】
二次断熱パネル25および一次断熱パネル29は、底板と、カバー板と、底板とカバーとの間に挟まれ、接着結合された断熱ポリマー発泡体の1つまたは複数の層とを備える。断熱ポリマー発泡体は、特に、任意選択的に繊維、特にガラス繊維で強化されたポリウレタン系発泡体であってもよい。
【0084】
一次密封膜24は、並置され、互いに溶接された複数の波形金属板を備える。一次密封膜24は、第1の方向に延在する第1の一連の波形と、第2の横方向に延在する第2の一連の波形とを備える。
【0085】
天井壁7と煙突壁17との間の開口部12における密封および断熱の連続性を保証するために、天井壁7の密封膜22、24および断熱障壁21、23は、それぞれ密封膜22、24および煙突壁17の断熱障壁21、23に接続される。
【0086】
したがって、開口部12の縁部20において、天井壁7の二次密封膜22は、二次接続ブラケット31を使用して煙突壁17の二次密封膜22に接続される。二次接続ブラケット31は、第1の二次ウイング32と、第1の二次ウイング32に接続された第2の二次ウイング33とを備え、第1の二次ウイング32は、天井壁7の二次密封膜22に接続され、第2の二次ウイング33は、煙突壁17の二次密封膜22に接続される、図5にこれらを示す。
【0087】
この接続部において、二次密封膜22は、二次密封膜22の動作に関連する圧縮力および引張力を二次接続ブラケット31に伝達することができる。これらの力は、長手方向Lに煙突16と前方コファダム壁との間に位置する開口部12の縁部である開口部12の前方長手方向端縁部20において特に大きい。具体的には、後方コファダム壁8に近い煙突16の位置により、煙突16と前方コファダム壁との間の天井壁7の二次密封膜22の長手方向寸法は、煙突16と後方コファダム壁8との間の二次密封膜22の長手方向寸法よりもはるかに大きく、その結果、船体の変形または熱収縮時に前方長手方向端縁部20においてより大きな力が生じる。さらに、前方長手方向端縁部20上のこれらの力は、二次密封膜22の配向により、特に大きい。具体的には、二次密封膜22は、条板の平坦な中央部分27が運搬船70の長手方向Lに延在するように配向される。したがって、この方向の引張力および圧縮力を吸収するための領域はない。
【0088】
二次接続ブラケット31を解放するために、以下で詳細に説明するように、横方向Tに延在する前方長手方向端縁部20に沿って特定の支持構造が設けられる。この特定の支持構造は、コーナ断熱箱34と、上側支持壁4に固定された長手方向取り付け支持体35と、コーミング支持壁19に固定された横方向取り付け支持体36とから形成される。
【0089】
天井壁7は、横方向Tに並置され、開口部12の縁部20に沿って互いに距離を置いて、好ましくは一定の間隔を置いて延在する、複数の金属長手方向取り付け支持体35を備える。
【0090】
同様に、図4に示すように、煙突壁17は、横方向Tに並置され、開口部12の縁部20に沿って互いに距離を置いて、好ましくは等間隔で延在する複数の金属横方向取り付け支持体36を備える。
【0091】
最後に、貯蔵設備は、直方体を形成し、開口部12の縁部20で天井壁7の二次断熱障壁21および煙突壁17の二次断熱障壁21の延長部内に位置するコーナ断熱箱34を備え、それにより、コーナ断熱箱34は、特に図5に見られるように、一方では長手方向取り付け支持体35と並置され、他方では横方向取り付け支持体36と並置される。
【0092】
各長手方向取り付け支持体35は、長手方向Lに延在し、足部38に溶接されたキャップ37を備える。足部38は、例えば溶接またはねじ止めによって上側支持壁4に固定される。したがって、長手方向取り付け支持体35は、支持構造への足部38の取り付け部において測定される長手方向Lに延在する座長を有し、この方向への傾斜および屈曲に対抗することを可能にする。
【0093】
同様に、各横方向取り付け支持体36は、高さ方向Hに延在し、足部38に溶接されたキャップ37を備える。足部38は、例えば溶接またはねじ止めによって、コーミング支持壁19に固定される。
【0094】
したがって、二次密封膜22が二次接続ブラケット31に最も応力を与える可能性が高い領域には、すなわち、条板26が開口部12の縁部に対して垂直に延在するとき、長手方向取り付け支持体35が配置され、他の領域には、すなわち、条板26が開口部12の縁部に対して平行に延在する場合、横方向取り付け支持体36が配置される。これが、前方長手方向端縁部20において、長手方向取り付け支持体35が上側支持壁4上に配置され、その一方で、横方向端縁部において、横方向取り付け支持体36が上側支持壁4上に配置される理由である。
【0095】
さらに、各煙突壁17の二次密封膜22の条板26は対応する開口部12の縁部に対して垂直に延在するとき、横方向取り付け支持体36は、各コーミング支持壁19に配置される。
【0096】
長手方向取り付け支持体35の足部38は、コーナ断熱箱34に隣接する取り付け板39と呼ばれる第1の板39と、接続板によって長手方向Lに第1の板39から離間された第2の板とを備えるH梁(厚さ方向に直交する平面内のH字形断面)の形態で製造される。上側支持壁4における第1の板39と第2の板との間の長手方向Lの間隔は、座長に相当する。
【0097】
横方向取り付け支持体36の足部38は、部分的に、図5に見られるように、長手方向取り付け支持体35の足部38よりも短い座長を有し、キャップ37を支持する支持板およびコーナ断熱箱34に隣接する取り付け板39から形成されてもよい。
【0098】
足部38の他の断面形状が、十分な慣性モーメントを提供する限り使用されてもよい。
【0099】
天井壁7および煙突壁17の二次断熱障壁21は、二次端部断熱ブロック40を備える。各二次端部断熱ブロック40は、横方向Tに隣接する2つの取り付け支持体35、36間に挿入される。
【0100】
天井壁7に関して、また二次密封膜22の力を吸収するために、二次停止板41が、例えば図示しないマスチックを使用して、各二次端部断熱ブロック40の上面に取り付けられる。天井壁7の二次密封膜22はまた、二次停止板41の上面に取り付けられた二次金属取り付け板42を有する。したがって、特に図5に示すように、二次接続ブラケット31の第1の二次ウイング32は二次金属取り付け板42の第1の部分に溶接され、その一方で開口部12によって中断された条板26は、二次金属取り付け板42の第2の部分に溶接される。二次停止板41は、部分的に、その横方向端部の各々において、例えば2つのスタッドによってキャップ37に取り付けられている。
【0101】
二次停止板41の長手方向Lへの並進を阻止するための対策も行われる。この目的のために、長手方向取り付け支持体35は、キャップ37に取り付けられた停止デバイス43を備える。したがって、二次停止板41は、一方では停止デバイス43によって、他方では足部38の取り付け板39によって長手方向Lの所定の位置に保持される。したがって、二次停止板41は、長手方向Lおよび厚さ方向に長手方向取り付け支持体35によって強固に支持され、これにより、作動中に天井壁7の二次密封膜22によって及ぼされる引張力または圧縮力を吸収することが可能になる。
【0102】
図5に示すように、コーナ断熱箱34は、一方では第1の取り付けデバイス44によって長手方向取り付け支持体35の取り付け板39に固定され、他方では第2の取り付けデバイス48によって横方向取り付け支持体36の取り付け板39に固定される。
【0103】
具体的には、コーナ断熱箱34の側面45は、第1の突起部46と第2の突起部47とを備える。第1の取り付けデバイス44は、長手方向取り付け支持体35の取り付け板39に取り付けられたスタッド49と、スタッド49に取り付けられ、第1の突起部46の支承面に支承する支承要素50とを備える。第2の取り付けデバイス48は、横方向取り付け支持体36の取り付け板39に取り付けられたスタッド49と、スタッド49に取り付けられ、第2の突起部47の支承面を支承する支承要素50とを備える。したがって、コーナ断熱箱34は、取り付け支持体35、36を介して支持構造2に堅固に固定される。
【0104】
二次接続ブラケット31は、図5に見られるように、第1の二次ウイング32がコーナ断熱箱34の面の一方に接し、第2の二次ウイング33がコーナ断熱箱34の面の他方に接するように、コーナ断熱箱34に接して置かれる。第1の二次ウイング32および第2の二次ウイング33はそれぞれ、図5に示す固定板51によってコーナ断熱箱34に取り付けられる。
【0105】
図6および図7に示すように、天井壁7および煙突壁17の一次断熱障壁23は、二次端部断熱ブロック40と並列に位置する一次断熱パネル29を備える。
【0106】
二次端部断熱ブロック40と並列にある天井壁7の一次断熱パネル29は、特に図7に見られるように、固定デバイス52によって長手方向取り付け支持体35のうちの一方に取り付けられる。具体的には、一次断熱パネル29は、発泡体、底板、およびカバー板内の一次断熱パネル29のコーナから距離を離して作製された孔を有し、コーナは、コーナ断熱箱34と並列に位置する。バテンが底板に取り付けられ、固定デバイス52は、バテン上で支承され、前記長手方向取り付け支持体35のキャップ37に取り付けられるように、穴内に配置される。
【0107】
固定デバイス52は、キャップ37に取り付けられたベースと、前記ベースに取り付けられ、厚さ方向に延在し、二次密封膜22の孔を密封式に通過するスタッドと、スタッドに取り付けられ、長手方向取り付け支持体35上に一次断熱パネル29を保持するようにバテンの支承面を支承する支承要素とを備える。支承要素は、例えば、ナットを使用してスタッド上に保持された板の形態で作製される。二次密封膜22の穴は、二次金属取り付け板42を貫通して作製される。
【0108】
固定デバイス52は、密封ワッシャをさらに備え、密閉ワッシャは、スタッドに係合され、二次密封膜22内の孔の周りで二次密封膜22に密封式に取り付けられたフランジと、密封ワッシャとスタッドとの間の相対移動を可能にするように、密封ワッシャをスタッドに密封式に接続する変形可能なシールとを備える。
【0109】
さらに、スタッドは、スタッドから半径方向外側に突起する固定肩部を有する。さらに、変形可能な密封部は、一方では密封ワッシャに、他方ではスタッドの固定肩部に密封式に溶接され、それによって、二次密封膜22を通るスタッドの密封された通過を確実にすることが可能になる。したがって、二次密封膜22とスタッドとの間の密封接続は可撓性であり、二次密封膜22に対する一次断熱パネル29および二次端部断熱ブロック40の相対移動を可能にし、したがって前記二次密封膜22の密封の劣化のリスクを制限することを可能にする。変形可能なシールを保護するために、固定デバイス52はまた、スタッドが通される孔を有し、前記変形可能なシールを覆う、ベルを備える。
【0110】
二次端部断熱ブロック40と並列にある煙突壁17の一次断熱パネル29もまた、図6に見られるように、同じ固定デバイス52によって横方向取り付け支持体36の一方のキャップ37に取り付けられる。
【0111】
貯蔵設備はまた、図7に示すように、開口部12の縁部20において天井壁7の一次断熱障壁23および煙突壁17の一次断熱障壁23の延長部内に位置する一次コーナ断熱アセンブリ53を含む。
【0112】
一次コーナ断熱アセンブリ53は、コーナ断熱箱34に取り付けられるように二次接続ブラケット31に接して位置する。具体的には、一次コーナ断熱アセンブリ53は、二次接続ブラケット31の形状に一致するように90°の角度を形成する下面54を備え、下面54は、第1の二次ウイング32と並列にある固定デバイス52によって、および第2の二次ウイング33と並列にある固定デバイス52によってコーナ断熱箱34に取り付けられる。
【0113】
一次コーナ断熱アセンブリ53はまた、135°の角度を形成する面取りされた上面55を含む。貯蔵設備はまた、一次コーナ断熱アセンブリ53の面取りされた上面55に取り付けられた、図6および図7に見える一次接続ブラケット56を含む。一次接続ブラケット56は、一方では天井壁7の一次密封膜24に、他方では煙突壁17の一次密封膜24に溶接される。一次コーナ断熱アセンブリ53は、図7に示すように一緒に組み立てられた2つの断熱要素から形成されてもよく、または図6に示すように一緒に組み立てられた3つの断熱要素から形成されてもよい。
【0114】
図8は、固定デバイス52の別の実施形態を示す。
【0115】
図7の実施形態とは異なり、この実施形態では、固定デバイス52は、ここでは、スタッドの一体部分を形成するフランジを備え、すなわち、フランジは、スタッドの残りの部分と同時にその質量内に作製され、したがって、それらは単一部品を形成する。したがって、フランジは、スタッドから半径方向外側に突起し、二次密封膜22の穴の周りで二次密封膜22に密封式に溶接される。この実施形態では、固定デバイス52は、変形可能なシール、またはベルまたは固定肩部を含まない。
【0116】
図9を参照すると、一部が切り取られた液化ガス運搬船70の図は、運搬船の二重船殻72内に取り付けられた略角柱形状の密封断熱タンク71を示している。タンク71の壁は、タンクに収容されたLNGと接触するように意図された一次密封障壁と、一次密封障壁と運搬船の二重船殻72との間に配置された二次密封障壁と、一次密封障壁と二次密封障壁との間、および二次密封障壁と二重船殻72との間にそれぞれ配置された2つの断熱障壁とを備える。
【0117】
それ自体公知の方法で、運搬船の上側デッキに配置された積み込み/積み下ろしパイプライン73は、適切なコネクタによって、LNGの貨物をタンク71から、またはタンクに移送するために海上または港湾ターミナルに接続され得る。
【0118】
図9は、積み込みおよび積み下ろしステーション75と、水中管76と、陸上設備77とを備える海上ターミナルの例を示している。積み込み/積み下ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78とを備える固定された海上設備である。可動アーム74は、積み込み/積み下ろしパイプライン73に接続され得る断熱可撓性管79の束を担持する。配向可能な可動アーム74は、あらゆるサイズの液化ガス運搬船に適合するように調整され得る。接続管(図示せず)は、タワー78の内部に延在している。積み込みおよび積み下ろしステーション75は、液化ガス運搬船70の、陸上設備77からのまたは陸上設備への積み込みおよび積み下ろしを可能にする。この設備は、液化ガスを貯蔵するためのタンク80と、水中管76によって積み込みまたは積み下ろしステーション75に接続された接続パイプ管81とを備える。水中管76は、積み込みまたは積み下ろしステーション75と陸上設備77との間の液化ガスの移送を長距離、例えば5kmにわたって可能にし、これは、積み込みおよび積み下ろし作業中に液化ガス運搬船70を海岸から長距離に保つことを可能にする。
【0119】
液化ガスを移送するのに必要な圧力を発生させるために、運搬船70に搭載されたポンプおよび/または陸上設備77に嵌合されたポンプおよび/または積み込みおよび積み下ろしステーション75に嵌合されたポンプが使用される。
【0120】
本発明は、いくつかの特定の実施形態に関連して説明されてきたが、本発明は、決してそれに限定されず、記載された手段の全ての技術的均等物およびそれらの組み合わせを、これらが本発明の範囲内にある場合に含むことは明らかである。
【0121】
動詞「備える」または「含む」およびそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されたものに加えて他の要素または他のステップの存在を排除するものではない。
【0122】
特許請求の範囲において、括弧内のいかなる参照符号も、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】