IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレックス イメージング コーポレイションの特許一覧

特表2024-533077広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法
<>
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図1
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図2
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図3
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図4
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図5
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図6
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図7
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図8
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図9
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図10
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図11
  • 特表-広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】広角X線ビーム及び周状に配置された検出機構を備えた撮像システム及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20240905BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20240905BHJP
   G01T 1/24 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01N23/04
G01T1/20 G
G01T1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513138
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022041219
(87)【国際公開番号】W WO2023028055
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,191
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタム、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ニシウス、デイヴィッド ティー.
(72)【発明者】
【氏名】シェドロック、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】スター-ラック、ジョシュ エム.
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース、グレゴリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】エフラット、マティアス
【テーマコード(参考)】
2G001
2G188
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA02
2G001DA06
2G001DA08
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA13
2G001HA14
2G001JA08
2G001JA09
2G001PA11
2G001SA02
2G188AA03
2G188BB02
2G188CC22
2G188CC29
2G188DD05
2G188DD16
2G188EE36
2G188EE37
(57)【要約】
複数の対象物を検査するための撮像システムは、閾値ビームサイズ以上のビーム幅を有するX線源を含む。複数の対象物は、それぞれ制御検査位置でX線源により照射される。検出機構は、それぞれの制御検査位置で複数の対象物に関するそれぞれの画像を取得するように適合される。検出機構は、中心軸の周りに周状に配置された1つ以上の検出器を含む。少なくとも1つの位置調整機構は、複数の対象物を、それぞれの制御検査位置に進入させ、それぞれの制御検査位置から退出させるように適合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閾値ビームサイズ以上のビーム幅を有するX線源であって、複数の対象物が其々の制御検査位置で前記X線源により照射される、前記X線源と、
前記其々の制御検査位置で前記複数の対象物に関する其々の画像を取得するように適合された検出機構であって、中心軸の周りに周状に配置された1つ以上の検出器を含む、前記検出機構と、
前記複数の対象物を前記其々の制御検査位置に進入させ、前記其々の制御検査位置から退出させるように適合された少なくとも1つの位置調整機構と、
を備える、撮像システム。
【請求項2】
前記閾値ビームサイズは、幅が110度または面積が0.9ステラジアンである、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記検出機構は、複数の検出器を含み、前記複数の対象物のそれぞれは、少なくとも2つの検出器間を移動する、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記複数の対象物は、前記X線源に対して回転して、其々の放射角度を変更するように適合され、前記其々の制御検査位置は、前記複数の対象物の複数の回転位置を含む、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記X線源は、前記中心軸に沿って配置され、前記検出機構は、前記X線源の周りに楕円を少なくとも部分的に形成する、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記X線源は、前記検出機構に対して中心から外れた位置に配置される、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記検出機構は、ライン走査画像検出器、または直接変換画像検出器、またはフラットパネル検出器、またはシンチレータを備えた間接変換画像検出器を含む、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記複数の対象物のそれぞれが、其々の対象物軸を画定し、
前記撮像システムはさらに、前記複数の対象物を前記其々の対象物軸の周りで選択的に回転させるように適合された少なくとも1つの回転機構を備え、前記其々の制御検査位置は、前記複数の対象物の複数の回転位置を含む、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの位置調整部材は、前記複数の対象物を前記X線源の周りで略楕円形に移動させるように構成されたコンベヤベルトである、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記複数の対象物は、前記其々の制御検査位置に前記中心軸に平行な方向に進入し、
前記複数の対象物は、前記其々の制御検査位置から前記中心軸と平行な前記方向に退出する、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記複数の対象物のそれぞれは、前記其々の制御検査位置の間または前記其々の制御検査位置にある隣接する対象物に対して、固定の相対位置を有する、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記複数の対象物は、重力補助機構を使用して前記其々の制御検査位置に進入し、前記其々の制御検査位置は、前記複数の対象物の複数の回転位置を含む、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項13】
前記X線源の射出窓を少なくとも部分的に被包するように適合されたスリップオン型コリメータであって、複数の実効焦点を形成するための複数の開口で囲まれた環状本体を有する前記スリップオン型コリメータ
をさらに備える、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項14】
前記X線源の射出窓の周りに配置された一体型コリメータであって、前記X線源の構造と一体化された複数の開口を画定する前記一体型コリメータ
をさらに備える、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項15】
プロセッサを有するコントローラと、命令が記録された有形の非一時的メモリと、をさらに備え、
前記プロセッサが前記命令を実行することにより、前記コントローラは、前記少なくとも1つの位置調整機構を介して、前記複数の対象物を前記其々の制御検査位置に選択的に誘導することを実行し、前記其々の制御検査位置の各位置は、前記X線源に対して異なる回転配向を有し、
前記コントローラは、前記其々の制御検査位置の各位置において前記複数の対象物のうちの少なくとも1つの対象物の画像を取得し、前記其々の制御検査位置の各位置からの複数の画像を合成画像に組み合わせるように構成される、
請求項13に記載の撮像システム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記検出機構及び前記複数の対象物の両方を前記中心軸の周りに特定の速度で選択的に回転させるように構成される、請求項15に記載の撮像システム。
【請求項17】
前記複数の対象物は、前記其々の画像で見える其々の識別マーカを含み、前記其々の識別マーカは、前記其々の画像が撮影された時点での其々の対象物の位置に関連付けられる、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの位置調整部材は、複数のスロットを有する車輪体を含み、前記X線源は、前記車輪体の中心に配置され、
前記車輪体は、回転可能であり、前記複数のスロットは、前記車輪体の外周に周状に均等配置され、
前記検出機構は、前記車輪体の外面にしっかりと固定され、前記検出機構は、前記X線源の周りに楕円を少なくとも部分的に形成する、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項19】
前記複数のスロットに挿入された複数の筒をさらに備え、前記複数の対象物はそれぞれ、前記複数の筒内に少なくとも部分的に配置され、
前記複数の筒は、前記車輪体に対して自由に回転するように適合される、
請求項18に記載の撮像システム。
【請求項20】
前記車輪体の前記中心にある固定ハブにより駆動されるように適合された第1のベルトであって、前記複数の筒のうちの少なくとも1つに動作可能に接続された前記第1のベルト
をさらに備える、請求項19に記載の撮像システム。
【請求項21】
前記複数の筒を単一の駆動パターンに固定するように適合された第2のベルトであって、前記複数の筒のそれぞれに動作可能に接続された前記第2のベルト
をさらに備える、請求項19に記載の撮像システム。
【請求項22】
前記複数の筒内に配置された少なくとも1つの固定機構であって、前記複数の対象物が前記複数の筒内でそれぞれ動くことを防止するように適合された前記少なくとも1つの固定機構
をさらに備える、請求項19に記載の撮像システム。
【請求項23】
前記複数の対象物の第1のセットは、前記複数の筒内に連続的にまたは並行して装填されるように適合され、前記車輪体は、前記第1のセットが前記車輪体の前記外周を移動するように回転し、
前記複数の対象物の前記第1のセットは、前記検出機構により走査された後に、前記複数の筒から連続的にまたは並行して取り出される、
請求項19~22のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項24】
閾値ビームサイズ以上のビーム幅を有するX線源を設けることであって、複数の対象物が其々の制御検査位置で前記X線源により照射される、前記設けることと、
少なくとも1つの位置調整部材を介して、前記複数の対象物を前記其々の制御検査位置に進入させ、前記其々の制御検査位置から退出させることと、
撮像システム内の検出機構を介して、前記其々の制御検査位置で前記複数の対象物に関する其々の画像を取得することであって、前記検出機構は、中心軸の周りに周状に配置された1つ以上の検出器を含む、前記取得することと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記撮像システムは、プロセッサを有するコントローラと、有形の非一時的メモリとを備え、前記方法はさらに、
前記コントローラを介して、前記検出機構に沿った前記其々の制御検査位置に、前記複数の対象物を誘導することと、
前記複数の対象物に関する其々の画像を取得することであって、前記其々の画像の各画像は、前記検出機構を介して、異なる回転配向で取得される、前記取得することと、
前記コントローラを介して、前記其々の画像を、前記複数の対象物の各自の合成画像に組み合わせることと、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の対象物が前記其々の制御検査位置の間の軌道で順次撮像されるように、バッチフロー方式で前記複数の対象物を走査すること
をさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の対象物が前記其々の制御検査位置の間の軌道で連続的に撮像されるように、連続フロー方式で前記複数の対象物を走査すること
をさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項28】
閾値ビームサイズ以上のビーム幅を有するビームを生成するためのX線源手段であって、複数の対象物が其々の制御検査位置で前記X線源手段により照射される、前記X線源手段と、
前記其々の制御検査位置で前記複数の対象物に関する其々の画像を取得するための検出器手段であって、中心軸の周りに周状に配置された1つ以上の検出器を含む、前記検出器手段と、
前記複数の対象物を前記其々の制御検査位置に進入させ、前記其々の制御検査位置から退出させるための位置調整手段と、
を備える、撮像システム。
【請求項29】
前記複数の対象物が前記其々の制御検査位置の間の軌道で順次撮像されるように、バッチフロー方式で前記複数の対象物を走査するための走査手段
をさらに備える、請求項28に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月23日に出願された米国仮特許出願第63/236,191号に対する優先権及びその利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
撮像システムは、様々な種類の放射線を使用して、対象物の画像を生成する。画像は、例えば、医療診断及び治療、材料分析及び非破壊試験、物品検査及びセキュリティ用途のための撮像など、様々な目的で使用される。使用される放射線の種類の一例として、X線が挙げられる。従来のX線管は、陰極を介して、電圧が印加された電子の流れを作り出す。電子が高速で移動して陽極の標的表面に衝突したとき、X線が生じる。X線は、撮像される対象物と相互作用し、対象物により少なくとも部分的に吸収され、散乱し、または透過し得る。妨げられることなく対象物を通過した及び/またはセンサの視野内に散乱したX線の信号強度を検出するために、センサが使用され得る。
【0003】
本明細書で説明される図面は、例示のみを目的としたものであり、本質的に概略であり、本開示の範囲を限定するのではなく例示であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の一実施形態による、X線源を有する撮像システムの概略部分斜視図である。
図2】本開示の別の実施形態による、撮像システムの概略部分斜視図である。
図3】取り外し可能なコリメータを有するX線管を備えた例示的なX線源の概略部分分解図である。
図4】一体型コリメータを有するX線管を備えた別の例示的なX線源の概略部分斜視図である。
図5図4のX線源の概略部分断面図である。
図6】撮像システムに使用可能な散乱防止機構の概略部分斜視図である。
図7】撮像システムを用いて複数の対象物を検査するための例示的な方法を説明するフローチャートである。
図8】撮像システムで使用可能な例示的な位置調整機構を示す概略部分斜視図である。
図9】撮像システムで使用可能な重力補助式装填機構を示す概略部分図である。
図10】本開示のさらに別の実施形態による、撮像システムの概略前面斜視図である。
図11図10の撮像システムの概略背面斜視図である。
図12図10の撮像システムの概略部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示の代表的な実施形態は、非限定的な実施例として図面に示され、下記でさらに詳しく説明される。しかしながら、本開示の新規の態様は、上記に列挙された図面に示される特定の形態に限定されないことを、理解されたい。むしろ、本開示は、例えば添付の特許請求の範囲に包含されるような、本開示の範囲に入る変更形態、均等物、組み合わせ、部分的組み合わせ、置換物、グループ化、及び代替物を網羅するものである。
【0006】
本明細書では、本開示の実施形態が説明される。開示される実施形態は、様々な解決策の実施例及び例示として提供される。図面は必ずしも縮尺通りではなく、いくつかの特徴は、対象の具体的な詳細を示すために誇張または最小化される可能性がある。よって、本明細書に開示される特定の構造及び機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、開示される構造及び方法を多様に用いることを、当業者に教示するための単なる代表的な基礎として解釈されるべきである。さらに、図面に示される実施形態、または本明細書で言及される様々な実施形態の特徴は、必ずしも互いに独立した実施形態として理解されるべきとは限らない。むしろ、実施形態の実施例のうちの1つで説明される特徴のそれぞれを、別の実施形態からの他の所望の特徴のうちの1つ以上と組み合わせることができ、その結果、言葉または図面を参照して説明されていない他の実施形態が得られる可能性がある。したがって、このような他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の枠組み内に入る。
【0007】
本明細書で説明される実施形態は、概して、X線源を使用する撮像システムに関する。より具体的には、本開示は、複数の対象物を検査するための撮像システムに関し、撮像システムは、広角X線源と、1つ以上の検出器を備えた検出機構とを有する。図面を参照すると、同様の参照番号は同様の構成要素を指し、図1は、複数の対象物12を検査するための撮像システム10Aを概略的に示す。撮像システム10Aは、ビーム16を生成するX線源14を含む。ビーム16は、広角ビームまたはパノラマビームであり、閾値ビームサイズ以上のビーム幅18を画定する。
【0008】
多くのX線源及びシステムは、X線源により生成されたビームの立体角の小部分のみを使用する。その結果、生成されたX線の少量がセンサにより捕捉されるため、効率が制限される。対照的に、撮像システム10Aは、1つ以上のデジタル検出器と組み合わせて、ビーム16の立体角のはるかに大きい部分を使用する。これにより、生成された放射線を大量に捕捉して、使用することが可能となる。さらに、撮像システム10Aにより、多数の複数の対象物12を単一のX線源で同時に撮像することが可能となり、その結果、対象物あたりの検査コストが大幅に削減される。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の対象物12は、例えば約110度の閾値ビームサイズで、二次元(2D)撮像される。非限定的な実施例では、ビーム幅18は、約110度~340度にわたる。別の実施形態では、複数の対象物12は、約1ステラジアンの閾値ビームサイズで、三次元(3D)撮像される。例えば、閾値ビームサイズは、0.9ステラジアン~1.5ステラジアンであり得る。
【0010】
図1を参照すると、ビーム16が利用可能な立体角の大部分から放射されるX線源14の周囲に、検出機構20は、放射状に配置される。これにより、X線源14の周りで、X線源14と検出機構20との間に、検査領域22が形成される。検査対象であるパーツ、すなわち複数の対象物12は、検出機構20に走査されながら、検査領域22を通過し得る。複数の対象物12は、離散した別個の対象物ではなく、単一の連続した(例えば長い)パーツであってもよい。複数の対象物12には、電池セル、金属鋳物、プラスチック成形品、電子デバイス、及び他の工業製品及び商業製品が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0011】
図1を参照すると、検出機構20は、中心軸26の周りに周状に配置された1つ以上の検出器24で構成される。検出機構20は、X線源14の周りに環状配置され得る複数の検出器24(図1参照)を含み得る。あるいは、検出機構20は、単一の連続検出器または大型検出器を含み得る(図2参照)。検出器24は、平面であってもよく、または湾曲していてもよい。
【0012】
検出機構20は、フラットパネル検出器(例えばシンチレータを備えた間接変換面検出器)など、複数の対象物12を透過した信号強度を検出するためのセンサの二次元撮像アレイを含み得る。例えば、検出機構20には、アモルファスシリコン(a‐Si)、インジウムガリウム酸化亜鉛(IGZO)、または相補型金属酸化物半導体(CMOS)のフラットパネル検出器が含まれ得るが、これらに限定されない。検出機構20は、線形検出器アレイまたはラインスキャナとも称される、少なくとも1つのライン走査検出器を含み得る。ライン走査検出器は、幅方向のピクセル数が、長さ方向のピクセル数に比べて少ない。ライン走査検出器で複数の対象物12を検査できるようにするために、ライン走査検出器または複数の対象物12のいずれかが、中心軸26に対して垂直方向に前後に移動される。いくつかの実施形態では、検出機構20は、放射線を信号に直接変換するように構成された直接変換画像検出器を含む。直接変換画像検出器には、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTeまたはCZT)、及びセレンベースのセンサが含まれ得るが、これらに限定されない。検出機構20は、線形検出器アレイと直接変換検出器の両方を備えた二重走査システムを組み込むことができる。
【0013】
後述されるように、複数の対象物12は、それぞれ(其々)の制御検査位置28にて、X線源14により照射される。図1を参照すると、少なくとも1つの位置調整機構30Aは、複数の対象物12を、検出機構20に隣接するそれぞれの制御検査位置28に進入させ、それぞれの制御検査位置28から退出させるように適合される。複数の対象物12は、X線源14の周りの部分的軌道、完全な軌道、または複数の軌道を通過し得る。例えば、複数の対象物12は、X線源14の周りを円形または楕円形に周回し得る。
【0014】
検出機構20に対するX線源14の位置は、変更されてもよい。例えば、図1に示される撮像システム10AのX線源14は、検出機構20に対して中心位置15Aに、中心軸26に沿って配置される。代替的な実施形態が図2に示される。図2に示される撮像システム10Bでは、X線源14が中心軸26から離れるように、X線源14は、検出機構20に対して中心から外れた位置15Bに配置される。
【0015】
X線源14は少なくとも1つのX線管を含み、その構造は、当面の用途に基づいて変更され得る。図3は、X線源14で使用され得る例示的なX線管38Aの分解部分図を示す。X線管38Aは、筐体または管缶40を含み、これは真空状態を囲い込むように密閉され得る。図3を参照すると、陰極42は、電子ビーム44を生成するように構成される。電子ビーム44は、電圧が印加され、陽極46に送られ、陽極46に衝突し、その結果、X線48が生じる。陰極42は、コイルエミッタまたはフラットエミッタなどのエミッタを含む。図3を参照すると、X線48は、射出窓50を通って放射される。図4を参照すると、射出窓50は、周方向に約360度延在し得る。X線管38Aは、モータを含み得る陽極支持構造52を含む。簡潔にするために、電子ビーム44を誘導するための構造は示されていない。陽極46は回転していてもよく、または静止していてもよい。陽極46の形状は、当面の用途に基づいて変更され得ることを、理解されたい。例えば、陽極46は、平面、円錐形、及び/またはアーチ形であり得る。円錐形またはアーチ形の陽極46では、特定のスポット形状の形成が可能となり得、一方で平面な陽極46では、より良好な相互作用が可能となり得る。
【0016】
図1図2の撮像システム10A、10Bは、ビーム16を誘導するコリメーション機構を組み込み得る。コリメータ54A、54Bの実施例が、図3図4に示される。コリメータ54A、54Bは、望ましくない方向に放出された放射線を遮断するためのシールドと、放出された放射線を整形するための一連の平行な開口部(例えばスリット)とを含む。図3を参照すると、コリメータ54Aは、取り外し可能であり、X線管38Aにかぶせられ得る、またはX線管38Aに加えられ得る。コリメータ54Aは、環状本体58に構築された複数の開口56Aを含み、複数の実効焦点を形成する。焦点は、陽極表面の領域であり、ここでは、陰極からの電子ビームが受け取られる。
【0017】
図3を参照すると、コリメータ54Aが射出窓50と重なるように、コリメータ54Aは挿入され、射出窓50に対して位置を合わせられる。コリメータ54Aは、射出窓50の内部または外部に設置され得る。スリットのサイズは、使用されるX線のエネルギー、複数の対象物12のサイズ、及び他の要因に応じて変更され得る。
【0018】
図3のコリメータ54Aは、単一管モデル(X線管38A)が様々なコリメータと使用できるという技術的利点を提供する。例えば、10個の開口を有するコリメータ54Aは、10個の検出器24(図1の検出機構20内)と、複数の対象物12が走査される10個のゾーンとを有する構成で、使用され得る。同様に、20個の開口を有するコリメータ54Aは、20個の検出器24と、複数の対象物12が走査される20個のゾーンとを有する構成で、使用され得る。
【0019】
図4は、X線管38Bと使用され得る別の例示的なコリメータ54Bを示す。図5は、図4の軸60を通る断面図である。図4図5を参照すると、コリメータ54Bは、X線管38Bの構造に一体化された複数の開口56Bを含み、複数の実効焦点を形成する。これにより、スキャンボリュームごとに1対1に近いアスペクト比の焦点を有することが可能となる。図5を参照すると、支持構造の環状領域62を残して、陽極46の本体に複数の開口56Bが機械加工され得る。一実施例では、環状領域62は約0.5mmであり、陽極46の内壁は約10mmの半径を有し、複数の開口56Bは、それぞれ半径距離10.5mmで始まり、半径距離15mmで終わる。図4を参照すると、コリメータ54Bが射出窓50と重なるように、コリメータ54Bは、射出窓50に対して位置を合わせられる。コリメータ54Bは、実効焦点64により近いという技術的利点を提供し、その結果、利用可能なビームが所与の幾何学的形状のコリメータにより遮断される量は少なくなる。実効焦点64の形状は、複数の軸に沿って均一である。
【0020】
図1及~図2の撮像システム10A、10Bは、散乱防止機構70を組み込み得、その実施例が図6に示される。図6を参照すると、散乱防止機構70は、複数の対象物12の間に放射状に均等配置された複数の羽根72を含む。複数の羽根72は、散乱を最小限に抑えるために、検査領域22を、第1の羽根76と第2の羽根78との間の検査ゾーン74など、複数の対象物12のそれぞれを取り囲むゾーンに分割する。図示される実施形態のそれぞれでは、X線源14及び検出機構20を含む構成を取り囲むために、保護キャビン80が使用され得る(図2及び図9に示される)。保護キャビン80は密閉され、所定の温度及び圧力に維持され得る。例えば、検査領域22内における汚染物質を回避するために、保護キャビン80は、周囲圧力より高い圧力に維持され得る。保護キャビン80は、遮蔽材料、例えば鉛ライニングを組み込むことにより、遮蔽機構として作動し得る。
【0021】
ここで図7を参照すると、複数の対象物12を検査するための方法100のフローチャートが示される。方法100は、本明細書に記載の特定の順序で適用される必要はない。さらに、いくつかのステップは省略されてもよいことを、理解されたい。方法100は、リアルタイムで、連続的に、系統的に、散発的に、及び/または一定の時間間隔で、実行することができる。
【0022】
方法100は、コントローラ200に格納され、かつコントローラ200により部分的に実行可能なコンピュータ可読コードまたはコンピュータ可読命令として、具現化され得る(図1参照)。コントローラ200は、少なくとも1つのプロセッサと、方法100を実行するための命令を記録できる少なくとも1つのメモリ(または非一時的有形コンピュータ可読記憶媒体)と、を有する。メモリは、コントローラ実行可能命令セットを格納し得、プロセッサは、メモリMに格納されたコントローラ実行可能命令セットを実行し得る。
【0023】
図7のブロック102で、方法100は、ビーム16を生成するX線源14を設けることを含む。前述のように、ビーム16は、広角ビームまたはパノラマビームであり、閾値ビームサイズ以上のビーム幅18を画定する。また前述のように、検出機構20は、中心軸26の周りに周状に配置され、検出機構20とX線源14との間に検査領域22が形成される。
【0024】
図7のブロック104で、方法100は、図1に示される位置調整機構30A及び図8に示される位置調整機構30Bなどの少なくとも1つの位置調整機構を介して、本明細書ではそれぞれの制御検査位置28と称される連続位置に、複数の対象物12を装填することを含む。
【0025】
図1に示される実施形態では、位置調整機構30Aは、複数の対象物12をX線源14の周りで移動させるように構成されたコンベヤベルトである。ここで、複数の対象物12は、ビーム16により形成される基準面または放射面とほぼ同じ平面内の検査領域22に進入し、検査領域22から退出し得る。図1を参照すると、複数の対象物12は、進入ゾーン202で装填され、軌道204を通過し、退出ゾーン206で取り出され得る。複数の対象物12が軌道204に沿って検査領域22を通過するとき、対象物は、検出器24のうちの2つ以上により順次走査され得る。言い換えると、複数の対象物12のそれぞれは、検出器24のうちの少なくとも2つの間を移動し得る。例えば、図1を参照すると、複数の対象物12の第1のグループ12Aは、制御検査位置28Aで検出器24Aにより走査され得、同時に複数の対象物12の第2のグループ12Bは、制御検査位置28Bで検出器24Bにより走査される。制御検査位置は、複数の対象物12の場所/位置を指し、制御検査位置では、対象物12は、検出器24のうちの1つ以上による走査範囲内にある。制御検査位置は、3次元座標系に対して定義され得る。次の順序では、第1のグループ12Aは、軌道204に沿って移動し、検出器24Bにより走査される。複数の対象物12の移動は、連続的または段階的に制御され得る。コントローラ200は、複数の対象物12を移動させるための特定の軌道204及び時系列を用いて、プログラムされ得る。軌道の形状は、変更されてもよい。
【0026】
ここで図8に示される実施形態を参照すると、位置調整機構30Bは、複数の対象物12をそれぞれの制御検査位置28Cに装填方向210に装填し、複数の対象物12を取り出し方向212に取り出す。図8の撮像システム10Cでは、複数の対象物12は、それぞれの制御検査位置28Cで、中心軸26に平行な方向に、ビーム16の基準面または放射面に対して法線方向に、進入及び退出する。いくつかの実施形態では、位置調整機構30Bは、複数の対象物12を自動的に装填して取り出すための1つ以上の真空グリッパロボットを含み得る。装填及び/または取り出しは、1つの連続動作または段階的な動作で実行され得る。それぞれの制御検査位置28Cに進入し、それぞれの制御検査位置28Cから退出する複数の対象物12の移動は、同期化され、コントローラ200にプログラムされ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の対象物12及び検出機構20の両方が、所定速度または指定速度で中心軸26の周りを回転する。複数の対象物12の装填及び取り出し機構は、当面の用途に基づいて変更され得ることを、理解されたい。
【0028】
図9は、複数の対象物12を移動させるために使用され得る重力補助式装填機構300を示す概略部分図である。図9を参照すると、複数の対象物12の進入グループは、進入ランプ302を介して装填され、複数の対象物12の退出グループは、退出ランプ304を介して取り出される。進入ランプ302と退出ランプ304との間には、透過性プラットフォーム306が存在する。複数の対象物12は、対象物が透過性プラットフォーム306を転がり落ちるときに、X線源14により照射され、それぞれの画像が検出機構20により取得される。透過性プラットフォーム306は、複数の対象物12の前方への動きが重力により補助されるように、傾斜している。矢印308で示されるように、画像が取得されている間、複数の対象物12は回転し得る。重力補助式装填機構300は、保護キャビン80内に収容され得、これは、密閉され、所定の温度及び圧力に維持され得る。いくつかの実施形態では、透過性プラットフォーム306は、埋め込まれた散乱防止グリッドを含み得る。散乱防止グリッドは、検出器に到達する散乱放射線の量を制限することにより、X線画像の品質を向上させるための装置である。
【0029】
図7を参照すると、方法100は、ブロック104からブロック106に進み、複数の対象物12は、(例えば図1に示される軌道204に沿って)X線源14により照射され、検出機構20により検出された信号強度に基づいて、それぞれの画像が取得される。複数の対象物12は、バッチフロー方式で走査され得、対象物が軌道204に沿ってそれぞれの制御検査位置28の間を移動すると、複数の対象物12が順次撮像される。よって、対象物はそれぞれ、複数のビューが取得される。あるいは、複数の対象物は、連続フロー方式で走査され得、対象物が移動すると、複数の対象物12が連続的に撮像される(例えば各検出器24は、図1の軌道204に沿って連続的に移動する複数の対象物12のそれぞれを走査する)。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数の対象物12は、X線源14に対して回転して、それぞれの放射角度を変更することができる。それぞれの画像の各画像は、異なる回転配向で取得され得る。複数の対象物12は、特定の表面の三次元撮像を強化するために、チルトされ、カントされ、またはピッチされ得る。複数の対象物12には、それぞれの識別マーカ216(例えば図8では文字Rで表示される)を埋め込むことができ、それぞれの画像で見ることができる。それぞれの識別マーカ216は、それぞれの画像が撮影された時点での正確な機械的位置に関連付けられており、これにより、検査における複数の対象物12の識別が可能となる。
【0031】
図7のブロック108で、方法100は、それぞれの制御検査位置28Cの外に複数の対象物12を誘導することを含む。ブロック108は、当業者が利用可能な再構成アルゴリズムを使用して、それぞれの取得画像を合成画像に再構成することを含み得る。前述のように、複数の対象物12の撮像は、二次元または三次元(例えばコーンビームコンピュータ断層撮影及びヘリカルコンピュータ断層撮影)で行われ得る。再構成には、二次元画像または三次元画像を生成するためのフィルタ補正逆投影アルゴリズムまたは反復アルゴリズムが含まれ得る。フィルタ補正逆投影は、従来の逆投影の制限を克服するために設計された解析的再構成アルゴリズムである。フィルタ補正逆投影では、畳み込みフィルタを適用してぼやけが除去される。反復再構成アルゴリズムは、測定データと計算データの差を使用して画像を更新する技法である。
【0032】
図2を参照すると、X線源14が中心から外れた位置15Bに配置されている場合、対象物が検査領域22を通過する間、複数の対象物12を回転させる必要なく、複数の対象物12の三次元検査情報を生成することが可能である。
【0033】
ここで図10図12を参照すると、本開示のさらに別の実施形態による撮像システム10Dが示される。図10図11は、撮像システム10Dの前面斜視図及び背面斜視図をそれぞれ示す(図10にXYZ軸が示される)。図10図11を参照すると、撮像システム10Dは、1つ以上の検出器24D及びX線源14を有する検出機構20Dを含む。図12は、YZ軸に沿った撮像システム10Dの側面図を示すが、明確にするために検出機構20Dは省略されている。
【0034】
図12を参照すると、撮像システム10Dは、X線源14に対して移動する複数の対象物12を検査するために使用される。複数の対象物12は、回転可能な車輪体432を含む位置調整機構30D(図10参照)を介して移動される。車輪体432は、周状に均等配置され、車輪体432と一体化された複数のスロット434を有する。図10を参照すると、X線源14は、車輪体432の中心にある固定ハブ436内に配置され得る。検出機構20Dは、車輪体432の外面または外周にしっかりと固定され得、1つ以上の検出器24Dは、X線源14を少なくとも部分的に被包する。図10~12を参照すると、複数の筒440が複数のスロットにそれぞれ挿入される。複数の対象物12のうちの1つ以上が、複数の筒440のそれぞれの内部に配置される(図12参照)。言い換えると、いくつかの対象物を搭載するために、複数の筒440のうちの単一の筒が使用され得る。
【0035】
図12を参照すると、車輪体432は方向442に沿って回転し、車輪体432が回転すると、複数の対象物12はX線源14の周りを周回する。いくつかの実施形態では、複数の対象物12は、円周の周りを1回移動することにより、固定ハブ436に対して約360度の回転を完了する。
【0036】
図12を参照すると、撮像システム10Dは、複数の対象物12をそれぞれの対象物軸の周りで選択的に回転させるための回転機構444を含む。図12に示される実施形態では、回転機構444は、ベアリング446を含み、ベアリング446により、複数の筒440が複数のスロット434に取り付けられ、複数の筒440が車輪体432に対して自由に回転することが可能となる。ベアリング446の位置を合わせるために、重り448が取り付けられ得る(重力方向に沿って)。当業者が利用可能な他の種類の回転装置が使用されてもよい。
【0037】
複数の筒440は、2つのベルトにより駆動され得る。図10を参照すると、第1のベルト450は、車輪体432の中心にある固定ハブ436により駆動されるように適合され、第1のベルト450は、複数の筒のうちの少なくとも1つ(例えば筒441)に動作可能に接続される。図11を参照すると、第2のベルト452は、複数の筒440を単一の駆動パターンに固定するように適合され、第2のベルト452は、複数の筒440のそれぞれに動作可能に接続される。第2のベルト452は、車輪体432の外周に取り付けられ得、複数の筒440のそれぞれと係合する溝454を含み得る。
【0038】
図12を参照すると、撮像システム10Dは、複数の対象物12が複数の筒440内で動くことを防止するように適合された固定機構456を含み得る。一例では、固定機構456は、検査中の筒内の対象物の動きを最小限に抑えるために、それぞれの筒内に圧力を加えるように使用される可膨張式装置である。別の実施形態では、対象物の動きを最小限に抑えるために、真空が適用され得る。
【0039】
複数の対象物12は、連続的または段階的に複数の筒440内に装填(図12の装填方向460を参照)または挿入され得る。検出機構20Dにより走査された後、複数の対象物12は取り出され得る(図12の取り出し方向462を参照)。その後、検査対象である複数の対象物12の次のセットが装填され、プロセスが繰り返され得る。様々な種類の装填及び取り出し機構を使用して、複数の対象物12の装填及び取り出しが行われ得る。それぞれの画像が撮影された時点での複数の対象物12の配向を特定するために、複数の筒440は、それぞれのX線マーカで印が付けられ得る。一度に多くの対象物を保持することができるため、本明細書で説明される撮像システムは、生産ラインの格納箱またはバッファの類として機能し得る。
【0040】
位置調整機構30A、30B及び/または検出機構20は、ケーブルを介して、または無線通信デバイスを介して無線で、コントローラ200(図1及び図7参照)と通信するように構成され得る。様々な構成要素は、無線ネットワーク(図示せず)を介してコントローラ200と(相互に)通信し得、無線ネットワークは、短距離ネットワークであってもよく、長距離ネットワークであってもよい。無線ネットワークは、通信バスであってもよく、これはシリアルコントローラエリアネットワーク(CAN‐BUS)の形態であり得る。無線ネットワークは、Bluetooth(登録商標)接続、無線配信方法を使用して複数のデバイスをリンクする無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、いくつかの無線LANを接続する無線メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、または無線ワイドエリアネットワーク(WAN)を組み込み得る。他の種類の接続が使用されてもよい。したがって、方法100の制御は、遠隔から達成することができ、生成されたデータは、所望に応じて複数の宛先に送信され得る。
【0041】
以下の条項は、本明細書に開示される撮像システムの代表的な構成及び撮像方法を提供する。
【0042】
条項1:閾値ビームサイズ以上のビーム幅を有するX線源であって、複数の対象物がそれぞれの制御検査位置で前記X線源により照射される、前記X線源と、前記それぞれの制御検査位置で前記複数の対象物に関するそれぞれの画像を取得するように適合された検出機構であって、中心軸の周りに周状に配置された1つ以上の検出器を含む、前記検出機構と、前記複数の対象物を前記それぞれの制御検査位置に進入させ、前記それぞれの制御検査位置から退出させるように適合された少なくとも1つの位置調整機構と、を備える、撮像システム。
【0043】
条項2:前記閾値ビームサイズは、幅が110度または面積が0.9ステラジアンである、条項1に記載の撮像システム。
【0044】
条項3:前記検出機構は、複数の検出器を含み、前記複数の対象物のそれぞれは、少なくとも2つの検出器間を移動する、条項1~2のいずれかに記載の撮像システム。
【0045】
条項4:前記複数の対象物は、前記X線源に対して回転して、それぞれの放射角度を変更するように適合され、前記それぞれの制御検査位置は、前記複数の対象物の複数の回転位置を含む、条項1~3のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0046】
条項5:前記X線源は、前記中心軸に沿って配置され、前記検出機構は、前記X線源の周りに楕円を少なくとも部分的に形成する、条項1~4のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0047】
条項6:前記X線源は、前記検出機構に対して中心から外れた位置に配置される、条項1~4のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0048】
条項7:前記検出機構は、ライン走査画像検出器、または直接変換画像検出器、またはフラットパネル検出器、またはシンチレータを備えた間接変換画像検出器を含む、条項1~6のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0049】
条項8:前記複数の対象物のそれぞれが、それぞれの対象物軸を画定し、前記撮像システムはさらに、前記複数の対象物を前記それぞれの対象物軸の周りで選択的に回転させるように適合された少なくとも1つの回転機構を備え、前記それぞれの制御検査位置は、前記複数の対象物の複数の回転位置を含む、条項1~7のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0050】
条項9:前記少なくとも1つの位置調整部材は、前記複数の対象物を前記X線源の周りで略楕円形に移動させるように構成されたコンベヤベルトである、条項1~8のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0051】
条項10:前記複数の対象物は、前記それぞれの制御検査位置に前記中心軸に平行な方向に進入し、前記複数の対象物は、前記それぞれの検査位置から前記中心軸と平行な前記方向に退出する、条項1~9のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0052】
条項11:前記複数の対象物のそれぞれは、前記それぞれの制御検査位置の間または前記それぞれの制御検査位置にある隣接する対象物に対して、固定の相対位置を有する、条項1~10のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0053】
条項12:前記複数の対象物は、重力補助機構を使用して前記それぞれの制御検査位置に進入し、前記それぞれの制御検査位置は、前記複数の対象物の複数の回転位置を含む、条項1~11のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0054】
条項13:前記X線源の射出窓を少なくとも部分的に被包するように適合されたスリップオン型コリメータであって、複数の実効焦点を形成するための複数の開口で囲まれた環状本体を有する前記スリップオン型コリメータをさらに備える、条項1~12のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0055】
条項14:前記X線源の射出窓の周りに配置された一体型コリメータであって、前記X線源の構造と一体化された複数の開口を画定する前記一体型コリメータをさらに備える、条項1~12のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0056】
条項15: プロセッサを有するコントローラと、命令が記録された有形の非一時的メモリと、をさらに備え、前記プロセッサが前記命令を実行することにより、前記コントローラは、前記少なくとも1つの位置調整機構を介して、前記複数の対象物を前記それぞれの制御検査位置に選択的に誘導することを実行し、前記それぞれの制御検査位置の各位置は、前記X線源に対して異なる回転配向を有し、前記コントローラは、前記それぞれの制御検査位置の各位置において前記複数の対象物のうちの少なくとも1つの対象物の画像を取得し、前記それぞれの制御検査位置の各位置からの複数の画像を合成画像に組み合わせるように構成される、条項1~14のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0057】
条項16:前記コントローラは、前記検出機構及び前記複数の対象物の両方を前記中心軸の周りに特定の速度で選択的に回転させるように構成される、条項15に記載の撮像システム。
【0058】
条項17:前記複数の対象物は、前記それぞれの画像で見えるそれぞれの識別マーカを含み、前記それぞれの識別マーカは、前記それぞれの画像が撮影された時点でのそれぞれの対象物の位置に関連付けられる、条項1~16のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0059】
条項18:前記少なくとも1つの位置調整部材は、複数のスロットを有する車輪体を含み、前記X線源は、前記車輪体の中心に配置され、前記車輪体は、回転可能であり、前記複数のスロットは、前記車輪体の外周に周状に均等配置され、前記検出機構は、前記車輪体の外面にしっかりと固定され、前記検出機構は、前記X線源の周りに楕円を少なくとも部分的に形成する、条項1~17のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0060】
条項19:前記複数のスロットに挿入された複数の筒をさらに備え、前記複数の対象物はそれぞれ、前記複数の筒内に少なくとも部分的に配置され、前記複数の筒は、前記車輪体に対して自由に回転するように適合される、条項18に記載の撮像システム。
【0061】
条項20:前記車輪体の前記中心にある固定ハブにより駆動されるように適合された第1のベルトであって、前記複数の筒のうちの少なくとも1つに動作可能に接続された前記第1のベルトをさらに備える、条項19に記載の撮像システム。
【0062】
条項21:前記複数の筒を単一の駆動パターンに固定するように適合された第2のベルトであって、前記複数の筒のそれぞれに動作可能に接続された前記第2のベルトをさらに備える、条項19または20のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0063】
条項22:前記複数の筒内に配置された少なくとも1つの固定機構であって、前記複数の対象物が前記複数の筒内でそれぞれ動くことを防止するように適合された前記少なくとも1つの固定機構をさらに備える、条項19~21のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0064】
条項23:前記複数の対象物の第1のセットは、前記複数の筒内に連続的にまたは並行して装填されるように適合され、前記車輪体は、前記第1のセットが前記車輪体の前記外周を移動するように回転し、前記複数の対象物の前記第1のセットは、前記検出機構により走査された後に、前記複数の筒から連続的にまたは並行して取り出される、条項19~22のいずれか1項に記載の撮像システム。
【0065】
条項24:閾値ビームサイズ以上のビーム幅を有するX線源を設けることであって、複数の対象物がそれぞれの制御検査位置で前記X線源により照射される、前記設けることと、少なくとも1つの位置調整部材を介して、前記複数の対象物を前記それぞれの制御検査位置に進入させ、前記それぞれの制御検査位置から退出させることと、撮像システム内の検出機構を介して、前記それぞれの制御検査位置で前記複数の対象物に関するそれぞれの画像を取得することであって、前記検出機構は、中心軸の周りに周状に配置された1つ以上の検出器を含む、前記取得することと、を含む、方法。
【0066】
条項25:前記撮像システムは、プロセッサを有するコントローラと、有形の非一時的メモリとを備え、前記方法はさらに、前記コントローラを介して、前記検出機構に沿った前記それぞれの制御検査位置に、前記複数の対象物を誘導することと、前記複数の対象物に関するそれぞれの画像を取得することであって、前記それぞれの画像の各画像は、前記検出機構を介して、異なる回転配向で取得される、前記取得することと、前記コントローラ介して、前記それぞれの画像を、前記複数の対象物の各自の合成画像に組み合わせることと、を含む、条項24に記載の方法。
【0067】
条項26:前記複数の対象物が前記それぞれの制御検査位置の間の軌道で順次撮像されるように、バッチフロー方式で前記複数の対象物を走査することをさらに含む、条項24または25のいずれかに記載の方法。
【0068】
条項27:前記複数の対象物が前記それぞれの制御検査位置の間の軌道で連続的に撮像されるように、連続フロー方式で前記複数の対象物を走査することをさらに含む、条項24または25のいずれかに記載の方法。
【0069】
条項28:閾値ビームサイズ以上のビーム幅を有するビームを生成するためのX線源手段であって、複数の対象物がそれぞれの制御検査位置で前記X線源手段により照射される、前記X線源手段と、前記それぞれの制御検査位置で前記複数の対象物に関するそれぞれの画像を取得するための検出器手段であって、中心軸の周りに周状に配置された1つ以上の検出器を含む、前記検出器手段と、前記複数の対象物を前記それぞれの制御検査位置に進入させ、前記それぞれの制御検査位置から退出させるための位置調整手段と、を備える、撮像システム。
【0070】
条項29:前記複数の対象物が前記それぞれの制御検査位置の間の軌道で順次撮像されるように、バッチフロー方式で前記複数の対象物を走査するための走査手段をさらに備える、条項28に記載の撮像システム。
【0071】
コントローラ200は、コンピュータ可読媒体(プロセッサ可読媒体とも称される)を含み、これには、コンピュータにより(例えばコンピュータのプロセッサにより)読み取られ得るデータ(例えば命令)の提供に関与する非一時的(例えば有形)媒体が含まれる。このような媒体は、不揮発性媒体及び揮発性媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとり得る。不揮発性媒体には、例えば、光ディスクまたは磁気ディスク、及び他の永続メモリが含まれ得る。揮発性媒体には、例えば、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)が含まれ得、これは、メインメモリを構成し得る。このような命令は、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含む1つ以上の送信媒体により送信され得、これには、コンピュータのプロセッサに接続されたシステムバスを備えるワイヤが含まれる。コンピュータ可読媒体のいくつかの形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD‐ROM、DVD、他の光学媒体、穴のパターンを有する物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)‐EEPROM、他のメモリチップもしくはカートリッジ、またはコンピュータが読み取ることができる他の媒体が含まれる。
【0072】
本明細書で説明されるルックアップテーブル、データベース、データリポジトリ、または他のデータストアは、様々な種類のデータの格納、アクセス、及び取得を行うための様々な種類の機構を含み得、これには、階層データベース、エネルギー充電式ファイルストレージシステム内のファイルのセット、プロプライエタリ形式のアプリケーションデータベース、リレーショナルデータベースエネルギー管理システム(RDBMS)などが含まれる。このようなデータストアはそれぞれ、上記のうちの1つのようなコンピュータオペレーティングシステムを使用するコンピューティングデバイス内に含まれ得、様々な方法のうちの1つ以上の方法でネットワークを介してアクセスされ得る。ファイルシステムは、コンピュータオペレーティングエネルギー充電式ストレージシステムからアクセス可能であり得、様々なフォーマットで格納されたファイルを含み得る。RDBMSは、上記のPL/SQL言語など、格納されたプロシージャを作成、格納、編集、及び実行するための言語に加えて、構造化照会言語(SQL)を使用し得る。
【0073】
図面のフローチャートは、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、特定の論理関数(複数可)を実施するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、またはコード部分を表し得る。ブロック図及び/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図及び/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、特定の機能もしくは行為を実行する専用ハードウェアベースエネルギー充電式ストレージシステムにより、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせにより、実施され得ることにも、留意されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、コントローラまたは他のプログラム可能データ処理装置に特定の方法で機能するように命令できるコンピュータ可読媒体にも格納され得、よって、コンピュータ可読媒体に格納される命令により、フローチャート及び/またはブロック図のブロックにおいて特定される機能/行為を実施する命令を含む製品が作り出される。
【0074】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書におけるパラメータ(例えば量または条件)の数値は、「約」という用語が数値の前に実際に提示されているかどうかにかかわらず、それぞれの事例で「約」という用語により修正されるものとして、理解されるべきである。「約」は、記載された数値が若干の不正確性を許容することを示す(「約」など、値の正確さを示す、または「ほぼ」など、値にかなり近いことを示す何らかの手法を伴う)。あるいは、「約」によりもたらされる不正確さが、当該技術分野においてこの通常の意味で理解されない場合には、本明細書で使用される「約」は少なくとも、このようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じ得る変動を示す。さらに、範囲の開示には、各数値の開示と、全体の範囲内でさらに分割した範囲の開示が含まれる。範囲内の各値及び範囲の終点は、本明細書では別個の実施形態として開示される。
【0075】
発明を実施するための形態及び図面は、本開示を裏付けかつ説明するものであるが、本開示の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。特許請求の範囲に記載の開示を実施するための最良の形態及び他の実施形態のうちのいくつかが詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲に定義される開示を実施するために、様々な代替的な設計及び実施形態が存在する。
【0076】
この記載される開示に続く特許請求の範囲は、記載される本開示に明示的に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立している。本開示は、従属請求項を伴う独立請求項のすべての変形を含む。さらに、下記の独立請求項及び従属請求項から派生可能なさらなる実施形態も、記載される本説明に明示的に組み込まれるものとする。これらのさらなる実施形態は、所与の従属請求項の依存関係を、語句「請求項[x]で始まり、本請求項の直前の請求項で終わる請求項のいずれか」に置き換えることにより特定され、括弧付きの用語「[x]」は、直近に記載された独立請求項の番号に置き換えられる。例えば、独立請求項1から始まる第1の請求項集合の場合、請求項3は、請求項1及び2のいずれかに従属し得、これらの別個の従属関係により2つの異なる実施形態が得られ、請求項4は、請求項1、2または3のいずれか1項に従属し得、これらの別個の従属関係により3つの異なる実施形態が得られ、請求項5は、請求項1、2、3または4のいずれか1項に従属し得、これらの別個の従属関係により4つの異なる実施形態が得られ、以下同様である。
【0077】
特徴または要素に関して用語「第1」を使用した請求項の記載は、第2のそのような特徴または要素、またはさらなるそのような特徴または要素の存在を必ずしも示唆するものではない。ミーンズ・プラス・ファンクション形式で具体的に記載された要素が存在する場合、これらは、米国特許法第112条第6項に従って、本明細書に記載の対応する構造、材料または行為、及びこれらの均等物を網羅するように解釈されることが意図される。独占権または特権を主張する本開示の実施形態が、下記に定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】