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特表2024-533083弾薬、特に中口径弾薬用の点火装置、及び弾薬、特に中口径弾薬の点火のため又は自爆のための関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】弾薬、特に中口径弾薬用の点火装置、及び弾薬、特に中口径弾薬の点火のため又は自爆のための関連する方法
(51)【国際特許分類】
   F42B 3/12 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
F42B3/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513325
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2022075012
(87)【国際公開番号】W WO2023036879
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123375.5
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509275677
【氏名又は名称】エルベーエム シュバイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブーハー、リュエディ
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのバッテリ1及び少なくとも1つの電気又は電子点火連鎖構成要素3、4を備える、弾薬、特に中口径弾薬用の点火装置であって、バッテリ1がバッテリ・ハウジング12を有し、電解液及び少なくとも2つの電極がバッテリ・ハウジング12に設置され、弾薬の炸薬9が電気又は電子点火連鎖構成要素3、4によって爆発させられることが可能であり、電気又は電子点火連鎖構成要素3、4を発動させるために必要なエネルギーがバッテリ1によって供給されることが可能である、点火装置に関する。点火装置は、十分な量のエネルギーを供給し、点火装置内の容積は、同時に、バッテリ・ハウジング12がカップ形状の凹部を有し、少なくとも1つの電気又は電子点火連鎖構成要素3、4の少なくとも一部がカップ形状の凹部に設置されるという点で、特に効率的に利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバッテリ(1)を有し、少なくとも1つの電子又は電気点火連鎖構成要素(3、4)を有する、弾薬、特に中口径弾薬用の点火装置であって、前記バッテリ(1)がバッテリ・ハウジング(12)を有し、電解液及び少なくとも2つの電極が前記バッテリ・ハウジング(12)に配置され、前記電子点火連鎖構成要素(3、4)によって、前記弾薬の炸薬(9)が爆発させられることが可能であり、前記電子又は電気点火連鎖構成要素(3、4)を発動させるために必要なエネルギーが前記バッテリ(1)によって供給されることが可能であり、前記バッテリ・ハウジング(12)が、カップ形状の凹部を有し、前記少なくとも1つの電子又は電気点火連鎖構成要素(3、4)が、前記カップ形状の凹部に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、点火装置。
【請求項2】
前記点火装置が、電気雷管(4)を有し、前記電気雷管(4)が、前記弾薬の前記炸薬(9)の爆発を開始するための第1の点火連鎖構成要素として設計され、特に、前記電気雷管(4)が、前記カップ形状の凹部に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の点火装置。
【請求項3】
前記点火装置が、電子ユニット(2)を有し、前記電子ユニット(2)が、センサ電子回路を有する近接センサ、及び/又は高さ検出器、及び/又はアンテナを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の点火装置。
【請求項4】
前記電子ユニット(2)が、プリント基板を有し、前記センサ電子回路を有する前記近接センサ、及び/又は前記高さ検出器、及び/又は前記アンテナが、前記プリント基板に配置されることを特徴とする、請求項1から3までに記載の点火装置。
【請求項5】
前記電子ユニット(2)が、点火用コンデンサを有し、前記点火用コンデンサが、前記プリント基板に配置され、前記点火用コンデンサが、前記バッテリ(1)によって充電されることが可能であり、前記電気雷管(4)が、前記点火用コンデンサによって供給される電流によって起爆されることが可能であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の点火装置。
【請求項6】
前記バッテリ・ハウジング(12)が、電気ケーブル(6.1、6.2)を収容するための少なくとも1つのケーブル・ガイド(16)を有することを特徴とする、請求項1から5までの一項に記載の点火装置。
【請求項7】
少なくとも1つの接触要素(7)が、前記バッテリ・ハウジング(12)へ接続され、その結果、特に前記電気雷管(4)と前記電子ユニット(2)との間で、前記少なくとも1つの接触要素(7)及び前記バッテリ・ハウジング(12)を介して、エネルギー伝達が可能になることを特徴とする、請求項1から6までの一項に記載の点火装置。
【請求項8】
前記電子ユニット(2)が、前記電気雷管(4)と反対側の前記バッテリ(1)の側面に配置されることを特徴とする、請求項3から7までの一項に記載の点火装置。
【請求項9】
前記電気雷管(4)が、前記弾薬の雷管及び/又は前記炸薬(9)に対向し、前記雷管及び/又は前記炸薬(9)が、前記電気雷管(4)によって起爆されることが可能であることを特徴とする、請求項2から8までの一項に記載の点火装置。
【請求項10】
前記点火装置が、信管ハウジング(5)を有し、前記信管ハウジング(5)が、前記弾薬の先端に配置され、前記バッテリ(1)、前記電子ユニット(2)及び前記電気雷管(4)が、前記信管ハウジング(5)に1つのユニットとして一体に搭載されることが可能であることを特徴とする、請求項3から9までの一項に記載の点火装置。
【請求項11】
前記バッテリ(1)が、1つ又は複数の電池を備えることを特徴とする、請求項1から10までの一項に記載の点火装置。
【請求項12】
前記電解液が、アンプル内に配置され、前記アンプルが、前記弾薬が発射されると破裂するように設計され、前記バッテリが、それにより、作動されることを特徴とする、請求項1から11までの一項に記載の点火装置。
【請求項13】
前記アンプルが、ガラス及び/又は金属材料を含むことを特徴とする、請求項1から12までの一項に記載の点火装置。
【請求項14】
少なくとも1つのバッテリ(1)を有し、少なくとも1つの電気又は電子点火連鎖構成要素(3、4)を有する、請求項1から13までの一項に記載の点火装置を備える、弾薬、特に中口径弾薬の点火又は自爆のための方法であって、前記バッテリ(1)がバッテリ・ハウジング(12)を有し、電解液及び少なくとも2つの電極が前記バッテリ・ハウジング(12)に配置され、前記弾薬の炸薬(9)が前記電気又は電子点火連鎖構成要素(3、4)によって爆発させられることが可能であり、前記電気又は電子点火連鎖構成要素(3、4)を発動させるために必要なエネルギーが前記バッテリ(1)によって供給され、前記バッテリ・ハウジング(12)が、カップ形状の凹部を有し、前記少なくとも1つの電気又は電子点火連鎖構成要素(3、4)が、前記カップ形状の凹部に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
以下の連続的なステップ:
a)特に発射火薬の電気的及び/又は機械的着火による、軍事用弾薬の発射ステップ;
b)射出負荷による前記バッテリ(1)の作動ステップ;
c)近接センサの初期設定ステップ;
d)前記バッテリ(1)を使用して点火用コンデンサを充電するステップ;
e)前記点火用コンデンサから前記バッテリを分離するステップ;
f)センサ電子回路及び高さ検出器を作動させるステップ;
g)目標が検出される場合に、前記炸薬(9)の爆発を開始するための、前記電気雷管(4)への前記点火用コンデンサの放電ステップ;
h)目標が検出されない場合に、ステップg)に代わって、前記点火用コンデンサに前記電気雷管(4)へ放電させて、前記炸薬(9)の爆発を開始することによる、自爆ステップ
を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の包括的用語の特徴を有する、弾薬用、特に中口径弾薬用の点火装置に関する。本発明はまた、請求項14の包括的用語の特徴を有する本発明による点火装置を備える、弾薬、特に中口径弾薬の点火又は自爆のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
雷管としても公知の点火装置は、爆薬、爆弾、ロケット弾、地雷、擲弾、又はカートリッジ弾薬などの、様々な爆発装置の炸薬(active charge)に着火するために使用される。弾薬の特定の場合において、用途の異なる領域において使用される多数の異なる種類の雷管が存在する。雷管の一種は、目標が接近するときに装薬(explosive charge)に着火する、近接雷管であり、例えば欧州特許第0129679号及び米国特許第3839963号から公知である。
【0003】
現代の近接信管は、電力を供給される必要がある、アンテナ、無線機器、レーダ送信機及び受信機、近接センサ、並びに雷管及び起爆用導火線などの、多数の構成要素を備える。
【0004】
これらの構成要素が多く、強力であるほど、使用されるエネルギー貯蔵システムへの要求は大きくなる。通例は、したがって、強力なバッテリが、エネルギー要件を満たすために使用される。しかしながら、特定の問題は、これらのバッテリに要求される空間であり、それは、特に中及び小口径弾薬の場合、近接信管の容積のかなりの割合を占める可能性があり、したがって、他の機能的に関連する構成要素のために利用可能な空間を限定する。
【0005】
以前から公知の解決策は、例えば米国特許第3981245号から公知の、いわゆるセット・バック発電機の原理を利用する。これらの発電機は、比較的わずかな空間を占めるが、限られた量のエネルギーしか供給することができない。この種類の電源は、複雑な電気/電子点火構成要素のためには不十分である。
【0006】
米国特許第5147974号は、構成要素の総エネルギー必要量が、機械式雷管保護を使用することによって削減される、中口径弾薬用の雷管を記載する。この手法の問題は、製造公差に起因して、機械式信管が、例えば不発弾又は発射時の意図しない直接的な点火という意味で、誤作動する傾向がより大きいことである。
【0007】
ロケット用の近接信管は、英国特許第1584305号から公知であり、構成要素の総エネルギー必要量が、磁気近接センサを使用することにより削減される。しかしながら、センサの動作原理に起因して、この種類の適用は、強磁性の目標の接近を検出するためにのみ使用され得る。加えて、磁気干渉が、近接センサの性能に悪影響を及ぼし得ることが想定される。
【0008】
独国特許第10341713号は、エネルギー必要量の一部が、発電機によって発射体の回転運動から取り出され、したがって、エネルギー貯蔵量をより小さくすることが可能である、回転運動安定化砲の発射体用の信管を記載する。信管の設計の複雑さが増大することに加え、特定の種類の弾薬への適用の範囲を制限する、300~350/秒の要求される速度もまた、この手法に伴う問題であると思われる。
【0009】
引用した先行技術のさらなる問題は、構成要素の連続的配置であり、それにより、センサ及び/又は雷管の長さがバッテリの長さに依存することになる。
【0010】
信管用の周知のバッテリは、Thales Cryogenics製のUA6215 Army Artillery Fuze Batteryであり、6~9つの電池が、電解液を有するガラス・アンプルの周りに配置される。この種類のバッテリを使用して弾薬を発射する場合に、ガラス・アンプルが破損し、それが包含する電解液が周囲の電池を作動させる。この公知のバッテリ形状の欠点は、ガラス・アンプルとバッテリ基部との間の広い領域が、電解液の散布のために空けられているので、ハウジングの容積の利用が不十分であることである。
【0011】
このバッテリ形状のさらなる発展形として、リング形状の電池スタックをより高容量の単一のリング形状の電池で置き換えることが提案された。このさらなる発展形の欠点は、ガラス・アンプルの側面で利用可能な空間の利用が、不十分であることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第0129679号
【特許文献2】米国特許第3839963号
【特許文献3】米国特許第3981245号
【特許文献4】米国特許第5147974号
【特許文献5】英国特許第1584305号
【特許文献6】独国特許第10341713号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、したがって、弾薬用、特に中口径弾薬用の点火装置を提供するという課題に基づいており、これにより、十分な量のエネルギーが、点火装置によって供給されることが可能であり、同時に、点火装置における利用可能な容積が、特に効率的に利用されることが可能である。さらに、点火装置を備える弾薬、特に中口径弾薬の点火又は自爆のための方法が、改善されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の根底にあるこの問題は、ここで、請求項1の特徴を有する弾薬用、特に中口径弾薬用の発射装置によって、まず第一に解決される。
【0015】
本発明の基本原理は、本質的に、バッテリ・ハウジングが、カップ形状の凹部を有し、少なくとも1つの電気又は電子点火連鎖構成要素がカップ形状の凹部に少なくとも部分的に配置されるという事実にある。
【0016】
このようにして、バッテリ及び少なくとも1つの電気又は電子点火連鎖構成要素は、弾薬内の小量の空間のみを必要とする。特に、バッテリ及び少なくとも1つの電気又は電子点火連鎖構成要素は、弾薬の特に短い軸方向区間に配置され得る。
【0017】
好ましい実施例では、点火装置は、電気雷管を有する。電気雷管は、弾薬の炸薬の爆発を開始するように設計される、第1の起爆連鎖構成要素である。特に、この電気雷管は、カップ形状の凹部に少なくとも部分的に配置される。
【0018】
電気雷管は、EED(電気式爆発装置:Electro Explosive Device)としても公知である。これは、一般的に、電気エネルギーを熱及び/又は機械的な仕事のいずれかに変換する、単回用途のための転換器を指す。雷管に包含される爆薬の量に応じて、炸薬は、直接的に又は中間増幅段を経由して、起爆され得る。このような増幅段はまた、その場合に、第2の点火連鎖構成要素として、いわゆる点火連鎖の一部である。複数の点火連鎖の構成要素が存在する場合に、それらは、順次に配置されて、点火連鎖を形成する。
【0019】
点火装置のさらなる実施例では、点火装置は、電子ユニットを有する。電子ユニットは、センサ電子回路を有する近接センサ、及び/又は高さ検出器、及び/又はアンテナを有する。
【0020】
このような構成要素は、発射装置及び上位の弾薬の様々な制御及び機能を可能にする。
【0021】
有利には、電子ユニットは、プリント基板を有する。プリント基板は、プリント基板としても公知である。センサ電子回路を有する近接センサ、及び/又は高さ検出器、及び/又はアンテナが、プリント基板に配置される。
【0022】
例えば、プリント基板は、電流を伝えるための領域を有し、センサ電子回路を有する近接センサ、及び/又は高さ検出器、及び/又はアンテナは、はんだ接合、及び/又は圧接、及び/又はプラグ接点、及び/又は接着剤接続、及び/又は溶接接合を使用して、プリント基板へ接続される。
【0023】
電子ユニットは、好ましくは、点火用コンデンサを有する。点火用コンデンサは、プリント基板に設置される。点火用コンデンサは、バッテリによって充電されことが可能であり、電気雷管は、点火用コンデンサによって供給される電流によって起爆されることが可能である。
【0024】
点火用コンデンサは、非常に迅速に、電気雷管を起爆するために必要なエネルギーを供給することができる。これは、炸薬の点火の時間調整が、点火装置を使用して非常に正確に制御され得ることを意味する。
【0025】
点火装置のさらなる実施例では、バッテリ・ハウジングは、電気ケーブルを収容するための少なくとも1つのケーブル・ガイドを有する。ケーブル・ガイドは、例えばバッテリ・ハウジングにおける溝として設計される。このような溝は、有利には、弾薬の縦手方向に整列される。ケーブル・ガイドは、例えば点火装置を据え付けるときに、電気ケーブルへの損傷のリスクを最小限にする。
【0026】
少なくとも1つの接触要素が、有利には、バッテリ・ハウジング及び/又は電池へ接続され、その結果、エネルギーが、特に電気雷管と電子ユニットとの間で、少なくとも1つの接触要素を介して伝達され得る。エネルギーはまた、バッテリ・ハウジング及び/又は電池と電子ユニットとの間の少なくとも1つの接触要素を介して伝達され得る。
【0027】
電解液及び少なくとも2つの電極を保持することに加えて、バッテリ・ハウジングはまた、電流を伝えるために使用され得る。このように、ごくわずかの追加の電気ケーブルが、所望の接続を確立するために要求される。様々な型の接触要素が考案され得る。
【0028】
電子ユニットは、有利には、電気雷管と反対側のバッテリの側面に、特にバッテリの前面に配置される。
【0029】
点火装置のさらなる実施例では、電気雷管は、弾薬の雷管及び/又は炸薬に対向し、雷管及び/又は炸薬は、電気雷管によって起爆されることが可能である。このような雷管は、増幅段の特殊な形態である。
【0030】
点火装置は、好ましくは、信管ハウジングを備え付けられる。信管ハウジングは、弾薬の先端に設置される。バッテリ、電子ユニット及び電気雷管は、信管ハウジングに単一のユニットとして一体に搭載されることが可能である。
【0031】
組み立てられた状態において、電子ユニット、次にバッテリ、及び次に電気雷管が、点火装置の先端から端部へ順に配置される。これは、近接センサが電子ユニットの一部である場合に、近接センサは、それにより、点火装置の先端に近接して、したがって弾薬の先端にも近接して配置され、近接センサによる目標までの特に正確な距離測定を可能にするので、特に有利である。
【0032】
代替的実施例では、信管ハウジングは弾薬の基部に設置される。バッテリ及び電気雷管は、雷管ハウジングに単一のユニットとして一体に搭載され得る。電子ユニットは、次に、弾薬の先端に及び/又は側面に別個に配置され、導電体によって基部においてバッテリ及び電気雷管へ接続される。これにより、例えば、地上から発射される成形炸薬弾で、本発明による点火装置を使用することが可能になる。
【0033】
組み立てた状態では、最初にバッテリ、及び次に電気雷管、及び次に電子ユニットが、床から点火装置の一端へ順に配置される。
【0034】
点火装置のさらなる実施例では、バッテリは、1つ又は複数の電池を有する。
【0035】
電解液は、有利には、アンプル内に配置される。アンプルは、弾薬が発射されると破裂するように設計され、それにより、バッテリを作動させる。バッテリは、電解液が電極の周囲を流れ、その結果として電極と電解液が接触することによって作動される。アンプルは、好ましくは、ガラス及び/又は金属材料を有する。
【0036】
本発明の根底にある課題はまた、請求項14の特徴を有する点火装置を備える、弾薬、特に中口径弾薬の点火又は自爆のための方法によって解決される。
【0037】
その場合に、本発明の基本原理は、本質的に、バッテリ・ハウジングが、カップ形状の凹部を有し、少なくとも1つの電子点火連鎖構成要素がカップ形状の凹部に少なくとも部分的に配置されるという事実にある。
【0038】
方法の有利な実施例では、方法は、以下の連続的なステップ:
a)特に発射火薬の電気的及び/又は機械的着火による、弾薬の発射ステップ;
b)射出負荷によるバッテリの作動ステップ;
c)近接センサの初期設定ステップ;
d)バッテリを使用して点火用コンデンサを充電するステップ;
e)点火用コンデンサからバッテリを分離するステップ;
f)センサ電子回路及び高さ検出器を作動させるステップ;
g)目標が検出される場合に、炸薬の爆発を開始するための、電気雷管への点火用コンデンサの放電ステップ;
h)目標が検出されない場合に、ステップg)に代わって、点火用コンデンサに電気雷管へ放電させて、炸薬の爆発を開始することによる、自爆ステップ
を含む。
【0039】
ステップb)はまた、特にアンプルの破裂も含む。ステップe)において点火用コンデンサからバッテリを分離することは、不発弾が発生した場合に、バッテリが以降電源として連結されないことを確実にする。
【0040】
点火装置は、35mm口径弾薬において、及び近接信管を有する小口径弾薬において使用するために、特に有利である。しかしながら、使用は、これらの種類の弾薬に限定されない。
【0041】
点火装置及び関連する方法の適用は、ロケット弾、砲弾、爆弾、及び対車両地雷などの、他の爆発装置においても有利である。近接雷管の代わりに、衝撃雷管又は遠隔作動雷管などの他の種類の雷管もまた、使用され得る。
【0042】
ここで、弾薬、特に中口径弾薬用の本発明による点火装置、及び関連する方法を有利に設計し、さらに発展させるための、多数の可能性が存在する。第一に、請求項1及び請求項14に従属する請求項が参照され得る。以下では、弾薬、特に中口径弾薬用の本発明による点火装置の好ましい実施例、及び関連する方法が、図面及び関連する説明を参照して、より詳細に説明及び記載される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】弾薬の発射体における発射装置の実例を概略的に表す、断面側面図である。
図2】点火装置の実施例の詳細を概略的に表す、断面側面図である。
図3】点火装置の電気雷管を概略的に表す、三次元表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、弾薬の発射体における点火装置の実施例の側面の概略断面図を示す。図1は、いわゆる頭部雷管を有する爆発性の擲弾の構造を特に示す。バッテリ1、電子ユニット2及び増幅段3が、点火装置に配置される。増幅段3は、特に、いわゆる「セーフ・アンド・アーム・ユニット」として設計され得る。バッテリ1は、電子部品2と増幅段3又はセーフ・アンド・アーム・ユニットとの間に設置される。バッテリ1は、雷管ハウジング5に埋め込まれる。信管ハウジング5が、次に、発射体又は擲弾本体8へ接続され、これにより、発射体又は擲弾本体8は、炸薬9を包含する。炸薬9は、装薬としても公知である。電子ユニット2は、バッテリ1のバッテリ・ハウジング12へ直接的に取り付けられる。これは、保持クリップ、はんだ付けタブ、留め具、ブラケット、クリップ、差込接点又は類似のものなどの、少なくとも1つの対応する接続要素10を使用して達成され得る。加えて又はその代わりに、この接続要素10は、バッテリ・ハウジング12及び電子ユニット2へはんだ付け、溶接、又は別様に接続され得る。バッテリ・ハウジング12は、点火連鎖の第1の要素、すなわち電気雷管4を包含する。この電気雷管4は、図2でより詳細に示される絶縁ブッシュ11によって、バッテリ・ハウジング12に埋め込まれる。従来の弾薬と同様に、バッテリ・ハウジング12は、円筒形の外周部を有する。さらに、バッテリ・ハウジング12は、第1の端面を有し、接続要素10が、この第1の端面でバッテリ・ハウジング12へ接続される。バッテリ・ハウジング12は、第1の端部と反対の第2の端部を有し、カップ形状の凹部が、この第2の端部の中央にある。電気雷管4は、カップ形状の凹部内に少なくとも部分的に、好ましくは広い範囲に配置される。電気雷管4は、したがって、バッテリ1によって部分的に囲まれる。
【0045】
絶縁スリーブ11は、接点13を有し、ここで、接点13は、伝導性であり、電気雷管4のハウジングと接触する。接点13はまた、第1の電気ケーブル6.1のための対応する取付け箇所をもたらす。第1の電気ケーブル6.1は、取付け箇所にはんだ付け、溶接、圧着、又はプラグ接続される。第1の電気ケーブル6.1及び第2の電気ケーブル6.2は、一般的に、全体としてケーブル配線とも呼ばれる。バッテリ・ハウジング12から電気雷管4のハウジングを絶縁するために、電気的に非伝導性の材料から作成される絶縁ブッシュ11が、必要とされる。接点13と絶縁ソケット11、並びにバッテリ・ハウジング12との間の接続部は、プラグ接続、圧接、ねじ止め、圧着、又は接着され得る。電気雷管4又は電気雷管4のピン15は、図2において接触円板として設計される差込接点14を介してバッテリ・ハウジング12と接触する。組立て中に、電気雷管4のピン15は、接触円板として設計されるプラグ接点14に挿入される。バッテリ・ピン7は、第2の電気ケーブル6.2を介して接触され、これにより、この第2の電気ケーブル6.2は、バッテリ・ハウジング12の周縁部のケーブル・ガイド16に直接的に配線され得る。点火装置の全体的設計は、全長を縮小させるため、及び電気雷管4と接触するために要求される空間を最小限にするために役立つ。
【0046】
図3は、より詳細にプラグ接点14の構造を示す。また、電気雷管4のピン15の接触がどのように達成されるかが、確認され得る。
【0047】
バッテリ・ハウジング12は、横向きのケーブル・ガイド16を有し、ここで、ケーブル・ガイド16は、バッテリ・ハウジング12における溝として設計される。溝は、弾薬の縦方向に整列される。
【0048】
接点13を電子ユニット2へ接続するための第1の電気ケーブル6.1、及びバッテリ・ピン7を電子ユニット2へ接続するための第2の電気ケーブル6.2は、横向きのケーブル・ガイド16に配置される。これにより、バッテリ1の一端から他端への電気的接続が確保される。
【0049】
この設計の利点は、組立体が、雷管ハウジング5の外で事前に組み立てられることが可能であり、それが包含する全ての要素が、位置付けられ、整列されることである。組立体は、その後、全体として信管ハウジング5に挿入され得る。
【0050】
点火装置は、以下の連続的なステップ:
a)特に発射火薬の電気的及び/又は機械的着火による、弾薬の発射ステップ;
b)射出負荷によるバッテリ1の作動ステップ;
c)近接センサの初期設定ステップ;
d)バッテリ1を使用して点火用コンデンサを充電するステップ;
e)点火用コンデンサからバッテリを分離するステップ;
f)センサ電子回路及び高さ検出器の作動ステップ;
g)目標が検出される場合に、炸薬9の爆発を開始するための、電気雷管4への点火用コンデンサの放電ステップ;
h)目標が検出されない場合に、ステップg)に代わって、点火用コンデンサに電気雷管4へ放電させて、炸薬9の爆発を開始することによる、自爆ステップ
を含む工程を実施するために使用され得る。
【0051】
ステップd)におけるバッテリ1による点火用コンデンサの充電は、点火用コンデンサ、及びバッテリ1の電解液、及びバッテリ1の少なくとも2つの電極が、第1の回路の一部であるという、又は第1の回路が、点火用コンデンサ、及びバッテリ1の電解液、及びバッテリ1の少なくとも2つの電極による、対応するスイッチ/構成要素の回路によって形成され得るという事実によって、可能になる。第1の回路は、特に以下の順序で、バッテリ1の電解液、及びバッテリ1の少なくとも2つの電極、バッテリ・ピン7、第2の電気ケーブル6.2、電子ユニット2の部品、点火用コンデンサ、及び電子ユニット2の他の部品を備え、点火用コンデンサは、電子ユニット2のこれらの部品の1つである。
【0052】
ステップg)又はh)での電気雷管4への点火用コンデンサの放電は、第2の回路によって可能となり、ここで、この第2の回路は、特に対応するスイッチ/構成要素によって、この放電のために遮断される。第2の回路は、特に以下の順序で、点火用コンデンサ、電子ユニット2の部品、第1の電気ケーブル6.1、接点13、電気雷管4、ピン15、プラグ接点14、バッテリ・ハウジング12、及び電子ユニット2の他の部品を備える。
【0053】
バッテリ・ピン7、接点13、プラグ接点14及びピン15は、一般的に接触要素とも呼ばれる。
【符号の説明】
【0054】
1 バッテリ
2 電子ユニット
3 増幅段
4 電気雷管
5 信管ハウジング
6.1 第1の電気ケーブル
6.2 第2の電気ケーブル
7 バッテリ・ピン
8 発射体又は薬莢本体
9 炸薬
10 接続要素
11 絶縁ソケット
12 バッテリ・ハウジング
13 接点
14 プラグ接点
15 ピン
16 ケーブル配線
図1
図2
図3
【国際調査報告】