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特表2024-533091船舶排気ガスのための自律リアルタイム排気モニタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】船舶排気ガスのための自律リアルタイム排気モニタ
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20240905BHJP
   G01N 21/61 20060101ALI20240905BHJP
   G01N 21/3504 20140101ALI20240905BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20240905BHJP
   B63B 79/10 20200101ALI20240905BHJP
   B63B 79/30 20200101ALI20240905BHJP
【FI】
G01N1/22 G
G01N21/61
G01N21/3504
G01N21/03 B
G01N1/22 P
B63B79/10
B63B79/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513415
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 US2022075750
(87)【国際公開番号】W WO2023034857
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,923
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522369511
【氏名又は名称】シーアルクトス ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コール,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルクス,アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】マクブレーン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アレン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マッキー,シャノン
(72)【発明者】
【氏名】クルクンディス,ジョン
【テーマコード(参考)】
2G052
2G057
2G059
【Fターム(参考)】
2G052AA02
2G052AB06
2G052AB07
2G052AB08
2G052AB12
2G052AC11
2G052CA02
2G052CA03
2G052CA04
2G052CA12
2G052EA03
2G052EB04
2G052FD18
2G052GA12
2G057AA01
2G057AB02
2G057AB06
2G057AC03
2G057BA05
2G057DA02
2G057DA03
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC04
2G059CC05
2G059CC06
2G059CC09
2G059CC13
2G059DD12
2G059EE01
2G059HH01
2G059JJ03
2G059KK02
2G059LL03
2G059MM01
2G059NN01
2G059PP06
(57)【要約】
海上船舶の規制機関及び効率監視を補助するために、海上船舶の排出筒からサンプリングするための排気サンプリング装置。排気サンプリング装置は、排出筒内に装着され、かつ排出筒の外周に装着された排気センサ装置に接続された、排出サンプル吸入装置を含む。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上船舶の排出筒からサンプリングするための排気サンプリング装置であって、
前記排出筒内に装着された排出サンプル吸入装置であって、前記排出筒内から排出ガスを受容するための排出入口と、前記排出ガスから微粒子を除去するための前記排出入口内の排出サンプル微粒子フィルタと、排出サンプル微粒子フィルタ出口に接続されたガスサンプルチャネルと、前記ガスサンプルチャネルに接続された第1の端部及び第2の端部を有するガスサンプルチューブと、を備える、排出サンプル吸入装置と、
前記海上船舶の前記排出筒の外周に装着された排気センサ装置であって、前記排気センサ装置が、
a)前記ガスサンプルチューブの前記第2の端部に接続されて、前記排出ガスから凝縮物を分離及び吐出する凝縮器であって、前記凝縮器が、ガス入力、ガス出力、及び凝縮出力を有する凝縮器チャンバと、前記凝縮器チャンバ内の排出ガスを冷却するために前記凝縮器チャンバを取り囲む凝縮器ブロックと、前記凝縮器チャンバの前記ガス出力に接続された排出ガス送出バルブと、前記排出ガスから凝縮物を除去するために前記凝縮出力に接続された凝縮吐出ポートバルブと、を備える、凝縮器と、
b)前記凝縮器チャンバの前記ガス出力に接続されたガス乾燥チューブであって、前記ガス乾燥チューブが、前記凝縮器チャンバの前記ガス出力に接続された第1の中空チューブ入口及び微粒子フィルタに接続された第1の中空チューブ出口を有する第1の中空チューブと、前記第1の中空チューブを取り囲む第2の中空チューブであって、前記第2の中空チューブが、第2の中空チューブ入口及びガス出口に接続された第2の中空チューブ出口を有する、第2の中空チューブと、を備える、ガス乾燥チューブと、
c)前記微粒子フィルタの前記出口に接続された入口及び前記ガス乾燥チューブの前記第2の中空チューブ入口にガスを排出するための排出出口を有する、前記排出ガス内の二酸化硫黄及び二酸化炭素レベルを判定するための少なくとも1つのガス吸収セルであって、前記ガス吸収セルが、反射器及び赤外線源を備えるエミッタを有する第1の端部と、少なくとも1つの検出器及び少なくとも2つの通過帯域フィルタを有する第2の端部であって、前記通過帯域フィルタのうちの一方が二酸化炭素に特有であり、前記通過帯域フィルタのうちの他方が二酸化硫黄に特有である、第2の端部と、を有し、前記ガス吸収セルの前記第1の端部及び前記ガス吸収セルの前記第2の端部が、ガス吸収セルの前記第1の端部とガス吸収セルの前記第2の端部との間の長さに延在するサンプルガスチャンバによって分離されている、少なくとも1つのガス吸収セルと、
d)前記排出サンプル入口、前記凝縮器、前記ガス乾燥チューブの前記第1の中空チューブ、前記微粒子フィルタ、前記ガス吸収セル、前記ガス乾燥チューブの前記第2の中空チューブ、及び前記排出出口を通って、前記海上船舶の前記排出ガスから前記排出ガスをポンプ圧送するためのポンプであって、
前記少なくとも1つのガス吸収セルの前記排出出口からの前記排出ガスが、前記第2の中空チューブを通って前記ポンプによって前記ガス出口にポンプ圧送され、そのため、前記第2の中空チューブを通ってポンプ圧送された前記排出ガスの水蒸気含有量が、前記第1の中空チューブを通って流れる前記排出ガスよりも少ない水蒸気含有量を有し、それによって、前記第1の中空チューブ内の前記排出ガスが、前記第1の中空チューブの壁を通って前記第2の中空チューブ内の前記排出ガスに伝達され、前記排出ガスを乾燥させ、
前記第1の中空チューブ出口からの排出ガスが、前記第1の中空チューブ入口における前記排出ガスよりも少ない水蒸気を含有する、ポンプと、
e)前記ガス吸収セルから二酸化硫黄及び二酸化炭素レベルを受信するため、かつ前記ポンプを制御するためのプロセッサと、
f)前記排出筒からの熱からエネルギーを回収する熱電発電器アセンブリであって、
前記熱電発電器アセンブリが、排出筒の前記外周に隣接する第1の側面及び第2の側面を有する熱伝達パッドと、前記熱伝達パッドの前記第2の側面に取り付けられた熱伝達ブロックと、放散側に複数のフィンを備えるヒートシンクと、前記ヒートシンクと前記熱伝達ブロックとの間の熱電発電器と、前記ヒートシンクを前記熱伝達ブロックに固定する少なくとも1つのねじと、前記少なくとも1つのねじと前記ヒートシンクとの間のばねと、を備える、熱電発電器アセンブリと、
を備える、排気センサ装置と、
を備える、排気サンプリング装置。
【請求項2】
前記プロセッサと通信するモデムを更に備える、請求項1に記載の排気サンプリング装置。
【請求項3】
前記二酸化硫黄のための通過帯域フィルタが、7.3ミクロンであり、前記二酸化炭素のための通過帯域フィルタが、4.45ミクロンである、請求項1に記載の排気サンプリング装置。
【請求項4】
前記通過帯域フィルタが、7.85ミクロンの二酸化硫黄基準フィルタと、4.65ミクロンの二酸化炭素基準フィルタと、を更に備える、請求項3に記載の排気サンプリング装置。
【請求項5】
前記ハウジング内に、かつ前記プロセッサ、前記ポンプ、及び前記熱電発電器アセンブリと通信する、電力管理システム及びバッテリバックアップを更に備える、請求項1に記載の排気サンプリング装置。
【請求項6】
前記第1の中空チューブが、多孔質ポリマーから作製される、請求項1に記載の排気サンプリング装置。
【請求項7】
前記排気センサ装置が、前記排出筒の前記外周に隣接する装着フランジを更に備え、前記装着フランジが、前記熱電発電器アセンブリを受容し、各々が穴を画定する第1のフランジ及び第2のフランジを有する、請求項1に記載の排気サンプリング装置。
【請求項8】
前記第1のフランジの前記穴が各々、ストラップ締結ナットを有する第1のアンカーストラップを受容し、前記第2のフランジの前記穴が各々、ストラップ締結ナットを有する第2のアンカーストラップを受容し、前記第1のアンカーストラップ及び前記第2のアンカーストラップが、前記排出筒の前記外周を取り囲むストラップに接続されて、前記排気サンプリング装置を前記排出筒の外周に取り付ける、請求項7に記載の排気サンプリング装置。
【請求項9】
前記装着フランジの頂部に、かつ前記装着フランジの前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間に装着されたヒートシンクハウジングを更に備え、前記ヒートシンクハウジングが、
第1のヒートシンクフランジと、
前記第1のヒートシンクフランジに接続され、かつ前記第1のヒートシンクフランジに垂直な複数の穴を画定する垂直部分、及び平坦面を形成する水平部分を有する、第1のL字形ブラケットと、
第2のヒートシンクフランジと、
前記第2のヒートシンクフランジに接続され、かつ前記第2のヒートシンクフランジに垂直な複数の穴を画定する垂直部分、及び平坦面を形成する水平部分を有する、第2のL字形ブラケットと、
前記第1のL字形ブラケットを前記第2のL字形ブラケットに接続する底部ブラケットピースと、
前記第1のL字形ブラケットの前記垂直部分に接続され、かつ前記垂直部分に垂直な第1の反転L字形ピースと、
前記第2のL字形ブラケットの前記垂直部分に接続され、かつ前記垂直部分に垂直な第2の反転L字形ピースと、を備える、請求項7に記載の排気サンプリング装置。
【請求項10】
前記凝縮器が、前記第1の反転L字形ピース及び前記第2の反転L字形ピースに装着される、請求項7に記載の排気サンプリング装置。
【請求項11】
前記第1のL字形ブラケットの前記平坦面及び前記第2のL字形ブラケットの前記平坦面に装着されたハウジングを更に備え、前記ハウジングが、前記ポンプ、前記ガス乾燥チューブ、前記ガス吸収セル、及び前記プロセッサを取り囲む、請求項9に記載の排気サンプリング装置。
【請求項12】
前記ハウジングの上に受容された外側ハウジングを更に備える、請求項11に記載の排気サンプリング装置。
【請求項13】
メタン、二酸化窒素、及び炭化水素からなる群から選択される少なくとも2つのガスのレベルを判定するために、前記少なくとも1つのガス吸収セルに直列に接続された第2のガス吸収セルを更に備え、前記第2のガス吸収セルが、前記少なくとも1つのガス吸収セルの前記出口に接続された入口を備え、前記第2のガス吸収セルが、反射器及び赤外線源を備えるエミッタを有する第1の端部と、少なくとも1つの検出器及び少なくとも2つの通過帯域フィルタを有する第2の端部であって、前記通過帯域フィルタのうちの一方がエタン又はpに特有である、第2の端部と、前記微粒子フィルタの前記出口に接続された入口と、前記排気サンプリング装置からガスを排出するための排出出口と、を有し、前記ガス吸収セルが、反射器及び赤外線源を備えるエミッタを有する第1の端部と、少なくとも1つの検出器及び少なくとも2つの通過帯域フィルタを有する第2の端部であって、前記通過帯域フィルタのうちの一方がメタン又は二酸化窒素に特有であり、前記通過帯域フィルタのうちの他方が炭化水素に特有である、第2の端部と、を有し、前記第2のガス吸収セルの前記第1の端部及び前記第2のガス吸収セルの前記第2の端部が、前記第2のガス吸収セルの前記第1の端部と第2のガス吸収セルの前記第2の端部との間の長さに延在するサンプルガスチャンバによって分離されている、請求項1に記載の排気サンプリング装置。
【請求項14】
前記炭化水素が、エタン、プロパン、イソプロパン、及びブタンを含む、請求項13に記載の排気サンプリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「AUTONOMOUS REAL-TIME EMISSIONS MONITOR FOR MARINE EXHAUST EMISSIONS」と題された2021年8月31日に出願された仮特許出願第63/238,923号に開示された1つ以上の発明を主張する。米国仮特許出願の米国特許法第119条(e)に基づく利益が本明細書に主張され、前述の出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、環境センサに関し、より具体的には、船舶エンジンに関連する排出ガスの自律リアルタイム排気監視のためのセンサを使用することに関する。
【0003】
海運業界は、排気に関する国際海事機関(IMO)の規制の対象となっている。これらの規制の執行を任された世界中の沿岸警備隊は、コンプライアンス違反を検出するためのオプションをほぼ持ち合わせていない。存在するオプションは、高価であり、非常に限られたカバレッジしか提供しない。とりわけ、米国沿岸警備隊(USCG)及び英国海兵隊及び沿岸警備隊(MCA)の沿岸警備隊は、コンプライアンスを監視する効果的な手段はないと公表しており、どの船が精査を必要としているかを識別するために役立つシステムを所望している。規制は、2020年1月1日に、より厳しくなる予定である。
【0004】
SOxの排気は、排出ガス洗浄システムなどの緩和プロセスを除いて、燃料中の硫黄含有量に直接関連している。実質的に、燃料硫黄濃度は、排出硫黄濃度の代用となり、燃料切り替え規制は、この理解を反映している。
【0005】
規制では、排出ガス洗浄システムを使用していない船舶は、そのゾーンに対して準拠した燃料に切り替える必要があり、準拠した挙動を記録する必要がある。法律は、船舶がSO排気規制区域(SECA)ゾーン内外で異なる濃度の低硫黄燃料を燃焼させること、及び点検中にレビューのために燃料切り替えイベントのログを保持することを要求している。ログにそう記載されたときに燃料の切り替えが実際に起こったことを確認することは、罰金及び収監を代償とする、長くかつ不正確なプロセスである。
【0006】
ドローン、飛行機、又はブリッジ装着センサなどで、疑わしい船舶を検出するために船上の電波を「傍受する」様々な試みは、微妙であり、範囲が限られており、また多くの場合高価であることが判明している。
【0007】
恒久的な船舶装着センサは、世界的に有効である。しかしながら、燃料試験に適合するのに十分な精度の実験室グレードのセンシングデバイスは、設置及び保守に非常に費用がかかり、これは、強制適用として考慮するには維持できない状況である。
【0008】
この状況では、世界の沿岸警備隊は、どこに注意を向けるべきかを知る効果的な方式を依然として持ち合わせない。
【0009】
他の環境的に重要なガス/蒸気の排出、すなわち、炭素酸化物(CO)、硫黄酸化物(SO)、窒素酸化物(NO)、微粒子(PM)、揮発性有機化学物質(VOC)、炭化水素といったガス/蒸気の排出は、液化天然ガス燃焼エンジンと従来の炭化水素船舶燃料油燃焼エンジンとの間、又は他の代替燃料の間の燃焼ダイナミクスに起因して考慮され得る。更に、これらの排気の痕跡は、最適化された性能に関するエンジン状況/状態に関する情報を提供することができる。排気スクラバは、船舶の排気装置上の二酸化硫黄(SO)の一部分を除去するが、スクラバは、排気されたSOの全てを除去するわけではないことに留意されたい。触媒系は、NOxの大部分を除去するが、触媒系は、NOxの全てを除去するわけではなく、触媒系は、バイオ燃料などのいくつかの燃料を燃焼するときに圧倒される可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、船舶排出筒排気センサは、規制及び効率監視に有用である。
【0011】
別の実施形態によれば、海上船舶の排出筒からサンプリングするための排気サンプリング装置が開示される。排気サンプリング装置は、排出サンプル吸入装置及び排気センサ装置を備える。排出サンプル吸入装置は、排出筒内に装着され、排出筒内から排気ガスを受容するための排出入口と、排出ガスから微粒子を除去するための排出入口内の排出サンプル微粒子フィルタと、排出サンプル微粒子フィルタ出口に接続されたガスサンプルチャネルと、ガスサンプルチャネルに接続された第1の端部及び第2の端部を有するガスサンプルチューブと、を備える。
【0012】
排気センサ装置は、海上船舶の排出筒の外周に装着され、凝縮器、ガス乾燥チューブ、少なくとも1つのガス吸収セル、ポンプ、プロセッサ、及び熱電発電器アセンブリを備える。
【0013】
凝縮器は、ガスサンプルチューブの第2の端部に接続されて、排出ガスから凝縮物を分離及び吐出し、凝縮器は、ガス入力、ガス出力、及び凝縮出力を有する凝縮器チャンバと、凝縮器チャンバ内の排出ガスを冷却するために凝縮器チャンバを取り囲む凝縮器ブロックと、凝縮器チャンバのガス出力に接続された排出ガス送出バルブと、排出ガスから凝縮物を除去するために凝縮出力に接続された凝縮吐出ポートバルブと、を備える。
【0014】
ガス乾燥チューブは、凝縮器チャンバのガス出力に接続されている。ガス乾燥チューブは、凝縮器チャンバのガス出力に接続された第1の中空チューブ入口及び微粒子フィルタに接続された第1の中空チューブ出口を有する第1の中空チューブと、第1の中空チューブを取り囲む第2の中空チューブであって、第2の中空チューブが、第2の中空チューブ入口及びガス出口に接続された第2の中空チューブ出口を有する、第2の中空チューブと、を備える。
【0015】
少なくとも1つのガス吸収セルは、排出ガス内の二酸化硫黄及び二酸化炭素レベルを判定する。少なくとも1つのガス吸収セルは、微粒子フィルタの出口に接続された入口及びガス乾燥チューブの第2の中空チューブ入口にガスを排出するための排出出口を備え、ガス吸収セルは、反射器及び赤外線源を備えるエミッタを有する第1の端部と、少なくとも1つの検出器及び少なくとも2つの通過帯域フィルタを有する第2の端部であって、通過帯域フィルタのうちの一方が二酸化炭素に特有であり、通過帯域フィルタのうちの他方が二酸化硫黄に特有である、第2の端部と、を有し、ガス吸収セルの第1の端部及びガス吸収セルの第2の端部は、ガス吸収セルの第1の端部とガス吸収セルの第2の端部との間の長さに延在するサンプルガスチャンバによって分離されている。
【0016】
ポンプは、排出サンプル入口、凝縮器、ガス乾燥チューブの第1の中空チューブ、微粒子フィルタ、ガス吸収セル、ガス乾燥チューブの第2の中空チューブ、及び排出出口を通って、海上船舶の排出ガスから排出ガスをポンプ圧送する。
【0017】
第2の中空チューブを通ってポンプ圧送された排出ガスの水蒸気含有量が、第1の中空チューブを通って流れる排出ガスよりも少ない水蒸気含有量を有するように、少なくとも1つのガス吸収セルの排出出口からの排出ガスは、第2の中空チューブを通ってポンプによってガス出口にポンプ圧送される。第1の中空チューブ内の排出ガスは、第1の中空チューブの壁を通って水蒸気を第2の中空チューブの排出ガスに伝達し、排出ガスを乾燥させる。第1の中空チューブ出口からの排出ガスは、第1の中空チューブ入口における排出ガスよりも少ない水蒸気を含有する。
【0018】
熱電発電器アセンブリは、排出筒からの熱からエネルギーを回収し、熱電発電器アセンブリは、排出筒の外周に隣接する第1の側面及び第2の側面を有する熱伝達パッドと、熱伝達パッドの第2の側面に取り付けられた熱伝達ブロックと、放散側に複数のフィンを含むヒートシンクと、ヒートシンクと熱伝達ブロックとの間の熱電発電器と、ヒートシンクを熱伝達ブロックに固定する少なくとも1つのねじと、少なくとも1つのねじとヒートシンクとの間のばねと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】海上二酸化硫黄排気切り替え監視システムの概要を示す。
図2a】二酸化硫黄排気装置の等角図を示す。
図2b】二酸化硫黄排気装置の上面図を示す。
図2c】二酸化硫黄排気装置の底面図を示す。
図2d】二酸化硫黄排気装置の側面図を示す。
図2e】二酸化硫黄排気装置の背面図を示す。
図3a】二酸化硫黄排気装置のプレフィルタ、排出ガスフィルタセンササブシステム、及びポンプの第1の図を示す。
図3b】二酸化硫黄排気装置のプレフィルタ、排出ガスフィルタセンササブシステム、及びポンプの代替図を示す。
図4図3a~図3bのプレフィルタの拡大図を示す。
図5a図3a~図3bの層状フィルタの側面図を示す。
図5b図3a~図3bの層状フィルタの分解等角図を示す。
図5c図3a~図3bの層状フィルタの分解側面図を示す。
図6】排出ガスフィルタセンササブシステムのガス吸収セルを示す。
図7】船舶排気ガスの自律リアルタイム二酸化硫黄及び二酸化炭素監視の方法のブロック図を示す。
図8a】単一の煙突の一対の筒上の前面装着設置オプションを示す。
図8b】単一の煙突の複数の筒上の船外側の設置を示す。
図8c】湾曲した排出筒上の装着オプションを示す。
図8d】単一の煙突の複数の筒上の背面装着オプションを示す。
図8e】複数の筒がセンサユニットを設置した複数の煙突を示す。
図8f】複数の排出筒を有するクルーズ船の煙突と、センサユニットの装着を示す。
図9】ヒートシンクの側面図を示す。
図10】熱電発電器(TEG)及びヒートシンクの上面図を示す。
図11】船上二酸化硫黄排気装置かつ例解的な実施形態が実装され得る監視センターに関連付けられたコンピュータの内部構成要素を例解する。
図12】船舶データをクライアントに伝達するための例示的なユーザインターフェースを示す。
図13】船舶がSECA境界を横断するときのサンプル戦略のスケッチを示す。
図14】船舶の排出筒に装着された別の実施形態の排気センサ装置を示す。
図15】別の実施形態の排気センサ装置の斜視図を示す。
図16】別の実施形態の排気センサ装置内のガス乾燥チューブを示す。
図17】ガス乾燥チューブと熱電発電器(TEG)アセンブリとの間の、別の実施形態の排気センサ装置内の装着ブラケットを示す。
図18】別の実施形態の排気センサ装置のTEGアセンブリを示す。
図19】別の実施形態の排気センサ装置に関連付けられたガスサンプル採取の断面図を示す。
図20】別の実施形態の排気センサ装置内のセンサデバイスのガス経路を示す。
図21】センサデバイスのガス経路のNafionチューブ内のガス流の概略を示す。
図22】別の実施形態の排気センサ装置内の凝縮器チャンバの断面図を示す。
図23】別の実施形態の排気センサ装置のTEGアセンブリの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態では、船舶の筒排出ガスは、事前にプログラムされた間隔でサンプリングされ、微粒子状物質(PM)を除去し、水蒸気含有量(WVC)を局所的な周囲環境に平衡化するために、プレフィルタ内で事前調整される。サンプリングは、排気サンプリング装置の排出ガスセンササブシステムを通って排出ガスを引き込むポンプによって行われる。排出ガスセンササブシステムは、燃焼生成物を測定する。例えば、燃焼生成物は、メタン、二酸化硫黄、二酸化炭素、二酸化窒素、窒素酸化物、一酸化炭素、及びエタン、プロパン、イソプロパン、ブタンの炭化水素を含むことができる。
【0021】
燃焼生成物は、中赤外スペクトル帯にあるメタン(CH)、二酸化窒素(NO)、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、二酸化炭素(CO)及び二酸化硫黄(SO)のそれぞれの帯域中心で応答するように調整された非分散赤外線吸収分光法(NDIR-AS)によって測定することができる。非標的ガス固有の基準帯域は、内部基準のために、及びSO検出帯域のWVCバックグラウンド補正のために使用される。排気サンプリング装置は、排出筒ガスと侵入保護排出ガスセンササブシステムとの間の温度差によって駆動される熱電発電器(TEG)によって自己発電する。TEGはまた、例えば、船舶が港湾にあるときのエンジン負荷が低い、又は欠如しているために、TEGが供給することができないときに、排気サンプリング装置に電力を供給するバックアップバッテリの充電を維持するのにも役立つ。排気サンプリング装置は更に、エンジンが長期間アイドル状態にあるときに自動的にスリープ状態に切り替え、稼働中に再び覚醒することができる。排気サンプリング装置は、グローバルポジショニングシステム(GPS)を更に含み、通信リンクを介して疑似リアルタイム間隔で燃焼生成物測定データ及び他のデータを送信することができる。
【0022】
排気サンプリング装置は、設置面積が小さく、自己発電でメンテナンスフリーである。
【0023】
水蒸気含有量(WVC)の補正を適用して、高精度な定量化(体積レベルによるppm)を可能にすることができる。吸収帯域のクロスオーバーが発生する場合、線形代数を適用して、Beer-Lambert吸収断面原理に基づいて、ガス/蒸気固有の吸収成分(したがって、個々の濃度レベルをppm(v)として)を判定し得る。必要に応じて、他のガス感知技術(例えば、電気化学ガス感知、表面音波検出、圧電)を排出ガスサンプル流路に実装して、定量的精度を更に向上させることができる。PM排気のモニタリングは、入ってくる排出ガスサンプルと並行して、又は直列に配置された任意の数の市販のPM検出技術を使用して達成することができる。
【0024】
排気サンプリング装置は、好ましくは、排出SO2含有量を2~500百万分率の体積(0.1%~3.5%未満の燃料硫黄含有量(FSC)に相当)の範囲内で判定することができる。この範囲は、極低硫黄燃料油(ULSFO)、超低硫黄燃料油(VLSFO)、及び全てのエンジン負荷条件下で燃焼する重油(HFO)の使用を対象としている。排出CO2含有量の検出範囲は、好ましくは、体積で1~10%である。
【0025】
一実施形態では、サンプリングは、約60分以下の間隔で、又は海上船舶が監視SECA境界から20海里未満であるときには別の間隔で行われる。他のサンプリングスキームも実施され得る。
【0026】
概要
図1は、海上二酸化硫黄排気切り替え監視システム1の概要を示す。
【0027】
排気サンプリング装置10は、マウント4を通って海上船舶上の煙突の少なくとも1つの排出筒に取り付けられる。
【0028】
図2a~図2eを参照すると、排気サンプリング装置10は、装置10のサブシステムを汚れ、空気中の粉塵粒子(IP66又はNEMA 4x定格)から取り囲み、保護するハウジング161を有する。ハウジング161は、ヒートシンク8及び熱電発電器(TEG)6を取り囲むヒートシンクハウジング162に接続される。TEG6は、海上船舶の排出筒内に排気サンプリング装置10を接続及び配置するために、マウント4に隣接する集熱器130に接続される。集熱器130は、集熱器ハウジング131によって取り囲まれ得る。排出筒上に設置されるとき、集熱器130は、排出筒からの排出ガス流内に存在する。また、ハウジング161内には、プレフィルタ12、ポンプ22、排出ガスセンササブシステム20、電子機器ドライバ及びプロセッサ12、衛星モデム14、グローバルポジショニングシステム16、並びに電力管理及びバッテリバックアップシステム24が存在する。
【0029】
図1に戻って参照すると、排出筒からの排出ガス50は、排気サンプリング装置10のプレフィルタ12の入口を通ってポンプ22によってポンプ圧送される。プレフィルタ12はまた、以下で更に詳細に考察される凝縮器要素を含む。排出ガス51がプレフィルタ12を通過した後、ガスは、少なくとも二酸化硫黄含有量、二酸化炭素含有量、排出ガスの温度、排出ガスの圧力、及び相対湿度を測定する排出ガスセンササブシステム20に入る。次いで、排出ガス52は、排出ガスセンササブシステム20のガス吸収セルの排出出口であるポンプ22を介して、排気サンプリング装置10から排出される。
【0030】
排気サンプリング装置10は、排出ガスセンササブシステム20、ポンプ22、及び衛星モデム14からのデータを制御、処理及び記憶するための電子ドライバ及びプロセッサ18を更に有する。ポンプ22、電子ドライバ及びプロセッサ12、並びに排出ガスセンササブシステム20は、電源のためにTEG6と通信する電力管理及びバッテリバックアップシステム24に更に接続される。
【0031】
グローバルポジションシステム(GPS)16からの場所もまた、ネットワーク28を介して監視センター30に他のデータと共に送信するために衛星モデム14に提供される。ネットワーク28は、銅線、光ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを備え得る。
【0032】
海上船舶上の排気サンプリング装置10は、衛星26及び/又は無線通信27を通ってネットワーク28を介して監視センター30と通信している。
【0033】
熱電発電器(TEG)
図9及び図10を参照すると、ヒートシンクハウジング162内には、熱電発電器(TEG)6、及びヒートシンク8がある。TEG6及びヒートシンク8の出力は、排気サンプリング装置10に電力を供給するために電力管理及びバックアップシステム24に電力を供給する電源コネクタ133である。
【0034】
集熱器130は、例えば、クランプ及びねじ175を使用して、ヒートシンクハウジング162及びTEG6に固定され、最小限の分離で一緒に集熱器130及びTEG6を保持する。集熱器130とヒートシンクハウジング162との間に断熱材が存在し得る。集熱器130は、排出筒の排出ガス内に配置される。集熱器130は、スペーサ172a、172b、172c、172d、172eによって離間された複数のフィン171a、171b、171c、171d、171eを有する少なくとも2つのヒートパイプ170a、170bを含む。
【0035】
海上船舶の内燃エンジンは、動作時に排出ガス筒を通って排出ガスを排出し、排出ガスは一般に、高温を有するとして特徴付けられる。集熱器130のフィン171a、171b、171c、171d、171eは、排出ガス筒の排出ガスから直接熱を集め、ヒートパイプ170a、170bを通って熱を伝達する。ヒートパイプ170a、170bから、熱がヒートキャリア173に伝達され、ヒートキャリア173は、ヒートシールド174を通って熱をTEG6及びヒートシンク8に伝達する。ヒートシールド174は、ヒートキャリア173とTEG6との間に存在する。ヒートシールド174は、ヒートシンク8の有効性を改善するために、熱を遮断する。ヒートシンク8に供給される熱は、放熱側8a上で放散される。熱キャリア173は、高温で排出ガス筒及び低温でヒートシンク8によって境界付けられて電位を生成する2つの異なる導体を含む。TEG6は、ヒートシンク8の放熱側8aを通って熱を冷却及び放散しながら電力を発生させ、電位を生成し、電力管理及びバッテリバックアップシステム24に蓄積及び伝達することができ、及び/又はコネクタ133を介して排気サンプリング装置10に直接電力を供給する。ヒートシンク8は、TEG6から熱を引き出す。
【0036】
他の実施形態では、TEG6は、太陽光発電又は風力発電を含むことができるが、これらに限定されない他の自己発電オプションと置き換えることができる。
【0037】
電力管理及びバッテリバックアップシステム24は、排気サンプリング装置10のバッテリの電圧及び環境仕様に従って、TEG8からのバッテリ充電を制御する。電力管理及びバッテリバックアップシステム24によって、時間及び温度にわたる電圧及び電流の流れの監視に基づいた充電状態計算が行われる。充電状態の値は、電池が欠陥状態又は低充電状態にあるときに警告をトリガすることを可能にする。
【0038】
排出ガス流
図3a~図3bは、二酸化硫黄排気装置のプレフィルタ、排出ガスフィルタセンササブシステム、及びポンプを示す。排出ガス流は、矢印で示されている。
【0039】
一般に、排出ガスは、プレフィルタ12を通ってポンプ22によってポンプ圧送される。プレフィルタ12から、排出ガスは、凝縮器要素33を通って、層状フィルタ34に移動する。層状フィルタ34から、排出ガスは、ガス吸収セル35を通って移動し、排気サンプリング装置10から排出される。圧力/温度センサ36は、ガス吸収セル35とポンプ22との間に存在する。
【0040】
プレフィルタ
図4は、プレフィルタ12を示す。プレフィルタ12の第1の端部12aは、排出ガス吸入口200を有し、排出ガス筒内に存在する。プレフィルタ12の第2の端部12bは、好ましくはステンレス鋼製のマニホールド201を介して凝縮器要素33と連通している。第1の端部12aは、排出ガス吸入口を受容するための多孔質ステンレス鋼フィルタ203を有する開口部202を有する。排出ガスは、フィルタ203を通過し、マニホールド201を通って、凝縮器要素33の第1の端部33aに接続されたチューブ204に入る。ステンレス鋼フィルタ203は、好ましくは、0.05ミクロンを超える微粒子を除去する。
【0041】
凝縮器
図3a~図3bを参照すると、凝縮器33は、チューブ204を取り囲むスリーブ205から形成される。チューブ204は、好ましくは多孔質であり、水分がチューブ204の内側204aからチューブ204の外側204bに伝達されることを可能にする。一実施形態では、チューブ204は、ポリマーで作製され、スリーブ205は、ゴアテックス(登録商標)又は他の通気性材料で作製され得る。スリーブ205を通る周囲空気を使用して、蒸気がチューブ204を通って移動するときに排出ガス蒸気を冷却することができる。図示されていないが、水又は他の流体は、スリーブ205内で循環されて、蒸気がチューブ204を通って移動するときに排出ガス蒸気を冷却するのを補助し得る。排出ガス蒸気は、好ましくは、周囲の大気状況の露点温度未満で冷却される。凝縮器33の第2の端部33bは、層状フィルタ34と連通している。
【0042】
層状フィルタ
層状フィルタ34は、図5a~図5cに示される吸入フランジ208に結合された吸入口207を通って、チューブ206を介して冷却された空気を受け取る。吸入フランジ207から、排出ガス蒸気は、第1のガスケット209、第1のフィルタ210、第2のガスケット211、第2のフィルタ212、第3のガスケット213、第3のフィルタ214、第4のガスケット215、第4のフィルタ216、及び第5のガスケット217を通って、排出フランジ218の排気219を通って排気口を通過する。複数のガスケット209、211、213、215、217及びフィルタ210、212、214、216は、プレート220及びボルト221を介して、排出フランジ218と吸入フランジ208との間の所定の場所に保持される。プレート220は、パイプ206へのパイプ接続を更に支持する。
【0043】
第1のフィルタ210、第2のフィルタ212、第3のフィルタ214、及び第4のフィルタ216は全て、好ましくは異なる粒径である。例えば、第1のフィルタ210は、10μmフィルタであり、第2のフィルタ212は、1.0μmフィルタであり、第3のフィルタ214は、0.45μmフィルタであり、第4のフィルタ216は、ワイヤメッシュである。フィルタサイズは、赤外線(IR)分散を防止するために2μmを超える粒子の侵入を十分に排除する任意のサイズであり得、かつ以下で考察されるガス吸収セル240がサンプルチャンバ内の小さい粒子の沈殿に被られないことを確実にするために、2μm未満である多くの微粒子を除去することができる。
【0044】
ガス吸収セル
非分散赤外線吸収分光法(NDIR-AS)を利用するガス吸収セル240の例を図6に示す。排出フランジ218の排出口219から、排出ガス蒸気は、ガス吸収セル240の吸入ポート241へと通過する。
【0045】
ガス吸収セル240は、エミッタ242を有する第1の端部240aと、検出器243を有する第2の端部240bと、サンプルチャンバ244を形成する、エミッタ242と検出器243との間の長さLとを有する。吸入ポート241及び排出ポート245は、ガス吸収セル240のサンプルチャンバ244の長さLに沿って、エミッタ242と検出器243との間にある。一実施形態では、サンプルチャンバ244は、少なくとも28.5cmの長さを有する。
【0046】
第1の端部240aにあるエミッタ240は、反射器247及び赤外線源246を有する。第2の端部240bにある検出器243は、1つ以上の通過帯域フィルタ248及び赤外線検出器249を含む。赤外線源246からの赤外線光は、サンプルチャンバ244を通って検出器243に向かって導かれる。センサ251は、ガス圧力及びガス温度のためにサンプルチャンバ244内に存在し得る。図6におけるセンサ251の場所は、例解目的にすぎず、サンプルチャンバ244内の任意の場所にあり得る。サンプルチャンバ244内のガスは、特定の波長の吸収を引き起こし、これらの波長の減衰は、ガス濃度を判定するために検出器243によって測定される。1つ以上の通過帯域フィルタ又は光学フィルタ248は、検出器243の前に位置して、選択されたガス分子が吸収することができる波長を除く全ての赤外線を排除する。検出器243は、フィルタ248によって吸収されなかった赤外線(IR)光の量を測定する。サンプルガスチャンバ240を通過した後、排出ガス蒸気は、排出ポート245を通ってガス吸収セルを出る。
【0047】
本発明の一実施形態では、通過帯域フィルタ又は光学フィルタ248は、二酸化硫黄に特有である。
【0048】
本発明の別の実施形態では、通過帯域フィルタ又は光学フィルタ248は、二酸化炭素、二酸化硫黄、及び水に特有である。
【0049】
更に別の実施形態では、通過帯域フィルタ又は光学フィルタ248は、二酸化炭素フィルタ、二酸化炭素基準フィルタ、二酸化硫黄フィルタ、及び二酸化硫黄基準フィルタに対応する4つのフィルタを含む。
【0050】
別の実施形態では、相対湿度センサ250は、排出ポート245に存在し、排出ガスの水蒸気含有量を測定する。
【0051】
代替の実施形態では、ガス吸収セル240は、単一のIR光源246を有し、検出器243は、2つの検出器の前にある異なるガス、例えば、二酸化炭素及び二酸化硫黄のための2つの異なる通過帯域フィルタ248に対応する2つの検出器を含む。標的ガス(例えば、二酸化硫黄又は二酸化炭素)によって吸収される赤外線は、標的ガスの検出のための特定の帯域幅を有する活性フィルタを通過する。標的ガスと相互作用しない赤外線は、基準フィルタを通過する。これらの2つの帯域幅における透過光強度の差は、ガス濃度に変換される。二重波長センサは、光源又はガスセルのエイジング効果が基準波長での出力信号によって自動的に補償されるので、長期間の動作のための安定した測定を保証する。
【0052】
二酸化炭素のためのフィルタ248は、好ましくは、4.65μmの基準で4.45μmである。二酸化硫黄のためのフィルタ248は、好ましくは、7.85μmの基準で7.3μmである。バックグラウンド補正を使用する水蒸気含有量の検出は、4.65μmの基準で7.85μmである。
【0053】
別の実施形態では、二酸化炭素のための2つ以上のフィルタが存在し得、二酸化硫黄のための2つ以上のフィルタが存在し得る。
【0054】
一実施形態では、二酸化炭素のためのフィルタ248は、1.9~2.1μmである。別の実施形態では、二酸化炭素のためのフィルタ248は、2.6~2.9μmである。更に別の実施形態では、フィルタ248は、4.1~4.5μmである。
【0055】
一実施形態では、二酸化硫黄のためのフィルタ248は、7.1~7.6μmである。
【0056】
一実施形態では、他のフィルタは、二酸化炭素及び二酸化硫黄又は他の排出ガスと重複しない様々な帯域、例えば、1.3~1.5μm、1.75~2.0μm、2.5~3.0μm、及び5.0~8.0μmで存在することができる。
【0057】
一実施形態では、基準帯域は、フィルタ248として存在することもでき、フィルタ248は、フィルタより+/-0.2μm以下である。例えば、基準フィルタは、3.09μm、3.72μm、3.95μm、及び/又は7.85μmとすることができる。
【0058】
更に別の実施形態では、単一のIR光源246は、エミッタ及びIR光源246に隣接しているフィルタ248を有する複数の光源を備える。
【0059】
ガス濃度は、1つ以上の検出器によって、電子ドライバ及びプロセッサ18のプロセッサに送信される。次いで、排出ガス52は、排気サンプリング装置10の排出出口からポンプ圧送される。
【0060】
1つのガス吸収セルのみが示されているが、複数のガス吸収セルが存在し得、メタン、二酸化窒素、一酸化炭素、及び少なくともエタン、プロパン、イソプロパン、及びブタンを含む炭化水素などの異なるガスのガス濃度を判定するために連続的に設定され得る。メタンのためのフィルタは、7.65μmのフィルタ帯域中心を有する。二酸化窒素のためのフィルタは、5.52μmのフィルタ帯域中心を有する。窒素酸化物のためのフィルタは、6.21μmのフィルタ帯域中心を有する。一酸化炭素のためのフィルタは、4.61μmのフィルタ帯域中心を有する。炭化水素のためのフィルタは、3.40μmのフィルタ帯域中心を有する。
【0061】
代替的に、ガス吸収セルは、3つ以上のフィルタ及びそれらに関連付けられた基準フィルタを収容することができる。
【0062】
電子機器ドライバ/プロセッサ
プロセッサ18は、ガス吸収セル240及び様々なセンサから筒内の排出ガスに関連付けられたデータを受信し、ガスに関連付けられたデータ及び他のデータを、衛星モデム14を用いて監視センター30に送信する。データは、好ましくは、送信されているデータの量を減らすためにバイト配列で送信される。排気サンプリング装置10からのデータは、例えば衛星モデム14を介して、通信チャネルを実行するためのエネルギーを通信又は確保しておくことができるかどうかにかかわらず、定期的に監視システム30に送信されることに留意されたい。
【0063】
衛星26が利用できない場合、又は排気サンプリング装置10がデータを送信するのに十分な利用可能なエネルギーを有していない場合、タイムスタンプされた排出サンプルデータが収集され、1つ以上のコンピュータ可読RAM822及び1つ以上のコンピュータ可読ROM824、又は別の時間にアップロードされる1つ以上のコンピュータ可読有形記憶デバイス830などのメモリに記憶される。データは、必要に応じて、手動で排気サンプリング装置10から更に抽出することができる。
【0064】
排気サンプリング装置10の電力管理システム24は、データ収集を優先することにも留意されたい。電力管理システム24は、低バッテリ状態中にデータ伝送を停止することによって、エネルギー消費を低減する。
【0065】
電子ドライバ及びプロセッサ18に関連付けられた内部構成要素の例を図11に示す。電子ドライバ及びプロセッサ18は、図11に示されるように、1つ以上のプロセッサ820、1つ以上のコンピュータ可読RAM822及び1つ以上のバス826上の1つ以上のコンピュータ可読ROM824、並びに1つ以上のオペレーティングシステム828及び1つ以上のコンピュータ可読有形記憶デバイス830を含むことができる。1つ以上のオペレーティングシステム828は、RAM822(典型的にはキャッシュメモリを含む)のうちの1つ以上を介してプロセッサ820のうちの1つ以上による実行のために、コンピュータ可読有形記憶デバイス830のうちの1つ以上に記憶される。図11に例解される実施形態では、コンピュータ可読有形記憶デバイス830の各々は、内部ハードドライブの磁気ディスク記憶デバイスである。代替的に、コンピュータ可読有形記憶デバイス830の各々は、ROM824、EPROM、フラッシュメモリ、又はコンピュータプログラム及びデジタル情報を記憶することができる任意の他のコンピュータ可読有形記憶デバイスなどの半導体記憶デバイスである。
【0066】
内部構成要素800aはまた、監視システム30の一部として存在する1つ以上のポータブルコンピュータ可読有形記憶デバイスから読み出し、それらに書き込むためのR/Wドライブ又はインターフェース832を含む。
【0067】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持及び記憶することができる有形のデバイスであることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は前述の任意の好適な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、以下の、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカード又はその上に記録され命令を有する溝における隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、及び前述の任意の好適な組み合わせを含む。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、それ自体が、電波若しくは他の自由に伝播する電磁波、導波路若しくは他の伝送媒体を通して伝播する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、又は有線を通して送信される電気信号などの、一時的な信号であると解釈されるべきではない。
【0068】
本明細書に説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、又は外部コンピュータ若しくは外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを備え得る。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためのコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0069】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための設定データ、又はオブジェクト指向プログラミング言語、及び手続き型プログラミング言語、若しくは同様のプログラミング言語などを含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード若しくはオブジェクトコードのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、電子回路をパーソナライズするためにコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行し得る。
【0070】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図ブロック(複数可)に指定された機能/動作を実装するための手段を作成するように、マシンを生成するために汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得る。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他のデバイスを特定の様式で機能させることができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得、その結果、その中に記憶される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート及び/又はブロック図ブロック(複数可)で指定される機能/動作の態様を実装する命令を含む製造物品を備える。
【0071】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスにロードされ得、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイス上で実行される一連の操作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイス上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図ブロック(複数可)に指定された機能/動作を実装するように、コンピュータ実装プロセスを生成させることができる。
【0072】
サンプリングデータ収集
一実施形態では、データは、少なくとも60分ごとに排出ガスから収集される。海上船舶が監視SECA境界から20海里未満であるとき、収集率は上昇し得る。
【0073】
図13は、船舶が、海121から港湾123まで、及び海122に戻るまで、SECA境界(1点鎖線120)を通過するときのサンプル戦略のスケッチを示す。船舶の上り経路は、破線124で表され、船舶の下り経路は、短長鎖線125で表されている。経路124及び125の各々上の各矢印126は、約1時間の航行を表している。
【0074】
経路124及び125に沿った円127a~127jは、システムがアクションを取るポイントを表し、これは、以下の説明においてで詳細に解説される。黒色で塗りつぶされた円127g~127hは、範囲外又は「不良」(すなわち、非準拠)の読み取り値を表し、一方、開いた(白色で塗りつぶされた)円127a~127f及び127jは、範囲内(すなわち、準拠)の読み取り値を示している。点線の円は、低排気の測定値を示し、実線のある円は高排気の測定値を示している。
【0075】
例示的な戦略は、以下のように進み、図11において数字はポイントを参照している。
【0076】
127a:このポイントで、船舶は、上り経路124上のSECA境界120の外側にあるため、高硫黄燃料が許可される。このポイントではSECAのより制限された範囲はまだ適用されないため、排気サンプリング装置10からの読み取り値は高いが、依然として準拠している。システムは、選択されたスケジュール、例えば、図11に示すように、1時間ごとに読み取り値を得る。より頻繁な、又はそれほど頻繁でないスケジュールを必要に応じて選択することもできる。読み取り値が得られると、読み取り値からのデータ(例えば、時間、場所、コンプライアンスステータス、及びおそらく生のセンサデータ番号)は、船舶のリポジトリに保存され、後で陸上の監視センター30に送信される。
【0077】
127b:船舶は、SECA境界120に近づいている。システムは、高硫黄燃料から低硫黄燃料への切り替えを示すデータを取り込むために、おそらく10分ごと又はそれ以上の頻度で、より頻繁な読み取り値の取得を開始する。
【0078】
127c:船舶は、必要に応じて低硫黄燃料に切り替え、システムは、排出ガスが準拠していることを示す読み取り値でこれを確認する。
【0079】
127d:このポイントで、船舶は、陸上ベースの携帯電話ネットワークの範囲内にある。システムは、ネットワークに接続し、少なくとも船内システムが正常に動作しており、船舶が準拠していることを示すステータスレポートをサーバに送信する。所望される場合、船内リポジトリからのデータの完全なアップロードは、この時点で中央サーバに送信され得る。
【0080】
127e:船舶は、港湾123にある。このシステムは、コンプライアンスを維持していることを確認するために、排気を監視し続ける。ステップ127dでそうしなかった場合、船舶が港湾にある間、リポジトリ内のデータをこの時点で監視センター30にアップロードすることができる。
【0081】
127f:船舶は、下り経路125によって港湾を出発した。読み取り値は、排出ガスが内部SECA規格に準拠したままであることを示す。
【0082】
127g:システムが「不良」又は範囲外の読み取り値を持つサンプルを検出した。SECA境界120の外側で、船舶があまりにも早く高硫黄燃料に変更されたことが可能であり、又はこれは、不良なサンプル若しくは過渡状態によって引き起こされる偽の読み取り値であり得る。
【0083】
127h:システムは、サンプルが実際に非準拠状態を示し、偽の読み取り値に基づいていないことを確認するために、一定期間、より頻繁に読み取り値を得る。読み取り値は範囲外であり続けるため、システムはこれを非準拠の状況としてログに記録する。
【0084】
127j:船舶は、SECA境界120の外側にあるため、システムは、より高い範囲を適用する。システムによって得られた読み取り値は、再び「良好」であり、船舶がこの領域に適用される基準に準拠していることを示す。
【0085】
127k:船舶が次の港湾(マップ外)に到着すると、最後のアップロード以降に蓄積された全ての履歴データが船内リポジトリから中央サーバに送信される。
【0086】
アラートは、排気サンプリング装置10を備えた船舶上のユーザ、又はコンプライアンス若しくはコンプライアンス違反に関する執行機関若しくは政府機関に送信することができる。
【0087】
装着オプション
図8a~図8fは、船上排気サンプリング装置10の設置オプションの例を示す。図8a~図8d及び図8fでは、単一の煙突140があり、その中に複数の排出筒141、143、144、145、及び146がある。図8eは、図8aに示される種類の複数の煙突147a及び147bを示す。各図では、排気サンプリング装置10を設置するための場所142がボックスで示されている。
【0088】
図8a及び図8eは、前面装着オプションを示し、図8dは、背面装着オプションを示す。図8bは、船外側の設置を示す。
【0089】
図8cは、2本の直線パイプ141に加えて湾曲した排出筒144を有する船舶を示す。湾曲したパイプ144については、示されるようなサイドマウント142が好ましいであろう。
【0090】
図8fは、複数の排出筒149が「ウイング」の端部で煙突148から水平に離れた設計のクルーズ船煙突148を示す。
【0091】
自律リアルタイム二酸化硫黄及び二酸化炭素監視の方法
図7は、船舶排気ガスの自律リアルタイム二酸化硫黄及び二酸化炭素監視の方法を示す。
【0092】
第1のステップでは、監視センター30の監視システムは、海上船舶の排出ガス分析データ及び診断データを受信する(ステップ901)。データは、監視システムにデータアレイで送信され得る。
【0093】
排気分析データは、日付、時刻、緯度及び経度、二酸化硫黄値、二酸化炭素値、ガス湿度、ガス圧力、排気サンプリング装置10の高度、海上船舶の速度、及び海上船舶の方位、使用されている燃料タイプ、並びに海上船舶の排気に関連付けられた他の情報を含むことができる。追加的に、メタン、二酸化窒素、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素などの他のガス値も送信することができる。
【0094】
海上船舶の緯度及び経度データ、日付、時刻、高度、進路及び速度は、GPSシステム16に支給され得る。
【0095】
二酸化硫黄値、二酸化炭素値、及びメタン、二酸化窒素、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の値のいずれかは、好ましくは、通過帯域フィルタ248の後ろの検出器243からの生の検出器値である。
【0096】
ガス圧力及びガス温度は、好ましくは、センサ251を有するガス吸収セル240のサンプルチャンバ244内で得られる。
【0097】
ガス湿度は、相対湿度センサ250によって供給される。二酸化硫黄センサ値及び二酸化炭素センサ値は、電子ドライバ及びプロセッサ18によって、ガス吸収セル240によって提供される読み取り値から計算することができる。ガス圧力はまた、ガス圧力/温度センサ36によって提供され得る。
【0098】
診断データは、排気サンプリング装置内の温度センサからのエンクロージャ温度又は熱データ、バッテリ電圧、TEG電圧、ジオロケーション、サンプルガス調節、プレフィルタ又は層状フィルタ内に存在するフィルタ圧力、及び改ざん検出カウントを含むことができる。
【0099】
エンクロージャ温度は、排気サンプリング装置内の内部ガス圧力/温度センサによって得られ、データの異常が、排気サンプリング装置を排気サンプリング装置の熱動作公差から外す環境状況によって引き起こされる可能性があることを判定する。
【0100】
バッテリ電圧とTEG電圧は、内部アナログデジタル(ADC)コンバータを使用して測定され、熱エネルギー収集の有効性とバッテリ容量及び劣化とを監視する。
【0101】
フィルタ圧力は、サンプルの真空ポンプ圧送ガスの前とポンプ圧送直後のガス経路の真空圧力の差の尺度であり、これは、時間の経過と共にフィルタの目詰まりの傾向を示すことができる。ガス圧力センサは、層状フィルタ34の排出口219又は吸入口207内に存在し得る。追加的に、圧力/温度センサ36を使用することができる。
【0102】
改ざんカウントは、排気サンプリング装置10のハウジングが取り外されたか、又は開かれたかを示し、排気サンプリング装置が製造以来開かれたかどうかを示す、光検出器が光に露出された回数の集計であり、これは、カウントの増加後の値に疑問を投げかけることになる。改ざん検出カウントがトリガされる場合、データは引き続き収集されるが、欠陥がある可能性があるとしてフラグが立てられることに留意されたい。
【0103】
データ収集又は監視センター30へのデータの送信のいずれかについて、船舶データシステムへの接続がないことに留意されたい。
【0104】
監視センター30に提供されるデータは、追加の船舶データで補足することができる。例えば、正午のレポートを取得して、燃料消費量と、海上船舶が特定の燃料消費量の間にある、又はその間にあった関連付けられた気象状況を理解するための追加のデータを提供することができる。
【0105】
診断データは、排気サンプリング装置10が正しく機能しているかどうか、排気サンプリング装置10が改ざんされているかどうか、又は排気サンプリング装置10がデバイス寿命終了前に交換されるべきかどうかを判定するために使用される。
【0106】
監視センター30の監視システムは、データを抽出し、リポジトリ内にデータを記憶する(ステップ902)。
【0107】
次いで、監視システムは、距離及び時間にわたる炭素排気率を計算し、リポジトリに炭素排気率を記憶する(ステップ903)。
【0108】
監視システムは、特定の場所での燃料レベルにおける硫黄排気率を計算し、硫黄排気率及び海上船舶の特定の場所をリポジトリに記憶する(ステップ904)。
【0109】
監視システムは、海上船舶の特定の場所が規制ゾーン内にあるかどうかを判定する(ステップ905)。規制ゾーンは、境界を描く緯度及び縦方向座標のリストによって画定される。例えば、ジオフェンスは、各サンプルが任意の境界内又は境界外で得られるかどうかを判定するために使用することができる。
【0110】
海上船舶の特定の場所が規制ゾーン内にあり(ステップ906)、硫黄排気率が規制ゾーンの予想される範囲内にある場合(ステップ907)、監視システムは、硫黄排気率が予想される範囲内にあることと、海上船舶の燃料コンプライアンスとに関する通知をユーザに送信し(ステップ908)、この方法は終了する。特定の場所での硫黄レベルと関連付けられた限界値の計算は、MARPOL Annex VIのRegulation 14に基づいている。
【0111】
ユーザは、海上船舶の所有者、海上船舶の船長、又は海上船舶に存在する他の人、沿岸警備隊、他の法執行機関、又は燃料消費量若しくは環境要因を監視するユーザ、他のユーザであり得る。
【0112】
特定の場所が規制ゾーン内にあり(ステップ906)、硫黄排気率が規制ゾーンの予想される範囲内にない場合(ステップ907)、監視システムは、排気サンプリング装置10が正しく機能しているかどうかを判定する(ステップ909)。排気サンプリング装置10の機能は、診断データを所定のパラメータ内の基準ポイントと比較することによって判定することができる。監視システムが、所定のパラメータの外で機能することによって排気サンプリング装置10が正しく機能していない、又は改ざんされていると判定した場合(ステップ910)、代替の排気サンプリング装置10が海上船舶に送信され、計算された硫黄排気率を用いてユーザに通知が送信され(ステップ911)、方法が終了する。排気サンプリング装置の改ざんは、受信された改ざんカウントによって判定することができる。
【0113】
特定の場所が規制ゾーン内にあり(ステップ906)、硫黄排気率が規制ゾーンの予想される範囲内にない場合(ステップ907)、監視システムは、二酸化硫黄排気装置10が正しく機能しているかどうかを判定する(ステップ909)。監視システムが、排気サンプリング装置10が所定のパラメータ内で正しく機能しており、改ざんカウントが所定の量を超えていないと判定した場合(ステップ910)、計算された硫黄排気率及びコンプライアンス違反に関する通知がユーザに送信され(ステップ912)、方法は終了する。
【0114】
特定の場所が規制ゾーン内にない場合(ステップ906)、方法は終了する。
【0115】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート例解図及び/又はブロック図を参照して本明細書に説明されている。フローチャート例解図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート例解図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることが理解されよう。
【0116】
図におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態による、システム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、及び動作を例解する。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能(複数可)を実装するための1つ以上の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメント、又は部分を表し得る。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序から外れて発生し得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行され、又はブロックは、関与する機能性に応じて、時には逆の順序で実行され得る。また、ブロック図及び/又はフローチャート例解図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート例解図におけるブロックの組み合わせは、指定された機能又は作用を実行する、又は特殊目的ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する特殊目的ハードウェアベースのシステムによって実装することができることにも留意されたい。
【0117】
本発明は、任意の可能な技術的詳細レベルの統合におけるシステム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であり得る。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読記憶媒体(又は媒体)を含み得る。
【0118】
ユーザインターフェース
図12は、船舶データをクライアントに伝達するための例示的なユーザインターフェースを示す。ディスプレイは、図に示すように、タブレットディスプレイ510などの所望される任意のハードウェア上に実装され得る。図中の例示的なディスプレイは、時間データセクション512に分割され、時間データセクション512は、地理的場所(lat/lon)513及び時間514についての列を有する。スクロールバー523は、当技術分野に共通の様式でテーブルを容易にナビゲートするように提供することができる。識別セクション515は、写真524及び「タイプ:ドライバルク」の注記などの他の情報を含み得る、船舶の識別に関する情報を例示的なディスプレイに表示するために提供することができる。検索ボックス516も提供され得る。
【0119】
マップ表示511は、時間データセクション512に示される時間間隔中の船舶の経路118を示す。時間データエントリ521のうちの1つが選択され、その時点でのその経路518上の船舶の場所は、マップ上の円520によって示される。
【0120】
マップはまた、一点鎖線517によってSECAの境界を示す。港湾に入港する船舶は、SECA517の境界を越える前に、低硫黄燃料に切り替える必要がある。
【0121】
この例では、船舶は、燃料の切り替えが遅れた。船舶が航路518の点線部分519にあった時間中、船舶は、依然として高硫黄を燃焼しており、これは、船舶がこの期間中にコンプライアンスから外れていたことを意味する。このコンプライアンス違反期間に対応する時間データ表示512上のエントリ522は、違反の発生を示すために強調表示される。
【0122】
代替的な実施形態
排気センサ装置300は、図12のユーザインターフェース及びサンプリングデータ収集に加えて、図7で考察されたように船舶排気ガスの自律リアルタイム二酸化硫黄及び二酸化炭素監視の同じ方法、並びに前に考察されたように電子機器及びプロセッサを使用することができる。
【0123】
図14図18を参照すると、排気センサ装置300は、装着プレート615を通って、海上船舶上の煙突の少なくとも1つの排出筒141に取り付けられる。この実施形態では、装着プレート615は、装着ストラップ620、621を通って排出筒141に固定されており、装着ストラップ620、621は、排出筒141の外周141a全体を取り囲み、かつ装着ストラップ620、621を装着プレート615に接続するアンカーストラップ623、625、627、629上のストラップ締結ナット622、624、626、628を使用して、排出筒141の外周に対して締め付けられている。
【0124】
より具体的には、図18に示されるように、装着プレート615は、第1のフランジ615bと、第1のフランジ615bの反対側にある第2のフランジ615cと、を有するバックプレート615aを有する。第1のフランジ615bは、第1の穴616a及び第2の穴616bを有する。第1のフランジ615bの第1の穴616aは、第1のストラップ締結ナット622を有する第1のアンカーストラップ623を受容し、装着ストラップ620の第1の端部620aに接続する。第1のフランジ615bの第2の穴616bは、第2のストラップ締結ナット624を有する第2のアンカーストラップ625を受容し、装着ストラップ621の第1の端部621aに接続する。第2のフランジ615cは、第1の穴616c及び第2の穴616dを有する。第2のフランジ615cの第1の穴616cは、第3のストラップ締結ナット626を有する第3のアンカーストラップ627を受容し、装着ストラップ620の第2の端部620bに接続する。第2のフランジ615cの第2の穴616dは、第4のストラップ締結ナット628を有する第4のアンカーストラップ629を受容し、装着ストラップ621の第2の端部621bに接続する。バックプレート615aには、ヒートシンク478を含む熱電発電器(TEG)アセンブリ450が装着されており、ヒートシンク478は、以下で更に詳細に説明される。
【0125】
図17を参照すると、TEGアセンブリ450及びヒートシンク478を取り囲んでいるのは、ヒートシンクハウジング606である。ヒートシンクハウジング606は、バックプレート615aのボルト608を受容する第1のフランジ607aであって、第1のフランジ607aがバックプレート615aに平行であるように、装着プレート615の第1のフランジ615bとバックプレート615aの熱ブロック伝達部479との間に受容される、第1のフランジ607aを有する。第2のフランジ607bは、バックプレート615aのボルト608を受容し、装着プレートの第2のフランジ615cと熱ブロック伝達部479との間に受容される。ヒートシンクハウジング606の第1のフランジ607aに接続されているのは、放熱のための複数の穴610aを含む「L」の垂直部分610と、第1のフランジ607aに垂直な垂直部分610の端部610bと、を有するL字形ブラケット609である。「L」の水平部分611は、センサガスデバイス経路のためのハウジング650を受容するための平坦面611aを形成する。ヒートシンクハウジング606の第2のフランジ607bに接続されているのは、L字形ブラケット612であり、これは、L字形ブラケット609の鏡像である。L字形ブラケット612は、ヒートシンクハウジング606の第2のフランジ607bに接続されている。「L」の垂直部分613は、放熱のための複数の穴613aを含む。垂直部分613の端部613bは、第2のフランジ607bに垂直である。「L」の水平部分614は、センサガスデバイス経路のためのハウジング650を受容するための平坦面614aを形成する。L字形ブラケット609とL字形ブラケット612とを接続することは、追加の放熱のための一連の穴617aを有する底部ピース617である。平坦面611aに平行であり、かつL字形ブラケット609の垂直部分610に垂直であるのは、反転L字形ピース618である。平坦面614aに平行であり、かつ垂直部分613に垂直であるのは、反転Lピース619である。両方の反転Lピース618、619は、底部ピース617の反対側にあり、凝縮器チャンバ400が装着されている平坦部を提供する。凝縮器チャンバ400は、サンプルガスチューブ344に接続されている。
【0126】
図16を参照すると、ボルト620を介してヒートシンクハウジングの平坦部611a、614aに装着され、かつ固定されているのは、センサガスデバイス経路のためのハウジング650である。ハウジング650内には、ポンプ350、ガス乾燥チューブ351、352、NDIR光学チューブ又はガス吸収セル240、温度/湿度センサ353、検出器243、エミッタ242、及び微粒子フィルタ355がある。また、電子機器ドライバ及びプロセッサ12、衛星モデム14、グローバルポジショニングシステム16、並びに電力管理及びバッテリバックアップシステム24も存在するが、図示されていない。
【0127】
図15に示されるように、ハウジング650及び凝縮器チャンバ400を取り囲んでいるのは、外側ハウジング600である。外側ハウジング600は、ハウジング650のねじ651と係合する。外側ハウジング600は、装置のサブシステムを汚れ、空気中の粉塵粒子(IP66又はNEMA 4x定格)から取り囲み、保護する。
【0128】
図14及び図19は、サンプルガスチューブ344を介して排気センサ装置300に接続された別個の排気サンプリング装置335を示す。サンプリング装置335及び排気センサ装置300は、一緒に、排気サンプリング装置を形成すると考えられることに留意されたい。サンプリング装置335は、クランプ320を介して、排出筒141の外周141aに装着され、排出サンプル吸入口307が、排出筒141を出る排出ガス50内に存在する。排出サンプル吸入口307は、第1の開放端307a及び第2の開放端307bを有するチューブ又は他の同様の形状である。排出サンプル吸入口307内には、フィルタシールド335によって取り囲まれた大型微粒子フィルタ334がある。フィルタシールド335は、依然として排気が入ることを可能にしながら、微粒子フィルタ334を保護する。微粒子フィルタ334は、ガスサンプルチャネル336を通って圧縮継手338によって、第1の端部344aでサンプルガスチューブ344に接続される。大型微粒子フィルタ344は、多孔質ステンレス鋼フィルタであり得、0.05ミクロンを超える微粒子を除去し得る。
【0129】
サンプリング装置335を接続するために示されるクランプ320は、ボルトフレーム321及びボルト322を含むが、他の手段も使用され得る。
【0130】
排出筒141内の排出ガス50は、サンプルガス吸入口344を通って流れ、排出ガス50のいくらかは、大型微粒子フィルタ344内を流れる。大型微粒子フィルタ344を出た後、排出ガス50は、ガスサンプルチャンバ336を通って、ガスサンプルチューブ344に流れる。次いで、排出ガス50は、ガスサンプルチューブ344の第2の端部344bを出て、排気センサ装置300内の凝縮器400に流れる。
【0131】
図22を参照すると、排出ガス50は、凝縮器チャンバ400の第1の端部400aに入り、第2の端部400bに流れ、ポンプ350によって真空引きされるとき、サンプルガス送出アンブレラバルブ402を通って、ガス乾燥チューブ351、352に接続されたガスサンプル排出チューブ403に流れる。サンプルガス送出アンブレラバルブ402は、ポンプ350が係合されたときに排出ガス50が排出されることを可能にするためにのみ開くことに留意されたい。排出ガス50は、凝縮器チャンバ400を取り囲む凝縮器ブロック401によって、凝縮器チャンバ400内で冷却される。凝縮チャンバ400は、ガスサンプルチューブ344のガスサンプル入力又は第2の端部344bを通って不注意に取り込まれた凝縮又は水を収集する。凝縮吐出ポートアンブレラバルブ404は、ポンプ350によって凝縮器チャンバ400内で真空引きされる場合を除いて、凝縮が凝縮出力400cを通って凝縮器チャンバ400を出ることを可能にする。
【0132】
図20は、センサデバイスのガス経路を示す。ガス乾燥チューブ351、352及びNDIR光学チューブ又はガス吸収セル240は、検出器243とエミッタ242との間に存在する。ガス吸収チューブ245上には、ポンプ350及び温度/湿度センサ354が存在する。微粒子フィルタ355は、乾燥チューブ351、352とガス吸収セル240との間に存在する。ガス出口245は、乾燥チューブ351、352から離れて存在する。
【0133】
ガスサンプル排出チューブ403は、乾燥チューブ351、352に接続されて、排出ガスサンプル内に存在する任意の追加の水分を抽出する。ガス乾燥チューブ351は、好ましくは、図21に示されるように、水蒸気が中空チューブのポリマー壁を通過することを可能にするポリマーで作製された中空チューブである。ガス乾燥チューブ351は、好ましくはNafion(商標)チューブであるが、他のチューブも使用され得る。ガス乾燥チューブ351は、中空チューブ又はシェル352によって取り囲まれている。ガス乾燥チューブ351は、湿潤サンプル排出ガス50を受容するための第1の端部351aと、乾燥排出サンプルガス50を出力するための第2の端部351bとを有する。
【0134】
排出ガスサンプル50がガス乾燥チューブ351を出た後、ガスは、微粒子フィルタ355を通って移動し、湿度、温度及び圧力センサ354を介してガス吸収セル240を通過する。ガス吸収セル240は、図6に示されるように、非分散赤外線吸収分光法(NDIR-AS)を利用する。排出フランジ218の排出口219から、排出ガス蒸気は、ガス吸収セル240の吸入ポート241へと通過する。排出ガスサンプルが排出ガス蒸気50を通過した後、ガス吸収セル240を出て、ガス乾燥チューブ351の第2の端部351bの近くの乾燥パージガス入口376へと流れる。排出ガス50aは、シェル内のポンプ350によって、ガス乾燥チューブ351の第1の端部351aの近くの湿潤パージガス出口375にポンプ圧送される。
【0135】
乾燥排出ガスに相当する、乾燥パージガス50a中の水蒸気の分圧は、排出ガスサンプル50中のガス乾燥チューブ351中に存在する水蒸気が、ガス乾燥チューブ351のポリマーを通って、第2の端部351bに出る前に、シェル352内のパージガス経路に伝達されるように、サンプル排出ガス50中よりも小さい。湿潤パージガス出口375から、流体は、ガス出口245に流れ、排気サンプリング装置300を出る。
【0136】
図23は、熱電発電器アセンブリを示す。
【0137】
ヒートシンクハウジング606内には、熱発電機(TEG)450及びヒートシンク478がある。TEG450及びヒートシンク478の出力は、排気サンプリング装置300に電力を供給するために電力管理及びバックアップシステム24に電力を供給する電源コネクタ(図示せず)である。
【0138】
排出筒141からの熱は、熱伝達パッド480を通して吸収される。熱伝達パッド480は、可塑性接着材料であり、排出管141の予想される直径のばらつきに適応して、熱伝達ブロック479への熱伝達を最大化することができる。熱伝達パッド480は、熱伝達ブロック479に取り付けられている。熱伝達ブロック479は、予想される排出筒141の直径の曲率に適応し、聴覚をTEG476のサイズに一致する表面積まで運ぶように湾曲している。熱伝達ブロック479の狭まりは、ヒートシンク478上への放射熱を直接遮断する絶縁体又はヒートシールドの層を可能にすることに留意されたい。
【0139】
熱伝達ブロック479は、TEG450を通ってヒートシンク478に接続される。ヒートシンクは、第1の一対のねじ475a及び第2の一対のねじ475bによって熱伝達ブロック479に固定されている。ねじ475a、475bは、ねじ475a、475bの対とヒートシンク478との間に存在するばね477a、477bを圧縮して、ヒートシンク478と熱伝達ブロック479との間にTEG450を保持する。ばね477a、477bは、ヒートシンク478及び熱伝達ブロック479の熱膨張及び熱収縮に屈し、TEG450を損傷から保護する、TEG450を通る熱伝達を強化するために強い圧力を加える。
【0140】
ヒートシンク478は、フィン481の大きい表面積を通って熱を放散する「冷却」又は放熱側478aを有する。フィン481は、ばね477a、477bが平坦面に接触することを可能にする様式で切断されることに留意されたい。
【0141】
TEG476は、排出筒141の外周141aに装着されたときに、熱伝達ブロック479とヒートシンク478との間に見られる熱差に基づいて、適切な電力を生成する。ヒートシンク478は、TEG476から熱を引き出す。言い換えれば、TEG476は、ヒートシンク478の放熱側478aを通って熱を冷却及び放散しながら電力を発生させ、電位を生成し、電力管理及びバッテリバックアップシステム24に蓄積及び伝達することができ、及び/又はワイヤ(図示せず)を介して排気サンプリング装置300に直接電力を供給する。
【0142】
電力管理及びバッテリバックアップシステム24は、排気サンプリング装置10のバッテリの電圧及び環境仕様に従って、TEG476からのバッテリ充電を制御する。電力管理及びバッテリバックアップシステム24によって、時間及び温度にわたる電圧及び電流の流れの監視に基づいた充電状態計算が行われる。充電状態の値は、電池が欠陥状態又は低充電状態にあるときに警告をトリガすることを可能にする。
【0143】
したがって、本明細書に開示される本発明の実施形態は、本発明の原理の適用の例解にすぎないものであることが理解されるべきである。例解された実施形態の詳細への本明細書の参照は、特許請求の範囲の範囲を限定することを意図せず、特許請求の範囲は、それ自体が、本発明に不可欠であるとみなされるそれらの特徴を列挙している。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2E
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】