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特表2024-533096心臓弁の弁尖をクランプするためのデバイス、システム、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】心臓弁の弁尖をクランプするためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513499
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022042096
(87)【国際公開番号】W WO2023034343
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/239,467
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アボット、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】エッゲルト、ジョエル ティ.
(72)【発明者】
【氏名】シューイ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】コウデラ、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ギース、トロイ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】キリーン、ラリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ロール、ジェームズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ミッチェル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC16
4C097SB10
(57)【要約】
クリップおよびクリップ配備および送達システム。クリップは、クリップとクリップスプレッダとの間の摺動移動などの簡単な相対移動がクリップとクリップスプレッダとを互いから係合解除させるように、クリップスプレッダと係合され得る。クリップスプレッダアクチュエータは、クリップスプレッダの一方のアームに連結され、クリップスプレッダの遠位端の周りで遠位に延び、他方のクリップスプレッダアームに沿って近位に延び、かつアクチュエータがクリップスプレッダを開閉するように制御され得る近位端まで延び得る。クリップは、一方のアームに歯を有し、他方のアームにバンプを有する弁尖クリップであり得る。弁尖クリップのアームは、クリップアームの一方のみから横方向に延在する拡張部分を有するフレックスゾーンによって閉鎖形態に付勢され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁尖クリップ送達および配備システムであって、
心房スプレッダアームおよび心室スプレッダアームを有するクリップスプレッダと、
心房クリップアームおよび心室クリップアームを有する弁尖クリップと、を備え、
前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームは、前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームを共に保持するように構成された嵌め合い心房保持要素を有しており、
前記心室スプレッダアームおよび前記心室クリップアームは、前記心室スプレッダアームおよび前記心室クリップアームを共に保持するように構成された嵌め合い心室保持要素を有しており、
前記嵌め合い心房保持要素または前記嵌め合い心室保持要素のうちの少なくとも1つは、摺動係合および摺動係合解除するように構成されている、弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項2】
前記心房クリップアームの前記心房保持要素または前記心室クリップアームの前記心室保持要素のうちの少なくとも1つは、開口を備える、請求項1に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項3】
前記心室スプレッダアームの前記心室保持要素は、フックを備えており、前記フックは、開口の形態の前記心室クリップアームの心室保持要素に係合し、摺動移動によって前記開口から係合解除するように構成されている、請求項1または2に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項4】
前記弁尖クリップは、前記心室スプレッダアームの前記心室保持要素の相対的な遠位摺動移動または前記心室クリップアームの前記心室保持要素の近位摺動移動によって前記クリップスプレッダから係合解除される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項5】
前記心房スプレッダアームの前記心房保持要素は、開口の形態の前記心房クリップアームの心房保持要素に嵌合するように構成されたボスを備えており、
前記心房保持要素は、前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームを係合状態に維持するために前記ボスと係合される係合位置と、前記ボスから係合解除され、かつ前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームがそれらの間の相対移動の結果として互いから係合解除することを可能にする係合解除位置との間でシフト可能なワイヤの形態の可動保持要素をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項6】
前記心房スプレッダアームの前記心房保持要素は、開口の形態の前記心房クリップアームの心房保持要素に嵌合するように構成されたボスを備える、請求項1または2に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項7】
前記心房保持要素は、前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームを係合状態に維持する係合位置と、前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームがそれらの間の相対移動の結果として互いから係合解除することを可能にする係合解除位置との間でシフト可能な可動保持要素をさらに備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項8】
前記可動保持要素は、前記ボスと係合する係合位置と前記ボスから係合解除された係合解除位置との間でシフト可能である、請求項7に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項9】
前記クリップスプレッダは、前記弁尖クリップのフレックスゾーンを収容するように構成された凹部を備え、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームは、前記弁尖クリップの前記フレックスゾーンを中心に、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームの間に組織を受け入れるための開放形態と、組織上でクランプするための閉鎖形態との間で移動する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項10】
前記クリップスプレッダは、前記心房スプレッダアームと前記心室スプレッダアームとの間にあるピボットを備えており、
前記弁尖クリップは、前記心房クリップアームと前記心室クリップアームとの間にあるフレックスゾーンを備えており、
前記フレックスゾーンは、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームを組織上でクランプするための閉鎖形態に付勢し、かつ前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームが互いから離れるように移動することを可能にするように屈曲性を有しており、
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームおよび前記フレックスゾーンは、前記心房スプレッダアームおよび前記心室スプレッダアームを閉鎖形態に保持し、
前記弁尖クリップ送達および配備システムは、前記心室スプレッダアームに連結点で連結された遠位端を有するクリップスプレッダアクチュエータをさらに備えており、前記クリップスプレッダアクチュエータは、前記連結点から遠位に、前記クリップスプレッダの周りに、前記心室スプレッダアームに沿って近位に、かつ前記心室スプレッダアームの近位端に近位に延在する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項11】
クリップスプレッダに摺動可能に係合するように構成された弁尖クリップであって、
心房クリップアームと、
心室クリップアームと、
前記心房クリップアームと前記心室クリップアームとの間にあるフレックスゾーンと、を備え、前記フレックスゾーンは、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームを組織上でクランプするための閉鎖形態に付勢し、かつ前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームが互いから離れるように移動することを可能にするように曲がり、
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの少なくとも1つは、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームを互いから離れるように移動させるように構成されたクリップスプレッダと摺動係合および摺動係合解除するように構成されている、弁尖クリップ。
【請求項12】
前記心房クリップアームまたは前記心室クリップアームのうちの少なくとも1つに開口が形成されており、前記開口は、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームを互いから離れるように移動させるように構成されたクリップスプレッダと摺動係合および摺動係合解除するように構成されている、請求項11に記載の弁尖クリップ。
【請求項13】
前記フレックスゾーンは、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの一方のみから外側に延在している、請求項11または12に記載の弁尖クリップ。
【請求項14】
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの一方は、歯の形態の突起を備えており、
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの他方は、バンプの形態の突起を備えており、
前記歯および前記バンプは協働して、前記心房クリップアームと前記心室クリップアームとの間の組織に係合する、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。
【請求項15】
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの少なくとも1つに切れ目が形成され、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの少なくとも1つの一部が、前記切れ目に沿って曲げられて、組織に係合するための歯を形成している、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、埋め込み型医療デバイスの分野に関する。特に、本開示は、心臓治療のための医療デバイス、システム、および方法に関する。より詳細には、本開示は、心臓に人工腱索を送達および移植するためなど、弁尖クリップを心臓弁に結合するための医療デバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓房室弁機能不全(atrioventricular heart valve malfunctions)を含む心疾患は、患者の心拍出量を低下させ、これにより、患者の生活の質を低下させ、且つ寿命を縮める。心臓を通る適切な血流は、とりわけ、心臓弁、例えば、周期的に開閉して血液が一方向に流れることを可能にする軟組織の弁尖(leaflet)を含む心臓房室弁によって、調整される。健康的な弁尖は、反対方向の血流(逆流)を防止する。弁尖から乳頭筋まで延びる腱索は、例えば収縮期の閉鎖中に乳頭筋へ負荷を分配することによって、及び弁尖が心房内へと動揺する(flailing)ことを防止することによって、弁尖の適切な機能を支援する。心臓疾患が進行するにつれて、心室の乳頭筋を弁尖に接続する腱索は、非弾性的に伸長して断裂する場合がある。伸長、断裂、肥厚、退縮、石灰化、非弾的伸長、またはその他の弾性における変化など、腱索の様々な欠陥または不全またはその他の不適切な機能により、心臓弁の不適切な閉鎖(例えば、封鎖)および/または動揺弁尖が生じ得、これは、正常な心臓機能のための弁の封鎖形成する能力をもはや有していないかもしれない。心室から心房への異常な血流逆流が発生し、心血管系を通して送達される血液の適切な供給を妨げ得る。
【0003】
心臓弁疾患は、通常、侵襲的外科的介入を介して又は2つの小さい開口部を形成する弁尖を合わせて挟む複雑な挟み付け若しくは自己弁の心臓弁置換により修復される。これらの手法は、危険なバイパス手術を伴う可能性があり、バイパス手術は、心臓弁を直接目視及び修復のために露出させる患者の胸部及び心腔の切開を含み得る。外科リングの植込みと合わせた患者の弁尖の切除、部分的除去および/または修復は、外科医が患者の心臓弁輪の直径を縮小させ、従って弁尖が適切に接合し、心臓弁逆流を低減させることを可能にするために使用される複雑な技法である。いくつかの技法は、逆流をわずかに低減させることができるが、耐久性のある解決法を提供しないことがあり得、弁の損傷した腱索を修復および/または置換しない。従って、僧帽弁疾患に対する経管的解決法が必要である。
【0004】
将来の介入のための選択肢を維持しながら、弁尖などの心臓弁を修復するためなどに、組織クリップのための、および/または組織クリップを送達および配備するための低侵襲性の解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の本概要は、理解の助けとなるように与えられ、及び当業者は、本開示の様々な態様及び特徴のそれぞれが、場合によっては別々に、又は他の場合には本開示の他の態様及び特徴と組み合わせて、好都合に使用されてもよいことを理解するであろう。本概要において、要素、構成要素等の包含又は非包含のいずれかによる、特許請求する主題の範囲に関する限定は意図していない。
【0006】
本開示の種々の原理によれば、弁尖クリップ送達および配備システムは、心房スプレッダアームおよび心室スプレッダアームを有するクリップスプレッダと、心房クリップアームおよび心室クリップアームを有する弁尖クリップとを含む。心房スプレッダアームおよび心房クリップアームは、心房スプレッダアームおよび心房クリップアームを共に保持するように構成された嵌め合い心房保持要素を有する。心室スプレッダアームおよび心室クリップアームは、心室スプレッダアームおよび心室クリップアームを共に保持するように構成された嵌め合い心室保持要素を有する。嵌め合い心房保持要素または嵌め合い心室保持要素のうちの少なくとも1つは、摺動係合および摺動係合解除するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、心房クリップアームの心房保持要素または心室クリップアームの心室保持要素のうちの少なくとも1つは、開口を含む。いくつかの実施形態では、心室スプレッダアームの心室保持要素は、フックを含んでおり、フックは、開口の形態の心室クリップアームの心室保持要素内に係合し、摺動移動によって開口から係合解除するように構成されている。いくつかの実施形態では、弁尖クリップは、心室スプレッダアームの心室保持要素の相対的な遠位摺動移動または心室クリップアームの心室保持要素の近位摺動移動によってクリップスプレッダから係合解除される。いくつかの実施形態では、心房スプレッダアームの心房保持要素は、開口の形態の心房クリップアームの心房保持要素に嵌合するように構成されたボスを含み、任意選択的に、心房保持要素は、心房スプレッダアームおよび心房クリップアームを係合状態に維持するためにボスと係合される係合位置と、ボスから係合解除され、かつ心房スプレッダアームおよび心房クリップアームがそれらの間の相対移動の結果として互いから係合解除することを可能にする係合解除位置との間でシフト可能なワイヤの形態の可動保持要素をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、心房スプレッダアームの心房保持要素は、開口の形態の心房クリップアームの心房保持要素に嵌合するように構成されたボスを含み、心房保持要素は、心房スプレッダアームおよび心房クリップアームを係合状態に維持する係合位置と、心房スプレッダアームおよび心房クリップアームがそれらの間の相対移動の結果として互いから係合解除することを可能にする係合解除位置との間でシフト可能な可動保持要素をさらに含む。いくつかの実施形態では、可動保持要素は、ボスと係合する係合位置と、ボスから係合解除された係合解除位置との間でシフト可能である。
【0009】
いくつかの実施形態では、クリップスプレッダは、弁尖クリップのフレックスゾーンを収容するように構成された凹部を有し、弁尖クリップの心房クリップアームおよび心室クリップアームは、フレックスゾーン(flex zone)を中心に、心房クリップアームおよび心室クリップアームの間に組織を受け入れるための開放形態と、組織をクランプするための閉鎖形態との間で移動する。
【0010】
いくつかの実施形態では、クリップスプレッダは、心房スプレッダアームと心室スプレッダアームとの間にあるピボットを含み、弁尖クリップは、心房クリップアームと心室クリップアームとの間にあるフレックスゾーンを含み、フレックスゾーンは、心房クリップアームおよび心室クリップアームを組織上でクランプするための閉鎖形態に付勢し、かつ心房クリップアームおよび心室クリップアームが互いから離れるように移動することを可能にするように曲がり、心房クリップアームおよび心室クリップアームおよびフレックスゾーンは、心房スプレッダアームおよび心室スプレッダアームを閉鎖形態に保持し、弁尖クリップ送達および配備システムは、心室スプレッダアームに連結点で連結された遠位端を有するクリップスプレッダアクチュエータをさらに備え、クリップスプレッダアクチュエータは、連結点から遠位に、クリップスプレッダの周りに、心室スプレッダアームに沿って近位に、かつ心室スプレッダアームの近位端に近位に延在する。
【0011】
本開示の様々な原理によれば、弁尖クリップは、クリップスプレッダに摺動可能に係合するように構成されている。いくつかの態様では、弁尖クリップは、心房クリップアームと、心室クリップアームと、心房クリップアームと心室クリップアームとの間にあるフレックスゾーンとを含み、フレックスゾーンは、心房クリップアームおよび心室クリップアームを組織上でクランプするための閉鎖形態に付勢し、かつ心房クリップアームおよび心室クリップアームが互いから離れるように移動することを可能にするように曲がり、心房クリップアームおよび心室クリップアームのうちの少なくとも1つは、心房クリップアームおよび心室クリップアームを互いから離れるように移動させるように構成されたクリップスプレッダと摺動係合および摺動係合解除するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、心房クリップアームまたは心室クリップアームのうちの少なくとも1つに開口が形成されており、開口は、心房クリップアームおよび心室クリップアームを互いから離れるように移動させるように構成されたクリップスプレッダと摺動係合および摺動係合解除するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、フレックスゾーンは、心房クリップアームおよび心室クリップアームのうちの1つのみから外側に延在している。
いくつかの実施形態では、心房クリップアームおよび心室クリップアームのうちの一方は、歯の形態の突起を含み、心房クリップアームおよび心室クリップアームのうちの他方は、バンプの形態の突起を含み、歯およびバンプは、協働して、心房クリップアームと心室クリップアームとの間の組織に係合する。
【0014】
いくつかの実施形態では、心房クリップアームおよび心室クリップアームの少なくとも一方に切れ目が形成され、心房クリップアームおよび心室クリップアームの少なくとも一方の一部が切れ目に沿って曲げられて、組織に係合するための歯を形成している。
【0015】
いくつかの実施形態では、フレックスゾーンによって互いに連結された心房クリップアームおよび心室クリップアームを有する弁尖クリップを配備する方法は、心房クリップアームまたは心室クリップアームのうちの少なくとも1つをクリップスプレッダの対応する心房スプレッダアームまたは心室スプレッダアームと摺動可能に係合させるステップと、弁尖クリップを配備して別の要素をクランプするステップと、弁尖クリップおよびクリップスプレッダを互いに対して摺動可能に移動させて、心房クリップアームまたは心室クリップアームのうちの少なくとも1つをクリップスプレッダから解放させるステップと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、弁尖クリップを弁尖上でクランプするステップと、弁尖の動きを許容して、弁尖クリップをクリップスプレッダから摺動させるステップとをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、人工腱索を弁尖クリップから心室壁まで延在させるステップと、人工腱索に関連付けられた構成要素を、弁尖クリップの配備部位から離れた弁尖の交連または裂隙に移動させるステップと、人工腱索に対する張力を調節するステップと、弁尖の機能を観察するステップとをさらに含む。いくつかの実施形態では、心室クリップアームは、心室スプレッダアームと摺動可能に係合されて、心房クリップアームおよび心室クリップアームの間にクランプされた弁尖の動きにより、心室クリップアームが心室スプレッダアームとの係合から外れて摺動する。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、弁尖クリップを弁尖上でクランプするステップと、クリップスプレッダをクランプされた弁尖に対して遠位に前進させて、弁尖クリップとクリップスプレッダとを摺動により係合解除するステップとをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、アクチュエータを作動させて心房スプレッダアームおよび心室スプレッダアームを互いから離れるように移動させることによって、心房クリップアームおよび心室クリップアームを互いから離れるように移動させるステップをさらに含む。
【0019】
弁尖クリップ送達および配備システムはまた、心室スプレッダアームの心室保持要素が、フックを含んでおり、フックは、開口の形態の心室クリップアームの心室保持要素に係合し、摺動移動によって開口から係合解除するように構成されていることを含み得る。
【0020】
弁尖クリップ送達および配備システムはまた、弁尖クリップが、心室スプレッダアームの心室保持要素の相対的な遠位摺動移動または心室クリップアームの心室保持要素の近位摺動移動によってクリップスプレッダから係合解除されることを含み得る。
【0021】
弁尖クリップ送達および配備システムはまた、心房スプレッダアームの心房保持要素が、開口の形態の心房クリップアームの心房保持要素内に嵌合するように構成されるボスを含み、心房保持要素が、心房スプレッダアームおよび心房クリップアームを係合された状態に維持するためにボスと係合される係合位置と、ボスから係合解除され、かつ心房スプレッダアームおよび心房クリップアームがそれらの間の相対移動の結果として互いから係合解除されることを可能にする係合解除位置との間でシフト可能なワイヤの形態の可動保持要素をさらに含むことを含み得る。
【0022】
弁尖クリップ送達および配備システムはまた、心房保持要素が、心房スプレッダアームおよび心房クリップアームを係合された状態に維持する係合位置と、心房スプレッダアームおよび心房クリップアームがそれらの間の相対移動の結果として互いから係合解除されることを可能にする係合解除位置との間でシフト可能な可動保持要素をさらに含むことを含み得る。
【0023】
弁尖クリップ送達および配備システムはまた、心房スプレッダアームの心房保持要素が、開口の形態の心房クリップアームの心房保持要素に嵌合するように構成されたボスを含むことを含み得る。
【0024】
弁尖クリップ送達および配備システムはまた、可動保持要素が、ボスと係合される係合位置とボスから係合解除される係合解除位置との間でシフト可能であることを含み得る。
方法はまた、心房クリップアームと心室クリップアームとの間にクランプされた弁尖の移動により、心室クリップアームが心室スプレッダアームとの係合から外れて摺動するように、心室クリップアームが心室スプレッダアームと摺動可能に係合されていることを含み得る。他の技術的特徴は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲から当業者には容易に明らかになり得る。
【0025】
本開示の種々の原理によれば、クリップスプレッダのためのアクチュエータは、上述の特徴と組み合わせて、または独立して(そのような特徴を伴わずに)提供され得る。
いくつかの実施形態では、弁尖クリップは、バンプの形態の突起を含む。弁尖クリップは、他の上述の特徴とは独立して(即ち、他の上述の特徴を伴わずに)、そのような突起を備え得る。
【0026】
クリップスプレッダアクチュエータによるクリップスプレッダの作動は、弁尖クリップおよびクリップスプレッダの上述の摺動係合なしに実行され得ることが理解されるであろう。クリップスプレッダは、弁尖クリップがクリップスプレッダによって既に開閉された後に、弁尖クリップを再び開くために、例えば、弁尖クリップを再配置するために、または弁尖クリップ送達および配備システムが配備部位において腱索に近すぎることを回避するために使用され得る。
【0027】
本開示のこれらの及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明からすぐに分かり、特許請求する発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。以下の開示は、態様又は実施形態に関して提示されているが、個々の態様は、別々に又はその実施形態若しくは任意の他の実施形態の態様及び特徴と組み合わせて特許請求され得ることが認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】心臓弁の弁尖の概略図に対してクリップを配備するように配置された、本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップシステムの実施形態の一例の斜視図である。
図2】心臓弁の弁尖の概略図に対してクリップを配備するように配置された、本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップシステムの実施形態の一例の斜視図である。
図3】弁尖クリップの実施形態の一例を示す、図2の弁尖クリップシステムのクリップスプレッダを示す斜視図である。
図4】クリップ保持構成要素を示す、図2のような弁尖クリップシステムの線IV-IVに沿った断面図である。
図5】クリップスプレッダアクチュエータを示す、図2のような弁尖クリップシステムの線V-Vに沿った断面図である。
図6】本開示の種々の原理に従って形成され、心臓弁の弁尖に取り付けられた弁尖クリップの実施形態の例と、弁尖クリップから延び、心臓に固定された人工腱索とを有する心臓の概略図である。
図7】本開示の様々な原理に従って治療されている心臓の概略平面図である。
図8】本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップの実施形態の一例の斜視図である。
図9】本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップの実施形態の一例の斜視図である。
図10】本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップの実施形態の一例の斜視図である。
図11】本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップの実施形態の例の正面図である。
図12】本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップの実施形態の例の正面図である。
図13】本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップの実施形態の一例の正面図である。
図14】開放形態における、本開示の種々の原理に従って形成される弁尖クリップの実施形態の一例の斜視図である。
図15】さらなる開放形態における、本開示の種々の原理に従って形成される弁尖クリップの実施形態の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の非限定的な実施形態は、添付図面を参照して例として説明され、添付図面は概略であり、縮尺通りであることを意図していない。添付図面は、説明のために提供されるにすぎず、図面の各図に反映される寸法、位置、順序、及び相対的なサイズは異なってもよい。例えば、装置は、詳細が認識できるように拡大されているかもしれないが、例えば、送達カテーテルや内視鏡のワーキングチャンネルに収まることに関連して縮尺されることを意図している。各図では、同一又はほぼ同一又は等価の要素は、一般に、同じ参照符号によって表され、及び図示された弁尖クリップの同様の要素は、一般に、1000増分されて異なる同様の参照符号で指定され、冗長な記載が省略される。明瞭及び簡潔にするために、当業者が本開示を理解することを可能にするために説明が必要ではない場合、全ての図において全ての要素に符号が付されているわけでも、各実施形態の全ての要素が図示されているわけでもない。
【0030】
詳細な説明は、添付図面と併せてより良好に理解され、添付図面では、同様の参照符号が同様の要素を表す。
以下の詳細な説明は、例示的な実施形態を示す図面を参照して読まれるべきである。本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、従って、変形し得ることを理解されたい。本明細書で説明する全ての装置およびシステムならびに方法は、本開示の1つまたは複数の原理に従って実施される装置および/またはシステムおよび/または方法の例である。実施形態の各例は説明のために提供され、これらの原理を実施する唯一の方法ではなく、単なる例である。従って、図面における要素または構造または特徴への言及は、本開示の実施形態の例への言及として認識されるべきであり、本開示を図示された特定の要素、構造または特徴に限定するものとして理解されるべきではない。開示された原理を実施する手法の他の例は、本開示を読んだ当業者に想起されるであろう。実際に、本主題の範囲または趣旨から逸脱することなく、本開示において様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、別の実施形態とともに使用されて、さらなる実施形態を生じ得る。従って、本主題は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に含まれるそのような修正形態および変形形態を包含することが意図される。
【0031】
本開示は、本出願において様々な詳細さの度合で説明されていることが理解されよう。特定の例では、当業者が本開示を理解するのに必要でない詳細、または他の詳細を認識することを困難にする詳細は、省略されている場合がある。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、添付の特許請求の範囲を超えて限定することを意図するものではない。別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものとして理解されるべきである。本明細書で開示および特許請求されるデバイスおよび/または方法の全ては、本開示に照らして、過度の実験を伴わずに、作製および実行され得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「近位」は、デバイスを使用するとき等に(例えば、デバイスを患者に導入するとき、または埋め込み、配置、もしくは送達中)、使用者(医療従事者または臨床医または技術者またはオペレータまたは医師等(これらの用語は本明細書では限定する意図なく互換的に使用され、自動コントローラシステムなどを含む)等に最も近い方向または位置を指し、「遠位」は、デバイスを使用するとき等に(例えば、デバイスを患者に導入するとき、または埋め込み、配置、もしくは送達中)、使用者から最も遠い方向または位置を指す。「長手方向」は、要素のより長いまたはより大きい寸法に沿って延びていることを意味する。「中心」は、中心点を通って少なくとも概ね二等分すること、および/または周囲若しくは境界から概ね等距離であることを意味し、「中心軸」は、開口に対して、開口の中心点を通って少なくとも概ね二等分する線であって、開口が、例えば、管状要素、チャンネル、キャビティ、またはボアを含む場合、開口の長さに沿って長手方向に延在する線を意味する。「ボア」は円形断面に限定されないことが理解されるであろう。本明細書で使用される場合、要素の「自由端」は、そのような要素がそれを越えて延在しない終端である。
【0033】
心臓疾患を治療するために、弁の弁尖および/または腱索の1つまたは複数の再配置、修復、および/または置換が望ましい場合がある。本開示のデバイス、システム、および方法は、心臓疾患を治療するために、単独で、または他のデバイス、システム、および方法とともに使用され得る。本開示の実施形態が実施され得るデバイス、システム、および方法の例は、2021年1月14日に公開された「心臓弁のリーフレットをクランプするための装置、システム、および方法(Devices,Systems,And Methods For Clamping A Leaflet Of A Heart Valve)」という発明の名称の米国特許出願公開第2021/0007847号明細書、2021年1月7日に公開された「人工腱索を乳頭筋または心臓壁に調節可能に張力を持たせるための装置、システム、および方法(Devices,Systems,And Methods For Adjustably Tensioning An Artificial Chordae Tendineae To A Papillary Muscle Or Heart Wall)」という発明の名称の米国特許出願公開第2021/0000597号明細書、2021年1月7日に公開された「人工腱索を乳頭筋または心臓壁に固定するための装置、システム、および方法(Devices,Systems,And Methods For Anchoring An Artificial Chordae Tendineae To A Papillary Muscle Or Heart Wall)」という発明の名称の米国特許出願公開第2021/0000599号明細書、2021年1月7日に公開された「人工腱索を心臓に固定するための装置、システム、および方法(Devices,Systems,And Methods For Anchoring An Artificial Chordae Tendineae In A Heart)」という発明の名称の米国特許出願公開第2021/0000598号明細書、2021年9月23日に出願され、2022年3月31に公開された「心臓の人工腱索を調節可能に張力をもたせるための装置、システム、および方法(Devices,Systems,And Methods For Adjustably Tensioning Artificial Chordae Tendineae In A Heart)」という発明の名称の米国特許出願公開第2022/0096235号明細書に記載されたものを含むが、これらに限定されず、これらの各文献は、参照することにより、その全体およびあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるデバイスの例は、本開示の実施形態または1つまたは複数の特徴を組み込むように修正され得る。
【0034】
弁の弁尖および/または腱索の1つまたは複数の再配置、修復、および/または置換は、心臓弁の1つまたは複数の弁尖に固定される1つまたは複数のデバイスを含み得る。本明細書に説明されるデバイスおよびシステムおよび方法の実施形態の例は、デバイスを弁尖に対してクランプすることによって、1つまたは複数のデバイスの心臓弁への固定を可能にする。本明細書に説明されるデバイスおよびシステムの実施形態の例は、弁の弁尖を操作するために、かつ/または弁尖に取り付けられるデバイスを送達するために、他のデバイス、システム、またはツールが把持または取り付けられるための固定点を提供し得る。本明細書で説明されるデバイスおよびシステムは、本明細書に組み込まれる上記で参照された出願で開示されるデバイスまたはシステムのいずれかとともに使用され得るか、または本明細書で説明されるもの等の他のデバイスおよびシステムとともに使用され得ることを理解されたい。
【0035】
本開示の様々な原理によれば、本明細書に記載の弁尖クリップ送達および配備システムは、心臓弁の弁尖上でクリップ留めされるように構成された弁尖クリップを送達および配備するように構成されたクリップスプレッダを含む。クリップ、クランプ、クラスプ、結合、係合、取付け、配備、把持、保持などの用語(それらの他の文法的形態を含む)は、限定することを意図することなく、クリップとクリップによって係合される組織との相互作用に関してなど、本明細書において互換的に使用され得ることが理解されよう。弁尖クリップ送達および配備システムは、クリップスプレッダによって送達および配備されるように構成された弁尖クリップを含み得る。弁尖クリップは、組織をクランプするためなど、閉鎖形態に付勢され得る。一態様では、クリップスプレッダは、(システムに含まれるか、または別個に提供されるかにかかわらず)弁尖クリップを心臓弁の弁尖に対して配置するための形態に作動させるように構成される。例えば、弁尖クリップは、弁尖クリップアームを共に付勢し得るフレックスゾーンを介して共に連結された第1および第2のアームを有し得る。クリップスプレッダは、弁尖クリップの第1および第2のアームを開放形態に移動させる(例えば、広げる)ように構成され得る。クリップスプレッダは、弁尖クリップを解放して心臓弁の弁尖上でクランプするようにさらに構成され得る。例えば、クリップスプレッダからの弁尖クリップの解放は、弁尖クリップのアームがそれらの間の組織のクランプを可能にする閉鎖形態に戻ることを可能にし得る。さらに、いくつかの実施形態では、クリップスプレッダは、弁尖クリップの再配置が所望される場合、クリップスプレッダから弁尖クリップを解放する前に、心臓弁の弁尖上でクランプするために解放された弁尖クリップを再び開くように構成される。クリップスプレッダのスプレッダアームおよび弁尖クリップアームは、共に移動するように互いに連結され得る。従って、クリップスプレッダアームを離れて移動するように作動させると、弁尖クリップアームが離れる。弁尖クリップアームは、クリップスプレッダアームに対する作動力の解放によって、弁尖クリップアームが閉鎖位置に戻ることが可能となるように、(組織上でクランプするように互いに近接する)閉鎖形態に付勢され得、また、閉鎖位置に戻るようにクリップスプレッダアームも戻る。
【0036】
本開示の一態様によれば、本開示の様々な原理に従って形成されたクリップスプレッダおよび弁尖クリップは、クリップスプレッダおよび弁尖クリップが弁尖クリップの配備部位(例えば、心臓弁の弁尖上の選択された位置)への送達のために係合され(例えば、互いに連結され)、配備部位に到達すると、クリップスプレッダからの弁尖クリップの解放が可能となり、任意選択的に、配備部位において組織(例えば、心臓弁の弁尖)と係合されるように構成され得る。より具体的には、いくつかの実施形態では、クリップスプレッダおよび弁尖クリップは、互いに摺動して係合されるように構成され得る。そのような実施形態では、弁尖クリップは、弁尖クリップとクリップスプレッダとの間の相対移動によってクリップスプレッダから容易に解放され得る。換言すれば、いくつかの実施形態では、弁尖クリップとクリップスプレッダとの間の相対的な摺動移動などの相対的な移動は、弁尖クリップとクリップスプレッダとの係合または係合解除をもたらすか、または引き起こす。いくつかの実施形態では、相対移動は、長手方向軸に沿った摺動移動などの単一方向である。いくつかの実施形態では、そのような実施形態におけるそのような相対移動を超えるさらなる動作は必要ではない。クリップスプレッダと弁尖クリップとの間のそのような相対移動を可能にするためのさらなる要素の作動は、必要でなくてもよい。弁尖クリップがクランプされる心臓弁の弁尖の動きによって、クリップスプレッダから取り外して弁尖クリップを配備するために、弁尖クリップがクリップスプレッダに対して移動し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、弁尖クリップが配備され、かつクリップスプレッダから解放される準備ができるまで、クリップスプレッダに対して弁尖クリップの少なくとも一部を保持するために、追加の保持要素が設けられている。例えば、保持要素は、弁尖クリップの一部およびクリップスプレッダと相互作用して、弁尖クリップをクリップスプレッダに対して所定の位置、例えば、送達位置に保持し得る。保持要素は、クリップスプレッダから弁尖クリップを解放するために容易に作動されるように構成され得る。例えば、保持要素は、クリップスプレッダからの弁尖クリップの解放を可能にするために、弁尖クリップおよび/またはクリップスプレッダに対して摺動可能であり得る。いくつかの実施形態では、弁尖クリップは、第1のアームおよび第2のアームを有しており、保持要素は、弁尖クリップアームのうちの一方と関連付けられており、弁尖クリップアームのうちの他方は、別の要素の作動を伴わずに、単にそれらの間の相対的な摺動移動によって、クリップスプレッダからの弁尖クリップの解放を可能にするように、上述のような方法でクリップスプレッダと係合され得る。保持要素は、保持要素が解放位置に移動されるまで、クリップスプレッダに対して弁尖クリップが移動するのを阻止し得る。
【0038】
本開示の別個の独立した態様によれば、本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップ送達および配備システムは、クリップスプレッダを作動させて弁尖クリップを閉鎖形態と開放形態との間でシフトさせるようにクリップスプレッダを作動させるために、クリップスプレッダの一部に連結されたクリップスプレッダアクチュエータを含む。弁尖クリップアクチュエータは、配備部位に対する弁尖クリップ送達および配備システムの位置などに基づいて、医療従事者がクリップスプレッダを制御することを可能にするように構成されるとともに、弁尖クリップ送達および配備システムと連結されている。弁尖クリップ送達および配備システムは、送達シャフトの遠位端で送達され得る。クリップスプレッダアクチュエータは、クリップスプレッダの一部分に連結されるとともに、送達シャフトの遠位端から、医療従事者がクリップスプレッダアクチュエータを所望したように制御し得る位置まで(例えば、送達シャフトの近位端に沿って)近位に延在し得る。クリップスプレッダアクチュエータは、クリップスプレッダを作動させるために(その近位端で)引っ張られ、(例えば、それに連結された弁尖クリップのばね力によって)クリップスプレッダが閉鎖位置に戻されるのを可能にするために解放され得る(または張力が低減され得る)。クリップスプレッダアクチュエータは、従来のクリップスプレッダへの力ベクトルの以前の印加を改善する方法でクリップスプレッダに連結され得る。例えば、本開示の様々な原理に従って形成されたクリップスプレッダアクチュエータは、弁尖クリップの開放組織係合側から離れるように向けられるべくクリップスプレッダアームに連結されるとともに、クリップスプレッダのアームが連結されるピボットに向かって延在し得る。追加的に、または代替的に、本開示の種々の原理に従って形成されるクリップスプレッダアクチュエータは、身体組織上での弁尖クリップのクランピングに干渉しないように配置され、かつ/または配向され得る。追加的に、または代替的に、本開示の種々の原理に従って形成されるクリップスプレッダアクチュエータは、クリップスプレッダからの弁尖クリップの解放に干渉しないように配置され、かつ/または配向され得る。追加的に、または代替的に、クリップスプレッダアクチュエータは、クリップが、配備をし易くし、任意選択的に、クリップスプレッダからの解放を促進し易くするように配向されることを可能にする方法で、クリップスプレッダに連結され得る。
【0039】
本開示のさらに別の別個の独立した態様によれば、弁尖クリップ送達および配備システムは、閉鎖形態から開放形態への弁尖クリップの曲がりに対応するフレックス領域を備えて構成され得る。いくつかの実施形態では、本開示の種々の原理に従って形成される弁尖クリップ送達および配備システムは、閉鎖形態から開放形態への弁尖クリップの曲がりに対応するように構成されるフレックス領域を有するクリップスプレッダを含む。フレックス領域は、弁尖クリップのフレックスゾーンがフレックス領域内に屈曲することを可能にするために、拡幅された領域または開口を含み得る。
【0040】
弁尖クリップ送達および配備システムは、様々な構成の弁尖クリップを収容するために、本開示の様々な原理に従って形成され得ることが理解されるであろう。本明細書に記載される弁尖クリップの実施形態は、従来の弁尖クリップに対して弁尖クリップを強化または改善するために、本開示の様々な原理に従って形成された様々な特徴および構造を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、開示される弁尖クリップの様々なものは、フレックスゾーンによって互いに連結された第1のアームおよび第2のアームを含む。フレックスゾーンは、第1および第2の弁尖クリップアームを閉鎖形態へと付勢し得る(組織上でクランプするように共に閉鎖する)。第1および第2の弁尖アームは、例えば、フレックスゾーンを曲げることによって、互いから離れるように移動することができる。移動という用語(ならびにその様々な活用形および他の文法的形態)は、限定する意図なしに、拡張、分離、シフト、移行などの用語と本明細書では互換的に使用され得ることが理解されよう。曲げるという用語(ならびにその様々な活用形および他の文法的形態)は、限定する意図なしに、屈曲させる、付勢する、伸長させる、変形させる、伸ばすなどの用語と本明細書で互換的に使用され得ることがさらに理解されよう。
【0042】
弁尖クリップの開放(および任意選択の開放、閉鎖、および再開放)を容易にするために、弁尖クリップのフレックスゾーンを弁尖クリップアームの長手方向軸から外側に延在させて、曲げ力の分布を向上させることが有益であり得る。例えば、様々な従来技術の弁尖クリップは、拡大または拡幅されたフレックスゾーンを含む。しかしながら、クリップがクランプされる解剖学的部位の正常な機能を妨げないように、弁尖クリップが全体的にコンパクトな外形寸法を有することも望ましい。例えば、心臓弁の弁尖上でクランプされた弁尖クリップは、弁尖と共に動くとともに、心臓弁の弁尖の接合を最適に妨げない。本開示の態様によれば、本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップは、非対称のフレックスゾーンを有するように構成され得る。より具体的には、本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップは、心臓の心房に面する心臓弁の弁尖の側にクリップ留めされた心房クリップアームと、心臓の心室に面する心臓弁の弁尖の側にクリップ留めされた心室クリップアームと、心房クリップアームと心室クリップアームとの間のフレックスゾーンとを含み得る。フレックスゾーンは、心室クリップアームのみから外側に延在し得(即ち、心房クリップアームから離れるように心室クリップアームから拡張される)、フレックスゾーンは、心房クリップアームを越えて延在しない(または実質的に延在しない)。そのように形成された弁尖クリップは、弁尖クリップがクランプされる心臓弁の弁尖の他の心臓弁の弁尖との適切な接合を妨げない。
【0043】
本明細書に記載されるような弁尖クリップ送達および配備システムとともに使用される弁尖クリップは、概して、クリップと組織との固定を確保または強化する等のために、クリップがクランプする身体組織と係合するように構成された1つまたは複数の組織係合機構を含み得ることが理解されるであろう。組織係合機構は、歯等の突起の形態であり得る。突起は、本開示の様々な原理に従って様々な方法のいずれかで形成され得る。例えば、突起は、弁尖クリップの少なくとも1つのアーム上に歯を機械加工(例えば、フライス加工および/またはワイヤ放電加工(EDM))または成形または熱成形または溶接することによって形成され得る。より具体的には、いくつかの実施形態では、材料(例えば、ニチノール)のストリップまたはロッドが、所望の外形(例えば、所望の突起の数、構成、および配置を伴う)が形成されるまで、一連のステップにおいて材料を除去することによって機械加工される。いくつかの実施形態では、材料の初期のストリップまたはロッドは、約1/8インチ(3.175mm)の厚さである。追加的に、または代替的に、突起は、弁尖クリップ(例えば、弁尖クリップアーム)の材料を切断/細長く切り、弁尖クリップの一部を隣接部分から離れるように屈曲させて、突起または歯等の組織係合機構を形成することによって形成され得る。本開示の種々の原理によれば、弁尖クリップの第1のアーム上の組織係合機構のうちの1つまたは複数は、第1のアームと第2のアームとの間の組織の捕捉を向上させるバンプの形態等の湾曲した機構であり得る。例えば、第1のアーム上の湾曲した組織係合機構は、弁尖クリップの第2のアームに向かって組織を変位させるように構成され得る。第2のアームは、バンプ等の湾曲した構成または歯等のより鋭利な構成である組織係合機構を有し得る。いくつかの実施形態では、湾曲した組織係合機構は、クリップが使用される解剖学的領域に応じて当業者によって容易に理解され得るように、他の解剖学的特徴に引っ掛からないように緩やかに湾曲している。例えば、心臓内で、湾曲した組織係合機構は、腱索が湾曲した組織係合機構に引っ掛からないような大きさ、形状、構成、および寸法にされ得る。そのような構成は、弁尖クリップを開放形態にあるときに移動させる場合に特に有益であり得る。例えば、弁尖クリップを再配置することが所望される場合(例えば、弁尖クリップ送達および配備システムの一部が1つまたは複数の腱索に捕捉され、かつ弁尖クリップ送達および配備システムの解放が指示されるコースである場合)、組織係合機構は、腱索に係合または腱索を捕捉しない。
【0044】
本明細書に説明される係合組織特徴のうちのいずれかは、非対称フレックスゾーンを有しても有していなくてもよい、弁尖クリップの1つまたは複数のアーム上に設けられ得ることを理解されたい。任意の数の組織係合機構が、弁尖クリップの1つまたは複数のアーム上に設けられ得る。概して、少なくとも1つの組織係合機構が、少なくとも2つのアームを有する弁尖クリップの各アーム上に設けられ得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の組織係合機構が、各弁尖クリップアーム上に設けられる。いくつかの実施形態では、同数の組織係合機構が、各弁尖クリップアーム上に設けられる。他の実施形態では、異なる数の組織係合機構が、弁尖クリップアーム上に設けられる(例えば、1つの弁尖クリップアーム上の偶数の組織係合機構および別の弁尖クリップアーム上の奇数の組織係合機構、または弁尖クリップアーム上の異なる数の偶数の組織係合機構、または弁尖クリップアーム上の異なる数の奇数の組織係合機構)。隣接する組織係合機構間の間隔は、実質的に一定であり得るか、または種々の組織係合機構間で変動し得る。弁尖クリップアーム上の、または弁尖クリップの弁尖クリップアーム間の組織係合機構は、全てが同じ大きさ、形状、構成、および/または寸法である必要はなく、様々な異なる形状、厚さ、突起高さなどのうちの1つまたは複数であり得る。さらに、弁尖クリップ送達および配備システムは、異なる構成の1つまたは複数の弁尖クリップを送達および配備し得、かつ/または含み得る。本明細書における弁尖クリップアームへの言及は、概して、弁尖クリップのアームのうちの1つまたは両方またはそれ以上(弁尖クリップが3つ以上のアームを有する場合)を含むことが理解されるであろう。
【0045】
弁尖クリップ送達および配備システムの種々の実施形態ならびに弁尖クリップの種々の実施形態が、添付の図面に図示される例を参照して、本明細書で説明する。簡潔さおよび便宜のために、限定する意図なく、本明細書に開示される弁尖クリップの共通または類似の機能を有する共通または類似の構成要素は、1000だけ値が異なる同じ参照符号で示されており、類似の要素および動作の上記の説明が参照される。本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、本開示の原理による1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性が、実施形態に関連して含まれ得ることを示す。しかしながら、そのような言及は、必ずしも、全ての実施形態が特定の特徴、構造、および/または特性を含むこと、実施形態が全ての特徴、構造、および/または特性を含むことを必ずしも意味しない。いくつかの実施形態は、1つまたは複数のそのような特徴、構造、および/または特性を、それらの様々な組合せで含み得る。さらに、本明細書の様々な箇所における「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではなく、必ずしも他の実施形態と相互排他的な別個の実施形態または代替的な実施形態でもない。特定の特徴、構造、および/または特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような特徴、構造、および/または特性は、明確に反対のことが述べられていない限り、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連して使用され得ることを理解されたい。さらに、そのような特徴、構造、および/または特性は、特徴、構造、および/または特性の多数の可能性のある組合せおよび部分的組合せの全てを説明するには煩雑すぎるため、本開示の一部と考えられる代替実施形態を作成するために、単独で、または互いに様々に組合せて使用または提示され得ることを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態によって示され得るが、他の実施形態によっては示され得ない様々な特徴、構造、および/または特性が記載されている。同様に、いくつかの実施形態の特徴、構造、および/または特性もしくは要件であり得るが、他の実施形態の特徴、構造、および/または特性もしくは要件でなくてもよい、様々な特徴、構造、および/または特性もしくは要件が記載されている。従って、本開示は、本明細書で具体的に説明される実施形態のみに限定されない。
【0046】
ここで図面を参照すると、共通の特徴は共通の参照要素によって識別され、簡潔さおよび便宜のために、限定する意図なく、共通の特徴の説明は全体的に繰り返されないことが理解されるであろう。明確にするために、同じ参照番号を有する全ての構成要素に番号が付されているわけではない。さらに、類似の要素のグループは、数字および文字によって示され得、参照は、(各類似の要素に関連付けられた文字を含まずに)数字のみによってグループとして1つまたは複数のそのような要素に対して行われ得る。以下の説明では、1000より大きい参照番号を有する様々な図示された実施形態の間で同様の要素または構成要素は、全体的に、1000の倍数だけ増加して同じ参照番号で指定され、冗長な説明は、概して、簡潔にするために省略されることが理解されよう。さらに、一実施形態における特定の特徴は、異なる実施形態にわたって使用され得、異なる実施形態に現れるときに、必ずしも個々にラベル付けされない。
【0047】
本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップ送達および配備システム100の実施形態の例が図1に示されており、図1では、弁尖クリップ1000は心臓内の配備部位または治療部位に送達され、弁尖クリップ1000を臓弁の弁尖L上に配備する位置にある。配備部位、治療部位等の用語は、限定する意図なしに、本明細書で互換的に使用され得ることが理解されるであろう。弁尖クリップ送達および配備システム100は、送達ガイドシース104内で案内され得る送達カテーテル102によって配備部位に送達され得る。送達カテーテル102および送達ガイドシース104は、(切開手術とは対照的に)弁尖クリップ1000の経腔的送達を可能にするように、体内の蛇行経路を通して操作可能な可撓性管状要素(例えば、カテーテル、シース、シャフト、チューブ等)であり得る。弁尖クリップ1000は、公知の弁尖クリップであり得るか、または本明細書に開示および説明されるような弁尖クリップであり得る。概して、弁尖クリップ送達および配備システム100は、心室に面する心臓弁の弁尖Lの側に配置されるように構成された少なくとも1つの心室クリップアーム1012と、心房に面する心臓弁の弁尖Lの側に配置されるように構成された少なくとも1つの心房クリップアーム1014とを有する弁尖クリップ1000を送達する。本明細書に開示される弁尖クリップ1000の実施形態の種々の例では、弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012と心房クリップアーム1014とが互いに離間されるとき、心臓弁の弁尖L等の組織がそれらの間に配置され得る。心室クリップアーム1012および心房クリップアーム1014が、互いにより近い中立形態に戻されると、心臓弁の弁尖Lは、以下でさらに詳細に説明されるように、心室クリップアーム1012と心房クリップアーム1014との間でクランプされ得る。便宜上、本開示は、心室クリップアーム1012および心房クリップアーム1014が閉鎖クランプ形態において互いに向かって全体的に付勢され、アーム1012、1014の間に心臓弁の弁尖Lなどの身体組織を受け入れるために、フレックスゾーン1016を中心に開放形態へと移動可能である弁尖クリップ1000を参照する。しかしながら、開示される弁尖クリップ送達および配備システム100ならびに関連する弁尖クリップ1000は、そのように限定される必要はないことが理解されるであろう。
【0048】
図1に示すように、弁尖クリップ1000は、クリップスプレッダ110と共に配備部位に送達するためにクリップスプレッダ110に連結され得る。連結される、係合される、動作可能に関連付けられる、装備されるなどの用語(およびそれらの他の文法的形態)は、限定する意図なしに、本明細書において互換的に使用され得ることが理解されよう。クリップスプレッダ110は、図1に示すように、弁尖クリップ送達および配備システム100の遠位端101に設けられ得る。図示の弁尖クリップ1000は、心室クリップアーム1012および心房クリップアーム1014を有し、これらは心臓弁の弁尖Lに係合するようにクリップスプレッダ110によって操作され得る。実施形態の図示された例では、クリップスプレッダ110は、弁尖クリップ1000の少なくとも1つのアームを弁尖クリップ1000の別のアームに対して移動させて、心臓弁の弁尖Lに係合するために弁尖クリップ1000を開放形態にシフトさせるように構成されている。図1に示される実施形態の例では、クリップスプレッダ110は、心室クリップアーム1012を心房クリップアーム1014から離れるように移動させるように構成されている。弁尖クリップ送達および配備システム100は、従って、その遠位端101が弁尖クリップ1000とともに心室V内にあるように、心臓弁HVを通して延在され得る。クリップスプレッダ110を作動させて心室クリップアーム1012を心房クリップアーム1014から離れるように移動させることなどによって弁尖クリップ1000を開くと、心臓弁の弁尖Lがアーム1012、1014の間の弁尖クリップ1000内の空間に入ることが可能になる。任意選択的に、弁尖クリップ送達および配備システム100は、心臓弁の弁尖Lをアーム1012、1014間に捕捉するために、心臓弁の弁尖Lに向かって近位に移動され得る。次いで、心室クリップアーム1012は、心房クリップアーム1014により近い中立位置に戻り、それらの間に心臓弁の弁尖Lを把持することが可能となり得る。操作されるという用語(およびその他の文法的形態)は、本明細書において、限定する意図なしに、作動される、移動される、制御される、操作されるなどの用語と互換的に使用され得ることが理解されよう。
【0049】
図2図5において、クリップスプレッダ110の実施形態の一例が、さらに詳細に示されている。クリップスプレッダ110は、心室スプレッダアーム112および心房スプレッダアーム114を含み、これらは、ヒンジまたはピボット116を中心に互いに枢動可能に連結され得る。ピボット116は、ピボットポイントもしくはピン、または当業者に公知のような心室スプレッダアーム112および心房スプレッダアーム114の相対移動を可能にする他の構造であり得、その詳細は本開示にとって重要ではない。心室スプレッダアーム112は、弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012に係合するように構成されており、心房スプレッダアーム114は、弁尖クリップ1000の心房クリップアーム1014に係合するように構成されている。弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012および心房クリップアーム1014が互いに向かって付勢される実施形態では、弁尖クリップ1000とのクリップスプレッダ110の連結により、弁尖クリップ1000が、開放形態(以下でさらに詳細に説明されるように)に作動されるまで、クリップスプレッダ110の心室スプレッダアーム112および心房スプレッダアーム114を概ね閉鎖形態に維持することを可能にし得る。
【0050】
図1図6に示されるクリップスプレッダ110の実施形態の例では、心房スプレッダアーム114は、(例えば、送達カテーテル102に対して実質的に静止状態に維持されるように)送達カテーテル102に取り付けられ、心室スプレッダアーム112は、心房スプレッダアーム114に対して移動可能であるが、他の構成も本開示の範囲および趣旨内である。心室スプレッダアーム112は、図2に示される送達形態/配備形態と、図3に示される作動形態との間で移動可能である。より具体的には、送達形態/配備形態では、心室スプレッダアーム112は、作動形態よりも心房スプレッダアーム114に近い。送達形態/配備形態は、本明細書では、中立、静止、非付勢、閉鎖、コンパクトなどの形態(そのような用語は、限定することを意図することなく本明細書で互換的に使用される)として代替的に参照され得、その場合、心室スプレッダアーム112は、心房スプレッダアーム114と概ね整列されて(例えば、平行に)、送達カテーテル102内および/または送達カテーテル102を通る等の配備を可能にするために、クリップスプレッダ110の概ね流線形またはコンパクトな送達形態が得られる。加えて、送達形態/配備形態において、弁尖クリップ1000はまた、概して、心室クリップアーム1012が送達のためにコンパクトな形態にあり、かつ心室クリップアーム1012と心房クリップアーム1014との間の組織に係合する配備のために心房クリップアーム1014に対する位置にある送達形態/配備形態にある。クリップスプレッダ110の作動形態では、心室スプレッダアーム112は、心房スプレッダアーム114から(送達形態/配備形態よりも)遠くにあり、組織がそれらの間および弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012と心房クリップアーム1014との間に配置されることを可能にする。そのような形態では、弁尖クリップ1000は、概して、同様に作動形態にあると見なされ、そのような形態は、限定することを意図することなく、本明細書では、代替的に、付勢された、屈曲した、開放された等と称される。図3および図4を参照して理解され得るように、クリップスプレッダ110は、図3に図示されるような開放形態に作動されると、図4を参照して理解され得るように、弁尖クリップ1000のフレックスゾーン1016を収容して、フレックスゾーン1016上の過度の応力または歪みを緩和するように構成され得る。例えば、心室クリップアーム1012が弁尖クリップ1000の心房クリップアーム1014から離れるように移動する際の弁尖クリップ1000のフレックスゾーン1016の動きに対応するために、フレックス領域117が、ピボット116の領域内など、クリップスプレッダ110内に形成され得る。
【0051】
本開示の様々な原理によれば、クリップスプレッダ110および/または弁尖クリップ1000は、弁尖クリップ1000がクリップスプレッダ110に連結され、かつ弁尖クリップ1000が所望の/医学的に指示された位置/場所に配備されるまで、その位置/場所から係合解除されないように、互いに係合されるように構成され得る。そのような係合または保持を達成するために、クリップスプレッダ110および弁尖クリップ1000の様々な構造および形態が、本開示の範囲内で使用され得る(そのような用語およびそれらの様々な活用は、限定することを意図することなしに、本明細書において互換的に使用される)。本開示の様々な原理によれば、弁尖クリップ1000とクリップスプレッダ110との間の相対的な並進移動または摺動移動、例えば、軸方向の摺動移動(例えば、クリップスプレッダ110および/または送達カテーテル102および/または弁尖クリップ1000および/または弁尖クリップ送達および配備システム100の長手方向軸LAに沿った)が、弁尖クリップ1000のクリップスプレッダ110からの係合解除を生じさせるように、弁尖クリップ1000は、クリップスプレッダ110に対して摺動可能に連結されている。弁尖クリップ1000とクリップスプレッダ110との間のそのような軸方向の相対移動を可能にする係合要素ならびに特徴および構造の実施形態の例は、図3と、図2の線IV-IVに沿った図4の断面図とを参照して理解され得る。軸方向移動、並進移動、摺動移動などの用語は、本明細書では、ロック解除または枢動またはさらなる移動を伴わない要素の一般的な相対移動を指すために互換的に使用され得ることが理解されよう。
【0052】
図3に示される弁尖クリップ送達および配備システム100の実施形態の例では、クリップスプレッダ110の心室スプレッダアーム112および弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012は、嵌め合い(mating)心室保持要素を有し、クリップスプレッダ110の心房スプレッダアーム114および弁尖クリップ1000の心房クリップアーム1014は、嵌め合い心房保持要素を有する。弁尖クリップ1000内の応力を低減するために、クリップスプレッダ110および弁尖クリップ1000の個別の保持要素が、弁尖クリップ1000のフレックスゾーン1016よりも弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012および心房クリップアーム1014の自由端1011、1015の近くで互いに係合することが望ましい。他の構成(例えば、保持要素を有する心室構成要素のみまたは心房構成要素のみ、スプレッダアームおよび弁尖クリップアームに沿った保持要素が異なる位置あるなど)が本開示の範囲内であることが理解されるであろう。
【0053】
図3に示すような一実施形態では、心室スプレッダアーム112は、突起の形態の心室スプレッダアーム保持要素122を含み、弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012は、戻り止めまたは開口の形態の嵌め合い心室弁尖クリップアーム保持要素1022を含む。いくつかの実施形態では、心室スプレッダアーム保持要素122は、弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012内に心室弁尖クリップアーム保持要素1022として形成された開口内に延びるフックの形態である。従って、クリップスプレッダ110および弁尖クリップ1000の個別の心室保持要素122、1022は、相対的な摺動移動によって互いに係合および係合解除し得る。有利には、心室スプレッダアーム保持要素122の自由端121は、心室スプレッダアーム112の自由端111の方に向けられ、心室弁尖クリップアーム保持要素1022と係合されるとき、弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012の自由端1011に向けられる。従って、図1を参照して理解され得るように、弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012は、クリップスプレッダ110に対して近位に、弁尖クリップ送達および配備システム100の長手方向軸LAに概ね沿って移動させられると、クリップスプレッダ110から解放可能である。従って、弁尖クリップ1000が心臓弁の弁尖Lの開位置において心臓弁の弁尖L上でクランプされる場合、心臓弁の弁尖Lは、接合位置で閉じるときに、以下でさらに詳細に説明されるように、弁尖クリップ1000が心臓弁の弁尖L上に配備された状態に維持されるように、弁尖クリップ1000をクリップスプレッダ110から遠ざかるように離して搬送し得る。
【0054】
図3および図4に示されるような一実施形態では、心房スプレッダアーム114は、突起の形態の心房スプレッダアーム保持要素124を含み、弁尖クリップ1000の心房クリップアーム1014は、戻り止めまたは開口の形態の嵌め合い心房弁尖クリップアーム保持要素1024を含む。いくつかの実施形態では、心房スプレッダアーム保持要素124は、心房弁尖クリップアーム保持要素1024内に形成された開口に挿入可能なボスの形態である。可動保持要素118は、係合位置(図3および図4に示すような)と係合解除位置との間でシフト可能(shiftable)であり得る。可動保持要素118の係合位置において、可動保持要素118は、心房スプレッダアーム保持要素124と係合して、心房スプレッダアーム保持要素124を心房弁尖クリップアーム保持要素1024と係合した状態に維持する。例えば、可動保持要素118は、心房弁尖クリップアーム保持要素1024に対する心房スプレッダアーム保持要素124の移動を防止または抑制し、従って、クリップスプレッダ110に対する弁尖クリップ1000の心房クリップアーム1014の移動を防止または抑制するために、心房スプレッダアーム保持要素124を貫通する開口を通して挿入可能なワイヤであり得る。可動保持要素118の係合解除位置では、可動保持要素118は、弁尖クリップ1000とクリップスプレッダ110との相対移動を可能にするように配置される。例えば、ワイヤ、フィラメント、テザー、ケーブル(ボーデンケーブル(Bowden cable)など)、またはその他の形態の可動保持要素118がボスの形態の心房スプレッダアーム保持要素124から引き出すように近位に移動され、それによって、クリップスプレッダ110に対する弁尖クリップ1000の移動のブロックが解除される。心房スプレッダアーム114と心房クリップアーム1014との間の移動は、概ね摺動移動であり得るとともに、他の方向へのさらなる移動を含み得ない。
【0055】
本開示の様々な原理によれば、弁尖クリップ送達および配備システムは、クリップスプレッダと動作可能に係合されて、クリップスプレッダを作動させて、送達形態と、クリップスプレッダによって操作されるクリップの配備を可能にする開放位置との間でシフトさせるアクチュエータを含み得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、本開示の種々の原理に従って形成される弁尖クリップ送達および配備システムのクリップスプレッダのアームのうちの少なくとも1つに連結されている。図1図2、および図5に示される弁尖クリップ送達および配備システム100の実施形態の例では、アクチュエータ130は、心房スプレッダアーム114に対して心室スプレッダアーム112を移動させることなどによって、クリップスプレッダ110のアーム112、114を互いに対してシフトさせるために設けられる。実施形態の図示された例では、アクチュエータ130は、心室スプレッダアーム112に連結された遠位端131と、アクチュエータ130を作動させるために医療従事者によって(例えば、患者の外側で)アクセス可能な近位端(図示せず)とを有するアクチュエータケーブル132を含む。アクチュエータケーブル132は、クリップスプレッダ110を作動させるのに必要な力に耐えることができ、かつ患者の体内の蛇行経路を通って進行することができる金属、ポリマー、または他の適切な生体適合性材料であり得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータケーブル132は、弁尖クリップ送達および配備システム100の近位端から外側ケーブルハウジング133が終端するボーデン終端およびプルケーブル通路134を通って延びるボーデンケーブルの形態である。アクチュエータケーブル132の内側ケーブル135(例えば、プルワイヤ)は、アクチュエータケーブル132(例えば、外側ケーブルハウジング133および内側ケーブル135の両方の近位にある)を引っ張るなどして、他の弁尖クリップアーム114、112に対して移動されるように弁尖クリップアーム112、114に連結されるように、弁尖クリップ送達および配備システム100の遠位端101の周り、および弁尖クリップ1000のフレックスゾーン1016の周りに遠位に続いている。
【0056】
いくつかの実施形態では、アクチュエータ130は、その遠位端131がアクチュエータ130の残りの部分よりも心室スプレッダアーム112の自由端111の近くに配置されるようにクリップスプレッダ110に連結されているため、アクチュエータ130は、アクチュエータ130が心室スプレッダアーム112に連結される点から遠位に離れるように、かつ心室スプレッダアーム112の自由端111から遠位に離れるように、ピボット116に向かって延在している。言い換えれば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ130は、クリップスプレッダ110との接続部(アクチュエータ130の遠位端131における)から遠位に(最初に、近位ではなく)延在している。図5の断面図を参照して理解され得るように、図2の線V-Vに沿って、アクチュエータケーブル132の遠位端131は、心室スプレッダアーム112に取り付けられるか、連結されるか、または別様に固定されるケーブルホルダ136(例えば、ボス)等を介して、心室スプレッダアーム112に固定され得る。アクチュエータケーブル132の遠位端131は、ケーブルホルダ136内のボア137を通して延在するとともに、心室スプレッダアーム112を開放するように作動させるときに、アクチュエータケーブル132がボア137から引き抜かれることを防止するために、拡幅された最遠位端(例えば、自由端)を有し得る。アクチュエータケーブル132の拡幅された最遠位端は、アクチュエータケーブル132自体(例えば、アクチュエータケーブル132の結び目またはループ、もしくは圧着または拡幅または平坦化)によって、またはそれに連結される例えば、金属継手138などの要素(例えば、アクチュエータケーブル132を覆って配置される圧着カラー、シリンダ、ビード、オーバーモールドホルダ、もしくはアクチュエータケーブル132が巻き付けられるピンまたは他の要素等)によって形成され得る。アクチュエータ130のアクチュエータケーブル132などの要素をクリップスプレッダ110に結合する他の方法(例えば、溶接、ろう付け、接着、締まり嵌めなど)は、本開示の範囲および趣旨内にあり、その詳細は、本開示の全体的な原理にとって重要ではないことが理解されよう。
【0057】
アクチュエータケーブル132は、その遠位端131から、クリップスプレッダ110の周りに(例えば、クリップスプレッダ110の外側に沿って、弁尖クリップ1000がクリップスプレッダ110の内部に沿って配置された状態で)、心室スプレッダアーム112に沿って近位に、アクチュエータケーブル132が連結された心室スプレッダアーム112を移動させるためにアクチュエータケーブル132が作動され得る(例えば、引っ張られ得る)近位位置まで近位に延在し得る。図1図2、および図5に示される実施形態の例では、アクチュエータケーブル132は、アクチュエータケーブル132がクリップスプレッダ110に連結される点から遠位に、弁尖クリップ送達および配備システム100の遠位端101に向かっておよびその周りに延在し、次いで、アクチュエータケーブル132が連結されるクリップスプレッダアームとは反対側のクリップスプレッダアームに沿って(例えば、クリップスプレッダ110の外側に沿って)近位に延在し、アクチュエータ130が医療従事者によって(例えば、アクチュエータケーブル132の近位端を介して)制御され得る近位位置に至る。そのような構成により、概して、クリップスプレッダ110を作動させるために最適な力ベクトルを印加することが可能となることが理解されよう。アクチュエータケーブル132は、送達カテーテル102内で、アクチュエータケーブル132が制御され得る弁尖クリップ送達および配備システム100の近位端まで近位に延在し得る。
【0058】
使用時、本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップ送達および配備システム100は、図1に示すように、心臓弁HVなどの治療部位に送達され得る。図1には心臓の僧帽弁が図示されているが、本開示の原理は、三尖弁または他の解剖学的部位にも適用され得る。弁尖クリップ送達および配備システム100の遠位端101は、心房から心室の中に延在され、クリップスプレッダ110の心室スプレッダアーム112は、弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012を弁尖クリップ1000の心房クリップアーム1014から離れるように移動させること等によって、弁尖クリップ1000を広げるように(上述したようなアクチュエータ130を用いて、もしくは別のタイプまたは別の形態のアクチュエータを用いて等)作動される。心臓弁の弁尖Lは、弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012と心房クリップアーム1014との間に進入することができるか、または弁尖クリップ送達および配備システム100が、心臓弁の弁尖Lが弁尖クリップ1000の心室クリップアーム1012と心房クリップアーム1014との間に配置されるように、近位に(心臓弁の弁尖Lに向かって)移動されるかのいずれかであり得る。次いで、心室クリップアーム1012は、心室スプレッダアーム112が心房スプレッダアーム114により近い位置に戻ることを可能にすることなどによって、弁尖クリップ1000の心房クリップアーム1014により近い位置に戻ることができる。例えば、心室スプレッダアーム112を開放形態から解放するために上述したようなアクチュエータ130が作動または解放され得る。何らかの理由で、弁尖クリップ1000の位置を調整することが望まれるか、または医学的に指示される場合(例えば、弁尖クリップ1000の異なる位置または向きが望まれ、かつ/または医学的に指示される場合、弁尖クリップ送達および配備システム100の任意の構成要素が腱索に引っ掛かる場合など)、弁尖クリップ1000を解放するためにクリップスプレッダ110が再び作動されて、弁尖クリップ送達および配備システム100が弁尖クリップ1000の配備のための所望の位置に移動され得る。弁尖クリップ1000が所望のおよび/または医学的に指示された配備位置にあると、弁尖クリップ1000は、配備位置にあるクリップスプレッダ110から解放され得る。例えば、クリップスプレッダ110および弁尖クリップ1000の嵌め合い心室保持要素122、1022および嵌め合い心房保持要素124、1024は、それぞれ係合解除され得る。上述したような実施形態では、可動保持要素118は、心房スプレッダアーム保持要素124からの心房弁尖クリップアーム保持要素1024の係合解除を可能にするために近位にシフトされる。次いで、心室弁尖クリップアーム保持要素1022は、心室スプレッダアーム保持要素122から摺動して係合解除され得る。上述したように、心臓弁の弁尖Lの動きによって、弁尖クリップ1000がクリップスプレッダ110から離れるように移動して、心室弁尖クリップアーム保持要素1022が心室スプレッダアーム保持要素122から解放され得る。代替的に、弁尖クリップ送達および配備システム100は、心室スプレッダアーム保持要素122を心室弁尖クリップアーム保持要素1022から係合解除するために、近位に移動され得る。弁尖クリップ1000に連結されることなく、心室スプレッダアーム112は、図5に示されるように、所望であれば、開放形態を維持し得る。
【0059】
弁尖クリップ1000が配備されると、人工腱索140(当業者に公知の任意の様式で弁尖クリップ1000に連結される)は、図6に図示されるように、弁尖クリップ1000から心室壁まで延在され得る。人工腱索140は、当業者に公知であるような、または本明細書に組み込まれる上記で参照された特許出願、または[代理人整理番号2001.2701100]、「人工腱索を心臓組織に固定するための装置、システム、および方法(Devices,Systems,And Methods For Anchoring An Artificial Chordae Tendineae To Cardiac Tissue)」という発明の名称で、本出願と同日に出願され、全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される同時係属特許出願に記載されるような、人工腱索アンカー150を用いて、心室壁に(例えば、乳頭筋に)係留され得る。人工腱索140は、弁尖クリップ1000の送達および配備中に弁尖クリップ1000に連結されるとともに、クリップスプレッダ110の側部から延出し、弁尖クリップ送達および配備システム100内のスロット141を通って横方向に、弁尖クリップ送達および配備システム100内に装備される人工腱索アンカー150内に延在し得ることが理解されるであろう(例えば、図1のように)。
【0060】
図1および図6に図示されるように、心臓弁の弁尖Lを治療することなどによって心臓弁HVを治療するために、人工腱索140上の張力は調節され得、次いで、人工腱索アンカー150などに対して固定/ロックされ得る。例えば、本開示の種々の原理に従って形成された1つまたは複数の弁尖クリップ1000は、1つまたは複数の弁尖Lの適切な閉鎖をもたらすように張力をかけられた人工腱索140の使用によって、逸脱した弁の1つまたは複数の弁尖Lの機能を調節するために使用され得る。例えば、図1および図6に図示される実施形態では、僧帽弁は、本開示の種々の原理に従って形成される少なくとも1つの弁尖クリップ1000と、弁尖クリップ1000に連結され、かつ心室V(例えば、その乳頭筋組織)に係留される人工腱索140とを用いて治療される。人工腱索1000に対する張力は、人工腱索1000に連結される心臓弁の弁尖Lの適切な機能(例えば、心臓弁の弁尖Lの適切な接合)が実現されるまで調節される。心臓弁の弁尖Lの適切な機能が実現されたか否かを判定するために、種々の技術が使用され得る。例えば、僧帽弁逆流症の減少(および、理想的には、除去)は、当業者に既知のまたは従来から既知の種々の撮像技法(例えば、X線透視等)等によって評価され得る(その詳細は、本開示の一部を構成するものでも、または本開示を限定するものでもないため、従って、本明細書では記載されない)。人工腱索1000に対する張力は、心臓弁の弁尖Lに対する所望の効果が得られるまで調節され得る。
【0061】
理解され得るように、弁尖クリップおよび/または弁尖クリップ送達および配備システムの種々のデバイスまたは構成要素および/またはそれに関連する他のデバイスもしくは構成要素のうちのいずれかが、処置中等に、治療される心臓弁HVの閉鎖に及ぼす影響を最小限にすることが望ましいことであり得る。本開示の様々な原理によれば、弁尖クリップが心臓弁の弁尖Lに対して配備されると、関連するデバイスまたは構成要素は、弁尖の治療を完了するために(例えば、弁尖に対する張力を調整するために)治療部位に残っているデバイスまたは構成要素の影響を最小限にして弁の閉鎖を可能にするために、配備された弁尖クリップから離れるように移動され得る。例えば、図7の心臓弁HVの平面図に概略的に示されているように、心臓弁HVおよび/またはその弁尖を治療するために、弁尖クリップ(限定されないが、本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップ1000など)は、典型的には、後尖PLのP2セグメントに沿って配備される。弁尖クリップ1000が配備されると、図7に破線で概略的に示され、全体的に参照番号100’で示される、弁尖クリップ1000と関連するさらなるデバイスまたは構成要素(人工腱索140および/またはそれに関連する配備デバイス、および/または人工腱索アンカー150に関連する配備デバイス等)は、弁尖クリップ1000の配備部位から離れるように移動され得る。例えば、デバイス/構成要素100’は、後尖PLの裂隙(例えば、後尖PLのP2セグメントとP1セグメントとの間の裂隙CL1、または後尖PLのP2セグメントとP3セグメントとの間の裂隙CL3)および/または心臓弁HVの交連(例えば、後交連PMCまたは前交連ALC)に対して(において、内で、沿って等)概ね着座するように移動され得る。デバイス/構成要素100’の様々な位置が、限定ではなく例示の目的で図7に概略的に示されている。デバイス/構成要素100’が、本開示の種々の原理に従って裂隙または交連に対して配置されると、デバイス/構成要素100’の最小限の干渉を伴って、心臓弁HVの機能が、心臓弁HVの治療を完了するために観察され得ることが発見された。
【0062】
弁尖クリップのようなデバイスは、後尖PLのセグメントP1、P2、P3のいずれか、および/または前尖ALのセグメントA1、A2、A3のいずれか、および/または三尖弁の弁尖のいずれか、または本開示の様々な態様から利益を得ることができる他の解剖学的構造に対して、追加的または代替的に配備され得ることが理解されるであろう。追加的に、または代替的に、心臓弁(または、他の解剖学的構造)を治療するために、心臓弁の弁尖に対して治療デバイス(弁尖クリップ等)を配備し、その後、配備されたデバイスに関連するデバイスまたは構成要素を(例えば、心臓弁の裂隙または交連に対して)再配置する上述の技法は、本明細書に開示されるもの以外のデバイス、システム、構成要素等とともに使用され得ることが理解されるであろう。
【0063】
上述したように、本開示の様々な原理に従って形成された様々な弁尖クリップは、弁尖クリップ送達および配備システム100と共に使用され得る。弁尖クリップの実施形態の様々な例が、図8図15を参照して説明される。開示された各実施形態は、別の実施形態において図示されていなくても、そのような別の実施形態において別個にかつ独立して使用可能であり得る1つまたは複数の特徴または構造を含み得ることが理解されるであろう。
【0064】
弁尖クリップは、ニチノール等の長尺状の弾性材料および/または形状記憶材料から、本開示の種々の原理に従って、所望の構成に形成され得る(例えば、熱処理によって)。いくつかの実施形態では、弁尖クリップは、モノリシックな一体型要素として形成される。いくつかの実施形態では、弁尖クリップは、最初は実質的に直線状の要素(例えば、ロッドまたはストリップ)から形成され、この要素は、間に組織を把持するように共に配置された弁尖クリップアームを備えて所望の形状に形成または曲げられる。成形プロセスは、実質的に直線状の要素を弁尖クリップの所望の屈曲形態に屈曲させるために、任意選択的に熱処理を含む一連の曲げステップを含み得る。材料は、マンドレルに対して曲げられて、フレックスゾーンを形成し得る(例えば、間に組織を把持する弁尖クリップアーム間の屈曲領域として)。弁尖クリップは、最終的な形状が保持されるように、ヒートセット(heat set)材料から形成され得る。追加的に、または代替的に、弁尖クリップは、形状記憶材料から形成されて、弁尖クリップが真っ直ぐにされた場合、弁尖クリップアーム間に組織を把持するために弁尖クリップをその形成された屈曲形態に復元するために、ポテンシャルエネルギーが発生するようになっていてもよい。材料は、処理による高い応力集中を除去するなどのために、任意選択的に、クリップの全ての側面/表面から約0.0075インチ(0.1905mm)の材料を除去するように電解研磨され得る。いくつかの実施形態では、(フレックスゾーンなどにおいて)弁尖クリップを過度に歪ませることなく、弁尖クリップのより広い開放(弁尖クリップアームをさらに広げること)を可能にするために、弁尖クリップの厚さ(弁尖クリップアームが互いに対向する内側または内部側から、アクチュエータ130が延在するような外側または外部側まで)は、弁尖クリップアームの自由端からフレックスゾーンまで増加する。一つの構成では、厚さは、一方の弁尖クリップアーム(例えば、心室アーム)の自由端の少なくとも一部に沿って約13.6ミル(0.345mm)の厚さから、フレックスゾーンに沿って約15ミル(0.381mm)の厚さまで増加し、次いで、他方の弁尖クリップアーム(例えば、心房弁尖クリップアーム)に沿って約14.3ミル(0.363mm)の厚さまで減少し得る。別の構成では、厚さは、1つの弁尖クリップアーム(例えば、心室アーム)の自由端の少なくとも一部に沿って約10ミル(0.254mm)の厚さから、フレックスゾーンに沿って約13.5ミル(0.343mm)の厚さまで増加し、次いで、約11.6ミル(0.295mm)の厚さまで減少し得る。フレックスゾーンに沿った厚さの増加は、歪みがフレックスゾーン(例えば、フレックスゾーンの中央部)に集中することを抑制または防止し得るとともに、弁尖クリップが均一な厚さを有する場合よりも弁尖クリップがさらに開くことを可能にし得る(弁尖クリップアームが互いからさらに離間して延在することを可能にし得る)。
【0065】
図8を参照すると、本開示の様々な原理に従って形成された弁尖クリップ2000の実施形態の一例が示されている。図示の弁尖クリップ2000は、フレックスゾーン2016に沿って連結された2つのアーム2012、2014を含み、フレックスゾーン2016は、アーム2012、2014を互いに向かって方向付けられた閉鎖形態に付勢するように構成され得る。各アーム2012、2014は、組織内に埋め込まれるように構成された、図8に示す実施形態における歯などの突起2018を含む。突起2018は、アーム2012、2014の自由端2011、2015からフレックスゾーン2016に向かって(例えば、ある角度で)延在するとともに、アーム2012、2014間を移動する組織を受け入れるように構成された平滑表面を有し得る。各突起2018は、アーム2012、2014の間の組織に埋め込まれるか、組織を把持するか、または別様に組織と係合するように構成され、任意選択的に、係合された組織の後退に抵抗するように構成された(例えば、突起の自由端にある)係合端部2019を含み得る。本開示の様々な原理によれば、弁尖クリップアーム2012は、心臓弁の弁尖Lの心室側に沿って配置されるように構成され得(従って、本明細書では心室クリップアーム2012として参照される)、弁尖クリップアーム2014は、心臓弁の弁尖Lの心房側に沿って配置されるように構成され得る(従って、本明細書では心房クリップアーム2014として参照される)。さらに、本開示の様々な原理によれば、フレックスゾーン2016は、心臓弁の弁尖Lの閉鎖に対応するように非対称であり得る。より具体的には、弁尖クリップ2000の実施形態の一例の心房クリップアーム2014は、実質的に直線状であるのに対して、弁尖クリップ2000の心室クリップアーム2012は、外側に拡張されたフレックスゾーン2016に向かって外側に(心房クリップアーム2014から離れる方向に)延在し得る。心室クリップアーム2014に沿ったそのような拡張されたフレックスゾーン2016は、拡張されていない場合(例えば、心房クリップアーム2012に沿っているような場合等)よりも応力および歪みをより均一に分散し、一方、心房クリップアーム2014に沿ったフレックスゾーン2016の非拡張領域は、弁尖クリップ1000の心房側に沿った拡張されたフレックスゾーン領域を用いて達成され得るよりも、弁尖クリップ2000がクランプする心臓弁の弁尖Lのより良好な接合を可能にする。心室クリップアーム2012および心房クリップアーム2014の自由端は、米国特許出願公開第2021/0007847号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)にあるように構成されているが、代わりに、本明細書に開示される他の弁尖クリップの心室クリップアームおよび心房クリップアームと同様に構成され得ることを理解されたい。
【0066】
本開示の様々な原理によれば、弁尖クリップの両方のアームが突起を有する代わりに、弁尖クリップ3000の実施形態の別の例は、図9に示されるように、アーム3012、3014の一方のみに沿って突起3018を有し得る。図示された突起3018は、組織の初期係合および把持を円滑に行うように、弁尖クリップ3000の心房クリップアーム3014上に示されている。しかしながら、突起3018は、代わりに、心室クリップアーム3012上のみに設けられ得る。
【0067】
代替的に、図10図11、および図12に図示される弁尖クリップ4000、5000、6000の実施形態の例のように、より鋭利な突起が一方のアーム上に形成され得、より平滑な突起が他方のアーム上に形成され得る。「より平滑な」突起は、より鈍いか、またはよりギザギザでないか、またはより丸くいか、湾曲しているか、またはそうでなければ反対側のアーム上の歯ほど鋭くなくてもよい。隣接する構造(人工腱索140または天然腱索または他の組織等)に影響を及ぼすことを防止する等のために、面取り(Fillets)が外縁上に含まれてもよい(例えば、角または縁が丸みを帯びてもよい)。「より鋭利な」突起は、「より平滑な」突起よりも角度が付けられているか、または角張っていてもよい。追加的に、または代替的に、「より鋭利な」突起は、弁尖アームに沿った幅よりも大きい、弁尖アームから離れた高さ距離を有し得、一方、「より平滑な」突起は、弁尖アームに沿った幅よりも小さい、弁尖アームから離れた高さ距離を有し得る。例えば、弁尖クリップ4000、5000、6000のより鋭利な突起4018a、5018a、6018aは、歯の形態で一方のアーム上に設けられ得(図8に示される実施形態の例など)、より鈍い突起4018b、5018b、6018bは、凸凹または波紋または曲線等の湾曲した突起の形態で他方のアーム上に設けられ得る。図示の実施形態では、腱索などの組織に対する引っ掛かりポイントを形成しないように、心室クリップアーム4012、5012、6012上により平滑な突起が有利に設けられる。心室クリップアーム4012、5012、6012上のバンプは、それぞれ、心房クリップアーム4014、5014、6014上の歯の間に延在する組織に係合して、例えば、個別の弁尖クリップ4000、5000、6000の対向するアーム間の組織の把持を向上させるように構成および配置され得る。図10図12に示されるより平滑な突起の構成を比較すると理解され得るように、(弁尖アームから離れる方向の)厚さ/高さおよび/または(弁尖アームに沿った方向の)幅/長さは、より鋭利な突起との相互作用を最適化するように、変更され得る。さらに、より平滑な突起は、(例えば、図10および図11に示される実施形態の例のように)クリップアームを厚くすることによって、または(図12に示される実施形態の例のように)クリップアームにリップルまたは波または一連の屈曲部/湾曲部を作成することによって形成され得る。
【0068】
より鋭利な突起2018、3018、4018a、5018a、6018aは、図8図9図10図11、および図12にそれぞれ示されるように、突起として形成され得る(例えば、個別の弁尖クリップ2000、3000、4000、5000、6000の材料から機械加工または成形または別様に形成され得る)ことが理解されるであろう。追加的または代替的に、より鋭利な突起7018は、図13に示すように、弁尖クリップ7000のアーム7012、7014の一方または両方にスリットを形成し、曲げられるか、または突起に変形されることによって形成され得る。弁尖クリップ7000のフレックスゾーン7016は、図8に示す弁尖クリップ2000の実施形態の例の非対称フレックスゾーン2016のように非対称であり得ることが理解されるであろう。
【0069】
図8図9図10図11図12、および図13にそれぞれ示される様々な実施形態の例の突起2018、3018、4018a、4018b、5018a、5018b、6018a、6018b、7018の数、間隔、相対的な配置、分布、サイズ、形状、寸法、および構成は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく変更され得ることが理解されるであろう。例えば、所与の弁尖クリップの対向するアーム上に異なる数の突起が設けられてもよく、突起間の間隔が変化してもよく、突起の角度が所与の弁尖クリップのアーム上で同じでなくてもよい、などがある。
【0070】
種々の実施形態では、本開示の種々の原理に従って形成される弁尖クリップは、クリップを心臓弁の弁尖に固定するための十分な締付力を提供するとともに、人工腱索等の付属のフィラメントのための実質的なアンカー体を提供するために適切な材料から成るように製造され得る。本開示の様々な原理によれば、様々な弁尖クリップ1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000のいずれかのフレックスゾーンは、その間に組織を進入させるためにクリップアームを曲げて開くことを可能にするのに十分なばね力を許容し、さらにクリップアームが容易に引き離されないように(当業者によって容易に理解される通常の使用条件下で引き離されないように)十分な力で組織にクランプすることを可能にするように形成(サイズ、形状、構成、寸法など)され得る。個別のクランプゾーン1016、2016、3016、4016、5016、6016、7016における弁尖クリップ1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000の厚さは、クリップの塑性変形をもたらすことなく所望の曲げ力およびクランプ力を可能にするように選択される。いくつかの実施形態では、フレックスゾーンは、少なくとも約90°まで(互いから離れて)、より好ましくは少なくとも約135°まで、さらには約180°まで(90°と180°との間の1°の増分を含む)のクリップアームの開放を可能にするようなサイズ、形状、構成、および寸法にされる。弁尖クリップ1000の実施形態の一例が図14に示されており、フレックスゾーン1016によって、弁尖クリップアーム1012、1014が約135°離れて開くことが可能である。弁尖クリップ1000の実施形態の一例が図15に示されており、フレックスゾーン1016によって、弁尖クリップアーム1012、1014が約180°離れて開くことが可能である。
【0071】
一態様では、クリップは、外科的修復の労力を妨害し得る過度の重力を与えることなく、クリップが組織に固定的に取付されることを可能にするのに十分な力を提供するように製造することができる。このように、クリップは、クリップの重量が弁尖又は近くの組織に悪影響を与えないように、必要とされるよりも著しく大きくない質量を有する。例えば、クリップは、例えば、クリップの重量が弁尖動作を望ましくないように干渉する可能性がないように、約0.10グラム未満、約0.08グラム未満等の重量であり得る。クリップは、例えば、ニチノール、ポリマー、ゴム、ナイロン、ステンレス鋼、ニッケルチタン、白金、それらの組合せ等の様々な材料を含み得る。
【0072】
本開示の実施形態は、僧帽弁を具体的に参照して説明され得るが、本明細書に開示されるようなデバイス、システム、および方法は、任意の弁輪(例えば、三尖弁輪を含む)、および/または任意の他の拡張、弁不全、弁漏出、および他の同様の心不全状態の修復または修正、および/または触診力等の力を受け得る組織をクランプすることを伴う任意の他の処置に関連して使用され得る。本開示の実施形態は、心臓組織への選択的なアクセスのための医療デバイスおよびシステム(例えば、大腿静脈等を通して挿入される経腔的デバイス)を具体的に参照して説明され得るが、そのような医療デバイスおよびシステムは、弁の弁尖をクランプすることまたは組織壁をクランプすることを必要とする他の処置を含むが、それらに限定されない、種々の医療処置において使用され得ることを理解されたい。さらに、クリップ送達および配備システムならびに関連する構成要素およびその使用方法の本明細書における開示は、心臓弁の弁尖を参照して行われているが、他の用途および使用も本開示の範囲内である。開示される医療デバイスおよびシステムはまた、異なるアクセスポイントおよびアプローチを介して、例えば、経皮的に、内視鏡的に、腹腔鏡的に、またはそれらの組み合わせで挿入され得る。
【0073】
上記を考慮して、図面に示される種々の実施形態は、いくつかの別個の独立した特徴を有し、その各々は、少なくとも単独で、本開示の弁尖クリップ送達および配備デバイス、システム、および方法にとって望ましいが決定的ではない固有の利点を有することを理解されたい。従って、本明細書に記載される所望の特性および/または利点の少なくともいくつかを達成するために、本明細書に記載される様々な別個の特徴および構造の全てが存在する必要はない。本明細書に記載される所望の特性および/または利益を達成するために、様々な特徴または構造のうちの1つのみが存在し得る。代替的に、一実施形態を参照して説明される特徴または構造のうちの1つまたは複数は、本明細書に提供される他の実施形態のうちのいずれかの特徴または構造のうちの1つまたは複数と組み合わせられることができる。即ち、本明細書で説明される特徴のうちのいずれかは、ハイブリッド設計を作成するように混合および整合されることができ、そのようなハイブリッド設計は、本開示の範囲内である。さらに、本開示全体を通して、参照番号は、開示された実施形態の概略的な要素または特徴を示すために使用される。同じまたは同様の参照番号が、形態、形状、構造などが同一ではないが、同様の機能または利点を提供する要素または特徴を示すために使用され得る。同様の要素または特徴を互いに区別するために、追加の参照符号(数字ではなく文字など)が使用され得る。
【0074】
本明細書に開示され、且つ請求項に記載される装置及び/又は方法のすべては、本発明を考慮して過度の実験なしに作成及び実行することができる。本発明の装置及び方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、当業者であれば、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、装置及び/又は方法に対して且つ本明細書に記載する方法のステップ又は一続きのステップにおいて変形形態を適用できることが明らかであり得る。当業者に対して明らかなこうした同様の置換形態及び変更形態のすべては、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨、範囲及び概念内にあると考えられる。
【0075】
上述の説明は、広範な応用性があり、及び説明及び記載のために提示されており、本開示を本明細書で開示した形式又は複数の形式に限定するものではない。様々な追加、修正、及び置換が、本開示の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、本明細書で開示した実施形態になされ得ることを理解されたい。特に、当業者には、本開示の原理は、その概念、趣旨、若しくは範囲、又はその特性から逸脱することなく、他の形式、構造、配置構成、比率で、並びに他の要素、材料、及び構成要素を備えて供され得ることが明白になろう。例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で、1つ以上の態様、実施形態、又は形態にまとめられる。しかしながら、本開示のいくつかの態様、実施形態、又は形態の様々な特徴は、代替的な態様、実施形態、又は形態と組み合わせられ得ることが理解されるべきである。本開示は実施形態に関して提示されるが、本主題の所望の特性及び/又は利益のうちの少なくともいくつか又は本主題の様々な別々の特徴を達成するために、そのような個々の特徴が提示される必要はないことが認識されるべきである。当業者は、本開示の原理又は趣旨又は範囲から逸脱することなく、本開示は、多くの修正の上で、又は構造、配置構成、大きさ、材料、構成要素の修正の上で、使用され得、そうでなければ、特定の環境及び動作条件に特に適合される本開示の実施において使用され得ることを認識するであろう。例えば、一体的に形成されていると示されている要素が複数の部分で構成されてもよく、又は複数の部分として示される要素が一体的に形成されてもよく、要素の動作は、逆にされても、他の方法で変えられてもよく、要素のサイズや寸法が変えられてもよい。同様に、動作若しくは行為若しくは処置は特定の順序で説明されるが、これは、そのような特定の順序を必要とすると、又は全ての動作若しくは行為若しくは処置が所望の結果を達成するために実施されると理解されるべきではない。さらに、他の実装例が以下の特許請求の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲内に列挙される行為は異なる順序で実施され得、それでも、所望の結果を達成する。それゆえ、本開示の実施形態は、あらゆる点で、限定ではなく説明であるとみなされるものとし、特許請求する主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されており、及び上述の記載又は特定の実施形態又は本明細書で説明若しくは図示した配置構成に限定されない。上記を考慮して、いずれかの実施形態の個々の特徴は、別々に又はその実施形態若しくは任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて使用されてもよく、及び特許請求され得、主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されており、及び上述の記載に限定されない。
【0076】
上述の記載及び以下の特許請求の範囲では、以下のことが認識される。本明細書で使用される語句「少なくとも1つ」、「1つ以上」、及び「及び/又は」は、有効性(operation)において接続的及び離接的の双方である、制約のない表現である。用語「a」、「an」、「the」、「第1」、「第2」等は、複数を除外しない。例えば、本明細書で使用される用語「a」又は「an」エンティティは、1つ以上のそのエンティティを指す。そのようなものとして、用語「a」(又は「an」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」は、本明細書では区別しないで使用され得る。全ての方向の指示内容(例えば、近位、遠位、上部、下部、上向き、下向き、左、右、横方向、長手方向、前、後ろ、頂部、底部、上方、下方、垂直、水平、半径方向、軸方向、時計回り、反時計回り等)は、読者が本開示を理解するのを支援するための識別目的で使用されているにすぎず、及び/又は関連の要素の領域を互いに区別する働きをし、及び、特にこの開示の位置、向き、又は使用に関して関連の要素を限定するものではない。接続の指示内容(例えば、取り付けられる、結合される、接続される、及び接合される)は広く解釈され、別段の指示がない限り、一群の要素間の中間部材及び要素の相対運動を含み得る。そのようなものとして、接続の指示内容は、必ずしも、2つの要素が直接及び互いに固定関係で接続されていることを暗示しない。識別の指示内容(例えば、主、副、第1、第2、第3、第4等)は、重要性又は優先度を暗示することを意図せず、1つの特徴を別の特徴から区別するために使用される。
【0077】
以下の特許請求の範囲は、これを参照することにより本詳細な説明に援用され、各特許請求項は、本開示の別個の実施形態としてそれ自体に基づく。特許請求の範囲において、「備える/備えている」および/または「含む/含んでいる」という用語は、他の要素、構成要素、特徴、領域、整数、ステップ、動作などの存在を排除するものではない。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれ得るが、これらは、場合によっては有利に組み合わされ得、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実現可能でないおよび/または有利でないことを暗示しない。加えて、単数の参照は複数を除外しない。特許請求の範囲における参照符号は、単に明確な例として提供されており、特許請求の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁尖クリップ送達および配備システムであって、
心房スプレッダアームおよび心室スプレッダアームを有するクリップスプレッダと、
心房クリップアームおよび心室クリップアームを有する弁尖クリップと、を備え、
前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームは、前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームを共に保持するように構成された嵌め合い心房保持要素を有しており、
前記心室スプレッダアームおよび前記心室クリップアームは、前記心室スプレッダアームおよび前記心室クリップアームを共に保持するように構成された嵌め合い心室保持要素を有しており、
前記嵌め合い心房保持要素または前記嵌め合い心室保持要素のうちの少なくとも1つは、摺動係合および摺動係合解除するように構成されている、弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項2】
前記心房クリップアームの前記心房保持要素または前記心室クリップアームの前記心室保持要素のうちの少なくとも1つは、開口を備える、請求項1に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項3】
前記心室スプレッダアームの前記心室保持要素は、フックを備えており、前記フックは、開口の形態の前記心室クリップアームの心室保持要素に係合し、摺動移動によって前記開口から係合解除するように構成されている、請求項1または2に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項4】
前記弁尖クリップは、前記心室スプレッダアームの前記心室保持要素の相対的な遠位摺動移動または前記心室クリップアームの前記心室保持要素の近位摺動移動によって前記クリップスプレッダから係合解除される、請求項に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項5】
前記心房スプレッダアームの前記心房保持要素は、開口の形態の前記心房クリップアームの心房保持要素に嵌合するように構成されたボスを備えており、
前記心房保持要素は、前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームを係合状態に維持するために前記ボスと係合される係合位置と、前記ボスから係合解除され、かつ前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームがそれらの間の相対移動の結果として互いから係合解除することを可能にする係合解除位置との間でシフト可能なワイヤの形態の可動保持要素をさらに備える、請求項に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項6】
前記心房スプレッダアームの前記心房保持要素は、開口の形態の前記心房クリップアームの心房保持要素に嵌合するように構成されたボスを備える、請求項1または2に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項7】
前記心房保持要素は、前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームを係合状態に維持する係合位置と、前記心房スプレッダアームおよび前記心房クリップアームがそれらの間の相対移動の結果として互いから係合解除することを可能にする係合解除位置との間でシフト可能な可動保持要素をさらに備える、請求項に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項8】
前記可動保持要素は、前記ボスと係合する係合位置と前記ボスから係合解除された係合解除位置との間でシフト可能である、請求項7に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項9】
前記クリップスプレッダは、前記弁尖クリップのフレックスゾーンを収容するように構成された凹部を備え、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームは、前記弁尖クリップの前記フレックスゾーンを中心に、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームの間に組織を受け入れるための開放形態と、組織上でクランプするための閉鎖形態との間で移動する、請求項1または2に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項10】
前記クリップスプレッダは、前記心房スプレッダアームと前記心室スプレッダアームとの間にあるピボットを備えており、
前記弁尖クリップは、前記心房クリップアームと前記心室クリップアームとの間にあるフレックスゾーンを備えており、
前記フレックスゾーンは、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームを組織上でクランプするための閉鎖形態に付勢し、かつ前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームが互いから離れるように移動することを可能にするように屈曲性を有しており、
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームおよび前記フレックスゾーンは、前記心房スプレッダアームおよび前記心室スプレッダアームを閉鎖形態に保持し、
前記弁尖クリップ送達および配備システムは、前記心室スプレッダアームに連結点で連結された遠位端を有するクリップスプレッダアクチュエータをさらに備えており、前記クリップスプレッダアクチュエータは、前記連結点から遠位に、前記クリップスプレッダの周りに、前記心室スプレッダアームに沿って近位に、かつ前記心室スプレッダアームの近位端に近位に延在する、請求項1または2に記載の弁尖クリップ送達および配備システム。
【請求項11】
クリップスプレッダに摺動可能に係合するように構成された弁尖クリップであって、
心房クリップアームと、
心室クリップアームと、
前記心房クリップアームと前記心室クリップアームとの間にあるフレックスゾーンと、を備え、前記フレックスゾーンは、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームを組織上でクランプするための閉鎖形態に付勢し、かつ前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームが互いから離れるように移動することを可能にするように曲がり、
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの少なくとも1つは、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームを互いから離れるように移動させるように構成されたクリップスプレッダと摺動係合および摺動係合解除するように構成されている、弁尖クリップ。
【請求項12】
前記心房クリップアームまたは前記心室クリップアームのうちの少なくとも1つに開口が形成されており、前記開口は、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームを互いから離れるように移動させるように構成されたクリップスプレッダと摺動係合および摺動係合解除するように構成されている、請求項11に記載の弁尖クリップ。
【請求項13】
前記フレックスゾーンは、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの一方のみから外側に延在している、請求項11または12に記載の弁尖クリップ。
【請求項14】
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの一方は、歯の形態の突起を備えており、
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの他方は、バンプの形態の突起を備えており、
前記歯および前記バンプは協働して、前記心房クリップアームと前記心室クリップアームとの間の組織に係合する、請求項11に記載の弁尖クリップ。
【請求項15】
前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの少なくとも1つに切れ目が形成され、前記心房クリップアームおよび前記心室クリップアームのうちの少なくとも1つの一部が、前記切れ目に沿って曲げられて、組織に係合するための歯を形成している、請求項11または14に記載の弁尖クリップ。
【国際調査報告】