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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】安全フィルタエレメント
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/62 20220101AFI20240905BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20240905BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B01D46/62
B01D46/42 A
B01D46/52 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513530
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022076590
(87)【国際公開番号】W WO2023044440
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,612
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カトゥール, バート
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルストラーテ, マティス
(72)【発明者】
【氏名】デコスター, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ポール, グンター
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA14
4D058KA02
4D058KB11
4D058KC14
4D058KC17
4D058KC19
4D058KC63
4D058KC64
4D058LA01
4D058LA02
4D058SA07
4D058TA10
(57)【要約】
本開示は、一次濾材パックを備えるメインフィルタエレメントの故障をバックアップするための安全フィルタエレメントに関する。安全フィルタエレメントは、二次濾材パックと、シェルとを備え、シェルの周壁の内側の第1の部分は、二次濾材パックの周側面を囲んでおり、シェルの周壁の内側の第2の部分は、シェルの第1の開口と二次濾材パックの流体入口側との間に配置された空洞の半径方向の境界を定めている。空洞は、メインフィルタエレメントの一次濾材パックを受け入れる又は少なくとも部分的に受け入れることを可能にする。安全フィルタエレメントは、シェルにシールするための第1の周囲シーリング部分と、メインフィルタエレメントにシールするための第2の周囲シーリング部分とを備える第1のシール部材を備える。第2の周囲シーリング部分は、単一回回転対称の外形形状を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次濾材パックを備えるメインフィルタエレメント(2)の故障をバックアップするための安全フィルタエレメント(1)であって、
・ 流体入口側(11)から流体出口側(12)まで長手方向(Y)に延在する周側面(13)を有する二次濾材パック(10)
を備える安全フィルタエレメント(1)において、
・ シェル(40)であって、前記シェルの第1の端部における第1の開口(41)から前記シェルの第2の端部における第2の開口(42)まで前記長手方向(Y)に延在する周壁(49)を備え、前記周壁(49)の内側の第1の部分(46)が、前記二次濾材パック(10)の前記周側面(13)を囲んでおり、前記周壁(49)の前記内側の第2の部分(47)が、前記メインフィルタエレメント(2)の一次濾材パック(20)を受け入れる又は少なくとも部分的に受け入れるための、前記シェル(41)の前記第1の開口と前記二次濾材パック(10)の前記流体入口側(11)との間に配置された空洞(45)の半径方向の境界を定める、シェル(40)と、
・ 前記シェル(40)にシールするための第1の周囲シーリング部分(31a)と前記メインフィルタエレメント(2)にシールするための第2の周囲シーリング部分(31b)とを備える第1のシール部材(31)であって、前記第2の周囲シーリング部分(31b、34)が単一回回転対称の外形形状を有する、第1のシール部材(31)と
をさらに備えることを特徴とする、
安全フィルタエレメント(1)。
【請求項2】
前記シェルが、熱可塑性材料から作られる、又は、少なくとも部分的に熱可塑性材料から作られる、好ましくは、前記熱可塑性材料が、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、若しくはポリ塩化ビニル、又は、これらの混合物及び組合せ物のいずれかである、
請求項1に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項3】
前記第1のシール部材(31)が、ゴム、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、若しくは熱可塑性加硫物のいずれか、又は、これらの混合物若しくは組合せ物から作られる、又は、少なくとも部分的に作られる、
請求項1又は2に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項4】
前記第1のシール部材(31)が、前記第1の周囲シーリング部分(31a)を前記シェル(40)に封止的に取り付けることによって、前記シェル(40)に恒久的に結合される、好ましくは、前記第1のシール部材(31)が、多成分射出成形を介して、前記シェル(40)上にオーバーモールドされる、又は、代わりに、前記第1のシール部材(31)の前記第1の周囲シーリング部分(31a)が、接着剤で前記シェル(40)に取り付けられる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項5】
前記第1のシール部材(31)が、少なくとも1つのシーリングリップ(34)を備えるリップ型シール部材であり、
前記少なくとも1つのシーリングリップ(34)が、前記第1のシール部材(31)の前記第2の周囲シーリング部分(31b)を形成している、
請求項1~4のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシーリングリップ(34)が、前記長手方向(Y)に対して斜めの角度で配設される、好ましくは、前記少なくとも1つのシーリングリップが、少なくとも5度、前記長手方向(Y)に対して外向きに傾斜する、
請求項5に記載の安全フィルタエレメント。
【請求項7】
前記第1のシール部材(31)が、ポリウレタン材料から作られる、又は、少なくとも部分的にポリウレタン材料から作られる、
請求項1又は2に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項8】
前記シェル(40)が、前記第1のシール部材(31)を支持するシール支持フランジ(48)を備え、好ましくは、前記支持フランジ(48)が前記シェル(40)の前記第1の端部に配置される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項9】
前記シェル(40)がシール支持フランジ(48)を備え、
前記シール支持フランジ(48)が周囲支持面(48a)を備え、
前記第1の周囲シーリング部分(31a)が前記周囲支持面(48a)に結合される、好ましくは、前記周囲支持面(48a)が前記長手方向(Y)に対して斜めの角度で配設される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項10】
前記第1のシール部材(31)の前記第1の周囲シーリング部分(31a)が、前記シェルの前記周壁(49)に結合される、好ましくは、前記シェル(40)の前記第1の端部で結合される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項11】
前記第1のシール部材(31)の前記第1の周囲シーリング部分(31a)が、前記シェル(40)の前記周壁(49)の前記内側の前記第2の部分(47)に結合される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項12】
前記第1のシール部材(31)の前記第2の周囲シーリング部分(31b、34)が、前記長手方向(Y)に対して軸方向にシールする又は少なくとも部分的に軸方向にシールするために構成される、
請求項1~11のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項13】
前記第1のシール部材(31)の前記第2の周囲シーリング部分(31b)が、前記長手方向(Y)に対して半径方向にシールする又は少なくとも部分的に半径方向にシールするために構成される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項14】
フィルタシステムのハウジングに前記安全フィルタエレメント(1)をロックするための接続構造(50)
を備え、
前記接続構造(50)が前記シェル(40)に結合される、
請求項1~13のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項15】
前記接続構造(50)が、1つ又は複数のラッチ、1つ又は複数のスナップフィットコネクタ、1つ又は複数の枢動コネクタ、1つ又は複数のヒンジ、1つ又は複数のねじ、1つ又は複数のスロット、1つ又は複数のノッチ、1つ又は複数の窪み、1つ又は複数のラッチ受け、或いは、1つ又は複数のスナップフィット受けのいずれか、又は、これらの組合せを備える、
請求項14に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項16】
前記接続構造(50)が、1つ又は複数の枢動コネクタ(50a、50b)を備え、
前記1つ又は複数の枢動コネクタ(50a、50b)のそれぞれが、第1の位置から第2の位置まで移動可能であり、前記第1の位置にあるときは、前記安全フィルタエレメント(1)が前記フィルタシステムの前記ハウジングから取り外し可能であり、前記第2の位置にあるときは、前記安全フィルタエレメント(1)と前記ハウジングとの間にロックされた接続を形成するように、前記1つ又は複数の枢動コネクタ(50a、50b)が前記ハウジングの外側上の対応する係合要素と係合しているように構成される、
請求項14に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項17】
フィルタシステムのハウジングに前記安全フィルタエレメントをシールするための第2のシール部材(32)
を備え、
前記第2のシール部材(32)が、前記シェル(40)に、恒久的に、又は、代わりに、取り外し可能に結合される、好ましくは、前記第2のシール部材(32)が、前記シェル(40)の前記周壁(49)の外側に結合される、
請求項1~13のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項18】
前記フィルタシステムの前記ハウジングに前記安全フィルタエレメント(1)をシールするための第2のシール部材(32)
を備え、
前記第2のシール部材(32)が、前記シェル(40)に、恒久的に、又は、代わりに、取り外し可能に結合される、好ましくは、前記第2のシール部材(32)が、前記シェル(40)の前記周壁(49)の外側に結合される、
請求項14~16のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項19】
前記第2のシール部材(32)が、
前記シェル(40)にシールするための内周側面(35a)と、
前記ハウジングにシールするための外周側面(35b)と
を備え、
前記内周側面(35a)が、前記シェル(40)の前記周壁(49)の外側に結合される、
請求項17又は18に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項20】
前記第2のシール部材(32)が、前記ハウジングにシールするための1つ又は複数のシーリングリップ(32a、32b)を備えるリップ型シール部材である、
請求項17~19のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項21】
前記第2のシール部材(32)の前記外周側面(35b)が、1つ又は複数のシーリングリップ(32a、32b)を備える、
請求項19に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項22】
前記第2のシール部材(32)が、ゴム、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、及び熱可塑性加硫物のいずれか、又は、これらの混合物若しくは組合せ物から作られる、又は、少なくとも部分的に作られる、
請求項15~19のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項23】
前記第2のシール部材(32)が、前記シェル(40)に恒久的に結合される、好ましくは、前記第2のシール部材(32)が、多成分射出成形を介して、前記シェル(40)上にオーバーモールドされる、又は、代わりに、前記第2のシール部材(32)が、接着剤で前記シェル(40)に取り付けられる、
請求項17~22のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項24】
前記第2のシール部材(32)が、ポリウレタン材料から作られる、又は、少なくとも部分的に作られる、
請求項17又は19に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項25】
前記第2のシール部材(32)が、前記シェル(4)に取り外し可能に結合される、好ましくは、前記第2のシール部材(32)が、取り外し可能なガスケットである、
請求項17又は19に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項26】
前記二次濾材パック(10)が、ひだ付き濾材を備える、
請求項1~25のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項27】
前記二次濾材パック(10)の前記周側面(13)が、前記シェル(40)の前記周壁(49)の前記内側の前記第1の部分(46)に封止的に取り付けられる、
請求項1~26のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項28】
前記二次濾材パック(10)が、前記シェル(40)に取り外し可能に結合され、好ましくは、前記安全フィルタエレメント(1)が、前記二次濾材パック(10)の前記周側面(13)と前記シェル(40)の前記周壁(49)の前記内側の前記第1の部分(46)との間の隙間をシールするために構成された第3のシール部材(33)を備える、
請求項1~24のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項29】
前記第1のシール部材(31)の前記第2の周囲シーリング部分(31b、34)の前記外形形状が、前記二次濾材パック(10)の前記流体入口側(11)及び前記流体出口側(12)を横切る鏡面対称面(M)を有する、
請求項1~28のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項30】
前記シェル(40)の前記周壁(49)の前記内側の前記第2の部分(47)の外形形状が、単一回回転対称を有する、
請求項1~29のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項31】
前記シェル(40)の前記周壁(49)の前記内側の前記第2の部分(47)と前記長手方向(Y)に対して横方向の平面との間の断面が、円、長円、レーストラック形状、落花生形状、バナナ形状、楕円形状、正方形、又は長方形のいずれかから選択された形状を有する、
請求項1~29のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項32】
前記シェル(40)の前記周壁(49)が、前記長手方向(Y)と平行な回転軸に対して回転対称である、
請求項1~29のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項33】
前記シェル(40)が、前記長手方向(Y)と平行な回転軸に対して離散N回回転対称(ただし、N>1)を有する、
請求項1~29のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項34】
前記メインフィルタエレメント(2)が、空気洗浄のためのメインフィルタエレメントである、
請求項1~33のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項35】
前記シェル(40)が、前記安全フィルタエレメント(1)の前記空洞(45)内への前記メインフィルタエレメント(2)の位置決めを容易にするために構成された1つ又は複数の第1の位置決め要素(55)を備える、
請求項1~34のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項36】
前記二次濾材パック(10)の前記流体入口側(11)と本質的に平行に位置付けられた1つ又は複数のリブ要素(26)
を備える、
請求項1~35のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)。
【請求項37】
i)請求項1~36のいずれか一項に記載の安全フィルタエレメント(1)と、
ii)前記安全フィルタエレメント(1)の前記空洞(45)に受け入れ可能な一次濾材パック(20)を備えるメインフィルタエレメント(2)と
を備え、
前記メインフィルタエレメント(2)が、前記一次濾材パック(20)に封止的に取り付けられた周囲フレーム(23)をさらに備え、
前記周囲フレーム(23)が、前記一次濾材パック(20)が前記空洞(45)内に受け入れられたときに、前記第1のシール部材(31)の前記第2の周囲シーリング部分(31b)と封止的に協働するために構成された周囲シーリング面を備える、
フィルタアセンブリ(100)。
【請求項38】
前記周囲フレーム(23)が、前記一次濾材パック(20)の外周面に封止的に取り付けられている、
請求項37に記載のフィルタアセンブリ(100)。
【請求項39】
前記周囲フレーム(23)が、熱溶接によって前記一次濾材パックに封止的に取り付けられている、
請求項37又は38に記載のフィルタアセンブリ(100)。
【請求項40】
前記一次濾材パック(20)が、流体入口面(21)と前記流体入口面(21)の反対側の流体出口面(22)との間で前記長手方向(Y)に延在する外周面を有し、
前記メインフィルタエレメント(2)が、前記一次濾材パック(20)が前記空洞(45)に受け入れられたときに、前記一次濾材パックの前記流体出口面(22)が、前記二次濾材パック(20)の前記流体入口側(11)に面しているように構成される、
請求項37~39のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ(100)。
【請求項41】
前記一次濾材パック(20)が溝付き濾材を備える、
請求項37~40のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ(100)。
【請求項42】
i)請求項37~41のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ(100)と、
ii)前記フィルタアセンブリ(100)を収容するためのハウジング(220)と
を備える、
フィルタシステム(200)。
【請求項43】
iii)1つ又は複数のコネクタで前記ハウジングに係合可能であるプレクリーナ又はカバー(225)
をさらに備え、
前記プレクリーナ又はカバー(225)が、前記プレクリーナ又はカバー(225)が前記ハウジングに係止されたときに、前記プレス要素(226)がメインフィルタエレメント(2)の前記周囲フレーム(23)に対して押圧されるように構成されたプレス要素(226)を備える、
請求項42に記載のフィルタシステム(200)。
【請求項44】
・ 流体入口側から流体出口側まで長手方向に延在する周側面を有する二次濾材パックと、
・ シェルであって、前記シェルの第1の端部における第1の開口から前記シェルの第2の端部における第2の開口まで前記長手方向に延在する周壁を有し、前記周壁の内側の第1の部分が、前記二次濾材パックの周側面を囲み、前記周壁の前記内側の第2の部分が、メインフィルタエレメントの一次濾材パックを少なくとも部分的に受け入れるための空洞の半径方向の境界を定め、前記空洞が前記シェルの前記第1の開口と前記二次濾材パックの前記流体入口側との間に配置されている、シェルと、
・ 前記シェルにシールするための第1の周囲シーリング部分を有し、且つ、前記メインフィルタエレメントにシールするための第2の周囲シーリング部分を有する、第1のシール部材であって、前記第2の周囲シーリング部分が単一回回転対称の外形形状を有する、第1のシール部材と
を備える、
安全フィルタエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年9月16日に出願されており、2021年9月17日に出願の米国仮特許出願第63/245,612号明細書の利益及び優先権を主張し、その開示は参照により本出願に完全に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、フィルタエレメント及びフィルタアセンブリに関する。より正確には、本開示は、一次濾材パックを備えるメインフィルタエレメントの故障をバックアップするための安全フィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0003】
フィルタカートリッジとも呼ばれる、流体を濾過するためのフィルタエレメントは、多種多様な濾過用途に使用される。流体は、液体、又は、たとえば、空気を含む気体である可能性がある。
【0004】
フィルタエレメントは一般に、一定の時間間隔で、又は、濾過性能が臨界閾値レベルを下回ったときに、フィルタシステムのハウジングから取り外されて交換されるべき要素である。
【0005】
フィルタエレメントは、流体が濾材を通って流れるときに汚染物質を除去するための濾材を含む濾材パックを含む。一般的に使用されており且つ市販されている濾材は、たとえば、ひだ付き媒体又は溝付き媒体である。溝付き媒体はまた、Z型濾材とも呼ばれる。
【0006】
より高度なフィルタアセンブリ、たとえば、車両のためのエアフィルタアセンブリは、2つのフィルタエレメント、すなわち、メインフィルタエレメントとも呼ばれる一次フィルタエレメントと、安全フィルタエレメントとも呼ばれる二次フィルタエレメントとを備える。
【0007】
安全フィルタエレメントは、メインフィルタエレメントをバックアップし、それによって、たとえば、一次フィルタがサービス中にハウジングから外れている間、車両のエンジンを保護する。
【0008】
安全フィルタエレメントはまた、一次フィルタエレメントへの隠れた損傷、たとえば、洗浄からの損傷に対して、又は、たとえば、誤った取付けによる、若しくは、誤ったサイズの一次フィルタエレメントの取付けによる、一次フィルタエレメントの不具合に対して、エンジンを保護する。
【0009】
一般に、一次フィルタエレメントと比較すると、安全フィルタエレメントは、より開いていて、制限がより小さく、効果はより小さい。したがって、安全フィルタエレメントは一般に、フィルタシステムの全体的な作動効率は向上させない。
【0010】
安全シールエレメントの寿命はまた、一般に、メインフィルタエレメントの寿命よりもかなり長く、たとえば、2~4倍長く、よって、一次フィルタエレメント及び二次フィルタエレメントの交換間隔は異なる。
【0011】
通常、たとえば、米国特許出願公開第2018/0369735A1号明細書で開示されているように、安全フィルタエレメント及びメインフィルタエレメントはそれぞれ、フィルタシステムのハウジングの内壁に対してシールするためのシール部材を備える。それらのシール部材は、寿命に関するシール部材の仕様を考慮した保守手順に従って交換される。一般に、メインフィルタエレメントのシール部材は、フィルタエレメント全体の交換の一部として交換される。
【0012】
一方では、特定のフィルタ構成要素の使用を最大化して、完全に必要であるときのみフィルタ構成要素を交換する必要性が産業界にある。他方では、フィルタアセンブリのさまざまな構成要素がフィルタシステムのハウジング内に正確に設置及び固定されていることを保証する必要性もある。さらに、簡単且つ迅速な方法で組み立てることができるフィルタエレメント及び構成要素を提供する必要性があり、それによって、保守作業を容易にする。
【0013】
よって、安全フィルタエレメント、並びに、保守手順を容易にして、安全且つ正確な設置を保証する、安全フィルタエレメント及びメインフィルタエレメントを備えるフィルタアセンブリを改善する余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本開示の目的は、保守作業を容易に且つ確実にする、流体を濾過するための安全フィルタエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は添付の独立請求項で定義される。従属請求項は有利な実施形態を定義する。
【0016】
本開示の第1の態様によると、一次濾材パックを備えるメインフィルタエレメントの故障をバックアップするための安全フィルタエレメントが設けられる。実施形態において、メインフィルタエレメントは、たとえば、空気浄化のためのメインフィルタエレメントである。
【0017】
安全フィルタエレメントは、流体入口側から流体出口側まで長手方向に延在する周側面を有する二次濾材パックと、シェルの第1の端部における第1の開口からシェルの第2の端部における第2の開口まで長手方向に延在する周壁を備えるシェルとを備える。シェルの周壁の内側の第1の部分は、二次濾材パックの周側面を囲んでおり、シェルの周壁の内側の第2の部分は、メインフィルタエレメントの一次濾材パックを受け入れる又は少なくとも部分的に受け入れるための、シェルの第1の開口と二次濾材パックの流体入口側との間に配置された空洞の半径方向の境界を定める。
【0018】
安全フィルタエレメントは、シェルにシールするための第1の周囲シーリング部分と、メインフィルタエレメントの一次濾材パックが空洞に受け入れられたときに、メインフィルタエレメントにシールするための第2の周囲シーリング部分とを備える第1のシール部材をさらに備え、第1のシール部材の第2の周囲シーリング部分は、単一回回転対称の外形形状を有する。
【0019】
メイン濾材パックを受け入れるための空洞を形成するシェルを有する安全フィルタエレメントを提供することによって、フィルタシステムのハウジングとメインフィルタエレメントとの間の有用なインタフェースを形成するサービスツールが提供される。実際、二次濾材パックを交換するための頻度は一次濾材パックを交換するための頻度より非常に少ないので、メインフィルタエレメントの交換の間、安全フィルタエレメントは、フィルタシステムにロックされたままとすることができる。
【0020】
第2の周囲シーリング部分が単一回回転対称で外形形状を有する第1のシール部材を提供することによって、メインフィルタエレメントは、第1のシール部材の第2の周囲シーリング部分がメインフィルタエレメントのシーリング面と封止的に協働するように、安全フィルタエレメントに一方向にのみ結合することができる。安全フィルタエレメントにメインフィルタエレメントを結合する1つの確実な方向のみ存在するので、これにより、メインフィルタエレメントを誤って設置するリスクは減少し、保守手順は容易になる。
【0021】
本開示による安全フィルタエレメントの特有の特徴の結果として、メインフィルタエレメントが必要とする構成要素がより少なくなるので、メインフィルタエレメントも簡略化され、それにより、コスト、施設、メインフィルタエレメントの製造手順が減少する。実際、本開示による安全フィルタエレメントによって、メインフィルタエレメントは、シール部材を必要とせず、安全フィルタエレメントのシェルが一次濾材パックを保護するために使用されるので、シェルを保護することも必要としない。
【0022】
実施形態において、第1のシール部材は、第1の周囲シーリング部分をシェルに封止的に取り付けることによって、シェルに恒久的に結合される。たとえば、接着剤を使用することによって、又は、代わりに、多成分射出成形を介して、シェル上に第1のシール部材をオーバーモールドすることによって。
【0023】
他の実施形態において、第1のシール部材は、シェルを交換することなく第1のシール部材を交換することができるように、シェルに取り外し可能に結合される。
【0024】
メインフィルタエレメントに安全フィルタエレメントをシールするための第1のシール部材が安全フィルタのシェルに恒久的に結合される実施形態において、メインフィルタエレメントを交換するとき、第1のシール部材は、所定の位置に残る。このように、第1のシール部材は、異なるメインフィルタエレメントとともに、複数回使用することができる。メイン濾材パックの交換よりも頻度が低い、第1のシール部材の交換を必要とするときのみ、安全フィルタエレメントは、フィルタシステムから取り外される。
【0025】
実施形態において、第1のシール部材は、少なくとも1つのシーリングリップを備えるリップ型シール部材であり、少なくとも1つのシーリングリップは、メインフィルタエレメントに安全フィルタエレメントをシールするための第1のシール部材の第2の周囲シーリング部分を形成している。
【0026】
実施形態において、安全フィルタエレメントは、フィルタシステムのハウジングに安全フィルタエレメントをロックするための接続構造を備える。一般に、接続構造はシェルに結合される。
【0027】
有利なことには、フィルタシステムのハウジングに安全フィルタエレメントをロックするための接続構造を提供することによって、安全フィルタエレメントは、フィルタシステムのハウジングにカバー又はプレクリーナをロックすることとは無関係に、フィルタシステムのハウジングにロックされる。よって、メインフィルタエレメントを交換するとき、安全フィルタエレメントは、フィルタシステムのハウジング内にロックされたままである。
【0028】
実施形態において、安全フィルタエレメントは、フィルタシステムのハウジングに安全フィルタエレメントをシールするための第2のシール部材を備える。第2のシール部材は、シェルに恒久的に結合される恒久シールとすることもでき、又は、代わりに、第2のシール部材は、シェルに取り外し可能に結合することができる。好ましくは、第2のシール部材は、シェルの周壁の外側に結合される。
【0029】
実施形態において、第2のシール部材は、シェルにシールするための内周側面と、ハウジングにシールするための外周側面とを備え、内周側面は、シェルの周壁の外側に結合される。好ましくは、第2のシール部材の外周側面は、1つ又は複数のシーリングリップを備える。
【0030】
本開示の第2の態様によると、安全フィルタエレメントとメインフィルタエレメントとを備えるフィルタアセンブリが提供される。メインフィルタエレメントは、安全フィルタエレメントの空洞で受け入れ可能である一次濾材パックを備え、メインフィルタエレメントは、一次濾材パックに封止的に取り付けられた周囲フレームをさらに備える。周囲フレームは、メインフィルタエレメントの一次濾材パックが空洞に受け入れられたときに、第1のシール部材の第2の周囲シーリング部分と封止的に協働するために構成された周囲シーリング面を備える。
【0031】
実施形態において、本開示によるフィルタアセンブリは、空気浄化のためのフィルタアセンブリである。
【0032】
本開示の第3の態様によると、本開示によるフィルタアセンブリと、フィルタアセンブリを収容するためのハウジングとを備えるフィルタシステムが提供される。
【0033】
本開示のこれらの及びさらなる態様は、例として、及び添付図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1a】本開示による安全フィルタエレメントの第1の実施形態のさまざまな図を概略的に示す。図1aは上面図であり、破線矢印B、C、Dはそれぞれ、図1b、図1c、及び図1dの視線方向を示し、図1eは、破線矢印Eで図1dに示される安全フィルタの一部の拡大図である。
図1b】本開示による安全フィルタエレメントの第1の実施形態のさまざまな図を概略的に示す。図1aは上面図であり、破線矢印B、C、Dはそれぞれ、図1b、図1c、及び図1dの視線方向を示し、図1eは、破線矢印Eで図1dに示される安全フィルタの一部の拡大図である。
図1c】本開示による安全フィルタエレメントの第1の実施形態のさまざまな図を概略的に示す。図1aは上面図であり、破線矢印B、C、Dはそれぞれ、図1b、図1c、及び図1dの視線方向を示し、図1eは、破線矢印Eで図1dに示される安全フィルタの一部の拡大図である。
図1d】本開示による安全フィルタエレメントの第1の実施形態のさまざまな図を概略的に示す。図1aは上面図であり、破線矢印B、C、Dはそれぞれ、図1b、図1c、及び図1dの視線方向を示し、図1eは、破線矢印Eで図1dに示される安全フィルタの一部の拡大図である。
図1e】本開示による安全フィルタエレメントの第1の実施形態のさまざまな図を概略的に示す。図1aは上面図であり、破線矢印B、C、Dはそれぞれ、図1b、図1c、及び図1dの視線方向を示し、図1eは、破線矢印Eで図1dに示される安全フィルタの一部の拡大図である。
図2a】安全フィルタエレメントとメインフィルタエレメントとを備えるフィルタアセンブリの実施形態の等角図である。
図2b】一次濾材パックが安全フィルタエレメントの空洞に受け入れられた後の、図2aに示されたフィルタアセンブリの側面図を表す。
図2c図2aに示されたフィルタアセンブリの一部の拡大断面図である。
図3a】第1のシール部材が半径方向シールを形成するためにシェルの内壁に結合された、安全フィルタエレメントの実施形態の断面を概略的に示す。
図3b】シェルがフランジを備え、第1のシール部材が軸方向シールを形成するためにフランジに結合された、安全フィルタエレメントの実施形態の断面を概略的に示す。
図3c】二次濾材パックを囲む第1のシェル部分がメイン濾材パックを受け入れるための第2のシェル部分とは異なる周径を有する、安全フィルタエレメントの実施形態の断面を概略的に示す。
図3d】シェルが長手方向に対して斜めの角度で位置付けられたフランジを備える、安全フィルタエレメントの実施形態の断面を概略的に示す。
図4a】二次濾材パックがシェルから取り外し可能である、安全フィルタエレメントの実施形態を概略的に示す。
図4b】二次濾材パックがシェルから取り外し可能である、安全フィルタエレメントの実施形態を概略的に示す。
図5a】第2の周囲シーリング部分が単一回回転対称の外形形状を有する、第1のシール部材の2つの実施形態を示す。
図5b】第2の周囲シーリング部分が単一回回転対称の外形形状を有する、第1のシール部材の2つの実施形態を示す。
図6図1a~図1eに示される安全フィルタエレメントに挿入可能なメインフィルタエレメントの実施形態の例の等角図を示す。
図7】ハウジングと、安全フィルタエレメントと、メインフィルタエレメントと、プレクリーナとを備えるフィルタシステムの断面図を示す。
図8】メインフィルタエレメントにシールする第1のシール部材と、ハウジングの壁にシールする第2のシール部材とを示す、図7のフィルタシステムの一部の拡大断面図を示す。
【0035】
図9-37は、本開示のエアクリーナアセンブリ、安全フィルタエレメント、メインフィルタエレメント、並びに、(主ハウジング部及びプレクリーナ又はカバー部を含む)ハウジングの好ましい実施形態を示す。
図9】4つの異なる角度からのアセンブリの分解図である。
図10】4つの異なる角度からのアセンブリの分解図である。
図11】4つの異なる角度からのアセンブリの分解図である。
図12】4つの異なる角度からのアセンブリの分解図である。
図13】フィルタアセンブリの異なる切断面に沿った断面図である。
図14】フィルタアセンブリの異なる切断面に沿った断面図である。
図15】フィルタアセンブリの異なる切断面に沿った断面図である。
図16】異なる切断面に沿ったフィルタアセンブリの分解断面図である。
図17】異なる切断面に沿ったフィルタアセンブリの分解断面図である。
図18】異なる切断面に沿ったフィルタアセンブリの分解断面図である。
図19】安全フィルタエレメントの異なる斜視図である。
図20】安全フィルタエレメントの異なる斜視図である。
図21】安全フィルタエレメントの異なる斜視図である。
図22】安全フィルタエレメントの異なる斜視断面図である。
図23】安全フィルタエレメントの異なる斜視断面図である。
図24】安全フィルタエレメントの異なる斜視断面図である。
図25】メインフィルタエレメントの異なる斜視図である。
図26】メインフィルタエレメントの異なる斜視図である。
図27】メインフィルタエレメントの異なる斜視断面図である。
図28】メインフィルタエレメントの異なる斜視断面図である。
図29】メインフィルタエレメントの異なる斜視断面図である。
図30】安全フィルタエレメント及びメインフィルタエレメントを組み合わせたものの異なる斜視断面図である。
図31】安全フィルタエレメント及びメインフィルタエレメントを組み合わせたものの異なる斜視断面図である。
図32】安全フィルタエレメント及びメインフィルタエレメントを組み合わせたものの異なる斜視断面図である。
図33】安全エレメント及びフィルタハウジング(主ハウジング部)を組み合わせたものの異なる斜視断面図である。
図34】安全エレメント及びフィルタハウジング(主ハウジング部)を組み合わせたものの異なる斜視断面図である。
図35】フィルタアセンブリの斜視断面図であり、図13~15に類似しているが、プレクリーナ装置のカバー又は一部を除外している。
図36】フィルタアセンブリの斜視断面図であり、図13~15に類似しているが、プレクリーナ装置のカバー又は一部を除外している。
図37】フィルタアセンブリの斜視断面図であり、図13~15に類似しているが、プレクリーナ装置のカバー又は一部を除外している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は、特定の実施形態に関して記載され、特定の実施形態は、本開示を例示するものであり、限定とみなすべきではない。本開示は、具体的に示され及び/又は記載されたものに限定されず、代替又は修正実施形態が本開示の教示全体に照らして開発できることが当業者には認識されよう。記載された図は概略にすぎず、限定ではない。
【0037】
動詞「備える(to comprise)」並びにそれぞれの活用形の使用は、述べた以外の要素の存在を除外するものではない。要素の前の冠詞「a」、「an」、又は「the」の使用は、複数のそのような要素の存在を除外するものではない。
【0038】
さらにまた、記載及び特許請求の範囲における用語第1の、第2の、及び同種のものは、同様の要素の間で区別するために使用され、必ずしも時間的にも、空間的にも、序列又はあらゆる他の手法で順序を述べるために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下では置き換え可能であり、本明細書に記載された本開示の実施形態は、本明細書に記載され又は図示された以外の順序で作動可能であることを理解されたい。
【0039】
本明細書を通して、「1つの実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の1つ又は複数の実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通してのさまざまな場所における語句「1つの実施形態において」又は「ある実施形態において」の出現は、必ずしも、すべて、同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態を指してもよい。さらにまた、本開示から当業者に明らかであるように、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせられてもよい。
【0040】
単語「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」とは、特定の状況下で、特定の利益をもたらすことができる本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で、他の実施形態も好ましいとすることもできる。さらにまた、1つ又は複数の好ましい実施形態の記述は、他の実施形態が有用ではないことを暗示せず、且つ、本発明の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0041】
単一回回転対称及び鏡面対称、定義
単一回回転対称の概念は、当該技術分野においてよく知られている。本開示を通して、外形形状、たとえば、シール部材の第2の周囲シーリング部分の外形形状が、「単一回回転対称」を有するように指定されるとき、それは、回転対称性を有しない外形形状として解釈されなければならない、すなわち、それは回転対称軸を有しない。
【0042】
単一回回転対称は一般に、一次離散回転対称とも呼ばれる、すなわち、選択された任意の回転軸に関して、外形形状を有する対象を回転させたときに、360°回転後のみ、外形形状が一致する、すなわち、360°回転後のみ、外形形状は回転開始と同一に見える。対照的に、たとえば、N回回転対称(ただし、N>1)を有する回転対称の外形形状では、外形は、360°/Nの回転後に同一に見える。回転対称の外形形状は、N次の回転軸(ただし、N>1)を有する。単一回回転対称を有する外形形状は、回転軸を有する回転対称の外形形状とは対照的に、回転軸を中心とした180°以下の回転後に、それが初期位置にあったように、回転された外形形状が一致するような回転対称の軸を有しない。
【0043】
言い回し「鏡面対称」又は「鏡面対称性」が本開示を通して使用されるとき、それは反射対称と解釈されなければならない、すなわち、三次元のときに、鏡面対称の対象又は鏡面対称の外形は、さらに鏡面とも呼ばれる、鏡面対称面を備える。鏡面対称面の第1の側面上の鏡面対称の対象又は外形形状の各半体に対して、第1の側面上の半体の対象又は半体の外形形状の各点が、鏡面対称面の第2の側面上の他方の半体の対象又は外形形状の別の点の上に1つずつ等距離の割当てを有するように、鏡面対称面の第2の側面上に別の半体の対象又は半体の外形形状が存在する。二次元のときに、鏡面対称は、対称軸の存在を示唆し、対称軸の上で半体の二次元の対象を折るとき、2つの半体は同一であるはずである。
【0044】
安全フィルタエレメント
本開示の第1の態様に従って、安全フィルタエレメントが提供される。安全フィルタエレメントは、一次濾材パックを備えるメインフィルタエレメントの故障をバックアップするための要素である。安全フィルタエレメント及びメインフィルタエレメントは、たとえば、図7に示されるように、フィルタシステムのハウジングに設置される構成要素であり、図7においては、一次濾材パック20を有するメインフィルタエレメントと、二次濾材パック10を有する安全フィルタエレメントとを備えるフィルタシステム200のハウジング220が示されている。メインフィルタエレメント及び安全フィルタエレメントは、メインフィルタエレメントが安全フィルタエレメントを取り外す必要なしにハウジングから取り外し可能であるという点で、構造的に分離された構成要素である。
【0045】
図1a~図1e、図3a~図3d、図4a、及び図4bを参照すると、本開示による安全フィルタエレメント1の実施形態のさまざまな例が示されており、それらは、以下でさらに論じられる。
【0046】
安全フィルタエレメント1は、流体入口側11と、流体入口側の反対側の流体出口側12と、流体入口側から流体出口側まで長手方向Yに延在する周側面13とを有する二次濾材パック10を備える。換言すれば、二次濾材パックは、いわゆる直線状の流れフィルタ装置である。1つの態様において、図1b~1dの方向Yは、安全フィルタエレメント1の中心長手方向軸であるとも特徴づけることができ、それは、二次濾材パック10の中心長手方向軸も定義する。
【0047】
二次濾材パック10は、任意の好適な濾材を備えることができる。実施形態において、二次濾材パック10はひだ付き濾材を備える。他の実施形態において、二次濾材パック10は溝付き濾材を備える。実施形態において、溝付き濾材は、たとえば、溝付き濾材の渦巻状層を備え、渦巻状溝付き濾材の外層の外面は、二次濾材パック10の外周側面13を形成している。通常、溝付き濾材の渦巻状層のそれぞれは、好ましくは、長手方向と本質的に平行に向けられた、入口溝及び出口溝を備える。
【0048】
安全フィルタエレメント1はさらに、シェル40を備える。シェルは、シェルの第1の端部における第1の開口41から、シェルの第2の端部における第2の開口42まで長手方向Yに延在する周壁49を備える。シェルはケーシングとも呼ばれる。シェルの周壁49の内側の第1の部分46は、二次濾材パック10の周側面13を囲んでおり、シェルの周壁の内側の第2の部分47は、シェルの第1の開口41と二次濾材パックの流体入口側11との間に配置される空洞45の半径方向の境界を定めている。空洞により、シェルは、メインフィルタエレメントの一次濾材パックを受け入れる又は少なくとも部分的に受け入れることが可能になる。
【0049】
図4a及び図4bを参照すると、二次濾材パック10がシェルから取り外し可能である実施形態が示されている。図4aにおいて、シェルの第1の内壁部分46及び第2の内壁部分47が、上で定義されたように、示されている。実施形態において、シェルの空洞が一次濾材パックを受け入れた後、一次濾材パックと二次濾材パックとの間の長手方向の間隔が残ってもよく、それは、図4bに示され、シェルの内壁は、第1の壁部分46と第2の壁部分47との間に第3の壁部分43を備える。
【0050】
シェル40は有利なことには、ハウジング本体によって引き起こされる可能性がある、又は、取扱い中に引き起こされる可能性がある損傷から、二次濾材パックの周側面を保護するだけでなく、同時に、メインフィルタエレメントが設置されるときに、一次濾材パックの周側面も損傷から保護する。よって、一次濾材パックのまわりに専用シェルを配置する必要がない。図2a及び図2bを参照すると、安全フィルタエレメント1及びメインフィルタエレメント2を備えるフィルタアセンブリ100が示され、メインフィルタエレメント2の設置後、安全フィルタエレメントのシェル40は一次濾材パックを完全に囲む。
【0051】
シェル40の第1の内壁部分46及び第2の内壁部分47は、必ずしも同じ周囲サイズを有するというわけではない。これは、安全フィルタエレメントの実施形態の断面が示される図3c及び図3dに示されており、二次濾材パックを囲む第1のシェル部分は、メイン濾材パックを受け入れるための空洞を画定する第2のシェル部分より小さい周囲を有する。たとえば、二次濾材パックの周囲が一次濾材パックの周囲と異なる場合、シェル40は、それぞれ、一次濾材パック及び二次濾材パックの外周面と一致する内壁部分を有する2つのシェル部分を有するように構成することができる。
【0052】
実施形態において、シェルは、熱可塑性材料から作られる、又は、少なくとも部分的に熱可塑性材料から作られる。好ましくは、熱可塑性材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はポリ塩化ビニル、又は、これらの混合物及び組合せ物のいずれかである。
【0053】
本開示による安全フィルタエレメントは、少なくとも、シェル40によって支持された第1のシール部材31を備える。第1のシール部材31は、安全フィルタエレメントをメインフィルタエレメントにシールするためのシールである。実際、安全フィルタエレメント及びメインフィルタエレメントは個別の構成要素であるので、一次濾材パックを安全フィルタエレメントの空洞に挿入することによって、メインフィルタエレメントを安全フィルタエレメントと結合するとき、メインフィルタエレメントと安全フィルタエレメントとの間に周囲の隙間が存在する。より詳細には、シール部材31は、一次濾材パックが空洞45の中に受け入れられたときに、シェル40の内壁の第2の部分47と一次濾材パックとの間の隙間をシールするために構成されるシールである。換言すれば、第1のシール部材31は、一次濾材パックによって濾過される、入ってくる汚れた流体、たとえば、汚れた空気が、一次濾材パックを迂回しないこと、及び、一次濾材パックを出た清浄な流体、たとえば、清浄な空気が、さらに二次濾材パックを通って流れることを保証する。
【0054】
第1のシール部材31は、安全フィルタエレメント1の三次元構成要素であり、第1のシール部材は一般に、複数の周側面を備える。たとえば、より一般的には第1の周囲シーリング部分31aと呼ばれる、シェル40にシールされた結合を形成する、第1のシール部材の少なくとも1つの周側面があり、外部構成要素との、すなわち、安全フィルタエレメントの外部の、この場合、メインフィルタエレメントとのシールされた結合を形成する、少なくとも別の周側面、又は、より一般的には、第2の周囲シーリング部分31bと呼ばれるものがある。第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31bは、安全フィルタエレメントの空洞がメインフィルタエレメントの一次濾材パックを受け入れたときに、メインフィルタエレメントのシーリング面と協働しているシール部材のその部分である。換言すれば、第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31bは、安全フィルタエレメントの空洞が一次濾材パックを受け入れたときに、メインフィルタエレメントと安全フィルタエレメントとの間の周囲の隙間を封じるその部分である。
【0055】
本開示による安全フィルタエレメントは、第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31bが単一回回転対称の外形形状を有するということで特徴づけられる。換言すれば、この外形形状の回転対称軸は存在しない。よって、安全フィルタエレメントが中心長手方向軸を備える実施形態についてさえ、中心長手方向軸は、この外形形状の回転対称軸ではない。このように、メインフィルタエレメントを設置するとき、第1のシール部材の第2の周囲シーリング部分31bがメインフィルタエレメントの対応するシーリング面と一致するような、一次濾材パックを安全フィルタエレメントの空洞に挿入する方法は1つだけ存在する。
【0056】
実施形態において、本開示による安全フィルタエレメント1の第1のシール部材31は、シェル40に恒久的に結合される。恒久的に結合されるとは、取り外し不能に結合されると解釈すべきである。よって、保守手順に従い、第1のシール部材31を交換する必要がある場合、第1のシール部材31とともに、少なくともシェル40は交換する必要がある。第1のシール部材31は、第1の周囲シーリング部分31aをシェル40に封止的に取り付けることによって、シェル40に恒久的に結合される。この取付けは、たとえば、グルーなどの接着剤を使用して行うことができる。或いは、第1の周囲シーリング部分31aは、シェル40及び第1のシール部材31が単体を形成するようにシェルを製造するとき、多成分射出成形技術を使用することによって、シェル40に封止的に取り付けられる。
【0057】
他の実施形態において、第1のシール部材31は、シェルに取り外し可能に結合される、すなわち、これらの実施形態において、第1のシール部材は、たとえば、保守作業中、シェル40を交換する必要なしに第1のシール部材を交換することができるような、交換可能なシールである。これらの実施形態において、第1のシール部材31は、たとえば、シェル40のシール支持フランジ48上に載る、又は、第1のシール部材31がシェル40の周壁49に結合される場合、第1のシール部材31を支持するために、溝又は窪みを周壁49に作ることができる。
【0058】
実施形態において、たとえば、図1e、図2c、及び図3b~図3dに示されるように、シェル40は、シェル40の第1の端部で配置されたシール支持フランジ48を備える。シール支持フランジ48は、第1のシール部材を支持するための支持要素を形成している突出したカラー又はリムとして解釈すべきである。第1のシール部材31は、取り外し可能に又は恒久的に、シール支持フランジ48に結合される。
【0059】
一般に、図3b~図3dに示されるように、シール支持フランジ48は周囲支持面48aを備え、第1のシール部材31の第1の周囲シーリング部分31aは、周囲支持面48aに結合され、恒久的に結合される又は取り外し可能に結合される。
【0060】
実施形態において、図3b及び図3cに概略的に示されるように、シール支持フランジ48は、長手方向Yに対して半径方向に突出している。これらの実施形態において、支持フランジ48は、長手方向Yに対して本質的に垂直である第1のシール部材31を支持するための周囲支持面48aを備える。
【0061】
他の実施形態において、図1e、図2c、及び図3dに概略的に示されるように、シール支持フランジ48は、長手方向Yに対して斜めの角度で配設される。これは、フィルタシステムのハウジング220内の安全フィルタエレメントのコンパクトな一体化を可能にし、フィルタシステムのハウジングの安全フィルタエレメントと内壁との間の実用的ではない空間を減少させることができる。
【0062】
実施形態において、図2c、図3d、及び図8に示されるように、シール支持フランジ48は、第1のシール部材31を支持するための周囲支持面48aを備え、周囲支持面48aは、長手方向Yに対して斜めの角度で配設される。これは、コンパクトな第1のシール部材の幾何学的形状を提供すること、及び、フィルタシステムのハウジング内の安全フィルタエレメントのコンパクトな一体化を提供することを可能にする。
【0063】
実施形態において、第1のシール部材31は、ゴム、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、及び熱可塑性加硫物のいずれか、又は、これらの混合物若しくは組合せ物から作られる、又は、少なくとも部分的に作られる。
【0064】
有利なことには、実施形態において、第1のシール部材31は、シェル及び第1のシール部材が単体を形成しているように、射出成形を介して、シェル40にオーバーモールドされる。射出成形、より正確には、多成分射出成形は、少なくとも多成分射出成形プロセスの第1の成分及び第2の成分がそれぞれ、シェル40の材料及び第1のシール部材31の材料に対応する製造プロセスである。
【0065】
さらなる実施形態では、第1のシール部材31はポリウレタン(PU)材料から作られ、又は、少なくとも部分的に作られ、たとえば、発泡ポリウレタンシールを形成する。PU材料は、シェル40上に成形することができる、又は、代わりに、第1のシール部材は、単独で、PU材料から成形することができ、さらに、接着剤でシェルに固定することができる。
【0066】
本開示の安全フィルタエレメントは、第1のシール部材31がシェル40に結合されるという共通点を有するが、シェル40に対する第1のシール部材31の位置は、実施形態によって異なる可能性がある。図1a~図1e、図3b、及び図4aを参照すると、第1のシール部材31がシェル40の第1の端部に結合された安全フィルタエレメントの例が示されている。
【0067】
第1のシール部材31がシェル40の第1の端部に結合される実施形態において、第1のシール部材31は、たとえば、図3b及び図3cに概略的に示されるように、長手方向Yに対して軸方向シールを形成するために構成される。軸方向シールは、軸方向に、すなわち、長手方向Yと平行な方向に本質的にシールするシールである。
【0068】
さらなる実施形態では、図3aに概略的に示されるように、第1のシール部材31は、シェル40の内壁に、より正確には、シェルの第2の内壁部分47に結合される。このように、第1のシール部材31は、長手方向に対して半径方向のシールを形成している。半径方向シールは、半径方向に、すなわち、長手方向Yに対して横方向にシールする又は少なくとも部分的にシールするシールである。
【0069】
図1aを参照すると、第1のシール部材31がシェル40の外形形状に従う、安全フィルタエレメントの実施形態の上面図が示されている。その外形形状は、この例では、バナナの形状、すなわち、単一回回転対称を有する形状を有する。第1のシール部材31が単一回回転対称を有するシェルの外形形状に従っているので、第1のシール部材の第2の周囲シーリング部分31bも単一回回転対称の外形形状を有する。
【0070】
図5aを参照すると、シェル40にシールするための第1の周囲シーリング部分31aと、メインフィルタエレメントにシールするための第2の周囲シーリング部分31bとを備える第1のシール部材31が示されており、第2の周囲シーリング部分31bは、単一回回転対称の外形形状を有する。図5aに示されるように、単一回回転対称は、シール部材31に軸方向の単一の軸方向ステップを設けることによって得られる。この例では、第1のシール部材31は、たとえば、図3b又は図3cに示される安全フィルタエレメントとともに使用される軸方向シールであり、第1のシール部材31は、シェルのシール支持フランジ48に軸方向に結合される。より正確には、第2の周囲シーリング部分31bの反対側の第1の周囲シーリング部分31aは、フランジ48の周囲支持面48aに軸方向に結合することができる。この例では、シェル40及び/又はシール支持フランジ48は、回転対称形状、たとえば、円形外形形状を有することができ、その一方で、第2の周囲シーリング部分31bは、単一回回転対称の外形形状を有する。図5aに示される例において、第1の周囲シーリング部分31aは、長手方向軸Yに対して回転対称である外形形状を有する。
【0071】
図5bを参照すると、シェル40にシールするための第1の周囲シーリング部分31aと、メインフィルタエレメントにシールするための第2の周囲シーリング部分31bとを備える第1のシール部材31のさらなる実施形態が示されており、第2の周囲シーリング部分31bは、単一回回転対称の外形形状を有する。この例では、第1のシール部材31は帯の形状を有し、第2の周囲シーリング部分31bは帯形状の第1のシール部材31の内側であり、第1のシーリング部分31aは帯形状のシール部材31の外側である。この例では、第1のシール部材31は、たとえば、シェル40の周壁49の内側に帯形状のシール部材の外側を結合することによって、図3aに示される安全フィルタエレメントと組み合わせて使用することができる半径方向シールである。この例では、図5bに示される第1のシール部材を受け入れている周壁49の内側は、長手方向Yに対して二回回転対称を有し、その一方で、第2の周囲シーリング部分31bの外形形状は、単一回回転対称を有する。帯形状のシール部材の本例では、第1の周囲シーリング部分31a及び第2の周囲シーリング部分31bはどちらも、単一回回転対称の外形形状を有する。
【0072】
実施形態において、たとえば、図2a及び図2cに示されるように、第1のシール部材31はリップ型シール部材である。リップ型シール部材は、少なくとも1つのシーリングリップ34を備えるシール部材である。これらの実施形態において、少なくとも1つのシーリングリップ34は、第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31bを形成している。
【0073】
図2aの安全フィルタエレメント1の第1のシール部材31は、図1e及び図2cでさらに詳細に示され、第1のシール部材31は黒色で色をつけられた。図1e及び図2cに示されるように、第1のシール部材31は、本例において1つのシーリングリップ34を備えるリップシールである。上記のように、シーリングリップ34は、メインフィルタエレメントに安全フィルタエレメントをシールするための第2の周囲シーリング部分31bを形成している。この例では、第1のシール部材31は、シール支持フランジ48に結合される、より正確には、第1の周囲シーリング部分31aは、シール支持フランジ48に結合される。実施形態において、第1の周囲シーリング部分31aは、グルーなどの接着剤で、シール支持フランジ48に恒久的に結合することができ、又は、射出成形によってシェルの製造プロセス中に恒久的に結合することができる。他の実施形態において、第1のシール部材31は取り外し可能なシール部材であり、第1のシール部材は、シール支持フランジ48上に、その第1の周囲シーリング部分31aで載る。
【0074】
第1のシール部材31が少なくとも1つのシーリングリップ34を備えるリップ型シール部材である実施形態において、少なくとも1つのシーリングリップ34は、図1e及び図2cに示されるように、長手方向Yに対して斜めの角度で配設される。シーリングリップ34がシールされていない位置にあるとき、この斜めの角度は存在する。シールされた位置にあるとき、シーリングリップがさらに曲がるような圧力がシーリングリップ34上に作用する。
【0075】
実施形態において、図1eに示されるように、少なくとも1つのシーリングリップ34は、長手方向Yに対して角度αだけ外向きに傾斜する。好ましくは、角度αは、少なくとも5°であり、より好ましくは、少なくとも10°である。この角度は、シールされていない位置にあるとき、存在する。シールされた位置にあるとき、角度は、さらに大きくすることができる。たとえば、メインフィルタエレメントが安全フィルタエレメントで挿入されて、カバー又はプレクリーナがフィルタシステムのハウジング上に置かれたとき、メインフィルタエレメントの周囲フレーム23は、斜めのシーリングリップが安全フィルタエレメントとメインフィルタエレメントとの間に漏出防止シールを形成するために外向きにさらに傾斜するように、シーリングリップ上に圧力を作用させる。
【0076】
実施形態において、第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分の外形形状の単一回回転対称に加えて、第2の周囲シーリング部分31bの外形形状は、さらに、二次濾材パックの流体入口側及び流体出口側を横切る鏡面対称面Mを有する。図5a及び図5bに示される第1のシール部材31の例において、第2の周囲シーリング部分31bは、文字Mで示される鏡面対称面を有する。第1のシール部材31が安全フィルタエレメントのシェルに結合されるとき、鏡面対称面Mは、二次濾材パックの流体入口側及び流体出口側を横切る。
【0077】
実施形態において、シェル40の内壁の第2の部分47の外形形状は、単一回回転対称を有する。たとえば、一次濾材パックの外形形状が単一回回転対称を有する場合、シェルの内壁の第2の部分47の外形形状は、一次濾材パックの周面の外形形状と一致させるために構成することができる。
【0078】
図1a~図1eに示される実施形態を参照すると、第1のシール部材31は、単一回回転対であるの第2の周囲シーリング部分31bを有するだけでなく、シェル40自体も単一回回転対称を有する。本実施形態において、第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31bの外形形状は、シェル40の外周壁の周囲の外形形状に従っている。本実施形態において、シェルの外側及び内側の外形形状は、単一回回転対称を有する。
【0079】
他の実施形態において、シェル40、又は、より正確には、シェルの周壁49は、長手方向Yと平行である回転軸に対して回転対称とすることができる。上述のように、第1のシール部材31は、たとえば、図3bに概略的に示されるように、シェルの端部に結合することができる。上述のように、第2の周囲シーリング部分の外形形状が単一回回転対称を有し、回転対称なシェルに結合することができる第1のシール部材31の例が、図5aに示されている。そのような第1のシール部材は、たとえば、長手方向と平行である軸方向にシールするための軸方向シールを形成している。
【0080】
実施形態において、シェルは、長手方向Yと平行な回転軸に対して離散N回回転対称(ただし、N>1)を有する。
【0081】
第2の周囲シーリング部分31bの外形形状が単一回回転対称を有し、長手方向と平行な回転軸に対して二回回転対称を有するシェルと組み合わせて使用することができる第1のシール部材31の例が、図5bに示されている。
【0082】
実施形態において、シェル40の周壁49の外側と長手方向Yに対して横方向の平面との間の断面は、円、長円、レーストラック形状、落花生形状、バナナ形状、楕円形状、正方形、及び長方形のいずれかから選択された形状を有する。
【0083】
実施形態において、シェル40の周壁49の内側の第2の部分47と長手方向Yに対して横方向の平面との間の断面は、円、長円、レーストラック形状、落花生形状、バナナ形状、楕円形状、正方形、及び長方形のいずれかから選択された形状を有する。
【0084】
実施形態において、本開示による安全フィルタエレメントは、シェル40に結合されて、フィルタシステムのハウジングに安全フィルタエレメント1をロックするために構成された接続構造50を備える。このように、保守作業中、メインフィルタエレメントが交換されるとき、接続構造は、フィルタシステムのハウジングの所定の位置にロックされた安全フィルタエレメントを維持する。
【0085】
実施形態において、接続構造50は、1つ又は複数のラッチ、1つ又は複数のスナップフィットコネクタ、1つ又は複数の枢動コネクタ、1つ又は複数のヒンジ、或いは、1つ又は複数のねじのいずれか、又は、これらの組合せを備える。
【0086】
接続構造50は、接着剤でシェルに結合することができる、又は、接続構造50は、シェルの製造プロセスの一部として、射出成形によってシェルに結合することができる。
【0087】
図1b、図1d、及び図1eを参照すると、接続構造50がシェルに結合された2つの枢動コネクタ50a、50bを備える例が示されている。枢動コネクタのそれぞれは、第1の位置から第2の位置まで移動可能であり、第1の位置にあるときは、安全フィルタエレメントがフィルタシステムのハウジングから取り外し可能であり、第2の位置にあるときは、安全フィルタエレメントとハウジングとの間にロックされた接続を形成するように、枢動コネクタがハウジングの外側上の対応する係合要素と係合しているように構成される。
【0088】
実施形態において、図1eに示されるように、枢動コネクタ50aは、枢動軸50cのまわりで枢動することができる。本実施形態において、枢動コネクタは、プラスチック材料から作られて、シェル製造プロセスの一部として製造され、枢動軸は、図1eに示されるように、プラスチック材料の厚さを局所的に減少させることによって得られる。
【0089】
他の実施形態において、安全フィルタエレメントの接続構造は、フィルタシステムのハウジングに安全フィルタエレメントをロックするように、フィルタシステムのハウジングの対応するコネクタ要素と係合するために構成された1つ又は複数の係合要素を備える。係合要素の例は、ノッチ、スロット、窪み、対応する1つ又は複数のラッチと係合するための1つ又は複数のラッチ受け、或いは、1つ又は複数の対応するスナップフィットコネクタと係合するための1つ又は複数のスナップフィット受けである。
【0090】
実施形態において、本開示による安全フィルタエレメントは、シェルに結合された第2のシール部材32を備える。好ましくは、第2のシール部材32は、図3a~図3dに概略的に示されるように、シェル40の周壁49の外側に結合される。
【0091】
第2のシール部材は、フィルタシステムのハウジングに安全フィルタエレメントをシールするためのシール部材である。実際、安全フィルタがフィルタシステムのハウジング内に設置されるとき、第2のシール部材32は、フィルタシステムのハウジングのシーリング面にシールする。有利なことには、第2のシール部材32は、入ってくる汚れた流体、たとえば、汚れた空気が、シェルの周壁49の外側とハウジングの内壁との間の隙間を通って、一次濾材パック及び二次濾材パックを迂回しないことを保証する。
【0092】
実施形態において、第2のシール部材32は、シェルに恒久的に、すなわち、取り外し不能に結合される。他の実施形態において、第2のシール部材32は、取り外し可能なシール部材、たとえば、ガスケットである。
【0093】
図1a~図1dに示される実施形態について、第2のシール部材32は、図2cで示されるように、1つ又は複数のシーリングリップ32a、32bを備えるリップ型シール部材である。シーリングリップ32a、32bは、ハウジングへのシーリングのためのシーリングリップである。
【0094】
実施形態において、図2cに示されるように、第2のシール部材32は、シェル40にシールするための内周側面35aと、ハウジングにシールするための外周側面35bとを備え、内周側面35aは、シェル40の周壁49の外側に結合される。一般に、この種類のシール幾何学的形状により、第2のシール部材は、フィルタシステムのハウジングに安全フィルタエレメントを半径方向にシールしている、又は、少なくとも部分的に半径方向にシールしている。
【0095】
実施形態において、第2のシール部材32の外周側面35bは、ハウジングにシールするための1つ又は複数のシーリングリップ32a、32bを備える。
【0096】
実施形態において、第2のシール部材32は、ゴム、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、及び熱可塑性加硫物のいずれか、又は、これらの混合物若しくは組合せ物から作られる、又は、少なくとも部分的に作られる。第2のシール部材32は、たとえば、多成分射出成形を介して、シェル40上にオーバーモールドすることができる。
【0097】
実施形態において、第1のシール部材31及び第2のシール部材32はどちらも、射出成形を介してシェル上にオーバーモールドされる。このようにして、少なくともシェル、並びに、第1のシール部材及び第2のシール部材の両方を備える、堅固な単体安全フィルタエレメントが得られる。
【0098】
さらなる実施形態では、第2のシール部材32は、ポリウレタン材料から作られる、又は、少なくとも部分的に作られる。
【0099】
実施形態において、二次濾材パック10は、シェル40から取り外し可能ではない。これらの実施形態において、二次濾材パック10の周面は、たとえば、接着剤を使用することによって、又は、オーバーモールド製造プロセスを使用することによって、シェルの周壁の内側の第1の部分46に封止的に取り付けられる。
【0100】
他の実施形態において、図4a及び図4bに概略的に示されるように、二次濾材パック10は、シェルを交換することなく、交換することができるように、シェルから取り外し可能である。これらの実施形態において、安全フィルタエレメントは、二次濾材パック10の周側面13とシェル40の内壁の第1の部分46との間の隙間をシールするために構成された第3のシール部材33を備える。
【0101】
実施形態において、図1b及び図2aに示されるように、シェル40のシール支持フランジは、安全フィルタエレメントの空洞45内へのメインフィルタエレメント2の正確な位置決めを容易にするための1つ又は複数の第1の位置決め要素55を備える。それらの第1の位置決め要素55は、メインフィルタエレメント2上に配置された対応する第2の位置決め要素と係合するように構成される。これらの位置決め要素55は、安全フィルタエレメントの空洞内でのメインフィルタエレメントの位置決めを容易にする。
【0102】
実施形態において、1つ又は複数の第1の位置決め要素55は、ノッチ、窪み、凹部、隆起、溝、又はスロットのいずれか、又は、これらの組合せを備える。
【0103】
実施形態において、図3bに概略的に示されるように、安全フィルタエレメント1は、二次濾材パックの流体入口側11と本質的に平行に位置付けられた1つ又は複数のリブ要素26を備える。リブ要素26を有するそのような安全フィルタエレメントは、一般に、濾材パックが溝を備えるメインフィルタエレメントと組み合わせて使用される。実際、1つ又は複数のリブ要素26は、一次溝付き濾材パックの渦巻状層の長手方向Yへの移動を回避するために、抗伸縮式フレームとして働く。長手方向のこの移動は一般に、伸縮として知られており、たとえば、フィルタエレメントの入口と出口との間の圧力差からもたらされる、又は、振動の結果としてもたらされる。よって、本開示によるリブ要素26を備える安全フィルタエレメントにより、専用の抗伸縮式フレームをメインフィルタエレメントに追加する必要はなく、よって、メインフィルタエレメントの製造プロセスをさらに簡略化することができる。
【0104】
フィルタアセンブリ
本開示の第2の態様によると、本開示による安全フィルタエレメント1と、メインフィルタエレメント2とを備えるフィルタアセンブリ100が提供される。メインフィルタエレメント2は、安全フィルタエレメントの空洞から挿入及び除去することができる。図2a及び図2bにおいて、フィルタアセンブリの実施形態の例が示されており、それぞれ、メインフィルタエレメント2が安全フィルタエレメント1の空洞から取り外されている、及び、メインフィルタエレメント2が安全フィルタエレメント1の空洞に挿入されている。
【0105】
図6を参照すると、メインフィルタエレメントの実施形態の例が示されている。図6に示されるメインフィルタエレメントは、図1a~図1eに示される安全フィルタエレメントに挿入可能であるメインフィルタエレメントの実施形態の例である。
【0106】
フィルタアセンブリ100のメインフィルタエレメント2は、安全フィルタエレメントの空洞45に受け入れ可能な一次濾材パック20を備える。
【0107】
通常、一次濾材パック20は、流体入口面21と流体入口面21の反対側の流体出口面22との間で長手方向Yに延在する外周面を有する。メインフィルタエレメント2は、一次濾材パック20が安全フィルタエレメントの空洞に受け入れられたときに、一次濾材パックの流体出口面22が二次濾材パックの流体入口側11に面しているように構成される。よって、これらの実施形態では、一次濾材パックは、フロースルー濾材パックとして解釈されなければならない。
【0108】
実施形態において、一次濾材パック20を一致させるフィルタアセンブリは、溝付き濾材を備える。実施形態において、溝付き濾材は、たとえば、溝付き濾材の渦巻状層を備え、渦巻状溝付き濾材の外層の外面は、一次濾材パック20の外周面を形成している。通常、一次濾材パック20の溝付き濾材の渦巻状層のそれぞれは、好ましくは、長手方向Yと本質的に平行に向けられた、入口溝及び出口溝を備える。
【0109】
図6に示されるように、メインフィルタエレメント2は、一次濾材パック20に封止的に取り付けられた周囲フレーム23をさらに備える。周囲フレーム23は、一次濾材パックが空洞45に受け入れられたときに、第1のシール部材31と封止的に協働するために構成された周囲シーリング面を備える。
【0110】
周囲フレーム23は、一次濾材パック20に封止的に取り付けられ、たとえば、一次濾材パックの外周面に取り付けられる。取付けは、さまざまな手段によって、たとえば、熱溶接によって、又は、接着剤を使用することによって、行うことができる。
【0111】
実施形態において、図6に示されるように、メインフィルタエレメント2は、保守の間の、メインフィルタエレメントの操作を容易にするために、1つ又は複数のハンドル24を備える。
【0112】
上述のように、実施形態において、安全フィルタエレメント1のシェル40は、安全フィルタエレメント1へのメインフィルタエレメント2の正確な位置決めを容易にするために、メインフィルタエレメント2上に配置された対応する第2の位置決め要素25と係合するために構成された1つ又は複数の第1の位置決め要素55を備える。図6に示される実施形態において、メインフィルタエレメント2は、安全フィルタエレメント1の第1の位置決め要素55と係合するための第2の位置決め要素25をさらに備える。
【0113】
フィルタシステム
本開示の第3の態様によると、上記のようなフィルタアセンブリと、フィルタアセンブリを収容するためのハウジングとを備えるフィルタシステムが提供される。
【0114】
図7を参照すると、本開示によるフィルタアセンブリ、すなわち、メインフィルタエレメント及び安全フィルタエレメントを備えるフィルタアセンブリを収容しているハウジング220を備えるフィルタシステム200が示されている。この例では、フィルタシステム200は、図2aに示されるフィルタアセンブリを備える。図7に示される実施形態において、フィルタシステムは、メインフィルタエレメントの一次濾材パック20に入る前に流体をプレクリーニングするためのプレクリーナ225も備える。
【0115】
図8を参照すると、図7のフィルタシステムの一部の断面図がされており、メインフィルタエレメント2にシールするための第1のシール部材31と、ハウジング220の内壁にシールするための第2のシール部材32とを示す。この例では、第1のシール部材31は、シェル40の傾斜フランジ48で支持されたリップシールであり、リップシールは、第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31bを形成しているシーリングリップ34を備える。シーリングリップ34は、メインフィルタエレメント2の周囲フレーム23の周囲シーリング面と協働する。この例では、第2のシール部材32もリップシールであり、ハウジング220の内壁と協働する2つのリップ32a及び32bを備える。
【0116】
図7及び図8に示されるフィルタシステムは、ハウジング220及びフィルタアセンブリの他に、プレクリーナ225を備える。プレクリーナは当該技術分野において知られており、たとえば、米国特許出願公開第2018/0369735A1号明細書で開示されている。プレクリーナは、空気がメインフィルタエレメントに入る前に、入ってくる空気から汚染物及びほこりの大部分を除去する。一般に、プレクリーナは、より大きなほこり粒子及び水滴の除去に効果的である。結果として、それらは、エアクリーナに到達するほこりを非常に減少させ、結果として、メインフィルタエレメントの寿命を延ばす。
【0117】
実施形態において、図8に示されるように、プレクリーナの設置後、プレクリーナ225のプレス要素226が、メインフィルタエレメント2の周囲フレーム23に対して押圧される。このようにして、第1のシール部材31は、安全フィルタエレメントとメインフィルタエレメントとの間に漏出防止シールを提供するように、その全周長さにわたって均一に圧縮されたままである。プレクリーナのプレス要素は、たとえば、メインフィルタエレメントの周囲フレーム23の外形形状に従う周囲リブ、又は、複数のより小さいリブ部分とすることができる。これらの実施形態において、プレス要素226によって及ぼされる軸方向力は、プレクリーナを設置するときに、フィルタシステムのハウジングにプレクリーナを係止することによって得られる。コネクタの例はラッチである。通常、ハウジングにプレクリーナを係止するために、1つ又は複数のコネクタ、たとえば、ラッチが使用される。
【0118】
実施形態において、プレクリーナは、フィルタシステムのハウジングにプレクリーナを係止するための1つ又は複数のラッチを備える。
【0119】
他の実施形態において、フィルタシステムは、プレクリーナの代わりにカバーを備え、カバーは、フィルタシステムのハウジングに、1つ又は複数のコネクタで係止される。コネクタによるカバーの設置後、カバーのプレス要素は、メインフィルタエレメント2の周囲フレーム23に対して押圧される。このようにして、第1のシール部材31は、その全周長さにわたって均一に圧縮されたままである。カバーのプレス要素は、たとえば、周囲リブである、又は、プレス要素は、複数のリブ部分から構成される。
【0120】
実施形態において、第1のシール部材31のシール圧縮を確実にするために、安全フィルタエレメントへのメインフィルタエレメントの挿入後、メインフィルタエレメントは、ロック手段によって安全フィルタエレメントにロックされる。ロック手段は、たとえば、安全フィルタエレメントにメインフィルタエレメントを螺合するための複数のねじである。或いは、ロック手段は、第1のスナップフィット構成要素と第2のスナップフィット構成要素との間のスナップフィット接続を含んでもよい。ここで、第1の構成要素は安全フィルタエレメント上に配置され、第2の構成要素はメインフィルタエレメント上に配置され、両方の構成要素は、メインエレメントが、安全フィルタエレメント内に受け入れられたとき、又は、安全フィルタエレメントによって受け入れられたときに、スナップフィット接続を提供するのに適している。これらの実施形態では、プレクリーナを取り外した後、又は、カバーを取り外した後でさえ、メインフィルタエレメントは、安全フィルタエレメントで封止的にロックされたままである。
【0121】
図9図37は、流体クリーナアセンブリ、好ましくは、本開示のエアクリーナアセンブリ、安全フィルタエレメント、メインフィルタエレメント、並びに、(ハウジング部品及びプレクリーナ又はカバー部品を含む)ハウジングの好ましい実施形態を示す。
【0122】
前述の実施形態のいずれかのために記載された好ましい且つ任意選択の特徴及び特徴の組合せは、図9図37との関係において記載される実施形態に適用可能であると考えられる。
【0123】
また、図9図37の以下の説明に関して記載される好ましい且つ任意選択の特徴及び特徴の組合せも、必要な場合及び必要な場所に必要な変更を加えて、本開示の他の実施形態に適用可能であると考えられる。
【0124】
以下の説明において、同一の参照番号は、前述と同一又は同様の特徴を指す。すべての参照符号が、すべての図面に提供されているわけではない。
【0125】
開示される好ましい実施形態は、安全フィルタエレメント1と、メインフィルタエレメント2と、ハウジング220とを備えるフィルタアセンブリ100を備え、ハウジングは、メイン部分及びカバー又はプレクリーナ部分225を備える。
【0126】
安全フィルタエレメント1は、一次濾材パックを備えるメインフィルタエレメントの故障をバックアップするために設けられる。安全フィルタエレメント1は、流体入口側11から流体出口側12まで長手方向Yに延在する周側面13を有する二次濾材パック10、好ましくは、ひだ付き濾材パックを備える。安全フィルタエレメント1は、シェルの第1の端部における第1の開口41からシェルの第2の端部における第2の開口42まで長手方向Yに延在する周壁49を備えるシェル40をさらに備える。周壁49の内側の第1の部分46は、二次濾材パック10の周側面13を囲んでいる。周壁49の内側の第2の部分47は、メインフィルタエレメントの一次濾材パックを受け入れる又は少なくとも部分的に受け入れるための、シェル41の第1の開口と二次濾材パックの流体入口側11との間に配置された空洞45の半径方向の境界を定めている。シェル40にシールするための第1の周囲シーリング部分31aと、メインフィルタエレメント2の周囲フレーム23に、特に、対応する周囲フレームシーリング面231にシールするための第2の周囲シーリング部分31b、34とを備える第1のシール部材31が提供される。第2の周囲シーリング部分31b、34は、単一回回転対称の外形形状を有する。同様に、周囲フレームシーリング面231は、単一回回転対称の外形形状を有する。
【0127】
好ましくは、シェル40は、プラスチックを備える、又は、プラスチックから作られる。好ましくは、シール部材31は、熱可塑性エラストマを備える、又は、熱可塑性エラストマからなる。
【0128】
第1のシール部材31は、シェル40に第1の周囲シーリング部分31aを封止的に取り付けることによって、たとえば、多成分射出成形を介して、シェル40上にオーバーモールドすることによって、シェルに恒久的に結合される。
【0129】
第1のシール部材31は、1つのシーリングリップ34を備えるリップ型シール部材であり、シーリングリップ34は、第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31bを形成している。
【0130】
シェル40は、第1のシール部材31を支持するシール支持フランジ48を備える。支持フランジ48は、シェル40の第1の端部で配置され、シェルの長手方向Yに垂直に延在する。
【0131】
シール支持フランジ48は周囲支持面48aを備え、第1のシール部材31の第1の周囲シーリング部分31aは、周囲支持面48aに結合される。
【0132】
支持フランジは、フランジ48の外周から、長手方向Yと平行な方向に、二次濾材パック10の方へ延在するシール支持フランジ延長部481をさらに備える。ある特定の図では、シェル40の第1の端部は、後方に折り曲げられ、それによって、U字状の、周囲の、環状の凹部56(たとえば、第3の位置決め要素)を画定する。支持フランジ延長部481には、その半径方向外面上に第2のシール部材32が設けられる。
【0133】
第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31b、34は、長手方向Yに対して軸方向にシールする又は少なくとも部分的に軸方向にシールするために構成される。
【0134】
安全フィルタエレメントは、フィルタシステムのハウジングに安全フィルタエレメントをシールするための第2のシール部材32を備える。第2のシール部材32は、シェル40に恒久的に結合される。より詳細には、第2のシール部材32は、シェル40の周壁49の外側に、特に、支持フランジ延長部481の半径方向外面に結合される。
【0135】
第2のシール部材32は、シェル40(延長部481)にシールするための内周側面35aと、ハウジングにシールするための外周側面35bとを備える。内周側面35aは、シェル40の周壁49の外側に、特に、支持フランジ延長部481に結合される。
【0136】
第2のシール部材32は、ハウジングにシールするための2つのシーリングリップ32a、32bを備えるリップ型シール部材である。リップの1つ又は複数に隣接して、たとえば、2つのリップの間に、(1つ又は複数の)シール部材圧縮制限要素32sが、所定の高さでリップシールの圧縮を止めるために設けられる。第2のシール部材32の外周側面35bは、単一のシール部材圧縮制限要素32sによって分離された2つのシーリングリップ32a、32bを備える。それは好ましくは、熱可塑性エラストマを備え、好ましくは、多成分射出成形を介して、シェル40上にオーバーモールドすることによって形成される。
【0137】
任意選択の特徴として、安全フィルタエレメントは、フィルタアセンブリのカバー又はプレクリーナ225ハウジングに安全フィルタエレメントをシールするための第4のシール部材36を備える。第4のシール部材36は、シェル40に、たとえば、シェル40のフランジ面48aに、又は、支持フランジ延長部481に、恒久的に結合される。第4のシール部材36は、1つのリップを有するリップシールである。リップは、カバー又はプレクリーナの対応する表面との軸方向のシーリングのための支配的な軸方向シーリング構成要素を有する。それは、半径方向構成要素も備えてもよい。或いは、それは、複数のリップを備えることができる。第4のシール部材36は、第1の周囲シール部材31と第2の周囲シール部材32との間に周状に配置される。たとえば、第4のシール部材36のリップは、支持フランジ48と支持フランジ延長部481との間の接合部に配置することができる。たとえば、第4のシール部材36のリップは、濾材パック10から離れる方向に向けることができる。第4のシール部材36のリップ(の方向)は、0とは異なる、第1のシール部材31のリップ(の方向)との角度を形成することができる。
【0138】
二次濾材パック10の周側面13は、シェルの周壁49の内側の第1の部分46に封止的に取り付けられる。
【0139】
第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31b、34の外形形状は、二次濾材パック10の流体入口側11及び流体出口側12を横切る鏡面対称面を有する。
【0140】
シェル40の周壁49の内側の第2の部分47と長手方向Yに対して横方向の平面との間の断面は、長円形状を有する。
【0141】
図37に示されるように、シェル40は、ハウジングへの位置決めを容易にするために、且つ、ハウジングへの安全フィルタエレメントの相対的固定のために構成される、(たとえば、U字状凹部によって画定される)1つ又は複数の第3の位置決め要素56を備える。たとえば、安全フィルタのU字状凹部56は、安全フィルタエレメントがハウジングに受け入れられるとき、ハウジング220の軸方向に延在する突起又はタブ2201(たとえば、位置決め要素)を受け入れてもよい。第4の位置決め要素2201、たとえば、1つ又は複数の軸方向に延在する突起2201との1つ又は複数の凹部56の相互作用は、案内及び半径方向の位置合わせ、並びに、半径方向の固定のために機能してもよい。
【0142】
メインフィルタエレメント2は、安全フィルタエレメント1の空洞45に受け入れ可能な、一次濾材パック20、好ましくは、溝付き媒体パックを備える。メインフィルタエレメント2は、一次濾材パック20に封止的に取り付けられた周囲フレーム23をさらに備える。周囲フレーム23は、一次濾材パック20が空洞45内に受け入れられたときに、第1のシール部材31の第2の周囲シーリング部分31bと封止的に協働するために構成された周囲シーリング面を備える。周囲フレーム23は、一次濾材パック20の外周面に封止的に取り付けられる。メインフィルタエレメント2の周囲フレーム23は、周囲フレームシーリング面231を備える。周囲フレームシーリング面231は、好ましくは、単一回回転対称の外形形状を有し、安全フィルタエレメント1の第2の周囲シーリング部分31b、34の単一回回転対称に対応する。
【0143】
1つの態様において、第2の周囲シーリング部分31b、34の単一回回転対称は、軸方向に逸脱するシーリング部分を有するフィルタカートリッジ形状に関係なく、実現できる。たとえば、図19で最も簡単に参照されるように、第2の周囲シーリング部分31b、34は、1つ又は複数の軸方向逸脱部分31b-2が非対称配置で設けられる(たとえば、シェル40の第1の側には設けられるが、シェル40の反対側には設けられない)メイン部分(単数又は複数)31b-1を含むことができる。たとえば、図26で参照できるように、周囲フレーム23及び対応するシーリング面には、シーリング部分31bの軸方向逸脱部分31b-2によって画定される外形に軸方向に従う、対応する軸方向逸脱部分23aが設けられる。ある態様において、軸方向逸脱部分31b-2は、メインフィルタエレメント2及び対応するシェル空洞45によって画定される長円外形に従いながら、第2の周囲シーリング部分31b、34が単一回回転対称を有することを可能にする。示されている例において、2つの同様に形づくられた軸方向逸脱部分31b-2及び23が示され、シェル40の片側、この場合、シェル40の長辺の1つに設けられる。しかしながら、他の位置、及び他の数、たとえば、1つ又は2つより多い数が可能である。ある態様において、軸方向逸脱部分31b-2及び23は、台形形状を有するように特徴づけられてもよい。その他の形状が可能である。ある態様において、軸方向逸脱部分31b-2及び23aは、メイン部分31b-1から流体入口側11への方向に延在するように示される。或いは、部分31b-2及び23aは、反対方向に延在するように構成されてもよい。第2の周囲シーリング部分31b、34は、図面に示されるものとはシェル40の反対側の長い側壁上に軸方向逸脱部分が設けられてもよく、それによって、単一回回転対称は、異なるように形づくられた及び/又は異なる数の非対称に配置された軸方向逸脱部分31b-2を有することで実現することができる。引き続き図19及び26を参照すると、第2の周囲シーリング部分31b、34には、フィルタカートリッジフレーム23上の対応する軸方向逸脱部分23bによって受けられる、シェル40の長手方向端部に配置される追加の軸方向逸脱部分31b-3が設けられる。示されている例において、軸方向逸脱部分31b-3、23bは各端部に同様に形づくられる。しかしながら、2つの部分31b-3、23bには、軸方向逸脱部分31b-2に依存することなく、第2の周囲シーリング部分31b、34に単一回回転対称を有する形状を与えるために、互いに異なる形状を提供することができる。
【0144】
フィルタアセンブリは、(部分的にのみ示される)プレクリーナ225、又は、1つ若しくは複数のコネクタでハウジング220の残りに係止可能であるカバーをさらに備える。
【0145】
プレクリーナ又はカバー225が設置されるとき、安全フィルタエレメント1の第4のシール部材36は、プレクリーナ又はカバー225の内面に対してシールする。
【0146】
示されて、上で論じられた複数の図面は、特に、空気を濾過するためのフィルタエレメントの実施形態を扱っているが、本開示は、任意の特定の流体を濾過するためのフィルタエレメントに限定されない。
【0147】
本開示による実施形態において、流体は、たとえば、空気などの気体である。
【符号の説明】
【0148】
1 安全フィルタエレメント
2 メインフィルタエレメント
10 二次濾材パック
11 流体入口側
12 流体出口側
13 周側面
20 一次濾材パック
21 流体入口面
22 流体出口面
23 周囲フレーム
23a 軸方向逸脱部分
23b 軸方向逸脱部分
24 ハンドル
25 第2の位置決め要素
26 リブ要素
31 第1のシール部材
31a 第1の周囲シーリング部分
31b 第2の周囲シーリング部分
31b-1 メイン部分
31b-2 軸方向逸脱部分
31b-3 軸方向逸脱部分
32 第2のシール部材
32a、32b 第2のシール部材のシーリングリップ
32s 第2のシール部材圧縮制限要素
33 第3のシール部材
34 第1のシール部材のシーリングリップ
35a 第2のシール部材の内周側面
35b 第2のシール部材の外周側面
36 第4のシール部材
40 シェル
41 シェルの第1の開口
42 シェルの第2の開口
43 第3の壁部分
45 空洞
46 周壁の内側の第1の部分
47 周壁の内側の第2の部分
48 シール支持フランジ
48a 周囲支持面
49 シェルの周壁
50 接続構造
50a、50b 枢動コネクタ
50c 枢動軸
55 第1の位置決め要素
56 第3の位置決め要素
100 フィルタアセンブリ
200 フィルタシステム
220 ハウジング
225 プレクリーナ
226 プレス要素
231 周囲フレームシーリング面
481 シール支持フランジ延長部
2201 第4の位置決め要素
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
【国際調査報告】