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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】二液型構造接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20240905BHJP
   C09J 179/02 20060101ALI20240905BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J179/02
C09J175/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513546
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022036482
(87)【国際公開番号】W WO2023033919
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,459
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】コーク,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,ベダ
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EC001
4J040EC061
4J040EF002
4J040EF292
4J040EF332
4J040EH012
4J040GA11
4J040GA14
4J040GA20
4J040HC16
4J040HC23
4J040HC25
4J040JA13
4J040JB02
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA30
4J040KA42
4J040LA06
4J040MA02
(57)【要約】
本明細書では、熱及び湿気への曝露後に優れた接着強度を示す二液型接着剤組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二液型エポキシ接着剤組成物であって、
成分A:
ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂;
aii)ポリウレタン触媒の存在下、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールなどの少なくとも1種のポリオールと任意選択的なポリ(ブタジエン)ジオールをポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールで鎖延長し、式Iの分子:
【化1】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)
でエンドキャッピングすることによって製造される反応性強靭化剤;
成分B:
bi)1種以上のポリアミン;
bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
biii)1種以上のエポキシ硬化触媒;
を含む二液型エポキシ接着剤組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、約170~195g/モルの範囲のエポキシ当量を有するものから選択されるエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの液体反応生成物であって182~192g/eqのエポキシド当量(ASTM D-1652に従って測定)を有する液体反応生成物を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、22.4~23.6%のエポキシドパーセント割合(ASTM D-1652に従って測定)、5200~5500mmol/kgのエポキシド基含有量(ASTM D-1652に従って測定)を有するエポキシを含む、請求項1、2、又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、25℃で4000~14000mPasの粘度(ASTM D-445に従って測定)を有するエポキシを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、前記接着剤の成分Aの総重量を基準として50~80重量%、より好ましくは55~75重量%、特に好ましくは60~72重量%で使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
及びRが、H及びC~Cアルキルから独立して選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
及びRが、H及びC~Cアルキルから独立して選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
及びRがHである、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
~Cアルキルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
がC~Cアルキルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
がエチルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
nが1である、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記エンドキャッピング分子がエチル-2-オキソシクロペンタンカルボキシレートである、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記強靭化剤に使用される前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、ポリ(C~Cアルキレンオキシド)ジオールから選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記強靭化剤に使用される前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、ポリ(トリメチレンオキシド)ジオール(「PO3G」)、及びこれらの混合物から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが1,000~2,500Daの範囲の分子量を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、1,000~2,000Daの分子量を有するか、又はこれらの混合が使用される、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、1,000~2,500Daの範囲の分子量を有するPTMEGである、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
ポリ(ブタジエン)ジオール(「PBD」)が前記強靭化剤に使用される、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記PBDが2,000~3,500Daの範囲の分子量を有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記PBDが2,800Daの分子量を有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種のポリ(アルキレンオキシド)ジオールがPTMEGであり、PBDが強靭化剤骨格に含まれる、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記強靭化剤に使用される前記少なくとも1種のポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートである、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及びこれらの混合物から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」)である、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
鎖延長がジフェノールを用いて行われる、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記ジフェノールがO,O’-ジアリルビスフェノールAである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリウレタン触媒が、ジブチルスズジラウレート(「DBTL」)、並びにカルボン酸ビスマス及び/又はカルボン酸亜鉛などのカルボン酸金属塩から選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記ポリウレタン触媒が、前記強靭化剤の総重量を基準として0.01~0.5重量%、より好ましくは0.1重量%で使用される、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記ポリウレタン触媒がカルボン酸ビスマスとカルボン酸亜鉛との混合物である、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として40~90重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として45~85重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のPTMEGと、7~20重量%のHDIと、5~15重量%の末端キャッピング基、特にCPEEとを含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のPTMEGと、8~20重量%のPBDと、7~20重量%のHDIと、5~15重量%の末端キャッピング基、特にCPEEとを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが2以上のアミン官能価を有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、1種以上のジアミンと組み合わせて、10以上のアミン官能価を有する少なくとも1種の分子を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが少なくとも1種のポリエーテルアミンを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが第一級アミン基及び第二級アミン基を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが第一級アミン基を含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、
【表X】
及び上記のいずれかの混合物から選択される、請求項1~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、Lupasol P、Jeffamine T-403、Jeffamine D-400、Jeffamine D-2000、及び4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンの混合物を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、Lupasol P、Jeffamine T-403、TETA、及び4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンの混合物を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記潜在性エポキシ硬化剤が、三塩化ホウ素/アミン及び三フッ化ホウ素/アミン錯体、メラミン、ジアリルメラミン、グアナミン、例えばジシアンジアミド、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミン、アミノトリアゾール、例えば3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミド、及び芳香族ポリアミン、例えばアミノジフェニルスルホンから選択される、請求項1~44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記潜在性エポキシ硬化剤がジシアンジアミドである、請求項1~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記エポキシ硬化触媒が、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モニュロン)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン)、3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン)、N-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’,N’-ジメチル尿素25(クロルトルロン)、tert-アクリル-若しくはアルキレンジアミン(ベンジルジメチルアミンなど)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピペリジン又はその誘導体、C~C12アルキレンイミダゾール若しくはN-アリールイミダゾール(2-エチル-2-メチルイミダゾールなど)、又はN-ブチルイミダゾール及び6-カプロラクタム、ポリ(p-ビニルフェノール)マトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(欧州特許第0197892号明細書に記載されているものなど)、又はノボラック樹脂に組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(米国特許第4,701,378号明細書に記載されているものなど)から選択される、請求項1~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記エポキシ硬化触媒がトリス-2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである、請求項1~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記エポキシ硬化触媒が、成分Bの総重量を基準として1~20重量%、より好ましくは8~16重量%、特に好ましくは10~14重量%で存在する、請求項1~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記エポキシ硬化触媒が、ポリ(p-ビニルフェノール)ポリマーマトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであり、成分Bの総重量を基準として10~14重量%、より好ましくは12重量%の量で使用される、請求項1~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
2つの基材を接着するための方法であって、
1.請求項1~50のいずれか一項に記載の二液型エポキシ接着剤組成物を準備するステップ;
2.成分AとBを混合して混合物を製造するステップ;
3.前記混合物を第1の基材及び/又は第2の基材に塗布するステップ;
4.前記基材表面が接着接触してその間に前記混合物の層が挟まれるように前記基材を配置するステップ;及び
5.前記混合物を硬化させるステップ;
を含む方法。
【請求項52】
前記第1及び第2の基材が、鋼及びアルミニウムから独立して選択される金属である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
成分A対成分Bの混合比が1:1又は2:1である、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
硬化が40℃未満の温度で行われる、請求項51、52、又は53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液型エポキシ接着剤、特に周囲条件で硬化可能であり優れた機械的特性を示す強靭化エポキシ接着剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
強靭化された二液型エポキシ構造接着剤は、金属間の接合及び金属と他の材料との接合のために自動車及び他の産業で広く使用されている。多くの場合、これらの構造接着剤は、車両衝突の状況中の破損に強く耐えなければならない。このタイプの構造接着剤は、「衝突耐久性接着剤」又は「CDA」と呼ばれることがある。この特性は、接着剤配合物中に特定のタイプの材料が存在することによって実現される。これらの材料は、多くの場合に「強靭化剤」と呼ばれる。強靭化剤は、ブロックされた官能基を有し、硬化反応の条件下で脱ブロックしてエポキシ樹脂と反応することができる。このタイプの強靭化剤は、例えば、米国特許第5,202,390号明細書、同第5,278,257号明細書、国際公開第2005/118734号パンフレット、同第2007/003650号パンフレット、同第2012/091842号パンフレット、米国特許出願公開第2005/0070634号明細書、同第2005/0209401号明細書、同第2006/0276601号明細書、欧州特許出願公開第A-0308664号明細書、同第1498441A号明細書、同第A1728825号明細書、同第A1896517号明細書、同第A1916269号明細書、同第A1916270号明細書、同第A1916272号明細書及び同第A-1916285号明細書に記載されている。
【0003】
米国特許第9,181,463号明細書は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(「PolyTHF」又は「PTMEG」)をジイソシアネートと反応させ、次いで得られたプレポリマーをO,O’-ジアリルビスフェノールAで鎖延長し、続いてモノ又はジフェノールでイソシアネート基をキャッピングすることによって製造される強靭化剤を含むエポキシ系接着剤を記載している。そのような接着剤は、優れた貯蔵安定性を示し、硬化することで優れた重ねせん断強さ及び衝撃剥離強さを有する硬化した接着剤を形成するとされている。
【0004】
フェノールでキャッピングされたイソシアネート末端基を持つ強靭化剤は、エポキシ樹脂に配合されると、硬化中にエポキシマトリックス中のヒドロキシル基又はアミン基と反応する。反応する強靭化剤の末端基が多いほど、硬化した接着剤の機械的特性が向上する。
【0005】
そのような熱硬化性構造接着剤の強靭化剤は、典型的には、硬化の高温で開裂する熱に不安定なキャッピング基を含み、強靭化剤がエポキシマトリックスと反応して共有結合することを可能にする反応性官能基を露出させる。一般的に使用されている強靭化剤は、フェノールでキャッピングされた1つ以上の反応性脂肪族イソシアネート末端基を含む。180℃の温度では、脂肪族イソシアネートとフェノールとの反応は典型的には可逆的であり、これはフェノール部位が開裂して反応性イソシアネートが再生されることを意味する。これは、多くの場合強靭化剤の「脱ブロック」と呼ばれる。
【化1】
【0006】
脱ブロック後、遊離イソシアネートはエポキシ樹脂のヒドロキシ基又は硬化剤のアミン基と反応して、強靭化剤粒子とマトリックスとの間に優れた界面を形成する。その結果、強靭化剤相がエポキシマトリックス中に分散されると同時にエポキシマトリックス内に共有結合される。
【0007】
脱ブロックを起こすために約180℃までアセンブリを加熱することは、エネルギーと時間を消費し、また熱に曝されている状態で接着された部分が異なって膨張する場合にゆがみが生じる可能性がある。より低い温度でエポキシマトリックスと反応できる強靭剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、本明細書では、二液型エポキシ接着剤組成物であって、
成分A:
ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂;
aii)ポリウレタン触媒の存在下、少なくとも1種のポリオールと任意選択的なポリ(ブタジエン)ジオールをポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールで鎖延長し、式Iの分子:
【化2】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)
でエンドキャッピングすることによって製造される反応性強靭化剤;
成分B:
bi)1種以上のポリアミン;
bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
biii)1種以上のエポキシ硬化触媒;
を含む二液型エポキシ接着剤組成物が提供される。
【0009】
第2の態様では、本発明は、上記成分A及びBを混合し、得られた混合物を硬化させることによって得られる硬化した接着剤を提供する。
【0010】
第3の態様では、本発明は、
1.二液型エポキシ接着剤組成物であって、
成分A:
ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂;
aii)ポリウレタン触媒の存在下、少なくとも1種のポリオールと任意選択的なポリ(ブタジエン)ジオールをポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールで鎖延長し、式Iの分子:
【化3】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)
でエンドキャッピングすることによって製造される反応性強靭化剤;
成分B:
bi)1種以上のポリアミン;
bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
biii)1種以上のエポキシ硬化触媒;
を含む二液型エポキシ接着剤組成物を準備するステップ;
2.成分AとBを混合して混合物を製造するステップ;
3.混合物を第1の基材及び/又は第2の基材に塗布するステップ;
4.基材表面が接着接触してその間に混合物の層が挟まれるように基材を配置するステップ;及び
5.混合物を硬化させるステップ;
を含む、2つの基材を接着する方法が提供される。
【0011】
第4の態様では、本発明は、
1.第1の基材と;
2.第2の基材と;
3.第1及び第2の基材を接着する硬化した接着剤と;
を含む接着されたアセンブリであって、前記硬化した接着剤が、以下の成分A及びB:
成分A:
ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂;
aii)ポリウレタン触媒の存在下、少なくとも1種のポリオールと任意選択的なポリ(ブタジエン)ジオールをポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールで鎖延長し、式Iの分子:
【化4】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)
でエンドキャッピングすることによって製造される反応性強靭化剤;
成分B:
bi)1種以上のポリアミン;
bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
biii)1種以上のエポキシ硬化触媒;
を混合して混合物を製造し、混合物を硬化させることによって得られる、接着されたアセンブリが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、エポキシ接着剤中の強靭化剤含有量を低減することにより、熱及び湿気への曝露後の接着性能が大幅に改善されることを見出した。
【0013】
定義及び略語
PTMEG ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール
DGEBA ビスフェノールAジグリシジルエーテル
polyTHF ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール
PBD ポリ(ブタジエン)ジオール
DBTL ジブチルスズジラウレート
HDI ヘキサメチレンジイソシアネート
CPEE エチル-2-オキソシクロペンタンカルボキシレート
PTHF ポリ(テトラヒドロフラン)
【0014】
本明細書で報告されるポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される数又は重量平均分子量としてダルトン(Da)単位で報告される。
【0015】
本発明の二液型接着剤は、A成分(樹脂成分)とB成分(硬化剤成分)とからなる。使用の際には、成分Aと成分Bが望まれる比率で混合され、その後1つ以上の基材に塗布される。
【0016】
成分A
成分Aは、ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂とaii)少なくとも1種の反応性強靭化剤とを含む。
【0017】
エポキシ樹脂
本発明の二液型接着剤の成分Aは、少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む。本発明による接着剤組成物に有用なエポキシ樹脂としては、様々な硬化性エポキシ化合物及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用なエポキシ樹脂としては、液状のもの、固形のもの及びこれらの混合物が挙げられる。典型的には、エポキシ化合物は、ポリエポキシドとも称されるエポキシ樹脂である。本明細書において有用なポリエポキシドは、単量体(例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ノボラック系エポキシ樹脂及び三官能性エポキシ樹脂)、より分子量の高い樹脂(例えば、ビスフェノールAで鎖伸長されたビスフェノールAのジグリシジルエーテル)又は単独重合体若しくは共重合体に重合させた不飽和モノエポキシド(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等)であり得る。最も望ましくは、エポキシ化合物は、1分子あたり平均して少なくとも1つのペンダント又は末端1,2-エポキシ基(すなわちビシナルエポキシ基)を含む。本発明で使用することができる固体エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノールAを含み得るか、又は好ましくは主にビスフェノールAをベースとし得る。幾つかの好ましいエポキシ樹脂としては、例えば、D.E.R.330、D.E.R.331及びD.E.R.671が挙げられ、これらは、全てThe Dow Chemical Companyから市販されている。
【0018】
1つの好ましいエポキシ樹脂は、一般式:
【化5】
(式中、nは、0~約25の範囲である)
を有する。
【0019】
好ましいエポキシ樹脂は、約170~195g/モルの範囲のエポキシ当量を有する。
【0020】
エポキシ接着剤の特性を調整するために、エポキシ樹脂の組み合わせを使用することができる。本発明の組成物及び方法では、エポキシ接着剤は、任意の量のエポキシ樹脂を含み得る。好ましくは、液体及び/又は固体のエポキシ樹脂は、エポキシ接着剤の20重量%以上、より好ましくは約25重量%以上、30重量%以上又は35重量%以上を構成する。好ましくは、液体及び/又は固体のエポキシ樹脂は、エポキシ接着剤の65重量%以下、より好ましくは55重量%以下又は45重量%以下を構成する。他の好ましい量は実施例に示されている。これらの値の対から形成される範囲(例えば25~35重量%、25~65重量%、30~38重量%(接着剤AA))も好ましい。
【0021】
液体及び固体のエポキシ樹脂の組み合わせが使用される場合、任意の割合を使用することができ、当業者が決定することができる。適切な粘度を得るために、液体エポキシ樹脂対固体エポキシ樹脂の重量比が50:50より大きいことが通常好ましい。本発明のエポキシ接着剤組成物は、好ましくは、55:45以上、65:35以上又は70:30以上の比率で液体及び固体のエポキシ樹脂を含む。本発明のエポキシ接着剤組成物は、好ましくは、100:0以下、99:1以下、90:10以下又は85:10以下の比率で液体及び固体のエポキシ樹脂を含む。他の好ましい比率は実施例に示されている。これらの値の対から形成される範囲(例えば50:50~100:0、65:35~82:18(接着剤AU))も好ましい。
【0022】
好ましいエポキシ樹脂としては、以下のものが挙げられる:
エポキシ1.182~192g/eqのエポキシド当量(ASTM D-1652に従って測定)と、22.4~23.6%のエポキシドパーセント割合(ASTM D-1652に従って測定)と、5200~5500mmol/kgのエポキシド基含有量(ASTM D-1652に従って測定)と、4000~14000mPasの25℃における粘度(ASTM D-445に従って測定)とを有する、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの液体反応生成物、例えばDER331;
エポキシ2.475~550g/eqのエポキシド当量(ASTM D-1652に従って測定)と、7.8~9.1%のエポキシドパーセント割合(ASTM D-1652に従って測定)と、1820~2110mmol/kgのエポキシド基含有量(ASTM D-1652に従って測定)と、400~950mPasの150℃における溶融粘度(ASTM D-4287に従って測定)とを有する、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの低分子量固体反応生成物である固体エポキシ樹脂、例えばDER671;
3.エポキシ1とエポキシ2との混合物。
【0023】
特に好ましいものはエポキシ1である。
【0024】
エポキシ樹脂は、接着剤の成分Aの総重量を基準として、好ましくは、50~80重量%、より好ましくは55~75重量%、特に好ましくは60~72重量%で本発明の接着剤中に存在する。
【0025】
特に好ましい実施形態では、エポキシ樹脂はエポキシ1であり、接着剤の成分Aの総重量を基準として62~72重量%で使用される。
【0026】
反応性強靭化剤
本発明の二液型接着剤の成分Aは、特定の強靭化剤を含む。
【0027】
本発明の組成物において使用される強靭化剤は、ポリウレタン触媒の存在下で少なくとも1種のポリオールと任意選択的なポリ(ブタジエン)ジオールをポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールでの鎖延長及び式Iの分子:
【化6】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)でのエンドキャッピングを行うことによって製造される反応性強靭化剤である。
【0028】
好ましい実施形態では、R及びRは、独立して、H及びC~Cアルキル、より好ましくはH及びC~Cアルキルから選択され、特に好ましくはR及びRはHである。
【0029】
好ましい実施形態では、Rは、C~Cアルキルであり、より好ましくはC~Cアルキルである。
【0030】
好ましい実施形態では、nは1である。
【0031】
別の好ましい実施形態では、R及びRはHであり、Rはエチル又はメチル、特にエチルであり、nは1である。特に好ましい実施形態では、キャッピング分子はCPEEである。
【0032】
好ましい実施形態では、PBDは強靭化剤骨格に含まれる。
【0033】
別の好ましい実施形態では、ジフェノールによる鎖延長が行われる。
【0034】
別の好ましい実施形態では、PBDが含まれ、ジフェノールによる鎖延長が行われる。
【0035】
別の好ましい実施形態では、PBDは含まれない。
【0036】
別の好ましい実施形態では、鎖延長は行われない。
【0037】
別の好ましい実施形態では、PBDは含まれず、且つ鎖延長は行われない。
【0038】
少なくとも1種のポリオールは、好ましくはジオール若しくはトリオール、又は両方の混合物である。ジオールが特に好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも1種のポリオールはポリ(アルキレンオキシド)ジオールである。好ましいポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、ポリ(C~Cアルキレンオキシド)ジオール、特にポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、ポリ(トリメチレンオキシド)ジオール(「PO3G」)及びこれらの混合物から選択される。ポリ(アルキレンオキシド)ジオールは、好ましくは1,000~2,500Da、より好ましくは1,000~2,000Daの範囲の分子量を有する。PTMEGが特に好ましい。好ましくは、PTMEGは、1,000~2,500Da、より好ましくは1,000~2,000Daの範囲の分子量を有する。
【0039】
PBDは、好ましくは2,000~3,500Daの範囲、より好ましくは2,800Daの分子量を有する。
【0040】
ポリイソシアネートは、特に限定されない。脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートが好ましく、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」又は「HDI」)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)が具体的な例である。HMDIが特に好ましい。
【0041】
ポリウレタン触媒は、特に限定されない。ジブチルスズジラウレート(「DBTL」)及びカルボン酸金属塩、例えばカルボン酸ビスマス及び/又はカルボン酸亜鉛が特に好ましい。触媒は、強靭化剤の総重量を基準として好ましくは0.01~0.5重量%、より好ましくは0.1重量%で使用される。好ましい実施形態では、触媒はカルボン酸のビスマス塩と亜鉛塩との混合物であり、強靭化剤の組成物の総重量を基準として0.1重量%で使用される。
【0042】
任意選択的な鎖延長は、ジフェノールを用いて行われる。O,O’-ジアリルビスフェノールA(「ODBA」)が特に好ましい。ジフェノールは、強靭化剤の総重量を基準として好ましくは2~10重量%、より好ましくは5~8重量%、特に好ましくは7重量%で使用される。代わりに、連鎖延長剤は、0:1~1:1、より好ましくは0:1~0.8:1、特に好ましくは0.6:1~0.8:1のポリオールに対するモル比で使用することができる。
【0043】
ジオールと、ポリイソシアネートと、ジフェノール鎖延長剤(使用される場合)との反応により、キャッピング前の分子がNCO基で終端する。次いで、例えば少なくとも1種のカルボン酸金属塩、特にカルボン酸の亜鉛塩及び/又はビスマス塩などの適切な触媒を使用して、式Iの分子でエンドキャッピングが行われる。
【0044】
強靭化剤は、好ましくは、強靭化剤の総重量を基準として40~90重量%、より好ましくは45~85重量%、より好ましくは50~85重量%のポリオール、特にポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む。特に好ましくは、強靭化剤は、強靭化剤の総重量を基準として、40~90重量%、より好ましくは45~85重量%、より特に好ましくは50~85重量%のPTMEGを含む。1,000Da、1,400Da、及び2,000Daの分子量を有するPTMEGが特に好ましい。
【0045】
存在する場合、PBDは、強靭化剤の総重量を基準として、好ましくは10~25重量%、より好ましくは12~18重量%のPBDで強靭化剤中に存在し、2,800Daの分子量を有するPBDが特に好ましい。
【0046】
好ましい強靭化剤は、50~85重量%のPTMEGと、7~20重量%のHDIと、5~15重量%のキャッピング基、特にCPEEとを含む。
【0047】
好ましい強靭化剤は、50~85重量%のPTMEGと、10~20重量%、より好ましくは12~18重量%のPBDと、7~20重量%のHDIと、5~15重量%のキャッピング基、特にCPEEとを含む。
【0048】
好ましい強靭化剤のいくつかの例は、以下の成分を反応させることによって製造される(重量%は強靭化剤の総重量基準である):
【0049】
【表A】
【0050】
強靭化剤を製造するための好ましい方法は、以下のプロセスである:
1.第1の反応ステップ:ポリオール、好ましくはポリ(アルキレンオキシド)ジオール(より好ましくはPTMEG)及びPBD(使用される場合)を120~130℃に加熱する。混合物を真空下で25~35分間加熱する。混合物を50~70℃に冷却する。温度が50~70℃に到達したときにジイソシアネート(好ましくはHDI)を添加し、混合物を2~5分間混合する。次いで、ポリウレタン触媒(例えばカルボン酸ビスマス及び/又はカルボン酸亜鉛などのカルボン酸金属塩)を添加し、混合物を、中性の雰囲気(例えば窒素やアルゴン)下で、75~90℃(浴温)で40~50分間反応させる。
2.第2の反応ステップ:鎖延長剤(使用される場合)を添加し、混合物を中性の雰囲気(例えば窒素やアルゴン)下で、85~95℃(浴温)で50~70分間撹拌する。
3.第3の反応ステップ:式Iのエンドキャッピング分子(例えばCPEE)を添加し、混合物を中性の雰囲気(例えば窒素やアルゴン)で、85~95℃(浴温)で80~95分間撹拌する。混合物を脱気のために真空下で95℃で10分間撹拌する。
【0051】
特に好ましい強靭化剤は、表Aに列挙された成分(重量%は強靭化剤の総重量基準である)を使用して、上記プロセスを用いて製造される。
【0052】
成分Aのその他の成分
成分Aは、追加の任意選択的な成分、例えば:
・1種以上のシラン系接着促進剤、例えばトリス(ジエチレングリコールメチルエーテル)シリルプロピレングリシジルエーテル。
・一官能性、二官能性、及び三官能性のエポキシ反応性希釈剤、例えばジフェノール、モノフェノール、例えばカルダノール、C12~14-アルコールのモノグリシジルエーテル、(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)樹脂、及びシクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル。
・フタル酸エステルやジアルキルナフタレンなどの可塑剤、特にフタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジイソノニル、及びジイソプロピルナフタレンなどのジアルキルナフタレン。
・フィラー、例えば炭酸カルシウム、TiO、ヒュームドシリカ、ウォラストナイト、ガラス(繊維状、微小球、フレークの形態)、炭素繊維、グラファイト。
・水酸化アルミニウム(ATH)、アルミナ、球状アルミナ、アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ダイヤモンド、又はそれらの組み合わせなどの熱伝導性フィラー;
を含み得る。
【0053】
成分B
成分Bは、bi)1種以上のポリアミンと、bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤と、biii)1種以上のエポキシ硬化触媒とを含む。
【0054】
ポリアミン
成分Bは、エポキシ樹脂上のエポキシ基と架橋可能な少なくとも1種のポリアミンを含む。ポリアミンには、2つ以上のアミン基を有する分子が含まれる。好ましい実施形態では、ポリアミンは、3以上、より好ましくは10より大きいアミン官能価を有する。
【0055】
別の好ましい実施形態では、ポリアミンは、1種以上のジアミンと組み合わせて、10以上のアミン官能価を有する少なくとも1種の分子を含む。
【0056】
別の好ましい実施形態では、ポリアミンは、1種以上のトリアミン及び1種以上のジアミンと組み合わせて、10以上のアミン官能価を有する少なくとも1種の分子を含む。
【0057】
好ましいポリアミンとしては、ポリマー状アミン、低分子量アミン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
好ましい実施形態では、ポリアミンには、ポリエーテルアミン、すなわち末端アミン基を有するポリエーテル骨格を有する分子が含まれる。また、化学量論過剰のアミンプレポリマーとエポキシ樹脂との反応生成物も好ましい。アミンプレポリマーは、架橋を起こすことを可能にするために少なくとも2つのアミン基を有する任意のアミンプレポリマーであってよい。アミンプレポリマーは、第一級及び/又は第二級アミン基を含み、好ましくは第一級アミン基を含む。適切なアミンプレポリマーとしては、ポリエーテルジアミン及びポリエーテルトリアミン並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0059】
ポリエーテルアミンは、直鎖、分岐、又は混合であってよい。分岐ポリエーテルアミンが好ましい。任意の分子量のポリエーテルアミンを使用することができ、200~6000の範囲又はそれを超える分子量が適切である。分子量は、1000超であってよく、或いはより好ましくは3000超であってよい。3000又は5000の分子量が好ましい。
【0060】
好適な市販のポリエーテルアミンの例としては、以下のものが挙げられる:
【0061】
【表B】
【0062】
好ましい実施形態では、成分Bのポリアミンは、Lupasol P、Jeffamine T-403、Jeffamine D-400、Jeffamine D-2000、及び4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンの混合物を含む。
【0063】
別の好ましい実施形態では、成分Bのポリアミンは、Lupasol P、Jeffamine T-403、TETA、及び4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンの混合物を含む。
【0064】
成分B中のポリアミンの濃度は、硬化した接着剤に望まれる硬化の程度に依存し、また望まれる成分Aと成分Bとの混合比にも依存する。成分A対成分Bの比が2:1である好ましい一実施形態では、成分Bの総ポリアミン含有量は、成分Bの総重量を基準として30~70重量%、より好ましくは40~65重量%である。
【0065】
潜在性エポキシ硬化剤
接着剤は、任意選択的には潜在性硬化剤を含み得る。
【0066】
適切な潜在性硬化剤には、三塩化ホウ素/アミン及び三フッ化ホウ素/アミン錯体、メラミン、ジアリルメラミン、グアナミン、例えばジシアンジアミド、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミン、アミノトリアゾール、例えば3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミド、及び芳香族ポリアミン、例えばアミノジフェニルスルホンなどの材料が含まれる。ジシアンジアミドが特に好ましい硬化剤である。
【0067】
潜在性硬化剤は、存在する場合、接着剤を硬化させるのに十分な量で使用される。典型的には、組成物中に存在するエポキシド基の少なくとも80%を消費するのに十分な硬化剤が提供される。エポキシド基の全てを消費するのに必要な量を超える大過剰は、通常は不要である。好ましくは、硬化剤は、成分Bの少なくとも約1.5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約2.5重量パーセント、さらに好ましくは少なくとも3.0重量パーセントを構成する。硬化剤は、好ましくは、成分Bの最大で約10重量パーセント、より好ましくは最大で約8重量パーセント、最も好ましくは最大で約5重量パーセントを構成する。
【0068】
好ましい実施形態では、潜在性エポキシ硬化剤はジシアンジアミドである。エポキシ/ジシアンジアミド比の定数(EP/Dicy比)は、配合物1kg当たりのdicy分子の数に対する1kg当たりのエポキシ基の数の比によって計算される。好ましくは、ジシアンジアミドは、約5のエポキシ/ジシアンジアミド比を与える量で存在する。
【0069】
エポキシ硬化触媒
本発明の接着剤組成物は、エポキシ硬化触媒を含む。
【0070】
エポキシ硬化触媒は、硬化剤でエポキシ樹脂の反応を触媒する1種以上の物質である。好ましいエポキシ触媒の中でも、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モニュロン)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン)、3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン)、N-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’,N’-ジメチル尿素25(クロルトルロン)、tert-アクリル-若しくはアルキレンジアミン(ベンジルジメチルアミンなど)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピペリジン又はその誘導体、様々な脂肪族尿素化合物(欧州特許第1916272号明細書に記載されているものなど);C~C12アルキレンイミダゾール若しくはN-アリールイミダゾール(2-エチル-2-メチルイミダゾールなど)又はN-ブチルイミダゾール及び6-カプロラクタム、ポリ(p-ビニルフェノール)マトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(欧州特許第0197892号明細書に記載されているものなど)又はノボラック樹脂に組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(米国特許第4,701,378号明細書に記載されているものなど)が適している。特に好ましいものは、ポリ(p-ビニルフェノール)ポリマーマトリックスに組み込まれたトリス-2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
【0071】
エポキシ硬化触媒は、成分Bの総重量を基準として、例えば1~20重量%、より好ましくは8~16重量%、特に好ましくは10~14重量%を構成し得る。
【0072】
好ましい実施形態では、エポキシ硬化触媒は、ポリ(p-ビニルフェノール)ポリマーマトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであり、成分Bの総重量を基準として10~14重量%、より好ましくは12重量%の量で使用される。
【0073】
成分Bのその他の成分
成分Bは、追加の任意選択的な成分、例えば:
TiO、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、ウォラストナイト、ガラス(繊維状、微小球、フレークの形態)などのフィラー;
界面活性剤、例えば非イオン性フッ素系界面活性剤などのレオロジー調整剤;
一官能性、二官能性、及び三官能性のエポキシ反応性希釈剤、例えばジフェノール、モノフェノール、例えばカルダノール、C12~14-アルコールのモノグリシジルエーテル、(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)樹脂、及びシクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル;
フタル酸エステルやジアルキルナフタレンなどの可塑剤、特にフタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジイソノニル、及びジイソプロピルナフタレンなどのジアルキルナフタレン;
水酸化アルミニウム(ATH)、アルミナ、球状アルミナ、アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ダイヤモンド、又はそれらの組み合わせなどの熱伝導性フィラー;
を含み得る。
【0074】
硬化した接着剤
一態様では、本発明は、本明細書に記載の成分A及びBを混合し、得られた混合物を硬化させることによって得られる硬化した接着剤を提供する。
【0075】
成分A及びBは、均一な混合物を比較的迅速に提供する任意の方法によって混合することができる。好ましい実施形態では、混合は、成分及び成分Bをノズルを通して分注する際にスタティックミキサーを使用して達成される。
【0076】
成分Aと成分Bとの混合比は、成分A及び成分Bの中の反応性官能基の濃度、並びに望まれる架橋の程度によって決定される。好ましい実施形態では、A:Bの比は1:1又は2:1である。
【0077】
本発明の接着剤の利点は、硬化を比較的低温で行うことができることである。好ましい実施形態では、硬化は40℃未満、より好ましくは30℃未満で行うことができる。
【0078】
基材の接着方法
別の態様では、本発明は、
1.二液型エポキシ接着剤組成物であって、
成分A:
ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂;
aii)ポリウレタン触媒の存在下、少なくとも1種のポリ(アルキレンオキシド)ジオールと任意選択的なポリ(ブタジエン)ジオールをポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールで鎖延長し、式Iの分子:
【化7】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)
でエンドキャッピングすることによって製造される反応性強靭化剤;
成分B:
bi)1種以上のポリアミン;
bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
biii)1種以上のエポキシ硬化触媒;
を含む二液型エポキシ接着剤組成物を準備するステップ;
2.成分AとBを混合して混合物を製造するステップ;
3.混合物を第1の基材及び/又は第2の基材に塗布するステップ;
4.基材表面が接着接触してその間に混合物の層が挟まれるように基材を配置するステップ;及び
5.混合物を硬化させるステップ;
を含む、2つの基材を接着する方法を提供する。
【0079】
本発明の接着剤は、金属と金属、特に鋼、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ニッケルメッキ鋼、ステンレス鋼、自動車産業で典型的に使用されているメッキ鋼、例えば亜鉛メッキ鋼、及び亜鉛マグネシウムメッキ鋼の接着に特に適している。
【0080】
好ましい実施形態では、第1と第2の基材は共に金属、特に鋼又はアルミニウムである。
【0081】
成分A及びBは、均一な混合物を比較的迅速に提供する任意の方法によって混合することができる。好ましい実施形態では、混合は、成分及び成分Bをノズルを通して分注する際にスタティックミキサーを使用して行われる。
【0082】
成分Aと成分Bとの混合比は、成分A及び成分Bの中の反応性官能基の濃度、並びに望まれる架橋の程度によって決定される。好ましい実施形態では、A:Bの比は1:1又は2:1である。
【0083】
本発明の接着剤の利点は、硬化を比較的低温で行うことができることである。好ましい実施形態では、硬化は40℃未満、より好ましくは30℃未満で行うことができる。これらの温度を超える温度に加熱することによって硬化時間を短縮することは当然可能であり、このような方法での本発明の接着剤の使用も想定される。
【0084】
本発明の好ましい接着剤組成物の例
1.二液型エポキシ接着剤組成物であって、
成分A:
ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂;
aii)ポリウレタン触媒の存在下、少なくとも1種のポリオール、好ましくはポリ(アルキレンオキシド)ジオール及び任意選択的なポリ(ブタジエン)ジオールを、ポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールで鎖延長し、式Iの分子:
【化8】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)
でエンドキャッピングすることによって製造される反応性強靭化剤;
成分B:
bi)1種以上のポリアミン;
bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
biii)1種以上のエポキシ硬化触媒;
を含む二液型エポキシ接着剤組成物。
2.前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、約170~195g/モルの範囲のエポキシ当量を有するものから選択されるエポキシ樹脂を含む、実施形態1に記載の組成物。
3.前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの液体反応生成物であって182~192g/eqのエポキシド当量(ASTM D-1652に従って測定)を有する液体反応生成物を含む、実施形態1又は2に記載の組成物。
4.前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、22.4~23.6%のエポキシドパーセント割合(ASTM D-1652に従って測定)、5200~5500mmol/kgのエポキシド基含有量(ASTM D-1652に従って測定)を有するエポキシを含む、実施形態1、2、又は3に記載の組成物。
5.前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、25℃で4000~14000mPasの粘度(ASTM D-445に従って測定)を有するエポキシを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
6.前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、前記接着剤の成分Aの総重量を基準として50~80重量%、より好ましくは55~75重量%、特に好ましくは60~72重量%で使用される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
7.R及びRが、H及びC~Cアルキルから独立して選択される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
8.R及びRが、H及びC~Cアルキルから独立して選択される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
9.R及びRがHである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
10.RがC~Cアルキルである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
11.RがC~Cアルキルである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
12.Rがエチルである、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
13.nが1である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
14.前記エンドキャッピング分子がエチル-2-オキソシクロペンタンカルボキシレートである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物。
15.前記強靭化剤に使用される前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、ポリ(C~Cアルキレンオキシド)ジオールから選択される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の組成物。
16.前記強靭化剤に使用される前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、ポリ(トリメチレンオキシド)ジオール(「PO3G」)、及びこれらの混合物から選択される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の組成物。
17.前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが1,000~2,500Daの範囲の分子量を有する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の組成物。
18.前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、1,000Da、1,400Da、又は2,000Daの分子量を有するか、又はこれらの混合が使用される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の組成物。
19.前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、1,000~2,500Daの範囲の分子量を有するPTMEGである、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組成物。
20.ポリ(ブタジエン)ジオール(「PBD」)が前記強靭化剤に使用される、実施形態1~19のいずれか1つに記載の組成物。
21.前記PBDが2,000~3,500Daの範囲の分子量を有する、実施形態20に記載の組成物。
22.前記PBDが2,800Daの分子量を有する、実施形態20に記載の組成物。
23.前記少なくとも1種のポリ(アルキレンオキシド)ジオールがPTMEGであり、PBDが強靭化剤骨格に含まれる、実施形態1~22のいずれか1つに記載の組成物。
24.前記強靭化剤に使用される前記少なくとも1種のポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートである、実施形態1~23のいずれか1つに記載の組成物。
25.前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及びこれらの混合物から選択される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の組成物。
26.前記少なくとも1種のポリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」)である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の組成物。
27.鎖延長がジフェノールを用いて行われる、実施形態1~26のいずれか1つに記載の組成物。
28.前記ジフェノールがO,O’-ジアリルビスフェノールAである、実施形態27に記載の組成物。
29.前記ポリウレタン触媒が、ジブチルスズジラウレート(「DBTL」)、並びにカルボン酸ビスマス及び/又はカルボン酸亜鉛などのカルボン酸金属塩から選択される、実施形態1~28のいずれか1つに記載の組成物。
30.前記ポリウレタン触媒が、前記強靭化剤の総重量を基準として0.01~0.5重量%、より好ましくは0.1重量%で使用される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の組成物。
31.前記ポリウレタン触媒がカルボン酸ビスマスとカルボン酸亜鉛との混合物である、実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物。
32.前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として40~90重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の組成物。
33.前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として45~85重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物。
34.前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載の組成物。
35.前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のPTMEGと、7~20重量%のHDIと、5~15重量%の末端キャッピング基、特にCPEEとを含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載の組成物。
36.前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のPTMEGと、8~20重量%のPBDと、7~20重量%のHDIと、5~15重量%の末端キャッピング基、特にCPEEとを含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の組成物。
37.成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが2以上のアミン官能価を有する、実施形態1~36のいずれか1つに記載の組成物。
38.成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、1種以上のジアミンと組み合わせて、10以上のアミン官能価を有する少なくとも1種の分子を含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の組成物。
39.成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが少なくとも1種のポリエーテルアミンを含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載の組成物。
40.成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが第一級アミン基及び第二級アミン基を含む、実施形態1~39のいずれか1つに記載の組成物。
41.成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが第一級アミン基を含む、実施形態1~40のいずれか1つに記載の組成物。
42.成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、
【表X】
及び上記のいずれかの混合物から選択される、実施形態1~41のいずれか1つに記載の組成物。
43.成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、Lupasol P、Jeffamine T-403、Jeffamine D-400、Jeffamine D-2000、及び4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンの混合物を含む、実施形態1~42のいずれか1つに記載の組成物。
44.成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、Lupasol P、Jeffamine T-403、TETA、及び4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンの混合物を含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の組成物。
45.前記潜在性エポキシ硬化剤が、三塩化ホウ素/アミン及び三フッ化ホウ素/アミン錯体、メラミン、ジアリルメラミン、グアナミン、例えばジシアンジアミド、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミン、アミノトリアゾール、例えば3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミド、及び芳香族ポリアミン、例えばアミノジフェニルスルホンから選択される、実施形態1~44のいずれか1つに記載の組成物。
46.前記潜在性エポキシ硬化剤がジシアンジアミドである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の組成物。
47.前記エポキシ硬化触媒が、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モニュロン)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン)、3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン)、N-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’,N’-ジメチル尿素25(クロルトルロン)、tert-アクリル-若しくはアルキレンジアミン(ベンジルジメチルアミンなど)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピペリジン又はその誘導体、C~C12アルキレンイミダゾール若しくはN-アリールイミダゾール(2-エチル-2-メチルイミダゾールなど)、又はN-ブチルイミダゾール及び6-カプロラクタム、ポリ(p-ビニルフェノール)マトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(欧州特許第0197892号明細書に記載されているものなど)、又はノボラック樹脂に組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(米国特許第4,701,378号明細書に記載されているものなど)から選択される、実施形態1~46のいずれか1つに記載の組成物。
48.前記エポキシ硬化触媒がトリス-2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである、実施形態1~47のいずれか1つに記載の組成物。
49.前記エポキシ硬化触媒が、成分Bの総重量を基準として1~20重量%、より好ましくは8~16重量%、特に好ましくは10~14重量%で存在する、実施形態1~48のいずれか1つに記載の組成物。
50.前記エポキシ硬化触媒が、ポリ(p-ビニルフェノール)ポリマーマトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであり、成分Bの総重量を基準として10~14重量%、より好ましくは12重量%の量で使用される、実施形態1~49のいずれか1つに記載の組成物。
51.2つの基材を接着するための方法であって、
1.実施形態1~50のいずれか1つに記載の二液型エポキシ接着剤組成物を準備するステップ;
2.成分AとBを混合して混合物を製造するステップ;
3.前記混合物を第1の基材及び/又は第2の基材に塗布するステップ;
4.前記基材表面が接着接触してその間に前記混合物の層が挟まれるように前記基材を配置するステップ;及び
5.前記混合物を硬化させるステップ;
を含む方法。
52.前記第1及び第2の基材が、鋼及びアルミニウムから独立して選択される金属である、実施形態51に記載の方法。
53.成分A対成分Bの混合比が1:1又は2:1である、実施形態51又は52に記載の方法。
54.硬化が40℃未満の温度で行われる、実施形態51、52、又は53に記載の方法。
【0085】
発明の効果
室温で7日間硬化した後、本発明の接着剤組成物は、鋼上で23℃で優れた衝撃剥離強さ、好ましくは15N/mm以上を示す。
【0086】
室温で7日間硬化した後、本発明の接着剤組成物は、鋼上で23℃で優れたT剥離強さ、好ましくは3.5N/mm以上を示す。
【0087】
室温で7日間硬化した後、本発明の接着剤組成物は、優れたE弾性率、好ましくは1,000MPa以上、より好ましくは1,200MPa以上を示す。
【0088】
室温で7日間硬化した後、本発明の接着剤組成物は、優れた引張強さ、好ましくは23MPa以上、より好ましくは25MPa以上を示す。
【実施例
【0089】
【表1A】
【0090】
【表1B】
【0091】
【表1C】
【0092】
D.E.R.(商標)331(商標)液体エポキシ樹脂は、182~192g/eqのエポキシド当量(ASTM D-1652に従って測定)と、22.4~23.6%のエポキシドパーセント割合(ASTM D-1652に従って測定)と、5200~5500mmol/kgのエポキシド基含有量(ASTM D-1652に従って測定)と、11000~14000mPasの25℃における粘度(ASTM D-445に従って測定)とを有する、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの液体反応生成物である。
【0093】
強靭化剤の製造
強靭化剤は表2の原料から製造した。
【0094】
【表2】
【0095】
参照の強靭化剤の製造プロセスの説明
Comp.A(X)(poly THF)を実験室用反応器に入れ、撹拌及び真空下で130℃まで加熱した。次いで、混合物を撹拌しながら70℃まで冷却した。真空を解除し、Comp.B(HDI)を添加した。混合物を窒素下で2分間撹拌し、その後Comp.E(DBTL)を添加した。撹拌及び窒素下、浴温85℃で混合物を45分間反応させた。イソシアネート含有量を測定し、それが0%に近い場合には、混合物を窒素下で撹拌しながら70℃まで冷却した。温度が70℃に達した時に、予め混合したComp.C(HDI)とComp H(DER330)を一緒に実験室用反応器に添加した。撹拌及び窒素下、浴温85℃で混合物を45分間反応させた。イソシアネート含有量をチェックした(表2「NCO 2nd RS」を参照)。NCO含有量が予想値に近かった場合には、Comp.F(Cardolite)を添加した。撹拌及び窒素下、浴温85℃で混合物を45分間反応させた。NCO含有量を測定した。NCOが0%に近い場合には、混合物を、真空下、85℃の浴温でさらに20分間撹拌したままにした。
【0096】
本発明の強靭化剤の製造プロセスの説明
Comp.A(X)(poly THF)を実験室用反応器に入れ、撹拌及び真空下で130℃まで加熱した。この温度に到達したときに、混合物を撹拌しながら70℃まで冷却した。真空を解除し、Comp.B(HDI)を添加した。混合物を窒素下で2分間混合し、その後Comp.D(TIB KAT 718)を添加した。撹拌及び窒素下、浴温85℃で混合物を45分間反応させた。NCO含有量を測定した(表2「NCO 1st RS」を参照)。NCO含有量が予想値に近かった場合には、混合物を窒素下で撹拌しながら60℃まで冷却した。材料温度が60℃に達した時にComp.G(CPEE)を添加した。撹拌及び窒素下、浴温85℃で混合物を45分間反応させた。NCO含有量をチェックした。NCO含有量が0%に近い場合には、混合物を、真空下、85℃の浴温でさらに20分間撹拌した。
【0097】
接着剤
A成分(樹脂成分)
接着剤の成分A(樹脂成分)は、表3に列挙されている原料を混合することによって配合した。配合は、エポキシ樹脂、接着促進剤、及びフィラーに関しては同じであった。唯一の違いは使用される強靭化剤であった。比較樹脂1の強靭化剤は、加工性を改善するために液体エポキシ樹脂で合成時に希釈されている。本発明の樹脂2及び3は、本発明のキャッピング基CPEEを有する強靭化剤を含有する。樹脂2では強靭化剤はポリオールとしてPTHFのみから製造されている一方で、樹脂3では強靭化剤はPTHFとポリブタジエンジオールとの混合物から得られる。
【0098】
【表3】
【0099】
成分B(硬化剤成分)
表4は、2:1の並列カートリッジから適用される2:1のA:BのB合比で3つの異なる成分Aを硬化するために使用される硬化剤成分の原料を示している。エポキシ樹脂成分を大容量側に充填し、アミン硬化剤を低容量側のカートリッジに充填した。使用したスタティックミキサーは、24個のミキシングエレメントを備えたSulzer Quadroミキサーであった。
【0100】
【表4】
【0101】
試験方法
レオロジー
回転粘度/降伏応力:Bohlin CS-50レオメーター、C/P20、上昇/下降0.1~20s-1;45℃;Cassonモデルにより評価。
【0102】
熱分析
動的機械分析(DMA):ガラス転移温度Tは、DMA測定によって決定し、tanδの最大値として定義した。試験方法:温度範囲:40℃~+250℃;周波数:1Hz;加熱速度:3℃/分。
【0103】
機械的試験
重ねせん断強さは、DIN EN1465-2009-07に従って測定した:DC04ZE(鋼材)、厚さ0.7mm、ヘプタンで脱脂、接合面積10×25mm、接着剤層の厚さ0.2mm。硬化は室温で7日間であった。
【0104】
衝撃剥離強さは、BS EN ISO 11343:2003に従って測定した:接合面積20×30mm、接着剤層の厚さ0.2mm、使用鋼材:DX56Z/DC04ZE(鋼材)、厚さ0.7mm、ヘプタンで脱脂、23℃で測定、接合面積20×30mm、接着剤層の厚さ0.2mm。硬化は室温で7日間であった。
【0105】
試料の作製
所定の鋼種の金属ストリップを超音波浴中でヘプタンで洗浄し、ヘプタン/Anticorit PL 3802-39Sの溶液(9/1)中でディップコーティングすることによって再度グリース塗布した。
【0106】
引張試験(DIN ISO EN-527-1:2012-06)
硬化した接着剤のプレートを2mmの厚さで作製し、室温で7日間硬化させた。ドッグボーン形状の試験片をプレートから切り出した。寸法はDIN ISO EN-527-1に準拠し、したがって試験はZwick引張試験機を使用して行った。
【0107】
T-剥離強さ(ISO 11339:2010)
T-剥離強さは、Thyssen Kruppの厚さ0.7mmのDC04ZE鋼で測定した。接着剤層を0.2mmに調整するために、厚さ0.2mmのガラスビーズを両方のストリップ間のスペーサーとして使用した。試験はDIN 53282に従って行った。T-剥離試験用の試験片は、DIN 53282の試験形状(重なり30mm、幅20mm)を有する。焼成サイクル中に2つのストリップを一体に保持するために、金属クリップを使用した。接着剤は室温で7日間硬化される。
【0108】
衝撃剥離試験片(ISO 11343:2003)
接着剤組成物を、DC04ZEの0.7mmの鋼ストリップに塗布した。接着剤層を0.2mmに調整するために、厚さ0.2mmのPTFE箔と金属ワイヤー(厚さ0.2mm)を両方のストリップ間のスペーサーとして使用した。衝撃剥離試験用の試験片は、ISO 11343試験の形状(重なり30mm、幅20mm)を有する。硬化中に2つのストリップを一体に保持するために、金属クリップを使用した。硬化は室温で7日間であった。全てのクーポン/接着剤アセンブリを、180℃のオーブンで30分間硬化した。衝撃剥離試験では、試験片に2m/sの落下重量速度で90Jの衝撃荷重を加えた。衝撃剥離強さは、Zwick-Roell衝撃試験機を使用して、プラトーでの平均衝撃荷重で測定した。
【0109】
表5に、本発明の実施例及び比較例の試験結果がまとめられている。比較例1では、成分A(樹脂成分)としてComp.樹脂1を使用し、本発明の実施例2及び3では、成分A(樹脂成分)として本発明の
樹脂2及び本発明の樹脂3をそれぞれ使用した。
【0110】
【表5】
【0111】
表5のデータは、強靭化剤がCPEEキャッピング基を含む本発明の接着剤が、強靭化剤がフェノールでキャッピングされている比較の接着剤よりも、測定された全ての機械的特徴において優れた性能を有することを示している。
【0112】
比較例1は、強靭化剤の末端キャッピング基のみが異なり、本発明の実施例2と直接比較される。本発明の配合物は、参照よりも大幅に高い耐衝撃剥離性及び大幅に高い耐T-剥離性を示す。また、極限引張強さも、本発明の実施例2の方が24%高い。
【0113】
本発明の実施例3では、poly THFに加えてポリブタジエンジオールを強靭化剤骨格に組み込むことにより、耐衝撃性(比較例1に対して+50%)、T-耐剥離性(比較例1に対して+80%)、並びに引張強さ(+43%)及びe弾性率(+88%)に関してさらに優れた性能が得られる。
【0114】
このことから、脱ブロックを起こさず、接着剤の硬化時にアミンと直接反応し、アミンと反応してマトリックスと結合するブロック基を使用すると、靭性と硬度が同時に向上すると結論付けることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二液型エポキシ接着剤組成物であって、
以下を含む成分A:
ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂;および
aii)ポリウレタン触媒の存在下、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールおよびポリ(ブタジエン)ジオールから選択される少なくとも1種のポリオールをポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールで鎖延長し、式Iの分子:
【化1】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)
でエンドキャッピングすることによって製造される反応性強靭化剤;
以下を含む成分B:
bi)1種以上のポリアミン;
bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;および
biii)1種以上のエポキシ硬化触媒;
を含む二液型エポキシ接着剤組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、22.4~23.6%のエポキシドパーセント割合(ASTM D-1652に従って測定)、5200~5500mmol/kgのエポキシド基含有量(ASTM D-1652に従って測定)を有するエポキシを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、前記接着剤組成物の成分Aの総重量を基準として50~80重量%で使用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
及びRが、H及びC~Cアルキルから独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
及びRが、H及びC~Cアルキルから独立して選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
及びRがHである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
~Cアルキルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
がC~Cアルキルである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
がエチルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
nが1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記エンドキャッピング分子がエチル-2-オキソシクロペンタンカルボキシレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記強靭化剤に使用される前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、ポリ(C~Cアルキレンオキシド)ジオールから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記強靭化剤に使用される前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、ポリ(トリメチレンオキシド)ジオール(「PO3G」)、及びこれらの混合物から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ポリ(ブタジエン)ジオール(「PBD」)が前記強靭化剤に使用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリイソシアネートが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリウレタン触媒が、ジブチルスズジラウレート(「DBTL」)およびカルボン酸金属塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリウレタン触媒がカルボン酸ビスマスとカルボン酸亜鉛との混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
成分B中の少なくとも1種のポリアミンが2以上のアミン官能価を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
成分B中の少なくとも1種のポリアミンが、1種以上のジアミンと組み合わせて、10以上のアミン官能価を有する少なくとも1種の分子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記潜在性エポキシ硬化剤が、三塩化ホウ素/アミン及び三フッ化ホウ素/アミン錯体、メラミン、ジアリルメラミン、グアナミン、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、アセトグアナミンベンゾグアナミン、アミノトリアゾール、ヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミド、及び芳香族ポリアミンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
このことから、脱ブロックを起こさず、接着剤の硬化時にアミンと直接反応し、アミンと反応してマトリックスと結合するブロック基を使用すると、靭性と硬度が同時に向上すると結論付けることができる。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
二液型エポキシ接着剤組成物であって、
成分A:
ai)少なくとも1種のエポキシ樹脂;
aii)ポリウレタン触媒の存在下、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールなどの少なくとも1種のポリオールと任意選択的なポリ(ブタジエン)ジオールをポリイソシアネートと反応させ、任意選択的に続いてジフェノールで鎖延長し、式Iの分子:
【化1】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2の整数であり、RはC~Cアルキルである)
でエンドキャッピングすることによって製造される反応性強靭化剤;
成分B:
bi)1種以上のポリアミン;
bii)任意選択的な1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
biii)1種以上のエポキシ硬化触媒;
を含む二液型エポキシ接着剤組成物。
項2.
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、約170~195g/モルの範囲のエポキシ当量を有するものから選択されるエポキシ樹脂を含む、項1に記載の組成物。
項3.
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの液体反応生成物であって182~192g/eqのエポキシド当量(ASTM D-1652に従って測定)を有する液体反応生成物を含む、項1又は2に記載の組成物。
項4.
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、22.4~23.6%のエポキシドパーセント割合(ASTM D-1652に従って測定)、5200~5500mmol/kgのエポキシド基含有量(ASTM D-1652に従って測定)を有するエポキシを含む、項1、2、又は3に記載の組成物。
項5.
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、25℃で4000~14000mPasの粘度(ASTM D-445に従って測定)を有するエポキシを含む、項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
項6.
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が、前記接着剤の成分Aの総重量を基準として50~80重量%、より好ましくは55~75重量%、特に好ましくは60~72重量%で使用される、項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
項7.
及びRが、H及びC~Cアルキルから独立して選択される、項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
項8.
及びRが、H及びC~Cアルキルから独立して選択される、項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
項9.
及びRがHである、項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
項10.
~Cアルキルである、項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
項11.
がC~Cアルキルである、項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
項12.
がエチルである、項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
項13.
nが1である、項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
項14.
前記エンドキャッピング分子がエチル-2-オキソシクロペンタンカルボキシレートである、項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
項15.
前記強靭化剤に使用される前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、ポリ(C~Cアルキレンオキシド)ジオールから選択される、項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
項16.
前記強靭化剤に使用される前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール(「PTMEG」)、ポリ(トリメチレンオキシド)ジオール(「PO3G」)、及びこれらの混合物から選択される、項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
項17.
前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが1,000~2,500Daの範囲の分子量を有する、項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
項18.
前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、1,000~2,000Daの分子量を有するか、又はこれらの混合が使用される、項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
項19.
前記ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが、1,000~2,500Daの範囲の分子量を有するPTMEGである、項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
項20.
ポリ(ブタジエン)ジオール(「PBD」)が前記強靭化剤に使用される、項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
項21.
前記PBDが2,000~3,500Daの範囲の分子量を有する、項20に記載の組成物。
項22.
前記PBDが2,800Daの分子量を有する、項20に記載の組成物。
項23.
前記少なくとも1種のポリ(アルキレンオキシド)ジオールがPTMEGであり、PBDが強靭化剤骨格に含まれる、項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
項24.
前記強靭化剤に使用される前記少なくとも1種のポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートである、項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
項25.
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及びこれらの混合物から選択される、項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
項26.
前記少なくとも1種のポリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネート(「HMDI」)である、項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
項27.
鎖延長がジフェノールを用いて行われる、項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
項28.
前記ジフェノールがO,O’-ジアリルビスフェノールAである、項27に記載の組成物。
項29.
前記ポリウレタン触媒が、ジブチルスズジラウレート(「DBTL」)、並びにカルボン酸ビスマス及び/又はカルボン酸亜鉛などのカルボン酸金属塩から選択される、項1~28のいずれか一項に記載の組成物。
項30.
前記ポリウレタン触媒が、前記強靭化剤の総重量を基準として0.01~0.5重量%、より好ましくは0.1重量%で使用される、項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
項31.
前記ポリウレタン触媒がカルボン酸ビスマスとカルボン酸亜鉛との混合物である、項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
項32.
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として40~90重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
項33.
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として45~85重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
項34.
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のポリ(アルキレンオキシド)ジオールを含む、項1~33のいずれか一項に記載の組成物。
項35.
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のPTMEGと、7~20重量%のHDIと、5~15重量%の末端キャッピング基、特にCPEEとを含む、項1~34のいずれか一項に記載の組成物。
項36.
前記強靭化剤が、前記強靭化剤の総重量を基準として50~85重量%のPTMEGと、8~20重量%のPBDと、7~20重量%のHDIと、5~15重量%の末端キャッピング基、特にCPEEとを含む、項1~35のいずれか一項に記載の組成物。
項37.
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが2以上のアミン官能価を有する、項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
項38.
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、1種以上のジアミンと組み合わせて、10以上のアミン官能価を有する少なくとも1種の分子を含む、項1~37のいずれか一項に記載の組成物。
項39.
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが少なくとも1種のポリエーテルアミンを含む、項1~38のいずれか一項に記載の組成物。
項40.
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが第一級アミン基及び第二級アミン基を含む、項1~39のいずれか一項に記載の組成物。
項41.
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが第一級アミン基を含む、項1~40のいずれか一項に記載の組成物。
項42.
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、
【表X】
及び上記のいずれかの混合物から選択される、項1~41のいずれか一項に記載の組成物。
項43.
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、Lupasol P、Jeffamine T-403、Jeffamine D-400、Jeffamine D-2000、及び4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンの混合物を含む、項1~42のいずれか一項に記載の組成物。
項44.
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、Lupasol P、Jeffamine T-403、TETA、及び4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミンの混合物を含む、項1~43のいずれか一項に記載の組成物。
項45.
前記潜在性エポキシ硬化剤が、三塩化ホウ素/アミン及び三フッ化ホウ素/アミン錯体、メラミン、ジアリルメラミン、グアナミン、例えばジシアンジアミド、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミン、アミノトリアゾール、例えば3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミド、及び芳香族ポリアミン、例えばアミノジフェニルスルホンから選択される、項1~44のいずれか一項に記載の組成物。
項46.
前記潜在性エポキシ硬化剤がジシアンジアミドである、項1~45のいずれか一項に記載の組成物。
項47.
前記エポキシ硬化触媒が、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モニュロン)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン)、3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン)、N-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’,N’-ジメチル尿素25(クロルトルロン)、tert-アクリル-若しくはアルキレンジアミン(ベンジルジメチルアミンなど)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピペリジン又はその誘導体、C~C12アルキレンイミダゾール若しくはN-アリールイミダゾール(2-エチル-2-メチルイミダゾールなど)、又はN-ブチルイミダゾール及び6-カプロラクタム、ポリ(p-ビニルフェノール)マトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(欧州特許第0197892号明細書に記載されているものなど)、又はノボラック樹脂に組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(米国特許第4,701,378号明細書に記載されているものなど)から選択される、項1~46のいずれか一項に記載の組成物。
項48.
前記エポキシ硬化触媒がトリス-2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである、項1~47のいずれか一項に記載の組成物。
項49.
前記エポキシ硬化触媒が、成分Bの総重量を基準として1~20重量%、より好ましくは8~16重量%、特に好ましくは10~14重量%で存在する、項1~48のいずれか一項に記載の組成物。
項50.
前記エポキシ硬化触媒が、ポリ(p-ビニルフェノール)ポリマーマトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールであり、成分Bの総重量を基準として10~14重量%、より好ましくは12重量%の量で使用される、項1~49のいずれか一項に記載の組成物。
項51.
2つの基材を接着するための方法であって、
1.項1~50のいずれか一項に記載の二液型エポキシ接着剤組成物を準備するステップ;
2.成分AとBを混合して混合物を製造するステップ;
3.前記混合物を第1の基材及び/又は第2の基材に塗布するステップ;
4.前記基材表面が接着接触してその間に前記混合物の層が挟まれるように前記基材を配置するステップ;及び
5.前記混合物を硬化させるステップ;
を含む方法。
項52.
前記第1及び第2の基材が、鋼及びアルミニウムから独立して選択される金属である、項51に記載の方法。
項53.
成分A対成分Bの混合比が1:1又は2:1である、項51又は52に記載の方法。
項54.
硬化が40℃未満の温度で行われる、項51、52、又は53に記載の方法。
【国際調査報告】