(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】油圧式(HYDRAULIC)成長ロッド
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513682
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022042078
(87)【国際公開番号】W WO2023034329
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513256479
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】University of Utah Research Foundation
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘフリン
(72)【発明者】
【氏名】ティー.ウェイド フォーリン
(72)【発明者】
【氏名】ザックリー エヴァンス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL63
4C160LL70
(57)【要約】
骨インプラントシステムは、複数の骨アンカー、骨アンカーを介して骨の上部に取り付け可能な上部ロッド、および骨アンカーを介して骨の下部に取り付け可能な下部ロッドを有し得る。上部ロッドは上端を有し得、下部ロッドは下端を有し得る。上部ロッドは、上部ロッドおよび下部ロッドのうちの少なくとも1つの内部に空洞が存在し、上部端部と下部端部との間で測定される組み合わされた上部ロッドおよび下部ロッドの長さが調整可能であるように、下部ロッドに伸縮可能に係合し得る。空洞は、マイクロポンプおよびチャンバを含み得る。マイクロポンプは、流体をチャンバ内に排出して、長さを増加させるように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の骨アンカーと、
前記骨アンカーを介して骨の上部に取り付け可能な上部ロッドであって、前記上部ロッドが上部端部を含む、前記上部ロッドと、
前記骨アンカーを介して前記骨の下部に取り付け可能な下部ロッドであって、前記下部ロッドは下部端部を含み、前記下部ロッドは、前記上部端部と前記下部端部との間で測定される、上部ロッドと下部ロッドを組み合わされた長さが調整可能であるように、前記上部ロッドに移動可能に結合されている、前記下部ロッドと、
チャンバと、
前記チャンバ内に流体を流入させて前記長さの増加を促すように構成されたマイクロポンプと、
を備える、骨インプラントシステム。
【請求項2】
前記上部ロッドは、前記上部ロッドおよび前記下部ロッドのうちの少なくとも1つの内部に空洞が存在するように、前記下部ロッドに伸縮可能に係合し、
前記チャンバは、前記空洞内にある、
請求項1に記載の骨インプラントシステム。
【請求項3】
前記マイクロポンプが前記空洞内にあり、
前記マイクロポンプは、
圧電モータと、
熱相変化ポンプと、
のいずれか1つを備える、請求項2に記載の骨インプラントシステム。
【請求項4】
出口逆止弁をさらに備え、
前記出口逆止弁は、
前記マイクロポンプから前記チャンバへの前記流体の流れを可能にし、
前記チャンバから前記マイクロポンプへの前記流体の流れを制限する、
ように構成されている、請求項1に記載の骨インプラントシステム。
【請求項5】
リザーバと、
入口逆止弁であって、
前記リザーバから前記マイクロポンプへの前記流体の流れを可能にし、
前記マイクロポンプから前記リザーバへの前記流体の流れを制限する、前記入口逆止弁と、
をさらに備える、請求項4に記載の骨インプラントシステム。
【請求項6】
前記マイクロポンプに動作可能に接続され、前記マイクロポンプの動作を制御するように構成された制御システムをさらに有する、請求項1に記載の骨インプラントシステム。
【請求項7】
前記制御システムは、無線信号を送信および/または受信するように構成された無線通信デバイスを備える、請求項6に記載の骨インプラントシステム。
【請求項8】
患者の体内に埋め込まれるように構成されていない制御ユニットをさらに有し、前記制御ユニットは、第1の誘導コイルを含み、
前記制御システムは、前記第1の誘導コイルから電力を誘導的に受け取るように構成された第2の誘導コイルをさらに有する、
請求項7に記載の骨インプラントシステム。
【請求項9】
前記制御システムにセンサデータを提供するように動作可能に接続されたセンサをさらに備え、
前記制御システムは、前記センサデータに基づいて前記マイクロポンプを制御するように構成される、
請求項6に記載の骨インプラントシステム。
【請求項10】
前記センサデータは、
前記流体の圧力、および/または
前記下部ロッドに対する前記上部ロッドの変位
を示す、請求項9に記載の骨インプラントシステム。
【請求項11】
前記下部ロッドは、前記上部ロッドが前記下部ロッドに対して弓形経路に沿って移動するように、前記上部ロッドに移動可能に結合される、請求項1に記載の骨インプラントシステム。
【請求項12】
複数の骨アンカーと、
前記骨アンカーを介して骨の上部に取り付け可能な上部ロッドであって、前記上部ロッドが上部端部を含む、前記上部ロッドと、
前記骨アンカーを介して前記骨の下部に取り付け可能な下部ロッドであって、前記下部ロッドは下部端部を含み、前記下部ロッドは、前記上部端部と前記下部端部との間で測定される、上部ロッドと下部ロッドを組み合わされた長さが弓形軸に沿って調整可能であるように、前記上部ロッドに移動可能に結合されている、前記下部ロッドと、
前記弓形軸上に配置され、流体を加圧して前記長さを増加させるように構成されたポンプと、
を有する、骨インプラントシステム。
【請求項13】
前記上部ロッドは、前記上部ロッドおよび前記下部ロッドのうちの少なくとも1つの内部に空洞が存在するように、前記下部ロッドに伸縮可能に係合し、
前記骨インプラントシステムは、前記空洞内に配置されたチャンバをさらに有し、前記ポンプは、前記チャンバに前記流体を排出して、前記流体の加圧に応答して前記長さを増加させる、
請求項12に記載の骨インプラントシステム。
【請求項14】
前記ポンプが前記空洞内にあり、
前記ポンプは、
圧電モータと、
熱相変化ポンプと、
のいずれか1つを含むマイクロポンプを備える、
請求項13に記載の骨インプラントシステム。
【請求項15】
出口逆止弁をさらに備え、
前記出口逆止弁は、
前記ポンプから前記チャンバへの前記流体の流れを可能にし、
前記チャンバから前記ポンプへの前記流体の流れを制限する、
ように構成されている、請求項13に記載の骨インプラントシステム。
【請求項16】
リザーバと、
入口逆止弁であって、
前記リザーバから前記ポンプへの前記流体の流れを可能にし、
前記ポンプから前記リザーバへの前記流体の流れを制限する、前記入口逆止弁と、
をさらに備える、請求項15に記載の骨インプラントシステム。
【請求項17】
前記ポンプに動作可能に接続され、前記ポンプの動作を制御するように構成された制御システムをさらに有する、請求項13に記載の骨インプラントシステム。
【請求項18】
前記制御システムは、無線信号を送信および/または受信するように構成された無線通信デバイスを備える、請求項17に記載の骨インプラントシステム。
【請求項19】
患者の体内に埋め込まれるように構成されていない制御ユニットをさらに有し、前記制御ユニットは、第1の誘導コイルを含み、
前記制御システムは、前記第1の誘導コイルから電力を誘導的に受け取るように構成された第2の誘導コイルをさらに有する、
請求項18に記載の骨インプラントシステム。
【請求項20】
前記制御システムにセンサデータを提供するように動作可能に接続されたセンサをさらに備え、
前記制御システムは、前記センサデータに基づいて前記ポンプを制御するように構成される、
請求項17に記載の骨インプラントシステム。
【請求項21】
前記センサデータは、
前記流体の圧力、および/または
前記下部ロッドに対する前記上部ロッドの変位
を示す、請求項20に記載の骨インプラントシステム。
【請求項22】
前記下部ロッドは、前記上部ロッドが前記下部ロッドに対して弓形経路に沿って移動するように、前記上部ロッドに移動可能に結合される、請求項13に記載の骨インプラントシステム。
【請求項23】
複数の骨アンカーと、
前記骨アンカーを介して骨の上部に取り付け可能な上部ロッドであって、前記上部ロッドが上部端部を含む、前記上部ロッドと、
前記骨アンカーを介して前記骨の下部に取り付け可能な下部ロッドであって、前記下部ロッドは下部端部を含み、前記下部ロッドは、前記上部端部と前記下部端部との間で測定される、上部ロッドと下部ロッドを組み合わされた長さが調整可能であるように、前記上部ロッドに移動可能に結合されている、前記下部ロッドと、
チャンバと、
前記チャンバ内に流体を流入させて前記長さの増加を促すように構成されたポンプと、
出口逆止弁であって、
前記長さが増加することを可能にするために、前記ポンプから前記チャンバへの前記流体の流れを可能にし、
前記チャンバから前記ポンプへの前記流体の流れを制限して、前記長さの縮小を制限する、前記出口逆止弁と、
を備える、骨インプラントシステム。
【請求項24】
リザーバと、
入口逆止弁であって、
前記リザーバから前記ポンプへの前記流体の流れを可能にし、
前記ポンプから前記リザーバへの前記流体の流れを制限する、前記入口逆止弁と、
出口逆止弁であって、
前記ポンプから前記チャンバへの前記流体の流れを可能にし、
前記チャンバから前記ポンプへの前記流体の流れを制限する、前記出口逆止弁と、
をさらに備える、請求項23に記載の骨インプラントシステム。
【請求項25】
前記ポンプに動作可能に接続され、前記ポンプの動作を制御するように構成された制御システムをさらに有し、
前記制御システムは、無線信号を送信および/または受信するように構成された無線通信デバイスを備える、
請求項23に記載の骨インプラントシステム。
【請求項26】
前記上部ロッドは、前記上部ロッドおよび前記下部ロッドのうちの少なくとも1つの内部に空洞が存在するように、前記下部ロッドに伸縮可能に係合し、
前記ポンプおよび前記チャンバは、前記空洞内にあり、
前記下部ロッドは、前記上部ロッドが前記下部ロッドに対して弓形経路に沿って移動するように、前記上部ロッドに移動可能に結合される、
請求項23に記載の骨インプラントシステム。
【請求項27】
前記ポンプは、
圧電モータと、
熱相変化ポンプと、
のいずれか1つを有するマイクロポンプを備える、
請求項26に記載の骨インプラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、整形外科用成長ロッドデバイス、システム、および方法に関する。より具体的には、本開示は、第1の骨部分と第2の骨部分との間の間隔を変化させることができる油圧作動式(hydraulically)の成長ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱側弯症(Scoliosis)は、人の背骨が異常に湾曲および/または回転している医学的状態です。典型的には、先天性(出生時の異常によって引き起こされる)、神経学的(中枢神経系障害に続発する)、または特発性(原因不明で経時的に発症する)に分類される。特発性脊柱側弯症は、それが起こる年齢に従ってさらにサブ分類され、早期発症はより悪い予後と関連している。若年で進行性脊柱側弯症を発症する小児の治療は困難な問題である。進行性の弯曲を治療なしで放置すると、重大な変形を引き起し、発達中の心臓および肺に有害な影響をもたらし、寿命を短くする可能性がある。
【0003】
脊柱側弯症の標準治療には、脊椎融合(fusion)手術が含まれる。これは、脊髄の成長の潜在的な変化または停止の可能性があるために、幼い子供での使用が制限されており、順々に、軸方向の成長、胸壁の発達、および肺の発達に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
脊髄融合術を避ける、発達中の小児の脊髄変形を治療するための既知の方法がある。これらには、外部補強(bracing)および脊椎融合のない手術が含まれる。しかしながら、ほとんどの早期発症脊柱側弯症は急速に進行し、補強に大きな抵抗があり、補強装着の順守は一般的に非常に低く、これはしばしば外科的矯正を選択することが多い。
【0005】
既知の非融合、成長維持外科的処置には、成長ロッドとして知られる特別な脊椎器具の配置が含まれる。成長ロッドは、弯曲の進行を制限するために内部補強を提供する、患者の背中の中に外科的に配置されたデバイスである。いくつかの既知の成長ロッドシステムは、変形の上および下の脊椎の椎骨に固定されている二重の平行な成長ロッドを有しており、したがって、対処対象の曲線にまたがっている。成長ロッドは、固定構造物を形成するために取付金具(例えば、取付クランプ、ネジ、および/またはフックを含む)を取り付けることによって、基礎部位で脊柱に固定され得る。典型的には、2つのロッドは、背骨(spine)の各側面上に1つずつ平行な配置で埋め込まれる。各ロッドは、典型的には、タンデムコネクタを使用して長手方向に結合された2つの独立したロッドセグメントで構成される。この構成は、長さの全体的な増加を提供するために、ロッドを一定の間隔で(例えば、伸縮式に)長手方向に調整することを可能にする。
【0006】
成長ロッドの配置は、脊椎(spine)の正常な軸方向の成長を妨げることなく変形の矯正を可能にする、受け入れられている技術である。この方法は、患者が成熟するにつれて脊椎の長手方向の成長を調整するために、ロッドシステムの頻繁な定期的な延長を必要とする。延長は、コネクタを緩め、伸延(distraction)デバイスを使用して、適切な量の延長が達成されるまでロッドセグメントを押し広げ、コネクタを締め直すことによって行われる。
【0007】
既知の成長ロッドデバイスには、(1)子供の成長に合わせてシステムを伸ばすために必要なフォローアップ外科治療の数と侵襲性、(2)成長を可能にするために使用されるシステムと部品の信頼性、および(3)埋め込まれたシステムに必要なスペースなど、多くの欠点がある。さらに、多くの既知のシステムは、脊椎の外側では使用できない。
【発明の概要】
【0008】
本開示の様々な脊椎インプラントデバイス、システムおよび方法は、当該技術分野の現状に応じて、特に、現在利用可能な骨インプラントデバイス、システムおよび方法によってまだ完全に解決されていない当技術分野の問題およびニーズに応じて開発されている。いくつかの実施形態では、本開示の骨インプラントデバイス、システム、および方法は、(1)システムを延長するためのより少ない/低侵襲的治療、(2)信頼性の向上、および/または(3)患者の不快感、組織破壊、および治癒時間がより少ないよりコンパクトなシステムを提供するのに役立ち得る。そのような骨インプラントシステムは、体内の脊椎および/または他の骨に使用され得る。
【0009】
一実施形態によれば、骨インプラントシステムは、複数の骨アンカー、骨アンカーを介して骨の上部に取り付け可能な上部ロッド、および骨アンカーを介して骨の下部に取り付け可能な下部ロッドを有し得る。上部ロッドは上端を有し得、下部ロッドは下端を有し得る。下部ロッドは、上部端部と下部端部との間で測定された上部ロッドおよび下部ロッドの組み合わせの長さが調整可能であるように、上部ロッドに移動可能に結合され得る。システムは、チャンバおよびそのチャンバ内に流体を流入させて長さを増加させるように構成されたマイクロポンプをさらに有し得る。
【0010】
上部ロッドは、空洞が上部ロッドおよび下部ロッドのうちの少なくとも1つの内部に存在するように、下部ロッドに伸縮可能に(telescopically)係合し得る。チャンバは、空洞内にあってもよい。
【0011】
マイクロポンプは、空洞内にあってもよく、圧電モータまたは熱相変化ポンプ(thermal phase change pump)であり得る。
【0012】
骨インプラントシステムは、マイクロポンプからチャンバへの流体の流れを可能にし、チャンバからマイクロポンプへの流体の流れを制限するように構成された出口逆止弁をさらに有し得る。
【0013】
骨インプラントシステムは、リザーバと、リザーバからマイクロポンプへの流体の流れを可能にし、マイクロポンプからリザーバへの流体の流れを制限するように構成された入口逆止弁とをさらに有し得る。
【0014】
骨インプラントシステムは、マイクロポンプの動作を制御するように構成された、マイクロポンプに動作可能に接続された制御システムをさらに有し得る。
【0015】
制御システムは、無線信号を送信および/または受信するように構成された無線通信デバイスを有し得る。
【0016】
骨インプラントシステムは、患者の体内に埋め込まれるように構成されていない制御ユニットをさらに有し得る。制御ユニットは、第1の誘導コイルを有し得る。制御システムは、第1の誘導コイルから電力を誘導的に受け取るように構成された第2の誘導コイルをさらに有し得る。
【0017】
骨インプラントシステムは、センサデータを制御システムに提供するために動作可能に接続されたセンサをさらに有し得る。制御システムは、センサデータに基づいてマイクロポンプを制御するように構成され得る。
【0018】
センサデータは、流体の圧力および/または下部ロッドに対する上部ロッドの変位を示し得る。
【0019】
下部ロッドは、上部ロッドが下部ロッドに対して弓形経路に沿って移動するように、上部ロッドに移動可能に結合され得る。
【0020】
一実施形態によれば、骨インプラントシステムは、複数の骨アンカー、骨アンカーを介して骨の上部に取り付け可能な上部ロッド、および骨アンカーを介して骨の下部に取り付け可能な下部ロッドを有し得る。上部ロッドは上端を有し得、下部ロッドは下端を有し得る。下部ロッドは、上部端部と下部端部との間で測定された上部ロッドおよび下部ロッドの組み合わせの長さが弓形軸(arcuate axis)に沿って調整可能であるように、上部ロッドに移動可能に結合され得る。システムは、弓形軸上に配置され、流体を加圧して長さを増加させるように構成されたポンプをさらに有し得る。
【0021】
上部ロッドは、空洞が上部ロッドおよび下部ロッドのうちの少なくとも1つの内部に存在するように、下部ロッドに伸縮可能に(telescopically)係合し得る。骨インプラントシステムは、空洞内に配置されたチャンバをさらに有してもよく、ポンプは、そのチャンバに流体を排出して、流体の加圧に応答して長さを増加させる。
【0022】
ポンプは空洞内にあり得る。ポンプは、圧電モータおよび/または熱相変化ポンプを含むマイクロポンプであり得る。
【0023】
骨インプラントシステムは、ポンプからチャンバへの流体の流れを可能にし、チャンバからポンプへの流体の流れを制限するように構成された出口逆止弁をさらに有し得る。
【0024】
骨インプラントシステムは、リザーバと、リザーバからポンプへの流体の流れを可能にし、ポンプからリザーバへの流体の流れを制限するように構成された入口逆止弁とをさらに有し得る。
【0025】
骨インプラントシステムは、ポンプの動作を制御するように構成された、ポンプに動作可能に接続された制御システムをさらに有し得る。
【0026】
制御システムは、無線信号を送信および/または受信するように構成された無線通信デバイスを有し得る。
【0027】
骨インプラントシステムは、患者の体内に埋め込まれるように構成されていない制御ユニットをさらに有し得、制御ユニットは、第1の誘導コイルを含む。制御システムは、第1の誘導コイルから電力を誘導的に受け取るように構成された第2の誘導コイルをさらに有し得る。
【0028】
骨インプラントシステムは、センサデータを制御システムに提供するために動作可能に接続されたセンサをさらに有し得る。制御システムは、センサデータに基づいてポンプを制御するように構成され得る。
【0029】
センサデータは、流体の圧力および/または下部ロッドに対する上部ロッドの変位を示し得る。
【0030】
下部ロッドは、上部ロッドが下部ロッドに対して弓形経路に沿って移動するように、上部ロッドに移動可能に結合され得る。
【0031】
一実施形態によれば、骨インプラントシステムは、複数の骨アンカー、骨アンカーを介して骨の上部に取り付け可能な上部ロッド、および骨アンカーを介して骨の下部に取り付け可能な下部ロッドを有し得る。上部ロッドは上端を有し得、下部ロッドは下端を有し得る。下部ロッドは、上部端部と下部端部との間で測定された上部ロッドおよび下部ロッドの組み合わせの長さが調整可能であるように、上部ロッドに移動可能に結合され得る。システムは、チャンバと、長さを増加させるためにチャンバ内に流体を流入させるように促すように構成されたポンプと、長さを増加させるためにポンプからチャンバへの流体の流れを可能にして、チャンバからポンプへの流体の流れを制限して、長さの減少を制限するように構成された出口逆止弁とをさらに備え得る。
【0032】
骨インプラントシステムは、リザーバと、リザーバからポンプへの流体の流れを可能にし、ポンプからリザーバへの流体の流れを制限するように構成された入口逆止弁と、ポンプからチャンバへの流体の流れを可能にし、チャンバからポンプへの流体の流れを制限するように構成された出口逆止弁とをさらに有し得る。
【0033】
骨インプラントシステムは、ポンプの動作を制御するように構成された、ポンプに動作可能に接続された制御システムをさらに有し得る。制御システムは、無線信号を送信および/または受信するように構成された無線通信デバイスを有し得る。
【0034】
上部ロッドは、空洞が上部ロッドおよび下部ロッドのうちの少なくとも1つの内部に存在するように、下部ロッドに伸縮可能に(telescopically)係合し得る。ポンプおよびチャンバは、空洞内にあってもよい。下部ロッドは、上部ロッドが下部ロッドに対して弓形経路に沿って移動するように、上部ロッドに移動可能に結合され得る。
【0035】
ポンプは、圧電モータおよび/または熱相変化ポンプを含むマイクロポンプを含み得る。
【0036】
本開示のこれらの特徴および他の特徴と利点は、以下の記載および付加された特許請求の範囲から十分に明らかとなるか、あるいは本明細書で説明されるデバイス、システムおよび方法を実施することによっても知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面と併せて、以下の説明からより完全に明らかになる。これらの図面は例示的な実施形態のみを示し、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解して、本開示の例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通じて追加の特異性および詳細とともに説明される。
【
図1】
図1は、脊柱(spinal column)に取り付けられた、一実施形態による骨インプラントシステムの斜視図である。
【
図2】
図2は、収縮した長さの状態で示される、
図1に示される骨インプラントシステムの断面図である。
【
図3】
図3は、伸長された長さの状態で示される、
図1に示される骨インプラントシステムの断面図である。
【
図4】
図4は、
図2および
図3に示される骨インプラントシステムの密封ユニットの内部の斜視図である。
【
図5】
図5は、骨インプラントシステムの代替的な実施形態の断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示される骨インプラントシステムの密封ユニットの内部の斜視図である。
【
図7】
図7は、骨インプラントシステムの代替的な実施形態の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示される骨インプラントシステムの2つの密封されたユニットの内部の斜視図である。
【
図9】
図9は、一実施形態による、ヒト大腿骨に取り付けられた骨インプラントシステムの斜視図である。
【
図10】
図10は、ヒト大腿骨302に取り付けられた、
図9の骨インプラントシステムの部分的な断面図である。
【0038】
図面は、本開示の概念を説明することを目的としており、原寸に比例して描かれていない場合があることを理解されたい。さらに、図面は例示的な実施形態を示しており、本開示の範囲に対する制限を表すものではない。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本願の例示的な実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解され、図面全体を通して、同様の部品は同様の数字によって指定される。一般的に説明および図示されている本開示の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置および設計できることは容易に理解されよう。したがって、図面に示されるようなインプラント、システム、および方法の実施形態に関する以下のより詳細な説明は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に本開示の例示的な実施形態を表すものである。
【0040】
用語「例示的な」は、本明細書では「例、実例、または例示として機能を果たす」ことを意味するように用いられる。「例示的な」として本明細書で説明されるいずれの実施形態も、他の実施形態に対して必ずしも好ましいまたは有利なものとして解釈されるわけではない。実施形態の様々な態様が図に提示されているが、特に示されていない限り、図は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
【0041】
以下の実施例は、本開示の主題の代表的な実施形態を実施するための当業者へのガイダンスを提供するために含まれている。本開示および当業者の一般的なレベルに照らして、当業者は、以下の実施例が単に例示的であることを意図しており、本開示の主題の範囲から逸脱することなく、多数の変更、修正、および変更を用いることができることを理解することができる。
【0042】
図1は、脊椎2に取り付けられた骨インプラントシステム1を示す。骨インプラントシステム1は、
図2に示されるように、単一の骨インプラント、または骨インプラントシステム36を含み得る。あるいは、骨インプラントシステム1は、
図1に示されるように2つの骨インプラントシステム36を含んでもよく、
図1に示されるように単一の共有密封ユニット10をさらに含んでもよく、または2つの専用密封ユニット、例えば、各側面に対して1つの密封ユニット10を含んでもよい。脊椎2への適用は単なる例示であり、本開示による骨インプラントシステムは、体内の他の骨および/または骨のシステムと関連して使用され得る。
【0043】
図2は、上部ロッド12、下部ロッド28、骨アンカー30、密封ユニット10、流体ライン32、および電気ライン34からなる骨インプラントシステム36を示す。上部ロッド12は、上部ロッド上端6および上部ロッド下端18を有し得、これは、油圧シールを保持するための1つまたは複数の溝35を含み得、これは、Oリング(図示せず)などの当技術分野で知られている任意のタイプであり得る。
【0044】
脊椎2などの脊椎の文脈(context)では、骨アンカー30は、脊椎2に固定するように設計され得る。したがって、骨アンカー30は、椎弓根(pedicle)ねじなどであってもよい。他の骨タイプに使用される場合、骨インプラントシステムは、より従来の骨ねじなどの異なるタイプの骨アンカーを利用し得る。他の代替的な実施形態では、骨アンカー30は、ねじである必要はなく、圧入留め具、クリップ、クランプ、および/またはインプラントを骨に固定するために知られている任意の他の留め具であり得る。
【0045】
下部ロッド28は、下部ロッド下端8、下部ロッド中央部分16、および下部ロッド上端14を有し得る。下部ロッド上端14は、油圧シールを保持するための1つまたは複数の溝35を含み得、これは、上部ロッド下端18に使用されるものと同様であり得る。上部ロッド12および下部ロッド28は、上部ロッド上端6および下部ロッド下端8が離れて移動することができるように、互いに摺動可能に係合され得る。より正確には、上部ロッド12および下部ロッド28は、上部ロッド下端18が下部ロッド中央部分16の空洞内に摺動可能に存在するように(図示のように)、互いに入れ子式(telescopically)に係合し得る。
【0046】
下部ロッド中央部分16は、骨インプラントシステム36が適用される骨構造の解剖学的構造(または所望の将来の解剖学的構造)に一致するために、
図2に示されるように曲線であってもよく、または直線状であってもよい第1の長手方向軸50を有してもよい。上部ロッド12は、少なくとも第1の長手方向軸50と第2の長手方向軸52が重複する長さにわたって、第1の長手方向軸50と一致および/または共線である第2の長手方向軸52を有し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の長手方向軸50および第2の長手方向軸52は、上部ロッド12が下部ロッド28に対して弓形経路に沿って移動できるように、同じ曲率半径を有する弓形である。本出願では、「軸」は、細長い部材の幾何学的中心であり、必ずしも直線である必要はない。したがって、湾曲した細長い部材は、湾曲した軸を有してもよく、これは、弓形経路に沿って延びる弓形軸であってもよい。
【0048】
下部ロッド28は、下部ロッド上端14から第1の長手方向軸50に沿ってある距離まで延びる下部ロッド空洞54を画定する下部ロッド内部ボアを有し得る。マイクロポンプ24は、任意選択で、第1の長手方向軸50および/または第2の長手方向軸52に沿って配置され得る。これは、マイクロポンプ24が、第1の長手方向軸50および/または第2の長手方向軸52がマイクロポンプ24を通過するように配置され得ることを意味する。
【0049】
より正確には、マイクロポンプ24は、下部ロッド空洞54の下部端部に配置され得る。第1のチャンバ22は、マイクロポンプ24の直下に位置してもよく、骨インプラントシステム36の動作に関連する配線および/または他の構成要素を収容してもよい。マイクロポンプ24は、流体25を含んでもよい。出口逆止弁20は、マイクロポンプ24のすぐ上に配置されてもよい。第2のチャンバ37は、
図3に示されるように、出口逆止弁20のすぐ上に配置され得る。入口ポート38は、マイクロポンプ24に接続されてもよい。入口逆止弁23は、入口ポート38の内側に配置され得る。電気接続26は、マイクロポンプ24に接続され、第1のチャンバ22を通過してもよい。
【0050】
この実施形態では、マイクロポンプ24、第1のチャンバ22、出口逆止弁20、および第2のチャンバ37はすべて、下部ロッド空洞54内に配置され得る。これは、マイクロポンプ24、第1のチャンバ22、出口逆止弁20、および/または第2のチャンバ37を保護するのに役立ち得、骨インプラントシステム36によって移動(displaced)される組織の量を合理化および最小化するのに役立ち得る。当業者は、代替の実施形態では、これらの構成要素のうちの1つまたは複数は、下部ロッド空洞54の外側に配置され得ることを認識するであろう。さらに、代替の実施形態では、上部ロッド12は、代わりに、下部ロッド上端14を受け入れる直線または湾曲した内部ボアを有してもよく、下部ロッド上端14は、上部ロッド12の内部ボアに挿入可能な直線または湾曲したシャフトであってもよい。そのような実施形態では、第1のチャンバ22、出口逆止弁20、および/または第2のチャンバ37は、上部ロッド12の内部ボア(internal bore)内に配置され得る。
【0051】
図2は、全長が短くなった骨インプラントシステム36を示し、
図3は、全長が長くなった骨インプラントシステム36を示す。骨インプラントシステム36の伸長は、マイクロポンプ24を作動させて流体25の正の変位(displacement)を生成し、流体25をマイクロポンプ24から排出することによって達成され得る。流体25のための鉱油またはシリコーン油などの非圧縮性の生体適合性の作動流体の使用は、作動したマイクロポンプ24によって生成された正の変位を引き起こして、入口逆止弁23を閉じ、出口逆止弁20を開き、流体25を第2のチャンバ37に移動させ、それによって、第2のチャンバ37への流体25の加圧および動きに応答して、上部ロッド12を下部ロッド28に対して上部方向に移動させることができる。
【0052】
マイクロポンプ24を作動させて収縮容積を想定すると、出口逆止弁20は閉じてもよく、入口逆止弁23は、負の流体圧力の生成のために開いてもよく、流体25は、入口逆止弁23を介して流体ライン32から入ってもよい。したがって、マイクロポンプ24は、マイクロポンプ24が再び膨張するように駆動されるにつれて、骨インプラントシステム36のさらなる伸長を促すために、さらなる膨張のために準備され得る。マイクロポンプ24の繰り返されるサイクルは、出口逆止弁20および入口逆止弁23の動作と併せて、骨インプラントシステム36を短縮することを可能にすることなく、骨インプラントシステム36が段階的に伸長する(elongate)ように駆動されるラチェット効果を提供し得る。代替の実施形態では、拡張は、入口逆止弁23に対する背圧を生じさせることなく、マイクロポンプ24の内部で生じ得る。他の代替的な実施形態では、骨インプラントシステムは、必要に応じて、例えば、高齢の脊柱側弯症患者との使用のために短縮するように構成され得る。
【0053】
一実施形態によれば、マイクロポンプ24は、圧電性(piezoelectric)のモータであり、しばしば圧電モータと呼ばれる。圧電効果のため、圧電モータに電荷または電圧を印加すると、圧電材料に応力が発生し、体積が増加する。電荷または電圧を除去すると、誘発応力が逆転し、元の体積に戻る。この用途に適した圧電モータは、メガパスカル範囲で非常に高い応力を生成し、マイクロメートル、さらにはナノメートル範囲で非常に微細な長さの変位を生み出す可能性がある。
【0054】
1つの代替的な実施形態によれば、マイクロポンプ24は、固体から液体への相転移中に体積膨張を示す一般的に非圧縮性の材料を使用する熱相変化ポンプである。例えば、パラフィンワックスは、高い耐荷重能力を有する10~15%の範囲の体積膨張をもたらす安定した固液相変化挙動を提供する。パラフィンワックスの融点は、ワックスの適切な分子量を選択することによって、用途に対して選択可能である。マイクロポンプのこの実施形態では、体温よりも摂氏5~10度高い融点を選択することは、体温の変動が相変化を活性化しないことを確実にするのに十分であり、周囲の体組織に熱損傷を引き起こさないのに十分に低いものであり得る。本開示の助けで当業者によって予想されるように、他のタイプのマイクロポンプまたはモータが使用可能であり得る。
【0055】
上記は単なる例であり、他の実施形態では、マイクロポンプ24は、低排気量を提供することができる当該技術分野で知られている任意のタイプのポンプであり得る。本開示では、「マイクロポンプ」は、流体運動を提供するために拡張要素および/または収縮要素を使用し、ポンプサイクルあたり(例えば、拡張サイクルおよび/または収縮サイクルあたり)1~10マイクロリットルの範囲内の流体変位を提供するデバイスである。拡張/収縮サイクルは、任意の所望のスケジュールに従って発生し得る。いくつかの例によれば、マイクロポンプ24は、1日に1回の拡張/収縮サイクルを受けることができ、骨インプラントシステム36の非常に緩やかな伸びをもたらす。
【0056】
マイクロポンプの使用は、小さい体積で高い機械的利点を提供することができるより小さなポンプを使用することができるなど、いくつかの利点を有し得る。これは、上部ロッド12および下部ロッド28によって画定されるエンベロープ内および/または上部ロッド12および/または下部ロッド28の長手方向軸上にポンプを配置することを可能にし得る。この位置決めは、シンプルな設計を提供し、体内の追加の組織を置き換える必要性を回避し得る。さらに、マイクロポンプは、可動部品がほとんどないため、信頼性および費用対効果を向上させる。マイクロポンプの使用は、単なる例示である。当業者は、他のタイプのポンプが本開示の範囲内で使用され得ることを認識するであろう。
【0057】
図4は、一方の側面が取り外された、密封ユニット10の内側図を示す。密封ユニット10は、バッテリ40、回路基板42、および流体リザーバ46を含むハウジング48を有し得る。密封ユニット10は、その内部構成要素と周囲の身体組織との間に接触がないことを確実にするために密封されてもよい。流体ライン32および電気ライン34は、密封されたユニット10から延在してもよい。流体ライン32は、流体リザーバ46に接続され得、電気ライン34は、回路基板42に接続され得る。
【0058】
回路基板42は、マイクロポンプ24の動作を制御するように構成され、したがって、骨インプラントシステム36の伸びを制御するように構成された制御システムであり得る。したがって、回路基板42は、マイクロポンプ24を作動および非作動にするための適切な電気信号を提供する様々な電子部品を含み得る。回路基板42は、本体の外側の位置から、無線トランシーバの範囲内にある骨インプラントシステム36との無線通信を容易にするために、BluetoothまたはWi-fiトランシーバなどの無線通信デバイスをさらに含み得る。例えば、骨インプラントシステム36は、対応する無線通信ハードウェアを用いて回路基板42と通信し得る、スマートフォンまたは他のコンピューティングデバイス上で動作するコンピュータアプリケーションによって制御され得る。したがって、医療専門家は、密封されたユニット10、または骨インプラントシステム36の任意の他の部分に外科的にアクセスする必要なく、骨インプラントシステム36の動作を制御し得る。
【0059】
さらに、回路基板42は、骨インプラントシステム36に埋め込まれた1つまたは複数のセンサからの信号を解釈するために必要な構成要素をさらに含み得る。例えば、圧力センサ56(
図3に示される)は、第2のチャンバ37内に配置され得、圧力センサ56からの圧力読み取り値は、上部ロッド12が下部ロッド28に対して上部方向に移動するように促す力を計算するために使用され得る。
【0060】
別の代替として、ホール効果センサ、線形可変変位変換器(LVDT)、または他の変位センサなどの変位センサ58を使用して、上部ロッド12と下部ロッド28との間の相対的な線形変位を検出し得る。変位センサ58は、第2のチャンバ37内、または変位測定に適した別の位置に配置され得る。
【0061】
回路基板42は、圧力センサ56、変位センサ58、および/または骨インプラントシステム36の動作の他の態様を監視する1つまたは複数の他のセンサからセンサデータを受信し得る。いくつかの実施形態では、回路基板42は、マイクロポンプ24を自動的に作動させて骨インプラントシステム36を伸長(elongate)するように構成され得る。例えば、圧力センサ56からのセンサデータは、骨インプラントシステム36が取り付けられている脊椎によって骨インプラントシステム36に及ぼされる伸長力の存在を示し得、脊椎の成長が起こったことを示し得る。それに応答して、回路基板42は、マイクロポンプ24の作動を介して骨インプラントシステム36の伸長を引き起こし得る。
【0062】
図5は、1つの代替的な実施形態による骨インプラントシステム66を示す。骨インプラントシステム66は、マイクロポンプ64よりも下に位置し得る入口逆止弁67の直下に位置する流体リザーバ62を有し得る。第1のチャンバ22は、入口逆止弁67とマイクロポンプ64との間の流体連通を提供する中央チャネル68を有し得る。前述のようにマイクロポンプ64の体積が膨張すると、それは、入口逆止弁67を閉じさせ、出口逆止弁20を開き、流体25を流体リザーバ62から第2のチャンバ37に移動させ(
図3に示されるように)、それによって、上部ロッド12を下部ロッド28に対して上部方向に移動するように促される(urging)。
【0063】
前述のようにマイクロポンプ64が元の容積に戻ると、それは、入口逆止弁67を開き、出口逆止弁20を閉じさせ、流体25を流体リザーバ62からマイクロポンプ64に移動させる原因になる。マイクロポンプの拡張収縮サイクルを繰り返すことによって、骨インプラントシステム66の全長の益々の延長が達成され得る。マイクロポンプ64は、電気接続26において電気ライン34によって密封ユニット60に接続されてもよい。
【0064】
図6は、一方の側面が取り外された、密封ユニット60の内側図を示す。密封ユニット60は、バッテリ70および回路基板72を収容するハウジング74を有し得る。密封ユニット10は、その内部構成要素と周囲の身体組織との間に接触がないことを確実にするために密封されてもよい。電気ライン34は、密封されたユニット60から延在してもよく、回路基板72に接続されてもよい。回路基板72は、マイクロポンプ64の動作を制御することによって、制御システムとして動作し得る。したがって、回路基板72は、マイクロポンプ64を作動および非作動にするための適切な電気信号を提供する様々な電子部品を有し得る。回路基板42について前述したように、回路基板72は、BluetoothまたはWi-fiトランシーバなどの無線通信コンポーネントをさらに備え得る。
【0065】
図7は、別の代替実施形態による骨インプラントシステム90の斜視図である。骨インプラントシステム90は、
図2、
図3、および/または
図5に示される断面図と同様の断面図を有し得る。電気ライン34は、第1の密封ユニット100に接続されてもよい。第1の密封ユニット100は、体内の皮下位置に、または皮膚の直下に埋め込まれるように構成される。制御ユニット200は、皮膚の直上に配置され、皮膚の直下の第1の密封ユニット100と概して位置合わせされ得る。第1の密封ユニット100は、第1の誘導コイル102および回路基板104を収容するハウジング106を有してもよい。制御ユニット200は、第2の誘導コイル202および第2の回路基板204を収容する第2のハウジング206を有してもよい。制御ユニット200は、電源装置(図示せず)に接続されてもよい。第2の誘導コイル202内の電流を流すことによって、制御ユニット200は、第1の誘導コイル102内の電流流を誘導し得、それによって、マイクロポンプ24またはマイクロポンプ64、および任意の他の必要な電子機器を無線、非接触方式で制御するために必要な電気エネルギーを伝送する。代替の実施形態では、第1の誘導コイル102および第2の誘導コイル202は、回路基板104との間でデータを送信するように構成されてもよく、したがって、上述の無線通信デバイスの機能を実行してもよい。
【0066】
したがって、第1の密封ユニット100は、バッテリまたは他の内部電源を含むことなく動作可能であり得る。追加的または代替的に、骨インプラントシステムの動作のための命令は、第2の誘導コイル202から第1の誘導コイル102に誘導的に転送され得る。したがって、医療専門家は、第1の密封ユニット100に外科的にアクセスする必要なく、骨インプラントシステム90の伸長をトリガーし得る。
【0067】
本開示による骨インプラントシステムは、多種多様な骨の種類および用途に使用することができる。
図1~8に関連して示され、説明される骨インプラントシステムは、脊椎使用のためのものであるが、代替の実施形態では、本開示の原理は、伸長を可能にしながら構造的支持を提供するために他の骨に適用され得る。例えば、小児用の髄内釘を使用して、骨の成長を促すことを可能にしながら、骨折したまたは弱体化した骨を支持することができる。そのような例の1つは、
図9~11に関連して示され、説明される。
【0068】
図9は、ヒト大腿骨302に取り付けられた骨インプラントシステム336を示す。ヒト大腿骨302の上部は、上部が同じく左側にある
図10および
図11のように、ページの左側にある。
【0069】
図10は、ギャップとして示される骨成長304を有するヒト大腿骨302に取り付けられた骨インプラントシステム336の部分切断図であり、骨インプラントシステム336の拡張中に骨が成長することになる。骨インプラントシステム336は、近位ロッド312、遠位ロッド328、および近位ロッド312および遠位ロッド328をそれぞれヒト大腿骨302の近位部分および遠位部分に固定する骨アンカー330を有してもよい。近位ロッド312および遠位ロッド328は、調整可能な長さの髄内釘を画定するために協働してもよい。
【0070】
図11は、骨インプラントシステム336の断面図である。近位ロッド312は、近位ロッド近位端306および近位ロッド遠位端318を有してもよく、これらは、油圧シールを保持するための1つまたは複数の溝335を含んでもよく、油圧シールは、Oリング(図示せず)などの当技術分野で知られている任意のタイプのものであってもよい。
【0071】
遠位ロッド328は、遠位ロッド遠位端308、遠位ロッド中央部分316、および遠位ロッド近位端314を有してもよい。遠位ロッド近位端314は、油圧シールを保持するための1つまたは複数の溝335を含み得、これは、近位ロッド遠位端318に使用されるものと同様であり得る。近位ロッド312および遠位ロッド328は、近位ロッド近位端306および遠位ロッド遠位端308が離れて移動することができるように、互いに摺動可能に係合され得る。より正確には、近位ロッド312および遠位ロッド328は、近位ロッド遠位端318が遠位ロッド中央部分316の空洞内に摺動可能に存在するように、互いに伸縮可能(telescopically)に係合し得る(示されるように)。
【0072】
遠位ロッド遠位端308および近位ロッド近位端306は、骨アンカー330を受け入れるようにサイズ設定された1つまたは複数の取り付け穴329を取り付けることができる。
【0073】
遠位ロッド中央部分316は、骨インプラントシステム336が適用される骨構造の解剖学的構造(または所望の将来の解剖学的構造)に一致するために、
図11に示されるように曲線であってもよく、または直線状であってもよい第1の長手方向軸350を有してもよい。近位ロッド312は、少なくとも第1の長手方向軸350と第2の長手方向軸352が重複する長さにわたって、第1の長手方向軸350と一致および/または同一直線上(collinear)の第2の長手方向軸352(図示せず)を有し得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1の長手方向軸350および第2の長手方向軸352は、近位ロッド312が遠位ロッド328に対して弓形経路に沿って移動できるように、両方ともに同じ曲率半径を有する弓形である。
【0075】
遠位ロッド328は、遠位ロッド近位端314から第1の長手方向軸350に沿ってある距離まで延びる遠位ロッド空洞354を画定する遠位ロッド内部ボアを有し得る。マイクロポンプ324は、任意選択で、第1の長手方向軸350および/または第2の長手方向軸352に沿って配置され得る。これは、マイクロポンプ324が、第1の長手方向軸350および/または第2の長手方向軸352がマイクロポンプ324を通過するように配置され得ることを意味する。
【0076】
より正確には、マイクロポンプ324は、出口逆止弁320のすぐ遠位の遠位ロッド空洞354の遠位端に配置されてもよい。入口逆止弁323は、マイクロポンプ324と流体リザーバ346との間に配置され得る。マイクロポンプ324を作動させることは、出口逆止弁320を通って第2のチャンバ337に流体を加圧し得、それによって、第2のチャンバ337への流体の加圧および動きに応答して、遠位ロッド328を遠位ロッド328に対して近位方向に移動するように促されてもよい。
【0077】
第1のチャンバ322は、流体リザーバ346のすぐ遠位に配置され得、マイクロポンプ324または任意のセンサに必要な無線通信または駆動回路に必要な電子機器を含み得る。骨インプラントシステム336は、前述の任意の方法で、または本開示の助けを借りて当業者によって認識されるであろう任意の他の方法で、または1つ以上のバッテリ340によって電力供給され得る。
図11は、例として、3つのバッテリを示す。
【0078】
この実施形態では、マイクロポンプ324、出口逆止弁320、入口逆止弁323、流体リザーバ346、第1のチャンバ322、バッテリ340、および第2のチャンバ337はすべて、遠位ロッド空洞354内に配置され得る。当業者は、これらの構成要素のうちの1つ以上が遠位ロッド空洞354の外側に配置され得ることを認識するであろう。さらに、代替の実施形態では、近位ロッド312は、代わりに、遠位ロッド近位端314を受け入れる直線または湾曲した内部ボアを有してもよく、遠位ロッド近位端314は、近位ロッド312の内部ボアに挿入可能な直線または湾曲したシャフトであってもよい。そのような実施形態では、マイクロポンプ324、出口逆止弁320、入口逆止弁323、流体リザーバ346、第1のチャンバ322、バッテリ340、および/または第2のチャンバ337は、近位ロッド遠位端318の内部ボア内に配置され得る。
【0079】
骨インプラントシステム336の動作は、
図1~8の骨インプラントシステムの動作と同様であり得る。マイクロポンプ324は、連続的または断続的に作動させて、骨インプラントシステム336の伸長を徐々に誘導し得る。出口逆止弁320は、マイクロポンプ324を通って戻る流体逆流を制限して、骨インプラントシステム336の長さの縮小を制限し得る。したがって、骨インプラントシステム336は、ヒト大腿骨302の成長を可能にしながら、ヒト大腿骨302に構造的支持を提供し得る。
【0080】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」または「その実施形態」への参照は、その実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体で列挙される引用句またはその変形は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0081】
同様に、実施形態の上記の説明では、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が単一の実施形態、図、またはその説明に一緒にグループ化される場合があることを理解されたい。しかしながら、この開示の方法は、いずれかの実施形態もその実施形態に明示的に列挙されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明の態様は、上述した単一の開示された実施形態のすべての機構より少ない機構の組み合わせにある。
【0082】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、使用者がインプラントを設置しているときに、使用者(すなわち、外科医)に比較的近い位置を意味する。「遠位」という用語は、使用者から比較的遠い位置を意味する。例えば、使用者がドライバを用いて骨ねじを材料に取り付けるとき、ドライバと係合する骨ねじの端部は近位端であり、最初に材料と係合する骨ねじの先端は遠位端である。本明細書で使用される場合、「上部」という用語は、頭部に比較的近い位置を意味し、「下部」という用語は、頭部から比較的遠い位置を意味する。
【0083】
機構または要素に関する「第1」という用語は、必ずしも第2または追加のそのような機構または要素の存在を意味するものではない。means-plus-function形式で記載された要素は、35USC112条(f)に従って解釈されることを意図している。本明細書に記載される基本的な原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。
【0084】
「に接続されている」、「に結合されている」、および「と通信している」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、および熱的相互作用を含む、2つ以上のエンティティ間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、相互に直接接触していなくても、機能的に互いに結合され得る。「結合された」という用語は、一体成形を介して互いに結合された構成要素、ならびに互いに取り外し可能および/または取り外し不可能に結合された構成要素を含むことができる。「隣接する」という用語は、互いに直接物理的に接触している可能性があることを指すが、それらの物は必ずしも共に取り付けられるものとは限らない。「流体連通」という語句は、1つの機構内の流体が別の機構に通過することができるように接続された2つ以上の機構を指す。本明細書で定義されるように、「実質的に」という用語は、目標値、測定値、または所望の特性の+/-20%以内を意味する。
【0085】
本開示の特定の実施形態および用途を例示し説明してきたが、その開示の範囲は、本明細書に開示された詳細な構成および構成要素に限定されないことを理解されたい。本明細書に開示されたデバイスおよびシステムの構成、動作、および詳細において、当業者には明らかであろう様々な修正、変更、および変形を行うことができる。
【国際調査報告】