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▶ ディーディーピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】二液型ポリウレタン接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240905BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/80 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/50 20060101ALI20240905BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20240905BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20240905BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240905BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C09J175/04
C08G18/10
C08G18/80 093
C08G18/22
C08G18/50 021
C08G18/08 038
C09J175/08
C09J11/04
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513684
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022037133
(87)【国際公開番号】W WO2023033943
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,446
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520030844
【氏名又は名称】ディーディーピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シュナイダー
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034CA14
4J034CA17
4J034CB02
4J034CD01
4J034CD05
4J034DA01
4J034DA03
4J034DB04
4J034DB05
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DG02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG06
4J034DP19
4J034GA06
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB07
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4J034HC17
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4J034HC52
4J034HC61
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4J034RA12
4J040EF051
4J040EF111
4J040EF131
4J040EF181
4J040EF281
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4J040HD41
4J040KA03
4J040KA14
4J040KA28
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA35
4J040KA36
4J040KA42
(57)【要約】
本明細書では、二液型ポリウレタン接着剤組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iをもたらし)、次いで、式I:
【化1】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)の分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマー;
及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒;を含む成分Aと;
(ここで、前記式Iの分子は、中間体I中の全てのNCO基並びに残留モノマーイソシアネートと反応する量で使用される)
(B)ポリアミン、及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒を含む成分Bと;を含む二液型ポリウレタン接着剤組成物であって、
成分A及び成分Bの少なくとも一方が、アミンと、前記式Iの分子に由来する前記部分との前記反応を触媒することができる前記触媒を含み、成分Aが、ASTM D2572-97に従って測定される、0.1重量%未満のNCO含有率を有する、接着剤組成物。
【請求項2】
(1)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させて中間体Iを製造するステップ;
(2)式I:
【化2】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)の分子と反応させるステップ;
を含む、ポリウレタンプレポリマーの製造方法であって、
前記式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基と及び残留モノマーポリイソシアネートと反応し、ASTM D2572-97に従って測定されるように、成分A中の0.1重量%未満のNCO含有量をもたらすのに十分な量で使用される、
製造方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール(例えば、ポリカプロラクトン)、ポリブタジエンジオール、ポリカーボネートジオール、脂肪族ジオール(ポリオール)、及びこれらのいずれかの混合物から選択される、請求項1~2のいずれか一項。
【請求項4】
前記少なくとも1種のポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項1~3のいずれか一項。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリオールが、ジオール、トリオール又はテトラオールである、請求項1~4のいずれか一項。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリオールがトリオールである、請求項1~5のいずれか一項。
【請求項7】
前記少なくとも1種のポリオールが、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、並びにポリテトラメチレンエーテルジオール及びトリオール、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1~6のいずれか一項。
【請求項8】
前記少なくとも1種のポリオールがポリオキシプロピレンエーテルトリオールである、請求項1~7のいずれか一項。
【請求項9】
前記少なくとも1種のポリオールがポリオキシプロピレンエーテルジオールである、請求項1~8のいずれか一項。
【請求項10】
前記少なくとも1種のポリオールが、1,500~3,000Daの分子量を有する、請求項1~9のいずれか一項。
【請求項11】
前記少なくとも1種のポリオールが、1,500~3,000Daの分子量を有するポリオキシプロピレンエーテルジオールである、請求項1~10のいずれか一項。
【請求項12】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、ジイソシアネート又はトリイソシアネートである、請求項1~11のいずれか一項。
【請求項13】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、メチレンビス-シクロヘキシルイソシアネート(HMDI)、メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI、特に4,4’-及び4,2-MDI)並びにイソホロンジイソシアネート(IPDI)から選択される、請求項1~12のいずれか一項。
【請求項14】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートがHDIである、請求項1~13のいずれか一項。
【請求項15】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、前記少なくとも1種のポリオールに対して1.2当量以上で使用される、請求項1~14のいずれか一項。
【請求項16】
前記式Iの分子中、R及びRが、独立して、H及びC~Cアルキルから選択される、請求項1~15のいずれか一項。
【請求項17】
前記式Iの分子中、R及びRが、独立して、H及びC~Cアルキルから選択される、請求項1~16のいずれか一項。
【請求項18】
前記式Iの分子中、R及びRがHである、請求項1~17のいずれか一項。
【請求項19】
前記式Iの分子中、nが1である、請求項1~18のいずれか一項。
【請求項20】
前記式Iの分子中、RがC~Cアルキルである、請求項1~19のいずれか一項。
【請求項21】
前記式Iの分子中、RがC~Cアルキルである、請求項1~20のいずれか一項。
【請求項22】
前記式Iの分子中、Rがエチルである、請求項1~21のいずれか一項。
【請求項23】
前記式Iの分子中、R及びRがHであり、nが1であり、Rがエチルである
[2-(エトキシカルボニル)シクロペンタノン、CPEE]、請求項1~22のいずれか一項。
【化3】
【請求項24】
前記式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基と反応するのに十分である量で使用される、請求項1~23のいずれか一項。
【請求項25】
前記式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基及びあらゆる残留モノマーイソシアネートと反応するのに十分である量で使用される、請求項1~24のいずれか一項。
【請求項26】
前記少なくとも1種のポリオールと前記少なくとも1種のポリイソシアネートとが、カルボン酸亜鉛を含む触媒の存在下で反応させられる、請求項1~25のいずれか一項。
【請求項27】
中間体Iと前記式Iの分子とが、カルボン酸亜鉛を含む触媒の存在下で反応させられる、請求項1~26のいずれか一項。
【請求項28】
成分B中の前記少なくとも1種のポリアミンが、ジアミン、トリアミン又はこれらの混合物である、請求項1~27のいずれか一項。
【請求項29】
前記少なくとも1種のポリアミンがトリアミンである、請求項1~28のいずれか一項。
【請求項30】
前記少なくとも1種のポリアミンが、少なくとも400Daの分子量を有する、請求項1~29のいずれか一項。
【請求項31】
前記少なくとも1種のポリアミンが、少なくとも1,000Daの分子量を有する、請求項1~30のいずれか一項。
【請求項32】
前記少なくとも1種のポリアミンが、少なくとも2,000Daの分子量を有する、請求項1~31のいずれか一項。
【請求項33】
前記少なくとも1種のポリアミンが、2,000~4,000Daの分子量を有する、請求項1~32のいずれか一項。
【請求項34】
前記少なくとも1種のポリアミンが、3,000Da又は約3,000Daの分子量を有する、請求項1~33のいずれか一項。
【請求項35】
前記少なくとも1種のポリアミンが、第一級アミン基を有する、請求項1~34のいずれか一項。
【請求項36】
前記少なくとも1種のポリアミンが、ポリアミン当たり2個以上のアミン基を有するポリオキシアルキレンポリアミンから選択される、請求項1~35のいずれか一項。
【請求項37】
前記少なくとも1種のポリアミンが、ポリアミン当たり3個のアミン基を有するポリオキシアルキレンポリアミンから選択される、請求項1~36のいずれか一項。
【請求項38】
前記少なくとも1種のポリアミンが、ポリアミン当たり3個のアミン基、及び2,000~4,000Daの分子量を有するポリオキシアルキレンポリアミンから選択される、請求項1~37のいずれか一項。
【請求項39】
前記少なくとも1種のポリアミンが、プロピレンオキシドポリエーテル骨格を有するポリアミンから選択される、請求項1~38のいずれか一項。
【請求項40】
前記少なくとも1種のポリアミンが、
一般式:
【化4】
の、およそ440の平均分子量を有する三官能性の第一級アミン;
約400の分子量を有するポリプロピレンオキシドジアミン:
【化5】
;次の一般式:
【化6】
の約2000の平均分子量を有する二官能性の、第一級アミン;
一般式:
【化7】
の、およそ3000分子量のトリアミン;
一般式:
【化8】
の、およそ5,000g/molのトリアミン
から選択される、請求項1~39のいずれか一項。
【請求項41】
前記少なくとも1種のポリアミンが、一般式:
【化9】
の、およそ3.000g/molのトリアミンである、請求項1~40のいずれか一項。
【請求項42】
成分A及び/又は成分Bが酸化カルシウム(CaO)を含む、請求項1~41のいずれか一項。
【請求項43】
成分A及び/又は成分B中に、成分A及び成分Bの総重量を基準として、2~6重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の濃度をもたらす量でCaOを含む、請求項1~42のいずれか一項。
【請求項44】
成分A及び/又は成分B中に、成分A及び成分Bの総重量を基準として、3~5重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の濃度をもたらす量でCaOを含む、請求項1~43のいずれか一項。
【請求項45】
成分A及び/又は成分Bが、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む、請求項1~44のいずれか一項。
【請求項46】
成分A及び/又は成分Bが、少なくとも1種のヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む、請求項1~45のいずれか一項。
【請求項47】
成分A及び/又は成分Bが、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(Irganox 1010)、オクタデシル-3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート](Irganox 1076)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))(Irganox 1098)、3,3’,3’,5,5’,5’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール(Irganox 1330)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(Irganox 3114)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオネート)(Irganox 245)、ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-ジメチル-エチル)-4-ヒドロキシ-C7~C9分岐アルキルエステル(Irganox 1135)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ桂皮酸(Irganox 3125)、ヘキサメチレンビス(3-(3,5-ジ-tert.-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox 259)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert.-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1035)、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む、請求項1~46のいずれか一項。
【請求項48】
成分A及び/又は成分Bが、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)である少なくとも1種のヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む、請求項1~47のいずれか一項。
【請求項49】
成分A及び/又は成分B中に、成分A及び成分Bの総重量を基準として、0.5~6重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の濃度をもたらす量で少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む、請求項1~48のいずれか一項。
【請求項50】
成分A及び/又は成分B中に、成分A及び成分Bの総重量を基準として、1~3重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の濃度をもたらす量で少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む、請求項1~49のいずれか一項。
【請求項51】
成分A及び/又は成分Bが、成分A及び成分Bの総重量を基準として、3~5重量%の成分Aと成分Bとの混合物中のCaOの濃度、及び1~3重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)の濃度をもたらす量でCao及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)を含む、請求項1~50のいずれか一項。
【請求項52】
成分A及び/又は成分Bが可塑剤をさらに含む、請求項1~51のいずれか一項。
【請求項53】
成分A及び/又は成分Bが、フタル酸ジイソノニルである可塑剤をさらに含む、請求項1~52のいずれか一項。
【請求項54】
成分A及び/又は成分Bが、接着促進剤をさらに含む、請求項1~53のいずれか一項。
【請求項55】
成分A及び/又は成分Bが、シランである接着促進剤をさらに含む、請求項1~54のいずれか一項。
【請求項56】
成分A及び/又は成分Bが、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである接着促進剤をさらに含む、請求項1~55のいずれか一項。
【請求項57】
成分Aが、
・分子量2,000Daのプロピレンオキシドポリエーテルジオール、1,6-HDI及びCPEEから製造されるポリウレタンプレポリマーと;
・水酸化アルミニウムと;
・CaOと
を含む、請求項1~56のいずれか一項。
【請求項58】
成分Bが、
一般式:
【化10】
の、およそ3,000g/molのトリアミンと;
アミンと式Iの部分との反応を触媒することができる触媒と
を含む、請求項1~57のいずれか一項。
【請求項59】
成分Bが、
一般式:
【化11】
の、およそ3,000g/molのトリアミンと;
アミンと式Iの部分との反応を触媒することができる触媒と;
CaOと
を含む、請求項1~58のいずれか一項。
【請求項60】
前記式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基と及び残留モノマーポリイソシアネートと反応し、ASTM D2572-97に従って測定されるように、0.1重量%未満のNCO含有量をもたらすのに十分な量で使用される、請求項1~59のいずれか一項。
【請求項61】
第1の基材と第2の基材との接着方法であって、
(1)請求項1~60のいずれか一項に記載の接着剤組成物の前記成分Aと成分Bとを混合して混合物を得るステップ;
(2)前記混合物を前記第1の基材、前記第2の基材、又は両方に適用するステップ;
(3)前記第1の基材と前記第2の基材とを接着接触させるステップ;
(4)前記混合物を硬化させるステップ
を含む、接着方法。
【請求項62】
(1)第1の基材;
(2)第2の基材;
(3)請求項1~61のいずれか一項に記載の成分Aと成分Bとを混合することによって得られる接着剤組成物
を含む接着アセンブリであって、
前記第1及び第2の基材が、前記接着剤組成物がそれらの間に挟まれた状態で接着接触している、接着アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液型ポリウレタン接着剤組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
二液型ポリウレタン(PU)接着剤又はシーラントは、自動車産業において、塗装又はeコート金属パネル、塗装又は表面処理されたプラスチック又は複合材料を接着するために、補修で又は組立工場で広範囲に使用されている。現在、市場で一般的に使用されている接着剤又はシーラント化学は、イソシアネート含有ポリウレタン技術である。
【0003】
従来の二液型PU接着剤は、イソシアネート基で末端化されたPUポリマー(ブロック型又は非ブロック型)を含むAパートと、ポリアミンを含むBパートとからなる。使用時に、パートAとパートBとが混合され、それは、アミン基とイソシアネート基との反応によって硬化を開始させる。
【0004】
そのような接着剤の欠点は、それらが、有毒であると考えられている残留ジイソシアネートモノマーを含むことである。新しい規制は、残留ジイソシアネート含有量が0.1%未満であることを義務付けており、さもなければ、使用者は特別に訓練されることが必要である(https://echa.europa.eu/registry-of-restriction-intentions/-/dislist/details/0b0236e180876053)。
【0005】
モノマージイソシアネート含有量を減少させる1つの方法は、蒸留によって過剰のモノマーを除去することであるが、このプロセスは、費用がかかり、時間及びエネルギーを消費するため、好ましくない。潜在的なリスクを取り除くためには、イソシアネートの不在下で2K PU接着剤を配合することが好ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、
(A)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iをもたらし)、次いで、式I:
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)
の分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマー;
及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒
を含む
(ここで、式Iの分子は、中間体I中の全てのNCO基並びにあらゆる残留モノマーイソシアネートと反応する量で使用される)
成分Aと;
(B)ポリアミン、及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒を含む成分Bと
を含む二液型ポリウレタン接着剤組成物であって、
成分A及び成分Bの少なくとも一方が、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒を含み、成分Aが、ASTM D2572-97に従って測定される、0.1重量%未満のNCO含有率を有する、
接着剤組成物を提供する。
【0009】
第2の態様において、本発明は、
(1)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールと反応させて中間体Iを製造するステップ;
(2)式I:
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)
の分子と反応させるステップ
を含む、ポリウレタンプレポリマーの製造方法であって、
式Iの分子は、中間体Iの全てのNCO基と及び残留モノマーポリイソシアネートと反応し、ASTM D2572-97に従って測定されるように、0.1重量%未満のNCO含有量をもたらすのに十分な量で使用される、
製造方法を提供する。
【0012】
第3の態様において、本発明は、第1の基材と第2の基材との接着方法であって、
(1)本発明の接着剤組成物の成分Aと成分Bとを混合して混合物を得るステップ;
(2)混合物を第1の基材、第2の基材、又は両方に適用するステップ;
(3)第1の基材と第2の基材とを接着接触させるステップ;
(4)混合物を硬化させるステップ
を含む、接着方法を提供する。
【0013】
第4の態様において、本発明は、
(1)第1の基材;
(2)第2の基材;
(3)成分Aと成分Bとを混合することによって得られる、本発明による接着剤組成物
を含む接着アセンブリであって、
第1及び第2の基材が、接着剤組成物がそれらの間に挟まれた状態で接着接触している、
接着アセンブリを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、本発明の技術を用いて接着剤中のモノマーイソシアネート汚染並びにイソシアネート基を本質的に排除することが可能であることを見いだした。
【0015】
定義及び略語
MDI 4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)
HDI ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI イソホロンジイソシアネート
PU ポリウレタン
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
RH 相対湿度
【0016】
当量及び分子量は、Malvern Viscothek GPC max装置を使ったゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、カラムとしてPL GEL MIXED D(Agilent、300*7.5mm、5μm)を使用し、検出器としてMALVERN Viscotek TDA(統合された屈折率粘度計及び光散乱)を使用した。
【0017】
成分A
成分Aは、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iをもたらし)、次いで、式Iの分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマーを含む。
【0018】
ポリイソシアネート及びポリオール
本発明の組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールを反応させ(中間体Iをもたらし)、次いで、全てのNCO基を反応させる量で、少なくとも1種の式Iの分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマーを含む。
【0019】
少なくとも1種のポリオールは、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール(例えば、ポリカプロラクトン)、ポリブタジエンジオール、ポリカーボネートジオール、脂肪族ジオール(ポリオール)、及びこれらのいずれかの混合物から選択される。ポリエーテルポリオールが特に好ましい。
【0020】
少なくとも1種のポリオールは、好ましくは、ジオール、トリオール又はテトラオールである。好ましくは、それは、トリオール又はトリオールとジオールとの混合物であり、トリオールが特に好ましい。
【0021】
本発明に有用なポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール、及びそれらの混合物が挙げられる。ポリエーテルポリオールは、当技術分野において周知であり、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、並びにポリテトラメチレンエーテルジオール及びトリオールを含み、それらは、例えば、非置換又はハロゲン-若しくは芳香族-置換エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドと、水、アンモニア、多価アルコール、若しくはアミンなどの2個以上の活性水素基を含有する開始剤化合物とを反応させることによって調製され得る。一般に、ポリエーテルポリオールは、活性水素含有開始剤化合物の存在下でアルキレンオキシドを重合させることによって調製され得る。好ましいポリエーテルポリオールは、ポリオールの骨格中に1個以上のアルキレンオキシド単位を含有する。好ましいアルキレンオキシド単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びそれらの混合物である。好ましくは、ポリオールは、プロピレンオキシド単位、エチレンオキシド単位又はそれらの混合物を含有する。アルキレンオキシド単位の混合物がポリオール中に含有される実施形態において、異なる単位は、ランダムに配列されることができるか、又は各アルキレンオキシドのブロックに配列されることができる。好ましい一実施形態において、ポリオールはプロピレンオキシド鎖を含む。好ましい実施形態において、ポリエーテルポリオールは、ポリエーテルジオールとポリエーテルトリオールとの混合物である。好ましくは、ポリエーテルポリオール又は混合物は、少なくとも約2.0の官能性を有し;好ましくは約3.0以上、例えば、3.5、4.0以上である。好ましくは、ポリエーテルポリオール混合物の当量は、少なくとも約200Da、より好ましくは少なくとも約500Da、より好ましくは少なくとも約1,000Daであり;好ましくは約5,000Da以下、より好ましくは約3,000Da以下である。
【0022】
ポリエーテルポリオールのより具体的な例としては、以下が挙げられる:
1.二官能性ポリオール(ジオール)、例えば、アルキレン基がC~Cである、ポリ(アルキレンオキシド)ジオール、特にポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(ブチレンオキシド)ジオール及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールなど、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールが特に好ましい。特に好ましい実施形態において、ポリエーテルポリオールは、100~10,000、より好ましくは500~3,000、特に好ましくは1,000~2,000の当量を有する名目上二官能性の、ポリ(プロピレンオキシド)を含む。
2.三官能性ポリオール(トリオール)、例えば、アルキレン基がC~Cである、トリメチロールプロパンなどの、三官能性ポリオールで開始されたアキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド及びブチレンオキシドをベースとするものなど、プロピレンオキシドが特に好ましい。特に好ましい実施形態において、ポリエーテルポリオールは、100~10,000、より好ましくは500~3,000、特に好ましくは1,000~2,000の当量を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)を含み;ポリマーは、反応性を変性するためにエチレンオキシドでキャップされていても、されていなくてもよい。
3.1と2との混合物。1と2との混合物が特に好ましく、a)100~10,000、より好ましくは500~3,000、特に好ましくは1,000~2,000の当量を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)と、b)1,000~2,000の当量を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)との、特に0:1~2:1の重量比b)/a)での混合物がより特に好ましい。
【0023】
特に好ましい実施形態において、少なくとも1種のポリオールは、プロピレンオキシドベースのジオール又はトリオールを含む。好ましくは、ポリプロピレンオキシドベースのジオール又はトリオールは、1,000~5,000Da、より好ましくは1,000~3,000Daの分子量を有する。好ましい実施形態において、少なくとも1種のポリオールは、1,000~5,000Da、より好ましくは1,000~3,000Daの分子量を有するポリプロピレンオキシドベースのジオールを含む。
【0024】
ポリエステルポリオールには、任意のヒドロキシル末端ポリエステルが含まれる。ヒドロキシル末端脂肪族ポリエステル及びポリカプロラクトンが特に好ましい。ポリエステルジオール及びトリオールが好ましく、特にポリエステルトリオールが好ましい。2,000~4,000Da、好ましくは3,500Daの分子量を有するコポリエステルが、特に好ましい。
【0025】
中間体Iを製造するために使用され得るポリイソシアネートは、特に限定されない。ジイソシアネートが好ましい。
【0026】
脂肪族及び芳香族ジイソシアネートが使用されてもよく、脂肪族が好ましい。好適なジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート(HMDI)(水添MDI)、MDI(特に4,4’-及び4,2-MDI)並びにイソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられ、HDIが特に好ましい。
【0027】
好ましい実施形態において、中間体Iは、ポリエーテルトリオールをHDIと反応させることによって製造される。特に好ましい実施形態において、それは、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させることによって製造される。より特に好ましい実施形態において、それは、分子量4,800のポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させることによって製造される。
【0028】
好ましい実施形態において、中間体Iは分子量3,500の脂肪族ポリエステルをMDIと反応させることによって製造される。特に好ましい実施態様において、ポリエステルプレポリマーは65~80重量%のポリエステルジオールを5~15重量%のMDIと反応させることによって製造される。
【0029】
中間体Iは、ポリエーテルポリオールベースのプレポリマーとポリエステルベースのプレポリマーとの混合物を含み得る。
【0030】
特に好ましい実施形態において、中間体Iは、ポリエーテルジオール及びポリエーテルトリオールをベースとする。
【0031】
中間体Iを製造するために使用され得るジイソシアネートは特に限定されない。脂肪族及び芳香族ジイソシアネートが使用され得る。好適なジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート(HMDI)(水添MDI)、MDI(特に4,4’-及び4,2-MDI)並びにイソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられ、HDIが特に好ましい。
【0032】
特に好ましい実施形態において、中間体Iは、名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)、及びMDI又はHDIと反応させた、名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)を含む。
【0033】
特に好ましい実施態様において、中間体Iは、56のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)、及びMDI又はHDIと反応させた、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)を含む。
【0034】
中間体Iは、NCO基とヒドロキシル基との反応を触媒することができる触媒を使用して、少なくとも1種のポリオールをポリイソシアネートと反応させることによって製造される。好ましい触媒は、以下に挙げられる。
【0035】
重合は、可塑剤、例えば高沸点エステル又はジエステル、例えばフタル酸ジイソノニルの存在下で実施され得る。フタル酸ジイソノニルが特に好ましい。
【0036】
好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、18~30重量%、より好ましくは19~25重量%、より特に好ましくは22~23重量%のポリオールジオールを含む。
【0037】
好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、40~90重量%、50~90重量%、より特に好ましくは75~85重量%のポリオールトリオールを含む。
【0038】
好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、5~15重量%、より好ましくは8~12重量%、より特に好ましくは8~10重量%のジイソシアネートを含む。
【0039】
特に好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、22~23重量%のポリオールジオール、32~33重量%のポリオールトリオール、及び9~11重量%のジイソシアネートを含む。
【0040】
好ましい実施態様において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、18~30重量%、より好ましくは19~25重量%、より特に好ましくは22~23重量%の、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性の、ポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)を含む。
【0041】
好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、25~40重量%、28~35重量%、より特に好ましくは32~33重量%の、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)を含む。
【0042】
好ましい実施態様において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、5~15重量%、より好ましくは8~12重量%、より特に好ましくは9~11重量%のMDI又はHDIを含む。
【0043】
特に好ましい実施態様において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、22~23重量%の、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)、32~33重量%の、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)、及び9~11重量%のMDIを含む。
【0044】
特に好ましい実施態様において、中間体Iは、中間体Iの総重量を基準として、22~23重量%の、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)、32~33重量%の、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)、及び9~11重量%のMDIを含み、1.25重量%のイソシアネート含有量、及び米国特許第5,922,809号明細書第12欄、38行~49行に記載の手順に従って測定されるように23℃で16,000cpsの粘度を有する。
【0045】
末端基(式Iの分子)
プレポリマーは、少なくとも1種のポリイソシアネートを少なくとも1種のポリオールと反応させ(中間体Iをもたらし)、次いで、式I:
【0046】
【化3】
【0047】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)
の分子と反応させることによって製造される。
【0048】
好ましくは、R及びRは、独立して、H及びC~Cアルキル、より好ましくはH及びC~Cアルキルから選択され、特に好ましくはR及びRはHである。
【0049】
好ましくは、nは1である。
【0050】
好ましくは、RはC~Cアルキルであり、より好ましくはRはC~Cアルキルであり、特に好ましくはRはエチルである。
【0051】
特に好ましい実施形態において、式Iの分子では、R及びRはHであり、nは1であり、Rはエチルである[2-(エトキシカルボニル)シクロペンタノン、CPEE]。
【0052】
【化4】
【0053】
式Iの分子は、中間体IのNCO基と反応する。それは、好ましくは、少なくとも中間体Iの遊離NCO基と当量である量を意味する、中間体Iの全てのNCO基と反応するであろう量、又は過剰量、例えば1、1.1又は1.2当量で使用される。
【0054】
中間体I中のあらゆるモノマージイソシアネートを低減する又は排除するために、添加される式Iの量又は分子は、中間体IのNCO基とのみならず、あらゆる残留モノマージイソシアネートとも反応するように計算される。これは、プレポリマー及び遊離モノマージイソシアネート中の両方の、全てのNCO基を本質的に排除し、0.1重量%未満、好ましくは本質的に0重量%のNCO含有量につながる。
【0055】
ポリウレタンプレポリマー用の触媒
中間体Iは、NCO官能基とOH官能基との反応を触媒することができる触媒の存在下で、少なくとも1種のポリイソシアネートを少なくとも1種のポリオールと反応させることによって製造される。
【0056】
そのような触媒の例としては、第三級アミン触媒、ビスマス触媒 アルキルスズカルボキシレート、オキシド及びメルカプチドが挙げられる。具体例としては、トリエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、及びビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビスマス触媒、ジブチルスズジラウレート、オクタン酸第一スズが挙げられ、ビスマス触媒が特に好ましい。
【0057】
式Iの分子との反応のためには、亜鉛触媒、特にカルボン酸亜鉛触媒が好ましい。好ましい実施形態において、カルボン酸亜鉛とカルボン酸ビスマスとの混合物が使用される。
【0058】
有機金属触媒が使用される場合、それは、イソシアネートと少なくとも1個の反応性水素を有する官能基との反応を触媒することができるいずれかの有機金属触媒である。例としては、ビスマス触媒、金属カルボキシレート、例えばカルボン酸スズ、カルボン酸亜鉛などが挙げられる。金属アルカノエートとしては、オクタン酸第一スズ、オクタン酸ビスマス又はネオデカン酸ビスマスが挙げられる。好ましくは、少なくとも1種の有機金属触媒は、ビスマス触媒又は有機スズ触媒である。例としては、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ジメチルスズメルカプチド、ジメチルスズカルボキシレート、ジメチルスズジオレエート、ジメチルスズジチオグリコレート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)、ジブチルスズスルフィド、ジオクチルスズジチオグリコレート、ジオクチルスズメルカプチド、ジオクチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジネオデカノエート、ジオクチルスズジラウレートが挙げられる。特に好ましい実施形態において、それはビスマス触媒である。
【0059】
触媒は、接着剤組成物の総重量を基準として、好ましくは0.05~2重量%、より好ましくは0.1~1重量%で使用される。
【0060】
好ましい実施形態において、触媒は亜鉛及びビスマス触媒であり、接着剤組成物の総重量を基準として0.05~0.3重量%で使用される。
【0061】
ポリウレタンプレポリマー
上で詳述されたような、中間体I及び式Iの分子、並びにポリオール、ポリイソシアネート及び式Iの分子の任意の組合せの反応から生じるポリウレタンプレポリマーが、本明細書において考えられる。
【0062】
好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、2,000DaのMWTを有するポリプロピレンオキシドベースのジオール、1,6-HDI及びCPEEを含む。
【0063】
特に好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、70~90重量%の、2,000g/molのMWTを有するポリプロピレンオキシドベースのジオール、5~15重量%の1,6-HDI、及び5~15重量%のCPEEを含む。
【0064】
特に好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、74.57重量%の、2,000g/molのMWを有するポリプロピレンオキシドベースのジオール、12.57重量%の1,6-HDI、及び12.36重量%のCPEEを含む。
【0065】
ポリウレタンプレポリマーは、好ましくは、接着剤の成分A中に、成分Aの総重量を基準として40~80重量%、より好ましくは45~75重量%、より特に好ましくは55~70重量%で存在する。
【0066】
特に好ましい実施形態において、本発明の接着剤組成物の成分Aは、成分Aの総重量を基準として、40~80重量%、より好ましくは45~75重量%、より特に好ましくは55~70重量%の、MDIと反応させ、次いで式Iの分子と反応させた名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)及び名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)を含むポリウレタンプレポリマーを含む。
【0067】
好ましくは、プレポリマー又はプレポリマー混合物は、少なくとも6,000センチポアズ又は少なくとも約8,000センチポアズ、及び最大で30,000センチポアズ又は最大で20,000センチポアズの粘度を有する。粘度が高すぎる場合、最終接着剤組成物をポンプ輸送することが困難であろう。粘度が低すぎる場合、最終接着剤組成物は余りにも流れやすく、垂れるであろう。
【0068】
プレポリマー当量及び分子量は、Malvern Viscothek GPC max装置を使ったゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)が使用され、カラムとしてPL GEL MIXED D(Agilent、300*7.5mm、5μm)が使用され、検出器としてMALVERN Viscotek TDA(統合された屈折率粘度計及び光散乱)が使用された。
【0069】
ポリウレタンプレポリマーは、0.1重量%未満、より好ましくは0重量%のイソシアネート含有量を有する。
【0070】
別の好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、0.1重量%未満、より好ましくは0重量%のイソシアネート含有量、及び米国特許第5,922,809号明細書第12欄、38行~49行に記載の手順に従って測定されるように23℃で16,000cpsの粘度を有する。
【0071】
好ましい実施形態において、成分Aは、
本明細書に記載されるような少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー;及び
CaO
を含む。
【0072】
好ましい実施形態において、成分Aは、
本明細書に記載されるような少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー;及び
酸化アルミニウム
を含む。
【0073】
好ましい実施形態において、成分Aは、
本明細書に記載されるような少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー;
酸化アルミニウム;及び
CaO
を含む。
【0074】
成分B
成分Bは、ポリアミン、及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒を含む。
【0075】
ポリアミン
成分Bは、少なくとも1種のポリアミン、好ましくはジアミン若しくはトリアミン、又はこれらの混合物を含む。
【0076】
好ましくは、ポリアミンは、少なくとも400Da、より好ましくは少なくとも1,000Da、より特に好ましくは少なくとも2,000Daの分子量を有する。好ましい実施形態において、ポリアミンは、2,000~4,000Da、より好ましくは約3,000Daの分子量を有する。
【0077】
好ましくは、アミン基は、第一級又は第二級アミン基であり、特に好ましくは第一級アミン基である。
【0078】
好ましい実施形態において、ポリアミンは、ジアミン、トリアミン又はこれらの混合物であり、ここで、ジアミン又はトリアミンは2,000~4,000Daの分子量を有する。
【0079】
別の好ましい実施形態において、ポリアミンは、第一級アミン基を有する及び2,000~4,000Da、より好ましくは3,000Daの分子量を有するトリアミンである。
【0080】
第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基を有する好適な化合物の例としては、ポリアミン当たり2個以上のアミン基、ポリアミン当たり2~4個のアミン基、又はポリアミン当たり2~3個のアミン基を有するポリオキシアルキレンポリアミンが挙げられる。3個のアミン基を有するポリエーテルアミンが特に好ましい。
【0081】
ポリオキシアルキレンポリアミンは、少なくとも400Da、より好ましくは少なくとも1,000Da、より特に好ましくは少なくとも2,000Daの重量平均分子量を有し得る。好ましい実施形態において、ポリオキシアルキレンポリアミンは、2,000~4,000Da、より好ましくは約3,000Daの分子量を有する。ポリオキシアルキレンポリアミンは、約5,000以下又は約3,000以下の重量平均分子量を有していてもよい。
【0082】
例示的なポリオキシアルキレンポリアミンには、以下が含まれる:
1.プロピレンオキシドポリエーテル骨格をベースとするポリアミン。例として、以下が挙げられる:
およそ440の平均分子量を有する三官能性の第一級アミン。そのアミン基は、脂肪族ポリエーテル鎖の末端の第二級炭素原子上に位置する:
【0083】
【化5】
【0084】
;約400の分子量を有するポリプロピレンオキシドジアミン:
【0085】
【化6】
【0086】
;約2000の平均分子量を有する二官能性の、第一級アミン。第一級アミン基は、脂肪族ポリエーテル鎖の末端の第二級炭素原子上に位置する:
【0087】
【化7】
【0088】
式:
【0089】
【化8】
【0090】
の、およそ3000分子量のトリアミン
式:
【0091】
【化9】
【0092】
の、およそ5,000g/molのトリアミン。
2.ポリエチレンオキシドポリエーテル骨格を主にベースとするポリアミン。例は、一般式:
【0093】
【化10】
【0094】
のものである。
例えば、y≒9、(x+z)≒3.6の、分子量600g/molのポリアミン;
y≒12.5、(x+z)≒6の、900g/molの分子量ポリアミン;
y≒39、(x+z)≒6の分子量2,000g/molのポリアミンなど。
【0095】
特に好ましい実施形態において、少なくとも1種のポリアミンは、式:
【0096】
【化11】
【0097】
の、およそ3000分子量のトリアミンを含むか又はそれからなる。
【0098】
他の好適なポリアミンには、アミド及びアミン官能基の繰り返し分岐サブユニットを含む、ポリアミドアミンが含まれる。例えば、好適なポリアミドアミンは、アンモニア又はエチレンジアミンで開始され、アクリレートエステル(例えばアクリル酸メチル)とのマイケル(Michael)付加によって反応させられ、次いで、エステル官能基とジアミン(例えばエチレンジアミンなど)とが反応させられる。この結果、第一級アミン末端ポリアミンが得られ、これを再びマイケル付加反応させ、次いでジアミンと再び反応させてよい。第1の「サイクル」は、エチレンジアミン及びアクリル酸メチルを使用して以下に模式的に表される:
【0099】
【化12】
【0100】
他の好適なポリアミンには、カルダノールと、ホルムアルデヒドと、少なくとも1種のポリアミンとの間のマンニッヒ(Mannich)反応によって製造されるフェナルカミンが含まれる。
【0101】
好ましい実施形態において、成分Bは、以下の原料:
少なくとも1種のポリアミン;及び
アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒
を含む。
【0102】
別の好ましい実施形態において、成分Bは、以下の原料:
少なくとも1種のポリアミン;
アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒;及び
CaO
を含む。
【0103】
別の好ましい実施形態において、成分Bは、以下の原料:
少なくとも1種のポリアミン;
アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒;
CaO;及び
少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤
を含む。
【0104】
酸化カルシウム
好ましい実施形態において、成分A及び/又は成分Bは、酸化カルシウム(CaO)を含む。
【0105】
使用される場合、CaOは、好ましくは、成分Aと成分Bとの混合から生じる最終混合物中に、成分Aと成分Bとの混合物の総重量を基準として、2~6重量%、より好ましくは3~5重量%、特に好ましくは約3.5重量%の濃度で存在する。
【0106】
上述の濃度は、成分A及び成分Bの一方又は両方にCaOを存在させることによって達成することができる。成分A及びBのいずれか一方に使用するCaOの濃度は、A:Bの混合比及び混合接着剤中の所望の最終濃度から計算することができる。
【0107】
好ましい実施形態において、CaOは、成分Aの総重量を基準として、3~6重量%、より好ましくは5重量%で成分A中に存在し、CaOは、成分Bの総重量を基準として、1~3重量%、より好ましくは2重量%で成分B中に存在し、成分A及びBが1:1の比で混合される場合、最終混合接着剤中のCaO濃度は、混合接着剤の総重量を基準として、2~4.5重量%、より好ましくは3.5重量%であるようなものである。
【0108】
好ましい実施態様において、本発明は、
(A)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iをもたらし)、次いで、式I:
【0109】
【化13】
【0110】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)
の分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマー;
及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒、及び任意選択的にCaOを含む、成分Aと;
(B)ポリアミン、及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒、及び任意選択的にCaOを含む、成分Bと
を含む二液型ポリウレタン接着剤組成であって、
成分A及び成分Bの少なくとも一方が、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒を含み、成分A及び成分Bの少なくとも一方がCaOを含む、
接着剤組成物を提供する。好ましくは、二液型ポリウレタン接着剤組成物は、ASTM D2572-97に従って測定されるように0.1重量%未満のNCO含有量を有する。
【0111】
酸化防止剤
好ましい実施形態において、成分A及び/又は成分Bは、少なくとも1種の酸化防止剤、特に少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤、好ましくはヒンダードフェノール酸化防止剤を含む。
【0112】
典型的な例としては、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(Irganox 1010)、オクタデシル-3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート](Irganox 1076)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))(Irganox 1098)、3,3’,3’,5,5’,5’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール(Irganox 1330)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(Irganox 3114)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオネート)(Irganox 245)、ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-ジメチル-エチル)-4-ヒドロキシ-C7~C9分岐アルキルエステル(Irganox 1135)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ桂皮酸(Irganox 3125)、ヘキサメチレンビス(3-(3,5-ジ-tert.-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox 259)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert.-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1035)が挙げられる。
【0113】
4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)が特に好ましい。
【0114】
使用される場合、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤は、成分Aと成分Bとの混合から生じる最終混合物中に、成分Aと成分Bとの混合物の総重量を基準として、0.5~6重量%、より好ましくは1~3重量%、特に好ましくは約2重量%の濃度で存在する。
【0115】
上述の濃度は、成分A及び成分Bの一方又は両方に少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を存在させることによって達成することができる。成分A及びBのいずれか一方に使用するフェノール系酸化防止剤の濃度は、A:Bの混合比及び混合接着剤中の所望の最終濃度から計算することができる。
【0116】
好ましい実施形態において、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤は、成分Aのみ又は成分Bのみに、成分A又は成分Bの総重量を基準として、2~6重量%、より好ましくは4重量%で存在し、成分Aと成分Bとが1:1の比で混合される場合、最終混合接着剤中のフェノール系酸化防止剤の濃度は、混合接着剤の総重量を基準として、1~3重量%、より好ましくは2重量%であるようなものである。
【0117】
特に好ましい実施形態において、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールは、混合接着剤の総重量を基準として、1~3重量%、より好ましくは2重量%の混合接着剤中の最終濃度をもたらす量で、成分A及び/又は成分B中に使用される。
【0118】
特に好ましい実施形態において、成分AとBとの混合から生じる最終混合接着剤は、CaO及びフェノール系酸化防止剤、特にヒンダードフェノール酸化防止剤を含む。特に好ましくは、成分AとびBとの混合から生じる最終混合接着剤は、混合接着剤の総重量を基準として、2~4.5重量%、より好ましくは3.5重量%のCaO、及び1~3重量%、より好ましくは2重量%のフェノール系酸化防止剤を含む。
【0119】
別の好ましい実施形態において、成分AとBとの混合から生じる最終混合接着剤は、混合接着剤の総重量を基準として、2~4.5重量%、より好ましくは3.5重量%のCaO、及び1~3重量%、より好ましくは2重量%の4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを含む。特に好ましい実施形態において、成分AとBとの混合から生じる最終混合接着剤は、2~4.5重量%のCaO及び1~3重量%の4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを含む。
【0120】
好ましい実施態様において、本発明は、
(A)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iをもたらし)、次いで、式I:
【0121】
【化14】
【0122】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)
の分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマー;
及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒、及び任意選択的にCaO、及び任意選択的にフェノール系酸化防止剤を含む、成分Aと;
(B)ポリアミン、及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒、及び任意選択的にCaO、及び任意選択的にフェノール系酸化防止剤を含む、成分Bと
を含む、二液型ポリウレタン接着剤組成物であって、
成分A及び成分Bの少なくとも一方が、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒を含み、成分A及び成分Bの少なくとも一方がCaOを含み、成分A及び成分Bの少なくとも一方がフェノール系酸化防止剤を含む、
接着剤組成物を提供する。好ましくは、二液型ポリウレタン接着剤組成物は、ASTM D2572-97に従って測定されるように0.1重量%未満のNCO含有量を有する。
【0123】
ポリウレタンプレポリマーの製造方法
本発明は、
(1)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させて中間体Iを製造するステップ;
(2)式I:
【0124】
【化15】
【0125】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)
の分子と反応させるステップ
を含む、ポリウレタンプレポリマーの製造方法であって、
式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基と及び残留モノマーポリイソシアネートと反応し、ASTM D2572-97に従って測定されるように、0.1重量%未満のNCO含有量をもたらすのに十分な量で使用される、
製造方法を提供する。
【0126】
使用される式Iの分子の量は、ASTM D2572-97に従って測定されるような、中間体IのNCO含有量から計算することができる。或いは、添加されるべき量は、中間体Iを製造するために使用されるポリイソシアネートの量に基づいて理論的に計算することができる。好ましい実施形態において、式Iの分子は、NCO含有量(遊離NCO及び中間体Iの分子中のNCOの両方)に関して式Iの分子の1.2~1.3当量で使用される。
【0127】
特に中間体I(及びそれから製造されるポリウレタンプレポリマー)の分子量を低く保つことが望まれる場合、ポリオールに対して過剰のポリイソシアネートが使用され得る。従来技術を用いると、これは、プレポリマー中に残留モノマーポリイソシアネート(NCO)をもたらす。モノマーNCOを除去するための従来方法は、蒸留によるものであり、それは、時間がかかる及びエネルギーを消費し、高分子量のプレポリマーに関して実用的ではない。
【0128】
本発明の方法は、ポリウレタンプレポリマー中のNCO基及び残留モノマーのNCO基を、式Iの分子と反応させることによってそれらを本質的に除去する。これは、プレポリマーの蒸留を回避することを可能にする。
【0129】
本発明の方法の好ましい実施形態において、ポリイソシアネートを、ポリオールに対して1.2当量以上の量で使用して中間体Iを製造する。
【0130】
ポリウレタンプレポリマーの製造方法の例は、以下のステップ:
1.少なくとも1種のポリオールを、不活性雰囲気下(例えば、窒素若しくはアルゴン)、又は真空下で、任意選択的に可塑剤(例えば、フタル酸ジイソノニル)の存在下で撹拌するステップ;
2.少なくとも1種のポリイソシアネートを添加するステップ;
3.触媒を添加し、中間体Iをもたらすステップ;
4.所望のNCO含有量に達したら、式Iの分子を、中間体IのNCO基及び残留モノマーのNCOの全てと反応するのに十分な量で添加するステップ
を含む。
【0131】
本方法の好ましい実施形態は、以下のステップ:
1.少なくとも1種のポリオールを、不活性雰囲気下(例えば、窒素又はアルゴン)、任意選択的に可塑剤(例えば、フタル酸ジイソノニル)の存在下で撹拌するステップ;
2.少なくとも1種のポリイソシアネートを、1.5:1、2:1、4:1、5:1又はそれ以上のNCO:OH比で添加するステップ;
3.触媒を添加し、中間体Iをもたらすステップ;
4.所望のNCO含有量に達したら、式Iの分子を、1.2~1.5、好ましくは1.2~1.3のNCO:式Iの比率で添加するステップ
を含む。
【0132】
好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーの製造方法は、以下のステップ:
1.少なくとも1種のポリオールを、不活性雰囲気(例えば、窒素若しくはアルゴン)、又は真空下で、任意選択的に可塑剤(例えば、フタル酸ジイソノニル)の存在下で撹拌し、65~150℃まで加熱し、次いで60~80℃まで冷却するステップ;
2.少なくとも1種のポリイソシアネートを添加するステップ;
3.触媒を添加し、混合物を60~100℃で反応させるステップ;
4.所望のNCO含有量に達したら、ステップ3の混合物を50~70℃まで冷却し、式Iの分子を、1.2~1.5、好ましくは1.2~1.3のNCO:式Iの比率で添加するステップ
を含む。
【0133】
任意選択的な原料
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、可塑剤を含んでもよく、それは、成分A若しくはB又は両方に存在してもよい。可塑剤の例は、エステル、特にジエステル及びトリエステルであり、特に23℃で10-4hPa未満の蒸気圧を有するものである。例としては、フタル酸ジアルキルエステル、脂肪酸のアルキルエステル、リン酸エステル(例えばリン酸トリオクチルなど)などが挙げられる。フタル酸ジイソノニルが特に好ましい。使用される場合、可塑剤は、接着剤組成物の総重量を基準として、典型的には、10~20重量%、好ましくは12~18重量%で存在する。特に好ましい実施形態において、フタル酸ジイソノニルは、接着剤組成物の総重量を基準として、12~18重量%で、より好ましくは16~17重量%で使用される。
【0134】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、充填剤を含んでもよく、それらは、成分A若しくはB又は両方に存在してもよく、例えば、カーボンブラック、粘土、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、金属水和物及びヒュームドシリカである。充填剤は、0~80重量%、好ましくは10~70、より好ましくは20~60重量%で好ましくは使用される。
【0135】
好ましい実施形態において、本発明の接着剤は、充填剤として粘土、好ましくはカオリン、特にか焼カオリンを含む。使用される場合、粘土は、接着剤組成物の総重量を基準として、5~15重量%、より好ましくは8~12重量%で使用される。特に好ましい実施形態において、カオリンは、接着剤組成物の総重量を基準として、8~12重量%、より好ましくは9重量%で使用される。
【0136】
好ましい実施形態において、本発明の接着剤は、充填剤としてカーボンブラックを含む。カーボンブラックは、特に限定されない。好ましいカーボンブラックは、ASTM D-2414-09に従って測定されるように、カーボンブラックの100g当たり少なくとも80、好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも95cmのフタル酸ジブチルの吸油量を示す。さらに、カーボンブラックは、望ましくは、ASTM D1510-11に従って測定される、少なくとも80のヨウ素価を有する。
【0137】
使用される場合、カーボンブラックは、接着剤組成物の総重量を基準として、5~30重量%、より好ましくは15~25重量%で使用される。特に好ましい実施形態において、カーボンブラックは、接着剤組成物の総重量を基準として、15~25重量%、好ましくは22~23重量%で使用される。
【0138】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、接着剤組成物の総重量を基準として、0~20重量%、より好ましくは5~15重量%、特に好ましくは9~10重量%で炭酸カルシウムを含んでもよい。炭酸カルシウム粒子は、未処理であっても、或いは化学薬品、例えば有機酸又は有機酸のエステルなどでの処理によって表面改質されていてもよい。
【0139】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、接着剤の総重量を基準として、0~1.5重量%、より好ましくは0.5~1重量%でヒュームドシリカを含んでもよい。
【0140】
ヒュームドシリカが使用される場合、粒子は、未処理であっても、或いは化学薬品、例えばクロロシラン、ジクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン又はポリジメチルシロキサンなどで表面変性されていてもよい。
【0141】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、タルクを含んでもよく、それは、成分A若しくはB又は両方に存在してもよい。好ましい実施形態において、タルクは、成分Bの総重量を基準として、25~40重量%、より好ましくは30~35重量%で成分B中に使用される。
【0142】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、接着促進剤を含んでもよく、それは、成分A若しくはB又は両方に存在してもよい。好適な接着促進剤としては、シラン、例えばガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。好ましい実施態様において、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、成分Bの総重量を基準として、0.5~2重量%、好ましくは1重量%で、成分B中に使用される。
【0143】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に難燃剤及び相乗剤を含んでもよい。好適な難燃剤及び相乗剤の例としては、
1.ジエチルホスフィン酸のアルミニウム、亜鉛及びチタン塩、特にジエチルホスフィン酸アルミニウム;
2.窒素含有分子及び/又はリン含有分子、例えば、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、シアヌル酸メラミンなど;
3.亜リン酸アルミニウム及び/又は亜リン酸亜鉛
が挙げられる。
【0144】
難燃剤/相乗剤の好ましい組合せは、ジエチルホスフィン酸アルミニウム+ポリリン酸メラミンである。
【0145】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、1種以上の追加の安定剤、例えば、熱、可視光及びUV安定剤を含んでもよい。
【0146】
熱安定剤の例としては、アルキル置換フェノール、ホスファイト、セバケート及びシンナメートが挙げられる。存在する場合、好ましい熱安定剤は、有機ホスファイトであり、より具体的には、参照により本明細書に援用される、米国特許第6,512,033号明細書に開示されているようなトリスノニルフェニルホスファイトである。熱安定剤は、接着剤組成物の全体重量を基準として、少なくとも0.01重量%又は少なくとも0.3重量%、最大で多くても5重量%まで、最大で2重量%まで又は最大で1.0重量%までを構成してもよい。接着剤組成物は、そのような熱安定剤を含まなくてもよい。
【0147】
UV光安定剤に関して、それらとしては、ベンゾフェノン類及びベンゾトリアゾール類が挙げられる。具体的なUV光吸収剤としては、BASF製のもの、例えば、TINUVIN(商標)P、TINUVIN(商標)326、TINUVIN(商標)213、TINUVIN(商標)327、TINUVIN(商標)571、TINUVIN(商標)328、並びにCytec製のもの、例えば、CYASORB(商標)UV-9、CYASORB(商標)UV-24、CYASORB(商標)UV-1164、CYASORB(商標)UV-2337、CYASORB(商標)UV-2908、CYASORB(商標)UV-5337、CYASORB(商標)UV-531及びCYASORB(商標)UV-3638が挙げられる。これらの中で、TINUVIN(商標)571が好ましい。1種以上のUV吸収剤は、接着剤組成物の重量の少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%又は少なくとも0.3重量部を構成してもよく、最大で3重量%まで、最大で2重量%まで又は最大で1重量%までを構成してもよい。
【0148】
本発明の接着剤組成物は、1種以上の可視光安定剤をさらに含んでいてもよい。好ましい可視光安定剤としては、Cytecから入手可能なTINUVIN(商標)144、TINUVIN(商標)622、TINUVIN(商標)77、TINUVIN(商標)123、TINUVIN(商標)765、CHIMASSORB(商標)944;Ciba-Geigyから全て入手可能なCYASORB(商標)UV-500、CYASORB(商標)UV-3581、CYASORB(商標)UV-3346などのヒンダードアミン可視光安定剤が挙げられる。これらの中で、TINUVIN(商標)765が好ましい選択である。可視光安定剤は、接着剤組成物の少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%又は少なくとも0.3重量%を構成してもよく、それの最大で3重量%まで、最大で2重量%まで又は最大で1.5重量%までを構成してもよい。
【0149】
製造方法
本発明の接着剤組成物は、各成分の原料を別々に、好ましくは不活性及び乾燥条件下で及び/又は真空下で、均質な混合物が得られるまで混合することによって製造される。成分A及びBが混合されたら、それらは、使用まで別々の容器に保管される。
【0150】
使用方法
一態様において、本発明は、第1の基材と第2の基材との接着方法であって、ステップ:
(1)本発明の接着剤組成物の成分Aと成分Bとを混合して混合物を得るステップ;
(2)混合物を第1の基材、第2の基材、又は両方に適用するステップ;
(3)第1の基材と第2の基材とを接着接触させるステップ;
(4)混合物を硬化させるステップ
を含む、接着方法を提供する。
【0151】
上述したように、本発明の成分接着剤を提供する好ましい方法は、気密容器、例えば気密密封チューブなどに入れることである。容器は、使用の直前に開封される。
【0152】
本発明の接着剤組成物は、例えば、スプレッディング、ノズルを介した適用によるなどの、手動での又はロボット装置を使った、任意の塗布方法によって適用されてよい。
【0153】
好ましい実施形態において、第1及び第2の基材の一方又は両方は、金属、ガラス、プライマー付きガラス、エナメルコーティング付きガラス、プラスチック(例えば、例えばタルク又はガラス繊維入りポリプロピレン)、ポリカーボネート、シート成形コンパウンド、複合材料(例えば、炭素繊維強化エポキシ、ガラス繊維強化ポリアミド)から選択される。好ましい実施形態において、第1及び第2の基材の少なくとも一方は、金属、特にスチール又はアルミニウム、特に好ましくはeコートスチール、eコートアルミニウムである。特に好ましい実施形態において、両方の基材がスチールである。
【0154】
成分Aと成分Bとが混合されるとすぐに硬化が始まる。典型的な硬化条件は、23℃で3~7日である。
【0155】
[発明の効果]
本発明の接着剤組成物は、ASTM D2572-97に従って測定されるように、0.1重量%未満、より好ましくは0重量%のモノマー汚染物質及び接着剤分子中の両方でのNCO含有量を有する。
【0156】
CaOを含む本発明の接着剤組成物は、CaOを含有しないものと比較して、改善された接着特性、並びに耐熱性及び耐候性後の機械的特性及び接着特性の保持を示す。
【0157】
CaOを含有する本発明の接着剤は、室温(RT)で7日間硬化させた後に、好ましくは、ISO 527-1に従って試験した場合、2MPa以上、より好ましくは少なくとも2.5MPaのE弾性率を示す。
【0158】
CaOを含む本発明の接着剤組成物は、RTで7日間硬化させ、80℃で1ヶ月間熱処理した後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは2MPa以上、より好ましくは少なくとも2.5MPaのE弾性率を示す。
【0159】
CaOを含む本発明の接着剤組成物は、実施例に記載されているようにRTで7日間硬化させ、1ヶ月間風化させた後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは10MPa以上、より好ましくは少なくとも12MPaのE弾性率を示す。
【0160】
CaOを含有する本発明の接着剤は、室温(RT)で7日間硬化させた後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは2.6MPa以上、より好ましくは少なくとも2.7MPaの引張強度を示す。
【0161】
CaOを含む本発明の接着剤組成物は、RTで7日間硬化させ、80℃で1ヶ月間熱処理した後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは2.5MPa以上、より好ましくは少なくとも2.7MPaの引張強度を示す。
【0162】
CaOを含む本発明の接着剤組成物は、実施例に記載されているように、RTで7日間硬化させ、1ヶ月間風化させた後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは6MPa以上、より好ましくは少なくとも6.5MPaの引張強度を示す。
【0163】
CaO及び少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む本発明の接着剤組成物は、CaO及び少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含有しないものと比較して、改善された接着特性、並びに耐熱性及び耐候性後の機械的特性及び接着特性の保持を示す。
【0164】
CaO及び少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含有する本発明の接着剤は、室温(RT)で7日間硬化させた後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは2.3MPa以上、より好ましくは少なくとも2.6MPaのE弾性率を示す。
【0165】
CaO及び少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む本発明の接着剤組成物は、RTで7日間硬化させ、80℃で1ヶ月間熱処理した後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは3MPa以上、より好ましくは少なくとも4MPaのE弾性率を示す。
【0166】
CaO及び少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む本発明の接着剤組成物は、実施例に記載されているように、RTで7日間硬化させ、1ヶ月間風化させた後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは11MPa以上、より好ましくは少なくとも13MPaのE弾性率を示す。
【0167】
CaO及び少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含有する本発明の接着剤は、室温(RT)で7日間硬化させた後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは2.7MPa以上、より好ましくは少なくとも2.8MPaの引張強度を示す。
【0168】
CaO及び少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む本発明の接着剤組成物は、RTで7日間硬化させ、80℃で1ヶ月間熱処理した後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは2.7MPa以上、より好ましくは少なくとも3MPaの引張強度を示す。
【0169】
CaO及び少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む本発明の接着剤組成物は、実施例に記載されているように、RTで7日間硬化させ、1ヶ月間風化させた後、ISO 527-1に従って試験した場合、好ましくは6.5MPa以上、より好ましくは少なくとも7MPaの引張強度を示す。
【0170】
実施例に記載されるラップせん断接着試験を用いると、CaOを含有する本発明の接着剤は、室温(RT)で7日間硬化させた後、好ましくは2MPa以上、より好ましくは少なくとも2.3MPaのラップせん断強度を有し、100%凝集破壊の破壊モードを示す。
【0171】
実施例に記載されるラップせん断接着試験を用いると、CaOを含有する本発明の接着剤は、室温(RT)で1ヶ月間硬化させた後、好ましくは2MPa以上、より好ましくは少なくとも2.5MPaのラップせん断強度を有し、100%凝集破壊の破壊モードを示す。
【0172】
特に好ましい実施形態
以下は、本発明の接着剤組成物の特に好ましい実施形態である。
1. (A)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iをもたらし)、次いで、式I:
【0173】
【化16】
【0174】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)
の分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマー;
及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒
を含む
(ここで、式Iの分子は、中間体I中の全てのNCO基並びに残留モノマーイソシアネートと反応する量で使用される)
成分Aと;
(B)ポリアミン、及び任意選択的に、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒を含む成分Bと
を含む二液型ポリウレタン接着剤組成物であって、
成分A及び成分Bの少なくとも一方が、アミンと、式Iの分子に由来する部分との反応を触媒することができる触媒を含み、成分Aが、ASTM D2572-97に従って測定される、0.1重量%未満のNCO含有率を有する、接着剤組成物。
2. (1)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させて中間体Iを製造するステップ;
(2)式I:
【0175】
【化17】
【0176】
(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、RはC~Cアルキルである)
の分子と反応させるステップ
を含む、ポリウレタンプレポリマーの製造方法であって、
式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基と及び残留モノマーポリイソシアネートと反応し、ASTM D2572-97に従って測定されるように、成分A中の0.1重量%未満のNCO含有量をもたらすのに十分な量で使用される、製造方法。
3. 少なくとも1種のポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール(例えば、ポリカプロラクトン)、ポリブタジエンジオール、ポリカーボネートジオール、脂肪族ジオール(ポリオール)、及びこれらのいずれかの混合物から選択される、実施形態1~2のいずれか一項。
4. 少なくとも1種のポリオールがポリエーテルポリオールである、実施形態1~3のいずれか一項。
5. 少なくとも1種のポリオールが、ジオール、トリオール又はテトラオールである、実施形態1~4のいずれか一項。
6. 少なくとも1種のポリオールがトリオールである、実施形態1~5のいずれか一項。
7. 少なくとも1種のポリオールが、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、並びにポリテトラメチレンエーテルジオール及びトリオール、並びにこれらの混合物から選択される、実施形態1~6のいずれか一項。
8. 少なくとも1種のポリオールがポリオキシプロピレンエーテルトリオールである、実施形態1~7のいずれか一項。
9. 少なくとも1種のポリオールがポリオキシプロピレンエーテルジオールである、実施形態1~8のいずれか一項。
10. 少なくとも1種のポリオールが、1,500~3,000Daの分子量を有する、実施形態1~9のいずれか一項。
11. 少なくとも1種のポリオールが、1,500~3,000Daの分子量を有するポリオキシプロピレンエーテルジオールである、実施形態1~10のいずれか一項。
12. 少なくとも1種のポリイソシアネートが、ジイソシアネート又はトリイソシアネートである、実施形態1~11のいずれか一項。
13. 少なくとも1種のポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、メチレンビス-シクロヘキシルイソシアネート(HMDI)、メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI、特に4,4’-及び4,2-MDI)並びにイソホロンジイソシアネート(IPDI)から選択される、実施形態1~12のいずれか一項。
14. 少なくとも1種のポリイソシアネートがHDIである、実施形態1~13のいずれか一項。
15. 少なくとも1種のポリイソシアネートが、少なくとも1種のポリオールに対して1.2当量以上で使用される、実施形態1~14のいずれか一項。
16. 式Iの分子中、R及びRが、独立して、H及びC~Cアルキルから選択される、実施形態1~15のいずれか一項。
17. 式Iの分子中、R及びRが、独立して、H及びC~Cアルキルから選択される、実施形態1~16のいずれか一項。
18. 式Iの分子中、R及びRがHである、実施形態1~17のいずれか一項。
19. 式Iの分子中、nが1である、実施形態1~18のいずれか一項。
20. 式Iの分子中、RがC~Cアルキルである、実施形態1~19のいずれか一項。
21. 式Iの分子中、RがC~Cアルキルである、実施形態1~20のいずれか一項。
22. 式Iの分子中、Rがエチルである、実施形態1~21のいずれか一項。
23. 式Iの分子中、R及びRがHであり、nが1であり、Rがエチルである[2-(エトキシカルボニル)シクロペンタノン、CPEE]、実施形態1~22のいずれか一項。
【0177】
【化18】
【0178】
24. 式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基と反応するのに十分である量で使用される、実施形態1~23のいずれか一項。
25. 式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基及びあらゆる残留モノマーイソシアネートと反応するのに十分である量で使用される、実施形態1~24のいずれか一項。
26. 少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとが、カルボン酸亜鉛を含む触媒の存在下で反応させられる、実施形態1~25のいずれか一項。
27. 中間体Iと式Iの分子とが、カルボン酸亜鉛を含む触媒の存在下で反応させられる、実施形態1~26のいずれか一項。
28. 成分B中の少なくとも1種のポリアミンが、ジアミン、トリアミン、又はこれらの混合物である、実施形態1~27のいずれか一項。
29. 少なくとも1種のポリアミンがトリアミンである、実施形態1~28のいずれか一項。
30. 少なくとも1種のポリアミンが、少なくとも400Daの分子量を有する、実施形態1~29のいずれか一項。
31. 少なくとも1種のポリアミンが、少なくとも1,000Daの分子量を有する、実施形態1~30のいずれか一項。
32. 少なくとも1種のポリアミンが、少なくとも2,000Daの分子量を有する、実施形態1~31のいずれか一項。
33. 少なくとも1種のポリアミンが、2,000~4,000Daの分子量を有する、実施形態1~32のいずれか一項。
34. 少なくとも1種のポリアミンが、3,000Da又は約3,000Daの分子量を有する、実施形態1~33のいずれか一項。
35. 少なくとも1種のポリアミンが、第一級アミン基を有する、実施形態1~34のいずれか一項。
36. 少なくとも1種のポリアミンが、ポリアミン当たり2個以上のアミン基を有するポリオキシアルキレンポリアミンから選択される、実施形態1~35のいずれか一項。
37. 少なくとも1種のポリアミンが、ポリアミン当たり3個のアミン基を有するポリオキシアルキレンポリアミンから選択される、実施形態1~36のいずれか一項。
38. 少なくとも1種のポリアミンが、ポリアミン当たり3個のアミン基、及び2,000~4,000Daの分子量を有するポリオキシアルキレンポリアミンから選択される、実施形態1~37のいずれか一項。
39. 少なくとも1種のポリアミンが、プロピレンオキシドポリエーテル骨格を有するポリアミンから選択される、実施形態1~38のいずれか一項。
40. 少なくとも1種のポリアミンが、
一般式:
【0179】
【化19】
【0180】
の、およそ440の平均分子量を有する三官能性の第一級アミン;
約400の分子量を有するポリプロピレンオキシドジアミン:
【0181】
【化20】
【0182】

次の一般式:
【0183】
【化21】
【0184】
の約2000の平均分子量を有する二官能性の、第一級アミン
一般式:
【0185】
【化22】
【0186】
の、およそ3000分子量のトリアミン;
一般式:
【0187】
【化23】
【0188】
の、およそ5,000g/molのトリアミン
から選択される、実施形態1~39のいずれか一項。
41. 少なくとも1種のポリアミンが、一般式:
【0189】
【化24】
【0190】
の、およそ3.000g/molのトリアミンである、実施形態1~40のいずれか一項。
42. 成分A及び/又は成分Bが酸化カルシウム(CaO)を含む、実施形態1~41のいずれか一項。
43. 成分A及び/又は成分B中に、成分A及び成分Bの総重量を基準として、2~6重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の濃度をもたらす量でCaOを含む、実施形態1~42のいずれか一項。
44. 成分A及び/又は成分B中に、成分A及び成分Bの総重量を基準として、3~5重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の濃度をもたらす量でCaOを含む、実施形態1~43のいずれか一項。
45. 成分A及び/又は成分Bが、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む、実施形態1~44のいずれか一項。
46. 成分A及び/又は成分Bが、少なくとも1種のヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む、実施形態1~45のいずれか一項。
47. 成分A及び/又は成分Bが、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート(Irganox 1010)、オクタデシル-3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート](Irganox 1076)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))(Irganox 1098)、3,3’,3’,5,5’,5’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール(Irganox 1330)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(Irganox 3114)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオネート)(Irganox 245)、ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-ジメチル-エチル)-4-ヒドロキシ-C7~C9分岐アルキルエステル(Irganox 1135)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ桂皮酸(Irganox 3125)、ヘキサメチレンビス(3-(3,5-ジ-tert.-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox 259)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert.-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1035)、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む、実施形態1~46のいずれか一項。
48. 成分A及び/又は成分Bが、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)である少なくとも1種のヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む、実施形態1~47のいずれか一項
49. 成分A及び/又は成分B中に、成分A及び成分Bの総重量を基準として、0.5~6重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の濃度をもたらす量で少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む、実施形態1~48のいずれか一項。
50. 成分A及び/又は成分B中に、成分A及び成分Bの総重量を基準として、1~3重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の濃度をもたらす量で少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含む、実施形態1~49のいずれか一項。
51. 成分A及び/又は成分Bが、成分A及び成分Bの総重量を基準として、3~5重量%の成分Aと成分Bとの混合物中のCaOの濃度、及び1~3重量%の成分Aと成分Bとの混合物中の4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)の濃度をもたらす量でCao及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox 1520L)を含む、実施形態1~50のいずれか一項。
52. 成分A及び/又は成分Bが可塑剤をさらに含む、実施形態1~51のいずれか一項。
53. 成分A及び/又は成分Bが、フタル酸ジイソノニルである可塑剤をさらに含む、実施形態1~52のいずれか一項。
54. 成分A及び/又は成分Bが、接着促進剤をさらに含む、実施形態1~53のいずれか一項。
55. 成分A及び/又は成分Bが、シランである接着促進剤をさらに含む、実施形態1~54のいずれか一項。
56. 成分A及び/又は成分Bが、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである接着促進剤をさらに含む、実施形態1~55のいずれか一項。
57. 成分Aが、
・分子量2,000Daのプロピレンオキシドポリエーテルジオール、1,6-HDI及びCPEEから製造されるポリウレタンプレポリマーと;
・水酸化アルミニウムと;
・CaOと
を含む、実施形態1~56のいずれか一項。
58. 成分Bが、
一般式:
【0191】
【化25】
【0192】
の、およそ3,000g/molのトリアミンと;
アミンと式Iの部分との反応を触媒することができる触媒と
を含む、実施形態1~57のいずれか一項。
59. 成分Bが、
一般式:
【0193】
【化26】
【0194】
の、およそ3,000g/molのトリアミンと;
アミンと式Iの部分との反応を触媒することができる触媒と;
CaOと
を含む、実施形態1~58のいずれか一項。
60. 式Iの分子が、中間体Iの全てのNCO基と及び残留モノマーポリイソシアネートと反応し、ASTM D2572-97に従って測定されるように、0.1重量%未満のNCO含有量をもたらすのに十分な量で使用される、実施形態1~59のいずれか一項。
61. 第1の基材と第2の基材との接着方法であって、
(1)実施形態1~60のいずれか一項に記載の接着剤組成物の成分Aと成分Bとを混合して混合物を得るステップ;
(2)混合物を第1の基材、第2の基材、又は両方に適用するステップ;
(3)第1の基材と第2の基材とを接着接触させるステップ;
(4)混合物を硬化させるステップ
を含む、接着方法。
62.
(1)第1の基材;
(2)第2の基材;
(3)実施形態1~61のいずれか一項に記載の成分Aと成分Bとを混合することによって得られる接着剤組成物
を含む接着アセンブリであって、
第1及び第2の基材が、接着剤組成物がそれらの間に挟まれた状態で接着接触している、
接着アセンブリ。
【実施例
【0195】
【表1】
【0196】
成分Aのためのポリウレタンプレポリマーの調製
ブロック化ポリウレタンプレポリマー1を、表2に列挙される原料を使用して調製した。
【0197】
【表2】
【0198】
Voranol 2000Lを実験室反応器に添加し、真空及び撹拌下で100℃(材料温度)まで加熱した。材料温度が100℃に達した後、材料をN及び撹拌下で70℃まで冷却した。1,6 ヘキサメチレンジイソシアネートを撹拌下で添加した。材料温度が60℃に達した後、触媒を添加した。浴温を80℃に設定した。混合物を撹拌及びN下で25分間反応させた。CPEEを添加し、混合物を撹拌及びN下で50分間反応させた。NCO含有量はゼロであると測定された。混合物を真空下で脱気した。
【0199】
接着剤配合成分A及びB
表3に列挙される原料及び量を使用して、接着剤配合成分A及びBを調製した。
【0200】
【表3】
【0201】
成分Aは、原料1~3を実験室ミキサーに添加し、RTにおいて120rpmで10分間混合することによって製造した。混合物を撹拌機からスパチュラで取り除いた。それを、真空下に120rpm及びRTでさらに15分間混合した。
【0202】
成分Bは、原料1~7を実験室ミキサーに添加し、RTにおいて120rpmで10分間混合することによって製造した。混合物を撹拌機からスパチュラで取り除いた。成分8を添加し、混合物を真空下に120rpm及びRTでさらに15分間混合した。
【0203】
混合
バルク接着剤試料を両面カートリッジから分配し、1:1の成分A対成分Bの比率でカートリッジガンによって適用した。
【0204】
試験
粘度
粘度は、角度4°及びギャップ0.144mmの20mm直径コーンのプレート/コーンセットアップを用いるKinexusレオメーターで測定した。測定は23℃で行った。せん断速度測定は、0.1~10 1/sで行い、ニュートン粘度を報告する。
【0205】
ラップせん断試験
DIN EN 1465に従って、厚さ1mmのeコートされた(Cathoguard)スチール基材(DC04ZE50)を使って、ラップせん断試験を行った。接着剤組成物を適用し、第2の基材を接合した。接着剤の重なり面積は25×10mmであり、接着剤厚さは0.5mmであった。接着剤組成物をRTで7日間硬化させた後、ラップせん断試験を行った。試験は、5kN力測定システムを備えたZwickテンシオメーターで、2Nの予荷重、及び10mm/分のけん引速度で行った。試験は23℃で行った。結果を表7(硬化直後)及び表8(23℃で1ヵ月後)に示す。
【0206】
参考例1は、実施例2及び3よりも低い硬化直後のラップせん断強度(表7)、及び室温で1ヶ月間保管後も低いラップせん断強度(表8)を示す。
【0207】
引張試験
引張試験はISO 527-1に従って行った。23℃で少なくとも7日間硬化させた厚さ2mmのプレートからドッグボーンを切断した。予荷重は1N、試料幅は4mm、けん引速度は200mm/分であった。MuliXtens距離測定システムとともに500N力測定システムを使用した。結果を、表4(硬化直後)、表5(80℃で1ヵ月後)及び表6(1ヵ月間のウェザーサイクリング後)に列挙する。
【0208】
参考例1の引張強度は、高温(80℃)での保管後に著しい低下を示すが、実施例2及び3は、硬化直後に測定された引張強度を本質的に保持する。
【0209】
参考例1の引張強度は、1ヶ月間のウェザーサイクリング後に劇的に低下したが、実施例2及び3は、引張強度が実際に増加した。
【0210】
破断伸び
破断伸びは、ISO 527-1に従って測定した。結果を、表7(硬化直後)及び表8(23℃で1ヵ月後)に示す。
【0211】
ウェザーサイクリング
試料を、以下の12時間サイクルに供した:
80℃及び80%の相対湿度(RH)まで60分加熱;
80℃及び80%のRHで240分;
-40℃まで120分冷却;
40℃で240分;
23℃まで60分加熱;
80℃で保管
【0212】
分子量
ポリウレタンプレポリマーの分子量データは、Malvern Viscothek GPC max装置を使ったゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、カラムとしてPL GEL MIXED D(Agilent、300*7.5mm、5μm)を使用し、検出器としてMALVERN Viscotek TDA(統合された屈折率粘度計及び光散乱)を使用した。
【0213】
不活性雰囲気下での熱分解
装置:TA製のTGA 5500
不活性雰囲気下(N)で硬化接着剤の熱分解を、40~600℃、30分間の熱重量分析を用いて測定した。分解は、RTで1日間硬化させた後、硬化直後及び80℃で1ヵ月後、80℃で3ヵ月後、1ヵ月のウェザーサイクリング後、3ヵ月のウェザーサイクリング後に測定した。結果を表9に列挙する。
【0214】
分解開始の温度が低ければ低いほど、接着剤の安定性は低い。表9の結果は、参考例1が、高温(80℃)で1ヵ月及び3ヵ月の保管後に、特に1ヵ月及び3ヵ月間のウェザーサイクリング後に著しく安定性が低いことを示す。
【0215】
雰囲気下での熱酸化分解
雰囲気下で硬化接着剤の熱分解を、40~600℃、30分間の熱重量分析を用いて測定した。分解は、RTで1日間硬化させた後、硬化直後、及び80℃で1ヵ月後、80℃で3ヵ月後、1ヵ月のウェザーサイクリング後、3ヵ月のウェザーサイクリング後に測定した。結果を表10に列挙する。
【0216】
分解開始の温度が低ければ低いほど、接着剤の安定性は低い。表10の結果は、参考例1が、高温(80℃)で1ヵ月及び3ヵ月の保管後に、特に1ヵ月及び3ヵ月間のウェザーサイクリング後に著しく安定性が低いことを示す。
【0217】
NCO含有量
NCO測定は、ASTM D2572-97に従って行った。この試験法は、イソシアネートを含有する液体に適用可能である。モノマー(例えばメチレンジフェニルジイソシアネートMDI)、プレポリマー及び接着剤配合物が含まれる。イソシアネート(NCO)試料は、過剰のジブチルアミンと反応して対応する尿素を形成する。NCO含有量は、反応で消費されたジブチルアミンの量から決定された。結果は、パーセントNCO(重量%)として報告する。
【0218】
或いは、赤外分光法を用いて2268cm-1にあるNCOバンドを探した。装置:Agilent Technologies CARY 600
本発明の接着剤は(参考例1並びに実施例2及び3)は、ポリマー中の本質的に0重量%のNCO及び0重量%の遊離イソシアネートを示した。
【0219】
【表4】
【0220】
【表5】
【0221】
【表6】
【0222】
【表7】
【0223】
【表8】
【0224】
【表9】
【0225】
【表10】
【国際調査報告】