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特表2024-533138平面基板を複数のステップで処理する設備および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】平面基板を複数のステップで処理する設備および方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/03 20060101AFI20240905BHJP
   C03B 33/037 20060101ALI20240905BHJP
   C03B 33/033 20060101ALI20240905BHJP
   C03B 33/09 20060101ALI20240905BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20240905BHJP
   B26F 3/00 20060101ALI20240905BHJP
   B28D 7/04 20060101ALI20240905BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20240905BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20240905BHJP
【FI】
C03B33/03
C03B33/037
C03B33/033
C03B33/09
B28D5/00 Z
B26F3/00 S
B26F3/00 E
B28D7/04
B23K26/70
B23K26/38 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513830
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022072524
(87)【国際公開番号】W WO2023041263
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021123777.7
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴァシュビュシュ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス-ペーター クーレク
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ エンゲルハート
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー プラッパー
【テーマコード(参考)】
3C060
3C069
4E168
4G015
【Fターム(参考)】
3C060AA04
3C060AA08
3C060AA10
3C060AB00
3C060CA03
3C060CE00
3C069AA02
3C069AA03
3C069BA08
3C069BB02
3C069CA11
3C069CB01
3C069CB03
3C069DA00
3C069DA07
3C069EA01
4E168CB03
4E168CB04
4E168CB08
4E168DA28
4E168GA01
4E168GA02
4E168JA14
4E168JA15
4G015FA03
4G015FA04
4G015FA06
4G015FB02
4G015FC01
4G015FC10
4G015FC14
(57)【要約】
本発明は、基板支持体上の平面基板、特に平面ガラス基板を複数のステップで処理する設備および方法であって、空間的に互いに切り離された複数の処理ステーションが、基板支持体搬送装置により互いにつなげられており、基板支持体を、基板支持体搬送装置により1つの処理ステーションから次の処理ステーションへ搬送し、これにより、基板支持体上に載置された平面基板に、順次複数の処理ステップを施すことができる、設備および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持体(10)上の平面基板(1)、特に平面ガラス基板を複数のステップで処理する設備(100)であって、
空間的に互いに切り離された複数の処理ステーション(200)を含み、該処理ステーション(200)は、基板支持体搬送装置(110)により互いにつなげられており、これにより、基板支持体(10)を、前記基板支持体搬送装置(110)により規定された搬送経路に沿って1つの処理ステーション(200)から次の処理ステーション(200)へ搬送することができ、これにより、基板支持体(10)上に載置された平面基板(1)に、各前記処理ステーション(200)において順次複数の処理ステップを施すことができ、
前記処理ステーション(200)のうちの1つは、平面基板(1)を基板支持体(10)上に載置するように構成された積載ステーション(300)として構成されており、
前記処理ステーション(200)のうちの少なくとも1つは、基板支持体(10)上に載置された平面基板(1)を加工、例えば切断するように構成された加工ステーション(500)として構成されており、
前記処理ステーション(200)のうちの1つは、加工済みの平面基板(1)を基板支持体(10)から取り出すように設備された取出しステーション(400)として構成されている、
設備(100)。
【請求項2】
前記基板支持体搬送装置(110)は、循環装置として構成されており、これにより前記基板支持体搬送装置(110)は、基板支持体(10)を、前記積載ステーション(300)から前記少なくとも1つの加工ステーション(500)と前記取出しステーション(400)とを経て再び前記積載ステーション(300)に戻るように搬送する、閉じた搬送経路を規定しており、かつ/または
前記基板支持体搬送装置(110)は、複数の、特に4つの搬送区間(112,114,116,118)を有しており、該搬送区間(112,114,116,118)は各1つの、特に直線的な搬送方向を規定しており、複数の前記搬送区間の搬送方向は互いに角度を成して、特に直角に延びており、かつ/または
前記基板支持体搬送装置(110)は、円形の搬送経路を規定する、
請求項1記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項3】
前記積載ステーション(300)は、平面基板(1)を取り上げる、例えばスタックから持ち上げるための、且つ取り上げた前記基板を基板支持体(10)上に載置するための取上げ装置を含み、
前記取上げ装置は、好適にはハンドリングシステム、例えばロボットアーム、および/または負圧モジュールを備えた吸着グリップ装置を含み、これにより、前記平面基板を前記吸着グリップ装置に吸着することができ、かつ/または
前記積載ステーション(300)は、特に欠陥、例えば破損または亀裂を識別するために平面基板(1)を検査してから、該平面基板(1)を取り上げるための検査装置を含む、
請求項1または2記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項4】
前記処理ステーション(200)のうちの1つまたは複数、特に前記積載ステーション(300)および/または前記少なくとも1つの加工ステーション(500)は、前記基板(1)を前記基板支持体(10)の方向に作用する力にさらすための手段、特に前記基板(1)を前記基板支持体(10)上に位置固定するための手段を含み、
前記手段は、好適には、前記基板支持体(10)の方向に作用する前記力を、特に前記基板支持体(10)に設けられた開口または前記基板支持体の連続多孔を介して、前記基板の、前記基板支持体(10)に面した表面に負圧を印加することにより生ぜしめ、かつ/または前記基板支持体(10)の方向に作用する前記力を、前記基板支持体(10)に前記基板(1)を機械的に押し付ける、または引き付けることにより生ぜしめ、かつ/または前記基板支持体(10)の方向に作用する前記力を、付着力または表面力により、特に前記基板(1)および/または前記基板支持体(10)の静電気の帯電により生ぜしめるように構成されており、かつ/または
前記設備(100)は、基板支持体(10)を含んでいてもよく、該基板支持体(10)は、載置された基板(1)に負圧を印加するための開口または連続多孔を有しており、かつ/または前記基板支持体(10)上に載置された基板(1)を位置固定するために高められた静電気帯電性または高められた摩擦特性を有する表面を有している、
請求項1から3までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項5】
前記加工ステーション(500)のうちの1つまたは複数は、予備切断ステーション(501)として構成されており、該予備切断ステーション(501)は、基板支持体(10)上に載置された平面基板(1)を、所定の切断線に沿って予備切断するように構成されており、これにより特に、前記切断線が前記基板(1)の廃棄面を前記基板(1)の利用面から分離しており、
前記予備切断には、特に前記基板への損傷部の導入が含まれており、該損傷部は、好適には前記所定の切断線に沿って延在しており、例えばレーザ、刻み込みホイール、ダイヤモンド、ウォータージェット切断および/または超音波切断により、前記基板に導入され、かつ/または
前記予備切断には、特に前記基板へのレーザ光線の導入が含まれており、好適には前記所定の切断線に沿って隣り合う、互いに離間された特にフィラメント状の損傷部が前記基板に導入される、
請求項1から4までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項6】
前記加工ステーション(500)のうちの1つまたは複数は、分離ステーション(502)として構成されており、該分離ステーション(502)は、基板支持体(10)上に載置された平面基板(1)を、所定の切断線に沿って複数の部分片に、特に前記基板(1)の廃棄面を含む部分片と、前記基板(1)の利用面を含む部分片とに分離するように構成されており、
前記分離には、特に前記切断線に沿って延びる1つの損傷部または複数の損傷部における、特に力、モーメント、温度、振動の作用および/または前記平面基板の所定の切断線での破断が含まれる、
請求項1から5までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項7】
前記加工ステーション(500)のうちの1つまたは複数は、廃棄ステーション(503)として構成されており、該廃棄ステーション(503)は、基板支持体(10)上に位置する平面基板(1)の廃棄材料を、前記基板支持体(10)上に位置する前記平面基板(1)の利用材料から選別するように、特に所定の切断線に沿って分離された、前記基板(1)の廃棄面を含む部分片を、前記切断線に沿って分離された、前記基板(1)の利用面を含む部分片から選別するように構成されており、
前記選別には、前記基板支持体(10)からの廃棄材料、特に前記基板(1)の廃棄面を含む部分片の除去が含まれており、かつ/または
前記選別には、前記基板支持体(10)からの利用材料、特に前記基板(1)の利用面を含む部分片の検出および分離が含まれている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項8】
前記加工ステーションのうちの1つまたは複数は、分離ステーションとして構成されていると共に廃棄ステーションとしても構成されており、これにより、前記加工ステーションは、組み合わせられた1つの分離・廃棄ステーション(504)を構成している、
請求項1から7までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項9】
前記取出しステーション(400)は、基板支持体(10)から加工済みの平面基板(1)および/または該平面基板(1)の利用材料、特に基板(1)の利用面を含む部分片を取り上げて、例えば包装ボックス内にかつ/またはスタック上に下ろすために、取上げ装置を含み、
該取上げ装置は、好適にはハンドリングシステム、例えば門形システムまたはロボットアーム、および/または負圧モジュールを備えた吸着グリップ装置を含み、これにより、前記加工済みの平面基板および/または前記平面基板(1)の利用材料、特に基板(1)の利用面を含む部分片を前記吸着グリップ装置に吸着することができ、かつ/または
前記取出しステーション(400)は、加工済みの平面基板(1)および/または該平面基板(1)の利用材料、特に基板(1)の利用面を含む部分片を検査してから取り上げるために、特に粒子、汚れ、欠陥、例えば幾何学形状的な欠陥、角度誤差、貝がら状破面、破損または亀裂を識別するために、検査装置を含む、
請求項1から8までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項10】
前記処理ステーションのうちの1つは、基板支持体洗浄ステーションとして構成されており、該基板支持体洗浄ステーションは、特に加工済みの平面基板(1)および/または該平面基板(1)の利用材料、特に基板(1)の利用面を含む部分片を基板支持体(10)から取り出した後に、前記基板支持体(10)を洗浄するように構成されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項11】
前記積載ステーション(300)は、前記搬送経路内で前記基板支持体洗浄ステーションと前記予備切断ステーションとの間に配置されており、好適にはこれらの間に直接配置されており、かつ/または
前記予備切断ステーション(501)は、前記搬送経路内で前記積載ステーションと前記分離ステーションとの間に配置されており、好適にはこれらの間に直接配置されており、かつ/または
前記分離ステーション(502)は、前記搬送経路内で前記予備切断ステーションと前記廃棄ステーションとの間に配置されており、好適にはこれらの間に直接配置されており、かつ/または
前記廃棄ステーション(503)は、前記搬送経路内で前記分離ステーションと前記取出しステーション(400)との間に配置されており、好適にはこれらの間に直接配置されており、かつ/または
前記組み合わせられた分離・廃棄ステーション(504)は、前記搬送経路内で前記予備切断ステーションと前記取出しステーション(400)との間に配置されており、好適にはこれらの間に直接配置されており、かつ/または
前記取出しステーション(400)は、前記搬送経路内で前記廃棄ステーションと前記基板支持体洗浄ステーションとの間に配置されており、好適にはこれらの間に直接配置されており、かつ/または
前記基板支持体洗浄ステーション(450)は、前記搬送経路内で前記取出しステーションと前記積載ステーションとの間に配置されており、好適にはこれらの間に直接配置されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項12】
前記積載ステーション(300)は、前記基板支持体搬送装置(110)の第1または第2の前記搬送区間(112,114)内に配置されており、かつ/または
前記予備切断ステーション(501)は、前記基板支持体搬送装置(110)の前記第2の搬送区間(114)内に配置されており、かつ/または
前記分離ステーション(502)は、前記基板支持体搬送装置(110)の前記第2または第3の搬送区間(114,116)内に配置されており、かつ/または
前記廃棄ステーション(503)は、前記基板支持体搬送装置(110)の前記第2または第3の搬送区間(114,116)内に配置されており、かつ/または
前記組み合わせられた分離・廃棄ステーション(504)は、前記基板支持体搬送装置(110)の前記第2または第3の搬送区間(114,116)内に配置されており、かつ/または
前記取出しステーション(400)は、前記基板支持体搬送装置(110)の前記第3または第4の搬送区間(116,118)内に配置されており、かつ/または
前記基板支持体洗浄ステーション(450)は、前記基板支持体搬送装置(110)の前記第4の搬送区間(118)内に配置されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項13】
前記基板支持体搬送装置(110)および/または前記処理ステーション(200)が配置された清浄室および/またはクリーンルームと、好適には、前記清浄室および/またはクリーンルームに通じるエアロックとを含み、該エアロックを介して、平面基板(1)が前記設備に、例えばスタックまたは搬送区間に供給され、かつ/または
前記設備(100)は、平面基板用の原材料、特に縁取り部を有する未加工ガラスを溶融しかつ/または成形する装置に、特に前記清浄室および/またはクリーンルームに通じるエアロックを介して直接接続されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の、基板支持体(10)上の平面基板(1)を複数のステップで処理する設備(100)。
【請求項14】
基板支持体(10)上の平面基板(1)、特に平面ガラス基板を複数のステップで処理する方法であって、
平面基板(1)を、積載ステーション(300)として構成された処理ステーション(200)において基板支持体(10)上に載置し、
前記基板支持体(10)を、載置された前記平面基板(1)と共に、前記積載ステーション(300)から、基板支持体搬送装置(110)により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーション(200)を介して、加工ステーション(500)として構成された処理ステーション(200)へ搬送し、
前記基板支持体(10)上に載置された前記平面基板(1)を前記加工ステーションにおいて加工、例えば切断し、
前記基板支持体(10)を、載置された加工済みの前記平面基板(1)と共に、前記加工ステーション(500)から、前記基板支持体搬送装置(110)により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーション(200)を介して、取出しステーション(400)として構成された処理ステーション(200)へ搬送し、
前記基板支持体(10)上に載置された加工済みの前記平面基板(1)を前記取出しステーション(400)において前記基板支持体(10)から取り出す、方法。
【請求項15】
前記基板支持体(10)を前記取出しステーション(400)から、前記基板支持体搬送装置(110)により再び前記積載ステーション(300)に戻るように搬送する、
請求項14記載の、平面基板(1)を複数のステップで処理する方法。
【請求項16】
前記基板支持体(10)を、載置された前記平面基板(1)と共に、前記積載ステーション(300)から、基板支持体搬送装置(110)により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーション(200)を介して、予備切断ステーションとして構成された加工ステーション(500)へ搬送し、
前記基板支持体(10)上に載置された前記平面基板(1)を、前記予備切断ステーションにおいて所定の切断線に沿って予備切断し、
前記基板支持体(10)を、載置された前記平面基板(1)と共に、前記予備切断ステーションから、前記基板支持体搬送装置(110)により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーション(200)を介して、分離ステーションとして構成された加工ステーション(500)へ搬送し、
前記基板支持体(10)上に載置された前記平面基板(1)を、前記分離ステーションにおいて前記切断線に沿って複数の部分片に分離し、
前記基板支持体(10)を、前記平面基板(1)の前記複数の部分片と共に、前記分離ステーションから、前記基板支持体搬送装置(110)により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーション(200)を介して、廃棄ステーションとして構成された加工ステーション(500)へ搬送するか、または前記分離ステーションとして構成された加工ステーション(500)は、同時に廃棄ステーションとしても構成されており、
前記平面基板(1)の少なくとも1つの部分片を、前記廃棄ステーションにおいて選別する、
請求項14または15記載の、平面基板(1)を複数のステップで処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面基板、特に平面ガラス基板を複数のステップで処理する設備および方法に関する。
【0002】
平面基板、例えばガラス、薄板ガラス、超薄板ガラス(UTG)、ウェハ、フィルムおよびその他の薄い基板は、その製造後に様々な形で販売され得る。材料特性に応じて、例えばこのような基板を巻く、または積み重ねることが考えられる。ただし、往々にして望ましいのは、例えば所望の基準、例えば所定の中間寸法または最終寸法を提供することができるようにするため、搬送能力を改善するため、かつ/または後処理を容易にするために、製造後に後処理することである。
【0003】
しかし、このような後処理を、例えば速度、自動化度またはコストに関して工程を最適化しようとする場合には、往々にして、上流の生産が後処理の工程の流れにすぐに対応しない特定の工程の流れ、例えば時間経過を含んでいると、問題が生じることがある。これは、例えば生産は連続的に行われるが、後処理を最適化するためには所定のサイクル制御が優先されるべき場合であり得る。
【0004】
薄板ガラスおよび超薄板ガラス(UTG)は、一般に延伸法により製造され、この場合、延伸速度に応じて所定のガラス厚さを得ることができる。特に、極薄のガラスを製造するには、高い延伸速度を適用することができる。ガラス製造、例えば薄板ガラスまたはUTGの場合には、溶融および成形後に、例えば厚さ測定、エラー検出、縁取り部の切断、シートの個別化(横方向切断)、縁部検査、サイズチェックおよび/または包装を含み得る処理を行うことが望ましい場合がある。これらの処理ステップは、例えば鉛直方向または水平方向に実現されかつ/または実施され得る。基本的に、処理ステップのうちのいくつか、例えばハンドリングステップは、手動でまたは自動化されて行われてもよい。
【0005】
しかしながら、オンライン工程の自動化はフレキシブルではない場合があり、もともと既に複雑な工程チェーンの複雑さを高めることになる。つまり、例えば切断を実施するために、例えばガラス帯材をオンライン工程で簡単に停止させることはできない(後調整は手間がかかり、レーザ技術には高額な費用がかかる)。さらに、既に単一のステップにおいて機能問題が生じた場合には、生産ライン全体が停止することにつながる恐れがある。さらに、サイズ変更(延伸速度の変更、厚さの変更)はしばしば、サイクル速度を適合させるために設備構成要素の交換を必要とする(例えば、延伸速度が大幅に高められると、追加的なロボットを使用する必要がある。それというのも、ロボットの作業速度は往々にして、ガラスの熱間成形の作業速度と同程度にスケーリングされてはいないからである。溶融および成形のサイクル時間は、往々にして多くの手間をかけなければ後処理の理想的なサイクル時間に適合させることができない。
【0006】
UTGの場合にはさらに、固有剛性の欠如と、より厚いガラスに比べて高まった破損し易さとに注意する必要があり、このことは、このようなガラスはオンライン工程では特に処理し難い、ということにつながる。特に、例えばシートの相互間隔を保証するために、個々のシートがオンライン工程において「低温終端部」のところで加速させられる、という点に問題が生じる場合がある。
【0007】
UTGの場合にはさらに、例えば10m/分超、好適には15m/分超、特に好適には50m/分超の高い延伸速度になることがあり、これにより、多くの自動化手間および/または所要スペースを招くことなしに縁取り部切断、個別化、検査、サイズ/縁部チェックおよび/または包装の各ステップを生産工程に組み込むことは、往々にしてもはや簡単には可能でなくなる。このような速度の場合、手動でのハンドリングおよび/または包装は、人員もしくはコストがかかるか、もしくは作業安全性の観点から不都合な場合がある。
【0008】
UTGガラス帯材を巻くことは、例えば繰り出すためまたは欠陥のあるガラスを選別するために、追加的により多くの手間が生じる、という欠点を有している場合がある。さらに、市場では往々にして、既に予め製造された(中間寸法または最終寸法の)UTGガラスを購入することができる、ということが所望されている。このことは、顧客の手間を減らすと共に、UTGハンドリングにおける複雑さを低下させることができる。
【0009】
したがって本発明の課題は、平面基板、特にガラス基板を、生産後に所望の基準、例えば特定の寸法、所定の縁部強度、および/または搬送および後処理に対する良好な適性を備えて提供することができるように平面基板を処理する、特に後処理する設備および方法を提供することにある。この課題の1つの観点は、特に速度、自動化度および/またはコストに関して、平面基板の処理工程を最適化することにある。この課題の1つの別の観点は、処理もしくは処理の最適化を、上流の生産フローの工程の流れおよび/または時間経過に全く左右されずに可能にすることにある。特に、例えばガラス、薄板ガラス、UTG、ウェハおよび/またはフィルム用の連続的な生産工程のためのフレキシブルな後処理が可能になることが望ましい。
【0010】
前記課題は、独立請求項の対象により解決される。別の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明は、基板支持体上の平面基板、特に平面ガラス基板を複数のステップで処理する設備であって、空間的に互いに切り離された複数の処理ステーションを含み、これらの処理ステーションは、基板支持体搬送装置により互いにつなげられており、これにより、基板支持体を、基板支持体搬送装置により規定された搬送経路に沿って1つの処理ステーションから次の処理ステーションへ搬送することができ、これにより、基板支持体上に載置された平面基板に、各処理ステーションにおいて順次複数の処理ステップを施すことができるようになっている、設備に関する。
【0012】
処理ステーションのうちの1つは、平面基板を基板支持体上に載置するように構成された積載ステーションとして構成されている。さらに、処理ステーションのうちの少なくとも1つは、基板支持体上に載置された平面基板を加工、例えば切断するように構成された加工ステーションとして構成されている。さらに、処理ステーションのうちの1つは、加工済みの平面基板を基板支持体から取り出すように構成された取出しステーションとして構成されている。
【0013】
1つの好適な実施形態では、基板支持体搬送装置は、循環装置として構成されているため、基板支持体搬送装置は、閉じた搬送経路を規定しており、これにより、基板支持体を、積載ステーションから少なくとも1つの加工ステーションと取出しステーションとを経て再び積載ステーションに戻るように搬送することができる。
【0014】
基板支持体搬送装置は、複数の、特に4つの搬送区間を有していてもよく、これらの搬送区間は各1つの、特に直線的な搬送方向を規定しており、この場合、複数の搬送区間の搬送方向は互いに角度を成して、特に直角に延びている。
【0015】
また、基板支持体搬送装置が、三角形の幾何学形状に基づき配置された例えば3つの搬送区間を有していること、または五角形の幾何学形状に基づき配置された5つの搬送区間を有していること等も排除されていない。
【0016】
さらに、基板支持体搬送装置(110)は、円形の搬送経路を規定する、ということが想定されていてもよい。
【0017】
積載ステーションは、取上げ装置を含んでいてもよく、これにより、平面基板を取り上げる、例えばスタックから持ち上げることができ、取り上げた基板を基板支持体上に載置することができる。
【0018】
取上げ装置は、好適にはハンドリングシステム、例えばロボットアーム、および/または負圧モジュールを備えた吸着グリップ装置を含み、これにより、平面基板を吸着グリップ装置に吸着することができる。
【0019】
積載ステーションは、検査装置を含んでいてもよく、これにより、特に欠陥、例えば破損または亀裂を識別するために平面基板を検査してから、平面基板を取り上げることができる。
【0020】
1つの改良では、処理ステーションのうちの1つまたは複数、特に積載ステーションおよび/または少なくとも1つの加工ステーションは、基板を基板支持体の方向に作用する力にさらすため、特に基板を基板支持体上に位置固定するための手段を含む。
【0021】
これらの手段は、好適には、基板支持体の方向に作用する力を、特に基板支持体に設けられた開口または基板支持体の連続多孔を介して、基板の、基板支持体に面した表面に負圧を印加することにより生ぜしめ、かつ/または基板支持体の方向に作用する力を、基板支持体に基板を機械的に押し付ける、または引き付けることにより生ぜしめ、かつ/または基板支持体の方向に作用する力を、付着力または表面力(例えばファンデルワールス力または静電力)により、特に基板および/または基板支持体の静電気の帯電により生ぜしめるように構成されている。
【0022】
設備は、基板支持体を含んでいてもよく、基板支持体は、載置された基板に負圧を印加するための開口または連続多孔を有しており、かつ/または基板支持体上に載置された基板を位置固定するために高められた静電気帯電性または高められた摩擦特性を有する表面を有している。
【0023】
加工ステーションのうちの1つまたは複数は、予備切断ステーションとして構成されていてもよく、予備切断ステーションは、基板支持体上に載置された平面基板を、所定の切断線に沿って予備切断するように構成されており、これにより特に、切断線が基板の廃棄面を基板の利用面から分離することになる。
【0024】
予備切断には、特に基板への損傷部の導入が含まれていてもよく、この損傷部は、好適には所定の切断線に沿って延在しており、例えばレーザ、刻み込みホイール、ダイヤモンド、ウォータージェット切断および/または超音波切断により、基板に導入される。
【0025】
予備切断にはさらに、特に基板へのレーザ光線の導入が含まれていてもよく、この場合、好適には所定の切断線に沿って隣り合う、互いに離間された特にフィラメント状の損傷部が基板に導入される。
【0026】
加工ステーションのうちの1つまたは複数は、分離ステーションとして構成されていてもよく、分離ステーションは、基板支持体上に載置された平面基板を、所定の切断線に沿って複数の部分片に、特に基板の廃棄面を含む部分片と、基板の利用面を含む部分片とに分離するように構成されている。
【0027】
分離には、特に切断線に沿って延びる1つの損傷部または複数の損傷部における、特に力、モーメント、温度、振動の作用および/または平面基板の所定の切断線での破断が含まれていてもよい。
【0028】
加工ステーションのうちの1つまたは複数は、廃棄ステーションとして構成されていてもよく、廃棄ステーションは、基板支持体上に位置する平面基板の廃棄材料を、基板支持体上に位置する平面基板の利用材料から選別するように、特に所定の切断線に沿って分離された、基板の廃棄面を含む部分片を、切断線に沿って分離された、基板の利用面を含む部分片から選別するように構成されている。
【0029】
選別には、基板支持体からの廃棄材料、特に基板の廃棄面を含む部分片の除去が含まれていてもよい。
【0030】
選別にはさらに、基板支持体からの利用材料、特に基板の利用面を含む部分片の検出および分離が含まれていてもよい。
【0031】
本発明の1つの実施形態では、加工ステーションのうちの1つまたは複数は、分離ステーションとして構成されていてもよいし、廃棄ステーションとして構成されていてもよい。換言すると、加工ステーションは、組み合わせられた1つの分離・廃棄ステーションを構成していてもよい。
【0032】
さらに、別の処理ステーションが、組み合わせられたステーションとして構成されていてもよい。例えば、取出しステーションが廃棄ステーションに統合されており、これにより、廃棄材料の廃棄時に既に正味材料を検査し、取り出し、かつ包装することができる、ということが想定されていてもよい。
【0033】
さらに、例えば予備切断ステーションが廃棄ステーションに統合されていてもよい。この場合、例えばレーザユニット(例えばスキャナを備えたファイバレーザ)が取り付けられたロボットアームが設けられていてもよく、このロボットアームは、破断ユニットが取り付けられた別のロボットアームと交換されるように構成されている。例えば、取出しを行う第3のロボットアームがさらに設けられていてもよい。ただし択一的に、例えばその時々に相応する工具が取り付けられるロボットアームが設けられていてもよい。
【0034】
しかしながら一般に、個々の作業ステップを空間的かつ/または時間的に分離することが有利であり得るため、基本的に、各処理ステーションは空間的に切り離されて構成されていてもよい。
【0035】
加工ステーションのうちの1つまたは複数は、基板洗浄ステーションとして構成されていてもよく、基板洗浄ステーションは、基板支持体上に載置された、特に加工済みの平面基板および/または基板支持体上に位置する平面基板の利用材料、特に基板の利用面を含む部分片を洗浄するように構成されている。
【0036】
加工ステーションのうちの1つまたは複数は、検査ステーションとして構成されていてもよく、検査ステーションは、基板支持体上に載置された、特に加工済みの平面基板および/または基板支持体上に位置する平面基板の利用材料、特に基板の利用面を含む部分片を検査し、特にこれにより、欠陥、例えば破損または亀裂を識別するように構成されている。
【0037】
取出しステーションは、基板支持体から加工済みの平面基板および/または平面基板の利用材料、特に基板の利用面を含む部分片を取り上げて、例えば包装ボックス内にかつ/またはスタック上に下ろすために、取上げ装置を含んでいてもよい。
【0038】
取上げ装置は、好適にはハンドリングシステム、例えば門形システムまたはロボットアーム、および/または負圧モジュールを備えた吸着グリップ装置を含み、これにより、加工済みの平面基板および/または平面基板の利用材料、特に基板の利用面を含む部分片を吸着グリップ装置に吸着することができる。
【0039】
取出しステーションは、加工済みの平面基板および/または平面基板の利用材料、特に基板の利用面を含む部分片を検査してから取り上げるために、特に粒子、汚れ、欠陥、例えば幾何学形状的な欠陥、角度誤差、貝がら状破面、破損または亀裂を識別するために、検査装置を含んでいてもよい。
【0040】
処理ステーションのうちの1つは、基板支持体洗浄ステーションとして構成されており、基板支持体洗浄ステーションは、特に加工済みの平面基板および/または平面基板の利用材料、特に基板の利用面を含む部分片を基板支持体から取り出した後に、基板支持体を洗浄するように構成されている。さらにこの場合、場合により、付着に利用される表面力を調整する、ということが想定されていてもよい。
【0041】
積載ステーションは、搬送経路内で基板支持体洗浄ステーションと予備切断ステーションとの間に配置されていてもよく、好適にはこれらの間に直接配置されていてもよい。積載ステーションは、基板支持体搬送装置の第1または第2の搬送区間内に配置されていてもよい。
【0042】
予備切断ステーションは、搬送経路内で積載ステーションと分離ステーションとの間に配置されていてもよく、好適にはこれらの間に直接配置されていてもよい。予備切断ステーションは、基板支持体搬送装置の第2の搬送区間内に配置されていてもよい。
【0043】
分離ステーションは、搬送経路内で予備切断ステーションと廃棄ステーションとの間に配置されていてもよく、好適にはこれらの間に直接配置されていてもよい。分離ステーションは、基板支持体搬送装置の第2または第3の搬送区間内に配置されていてもよい。
【0044】
廃棄ステーションは、搬送経路内で分離ステーションと取出しステーションとの間に配置されていてもよく、好適にはこれらの間に直接配置されていてもよい。廃棄ステーションは、基板支持体搬送装置の第2または第3の搬送区間内に配置されていてもよい。
【0045】
組み合わせられた分離・廃棄ステーションの場合、この分離・廃棄ステーションは、搬送経路内で予備切断ステーションと取出しステーションとの間に配置されていてもよく、好適にはこれらの間に直接配置されていてもよい。組み合わせられた分離・廃棄ステーションは、基板支持体搬送装置の第2または第3の搬送区間内に配置されていてもよい。
【0046】
取出しステーションは、搬送経路内で廃棄ステーションと基板支持体洗浄ステーションとの間に配置されていてもよく、好適にはこれらの間に直接配置されていてもよい。取出しステーションは、基板支持体搬送装置の第3または第4の搬送区間内に配置されていてもよい。
【0047】
基板支持体洗浄ステーションは、搬送経路内で取出しステーションと積載ステーションとの間に配置されていてもよく、好適にはこれらの間に直接配置されていてもよい。基板支持体洗浄ステーションは、基板支持体搬送装置の第4の搬送区間内に配置されていてもよい。1つの改良では、本設備は、基板支持体搬送装置および/または複数の処理ステーションのうちの1つまたはいくつかが配置された清浄室および/またはクリーンルームと、好適には、清浄室および/またはクリーンルームに通じるエアロックとを含み、エアロックを介して、平面基板が設備に、例えばスタックまたは搬送区間に供給される。
【0048】
本設備は、平面基板用の原材料、特に縁取り部を有する未加工ガラスを溶融しかつ/または成形する装置に(特にクリーンルームに通じるエアロックを介して)直接接続されていてもよい。
【0049】
本発明はさらに、基板支持体上の平面基板、特に平面ガラス基板を複数のステップで処理する方法であって、平面基板を、積載ステーションとして構成された処理ステーションにおいて基板支持体上に載置し、基板支持体を、載置された平面基板と共に、積載ステーションから、基板支持体搬送装置により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーションを介して、加工ステーションとして構成された処理ステーションへ搬送し、基板支持体上に載置された平面基板を加工ステーションにおいて加工、例えば切断し、基板支持体を、載置された加工済みの平面基板と共に、加工ステーションから、基板支持体搬送装置により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーションを介して、取出しステーションとして構成された処理ステーションへ搬送し、基板支持体上に載置された加工済みの平面基板を取出しステーションにおいて基板支持体から取り出す、方法に関する。
【0050】
1つの好適な実施形態では、基板支持体は、取出しステーションから基板支持体搬送装置により再び積載ステーションに戻るように搬送される。
【0051】
1つの例示的な構成では、基板支持体を、載置された平面基板と共に、積載ステーションから、基板支持体搬送装置により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーションを介して、予備切断ステーションとして構成された加工ステーションへ搬送し、基板支持体上に載置された平面基板を予備切断ステーションにおいて所定の切断線に沿って予備切断し、基板支持体を、載置された予備切断済みの平面基板と共に、予備切断ステーションから、基板支持体搬送装置により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーションを介して、分離ステーションとして構成された加工ステーションへ搬送し、基板支持体上に載置された予備切断済みの平面基板を、分離ステーションにおいて所定の切断線に沿って複数の部分片に分離し、基板支持体を、平面基板の複数の部分片と共に、分離ステーションから、基板支持体搬送装置により直接、もしくは1つまたは複数の別の処理ステーションを介して、廃棄ステーションとして構成された加工ステーションへ搬送し(または分離ステーションとして構成された加工ステーションは、同時に廃棄ステーションとして構成されている)、平面基板の少なくとも1つの部分片を、廃棄ステーションにおいて選別する。
【0052】
既述のように、積載ステーションは、平面基板を取り上げるために、取上げ装置(未加工ガラス取上げ装置)を含んでいてもよく、かつ/または取出しステーションは、加工済みの平面基板および/または平面基板の利用材料を取り上げるために、取上げ装置(完成ガラス取上げ装置)を含んでいてもよい。このような取上げ装置は、以下でより詳しく説明するように、吸着グリップ装置として構成されていてもよい。これに関連して、独国特許出願第102021116381.1号明細書は、参照により本出願に組み込まれる。
【0053】
吸着グリップ装置は、特にロボットアームにつなぐための基体を含んでいてもよく、この場合、基体は、基板を取り上げる際に好適には少なくとも部分的に基板に対して平行に延在する平面を規定することができる。
【0054】
さらに吸着グリップ装置は、基体に配置された少なくとも1つのガス吸込み式の負圧モジュールならびに基体に配置された少なくとも1つのガス放出式の負圧モジュールを含んでいてもよい。
【0055】
ガス吸込み式の負圧モジュールは、好適には、特にベンチュリ効果によりガスを吸い込んで負圧を生ぜしめる少なくとも1つのガス吸込み開口を含み、これにより、基板を吸着グリップ装置に吸着することができる。
【0056】
ガス放出式の負圧モジュールは、好適には、特にベルヌーイ効果によりガスを放出して負圧を生ぜしめる少なくとも1つのガス放出開口を含み、これにより、基板を吸着グリップ装置に吸着することができる。
【0057】
換言すると、吸着グリップ装置は、異なる原理に基づく2つの負圧モジュールを含んでいてもよく、この場合、ガス吸込み式の負圧モジュールが、基板の上側でガスを吸い込むことにより負圧を生ぜしめるのに対し、ガス放出式の負圧モジュールは、基板の上側でガスを放出することにより負圧を生ぜしめ、この場合、基板に沿ってガスが急速に通過して流れることで、ベルヌーイ効果により、基板が引き付けられる。
【0058】
ガス吸込み式の負圧モジュールは、例えばベンチュリエジェクタとして構成されていてもよいか、またはベンチュリエジェクタを含んでいてもよい。ガス吸込み式の負圧モジュールは、特に以下のもの、すなわち、特に圧縮空気を流入させるガス流入部、特に圧縮空気を再流出させるガス流出部、ガス流入部からガス流出部に延びる、狭窄部を備えた接続部、およびベンチュリ効果により負圧を生ぜしめるためにガス流入部とガス流出部との間で分岐する、ガス吸込み開口への接続部を含んでいてもよい。
【0059】
ガス放出式の負圧モジュールは、例えばベルヌーイ浮動吸着体として構成されていてもよいか、またはベルヌーイ浮動吸着体を含んでいてもよい。ガス放出式の負圧モジュールは、特に以下のもの、すなわち、特に圧縮空気を流入させるガス流入部と、特に圧縮空気を再流出させる、ガス流入部からガス放出開口への接続部とを含んでいてもよく、この場合、ガス放出開口は、放出されたガスが、基体の平面に対して斜めに延びるように、好適には、取り上げようとする基体に斜めに当たり、これにより、ベルヌーイ効果により負圧を生ぜしめるように構成されている。
【0060】
ガス放出式の負圧モジュールもしくはベルヌーイ浮動吸着体のガス放出開口は、好適には、放出されたガスが円錐の形で放出され、かつ好適には基板の表面に円錐状に当たり、これにより、ガスが基板に沿って通過して流れ、円錐の内側に負圧が生じるように構成されている。円錐の垂線は、好適には基体の平面に対して垂直であり、かつ好適には、取り上げようとする基板の表面に対して実質的に垂直である。
【0061】
ガス吸込み式の負圧モジュールは、吸着グリップ装置により取り上げようとする基板に少なくとも部分的に接触する接触面を有していてもよく、この場合、接触面内には、ガス吸込み開口が切欠きとして配置されている。よって基板は、ガスの吸込みにより、接触面に吸着され得る。
【0062】
好適には、接触面内には複数のガス吸込み開口、例えば少なくとも10または例えば少なくとも50のガス吸込み開口、好適には少なくとも224のガス吸込み開口、特に好適には少なくとも1108のガス吸込み開口、さらに好適には少なくとも1662のガス吸込み開口が切欠きとして配置されている。
【0063】
さらに、ガス吸込み式の負圧モジュールの接触面は、好適には例えば100平方センチメートル、好適には少なくとも530平方センチメートルの面積、特に好適には少なくとも1280平方センチメートルの面積、さらに好適には少なくとも1984平方センチメートルの面積を有している。
【0064】
1つの好適な実施形態では、吸着グリップ装置は、複数のガス吸込み式の負圧モジュール、特にベンチュリエジェクタ、および/または複数のガス放出式の負圧モジュール、特にベルヌーイ浮動吸着体を有している。
【0065】
1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュール、特にその接触面は、好適には1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュール、特にそのガス放出開口よりも、基体の平面の中心の近くに配置されている。このことは好適には、基体の平面内に延びる少なくとも1つの方向に沿って当てはまり、特に好適には、基体の平面内で互いに垂直に延びる2つの方向に沿って当てはまる。
【0066】
1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュール、特にその接触面は、さらに好適には、ガス放出式の負圧モジュール同士の間、特にそのガス放出開口同士の間に配置されている。このこともやはり好適には、基体の平面内に延びる少なくとも1つの方向に沿って当てはまり、特に好適には、基体の平面内で互いに垂直に延びる2つの方向に沿って当てはまる。
【0067】
例えば、ガス放出式の負圧モジュール(もしくはベルヌーイ浮動吸着体)は、基体の縁部に配置されていてもよい。例えば、1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュールの、基体の縁部までの距離は、10センチメートル未満、特に5センチメートル未満、好適には3.5センチメートル未満、特に好適には0.4センチメートル未満であってもよい。
【0068】
吸着グリップ装置が、複数のガス吸込み式の負圧モジュール、特にベンチュリエジェクタと、複数のガス放出式の負圧モジュール、特にベルヌーイ浮動吸着体とを含む場合、ガス吸込み式の負圧モジュールとガス放出式の負圧モジュールとは、例えば基体の平面にわたり混合されて配置されていてもよい。この場合、しかしまた他の実施形態に関しても、ガス吸込み式の負圧モジュールのうちの複数またはいくつかは、個別にまたはグループ毎に制御可能であり、かつ/またはガス放出式の負圧モジュールのうちの複数またはいくつかは、個別にまたはグループ毎に制御可能であり、これにより特に、基体の平面内で局所的に限定された吸着を提供することができる、ということが想定されていてもよい。例えば取り上げようとする基板に関して縁部側に配置されたガス放出式の負圧モジュールの部分集合により局所的に限定された吸着および/または例えば取り上げようとする基板に関して中心に配置されたガス吸込み式の負圧モジュールの部分集合により局所的に限定された吸着が想定されていてもよい。これにより、例えば様々な基板サイズに対して可変に使用可能な吸着グリップ装置が提供され得る。
【0069】
1つの好適な実施形態では、吸着グリップ装置は、互いに反対の側に位置する縁部に縁取り部を備えたフレキシブルな薄い未加工ガラス板を取り上げるように構成されていてもよい。このような吸着グリップ装置は、「未加工ガラスグリッパ」と呼ばれることもある。この場合、吸着グリップ装置は、基板を取り上げる際に、一方の縁取り部から他方の縁取り部に向かって延びる第1の方向に沿って、凸面を規定する複数の、例えば帯状の負圧モジュール群を含んでいてもよい。
【0070】
例えば吸着グリップ装置は、少なくとも1つのガス吸込み式の負圧モジュール群を含み、このガス吸込み式の負圧モジュール群は、第1の方向に沿って、好適には基体の互いに反対の側に位置する縁部に配置された2つのガス放出式の負圧モジュール群の間に配置されている。
【0071】
ガス吸込み式の負圧モジュール群は、1つまたは複数の、例えば4つのガス吸込み式の負圧モジュールを含んでいてもよく、これらのガス吸込み式の負圧モジュールの接触面は、第1の方向に対して垂直に延びる第2の方向に沿って、好適には帯の形状で延びている。換言すると、ガス吸込み式の負圧モジュール群は、(縁取り部に対して垂直な)第1の方向に沿うよりも、(縁取り部に沿う)第2の方向に沿って長くなっていてもよい。
【0072】
ガス放出式の負圧モジュール群は、第1の方向に対して垂直に延びる第2の方向に沿って相並んで配置された複数のガス放出式の負圧モジュールを含んでいてもよい。
【0073】
1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュール、特にガス吸込み式の負圧モジュール群は、第1の吸着方向を規定することができ、特にガス吸込み式の負圧モジュールの接触面に対して垂直に延びかつ/または基体の平面に対して垂直に延びる第1の吸着方向を規定することができる。
【0074】
さらに、1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュール、特にガス放出式の負圧モジュール群は、第1の吸着方向に対して斜めに延びる第2の吸着方向を規定することができ、これにより特に、吸着方向は、凸面の(第1および第2の)垂線を規定することになり、これにより、凹状の湾曲部および/または互いに反対の側に位置する縁取り部を備えたフレキシブルな平面基板を取り上げることができる。
【0075】
1つの改良では、吸着グリップ装置は、調節装置を含んでいてもよく、調節装置は、第1の吸着方向と第2の吸着方向との間の傾斜を変化させるように構成されている。このためには例えば、調節機構が設けられていてもよく、これにより、ガス放出式の負圧モジュールもしくはガス放出式の負圧モジュール群と、ガス吸込み式の負圧モジュールもしくはガス吸込み式の負圧モジュール群との間の傾斜を変化させることができる。特に、ベルヌーイ吸着体の傾斜度が可変に調節可能に構成されていてもよい。これにより、例えばベルヌーイ吸着体を、取り上げようとする基板により一層密着させることができる。縁取り部を備えた未加工ガラススタックを解体する際に、例えば傾斜度を徐々に低減させることができ、これにより、取り上げようとする基板の凹状の反りが徐々に減少するという事実を考慮することができる。
【0076】
1つの好適な実施形態では、吸着グリップ装置は、縁取り部なしのフレキシブルな薄い完成ガラス板を取り上げるように構成されていてもよい。このような吸着グリップ装置は、「完成ガラスグリッパ」と呼ばれることもある。この場合、吸着グリップ装置は、実質的に1つの平坦な面を規定する複数の負圧モジュールを含んでいてもよい。
【0077】
例えば吸着グリップ装置は、少なくとも1つのガス吸込み式の負圧モジュールを含み、このガス吸込み式の負圧モジュールは、第1の方向と、第1の方向に対して垂直に延びる第2の方向との両方に沿って、好適には基体の角隅部または縁部領域に配置された少なくとも4つのガス放出式の負圧モジュールの間に配置されている。
【0078】
さらに、1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュールは、4つのガス放出式の負圧モジュールにより規定された四角形の内側に配置されていてもよく、この場合、好適には、吸着グリップ装置の全てのガス吸込み式の負圧モジュールが、このような四角形の内側に配置されている。つまり例えば、吸着グリップ装置は、ガス放出式の負圧モジュールにより規定された包囲輪郭の外側には、ガス吸込み式の負圧モジュールを有していない、ということが想定されていてもよい。
【0079】
1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュールは、第1の吸着方向を規定することができ、1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュールは、第2の吸着方向を規定することができ、この場合、第1の吸着方向と第2の吸着方向とは互いに平行に延びており、特にガス吸込み式の負圧モジュールの接触面に対して垂直にかつ/または基体の平面に対して垂直に延びている。
【0080】
1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュールは、第1の吸着方向に沿って、第2の吸着方向に沿って、ガス吸込み式の負圧モジュールの接触面に対して垂直に、かつ/または基体の平面に対して垂直に後退させられており、好適には少なくとも0.2センチメートルだけ、特に好適には少なくとも0.45センチメートルだけ、さらに好適には少なくとも0.5センチメートルだけ後退させられている、ということが想定されていてもよい。
【0081】
一般に吸着グリップ装置において、1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュールと、1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュールとは、好適にはそれぞれ独立したコンポーネントとして構成されており、これらは、例えば市場流通コンポーネントとして入手可能であってもよい。よってこれらのモジュールは、好適には互いに分離されておりかつ/または離間されていてもよく、これにより、互いに及ぼし合う影響を最小化することができる。
【0082】
例えばガス吸込み式の負圧モジュール、特にその接触面と、ガス放出式の負圧モジュール、特にそのガス放出開口との間には、少なくとも1センチメートルの間隔が存在していてもよく、好適には少なくとも2センチメートルの間隔が存在していてもよく、特に好適には少なくとも4センチメートルの間隔が存在していてもよい。
【0083】
好適には、1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュールと、1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュールとは別個に制御可能であり、これにより特に、最初にガス放出式の負圧モジュールによりフレキシブルな平面基板を吸着することができ、その後にガス吸込み式の負圧モジュールにより吸着することができるようになっている。
【0084】
さらに、1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュールはそれぞれ、少なくとも12ニュートン、好適には少なくとも37ニュートン、特に好適には少なくとも43ニュートンの保持力を有しており、かつ/または、1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュールはそれぞれ、少なくとも1.8ニュートン、好適には少なくとも3.2ニュートン、特に好適には少なくとも5.4ニュートンの保持力を有している。
【0085】
好適には、1つまたは複数のガス吸込み式の負圧モジュールは、可変に制御可能であり、これにより、少なくとも2つの異なる値の保持力を生ぜしめることができる。さらに好適には、1つまたは複数のガス放出式の負圧モジュールは、可変に制御可能であり、これにより、少なくとも2つの異なる値の保持力を生ぜしめることができる。特にこれにより、吸着グリップ装置は、空気不透過性の基板用と、空気透過性の基板用とが組み合わせられた吸着グリップ装置として構成されていてもよい。
【0086】
既述のように、処理ステーションのうちの1つまたは複数は、基板を基板支持体の方向に作用する力にさらすための手段を含んでいてもよい。この場合、以下により詳細に説明するように、これらの手段は例えば、基板を、作用ゾーンの範囲内、例えば基板の利用面の範囲内でのみ、基板支持体の方向に作用する力にさらすように構成されていてもよい。これに関連して、独国特許出願第102020134451.1号明細書は、参照により本出願に組み込まれる。
【0087】
これらの手段は例えば、基板支持体に設けられた開口または基板支持体の連続多孔に負圧を印加するために負圧源として構成されていてもよいか、または例えばホルダとして、または例えば電圧源として構成されていてもよい。
【0088】
例えば、各処理ステーションは、負圧源、ホルダおよび/または電圧源を有していてもよく、これにより、相応する作用ゾーン内に力を生ぜしめることができる。基板支持体の搬送中は力が加えられない、ということが想定されていてもよい。
【0089】
他方では、基板支持体の移動中もしくは搬送中に力が維持され続ける、ということが想定されていてもよい。例えば、基板支持体は負圧源を含み、これにより、例えば基板支持体の移動中にも負圧が生じる。この場合、例えば基板を複数の処理ステーションにわたり位置固定し続けることができる。したがってこの緊締技術は、基本的に搬送中も、つまり例えば2つの加工ステーション間の移行中も維持し続けることができる。
【0090】
加工ステーション、特に予備切断ステーションは、例えば平面基板、特にガラス基板を加工する、特に予備切断する方法を実施するように構成されていてもよく、この場合、基板は、基板支持体上に載置され、作用ゾーンの範囲内で、基板支持体の方向に作用する力にさらされ、これにより特に、基板は、作用ゾーンの範囲内では基板支持体に近づけられ、かつ補償ゾーンの範囲内では、基板支持体の方向に作用する力にさらされないようになっており、これにより特に、基板は補償ゾーンの範囲内で一時的な変形部を形成することができる。
【0091】
この例では、基板が、特に作用ゾーンの範囲内では緊締されるが、ただし補償ゾーンの範囲内では緊締されないことにより、ガラス基板の平坦性を局所的に高めることができ、これにより、例えばレーザフィラメンテーション、刻み込みまたは別の形態の加工による処理が可能になる。同時に、その際に基板に生じる応力を小さく保つことができ、特に、全面的に緊締された、すなわち全体的に平らに引き伸ばされた基板におけるよりも小さく保つことができる。その理由は、変形に必要とされるエネルギが極めて小さく、ひいては変形により生じる追加的な応力も極めて小さいという点にある。
【0092】
基本的に、局所的に限定された作用ゾーンが、基板の任意の箇所に設けられていてもよく、作用ゾーンは特に、基板が加工される箇所および/または局所的に高められた平坦性が生じる箇所とは異なっていてもよい。
【0093】
つまり、例えば材料は、処理すべきゾーンから離れた、特に最大限に離れた小さな作用ゾーン内でのみ位置固定され得る。ただし、レーザを用いた加工の場合だけでなく全般的に、これにより達成される処理ゾーン内の平坦性が、例えばガラス板をレーザにより焦点位置で処理するためには往々にしてまだ十分ではないことがある。
【0094】
したがって、レーザを用いた加工の場合だけでなく全般的に、ガラス板を、十分に小さな範囲内で処理ゾーン内または処理ゾーンの周囲に緊締し、これにより、ガラス板をこのゾーン内で十分に平坦に基板支持体上に載置することも考えられる。
【0095】
加工ステーション、特に予備切断ステーションにより好適に実施可能な、平面基板を加工、特に予備切断する方法は、好適にはさらに、基板が作用ゾーンの範囲内で基板支持体の方向に作用する力にさらされている間に基板を加工する、特に例えばレーザフィラメンテーション、刻み込み、または任意の予備切断形式全般により予備切断するステップを含む。
【0096】
加工ステーション、特に予備切断ステーションにより好適に実施可能な方法は、例えば特に、薄い大面積の基板に適しており、この場合、基板は、利用面と廃棄面(例えば縁取り部)とを有していてもよい。基板は、特に内在的な材料応力を有する、好適には脆性破壊し易い材料、例えばガラス、ガラス状の材料、セラミックまたはガラスセラミックを含むか、またはこのような材料から成る。
【0097】
好適には、基板は利用面の領域に、100μm未満、好適には70μm未満、特に好適には50μm未満または40μm未満の厚さを有している。
【0098】
好適には、基板は廃棄面の領域に、より大きな厚さを有しており、特に利用面の領域における厚さよりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも5倍大きな厚さを有している。
【0099】
廃棄面は、好適には基板の縁部に沿って延在する、基板の1つの縁部領域、特に好適にはそれぞれ基板の縁部に沿って延在する、基板の互いに反対の側に位置する2つの縁部領域を含み、これらの縁部領域の間に利用面が位置しており、この場合、基板の1つの縁部領域または互いに反対の側に位置する2つの縁部領域は、例えば縁取り部として構成されていてもよい。
【0100】
廃棄面はさらに、基板の、それぞれ廃棄面に対して垂直な縁部に沿って延在する1つまたは2つの別の縁部領域を含んでいてもよく、これにより例えば四角形の基板の場合には、各縁部に沿って切断されるべき縁部領域が設けられている。
【0101】
基板は、100mm超の、好適には300mm超の、特に好適には500mm超の、または600mm超の、または700mm超の長さを有している。長さとは特に、縁取り部に沿って延在する寸法を意味する。
【0102】
基板は、100mm超の、好適には300mm超の、特に好適には500mm超の、または600mm超の、または700mm超の幅を有している。幅とは特に、縁取り部に対して垂直に延在する寸法を意味する。
【0103】
全体として基板は、0.01m超の、0.1m超の、または0.25m超の面積を有していてもよい。
【0104】
既述のように、基板は、加工ステーション、特に予備切断ステーションでは力に全面的にではなく、局所的にさらされるだけに過ぎなくてもよい。内側で基板が基板支持体の方向に作用する力にさらされる作用ゾーンは、特に基板の面積の80%未満、好適には基板の面積の60%未満、特に好適には基板面積の40%未満である。
【0105】
内側で基板が基板支持体の方向に作用する力にさらされない補償ゾーンは、特に基板の面積の20%超、好適には基板の面積の40%超、特に好適には基板面積の60%超である。
【0106】
特にレーザによる加工の場合だけでなく全般的に、基板を加工領域内で、加工領域の近傍で、または加工領域の周囲において力にさらすことが考えられる場合がある。この場合だけでなく全般的に、処理すべきゾーンの周りの幅の横方向の形態は、材料固有の応力から経験に基づき規定され得る、または規定可能であってもよい。これらは熱間成形工程および材料に応じて、極めて異なる場合がある。
【0107】
例えば、力が作用する作用ゾーンは、廃棄面、特に縁部領域、特に縁取り部の少なくとも一部、ならびに基板の利用面の一部を含む、ということが想定されていてもよい。
【0108】
好適には、作用ゾーンは、特に基板の長さに沿って延び、特に縁取り部に沿って延びる帯として形成されていてもよく、この場合、帯は、好適には基板の幅の50%未満、特に好適には基板の幅の40%未満、または基板の幅の30%未満の幅を有している。
【0109】
1つの例示的な実施形態では、作用ゾーンは、例えば内側にのみまたは外面にのみ設けられていてもよいか、または切断部が異なる場合には組合せが想定されていてもよい。
【0110】
本例では、作用ゾーンの範囲内で基板支持体の方向に作用する、例えばガラス板の局所的な位置固定を生ぜしめる力は、様々な機構により発生させられてもよく、この場合、例えば真空、静電気または機械、または力を発生させる別の形態も考慮される。
【0111】
作用ゾーンの範囲内で基板支持体の方向に作用する力は、特に基板支持体に設けられた開口または基板支持体の連続多孔を介して、基板の、基板支持体に面した表面に負圧を印加することにより生ぜしめられてもよい。力は、例えばホルダにより上方から基板に加えられてもよい。さらに、力は電圧源(例えば充電システム、イオン化システム)により生ぜしめられてもよい。
【0112】
作用ゾーンの範囲内で基板支持体の方向に作用する力は、基板および/または基板支持体の静電気の帯電により生ぜしめられてもよい。
【0113】
作用ゾーンの範囲内で基板支持体の方向に作用する力はさらに、基板支持体に基板を機械的に押し付ける、または引き付けることにより生ぜしめられてもよい。
【0114】
つまり一般に、基板が作用ゾーンの範囲内でさらされている、基板支持体の方向に作用する力は、物理的な意味では特に面積に関係する力(「圧力」または「単位面積当たりの力」)のことであってもよい。
【0115】
作用ゾーンの範囲内に力がどのように生ぜしめられるのかとは関係なく、基板の平坦性を、特に作用ゾーンの範囲内で、しかし基本的には作用ゾーンの外側でも高めることができる。同時に、作用ゾーンが局所的に限定されていることにより、基板に生じる応力を小さく保つことができ、特に、全体的に緊締された基板におけるよりも小さく保つことができる。
【0116】
基板が作用ゾーンの範囲内で、基板支持体の方向に作用する力にさらされている間の、基板支持体と、作用ゾーンの範囲内の基板との間の最大間隔は5mm未満、好適には3mm未満、特に好適には1mm未満であってもよい。
【0117】
このようにして生ぜしめられた状態は、双安定と呼ばれてもよい。例示的に挙げられた数値は、局所的に与えられているだけに過ぎない。さらにこの間隔は往々にして、材料厚さおよび/または初期材料応力に左右されることがある。一例では、上述の値は、例えば100μm未満、特に70μm未満、または50μm未満の厚さを有する基板の場合に与えられていてもよい。一例では、前記数値は、外部からのさらなる作用なしで載置面にわたり4mm超の隆起部を点状に有する基板に生じ得る。
【0118】
さらに、基板が作用ゾーンの範囲内で、基板支持体の方向に作用する力にさらされている間の、特に作用ゾーンと補償ゾーンとを含む基板における最大引張り応力は、50MPa未満、好適には30MPa未満、特に好適には20MPa未満であってもよい。
【0119】
さらに、基板が作用ゾーンの範囲内で力にさらされている間の、基板における作用ゾーンの範囲内の最大引張り応力は、33MPa未満、好適には20MPa未満、特に好適には15MPa未満であってもよい。
【0120】
上述した引張り応力と比較して、全面的に平坦に引き伸ばされた基板における一例では、縁部領域に最大100MPaのまたは100MPaの範囲内の引張り応力が形成されることがある。
【0121】
上述のMPa値は、例えばシミュレーションにより求めることができる。所定のゾーンを緊締することにより、応力をより大幅に縁部に移動させることができる。
【0122】
既述のように、加工ステーション、特に予備切断ステーションにより好適に実施可能な、平面基板を加工、特に予備切断する方法は、好適には、基板が作用ゾーンの範囲内で力にさらされている間に基板を加工する、特に予備切断するステップも含む。
【0123】
基板の加工、特に予備切断は、好適には所定の切断線に沿って行われ、切断線は、少なくとも部分的に、または大部分が作用ゾーン内に延びていてもよい。
【0124】
所定の切断線は、好適には基板の長さに沿って、特に縁取り部に沿って延びており、この場合、切断線は、特に廃棄面を利用面から切り離すため、廃棄面は切り離し可能であり、利用面から、ガラス基板が最終製品として製造され得る。
【0125】
基本的に、切断線は直線状に延びていてもよく、湾曲して延びていてもよく、かつ/または交差し合う複数の切断線が設けられていてもよい。特に、交差し合う切断線の場合には、順次処理が想定されていてもよい。
【0126】
基板の加工、特に予備切断には、好適には、特に作用ゾーンの範囲における基板内へのレーザ光線の導入が含まれる。この場合、特に所定の切断線に沿って相並んで互いに離間された損傷部が基板内に導入されてもよく、この場合、損傷部は、好適にはフィラメント状の損傷部として形成されており、特に好適には超短パルスレーザのパルス状のレーザ光線により生ぜしめられる。
【0127】
基板の加工、特に予備切断には一般に、特に作用ゾーンの範囲における基板内へのあらゆる種類の予備損傷部の導入が含まれていてもよい。この場合、特に所定の切断線に沿って損傷部が基板内に導入されてもよく、この場合、損傷部は、例えばレーザにより、刻み込みホイールにより、ニードル(例えばダイヤモンドニードル)により、または基板を加工する別の工具により生ぜしめられてもよい。
【0128】
本例では内側で基板が基板支持体の方向に作用する力にさらされる作用ゾーンは、特に帯として第1の縁取り部に沿って形成されていてもよく、所定の切断線(この切断線に沿って基板の予備切断が行われる)は、この縁取り部の隣に延びていてもよく、特に基板の全長に沿って延びていてもよく、これにより、縁取り部を切断線に沿って切り離すことができるようになっている。
【0129】
加工ステーション、特に予備切断ステーションにより好適に実施可能な方法の利点は、全体的な応力が小さく保たれるため、ガラス縁部にわたり基板の予備損傷部を生ぜしめることもできる、という点にある。これに対して試験では、全面的に位置固定した場合には、予備損傷部をガラス縁部にわたり導入することができるまでには到らないことが多く、制御されない切断が行われないようにするためには十分な間隔が必要である、ということが示された。その原因は、大きな局所波長(ドーム、鉢、サドル)の主変形部を平坦に引き伸ばすことにより基板縁部に生じる引張り応力が、予備損傷部の破断強さをしばしば上回るほど高いことにある。
【0130】
1つの改良では、工程に応じて特定の範囲を局所的に緊締しかつ/または平坦に位置固定することができる、様々な組合せ可能な作用ゾーンが設けられていてもよい。
【0131】
好適には、例えば第1の縁取り部とは反対の側に位置する第2の縁取り部に沿った帯として形成された第2の作用ゾーンが設けられていてもよく、かつ第2の縁取り部の隣に延びている、特に基板の全長に沿って延びている第2の所定の切断線が設けられていてもよく、これにより、第2の縁取り部を切断線に沿って切り離すことができるようになっている。
【0132】
さらに、第3の作用ゾーンおよび場合により第4の作用ゾーンが設けられていてもよく、これらは例えば、それぞれ縁取り部に対して垂直に延びる縁部領域に沿った帯として形成されており、かつ第3の所定の切断線および場合により第4の所定の切断線が設けられていてもよく、これらはそれぞれ基板の縁部の隣に延びており、これにより、各縁部領域を切断線に沿って切り離すことができるようになっている。
【0133】
複数の作用ゾーンの場合には、力作用が複数の作用ゾーン内で時間的に相前後して生じてもよい。力作用が1つの特定の作用ゾーン内に生じている間に、好適には付属の、すなわち特にこの作用ゾーンを通って延びる切断線に沿って予備切断が実施される。さらに、力作用が複数の作用ゾーンの複数の作用ゾーン群内で同時に生じ、かつ作用ゾーン群の間で時間的に相前後して生じる、ということが想定されていてもよい。例えば、各ゾーンは「重畳」している、つまり、例えば複数のゾーンが同時に作動する(例えば第1のゾーンと第2のゾーンとが作動し、その後に第3のゾーンと第4のゾーンとが作動する)ような時系列で作動させられてもよい。
【0134】
特に、設けられた1つまたは複数の切断線に沿って基板の予備切断が行われた(例えば予備切断用に構成された加工ステーションにおいて行われた)後に、設けられた1つまたは複数の切断線に沿って基板の切断が行われてもよい(例えば切断用に構成された加工ステーションにおいて行われてもよい)。
【0135】
切断中も、基板は、やはり好適には基板支持体の方向に作用する力にさらされていてもよく、この場合、この力は、特に利用面の領域に作用していてもよい。
【0136】
設けられた1つまたは複数の切断線に沿って基板の予備切断が行われる(例えば予備切断用に構成された加工ステーションにおいて行われる)前に、さらに、基板支持体への基板の接触が行われてもよい(特に、接触用に構成された加工ステーションにおいて行われてもよい)。
【0137】
接触中も、基板は、基板支持体の方向に作用する力にさらされてもよく、この力は、例えば利用面の領域と、廃棄面の領域にも作用してもよく、この場合、この力は、特に最初に利用面の領域に作用し、その後、廃棄面の領域に作用し、これにより、基板を内側から外側に向かって基板支持体に接触させることができる。
【0138】
基板支持体は、特に可動に構成されていてもよく、例えば本方法の最中に1つの加工ステーションから次の加工ステーションへ移動させられてもよい。基板支持体は、例えば設備内で可動であってもよい。基板支持体は、例えばステーションまたは設備間で(例えばローラコンベヤ、ロボット、および/または無人搬送システムにより)搬送され得るように、搬送可能に構成されていてもよい。
【0139】
さらに基板支持体は、載置された基板を作用ゾーン内で、基板支持体の方向に作用する力にさらすための手段を有していてもよい。これらの手段は、例えば基板支持体に設けられた開口として、または基板支持体の連続多孔として形成されており、これにより、基板支持体上に載置された基板に負圧を加えることができるようになっている。
【0140】
基板支持体に設けられた開口の場合、これらの開口は、例えば0.5mm~12mm、好適には1mm~6mmの直径を有していてもよい。開口は、例えば円筒状またはほぼ円筒状の通路として形成されていてもよい。連続多孔の場合、これは粉末冶金工程から生じ得る。
【0141】
一般に、力を加える手段は、好適には、力を局所的に加えることを保証するように構成されていてもよい。例えば、緊締システム(例えば真空もしくは真空システム)の構造が十分に良好に局所的に構成され得る、ということが想定されていてもよい。この場合、好適には、別のゾーンへのクロストークが排除される、または十分に回避される。真空の場合、このことは往々にして、開口の小さな直径により支援され得る。
【0142】
基板支持体は、基本的に様々な材料を含んでいてもよいか、または様々な材料から成っていてもよく、例えばプラスチックまたはセラミックを含んでいてもよいか、またはプラスチックまたはセラミックから成っていてもよい。
【0143】
基板支持体は、好適には可動にかつ/または搬送可能に構成されており、これにより、載置された基板と共に、特に1つの加工ステーションから次の加工ステーションへ、かつ/または設備間を移動させられてもよい。
【0144】
1つの例示的な実施形態では、基板支持体は、力を加える手段が内側に配置された作用領域を含み、この場合、作用領域は、基板支持体の面積の80%未満、好適には基板支持体の面積の60%未満、特に好適には基板支持体の面積の40%未満であり、かつ/または基板支持体は、力を加える手段が内側に配置されていない補償領域を含み、この場合、補償領域は、基板支持体の面積の20%超、好適には基板支持体の面積の40%超、特に好適には基板支持体の面積の60%超である。
【0145】
作用領域は、基板支持体の面積の70%未満、または基板支持体の面積の30%未満であってもよい。
【0146】
作用領域は、例えば帯として形成されていてもよく、帯は、特に基板支持体の幅の50%未満、特に好適には基板支持体の幅の40%未満、または基板支持体の幅の30%未満の幅を有している。基板支持体は、さらに好適には、特に好適には第1の作用領域に対して平行に延びる第2の作用領域を含んでいてもよく、さらに好適には、特に好適には第1の作用領域もしくは第2の作用領域に対して垂直に延びる第3の作用領域および場合により第4の作用領域を有していてもよい。
【0147】
帯として形成された作用領域は、基板支持体の幅の70%未満の幅を有していてもよい。
【0148】
以下に、本発明をいくつかの図面に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0149】
図1】第1の実施形態による、平面基板を処理する設備の概略図である。
図2】第2の実施形態による、平面基板を処理する設備の概略図である。
【0150】
図1には、基板支持体10(キャリア)上に載置された平面ガラス基板1を後処理する設備100が示されている。この設備は、循環装置もしくは回転台として構成された、4つの搬送区間112,114,116,118を備えた基板支持体搬送装置110を含み、搬送区間112,114,116,118はそれぞれ、矢印で示された搬送方向を有している。さらに設備100は、空間的に互いに切り離された複数の処理ステーション200を含み、これらの処理ステーション200は、基板支持体搬送装置110により互いにつながれており、これにより、基板支持体10をそれぞれ搬送方向に沿って1つの処理ステーション200から次の処理ステーション200に搬送することができるようになっている。
【0151】
この例では、第1の搬送区間112に配置された処理ステーション200は、平面基板1を基板支持体10上に載置するために、積載ステーション300として構成されている。第2の搬送区間114に配置された処理ステーション200は、基板支持体10上に位置する基板1に加工ステップを施すために、加工ステーション500として構成されている。第3の搬送区間116に配置された処理ステーション200は、加工済みの基板を取り出すために、取出しステーション400として構成されている。搬送区間118を経て、空の基板支持体10が積載ステーション300に戻る。
【0152】
図2にも同様に、ガラス基板1、特にUTGを後処理する設備100が示されている。この設備100は、積載ステーション300として構成された処理ステーション200を含み、この場合、積載ステーション300は、特に検査装置を含んでいてもよく、これにより、平面基板を検査してから取り上げることができる。設備100は、この例ではさらに任意には、清浄室/クリーン室に通じるエアロック600を含む。さらに設備100は、予備切断ステーション501として構成された加工ステーション500を含み、この加工ステーション500では、基板がレーザにより切断線に沿って予備切断される。さらに設備100は、組み合わせられた分離・廃棄ステーション504として構成された加工ステーション500を含み、この加工ステーション500では、基板が切断線に沿って破断され、利用材料と廃棄材料とが分離されて、廃棄材料が選別される。さらに設備100は、取出しステーション400として構成された処理ステーション200を含み、この場合、この処理ステーション200は、特に検査装置を含んでいてもよく、これにより、加工済みの平面基板を検査してから取り上げ、場合により選別することができる。さらに設備100は、基板支持体10を洗浄しかつ/または浄化するために基板支持体洗浄ステーション450として構成された処理ステーション200を含み、この場合、場合により付着に利用される表面力の調整を行うこともできる。
【0153】
オンライン工程でUTGを製造する場合、水平方向の加速または横方向の加速は困難である一方で、このことは、基板支持体により可能である。後処理工程は、特に下流のオフライン工程を意味していてもよく、これによりもはや、上流のオンライン工程において、例えば切断等の特定の工程ステップを実施するためにガラス帯材を停止させる必要がなくなる。つまり工程チェーンを、未加工ガラス生産と後処理(ポストプロセス)とに、特に空間的に分離することができる。例えば、包装および搬送の中間ステップが、成形と切断との間に設けられていてもよい。しかしまた、上流の工程、例えば成形にすぐつながった後処理が想定されていてもよい。
【0154】
未加工ガラス製造は、例えば溶融工程に供給される混合物を含んでいてもよく、溶融工程には、成形、ガラス欠陥および/または厚さ測定のオンライン検査が続く。このことから、往々にしてまだ最終サイズを有していない、縁取り部を備えた未加工ガラス板(UTG)が生じ得る。搬送は、例えば未加工ガラス箱または別のあらゆる適切な搬送システムで行われてもよい。
【0155】
オフライン後処理ラインは、説明したように環状構想もしくは循環装置として構成されていてもよく、この場合、後処理は、好適には清浄室またはクリーンルーム条件および/または調整された環境条件(T、p、湿度等)下で行われてもよい。
【0156】
1つの例示的な設備は、例えば以下の態様、特にステーションのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。すなわち:
i.未加工ガラス基板(破損、亀裂等)の検査を行うステーション
ii.(分離(スペーサ)材料、例えば枚葉紙の任意の選別を含む)未加工ガラス基板の自動化された取出し、および基板支持体上への未加工ガラス基板の熟練した載置を行うステーション
iii.任意:(ここまたはv.で)未加工ガラス基板の洗浄を行うステーション
iv.基板支持体上に未加工ガラス基板(1つまたは複数の未加工ガラス基板)を載置するステーション
v.任意:未加工ガラス基板の洗浄を行うステーション(上記iiiを参照)
vi.任意:未加工ガラス基板の正しい位置のチェック(基板支持体上のガラス位置に対するレーザ切断装置の調整)を行うステーション
vii.任意:フィラメント化の適合のためのガラス欠陥の検査および位置確認を行うステーション
viii. 所望のサイズ(例えばGen2、Gen3、Gen5ならびにウェハおよび自由形状)への切断(レーザ切断、ホイール切断、ダイヤモンド切断、ウォータージェット切断、超音波切断)を行うステーション
ix.破断もしくは分離を行うステーション
x.切断片(廃棄品を含む)、縁取り部の廃棄を行うステーション
xi.場合により任意の、ガラス基板の洗浄を行うステーション
xii.検査(縁部、破損、サイズ)を行うステーション
xiii.基板支持体からのガラス基板の取り出し(手動および/または自動)を行うステーション
xiv.分離(スペーサ)材料(枚葉紙)の挿入を含む包装(最終包装)を行うステーション
xv.基板支持体の洗浄を行うステーション
xvi.ステップivへの基板支持体の供給を行うステーション。
【0157】
1つの例示的な設備により、例えば以下のステップのうちの1つまたは複数を含む、連続的または断続的な方法が実現され得る。すなわち:
1)混合物を溶融するステップ、
2)ガラス溶融物を精製するステップ、
3)ガラス溶融物を均質化するステップ、
4)ダウンドロー法またはオーバフローダウンドロー法を用いてエンドレスガラス帯材を成形するステップ、
5)ガラス帯材を冷却するステップ、
6)ガラス欠陥に関してガラス帯材を検査するステップ、
7)ガラス帯材を個々のガラス板に切断するステップ、
8)ガラス板を適切な搬送用パッケージもしくは保管用パッケージに収納するステップ、
9)ガラス板を後処理ラインに送り込むステップ、
10)ガラス欠陥および/または亀裂に関してガラス板を検査するステップ、
11)ガラス板を適切な基板支持体に移すステップ、
12)基板支持体上のガラス板を切断装置に導入するステップ、
13)ガラス板に目標破断箇所を形成するステップ、
14)目標破断箇所においてガラス板を破断するステップ、
15)基板の利用面と基板の廃棄面とを分離するステップ、
16)「正味材料」を任意に洗浄し、「正味材料」を検査するステップ、
17)基板支持体から「正味材料」を取り出すステップ、
18)適当な搬送用パッケージに「正味材料」を包むステップ、
19)基板支持体を洗浄し、かつ基板支持体を移送ステーション(11)に供給するステップ、
20)包装された「正味材料」を後処理ラインから導出するステップ。
【0158】
本発明の利点は特に、(熱間製造における)溶融運転中の停止時間なしでの、切断しようとするサイズのフレキシブルな適合、顧客への最終製品の引き渡しによる、特に顧客サイズへの切断による製品の価値向上、熱間成形およびオフライン後加工のサイクル時間に関する高いフレキシビリティ、特に溶融運転中に連続的に同じ未加工ガラスが製造可能である場合には、溶融運転中の短い切替え時間(高い最適化度)にある。このことから溶融運転に、最終的な製品サイズからの独立性、特に「低温終端部」の減少による、熱間製造における所要面積の低減が生じる。さらに、工程チェーンをオンライン処理/オフライン処理に分離することにより、より高い設備総合効率(英語ではOEE:Overall Equipment Effectiveness)と停止時間の最小化とをもたらしかつ/または後処理時のクリーンルームまたは清浄室条件を可能にすることができる。工程チェーンの分離はさらに、より高精度の切断と、任意には、包装および引き渡し前の追加的な品質チェックと、例えば複数の後処理ラインを並行して運転することによる簡単な規模拡大とを可能にする。追加的に、溶融槽が1年中、1種類のガラスおよび/またはガラス厚さで利用し尽くされずに済み、これにより、別の種類のガラスおよび別のサイズの生産に利用され得る。最後に本発明は、本来の切断前の、ガラス基板における基板面積の選択を可能にし、このことは、熱間製造における廃棄品の減少をもたらすことができる。
【0159】
本発明による設備では、基板毎に20秒未満、好適には15秒未満、特に好適には10秒未満のサイクル時間が想定されていてもよい。このことは例えば、最大のOEEおよびサイクル速度を生ぜしめるために、1つの上流の生産ライン(熱間製造装置/溶融槽)から複数の設備に供給することを可能にする。小さなサイズには、往々にしてさらにより短いサイクル時間が想定されていてもよい。本発明は、好適には超薄板ガラス、薄板ガラス、平板ガラス、ウェハ、フィルムまたはその他の薄い基板の処理に適している。
図1
図2
【国際調査報告】