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特表2024-533144NOx吸着剤DOC(NA-DOC)触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】NOx吸着剤DOC(NA-DOC)触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/58 20060101AFI20240905BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240905BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240905BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20240905BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B01J23/58 A
B01D53/94 222
B01D53/94 ZAB
B01D53/94 228
F01N3/08 A
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513847
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2022075372
(87)【国際公開番号】W WO2023041514
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】21196664.3
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ニゲバウム、アルネ トビアス
(72)【発明者】
【氏名】グルバート、ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ローマイヤー、スヴェン ジャレ
(72)【発明者】
【氏名】エンメズ、エムレ
(72)【発明者】
【氏名】ノイバウアー、トルステン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB02
3G091AB06
3G091BA14
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4G169FA01
4G169FA02
4G169FB15
(57)【要約】
本発明は、排気ガスを処理するためのNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒であって、基材であって、入口端部、出口端部、当該入口端部から当該出口端まで延びる基材軸方向長さ、及びそれを通して延びる基材の内壁によって画定される複数の通路を備える、基材と、第1のNOx吸着剤(NA)コーティングであって、セリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料上に担持されたパラジウムを含む、第1のNAコーティングと、第2のNOx吸着剤(NA)コーティングであって、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属及び第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分のうちの1つ以上を含む、第2のNAコーティングと、ディーゼル酸化触媒(DOC)コーティングであって、第3の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分を含む、DOCコーティングと、を含む、NOx吸着剤ディーゼル酸化触媒に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを処理するためのNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)であって、
(i)基材であって、入口端部、出口端部、前記入口端部から前記出口端部まで延びる基材軸方向長さ、及びそれを通して延びる前記基材の内壁によって画定される複数の通路を備える、基材と、
(ii)第1のNOx吸着剤(NA)コーティングであって、セリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料上に担持されたパラジウムを含む、第1のNAコーティングと、
(iii)第2のNOx吸着剤(NA)コーティングであって、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属及び第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分のうちの1つ以上を含む、第2のNAコーティングと、
(iv)ディーゼル酸化触媒(DOC)コーティングであって、第3の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分を含む、DOCコーティングと、を含み、
前記第1のNAコーティング(ii)が、前記基材の前記出口端部から前記入口端部に向かって、前記基材軸方向長さのx%にわたって前記基材(i)の前記内壁の表面上に配置され、xが、20~70の範囲であり、
前記第2のNAコーティング(iii)が、前記基材の前記入口端部から前記出口端部に向かって、前記基材軸方向長さのy%にわたって配置され、yが、20~70の範囲であり、
前記DOCコーティングが、前記基材の軸方向長さのz%にわたって、前記第1のNAコーティング及び前記第2のNAコーティング上に、又は前記第1のNAコーティング、前記第2のNAコーティング、及び前記基材の前記内壁の表面上に配置され、zが、50~100の範囲である、NOx吸着剤ディーゼル酸化触媒。
【請求項2】
前記第1のNAコーティング(ii)に含まれる前記第1の非ゼオライト酸化物材料の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量が、CeOとして計算されるセリアからなる、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記第1のNAコーティング(ii)が、元素Pdとして計算して、5~150g/ftの範囲、好ましくは10~120g/ftの範囲、より好ましくは30~100g/ftの範囲、より好ましくは40~80g/ftの範囲、より好ましくは45~75g/ftの範囲の担持量のパラジウムを含む、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記第2のNAコーティング(iii)が、前記白金族金属成分を含み、前記白金族金属成分が、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOsのうちの1つ以上、好ましくはPt、Pd、及びRhのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdであり、
Pt:Pdとして計算される白金のパラジウムに対する重量比が、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは8:1~10:1の範囲であり、
前記第2のNAコーティング(iii)が、好ましくは、白金族金属元素として計算して、5~150g/ftの範囲、より好ましくは10~120g/ftの範囲、より好ましくは30~100g/ftの範囲、より好ましくは40~80g/ftの範囲、より好ましくは45~75g/ftの範囲の担持量の前記白金族金属成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記第2のNAコーティング(iii)において、前記白金族金属成分を担持する前記第2の非ゼオライト酸化物材料が、セリア、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、Ce、Al、Zr、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはセリア、アルミナ、並びにCe及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはセリア、並びにCe及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはCe及びAlを含む混合酸化物であり、より好ましくはCe及びAlの混合酸化物であり、
CeO:Alとして計算されるCe:Alの重量比が、より好ましくは10:90~90:10の範囲、より好ましくは20:80~50:50の範囲、より好ましくは25:75~50:50の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記第2のNAコーティング(iii)が、セリア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、Ce、Zr、Al、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される酸化物成分、より好ましくはセリア、ジルコニア、アルミナ、及びチタニアからなる群から選択される酸化物成分、より好ましくはセリア、ジルコニア、及びアルミナからなる群から選択される酸化物成分を更に含み、より好ましくはセリアである、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記第2のNAコーティングの最大でも0.01重量%、好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%が、BaOとして計算されるバリウムからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
前記第2のNAコーティング(iii)が、担体材料上に担持された前記アルカリ土類金属と、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された前記白金族金属成分と、を含み、
前記第2のNAコーティング(iii)において、前記第2の非ゼオライト酸化物材料の前記担体材料に対する重量比が、0.05:1~0.9:1の範囲、より好ましくは0.1:1~0.7:1の範囲、より好ましくは0.15:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.17:1~0.25:1の範囲であり、
前記アルカリ土類金属が、好ましくは、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、及びマグネシウムからなる群から選択され、より好ましくはバリウム、ストロンチウム、及びマグネシウムからなる群から選択され、より好ましくはバリウムであり、
好ましくは、前記第2のNAコーティング(iii)中に前記アルカリ土類金属、より好ましくはバリウムを担持する前記担体材料が、セリア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、Ce、Zr、Al、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはセリア、ジルコニア、アルミナ、及びチタニアからなる群から選択され、より好ましくはセリア、ジルコニア、及びアルミナからなる群から選択され、より好ましくはセリアである、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項9】
前記DOCコーティング(iv)に含まれる前記白金族金属成分が、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOsのうちの1つ以上、好ましくはPt、Pd、及びRhのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdであり、
Pt:Pdとして計算される白金のパラジウムに対する前記重量比が、好ましくは、2:1~20:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは8:1~10:1の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項10】
前記DOCコーティング(iv)に含まれる前記第3の非ゼオライト酸化物材料が、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、Al、Zr、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはシリカ、アルミナ、並びにSi及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはアルミナ、並びにSi及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはSi及びAlを含む混合酸化物であり、より好ましくはSi及びAlの混合酸化物であり、
前記DOCコーティング(iv)に含まれる前記第2の非ゼオライト材料の好ましくは90~99重量%、より好ましくは92~98重量%、より好ましくは93~97重量%が、アルミナからなり、前記DOCコーティング(iv)の好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~8重量%、より好ましくは3~7重量%が、シリカからなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項11】
前記DOCコーティング(iv)が、鉄及び銅のうちの1つ以上を含むゼオライト材料、好ましくは鉄を含むゼオライト材料を更に含み、
前記DOCコーティング(iii)が、Feとして計算して、前記DOCコーティング(iv)に含まれる鉄を含む前記ゼオライト材料の重量に基づいて、0.25~4重量%の範囲、より好ましくは0.5~3重量%の範囲、より好ましくは0.75~2.5重量%の範囲の量の鉄を含むか、又は
前記DOCコーティング(iv)が、H及び/若しくはNH型であるゼオライト材料を更に含み、
前記DOCコーティング(iv)に含まれる前記ゼオライト材料が、好ましくは12員環細孔ゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、より好ましくはBEA、MOR、FAU、GME、OFF、それらのうちの2つ以上の混合物、及びそれらのうちの2つ以上の混合型からなる群から選択される骨格型、より好ましくはBEA、MOR、FAU、それらのうちの2つ以上の混合物、及びそれらのうちの2つ以上の混合型からなる群から選択される骨格型、より好ましくはBEA及びFAUからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは、前記DOCコーティング(iv)に含まれる前記12員環細孔ゼオライト材料が、骨格型BEAを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)を調製するためのプロセスであって、
(a)水、パラジウム源、及びセリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料を含む、第1の混合物を調製することと、
(b)(a)に従って得られた前記第1の混合物を、基材であって、入口端部、出口端部、前記入口端部から前記出口端部まで延びる基材軸方向長さ、及びそれを通して延びる前記基材の内壁によって画定される複数の通路を備える、基材の内壁の表面上に、前記基材の前記出口端から前記入口端に向かって前記基材軸方向長さのx%にわたって(xは20~70の範囲である)配置し、か焼して、上に第1のNOx吸着剤(NA)コーティングを有する基材を得ることと、
(c)水、及びアルカリ土類金属のための担体材料を有する前記アルカリ土類金属のうちの1つ以上、及び白金族金属成分を担持するための第2の非ゼオライト酸化物材料を有する前記白金族金属成分の供給源、を含む、第2の混合物を調製することと、
(d)(c)に従って得られた前記第2の混合物を、上に前記第1のNAコーティングを有する前記基材上に、前記基材の前記入口端部から前記出口端部に向かって前記基材軸方向長さのy%にわたって(yは20~70の範囲である)配置し、か焼して、第1のNAコーティング及び第2のNAコーティングを有する基材を得ることと、
(e)水、白金族金属成分の供給源、及び第3の非ゼオライト酸化物材料を含む、第3の混合物を調製することと、
(f)(e)に従って得られた前記第3の混合物を、上に前記第1のNAコーティング及び前記第2のNAコーティングを有する前記基材上に、前記基材軸方向長さのz%にわたって(zは50~100の範囲である)配置することと、
(g)(f)に従って得られた前記基材をか焼して、上に第1のNAコーティング、第2のNAコーティング、及びDOCコーティングを有する基材を得ることと、を含む、プロセス。
【請求項13】
請求項12に記載のプロセスによって得られた又は得ることができる、NOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)。
【請求項14】
NOxの吸着/脱着並びにHC及びCOの変換のための、請求項1~11のいずれか一項に記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)の使用。
【請求項15】
排気ガスを処理するための排気処理システムであって、
請求項1~11のいずれか一項に記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化(NA-DOC)触媒を含み、
好ましくは、選択接触還元(SCR)触媒、フィルタ上選択接触還元触媒(SCRoF)、及びアンモニア酸化(AMOX)触媒のうちの1つ以上を更に含む、排気処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NOx吸着剤ディーゼル酸化触媒、当該触媒を調製するプロセス、及び当該触媒の使用に関する。更に、本発明は、当該触媒を含む、排気ガス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車業界では、エンジンからのNOx排出は人間にとって有害であるので、これらの排出を低減することが絶えず必要とされている。したがって、NOx排出の限度を定めた現行の法制に対処することが重要である。したがって、NOx吸着剤ディーゼル酸化触媒は、選択接触還元触媒とともに使用される。
【0003】
リーンNOxトラップ(lean NOx trap、LNT)は、エンジンのコールドスタート中にNOxを吸着して、下流の選択接触還元(selective catalytic reduction、SCR)触媒が着火温度に達する前に排出を最小限に抑える。LNTの再生は、一般に、リッチ排気ガス条件に一時的に切り替えることによって行われ、吸着されたNOxは、LNT上でNに還元される。最新技術によれば、セリア又はバリウムベースの材料が使用され、吸着はNOを介して起こる。典型的には、NOx吸着容量及びNOx脱着温度は、LNTには高い。
【0004】
国際公開第2016/141142(A1)号は、バリウム及びセリアを含むリーンNOxトラップを開示している。国際公開第2020/236879(A1)号は、炭化水素及び一酸化炭素の酸化のため、並びにリーンバーンエンジンの排気ガス中のNOx低減のための排出処理システムを開示しており、このシステムは、マンガン含有担体材料を含むディーゼル酸化触媒と組み合わせて使用される白金族金属を含浸させたモレキュラーシーブを含む低温NOx吸着剤を含む。しかしながら、特に低温でのそのNOx吸着及び/又は脱着特性に関して特に改善された性能を示し、良好なサーマルリーン脱硫酸化挙動及び/又は繰り返しのリーン/リッチ脱硫酸化に対する高い安定性を示す、排気ガスの処理のための新しいNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NOx adsorber diesel oxidation catalyst、NA-DOC)を提供する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、排気ガスを処理するためのNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)であって、特に低温で、特に、そのNOx吸着及び/又は脱着特性に関して改善された性能を示し、リーン又はリーン/リッチ脱硫酸化の可能性も提供する、触媒を提供することである。
【0006】
驚くべきことに、本発明によるNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒は、低温でも高くかつ耐久性のあるNOx吸着/脱着を維持し、硫酸化/脱硫酸化からの不可逆的な損傷を防止することを可能にすることが見出された。
【0007】
したがって、本発明は、排気ガスを処理するためのNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)であって、
(i)基材であって、入口端部、出口端部、入口端部から出口端部まで延びる基材軸方向長さ、及びそれを通して延びる基材の内壁によって画定される複数の通路を備える、基材と、
(ii)第1のNOx吸着剤(NOx adsorber、NA)コーティングであって、セリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料上に担持されたパラジウムを含む、第1のNAコーティングと、
(iii)第2のNOx吸着剤(NA)コーティングであって、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属及び第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分のうちの1つ以上を含む、第2のNAコーティングと、
(iv)ディーゼル酸化触媒(diesel oxidation catalyst、DOC)コーティングであって、第3の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分を含む、DOCコーティングと、を含み、
第1のNAコーティング(ii)が、当該基材の出口端部から入口端部に向かって、基材軸方向長さのx%にわたって基材(i)の内壁の表面上に配置され、xが、20~70の範囲であり、
第2のNAコーティング(iii)が、当該基材の入口端部から出口端部に向かって、基材軸方向長さのy%にわたって配置され、yが、20~70の範囲であり、
DOCコーティングが、基材の軸方向長さのz%にわたって、第1のNAコーティング及び第2のNAコーティング上に、又は第1のNAコーティング、第2のNAコーティング、及び基材の内壁の表面上に配置され、zが、50~100の範囲である、NOx吸着剤ディーゼル酸化触媒に関する。
【0008】
好ましくは、xは、30~65の範囲、より好ましくは35~60の範囲、より好ましくは40~55の範囲、より好ましくは45~55の範囲である。
【0009】
好ましくは、yは、30~65の範囲、より好ましくは35~60の範囲、より好ましくは40~55の範囲、より好ましくは45~55の範囲である。より好ましくは、xは45~55の範囲であり、yは45~55の範囲である。
【0010】
好ましくは、yは100-xであり、より好ましくは、xは45~55の範囲である。
【0011】
好ましくは、zは、70~100の範囲、より好ましくは80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲である。
【0012】
第1のNAコーティング(ii)に含まれる第1の非ゼオライト酸化物材料の好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量は、CeOとして計算されるセリアからなる。換言すれば、第1のNAコーティング(ii)に含まれる第1の非ゼオライト酸化物材料は、CeOとして計算されるセリアから本質的になることが好ましく、より好ましくはセリアからなる。
【0013】
好ましくは、第1のNAコーティングは、Pd元素として計算して、5~150g/ftの範囲、より好ましくは10~120g/ftの範囲、より好ましくは30~100g/ftの範囲、より好ましくは40~80g/ftの範囲、より好ましくは45~75g/ftの範囲の担持量のパラジウムを含む。
【0014】
好ましくは、第1のNAコーティング(ii)は、1~6g/inの範囲、より好ましくは2~5g/inの範囲、より好ましくは2.5~4.5g/inの範囲の担持量の第1の非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0015】
第1のNAコーティングの好ましくは最大でも0.01重量%、より好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%は、BaOとして計算されるバリウムからなる。換言すれば、第1のNAコーティング(ii)は、BaOとして計算されるバリウムを本質的に含まないことが好ましく、より好ましくはバリウムを含まない。
【0016】
第1のNAコーティングの好ましくは最大でも0.01重量%、より好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%が、モレキュラーシーブからなる。換言すれば、第1のNAコーティング(ii)は、モレキュラーシーブを本質的に含まないことが好ましく、より好ましくはモレキュラーシーブを含まない。
【0017】
第1のNAコーティング(ii)の好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、第1の非ゼオライト酸化物材料上のパラジウム、好ましくはセリア上のパラジウムからなる。換言すれば、第1のNAコーティング(ii)は、好ましくは、第1の非ゼオライト酸化物材料上のパラジウム、好ましくはセリア上のパラジウムから本質的になり、より好ましくはそれからなる。
【0018】
本発明の文脈において、第1のNAコーティング(iii)は、硫酸化/脱硫酸化からの不可逆的な損傷を防止し、リーンNOxトラップとして機能することが本発明者らによって見出された。
【0019】
本発明の文脈において、触媒は、第2のNAコーティング(iii)を、1.5~8g/inの範囲、より好ましくは2~7g/inの範囲、より好ましくは3~6.5g/inの範囲、より好ましくは3.5~5.5g/inの範囲の担持量で含むことが好ましい。
【0020】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)は白金族金属成分を含み、白金族金属成分は、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOsのうちの1つ以上、より好ましくはPt、Pd、及びRhのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdである。
【0021】
好ましくは、Pt:Pdとして計算される白金のパラジウムに対する重量比は、5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは8:1~10:1の範囲である。
【0022】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)は、白金族金属元素として計算して、5~150g/ftの範囲、より好ましくは10~120g/ftの範囲、より好ましくは30~100g/ftの範囲、より好ましくは40~80g/ftの範囲、より好ましくは45~75g/ftの範囲の担持量の白金族金属成分を含む。
【0023】
第2のNAコーティング(iii)において、白金族金属成分を担持する第2の非ゼオライト酸化物材料は、セリア、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、Ce、Al、Zr、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはセリア、アルミナ、並びにCe及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはセリア、並びにCe及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはCe及びAlを含む混合酸化物であり、より好ましくはCe及びAlの混合酸化物であることが好ましい。好ましくは、CeO:Alとして計算されるCe:Alの重量比は、より好ましくは10:90~90:10の範囲、より好ましくは20:80~50:50の範囲、より好ましくは25:75~50:50の範囲である。
【0024】
好ましくは、代替物によれば、第2のNAコーティングの最大でも0.01重量%、より好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%は、BaOとして計算されるバリウムからなる。換言すれば、第2のNAコーティング(iii)は、BaOとして計算されるバリウムを本質的に含まないことが好ましく、より好ましくはバリウムを含まない。そのような代替物は、例えば、本明細書の以下の実施例2.2によって例示される。
【0025】
本発明の文脈において、第2のNAコーティング(iii)は、セリア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、Ce、Zr、Al、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される酸化物成分、より好ましくはセリア、ジルコニア、アルミナ、及びチタニアからなる群から選択される酸化物成分、より好ましくはセリア、ジルコニア、及びアルミナからなる群から選択される酸化物成分を更に含み、より好ましくはセリアであることが好ましい。
【0026】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)に含まれる酸化物成分の95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量は、CeOとして計算されるセリアからなる。換言すれば、第2のNAコーティングに含まれる酸化物成分は、CeOとして計算されるセリアから本質的になることが好ましく、より好ましくはセリアからなる。
【0027】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)は、酸化物成分を、0.5~9g/inの範囲、より好ましくは1~8g/inの範囲、より好ましくは2~6g/inの範囲、より好ましくは2.75~5g/inの範囲の担持量で含む。
【0028】
本発明の文脈において、更なる代替物によると、第2のNAコーティング(iii)は、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属と、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分と、を含む。これは、例えば、以下の実施例4によって例示される。
【0029】
より好ましくは、第2のNAコーティング(iii)において、第2の非ゼオライト酸化物材料の担体材料に対する重量比は、0.05:1~0.9:1の範囲、より好ましくは0.1:1~0.7:1の範囲、より好ましくは0.15:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.17:1~0.25:1の範囲である。
【0030】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)に含まれる担体材料上に担持されたアルカリ土類金属は、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、及びマグネシウムからなる群から選択され、より好ましくはバリウム、ストロンチウム、及びマグネシウムからなる群から選択され、より好ましくはバリウムである。より好ましくは、第2のNAコーティング(iii)に含まれるアルカリ土類金属は、酸化物、カチオン、及び/又は炭酸塩として存在する。
【0031】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)は、第2のNAコーティング(iii)に含まれる担体材料の重量に基づいて、酸化物として計算される、0.25~10重量%の範囲、より好ましくは0.5~8重量%の範囲、より好ましくは1~6重量%の範囲、より好ましくは1.25~4重量%、より好ましくは1.5~3重量%の範囲の量のアルカリ土類金属を含む。
【0032】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)中にアルカリ土類金属、より好ましくはバリウムを担持する担体材料は、セリア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、Ce、Zr、Al、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはセリア、ジルコニア、アルミナ、及びチタニアからなる群から選択され、より好ましくはセリア、ジルコニア、及びアルミナからなる群から選択され、より好ましくはセリアである。
【0033】
第2のNAコーティング(iii)に含まれる担体材料の好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量は、CeOとして計算されるセリアからなる。換言すれば、第2のNAコーティング(iii)に含まれる担体材料は、CeOとして計算されるセリアから本質的になることが好ましく、より好ましくは、第2のNAコーティング(iii)中のバリウムを担持する担体材料は、セリアである。
【0034】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)は、アルカリ土類金属を担持する担体材料を、0.5~9g/inの範囲、より好ましくは1~8g/inの範囲、より好ましくは2~6g/inの範囲、より好ましくは2.75~5g/inの範囲の担持量で含む。
【0035】
本発明の文脈において、第2のNAコーティング(iii)は、好ましくは、ジルコニア、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、ランタナ、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、及びチタニアのうちの1つ以上、より好ましくはジルコニア、アルミナ、酸化マグネシウム、及びチタニアのうちの1つ以上を含み、より好ましくはジルコニア、アルミナ、及び酸化マグネシウム、より好ましくはジルコニア及び酸化マグネシウムのうちの1つ以上、より好ましくはジルコニア及び酸化マグネシウムからなる群から選択される酸化物材料を更に含む。好ましくは、ジルコニア対酸化マグネシウムの重量比は、0.5:1~1:0.5の範囲、より好ましくは0.75:1~1:0.75の範囲、より好ましくは0.9:1~1:0.9の範囲である。
【0036】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)は、第2のNAコーティング(iii)の重量に基づいて、0.5~5重量%の範囲、より好ましくは1~4重量%の範囲、より好ましくは1.5~3.5重量%の範囲の量で酸化物材料を含む。
【0037】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)は、基材(i)の内壁の表面上に配置される。
【0038】
好ましくは、第2のNAコーティング(iii)は、リーンNOxトラップとして機能する。
【0039】
第2のNAコーティング(iii)の好ましくは最大でも0.1重量%、好ましくは最大でも0.01重量%、より好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%がモレキュラーシーブからなる。換言すれば、第2のNAコーティング(iii)は、モレキュラーシーブを本質的に含まないことが好ましく、より好ましくはモレキュラーシーブを含まない。
【0040】
第2のNAコーティング(iii)の好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、より好ましくは上記で規定した酸化物成分、より好ましくは上記で規定した酸化物材料からなる。換言すれば、第2のNAコーティング(iii)は、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、より好ましくは上記で規定した酸化物成分、より好ましくは上記で規定した酸化物材料から本質的になることが好ましく、より好ましくはそれらからなる。
【0041】
あるいは、第2のNAコーティング(iii)の95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、好ましくは上記で規定した酸化物材料からなることが好ましい。換言すれば、第2のNAコーティング(iii)は、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、より好ましくは上記で規定した酸化物材料から本質的になることが好ましく、より好ましくはそれらからなる。
【0042】
好ましくは、DOCコーティング(iv)に含まれる白金族金属成分は、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOsのうちの1つ以上、より好ましくはPt、Pd、及びRhのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdである。好ましくは、Pt:Pdとして計算される白金のパラジウムに対する重量比は、2:1~20:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは8:1~10:1の範囲である。
【0043】
好ましくは、DOCコーティング(iv)は、白金族金属元素として計算して、5~150g/ftの範囲、より好ましくは10~120g/ftの範囲、より好ましくは30~100g/ftの範囲、より好ましくは40~80g/ftの範囲、より好ましくは45~75g/ftの範囲の担持量の白金族金属成分を更に含む。
【0044】
好ましくは、DOCコーティング(iv)に含まれる第3の非ゼオライト酸化物材料は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、Al、Zr、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはシリカ、アルミナ、並びにSi及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはアルミナ、並びにSi及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはSi及びAlを含む混合酸化物であり、より好ましくはSi及びAlの混合酸化物である。DOCコーティング(iv)に含まれる第2の非ゼオライト材料の好ましくは90~99重量%、より好ましくは92~98重量%、より好ましくは93~97重量%は、アルミナからなり、好ましくはDOCコーティング(iv)の1~10重量%、より好ましくは2~8重量%、より好ましくは3~7重量%が、シリカからなる。
【0045】
好ましくは、DOCコーティング(iv)は、0.5~3g/inの範囲、好ましくは0.75~2.5g/inの範囲、より好ましくは0.9~2g/inの範囲の担持量の第3の非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0046】
好ましくは、DOCコーティング(iv)は、鉄及び銅のうちの1つ以上を含むゼオライト材料、より好ましくは鉄を含むゼオライト材料を更に含む。好ましくは、DOCコーティング(iii)は、Feとして計算して、DOCコーティング(iv)に含まれる鉄を含むゼオライト材料の重量に基づいて、0.25~4重量%の範囲、より好ましくは0.5~3重量%の範囲、より好ましくは0.75~2.5重量%の範囲の量の鉄を含む。あるいは、DOCコーティング(iv)は、H及び/若しくはNH型であるゼオライト材料を更に含むことが好ましい。
【0047】
好ましくは、DOCコーティング(iv)に含まれるゼオライト材料は、12員環細孔ゼオライト材料であり、当該ゼオライト材料は、より好ましくは、BEA、MOR、FAU、GME、OFF、それらのうちの2つ以上の混合物、及びそれらのうちの2つ以上の混合型からなる群から選択される骨格型、より好ましくは、BEA、MOR、FAU、それらのうちの2つ以上の混合物、及びそれらのうちの2つ以上の混合型からなる群から選択される骨格型、より好ましくは、BEA及びFAUからなる群から選択される骨格型を有する。DOCコーティング(iv)に含まれる12員環細孔ゼオライト材料は、骨格型BEAを有することがより好ましい。
【0048】
DOCコーティング(iv)に含まれる12員環細孔ゼオライト材料の骨格構造の好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%は、Si、Al、及びOからなる。
【0049】
好ましくは、DOCコーティング(iv)に含まれる12員環細孔ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO:Alとして計算されるSi対Alのモル比は、2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~30:1の範囲、より好ましくは20:1~30:1の範囲、より好ましくは23:1~29:1の範囲である。
【0050】
好ましくは、DOCコーティング(iv)は、DOCコーティング(iv)に含まれる第3の非ゼオライト酸化物材料の重量に基づいて、15~50重量%の範囲、より好ましくは20~45重量%の範囲、より好ましくは25~43重量%の範囲の量のゼオライト材料を含む。
【0051】
好ましくは、DOCコーティング(iv)は、アルカリ土類金属を含む酸化物材料を更に含み、アルカリ土類金属は、より好ましくはBa、Mg、Ca、及びSrのうちの1つ以上、より好ましくはBa、Mg、及びCaのうちの1つ以上、より好ましくはBa及びMgのうちの1つ以上、より好ましくはBaである。アルカリ土類金属を含む酸化物材料はBaOであることがより好ましい。
【0052】
好ましくは、DOCコーティング(iv)は、DOCコーティング(iv)に含まれる第3の非ゼオライト酸化物材料の重量に基づいて、1~15重量%の範囲、より好ましくは3~10重量%の範囲、より好ましくは5~9重量%の範囲の量の酸化物材料を含む。
【0053】
好ましくは、触媒は、0.75~3.5g/inの範囲、より好ましくは0.9~3g/inの範囲、より好ましくは1~2.5g/inの範囲の担持量のDOCコーティング(iv)を含む。
【0054】
第2のNAコーティング(iii)の好ましくは最大でも0.1重量%、より好ましくは最大でも0.01重量%、より好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%がセリアからなる。換言すれば、第2のNAコーティング(iii)は、セリアを本質的に含まないことが好ましく、より好ましくはセリアを含まない。
【0055】
DOCコーティング(iv)の好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、第3の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、より好ましくは上記で規定したFe及びCuのうちの1つ以上を含むゼオライト材料、より好ましくは上記で規定したアルカリ土類金属を含む酸化物材料からなる。換言すれば、DOCコーティング(iv)は、第3の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、より好ましくは上記で規定したFe及びCuのうちの1つ以上を含むゼオライト材料、より好ましくは上記で規定したアルカリ土類金属を含む酸化物材料から本質的になることが好ましく、より好ましくはそれらからなる。
【0056】
基材(i)に関しては、フロースルー基材又はウォールフローフィルタ基材であることが好ましく、より好ましくはフロースルー基材である。
【0057】
好ましくは、フロースルー基材(i)は、セラミック物質を含み、より好ましくはセラミック物質からなる。好ましくは、セラミック物質は、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、より好ましくはコージライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、及びチタニアのうちの1つ以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコージライトのうちの1つ以上、より好ましくはコージライトを含み、より好ましくはそれらからなる。
【0058】
あるいは、フロースルー基材(i)は、好ましくは金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなる。金属物質は、好ましくは、酸素、並びに鉄、クロム、及びアルミニウムのうちの1つ以上を含み、より好ましくはそれらからなる。
【0059】
本発明の及び上記で規定した触媒は、基材(i)、第1のNAコーティング(ii)、第2のNAコーティング(iii)、及びDOCコーティング(iv)からなることが好ましい。
【0060】
本発明は更に、本発明によるNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)を調製するためのプロセスであって、
(a)水、パラジウム源、及びセリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料を含む、第1の混合物を調製することと、
(b)(a)に従って得られた第1の混合物を、基材であって、入口端部、出口端部、入口端部から出口端部まで延びる基材軸方向長さ、及びそれを通して延びる基材の内壁によって画定される複数の通路を備える、基材の内壁の表面上に、当該基材の出口端から入口端に向かって基材軸方向長さのx%にわたって(xは20~70の範囲である)配置し、か焼して、上に第1のNOx吸着剤(NA)コーティングを有する基材を得ることと、
(c)水、及びアルカリ土類金属のための担体材料を有するアルカリ土類金属のうちの1つ以上、及び白金族金属成分を担持するための第2の非ゼオライト酸化物材料を有する白金族金属成分の供給源、を含む、第2の混合物を調製することと、
(d)(c)に従って得られた第2の混合物を、上に第1のNAコーティングを有する基材上に、当該基材の入口端部から出口端部に向かって基材軸方向長さのy%にわたって(yは20~70の範囲である)配置し、か焼して、第1のNAコーティング及び第2のNAコーティングを有する基材を得ることと、
(e)水、白金族金属成分の供給源、及び第3の非ゼオライト酸化物材料を含む、第3の混合物を調製することと、
(f)(e)に従って得られた第3の混合物を、上に第1のNAコーティング及び第2のNAコーティングを有する基材上に、基材軸方向長さのz%にわたって(zは50~100の範囲である)配置することと、
(g)(f)に従って得られた基材をか焼して、上に第1のNAコーティング、第2のNAコーティング、及びDOCコーティングを有する基材を得ることと、を含む、プロセスに関する。
【0061】
好ましくは、xは、30~65の範囲、より好ましくは35~60の範囲、より好ましくは40~55の範囲、より好ましくは45~55の範囲である。
【0062】
好ましくは、yは、30~65の範囲、より好ましくは35~60の範囲、より好ましくは40~55の範囲、より好ましくは45~55の範囲である。より好ましくは、xは45~55の範囲であり、yは45~55の範囲である。
【0063】
好ましくは、yは100-xであり、より好ましくは、xは45~55の範囲である。
【0064】
好ましくは、zは、70~100の範囲、より好ましくは80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲である。
【0065】
(a)に関しては、
(a.1)パラジウム源、より好ましくはパラジウム塩、より好ましくは硝酸パラジウムを、セリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料上に含浸させること、
(a.2)(a.1)で得られた含浸材料をか焼すること、より好ましくはか焼前に乾燥させて、粉末を得ること、
(a.3)(a.2)で得られた粉末に水を混合すること、を含むことが好ましい。
【0066】
(b)に関しては、か焼前に乾燥させることを更に含むことが好ましく、乾燥は、90~160℃の範囲、より好ましくは100~120℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われる。好ましくは、ガス雰囲気は酸素を含む。
【0067】
好ましくは、(b)によるか焼は、300~800℃の範囲、より好ましくは400~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われる。好ましくは、ガス雰囲気は酸素を含む。
【0068】
(c)に関しては、
(c.1)白金族金属成分の供給源、より好ましくは白金及びパラジウムの供給源を、第2の非ゼオライト酸化物材料上に含浸させること、
(c.2)(c.1)で得られた含浸材料をか焼すること、より好ましくはか焼前に乾燥させて、粉末を得ること、
(c.3)水を(c.2)で得られた粉末と混合すること、
(c.4)(c.3)で得られた水性混合物に、酸化物成分、より好ましくは上記で定義された酸化物成分を混合すること、
(c.5)好ましくは、(c.4)で得られた水性混合物に、好ましくは上記で規定した酸化物材料を添加すること、を含むことが好ましい。
【0069】
あるいは、(c)は、
(c.1’)白金族金属成分の供給源、より好ましくは白金及びパラジウムの供給源を、第2の非ゼオライト酸化物材料上に含浸させること、
(c.2’)(c.1’)で得られた含浸材料をか焼すること、より好ましくはか焼前に乾燥させて、粉末を得ること、
(c.3’)アルカリ土類金属を担体材料上に含浸させること、
(c.4’)(c.3’)で得られた含浸材料をか焼すること、より好ましくはか焼前に乾燥させて、粉末を得ること、
(c.5’)水を、(c.2’)で得られた粉末及び(c.4’)で得られた粉末と混合すること、
(c.6’)より好ましくは、(c.5’)で得られた水性混合物に、好ましくは上記で規定した酸化物材料を添加すること、を含むことが好ましい。
【0070】
(d)に関しては、か焼前に乾燥させることを更に含むことが好ましく、乾燥は、90~160℃の範囲、より好ましくは100~120℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われる。好ましくは、ガス雰囲気は酸素を含む。
【0071】
好ましくは、(d)によるか焼は、300~800℃の範囲、より好ましくは400~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われる。好ましくは、ガス雰囲気は酸素を含む。
【0072】
(e)に関しては、
(e.1)白金族金属成分の供給源、より好ましくは白金及びパラジウムの供給源を、第3の非ゼオライト酸化物材料上に含浸させること、
(e.2)(e.1)で得られた材料に水酸化バリウムを含浸させること、
(e.3)水を(e.2)で得られた含浸材料と混合すること、
(e.4)より好ましくは、(e.3)で得られた水性混合物に、上記で規定した鉄及び銅のうちの1つ以上を含むゼオライト材料を混合すること、を含むことが好ましい。
【0073】
好ましくは、(f)は、第3の混合物が配置された基材を乾燥させることを更に含み、乾燥は、90~160℃の範囲、より好ましくは100~120℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われる。好ましくは、ガス雰囲気は酸素を含む。
【0074】
好ましくは、(g)による基材のか焼は、300~800℃の範囲、より好ましくは400~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われる。好ましくは、ガス雰囲気は酸素を含む。
【0075】
プロセスは、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)からなることが好ましい。
【0076】
本発明は更に、本発明による上記で規定したプロセスによって得られた又は得ることができるNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)に関する。
【0077】
本発明は更に、NOxの吸着/脱着並びにHC及びCOの変換のための、本発明による上記で規定したNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)の使用に関する。
【0078】
本発明は更に、排気ガスを処理するための排気処理システムであって、
本発明による上記で規定したNOx吸着剤ディーゼル酸化(NA-DOC)触媒を含み、
好ましくは、選択接触還元(SCR)触媒、フィルタ上選択接触還元触媒(selective catalytic reduction catalyst on a filter、SCRoF)、及びアンモニア酸化(ammonia oxidation、AMOX)触媒のうちの1つ以上を更に含む、排気処理システムに関する。
【0079】
好ましくは、NA-DOC触媒は、選択接触還元(SCR)触媒、フィルタ上選択接触還元触媒(SCRoF)、及びアンモニア酸化(AMOX)触媒のうちの1つ以上の上流に位置する。
【0080】
好ましくは、システムは、本発明による上記で規定したNOx吸着剤ディーゼル酸化(NA-DOC)触媒、SCR触媒、及びAMOX触媒を含み、
NA-DOC触媒はSCR触媒の上流に配置され、SCR触媒はAMOX触媒の上流に配置される。
【0081】
好ましくは、システムは、SCRoF触媒を更に含む。より好ましくは、SCRoF触媒は、SCR触媒の上流かつNA-DOC触媒の下流に配置されるか、又は、SCRoF触媒は、より好ましくは、SCR触媒の下流かつAMOX触媒の上流に配置される。
【0082】
好ましくは、システムは、AMOX触媒の上流に配置された別のSCR触媒を更に含む。SCRoF触媒がSCR触媒の上流かつNA-DOC触媒の下流に配置される場合、他のSCR触媒は、SCR触媒の下流かつAMOX触媒の上流に配置されることが好ましい。あるいは、SCRoF触媒がSCR触媒の下流かつAMOX触媒の上流に配置される場合、他のSCR触媒は、SCRoF触媒の下流かつAMOX触媒の上流に配置されることが好ましい。
【0083】
あるいは、システムは、本発明による上記で規定したNOx吸着剤ディーゼル酸化(NA-DOC)触媒、SCRoF触媒、及びAMOX触媒を含むことが好ましく、
NA-DOC触媒はSCRoF触媒の上流に配置され、SCRoF触媒はAMOX触媒の上流に配置される。
【0084】
したがって、システムは、好ましくは以下のとおりであり得る。
-NA-DOC cat./ SCR cat./ AMOX cat.;
-NA-DOC cat./ SCR cat./ SCRoF cat./ AMOX cat.;
-NA-DOC cat./ SCR cat./ SCRoF cat./ SCR cat./ AMOX cat.;
-NA-DOC cat./ SCRoF cat./ AMOX cat.;
-NA-DOC cat./ SCRoF cat./ SCR cat./ AMOX cat.;又は
-NA-DOC cat./ SCRoF cat./ SCR cat./ SCR cat./ AMOX cat.
【0085】
本発明の文脈において、SCR触媒、SCRoF触媒、及びAMOX触媒は、当技術分野において定義されているとおりであり得ることに留意されたい。当業者には、どの種類の触媒がこれらの目的のために使用され得るかは既知である。NA-DOC触媒は、本発明の上記で規定された触媒である。
【0086】
本発明は更に、好ましくは内燃エンジンから、より好ましくはディーゼルエンジンから排気ガスを提供することと、
排気ガスを、本発明による上記で規定したNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒と接触させることと、
を含む、排気ガスの処理のための方法に関する。
【0087】
本発明は更に、以下の実施形態のセット、及び示されるような依存関係及び逆参照から生じる実施形態の組み合わせによって説明される。特に、本発明の文脈では、実施形態の範囲に言及される各例では、例えば、「実施形態1~5のいずれか1つに記載の触媒」などの用語の文脈において、この範囲の全ての実施形態が当業者に明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の表現は、当業者によって「実施形態1、2、3、4、及び5のいずれか1つに記載の触媒」と同義であると理解されることに留意されたい。更に、以下の一連の実施形態は、保護の及ぶ範囲を確定する一連の特許請求の範囲ではなく、本発明の全般的な態様及び好ましい態様を対象とする説明の適切に構造化された部分を表すことに明確に留意されたい。これは、第2の一連の実施形態にも同様に適用可能であることに留意されたい。
【0088】
1.排気ガスを処理するためのNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)であって、
(i)基材であって、入口端部、出口端部、入口端部から出口端部まで延びる基材軸方向長さ、及びそれを通して延びる基材の内壁によって画定される複数の通路を備える、基材と、
(ii)第1のNOx吸着剤(NA)コーティングであって、セリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料上に担持されたパラジウムを含む、第1のNAコーティングと、
(iii)第2のNOx吸着剤(NA)コーティングであって、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属及び第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分のうちの1つ以上を含む、第2のNAコーティングと、
(iv)ディーゼル酸化触媒(DOC)コーティングであって、第3の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分を含む、DOCコーティングと、を含み、
第1のNAコーティング(ii)が、当該基材の出口端部から入口端部に向かって、基材軸方向長さのx%にわたって基材(i)の内壁の表面上に配置され、xが、20~70の範囲であり、
第2のNAコーティング(iii)が、当該基材の入口端部から出口端部に向かって、基材軸方向長さのy%にわたって配置され、yが、20~70の範囲であり、
DOCコーティングが、基材の軸方向長さのz%にわたって、第1のNAコーティング及び第2のNAコーティング上に、又は第1のNAコーティング、第2のNAコーティング、及び基材の内壁の表面上に配置され、zが、50~100の範囲である、NOx吸着剤ディーゼル酸化触媒。
2.xが、30~65の範囲、好ましくは35~60の範囲、より好ましくは40~55の範囲、より好ましくは45~55の範囲である、実施形態1に記載の触媒。
3.yが、30~65の範囲、好ましくは35~60の範囲、より好ましくは40~55の範囲、より好ましくは45~55の範囲である、実施形態1又は2に記載の触媒。
4.yが、100-xであり、好ましくはxが45~55の範囲である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の触媒。
5.zが、70~100の範囲、好ましくは80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の触媒。
6.第1のNAコーティング(ii)に含まれる第1の非ゼオライト酸化物材料の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量が、CeOとして計算されるセリアからなる、実施形態1~5のいずれか1つに記載の触媒。
7.第1のNAコーティング(ii)が、元素Pdとして計算して、5~150g/ftの範囲、好ましくは10~120g/ftの範囲、より好ましくは30~100g/ftの範囲、より好ましくは40~80g/ftの範囲、より好ましくは45~75g/ftの範囲の担持量のパラジウムを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の触媒。
8.第1のNAコーティングが、1~6g/inの範囲、好ましくは2~5g/inの範囲、より好ましくは2.5~4.5g/inの範囲の担持量の第1の非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の触媒。
9.第1のNAコーティングの最大でも0.01重量%、好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%が、BaOとして計算されるバリウムからなる、実施形態1~8のいずれか1つに記載の触媒。
10.第1のNAコーティングの最大でも0.01重量%、好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%が、モレキュラーシーブからなる、実施形態1~9のいずれか1つに記載の触媒。
11.第1のNAコーティング(ii)の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、第1の非ゼオライト酸化物材料上のパラジウム、好ましくはセリア上のパラジウムからなる、実施形態1~10のいずれか1つに記載の触媒。
12.第1のNAコーティング(iii)が、硫酸化/脱硫酸化からの不可逆的な損傷を防止し、リーンNOxトラップとして機能する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の触媒。
13.第2のNAコーティングを、1.5~8g/inの範囲、より好ましくは2~7g/inの範囲、より好ましくは3~6.5g/inの範囲、より好ましくは3.5~5.5g/inの範囲の担持量で含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の触媒。
14.第2のNAコーティング(iii)が、白金族金属成分を含み、白金族金属成分が、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOsのうちの1つ以上、好ましくはPt、Pd、及びRhのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdであり、
Pt:Pdとして計算される白金のパラジウムに対する重量比が、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは8:1~10:1の範囲である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の触媒。
15.第2のNAコーティング(iii)が、白金族金属元素として計算して、5~150g/ftの範囲、好ましくは10~120g/ftの範囲、より好ましくは30~100g/ftの範囲、より好ましくは40~80g/ftの範囲、より好ましくは45~75g/ftの範囲の担持量の白金族金属成分を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の触媒。
16.第2のNAコーティング(iii)において、白金族金属成分を担持する第2の非ゼオライト酸化物材料が、セリア、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、Ce、Al、Zr、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはセリア、アルミナ、並びにCe及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはセリア、並びにCe及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはCe及びAlを含む混合酸化物であり、より好ましくはCe及びAlの混合酸化物であり、
CeO:Alとして計算されるCe:Alの重量比が、より好ましくは10:90~90:10の範囲、より好ましくは20:80~50:50の範囲、より好ましくは25:75~50:50の範囲である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の触媒。
17.第2のNAコーティングの最大でも0.01重量%、好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%が、BaOとして計算されるバリウムからなる、実施形態1~16のいずれか1つに記載の触媒。
18.第2のNAコーティング(iii)が、セリア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、Ce、Zr、Al、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される酸化物成分、より好ましくはセリア、ジルコニア、アルミナ、及びチタニアからなる群から選択される酸化物成分、より好ましくはセリア、ジルコニア、及びアルミナからなる群から選択される酸化物成分を更に含み、より好ましくはセリアである、実施形態1~17のいずれか1つに記載の触媒。
19.第2のNAコーティング(iii)に含まれる酸化物成分の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量が、CeOとして計算されるセリアからなる、実施形態18に記載の触媒。
20.第2のNAコーティング(iii)が、酸化物成分を、0.5~9g/inの範囲、好ましくは1~8g/inの範囲、より好ましくは2~6g/inの範囲、より好ましくは2.75~5g/inの範囲の担持量で含む、実施形態18又は19に記載の触媒。
21.第2のNAコーティング(iii)が、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属と、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分と、を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の触媒。
22.第2のNAコーティング(iii)において、第2の非ゼオライト酸化物材料の担体材料に対する重量比が、0.05:1~0.9:1の範囲、好ましくは0.1:1~0.7:1の範囲、より好ましくは0.15:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.17:1~0.25:1の範囲である、実施形態21に記載の触媒。
23.第2のNAコーティング(iii)に含まれる担体材料上に担持されたアルカリ土類金属が、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、及びマグネシウムからなる群から選択され、好ましくはバリウム、ストロンチウム、及びマグネシウムからなる群から選択され、より好ましくはバリウムであり、
第2のNAコーティング(iii)に含まれるアルカリ土類金属が、好ましくは、酸化物、カチオン、及び/又は炭酸塩として存在する、実施形態1~16、21、及び22のいずれか1つに記載の触媒。
24.第2のNAコーティング(iii)が、第2のNAコーティング(iii)に含まれる担体材料の重量に基づいて、酸化物として計算される、0.25~10重量%の範囲、より好ましくは0.5~8重量%の範囲、より好ましくは1~6重量%の範囲、より好ましくは1.25~4重量%、より好ましくは1.5~3重量%の範囲の量のアルカリ土類金属を含む、実施形態1~16及び21~23のいずれか1つに記載の触媒。
25.第2のNAコーティング(iii)中にアルカリ土類金属、好ましくはバリウムを担持する担体材料が、セリア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、Ce、Zr、Al、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはセリア、ジルコニア、アルミナ、及びチタニアからなる群から選択され、より好ましくはセリア、ジルコニア、及びアルミナからなる群から選択され、より好ましくはセリアである、実施形態1~16及び21~24のいずれか1つに記載の触媒。
26.第2のNAコーティング(iii)に含まれる担体材料の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量が、CeOとして計算されるセリアからなる、実施形態25に記載の触媒。
27.第2のNAコーティング(iii)が、アルカリ土類金属を担持する担体材料を、0.5~9g/inの範囲、好ましくは1~8g/inの範囲、より好ましくは2~6g/inの範囲、より好ましくは2.75~5g/inの範囲の担持量で含む、実施形態1~16及び21~26のいずれか1つに記載の触媒。
28.第2のNAコーティング(iii)が、ジルコニア、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、ランタナ、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、及びチタニアのうちの1つ以上、より好ましくはジルコニア、アルミナ、酸化マグネシウム、及びチタニアのうちの1つ以上を含み、より好ましくはジルコニア、アルミナ、及び酸化マグネシウム、より好ましくはジルコニア及び酸化マグネシウムのうちの1つ以上、より好ましくはジルコニア及び酸化マグネシウムからなる群から選択される酸化物材料を更に含み、
好ましくは、ジルコニア対酸化マグネシウムの重量比が、0.5:1~1:0.5の範囲、より好ましくは0.75:1~1:0.75の範囲、より好ましくは0.9:1~1:0.9の範囲である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の触媒。
29.第2のNAコーティング(iii)が、第2のNAコーティング(iii)の重量に基づいて、0.5~5重量%の範囲、好ましくは1~4重量%の範囲、より好ましくは1.5~3.5重量%の範囲の量で酸化物材料を含む、実施形態28に記載の触媒。
30.第2のNAコーティング(iii)が、基材(i)の内壁の表面上に配置される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の触媒。
31.第2のNAコーティング(iii)が、リーンNOxトラップとして機能する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の触媒。
32.第2のNAコーティング(iii)の最大でも0.1重量%、好ましくは最大でも0.01重量%、より好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%がモレキュラーシーブからなる、いずれか1つ実施形態1~31に記載の触媒。
33.第2のNAコーティング(iii)の95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、好ましくは実施形態18~20のいずれか1つで規定した酸化物成分、より好ましくは実施形態28若しくは29で規定した酸化物材料からなる、実施形態1~20及び28~32のいずれか1つに記載の触媒。
34.第2のNAコーティング(iii)の95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、担体材料上に担持されたアルカリ土類金属、第2の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、好ましくは実施形態28若しくは29で規定した酸化物材料からなる、実施形態1~16及び21~32のいずれか1つに記載の触媒。
35.DOCコーティング(iv)に含まれる白金族金属成分が、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、及びOsのうちの1つ以上、好ましくはPt、Pd、及びRhのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdのうちの1つ以上、より好ましくはPt及びPdであり、
Pt:Pdとして計算される白金のパラジウムに対する重量比が、好ましくは、2:1~20:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは8:1~10:1の範囲である、実施形態1~34のいずれか1つに記載の触媒。
36.DOCコーティング(iv)が、白金族金属元素として計算して、5~150g/ftの範囲、好ましくは10~120g/ftの範囲、より好ましくは30~100g/ftの範囲、より好ましくは40~80g/ftの範囲、より好ましくは45~75g/ftの範囲の担持量の白金族金属成分を更に含む、実施形態35に記載の触媒。
37.DOCコーティング(iv)に含まれる第3の非ゼオライト酸化物材料が、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、Al、Zr、Si、及びTiのうちの1つ以上を含む混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはシリカ、アルミナ、並びにSi及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはアルミナ、並びにSi及びAlのうちの1つ以上を含む混合酸化物からなる群から選択され、より好ましくはSi及びAlを含む混合酸化物であり、より好ましくはSi及びAlの混合酸化物であり、
DOCコーティング(iv)に含まれる第2の非ゼオライト材料の好ましくは90~99重量%、より好ましくは92~98重量%、より好ましくは93~97重量%が、アルミナからなり、DOCコーティング(iv)の好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~8重量%、より好ましくは3~7重量%が、シリカからなる、実施形態1~36のいずれか1つに記載の触媒。
38.DOCコーティングが、0.5~3g/inの範囲、好ましくは0.75~2.5g/inの範囲、より好ましくは0.9~2g/inの範囲の担持量の第3の非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の触媒。
39.DOCコーティング(iv)が、鉄及び銅のうちの1つ以上を含むゼオライト材料、好ましくは鉄を含むゼオライト材料を更に含み、
DOCコーティング(iii)が、Feとして計算して、DOCコーティング(iv)に含まれる鉄を含むゼオライト材料の重量に基づいて、0.25~4重量%の範囲、より好ましくは0.5~3重量%の範囲、より好ましくは0.75~2.5重量%の範囲の量の鉄を含むか、又は
DOCコーティング(iv)が、H及び/若しくはNH型であるゼオライト材料を更に含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載の触媒。
40.DOCコーティング(iv)に含まれるゼオライト材料が12員環細孔ゼオライト材料であり、当該ゼオライト材料が、好ましくはBEA、MOR、FAU、GME、OFF、それらのうちの2つ以上の混合物、及びそれらのうちの2つ以上の混合型からなる群から選択される骨格型、より好ましくはBEA、MOR、FAU、それらのうちの2つ以上の混合物、及びそれらのうちの2つ以上の混合型からなる群から選択される骨格型、より好ましくはBEA及びFAUからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは、DOCコーティング(iv)に含まれる12員環細孔ゼオライト材料が、骨格型BEAを有する、実施形態39に記載の触媒。
41.DOCコーティング(iv)に含まれる12員環細孔ゼオライト材料の骨格構造の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%が、Si、Al及びOからなり、骨格構造において、モルSiO:Alとして計算されるSi対Alのモル比が、好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~30:1の範囲、より好ましくは20:1~30:1の範囲、より好ましくは23:1~29:1の範囲である、実施形態40に記載の触媒。
42.DOCコーティング(iv)が、DOCコーティング(iv)に含まれる第3の非ゼオライト酸化物材料の重量に基づいて、15~50重量%の範囲、好ましくは20~45重量%の範囲、より好ましくは25~43重量%の範囲の量のゼオライト材料を含む、実施形態39~41のいずれか1つに記載の触媒。
43.DOCコーティング(iv)が、アルカリ土類金属を含む酸化物材料を更に含み、アルカリ土類金属が、好ましくはBa、Mg、Ca、及びSrのうちの1つ以上、より好ましくはBa、Mg、及びCaのうちの1つ以上、より好ましくはBa及びMgのうちの1つ以上、より好ましくはBaであり、アルカリ土類金属を含む酸化物材料が、より好ましくはBaOであり、
DOCコーティング(iv)が、DOCコーティング(iv)に含まれる第3の非ゼオライト酸化物材料の重量に基づいて、1~15重量%の範囲、より好ましくは3~10重量%の範囲、より好ましくは5~9重量%の範囲の量の酸化物材料を含む、実施形態1~42のいずれか1つに記載の触媒。
44.0.75~3.5g/inの範囲、好ましくは0.9~3g/inの範囲、より好ましくは1~2.5g/inの範囲の担持量のDOCコーティングを含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の触媒。
45.第2のNAコーティング(iii)の最大でも0.1重量%、好ましくは最大でも0.01重量%、より好ましくは最大でも0.001重量%、より好ましくは最大でも0.0001重量%がセリアからなる、実施形態1~44のいずれか1つに記載の触媒。
46.DOCコーティング(iv)の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量が、第3の非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属成分、好ましくは実施形態39~42のいずれか1つで規定したFe及びCuのうちの1つ以上を含むゼオライト材料、より好ましくは実施形態43で規定したアルカリ土類金属を含む酸化物材料からなる、実施形態1~45のいずれか1つに記載の触媒。
47.基材(i)が、フロースルー基材又はウォールフローフィルタ基材、好ましくはフロースルー基材である、実施形態1~46のいずれか1つに記載の触媒。
48.フロースルー基材(i)が、セラミック材料を含み、好ましくはそれからなり、セラミック材料が、好ましくはアルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコージライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、及びチタニアのうちの1つ以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコージライトのうちの1つ以上、より好ましくはコージライトを含み、より好ましくはそれらからなる、実施形態47に記載の触媒。
49.フロースルー基材(i)が、金属物質を含み、好ましくはそれからなり、金属物質が、好ましくは、酸素、並びに鉄、クロム、及びアルミニウムのうちの1つ以上を含み、より好ましくはそれらからなる、実施形態47に記載の触媒。
50.基材(i)、第1のNAコーティング(ii)、第2のNAコーティング(iii)、及びDOCコーティング(iv)からなる、実施形態1~49のいずれか1つに記載の触媒。
51.実施形態1~50のいずれか1つに記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)を調製するためのプロセスであって、
(a)水、パラジウム源、及びセリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料を含む、第1の混合物を調製すること、
(b)(a)に従って得られた第1の混合物を、基材であって、入口端部、出口端部、入口端部から出口端部まで延びる基材軸方向長さ、及びそれを通して延びる基材の内壁によって画定される複数の通路を備える、基材の内壁の表面上に、当該基材の出口端から入口端に向かって基材軸方向長さのx%にわたって(xは20~70の範囲である)配置し、か焼して、上に第1のNOx吸着剤(NA)コーティングを有する基材を得ること、
(c)水、及びアルカリ土類金属のための担体材料を有するアルカリ土類金属のうちの1つ以上、及び白金族金属成分を担持するための第2の非ゼオライト酸化物材料を有する白金族金属成分の供給源、を含む、第2の混合物を調製することと、
(d)(c)に従って得られた第2の混合物を、上に第1のNAコーティングを有する基材上に、当該基材の入口端部から出口端部に向かって基材軸方向長さのy%にわたって(yは20~70の範囲である)配置し、か焼して、第1のNAコーティング及び第2のNAコーティングを有する基材を得ること、
(e)水、白金族金属成分の供給源、及び第3の非ゼオライト酸化物材料を含む、第3の混合物を調製すること、
(f)(e)に従って得られた第3の混合物を、上に第1のNAコーティング及び第2のNAコーティングを有する基材上に、基材軸方向長さのz%にわたって(zは50~100の範囲である)配置すること、
(g)(f)に従って得られた基材をか焼して、上に第1のNAコーティング、第2のNAコーティング、及びDOCコーティングを有する基材を得ること、を含む、プロセス。
52.(a)が、
(a.1)パラジウム源、好ましくはパラジウム塩、より好ましくは硝酸パラジウムを、セリアを含む第1の非ゼオライト酸化物材料上に含浸させること、
(a.2)(a.1)で得られた含浸材料をか焼すること、好ましくはか焼前に乾燥させて、粉末を得ること、
(a.3)(a.2)で得られた粉末に水を混合すること、を含む、実施形態50に記載のプロセス。
53.(b)が、か焼の前に乾燥することを更に含み、乾燥が、90~160℃の範囲、好ましくは100~120℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態51又は52に記載のプロセス。
54.(b)によるか焼が、300~800℃の範囲、好ましくは400~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態51~53のいずれか1つに記載のプロセス。
55.(c)が、
(c.1)白金族金属成分の供給源、好ましくは白金及びパラジウムの供給源を、第2の非ゼオライト酸化物材料上に含浸させること、
(c.2)(c.1)で得られた含浸材料をか焼すること、好ましくはか焼前に乾燥させて、粉末を得ること、
(c.3)水を(c.2)で得られた粉末と混合すること、
(c.4)(c.3)で得られた水性混合物に、酸化物成分、好ましくは実施形態18~20のいずれか1つで規定した酸化物成分を混合すること、
(c.5)好ましくは、(c.4)で得られた水性混合物に、好ましくは実施形態28又は29で規定した酸化物材料を添加すること、を含む、実施形態51~54のいずれか1つに記載のプロセス。
56.(c)が、
(c.1’)白金族金属成分の供給源、好ましくは白金及びパラジウムの供給源を、第2の非ゼオライト酸化物材料上に含浸させること、
(c.2)(c.1’)で得られた含浸材料をか焼すること、好ましくはか焼前に乾燥させて、粉末を得ること、
(c.3’)アルカリ土類金属を担体材料上に含浸させること、
(c.4’)(c.3’)で得られた含浸材料をか焼すること、好ましくはか焼前に乾燥させて、粉末を得ること、
(c.5’)水を、(c.2’)で得られた粉末及び(c.4’)で得られた粉末と混合すること、
(c.6’)好ましくは、(c.5’)で得られた水性混合物に、好ましくは実施形態28又は29で規定した酸化物材料を添加すること、を含む、実施形態51~54のいずれか1つに記載のプロセス。
57.(d)が、か焼の前に乾燥することを更に含み、乾燥が、90~160℃の範囲、好ましくは100~120℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態51~56のいずれか1つに記載のプロセス。
58.(d)によるか焼が、300~800℃の範囲、好ましくは400~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態51~57のいずれか1つに記載のプロセス。
59.(e)が、
(e.1)白金族金属成分の供給源、好ましくは白金及びパラジウムの供給源を、第3の非ゼオライト酸化物材料上に含浸させること、
(e.2)(e.1)で得られた材料に水酸化バリウムを含浸させること、
(e.3)水を(e.2)で得られた含浸材料と混合すること、
(e.4)好ましくは、(e.3)で得られた水性混合物に、実施形態39~42のいずれか1つで規定した鉄及び銅のうちの1つ以上を含むゼオライト材料を混合すること、を含む、実施形態51~58のいずれか1つに記載のプロセス。
60.(f)が、第3の混合物が配置された基材を乾燥させることを更に含み、乾燥が、90~160℃の範囲、好ましくは100~120℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態51~59のいずれか1つに記載のプロセス。
61.(g)による基材のか焼が、300~800℃の範囲、好ましくは400~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態51~60のいずれか1つに記載のプロセス。
62.(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)からなる、実施形態51~61のいずれか1つに記載のプロセス。
63.実施形態51~62のいずれか1つに記載のプロセスによって得られた又は得ることができる、NOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)。
64.NOxの吸着/脱着並びにHC及びCOの変換のための、実施形態1~50及び63のいずれか1つに記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒(NA-DOC)の使用。
65.排気ガスを処理するための排気処理システムであって、
実施形態1~50及び63のいずれか1つに記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化(NA-DOC)触媒を含み、
好ましくは、選択接触還元(SCR)触媒、フィルタ上選択接触還元触媒(SCRoF)、及びアンモニア酸化(AMOX)触媒のうちの1つ以上を更に含む、排気処理システム。
66 NA-DOC触媒が、好ましくは、選択接触還元(SCR)触媒、フィルタ上選択接触還元触媒(SCRoF)、及びアンモニア酸化(AMOX)触媒のうちの1つ以上の上流に位置する、実施形態65に記載のシステム。
67.実施形態1~50及び63のいずれか1つに記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化(NA-DOC)触媒、SCR触媒、及びAMOX触媒、を含み、
NA-DOC触媒がSCR触媒の上流に配置され、SCR触媒がAMOX触媒の上流に配置される、実施形態65又は66に記載のシステム。
68.SCRoF触媒を更に含み、
SCRoF触媒が、SCR触媒の上流かつNA-DOC触媒の下流に配置されるか、又は
SCRoF触媒が、SCR触媒の下流かつAMOX触媒の上流に配置される、実施形態67に記載のシステム。
69.AMOX触媒の上流に配置された別のSCR触媒を更に含む、実施形態68に記載のシステム。
70.実施形態1~50及び63のいずれか1つに記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化(NA-DOC)触媒、SCRoF触媒、及びAMOX触媒、を含み、
NA-DOC触媒がSCR触媒の上流に配置され、SCRoF触媒がAMOX触媒の上流に配置される、実施形態65又は66に記載のシステム。
71.排気ガスを処理する方法であって、
好ましくは内燃エンジンから、より好ましくはディーゼルエンジンから排気ガスを提供することと、
排気ガスを、実施形態1~50及び63のいずれか1つに記載のNOx吸着剤ディーゼル酸化触媒と接触させることと、を含む、方法。
【0089】
本発明の文脈において、(g/in又はg/ftで表した)「所与の成分/コーティングの担持量」という用語は、基材の体積当たりの当該成分/コーティングの質量を指し、基板の体積は、基板の断面に当該成分/コーティングが存在する基材の軸方向の長さを掛けたものによって定義される体積である。例えば、基材軸方向長さのx%にわたって延び、Xg/inの担持量を有するコーティングの担持量に言及する場合、当該担持量は、基材全体の体積(in)のx%当たりのコーティングのXグラムを指す。
【0090】
更に、本発明の文脈において、「内壁の表面」という用語は、壁の「裸の」又は「むき出しの」又は「ブランクの」表面、すなわち、表面に混入し得るあらゆる不可避の不純物は別として、壁の材料からなる未処理状態の壁の表面であると理解される。
【0091】
更に、本発明の文脈において、「Xは、A、B、及びCのうちの1つ以上である」という用語(Xは、所与の特徴であり、A、B、及びCのそれぞれは当該特徴の特定の実現を表す)は、Xが、A、若しくはB、若しくはC、又はA、及びB、若しくはA、及びC、若しくはB、及びC、若しくはA、及びB、及びCのいずれかであることを開示するものとして理解されるべきである。これに関して、当業者は、上記の抽象的な用語を具体例に移すことができることに留意されたい。例えば、Xが化学元素であり、A、B、及びCが、Li、Na、及びKなどの具体的な元素であるか、又はXが温度であり、A、B、及びCが、10℃、20℃、及び30℃などの具体的な温度である。この点に関して、当業者は、上記の用語を、当該特徴のより具体的でない認識(例えば、「Xは、A及びBのうちの1つ以上である」は、XがA、若しくはB、若しくはA及びB、のいずれかであることを開示する)、又は当該特徴のより具体的な認識(例えば、「Xは、A、B、C及びDのうちの1つ以上である」は、XがA、若しくはB、若しくはC、若しくはD、若しくはA及びB、若しくはA及びC、若しくはA及びD、若しくはB及びC、若しくはB及びD、若しくはC及びD、若しくはA及びB及びC、若しくはA及びB及びD、若しくはB及びC及びD、若しくはA及びB及びC及びD、のいずれかであることを開示する)に拡張することができることに更に留意されたい。
【0092】
本発明を以下の実施例によって更に説明する。
【実施例
【0093】
参考例1
1.1 BET比表面積の測定
BET比表面積は、液体窒素を使用してDIN 66131又はDIN ISO 9277に従って求めた。
【0094】
1.2 結晶化度の決定
ゼオライトの相対結晶化度の決定は、ASTMの触媒に関する委員会D32、特にゼオライトに関する小委員会D32.05の管轄下における試験方法を使用してX線回折によって行った。現行版は、2001年3月10日に承認され、2001年5月に公開され、当初はD 5758-95として公開された。
【0095】
1.3 総細孔体積の決定
総細孔体積は、ISO 15901-2:2006に従って決定した。
【0096】
触媒の調製
表1に示すように、合計4つの触媒を調製した。実施例2.2は、本発明によるNOx吸着剤DOC触媒の調製物を記載する。本発明の実施例の性能利点は、比較例2.1に対して実証された。比較例2.1のセリア上の2重量%のバリウムという追加の特徴の影響を実証するために、2つの追加の比較例1.1及び1.2を調製した。
【0097】
【表1】
【0098】
比較例1.1:NOx吸着剤DOC(NA-DOC)の調製
ボトムコーティング:
担体材料(セリア対アルミナの重量比が50:50であり、BET比表面積が140m/gであり、細孔体積が0.7mL/gであるCeとAlとの混合酸化物)に、白金(アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体を含有する水溶液を使用し、当該溶液は15重量%の間のPt含有量を有する)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、15~23重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して9:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させた。
【0099】
得られた含浸担体材料、セリア、H型の骨格型BEAを有するゼオライト材料(シリカ対アルミナのモル比SiO:Alは12.5:1であり、XRDによって決定された結晶化度は80%超である)、ZrOとして計算されるボトムコーティング中のジルコニアの量が0.05g/inであるような酢酸ジルコニウム、及びMgOとして計算されるボトムコーティング中の酸化マグネシウムの量が0.05g/inであるような酢酸マグネシウムを含有するスラリーを調製した。コージライト(全体積1.9L、400cpsi、及び4ミル壁厚、直径:143.8mm×長さ:114.3mm)のコーティングされていない円形フロースルーハニカム基材及びを、基材の入口端部から出口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの70%にわたって、得られたスラリーでコーティングした。次いで、コーティングされた基材を空気中で110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。第1のコーティング(ボトムコーティング)は、76.9g/ftの白金及び8.8g/ftのパラジウム、0.8g/inのCe/Al混合酸化物、3.9g/inのセリア、0.35g/inのH-BEA、0.05g/inのZrO、並びに0.05g/inのMgOを含有した。第1のコーティングの担持量は5.20g/inであった。
【0100】
入口トップコーティング:
担体材料(BET比表面積が170m/gであり、細孔体積が0.7mL/gである、5重量%のSiOでドープされたアルミナ)に、白金(安定化された白金錯体の水溶液を使用)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、19重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して、1:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させ、その後水酸化バリウムを使用して化学的に固定した。次いで、得られた含浸担体材料及びH型の骨格型BEAを有するゼオライト材料(シリカ対アルミナのモル比SiO:Alが12.5:1であり、XRDによって決定される結晶化度が80%超である)を含有するスラリーを調製した。
【0101】
次いで、ボトムコーティングでコーティングされた基材を、基材の入口端部から出口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの50%にわたって、得られたスラリーでコーティングして、入口トップコートを形成した。次いで、コーティングされた基材を空気中110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。入口トップコートは、14.0g/ftの白金、14.0g/ftのパラジウム、0.7g/inのSi-アルミナ、0.25g/inのH-BEA、及び0.02g/inのBaOを含む。入口コートの担持量は0.97g/inであった。
【0102】
出口トップコーティング:
担体材料(BET比表面積が120m/gであり、細孔体積が0.7mL/gである、5重量%のMnOでドープされたアルミナ)に、白金(安定化された白金錯体の水溶液を使用)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、19重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して、9:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させ、その後水酸化バリウムを使用して化学的に固定した。
上にボトムコーティング及び入口コートを有する基材を、基材の出口端部から入口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの50%にわたって、得られた含浸担体材料を含有するスラリーで更にコーティングした。次いで、コーティングされた基材を空気中110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。出口トップコートは、82.8g/ftの白金及び9.2g/ftのパラジウムを含有した。出口トップコートの担持量は1.36g/inであった。
第2のコーティング(入口コート+出口コート)の担持量は、約1.16g/inであった。
【0103】
比較例1.2:Ba/Ce含有NOx吸着剤DOC(NA-DOC)の調製
ボトムコーティング:
担体材料(セリア対アルミナの重量比が50:50であり、BET比表面積が140m/gであり、細孔体積が0.7mL/gであるCeとAlとの混合酸化物)に、白金(アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体を含有する水溶液を使用し、当該溶液は15重量%の間のPt含有量を有する)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、15~23重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して9:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させた。次いで、セリアである酸化物材料(BET比表面積は120m/gである)に、湿式含浸プロセスによって、酸化物材料(セリア)の重量に基づいて、BaOとして計算されるバリウムの量が2重量%となるように酢酸バリウムを含浸させ、その後590℃で2時間か焼した。得られたPt/Pd含浸担体材料、Ba含浸酸化物材料、及び骨格型BEAを有するゼオライト材料(シリカ対アルミナモル比SiO:Alは12.5:1であり、XRDによって決定された結晶化度は80%超である)でスラリーを形成し、ZrOとして計算されるボトムコーティング中のジルコニアの量が0.05g/inであるような酢酸ジルコニウム、及びMgOとして計算されるボトムコーティング中の酸化マグネシウムの量が0.05g/inであるような酢酸マグネシウムを調製した。コージライト(全体積1.9L、400cpsi、及び4ミル壁厚、直径:143.8mm×長さ:114.3mm)のコーティングされていない円形フロースルーハニカム基材及びを、基材の入口端部から出口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの70%にわたって、得られたスラリーでコーティングした。次いで、コーティングされた基材を空気中で110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。第1のコーティング(ボトムコーティング)は、76.9g/ftの白金及び8.8g/ftのパラジウム、0.8g/inのCe/Al混合酸化物、3.9g/inのBa/セリア、0.35のH-BEA、0.05g/inのZrO、並びに0.05g/inのMgOを含有した。第1のコーティングの担持量は5.20g/inであった。
【0104】
トップコーティング:
当該実施例の入口トップコーティング及び出口トップコーティングを、比較例1.1の入口コーティング及び出口コーティングとして調製し、ボトムコーティングでコーティングされた基材上に同じ様式で配置した。
【0105】
比較例2.1:Ba/Ce含有NOx吸着剤DOC(NA-DOC)の調製
ボトムコーティング:
担体材料(セリア対アルミナの重量比が50:50であり、BET比表面積が140m/gであり、細孔体積が0.7mL/gであるCeとAlとの混合酸化物)に、白金(アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体を含有する水溶液を使用し、当該溶液は15重量%の間のPt含有量を有する)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、15~23重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して9:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させた。
次いで、セリアである酸化物材料(BET比表面積は120m/gよりも高い)に、湿式含浸プロセスによって、酸化物材料(セリア)の重量に基づいて、BaOとして計算されるバリウムの量が2重量%となるように酢酸バリウムを含浸させ、その後590℃で2時間か焼した。得られたPt/Pd含浸担体材料、Ba含浸酸化物材料、及び骨格型BEAをそのH型で有するゼオライト材料(シリカ対アルミナモル比SiO:Alは12.5:1であり、XRDによって決定された結晶化度は80%超である)、ZrOとして計算されるボトムコーティング中のジルコニアの量が0.05g/inであるような酢酸ジルコニウム、及びMgOとして計算されるボトムコーティング中の酸化マグネシウムの量が0.05g/inであるような酢酸マグネシウムを含有するスラリーを調製した。コージライト(全体積1.9L、400cpsi、及び4ミル壁厚、直径:143.8mm×長さ:114.3mm)のコーティングされていない円形フロースルーハニカム基材及びを、基材の入口端部から出口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの100%にわたって、得られたスラリーでコーティングした。次いで、コーティングされた基材を空気中で110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。第1のコーティング(ボトムコーティング)は、53.8g/ftの白金及び6.2g/ftのパラジウム、0.8g/inのCe/Al混合酸化物、3.9g/inのBa/セリア、0.5のH-BEA、0.05g/inのZrO、並びに0.05g/inのMgOを含有した。第1のコーティングの担持量は5.35g/inであった。
【0106】
入口トップコーティング:
担体材料(BET比表面積が170m/gより高く、細孔体積が0.7mL/gより高い、5重量%のSiOでドープされたアルミナ)に、白金(安定化された白金錯体の水溶液を使用)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、15~23重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して、1:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させ、その後水酸化バリウムを使用して化学的に固定した。次いで、得られた含浸担体材料を含有するスラリーを調製した。次いで、ボトムコーティングでコーティングされた基材を、基材の入口端部から出口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの50%にわたって、得られたスラリーでコーティングして、入口トップコートを形成した。次いで、コーティングされた基材を空気中110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。入口トップコートは、30.0g/ftの白金、30.0g/ftのパラジウム、0.7g/inのSi-アルミナ、及び0.02g/inのBaOを含む。入口コートの担持量は0.73g/inであった。
【0107】
出口トップコーティング:
担体材料(BET比表面積が170m/gより高く、細孔体積が0.7mL/gより高い、5重量%のSiOでドープされたアルミナ)に、白金(安定化された白金錯体の水溶液を使用)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、19重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して、9:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させ、その後水酸化バリウムを使用して化学的に固定した。上にボトムコーティング及び入口コートを有する基材を、基材の出口端部から入口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの50%にわたって、得られた含浸担体材料を含有するスラリーで更にコーティングした。次いで、コーティングされた基材を空気中110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。出口トップコートは、54.0g/ftの白金、6.0g/ftのパラジウム、1.3g/inのSi/アルミナ、及び0.01g/inのBaOを含む。出口トップコーティングの担持量は1.36g/inであった。
【0108】
実施例2.2:Pd/Ce含有NOx吸着剤DOC(NA-DOC)の調製
NAコーティング(入口ボトムコーティング):
担体材料(セリア対アルミナの重量比が30:70であり、BET比表面積が170m/gであり、細孔体積が0.8mL/gであるCe/Al混合酸化物)に、白金(アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体を含有する水溶液を使用し、当該溶液は15重量%の間のPt含有量を有する)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、15~23重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して9:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させた。
【0109】
次いで、セリアである酸化物材料(BET比表面積は120m/gである)に、湿式含浸プロセスによって、酸化物材料(セリア)の重量に基づいて、BaOとして計算されるバリウムの量が2重量%となるような酢酸バリウムを含浸させ、その後590℃で2時間か焼した。得られたPt/Pd含浸担体材料、セリアである酸化物材料(BET比表面積は120m/gである)、ZrOとして計算される、ボトムコーティング中のジルコニアの量が0.05g/inであるような酢酸ジルコニア、及びMgOとして計算される、ボトムコーティング中の酸化マグネシウムの量が0.05g/inであるような酢酸マグネシウムでスラリーを形成した。
【0110】
コージライト(全体積1.9L、400cpsi、及び4ミル壁厚、直径:143.8mm×長さ:114.3mm)のコーティングされていない円形フロースルーハニカム基材及びを、基材の入口端部から出口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの50%にわたって、得られたスラリーでコーティングして、入口ボトムコーティングを形成した。次いで、コーティングされた基材を空気中で110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。入口ボトムコーティングは、53.8g/ftの白金及び6.2g/ftのパラジウム、0.8g/inのCe/Al混合酸化物、3.9g/inのセリア、0.05g/inのZrO、並びに0.05g/inのMgOを含有した。入口ボトムコーティングの担持量は4.85g/inであった。
【0111】
NAコーティング(出口ボトムコーティング):
120mのBET比表面積を有するセリアである酸化物材料に、パラジウム(硝酸Pdを含有し、15~23重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を含浸させた。得られた含浸酸化物材料を含有するスラリーを調製し、次いで、入口ボトムコートでコーティングされた基材を、基材の出口端部から入口端部に向かって、当該基材の軸方向長さの50%にわたってコーティングした。次いで、コーティングされた基材を空気中110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。出口ボトムコーティングは、60.0g/ftのパラジウムを含む3.90g/inのPd/セリアを含有した。出口コーティングの担持量は3.93g/inであった。
【0112】
DOCコーティング(トップコーティング):
担体材料(BET比表面積が170m/gより高く、細孔体積が0.7mL/gより高い、5重量%のSiOでドープされたアルミナ)に、白金(安定化された白金錯体の水溶液を使用)及びパラジウム(硝酸Pdを含有し、15~23重量%の範囲の濃度を有する水溶液を使用)を、それぞれ元素として計算して、9:1の重量比で、湿式含浸プロセスによって含浸させ、その後水酸化バリウムを使用して化学的に固定した。
【0113】
得られた含浸担体材料及び骨格型BEAを有するゼオライト材料(シリカ対アルミナのモル比SiO:Alは26:1であり、XRDによって決定された結晶化度は90%超であり、XRDによって決定され、Feとして計算される1.4重量%のFeを含有する)を調製し、コージエライトフロースルー基材上に、入口及び出口ボトムコートとともに、当該基材の軸方向長さの100%にわたって入口端部から出口端部に向かってコーティングした。次いで、コーティングされた基材を空気中110℃で1時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。第2のコーティング(トップコーティング)は、54.0g/ftの白金、6.0g/ftのパラジウム、1.2g/inのSi/アルミナ、0.35g/inのFe-BEA、及び0.1g/inのBaOを含有した。第2のコーティングの担持量は約1.70g/inであった。
【0114】
実施例3:ディーゼルエンジンでの比較例1.1、1.2、及び2.1並びに実施例2.2のNA-DOCのWLTC評価
比較例1.1、1.2、及び2.1、並びに実施例2.2の触媒を、10%水蒸気(水)/空気中800℃で16時間の熱水エージング後、2LディーゼルエンジンでWorldwide Harmonized Light Vehicle Test Cycle(WLTC)において試験し、その後硫酸化及びリーン脱硫酸化手順(50サイクル)を行った。報告された試験に対する前処理は、任意の予備吸着されたNOxをパージするための650℃で10分間の温度処理、及びNOxの制御された予備充填のための280℃の最大温度を用いた短縮されたWLTCであった。
【0115】
図1は、WLTCのコールドスタート領域におけるNOx吸着剤DOC上の累積NOx吸蔵量を示す。全ての配合物は、エンジンから出る排気からNOxを吸着する。前処理中に吸着されたNOxの正味の脱着は、いずれの試料についても観察されなかった。比較例1.1及び1.2の比較は、配合物にバリウムを添加することのNOx吸蔵効率における利点を示す。比較例2.1とは対照的に、実施例2.2の触媒はNOx吸蔵材料としてセリア上にバリウムを含有しないという事実にもかかわらず、NOx吸蔵効率の顕著な増加が観察される。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、これは、実施例2.2の出口ボトムコートにおけるPd/Ceの特徴に起因し得ると考えられる。また、硫酸化及びリーン脱硫酸化に対する安定性が、この手順で実証された。
【0116】
実施例4 Pd/Ce含有NOx吸着剤DOC(NA-DOC)の調製
入口ボトムコーティング:実施例4の入口ボトムコーティングは、白金族金属担持量を増加させ、水酸化バリウムを使用して3.9g/inの量のセリアを含浸させたことを除いて、実施例2.2の入口ボトムコーティングと同様に調製した。したがって、入口ボトムコーティングの担持量は、63g/ftの白金、7g/ftのパラジウム、0.8g/inのCe/Al混合酸化物、0.08g/inのBaO、3.0g/inのセリア、0.05g/inのMgO、及び0.05g/inのZrOを含有した。4.92g/in
【0117】
出口ボトムコーティング:実施例の出口ボトムコーティングは、出口ボトムコートが3.90g/inのPd/セリア及び50.0g/ftのパラジウムを含有したことを除いて、実施例2.2の出口ボトムコーティングと同様に調製した。出口ボトムコーティングの担持量は3.93g/inであった。
【0118】
トップコーティング:
実施例4のトップコーティングは、54.0g/ftの白金、6.0g/ftのパラジウム、1.2g/inのSi/アルミナ、0.5g/inのFe-BEA、及び0.1g/inのBaOを含有したことを除いて、実施例2.2のトップコーティングと同様に調製した。トップコーティングの担持量は約1.85g/inであった。
【0119】
実施例5 実施例1.1及び実施例4の触媒の試験-HC及びCO着火温度
比較例1.1及び実施例4のHC及びCO着火温度を、10%水蒸気(水)/空気中800℃で16時間の熱水エージング後に3Lディーゼルエンジンで測定した。最も高い失活の状態(650℃で10分間のリーンフィルタ再生モード)で着火温度を決定した。空間速度は約30Kh-1であり、濃度は、COが830~1270ppm、THCが160~220ppm、そしてNOxが40~80ppmであった。結果を図2及び図3に示す。
【0120】
図2及び図3から分かるように、実施例4の触媒は、比較例について測定された温度、すなわち187℃(失活)のCO T50と比較して、COの50%が変換されるより低い温度、すなわち167℃(失活)のCO T50を示す。これは、HC変換率についても当てはまり、すなわち、本発明の触媒は、比較触媒(187℃)よりも低い177℃のHC T70(HCの70%が変換される温度)を示す。したがって、本発明の触媒は、改善されたCO及びHC酸化性能を示すことが実証された。
【0121】
実施例6:ディーゼルエンジンでの比較例1.1及び実施例4のNA-DOCのWLTC評価
比較例1.1及び実施例4の触媒を、10%水蒸気(水)/空気中800℃で16時間の熱水エージング後に、3LディーゼルエンジンでWorldwide Harmonized Light Vehicle Test Cycle(WLTC)において試験した。報告された試験に対する前処理は、任意の予備吸着されたNOxをパージするための10分間の650℃の温度処理、並びにNOxの制御された予備充填のための350℃の最大温度を有する完全WLTC(図4)及び320℃の最大温度を有する短縮WLTC(図5)であった。
【0122】
図4及び図5は、WLTCのコールドスタート領域におけるNOx吸着剤DOC上の累積NOx吸蔵量を示す。全ての配合物は、エンジンから出る排気からNOxを吸着する。前処理中に吸着されたNOxの正味の脱着は、いずれの試料についても観察されなかった。比較例1.1及び実施例4の比較は、配合物にバリウム及びPd/Ceの特徴を添加することのNOx吸蔵効率における利点を示す。比較例1.1、1.2、及び2.1と実施例2.2との比較から、NOx吸着における主な利点は、Pd/Ceの特徴に起因し得る。NOx予備充填における異なる条件は、全てのコールドスタート条件下でNOx吸蔵効率を提供する触媒の能力を実証する。
【図面の簡単な説明】
【0123】
図1】800℃で16時間の水蒸気エージング並びにその後の硫酸化及びリーン脱硫酸化(50サイクル)後のWLTCにおける比較例1.1、1.2、及び2.1並びに実施例2.2の触媒の累積NOx吸蔵量を示す。
図2】エージング(失活)後の比較例1.1及び実施例4の触媒のCO着火温度(CO T50)を示す。
図3】エージング(失活)後の比較例1.1及び実施例4の触媒のHC着火温度(HC T70)を示す。
図4】800℃で16時間の蒸気エージング後のWLTCにおける比較例1.1及び実施例4の触媒の累積NOx吸蔵量を示す。
図5】800℃で16時間の蒸気エージング後のWLTCにおける比較例1.1及び実施例4の触媒の累積NOx吸蔵量を示す。
【0124】
引用文献
-国際公開第2016/141142(A1)号
-国際公開第2020/236879(A1)号
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】