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特表2024-533159糖尿病を治療するための抗CD3抗体およびDYRK1A阻害剤を含む方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】糖尿病を治療するための抗CD3抗体およびDYRK1A阻害剤を含む方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 9/99 20060101ALN20240905BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K45/00
A61P3/10
A61P43/00 121
A61K31/192
A61K31/167
A61K31/135
A61K31/437
C12N9/99 ZNA
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513921
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 US2022043383
(87)【国際公開番号】W WO2023039295
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/243,666
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/318,363
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521155829
【氏名又は名称】プロヴェンション・バイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PROVENTION BIO, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・レオン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZC35
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG06
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZC35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA24
4C206FA05
4C206GA02
4C206GA31
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZC35
4C206ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA27
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書では、1型糖尿病を治療するための方法および組成物が提供される。また、本明細書では、1型糖尿病の発症を予防するかまたは遅延させるための方法および組成物も提供される。一部の実施形態では、このような方法は、それを必要とする対象にテプリズマブの12日間~14日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで投与する工程と、DYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程とを含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床的1型糖尿病(T1D)治療する方法であって、
それを必要とする対象に、
テプリズマブの12日間~14日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで;ならびに
DYRK1A阻害剤の有効量
を、投与する工程を含む方法。
【請求項2】
総用量は約9000から約9500μg/mの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それを必要とする対象にテプリズマブの12日間コースを投与する工程を含み、
12日間コースは、1日目にテプリズマブ106μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ425μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に850μg/mの1回用量を含み、
総用量は約9031μg/mである、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
それを必要とする対象にテプリズマブの12日間コースを投与する工程を含み、
12日間コースは、1日目にテプリズマブ211μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ423μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に840μg/mの1回用量を含み、
総用量は約9034μg/mである、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
テプリズマブの第1のおよび第2の12日間コースを投与する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1のおよび第2の12日間コースは約6カ月の間隔で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
それを必要とする対象に、テプリズマブの第3のまたはそれ以上の12日間コースを、各コース総用量約9000から約9500μg/mの間で、投与する工程をさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
テプリズマブの第3のまたはそれ以上の12日間コースは、
1日目にテプリズマブ106μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ425μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日にテプリズマブ850μg/mの1回用量を含み、
各コースの総用量は約9031μg/mである、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
テプリズマブの第3のまたはそれ以上の12日間コースは、
1日目にテプリズマブ211μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ423μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日にテプリズマブ840μg/mの1回用量を含み、
各コースの総用量は約9034μg/mである、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
テプリズマブの第3のまたはそれ以上の12日間コースは、約12カ月~約24カ月の間隔で投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
ベースライン時および投与の約3カ月後、全CD3+ T細胞に対するTIGIT+KLRG1+CD8+ 細胞のレベルを決定する工程と、
TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のレベルをモニタリングする工程と、
TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のレベルがベースラインレベルに戻る場合、テプリズマブのさらなる12日間コースを投与する工程と
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞を決定する工程はフローサイトメトリーによるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のモニタリングする工程はフローサイトメトリーによるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
対象が全CD3+ T細胞中約10%超のTIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞を有する場合、その後のモニタリングする工程は年に一度である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
対象が全CD3+ T細胞中約10%未満のTIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞を有する場合、その後のモニタリングする工程は約6カ月ごとである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
投与する工程は、治療前のレベルと比較して、外因性インスリンの使用、HbA1cレベル、低血糖エピソード、またはそれらの組合せの少なくとも10%の減少をもたらす、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
テプリズマブの各用量は非経口投与される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
テプリズマブの各用量は静脈内輸注によって投与される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
テプリズマブの各用量は皮下投与される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
テプリズマブの各用量は経口投与される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
DYRK1A阻害剤の有効量は、経口で、腹腔内で、皮下でまたは静脈内輸注によって投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
テプリズマブおよびDYRK1A阻害剤は、それを必要とする対象に同時投与される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
それを必要とする対象は約8~17歳である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
それを必要とする対象は、混合食事負荷試験(MMTT)過程で≧0.2pmol/mLのピークC-ペプチドレベルを有する、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
テプリズマブを受けている対象は、プラセボを受けている対照と比較して、治療後により高い平均C-ペプチド値を有する、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
78週目に、混合食事負荷試験(MMTT)の後のC-ペプチドの時間濃度曲線下面積(AUC)を評価する工程を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
それを必要とする対象は、テプリズマブおよびDYRK1A阻害剤の投与前にベータ細胞機能のうちの少なくとも20%を有する、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
外因性インスリンの使用、HbA1cレベル、低血糖エピソード、またはそれらの組合せの減少は12カ月以上の期間にわたる、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
14日間コースを、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
14日間コースを、それぞれ、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1030μg/mの1回用量で投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
14日間コースを、1日目に約100μg/m、2日目に約425μg/m、3日目に約850μg/m、および4日目に約850μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
14日間コースを、1日目に約65μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1070μg/mの1回用量で投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
それを必要とする対象は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病の対象である、請求項28~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
テプリズマブの各用量は非経口投与される、請求項28~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
テプリズマブの各用量は静脈内輸注によって投与される、請求項28~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
テプリズマブの各用量は皮下投与される、請求項28~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
テプリズマブの各用量は経口投与される、請求項28~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
1型糖尿病(T1D)の発症を予防するかまたは遅延させる方法であって、
それを必要とする対象にテプリズマブの14日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで予防的に投与する工程と;
それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程と
を含む方法。
【請求項39】
テプリズマブの予防有効量は、皮下(SC)もしくは静脈内(IV)または経口投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
14日間コースのIV輸注を、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1,000μg/mの1回用量で投与する工程を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1,030μg/mの1回用量で投与する工程を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
14日間コースのIV輸注を、1日目に約100μg/m、2日目に約425μg/m、3日目に約850μg/m、および4日目に約850μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1,000μg/mの1回用量で投与する工程を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
14日間コースのIV輸注を、1日目に約65μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1070μg/mの1回用量で投与する工程を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
1型糖尿病(T1D)を治療する方法であって:
それを必要とする対象にテプリズマブの12日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで静脈内投与する工程と;
それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程と
を含む方法。
【請求項45】
1型糖尿病(T1D)を治療する方法であって:
それを必要とする対象にテプリズマブの12日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで皮下投与する工程と;
それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程と
を含む方法。
【請求項46】
1型糖尿病を治療するためのテプリズマブとDYRK1A阻害剤の組合せであって、
それを必要とする対象にテプリズマブの12日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで皮下投与する工程と;
それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程と
を含む組合せ。
【請求項47】
1型糖尿病(T1D)の発症を予防するかまたは遅延させるためのテプリズマブとDYRK1A阻害剤の組合せであって、
それを必要とする対象にテプリズマブの14日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで予防的に投与する工程と;
それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程と
を含む組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年9月13日出願の米国仮出願第63/243,666号および2022年3月9日出願の米国仮出願第63/318,363号の優先権および利益を主張するものであり、それぞれの全開示を参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
配列表
本明細書は、本明細書とともに提出される配列表を含み、これは、2022年9月12日に作成された、以下のサイズ:3,270バイトを有する178833-011302_ST26.xlmという名称のファイルを含み、その内容を参照によって本明細書に組み入れる。
【0003】
分野
本開示は、全体として、それを必要とする対象において糖尿病を治療するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
1型糖尿病(T1D)は、ランゲルハンス島におけるインスリン産生ベータ細胞の自己免疫破壊によって引き起こされ、その結果、生存のために外因性インスリン注射への依存症という結果に至る。約160万人の米国人が1型糖尿病を有しており、そして、1型糖尿病は依然として、喘息に次いで小児期の最もよくある疾患の一つである。医療の改善にもかかわらず、T1Dに最も冒された個体は所望の血糖目標値を一貫して達成することができない。1型糖尿病の個体については、罹患率と死亡率の両方のリスクが増大することについて根強い懸念がある。最近の研究2報で特筆されたことは、10歳未満で診断を受けた小児については17.7年の寿命の損失ならびに成人で診断されたスコットランド人の男性および女性についてはそれぞれ11年および13年の寿命損失である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改良されたT1D治療方法および組成物へのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、1型糖尿病(T1D)を治療する方法であって:それを必要とする対象にテプリズマブの12日間~14日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで静脈内投与する工程と;対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程とを含む方法に関する。
【0007】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に12日間コースを投与する工程を含み、12日間コースは、1日目にテプリズマブ106μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ425μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に850μg/mの1回用量を含み、総用量は約9031μg/mである。
【0008】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に12日間コースを投与する工程を含み、12日間コースは、1日目にテプリズマブ211μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ423μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に840μg/mの1回用量を含み、総用量は約9034μg/mである。
【0009】
一部の実施形態では、方法は、テプリズマブの第1のおよび第2の12日間コースを投与する工程を含む。一部の実施形態では、第1のおよび第2の12日間コースは、約6カ月の間隔で投与される。一部の実施形態では、第1のおよび第2の12日間コースは、約1~6カ月、約2~5カ月または約3カ月の間隔で投与される。
【0010】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、テプリズマブの第3のまたはそれ以上の12日間コースを、各コース総用量約9000μg/m~約14000μg/mで投与する工程を含む。
【0011】
一部の実施形態では、テプリズマブの第3のまたはそれ以上の12日間コースは、1日目にテプリズマブ106μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ425μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に850μg/mの1回用量を含み、ここで、各コースの総用量は約9031μg/mである。
【0012】
一部の実施形態では、テプリズマブの第3のまたはそれ以上の12日間コースは、1日目にテプリズマブ211μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ423μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に840μg/mの1回用量を含み、ここで、各コースの総用量は約9034μg/mである。
【0013】
一部の実施形態では、テプリズマブの第3のまたはそれ以上の12日間コースは、それを必要とする対象に約12カ月~約24カ月の間隔で投与される。
【0014】
一部の実施形態では、方法は、ベースライン時および投与の約3カ月後、全CD3+ T細胞に対するTIGIT+KLRG1+CD8+ 細胞のレベルを決定する工程と;TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のレベルをモニタリングする工程と;TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のレベルがベースラインレベルに戻る場合、テプリズマブのさらなる12日間コースを投与する工程とをさらに含む。一部の実施形態では、TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞を決定する工程はフローサイトメトリーによるものである。一部の実施形態では、TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のモニタリングする工程はフローサイトメトリーによるものである。一部の実施形態では、対象が全CD3+ T細胞中約10%超のTIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞を有する場合、その後のモニタリングする工程は年に一度である。一部の実施形態では、対象が全CD8+ T細胞中約10%未満のTIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞を有する場合、その後のモニタリングする工程は約3~6カ月ごとまたは約6カ月ごとである。
【0015】
一部の実施形態では、投与する工程は、治療前のレベルと比較して、外因性インスリンの使用、HbA1cレベル、低血糖エピソード、またはそれらの組合せの少なくとも10%の減少をもたらす。
【0016】
一部の実施形態では、テプリズマブの各用量は非経口投与される。
【0017】
一部の実施形態では、テプリズマブの各用量は静脈内輸注によって投与される。
【0018】
一部の実施形態では、テプリズマブの各用量は皮下によって投与される。
【0019】
一部の実施形態では、テプリズマブの各用量は経口によって投与される。
【0020】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量は、経口で、腹腔内で、皮下でまたは静脈内輸注によって投与される。
【0021】
一部の実施形態では、テプリズマブおよびDYRK1A阻害剤は同時投与される。
【0022】
一部の実施形態では、それを必要とする対象は約8~17歳である。
【0023】
一部の実施形態では、それを必要とする対象は、混合食事負荷試験(MMTT)過程で≧0.2pmol/mLのピークC-ペプチドレベルを有する。
【0024】
一部の実施形態では、テプリズマブを受けている対象は、プラセボを受けている対照と比較して、治療後により高い平均C-ペプチド値を有する。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、78週目に、混合食事負荷試験(MMTT)の後のC-ペプチドの時間濃度曲線下面積(AUC)を評価する工程をさらに含む。
【0026】
一部の実施形態では、それを必要とする対象は、テプリズマブおよびDYRK1A阻害剤の投与前にベータ細胞機能のうちの少なくとも20%を有する。
【0027】
一部の実施形態では、外因性インスリンの使用、HbA1cレベル、低血糖エピソード、またはそれらの組合せの減少は12カ月以上の期間にわたる。
【0028】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースを、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病の対象である。
【0029】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースを、それぞれ、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1030μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病の対象である。
【0030】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースを、1日目に約100μg/m、2日目に約425μg/m、3日目に約850μg/m、および4日目に約850μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病の対象である。
【0031】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースを、1日目に約65μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1070μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病の対象である。
【0032】
一部の実施形態では、テプリズマブの各用量は非経口投与される。一部の実施形態では、テプリズマブの各用量は静脈内輸注によって投与される。一部の実施形態では、テプリズマブの各用量は皮下投与される。一部の実施形態では、テプリズマブの各用量は経口投与される。
【0033】
本開示の態様は、1型糖尿病(T1D)の発症を予防するかまたは遅延させる方法であって:
それを必要とする対象にテプリズマブの14日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで予防的に投与する工程と;
それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程と
を含む方法に関する。
【0034】
一部の実施形態では、テプリズマブの予防有効量は、皮下(SC)もしくは静脈内(IV)または経口投与される。
【0035】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースのIV輸注を、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。
【0036】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1030μg/mの1回用量で投与する工程を含む。
【0037】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースのIV輸注を、1日目に約100μg/m、2日目に約425μg/m、3日目に約850μg/m、および4日目に約850μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。
【0038】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースのIV輸注を、1日目に約65μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1070μg/mの1回用量で投与する工程を含む。
【0039】
本開示の態様は、1型糖尿病(T1D)を治療する方法であって:それを必要とする対象にテプリズマブの12日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで静脈内投与する工程と;それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程とを含む方法に関する。
【0040】
本開示の態様は、1型糖尿病(T1D)を治療する方法であって:それを必要とする対象にテプリズマブの12日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで皮下投与する工程と;それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程とを含む方法に関する。
【0041】
本開示の態様は、1型糖尿病を治療するためのテプリズマブとDYRK1A阻害剤の組合せであって;それを必要とする対象にテプリズマブの12日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで皮下投与する工程と;それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程とを含む組合せに関する。
【0042】
本開示の態様は、1型糖尿病の発症を予防するかまたは遅延させるためのテプリズマブとDYRK1A阻害剤の組合せであって:それを必要とする対象にテプリズマブの14日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで予防的に投与する工程と;それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程とを含む組合せに関する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】3つの投薬レジメンについてのシミュレーション濃度の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、およびADA不検出の典型的な男性患者についての集団予測。
図2】投薬レジメン1と2についての濃度の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、およびADA不検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図3】Herold投薬レジメンと投薬レジメン1についての濃度の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、およびADA不検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図4】Herold投薬レジメンと投薬レジメン1の最終投薬日での濃度の比較:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、およびADA不検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図5】3つの投薬レジメンについてのシミュレーション濃度の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、および高レベルADA検出の典型的な男性患者についての集団予測。
図6】投薬レジメン1と2についての濃度の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、および高レベルADA検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図7】Herold投薬レジメンと投薬レジメン1についての濃度の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、および高レベルADA検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図8】Herold投薬レジメンと投薬レジメン1の最終投薬日での濃度の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、および高レベルADA検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図9】3つの投薬レジメンについてのシミュレーション濃度の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、およびADA不検出の典型的な男性患者についての集団予測。
図10】投薬レジメン1と2についての濃度の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、およびADA不検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図11】Herold投薬レジメンと投薬レジメン1についての濃度の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、およびADA不検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図12】Herold投薬レジメンと投薬レジメン1の最終投薬日での濃度の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、およびADA不検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図13】3つの投薬レジメンについてのシミュレーション濃度の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、および高レベルADA検出の典型的な男性患者についての集団予測。
図14】投薬レジメン1と2についての濃度の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、および高レベルADA検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図15】Herold投薬レジメンと投薬レジメン1についての濃度の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、および高レベルADA検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図16】Herold投薬レジメンと投薬レジメン1の最終投薬日での濃度の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、および高レベルADA検出の典型的な男性患者についてのモデルベースのシミュレーション。
図17】Heroldレジメンと投薬レジメン2についての濃度の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、およびADA不検出の男性患者についてのモデルベースのシミュレーション(42日間)。
図18】Heroldレジメンと投薬レジメン2についての濃度中央値の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、およびADA不検出の男性患者についてのモデルベースのシミュレーション(35日間)。
図19】Heroldレジメンと投薬レジメン2についての濃度の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m、および高レベルADA検出の男性患者についてのモデルベースのシミュレーション(42日間)。
図20】Heroldレジメンと投薬レジメン2についての濃度中央値の比較の図である:WT=60kg、年齢=18歳、BSA=1.67m2、および高レベルADA検出の男性患者についてのモデルベースのシミュレーション(35日間)。
図21】Heroldレジメンと投薬レジメン2についての濃度の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、およびADA不検出の男性患者についてのモデルベースのシミュレーション(42日間)。
図22】Heroldレジメンと投薬レジメン2についての濃度中央値の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m2、およびADA不検出の男性患者についてのモデルベースのシミュレーション(35日間)。
図23】Heroldレジメンと投薬レジメン2についての濃度の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、および高レベルADA検出の男性患者についてのモデルベースのシミュレーション(42日間)。
図24】Heroldレジメンと投薬レジメン2についての濃度中央値の比較の図である:WT=45kg、年齢=13歳、BSA=1.33m、および高レベルADA検出の男性患者についてのモデルベースのシミュレーション(35日間)。
図25】一実施形態による治験計画のダイアグラムを示す図である。
図26】支持的試験メタアナリシスにおける1年間の追跡調査にてのC-ペプチドAUC(nmol/L)のベースラインからの変化におけるテプリズマブと対照との間の予測平均差の図である。
図27】支持的試験メタアナリシスにおける2年間の追跡調査にてのC-ペプチドAUC(nmol/L)のベースラインからの変化におけるテプリズマブと対照との間の予測平均差の図である。
図28】TN-10:T1Dの患者におけるC-ペプチドAUC(nmol/L)の図である。
図29-1】各来院時にての平均インスリン使用の図である。
図29-2】図29-1の続き。
図29-3】図29-2の続き。
図29-4】図29-3の続き。
図29-5】図29-4の続き。
図30】異なる体重にわたる14日間レジメンの後の予測平均テプリズマブ血清濃度 対 時間のプロファイルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
1型糖尿病は通常には小児期および青少年期に発生する;しかし、それは、40歳代または50歳代になって成人期でも生じる場合があるが、かなり頻度は小さい(Atkinson 2014、Bluestone 2010、Streisand 2014)。何らかの短期および長期の合併症によりなりやすいことに加えて、小児/若年成人と高齢者の間では臨床経過および免疫療法への応答に差異がある。初期診断の前の数日または数週間では、小児および青少年は多くの場合、多飲、多尿、体重減少を含めて重度の糖尿病症状に悩まされ、このことが、入院を必要とするDKAおよびショックの臨床症状をもたらすおそれがある(Atkinson 2014、Bluestone 2010、Streisand 2014、Mittermayer 2017)。新規発症のT1Dの小児および若年成人は通常には外因性インスリンを当面必要とする。
【0045】
このことは、数カ月または数年の非特異的症状を有するかまたはルーチンの血糖スクリーニングから無症候性を呈する場合が多いT1Dを発生する成人の経験とは、まったく対照的である。こういった個体は、疑いのない外因性インスリンの必要性の前に、食事制限または経口血糖降下剤を用いて長期間(数カ月または数年)管理することができる場合が多い。より確定的な研究により、年齢に応じてβ細胞の減少に関する異なる速度が示されてきた(Greenbaum 2012;Ludvigsson 2013)。数十年に及ぶ研究を受けて、Diabetes TrialNetネットワークが結論したところは、新規発症の疾患の若年成人および高齢者と比較して小児および青少年では低下が著しくより速い速度で起こっているということにおいて、「年齢が、診断後のC-ペプチドの減少速度に影響を与える最も重要な因子である」ということである。このより急速な低下は、成人と比較して小児においてはるかに毒性が高く攻撃的な自己免疫プロセスが原因であると考えらており、このことにより、若年個体 対 高齢個体ではT1D免疫病因に重要な差異があることが表面上支持されている(Greenbaum 2012、Campbell-Thompson 2016)。こういった根本的な差異により、成人と小児では、免疫をベースとする疾患修飾療法に対して異なって応答する可能性があると予想することは理にかなっている。換言すると、一治療法は小児では非常に効果的である場合もあり、成人ではまったく効果がない場合もあり、またその逆も同様である(Rigby 2014)。
【0046】
小児および青少年は、疾患を発生するリスクが最も高い人々であり、短期および長期の罹患率および死亡率に最も実質的に悩まされており、したがって、この群は疾患修飾療法から最大の恩恵を受ける(Wherrett 2015)。このことは、近年、小児期および青少年期にT1Dと診断された人々は、T1Dでないカウンターパートと比べて、心血管疾患による死亡のリスクが7倍であることを含めて、生涯における死亡リスクの4~6倍の上昇を有することを示す大規模研究によって補強された。この死亡リスクは、成人期にT1Dと診断された個体とは全く対照的であり、こういった個体は、他の点では健康な彼らの同輩と比較して全死因および心血管疾患関連死亡によるリスクがおよそ3倍高い(Rawshani 2017、Rawshani 2018)。最近の報告では、T1Dの個体は、他の点では健康な年齢一致の個体よりもおよそ11~13年短い平均寿命を有することが指示されている(Lind 2014、Huo 2016)。T1Dを有する全員の罹患率および死亡率を低減させることがT1D研究におけるゴールであるが、小児期および青少年期にT1Dを発生する人々に向けたものであることが一番に急務であることは明白である。
【0047】
したがって、療法から恩恵を受ける可能性が最も高い小児に向けた療法を開発することが必要である。このような療法は、T1Dの青少年および成人にも利益を与える。
【0048】
T1Dは、自己免疫応答によるインスリン産生ベータ細胞のほとんどの破壊によって特徴付けられる。確定T1Dの患者は残存ベータ細胞を有するが、ベータ細胞は、増殖時にベータ細胞を破壊する自己免疫疾患が原因で成長しない。T1Dに関し4つのステージがある:ステージ1 - 複数(少なくとも2つ)の膵島抗体、正常血糖、前駆症状性;ステージ2 - 複数の膵島抗体、血糖上昇、前駆症状性;ステージ3 - 膵島自己免疫、血糖上昇、症状性;ステージ4 - 長期にわたる1型糖尿病。本開示の一部の態様では、本開示の方法によればベータ細胞の再生がもたらされる。
【0049】
ハイスループットスクリーニングを使用して、ベータ細胞の再生および増殖を刺激することができる小分子が同定されてきた(Aamodtら、Am J Physiol Endocrinol Metab.2016年11月1日;311(5):E859~E868)。DYRK1Aのハルミン媒介性阻害により、膵臓ベータ細胞の複製が向上することが分かった(Wangら、Nat Med.2015年4月;21(4):383~8頁;Kumarら、J Med Chem.2018年9月13日;61(17):7687~7699頁)。DYRK1AはGLP-1受容体アゴニストと相乗作用性であり、このアゴニストは、DYRK1A阻害剤にさらに架橋してDYRK1A阻害剤の膵臓指向性を高めることができる(Ackeifiら、JCI Insight.2020年1月16日;5(1):e132594)。本開示の態様は、それを必要とする対象において1型糖尿病(T1D)を治療する方法に関する。本明細書では、疾患の自然経過および外因性インスリン療法を始めとする現行の標準治療と比較して、それを必要とする対象においてβ細胞機能を保持し、β細胞を再生/膵臓β細胞増殖を高め、および/またはT1Dの臨床管理を改善する方法が提供される。β細胞機能の保持および/または回復は、血糖コントロールならびに短期および/または長期のアウトカムを維持する能力の改善と一致した、臨床上および/または代謝上の利益につながることが期待される。
【0050】
本開示の態様は、T1Dの治療のための併用療法に関する。一部の実施形態では、1型糖尿病(T1D)を治療する方法は、それを必要とする対象に、1つまたはそれ以上の抗CD3抗体の有効量を、1つまたはそれ以上のDYRK1A阻害剤の有効量と組み合わせて投与する工程を含む。DYRK1A阻害剤は、活性化T細胞の核因子(「NFaT」)、転写因子の核移行を誘導する能力を介してヒトベータ細胞の増殖を誘導するが、上記転写因子は、細胞周期活性化遺伝子を次いでトランス活性化しかつ細胞周期阻害遺伝子を抑制する。
【0051】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に併用療法を投与する工程を含み、上記併用療法は、T1Dの患者において、再生ベータ細胞に対する免疫寛容を誘導するために、1つまたはそれ以上の抗CD3抗体のコースと1つまたはそれ以上のDYRK1A阻害剤のコースとを含む。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の抗CD3抗体はテプリズマブを含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、抗CD3抗体は、ChAglyCD3(オテリキシズマブ)であっても、ビシリズマブであっても、フォラルマブであってもよい。
【0052】
一部の実施形態では、抗CD3抗体のコースは8~16日間コースである。一部の実施形態では、抗CD3抗体のコースは12日間コースである(2021年5月24日出願の米国特許出願第63/192,402号を参照されたい、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、12日間のテプリズマブの1日用量の第1のコースと、12日間のテプリズマブの1日用量の第2のコースとを投与する工程を含み、ここで、第1のコースと第2のコースは6カ月の間隔で隔てられている。
【0053】
一部の実施形態では、抗CD3抗体はテプリズマブである。
【0054】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に併用療法を投与する工程を含み、上記併用療法は、T1Dの患者において、再生ベータ細胞に対する免疫寛容を誘導するために、DYRK1A阻害剤のコースと組み合わせた12日間の抗CD3抗体コースを含む。一部の実施形態では、抗CD3抗体はテプリズマブを含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、抗CD3剤はテプリズマブではない。一部の実施形態では、抗CD3抗体は、ChAglyCD3(オテリキシズマブ)であっても、ビシリズマブであっても、フォラルマブであってもよい。
【0055】
一部の実施形態では、方法は、患者をT1Dと診断する工程を含む。一部の実施形態では、患者は、ステージ2(前駆症状性)、ステージ3(新規診断)またはステージ4(確定疾患)にある。
【0056】
一部の実施形態では、患者は、自己免疫性糖尿病の他のバリアントを有する:LADA、自己免疫現象を伴う2型糖尿病(少なくとも1つのT1D AAによって証明される)、単一の高親和性AAを伴うステージ1、ウイルス後糖尿病、チェックポイント阻害剤後の糖尿病、または妊娠後糖尿病T1D。
【0057】
一部の実施形態では、本方法は:(1)治療前の経口耐糖能試験(OGTT、2または4時間試験)、(2)治療前の検出可能なC-ペプチドの実証、またはそれらの組合せによって、残存ベータ細胞塊の存在を判定する工程を含む。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、併用療法の投与前にベータ細胞機能のうちの少なくとも20%を有する。
【0058】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に診断の6週間以内に、12日間のテプリズマブの1日用量の第1のコースと、12日間のテプリズマブの1日用量の第2のコースとを投与する工程を含み、ここで、第1のコースと第2のコースは6カ月の間隔で隔てられている。
【0059】
一部の実施形態では、方法は、78週(18カ月または1.5年)目に、混合食事負荷試験(MMTT)の後のC-ペプチドの時間濃度曲線下面積(AUC)を評価する工程、ならびに/または外因性インスリンの使用、HbA1cレベル、および低血糖エピソードのような臨床評価項目を評価する工程をさらに含む。
【0060】
一部の実施形態では、本方法は、患者をT1Dと診断する工程、患者に(例えば、診断の6週間以内に)12日間のテプリズマブの1日用量の第1のコースと、12日間のテプリズマブの1日用量の第2のコースとを投与する工程を含み、ここで、第1のコースと第2のコースは6カ月の間隔で隔てられている。一部の実施形態では、方法は、78週(18カ月または1.5年)目に、混合食事負荷試験(MMTT)の後のC-ペプチドの時間濃度曲線下面積(AUC)を評価する工程、ならびに/または外因性インスリンの使用、HbA1cレベル、および低血糖エピソードのような臨床評価項目を評価する工程をさらに含む。
【0061】
定義
ある特定の用語について本明細書において下に定義する。さらなる定義が本出願全体を通して提供される。
【0062】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、その冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つ超、例えば、少なくとも1つを指す。「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語の使用は、本明細書で「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合「1つ(one)」を意味することができるが、「1つまたはそれ以上の(one or more)」、「少なくとも1つの(at least one)」、および「1つまたは1つ超(one or more than one)」の意味とも一致する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「約(about)」および「約(approximately)」とは、全体として、測定の性質または精度を考慮して、測定された数量に関して許容される誤差の程度を意味する。誤差に関し例示的な程度とは、値の所与の範囲の20パーセント(%)以内、通常には10%以内、より通常には5%以内である。「実質的に」という用語は、50%超、好ましくは80%超、最も好ましくは90%超または95%超を意味する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」または「含む(comprises」という用語は、所与の実施形態に存在する組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成成分に関して使用されるが、不特定の要素の包含に対して開かれている。
【0065】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、所与の実施形態に必要とされる要素を指す。本用語は、本開示のその実施形態の基本的なおよび新規のまたは機能的な特徴に物質的に影響を及ぼさないさらなる要素の存在を許容するものである。
【0066】
「からなる(consisting of)」という用語は、本明細書に記載の組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成成分を指し、その実施形態の説明に記載されていないあらゆる要素が排除される。
【0067】
本明細書で「抗体」という用語は、最も広範な意味で使用され、それらに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、およびそれらが所望の抗原結合活性を呈す限りは抗体断片を含めて、種々の抗体構造を包含する。
【0068】
「抗体断片」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、当該インタクトな抗体の一部を含む、当該インタクトな抗体とは違う分子を指す。抗体断片の例としては、それらに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0069】
本明細書で使用される場合、1型糖尿病に関連した疾患の「発症」という用語は、患者が、American Diabetes Associationにより1型糖尿病の診断のために確立された基準(Mayfieldら、1998、Am.Fam.Physician 58:1355~1362頁を参照されたい)を満たすことを指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「プロトコル」は、投薬スケジュールおよび投薬レジメンを含む。プロトコルは本明細書では使用の方法であり、治療プロトコルを含む。「投薬レジメン」、「投薬量レジメン」または「治療のコース」は、1~20日間にわたる治療剤のいくつかの用量の投与を含むことができる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「対象」と「患者」という用語は互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「対象(subject)」および「対象(subjects)」という用語は、動物、好ましくは、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス)ならびに霊長類(例えば、サルまたはヒト)を始めとする哺乳動物、より好ましくは、ヒトを指す。一部の実施形態では、患者集団は小児を含む。一部の実施形態では、患者集団は、T1Dと新規に診断された小児を含む。一部の実施形態では、患者集団は、T1D診断の6週間以内に治療される。一部の実施形態では、患者集団は、少なくとも1つのT1D関連自己抗体に対して陽性でありかつスクリーニング時に≧0.2pmol/mLのピーク刺激C-ペプチドを有する小児を含む。
【0072】
本明細書で使用される場合、「小児」(およびその変形形態)という用語は、およそ8歳~17歳である人々を含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、「有効量」と「治療有効量」という用語は互換的に使用され、T1Dの治療をもたらすのに十分な活性剤の量を指す。例えば、テプリズマブの有効量とは、T1Dの1つまたはそれ以上の症状の発生、再発または発症の遅延または予防をもたらすのに十分なテプリズマブの量である。DYRK1A阻害剤の有効量とは、ベータ細胞の再生をもたらすのに十分な量である。
【0074】
本明細書において使用される場合、「治療する」、「治療」および「治療すること」という各用語は、1つまたはそれ以上のCD3結合分子および1つまたはそれ以上のDYRK1A阻害剤の投与の結果として生じる、T1Dに関連する1つまたはそれ以上の症状の回復を指す。一部の実施形態では、そのような用語は、低血糖エピソードのヒトの平均回数の減少を指す。他の実施形態では、そのような用語は、末梢血中のC-ペプチドの基準レベルの維持を指す。
【0075】
一部の実施形態では、有効量は、1つまたはそれ以上のT1D症状を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%減少させる。
【0076】
本明細書で使用される場合、「ベータ細胞再生」という用語は、機能性インスリン分泌ベータ細胞の数を増加させることによる、および/または機能上損なわれたベータ細胞の正常な機能を回復することによる、正常なベータ細胞機能の少なくとも部分的な回復を指す。
【0077】
本明細書で使用される「相乗」および「相乗的」という用語は、一緒に使用される化合物を用いて達成される効果が、化合物を別々に使用して結果として生じる効果の合計よりも大きいこと、すなわち、別々に投与される2つの活性成分に基づいて予測されるところのものよりも大きいことを意味する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「予防剤」という用語は、T1Dの1つまたはそれ以上の症状の予防、遅延、治療、管理または回復において使用することができる、テプリズマブのようなCD3結合分子を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「予防有効量」という用語は、T1Dの1つまたはそれ以上の症状の発生、再発または発症の遅延または予防をもたらすのに十分なテプリズマブの量を指す。一部の実施形態では、予防有効量とは、好ましくは、T1Dの対象の発症を、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%遅延させるテプリズマブの量を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」および「予防(prevention)」という各用語は、予防剤または治療剤の投与の結果として生じる、対象におけるT1Dの1つまたはそれ以上の症状の発症の予防または遅延を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、「同時投与」、「同時投与する」、「同時投与される」という各用語は、患者の疾患または状態を治療するための2つ以上の活性剤の投与への言及である。「同時投与」という用語は、それらに限定されないが、単一剤形(例えば、固定用量配合錠剤)で同時での2つ以上の活性剤の投与、別々の剤形で同時での2つ以上の活性剤の投与、および別々の剤形で順次での2つ以上の活性剤の投与を含む。2つ以上の活性剤は、順次に同時投与される場合、各投与の間に時間間隔をもって別々に投与される。
【0082】
本開示の種々の態様を下でさらに詳細に説明する。さらなる定義については明細書全体にわたって記載する。
【0083】
抗CD3抗体および抗CD3抗体を含む医薬組成物
「抗CD3抗体」および「CD3に結合する抗体」という用語は、抗体または抗体断片であって、分化抗原群3(CD3)を十分な親和性をもって結合することができ、その結果、当該抗体がCD3を標的とする上で予防剤、診断剤および/または治療剤として有用である、抗体または抗体断片を指す。一部の実施形態では、無関係な、非CD3タンパク質への抗CD3抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定して、CD3への当該抗体の結合の約10%未満である。一部の実施形態では、CD3に結合する抗体は、解離定数(Kd)<1μΜ、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8Mから10-13Mまで、例えば、10-9Mから10-13Mまで)を有する。一部の実施形態では、抗CD3抗体は、異なる種由来のCD3の間で保存されているCD3のエピトープに結合する。
【0084】
一部の実施形態では、抗CD3抗体は、ChAglyCD3(オテリキシズマブ)とすることができる。オテリキシズマブとは、ヒト化Fc非結合性抗CD3であり、これは、Belgian Diabetes Registry(BDR)による第2相治験において最初に評価され、次いでTolerxによって開発され、次いで、TolerxがGSKとパートナーを組んで、第3相DEFEND新規発症T1D治験(NCT00678886、NCT01123083、NCT00763451)を実施した。オテリキシズマブを8日間にわたる輸注でIV投与する。例えば、Wiczlingら、J.Clin.Pharmacol.50(5)(2010年5月)494~506頁;Keymeulenら、N Engl J Med.2005;352:2598~608頁;Keymeulenら、Diabetologia.2010;53:614~23頁;Hagopianら、Diabetes.2013;62:3901~8頁;Aronsonら、Diabetes Care.2014;37:2746~54頁;Amberyら、Diabet Med.2014;31:399~402頁;Boltら、Eur.J.Immunol.lYY3.23:403~411頁;Vlasakakisら、Br J Clin Pharmacol(2019)85 704~714頁;Guglielmiら、Expert Opinion on Biological Therapy、16:6、841~846頁;Keymeulenら、N Engl J Med 2005;352:2598~608頁;Keymeulenら、Blood 2010、115巻、6号;Sprangersら、Immunotherapy(2011)3(11)、1303~1316頁;Daifotisら、Clinical Immunology(2013)149、268~278頁;を参照されたい;全て参照によって本明細書に組み入れる。
【0085】
一部の実施形態では、抗CD3抗体は、ビシリズマブ(HuM291;Nuvionとも呼ばれる)とすることができる。ビシリズマブとは、突然変異型IgG2アイソタイプ、Fcγ受容体への結合性の欠如、および活性化T細胞において選択的にアポトーシスを誘導する能力によって特徴付けられるヒト化抗CD3モノクローナル抗体である。ビシリズマブは、移植片対宿主病(NCT00720629;NCT00032279)ならびに潰瘍性大腸炎(NCT00267306)およびクローン病(NCT00267709)の患者において評価された。例えば、参照によって本明細書に組み入れる、Sandbornら、Gut 59(11)(2010年11月)1485~1492頁を参照されたい。
【0086】
一部の実施形態では、抗CD3抗体は、フォラルマブ(TZLS-401とも呼ばれる)とすることができる。フォラルマブとは、CD3イプシロンに結合する完全ヒト型モノクローナル抗体である(その全体を参照によって組み入れる米国特許第10,688,186号を参照されたい)。
【0087】
テプリズマブ
一部の実施形態では、抗CD3抗体は、テプリズマブとすることができる。テプリズマブとは、hOKT3yl(Ala-Ala)(234位および235位にアラニンを含有する)としても知られているが、膵臓の島のインスリン産生ベータ細胞の破壊を媒介するTリンパ球の機能が変更されるように操作された抗CD3抗体である。テプリズマブは、成熟T細胞上に発現されるCD3ε鎖のエピトープに結合し、そうすることにより、それらの機能を変化させる。循環T細胞(および他のリンパ球)は、辺縁趨向および除去を含むことができるプロセスにおいて、テプリズマブ治療の後に一時的に減少する(Long 2017、Sherry 2011)。テプリズマブは、T細胞のエフェクター機能を減少させることに加えて、制御性T細胞(Treg)の数と機能の両方を高めるようである(Ablamunits 2010、Bisikirska 2005、Long 2017、Waldron-Lynch 2012)。より最近の研究が指示するところは、テプリズマブがエフェクターCD8+ T細胞のサブセットにおいて免疫学的「疲弊」を誘導し、その結果、おそらく制御または除去をより受けやすい状態にエフェクターCD8+ T細胞をすることである(Long 2016、Long 2017)。まとめると、これらのメカニズムデータが示唆するところは、テプリズマブは、β細胞免疫破壊プロセスに「抑制」効果を発揮するだけでなく、むしろT1D自己免疫に関与するエフェクターアームと制御性アームの再バランスを促進する免疫「モジュレーター」であるということであり、このことによって、テプリズマブがβ細胞の自己寛容の再導入に寄与する能力を有する可能性がある(Lebastchi 2013)、という見解が支持される。
【0088】
テプリズマブの配列および組成は、それぞれ全体を参照によって本明細書に組み入れる、米国特許第6,491,916号;同第8,663,634号;および同第9,056,906号に開示されている。テプリズマブの分子量は約150KDである。軽鎖および重鎖の完全な配列を下に記載する。太字体部分は相補性決定領域である。
【0089】
テプリズマブ軽鎖(配列番号1):
【化1】
【0090】
テプリズマブ重鎖(配列番号2):
【化2】
【0091】
一部の実施形態では、本明細書では医薬組成物が提供される。そのような組成物は、抗CD3抗体の有効量、および薬学的に許容される担体を含む。一部の実施形態では、「薬学的に許容される」という用語は、動物における、より詳細にはヒトにおける使用のための連邦もしくは州政府の規制当局により承認されていること、または米国薬局方もしくは他の一般に認識されている薬局方に列記されていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬とともに投与される、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全および不完全))、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような医薬担体は、水ならびに油類のような滅菌された液体とすることができ、油類には、石油、動物、野菜または合成の各起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等が含まれる。水は、医薬組成物が静脈内に投与される場合に好ましい担体である。生理食塩水ならびにブドウ糖水溶液およびグリセリン水溶液も、液体担体として、特に注射液用に用いることができる。適切な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、イネ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる(例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients、Arthur H.Kibbe(編、2000、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)、Am.Pharmaceutical Association、Washington,D.C.を参照されたい)。
【0092】
所望であれば、組成物はまた、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含有することができる。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、散剤、徐放性製剤等の形態を取ることができる。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等のような標準の担体を含むことができる。適切な医薬担体の例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、好ましくは精製された形態で治療剤の治療有効量を、患者への適当な投与向けの形態を供給するように適量の担体と一緒に、含有する。製剤は、投与の様式に合うことが求められる。一部の実施形態では、医薬組成物は、滅菌されており、対象、好ましくは動物対象、より好ましくは哺乳動物対象、最も好ましくはヒト対象への投与に適する形態にある。
【0093】
一部の実施形態では、医薬組成物を、治療を必要とする領域に局所的に投与することが望ましい場合がある;このようなことは、例えば、それらには限定されないが、注射による局所輸注によって、またはインプラントを用いて行うことができ、前記インプラントは、シラスティック膜のような膜、または線維を含めて、多孔質材料、非多孔質材料、もしくはゼラチン質材料である。好ましくは、抗CD3抗体を投与する場合には、抗CD3抗体が吸収されない材料を使用するように注意する必要がある。
【0094】
一部の実施形態では、組成物を小胞、特にリポソーム中で送達することができる(以下を参照されたい、Langer、Science 249:1527~1533頁(1990);Treatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancerにおいて、Lopez-BeresteinおよびFidler(編)、Liss、New York、353~365頁(1989);Lopez-Berestein、同書、317~327頁;全体としては同書を参照されたい)。
【0095】
一部の実施形態では、組成物を制御放出システムまたは徐放システムで送達することができる。一部の実施形態では、ポンプを使用して、制御放出または徐放を行うことができる(Lange、上掲;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:20;Buchwaldら、1980、Surgery 88:507;Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.321:574を参照されたい)。一部の実施形態では、ポリマー材料を使用して、本開示の抗体またはその断片の制御放出または徐放を行うことができる(例えば、以下を参照されたい、Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance、SmolenおよびBall(編)、Wiley、New York(1984);RangerおよびPeppas、1983、J.,Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61;以下も参照されたい、Levyら、1985、Science 228:190;Duringら、1989、Ann.Neurol.25:351;Howardら、1989、J.Neurosurg.71:105;米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号;PCT公開第WO99/15154号;およびPCT公開第WO99/20253号)。徐放性製剤に使用されるポリマーの例としては、それらに限定されないが、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ酸無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが挙げられる。一部の実施形態では、徐放性製剤に使用されるポリマーは、不活性であり、浸出可能不純物フリーであり、保管中安定であり、無菌であり、生分解性である。一部の実施形態では、制御放出システムまたは徐放システムを治療標的、すなわち、肺の近傍に置くことができ、したがって、全身用量のほんの一部だけを必要とする(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Releaseにおいて、上掲、2巻、115~138頁(1984)を参照されたい)。
【0096】
制御放出システムは、Langerによる総説(1990、Science 249:1527~1533頁)において論議されている。当業者に既知の任意の技法を使用して、本開示の1つもしくはそれ以上の抗体またはそれらの断片を含む徐放性製剤を作製することができる。例えば、米国特許第4,526,938号;PCT公開第WO91/05548号;PCT公開第WO96/20698号;Ningら、1996、Radiotherapy & Oncology 39:179~189頁;Songら、1995、PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372~397頁;Cleekら、1997、Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.24:853~854頁;およびLamら、1997、Proc.Int’l.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.24:759~760頁を参照されたく、それぞれがその全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0097】
医薬組成物を、その投与の意図された経路に適合するように製剤化することができる。投与経路の例としては、それらに限定されないが、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口投与、鼻腔内投与(例えば、吸入)、経皮(局部)投与、経粘膜投与、および直腸投与が挙げられる。一部の実施形態では、組成物をルーチンの手順に従って、ヒトへの静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、経口投与、鼻腔内投与または局部投与に適合させた医薬組成物として製剤化する。一部の実施形態では、医薬組成物をルーチンの手順に従って、ヒトへの皮下投与用に製剤化する。通常には、静脈内投与用の組成物は、滅菌等張性水性緩衝剤での液剤である。必要であれば、組成物はまた、可溶化剤および注射部位にての疼痛を和らげるためのリグノカインのような局所麻酔薬も含むことができる。
【0098】
組成物は、注射による、例えば、ボーラス注射または持続輸注による非経口投与用に製剤化することができる。注射用製剤は、単位剤形で、例えば、アンプル中または複数回用量の容器中で、添加された保存剤とともに提供することができる。組成物は、懸濁剤、液剤または油性もしくは水性ビヒクル中の乳剤としてこのような形態を取ることができるとともに、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤のような製剤用薬剤(formulatory agent)を含有することができる。代替的に、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば、滅菌パイロジェンフリー水を用いる構成向けの散剤の形態であってもよい。
【0099】
一部の実施形態では、本開示は、数時間または数日間の期間にわたる、例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、30時間、36時間、4日間、5日間、7日間、10日間または12日間の期間にわたる連続的での抗CD3抗体の投与を可能にする剤形(例えば、ポンプまたはそのような送達のための他のデバイスに関連する)を提供する。一部の実施形態では、本開示は、用量を連続的に増加させる、例えば、24時間、30時間、36時間、4日間、5日間、7日間、10日間または12日間の期間にわたって、106g/m/日から850g/m/日までまたは211g/m/日から840g/m/日まで増加させる投与を可能にする、剤形を提供する。
【0100】
組成物を中性形態または塩形態として製剤化することができる。薬学的に許容される塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来するもののような、陰イオンを用いて形成される塩、および、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等に由来するもののような、陽イオンを用いて形成される塩が挙げられる。
【0101】
全体として、本明細書に開示される組成物の成分は、例えば、活性剤の数量を指示するアンプルまたはサシェのような密封容器中に含まれる乾燥した凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、別々にまたは単位剤形中で一緒に混合されるかのいずれかで、供給される。組成物は、輸注によって投与される予定の場合、滅菌医薬品グレードの水または生理食塩水を含有する輸注ビンを用いて分配してもよい。組成物が注射によって投与される場合、複数の成分を投与前に混合することができるように注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを供給してもよい。
【0102】
特に、本開示は、薬剤の数量を指示するアンプルまたはサシェのような密封容器中にパッケージすることができる抗CD3抗体またはその医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、抗CD3抗体またはその医薬組成物を、密封容器中の乾燥した滅菌凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給し、これを、例えば水または生理食塩水を用いて対象への投与に適した濃度へと復元してもよい。好ましくは、抗CD3抗体またはその医薬組成物を、密封容器中の乾燥した滅菌凍結乾燥粉末として、少なくとも5mg、より好ましくは少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、または少なくとも100mgの単位投薬量で供給する。本明細書の凍結乾燥の薬剤、または医薬組成物は、その当初の容器中で2℃から8℃の間で保管することが求められ、本開示の治療剤または医薬組成物は、復元後1週間以内に、好ましくは5日以内に、72時間以内に、48時間以内に、24時間以内に、12時間以内に、6時間以内に、5時間以内に、3時間以内に、または1時間以内に投与することが求められる。一部の実施形態では、医薬組成物は、薬剤の数量および濃度を指示する密封容器中の液体形態で供給される。好ましくは、投与される組成物の液体形態は、密封容器中、少なくとも0.25mg/ml、より好ましくは少なくとも0.5mg/ml、少なくとも1mg/ml、少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/kg、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも75mg/mlまたは少なくとも100mg/mlで供給される。液体形態は、その当初の容器中、2℃から8℃の間で保管することが求められる。
【0103】
一部の実施形態では、本開示は、抗CD3抗体の数量を指示するアンプルまたはサシェのような密封容器中にパッケージされている本開示の組成物を提供する。
【0104】
組成物は、所望であれば、活性成分を含有する1つまたはそれ以上の単位剤形を含有することができるパックまたはディスペンサーデバイスで提供することができる。パックは、例えば、ブリスターパックのような金属またはプラスチックのホイルを含む。
【0105】
T1Dに関連する1つまたはそれ以上の症状の治療において効果的である抗CD3抗体または抗CD3抗体を含む組成物の量は、標準の臨床技法によって決定することができる。製剤に用いられる正確な用量は、投与経路および状態の重篤度にも依存する場合もあり、医師の判断および患者各々の状況に従って決めることが求められる。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系より導き出された用量反応曲線から外挿することができる。
【0106】
二重特異性チロシン調節キナーゼ1A(「DYRK1A」)
二重特異性チロシン調節キナーゼ1A(「DYRK1A」)とは、以下のシナリオに従ってヒトおよびげっ歯類のベータ細胞の増殖を誘導することができるシグナル伝達カスケードの下流成分である(Wangら、「A High-Throughput Chemical Screen Reveals that Harmine-Mediated Inhibition of DYRK1A Increases Human Pancreatic Beta Cell Replication」、Nat.Med.21(4):383~388頁(2015))。
【0107】
DYRK1A阻害剤クラスの薬物には、それらに限定されないが、以下が含まれる:
ハルミン(Wangら、「A High-Throughput Chemical Screen Reveals that Harmine-Mediated Inhibition of DYRK1A Increases Human Pancreatic Beta Cell Replication」、Nat.Med.21(4):383~388頁(2015))、INDY(Wangら、「A High-Throughput Chemical Screen Reveals that Harmine-Mediated Inhibition of DYRK1A Increases Human Pancreatic Beta Cell Replication」、Nat.Med.21(4):383~388頁(2015))、ロイセチン(Tahtouhら、「Selectivity,Co-Crystal Structures and Neuroprotective Properties of Leucettines,a Family of Protein Kinase Inhibitors Derived from the Marine Sponge Alkaloid Leucettamine B」、J.Med.Chem.55(21):9312~9330頁(2012))、GNF4877(Shenら、「Inhibition of DYRK1A and GSK3B Induces Human Beta Cell Proliferation」、Nat.Commun.6:8372頁(2015))、5-ヨードツベリシジン(「5-IT」)(Diriceら、「Inhibition of DYRK1A Stimulates Human Beta Cell Proliferation」、Diabetes 65(6):1660~1671頁(2016));CC-401(Abdolazimiら、「CC-401 Promotes Beta Cell Replication via Pleiotropic Consequences of DYRK1A/B Inhibition」、Endocrinology 159(9):3143~3157頁(2018))、ならびにその他(Wangら、「A High-Throughput Chemical Screen Reveals that Harmine-Mediated Inhibition of DYRK1A Increases Human Pancreatic Beta Cell Replication」、Nat.Med.21(4):383~388頁(2015);Shenら、「Inhibition of DYRK1A and GSK3B Induces Human Beta Cell Proliferation」、Nat.Commun.6:8372頁(2015);Diriceら、「Inhibition of DYRK1A Stimulates Human Beta Cell Proliferation」、Diabetes 65(6):1660~1671頁(2016);Abdolazimiら、「CC-401 Promotes Beta Cell Replication via Pleiotropic Consequences of DYRK1A/B Inhibition」、Endocrinology 159(9):3143~3157頁(2018);Aamodtら、「Development of a Reliable Automated Screening System to Identify Small Molecules and Biologics that Promote Human Beta Cell Regeneration」、AJP Endo.Metab.311:E859-68(2016);およびWangら、「Single Cell Mass Cytometry Analysis of Human Endocrine Pancreas」、Cell Metab.24(4):616~626頁(2016))。
【0108】
ハルミンとは、幻覚作用を有する伝統的なアメリカの薬用植物であるアヤワスカの誘導体化合物である。最近、幻覚作用を有さないと予想される合成DYRK1A阻害剤が開発された(Kumarら、J Med Chem.2020年3月26日;63(6):2986~3003頁)。
【0109】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤は、ハルミンまたはハルミン誘導体を含むか、またはそれらからなる。
【0110】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤は、合成DYRK1A阻害剤を含むか、またはそれからなる。
【0111】
適切なDYRK1A阻害剤としては、それらに限定されないが、2017年10月26日出願のPCT出願番号PCT/US2017/058498、2019年1月5日出願のPCT出願番号PCT/US2019/012442、2018年11月20日出願のPCT出願番号PCT/US2018/062023、2019年12月31日出願のPCT出願番号PCT/US2019/069057、2019年12月31日出願のPCT出願番号PCT/US2019/069059および2019年3月20日出願のPCT出願番号PCT/US2019/023206に記載されている阻害剤が挙げられるが、それらの全てはその全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0112】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤は、それらに限定されないが、以下を始めとする小分子を含むか、またはそれらからなる:エピガロカテキン(EGCG)およびその他のフラバン-3-オール、ロイセチン、キナリザリン、ペルトギノイドのアカニロールAおよびB、ベンゾクマリン(dNBC)、インドロカルバゾール(スタウロスポリン、レベッカマイシン、およびそれらのアナログ)、INDY、DANDY、およびFINDY、ピラゾリジンジオン、アミノキナゾリン、メリオリン、ピリジンおよびピラジン、クロノイドール、11H-インドロ[3,2-c]キノリン-6-カルボン酸、チアゾロ[5,4-f]キナゾリン(EHT5372)、CC-401、ならびに5-ヨードツベルシジン。
【0113】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤は、β細胞ターゲティング剤または膵臓ターゲティング剤と場合により架橋結合する。
【0114】
T1Dに関連する1つまたはそれ以上の症状の治療において効果的であるDYRK1A阻害剤またはDYRK1A阻害剤を含む組成物の量は、標準の臨床技法によって決定することができる。投与される正確な用量は、投与経路および状態の重篤度にも依存する場合もある。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系より導き出された用量反応曲線から外挿することができる。適切な用量として、それらに限定されないが、2017年10月26日出願のPCT出願番号PCT/US2017/058498、2019年1月5日出願のPCT出願番号PCT/US2019/012442、2018年11月20日出願のPCT出願番号PCT/US2018/062023、2019年12月31日出願のPCT出願番号PCT/US2019/069057、2019年12月31日出願のPCT出願番号PCT/US2019/069059、2019年3月20日出願のPCT出願番号PCT/US2019/023206、に記載されているものが挙げられるが、それらはその全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0115】
方法および使用
一部の実施形態では、本開示の方法は、残存ベータ細胞塊を有するT1Dと診断された患者への、DYRK1A阻害剤と組み合わせたテプリズマブのような抗ヒトCD3抗体の投与を包含する。一部の実施形態では、T1Dと診断された患者は、混合食事負荷試験(MMTT)過程で≧0.2pmol/mLのピークC-ペプチドレベルを有する。一部の実施形態では、スクリーニング時にてのピークC-ペプチドレベルは、0.2pmol/mL(含む)から0.7pmol/mL(含む)までの範囲である。
【0116】
一部の実施形態では、本開示は、8~17歳、T1D診断から6週間、混合食事負荷試験(MMTT)過程で≧0.2pmol/mLのピークC-ペプチドレベルを有する患者への、DYRK1A阻害剤と組み合わせたテプリズマブのような抗ヒトCD3抗体の投与を包含する。一部の実施形態では、スクリーニング時にてのピークC-ペプチドレベルは、0.2pmol/mL(含む)から0.7pmol/mL(含む)までの範囲である。
【0117】
一部の実施形態では、T1D診断は、American Diabetes Association(ADA)の基準に従うものである。糖尿病の臨床診断に関してAmerican Diabetes Association(ADA)が定義するとおり、個体は以下の4つの基準のうちの1つを満たす必要がある。
【0118】
空腹時血漿グルコース(FPG)≧126mg/dL(7.0mmol/L)。空腹とは、少なくとも8時間カロリー摂取なしと定義される。
【0119】
経口耐糖能試験(OGTT)過程で2時間血漿グルコース(PG)≧200mg/dL(11.1mmol/L)。試験は、水に溶解させた無水グルコース75gと同等を含有するグルコース負荷を使用して、世界保健機関(WHO)により記載のとおりに実行する必要がある。
【0120】
ヘモグロビンA1C(HbA1c)≧6.5%(48mmol/mol)。試験は、National Glycohemoglobin Standardization Program(NGSP)によって認定され、Diabetes Control and Complications Trial(DCCT)アッセイに標準化された方法を使用して、検査室で実施する必要がある。
【0121】
高血糖症または高血糖緊急症の古典的な症状の患者では、ランダムPG≧200mg/dL(11.1mmol/L)である。
【0122】
臨床的1型糖尿病(T1D)の診断に関して、ADAは、HbA1Cではなく血漿血糖を使用して、高血糖症の症状の個体においてT1Dの急性発症を診断すべきであると、提案している。
【0123】
ADAに従えば、古典的な症状の患者の場合、臨床的糖尿病(高血糖症または高血糖緊急症の症状に加えてランダムな血漿グルコース≧200mg/dL[11.1mmol/L])を診断するのに、血漿グルコースの測定が十分である。こういった症例では、血漿グルコースレベルを知ることは、症状が糖尿病によるものであることを確認することに加えて、管理上の決定について情報を伝えることになるので、非常に重要である。一部の医療提供者が、患者がどれくらいの期間高血糖であったかを判定するためにHbA1Cを知りたい場合もある。加えて、以前は「インスリン依存性糖尿病」または「若年性糖尿病」と呼ばれたT1Dは、糖尿病の5~10%を占めており、そして膵臓β細胞の細胞媒介性の自己免疫破壊が原因である。自己免疫マーカーには、膵島細胞自己抗体ならびにGAD(GAD65)、インスリン、チロシンホスファターゼIA-2およびIA-2 β、およびZnT8に対する自己抗体が含まれる。T1Dは、これらの自己免疫マーカーのうちの1つまたはそれ以上の存在によって定義される。
【0124】
一部の実施形態では、臨床的T1Dと診断された患者は、以下のT1D関連自己抗体のうちの少なくとも1つの試験に関して陽性結果を有する:グルタミン酸デカルボキシラーゼ65(GAD65)自己抗体、膵島抗原2(IA-2)自己抗体、亜鉛トランスポーター8(ZnT8)自己抗体、膵島細胞の細胞質自己抗体(ICA)またはインスリン自己抗体(インスリン治療の最初の14日以内に得られた試験の場合)。一部の実施形態では、自己抗体の存在は、ELISA、電気化学発光(ECL)、ラジオアッセイ(例えば、Yuら、1996、J.Clin.Endocrinol.Metab.81:4264~4267頁を参照されたい)、凝集PCR(Tsaiら、ACS Central Science 2016 2(3)、139~147頁)によってまたは本明細書に記載のもしくは当業者に既知の抗体の免疫特異的検出のための他の任意の方法によって、検出される。
【0125】
T1D診断の後にβ細胞が失われ続けることが理解されている。回復可能なレベルの内因性インスリン産生を有する患者においてβ細胞保持の効果を最大化するために、治療を受ける患者は、T1D診断から6週間以内であり、混合食事負荷試験(MMTT)過程で≧0.2pmol/mLのピークC-ペプチドレベルを有する。
【0126】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、患者への外因性インスリンの投与の必要性を予防するかまたは遅延させる。
【0127】
療法前、療法中、および療法後のβ細胞機能は、本明細書に記載の方法によってまたは当業者に既知の任意の方法によって評価することができる。例えば、Diabetes Control and Complications Trial(DCCT)研究グループは、血糖コントロールの評価基準としてグリコシル化ヘモグロビン(HA1およびHA1c)のパーセンテージのモニタリングを確立した(DCCT、1993、N.Engl.J.Med.329:977~986頁)。代替的に、毎日のインスリン必要量、C-ペプチドレベル/応答、低血糖エピソード、および/またはFPIRの特性評価を、β細胞機能のマーカーとして使用してもよく、またはそれらを使用して治療指数を確立してもよい(それぞれ、Keymeulenら、2005、N.Engl.J.Med.352:2598~2608頁;Heroldら、2005、Diabetes 54:1763~1769頁;米国特許出願公開第2004/0038867号A1;およびGreenbaumら、2001、Diabetes 50:470~476頁を参照されたい)。例えば、FPIRは、Islet Cell Antibody Register User’s Studyプロトコルに従って実施されるIGTT後1分および3分目におけるインスリン値の合計として算出される(例えば、Bingleyら、1996、Diabetes 45:1720~1728頁およびMcCullochら、1993、Diabetes Care 16:911~915頁を参照されたい)。
【0128】
一部の実施形態では、方法は、抗CD3抗体の投与の8~16日間コースを含む。一部の実施形態では、抗CD3抗体は、経口で、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔内注射、局所、舌下、関節内、皮内、口腔、眼内(眼球内を含む)投与によって、鼻腔内で、または他の任意の経路によって投与することができる。抗CD3抗体は、例えば、所定量の抗CD3抗体を含有する錠剤またはカシェ剤、ゲル剤、ペレット剤、ペースト剤、シロップ剤、ボーラス剤、舐剤、スラリー剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤として、水性液体もしくは非水性液体の液剤もしくは懸濁剤として、水中油型液体乳剤または油中水型液体乳剤として、ミセル配合物を介して、当技術分野で知られている任意の配合物を介してまたは何らかの他の形態で、経口投与することができる。
【0129】
一部の実施形態では、有効量は、106~850マイクログラム/平方メートル(μg/m)にてのテプリズマブのような、抗CD3抗体の皮下静脈内(IV)輸注の12日間コースを含む。一部の実施形態では、レジメンの期間にわたる総投薬量は、約14000μg/m、13500μg/m、13000μg/m、12500μg/m、12000μg/m、11500μg/m、11000μg/m、10500μg/m、10000μg/m、9500μg/m、9000μg/m、8000μg/m、7000μg/m、6000μg/mであり、5000μg/m、4000μg/m、3000μg/m、2000μg/m、または1000μg/m未満とすることができる。一部の実施形態では、レジメンの期間にわたる総投薬量は、約9030μg/mから約14000μg/mまで、約9030μg/mから約13500μg/mまで、約9000μg/mから約13000μg/mまで、約9000μg/mから約12500μg/mまで、約9000μg/mから約12000μg/mまで、約9000μg/mから約11500μg/mまで、約9000μg/mから約11000μg/mまで、約9000μg/mから約10500μg/mまで、約9000μg/mから約10000μg/mまで、約9000μg/mから約9500μg/mまでである。一部の実施形態では、レジメンの期間にわたる総投薬量は、約9030μg/mから約14000μg/mまで、約9030μg/mから約13500μg/mまで、約9030μg/mから約13000μg/mまで、約9030μg/mから約12500μg/mまで、約9030μg/mから約12000μg/mまで、約9030μg/mから約11500μg/mまで、約9030μg/mから約11000μg/mまで、約9030μg/mから約10500μg/mまで、約9030μg/mから約10000μg/mまで、約9030μg/mから約9500μg/mまでである。
【0130】
一部の実施形態では、有効量は、106~850マイクログラム/平方メートル(μg/m)にてのテプリズマブのような、抗CD3抗体の皮下静脈内(IV)輸注の12日間コースを含む。一部の実施形態では、有効量は、1日目にテプリズマブ106μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ425μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日にテプリズマブ850μg/mの1回用量にての、テプリズマブの12日間コースIV輸注を含む。一部の実施形態では、有効量は、1日目にテプリズマブ211μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ423μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日にテプリズマブ840μg/mの1回用量にての、テプリズマブの12日間コースIV輸注を含む。
【0131】
一部の実施形態では、有効量は、1日目にテプリズマブ約100μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ約400μg/mの第2の用量、3日目にテプリズマブ約850μg/mの第3の用量、および4~12日目の各日にテプリズマブ約1200μg/mにての、テプリズマブの12日間コースIV輸注を含む。一部の実施形態では、有効量は、1日目にテプリズマブ約100μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ約400μg/mの第2の用量、3日目にテプリズマブ約850μg/mの第3の用量、および4~12日目の各日にテプリズマブ約1300μg/mにての、テプリズマブの12日間コースIV輸注を含む。一部の実施形態では、有効量は、1日目にテプリズマブ約100μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ約400μg/mの第2の用量、3日目にテプリズマブ約850μg/mの第3の用量、および4~12日目の各日にテプリズマブ約1400μg/mにての、テプリズマブの12日間コースIV輸注を含む。一部の実施形態では、各12日間コースは、2日間の用量漸増期および10日間の固定、最大投薬期間を含むことができる。一部の実施形態では、テプリズマブ106μg/mが1日目に投与され、テプリズマブ425μg/mが2日目に投与され、テプリズマブ850μg/mが3~12日目の各日に投与される。
【0132】
一部の実施形態では、有効量は、1日目にテプリズマブ約200μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ約400μg/mの第2の用量、3日目にテプリズマブ約850μg/mの第3の用量、および4~12日目の各日にテプリズマブ約1200μg/mにての、テプリズマブの12日間コースIV輸注を含む。一部の実施形態では、有効量は、1日目にテプリズマブ約200μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ約400μg/mの第2の用量、3日目にテプリズマブ約850μg/mの第3の用量、および4~12日目の各日にテプリズマブ約1300μg/mにての、テプリズマブの12日間コースIV輸注を含む。一部の実施形態では、有効量は、1日目にテプリズマブ約200μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ約400μg/mの第2の用量、3日目にテプリズマブ約850μg/mの第3の用量、および4~12日目の各日にテプリズマブ約1400μg/mにての、テプリズマブの12日間コースIV輸注を含む。
【0133】
本明細書では、1週目に投薬の第1のコース、および26週目に投薬の第2のコースを含む、テプリズマブのような抗CD3抗体を用いる投薬の2つ以上のコースを含む投薬レジメンが提供される。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は9000μg/mである。一部の実施形態では、12日間コースは、2日間の用量漸増期および10日間の固定、最大投薬期間を有する。一部の実施形態では、テプリズマブ106μg/mが1日目に投与され、テプリズマブ425μg/mが2日目に投与され、テプリズマブ850μg/mが3~12日目の各日に投与される。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は9500μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は10000μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は10500μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は11000μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は11500μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は12000μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は12500μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は13000μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は13500μg/mである。一部の実施形態では、テプリズマブが、2つのコースにおいてIV輸注を介して投与され、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約182日目(26週目)に開始するが、治療の各コースは12日間の毎日の輸注を含み、この場合、治療の各コースについてテプリズマブの累積用量は14000μg/mである。一部の実施形態では、12日間コースは、2日間の用量漸増期および10日間の固定、最大投薬期間を有する。一部の実施形態では、テプリズマブ106μg/mが1日目に投与され、テプリズマブ425μg/mが2日目に投与され、テプリズマブ850μg/mが3~12日目の各日に投与される。
【0134】
他の実施形態では、投薬のコースは、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、8カ月、9カ月、10カ月、12カ月、15カ月、18カ月、24カ月、30カ月、または36カ月の間隔で、繰り返すことができる。一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体による治療の効能は、本明細書に記載されるように、または当技術分野で既知であるように、前の治療に続いて2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、24カ月、30カ月、または36カ月目に決定される。
【0135】
一部の実施形態では、対象は、T1Dの1つまたはそれ以上の症状を治療するかまたはそれらの症状の進行を遅らせるまたはそれらの症状を回復させるために、約5~1200μg/m、好ましくは106~850μg/mにてのテプリズマブのような抗CD3抗体の1つもしくはそれ以上の用量、好ましくは12の1日用量を、投与される。
【0136】
一部の実施形態では、対象は、テプリズマブのような抗CD3抗体の有効量の1日用量の2つのコースを含む治療レジメンを投与され、ここで、治療のコースは2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日または12日にわたって投与される。一部の実施形態では、治療レジメンは、有効量の用量を毎日、2日ごとに、3日ごとにまたは4日ごとに投与する工程を含む。
【0137】
一部の実施形態では、対象は、テプリズマブのような抗CD3抗体の有効量の1回またはそれ以上の用量を含む治療レジメンを投与され、ここで、有効量は、200ug/kg/日、175ug/kg/日、150ug/kg/日、125ug/kg/日、100ug/kg/日、95ug/kg/日、90ug/kg/日、85ug/kg/日、80ug/kg/日、75ug/kg/日、70ug/kg/日、65ug/kg/日、60ug/kg/日、55ug/kg/日、50ug/kg/日、45ug/kg/日、40ug/kg/日、35ug/kg/日、30ug/kg/日、26ug/kg/日、25ug/kg/日、20ug/kg/日、15ug/kg/日、13ug/kg/日、10ug/kg/日、6.5ug/kg/日、5ug/kg/日、3.2ug/kg/日、3ug/kg/日、2.5ug/kg/日、2ug/kg/日、1.6ug/kg/日、1.5ug/kg/日、1ug/kg/日、0.5ug/kg/日、0.25ug/kg/日、0.1ug/kg/日、もしくは0.05ug/kg/日;であり、および/または、予防有効量は、1200ug/m/日、1150ug/m/日、1100ug/m/日、1050ug/m/日、1000ug/m/日、950ug/m/日、900ug/m/日、850ug/m/日、800u/m/日、750ug/m/日、700ug/m/日、650ug/m/日、600ug/m/日、550ug/m/日、500ug/m/日、450ug/m/日、400ug/m/日、350ug/m/日、300ug/m/日、250ug/m/日、200ug/m/日、150ug/m/日、100ug/m/日、50ug/m/日、40ug/m日、30ug/m/日、20ug/m/日、15ug/m/日、10ug/m/日、もしくは5ug/m/日である。
【0138】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体の静脈内用量1400μg/m未満、1350μg/m未満、1300μg/m未満、1250μg/m未満、1200μg/m未満、1150μg/m未満、1100μg/m未満、1050μg/m未満、1000μg/m未満、950μg/m未満、900μg/m未満、850μg/m未満、800μg/m未満、750μg/m未満、700μg/m未満、650μg/m未満、600μg/m未満、550μg/m未満、500μg/m未満、450μg/m未満、400μg/m未満、350μg/m未満、300μg/m未満、250μg/m未満、200μg/m未満、150μg/m未満、100μg/m未満、50μg/m未満、40μg/m未満、30μg/m未満、20μg/m未満、15μg/m未満、10μg/m未満、もしくは5μg/m未満を、1型糖尿病の1つまたはそれ以上の症状を予防する、治療するかまたは回復させるために、約24時間、約22時間、約20時間、約18時間、約16時間、約14時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1.5時間、約1時間、約50分間、約40分間、約30分間、約20分間、約10分間、約5分間、約2分間、約1分間、約30秒間もしくは約10秒間にわたって投与する。レジメンの期間にわたる総投薬量は、合計約14000μg/m、13500μg/m、13000μg/m、12500μg/m、12000μg/m、11500μg/m、11000μg/m、10500μg/m、10000μg/m、9500μg/m、9000μg/m、8000μg/m、7000μg/m、6000μg/mであることが好ましく、5000μg/m、4000μg/m、3000μg/m、2000μg/m、または1000μg/m未満であってもよい。一部の実施形態では、レジメンで投与される総投薬量は、100μg/m~200μg/m、100μg/m~500μg/m、100μg/m~1000μg/m、または500μg/m~1000μg/mである。
【0139】
一部の実施形態では、用量は、テプリズマブのような抗CD3抗体の毎日の有効量が得られるまで、治療レジメンの最初の3回、総用量の最初の1/4にわたって(例えば、1日当たり1回用量の12日間レジメンの最初の3日間にわたって)、漸増する。一部の実施形態では、対象は、テプリズマブのような抗CD3抗体の有効量の1回またはそれ以上の用量を含む治療レジメンを投与され、ここで、有効量は、例えば、0.01ug/kg、0.02ug/kg、0.04ug/kg、0.05ug/kg、0.06ug/kg、0.08ug/kg、0.1ug/kg、0.2ug/kg、0.25ug/kg、0.5ug/kg、0.75ug/kg、1ug/kg、1.5ug/kg、2ug/kg、4ug/kg、5ug/kg、10ug/kg、15ug/kg、20ug/kg、25ug/kg、30ug/kg、35ug/kg、40ug/kg、45ug/kg、50ug/kg、55ug/kg、60ug/kg、65ug/kg、70ug/kg、75ug/kg、80ug/kg、85ug/kg、90ug/kg、95ug/kg、100ug/kg、もしくは125ug/kgだけ、1日1日増加するか;または、例えば、100ug/m、150ug/m、200ug/m、250ug/m、300ug/m、350ug/m、400ug/m、450ug/m、500ug/m、550ug/m、600ug/m、もしくは650ug/mだけ、治療の進行につれて1日1日増加する。一部の実施形態では、対象は、テプリズマブのような抗CD3抗体の有効量の1回またはそれ以上の用量を含む治療レジメンを投与され、ここで、有効量は、テプリズマブのような抗CD3抗体の1日有効量が得られるまで、1.25倍、1.5倍、2倍、2.25倍、2.5倍、または5倍だけ増加する。
【0140】
一部の実施形態では、対象は、T1Dの1つまたはそれ以上の症状を治療するかまたは回復させるためにテプリズマブのような抗CD3抗体200ug/kg以下、好ましくは、175ug/kg以下、150ug/kg以下、125ug/kg以下、100ug/kg以下、95ug/kg以下、90ug/kg以下、85ug/kg以下、80ug/kg以下、75ug/kg以下、70ug/kg以下、65ug/kg以下、60ug/kg以下、55ug/kg以下、50ug/kg以下、45ug/kg以下、40ug/kg以下、35ug/kg以下、30ug/kg以下、25ug/kg以下、20ug/kg以下、15ug/kg以下、10ug/kg以下、5ug/kg以下、2.5ug/kg以下、2ug/kg以下、1.5ug/kg以下、1ug/kg以下、0.5ug/kg以下、または0.2ug/kg以下の1回またはそれ以上の用量を、筋肉内投与される。
【0141】
一部の実施形態では、対象は、T1Dの1つまたはそれ以上の症状を治療するかまたは回復させるためにテプリズマブのような抗CD3抗体200ug/kg以下、好ましくは、175ug/kg以下、150ug/kg以下、125ug/kg以下、100ug/kg以下、95ug/kg以下、90ug/kg以下、85ug/kg以下、80ug/kg以下、75ug/kg以下、70ug/kg以下、65ug/kg以下、60ug/kg以下、55ug/kg以下、50ug/kg以下、45ug/kg以下、40ug/kg以下、35ug/kg以下、30ug/kg以下、25ug/kg以下、20ug/kg以下、15ug/kg以下、10ug/kg以下、5ug/kg以下、2.5ug/kg以下、2ug/kg以下、1.5ug/kg以下、1ug/kg以下、0.5ug/kg以下、または0.2ug/kg以下の1回またはそれ以上の用量を、皮下投与される。
【0142】
一部の実施形態では、対象は、T1Dの1つまたはそれ以上の症状を治療するかまたは回復させるためにテプリズマブのような抗CD3抗体100ug/kg以下、好ましくは、95ug/kg以下、90ug/kg以下、85ug/kg以下、80ug/kg以下、75ug/kg以下、70ug/kg以下、65ug/kg以下、60ug/kg以下、55ug/kg以下、50ug/kg以下、45ug/kg以下、40ug/kg以下、35ug/kg以下、30ug/kg以下、25ug/kg以下、20ug/kg以下、15ug/kg以下、10ug/kg以下、5ug/kg以下、2.5ug/kg以下、2ug/kg以下、1.5ug/kg以下、1ug/kg以下、0.5ug/kg以下、または0.2ug/kg以下の1回またはそれ以上の用量を、静脈内投与される。一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体100ug/kg以下、95ug/kg以下、90ug/kg以下、85ug/kg以下、80ug/kg以下、75ug/kg以下、70ug/kg以下、65ug/kg以下、60ug/kg以下、55ug/kg以下、50ug/kg以下、45ug/kg以下、40ug/kg以下、35ug/kg以下、30ug/kg以下、25ug/kg以下、20ug/kg以下、15ug/kg以下、10ug/kg以下、5ug/kg以下、2.5ug/kg以下、2ug/kg以下、1.5ug/kg以下、1ug/kg以下、0.5ug/kg以下、または0.2ug/kgの静脈内用量が、T1Dの1つまたはそれ以上の症状を治療するかまたは回復させるために、約6時間、約4時間、約2時間、約1.5時間、約1時間、約50分間、約40分間、約30分間、約20分間、約10分間、約5分間、約2分間、約1分間、約30秒間または約10秒間にわたって投与される。
【0143】
一部の実施形態では、対象は、T1Dの1つまたはそれ以上の症状を治療するかまたは回復させるためにテプリズマブのような抗CD3抗体100ug/kg以下、好ましくは、95ug/kg以下、90ug/kg以下、85ug/kg以下、80ug/kg以下、75ug/kg以下、70ug/kg以下、65ug/kg以下、60ug/kg以下、55ug/kg以下、50ug/kg以下、45ug/kg以下、40ug/kg以下、35ug/kg以下、30ug/kg以下、25ug/kg以下、20ug/kg以下、15ug/kg以下、10ug/kg以下、5ug/kg以下、2.5ug/kg以下、2ug/kg以下、1.5ug/kg以下、1ug/kg以下、0.5ug/kg以下、または0.2ug/kg以下の1回またはそれ以上の用量を、経口投与される。一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体100ug/kg以下、95ug/kg以下、90ug/kg以下、85ug/kg以下、80ug/kg以下、75ug/kg以下、70ug/kg以下、65ug/kg以下、60ug/kg以下、55ug/kg以下、50ug/kg以下、45ug/kg以下、40ug/kg以下、35ug/kg以下、30ug/kg以下、25ug/kg以下、20ug/kg以下、15ug/kg以下、10ug/kg以下、5ug/kg以下、2.5ug/kg以下、2ug/kg以下、1.5ug/kg以下、1ug/kg以下、0.5ug/kg以下、または0.2ug/kgの経口用量が、T1Dの1つまたはそれ以上の症状を治療するかまたは回復させるために、約6時間、約4時間、約2時間、約1.5時間、約1時間、約50分間、約40分間、約30分間、約20分間、約10分間、約5分間、約2分間、約1分間、約30秒間または約10秒間にわたって投与される。
【0144】
投薬レジメンの最初の数日間にわたって漸増用量が投与される一部の実施形態では、レジメンの1日目での用量は、100~250μg/m/日、好ましくは106μg/m/日であり、2日目および3日目までに、すぐ上に詳述の1日用量まで漸増する。例えば、対象は、1日目に約106μg/m/日の用量、2日目に約425μg/m/日の用量、およびレジメンのその後の数日(例えば、3~12日目)に850ug/m/日の用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、1日目に約211ug/m/日の用量、2日目に約423μg/m/日の用量、3日目およびレジメンのその後の数日(例えば、3~12日目)に約840μg/m/日の用量を投与される。
【0145】
一部の実施形態では、サイトカイン放出およびその他の有害効果の可能性を低減するために、レジメンの最初の1用量、2用量もしくは3用量、または全ての用量を静脈内投与によってより緩徐に投与する。例えば、106μg/m/日の用量を、約5分間、約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、および約22時間にわたって投与してもよい。一部の実施形態では、用量を、緩徐輸注により、例えば、20~24時間の期間にわたって投与する。一部の実施形態では、用量を、ポンプで、好ましくは輸注の進行につれて、投与する抗体の濃度を上昇させながら輸注する。
【0146】
一部の実施形態では、上記の106μg/m/日~850μg/m/日レジメンについての用量の設定画分を漸増用量で投与する。
【0147】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体を、数日わたって1日用量で投与するのではなくて、むしろ、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、24時間、30時間または36時間にわたる連続した様式での輸注によって投与する。輸注は一定であってもよく、例えば、輸注の最初の1時間、2時間、3時間、5時間、6時間、または8時間にわたってより低い投薬量でスタートし、次いでその後に、より高い投薬量に増加してもよい。輸注のコースにわたって、患者は、上記の5~20日間レジメンで投与される量と等しい用量を受ける。例えば、用量約150μg/m、200μg/m、250μg/m、500μg/m、750μg/m、1000μg/m、1500μg/m、2000μg/m、3000μg/m、4000μg/m、5000μg/m、6000μg/m、7000μg/m、8000μg/m、9000μg/m、9500μg/m、10000μg/m、10500μg/m、11000μg/m、11500μg/m、12000μg/m、12500μg/m、13000μg/m、13500μg/mまたは14000μg/mを投与することができる。特に、輸注のスピードおよび持続時間を、投与後の対象におけるテプリズマブのような遊離抗CD3抗体のレベルが最小限になるように設計する。一部の実施形態では、テプリズマブのような遊離抗CD3抗体のレベルは、遊離抗体200ng/mlを超えるものであってはならない。加えて、輸注を、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%の組み合わせたT細胞受容体コーティングとモジュレーションが得られるように設計する。
【0148】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体を、1型糖尿病の1つまたはそれ以上の症状を治療する、それらの進行を遅らせる、またはそれらを回復させるために、長期にわたって投与する。例えば、一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体の低用量を、上で論議の6~14日間の投薬量レジメンの代替としてまたはそのようなレジメンの投与後のいずれかで1カ月に1回、1カ月に2回、1カ月ごとに3回、週に1回またはさらに頻繁に投与して、その効果を増強または維持する。そのような低用量は、約5μg/m、10μg/m、15μg/m、20μg/m、25μg/m、30μg/m、35μg/m、40μg/m、45μg/m、または50μg/mのような、1μg/mから100μg/mまでのどこでもよい。
【0149】
一部の実施形態では、対象に、例えば、1つまたはそれ以上の生理学的パラメータまたはバイオマーカーパラメータに基づいて、または通常通り、テプリズマブ投薬レジメンのような2つのコースの抗CD3抗体の投与に続くある時点で再投薬することができる。そのような再投薬を投与してもよくおよび/またはそのような再投薬の必要性を投薬レジメンの投与の2カ月後、4カ月後、6カ月後、8カ月後、9カ月後、1年後、15カ月後、18カ月後、2年後、30カ月後または3年後に評価してもよく、かつ、そのような再投薬は、6カ月ごと、9カ月ごと、1年ごと、15カ月ごと、18カ月ごと、2年ごと、30カ月ごともしくは3年ごとにまたは不定に治療のコースを投与する工程を含むことができる。
【0150】
一部の実施形態では、テプリズマブの12日間コースの投与前および/または後(例えば、1~6カ月の間隔、または2~5カ月の間隔、または約3カ月の間隔で)、全CD3+ T細胞に対するTIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ 細胞のような表現型的に疲弊したT細胞のレベル(または相対量)を、例えばフローサイトメトリーによって決定する。一部の実施形態では、TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のレベルは、例えばフローサイトメトリーによってモニタリングすることができる。一部の実施形態では、TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のレベルがベースラインレベルと同等である(例えば、ベースラインレベルに戻る)場合に、テプリズマブのような抗CD3抗体のさらなる12日間コースが投与される。一部の実施形態では、TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞を決定する工程は、第2の12日間コースの投与の約3カ月(または約1~6カ月)後である。一部の実施形態では、対象が全CD3+ T細胞中約10%超のTIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞を有する場合、モニタリングする工程は年に一度であってもよい。一部の実施形態では、対象が全CD3+ T細胞中約10%未満のTIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞を有する場合、モニタリングする工程は約3~6カ月ごととすることができる。
【0151】
一部の実施形態では、再投薬は、テプリズマブのさらなる(例えば、第2の、第3の、またはそれ以降の)12日間コースそれぞれを、総用量約9000μg/m超で投与する工程を含む。一部の実施形態では、再投薬は、テプリズマブのさらなる(例えば、第2の、第3の、またはそれ以降の)12日間コースそれぞれを、総用量約9000から約14000μg/mの間で投与する工程を含む。一部の実施形態では、テプリズマブのさらなる12日間コースは、1日目にテプリズマブ106μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ425μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に850μg/mの1回用量を含み、ここで、総用量は約9031μg/mである。他の実施形態では、テプリズマブのさらなる12日間コースは、1日目にテプリズマブ211μg/mの第1の用量、2日目にテプリズマブ423μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に840μg/mの1回用量を含み、ここで、各コースの前記総用量は約9034μg/mである。
【0152】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体のさらなる(例えば、第2の、第3の、またはそれ以降の)12日間コースは、前の12日間コースの投与する工程の約12カ月~約24カ月後に、例えば12、13、14、15、16、17、19、20、21、22、23、または24カ月後に、投与することができる。
【0153】
一部の実施形態では、抗体の有効量は、10,000マイクログラム/平方メートル(μg/m)超の累積用量にての、抗CD3抗体の有効量の皮下(SC)注射もしくは静脈内(IV)輸注または経口投与の10~14日間コースを含む。一部の実施形態では、有効量は、約9500から約14000μg/mまで、約9500から約13500μg/mまで、約9500から約13000μg/mまで、約9,500から約12500μg/mまで、約9500から約12000μg/mまで、約9500から約11500μg/mまで、約9500から約11,000μg/mまで、約9500から約10500μg/mまで、約9500から約10000μg/mまでにての、抗CD3抗体の皮下(SC)注射もしくは静脈内(IV)輸注または経口投与の10~14日間コースを含む。例えば、レジメン期間にわたる総投薬量は、約10935μg/m、11235μg/m、11640μg/m、または12225μg/mである。一部の実施形態では、抗体の有効量は、約10000μg/m、10500μg/m、11000μg/m、11500μg/m、12000μg/m、12500μg/m、13000μg/m、13500μg/m、または14000μg/mにての、抗CD3抗体の皮下(SC)注射もしくは静脈内(IV)輸注または経口投与の10~14日間コースを含む。一部の実施形態では、抗CD3抗体はテプリズマブであるか、またはテプリズマブを含む。
【0154】
一部の実施形態では、抗CD3抗体は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に予防的に投与される。一部の実施形態では、有効量は、10000μg/m超の累積用量にての抗CD3抗体の皮下(SC)注射もしくは静脈内(IV)輸注または経口投与の10~14日コースを含む。
【0155】
一部の実施形態では、方法は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に、14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1~4日目に、約60μg/m、約125μg/m、約250μg/m、および約500μg/mで、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、累積用量は約10935μg/mである。
【0156】
一部の実施形態では、方法は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に、14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1~4日目に、約60μg/m、約125μg/m、約250μg/m、および約500μg/mで、ならびに5~14日目の各日に約1030μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、累積用量は約11235μg/mである。
【0157】
一部の実施形態では、方法は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に、14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1~4日目に、約100μg/m、約425μg/m、約850μg/m、および約850μg/mで、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、累積用量は約12225μg/mである。
【0158】
一部の実施形態では、方法は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に、14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1~4日目に、約65μg/m、約125μg/m、約250μg/m、および約500μg/mで、ならびに5~14日目の各日に約1,070μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、累積用量は約11640μg/mである。
【0159】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体を投与して、8%未満、7.5%未満、7%未満、6.5%未満、6%未満、5.5%未満、または5%以下のグリコシル化ヘモグロビン(HA1またはHA1c)レベルを得るかまたは維持する。治療開始時、患者は、8%未満、7.5%未満、7%未満、6.5%未満、6%未満、またはより好ましくは4%~6%のHA1レベルまたはHA1cレベルを有する(好ましくは、外因性インスリンの投与のような、糖尿病の他の治療がない状態で測定される)。このような患者は、好ましくは、治療開始前にベータ細胞機能の少なくとも95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%または20%を保持していた。一部の実施形態では、抗CD3抗体の投与は損傷を予防し、それによって疾患の進行を遅らせ、インスリン投与の必要性を軽減する。一部の実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、前の治療の6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、または24カ月の後、HA1またはHA1cのレベルが7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、または5%以下であることをもたらす。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法による抗CD3抗体の投与は、患者におけるHA1またはHA1cの平均レベルを、前の治療の6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、または24カ月後に、治療前レベルと比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%または約70%、低下させる。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法による抗CD3抗体の投与は、前の治療の6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、または24カ月後に、治療前レベルと比較して、約0.5%、約1%、約2.5%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%しか上昇しない、患者におけるHA1またはHA1cの平均レベルをもたらす。
【0160】
一部の実施形態では、抗CD3抗体、特に本明細書で提供される方法によるテプリズマブの投与は、先の6週間内にT1Dと診断された8~17歳の小児および青少年において、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、2カ月、24カ月またはそれ超にわたって、β細胞の喪失を遅らせ、および/またはβ細胞機能を保持する(例えば、C-ペプチドレベル、低血糖もしくは高血糖エピソード、(血糖の)タイムインレンジ、インスリン使用、または当技術分野で既知のその他の評価方法によって証明される)。一部の実施形態では、抗CD3抗体、特に本明細書で提供される方法によるテプリズマブの投与は、先の6週間内にT1Dと診断された8~17歳の小児および青少年において、18カ月(78週間)にわたって、β細胞の喪失を遅らせ、および/またはβ細胞機能を保持する。
【0161】
一部の実施形態では、方法は、1つまたはそれ以上の抗CD3抗体、例えばテプリズマブの有効量を、1つまたはそれ以上のDYRK1A阻害剤の有効量と組み合わせて投与する工程を含む。
【0162】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量は、少なくとも3カ月間、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、22、23もしくは24カ月またそれ超の間、毎日投与される。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量は、数日(例えば、2日、3日、4日、5日、もしくは7日)ごとに1回、または週に1回投与される。
【0163】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量は、毎月の治療として、月当たり1回、または月の第1の週の間は毎日、または最初の14日には毎日、または隔週ごと(1週間の治療と1週間の休薬)に毎日投与される。
【0164】
代替的に、T1Dの治療は、毎日4回、毎日3回、毎日2回、毎日、数日ごとに1回、週1回、月1回または年1回のような期間の範囲にわたって実施される、DYRK1A阻害剤の有効用量の複数回投与を含むことができる。非限定的な例として、本明細書に開示される組合せは、患者に週に1回または2回投与することができる。投与のタイミングは、患者の症状の重症度のような要因に左右される場合がある。例えば、DYRK1A阻害剤の有効用量を、不定期間にわたって数日ごと1回、または患者が療法をもはや必要としなくなるまで、患者に投与してもよい。
【0165】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量は、持続的なベータ細胞再生の証拠が得られるまで、投与される。一部の実施形態では、ベータ細胞の再生は、HbA1c、血糖、スポットC-ペプチドまたはOGTT刺激C-ペプチドによって評価することができ、したがって、全ての場合において、療法前のレベルと比較して改善された(例えば、正常範囲に近づく)値を示す。
【0166】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量は経口で、腹腔内で、皮下でまたはポンプもしくは当技術分野で既知の他の任意の送達デバイスを使用した輸注によって投与される。
【0167】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体およびDYRK1A阻害剤は同時投与される。一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体およびDYRK1A阻害剤は同時に投与される。一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体およびDYRK1A阻害剤は、順次投与される。
【0168】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体とDYRL1A阻害剤との組合せは、実質的に同時に与えられる別々の組成物として製剤化することができる。一部の実施形態では、抗CD3抗体とDYRL1A阻害剤の組合せは、活性剤の全てが、各用量にあってそれを必要とする対象に治療有効量で投与されるように、単一の組成物として製剤化することができる。一部の実施形態では、抗CD3抗体とDYRL1A阻害剤の組合せは、それを必要とする対象に異なる時点で投与してもよい。DYRK1A阻害剤は、毎日単回用量として投与してもよく、毎日複数回の用量として投与してもよい。
【0169】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD-3抗体を含む医薬組成物は静脈内投与され、DYRK1A阻害剤を含む医薬組成物は、経口で、腹腔内で、皮下でまたはポンプもしくは当技術分野で既知の他の任意の送達デバイスを使用した輸注によって投与される。一部の実施形態では、抗CD-3抗体(例えばテプリズマブ)を含む医薬組成物は皮下投与され、DYRK1A阻害剤を含む医薬組成物は、経口で、腹腔内で、皮下でまたはポンプもしくは当技術分野で既知の他の任意の送達デバイスを使用した輸注によって投与される。一部の実施形態では、抗CD-3抗体(例えばテプリズマブ)を含む医薬組成物は経口投与され、DYRK1A阻害剤を含む医薬組成物は、経口で、腹腔内で、皮下でまたはポンプもしくは当技術分野で既知の他の任意の送達デバイスを使用した輸注によって投与される。一部の実施形態では、抗CD-3抗体(例えば、テプリズマブ)とDYRK1A阻害剤の組合せを含む医薬組成物は、静脈内投与される。一部の実施形態では、抗CD-3抗体を含む医薬組成物およびDYRK1A阻害剤を含む医薬組成物は、別々の医薬組成物として静脈内投与される。一部の実施形態では、抗CD-3抗体(例えば、テプリズマブ)とDYRK1A阻害剤の組合せを含む医薬組成物は、皮下投与される。一部の実施形態では、抗CD-3抗体を含む医薬組成物およびDYRK1A阻害剤を含む医薬組成物は、別々の医薬組成物として皮下投与される。抗CD-3抗体(例えば、テプリズマブ)とDYRK1A阻害剤の組合せを含む医薬組成物は、経口投与される。一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD-3抗体を含む医薬組成物およびDYRK1A阻害剤を含む医薬組成物は、別々の医薬組成物として経口投与される。
【0170】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、外因性インスリンの対象の必要性が少なくとも20%軽減するか完全に解消するまで、DYRK1A阻害剤の治療有効量を、テプリズマブのコースの完了後、それを必要とする対象に投与する工程を含む。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の治療有効量は、毎日1回から毎月1回まで(例えば、週1回、2週間ごとに1回等)投与される。一部の実施形態において、DYRK1A阻害剤の治療有効量は、経口、皮下、または静脈内に投与される。
【0171】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、テプリズマブのような抗CD-3抗体の第1のコースの後に、それを必要とする対象に、DYRK1A阻害剤の皮下有効量を週1回、2週間ごとに1回、3週間~月ごとに1回投与する工程を含む。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、組み合わせた抗CD3抗体とDYRK1A阻害剤の1つまたはそれ以上のさらなるコースを投与する工程をさらに含む。一部の実施形態では、抗CD3抗体およびDYRK1A阻害剤のさらなるコースは、月ごと~12カ月ごと、例えば、月ごと、2カ月ごと、3カ月ごと、4カ月ごと、5カ月ごと、6カ月ごと、7カ月ごと、8カ月ごと、9カ月ごと、10カ月ごと、11カ月ごと、または年ごとに投与することができる。一部の実施形態では、方法は、DYRK1A阻害剤の有効量(例えば、単剤療法として)を投与する工程をさらに含む。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量を経口、皮下、静脈内投与することができる。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量(単剤療法として)を、1日当たり1回から4回まで、週当たり1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、または月当たり1回投与することができる。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量(単剤療法として)を、1日当たり1~4回、週当たり1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、または月当たり1回、経口投与することができる。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量を、1日当たり1回から数回まで、各月1週間、経口投与する。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量を、1日当たり1回から数回まで、各月連続する2週間、経口投与する。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量を隔週で1日当たり1回から数回まで経口投与する。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量(単剤療法として)を、輸注ポンプを使用して投与する。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量を、輸注ポンプを使用して各月の7~14日間連続投与する。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量を、隔日に輸注ポンプによって投与する。一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量を、輸注ポンプによって各週1、2、3、4、5または6日投与する。
【0172】
一部の実施形態では、患者は、併用療法の開始の3カ月後に、(1)例えば、循環疲弊T細胞のレベルの評価による抗CD3抗体(例えばテプリズマブ)の免疫効果;および;(2)例えば、OGTT刺激C-ペプチドによるベータ細胞再生、についてモニタリングされる。結果に基づいて、治療アルゴリズムを実装することができる:
・ 患者が、全CD3+ T細胞に対して疲弊T細胞(TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ 細胞)10%超を有する場合、疲弊T細胞は毎年モニタリングされ、代謝評価は少なくとも四半期ごとにモニタリングされる。疲弊T細胞のレベルは、例えばフローサイトメトリーによって評価することができる;
・ 患者が、CD3+ T細胞に対して疲弊T細胞10%未満を有する場合、免疫学的モニタリング(例えば、フローサイトメトリーによる)を6カ月ごととしてもよい。
【0173】
一部の実施形態では、疲弊T細胞がベースラインレベルに戻る場合、患者は抗CD3抗体の新規コースを受けてもよく、モニタリングサイクルは、3カ月の疲弊T細胞の評価から再び始まるであろう。一部の実施形態では、抗CD3抗体の新規コースは、テプリズマブの10日間~14日間コースである。一部の実施形態では、抗CD3抗体の新規コースは、テプリズマブの10日間または12日間コースである。一部の実施形態では、抗CD3抗体の新規コースは、テプリズマブの12日間コースである。一部の実施形態では、抗CD3抗体の新規コースは、テプリズマブの14日間コースである。
【0174】
一部の実施形態では、テプリズマブのような抗CD3抗体は、本開示のアルゴリズムまたは他のアルゴリズムまたはカレンダースケジュールに従って複数回再投薬することができる。
【0175】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の投与を、外因性インスリンからの解除を可能にするベータ細胞塊の安定した再生を指示する2回連続の四半期代謝評価に基づいて、3カ月後に中止してもよい。ベータ細胞塊における中程度の改善でも、外因性インスリンの必要量の減少、血糖コントロールの改善および糖尿病合併症の続いて起こる減少をもたらす可能性がある。次いで、患者がさらなる治療がなくても正常量のインスリンを産生し続ける場合には、投与される投薬量を、強度および/または頻度において減少させてもよく、完全に中止してもよい。
【0176】
一部の実施形態では、併用療法は、治療期間過程での活性剤(抗CD3抗体、DYRK1A阻害剤)の同時投与、および/または治療期間において様々な時間の間隔過程での単一活性剤の別々の投与を含むことができる。
【0177】
一部の実施形態では、本開示の治療方法は、ベータ細胞塊の向上および糖尿病状態の改善に寄与する膵臓細胞の少なくとも部分的な再生をもたらす。一部の実施形態において、併用療法の投与によって、糖尿病の状態が部分的または完全に元に戻る。
【0178】
一部の実施形態では、抗CD3抗体およびDYRK1A阻害剤、または一緒に使用される場合の抗CD3抗体とDYRK1A阻害剤は、T1Dの治療に対して相加的効果または驚くべきことに相乗効果を有する場合があり、その結果、上記効果は、いずれかの化合物を単独で得ることができる効果よりも大きい。
【0179】
本開示の一部の態様は、1型糖尿病(T1D)を治療する方法であって:それを必要とする対象に抗CD3抗体の12日間コース~14日間コースを総用量約9000μg/m超で静脈内投与する工程と;対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程とを含む方法に関する。一部の実施形態では、抗CD3抗体の総用量は約9000から約9500μg/mの間である。一部の実施形態では、総用量は約9000から約14000μg/mの間である。
【0180】
一部の実施形態では、12日間コースは、1日目に抗CD3抗体106μg/mの第1の用量、2日目に抗CD3抗体425μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に抗CD3抗体850μg/mの1回用量を含み、ここで、総用量は約9031μg/mである。
【0181】
一部の実施形態では、12日間コースは、1日目に抗CD3抗体211μg/mの第1の用量、2日目に抗CD3抗体423μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に抗CD3抗体840μg/mの1回用量を含み、ここで、総用量は約9034μg/mである。
【0182】
一部の実施形態では、方法は、抗CD3抗体の第1のおよび第2の12日間コースを投与する工程を含む。一部の実施形態では、第1のおよび第2の12日間コースは、約1~6カ月、約2~5カ月または約3カ月の間隔で投与される。
【0183】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、抗CD3抗体の第3のまたはそれ以上の12日間コースを、各コース総用量約9000μg/m超で投与する工程を含むことができる。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、抗CD3抗体の第3のまたはそれ以上の12日間コースを、各コース総用量約9030μg/mから約14000μg/mの間で投与する工程を含むことができる。
【0184】
一部の実施形態では、抗CD3抗体の第3のまたはそれ以上の12日間コースは、1日目に抗CD3抗体106μg/mの第1の用量、2日目に抗CD3抗体425μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に抗CD3抗体850μg/mの1回用量を含み、ここで、各コースの総用量は約9031μg/mである。
【0185】
一部の実施形態では、抗CD3抗体の第3のまたはそれ以上の12日間コースは、1日目に抗CD3抗体211μg/mの第1の用量、2日目に抗CD3抗体423μg/mの第2の用量、および3~12日目の各日に抗CD3抗体840μg/mの1回用量を含み、ここで、各コースの総用量は約9034μg/mである。
【0186】
一部の実施形態では、抗CD3抗体の第3のまたはそれ以上の12日間コースは、約12カ月~約24カ月の間隔で投与される。
【0187】
一部の実施形態では、方法は、投与の約3カ月後、全CD3+ T細胞に対するTIGIT+KLRG1+CD8+ 細胞のレベルのベースラインを決定する工程と、TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のレベルをモニタリングする工程と、TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞のレベルがベースラインレベルに戻る場合、抗CD3抗体のさらなる12日間コースを投与する工程とをさらに含むことができる。一部の実施形態では、TIGIT+KLRG1+CD8+CD3+ T細胞を決定する工程はフローサイトメトリーによるものである。一部の実施形態では、対象が全CD3+ T細胞中約10%超のTIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞を有する場合、その後のモニタリングする工程は年に一度である。一部の実施形態では、対象が全CD8+ T細胞中約10%未満のTIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞を有する場合、その後のモニタリングする工程は約3~6カ月ごとである。
【0188】
一部の実施形態では、投与する工程は、治療前のレベルと比較して、外因性インスリンの使用、HbA1cレベル、低血糖エピソード、またはそれらの組合せの少なくとも10%の減少をもたらす。
【0189】
一部の実施形態では、抗CD3抗体の各用量は非経口投与される。
【0190】
一部の実施形態では、抗CD3抗体の各用量は静脈内輸注によって投与される。
【0191】
一部の実施形態では、それを必要とする対象は約8~17歳である。
【0192】
一部の実施形態では、それを必要とする対象は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病の対象である。
【0193】
一部の実施形態では、方法は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に、抗CD3抗体の14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1~4日目に、約60μg/m、約125μg/m、約250μg/m、および約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、累積用量は約10935μg/mである。
【0194】
一部の実施形態では、方法は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に、抗CD3抗体の14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1~4日目に、約60μg/m、約125μg/m、約250μg/m、および約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1030μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、累積用量は約11235μg/mである。
【0195】
一部の実施形態では、方法は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に、抗CD3抗体の14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1~4日目に、約100μg/m、約425μg/m、約850μg/m、および約850μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、累積用量は約12225μg/mである。
【0196】
一部の実施形態では、方法は、T1Dのリスクにさらされている非糖尿病対象に、抗CD3抗体の14日間コースのIV輸注をそれぞれ、1~4日目に、約65μg/m、約125μg/m、約250μg/m、および約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1,070μg/mの1回用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、累積用量は約11640μg/mである。
【0197】
一部の実施形態では、DYRK1A阻害剤の有効量は、経口で、腹腔内で、皮下でまたは静脈内輸注によって投与される。
【0198】
一部の実施形態では、それを必要とする対象は、混合食事負荷試験(MMTT)過程で≧0.2pmol/mLのピークC-ペプチドレベルを有する。
【0199】
一部の実施形態では、抗CD3抗体を受けている対象は、プラセボを受けている対照と比較して、治療後により高い平均C-ペプチド値を有する。
【0200】
一部の実施形態では、方法は、78週目に、混合食事負荷試験(MMTT)の後のC-ペプチドの時間濃度曲線下面積(AUC)を評価する工程をさらに含む。
【0201】
一部の実施形態では、それを必要とする対象は、抗CD3抗体およびDYRK1A阻害剤の投与前にベータ細胞機能のうちの少なくとも20%を有する。
【0202】
一部の実施形態では、インスリンの使用、HbA1cレベル、低血糖エピソード、またはそれらの組合せの減少は12カ月以上の期間にわたる。
【0203】
本開示の態様は、1型糖尿病(T1D)の発症を予防するかまたは遅延させる方法であって:それを必要とする対象に抗CD3抗体の14日間コースを総用量約9000μg/m~約14000μg/mで予防的に投与する工程と;それを必要とする対象にDYRK1A阻害剤の有効量を投与する工程とを含む方法に関する。
【0204】
一部の実施形態では、抗CD3抗体の予防有効量は、皮下(SC)もしくは静脈内(IV)または経口投与される。
【0205】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースのIV輸注を、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。
【0206】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースのIV輸注を、それぞれ、1日目に約60μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1030μg/mの1回用量で投与する工程を含む。
【0207】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースのIV輸注を、1日目に約100μg/m、2日目に約425μg/m、3日目に約850μg/m、および4日目に約850μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1000μg/mの1回用量で投与する工程を含む。
【0208】
一部の実施形態では、方法は、14日間コースのIV輸注を、1日目に約65μg/m、2日目に約125μg/m、3日目に約250μg/m、および4日目に約500μg/m、ならびに5~14日目の各日に約1070μg/mの1回用量で投与する工程を含む。
【0209】
一部の実施形態では、抗CD3抗体はテプリズマブである。
【0210】
本明細書では、それを必要とする対象において、1型糖尿病の治療のための抗CD3抗体の有効量およびDYRK1A阻害剤の有効量の使用が提供される。一部の実施形態では、抗CD3抗体はテプリズマブである。
【実施例1】
【0211】
テプリズマブ集団の薬物動態シミュレーション
緒言
テプリズマブは、T細胞受容体(TCR)複合体のCD3-εエピトープに結合する150kDのモノクローナル抗体である。抗体の作用の主たるメカニズムには、T細胞上のCD3抗原標的に結合することが伴う。IV投与の後のテプリズマブ濃度を説明する集団薬物動態(PK)モデルを開発した。テプリズマブPKを、標的媒介性薬物消失(TMDD)モデルの準定常状態(QSS)近似によって説明した。本調査の目標は、モデルを使用して、目的のいくつかの投薬レジメンの後のテプリズマブの濃度時間プロファイルをシミュレーションしかつ比較することであった。
【0212】
目的
解析の目的は以下のとおりであった:
・ 先行開発した集団PKモデルを適用して、以下の3つの投薬レジメンをシミュレートすること:
- 「Herold投薬レジメン」:1日目:51μg/m;2日目:103μg/m;3日目:207μg/m;4日目:413μg/m;5~14日目:826μg/m
- レジメン1:1日目:211μg/m;2日目:423μg/m;3~12日目:840μg/m
- レジメン2:1日目:106μg/m;2日目:425μg/m;3~12日目:850μg/m
・ 上に列記の3つの投薬レジメンについてテプリズマブの濃度時間コースを例示し且つ比較すること。
【0213】
対象および方法
投薬レジメン
Heroldレジメンとは、それぞれ、試験1~4日目に51μg/m、103μg/m、207μg/m、および413μg/mの毎日の静脈内(IV)輸注(少なくとも30分間にわたる)ならびに、試験5~14日目の各日に826μg/mの輸注からなるテプリズマブの14日間コースである。14日間コースの総用量は約9034μg/mである。体表面積(BSA)1.92mの対象の場合、この投薬スケジュールではテプリズマブ約17mgが送達される。定常状態で送達される薬物の最大量を、大過剰の遊離未結合薬物を伴わずに、T細胞上の利用可能なCD3のうちの50%~80%のコーティングがもたらされるように設計した(定常状態で<200ng/mLであると計画した)。
【0214】
新規レジメン1とは、それぞれ、試験1日目および2日目に211μg/mおよび423μg/mの毎日のIV輸注(少なくとも30分間にわたる)ならびに試験3日目~12日目の各日に840μg/mの輸注からなるテプリズマブの12日間コースである。12日間コースの総用量は約9034μg/mである。
【0215】
新規レジメン2とは、それぞれ、試験1日目および2日目に106μg/mおよび425μg/mの毎日のIV輸注(少なくとも30分間にわたる)ならびに試験3日目~12日目の各日に850μg/mの輸注からなるテプリズマブの12日間コースである。12日間コースの総用量は約9031μg/mである。
【0216】
明らかなように、同じ総用量が3つのレジメン全てによって送達されることになるが、レジメン1と2では、送達は、本来のHeroldレジメンの14日間ではなく12日間にわたるものである。
【0217】
シミュレーション
先行解析の最終モデルをシミュレーションに使用した。濃度時間コースを、各日10時点をもって40日間(0日目~40日目)シミュレーションした。Protege Encore治験の患者はProtege治験の患者よりも高いクリアランスおよび中心体積を有することが見られたので、モデルは学習効果を含んでいた。したがって、シミュレーションはこれら2つの治験については別々に実施した。シミュレーションのために典型的な4人の患者の共変量値を使用した。具体的には:
・ 抗薬物抗体[ADA]不検出成人患者:18歳、BSA1.67mの60kgの男性;
・ ADA高レベルの成人患者:18歳、BSA1.67mの60kgの男性;
・ ADA不検出の小児患者:13歳、BSA1.33mの45kgの男性;
・ ADA高レベルの小児患者:13歳、BSA1.33mの45kgの男性。
【0218】
こういった患者のそれぞれについて、経時的な濃度の集団予測を3つの投薬レジメンのそれぞれについて計算し、次いでグラフで比較した。次いで、1000人の同様の患者のパラメータをモデル予測の個体間変動を使用してシミュレーションし、個体の濃度時間コースをモデルを使用して計算した。各時点にてのシミュレーション濃度の中央値および90%予測区間を各レジメンについて計算し、グラフで比較した。加えて、最終用量の1日後にシミュレーション値の平均および標準偏差を計算し、比較した。
【0219】
ソフトウェア
シミュレーションを、NONMEMソフトウェア、Version 7.4.1(ICON Development Solutions)を使用して実施した。コンピュータリソースには、Intel(登録商標)プロセッサ、Windows 7 Professional以降のオペレーティングシステム、およびIntel(登録商標)Visual Fortran Professional Compiler(Version 11.0)を搭載したパーソナルコンピュータが含まれた。NONMEM出力の評価を含めて、グラフ解析およびその他全ての統計学的解析を、Windows用R version3.4.4(Rプロジェクト、www.r-project.org/)を使用して行った。
【0220】
結果
AD不検出の典型的な成人患者についてのシミュレーションの結果を図1に示す。Protege治験における濃度は、全ての投薬レジメンについてEncore治験におけるよりも高いと予測された。投薬レジメン1と2の濃度は、投薬の最初の2日の過程での軽微な差異を除いて、ほとんど区別できなかった。投薬の最初の12日の過程で、Herold投薬レジメンの濃度は、投薬レジメン1および2と比較してより低かったが、最終投薬の後はほぼ同一であった(Heroldレジメンについては14日目、レジメン1および2については12日目に)。個体間の変動を含むシミュレーション(図2~4、表1)により、これらの観察が確認された。
【0221】
【表1】
【0222】
高レベルADA検出の典型的な成人患者についてのシミュレーションの結果を図5~8に示す。予想通り、非常に高い免疫原性応答を有する対象についてはテプリズマブ全体のレベルがはるかにより低いが、調査した3つの投薬レジメン間の差異に関する結論は依然として成立する。
【0223】
典型的な小児患者についてのシミュレーションの結果を図9~16に示す。結果は成人患者のものと非常に似ており、このことが指示するところは、BSA比例の投薬によって小児と成人の集団に同様の曝露がもたらされることである。
【0224】
図17~24に、より長期間にわたるHeroldレジメンとレジメン2を比較する濃度プロファイルを示し、表2~表3に、シミュレーションにおける0から42日までのCmaxおよびAUCをまとめた。図が示すところは、42日目までに濃度が非常に低く、したがって、AUC0~42の値はAUC∞の値と本質的に同じであることである。
【0225】
【表2】
【0226】
【表3】
【0227】
結論
シミュレーションが指示したところは:
・ テプリズマブの予測濃度は、投薬の初日を除いて、提案した2つの投薬レジメン(レジメン1およびレジメン2)についてほぼ同一である;
・ テプリズマブの予測濃度は、Heroldレジメンと比較してレジメン1およびレジメン2の投薬過程でより速く上昇するが、投薬最終日で全てのレジメンについてほぼ同一である;
・ 最終用量の1日後にテプリズマブの予測濃度は、3つのレジメン全てについてほぼ同一である;
・ BSA比例の投薬によって、異なる身体サイズ測定値を有する成人と小児の対象に対して均一な曝露レベルがもたらされる。
【実施例2】
【0228】
1型糖尿病(T1D)と新規診断されている小児および青少年における、ヒト化FcR非結合抗CD3モノクローナル抗体であるテプリズマブ(PRV-031)の効能および安全性を評価するための、第3相、無作為化、二重盲検、国際共同、プラセボ対照治験
テプリズマブ(PRV-031、hOKT3γ1[Ala-Ala]、およびMGA031としても知られる)は、T細胞受容体のCD3-εエピトープに結合するヒト化150キロダルトンのモノクローナル抗体(mAb)である。テプリズマブとは、前臨床試験により、このメカニズムを介してT細胞(1型糖尿病[T1D]の原因となる自己免疫プロセスの開始および協調するのに役立つ細胞)を標的にすることが、関連する動物モデルにおいて糖尿病の免疫病因を変化させるとともに、疾患を予防しかつ元に戻すことが実証された際に開発されたものである。本治験のゴールは、T1Dとごく最近診断された小児および青少年におけるテプリズマブを評価することである。テプリズマブは、本疾患の最も壊滅的な短期的および長期的帰結にわずらわされている人々の医療管理と全体的予後の両方を改善するのに利用可能な最初の疾患修飾療法となることが期待されている。
【0229】
仮説
本治験の仮説とは、テプリズマブは、T1Dと新規診断された小児および青少年においてβ細胞の喪失を遅らせるとともに臨床的に適切なレベルのβ細胞機能を維持する上で安全で忍容性が高くかつ有効であるが、一方、18カ月の期間にわたるT1D臨床管理に関するキーとなる側面を改善する、ということである。
【0230】
目的
主要目的は以下のとおりである:
・ 先の6週間内にT1Dと診断された8~17歳の小児および青少年において、6カ月おいて投与されたテプリズマブの2つのコースによりβ細胞の喪失が遅くなり、18カ月(78週間)にわたってβ細胞機能が保持されるかどうかを判定すること。
【0231】
副次的目的は以下のとおりである:
・ インスリン使用、血糖コントロール(ヘモグロビンA1c[HbA1c]および血糖目標範囲内時間[TIR]を含む)、臨床的に重要な低血糖エピソードを含めて、糖尿病管理のキーとなる臨床パラメータにおける参加者の改善を評価すること
・ 6カ月おいて静脈内(IV)投与されるテプリズマブの2つのコースの安全性および忍容性を判定すること
・ IVテプリズマブの2つのコースの薬物動態(PK)および免疫原性を評価すること
【0232】
探索的な目的は以下のとおりである:
・ β細胞機能およびT1Dに焦点を置いた臨床パラメータを評価すること
・ 免疫学的、内分泌学的、分子、遺伝的各マーカーを評価すること
評価項目
1.主要評価項目は以下のとおりである:
・ 78週目にての、内因性インスリン産生およびβ細胞機能の尺度である4時間の混合食事負荷試験(MMTT)後のC-ペプチドの時間濃度曲線下面積(AUC)。
2.副次評価項目は以下のとおりである:
A.キーとなる臨床評価項目:
・ 外因性インスリンの使用:78週目にての1日当たりのキログラム当たりのユニット(U/kg/d)表示の日間平均として定義される
・ HbA1cレベル:78週目にての%およびmmol/molで表す
・ TIR:78週目にての、持続グルコースモニタリング(CGM)を使用して評価して、参加者の血糖値(BG)が>70mg/dLであるが≦180mg/dLである(>3.9~≦10.0mmol/L)、1日24時間における時間のパーセンテージの日間平均として表す
・ 臨床的に重要な低血糖エピソード:無作為化から78週目までの、BG測定値<54mg/dL(3.0mmol/L)のエピソード、および/または回復に外部援助を必要とする重度の認知障害のエピソードの総数として定義される
B.安全性評価項目:
・ 治療下で発現した有害事象(TEAE)、特に留意すべき有害事象(AESI)、および重篤有害事象(SAE)の発生率
・ 特に留意すべき試験治療下で発現した感染の発生率、感染には、それらに限定されないが、結核、IV抗菌薬治療または入院を必要とする感染、エプスタイン-バーウイルス(EBV)およびサイトメガロウイルス(CMV)感染、または深刻なウイルス血症(すなわち、DNAベースのポリメラーゼ連鎖反応ウイルス量>1mL当たり10,000コピーまたは10個の細胞)、ならびに帯状疱疹が含まれる
・ 即時性または遅発性治験薬輸注関連反応の発生率および重度、例えば、過敏応答、輸注の中断または中止を必要とする疼痛、サイトカイン放出症候群、および血清病
C.PKおよび免疫原性の評価項目:
・ テプリズマブの血清濃度
・ 治療コース後の抗テプリズマブ抗体の発生率および力価
3.探索的評価項目は以下のとおりである:
A.治験全体を通してのβ細胞の機能および健康状態の評価:
・ 4時間MMTT C-ペプチドAUC
・ 4時間および2時間のMMTT過程での臨床的に意義があると認められた刺激ピークC-ペプチド≧0.2pmol/mLを有する参加者
・ プロインスリン対C-ペプチドの比、β細胞小胞体のストレスおよび機能不全の尺度
B.特に明記されていない限り、治験過程でのT1Dに焦点を置いた臨床評価項目:
・ 外因性インスリンの使用(U/kg/日表示での)
・ HbA1cレベル
・ 血糖コントロール不良の参加者、HbA1c≧9%と定義される
・ HbA1cおよび/またはルーチンの血糖レベルについて、地方、地域、または国家の年齢に基づく血糖管理目標を達成することができるので、外因性インスリンを必要としない参加者の数
・ 間欠的な(すなわち、スポットチェック、フィンガースティック)血糖計測定値から得られるBG値に基づく血糖コントロールの評価
・ それに限定されないがTIRを含む、CGM測定値から得られるBG値に基づく血糖コントロールの評価;高血糖と低血糖の範囲にある時間;一日の、日中の、および夜間の平均BGレベルおよび予測HbA1c;ならびに血糖変動
・ 無作為化から39週目までおよび39週目から78週目までの臨床的に重要な低血糖エピソード
・ 「特発性」低血糖の発生率、BGレベル≧54mg/dL(3.0mmol/L)であるが<70mg/dL(3.9mmol/L)および/または重度ではない臨床エピソードとして定義される
・ 医療を必要とする糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の発生率、血清または尿中のケトン体が血清重炭酸塩<15mmol/Lもしくは血中pH<7.3またはその両方とともに正常上限(ULN)を超えて上昇している、高血糖エピソードとして定義され、したがって、外来受診、救急外来受診または入院という結果となる
・ Quality of Life Inventory(商標)(PedsQL)糖尿病モジュール、低血糖に対する恐怖感スケール(HFS)、および糖尿病治療満足度質問票(DTSQ)のような手段によって測定された患者報告アウトカム
・ 家族生活への影響、親が報告するPedsQL 家族への影響質問票によって測定される
C.複合臨床評価項目:
・ American Diabetic Association(ADA)の目標範囲のHbA1c(すなわち<7.5%)と特定範囲の外因性インスリン用量(<0.25、0.25~<0.50、0.50~<0.75、0.75~<1.0、1.0~<1.25、および≧1.25U/k/d)との両方を有する参加者
・ HbA1c<6.5%および<7.0%と外因性インスリン用量<0.5U/kg/日または0.25U/kg/日との両方を有する参加者
D.治験過程での他の評価項目:
・ T1D自己抗体の数、型および力価
・ 臨床、代謝および免疫の各評価とのヒト白血球抗原(HLA)型の関連
【0233】
治験計画の概要
これは、第3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、国際共同、多施設治験である。約300人の参加者を登録し、2:1の比でテプリズマブ群(N=200)またはプラセボ群(N=100)のいずれかに無作為に割り当てる。
【0234】
治療割り当てにおける偏り、潜在的な交絡因子を最小限に抑えかつ統計学的解析の妥当性を増強するために、ランダム置換ブロック法および以下の基準に基づく階層化を使用して、参加者を2:1の比で無作為化する:
・ スクリーニング時のピークC-ペプチドレベル:0.2(組み入れ基準)~0.7pmol/mL(含む)の範囲内 対 >0.7pmol/mL
・ 無作為化時の年齢:8歳~12歳(含む)の範囲内 対 >12歳~17歳の範囲内
【0235】
テプリズマブまたはマッチングプラセボを、2つのコースでIV輸注を介して投与し、この場合、第1のコースは1日目(1週目)に開始し、第2のコースは約6カ月後の182日目(26週目)に開始する。治療の各コースは、12日間の毎日の輸注を含む。
【0236】
各参加者の総治験期間は最大84週間である。これは、最大6週間のスクリーニング期間および78週間の無作為化後の期間を含む。治療期間は、6カ月だけ隔てられた2つの12日間の治療コースおよび約52週間の治療後の観察期間を含む。
【0237】
治験集団
本治験には、無作為化することができかつ参加者の診断の6週間以内に治験治療を開始することができる、新規発症のT1Dの8~17歳の男性および女性の参加者が登録される。無作為化の対象となるためには、参加者は少なくとも1つのT1D関連自己抗体に対して陽性であるとともにスクリーニング時に≧0.2pmol/mLのピーク刺激C-ペプチドレベルを有する必要がある。参加者はまた、特定の選択基準を全て満たし、除外基準のいずれも満たさない必要がある。
【0238】
投薬量および管理
下の表に示すように、無作為化の日(1日目)に、各参加者は第1の12日間治療コースにおける治験薬の第1の用量を受ける。約182日目に、各参加者は第2の12日間コースの第1の用量を受ける。治験薬(テプリズマブまたはプラセボ)は、治験施設またはその他の適格施設で、治験承認担当者によってIV輸注を介して投与される。治験薬の用量は、各治療コースの初日に測定した参加者の体表面積(BSA)に基づいて算出される。用量調整は全く容認されない。
【0239】
【表4】
【0240】
キーとなる評価
MMTT:内因性β細胞機能を定量化するために、参加者は、C-ペプチド(インスリン産生の1:1副産物)についての標準化負荷代謝試験を受ける。参加者は、既知の量の炭水化物、脂肪およびタンパク質を含む一定量の飲料を摂取する。消費に続いて、BG、インスリン、C-ペプチドのレベルを経時的に測定する。キーとなる評価項目評価のために、2時間MMTTをスクリーニング時に実施し、4時間MMTTを無作為化時および26、52、および78週目に実施する。
【0241】
HbA1c:これは、血糖レベルに比例して非酵素的に糖化した赤血球(ヘモグロビンとして測定)のパーセントである。これは、概して、血糖値の約3カ月間平均を指示する。これは、T1Dの管理におけるキーとなる臨床目標である。
【0242】
インスリン使用:外因的に注射したインスリンを定量化するために、指定の各来院前に収集したデータの7日間にわたる平均として。
【0243】
低血糖:臨床的に重要でありかつ生命を危うくするおそれがある低血糖は、インスリン療法の結果であり、血糖コントロールゴールを達成しようとしている患者において起こるおそれがより高い。本治験では、参加者に、<70mg/dL(3.9mmol/L)のBGレベルおよび/または低血糖と一致する事象に関する情報を記録するよう求める。特定の焦点が臨床的に意義のある低血糖イベントに置かれているが、このイベントは、<54mg/dL(3.0mmol/L)の信頼できるグルコース測定値および/または重度の認知障害および/または回復に外部の援助を必要とする身体状態として定義される。
【0244】
グルコースモニタリング:インスリン投薬を計測し、食事制限および活動を援助するのに血糖管理の必要な部分として1日当たり複数回で参加者または介護者によって行われる間欠的なグルコースモニタリング(例えば、スポットチェックまたはフィンガースティック)。全ての参加者は、レビューのために全来院時に血糖計を持ってくることになっている。血糖コントロールに関するデータに加えて、治験中の指定時間に、参加者は毎日の食前と就寝前のBG測定値を報告し、CGMを使用して2週の間隔の間グルコースレベルを評価される。
【0245】
生活の質の質問票:調査、例えば、PedsQL糖尿病モジュール、HFS、DTSQ、および親が報告するPedsQL家族への影響モジュールを使用して、参加者の一般的な健康状態および福祉ならびテプリズマブの効果を評価する。
【0246】
薬物動態および免疫原性の評価:テプリズマブ濃度を、治験全体を通して特定の時点で採取した血液サンプル中で分析する。中和抗体(NAb)であるものを含めて、抗テプリズマブ抗体を決定する。
【0247】
治験計画のダイアグラムを図25に提供する。
【0248】
本治験では、有意な量のβ細胞機能能力を有する個体に焦点を置いている。T1D診断の後にβ細胞が失われ続けることが理解されている。回復可能なレベルの内因性インスリン産生を有する患者においてβ細胞保持の効果を最大化するために、本治験は、T1D診断から6週間以内であり、混合食事負荷試験(MMTT)過程でピークC-ペプチドレベルが≧0.2pmol/mLである、参加者を募集する。0.2pmol/mLの値を選択したが、というのは、この値は、T1D関連の短期および長期合併症の臨床上重要であるとされる割合がより低いことと相関するC-ペプチドに関する、キーであり許容される閾値であるからである(Lachin 2014、Palmer 2001、Palmer 2009)。
【0249】
各参加者の総治験期間は最大84週間である。これは、最大6週間のスクリーニング期間および78週間の無作為化後の期間を含む。無作為化期間は、6カ月だけ隔てられた2つの12日間の治療コースおよび約52週間の治療後の観察期間を含む。最終来院は78週目に行われる。
【0250】
キーとなる評価のための治験全体の長さおよび時点については、T1Dの診断の後の残存β細胞喪失の自然経過ならびにテプリズマブの効果の持続性を実証するおよびテプリズマブの治療後の安全性プロファイル確認するという治験ゴールを以て、選択した。診断時に、正常β細胞塊の10~20%と多くの場合では推定されるが、場合によっては40%を超える実質的なβ細胞リザーブが存在することもある(Matveyenko 2008、Campbell-Thompson 2016)。T1D診断時には、このリザーブの大部分が、代謝または免疫学的(すなわち、サイトカイン誘導性)ストレスにより機能上損なわれていると考えられている。外因性インスリン治療ならびに診断時に存在することが多いpH、電解質および体液の各障害(すなわちDKA)の補正により、β細胞の機能の一部が数日、数週間または何カ月にもわたって回復する場合がある。こういった所見は、インスリン要求量が大幅に減少する場合もあり、時には外因性インスリンからの非依存性を達成する場合もある「ハネムーン期」と多くの場合呼ばれる。このような影響は一時的であり、時間とともに、通常は診断から1年以内に、この残存β細胞の自己免疫排除に起因して、必然的に完全なインスリン補充が必要になる。β細胞喪失の自然歴にある既知の個体変動に起因して、β細胞機能の保持を企図とした疾患修飾療法の効果を、T1D診断の最初の12カ月間におけるハネムーン期の効果と見分けることは困難である。
【0251】
主要臨床評価項目およびキーとなる副次臨床評価項目のための18カ月時点により、T1D疾患修飾療法としてテプリズマブを通常医療行為へと承認するのに必要なキーとなるデータが用意され、上記時点はEMAおよびFDAが推奨する評価項目に関する既存のガイドラインと調和する。T1Dの自然歴治験および介入試験からのデータが示すところは、T1Dの患者のβ細胞喪失は、とりわけ診断後数週間~数カ月以内はかなり変わりやすいとし得ることである。本治験には、T1D診断に極めて接近した(すなわち6週間以内)、より若い参加者が登録されていることから、ハネムーン現象(または自然発生的で一過性の部分寛解) - 治験集団において最長でおよそ1年続く場合もある(Abdul-Rasoul2006) - を考慮することで複雑性を加えることになる可能性がある。主要およびキーとなる副次臨床評価項目の18カ月というタイミングにより、β細胞喪失の様々な軌跡に起因する本質的で自然な代謝変動の相当な量ならびに/またはハネムーン現象に起因する一時的に増強したβ細胞機能に起因する相当な量を最小限に抑えることが可能になる - その結果、β細胞機能および臨床パラメータに対するテプリズマブの真の効果を偶然と見分けることができる。
【0252】
他のキーとなる評価を、本特定の治験集団におけるβ細胞減少の自然歴およびテプリズマブの効果をよりよく理解するために、無作為化時、第26週目(6カ月)および第52週目(12カ月)に行う。
【0253】
加えて、主要臨床評価項目およびキーとなる臨床評価項目を、治験薬投与の最終用量の約1年後に評価する。効果の長さは、T1Dに対する間欠的な疾患修飾療法の重要な特性として認められている。ポジティブな代謝的効果および臨床的効果を維持しながら12カ月の休薬期間を、この時点で、代謝上および臨床上の適切な持続効果の言明を実証するための合理的な時間枠とみなすこともできる。
【0254】
本治験全体を通して、参加者は、面談および診察、自己申告ならびに臨床検査を介して定期的に評価される。評価は2つの12日間の治療コースの過程では毎日、ならびにコース間の6カ月間の間隔および第2の治療コース後の12カ月の過程では定期的に行われる。本治験における投薬中および休薬中の観察時間は、小児適応症のものを含めて、他の自己免疫状態に対して承認されている免疫療法の安全性および副作用を評価するのに従来使用されている期間内に、大きく超えないとしても、十分にある。本治験で使用されているものと同様の用量およびレジメンでは、テプリズマブは全体的に忍容性が高く、この場合、副作用は最小であり、深刻な短期または長期の有害効果の兆候はまったくない。本治験からのさらなる検証的データにより、テプリズマブの副作用プロファイルは、T1Dと新規診断された小児および青少年のケア計画へとこれを組み込むことに許容されると引き続き考えられることが予想される。
【0255】
一部の実施形態では、T1D診断は、ADA基準に準ずるものである。一部の実施形態では、T1Dと診断された患者は、以下のT1D関連自己抗体のうちの少なくとも1つの試験に関して陽性結果を有する:グルタミン酸デカルボキシラーゼ65(GAD65)自己抗体、膵島抗原2(IA-2)自己抗体、亜鉛トランスポーター8(ZnT8)自己抗体、膵島細胞の細胞質自己抗体(ICA)またはインスリン自己抗体(インスリン治療の最初の14日以内に得られた試験の場合)。
【0256】
治験薬投与の各12日間コースの開始時(1日目および182日目)に、参加者の現在のBSAを、当日に得られた身長と体重を使用する、モステラーの公式、BSA=平方根[身長(cm)×体重(kg)/3600]を使用して算出する。
【0257】
テプリズマブおよびプラセボは、現場に提供される薬局マニュアルに従って調製される。
【0258】
ポリ塩化ビニル(PVC)の輸液バッグおよびチューブならびに通常の生理食塩水を、治験剤の調製および投与に使用しなければならない。
【0259】
二(2)mLの治験薬を治験薬バイアルから引き出し、穏やかに混合することにより注射用0.9%塩化ナトリウム溶液18mLの中で緩徐に復元しなければならない。生成する1:10希釈液20mLを最初の治験薬溶液として使用するが、これは、濃度100μg/mLにてのプラセボまたはテプリズマブのいずれかを含有する。次いで、この最初の薬物溶液を、0.9%塩化ナトリウム溶液25mLを含有するPVC輸液バッグに添加しなければならない。最後に、この生成する調製物は、参加者に投与する前に穏やかに混合しなければならない。
【0260】
本治験は、12日間にわたる静脈内輸注および採血の2つのコースを必要とする。本治験の焦点である小児集団において静脈へのアクセス(輸注および検査室サンプリングのための採血)は難題をもたらす場合があることが認識されている。小児は、大人よりも細い静脈を有し、カテーテルを挿入するのがより難しい場合がある血管を有し、カテーテルの留置および/または静脈切開に対して深刻な抵抗を有する場合がある。
【0261】
上記を認識した上で、「従来の」静脈内末梢カテーテルの使用に加えて、本治験では血管アクセスのための一時的、中期的アプローチの使用を容認にする。具体的には、「ミッドライン」カテーテルまたは末梢穿刺中心静脈カテーテル(PICC)ラインを、治験薬輸注および採血に使用することができる(アクセスラインの特性および地方、地域、または国家のガイダンスに準じて適当であれば)。
【0262】
登録した参加者全員は、医療介護提供者の援助を受けて、T1Dの短期および長期の後遺症の一部を軽減すると思われるグルコースレベルを達成するために、American Diabetes Association(ADA)の推奨または地方、地域もしくは国家の推奨に準じた承認療法を使用して、参加者らのT1Dの強化糖尿病管理を受けなければならない。現在、ADAによる血糖目標は、17歳以下の個体についてはHbA1cレベル<7.5%(58mmol/mol)、18歳以上については<7.0%(53mmol/mol)を達成する管理戦略に焦点を置いているが、一方、重度または頻繁な低血糖イベントを最小限に抑える。
【0263】
血糖ゴールは、適当な血糖モニタリング、外因性インスリンの投与、および活動レベルおよび食事制限のモニタリングを通して試みる必要がある。外因性インスリンは、間欠的にまたは個人用インスリンポンプの使用を介して投与される速効作用型、中間作用型、および/または持効作用型インスリンを含むことができる。血糖レベルは、食前および就寝前を含めて、1日当たり少なくとも4回測定しなければならない。
【0264】
製品のタイプ、投薬量、および投薬スケジュールを含めて、インスリンの使用は、治験のコース過程で変化すると予想される。ルーチンのT1D臨床ケアの一環として、そのことが臨床的に適当であると診療医師が判断する場合、参加者のインスリン用量を増加しても、減少させても、さらには中止してもよい。
【0265】
参加者が血糖ゴールを満たしていない場合、治験チームは、インスリンレジメンの可能な調整、管理栄養士への照会、またはグルコースコントロールを改善することができるその他のアプローチについて、参加者の一次臨床ケアチームとコンタクトしなければならない。
【0266】
インスリンの中止
参加者が≦0.25U/kg/日のインスリン使用でHbA1cレベル≦6.5%を達成した場合、インスリン療法を中止することができる。参加者の血糖レベルおよびHbA1cレベルをプロトコルのとおりに引き続きモニタリングすることになり、尿中ケトン体については1日1回モニタリングする必要がある。ルーチンの血糖モニタリング過程で、参加者の血糖レベルが200mg/dL(11.1mmol/L)を超える場合、および/または尿中ケトン体が中等度以上の場合、参加者はさらなる評価について彼らの主治医および/または臨床現場のスタッフに相談しなければならない。反復検査により記録されたように、空腹時血糖が126mg/dL(7mmol/L)を超えるかまたはHbA1cが6.5%を超える場合は、インスリン療法の再開を考慮しなければならない。
【0267】
治験薬(テプリズマブまたはプラセボ)の投薬は、今回来院時に得られた身長および体重ならびにモステラーの公式(BSA=平方根[身長(cm)×体重(kg)/3600])を使用するBSAに基づく。
【0268】
治験来院 1週目
薬物アレルギーまたは過敏症により禁忌ではない限り、患者は、治療コースの少なくとも最初の5日間、NSAID(例えば、イブプロフェン)(NSAIDが禁忌の場合はアセトアミノフェン)および抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)の前投薬を受ける。前投薬投与に続く少なくとも30分後に、治験薬の輸注を開始することができる。防腐剤は存在せずかつ時間経過とともに薬物喪失が発生するおそれがあるので、治験薬の投与は調製後できるだけ速やかに、調製後遅くとも2時間までに開始しなければならない。治験薬は、標準技法に従って30分かけて静脈内投与されるように計画すべきであるが、不耐容の兆候または症状がある場合は治験薬を遅らせてもよい。輸液バッグの内容物が完全に投与された場合、全ての治験薬が輸液チューブから除去されたことを確実にするために、輸液チューブに含有される体積と等しいさらなる体積の生理食塩水を同じ一定速度で輸注することになる。輸注の開始時間および終了時間は記録されることになる。
【0269】
2~12日目:継続治療コース1 輸注
臨床上または検査室上の懸念がない場合、患者は、予防的NSAID(NSAIDが禁忌の場合はアセトアミノフェン)および抗ヒスタミン薬の投与の少なくとも30分後に上記の次の輸注を進めることができる。輸注過程および輸注の後の60分間は、不耐または輸注反応の兆候または症状について注意深くモニタリングを行うことになる。
【0270】
2~11日目
2~11日目に、次いで、患者は施設を去り、次の治験薬の輸注のために翌日に戻ることができる。
【0271】
12日目
本コースの最終輸注の完了および少なくとも30分間の観察の後の12日目、持続グルコースモニタリング(CGM)センサーが適用され、参加者に、CGMモニタリングのケアおよび使用に関する指示書が与えられることになる。
【0272】
治験来院 4、8、12および20週目
本治験来院の来院ウィンドウは、目標来院日から±4日である。本来院の間、参加者は予定来院のために現場に戻り、臨床評価および/または検査室評価を実施される。留意すべきことには、12週目にCGMセンサーが適用され、参加者に、CGMモニタリングのケアおよび使用に関する指示書が与えられることになる。
【0273】
20週目の来院時に、一晩の絶食およびMMTT前インスリン投薬を始めとする26週目の4時間MMTTについて参加者に指示書を与える。
【0274】
治験来院26週目:4時間MMTTおよび治療コース2
これらの治験来院の来院ウィンドウは、目標来院日から±3日である。
【0275】
182~193日目
182日目の臨床評価および検査室評価(4時間MMTTを含む)ならびに治験薬投与の第2のコースの開始に向けて。
【0276】
特に留意すべきことに、身長および体重が、今回来院時に得られることになりかつコース2のBSAベースの投薬算出に使用されることになる。治験薬コース1と同様のガイダンスに従って、患者は、第1の5回の治験薬輸注開始の少なくとも30分前に(その後の輸注とともに随時)、経口NSAID(NSAIDが禁忌の場合はアセトアミノフェン)および抗ヒスタミン薬の前投薬を受けることになり、治験薬の投与は調製後できるだけ速やかに、調製後遅くとも2時間までに開始しなければならず、輸液チューブに含有される体積と等しいさらなる体積の生理食塩水を輸注することになる。輸注過程および輸注の後のさらなる60分間は、患者を、輸注反応の兆候または症状についてモニタリングすることになる。
【0277】
ある特定の日に、テプリズマブの血清レベル用に2回の採血を得る。一方は治験剤輸注前の30分以内、もう一方は治験剤輸注およびフラッシュ後の30分以内である。
【0278】
183~192日目(コース2投薬の2日目~11日目)
183~192日目に、患者は施設を去り、次の治験薬の輸注のために翌日に戻ることができる。
【0279】
193日目(コース2投薬の12日目)
本コースの最終輸注の完了および少なくとも30分間の観察の後、CGMセンサーが適用され、患者に、CGMモニタリングのケアおよび使用に関する指示書が与えられることになる。
【0280】
治験来院 30、34、39、52および65週目
これらの治験来院の来院ウィンドウは、目標来院日から±4日である。52週目の来院時に、4時間MMTTを実施する。
【0281】
39週目、52週目、および65週目の来院の終了時に、CGMセンサーが適用されることになり、必要に応じてCGMのケアおよび使用に関するさらなるトレーニングおよび指示書の最新情報が与えられる。
【0282】
治験来院 39週目および65週目
一晩の絶食およびMMTT前インスリン投薬を始めとする、それぞれ52週目および78週目の4時間MMTTについて患者に指示書を与える。65週目の来院時に、76週目辺りから開始するホームアプリケーション向けのCGM装具を患者に分配する。
【0283】
治験来院 78週目
本治験来院の来院ウィンドウは、目標来院日から±7日である。今回来院の間、4時間MMTTを実施する。
【0284】
混合食事負荷試験
2時間MMTTをスクリーニング時に実施して、治験適格性を(ピークC-ペプチドレベルに基づいて)決定する。4時間MMTTを、無作為化時ならびに26、52、および78週目に実施して、4時間のC-ペプチドAUCおよびその他のデータを取得する。4時間MMTTは2時間MMTTよりもMMTT誘導性C-ペプチドAUCの評価において正確で信頼性が高いことが示されてきたので、4時間MMTTを無作為化時および無作為化後に使用する(Boyle 2015、Rigby 2013、Rigby 2016)。代替的に、2時間MMTTは治験エントリーに必要なピークC-ペプチドレベルを捕捉するのに十分であるので、2時間MMTTをスクリーニング時に使用する。こういった評価からのサンプルを、C-ペプチド、血清グルコースおよびインスリンについて評価する。サンプルを、限定されないがプロインスリンレベルを始めとする将来的に可能性のある評価用に保存する。血清サンプル中のC-ペプチドおよびグルコースの測定を行う。MMTTは、インスリン使用に関する厳格なガイダンスの条件で、一晩絶食した後の約7:00a.m.から10:00a.m.の間の午前中に行うことになる。2時間MMTTは実施するのに約130分要し、4時間MMTTは約250分要する。
【0285】
ヘモグロビンA1c
HbA1cを、特定の治験来院時の血液検査として評価する
【0286】
インスリンの使用
患者の毎日のインスリン使用は、無作為化前の7日間の特定の時間に、ならびに約12、26、39、52、65、および78週目の来院時に、参加者によってeDiaryに記録される。患者は、この時間過程で間欠注射または「インスリンポンプ」を用いる使用として投与した全ての短期作用型、中間作用型、および/または持効作用型インスリンを記録する。インスリン使用データは、治験来院の前日または当日には記録されない。患者は、来院の1日またはそれ以上前でのインスリン使用を記録することを失念している場合は、用量後72時間までの間インスリン使用を引き続き記録して、最大7日間のデータを取得しなければならない。患者は最終来院時にeDiaryを返却するので、78週目(最終来院)を除く前述の来院全てについての合計7日間のインスリン使用データを収集することに極力務めなければならない。
【0287】
低血糖のエピソード
臨床的に重要な低血糖エピソードならびにその他の非重度および非重篤な低血糖エピソードは、参加者によって治験全体を通して、および血糖計測定値の評価を通して記録される。
【0288】
グルコースモニタリング
(1)間欠的グルコースモニタリング(フィンガースティック)
MMTTおよびCGM以外の血糖レベルを記録し、評価項目として様々な時点で解析する。ルーチンケアの一部として、BGレベルを、各食事前および就寝時を含めて、1日当たり少なくとも4回、フィンガースティック血糖計により通常に測定する。スクリーニング時、参加者には治験提供の血糖計および血糖計ストリップが提供されるが、参加者は選択するならば自分の血糖計を使用することが認められるが、この場合、血糖値モニタリングストリップは供給されない。各参加者には、レビューのための各来院に彼らの血糖計(または、例えば、自宅でおよび学校において、2つ以上を使用している場合は複数の血糖計)を持参するように指示する。加えて、治験全体を通して約7回、参加者は無作為化来院前ならびに12、26、39、52、65週目および78週目の来院前に連続7日間の朝食、昼食および夕食前ならびに就寝時に彼らのBGレベルを彼らの治験eDiaryに記録する。インスリン使用データの記録と同様に、治験来院の前日および当日に関するBGデータは記録されない。参加者は、来院前にフィンガースティックグルコース測定値を記録するのを失念する場合は、来院直後72時間そのようにしなければならない。患者は最終来院時にeDiaryを返却するので、78週目(最終来院)を除く前述の来院全てについての合計7日間のBGデータを収集することに極力務めなければならない。
【0289】
(2)持続グルコースモニタリング
「持続」グルコースモニターは、規則的な間隔で、例えばデバイスに応じて5~15分ごとに間質液グルコースレベル(血糖値に厳密に近い)を記録する。このような測定値およびその評価によって糖尿病の血糖コントロールに有用かつユニークな洞察がもたらされることが、ますます臨床試験によって支持されている。本治験では、CGM評価を実施して、テプリズマブが血糖コントロールに影響を与えるかどうかまたどのように影響するかを検討することのキーとなる副次臨床評価項目データおよび探索的評価項目データ、例えば、グルコース変動、特定のグルコース範囲内の時間、および毎日の平均グルコース値を提供する(Steck 2014、Helminen 2016、Danne 2017)。CGMモニタリングに関する最近の国際的なコンセンサスステートメントが支持したところは、治験におけるキーとなる糖尿病管理測定基準として、タイムインレンジ(目標、低血糖および高血糖)内にある時間のパーセンテージならびに血糖変動の測定値の使用である(Danne 2017)。
【0290】
CGMを使用して、治験全体を通して約7回、血糖コントロールを評価する:無作為化にての治療コースの完了後および26週目;12、39、52、および65週目の来院後;ならびに78週目の来院前。CGMセンサーは資格を持つ治験スタッフによって設置され、CGMの使用およびケアに関する教育および訓練が与えられる。センサーは2週間までの間設置したままとなる。その2週の期間過程でセンサーが取れてしまう場合、参加者、知識のある家人/保護者、または医療専門家によってセンサーを交換してもよい。
【0291】
治験薬輸注過程でグルコース測定値のあらゆる交絡因子を減少させるために、治験薬投与がコース1およびコース2について完了しかつ他の臨床評価および検査室評価がイベント表のスケジュールに規定された日になされた後に、CGMセンサーを参加者に設置する。12、39、52、および65週目の来院時に、全ての臨床評価および検査室評価ならびにMMTTが完了した後、センサーを参加者に設置する。
【0292】
治験CGM測定値は、参加者の糖尿病の医療管理を企図としたものではないが、参加者の健康ケアチームの監督下にあるとすることができる。留意すべきことには、参加者のかかりつけ医療ケア提供者のガイダンスの下で個人用CGMのルーチン使用については容認される。
【0293】
スポットチェックおよびCGM血糖評価には、それらに限定されないが、平均BG、血糖変動(BG標準偏差[SD])、経時的最大および最小BG値、ならびにBGが>70しかし≦180mg/dL(>3.9しかし≦10.0mmol/L)、レベル1(>180しかし≦250mg/dL(>10しかし≦13.9mmol/L))およびレベル2 HYPERglycemia(>250mg/dL(>13.9mmol/L)))ならびにレベル1(≦70しかし≧54mg/dL(≦3.9しかし≧3.0mmol/L))およびレベル2(<54mg/dL(<3.0mmol/L))HYPOglycemiaである発生率および/または時間のパーセントが含まれると見込まれる(Seaquist 2013、International Hypoglycaemia Study Group[IHSG] 2017、Agiostratidou 2017)。
【実施例3】
【0294】
5つのステージ3 T1D治験におけるC-ペプチドのメタアナリシス
概要
メタアナリシスの形態での検証的証拠を、5つの支持的治験からのプールしたC-ペプチドデータを使用して実施したが、これら治験全てが無作為化臨床試験:Protege、Encore、Study 1、AbATE、およびDelayであった。これらの5つの治験により、ステージ3の臨床的T1Dと新規診断された患者において、テプリズマブをプラセボまたは標準治療のいずれかと比較したが、これら治験は横断的治験比較を可能にする類似の設計を有したものである(表5)。
【0295】
メタアナリシスにより、4時間の混合食事負荷試験(MMTT)におけるC-ペプチドAUCのベースラインからの変化を評価した。共分散分析(ANCOVA)を使用して、平均C-ペプチド値(最小二乗平均)ならびにそれぞれの治療の差異を予測した。メタアナリシスは2つの構成要素を有した:1つの解析は1年間の経過観察を通して5つの治験全てに対して実行し、第2の解析は2年間の経過観察を有する3つの治験に対して実施した。
【0296】
1年(図26)および2年(図27)のC-ペプチドデータのメタアナリシスでは、テプリズマブで治療した患者は、対照と比較して有意により高いC-ペプチドレベルを示した(両方についてp<0.001)。この効果は、1年と2年の両方にての観察データおよび補完データに対して、さらには対照データをテプリズマブ群の欠測データに割り当てた感度解析においても一貫していた。
【0297】
T1Dでない人とT1Dを発生した人との間でC-ペプチドが異なっていたかどうかを評価するために、経時的な平均C-ペプチドに関し別々のプロットを作成した。図28に見ることができるように、テプリズマブで治療した人であって、治験の間にT1Dに罹患していないままであるかまたは最終的にT1Dを発生する人は、それぞれの対照と比較して、より高い平均C-ペプチド値を有した。
【0298】
治験計画
メタアナリシスの形態での検証的証拠を、5つの支持的無作為化臨床試験:Protege、Encore、Study 1、AbATE、およびDelay、からのプールしたC-ペプチドデータを使用して実施した。C-ペプチドAUCレベルは4時間MMTTから得た。
【0299】
表5は、ステージ3のT1Dの患者におけるこれら5つの治験にわたる治験計画の特徴を示す。これらの治験は、ステージ3のT1Dにおいてテプリズマブを用いて実施した無作為化治験全てを代表するものであり、対照としてプラセボまたは標準治療のいずれかを使用したので、選択した。同様の14日間の漸増用量レジメンを治験全体で使用した。Study 1では、体重に基づく14日間の投薬レジメンを、BSAに基づく12日間の投薬レジメンにその後修正した。しかし、2日間の用量漸増期間を伴う12日間レジメンでは、初期投薬期間過程で明らかにより多くのAEが発生したので、その後の臨床試験では4日間の用量漸増期間を伴う14日間レジメンを採用した。患者は、Protege、Encore、およびAbATEでは2つの14日間の治療コースを受け、ならびにDelayおよびStudy 1ではベースライン時に単一コースの治療を受けた。ProtegeおよびEncoreの治験では、ステージ3のT1Dと新規診断の患者を4つの治療アームに登録した:プラセボと3つのテプリズマブ投薬レジメン(規定用量の14日間[9.0mg/m2累積用量]、3分の1用量の14日間[およそ3.0mg/m2累積用量]、および短縮6日間[およそ2.5mg/m2累積用量])。メタアナリシスでは、規定用量の14日間レジメンからのC-ペプチドデータを使用した。Study 1、AbATE、およびDelay治験は全て、規定用量の14日間レジメン(9.0mg/m2累積用量)を使用した。
【0300】
【表5】
【0301】
これらの治験に登録した患者(表7)は、深刻な病歴、臨床異常、または活動性感染を有する患者を除いて、新規診断のT1Dの患者集団の代表であった。キーとなる組み入れ基準は、治験にわたって同様であった。治験エントリー時のC-ペプチドレベルは、AbATE、Delay、およびStudy 1において≧0.2nmol/Lであり、ProtegeおよびEncoreについては検出可能レベルであった。
【0302】
【表6】
【0303】
メタアナリシスの主要評価項目は、4時間MMTTにおけるC-ペプチドAUCのベースラインからの変化であった。各治験では、MMTT過程での同一のサンプル収集時点を使用してC-ペプチドAUCを算出した。
【0304】
4時間MMTTにおけるC-ペプチドAUCのベースラインからの変化に関するメタアナリシス
テプリズマブ群の患者は、1年および2年の経過観察にて、C-ペプチドをより優れて保持していた(すなわち、ベースラインからのより小さい低下)。この効果は、観察データおよび補完データに対して一貫していた(両方の解析についてp<0.0001)。さらに、対照ベースの補完を適用する(欠測テプリズマブデータに対照データを割り当てる)保守的感度解析も有意であった(p<0.0001)。
【0305】
1年間および2年間のメタアナリシスの結果を、それぞれ図26および図27のフォレストプロットに示す。両方のフォレストプロットが示すところは、観察(既存の)解析および補完解析により、C-ペプチドAUCレベルを保持する上でテプリズマブの一貫した効果が得られたことである。1年間のフォレストプロットでは、Encoreを除く全ての治験において、テプリズマブ治療はプラセボよりも一貫して効果的であった。Encore治験の結果は予想されたが、なぜなら、コンパニオン第3相治験であるProtegeがこの1年間の主要評価項目を満たさなかったのでEncore治験はこの完了前に修正され、その結果、最大量の補完を必要とする大量の欠測データがもたらされたからである。MMTTの約75%(93/125)が欠測していた。Protege治験の主要評価項目は、代謝パラメータ(HbA1cおよびインスリン使用)に焦点を置いた新規の未検証の複合評価項目であった。
【0306】
2年間データのフォレストプロット(図27)では、テプリズマブ治療は、2年間データを用いた3つの治験全てにおいて、プラセボと比較してC-ペプチドAUCレベルを有意に保持していた。
【実施例4】
【0307】
5つのステージ3のT1D治験におけるインスリンの使用
実施例3のC-ペプチドメタアナリシスに組み込まれた同じ5つの治験において、外因性インスリンの使用について各治験で個別に評価した。各治験の各時点にわたる平均インスリン使用は、プラセボと比較してテプリズマブ治療患者において数値的により低かった(図29)。治験のうち2つ(AbATE、Study 1)では、差は統計学的に有意であった。
【0308】
具体的には、5つの治験全てにおいて、各時点にわたる平均インスリン使用は、プラセボ患者と比較してテプリズマブ患者においてより低かった(図29)。3つの治験(AbATE、Delay、およびStudy 1)が示したところは、テプリズマブ治療によりプラセボと比較してインスリン必要量が統計学的に有意により低いレベルであるという結果が一貫してもたらされることである(Heroldら 2013a;Heroldら 2005;Heroldら 2013b)。テプリズマブ群のインスリン使用はまた、プラセボ群と比較してより低かったが、Protege治験およびEncore治験では統計学的有意性は得られなかった。したがって、テプリズマブ治療によって、よりおおきな内因性インスリン産生およびより少ない外因性インスリン要求量によって反映されるように、C-ペプチドレベルが保持される。
【0309】
全体として、これらのデータが支持するところは、テプリズマブは、C-ペプチドレベルで評価して、ベータ細胞機能を保持し、それに応じて内因性インスリン産生を保持し、したがって外因性インスリンの必要性はより低いという結果がもたらされる、ことである。
【実施例5】
【0310】
臨床薬物動態および薬力学
作用メカニズム:テプリズマブは、Tリンパ球の表面のT細胞受容体(TCR)と同時発現する分化抗原群3(CD3)抗原を標的とするヒト化モノクローナル抗体である。提案されている適応症に対するテプリズマブの作用メカニズムは確認されていないが、TCR-CD3複合体を介するシグナル伝達に対する弱いアゴニスト活性が伴うと考えられており、このことにより制御性T細胞が増殖し、免疫寛容が再確立するとされている。
【0311】
薬物動態:図30に、4日間の用量漸増、これに続く5~14日目の826μg/m2の反復用量の条件による14日間の静脈内(IV)投薬レジメンを使用した、経時的な予測平均テプリズマブ濃度のプロットを示す。左側のパネルは典型的な60kgの男性対象を表し、右側のパネルは典型的な40kgおよび90kgの男性対象を表す。体表面積(BSA)ベースの投薬により、身体サイズにわたって曝露量を正規化する。
【0312】
反復IV輸注により、血清テプリズマブレベルの上昇がもたらされたが、定常状態のPKは、投薬終了時(この投薬レジメンでは14日目)には得られなかった。5日目から14日目の間の曲線下の面積(AUC)の平均蓄積比は3.4であった。14日間投薬レジメンの間の予測平均(±SD)合計AUCは6421±1940ng・日/mLであり、この場合、14日目で、CmaxおよびCminはそれぞれ826±391ng/mLおよび418±225ng/mLであった。
【0313】
分布:集団PK解析からの分布の中心体積および末梢体積は、それぞれ3.4Lおよび6.9Lであった。
【0314】
消失:テプリズマブのクリアランスは、用量比例的ではなく、おそらくT細胞表面のCD3受容体へのその飽和結合によって駆動される。テプリズマブは、異化経路によってより小さなペプチド断片へと分解されると予想される。14日間投薬レジメンの後のテプリズマブのクリアランスは、集団PK解析から、終末相半減期は約4日で、2.3L/日であると推定された。
【0315】
計画された市販医薬品は、治験製品とは異なる施設で製造されており、効能および安全性を支持するために提出した臨床試験では使用しなかった。治験医薬品との市販の医薬品の生物学的同等性を評価する、単回用量のPKブリッジング試験を健常被験者で実施した。市販製品の平均AUC0-infは、一次効能試験で使用した製品のAUC0-infの半分未満(48.5%、90%CI:43.6~54.1)であった。この差異の理由は、同様の濃度がIV輸注直後に観察されたことから、製品の強度の差異というよりはむしろ、循環からの薬物のクリアランスがより速いことであると思われる(市販製品のCmaxは、治験医薬品で観察されたものの94.5%(90%CI:84.5~106)であった)。
【実施例6】
【0316】
有害事象
テプリズマブ投与に関連する有害事象についても試験されている。とりわけ、テプリズマブは現在のところ全体的な感染の安全性シグナルを有してはないが、完了治験からのデータ(表6)に基づくと、14日間レジメンに代えて12日間投薬レジメン(1つのコースまたは2つのコース)を受けている患者では、感染に関する有害事象が数的により少ないことが報告されているようである。
【0317】
【表7】
【実施例7】
【0318】
確定ステージ4のT1Dの患者の治療
残存ベータ細胞塊を有する確定(診断後>1年)ステージ4のT1Dの患者は、これは刺激C-ペプチドレベルが血中約1ng/ml未満であるが検出可能であることによって証明されるが、ベータ細胞に対する免疫学的自己反応性を減少させるためにテプリズマブIVの12日間コースを受け、一方、有効用量にてのDYRK1A阻害剤による毎日の経口治療を開始する。DYRK1A阻害剤は、小さいが存在する残存ベータ細胞に作用し、増殖を誘導する。治療開始時のテプリズマブ治療の結果として、新たに形成されたベータ細胞は免疫系によって攻撃されることはなく、外因性インスリンへの患者の必要性は少なくとも20%軽減されるか完全に解消されるかのいずれかである。
【0319】
本実施例の変形形態では、免疫系が新たに形成されたベータ細胞を攻撃するのを妨げるために、患者は、約6カ月から約1年までの範囲の期間だけ隔てられた、テプリズマブの第2のまたはそれ以上の治療コース(例えば、12日間コース)を受ける。テプリズマブの新規コースを実施するが、患者は、DYRK1A阻害剤の日ごとの有効用量を経口摂取することにより彼らのベータ細胞塊を継続して拡大させる。代替的に、テプリズマブの新規コースは、患者がDYRK1A阻害剤の治療を中止した後に実施され、テプリズマブの新規コースを投与して、免疫系が拡大したベータ細胞塊に対して反応しないことを確実にする。
【実施例8】
【0320】
新規診断、症状性、インスリン依存性ステージ3のT1Dの患者の治療
かなりの残存ベータ細胞塊を有する新規診断、症状性、インスリン依存性ステージ3のT1Dの患者は、これはC-ペプチドレベルが血中約0.2ng/mlよりも高いことによって証明されるが、抗CD3抗体(例えばテプリズマブ)とDYRK1A阻害剤が各用量でそれを必要とする対象に治療有効量で投与されるように、上記活性剤の組合せを含む医薬組成物の日ごとの皮下投与による12日間コースを受ける。12日間コースのその後、患者は、外因性インスリンへの対象の必要性が少なくとも20%減少するか完全に解消するまで、DYRK1A阻害剤の治療有効な皮下量またはDYRK1A阻害剤の治療有効な経口量の週ごとの用量を継続して受ける。
【0321】
本実施例の変形形態では、患者は、テプリズマブの第1の12日間コースの後に、DYRK1Aの週ごとから月ごとまでの皮下用量を受ける。別の変形形態では、患者は、組み合わせた抗CD3とDYRK1A阻害剤のさらなる12日間コースを6カ月ごとに受け、一方、DYRK1A阻害剤単独療法の週ごとから月ごとまでの治療を続行する。
【実施例9】
【0322】
前駆症状性ステージ2のT1Dの患者の治療
機能性ベータ細胞塊の減少を有する前駆症状性ステージ2のT1Dの患者は、これは血糖チャレンジ時の血糖異常の存在によって証明されるが、ベータ細胞に対する免疫学的自己反応性を低減させ、疾患のさらなる進行を予防するために、テプリズマブIVの12日間コースを受ける。1カ月の後、患者は経口でDYRK1A阻害剤療法を開始して、血糖異常がベースラインと比較して約50%減少するか解消するまで、既存のベータ細胞塊を発展させる。
【0323】
本実施例の変形形態では、テプリズマブのさらなる12日間コースを、第1の12日間テプリズマブコースの約6カ月後から約1年後まで投与して、患者の免疫系による新たに形成されたベータ細胞の拒絶反応を回避する。
【0324】
本実施例の変形形態では、DYRK1A阻害剤の有効量を1日当たり1~4回経口で、週当たり1回経口で、2週間ごとに1回経口、3週間ごとに1回経口で、または月当たり1回経口で投与する。
【0325】
代替的に、DYRK1A阻害剤の有効量を、毎月1週間、1日当たり1回から数回まで経口で投与する。
【0326】
代替的に、DYRK1A阻害剤の有効量を、毎月連続2週間、1日当たり1回から数回まで経口で投与する。
【0327】
代替的に、DYRK1A阻害剤の有効量を隔週で1日当たり1回から数回まで経口で投与する。
【実施例10】
【0328】
確定ステージ4のT1Dの患者の治療
残存ベータ細胞塊を有する確定(診断後>1年)ステージ4のT1Dの患者は、これは、C-ペプチドの刺激レベルが検出可能であるが血中約1ng/ml未満であることよって証明されるが、テプリズマブIVの12日間コースを受け、一方、輸注ポンプを使用してDYRK1A阻害剤の有効用量の連続投与を開始する。
【0329】
本実施例の変形形態では、免疫系が新たに形成されたベータ細胞を攻撃するのを妨げるために、患者は、約6カ月から約1年までだけ隔てられた、テプリズマブの第2のまたはそれ以上のコース(例えば、12日間コース)を受ける。テプリズマブの第2のまたはそれ以上のコースを実施することが可能であるが、一方、患者は輸注ポンプを装着しつつ、彼らのベータ細胞塊を継続して発展させる。
【0330】
本実施例の変形形態では、DYRK1A阻害剤の有効量は、毎月7~14日間連続的に装着されている輸注ポンプによって投与される。
【0331】
代替的に、DYRK1A阻害剤の有効量は、隔日で装着される輸注ポンプによって投与される。
【0332】
代替的に、DYRK1A阻害剤の有効量は、各週1~5日で装着される輸注ポンプによって投与される。
【0333】
本開示の記載の方法および組成物の改変形態および変形形態が本開示の範囲および精神から逸脱することなく当業者であれば明らかになるであろう。本開示を特定の実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本開示はそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、本開示を実行するための記載の様式に関し種々の改変形態は、以下の特許請求の範囲によって表される本開示の範囲内に入ることが意図されており、かつ本開示が属する関連分野の当業者であれば理解されるものである。
【0334】
参照による組み入れ
本明細書において言及されるあらゆる特許および刊行物は、それぞれ独立した特許および刊行物を参照によって組み入れることが具体的にかつ個別に指示されているかのように、同程度まで参照によって本明細書に組み入れるものとする。
【0335】
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図1
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【配列表】
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【国際調査報告】