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特表2024-533160オフセットされた電子装置を備える車両用のレーダシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】オフセットされた電子装置を備える車両用のレーダシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20240905BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20240905BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240905BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20240905BHJP
   H01Q 19/06 20060101ALI20240905BHJP
   H01Q 15/14 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01S7/03 230
G01S13/931
H01Q1/22 Z
H01Q1/32 Z
H01Q19/06
H01Q15/14 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513924
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022074488
(87)【国際公開番号】W WO2023031416
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】2109251
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520365252
【氏名又は名称】コンパニー プラスチック オムニウム エスウ
【氏名又は名称原語表記】COMPAGNIE PLASTIC OMNIUM SE
【住所又は居所原語表記】19 boulevard Jules Carteret, 69007 Lyon, France
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】バンスラン マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ロシュブラーヴ ロラン
(72)【発明者】
【氏名】スタブロ フレデリック
【テーマコード(参考)】
5J020
5J046
5J047
5J070
【Fターム(参考)】
5J020AA01
5J020AA02
5J020DA03
5J020EA09
5J046MA03
5J047BG04
5J047EA01
5J047EF04
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD01
5J070AE01
5J070AE09
5J070AF03
5J070AK01
(57)【要約】
本発明は、電磁波用の反射空洞400を形成する内部容積を含むハウジング350から構成され、内部容積は、好ましい方向に電磁波を伝送するように構成されたメタサーフェス500を含む、少なくとも1つの指向性アンテナ300と、ハウジング350の外に離れて配置されて、電磁波の第1の送信機931と第1の受信機932とを含む電子ユニット900と、第1の送信機931と空洞400の間および空洞400と第1の受信機932との間で電磁波を伝播するための少なくとも1つの導波管700とを含む、自動車1用のレーダシステム10に関する。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-電磁波用の反射空洞(400)を形成する内部容積を含むハウジング(350)から構成され、前記内部容積は、好ましい方向に電磁波を伝送するように構成されたメタサーフェス(500)を含む、少なくとも1つの指向性アンテナ(300)と、
-前記ハウジング(350)の外に離れて配置されて、電磁波の第1の送信機(931)と第1の受信機(932)とを含む電子ユニット(900)と、
-前記第1の送信機(931)と前記空洞(400)との間および前記空洞(400)と前記第1の受信機(932)との間で電磁波を伝播するための少なくとも1つの導波管(700)とを含む、
自動車(1)用のレーダシステム(200)。
【請求項2】
前記電子ユニット(900)は、前記第1の送信機(931)および前記第1の受信機(932)の電子制御装置(940)と、前記メタサーフェス(500)の電子制御装置とを含む、請求項1に記載のレーダシステム(200)。
【請求項3】
導波管(700)は、前記ハウジング(350)に固定式に装着されて前記電子ユニット(900)に着脱式に装着され、または、前記導波管(700)は、前記電子ユニット(900)に固定式に装着されて前記ハウジング(350)に着脱式に装着される、先行請求項のいずれか一項に記載のレーダシステム(200)。
【請求項4】
-前記第1の送信機(931)と前記空洞(400)との間で電磁波を伝播するための第1の導波管(700E)
および
-前記空洞(400)と前記第1の受信機(932)との間で電磁波を伝播するための第2の導波管(700R)
を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のレーダシステム(200)。
【請求項5】
-メタサーフェス(500E)を備えた空洞(400E)を形成するハウジング(350E)からなる送信要素を形成し、前記メタサーフェスが、前記第1の導波管(700E)からの電磁波を前記ハウジング(350E)の外側に向けて好ましい方向に反射するように構成されている、少なくとも1つの第1の指向性アンテナ(300E)と、
-メタサーフェス(500R)を備えた空洞(400R)を形成するハウジング(350R)からなる受信要素を形成し、前記メタサーフェスは、電磁波(復路)を第2の導波管(700R)に向けて好ましい方向に反射するように構成されている、少なくとも1つの第2の指向性アンテナ(300R)と、
を含む、請求項4に記載のレーダシステム(200)。
【請求項6】
前記電子ユニット(900)は、60GHzを上回る周波数、特に75~80GHz、好ましくは77GHzで動作するように構成される、先行請求項のいずれか一項に記載のレーダシステム(200)。
【請求項7】
前記ハウジング(350)が、車体部品(100)の第1の領域(131)に取り付けられ、前記電子ユニット(900)が、車体部品(100)の第2の領域(132)に取り付けられる、先行請求項のいずれか一項に記載のレーダシステム(200)を含むことを特徴とする車体部品(100)。
【請求項8】
前記第2の領域(132)は、前記車体部品(100)に衝撃がかかった場合に前記第1の領域(131)よりも衝撃にさらされない領域であり、好ましくは衝撃侵入容積の外の領域にある、請求項7に記載の車体部品(100)。
【請求項9】
前記第2の領域(132)は、ビームまたはサイドメンバ等の構造要素に配置される、請求項8に記載の車体部品(100)。
【請求項10】
前記第2の領域(132)は、前記第1の領域(131)に対して横方向にオフセットされる領域および/または垂直方向にオフセットされる領域および/または、前記第1の領域(131)よりも引っ込んだ領域である、請求項7から9のいずれか一項に記載の車体部品。
【請求項11】
前記ハウジング(350)は、前記車体部品(100)の第1の領域(131)に取り付けられ、前記電子ユニット(900)は、前記車体部品(100)の第2の領域(132)の位置で変形または溶融可能な減衰要素(135)に取り付けられる、請求項7から10のいずれか一項に記載の車体部品(100)。
【請求項12】
前記ハウジング(350)と前記電子ユニット(900)は、5cm~20cmの距離のところにある、請求項7から11のいずれか一項に記載の車体部品(100)。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか一項に記載のレーダシステム(200)を含み、前記ハウジング(350)は、第1の車体部品(100a)に取り付けられ、前記電子ユニット(900)は、第2の部品(100b)に取り付けられ、前記第2の部品(100b)は、前記第1の車体部品(100a)に衝撃がかかった場合に前記第1の部品(100a)よりも衝撃にさらされず、好ましくは衝撃侵入容積の外の部品にある、車両部品(100a、100b)のセット。
【請求項14】
前記第2の部品(100b)は、構造要素の背後に位置するか、または構造部品を構成する、請求項13に記載のセット。
【請求項15】
前記第2の部品(100b)は、以下の部品:
-補強ブラケット、空気取入グリッド、ロアグリル、バンパフレーム、アブソーバ、ラジエータのエアガイド;
-たとえば上部クロスメンバまたは他の枠部分にあるテクニカルフロントパネル(FAT)、フェンダサポート、フロントトランク
の中から選択される、請求項13および14のいずれか一項に記載のセット。
【請求項16】
前記電子ユニット(900)を支持する1個の部品と、前記電子ユニット(900)に接続される少なくとも1つのハウジング(350)をそれぞれ支持する少なくとも2個の他の部品とを含む、請求項13から15のいずれか一項に記載のセット。
【請求項17】
請求項1から6のいずれか一項に記載のレーダシステム(200)を含む、自動車(1)。
【請求項18】
請求項7から12のいずれか一項に記載の車体部品(100)を含む、自動車(1)。
【請求項19】
請求項13から16のいずれか一項に記載の車両部品(100a、100b)のセットを含む、自動車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に障害物を検知するために所望の方向に電磁波を送信および/または受信するためのレーダシステムを備えた、自動車、たとえば自動車両の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントバンパおよびリヤバンパに一般に配置されるレーダタイプの装置を備えた自動車が知られている。これらのレーダ装置は、駐車アシストに用いられる一方で、運転アシスト、たとえば、英語の略号ACC(「Adaptative Cruise Control」(追従型クルーズコントロール))としてよく知られた、交通量に応じて車両の速度を調整する用途で使用されており、こうした用途では、レーダ装置が、このレーダ搭載車両の前にいる車両の速度と距離を検知する。このようなレーダは特に、交通量および/または道路上の障害物に応じて車両の速度を調整する役割を果たしている。レーダは、レーダ搭載車両に先行する物体の速度と距離を検知し、特に安全な車間距離を維持する。
【0003】
一般に、自動車産業のレーダ用途における重要な一分野は、たとえば駐車操作アシストシステム、後退アシストシステム等の装備品、または歩行者保護設備、もしくはこの種の他のシステムのために、車両の周りの周辺全体を検知可能にするレーダモジュールの組み込みがますます進んでいる車両の車体の分野である。しかしながら、これらの様々なレーダは、検知フィールド(距離の長短、正面検知か側面検知か...)や、それらの用途(駐車、自動運転...)、またメーカーによってもタイプが異なるので、レーダを利用可能にする車両の各種装備品(ブレーキ、ステアリング、ヘッドライト、音響または視覚的警報装置...)とは無関係に各々により提供されるデータを、最適に連結することができない。
【0004】
そのため、車両の周辺環境をよりよく特徴づけるために、自動車メーカーは、一方では車両の周囲のモニタリング容積の大きさを改善し、他方では、装置から送られる情報の処理解像度を改善可能にする装置を必要としている。これは、車両が最適に、すなわち、より高い精度でより迅速に車両環境と相互作用し、それによって特に事故を回避し、運転を容易にし、自動で走行するようにするためである。
【0005】
車両を中心とする周辺の容積検知(3D)を増すために、自動車メーカーは所与の面積に割り当てるレーダ数をふやそうとしている。
【0006】
しかし、使用するレーダ数をふやせばコストが上がる。
【0007】
さらに、レーダ数をふやすと多数の無線周波数エリアを連続供給する必要があり、多大なエネルギーを消費するので、特に自動運転車および/または電気自動車にとっては非常にマイナスである。
【0008】
また、レーダを多少小型化できるといっても、利用可能な面積が限られていることや(車体部品のサイズを大きくすることはできない)他の装備品の存在が原因で、所与の面積に割り当てるレーダ数をふやすことは実現が困難でありうるが、これは、互いに干渉し合わないようにするために各レーダ間の最低距離を保つ必要があるだけになおさらである。
【0009】
レーダにより障害物の所与の位置および速度に関する追加情報を得るには、たとえば車両を囲む物体(環境または障害物)を認識してそれらの軌道を追跡し、そこから、できる限り完全な画像を構成可能にする高い空間分解能を特に有する装置が求められる。
【0010】
そのため、車両は、LIDARやカメラ等のレーダを補う相補的な装置をますます搭載されるようになっている。
【0011】
空間分解能は、細部を識別するための観察装置の能力を表すものである。空間分解能は、隣接する2地点を、それらが正確に識別されるように分離すべき最短距離によって特に特徴づけられる。
【0012】
あるレーダの場合、この解像距離は、観察のために使用される電波の波長と観察装置の開口部の大きさとの比に応じて決定される。したがって、空間分解能を高める、すなわち解像距離を短縮するには、波長を短くすること(電波の周波数を高くすること)および/または観察装置の開口部を大きくすることが必要である。実際、空間分解能Rは次の式により特徴づけられる。
【0013】
【数1】
【0014】
ここで、cは光の速度、Lは観察装置とターゲットとの間の距離、fはレーダの周波数、0は観察装置の開口部である。
【0015】
今日、たとえば24GHzではなく77GHzのより高い周波数で動作するレーダの使用が求められているのはそうした理由からである。
【0016】
また、その反対に、現在のレーダは小型化されているので、それらの開口部が小さくされ、したがって解像度が低くなっている。
【0017】
加えて、車体部品により支持されるレーダが直面する一つの問題は、レーダの配置に関する。なぜなら、レーダを支持する車体部品が変形した場合でも(衝撃、熱膨張...)、レーダがその機能を正確に果たすようにするために、レーダの完全さを確保することが重要であるからである。したがって、レーダ機能の使用期間全体にわたってレーダの適切な配置(送信/受信方向の保持)を保証しなければならない。
【0018】
したがって、検知装置のコストやエネルギー消費を制限しながら、車両の周囲にある物体の位置と速度を提供するとともに、より適切な到達域と空間分解能を得られる解決方法を提供しなければならない。これによって、車両の周囲の物体または人の検知を改善し、自動運転車、特に、消費を最大限制限することが必要な電気車両への当該システムの設置を容易にすることができる。
【0019】
さらに、車体部品により支持されるレーダタイプがどのようなものであっても遭遇する問題は、電子コンポーネントが衝撃に脆弱であることに関する。実際、レーダを支持する壁を変形する衝撃の際は、特にレーダ波の送受信機を支持する電子ユニットとそれらの電子制御装置等のコンポーネントが損傷してレーダの機能不全に陥るリスクがある。ところで、これらのコンポーネントの交換費用は高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、電子ユニットと指向性アンテナとを含み、電子ユニットを指向性アンテナから切り離して、指向性アンテナを支持する車両領域よりも被る衝撃が少ない車両領域に電子ユニットをオフセットできるようにしたレーダシステムを提供することによって、上記不都合を解消することを特に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このため、本発明は、
-電磁波用の反射空洞を形成する内部容積を含むハウジングから構成され、内部容積が、好ましい方向に電磁波を伝送するように構成されたメタサーフェスを含む、少なくとも1つの指向性アンテナと、
-ハウジングの外に離れて配置されて、電磁波の第1の送信機と第1の受信機とを含む電子ユニットと、
-第1の送信機と空洞の間および空洞と第1の受信機との間で電磁波を伝播するための少なくとも1つの導波管とを含む、
自動車用のレーダシステムを目的とする。
【0022】
一方では電子ユニットと指向性アンテナとを切り離し、他方では指向性アンテナから電子ユニットをオフセット可能にする設計のおかげで、被る衝撃が少ない領域に電子ユニットを位置づけることにより、車両環境を正確に撮像できる車両領域に指向性アンテナを配置することができる。
【0023】
専門家に知られているように、被る衝撃が少ない領域は、レーダシステムが搭載される車体部品に依存する領域である。たとえば、バンパの場合、被る衝撃が少ない領域は、外皮から引っ込んだ領域、および/または車両に対して横方向(フェンダ側)にオフセットされた領域、および/または垂直方向(たとえば指向性アンテナよりも下方)にオフセットされた領域とすることができる。より詳しくは、衝撃の際に車両に損害を引き起こす変形は、バンパの外面を起点として、侵入部と呼ばれる長手方向の勾配に沿って測定される。これらの侵入部は、車両の質量によって、または、マニュアルや速度に応じて車両に衝突する衝撃試験装置によって決まる。少ない衝撃を被る領域は、侵入部に応じて決定することができる。
【0024】
単独または組み合わせて選択されるレーダシステムの他の任意の特徴によれば、
-電子ユニットが、第1の送信機および第1の受信機の電子制御装置と、メタサーフェスの電子制御装置とを含む。
【0025】
-導波管が、ハウジングに固定式に装着されて電子ユニットに着脱式に装着され、または、導波管が、電子ユニットに固定式に装着されてハウジングに着脱式に装着される。
【0026】
-レーダシステムが、
・第1の送信機と空洞との間で電磁波を伝播するための第1の導波管
および
・空洞と第1の受信機との間で電磁波を伝播するための第2の導波管を含む。
【0027】
-レーダシステムが、
・メタサーフェスを備えた空洞を形成するハウジングからなる送信要素を形成し、メタサーフェスが、第1の導波管からの電磁波をハウジングの外側に向けて好ましい方向に反射するように構成されている、少なくとも1つの第1の指向性アンテナと、
・メタサーフェスを備えた空洞を形成するハウジングからなる受信要素を形成し、メタサーフェスが、電磁波を第2の導波管に向けて好ましい方向に反射するように構成されている、少なくとも1つの第2の指向性アンテナと、
を含む。
【0028】
-電子ユニットは、60GHzを上回る周波数、特に75~80GHz、好ましくは77GHzで動作されるように構成される。
【0029】
本発明は、また、本発明によるレーダシステムを含み、ハウジングが車体部品の第1の領域に取り付けられ、電子ユニットが車体部品の第2の領域に取り付けられる、車体部品に関する。
【0030】
単独または組み合わせて選択されるレーダシステムの他の任意の特徴によれば、
-第2の領域は、車体部品に衝撃がかかった場合に第1の領域よりも衝撃にさらされない領域であり、好ましくは衝撃侵入容積の外にある領域にある。
【0031】
-第2の領域は、ビームまたはサイドメンバ等の構造要素に配置される。
【0032】
-第2の領域は、第1の領域に対して横方向にオフセットされる領域および/または垂直方向にオフセットされる領域および/または、第1の領域よりも引っ込んだ領域である。
【0033】
-ハウジングが、車体部品の第1の領域に取り付けられ、電子ユニットが、車体部品の第2の領域の位置で変形または溶融可能な減衰要素に取り付けられる。
【0034】
-ハウジングと電子ユニットが、5cm~20cmの距離のところにある。
【0035】
本発明は、また、本発明によるレーダシステムを含み、ハウジングが第1の車体部品に取り付けられ、電子ユニットが第2の部品に取り付けられ、第2の部品は、第1の車体部品に衝撃がかかった場合に第1の部品よりも衝撃にさらされず、好ましくは衝撃侵入容積の外の部品にある。
【0036】
単独または組み合わせて選択されるレーダシステムの他の任意の特徴によれば、
・第2の部品が構造要素の背後に位置し、あるいは構造部品を構成する。
【0037】
・第2の車体部品が、以下の部品:
・補強ブラケット、空気取入グリッド、ロアグリル、バンパフレーム、アブソーバ、ラジエータのエアガイド;
・たとえば上部クロスメンバまたは他の枠部分にあるテクニカルフロントパネル、フェンダサポート、フロントトランク
の中から選択される。
【0038】
-電子ユニットを支持する1個の部品と、電子ユニットに接続される少なくとも1つのハウジングをそれぞれ支持する少なくとも2個の他の部品とを含む。
【0039】
本発明はまた、本発明によるレーダシステムを含む自動車と、本発明による車体部品を含む自動車と、本発明による車両部品のセットを含む自動車とに関する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明は、もっぱら例として挙げられ、添付図面に関してなされた以下の説明を読めば、いっそう理解されるであろう。
図1】本発明によるレーダシステムの1つの実施例を備えた自動車両の1つの実施例を示す図である。
図2】本発明によるレーダシステムの1つの実施例を示す詳細図である。
図3】レーダシステムが、第1の送信機と空洞との間で電磁波を伝播するための第1の導波管と、空洞と第1の受信機との間で電磁波を伝播するための第2の導波管とを含む、1つの実施例を示す図である。
図4】レーダシステムが、第1の指向性アンテナ、いわゆる「送信アンテナ」と、第2の指向性アンテナ、いわゆる「受信アンテナ」とを含む、1つの実施例を示す図である。
図5】本発明によるレーダシステムを含む車体部品の1つの実施例を示す図である。
図6】変形または溶融可能な減衰要素を用いて、ハウジングと同じ車体部品に電子ユニットが固定された、本発明によるレーダシステムを含む車体部品(バンパの左半分)の1つの実施例を概略的に示す上面断面図である。
図7】ハウジングと同じ車体部品であるがハウジングの固定領域に対して横方向にオフセットされた領域に電子ユニットが固定される、本発明によるレーダシステムを含む車体部品(バンパの左半分)の1つの実施例を概略的に示す上面断面図である。
図8】ハウジングと同じ車体部品であるがハウジングの固定領域に対して(後ろ側に)引っ込んだ車体部品部分にある領域に電子ユニットが固定される、本発明によるレーダシステムを含む車体部品(バンパの左半分)の1つの実施例を概略的に示す上面断面図である。
図9】第1の部品、車体部品(たとえばバンパ)にハウジングが固定され、第2の部品(異なる車体部品、構造部品、光学ブロック…)に電子ユニットが固定される、本発明によるレーダシステムを含む車体部品の1つの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1を参照すると、少なくとも1つの指向性アンテナ300を備えた本発明によるレーダシステム200の1つの実施例を備えた自動車1の1つの実施例が示されている。
【0042】
図2は、本発明による自動車1のためのレーダシステム200の1つの実施例を詳しく示している。
【0043】
レーダシステム200は、少なくとも:
-指向性アンテナ300
-指向性アンテナ300の外に離れて配置される電子ユニット900
-指向性アンテナ300と電子ユニット900との間で電磁波を伝播するための少なくとも1つの導波管700を含む。
【0044】
導波管700とは、1つの領域から別の領域へと一方向または二方向に電波を案内する手段を意味する。従って、導波管700は、1つの導波装置または、複数の導波装置のセットとすることができる。
【0045】
指向性アンテナ300は、車両1の周辺にあるスペース内の物体50を撮像するように構成されている(図1)。このアンテナは、指向性アンテナ300の物理的シェルを構成するハウジング350から構成される。ハウジング350は、環境に対する保護用の機械的シェルを示し、有利には、車体部品の壁への固定手段を含む。
【0046】
ハウジング350は、電磁波反射空洞400を形成する内部容積を含む。反射空洞は、電磁波が空洞の壁で反射される電磁空洞400である。このため、反射空洞400は、この空洞400の内部で電磁波を反射可能な反射材料の層により画定されている。
【0047】
ハウジング350の内部容積は、好ましい方向に電磁波を反射するように構成された適切な面積を有するメタサーフェス500を含む。そのため、反射空洞は封止式に(電波を通さないように)メタサーフェス500を囲んでいる。
【0048】
レーダシステム200は複数の導波管、特に電磁波の送信用の導波管と受信用の導波管を含むことができる点に留意されたい。
【0049】
レーダシステム200は、ハウジング350の外に離れて配置される電子ユニット900を同様に含む。「離れて」とは、指向性アンテナ20よりも少ない衝撃の領域に電子ユニット900を配置可能にする距離を意味する。
【0050】
衝撃の際に車両に損害を引き起こす変形は、バンパの外面を起点として、侵入部と呼ばれる長手方向の勾配に沿って測定される。これらの侵入部は車両に依存し、シミュレーション計算か、あるいは、衝撃試験装置を用いた実験により、特に質量、速度、方向等の適切に定義された衝突条件のもとで評価することができる。
【0051】
電子ユニットは、侵入容積の内部に配置されるとき、すなわち侵入勾配よりも下方にあるバンパ外面から距離を置いて配置されるとき、衝撃を被る領域にいわば位置する。たとえばフロントバンパの場合、被る衝撃が少ない領域に電子ユニットを配置するには、バンパビームとそのアブソーバの最も高い地点を通る水平面の上か、あるいはバンパビームとそのアブソーバの最も低い地点を通る水平面の下に電子ユニットを配置する。
【0052】
好ましくは、フロントバンパの場合、4km/hの駐車時の衝撃の場合に電子ユニットを保持するには、侵入容積を超えて電子ユニットを配置し、すなわち一般には、軽量車両の場合はバンパの外皮の背後に50mmを超えて、それよりも重量のある車両の場合は100mmを超えて電子ユニットを配置する(ECE42による規定)。16km/hの衝撃(修理可能な衝撃とも呼ばれる)の場合にこの電子ユニットを保持するには、バンパの外皮からバンパビームの後方プレートの背後に200mm引っ込めて電子ユニットを配置すればよい。
【0053】
電子ユニット900は、電磁波の第1の送信機931と第1の受信機932を含む。好ましくは、電子ユニットはまた、第1の送信機931と第1の受信機932の電子制御装置940と、メタサーフェス500の電子制御装置と、導波管用のコネクタと、メタサーフェス500の電子制御装置とメタサーフェス500とを接続可能にするコネクタと、電源と、電子要素の環境(水、埃…)に対して封止されたシェルをなすハウジングとを含む。
【0054】
電子ユニット900は、60GHzを上回る周波数で動作するように構成される。1つの実施形態によれば、電子ユニット900は、75~80GHz、好ましくは77GHzの周波数で動作するように構成される。別の実施形態によれば、電子ユニット900は、120~160GHz、好ましくは140GHzの周波数で動作するように構成される。
【0055】
さらに、レーダシステム200は、また、第1の送信機931と空洞400との間および空洞400と第1の受信機932との間で電磁波を伝播するための少なくとも1つの導波管700を含む。
【0056】
図3では、レーダシステム200が、第1の送信機931と空洞400との間で電磁波を伝播するための第1の導波管700Eと、空洞400と第1の受信機932との間で電磁波を伝播するための第2の導波管700Rを含んでいる。
【0057】
図4では、レーダシステム200は、
-メタサーフェス500Eを備えた空洞400Eを形成するハウジング350Eからなる送信要素を形成し、メタサーフェスは、第1の導波管(700E)からの電磁波をハウジング350Eの外側に向けて(車両の外側または周辺に向けて)好ましい方向に送信するように構成されている、第1の指向性アンテナ300E、いわゆる「送信アンテナ」と、
-メタサーフェス500Rを備えた空洞400Rを形成するハウジング350Rからなる受信要素を形成し、メタサーフェスは、復路の電磁波を(障害物での反射後、車両の外側または周辺から)第2の導波管700Rに向けて好ましい方向に受信するように構成されている、第2の指向性アンテナ300R、いわゆる「受信アンテナ」と、
を含む。
【0058】
この実施形態によれば、第1の導波管700Eが、第1の送信機931と第1の指向性アンテナ300Eの空洞400Eとの間で電磁波を伝播し、第2の導波管700Rが、第2の指向性アンテナ300Rの空洞400Rと第1の受信機932との間で電磁波を伝播する。
導波管700
1つの実施形態によれば、導波管700は、ハウジング350に固定式に装着され、電子ユニット900に着脱式に装着される。
【0059】
別の1つの実施形態によれば、導波管が電子ユニット900に固定式に装着され、ハウジング350に着脱式に装着される。そのため、導波管は、車体部品に組み込まれたアンテナにすでに連結されて装着され、他端は、オフセットされたハウジング350に接続される。
【0060】
別の1つの実施形態によれば、導波管は電子ユニット900に着脱式に装着され、また、ハウジング350に着脱式に装着される。
【0061】
有利には、導波管700は、アンテナのハウジングおよび/または電子ユニットに接続されるように、そしてアンテナハウジングおよび/または電子ユニットから接続解除されるように着脱式のコネクタを含む。これにより、一般的な組立、ましてや離れた部品への組立が容易になり、その一方でまた、レーダシステム200がたやすく修理可能になる。
【0062】
接続は、ハウジング350の外面(反射空洞400とは反対の面)あるいは反射空洞400の壁を介して実施可能である。この後者の変形実施形態では、接続は、メタサーフェス500のコネクタで実施できる。この場合、有利な1つの実施形態によれば、導波管700が制御電子線と組み合わされてメタサーフェス500の制御を実施し、ハーネスを形成する。電線は、メタサーフェス500と、メタサーフェス500の電子制御装置との間で接続される。そのため、車両への取付(およびコネクタの接続)に際して、導波管と制御線とを取り付けるのに必要な操作は1つだけである。1つの変形実施形態によれば、導波管と制御線の各端が同一コネクタに接続されるので、それによって導波管700と制御線とを同時に接続することができる。
【0063】
有利には、導波管700は、ハウジング350が設置される車体部品の壁(車体パネル)の内面に固定/保持され、それによって導波管700の動きや振動を回避し、また、コネクタに及ぼされる機械的な負荷を回避する。
【0064】
導波管は剛性のものとすることができるが、好ましい1つの実施形態によれば、導波管が可撓性であり、車両への組立を容易にできる。なぜなら、導波管は、そうした場合、様々な隅にスライドして部品の輪郭に沿うことができるからである。さらに、可撓性の導波管によって、衝撃時の耐衝撃性を高めることができる。
メタサーフェス500
メタサーフェスは、導波管700Eが空洞に送信した電磁波を所定の方向に(制御式に)反射可能であり、また逆に、ハウジング350の外部からの電磁波を導波管700Rに向けて反射可能な適切な表面を含む。このようなメタサーフェスについてはたとえば特許文献1に記載されている。
【0065】
本発明は、また、本発明によるレーダシステム200を含む車体部品100(図6)に関する。図6に示したように、ハウジング350は車体部品100の第1の領域131に取り付けられ、電子ユニット900は車体部品100の第2の領域132に取り付けられる。
【0066】
同一車体部品へのこのような設置によって、単一の同じ部品に完全なレーダシステム200を組み込むことができる。
【0067】
指向性アンテナ300を支持する第1の領域131は、電磁波を良好に伝送するための様々な理由から指向性アンテナと撮像すべきスペースとの間の材料を少なくするために、車両に装着された部品の可視面の最も近くに配置することが必要である。たとえば、車体部品がプラスチック製のバンパである場合、指向性アンテナは外皮の真後ろに配置しなければならない。したがって、このタイプの領域は本質的に衝撃にさらされる。
【0068】
加えて、指向性アンテナ300を支持する第1の領域131は、レーダシステム200により撮像される領域の正面に配置しなければならない。このタイプの領域もまた本質的に衝撃にさらされる。
【0069】
第1の実施形態によれば、電子ユニット900は、車体部品100の第2の領域132の位置で変形または溶融可能な減衰要素135(図6参照)に取り付けられる。たとえば、電子ユニット900は、衝撃時に破砕可能な、プログラムされた変形タブに装着可能である。したがって、車体部品100に衝撃がかかった場合、溶融要素が衝撃の一部を吸収し、破砕されて、電子ユニット900に応力が伝わらないようにされる。
【0070】
第2の実施形態によれば、車体部品が衝撃を被った場合に電子ユニット900を保護するために、電子ユニット900は、適切に選択された第2の領域132に取り付けられ、それによって、この領域がそれほど衝撃にさらされないようにし、すなわち、車体部品100が衝撃を被った場合に被る応力を少なくなるようにする。このような領域は、残っている利用可能なスペースに応じて(車体部品の内面に配置されるか、または内面の正面に配置される他のコンポーネントに応じて)、特に衝撃に関する公知の規格に応じて、また、メーカーの仕様書に応じて専門家が決定可能である。したがって、この第2の領域132は、次のようなものとすることができる:
-第1の領域131に対してたとえば垂直方向にオフセットされた、すなわち車両に装着されると指向性アンテナ300よりも低いか、あるいは高い領域。オフセットされた領域はまた、車両の中央面(一般に「Y0」と呼ばれる)に関して、第1の領域131に対して横方向にオフセットされた領域とすることができる(図7では、X軸が車両の長手方向の軸であり、Y軸が横方向の軸である)。オフセットされた領域は、また、横方向と垂直方向に同時にオフセットされた領域とすることができる。
【0071】
-車体部品100の可視面の第1の領域131よりも引っ込んだ領域。換言すれば、領域132は、車両1の前方に対して領域131よりも後方にある(図8)。たとえば、部品100がバンパの場合、第1の領域は、好ましくは、バンパの外皮111の真後ろに(バンパが車両に装着されるとき外側からは見えないが外側に最も近いところに)配置され、第2の領域112は、内面から離れて配置される。
【0072】
-車両の1つの要素、たとえば光学ブロックまたは、ビームもしくはサイドメンバ(スパー)、ラジエータサポート(テクニカルフロントパネル)等の構造要素に配置され、あるいはこれらの要素の背後に配置される領域。
【0073】
したがって、ハウジング350と電子ユニット900は、5cm~20cm、さらには20cmを上回る距離のところに互いに配置することができる。
【0074】
組立モードによれば(図9)、電子ユニット900は、ハウジング350が固定された車体部品100に一時的に処理待ちで仮組立され、車両の生産ラインに配送される。部品100が車両に装着されると、電子ユニット900は部品100の配送位置から切り離され、その後、電子ユニット900は(すでに接続された、あるいは接続されない導波管と共に)移動し、車両に位置する第2の領域132に固定される。
【0075】
1つの実施例によれば、車体部品100はフロントバンパまたはリヤバンパである。
【0076】
本発明は、また、本発明によるレーダシステム200を含む車両部品100a、100bのセット(図9)に関する。ハウジング350は第1の車体部品100aに取り付けられ、電子ユニット900は第2の車体部品100b(車体部品または、構造部品のような他のあらゆるタイプの部品)に取り付けられ、第2の部品100bは、第1の部品100aよりも衝撃にさらされない部品であり、すなわち、衝撃時に被る応力が少ない。
【0077】
2個の異なる部品へのこのような設置により、第2の部品100bを適切に選択することによって電子ユニットをよりいっそう保護可能になる。
【0078】
指向性アンテナ300を支持する第1の車体部品100aは、レーダシステム200により撮像される領域の正面に配置しなければならない。したがって、この部品は、本質的に衝撃にさらされる。
【0079】
1つの実施形態によれば、第2の部品100bは、以下の部品の中から選択される。
【0080】
-補強ブラケット、空気取入グリッド、ロアグリル、バンパフレーム、アブソーバ、ラジエータのエアガイド、…)
-たとえば上部クロスメンバまたは他の枠部分、フェンダサポート、フロントトランク等にあるテクニカルフロントパネル(FAT)。
【0081】
1つの実施形態によれば、部品100a、100bのセットは複数の部品を含む。すなわち1つの部品が電子ユニット900を支持し、他の各部品が少なくとも1つの指向性アンテナ300を支持する。そのため、このような設置により、複数の指向性アンテナ300と共に電子ユニットを小型化することができる。
【0082】
本発明は、また、本発明によるレーダシステム200を含み、本発明による車体部品100を含み、あるいは本発明による車両部品100a、100bのセットを含む、自動車1に関する。
【0083】
本発明は、提示された実施形態に制限されるものではなく、当該技術の専門家にとっては他の実施形態が明らかになるであろう。特に、本発明はバンパに関して記載されているが、しかし、車体部品は、サイドドア、フェンダ、リヤハッチ、あるいはリヤバンパ等のあらゆる車体部品とすることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 自動車
50 車両1の周辺にあるスペースで検知すべき物体
100 自動車の車体部品
111 部品が装着されたとき車両の外側から見える車体部品100のコンポーネント(外皮、グリッド、ガード、ホイールキャップ、レードーム…)
112 部品装着時に車両外部から見えない部品100のコンポーネント(補強ブラケット、ライトホルダ、衝撃吸収パッド、ロアグリル…)
131 ハウジング350を支持する車体部品100の第1の領域
132 電子ユニット900を支持する車体部品100の第2の領域
135 車体部品100に電子ユニット900を固定可能にするヒューズ要素またはショックアブソーバ
100a、100b 第1の車体部品100aと第2の車体部品100bのセット
200 レーダシステム
300 指向性アンテナ
350 指向性アンテナ300を形成するハウジング(350E、350R)
400 ハウジング350の内部容積により形成される電磁波用の反射空洞
500 ハウジング350の内部容積に位置するメタサーフェス
300E ハウジング350E、反射空洞400E、メタサーフェス500Eを含む送信用の指向性アンテナ)
300R ハウジング350R、反射空洞400R、メタフェース500Rを含む受信用の指向性アンテナ
900 電子ユニット
931 電子ユニット900の第1の送信機
932 電子ユニット900の第1の受信機
940 送信機931と受信機932の電子制御装置
700 電磁波を伝播するための導波管
700E 第1の送信機931と空洞400との間で電磁波を伝播するための第1の導波管
700R 空洞400と第1の受信機932との間で電磁波を伝播するための第2の導波管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】