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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電気モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K9/19 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513944
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022074214
(87)【国際公開番号】W WO2023031280
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021209821.5
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セヴァー ピーター
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609QQ05
5H609QQ11
5H609RR06
5H609RR38
(57)【要約】
本発明は電気モータに関し、この電気モータは、電気モータのメインキャビティを形成するためのシース(1)を有し、このシース(1)には電気モータの構成要素を冷却するための冷却剤が導入され、電気モータは、ロータ(3)と、第1ステータ端部巻線及び第2ステータ端部巻線を備えたステータ(2)とを有し、電気モータは、さらに、端部巻線の領域に冷却剤を送り込むためのインペラ(31)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータであって、前記電気モータのメインキャビティを形成するためのシース(1)を有し、前記シース内に前記電気モータの構成部品を冷却するための冷却剤が導入され、
第1ステータ端部巻線と第2ステータ端部巻線とを備えたステータ(2)と、ロータ(3)とを有し、
さらに、前記端部巻線の領域に冷却剤を送り込むためのインペラ(31)を有する電気モータ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気モータにおいて、
前記電気モータのメインキャビティは、前記第1ステータ端部巻線の領域の第1冷却剤循環チャンバ(1A)と、第2端部巻線の領域の第2冷却剤循環チャンバ(1B)とを有することを特徴とする電気モータ。
【請求項3】
請求項2に記載の電気モータにおいて、
前記第1冷却剤循環チャンバ(1A)及び/または前記第2冷却剤循環チャンバ(1B)を、インペラ入口ゾーン(31A)、インペラエアギャップゾーン(41)、インペラ出口ゾーン(31B)、及びインジェクションゾーン(41)を含むゾーンに区画するための仕切り壁(4)をさらに有することを特徴とする電気モータ。
【請求項4】
請求項3に記載の電気モータにおいて、
前記第1冷却剤循環チャンバ(1A)の残りの部分及び/または前記第2冷却剤循環チャンバ(1B)の残りの部分が、冷却剤の循環によって前記電気モータを冷却するために使用されることを特徴とする電気モータ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電気モータにおいて、
前記仕切り壁(4)は、請求項1における前記ゾーンを設けるための複数のスペーサ(4A)を有する独立した構成要素であることを特徴とする電気モータ。
【請求項6】
請求項3から5の1つに記載の電気モータにおいて、
前記仕切り壁(4)は、中央開口と複数の溝及び/または開口を有し、冷却剤が前記中央開口と溝及び/または開口を通じて前記インジェクションゾーンから前記インペラ入口ゾーンに導入されることを特徴とする電気モータ。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の電気モータにおいて、
前記ロータ(3)が中空シャフト(32)とロータコアとを有し、
前記中空シャフト(32)は、中空のシャフトコアとそれに対応する支持ボディとを有する二部分の中空構造体であり、組み立てられるように構成され、且つ前記ロータコアを所定位置で支持するように構成されていることを特徴とする電気モータ。
【請求項8】
請求項7に記載の電気モータにおいて、
前記中空シャフト(32)と前記ロータコアは、前記中空シャフト(32)の両側に第1の端部と第2の端部とを有する円筒体であることを特徴とする電気モータ。
【請求項9】
請求項7または8に記載の電気モータにおいて、
前記中空シャフト(32)は、冷却剤を前記中空シャフト(32)のメインキャビティ(7)に導入するための入口開口(1AO)を有し、前記中空シャフト(32)は、冷却剤を前記中空シャフト(32)からインペラ(31)の入口領域に放出するための複数の流路を有することを特徴とする電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のトラクションドライブ用の湿式ロータタイプの電気モータに関し、この電気モータは、誘電性冷却剤、特にオイルによって直接に冷却され、少なくとも1つのロータと少なくとも巻線の1部分が、電気モータのロータにより送り出される冷却剤にさらされるものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には直接冷却の利用に関するロータが開示され、この文献では巻線のヘッドの方向に冷却剤の流れを向かわせるために成形充填体(キャストフィリングボディ)が使用され、オイルは、ロータの両側で成形充填体とシャフトジャーナルによって形成される複数の径方向ボア及び/または径方向通路を介してロータから放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3507889号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この公知の解決手段の場合は、充填体によって形成される流れが管理(規制)されずに再循環する冷却剤の粒子によって常に遮られるため、成形充填体によって形成される冷却剤の流れを利用するための推進力が弱い。
【0005】
したがって、本発明の目的は、冷却剤の流れを利用するための改良された実施態様、または少なくとも代わりになる実施態様であって、上述の欠点を解消する実施態様を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、独立請求項1の主題によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明の主題によれば、好ましくは独立した構成要素として仕切り壁が使用され、この仕切り壁は、循環チャンバの領域において電気モータのシースのエンドプレートに固定される。電気モータのロータのインペラは、電気モータの冷却システムにより冷却剤(冷却液)を送り出すポンプの機能で使用され、したがって、循環チャンバの領域において仕切り壁要素を用いて調整された冷却剤の流れの動きを利用する。
【0008】
仕切り壁と組み合わせたインペラで電気モータのステータと巻線を冷却することにより、電気モータの冷却性能、ひいては連続性能が著しく効果的に向上する。
【0009】
本発明では、説明を簡略化するために「第1/第2」という複合語を用いる。本発明に関しては、複合語「第1/第2」の個々の用語「第1」及び「第2」は、常に「及び/または」で結び付けられる。したがって、ロータには「第1」要素及び/または「第2」要素が存在し得る。この場合、それぞれの「第1」要素は、ロータの更なる「第1」要素またはロータの第1軸方向端部にのみ関連し、それぞれの「第2」要素は、ロータの更なる「第2」要素またはロータの第2軸方向端部にのみ関連する。複合語「第1/第2」に個々の用語「第1」及び「第2」が使用されていない場合、この用法に従って理解すべきである。さらに、本発明では、「軸方向」及び「径方向」という用語は常に回転軸に関するものである。
【0010】
有利な実施形態では、電気モータのロータは、中空シャフトとロータコアとを有する。中空シャフトは二部分からなる中空構造体であり、中空のシャフトコアとそれに対応する支持ボディとを有して組み立てられるように構成され、ロータコアを所定位置で支持するように構成されている。有利な実施形態では、中空シャフトとそれに対応するロータコアは、中空シャフトの第1の端部と反対側の第2の端部とを有する円筒体である。有利な実施形態では、中空シャフトは、冷却剤を中空シャフトのメインキャビティに導入するための入口開口を有し、中空シャフトは、冷却剤を中空シャフトからインペラの入口領域に放出するための複数の流路を有する。ロータコアは円筒体を有し、円筒体は電磁鋼板で形成される複数の層状の金属シートをさらに有し、ロータコアは、ロータコアの第1側の第1の隣接する前面と、ロータコアの第2(反対)側の第2の隣接する前面とを有し、ロータコアの少なくとも1つの側は、インペラの形状部(機能部、特徴部)を備える。ロータコアは、さらに、電気モータのシース内で冷却剤の流れを補助するために、複数のブレードを備えたインペラを有する。有利な実施形態では、中空シャフトから冷却剤を放出するための流路は、中空シャフトの外周縁に近い領域、より正確には、中空シャフトコアとそれに対応する支持ボディとの締まり嵌め結合の領域に配置され、流路の数は、好ましくは、インペラのブレードの数と等しく、流路の位置は、対応するブレードの前縁に対して位置合わせされる。
【0011】
有利な実施形態では、電気モータは、巻線を形成するために、さらにシースと複数のワイヤを備えたステータとを有する。ステータは、積層されたステータコアを含む円筒体であり、ステータコアの第1の端部と反対側の第2の端部とをさらに有する。巻線は、さらに、ステータコアの両側に巻線ヘッド(巻線の頭部、頭部巻線)を有する。それに応じて、電気モータのメインキャビティの形態の内部容積がもたらされ、シース、ステータ及びロータによって区画される。電気モータのメインキャビティは、冷却剤循環用の少なくとも2つの副キャビティを有し、第1冷却剤循環チャンバが、シースとステータの第1の側とロータの第1の側とで区画されるキャビティであり、さらに第1の巻線ヘッドを有する。同様に、第2冷却剤循環チャンバが、シースとステータの第2の側とロータの第2の側とで区画されるキャビティであり、さらに第2の巻線ヘッドを有する。
【0012】
有利な実施形態では、電気モータのメインキャビティに導入されるオイルは、インペラの補助によりロータに接して循環し、シースは、冷却剤循環チャンバを、インペラ入口ゾーン、インペラエアギャップゾーン、インペラ出口ゾーン、インジェクションゾーンを含むゾーンに分割するための分割壁をさらに有し、冷却剤循環チャンバの残りの部分は、巻線ヘッド循環ゾーンとみなされる。仕切り壁は、ロータ、より正確にはインペラに対向する第1の境界面と、電気モータのシースに対向する第2の境界面とを有する。インペラの油圧性能を向上させるために、インペラとシースとの間のエアギャップが仕切り壁の第1の境界面によって小さくされることにより、仕切り壁との間及びインペラとの間の距離が0.2mmと10mmとの間であるギャップゾーンが設けられ、インペラ出口ゾーンにより開口部が形成され、オイルがその開口部を通じてインペラから冷却剤循環チャンバの残りの部分に放出され、冷却剤循環チャンバ内の冷却剤の循環が、インペラ出口ゾーンから来る冷却剤の流れによって進められる。有利な実施形態では、仕切り壁の第2の境界面が複数のスペーサを有し、このスペーサによって、インジェクションゾーンを設けるためのギャップが形成されてインペラ入口ゾーンの領域に冷却剤を再び注入するために使用される。有利なことに、電気モータの循環チャンバ内の冷却剤の流れが規制されて循環し、インペラによって生じる油圧の損失が小さくなり、冷却システムの冷却性能が大幅に向上する。
【0013】
一実施態様、特にある一つの代わりの実施態様では、仕切り壁は同様に中央開口を有し、その中央開口は複数の溝及び/または開口をさらに含み、その溝及び/または開口を通って冷却剤がインジェクションゾーンからインペラ入口ゾーンに導かれる。
【0014】
本発明の他の重要な特徴及び効果は、添付の特許請求の範囲、図面、及び添付図面に基づく図の説明から明らかである。
【0015】
上記の特徴及び以下に説明する特徴が、それぞれに特定された組み合わせで用いるだけでなく、他の組み合わせで、または単独で、本発明の範囲から逸脱することなく使用できることは、言うまでもない。
【0016】
本発明の好ましい実施形態を図面に示し、以下においてより詳細に説明するが、同一の参照符号は、同一もしくは類似、または機能的に同一の構成要素を示す。
【0017】
各図は概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の有利な実施形態に係る仕切り壁を有する電気モータの断面図である、
図2図2は、本発明の有利な実施形態に係る仕切り壁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の有利な実施形態に係る仕切り壁4を有する電気モータの断面図である。この電気モータは、シース1、ステータ2及びロータ3を有する。ロータ3はさらにインペラ31を有し、ステータ2及びロータ3の第1の側にはそれぞれ第1冷却剤循環チャンバ1Aが形成され、またはステータ2及びロータ3の第2の側にはそれぞれ第2冷却剤循環チャンバ1Bが形成されている。有利な実施形態では、仕切り壁4は、第1冷却剤循環チャンバ1Aを、インペラ入口ゾーン31A、インペラエアギャップゾーン41、インペラ出口ゾーン31B、インジェクションゾーン41に区切り、第1冷却剤循環チャンバ1Aの残りの部分は、巻線のヘッド循環ゾーンとみなされる。
【0020】
図2は、本発明の有利な実施形態に係る仕切り壁4の斜視図であり、この仕切り壁4は複数のスペーサ4A有し、このスペーサ4Aにより、インジェクションゾーン41を設けるためのギャップが形成され、このギャップはインペラ入口ゾーン43の領域に冷却剤を再び注入するために使用される。
【0021】
電気モータのすべての部品、特に仕切り壁4は、最良の形態で本明細書に示され、且つ説明されている。しかしながら、異なる形状/サイズ/配置もさらに可能であり、冷却剤は好ましくは油、空気、または油と空気の混合物である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のトラクションドライブ用の湿式ロータタイプの電気モータに関し、この電気モータは、誘電性冷却剤、特にオイルによって直接に冷却され、少なくとも1つのロータと少なくとも巻線の1部分が、電気モータのロータにより送り出される冷却剤にさらされるものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には直接冷却の利用に関するロータが開示され、この文献では巻線のヘッドの方向に冷却剤の流れを向かわせるために成形充填体(キャストフィリングボディ)が使用され、オイルは、ロータの両側で成形充填体とシャフトジャーナルによって形成される複数の径方向ボア及び/または径方向通路を介してロータから放出される。
特許文献2には、ロータとステータを備えた電気モータが示されている。ロータは、冷却剤を案内するための穴が設けられたエンドプレートを有する。
さらに他の電気モータは、特許文献3,特許文献4,特許文献5,特許文献6,及び特許文献7のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3507889号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0173352号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3495157号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2019/027987号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102009029716号明細書
【特許文献6】国際公開第2018/225877号
【特許文献7】特開2011-254571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この公知の解決手段の場合は、充填体によって形成される流れが管理(規制)されずに再循環する冷却剤の粒子によって常に遮られるため、成形充填体によって形成される冷却剤の流れを利用するための推進力が弱い。
【0005】
したがって、本発明の目的は、冷却剤の流れを利用するための改良された実施態様、または少なくとも代わりになる実施態様であって、上述の欠点を解消する実施態様を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、独立請求項1の主題によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明によれば、電気モータは独立した構成要素である仕切り壁を有し、この仕切り壁は、循環チャンバの領域において電気モータのシースのエンドプレートに固定される。電気モータのロータのインペラは、電気モータの冷却システムにより冷却剤(冷却液)を送り出すポンプの機能で使用され、したがって、循環チャンバの領域において仕切り壁要素を用いて調整された冷却剤の流れの動きを利用する。
【0008】
仕切り壁と組み合わせたインペラで電気モータのステータと巻線を冷却することにより、電気モータの冷却性能、ひいては連続性能が著しく効果的に向上する。
【0009】
本発明では、説明を簡略化するために「第1/第2」という複合語を用いる。本発明に関しては、複合語「第1/第2」の個々の用語「第1」及び「第2」は、常に「及び/または」で結び付けられる。したがって、ロータには「第1」要素及び/または「第2」要素が存在し得る。この場合、それぞれの「第1」要素は、ロータの更なる「第1」要素またはロータの第1軸方向端部にのみ関連し、それぞれの「第2」要素は、ロータの更なる「第2」要素またはロータの第2軸方向端部にのみ関連する。複合語「第1/第2」に個々の用語「第1」及び「第2」が使用されていない場合、この用法に従って理解すべきである。さらに、本発明では、「軸方向」及び「径方向」という用語は常に回転軸に関するものである。
【0010】
有利な実施形態では、電気モータのロータは、中空シャフトとロータコアとを有する。中空シャフトは二部分からなる中空構造体であり、中空のシャフトコアとそれに対応する支持ボディとを有して組み立てられるように構成され、ロータコアを所定位置で支持するように構成されている。有利な実施形態では、中空シャフトとそれに対応するロータコアは、中空シャフトの第1の端部と反対側の第2の端部とを有する円筒体である。有利な実施形態では、中空シャフトは、冷却剤を中空シャフトのメインキャビティに導入するための入口開口を有し、中空シャフトは、冷却剤を中空シャフトからインペラの入口領域に放出するための複数の流路を有する。ロータコアは円筒体を有し、円筒体は電磁鋼板で形成される複数の層状の金属シートをさらに有し、ロータコアは、ロータコアの第1側の第1の隣接する前面と、ロータコアの第2(反対)側の第2の隣接する前面とを有し、ロータコアの少なくとも1つの側は、インペラの形状部(機能部、特徴部)を備える。ロータコアは、さらに、電気モータのシース内で冷却剤の流れを補助するために、複数のブレードを備えたインペラを有する。有利な実施形態では、中空シャフトから冷却剤を放出するための流路は、中空シャフトの外周縁に近い領域、より正確には、中空シャフトコアとそれに対応する支持ボディとの締まり嵌め結合の領域に配置され、流路の数は、好ましくは、インペラのブレードの数と等しく、流路の位置は、対応するブレードの前縁に対して位置合わせされる。
【0011】
有利な実施形態では、電気モータは、巻線を形成するために、さらにシースと複数のワイヤを備えたステータとを有する。ステータは、積層されたステータコアを含む円筒体であり、ステータコアの第1の端部と反対側の第2の端部とをさらに有する。巻線は、さらに、ステータコアの両側に巻線ヘッド(巻線の頭部、頭部巻線)を有する。それに応じて、電気モータのメインキャビティの形態の内部容積がもたらされ、シース、ステータ及びロータによって区画される。電気モータのメインキャビティは、冷却剤循環用の少なくとも2つの副キャビティを有し、第1冷却剤循環チャンバが、シースとステータの第1の側とロータの第1の側とで区画されるキャビティであり、さらに第1の巻線ヘッドを有する。同様に、第2冷却剤循環チャンバが、シースとステータの第2の側とロータの第2の側とで区画されるキャビティであり、さらに第2の巻線ヘッドを有する。
【0012】
有利な実施形態では、電気モータのメインキャビティに導入されるオイルは、インペラの補助によりロータに接して循環し、シースは、冷却剤循環チャンバを、インペラ入口ゾーン、インペラエアギャップゾーン、インペラ出口ゾーン、インジェクションゾーンを含むゾーンに分割するための分割壁をさらに有し、冷却剤循環チャンバの残りの部分は、巻線ヘッド循環ゾーンとみなされる。仕切り壁は、ロータ、より正確にはインペラに対向する第1の境界面と、電気モータのシースに対向する第2の境界面とを有する
ンペラの油圧性能を向上させるために、インペラとシースとの間のエアギャップが仕切り壁の第1の境界面によって小さくされることにより、仕切り壁との間及びインペラとの間の距離が0.2mmと10mmとの間であるギャップゾーンが設けられ、インペラ出口ゾーンにより開口部が形成され、オイルがその開口部を通じてインペラから冷却剤循環チャンバの残りの部分に放出され、冷却剤循環チャンバ内の冷却剤の循環が、インペラ出口ゾーンから来る冷却剤の流れによって進められる。本発明によれば、仕切り壁の第2の境界面が複数のスペーサを有し、このスペーサによって、インジェクションゾーンを設けるためのギャップが形成されてインペラ入口ゾーンの領域に冷却剤を再び注入するために使用される。有利なことに、電気モータの循環チャンバ内の冷却剤の流れが規制されて循環し、インペラによって生じる油圧の損失が小さくなり、冷却システムの冷却性能が大幅に向上する。
【0013】
一実施態様、特にある一つの代わりの実施態様では、仕切り壁は同様に中央開口を有し、その中央開口は複数の溝及び/または開口をさらに含み、その溝及び/または開口を通って冷却剤がインジェクションゾーンからインペラ入口ゾーンに導かれる。
【0014】
本発明の他の重要な特徴及び効果は、添付の特許請求の範囲、図面、及び添付図面に基づく図の説明から明らかである。
【0015】
上記の特徴及び以下に説明する特徴が、それぞれに特定された組み合わせで用いるだけでなく、他の組み合わせで、または単独で、本発明の範囲から逸脱することなく使用できることは、言うまでもない。
【0016】
本発明の好ましい実施形態を図面に示し、以下においてより詳細に説明するが、同一の参照符号は、同一もしくは類似、または機能的に同一の構成要素を示す。
【0017】
各図は概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の有利な実施形態に係る仕切り壁を有する電気モータの断面図である、
図2図2は、本発明の有利な実施形態に係る仕切り壁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の有利な実施形態に係る仕切り壁4を有する電気モータの断面図である。この電気モータは、シース1、ステータ2及びロータ3を有する。ロータ3はさらにインペラ31を有し、ステータ2及びロータ3の第1の側にはそれぞれ第1冷却剤循環チャンバ1Aが形成され、またはステータ2及びロータ3の第2の側にはそれぞれ第2冷却剤循環チャンバ1Bが形成されている。有利な実施形態では、仕切り壁4は、第1冷却剤循環チャンバ1Aを、インペラ入口ゾーン31A、インペラエアギャップゾーン41、インペラ出口ゾーン31B、インジェクションゾーン41に区切り、第1冷却剤循環チャンバ1Aの残りの部分は、巻線のヘッド循環ゾーンとみなされる。
【0020】
図2は、本発明の有利な実施形態に係る仕切り壁4の斜視図であり、この仕切り壁4は複数のスペーサ4A有し、このスペーサ4Aにより、インジェクションゾーン41を設けるためのギャップが形成され、このギャップはインペラ入口ゾーン43の領域に冷却剤を再び注入するために使用される。
【0021】
電気モータのすべての部品、特に仕切り壁4は、最良の形態で本明細書に示され、且つ説明されている。しかしながら、異なる形状/サイズ/配置もさらに可能であり、冷却剤は好ましくは油、空気、または油と空気の混合物である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータであって、前記電気モータのメインキャビティを形成するためのシース(1)を有し、前記シース内に前記電気モータの構成部品を冷却するための冷却剤が導入され、
第1ステータ端部巻線と第2ステータ端部巻線とを備えたステータ(2)と、ロータ(3)とを有し、
さらに、前記端部巻線の領域に冷却剤を送り込むためのインペラ(31)を有し、
特徴は、
前記電気モータが、第1冷却剤循環チャンバ(1A)及び/または第2冷却剤循環チャンバ(1B)を、インペラ入口ゾーン(31A)、インペラエアギャップゾーン(41)、インペラ出口ゾーン(31B)、及びインジェクションゾーン(41)を含むゾーンに区画するための仕切り壁(4)をさらに有し、
前記仕切り壁(4)が、前記ゾーンを設けるための複数のスペーサ(4A)を有する独立した構成要素である
ことである電気モータ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気モータにおいて、
前記電気モータのメインキャビティは、前記第1ステータ端部巻線の領域の第1冷却剤循環チャンバ(1A)と、第2端部巻線の領域の第2冷却剤循環チャンバ(1B)とを有することを特徴とする電気モータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気モータにおいて、
前記第1冷却剤循環チャンバ(1A)の残りの部分及び/または前記第2冷却剤循環チャンバ(1B)の残りの部分が、冷却剤の循環によって前記電気モータを冷却するために使用されることを特徴とする電気モータ。
【請求項4】
請求項からの1つに記載の電気モータにおいて、
前記仕切り壁(4)は、中央開口と複数の溝及び/または開口を有し、冷却剤が前記中央開口と溝及び/または開口を通じて前記インジェクションゾーンから前記インペラ入口ゾーンに導入されることを特徴とする電気モータ。
【請求項5】
請求項1からの何れか1項に記載の電気モータにおいて、
前記ロータ(3)が中空シャフト(32)とロータコアとを有し、
前記中空シャフト(32)は、中空のシャフトコアとそれに対応する支持ボディとを有する二部分の中空構造体であり、組み立てられるように構成され、且つ前記ロータコアを所定位置で支持するように構成されていることを特徴とする電気モータ。
【請求項6】
請求項に記載の電気モータにおいて、
前記中空シャフト(32)と前記ロータコアは、前記中空シャフト(32)の両側に第1の端部と第2の端部とを有する円筒体であることを特徴とする電気モータ。
【請求項7】
請求項またはに記載の電気モータにおいて、
前記中空シャフト(32)は、冷却剤を前記中空シャフト(32)のメインキャビティ(7)に導入するための入口開口(1AO)を有し、前記中空シャフト(32)は、冷却剤を前記中空シャフト(32)からインペラ(31)の入口領域に放出するための複数の流路を有することを特徴とする電気モータ。
【国際調査報告】