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特表2024-533178車両のレーダーセンサの放射コーンに対向して設置することを意図した除氷装置を含む自動車部品
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  • 特表-車両のレーダーセンサの放射コーンに対向して設置することを意図した除氷装置を含む自動車部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両のレーダーセンサの放射コーンに対向して設置することを意図した除氷装置を含む自動車部品
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/02 20060101AFI20240905BHJP
   H05B 3/84 20060101ALI20240905BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20240905BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20240905BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20240905BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01Q1/02
H05B3/84
H01Q1/42
H01Q1/32 Z
G01S7/40 143
G01S7/03 246
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514025
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2022072009
(87)【国際公開番号】W WO2023030819
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】2109260
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ルノー
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、アルボー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド、ボドゥディキアン
【テーマコード(参考)】
3K034
5J046
5J070
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA12
3K034JA10
5J046AA05
5J046CA03
5J046MA12
5J046RA06
5J046RA14
5J070AB24
5J070AD15
5J070AF03
(57)【要約】
本発明は、レーダーセンサ(4)の放射コーンに対向して設置することを意図した自動車部品(2)に関し、レーダーセンサ(4)は電磁波(6)を放射するよう構成され、電磁波の電界は着目する方向(P1)に振動する成分(E1)を含み、前記部品(2)は部品(2)を除氷する装置(12)を含む。本発明によれば、除氷装置(12)は細長い加熱可能要素(14)のセット(13)を含み、前記細長い加熱可能要素(14)のセットの少なくとも1つのサブセットは、部品(2)がレーダーセンサ(4)に対向して設置される場合にレーダーセンサ(4)の放射コーンの中に配置され、前記サブセットの細長い発熱体(14)のそれぞれがレーダーセンサの主偏波方向(P1)に対して略垂直の方向に延びるように部品(2)に設置されるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のレーダーセンサ(4)の放射コーン(7)に対向して設置することを意図した自動車部品(2)であって、前記レーダーセンサ(4)は前記放射コーン(7)の中で電磁波(6)を放射するよう構成され、前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の電界は着目する方向(P1)に振動する成分(E1)を含み、前記電磁波(6)は主伝搬方向(D1)へ伝搬し、前記自動車部品(2)はその面(10)のうちの一つに前記自動車部品(2)を除氷する装置(12)を有し、
前記除氷装置(12)は細長い発熱体(14)のセット(13)を含み、前記細長い発熱体(14)の前記セットの少なくとも1つのサブセット(16)は、前記部品(2)が前記レーダーセンサ(4)に対向して設置される場合に前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)の中に配置され、前記部品(2)が前記レーダーセンサ(4)に対向して設置される場合に前記サブセット(16)の前記細長い発熱体(14)のそれぞれが前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記電界の前記着目する方向(P1)に対して略垂直の方向に延びるように前記部品(2)に配置されるように構成される、ことを特徴とする自動車部品(2)。
【請求項2】
前記細長い発熱体(14)は同じ平面(T)内で延びて、前記平面(T)は前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記主伝搬方向(D1)に対して垂直に延びる、請求項1に記載の自動車部品(2)。
【請求項3】
前記細長い発熱体(14)は前記平面(T)内で互いに平行に延びて、前記細長い発熱体(14)の前記セット(13)はグリッド偏波子を形成する、請求項2に記載の自動車部品(2)。
【請求項4】
前記細長い発熱体(14)は、隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる距離(d2)が一定となるように配置される、請求項3に記載の自動車部品(2)。
【請求項5】
隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる前記距離(d2)は、前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の波長より小さい、請求項4に記載の自動車部品(2)。
【請求項6】
隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる前記距離(d2)は5mm未満であり、好ましくは1mm~5mm、より好ましくは2mm~4mmである、請求項4または5に記載の自動車部品(2)。
【請求項7】
前記細長い発熱体(14)のそれぞれの幅(l2)と前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記波長の比率は1/10より小さい、請求項3から6のいずれか一項に記載の自動車部品(2)。
【請求項8】
前記細長い発熱体(14)のそれぞれの前記幅(l2)は0.5mm未満であり、好ましくは0.4mmと略等しい、請求項7に記載の自動車部品(2)。
【請求項9】
前記細長い発熱体(14)の第1サブセット(16)は前記自動車部品(2)が前記レーダーセンサ(4)に対向して設置される場合に前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)の中に配置され、前記細長い発熱体(14)の第2サブセット(18)は前記部品(2)が前記レーダーセンサ(4)に対向して設置される場合に前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)の外側に配置され、前記第1サブセット(16)および前記第2サブセット(18)の前記細長い発熱体(14)は、前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記主伝搬方向(D1)に対して垂直である前記第2サブセット(18)から前記第1サブセット(16)への、および前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)の外側から前記放射コーン(7)の中心への進行方向を考慮して、隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる距離が一定ではなく距離が増大していくプロファイル関数に従うように、配置される、請求項2または3に記載の自動車部品(2)。
【請求項10】
前記距離が増大していくプロファイル関数は線形関数、または区分線形関数であり、たとえばステップ関数である、請求項9に記載の自動車部品(2)。
【請求項11】
前記細長い発熱体(14)の前記第1サブセット(16)の隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる最小距離は2mmより大きく、好ましくは3mmより大きい、請求項9または10に記載の自動車部品(2)。
【請求項12】
前記細長い発熱体(14)の前記第1サブセット(16)の前記細長い発熱体(14)のそれぞれの幅は0.5mm未満である、請求項9から11のいずれか一項に記載の自動車部品(2)。
【請求項13】
前記細長い発熱体(14)は電熱金属片または電熱金属線である、請求項1から12のいずれか一項に記載の自動車部品(2)。
【請求項14】
前記電熱金属片または電熱金属線(14)のそれぞれは誘電材料の層で被覆される、または誘電体保護・絶縁要素の中に配置される、請求項13に記載の自動車部品(2)。
【請求項15】
前記誘電材料は屈折率と理想の厚さの0.8倍~1.2倍の厚さを有し、前記理想の厚さは、入射角がゼロの前記電磁波(6)に対しては、自然数に前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記波長を乗じて前記誘電材料の前記屈折率の2倍で割ったものに等しい、請求項14に記載の自動車部品(2)。
【請求項16】
前記自動車部品(2)は前記レーダーセンサ(4)を隠すためのスタイル部品である、請求項1から15のいずれか一項に記載の自動車部品(2)。
【請求項17】
前記スタイル部品はロゴである、請求項16に記載の自動車部品(2)。
【請求項18】
前記自動車部品(2)は前記レーダーセンサ(4)が統合されている照明および/または信号伝達用の要素(1)を閉鎖する外側レンズである、請求項1から15のいずれか一項に記載の自動車部品(2)。
【請求項19】
車両レーダーセンサ(4)と請求項1から18のいずれか一項に記載の自動車部品(2)とを含み、前記レーダーセンサ(4)は放射コーン(7)の中で電磁波(6)を放射するよう構成され、前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の電界は着目する方向(P1)に振動する成分(E1)を含み、前記電磁波(6)は主伝搬方向(D1)に伝搬し、前記自動車部品(2)は前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)に対向して設置される、組立品(1)。
【請求項20】
前記レーダーセンサ(4)は水平または垂直の偏波方向に偏波されるミリ波レーダーセンサである、請求項19に記載の組立品(1)。
【請求項21】
前記レーダーセンサ(4)は76GHz~81GHzの動作周波数を有する、請求項20に記載の組立品(1)。
【請求項22】
前記組立品(1)は車両の照明および/または信号伝達用の要素、特に車両用ヘッドライトである、請求項19から21のいずれか一項に記載の組立品(1)。
【請求項23】
前記自動車部品(2)は、前記照明および/または信号伝達用の要素(1)を閉鎖する、前記要素(1)の外面を構成する外側レンズである、請求項22に記載の組立品(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車におけるレーダーセンサの統合という分野に属し、特にそのようなレーダーセンサによる検出の信頼性の維持を可能とする自動車用の除氷装置の分野に属する。本発明は、特に車両のレーダーセンサの放射コーンに対向して設置することを意図した、そのような除氷装置を含む自動車部品に関する。
【背景技術】
【0002】
自律的、または部分的に自律的な車両は、衝突を防ぎ、車両がその目的地に確実に安全に到着するように、車両の周囲からの有り余るほどのデータの受信を担当する多数のセンサを必要とする。これらのセンサは、その多くはレーダーセンサであるが、データができるだけ多くの情報を網羅するように車両の所定の場所に設置される。車両の照明装置(ヘッドライトやテールランプなど)は、車両の他の場所も可能であるにも関わらず、概してそのようなレーダーセンサにとって有利な場所にある。
【0003】
そのようなレーダーセンサにより放射される電磁波は、概して直線偏波されている。慣例では、電磁波の偏波は電界の振動を記述する。電磁波が直線偏波されている場合、その電界は一方向のみに振動し、この方向が主偏波方向であり、通常は水平偏波方向または垂直偏波方向である。
【0004】
自動車においてそのようなレーダーセンサを統合することに関連する一つの問題は、車両が動作している気象条件がどのようなものであっても外部の物体を検出することのできるレーダーセンサを必要とするという点にある。しかし、閾値0℃を下回る温度では、車両のレーダーセンサの放射/受信場所に霜層が形成される可能性が高い。そのような霜層は、水の非常に高い屈折率のために放射されたレーダー波の大部分を反射および吸収する。その結果、レーダーの射程は大幅に小さくなることがあり、レーダーセンサの検出機能はもはや車両内では使用できない可能性がある。
【0005】
この問題に対処するために、レーダーセンサの検出機能の維持を可能とする除氷装置を車両のレーダーセンサの受信場所で使用するという事例が知られている。
【0006】
たとえば、公開されている国際公開第2020/239380号は、着氷の問題が起こりやすい車両の構成要素(たとえばそのようなレーダーセンサ)用のそのような除氷装置を開示している。除氷装置は、レーダーセンサのセンサ収容容器の端部にあるレーダーセンサの放射コーンの外側に設置される。除氷のための熱は導電性エラストマー材料を利用して除氷装置へと伝達される。エラストマー材料へ加えられる電気により、除氷に必要な熱が生み出される。
【0007】
しかし、そのような除氷装置は、レーダーセンサの放射コーンの内側には、レーダーセンサにより放射される電磁波に影響を与えることなしに設置することはできない。その結果、車両上のレーダーセンサ収容容器において除氷装置で利用可能な空間は、容器の端部に限定されるため、比較的制限される。これにより除氷装置の大きさに制約があり、除氷速度がかなり制限される。さらに、この除氷速度は使用されるエラストマー材料の電気伝導性に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこの状況を改善する。
【0009】
本発明の目的の一つは、車両のレーダーセンサの放射コーンに対向して設置することを意図した除氷装置を含む自動車部品を提供することであり、この除氷装置は、レーダーセンサにより放射される電磁波に影響を与えることなく、それゆえ高速な除氷速度を持ちながらもレーダーセンサの効率を損なうことなしにレーダーセンサの放射コーンの内側に設置することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明の第1態様は、車両のレーダーセンサの放射コーンに対向して設置することを意図した自動車部品に関し、レーダーセンサは放射コーンの中で電磁波を放射するよう構成され、レーダーセンサにより放射される電磁波の電界は着目する方向に振動する成分を含み、電磁波は主伝搬方向へ伝搬し、前記自動車部品はその面のうちの一つに自身を除氷する装置を有する。レーダーセンサの放射コーンは、レーダーセンサが放射する角度領域に対応する。この角度領域は、電磁波の振幅が最大となる電磁波の主伝搬方向に対応する主方向を有する。電磁波の電界の着目する方向は、電磁波の主伝搬方向に対して垂直な、好ましい方向に対応する。レーダーセンサにより放射される電磁波の電界は無偏波、または直線偏波(典型的には、垂直もしくは水平方向、または垂直もしくは水平方向以外の任意の直線方向)でありうる。レーダーセンサが主偏波方向(たとえば水平または垂直)に直線偏波されている場合、着目する方向はこの主偏波方向に対応する。この場合、電磁波の電界は着目する成分のみを含む。
【0011】
本発明によれば、除氷装置は細長い発熱体のセットを含み、前記細長い発熱体のセットの少なくとも1つのサブセットは、自動車部品がレーダーセンサに対向して設置される場合にレーダーセンサの放射コーンの中に配置され、自動車部品がレーダーセンサに対向して設置される場合に前記サブセットの細長い発熱体のそれぞれがレーダーセンサにより放射される電磁波の電界の着目する方向に対して略垂直の方向に延びるように自動車部品に配置されるように構成される。
【0012】
したがって、レーダーセンサにより放射される電磁波の電界の着目する方向に対して略垂直の方向に延びるように自動車部品に配置される、レーダーセンサの放射コーンの中に配置される細長い発熱体の方位のために、除氷装置は電磁波の着目する成分が通過するのを許容する。この着目する成分は細長い発熱体にはほとんど反射されず、ほぼ完全に除氷装置の反対側へと伝達される。本発明に係る自動車部品を除氷する装置は、したがって、レーダーセンサにより放射される電磁波に影響を与えることなく、それゆえレーダーセンサの効率を損なうことなしにレーダーセンサの放射コーンの内側に設置することができる。さらに、細長い発熱体の数および密度を変化させることで、先行技術の装置と比べて、除氷速度は有利に上昇する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、細長い発熱体は同じ平面内で延びて、前記平面はレーダーセンサにより放射される電磁波の主伝搬方向に対して垂直に延びる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、細長い発熱体は前記平面内で互いに平行に延びて、細長い発熱体のセットはグリッド偏波子を形成する。
【0015】
本発明の第1実施形態によれば、細長い発熱体は、隣接する2つの細長い発熱体を隔てる距離が一定となるように配置される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、隣接する2つの細長い発熱体を隔てる距離はレーダーセンサにより放射される電磁波の波長より小さい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、隣接する2つの細長い発熱体を隔てる距離は5mm未満であり、好ましくは1mm~5mm、より好ましくは2mm~4mmである。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、細長い発熱体のそれぞれの幅とレーダーセンサにより放射される電磁波の波長の比率は1/10より小さい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、細長い発熱体のそれぞれの幅は0.5mm未満であり、好ましくは0.4mmと略等しい。
【0020】
本発明の第2実施形態によれば、細長い発熱体の第1サブセットは自動車部品がレーダーセンサに対向して設置される場合にレーダーセンサの放射コーンの中に配置され、細長い発熱体の第2サブセットは自動車部品がレーダーセンサに対向して設置される場合にレーダーセンサの放射コーンの外側に配置され、第1サブセットおよび第2サブセットの細長い発熱体は、レーダーセンサにより放射される電磁波の主伝搬方向に対して垂直である第2サブセットから第1サブセットへの、およびレーダーセンサの放射コーンの外側から前記放射コーンの中心への進行方向を考慮して、隣接する2つの細長い発熱体を隔てる距離が一定ではなく距離が増大していくプロファイル関数に従うように、配置される。本発明の第2実施形態は、細長い発熱体が互いに平行に延びてグリッド偏波子を形成する本発明の第1実施形態と比べて除氷速度をさらに速めることを可能とし、隣接する2つの細長い発熱体の間の距離は一定である。具体的には、この第2実施形態では、第2サブセットの細長い発熱体の密度は、電気伝導性を最大化して、ひいては除氷速度を最大化するために、レーダーセンサの放射コーンの外側で最大化される。逆に、レーダーセンサの放射コーンの内側では、第1サブセットの隣接する2つの細長い発熱体の間の距離は第2サブセットの隣接する2つの細長い発熱体の間の距離より大きい。これにより、問題の電磁波の成分がどうであろうと、レーダーセンサからの信号の減衰を最小化することが可能となる。この第2実施形態の第1の変形によれば、レーダーセンサの放射コーンの内側では、第1サブセットの細長い発熱体は、隣接する2つの細長い発熱体の間の距離がこれらの細長い発熱体が横方向でコーンの中心により近いほど増えるように、配置される。この第2実施形態の別の変形によれば、第1サブセットの隣接する2つの細長い発熱体を隔てる距離は一定である。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記距離が増大していくプロファイル関数は線形関数、または区分線形関数であり、たとえばステップ関数である。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、細長い発熱体の第1サブセットの隣接する2つの細長い発熱体を隔てる最小距離は2mmより大きく、好ましくは3mmより大きい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、細長い発熱体の第1サブセットの細長い発熱体のそれぞれの幅は0.5mm未満である。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、細長い発熱体は電熱金属片または電熱金属線である。電熱金属片または電熱金属線は、たとえば、金属片または金属線のそれぞれの中に電流を流すよう構成されている共通電力供給ユニットにより給電される。そして、除氷に必要な熱は金属片または金属線におけるジュール効果によって作られる。電力供給ユニットは、たとえば、1つまたは複数の電気的接続要素(たとえば、電流分配バー、電気ケーブル、および/または電力供給リボンケーブルなど)を介して電熱金属片または電熱金属線に接続される。これらの電気的接続要素は、概して不透明な導電性材料でできており、レーダーセンサの放射コーンの外側の自動車部品の中に配置される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、それぞれの電熱金属片または電熱金属線は誘電材料の層で被覆される、または誘電体保護・絶縁要素の中に配置される。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、誘電材料は屈折率と理想の厚さの0.8倍~1.2倍の厚さを有し、理想の厚さは、入射角がゼロの電磁波(正常な電磁波)に対しては、自然数にレーダーセンサにより放射される電磁波の波長を乗じて誘電材料の屈折率の2倍で割ったものに等しい。この理想の厚さは、電熱金属片または電熱金属線により反射された電磁波が相殺的干渉を受けるようになっており、したがってレーダーセンサからの信号の減衰を最小化する、またはさらに減衰しないようにする。金属片または金属線を通っての信号の伝達はしたがって、問題の電磁波の成分に関わらず最大化される。ある特定の場合には、誘電材料の厚さは波長を屈折率の2倍で割ったものの0.8倍~1.2倍である。この厚さは、本発明のこの実施形態で取り得る最小値に対応するが、他の干渉を防ぐことを可能とする。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、自動車部品はレーダーセンサを隠すためのスタイル部品である。
【0028】
たとえば、スタイル部品はロゴであってもよい。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、自動車部品はレーダーセンサが統合されている照明および/または信号伝達用の要素を閉鎖する外側レンズである。
【0030】
本発明の更なる主題は組立品に関し、この組立品は車両レーダーセンサと本発明に係る自動車部品とを含み、レーダーセンサは放射コーンの中で電磁波を放射するよう構成され、レーダーセンサにより放射される電磁波の電界は着目する方向に振動する成分を含み、電磁波は主伝搬方向に伝搬し、自動車部品はレーダーセンサの放射コーンに対向して設置される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、レーダーセンサは水平または垂直の偏波方向に偏波されるミリ波レーダーセンサである。そして電磁波の電界の振動は水平方向または垂直方向に広がる。レーダーセンサの波長は、典型的には3.70mm~3.94mmである。この種のレーダーセンサは典型的には自動運転用途に適しており、そのような波長は過剰な電力消費や遅延反応をすることなく物体を検出するのに有利に適している。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、レーダーセンサは76GHz~81GHzの動作周波数を有する。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、組立品は車両の照明および/または信号伝達用の要素、特に車両用ヘッドライトである。たとえば、自動車部品は、前記照明および/または信号伝達用の要素を閉鎖する、前記要素の外面を構成する外側レンズとすることができる。そしてそのような照明および/または信号伝達用の要素は、レーダーセンサを収容することができる。
【0034】
本明細書では、「車両」は、少なくとも1人の乗員を運ぶことが可能な、または人や物体を輸送することを意図した任意の種類の車両、たとえば自動車、モペット、オートバイ、倉庫用ロボットや任意の他の機械を意味する。
【0035】
「電気ケーブル」は、少なくとも1つの電気絶縁層により囲まれた1つまたは複数の細長い導電性要素を意味し、電気絶縁層は、場合によっては細長い導電性要素と直接物理的に接触する。
【0036】
また、「電力供給リボンケーブル」は、その厚さがその長さおよび幅に対して小さい、電力供給要素を意味する。電力供給リボンケーブルは曲がっていてもよく、所与の輪郭を有してもよい。したがって、リボンケーブルは周縁により隔てられる2つの広い面を有し、この周縁はリボンケーブルの厚さを規定し、厚さは可変であってもよく、たとえば一端から他端へと小さくなってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を精査することで明確となるであろう。
【0038】
図1】レーダーセンサを含む組立品および本発明の第1実施形態に係る自動車部品の概略斜視図である。
【0039】
図2図1の自動車部品の概略正面図である。
【0040】
図3図1の自動車部品の概略側面図である。
【0041】
図4】本発明の第2実施形態に係る自動車部品の概略正面図である。
【0042】
図5図3の構成に相当する電気回路を模式的に描写している。
【0043】
本明細書では、特に定めのない限り、用語「上流」および「下流」は、問題の物体内での電磁ビームの伝搬方向、および前記物体の外側での電磁波の放射方向を指す。
【0044】
さらに、「後方」と呼ばれるあらゆるものは上流側に位置しており、「前方」と呼ばれるあらゆるものは下流側に位置している。
【0045】
用語「水平」、「垂直」、「横方向」、「下方」、「上方」、「高い」、「低い」、および「横」は、車両に適合することを意図した本発明に係る部品2の方位に対して定義される。特に、本願においては、用語「垂直」は水平線に対して垂直な方位を示し、用語「水平」は水平線と平行な方位を示す。
【0046】
自動車部品2に関連する直交基準座標系が図1から図4に示されている。この基準座標系は、3つの軸、すなわち、X、Y、およびZからなり、それぞれ前後軸X、横方向軸Y、および垂直軸Zと呼ばれる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明に係る自動車部品2を含む組立品1およびその動作原理を示す概略斜視図である。組立品1はレーダーセンサ4をさらに含む。分かりやすくするため、部品2の一部のみがこの図に示されている。本発明の文脈ではいかなる制限を示唆することなく、組立品1はたとえば車両の照明および/または信号伝達用の要素、特に車両用ヘッドライトである。この場合、部品2は典型的には照明および/または信号伝達用の要素1を閉鎖する外側レンズである。そして、外側レンズ2はこの要素1の外面を構成する。あるいは、部品2はレーダーセンサ4を隠すためのロゴなどのスタイル部品であってもよい。この場合、組立品1は車両の照明および/もしくは信号伝達用の要素、または車両の他の任意の要素であってもよい。
【0048】
レーダーセンサ4は、放射コーン7(そのような放射コーン7は図1には示されていないが、図2および図4では見える)内で電磁波6を放射するよう構成される。レーダーセンサ4により放射される電磁波6の電界は、着目する方向P1に振動する成分E1を含む。より詳細には、これは、電磁波6の電界のこの成分E1がレーダーセンサ4の放射面により規定される平面S内に投影された場合に着目する方向P1へ延びることを意味する。電磁波6の電界の着目する方向P1は、電磁波6の主伝搬方向D1に対して垂直な、好ましい方向に対応し、電磁波6の電界の着目する成分E1はこの方向に振動する。レーダーセンサ4が主偏波方向(たとえば水平または垂直)に直線偏波されている場合、着目する方向P1はこの主偏波方向に対応する。図1に示される例示の実施形態では、電磁波6の着目する方向は、垂直軸Zに対応する垂直方向である。この例示の実施形態によれば、レーダーセンサ4により放射される電磁波6の電界は無偏波である。示されていない変形では、レーダーセンサにより放射される電磁波の電界は垂直もしくは水平方向に偏波されることがある、または垂直もしくは水平方向以外の任意の直線方向に偏波されることがある。
【0049】
電磁波6は主伝搬方向D1に伝搬する。レーダーセンサ4の放射コーン7は、レーダーセンサ4が放射する角度領域に対応する。この角度領域は、電磁波6の振幅が最大となる電磁波の主伝搬方向D1に対応する主方向を有する。この場合、主伝搬方向D1はレーダーセンサ4の光軸に対応する。示される実施形態では、主伝搬方向D1は前後方向であり、図では前後軸Xに対応する。
【0050】
レーダーセンサ4は、典型的には周波数変調連続波ミリ波レーダーセンサであり、その動作周波数は典型的には76GHz~81GHzである。レーダーセンサ4は、たとえば長距離レーダーセンサ(それゆえ視野が小さい)または中距離レーダーセンサ(それゆえ視野は中程度)である。レーダーセンサ4の波長は、典型的には3.70mm~3.94mmである。この種のレーダーセンサは典型的には自動運転用途に適しており、そのような波長は過剰な電力消費や遅延反応をすることなく物体を検出するのに有利に適している。
【0051】
図1図2、および図4に示されるように、部品2はレーダーセンサ4の放射コーン7に対向して、レーダーセンサ4の前方に設置される。部品2は、その面10のうちの一方に部品2を除氷する装置12を有する。
【0052】
除氷装置12は、細長い発熱体14のセット13を含む。除氷装置12はさらに電力供給ユニット(図示せず)を含み、この電力供給ユニットは、1つまたは複数の電気的接続要素(たとえば、電流分配バー、電気ケーブル、および/または電力供給リボンケーブルなど)を介して細長い発熱体14に接続される。これらの電気的接続要素は、概して不透明な導電性材料でできており、レーダーセンサ4の放射コーン7の外側の部品2の中に配置される。電力供給ユニットはそれぞれの細長い発熱体14に電流を流すよう構成される。それぞれの細長い発熱体14は、典型的には電熱金属片または電熱金属線である。そして、除氷に必要な熱は電熱金属片または電熱金属線14におけるジュール効果によって作られる。
【0053】
好ましくは、それぞれの電熱金属片または電熱金属線14は誘電材料の層で被覆される、または誘電体保護・絶縁要素内に配置される(そのような誘電材料または要素は、分かりやすくするため図には示されていない)。誘電材料は屈折率および厚さを有する。誘電材料の厚さは有利には理想の厚さの0.8倍~1.2倍であり、理想の厚さは、入射角がゼロの電磁波6(正常な電磁波)に対しては、自然数にレーダーセンサ4により放射される電磁波6の波長を乗じて誘電材料の屈折率の2倍で割ったものに等しい。ある特定の例示の実施形態によれば、誘電材料の厚さは波長を屈折率の2倍で割ったものの0.8倍~1.2倍である。この厚さは、本発明のこの特定の特徴で取り得る最小値に対応するが、他の干渉を防ぐことを可能とする。
【0054】
細長い発熱体14のすべてまたは一部は、以下でより詳細に説明されるように、レーダーセンサ4の放射コーン7の中に配置される。レーダーセンサ4の放射コーン7の中に配置されるそれぞれの細長い発熱体14は、レーダーセンサ4により放射される電磁波6の電界の着目する方向P1に対して略垂直の方向に延びるように部品2に配置される。示される実施形態では、細長い発熱体14のこの伸長方向は横方向であり、図では前後軸Yに対応する。このようにして、電磁波6の着目する成分E1は、細長い発熱体14の伸長方向に対して垂直に延びるが、これらの発熱体14にはほとんど反射されず、ほぼ完全に除氷装置12の反対側へと伝達される。着目する成分E1に加えて、図1でレーダーセンサ4により放射される電磁波6の電界は、レーダーセンサ4の放射面により規定される平面S内に投影された場合にそれぞれが着目する方向P1以外の方向に延びる他の成分9a、9b、9cを含む。図1に示されるように、電磁波6のこれらの他の成分9a、9b、9cは細長い発熱体14により反射されて、除氷装置12の反対側へは伝達されない。これまで示されていない変形では、レーダーセンサが直線偏波されている場合、レーダーセンサ4により放射される電磁波6の電界は成分E1からなる。
【0055】
図1図4で示されるように、細長い発熱体14は同じ平面T内で延びる。この平面はレーダーセンサ4により放射される電磁波6の主伝搬方向D1に対して垂直に延びる。言い換えると、細長い発熱体14が配置される平面Tは、レーダーセンサ4の放射面により規定される平面Sと略平行に延びて、平面Sの前方にある。図1図4に示される特定の例示の実施形態では、細長い発熱体14は平面T内で互いに平行に延びる。細長い発熱体14のセット13は、グリッド偏波子を形成する。
【0056】
図1図3に示される本発明の第1実施形態によれば、細長い発熱体14のセット13はレーダーセンサ4の放射コーン7の中に配置される。細長い発熱体14は、隣接する2つの細長い発熱体14を隔てる距離d2が一定となる(そのような距離d2は図2では見えていて、この場合は軸Zの垂直方向で測定される)ように配置される。
【0057】
好ましくは、隣接する2つの細長い発熱体14を隔てる距離d2は、レーダーセンサ4により放射される電磁波6の波長より小さい。隣接する2つの細長い発熱体14を隔てる距離d2は、典型的には4mm未満であり、好ましくは2mm~4mmである。
【0058】
より好ましくは、細長い発熱体14のそれぞれの幅l2とレーダーセンサ4により放射される電磁波6の波長の比率は1/10より小さく、好ましくは1/10と略等しい(この場合、幅は軸Zの垂直方向で測定される)。細長い発熱体14のそれぞれの幅l2(図2では見えている)は、典型的には0.5mm未満であり、好ましくは0.4mmに略等しい。図2では、距離d2と幅l2は縮尺どおりには示されていないことに留意されたい。
【0059】
図4で示されている本発明の第2実施形態によれば、細長い発熱体14の第1サブセット16はレーダーセンサ4の放射コーン7の中に配置され、細長い発熱体14の第2サブセット18はレーダーセンサ4の放射コーン7の外側に配置される。第2サブセット18の細長い発熱体14は、レーダーセンサ4の放射コーン7の周縁へと延びる。第1サブセット16および第2サブセット18の細長い発熱体14は、レーダーセンサ4により放射される電磁波6の主伝搬方向D1に対して垂直である第2サブセット18から第1サブセット16への(それゆえ平面YZの中)、およびレーダーセンサ4の放射コーン7の外側から放射コーン7の中心への進行方向を考慮して、隣接する2つの細長い発熱体14を隔てる距離が一定ではなく距離が増大していくプロファイル関数に従うように、配置される。距離が増大していくプロファイル関数は、たとえば線形関数、または区分線形関数であり、たとえばステップ関数である。本発明の第2実施形態の第1の変形によれば、レーダーセンサ4の放射コーン7の内側では、第1サブセット16の細長い発熱体14は、隣接する2つの細長い発熱体14の間の距離がこれらの細長い発熱体が横方向でコーンの中心により近いほど増えるように、配置される。図4に示される第2実施形態の別の変形によれば、第1サブセット16の隣接する2つの細長い発熱体14を隔てる距離はレーダーセンサ4の放射コーン7の内側では一定である。
【0060】
好ましくは、第1サブセット16の隣接する2つの細長い発熱体14を隔てる最小距離は2mmより大きく、好ましくは3mmより大きい(この場合、距離は軸Zの垂直方向で測定される)。
【0061】
より好ましくは、第1サブセット16の隣接する2つの細長い発熱体14を隔てる最大距離はレーダーセンサ4により放射される電磁波6の波長より小さい。
【0062】
より好ましくは、第1サブセット16の細長い発熱体14のそれぞれの幅は0.5mm未満である(この場合、幅は軸Zの垂直方向で測定される)。この幅は、第1サブセット16の隣接する細長い発熱体のそれぞれに対して可変とすることができる。図4において、隣接する2つの細長い発熱体14を隔てる距離および細長い発熱体14のそれぞれの幅は縮尺どおりには示されていないことに留意されたい。
【0063】
上述された部品2の2つの実施形態では、隣接する2つの細長い発熱体の間の距離および細長い発熱体のそれぞれの幅は、細長い発熱体での電磁波6の反射を最小化し、ひいては発熱体の反対側へのこの電磁波6の伝達を最大化するように計算される。これらの2つのパラメータの計算は、レーダーセンサ4の偏波の種類と波長、および電磁波6の入射角に依存し、後ほど詳細に説明される。
【0064】
より詳細には、図3に示される部品2の構成は図5で等価電気回路により模式的に描かれている。細長い発熱体14の伸長方向に対して垂直な方向P1にレーダーセンサ4が垂直偏波されたこの等価電気回路では、パラメータYおよびBは次式(1)により与えられる。
【0065】
【数1】
ここで、
【数2】
であり、
dは隣接する2つの細長い発熱体14の間の距離、
aは細長い発熱体14の幅と距離dの合計、
λはレーダーセンサ4の波長、
θはレーダーセンサ4により放射される電磁波6の入射角、
である。
【0066】
電磁波6の入射角θが0度の場合、式(1)は次のようになる。
【0067】
【数3】
【0068】
図5の電気回路図から、電磁波6の反射率Rは複素数であり、次式(2)により与えられる。
【0069】
【数4】
【0070】
隣接する2つの細長い発熱体14の間の距離dおよび細長い発熱体14のそれぞれの幅a-dは、この反射率Rの係数を最小化するように計算される。
【0071】
本発明は例として上述された実施形態に限定されず、他の変形、特に細長い発熱体14のセットの少なくとも1つのサブセットはレーダーセンサ4の放射コーン7の中に配置されて、このサブセットの細長い発熱体14のそれぞれがレーダーセンサ4により放射される電磁波6の電界の着目する方向P1に対して略垂直の方向に延びるように、部品2に配置されるように構成される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のレーダーセンサ(4)の放射コーン(7)に対向して設置することを意図した自動車部品(2)であって、前記レーダーセンサ(4)は前記放射コーン(7)の中で電磁波(6)を放射するよう構成され、前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の電界は着目する方向(P1)に振動する成分(E1)を含み、前記電磁波(6)は主伝搬方向(D1)へ伝搬し、前記自動車部品(2)はその面(10)のうちの一つに前記自動車部品(2)を除氷する装置(12)を有し、
前記除氷装置(12)は細長い発熱体(14)のセット(13)を含み、前記細長い発熱体(14)の前記セットの少なくとも1つのサブセット(16)は、前記部品(2)が前記レーダーセンサ(4)に対向して設置される場合に前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)の中に配置され、前記部品(2)が前記レーダーセンサ(4)に対向して設置される場合に前記サブセット(16)の前記細長い発熱体(14)のそれぞれが前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記電界の前記着目する方向(P1)に対して略垂直の方向に延びるように前記部品(2)に配置されるように構成される、ことを特徴とする自動車部品(2)。
【請求項2】
前記細長い発熱体(14)は同じ平面(T)内で延びて、前記平面(T)は前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記主伝搬方向(D1)に対して垂直に延びる、請求項1に記載の自動車部品(2)。
【請求項3】
前記細長い発熱体(14)は前記平面(T)内で互いに平行に延びて、前記細長い発熱体(14)の前記セット(13)はグリッド偏波子を形成する、請求項2に記載の自動車部品(2)。
【請求項4】
前記細長い発熱体(14)は、隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる距離(d2)が一定となるように配置される、請求項3に記載の自動車部品(2)。
【請求項5】
隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる前記距離(d2)は、前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の波長より小さい、請求項4に記載の自動車部品(2)。
【請求項6】
隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる前記距離(d2)は5mm未満であり、好ましくは1mm~5mm、より好ましくは2mm~4mmである、請求項4に記載の自動車部品(2)。
【請求項7】
前記細長い発熱体(14)のそれぞれの幅(l2)と前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記波長の比率は1/10より小さい、請求項3に記載の自動車部品(2)。
【請求項8】
前記細長い発熱体(14)のそれぞれの前記幅(l2)は0.5mm未満であり、好ましくは0.4mmと略等しい、請求項7に記載の自動車部品(2)。
【請求項9】
前記細長い発熱体(14)の第1サブセット(16)は前記自動車部品(2)が前記レーダーセンサ(4)に対向して設置される場合に前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)の中に配置され、前記細長い発熱体(14)の第2サブセット(18)は前記部品(2)が前記レーダーセンサ(4)に対向して設置される場合に前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)の外側に配置され、前記第1サブセット(16)および前記第2サブセット(18)の前記細長い発熱体(14)は、前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記主伝搬方向(D1)に対して垂直である前記第2サブセット(18)から前記第1サブセット(16)への、および前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)の外側から前記放射コーン(7)の中心への進行方向を考慮して、隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる距離が一定ではなく距離が増大していくプロファイル関数に従うように、配置される、請求項2に記載の自動車部品(2)。
【請求項10】
前記距離が増大していくプロファイル関数は線形関数、または区分線形関数であり、たとえばステップ関数である、請求項9に記載の自動車部品(2)。
【請求項11】
前記細長い発熱体(14)の前記第1サブセット(16)の隣接する2つの前記細長い発熱体(14)を隔てる最小距離は2mmより大きく、好ましくは3mmより大きい、請求項9に記載の自動車部品(2)。
【請求項12】
前記細長い発熱体(14)の前記第1サブセット(16)の前記細長い発熱体(14)のそれぞれの幅は0.5mm未満である、請求項9に記載の自動車部品(2)。
【請求項13】
前記細長い発熱体(14)は電熱金属片または電熱金属線である、請求項1に記載の自動車部品(2)。
【請求項14】
前記電熱金属片または電熱金属線(14)のそれぞれは誘電材料の層で被覆される、または誘電体保護・絶縁要素の中に配置される、請求項13に記載の自動車部品(2)。
【請求項15】
前記誘電材料は屈折率と理想の厚さの0.8倍~1.2倍の厚さを有し、前記理想の厚さは、入射角がゼロの前記電磁波(6)に対しては、自然数に前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の前記波長を乗じて前記誘電材料の前記屈折率の2倍で割ったものに等しい、請求項14に記載の自動車部品(2)。
【請求項16】
前記自動車部品(2)は前記レーダーセンサ(4)を隠すためのスタイル部品である、請求項1に記載の自動車部品(2)。
【請求項17】
前記スタイル部品はロゴである、請求項16に記載の自動車部品(2)。
【請求項18】
前記自動車部品(2)は前記レーダーセンサ(4)が統合されている照明および/または信号伝達用の要素(1)を閉鎖する外側レンズである、請求項1に記載の自動車部品(2)。
【請求項19】
車両レーダーセンサ(4)と請求項1に記載の自動車部品(2)とを含み、前記レーダーセンサ(4)は放射コーン(7)の中で電磁波(6)を放射するよう構成され、前記レーダーセンサ(4)により放射される前記電磁波(6)の電界は着目する方向(P1)に振動する成分(E1)を含み、前記電磁波(6)は主伝搬方向(D1)に伝搬し、前記自動車部品(2)は前記レーダーセンサ(4)の前記放射コーン(7)に対向して設置される、組立品(1)。
【請求項20】
前記レーダーセンサ(4)は水平または垂直の偏波方向に偏波されるミリ波レーダーセンサである、請求項19に記載の組立品(1)。
【請求項21】
前記レーダーセンサ(4)は76GHz~81GHzの動作周波数を有する、請求項20に記載の組立品(1)。
【請求項22】
前記組立品(1)は車両の照明および/または信号伝達用の要素、特に車両用ヘッドライトである、請求項19に記載の組立品(1)。
【請求項23】
前記自動車部品(2)は、前記照明および/または信号伝達用の要素(1)を閉鎖する、前記要素(1)の外面を構成する外側レンズである、請求項22に記載の組立品(1)。
【国際調査報告】