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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】自動車の発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/43 20180101AFI20240905BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20240905BHJP
   F21S 41/265 20180101ALI20240905BHJP
   F21S 41/36 20180101ALI20240905BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20240905BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240905BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240905BHJP
【FI】
F21S41/43
F21S41/151
F21S41/265
F21S41/36
F21S41/663
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514030
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2022074362
(87)【国際公開番号】W WO2023031344
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】2109226
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】シルバイン、ジロー
(57)【要約】
本発明は自動車の発光装置(1)に関し、この発光装置はそれぞれが光源(31、32)と集光器(41、42)とを備える第1および第2サブモジュール(21、22)を含む第1発光モジュール(2)を含み、第1モジュールは、互いに対して垂直方向にオフセットされている上部カットオフ(LB11、LB12)を有する光線(F11、F12)において集光器により反射される光を投射するよう設計されているレンズ(51)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源(31)と前記第1光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第1集光器(41)とを備える第1サブモジュール(21)を含む第1発光モジュール(2)を含み、前記第1モジュールは第1上部カットオフ(LB11)を有する第1光線(F11)において前記第1集光器により反射される光を投射するよう設計されているレンズ(51)を含み、前記第1光線は前記レンズにより形成される前記第1集光器の前記反射面の像により形成され、前記第1発光モジュールは第2光源(32)と前記第2光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第2集光器(42)とを備える第2サブモジュール(22)を含み、前記レンズは第2上部カットオフ(LB12)を有する第2光線(F12)において前記第2集光器により反射される光を投射するよう設計されており、前記第2光線は前記レンズにより形成される前記第2集光器の前記反射面の像により形成され、前記第1サブモジュールおよび前記第2サブモジュールは、前記第1上部カットオフが前記第2上部カットオフに対して垂直方向にオフセットされていることを特徴とする、自動車の発光装置(1)。
【請求項2】
前記第1集光器(41)および前記第2集光器(42)のそれぞれは後端部(41a、42a)を有し、前記レンズ(51)は、前記レンズにより形成される前記第1集光器の前記後端部の前記像により形成される前記上部カットオフ(LB11)を前記第1光線(F11)が有するように、また前記レンズにより形成される前記第2集光器の前記後端部の前記像により形成される前記上部カットオフ(LB12)を前記第2光線(F12)が有するように設計され、前記第1集光器の前記後端部は前記第2集光器の前記後端部に対して垂直方向にオフセットされている、請求項1に記載の発光装置(1)。
【請求項3】
前記第1光源(31)および前記第2光源(32)は同じ支持物(6)に取り付けられる、請求項2に記載の発光装置(1)。
【請求項4】
前記レンズ(51)は、前記第2集光器(42)の前記後端部(42a)の付近に位置する焦点領域(51a)を有する、請求項2または3に記載の発光装置(1)。
【請求項5】
前記第1発光モジュール(2)は、それぞれが第1光源(31)と前記第1光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第1集光器(41)とを備える複数の第1サブモジュール(21)を含み、前記第1発光モジュールは、それぞれが第2光源(32)と前記第2光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第2集光器(42)とを備える複数の第2サブモジュール(22)を含み、前記第1サブモジュールおよび前記第2サブモジュールは互いに隣接して互い違いに配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【請求項6】
前記第1光源(31)および前記第2光源(32)のそれぞれを選択的に制御するよう設計されている制御部を含み、前記制御部は前記第1光源および前記第2光源の一方が消灯されている場合のみに前記第1光源および前記第2光源の他方を点灯するよう設計されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの平坦部を有する第3上部カットオフ(LB13)を含む第3光線を放射することができる第2発光モジュール(3)を含み、前記第1および第2発光モジュール(2、3)は、前記第3上部カットオフの前記平坦部が前記第2上部カットオフ(LB12)と揃えられるように設計されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【請求項8】
前記第2発光モジュールは第3光源(33)を含み、前記第1光源(31)、前記第2光源(32)、および前記第3光源(33)は同じ支持物(6)に取り付けられる、請求項7に記載の発光装置(1)。
【請求項9】
第3発光モジュール(4)であって、前記第1発光モジュール(2)の下に配置されて前記第1発光モジュールの前記第1サブモジュール(21)とまったく同じ第3サブモジュール(24)と、前記第1発光モジュールの前記第2サブモジュール(22)とまったく同じ第4サブモジュール(25)と、第4上部カットオフを有する第4光線において前記第3発光モジュールにより放射される光を投射し、第5上部カットオフを有する第5光線において前記第4発光モジュールにより放射される光を投射するよう設計されているレンズ(53)と、を含む第3発光モジュール(4)を含み、前記第3サブモジュールおよび前記第4サブモジュールは前記第4上部カットオフが前記第1上部カットオフ(LB11)と揃えられる、および/または重ねられて、前記第5上部カットオフは前記第2上部カットオフ(LB12)と揃えられる、および/または重ねられるように配置される、ことを特徴とする、請求項8に記載の発光装置(1)。
【請求項10】
少なくとも部分的に前記第2上部カットオフ(LB12)の上へ延びる第6光線を放射することのできる第4発光モジュール(5)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車照明の分野に関する。より詳細には、本発明は自動車の発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロービームタイプの照明を提供する光線を投射することのできる自動車発光装置が知られている。このタイプの光線は、概して全体的に平坦な上部カットオフを有するが、その形状は、これらの発光装置の認証に関連する様々な規則に応じて変わる。たとえば、欧州規則、ECE no.112では、具体的には全体的に平坦なカットオフに対して元の水平軸の0.57°下に位置することが要求され、上方へ投射されていなければならず、一方で米規格no.108では、具体的には全体的に平坦なカットオフに対してこの水平軸に重ねられることが要求され、上方への投射は要求されない。
【0003】
これらの規則のうちの一つに準拠する、単一の装置の異なるバージョンを設計するのを避けるため、それぞれが特定の発光モジュールを用いて作られる複数の異なる部分へ光線を分解することが知られている。したがって、第1発光モジュールは略平坦な上部カットオフを有する第1光線を提供することができて、一方で第2発光モジュールはキンク(kink)として知られる突き出た上部カットオフを有する第2光線を提供することができる。各発光モジュールは、これらの光線の垂直方向および水平方向の配向を変えることを可能とする調節手段を備え、その結果、適切な垂直方向の配向を有する第1光線と第2光線を組み合わせることで、欧州規則と米国規則のどちらか一方に準拠するロービームタイプの光線を得ることができる。たとえば、欧州において法令により定められるロービームタイプの光線を得るために、第1発光モジュールは第1光線の略平坦なカットオフが水平軸の0.57°下に位置するように調節することができて、第2発光モジュールは第2光線のカットオフの投光がこの略平坦なカットオフの上に位置するように調節することができる。それどころか、米国において法令により定められるロービームタイプの光線を得るために、第1発光モジュールは第1光線の略平坦なカットオフが水平軸上に位置するように調節することができて、第2発光モジュールは第2光線のカットオフの投光もこの水平軸上に位置するように調節することができる。
【0004】
しかし、この種類のソリューションは、工場において異なる光線の配向の機械的な調整が必要となり、これは面倒で特定の設備を必要とする。加えて、光線の配向は車両が走行している際、具体的には下手なハンドル操作、摩耗や振動の結果として位置ずれしやすく、このため新しい規則が必要となりうる。
【0005】
これらの欠点を除去するために発光装置が考案され、この発光装置は2つの発光モジュールを含み、この発光モジュールは、それぞれ略平坦な上部カットオフを有する光線を放射することができて、その垂直位置は一つの光線ごとに異なる。したがって、規則のうちのどちらか一方に従ってロービームタイプの光線を得るためには、同じ場所に存在する突出部を有する上部カットオフを有する光線とこれらの光線のうちの一つを組み合わせるためにこれらの発光モジュールのどちらか一方を作動させるので充分である。しかし、このソリューションは、これらのモジュールのうちの一つだけが点灯され、残りは消灯されたままであるという点で満足できるものではない。発光装置の点灯時の外観における均一性の欠如は魅力がないと見えることがあり、それゆえ問題をもたらす。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明はこの文脈に含まれ、その目的は、挙げられた様々なソリューションの欠点を除去しながら前述の要求を満たすことである。
【0007】
このため、本発明の主題は自動車の発光装置であり、この装置は、第1光源と第1光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第1集光器とを備える第1サブモジュールを含む第1発光モジュールを含み、第1モジュールは第1上部カットオフを有する第1光線において第1集光器により反射される光を投射するよう設計されているレンズを含み、前記第1光線は前記レンズにより形成される第1集光器の反射面の像により形成され、第1発光モジュールは第2光源と第2光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第2集光器とを備える第2サブモジュールを含み、前記レンズは第2上部カットオフを有する第2光線において第2集光器により反射される光を投射するよう設計されており、前記第2光線は前記レンズにより形成される第2集光器の反射面の像により形成され、第1および第2サブモジュールは、第1上部カットオフが第2上部カットオフに対して垂直方向にオフセットされていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一つの投射装置、つまり第1発光モジュールのレンズを介して、それぞれが略平坦な上部カットオフを有する2つの光線を提供することが可能であり、これらのカットオフは、たとえばこれらの光線が発光装置から25mに位置する単一の垂直スクリーン上に投射された場合に異なる高さに位置するが、2つのサブモジュールは同じ方法で調節される。したがって、これらの光線のそれぞれは、たとえば別の光線と組み合わされた場合は、特定の規則の要件に対応するロービームタイプの照明機能を提供することを可能とする。加えて、発光装置の点灯時の外観は一つの機能から他の機能まで同じままであり、第1発光モジュールは、提供することが望まれるロービームタイプの照明機能とは関係なく完全に点灯されたままである。
【0009】
有利には、第1および第2発光サブモジュールは、第1上部カットオフ、第2上部カットオフがそれぞれ略平坦な上部カットオフとなるように設計される。
【0010】
一実施形態によれば、発光装置から25mに位置する直交基準点が与えられた垂直スクリーンに第1光線が投射された場合、第1上部カットオフは前記基準点の水平軸の0.57°下に位置する。該当する場合、第2光線が発光装置から25mに位置する同じスクリーンに投射される場合、第1および第2サブモジュールの調節は変化せず、第2上部カットオフは前記基準点の水平軸にほぼ重ねられる。したがって、第1光線はEEC規則no.112の要件に対応するロービームタイプの照明機能の作成に関与することができて、一方で第2光線は米国規則種類FMVSS 108またはSAE規格の要件に対応するロービームタイプの照明機能の作成に関与することができる。第1発光モジュールは、別の光源と、この他の光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む別の集光器とを備える第3発光モジュールを含むと考えられ、前記レンズはこの他の集光器の反射面の像により形成される、前記レンズにより形成される像により形成される別の光線においてこの他の集光器により反射される光を投射するよう設計されており、この他の光線のカットオフも第1上部カットオフおよび第2上部カットオフに対して垂直方向にオフセットされている。
【0011】
有利には、第1および第2サブモジュールは発光装置の横軸に沿って、たとえば第1発光モジュールの前記レンズが沿って延びる横軸に沿って隣接して配置される。該当する場合、発光装置は、それぞれが第1集光器と第2集光器の両方を規定する少なくとも2つの空洞が形成されている部分を含むことができて、それぞれの空洞には規定する集光器の反射面を形成する反射コーティングがなされている。たとえば、前記集光器は、少なくともその一部が2つの集光器に共通である側縁部を含みうる。
【0012】
有利には、第1集光器および第2集光器のそれぞれは後端部を有し、レンズは、前記レンズにより形成される第1集光器の後端部の像により形成される上部カットオフを第1光線が有するように、また前記レンズにより形成される第2集光器の後端部の像により形成される上部カットオフを第2光線が有するように設計され、第1集光器の後端部は第2集光器の後端部に対して垂直方向にオフセットされている。
【0013】
たとえば、第1集光器および第2集光器のそれぞれの反射面は放物線形状または楕円形状を有することができる。好ましくは、反射面は前記形状の回転面である。有利には、前記レンズの光軸に平行な軸の周りに回転が行われる。一変形によれば、反射面は自由形状の面、スイープサーフェス、または非対称な面である。また、複数の区域を含みうる。
【0014】
好ましくは、第1光源および第2光源は、それぞれ第1集光器の前記反射面の焦点、第2集光器の前記反射面の焦点に位置する。該当する場合、後端部に沿った前記反射面により反射される光線は、前記レンズの光軸に対して平行である、または25°以下の傾斜角、好ましくは前記光軸に対して垂直な面上で10°以下の傾斜角を有する。
【0015】
有利には、第1光源および第2光源は同じ支持物、具体的には平坦な支持物に取り付けられる。該当する場合、前記支持物はプリント回路基板とすることができる。したがって、第1光源および第2光源は、同じ方向に光線を放射することができる。
【0016】
有利には、レンズは、第2集光器の前記後端部の付近に位置する焦点領域を有する。たとえば、レンズは、第1集光器および第2集光器の後端部を通って水平方向に通過し、第2集光器の後端部のみを通って垂直方向に通過する焦線を有することができる。この特徴によれば、第1発光モジュールのレンズに対する第1集光器の後端部のわずかなデフォーカスは許容されるが、この種の光学的配置は第1発光モジュールの異なる要素の互いに対する位置調整と比べて大きな公差を有するのでこれは問題ではない。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、第1発光モジュールは、それぞれが第1光源と第1光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第1集光器とを備える複数の第1サブモジュール、および、それぞれが第2光源と第2光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第2集光器とを備える複数の第2サブモジュールを含み、第1および第2サブモジュールは互いに隣接して互い違いに配置される。これらの特徴により、第1発光モジュールの点灯時の外観の均一性を強化することができる。
【0018】
この実施形態によれば、第1発光モジュールのレンズは、第1上部カットオフを有する第1光線において複数の第1集光器により反射される光を投射するよう設計され、この第1光線は前記レンズにより形成される複数の第1集光器の反射面の像により形成され、複数の第1カットオフはほぼ揃えられる、および/または重ねられ、また第1発光モジュールのレンズは、第2上部カットオフを有する第2光線において複数の第2集光器により反射される光を投射するよう設計され、この第2光線は前記レンズにより形成される複数の第2集光器の反射面の像により形成され、複数の第2カットオフはほぼ揃えられる、および/または重ねられて、第1カットオフに対して垂直方向にオフセットされている。
【0019】
有利には、第1および第2サブモジュールの組立品は発光装置の横軸に沿って、たとえば第1発光モジュールの前記レンズが沿って延びる横軸に沿って隣接して配置される。該当する場合、発光装置は、選択的に第1集光器と第2集光器のどちらか一方を規定する複数の空洞が形成されている部分を含むことができて、それぞれの空洞には規定する集光器の反射面を形成する反射コーティングがなされている。
【0020】
有利には、発光装置は第1光源および第2光源のそれぞれを選択的に制御するよう設計されている制御部を含み、制御部は前記第1光源および前記第2光源の一方が消灯されている場合のみに前記第1光源および前記第2光源の他方を点灯するよう設計されている。
【0021】
本発明の実施形態によれば、発光装置は、少なくとも1つの平坦部を有する第3上部カットオフを含む第3光線を放射することができる第2発光モジュールを含み、第1発光モジュールおよび第2発光モジュールは、第3上部カットオフの平坦部が第2上部カットオフと揃えられるように設計されている。該当する場合、したがって前記平坦部は投光を形成するために第1カットオフの上に位置する。したがってこの第3光線は、ECE R112規則に従って、またはFMVSS 108もしくはSAE規則に従ってロービームタイプの照明機能を提供するために、第1光線と第2光線のどちらか一方と同時に作動させることができる。
【0022】
好ましくは、第2発光モジュールは、装置の横軸に沿って第1発光モジュールに隣接して配置される。
【0023】
有利には、第2発光モジュールは、第3光源と第2発光モジュールの前記第3光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第3集光器とを備える少なくとも1つの発光サブモジュールを含み、第2発光モジュールは第2発光モジュールの第3集光器により反射される光を投射するよう設計されているレンズを含み、前記第3光線は前記レンズにより形成される第3集光器の反射面の像により形成される。該当する場合、第3集光器はセットバックの付いた後端部を有することができて、前記レンズは第3集光器の前記後端部の付近に位置する焦点領域を有することができて、その結果、第3光線の前記上部カットオフは前記レンズにより形成される第3集光器の後端部の像により形成される。
【0024】
有利には、第2発光モジュールは発光装置の横軸に沿って、たとえば第1発光モジュールおよび第2発光モジュールのレンズが沿って延びる横軸に沿って隣接して配置される複数のサブモジュールを含みうる。
【0025】
有利には、第2発光モジュールは第3光源を含み、第1光源、第2光源、および第3光源は同じ支持物、具体的には平坦な支持物、たとえば単一のプリント回路基板に取り付けられる。
【0026】
有利には、制御部は第1光源と第2光源のどちらか一方と同時に第3光源をオンにするよう設計される。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、発光装置は、第1発光モジュールの下に配置されて第1発光モジュールの第1サブモジュールとまったく同じ第3サブモジュールと第1発光モジュールの第2サブモジュールとまったく同じ第4サブモジュールと、第4上部カットオフを有する第4光線において第3発光モジュールにより放射される光を投射し、第5上部カットオフを有する第5光線において第4発光モジュールにより放射される光を投射するよう設計されているレンズと、を含む第3発光モジュールを含み、第3サブモジュールおよび第4サブモジュールは第4上部カットオフが第1上部カットオフと揃えられる、および/または重ねられて、第5上部カットオフは第2上部カットオフと揃えられる、および/または重ねられるように配置される。
【0028】
有利には、発光装置は、少なくとも部分的に第2上部カットオフの上へ延びる第6光線を放射することのできる第4発光モジュールを含む。
【0029】
好ましくは、第4発光モジュールは、装置の横軸に沿って第3発光モジュールに隣接して配置される。
【0030】
有利には、第4発光モジュールは、光源と第4発光モジュールの前記光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む集光器とを備える少なくとも1つの発光サブモジュールを含み、第4発光モジュールは第4発光モジュールの集光器により反射される光を投射するよう設計されているレンズを含み、前記第6光線は前記レンズにより形成される前記集光器の反射面の像により形成される。
【0031】
該当する場合、第3発光モジュールの第3サブモジュールおよび第4サブモジュールの集光器および光源は、第3発光モジュールおよび第4発光モジュールのレンズの光軸に対して、第4発光モジュールの発光サブモジュールの光源および集光器の反対側にある。
【0032】
有利には、第1発光モジュールおよび第2発光モジュールのレンズ、および任意選択で第3発光モジュールおよび第4発光モジュールのレンズは、発光装置の単一のレンズの異なる部分により形成される。
【0033】
これより本発明について複数の例と添付の図面を用いて説明するが、それらの例は本発明の範囲を例示するに過ぎず、本発明の範囲を決して限定しない。図面において、様々な図は以下を表す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態に係る発光装置の透視図を模式的かつ部分的に表す。
図2図1の発光装置の背面図を模式的かつ部分的に表す。
図3図1の装置の発光サブモジュールの断面図を模式的かつ部分的に表す。
図4図1の発光装置の発光サブモジュールのうちの一つにより放射される光線の等輝度線を表す。
図5図1の発光装置の発光サブモジュールのうちの別の一つにより放射される光線の等輝度線を表す。
図6図4の光線を用いて得られるロービームタイプの光線の等輝度線を表す。
図7図5の光線を用いて得られるロービームタイプの光線の等輝度線を表す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明において、異なる図に現れる、構造または機能に関して同一の要素は、特に指定のない限り、同じ参照番号が維持される。
【0036】
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置1の透視図を表す。図2は、発光装置1を背面図で表す。
【0037】
発光装置1は、第1発光モジュール2、第2発光モジュール3、第3発光モジュール4、および第4発光モジュール5を含む。
【0038】
第1発光モジュール2は、2つの第1サブモジュール21と、2つの第2サブモジュール22とを含み、これらの第1サブモジュール21および第2サブモジュール22は、発光装置1の横軸Yに沿って隣接して、互い違いに配置される。第2発光モジュール22のうちの一つはしたがって2つの第1発光モジュール21により囲まれ、第1発光モジュール21のうちの一つはしたがって2つの第2発光モジュール22により囲まれる。
【0039】
これらの第1サブモジュール21および第2サブモジュール22は、第1サブモジュール21はそれぞれが第1光源31とこの光源により放射される光を集めて反射する反射面を含む第1集光器41を、第2サブモジュール22はそれぞれが第2光源32とこの光源により放射される光を集めて反射する反射面を含む第2集光器42を備える。第1集光器41および第2集光器42は、それぞれ少なくとも1つの側縁部を含み、少なくともその一部はそれぞれ第2集光器と第1集光器41のうちの一つで共通であることが分かるであろう。
【0040】
また、第1発光モジュール2は、第1光線および第2光線のそれぞれにおいて第1集光器および第2集光器のそれぞれにより反射される光を投射するよう設計されているレンズ51も含む。
【0041】
図3は、第1発光モジュール2のサブモジュール21およびサブモジュール22の垂直平面XZでの断面図を表す。
【0042】
第1集光器41および第2集光器42は、それぞれが第1光源31、第2光源32がそれぞれ配置される空洞を規定する、垂直方向に切断された放物線形状または楕円形状を有する。第1光源31および第2光源32は単一のプリント回路基板6に取り付けられた発光ダイオードであり、したがって同じ方向Zに光線を放射することができる。プリント回路基板6は平坦であり、その結果、第1光源31および第2光源32はレンズ51の光軸X-Xから同じ距離に位置する。
【0043】
発光ダイオード31は集光器41の焦点に位置し、その結果、この発光ダイオード31により放射される光線は集光器41の反射面により、レンズ51の光軸X-Xに対する傾斜角に応じて25°以下、好ましくは10°未満で反射される。同様に、発光ダイオード32は集光器42の焦点に位置し、その結果、この発光ダイオード32により放射される光線は集光器42の反射面により、レンズ51の光軸X-Xに対する傾斜角に応じて25°以下、好ましくは25°未満で反射される。
【0044】
集光器41、42のそれぞれの反射面は、それぞれの発光ダイオード31、32により放射される光を集めて、この光を道路へ投射するよう設計されているレンズ51へ向けて反射する。したがって、第1発光サブモジュール21は第1光線F11を形成し、第2発光サブモジュール22は第2光線F12を形成する。図4は発光装置1から25mに位置する垂直スクリーンへの光線F11の投光を表し、直交基準系が与えられている。図5は発光装置1から25mに位置する垂直スクリーンへの光線F12の投光を表し、直交基準系が与えられており、第1サブモジュール21および第2サブモジュール22が調節されて図4のものに対して変化していない。
【0045】
このように、第1集光器41はそれぞれが後端部41aを、第2集光器42はそれぞれが後端部42aを有する。後端部41aはレンズ51の光軸X-Xに対して同じ高さに位置し、後端部42aはこの光軸X-Xに対して同じ高さに位置して、後端部41aに対して垂直方向にオフセットされていることが分かるであろう。これらの後端部42aは光軸X-X上にあると考えることができる。
【0046】
レンズ51は焦点領域、たとえば焦線51aを有し、この線は第1集光器41および第2集光器42の後端部41a、42aのすべてを経由して水平方向へ通り(この線はしたがって湾曲している)、第2集光器42の後端部42aのみを経由して垂直方向へ通って、第1集光器41の後端部41aの付近に留まる。
【0047】
したがって、レンズ51は集光器41、42のそれぞれの反射面の像を道路へ投影し、その結果、この投影により生じる光線F11はそれぞれが第1上部カットオフLB11を、光線F12はそれぞれが第2上部カットオフLB12を有し、この集光器の後端部41a、42aにより形成される点灯される領域と点灯されない領域を画定する。後端部41a、42aはそれぞれ略楕円形状を有し、その結果、第1上部カットオフLB11および第2上部カットオフLB12は略平坦である。
【0048】
後端部41a、42aが相対的に位置調整されることで、光線F11の複数の第1カットオフLB11は互いに揃えられ、光線F12の複数の第2カットオフLB12も同様に互いに揃えられるが、第2カットオフLB12は第1カットオフLB11に対して垂直方向上方へオフセットされている。したがって、記載される例では、第1上部カットオフLB11はそれぞれ前記基準系の水平軸H-Hの0.57°下に位置し、第2上部カットオフLB12はそれぞれ前記基準系の水平軸H-Hにほぼ重ねられる。
【0049】
第2発光モジュール3は、それぞれが光源33、集光器43、およびレンズ52を備える複数の発光サブモジュール23を含む。
【0050】
各サブモジュール23は、このサブモジュールの集光器43の形状、具体的には、レンズ51の光軸に対する第2集光器42の後端部42aの形状のように略楕円形状でレンズ52の光軸に対して略同一の高さに位置する後端部43aの形状を除いて、第1発光モジュール2のサブモジュール21、22と類似している。図6および図7に表されているように、各サブモジュール4の各集光器の像のレンズ52による投影により生じる光線の上部カットオフはしたがって平坦な上部LB13を有し、LB13は水平軸H-H、ひいては光線F12の第2カットオフLB12と揃えられるように、または光線F11の第1カットオフLB11の上へ延びるように設計されている。
【0051】
言い換えれば、光源31、33が同時に点灯され、光源32が消灯された場合、図6に表されているような光線を組み合わせることで、ECE R112規則に従ってロービームタイプの照明機能を提供することが可能となる。その一方で、光源32、33が同時に点灯され、光源31が消灯された場合、図7に表されているような光線を組み合わせることで、FMVSS 108またはSAEの規則に従ってロービームタイプの照明機能を提供することが可能となる。
【0052】
第2発光モジュール3は装置1の横軸Yに沿って第1発光モジュール2に隣接して配置され、この第2発光モジュール3のサブモジュール23は横軸Yに沿って互いに隣接して配置され、加えて、集光器43は集光器41、42と同じ方向に配置されているのが分かるであろう。したがって、光源31、32、33は単一のプリント回路基板6の上に配置することができて、集光器41、42、43は、それぞれがこれらの集光器のうちの一つを規定する空洞が形成されている発光装置の一つの部分により形成することができて、各空洞にはそれぞれが規定する集光器の反射面を形成する反射コーティングがなされている。
【0053】
図1および図2の例では、第3発光モジュール4はあらゆる点で第1発光モジュール2と同一であり、それぞれが光源34、集光器44、およびレンズ53とを備える複数の発光サブモジュール24と、それぞれが光源35、集光器45、およびレンズ53を備える複数の発光サブモジュール25を含む。したがって、第3発光モジュール4は、この第1発光モジュール2と同じ光線F11、F12を形成するよう設計される。この第3発光モジュール4の第1発光サブモジュールと第2発光サブモジュールの入れ替わりは、第1発光モジュール2のものに対して反転されていることだけは分かるであろう。
【0054】
そして、第4発光モジュール5は、それぞれが光源36、集光器46、およびレンズ54を備える複数の発光サブモジュール26を含む。第4発光モジュール4は、セグメント化された、またはピクセル化された光線を投射するよう設計され、この光線は少なくとも部分的に光線F12の第2上部カットオフLB12の上へ延びる。
【0055】
これらの発光モジュール2、3、4、5のレンズ51、52、53、54は、発光装置1の単一のレンズ7の異なる部分により形成されることが分かるであろう。
【0056】
発光装置は制御部(描写されていない)を含み、この制御部は所与の測光機能の放射命令を受信することができて、この命令に応答して、光を放射するように光源31、32、33、34、35、36を制御するように設計される。
【0057】
たとえば、欧州式ロービームタイプの機能の放射命令を受信している間、制御部は第1光源31、33、34を作動させ、発光装置が欧州式ロービームタイプの前記機能を提供する。米国式ロービームタイプの機能の放射命令を受信している間、制御部は光源32、33、35を作動させ、発光装置が米国式ロービームタイプの前記機能を提供する。
【0058】
また、ハイビームタイプの機能の放射命令を受信している間、制御部は光源31、33、34、36を作動させる。
【0059】
上述の説明は、本発明が設定した目的、すなわち、複数の特定の規則の要件に準拠するロービームタイプの照明機能を提供し、その動作モードとは関係なく点灯時の外観を同じに保つことのできる発光装置を得るという目的の実現をいかにして可能とするかを明確に説明している。
【0060】
いずれにしても、本発明は本明細書で具体的に記載された実施形態には限定されず、特にすべての等価な手段、および、技術的に実行可能なそれらの手段の任意の組み合わせにまで及ぶ。たとえば、説明されたもの以外の複数の種類の光学デバイス、具体的には反射器、レンズ、コリメータ、光導波路、遮蔽版の複数の光学素子のうちの一つまたは組み合わせを含む任意の光学デバイスを用いて想像することは可能である。また、他の形状、および/または他の大きさ、および/または光線の他の位置調整を想像することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源(31)と前記第1光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第1集光器(41)とを備える第1サブモジュール(21)を含む第1発光モジュール(2)を含み、前記第1発光モジュールは第1上部カットオフ(LB11)を有する第1光線(F11)において前記第1集光器により反射される光を投射するよう設計されているレンズ(51)を含み、前記第1光線は前記レンズにより形成される前記第1集光器の前記反射面の像により形成され、前記第1発光モジュールは第2光源(32)と前記第2光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第2集光器(42)とを備える第2サブモジュール(22)を含み、前記レンズは第2上部カットオフ(LB12)を有する第2光線(F12)において前記第2集光器により反射される光を投射するよう設計されており、前記第2光線は前記レンズにより形成される前記第2集光器の前記反射面の像により形成され、前記第1サブモジュールおよび前記第2サブモジュールは、前記第1上部カットオフが前記第2上部カットオフに対して垂直方向にオフセットされていることを特徴とする、自動車の発光装置(1)。
【請求項2】
前記第1集光器(41)および前記第2集光器(42)のそれぞれは後端部(41a、42a)を有し、前記レンズ(51)は、前記レンズにより形成される前記第1集光器の前記後端部の前記像により形成される前記上部カットオフ(LB11)を前記第1光線(F11)が有するように、また前記レンズにより形成される前記第2集光器の前記後端部の前記像により形成される前記上部カットオフ(LB12)を前記第2光線(F12)が有するように設計され、前記第1集光器の前記後端部は前記第2集光器の前記後端部に対して垂直方向にオフセットされている、請求項1に記載の発光装置(1)。
【請求項3】
前記第1光源(31)および前記第2光源(32)は同じ支持物(6)に取り付けられる、請求項2に記載の発光装置(1)。
【請求項4】
前記レンズ(51)は、前記第2集光器(42)の前記後端部(42a)の付近に位置する焦点領域(51a)を有する、請求項2に記載の発光装置(1)。
【請求項5】
前記第1発光モジュール(2)は、それぞれが第1光源(31)と前記第1光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第1集光器(41)とを備える複数の第1サブモジュール(21)を含み、前記第1発光モジュールは、それぞれが第2光源(32)と前記第2光源により放射される光を集めて反射するよう設計されている反射面を含む第2集光器(42)とを備える複数の第2サブモジュール(22)を含み、前記第1サブモジュールおよび前記第2サブモジュールは互いに隣接して互い違いに配置される、請求項1に記載の発光装置(1)。
【請求項6】
前記第1光源(31)および前記第2光源(32)のそれぞれを選択的に制御するよう設計されている制御部を含み、前記制御部は前記第1光源および前記第2光源の一方が消灯されている場合のみに前記第1光源および前記第2光源の他方を点灯するよう設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの平坦部を有する第3上部カットオフ(LB13)を含む第3光線を放射することができる第2発光モジュール(3)を含み、前記第1および第2発光モジュール(2、3)は、前記第3上部カットオフの前記平坦部が前記第2上部カットオフ(LB12)と揃えられるように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置(1)。
【請求項8】
前記第2発光モジュールは第3光源(33)を含み、前記第1光源(31)、前記第2光源(32)、および前記第3光源(33)は同じ支持物(6)に取り付けられる、請求項7に記載の発光装置(1)。
【請求項9】
第3発光モジュール(4)であって、前記第1発光モジュール(2)の下に配置されて前記第1発光モジュールの前記第1サブモジュール(21)とまったく同じ第3サブモジュール(24)と、前記第1発光モジュールの前記第2サブモジュール(22)とまったく同じ第4サブモジュール(25)と、第4上部カットオフを有する第4光線において前記第3発光モジュールにより放射される光を投射し、第5上部カットオフを有する第5光線において前記第4発光モジュールにより放射される光を投射するよう設計されているレンズ(53)と、を含む第3発光モジュール(4)を含み、前記第3サブモジュールおよび前記第4サブモジュールは前記第4上部カットオフが前記第1上部カットオフ(LB11)と揃えられる、および/または重ねられて、前記第5上部カットオフは前記第2上部カットオフ(LB12)と揃えられる、および/または重ねられるように配置される、ことを特徴とする、請求項8に記載の発光装置(1)。
【請求項10】
少なくとも部分的に前記第2上部カットオフ(LB12)の上へ延びる第6光線を放射することのできる第4発光モジュール(5)を含むことを特徴とする、請求項9に記載の発光装置(1)。
【国際調査報告】