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特表2024-533186バッテリーパック、及びこれを含む自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】バッテリーパック、及びこれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/211 20210101AFI20240905BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/291
H01M50/204 401F
H01M50/30
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6554
H01M10/653
H01M10/625
H01M50/588
H01M50/591 101
H01M50/289 101
H01M50/507
H01M50/293
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514064
(86)(22)【出願日】2023-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 KR2023007981
(87)【国際公開番号】W WO2023239216
(87)【国際公開日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0070539
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0055776
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ハ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウ-ヨン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】イン-ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ジュネ・チ
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012BB08
5H031AA09
5H031EE04
5H031KK01
5H040AA03
5H040AA07
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040DD04
5H043AA02
5H043AA04
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA22
5H043DA09
5H043FA04
5H043GA23
5H043GA25
5H043GA30
5H043KA45F
(57)【要約】
本発明のバッテリーパックは、複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記複数のパウチ型バッテリーセルを収納するパックケースと、前記複数のパウチ型バッテリーセルの少なくとも1つのパウチ型バッテリーセルの外部を部分的に取り囲んで開放部を形成するように構成されたセルカバーとを含み、前記パックケースは、前記開放部が位置する側に火炎遅延部を備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパウチ型バッテリーセルと、
内部空間に前記複数のパウチ型バッテリーセルを収納するパックケースと、
前記複数のパウチ型バッテリーセルの少なくとも1つのパウチ型バッテリーセルの外部を部分的に取り囲んで開放部を形成するように構成されたセルカバーと、を含み、
前記パックケースは、
前記開放部が位置する側に火炎遅延部を備えることを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項2】
前記火炎遅延部は、
前記少なくとも1つのパウチ型バッテリーセルで発生するガス及び火炎の直進性を低減して通過させるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記パックケースの内部空間は、
前記複数のパウチ型バッテリーセルを収納する収納空間と、
前記収納空間の周辺のベント空間とを含み、
前記火炎遅延部を通過したガス及び火炎を前記ベント空間を通して前記パックケースの外部に排出することを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記セルカバーは複数であり、
前記火炎遅延部は、
隣接する前記セルカバー間に対応する位置に備えられる隔離部と、それぞれの前記セルカバーの開放部に対応する位置に備えられる捕集部とを含むことを特徴とする、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記隔離部は、
少なくとも一部が前記収納空間と前記ベント空間との間に位置し、
前記捕集部は、前記ベント空間内に位置することを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記パックケースは、
前記火炎遅延部を収容するように構成された収容部を備えることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記火炎遅延部は、
前記パックケースと結合可能なように構成された結合部を備えることを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記火炎遅延部は、少なくとも一側端部の断面に波形状を含むくさび形構造物であることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記セルカバーは、
取り囲まれた前記パウチ型バッテリーセルの一側面をカバーする第1カバー部と、
取り囲まれた前記パウチ型バッテリーセルの他側面をカバーする第2カバー部と、
前記第1カバー部と前記第2カバー部とを連結し、取り囲まれた前記パウチ型バッテリーセルの一側をカバーする上側カバー部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記複数のパウチ型バッテリーセルは、それぞれ電極リードを備え、
前記セルカバーは、
前記第1カバー部の端部のうちの前記電極リードが備えられた側の端部と、前記第2カバー部の端部のうちの前記電極リードが備えられた側の端部とに前記開放部を形成することを特徴とする、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記バッテリーパックは、
前記開放部をカバーするサイドアセンブリをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記サイドアセンブリは、
少なくとも一部が前記セルカバーに挿入されることを特徴とする、請求項11に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記サイドアセンブリは、
前記電極リードを電気的に接続するように構成されたバスバーアセンブリと、
前記バスバーアセンブリの一側をカバーして取り囲まれた前記パウチ型バッテリーセルの少なくとも一部で発生するガスを排出できるように構成されたエンドカバーとを含むことを特徴とする、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記サイドアセンブリは、
絶縁のために、前記バスバーアセンブリと前記エンドカバーとの間に中間カバーを備えることを特徴とする、請求項13に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記サイドアセンブリは、
メッシュ部材を備えることを特徴とする、請求項11に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記バッテリーパックは、
前記セルカバーと前記パックケースとの間の空間、及び複数のパウチ型バッテリーセルとパックケースとの間の空間のうちの少なくとも一部の空間にサーマルレジンを備えることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記セルカバーは、
前記パウチ型バッテリーセルが前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に立設された状態で支持するように構成されたことを特徴とする、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項18】
前記セルカバーは、
前記第1カバー部の内側面及び第2カバー部の内側面のうちの少なくとも一部に絶縁コーティング層を含むことを特徴とする、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項19】
前記セルカバーは、
前記第1カバー部の外側面及び第2カバー部の外側面のうちの少なくとも一部に接着部材を含むことを特徴とする、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリーパック、及びこれを含む自動車に関し、より詳しくは、安定性などが向上したバッテリーパック、及びこれを含む自動車に関する。本出願は、2022年06月10日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0070539号、2023年04月27日付け出願の韓国特許出願第10-2023-0055776号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
各種モバイル機器と電気自動車、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)などに対する技術開発と需要が大幅に増加することにつれ、エネルギー源としての二次電池に対する関心と需要が急激に増加している。
【0003】
従来、二次電池としてニッケルカドミウム電池又はニッケル水素電池などが多く用いられていたが、最近ではニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんどないため充電及び放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いリチウム二次電池が多く用いられている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液とともに封止して収納する外装材、すなわち電池ケースとを備える。
【0005】
一般に、二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に組み込まれている缶型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに組み込まれているパウチ型電池とに分類される。
【0006】
最近では、電気自動車やエネルギー貯蔵システムのような中大型装置に駆動用やエネルギー貯蔵用としてバッテリーモジュールが広く用いられている。
【0007】
従来、バッテリーパックは、パックケース内部に1つ以上のバッテリーモジュールと、バッテリーモジュールの充放電を制御する制御ユニットとを含む。ここで、バッテリーモジュールは、モジュールケースの内部に複数のバッテリーセルを含む形態で構成される。すなわち、従来のバッテリーパックの場合、複数のバッテリーセル(二次電池)がモジュールケース内部に収納されてそれぞれのバッテリーモジュールを構成し、このようなバッテリーモジュールが1つ以上パックケース内部に収納されてバッテリーパックを構成する。特に、パウチ型電池の場合、重量が軽く、積層時にデッドスペース(dead space)が少ないというなどの多くの側面で利点を有しているが、外部からの衝撃に弱く、組立性が多少劣るという問題がある。よって、複数のセルをモジュール化してから、パックケースの内部に収納される形態でバッテリーパックが製造されることが一般的である。
【0008】
しかし、従来のバッテリーパックの場合、モジュール化などによって、エネルギー密度と組立性、冷却性などの面で不利になる可能性がある。特に、パウチ型バッテリーセルの場合、スウェリングが発生する場合があり、従来のバッテリーパックは、このようなスウェリング状況に適切に対応することが困難であるという問題がある。
【0009】
また、従来のバッテリーパックの場合、モジュール化などによって、エネルギー密度と組立性、冷却性などの面で不利になる可能性がある。
【0010】
また、従来のバッテリーモジュールやバッテリーパックの場合、熱イベントに弱い場合がある。特に、バッテリーモジュールやバッテリーパックの内部で熱イベントが発生した場合、熱暴走が起こることで火炎が発生し、ひどい場合には爆発に至る可能性があるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、スウェリング対応性能など多くの面に優れたバッテリーパック、及びこれを含む自動車を提供することである。
【0012】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、熱イベントが発生したとき、優れた安定性を確保できるバッテリーパック、及びこれを含む自動車を提供することである。
【0013】
特に、バッテリーパックの内部で熱イベントが発生したとき、火炎の強度を低下させ、逆流を制御することによって、隣接するバッテリーセルへの熱伝播を防止できるバッテリーパック、及びこれを含む自動車を提供することである。
【0014】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上記課題に限定されず、言及されていない他の課題は、以下に記載された発明の説明から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述したように課題を解決するための本発明の一態様によるバッテリーパックは、複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記複数のパウチ型バッテリーセルを収納するパックケースと、前記複数のパウチ型バッテリーセルの少なくとも1つのパウチ型バッテリーセルの外部を部分的に取り囲んで開放部を形成するように構成されたセルカバーとを含む。
【0016】
前記パックケースは、前記開放部が位置する側に火炎遅延部を備えることができる。
【0017】
前記火炎遅延部は、前記少なくとも1つのバッテリーセルで発生するガス及び火炎の直進性を低減して通過させるように構成され得る。
【0018】
前記パックケースの内部空間は、前記複数のパウチ型バッテリーセルを収納する収納空間と、前記収納空間の周辺のベント空間とを含むことができる。
【0019】
前記パックケースの内部空間は、前記火炎遅延部を通過したガス及び火炎を前記ベント空間を通して前記パックケースの外部に排出することができる。
【0020】
前記セルカバーは、複数存在し得る。
【0021】
前記火炎遅延部は、隣接する前記セルカバー間に対応する位置に備えられる隔離部と、それぞれの前記セルカバーの開放部に対応する位置に備えられる捕集部とを含むことができる。
【0022】
前記隔離部は、少なくとも一部が前記収納空間と前記ベント空間との間に位置し得る。
【0023】
前記捕集部は、前記ベント空間内に位置し得る。
【0024】
前記パックケースは、前記火炎遅延部を収容するように構成された収容部を備えることができる。
【0025】
前記火炎遅延部は、前記パックケースと結合可能なように構成された結合部を備えることができる。
【0026】
前記火炎遅延部は、少なくとも一側端部の断面に波形状を含むくさび形構造物であり得る。
【0027】
前記セルカバーは、取り囲まれた前記パウチ型バッテリーセルの一側面をカバーする第1カバー部と、取り囲まれた前記パウチ型バッテリーセルの他側面をカバーする第2カバー部と、前記第1カバー部と第2カバー部とを連結し、取り囲まれた前記パウチ型バッテリーセルの一側をカバーする上側カバー部とを含むことができる。
【0028】
前記複数のパウチ型バッテリーセルは、それぞれ電極リードを備えることができる。
【0029】
前記セルカバーは、前記第1カバー部の端部のうち前記電極リードが備えられた側の端部と、前記第2カバー部の端部のうち前記電極リードが備えられた側の端部とに前記開放部を形成することができる。
【0030】
前記バッテリーパックは、前記開放部をカバーするサイドアセンブリをさらに含むことができる。
【0031】
前記サイドアセンブリは、少なくとも一部が前記セルカバーに挿入され得る。
【0032】
前記サイドアセンブリは、前記電極リードを電気的に接続するように構成されたバスバーアセンブリと、前記バスバーアセンブリの一側をカバーして取り囲まれた前記パウチ型バッテリーセルの少なくとも一部で発生するガスを排出できるように構成されたエンドカバーとを含むことができる。
【0033】
前記サイドアセンブリは、絶縁のために前記バスバーアセンブリと前記エンドカバーとの間に中間カバーを備えることができる。
【0034】
前記サイドアセンブリは、メッシュ部を備えることができる。
【0035】
前記バッテリーパックは、前記セルカバーと前記パックケースとの間の空間、及び前記複数のパウチ型バッテリーセルとパックケースとの間の空間の少なくとも一部の空間にサーマルレジンを備えることができる。
【0036】
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルが前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に立設された状態で支持するように構成され得る。
【0037】
前記セルカバーは、前記第1カバー部の内側面及び第2カバー部の内側面のうちの少なくとも一部に絶縁コーティング層を含むことができる。
【0038】
前記セルカバーは、前記第1カバー部の外側面及び第2カバー部の外側面のうちの少なくとも一部に接着部材を含むことができる。
【0039】
本発明による自動車は、本発明によるバッテリーパックを含むことができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一態様によると、プラスチックカートリッジのような積層用フレームや別途のモジュールケースなどの構成を用いることなく、複数のパウチ型バッテリーセルをパックケース内部に安定に収納することができる。
【0041】
さらに、パウチ型バッテリーセルを用いたCTP(Cell To Pack)タイプのバッテリーパックをより効率的に実現することができる。すなわち、別途のモジュールケース内部にパウチ型バッテリーセルを収納し、このようなモジュールケースをパックケース内部に収納させるものではなく、パウチ型バッテリーセルを直接パックケース内部に収納させる形態でバッテリーパックを設けることができる。
【0042】
本発明のこのような構成によると、バッテリーパックの内部で熱イベントが発生したときに発生する火炎及びガスが開放部を通って火炎遅延部に向かうようになり、火炎及びガスが火炎遅延部に形成される一部の空間の間で連続して衝突するようになる。したがって、火炎及びガスの直進性が低下し、火炎及びガスの強度が低下した状態で排出することができる。また、火炎及びガスを排出しやすい位置に火炎遅延部を設けることで所望の方向へのガスの排出が可能となる。
【0043】
本発明の他の態様によると、セルカバーにサイドアセンブリが挿入される構造により、セルカバーとサイドアセンブリとが効率的に結合することができる。また、エンドカバーがパウチ型バッテリーセルのセルカバーで取り囲まれていない部分までカバーすることで、さらに安定に保護することができる。
【0044】
本発明のまた他の態様によると、パウチ型バッテリーセルでスウェリング又は熱暴走によるガス及び/又は火炎が発生する場合、第1ベント部を通してセルユニットの外部に排出することができる。したがって、サイドベントを誘導することで、ガス及び/又は火炎がセルカバーの開放された部分を通ってランダムに排出されることを防止することができる。
【0045】
本発明のまた他の態様によると、パウチ型バッテリーセルで発生し得る火炎の流れを中間カバーによって一次的に阻止できるため、火炎の強度を低下させ、第1ベント部への火炎の急激な排出を防止することができる。また、バスバーアセンブリとエンドカバーとの間の接触による短絡現象を防止することができる。
【0046】
このように本発明によると、スウェリング対応性能など多くの面に優れたバッテリーパック、及びこれを含む自動車を提供することができる。また、熱イベントが発生したときに優れた安全性を確保できるバッテリーパック、及びこれを含む自動車を提供することができる。
【0047】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明によるバッテリーパックを示す図。
図2】本発明によるバッテリーパックの分解斜視図。
図3】本発明によるバッテリーパックに含まれるパウチ型バッテリーセル及びセルカバーを示す図。
図4】本発明によるバッテリーパックに含まれる一部の構成要素を示す図。
図5】本発明によるバッテリーパックに含まれる火炎遅延部の例示的な形態を示す図。
図6】本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットで発生するガス及び火炎の経路を示す図。
図7】本発明によるバッテリーパックの一部断面を示す図。
図8図7の一部を拡大して示す図。
図9】本発明によるバッテリーパックの一部の構成要素を示す図。
図10】本発明によるバッテリーパックに含まれるバスバーアセンブリを示す図。
図11】本発明によるバッテリーパックに含まれるエンドカバーを示す図。
図12】本発明によるバッテリーパックに含まれる中間カバーを示す図。
図13】本発明によるバッテリーパックの一部断面を示す図。
図14】本発明による自動車を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されるものである。
【0050】
したがって、本明細書に記載された実施形態に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0051】
同一の図面符号は同一の構成要素を指称する。また、図面において、構成要素の厚さ、割合及び寸法は、技術的内容の効果的な説明のために誇張されたものである。
【0052】
本明細書で上下左右前後などの方向を示す用語が使用されたが、これらの用語は説明の便宜上のものであり、対象となる物体の位置や観察者の位置などによって変わり得ることは本発明の当業者に自明である。
【0053】
図1は、本発明によるバッテリーパックを示す図である。図2は、本発明によるバッテリーパックの一部の構成要素を分離して示す図である。図3は、本発明によるバッテリーパックに含まれるパウチ型バッテリーセル及びセルカバーを示す図である。
【0054】
図1から図3を参考すると、本発明によるバッテリーパック10は、複数のパウチ型バッテリーセル100、パックケース300及びセルカバー200を含む。
【0055】
パウチ型バッテリーセル100は、電極組立体、電解液及びパウチ外装材を含むことができる。パウチ型バッテリーセル100は、電極組立体を収納する収納部110、及び収納部110の周りから外側に延びるシール部120を備えることができる。パウチ型バッテリーセル100は、電極リード111を備えることができる。電極リード111は、パウチ外装材の両方向にそれぞれ引き出されるか、片側からのみ引き出される。図示の例において、電極リード111は、パウチ型バッテリーセル100の両方向に引き出されている(Y軸方向)。電極リード111が引き出されている方向をパウチ型バッテリーセル100の長手方向と定義でき、言い換えれば、電極リード111は、パウチ型バッテリーセル100の長手方向に沿ってそれぞれ前方と後方に引き出されているとも言える。
【0056】
図2及び図3を参照すると、このようなパウチ型バッテリーセル100は、セルカバー200で取り囲まれてセルユニットUを構成することができる。
【0057】
図2及び図3を参照すると、バッテリーパック10がこのようなセルユニットUを複数含むことで、パウチ型バッテリーセル100がバッテリーパック10に複数含まれ得る。複数のパウチ型バッテリーセル100は、少なくとも一方向に積層され得る。複数のパウチ型バッテリーセル100は、左右方向(X軸方向)に積層配置され得る。図3を参照すると、2つのパウチ型バッテリーセル100は左右方向に積層され、1つのセルユニットUを形成し、図2を参照すると、このようなセルユニットUが左右方向に3つ配置され、1×3の配列でパックケース300内に配置されている。
【0058】
セルカバー200は、少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100の外部を部分的に取り囲んで開放部Oを形成するように構成され得る。セルカバー200は、左右方向に積層された複数のパウチ型バッテリーセル100の一部を取り囲むように構成され得る。セルカバー200は、電極リード111が備えられた側に開放部Oを形成するように構成され得る。
【0059】
セルカバー200は、バッテリーパック10に含まれた複数のパウチ型バッテリーセル100をグループ化してユニット化するように構成され得る。1つのセルカバー200は、1つのセルユニットUを構成することができる。例えば、図3には1つのセルユニットUが示されており、図2には複数のセルユニットUが示されている。セルカバー200がパウチ型バッテリーセル100の少なくとも3面を取り囲むことができる。
【0060】
バッテリーパック10には複数のセルユニットUが含まれ、この場合、セルカバー200は、バッテリーパック10に複数含まれ得る。セルカバー200が2つ以上のパウチ型バッテリーセル100を取り囲む場合、バッテリーパック10には、パウチ型バッテリーセル100の数より少ない数のセルカバー200が含まれ得る。
【0061】
セルユニットUはセルバンクとも表現することができる。本発明によると、セルカバー200がセルバンク間を区画分離する形態であるため、セルバンクごとに熱暴走及び爆発を防止することができる。
【0062】
セルカバー200は、剛性を確保するために様々な材料で構成され得る。特に、セルカバー200は金属材料で構成され得る。このような金属材料の場合、パウチ型バッテリーセル100の積層状態をより安定に維持し、外部からの衝撃よりパウチ型バッテリーセル100をより安全に保護することができる。セルカバー200はSUS材料を備えることができる。例えば、セルカバー200は全体的にSUS材料でなり得る。
【0063】
隣接するセルカバー200の間にはサーマルバリアー(図示せず)をさらに含むことができる。サーマルバリアーは、断熱材料や火炎抑制材料のパッドの形態で構成することができ、望ましくは圧縮可能な材料で構成され得る。望ましくは、サーマルバリアーは、隣接するセルカバー200の間でセルカバー200と密着するように構成され得る。これによって、サーマルバリアーは、パウチ型バッテリーセル100で生じ得るスウェリング現象を抑制できるように構成され得る。また、サーマルバリアーは、熱暴走による火炎の拡散を遅延し、熱伝播を遮断するとともに、パウチ型バッテリーセル100で生じ得るスウェリング現象を抑制できるため、バッテリーパック10の構造的安定性をさらに確保することができる。
【0064】
セルカバー200は、剛性を確保するために様々な材料で構成され得る。特に、セルカバー200は金属材料で構成され得る。このような金属材料の場合、パウチ型バッテリーセル100の積層状態をより安定に維持し、外部からの衝撃よりパウチ型バッテリーセル100をより安全に保護することができる。セルカバー200はSUS材料を備えることができる。例えば、セルカバー200は全体的にSUS材料でなり得る。
【0065】
このように、セルカバー200が鋼材でなる場合、機械的強度及び剛性に優れるため、パウチ型バッテリーセル100の積層状態をより安定に支持することができる。また、この場合、外部からの衝撃、例えば針状体などによるパウチ型バッテリーセル100の損傷や破損をより効果的に防止することができる。さらに、この場合、パウチ型バッテリーセル100の取り扱いがより容易となり得る。また、溶融点が高いため、バッテリーセル100から火炎が発生した場合でも、全体的な構造を安定に維持することができる。アルミニウム材料に比べて融点が高いためで、バッテリーセル100から噴出された火炎によっても溶融せず、その形態を安定に維持することができる。よって、バッテリーセル100間における優れた火炎伝播の防止及び遅延効果、ベント制御効果を確保することができる。
【0066】
また、バッテリーセル100をセルカバー200で取り囲むことで、バッテリーセル100を強固な形態にすることが容易となり、パックケース300の内部で直接積層される構成をより容易に実現することができる。よって、バッテリーパック10の組立性と機械的安定性などを向上させることができる。
【0067】
本発明のこのような構成によると、プラスチックカートリッジのような積層用フレームや別途のモジュールケースなどの構成を用いることなく、複数のパウチ型バッテリーセル100をパックケース300の内部に安定に収納することができる。
【0068】
さらに、本発明の場合、パウチ型バッテリーセル100を用いたCTP(Cell To Pack)タイプのバッテリーパック10をより効率的に実現することができる。すなわち、別途のモジュールケース内部にパウチ型バッテリーセル100を収納し、このようなモジュールケースをパックケース300内部に収納するのではなく、パウチ型バッテリーセル100を直接パックケース300の内部に収納する形態でバッテリーパック10を設けることができる。このとき、パウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側が、セルカバー200外部に露出し、パックケース300と直接対向して配置され得る。
【0069】
したがって、本発明のこのような態様によると、バッテリーパック10にモジュールケースや積層用フレーム、セルの積層状態を維持するためのボルトなどの締結部材などをさらに備える必要がない。よって、モジュールケースや積層用フレームなどの他の構成要素が占める空間やそれによる公差を確保するための空間を除去し得る。したがって、他の構成要素が除去された空間だけバッテリーセル100がさらに空間を占めることができるため、バッテリーパック10のエネルギー密度がより向上することができる。
【0070】
また、本発明のこのような態様によると、モジュールケースや積層用フレーム、ボルトなどが備えられていないため、バッテリーパック10の体積や重量が減少し、製造工程を簡素化することができる。
【0071】
また、本発明のこのような態様によると、パウチ型バッテリーセル100の取り扱いがより容易となり得る。例えば、複数のパウチ型バッテリーセル100をパックケース300の内部に収納する場合、治具などによってパウチ型バッテリーセル100を把持することができる。このとき、治具は、パウチ型バッテリーセル100を直接把持することなく、パウチ型バッテリーセル100を囲んでいるセルカバー200を把持することができる。よって、治具によるパウチ型バッテリーセル100の損傷や破損を防止することができる。
【0072】
さらに、バッテリーパック10の冷却効率がより向上することができる。特に、本発明の一実施形態の場合、各バッテリーセル100の一部がパックケース300に直接露出するため、各バッテリーセル100の熱をパックケース300を介して外部に効果的に排出することができる。
【0073】
パックケース300は、内部に空間を形成してパウチ型バッテリーセル100を収納することができる。例えば、パックケース300は、第1ケース310、第2ケース320及びトップカバー330を備えることができる。第1ケース310は、上端が開放されたボックスの形態で構成され、内部空間に複数のパウチ型バッテリーセル100を収納することができる。第2ケース320は、上端が開放されたボックスの形態で構成され、内部空間に第1ケース310を収納することができる。トップカバー330は、第1ケース310及び第2ケース320の上端開放部をカバーするカバーの形態で構成され得る。一方、パックケース300は、上記のような構造に限定されるのでなく、第1ケース310と第2ケース320とが一体に結合された状態で、第1ケース310に相当する部分が内壁を、第2ケース320に相当する部分が外壁を構成する形態の二重壁構造であり得る。ただし、以下の説明では、パックケース300は、第1ケース310と第2ケース320とで構成される場合に限定して説明する。
【0074】
図4は、本発明によるバッテリーパック10に含まれる一部の構成要素を示す図である。図5は、本発明によるバッテリーパックに含まれる火炎遅延部の例示的な形態を示す図である。
【0075】
図4及び図5を参照すると、パックケース300は、火炎遅延部340を備えることができる。火炎遅延部340は、開放部Oが位置する側に備えられ得る。火炎遅延部340は、開放部Oと対向する第1ケース310の一側面上に備えられ得る。ここで、開放部Oは、セルユニットUのY軸延長方向に位置する側面を意味し得る。
【0076】
火炎遅延部340は、少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100で発生するガス及び火炎の直進性を低減させるように構成され得る。火炎遅延部340は、単なるプレート状でなく、火炎及びガスの排出方向に向かって規則的に凸状及び凹状をなす形状であり得る。よって、略フラット(flat)な形状のプレートで規則的に凸状及び凹状をなす部分の間に一部の空間が形成され得る。前記一部の空間には火炎及びガスが捕集され得る。例えば、図4に示されたように、火炎遅延部340は、一側端部の断面(Z軸方向に垂直な断面)が波形状を含むくさび形構造物であり得る。火炎遅延部340は、第1ケース310の内部に収納されたセルユニットUに対応する位置に備えられ得る。くさび形構造物は複数のくさび構造を含み、それぞれのくさび構造は、それぞれのセルユニットUに対応する位置で第1ケース310の外側面との間に一部の空間を形成するように構成され得る。
【0077】
図5に示されたように、火炎遅延部340は、規則的に凸状の部分340aと凹状の部分340bを有する略卵容器の形状のプレートであり得る。凹状の部分340bは内側に凹んだ部分であり、凸状の部分340aは、凹状の部分340bの周りに突出している部分であり得る。火炎遅延部340は、規則的な凸状及び凹状の部分がある形状であれば必ずしも図5に示されたものに限定されず、前記規則的な凸状及び凹状の部分が第1ケース310の外側面との間に一部の空間を形成するように構成され得る。例えば、無響室の内部に適用される様々な吸音くさび(wedge)のような三次元構造を火炎遅延部340に活用することができる。周知のように部屋を構成する壁、天井及び/又は底に吸音率の高い吸音材や吸音ブロックを設置し、部屋内部の空間で発生した音が壁、天井及び/又は底を通じて反射しないようにして、自由音場と類似の条件を有するように設計された部屋を無響室という。無響室に用いられる通常の吸音材としては、無響室の内側に突出した三角形の断面形状を有する吸音くさびが代表的である。火炎遅延部340も突出した三角形の断面形状を有することができる。
【0078】
火炎遅延部340は、高熱及び高圧に耐えることができるように、様々な材料で構成され得る。特に、火炎遅延部340は金属材料で構成され得る。このような金属材料の場合、火炎及びガスの強度を効果的に減少させることができる。
【0079】
火炎遅延部340は、少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100で発生するガス及び火炎が通過するように構成され得る。火炎遅延部340は、ガス及び火炎が通過するように孔を備えることができる。例えば、前記孔は、火炎遅延部340が孔あき板の形状のプレートで構成されることによって、規則的に設けられた複数の孔であり得る。
【0080】
図6は、本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットで発生するガス及び火炎の経路を示す図である。
【0081】
図6を参考して、本発明の火炎遅延部340による効果を詳しく説明する。
【0082】
バッテリーパック10の内部で熱イベントが発生したときに発生する火炎及びガスが、セルカバー200の開放部Oを通って火炎遅延部340に向かい、火炎及びガスの一部は、図6に点線の矢印で示された火炎及びガスの経路のように火炎遅延部340に形成された孔を通って排出され、残りの一部は、図6に実線の矢印で示された火炎及びガスの経路のように、火炎遅延部340に形成される一部の空間の間で連続して衝突する。したがって、一度にすべての火炎及びガスが火炎遅延部340を通ってて排出されるのではなく、排出経路に沿って時間差を置いて排出されることによって、火炎及びガスの強度が低下し得る。また、火炎及びガスが火炎遅延部340と第1ケース310の間に形成される一部の空間の間で連続して衝突することで、火炎及びガスの直進性が低下することによって、火炎及びガスの強度が低下した状態で排出することができる。さらに、火炎遅延部340は、火炎経路をガイドする役割も可能である。また、火炎及びガスを排出しやすい位置に火炎遅延部340を設けることで、所望の方向にガスを排出することができる。
【0083】
図3を再び参照すると、セルカバー200は、第1カバー部210、第2カバー部220及び上側カバー部230を備えることができる。
【0084】
図3を参照すると、第1カバー部210は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の一側面をカバーするように構成され得る。第1カバー部210は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の右側面(X軸に正の方向に位置する側面)をカバーするように構成され得る。第1カバー部210は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の収納部110及びシール部120をカバーすることができる。第1カバー部210はプレート状であり得る。
【0085】
第2カバー部220は、第1カバー部210と対向することができる。第2カバー部220は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の他側面をカバーすることができる。第2カバー部220は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の左側面(X軸の負の方向に位置する側面)をカバーするように構成され得る。第2カバー部220は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の収納部110及びシール部120をカバーすることができる。第2カバー部220はプレート状であり得る。
【0086】
セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100が第1カバー部210と第2カバー部220との間に立設された状態で支持するように構成され得る。第1カバー部210及び第2カバー部220は互いに並んで配置され得る。これによって、パウチ型バッテリーセル100が立設状態で左右方向に並んで積層された構成を安定に維持することができる。
【0087】
上側カバー部230は、第1カバー部210と第2カバー部220とを連結することができる。上側カバー部230は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の一側をカバーすることができる。上側カバー部230は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の収納部110の上部(Z軸の正の方向)をカバーすることができる。上側カバー部230はプレート状であり得る。
【0088】
第1カバー部210がシール部120をカバーする部分及び第2カバー部220がシール部120をカバーする部分の間にサイドアセンブリ(後述する図9のSを参照)が挿入され得る。第1カバー部210及び第2カバー部220は、上側カバー部230より電極リード111側にさらに突出した部分を有することができる。すなわち、セルカバー200は、収納部110の少なくとも3面を取り囲む「n」字状で、第1カバー部210及び第2カバー部220の一部のみがシール部120をカバーするように、上側カバー部230より第1カバー部210及び第2カバー部220の一部が突出した形状であり得る。
【0089】
第1カバー部210、第2カバー部220及び上側カバー部230のうち少なくとも一部は、互いに一体化した形状で構成され得る。第1カバー部210、第2カバー部220及び上側カバー部230は、1つのプレートを折り曲げて形成することができる。このようにセルカバー200を形成するために、1つのプレートに折曲部を形成する構成は、プレス(press)又はロールフォーミング(roll forming)のような様々な方式で実現することができる。本発明のこのような実施形態によると、セルカバー200をより簡単に製造し得る。或いは、第1カバー部210、第2カバー部220及び上側カバー部230は、それぞれ別に製造された後、接着、嵌合、溶接やボルト締めなどによって互いに結合し得る。
【0090】
セルカバー200は、バッテリーパック10に複数含まれ得る。この場合、セルカバー200の間には接着部材を介在することができる。例えば、2つのセルカバー200が互いに対向する部分である第1カバー部210及び/又は第2カバー部220には接着部材が介在され、これらの間を接着固定させることができる。このような接着構成を通じて、複数のセルカバー200間の連結構成をより堅固にすることができる。前記接着部材は、金属材料からなるセルカバー200間を絶縁できるように絶縁性のものであり得る。また、前記接着部材は熱伝導性のものであり得る。このような接着により、セルカバー200は、バッテリーセル100に堅固に結合し、バッテリーセル100で発生する熱をバッテリーセル100外部に排出するのに有用であり得る。
【0091】
セルカバー200は、内側面に絶縁コーティング層を含むことができる。前記絶縁コーティング層は、第1カバー部210の内側面及び/又は第2カバー部220の内側面にコーティングされ得る。前記絶縁コーティング層は、シリコン樹脂、ポリアミド(Polyamide)及びゴムのうちのいずれかの絶縁性素材をコーティング、塗布又は付着したものであり得る。前記絶縁コーティング層は、最低限のコーティング量で絶縁コーティング効果を最大限に高めることができる。また、前記絶縁コーティング層がセルカバー200の内側面に適用されており、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー200との間の絶縁性が強化し得る。
【0092】
図3において、1つのセルカバー200によって2つのパウチ型バッテリーセル100を取り囲んでいる場合が挙げられている。セルカバー200の幅、特に上側カバー部230の幅を調節することによて、1つのセルカバー200によって取り囲まれるパウチ型バッテリーセル100の数を必要に応じて1つ又は3つ以上に調節することもできる。これによって、セルユニットUは、SPU(scalable pouch unit)とも呼ばれ、バッテリーパック10の容量に応じて可変かつ拡張可能にパウチ型バッテリーセル100を収納するという利点がある。
【0093】
図7は、本発明によるバッテリーパック10の一部断面を示す図である。
【0094】
図7を参照すると、パックケース300は収納空間V1とベント空間V2を含むことができる。
【0095】
収納空間V1は、複数のパウチ型バッテリーセル100を収納することができる。収納空間V1は、第1ケース310の内部空間であり得る。
【0096】
ベント空間V2は、収納空間V1周辺に位置し得る。ベント空間V2は、第2ケース320の内部空間で第1ケース310が占める空間を除いた空間であり得る。ベント空間V2を収納空間V1の一側にのみ備えるか、収納空間V1の周辺の全体に備えることもできる。火炎遅延部340を通過した火炎及びガスは、ベント空間V2を通してパックケース300の外部に排出することができる。収納空間V1とベント空間V2は、火炎遅延部340を介して連通するように構成され得る。収納空間V1とベント空間V2とを区画することで、所望の方向にベント方向を制御することができるという利点がある。
【0097】
図8は、図7の一部を拡大して示す図である。
【0098】
図8を参照すると、火炎遅延部340は、隔離部341、捕集部342及び結合部343を備えることができる。
【0099】
セルカバー200が複数の場合、隔離部341は、隣接するセルカバー200の間に対応する位置に備えられ得る。隔離部341は、少なくとも一部が収納空間V1とベント空間V2との間に位置し得る。隔離部341は、少なくとも一部が収納空間V1とベント空間V2とを区画している第1ケース310内に位置し得る。
【0100】
捕集部342は、それぞれのセルカバー200の開放部Oに対応する位置に備えられ得る。ここで、開放部Oは、セルユニットUのY軸延長方向に位置する側面を意味し得る。捕集部342は、ベント空間V2内に位置し得る。捕集部342は、捕集部342と第1ケース310との間に一定空間を備えるように構成され得る。
【0101】
結合部343は、パックケース300と結合可能なように構成され得る。結合部343は、第1ケース310の内面と当接するように構成され得る。前記結合は、溶接又はボルト締め結合などにより行うことができる。
【0102】
図8を参照すると、パックケース300は、収容部311を備えることができる。
【0103】
図8及び図4を参照すると、収容部311は、火炎遅延部340を収容するように構成され得る。収容部311は、第1ケース310の火炎遅延部340を備える側面に備えられ得る。収容部311は、火炎遅延部340が挿入され得るように形成された開口であり得る。
【0104】
火炎遅延部340は、まず第1ケース310の内部空間で収容部311に向かって挿入することで収容部311に収容され得る。この場合、結合部343が第1ケース310の内側面にかかることで結合され得る。
【0105】
本発明のこのような構造によると、隔離部341によって、隣接するセルユニットUの間への火炎及びガスの移動を遮断することができる。したがって、このような構造によって、火炎及びガスの逆流を防止することができる。すでにバッテリーセル100から排出された火炎及びガスがバッテリーセル100側に戻りにくくなり逆流を防止することである。よって、バッテリーパック10の内部で熱イベントが発生したとき、熱イベントが発生したあるセルユニットUから他のセルユニットU内のバッテリーセル100に熱伝播することを効果的に防止することができる。また、火炎遅延部340とパックケース300との間の結合が容易になり得る。
【0106】
図9は、本発明によるバッテリーパックの一部の構成要素を示す図である。
【0107】
図9を参考すると、バッテリーパック10は、サイドアセンブリSをさらに含むことができる。
【0108】
サイドアセンブリSは、セルカバー200の開放部Oをカバーすることができる。サイドアセンブリSは、電極リード111が備えられた側に形成されたセルカバー200の開放部Oをカバーするように構成され得る。サイドアセンブリSは、少なくとも一部がセルカバー200に挿入され得る。サイドアセンブリSは、各セルユニットUに対して各セルカバー200で取り囲まれていない側面に備えられ得る。本実施形態において、セルカバー200がパウチ型バッテリーセル100の少なくとも3面を取り囲み、パウチ型バッテリーセル100で電極リード111が備えられた前方と後方、及びパウチ型バッテリーセル100の下部を露出している。したがって、サイドアセンブリSは、セルカバー200の前方と後方において、パウチ型バッテリーセル100で電極リード111が備えられた部分に備えられ得る。サイドアセンブリSは、少なくとも一部がセルカバー200の内側に挿入され得る。
【0109】
セルカバー200において、第1カバー部210及び第2カバー部220の一部が上側カバー部230より突出した形状であり得る。サイドアセンブリSの一部は上側カバー部230より突出し、残りの一部は、上側カバー部230より突出している部分の第1カバー部210の内側と第2カバー部220の内側に挿入されて接触していることもある。
【0110】
本発明のこのような構成によると、セルカバー200にサイドアセンブリSが挿入される構造により、セルカバー200とサイドアセンブリSとを効率的に結合することができる。
【0111】
図10は、本発明によるバッテリーパックに含まれるバスバーアセンブリを示す図である。図11は、本発明によるバッテリーパックに含まれるエンドカバーを示す図である。図12は、本発明によるバッテリーパックに含まれる中間カバーを示す図である。
【0112】
図10から図12、及び図9を参照すると、サイドアセンブリSは、バスバーアセンブリ400、中間カバー500及びエンドカバー600を含むことができる。
【0113】
バスバーアセンブリ400は、電極リード111を電気的に接続するように構成され得る。バスバーアセンブリ400は、電極リード111と接続するバスバー端子410、及びバスバー端子410が安着するように構成され、電極リード111を収容するリード収容部421を備えるバスバーフレーム420を含むことができる。
【0114】
バスバーアセンブリ400は、中間カバー500との結合のために溝422を備えることができる。溝422は、バスバーアセンブリ400のY軸の負の方向に位置する外側面上で凹状の形状を有し得る。
【0115】
エンドカバー600は、バスバーアセンブリ400の一側をカバーすることができる。エンドカバー600は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一部で発生するガスを排出できるように構成され得る。エンドカバー600は、第1ベント部610を備えることができる。第1ベント部610は、セルカバー200によって取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一部で発生するガス及び火炎を排出できるように構成され得る。
【0116】
第1ベント部610は、エンドカバー600を貫通する形態で単なる孔の形態であり得る。また、完全に開放されている形態だけでなく、完全に開放されず、通常の状態では閉鎖されており、圧力や温度などの変化に応じて開放可能な特定のデバイスであり得る。第1ベント部610は、例えば、一方向弁であり得る。このような第1ベント部610についての説明は、後述するパックケース300の第2ベント部301(図1の301を参照)にも同様に適用され得る。
【0117】
第1ベント部610は、メッシュ部材Mを備えることができる。メッシュ部材Mは、複数枚の多孔性金属板を重ね合わせた形態で設けられ、フレームアレスター(flame arrester)のような機能をするように構成され得る。ただし、メッシュ部材Mは、中間カバー500とエンドカバー600との間にメッシュプレートの形態で備えることもできる。
【0118】
本発明のこのような構成によると、パウチ型バッテリーセル100でスウェリング又は熱暴走によりガス及び火炎が発生する場合、エンドカバー600の第1ベント部610を通してセルユニットUの外部に排出することができる。したがって、サイドベントを誘導することで、ガス及び火炎がセルカバー200の開放された部分を通ってランダムに排出されることを防止することができる。このように開放部Oを含むセルカバー200と、このような開放部Oに結合されるエンドカバー600とを含めることで、ガスや火炎の方向を特定の方向にガイドすることができ、スウェリング対応性能に優れたバッテリーパック10を提供することができる。
【0119】
また、第1ベント部610は、セルカバー200の開放された部分をカバーするエンドカバー600に形成されるものであるため、第1ベント部610は、セルカバー200の開放された部分又はエンドカバー600がカバーしている領域よりは小さな面積を有するようになる。よって、エンドカバー600を備えていない場合に比べて、エンドカバー600を備える場合にベントガス又は火炎の排出角度を最小化し、火炎の伝播を最小化することができる。
【0120】
したがって、第1ベント部610を通って排出されるガス又は火炎は、火炎遅延部340に向かい、火炎遅延部340によるガス又は火炎の流れ遅延効果を最大限に高めることができる。上記で説明したように、第1ベント部610を通って排出されるガス又は火炎の一部は火炎遅延部340を直ちに通過して排出され、残りの一部は、第1ケース310と火炎遅延部340との間に形成される一部の空間で火炎遅延部340に連続して衝突することで、排出を遅延することができる。
【0121】
エンドカバー600はガイド部620を備えることができる。ガイド部620は、エンドカバー600のY軸の正の方向に位置する内側面の端部から所定の幅を有する面を形成するようにY軸の正の方向に突出した形状であり得る。ガイド部620は、セルカバー200とバスバーアセンブリ400との間に挿入して結合することができる。
【0122】
図9及び図12を参照すると、中間カバー500は、バスバーアセンブリ400の一側に備えられ得る。中間カバー500は、バスバーアセンブリ400とエンドカバー600との間に備えられ得る。中間カバー500は連通部510を備えることができる。中間カバー500はフック501を備えることができる。フック501は、中間カバー500のY軸の正の方向に位置する内側面上で突出した形状であり得る。
【0123】
中間カバー500は絶縁素材を含むことができる。前記絶縁素材は、バスバーアセンブリ400とエンドカバー600との間の電気的接続を遮断することができる。
【0124】
本発明のこのような構成によると、パウチ型バッテリーセル100で発生し得る火炎の流れを中間カバー500によって一次的に阻止するため、火炎の強度を低下させ、第1ベント部610への火炎の急激な排出を防止することができる。また、バスバーアセンブリ400とエンドカバー600との間の接触による短絡現象を防止することができる。
【0125】
以上の実施形態によってバッテリーパック10の組立過程を説明すると、セルカバー200でバッテリーセル100を取り囲んだ後、セルカバー200の開放された部分にバスバーアセンブリ400を挿入して組み立てる。バッテリーセル100の電極リード111をリード収容部421に貫通させた後に折り曲げ、溶接など公知の接合手段によりバスバー端子410に固定させる。バスバーアセンブリ400に中間カバー500を組み立てる。中間カバー500にエンドカバー600を組み立てる。次いで、エンドカバー600を溶接する。バスバーアセンブリ400、中間カバー500及びエンドカバー600の独特の結合構造によって、これらの間の結合を容易かつ効率的に行うことができる。
【0126】
図13は、本発明によるバッテリーパックの一部断面を示す図である。
【0127】
図13を参照すると、バッテリーパック10はサーマルレジンRを含むことができる。
【0128】
図13及び図2を参照すると、サーマルレジンRは、セルカバー200とパックケース300との間の空間、及び複数のパウチ型バッテリーセル100とパックケース300との間の空間のうちの少なくとも一部の空間に介在することができる。すなわち、サーマルレジンRは、セルユニットUとパックケース300との間の空間のうちの少なくとも一部の空間に介在することができる。サーマルレジンRは、互いに異なる構成要素の間で熱伝達性能を向上させることができる。サーマルレジンRは、互いに異なる構成要素間の接触熱抵抗を減少させるためのものである。サーマルレジンRを含むことで、パウチ型バッテリーセル100の熱排出性能をより向上させ、バッテリーパック10の冷却性能をより向上させるようにできる。
【0129】
図1を再び参照すると、パックケース300は、第2ベント部301を備えることができる。
【0130】
第2ベント部301は、図11などを参照して説明したエンドカバー600の第1ベント部610と連通し、パックケース300の内部に収納されたセルユニットUのうち少なくとも1つで発生するガス及び/又は火炎をバッテリーパック10外部に排出できるように構成され得る。第2ベント部301は、第1ベント部610から最も遠い位置に備えられることでガス及び火炎の移動経路を最大化し、効果的にガス及び火炎の強度を低下させることができる。図示の例において、第1ベント部610は、パックケース300のY軸方向の両端部に位置し得るので、第1ベント部610から最も遠い位置はパックケース300のY軸方向の中間位置である。第1ベント部610から排出されるガスや火炎は、第2ベント部301の位置までベント空間V2内を移動中に速度と温度が低下し、より危険の少ない状態でバッテリーパック10の外部に最終的に排出することができる。第2ベント部301についての詳しい説明は、前記第1ベント部610についての説明に置き換えることができる。
【0131】
上記の説明によると、バッテリーセル100が発火したとき、セルカバー200が最初の火炎方向を制御する。火炎遅延部340は、セルカバー200の開放部Oから排出されるガスと火炎の強度を低下させ、隣接する他のバッテリーセル100に逆流することを防止する。火炎遅延部340を通って排出されるガスと火炎は、エンドカバー600により排出角度が最小化し、さらに火炎の伝播を最小化することができる。このように、本発明のバッテリーパック10は、熱イベントが発生したとき、優れた安全性を確保することができる。
【0132】
本発明によるバッテリーパック10は、バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)とバッテリー遮断ユニット(Battery Disconnect Unit、BDU)をさらに含むことができる。BMSは、パックケース300の内部空間に取り付けられ、パウチ型バッテリーセル100の充放電動作やデータ送受信動作などを全般的に制御するように構成され得る。BMSは、バッテリーモジュール単位でなくバッテリーパック10単位に提供され得る。より詳しくは、BMSは、パック電圧及びパック電流によってパウチ型バッテリーセル100の充放電状態、電力状態及び性能状態などを制御するように設けられ得る。BMSは、バッテリーパック10内のバッテリーセル100の状態を推定し、推定した状態情報を用いてバッテリーパック10を管理する。例えば、バッテリーパック10のSOC(State Of Charge)、SOH(State Of Health)、最大入出力電力許容量、出力電圧などのバッテリーパック10の状態情報を推定して管理する。また、このような状態情報を用いてバッテリーパック10の充電及び放電を制御し、さらにバッテリーパック10の交換時期の推定も可能である。BDUは、バッテリーパック10の電力容量と機能を管理するためにバッテリーセル100の電気的接続を制御するように構成され得る。このためにBDUは、パワーリレーと電流センサー、ヒューズなどを含むことができる。BDUもバッテリーモジュール単位でなくバッテリーパック10単位に提供される構成であり、本発明の出願時点に公知の様々な遮断ユニットを採用することができる。
【0133】
これに加え、本発明によるバッテリーパック10は、本発明の出願時点に公知の様々なバッテリーパック10の構成要素をさらに含むことができる。例えば、本発明の一実施形態によるバッテリーパック10の場合、作業者が手作業でサービスプラグを分離して電源を遮断できるMSD(Manual Service Disconnector)をさらに含むことができる。また、上記で説明したようなn×n配置を有する複数のバッテリーセル100を互いに接続するためのフレキシブルバスバーやケーブルをさらに含むこともできる。
【0134】
ただし、本発明は、上述したバッテリーパック10に適用される構造をバッテリーモジュールに適用することができる。すなわち、パックケース300の構造をモジュールケースに適用して、モジュールケースに複数のセルユニットUを収納し、モジュールケースにベント部を備えるようにしてバッテリーモジュールで構成され得る。このようなバッテリーモジュールは、パックケース300の内部空間に1つ以上収納されるバッテリーモジュールであり、上述したような複数のパウチ型バッテリーセル100とセルカバー200とを含み、内部空間にパウチ型バッテリーセル100を収納するモジュールケース(上述したような本発明によるバッテリーパック10のパックケース300の構造をそのまま用いることができる)を含むことができる。
【0135】
本発明によるバッテリーパック10又はここで説明したバッテリーモジュールは、様々なデバイスに適用することができる。このようなデバイスは、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段が代表的であるが、本発明はこれらに限定されない。特にバッテリーパック10は、電気自動車用のバッテリーパック10として活用されるのに適している。また、ESSのエネルギー源として用いることもできる。
【0136】
図14は、本発明による自動車を示す図である。
【0137】
図14を参照すると、自動車1は、上述した本発明によるバッテリーパック10を含むことができる。また、本発明による自動車1は、このようなバッテリーパック10に加え、自動車1に含まれる他の様々な構成要素などをさらに含むことができる。例えば、本発明による自動車1は、本発明によるバッテリーパック10に加え、車体やモータ、ECU(electronic control unit)などの制御装置などをさらに含むことができる。
【0138】
バッテリーパック10は、自動車1内の所定の位置に配置され得る。バッテリーパック10は、電気自動車1のモータに駆動力を提供して自動車1を駆動させる電気エネルギー源として用いることができる。この場合、バッテリーパック10は、100V以上の高い公称電圧を有する。
【0139】
バッテリーパック10は、モータ及び/又は内燃機関の駆動に応じてインバーターによって充電及び放電することができる。バッテリーパック10は、ブレーキ(brake)と結合された回生充電装置によって充電することができる。バッテリーパック10は、インバーターにより自動車1のモータに電気的に接続することができる。
【0140】
このように、自動車1に備えられたバッテリーパック10は、自動車1の多くの動作に必要な電気エネルギーを提供することができる。また、バッテリーパック10は、上記で説明した様々な効果を有するため、これを含む自動車1もそのような効果を同様に有することができる。
【0141】
具体的な一例として、バッテリーパック10は、セルカバー200を含むことでモジュールケースを省略できるところ、高いエネルギー密度を有することができる。エネルギー密度は単位単位重量あたりに蓄えられるエネルギーの量を意味する。バッテリーパック10のエネルギー密度が増加すると、同じ重量である場合でもバッテリーパック10に貯蔵されたエネルギーがさらに多くなう。したがって、このようなバッテリーパック10を含む自動車1の場合、1回の充電による走行距離をさらに長くすることもでき、加速力をさらに速くすることもでき、さらに多くの積むこともでき、室内空間を広げることもできるなど多様に活用することができる。また、バッテリーパック10のエネルギー密度が増加すると、同じエネルギーである場合でもさらに軽くなる。バッテリーパック10が軽くなり、これを含む自動車1が軽くなると、加速力が向上しエネルギー効率が向上して耐久性も向上するなど、多くの利点を有するようになる。
【0142】
具体的な他の例として、バッテリーパック10は高い安全性を有することができる。自動車1は人命に直結する物であるため、安全性は絶対に譲れないものである。パウチ型バッテリーセル100は、リチウムの物理的特性上火災の危険が常に存在する。しかし、本発明によるバッテリーパック10は、セルカバー200を含むことで、パウチ型バッテリーセル100で熱イベントが発生しても、他の部分に伝播することを遮断することができる。したがって、バッテリーパック10を含む自動車1は、火災に対する安全性を確保することができる。
【0143】
以上のように、本発明は添付された図面を参照して好適な実施形態を中心に説明されたが、当業者でればこのような記載より本発明の範疇からずれることなく多くの様々な自明な変形が可能であることは明らかである。したがって、本発明の範疇は、このような多くの変形例を含むように記載された特許請求の範囲によって解釈されるものである。
【符号の説明】
【0144】
1:自動車
10:バッテリーパック
U:セルユニット
100:バッテリーセル
111:電極リード
110:収納部
120:シール部
200:セルカバー
210:第1カバー部
220:第2カバー部
230:上側カバー部
300:パックケース
301:第2ベント部
310:第1ケース
311:収容部
V1:収納空間
320:第2ケース
V2:ベント空間
330:トップカバー
340:火炎遅延部
341:隔離部
342:捕集部
343:結合部
S:サイドアセンブリ
400:バスバーアセンブリ
410:バスバー端子
420:バスバーフレーム
421:リード収容部
422:溝
500:中間カバー
510:連通部
501:フック
600:エンドカバー
610:第1ベント部
620:ガイド部
M:メッシュ部材
R:サーマルレジン
O:開放部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】