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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】WiFi感知メッシュネットワーク
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/56 20060101AFI20240905BHJP
   G01V 3/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01S13/56
G01V3/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514100
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 SG2021050812
(87)【国際公開番号】W WO2023033712
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10202109485W
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524079203
【氏名又は名称】ナミ エーアイ プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NAMI AI PTE LTD.
【住所又は居所原語表記】3 Temasek Avenue, Centennial Tower, #17-05, Singapore 039190, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】グレブ ヴォドヴォゾヴ
【テーマコード(参考)】
2G105
5J070
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB11
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH01
2G105HH04
5J070AB20
5J070AC01
5J070AE09
5J070AF01
5J070BD02
(57)【要約】
場所を監視するための感知システムは、場所内に配置された複数のメッシュデバイスを含む。各メッシュデバイスは、活性化されるとメッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されるとメッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含む。メッシュデバイスのうち少なくとも2つは活性化受信器部品を有する。活性化された受信器部品を有する各メッシュデバイスは、複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように、構成ツールにより構成される。選択されるメッシュデバイスは、構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有する。感知されたデータは、送信器デバイスにより送信された無線信号から生成され、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
場所を監視するための感知システムであって、前記システムは、
前記場所に配置された複数のメッシュデバイスを含み、各メッシュデバイスは、活性化されると前記メッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されると前記メッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含み、前記メッシュデバイスの少なくとも2つは受信器部品を活性化し、
活性化された受信器部品を有する各メッシュデバイスは、前記複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように、構成ツールにより構成され、前記選択されたメッシュデバイスは、前記構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有し、前記感知されたデータは、前記送信器デバイスにより送信された無線信号から生成され、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信される、感知システム。
【請求項2】
前記構成ツールが、第1の受信器デバイスに実装され、前記構成ツールが、
前記第1の受信器デバイスへ送信するための少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように、及び
前記選択された少なくとも1つの他のメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するために前記第1の受信器デバイスを構成するように
動作可能である、請求項1に記載の感知システム。
【請求項3】
リモートコンピューティングサーバを更に含み、前記構成ツールが前記リモートコンピューティングサーバにおいて実装され、前記構成ツールが、前記受信器デバイスのデバイス毎に、
活性化された送信器部品を有する前記少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように、及び
前記選択された少なくとも1つの他のメッシュデバイスから、感知されたデータを受信するために前記受信器デバイスを構成するように
動作可能である、請求項1に記載の感知システム。
【請求項4】
感知モードで前記感知データを処理するための感知モードエンジンを更に含む、請求項1に記載の感知システム。
【請求項5】
前記感知モードエンジンが、
前記受信された感知されたデータと前記前に感知されたデータとの間に差があるかどうかを判断するために、前記受信された感知されたデータと前記前に感知されたデータとを比較するように、及び
前記受信された感知されたデータと代表的な前記前に感知されたデータとの間に差があると判断される場合、応答行動をトリガするように
構成される、請求項4に記載の感知システム。
【請求項6】
前記感知モードエンジンが、更に、
前記差が閾値感知モード期間を越える期間の間続いたかどうかを判断するように、及び
前記期間が前記閾値感知モード期間を越える場合、前記応答行動をトリガするように
構成される、請求項5に記載の感知システム。
【請求項7】
前記感知モードエンジンが、リモートコンピューティングサーバにおいて実装される、請求項4に記載の感知システム。
【請求項8】
前記受信器デバイスの各々が、前記感知モードエンジンを実施するように構成される、請求項4に記載の感知システム。
【請求項9】
第2の感知モードにおいて前記感知されたデータを処理するための第2の感知モードエンジンを更に含む、請求項4に記載の感知システム。
【請求項10】
前記選択されたメッシュデバイス毎に、前記感知モード及び前記第2の感知モードのうちの1つ又は複数が、前記感知されたデータを処理するための前記構成ツールにより選択される、請求項9に記載の感知システム。
【請求項11】
前記複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つが、活性化された受信器部品及び活性化された送信器部品を有する、請求項1に記載の感知システム。
【請求項12】
前記構成ツールを含み、前記構成ツールが、構成判断基準に基づき前記少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように構成され、前記構成判断基準が閾値信号特性を定義する、請求項1に記載の感知システム。
【請求項13】
第2の感知モードにおいて前記感知されたデータを処理するための第2の感知モードエンジンを更に含み、前記構成判断基準が、前記感知モード及び前記第2の感知モードについて異なる、請求項12に記載の感知システム。
【請求項14】
前記構成ツールを含み、前記構成ツールが、前記感知システムの別の受信器デバイスのために選択された送信器デバイスに基づき前記少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように構成される、請求項1に記載の感知システム。
【請求項15】
前記構成ツールを含み、前記構成ツールが、前記受信器デバイスの処理能力に基づき前記少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
前記構成ツールが、更に、
メッシュデバイスがネットワークに接続されていないということを判断するように、
活性化された受信器部品及び活性化された送信器部品を有し前記ネットワークに接続された、少なくとも1つのメッシュデバイスであって、切り離されたメッシュデバイスから信号を受信する、少なくとも1つのメッシュデバイスを判断するように、及び
前記少なくとも1つのメッシュデバイスをプロキシデバイスとして構成するように
構成され、前記プロキシデバイスが、前記切り離されたメッシュデバイスへデータパケットを送信するために、前記切り離されたメッシュデバイスから処理のための感知されたデータを受信するように構成される、請求項3に記載の感知システム。
【請求項17】
前記構成ツールが、更に、
前記第1の受信器デバイスにおいて前記切り離されたメッシュデバイスから受信された信号に基づき、メッシュデバイスがネットワークに接続されていないということを判断するように、及び
前記第1の受信器デバイスをプロキシデバイスとして構成するように
構成され、前記プロキシデバイスが、前記切り離されたメッシュデバイスへデータパケットを送信するために、前記切り離されたメッシュデバイスから処理のための感知されたデータを受信するように構成される、請求項2に記載の感知システム。
【請求項18】
前記構成ツールが更に、前記切り離されたメッシュデバイスから受信された前記信号の特徴がプロキシ判断基準を満足するかどうかを判断するように構成され、前記プロキシ判断基準が満足される場合、前記受信器デバイスをプロキシデバイスとして構成する、請求項16に記載の感知システム。
【請求項19】
前記構成ツールは更に、前記切り離されたメッシュデバイスから受信された前記信号の特徴がプロキシ判断基準を満足するかどうかを判断するように構成され、前記プロキシ判断基準が満足される場合、前記第1の受信器デバイスを前記プロキシデバイスとして構成する、請求項17に記載の感知システム。
【請求項20】
前記感知モードエンジンが、前記受信された感知されたデータと前記前の感知されたデータとの差に基づき前記場所内の擾乱の位置を判断するように構成される、請求項5に記載の感知システム。
【請求項21】
前記感知モードエンジンが、第2の送信器デバイスから送信された前記受信された感知されたデータを考慮に入れることにより前記応答行動をトリガするように構成される、請求項5に記載の感知システム。
【請求項22】
場所を監視するためのシステムの機能を実施するために行われる工程を含むコンピュータ実施方法であって、前記システムは、前記場所に配置された複数のメッシュデバイスを含み、各メッシュデバイスは、活性化されると前記メッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されると前記メッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含み、前記メッシュデバイスの少なくとも2つは、活性化された受信器部品を有し、活性化された受信器部品を有する各メッシュデバイスは、前記複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように、構成ツールにより構成され、前記選択されたメッシュデバイスは前記構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有し、前記感知されたデータは、前記送信器デバイスにより送信された無線信号から生成されて、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信され、前記方法は、
前記少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択すること、及び
前記選択された他のメッシュデバイスから処理するための感知されたデータを受信するように前記受信器デバイスを構成すること
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項23】
非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体上に格納されたコンピュータプログラムであって、1つ又は複数のプロセッサ上で実行されると、場所を監視するためのシステムの機能を実施するように構成されたコンピュータプログラムであって、前記システムは前記場所に配置された複数のメッシュデバイスを含み、各メッシュデバイスは、活性化されると前記メッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されると前記メッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含み、前記メッシュデバイスの少なくとも2つは活性化された受信器部品を有し、活性化された受信器部品を有する各メッシュデバイスは、前記複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように、構成ツールにより構成され、前記選択されたメッシュデバイスは前記構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有し、前記感知されたデータは、前記送信器デバイスにより送信された無線信号から生成され、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信される、コンピュータプログラム。
【請求項24】
場所を監視するための感知システムを構成するためのコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスは前記場所に配置された複数のメッシュデバイスを含み、各メッシュデバイスは、活性化されると前記メッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されると前記メッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含み、前記メッシュデバイスの少なくとも2つは活性化された受信器部品を有し、活性化された受信器部品を有する各メッシュデバイスは、前記複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように、構成ツールにより構成され、前記選択されたメッシュデバイスは前記構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有し、前記感知されたデータは、前記送信器デバイスにより送信された無線信号から生成され、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信され、前記コンピュータデバイスは、
少なくとも1つのプロセッサと、
指令を格納するメモリと、を含み、前記指令は、前記少なくとも1つのプロセッサ上で実施されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択すること、及び
前記選択された他のメッシュデバイスから感知されたデータを受信するように前記受信器デバイスを構成すること
を行わせる、コンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線感知メッシュネットワークを含む感知システムと、無線感知メッシュネットワークを構成する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
Wi-Fi(最も一般的に使用される無線ネットワークプロトコルのうちの1つ)は、通常、デバイスの無線インターネットアクセス及びローカルエリアネットワーキングに関連する。何百億の接続されたデバイスから構成される世界中のWi-Fi使用可能ネットワークの数の増加は、無線インターネットアクセス及び通信を提供すること以外のWi-Fi技術のアプリケーションの可能性の新たな範囲を切り開いてきた。Wi-Fi信号の1つの有望且つ有形アプリケーションは、運動感知のために使用するアプリケーションである。
【0003】
Wi-Fi感知は、場所を監視するための代替的方法として近年にわたって開発されてきた。Wi-Fi感知は他の感知解決策を越える様々な利点を有する。いくつかの形式では、Wi-Fi感知は、いかなる余分なハードウェアも必要としないが、場所内の既存WiFiルータ及びWiFi使用可能デバイスに依存し得る。例えば、現行レーダシステムが複雑且つ高価である専用アンテナ及び送受信器を必要とする一方で、感知Wi-Fiは、セル電話、PC、及びメッシュWi-Fiシステムのような既存デバイスを使用する。ユーザは、そのセットアップをWi-Fi感知解決策へ変換するために必要とされるソフトウェアを設置するだけでよい。
【0004】
無線信号(例えばWiFi信号)は、信号特性の変化を監視することによりエンティティを感知するために使用され得る。存在検出における無線信号の使用は、いかなるカメラも使用される必要がないという利点を有し、したがって、感知されている者のプライバシーが維持される。
【0005】
Wi-Fi信号は、壁を貫通し、視線(LOS:line-of-sight)外操作(セキュリティ監視アプリケーションのための重要な考慮)を可能にする。
【0006】
Wi-Fi感知は、Wi-Fiの近ユビキタス性質のおかげで生来的に費用効率が高い。Wi-Fiは広範に広がるので、インフラストラクチャは既に適所にある。IoT(モノのインターネット:Internet of Things)が感知システムのための完全エコシステムを提供するので、新しいエコシステムを構築する必要性がない。
【0007】
Wi-Fi感知は驚くほど精確であることが分かった。チャネル状態情報(CSI:Channel State Information)が、Wi-Fiネットワークを介し接続された通常デバイスから情報を送受信するために使用されるパケット及び信号から収集される。この技術は、いかなる追加特殊信号も必要としないし、Wi-Fiを使用する際のネットワーク性能又はユーザ経験も劣化させない。
【0008】
WiFiデバイス同士はローカルネットワーク内で接続される。図4Aは、WiFi感知ネットワーク内で使用される既知ネットワークトポロジーを示す。
【0009】
図4Aは、ハブベース(又はスター)トポロジーを示す。ここでは、環境内に配備された4つのビーコン、又は送信器デバイス102の各々から信号フレームを受信する、受信器104として働く中央ハブが存在する。ハブはまた、運動を検出するために感知モードエンジンを実装する。
【0010】
このようなトポロジーでは、ハブは多数のCSIストリームを処理する。したがって、ハブは、入力ストリームを処理するために十分なハードウェアを有する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上に記載された図4Aのトポロジーは、単一障害点(ハブ)に悩まされる。したがって、改善された感知ネットワークの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によると、場所を監視するための感知システムが提供され、本システムは、場所に配置された複数のメッシュデバイスを含み、各メッシュデバイスは、活性化されるとメッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されるとメッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含み、メッシュデバイスの少なくとも2つは受信器部品を活性化し;活性化された受信器部品を有する各メッシュデバイスは、複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように、構成ツールにより構成され、選択されたメッシュデバイスは、構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有し、感知されたデータは、送信器デバイスにより送信された無線信号から生成され、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信される。
【0013】
本明細書において開示されるシステムは、場所内の感知のためのスケーリング可能、構成可能、及び調整可能なアーキテクチャを提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、構成ツールは第1の受信器デバイスにおいて実装され得、構成ツールは、第1の受信器デバイスへ送信するための少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように、及び、選択された少なくとも1つの他のメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するために第1の受信器デバイスを構成するように動作可能であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、システムは更に、リモートコンピューティングサーバを含み得、構成ツールはリモートコンピューティングサーバにおいて実装され得、構成ツールは、受信器デバイスの受信器デバイス毎に、活性化された送信器部品を有する少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように動作可能であり得、選択された少なくとも1つの他のメッシュデバイスから、感知されたデータを受信するために受信器デバイスを構成するように動作可能であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムは更に、感知モードで感知されたデータを処理するための感知モードエンジンを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、感知モードエンジンは、受信された感知されたデータと前記前に感知されたデータとの間に差があるかどうかを判断するために、受信された感知されたデータと前記前に感知されたデータとを比較するように、及び、受信された感知されたデータと代表的な前に感知されたデータとの間に差があると判断される場合、応答行動をトリガするように構成され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、感知モードエンジンは更に、この差が閾値感知モード期間を越える期間の間続いたかどうかを判断するように、及び、この期間が閾値感知モード期間を越える場合、応答行動をトリガするように構成され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、感知モードエンジンはリモートコンピューティングサーバにおいて実装され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、受信器デバイスの各々は感知モードエンジンを実装するように構成され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の感知モードで感知されたデータを処理するための第2の感知モードエンジンを更に含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、選択されたメッシュデバイス毎に、感知モード及び第2の感知モードのうちの1つ又は複数は、感知されたデータを処理するための構成ツールにより選択され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つは、活性化された受信器部品及び活性化された送信器部品を有し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、システムは構成ツールを含み得、構成ツールは構成判断基準に基づき少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように構成され得、構成判断基準は閾値信号特性を定義する。
【0025】
いくつかの実施形態では、システムは更に、第2の感知モードで感知されたデータを処理するための第2の感知モードエンジンを含み得、構成判断基準は感知モード及び第2の感知モードについて異なる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本システムは構成ツールを含み得、構成ツールは、感知システムの別の受信器デバイスのための選択された送信器デバイスに基づき少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、本システムは構成ツールを含み得、構成ツールは受信器デバイスの処理能力に基づき少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択するように構成され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、構成ツールは更に、メッシュデバイスがネットワークへ接続されていないということを判断するように、活性化された受信器部品及び活性化された送信器部品を有するとともにネットワークへ接続された、少なくとも1つのメッシュデバイスであって、切り離されたメッシュデバイスから信号を受信するメッシュデバイスを判断するように、及び、プロキシデバイスとして少なくとも1つのメッシュデバイスを構成するように構成され得、プロキシデバイスは、切り離されたメッシュデバイスへデータパケットを送信するように、及び、切り離されたメッシュデバイスから、処理のための、感知されたデータを受信するように、構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、構成ツールは更に、メッシュデバイスがネットワークへ接続されていないということを、第1の受信器デバイスにおいて、切り離されたメッシュデバイスから受信された信号に基づき判断するように、及び、第1の受信器デバイスをプロキシデバイスとして構成するように構成され得、プロキシデバイスは、切り離されたメッシュデバイスへデータパケットを送信するように、及び、切り離されたメッシュデバイスから処理のための、感知されたデータを受信するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、構成ツールは更に、切り離されたメッシュデバイスから受信された信号の特徴がプロキシ判断基準を満足するかどうかを判断するように構成され、プロキシ判断基準が満足される場合、受信器デバイスをプロキシデバイスとして構成する。
【0031】
いくつかの実施形態では、構成ツールは更に、切り離されたメッシュデバイスから受信された信号の特徴がプロキシ判断基準を満足するかどうかを判断するように構成され、プロキシ判断基準が満足される場合、第1の受信器デバイスをプロキシデバイスとして構成する。
【0032】
いくつかの実施形態では、感知モードエンジンは、受信された感知されたデータと前記前に感知されたデータとの差に基づき、当該場所内の擾乱の位置を判断するように構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、感知モードエンジンは、第2の送信器デバイスから送信された受信された感知されたデータを考慮に入れることにより応答行動をトリガするように構成され得る。
【0034】
本発明の第2の態様によると、場所を監視するためのシステムの機能を実施するために行われる工程を含むコンピュータ実施方法が提供され、システムは当該場所に配置された複数のメッシュデバイスを含み、各メッシュデバイスは、活性化されるとメッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されるとメッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含み、メッシュデバイスの少なくとも2つは活性化された受信器部品を有し;各受信器デバイスは、複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように構成ツールにより構成され、選択されたメッシュデバイスは、構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有し、感知されたデータは、送信器デバイスにより送信された無線信号から生成され、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信され、方法は、少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択すること、及び選択された他のメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように受信器デバイスを構成することを含む。
【0035】
本発明の第3の態様によると、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体上に格納されたコンピュータプログラムであって、1つ又は複数のプロセッサ上で実行されると場所を監視するためのシステムの機能を実施するように構成された、コンピュータプログラムが提供され、システムは、当該場所に配置された複数のメッシュデバイスを含み、各メッシュデバイスは、活性化されるとメッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されるとメッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含み、メッシュデバイスの少なくとも2つは、活性化された受信器部品を有し;各受信器デバイスは、複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように構成ツールにより構成され、選択されたメッシュデバイスは、構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有し、感知されたデータは、送信器デバイスにより送信された無線信号から生成され、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信される。
【0036】
本発明の第4の態様によると、場所を監視するための感知システムを構成するためのコンピューティングデバイスが提供され、コンピューティングデバイスは、当該場所に配置された複数のメッシュデバイスを含み、各メッシュデバイスは、活性化されるとメッシュデバイスを送信器として構成する送信器部品と、活性化されるとメッシュデバイスを受信器として構成する受信器部品とを含み、メッシュデバイスの少なくとも2つは活性化された受信器部品を有し;各受信器デバイスは、複数のメッシュデバイスのうちの少なくとも1つの他の選択されたメッシュデバイスから、処理するための感知されたデータを受信するように構成ツールにより構成され、選択されたメッシュデバイスは、構成ツールにより選択されるとともに、活性化された送信器部品を有し、感知されたデータは、送信器デバイスにより送信された無線信号から生成され、無線通信媒体上で各受信器デバイスにより受信され、コンピュータデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサ上で実施されると少なくとも1つのプロセッサに少なくとも1つの他のメッシュデバイスを選択すること及び感知されたデータを選択された他のメッシュデバイスから受信するように受信器デバイスを構成することをさせる指令を格納するメモリとを含む。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態の理解を支援するために、及び、どのようにこのような実施形態が実行に移され得るかを示すために、例示のためにのみ添附図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】存在検出システムの概略線図である。
図2】室内環境内のメッシュネットワークの概略線図である。
図3A-C】部屋内のエンティティの存在又は非存在に起因する信号変動を概略的に示す。
図4A】複数のノードを含むネットワークの従来技術ネットワークトポロジーを示す。
図4B】「ビーコン間スニッフィング:inter-beacon sniffing」を有するハブベースアーキテクチャを示す。
図4C】メッシュネットワークトポロジーを示す。
図5A-D】室内環境内の様々なノードレイアウトを示す。
図6】受信信号に基づきセキュリティイベント又は環境自動化イベントを実施する例示的方法である。
図7】複数の信号を阻害するエンティティを概略的に示す。
図8】複数の信号に基づきセキュリティイベントをトリガする例示的方法である。
図9】特徴的データを更新する例示的方法である。
図10】感知システムの実施形態が実装され得るコンピューティングシステムの概略線図である。
図11】感知システムの態様が実装され得るクライアントデバイスの概略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
Wi-Fi感知は、どのように信号が運動及び環境と相互作用するかを測定することにより短距離受動的レーダのように動作するWi-Fi信号を使用する技術である。信号を環境内へ送信することにより、Wi-Fi感知システムは、どのように信号が反射され偏向されるかに基づき運動及び存在を追跡し得る。
【0040】
Wi-Fi感知性能はチャネル幅と相関付けられる。チャネル幅が大きければ大きいほど分解能はより高くなる。現在、Wi-Fiは2.4GHz、5GHz、6GHz及び60GHz帯内で働く。2.4GHzスペクトル内のチャネル幅は20MHz又は40MHzであり、5GHzスペクトル内のチャネル幅は20MHz、40MHz、80MHz又は160MHzであり、6GHz帯は最大1200MHz(Wi-Fi 6E)であり得る。これらの帯域内のWi-Fi信号の波長は4.2cm(6GHz帯)~12.4cm(2.4GHz帯)に広がる。
【0041】
このような信号は、運動検出、活動検出、人体の認識だけでなく、呼吸数の検出、更にはDSP(ディジタル信号処理)、機械学習アルゴリズム及び他の処理技術を介した心拍検出にも良く適している。Wi-Fi感知技術は、スマートホーム及びモノのインターネット(IoT)アプリケーションにおけるセキュリティ、安全性及び介護サービスを可能にする。Wi-Fi感知技術は、運動検出、人間活動検出及び認識、並びに生命兆候(vital signs)検出のような多種多様なフィーチャ及びアプリケーションを支援する。
【0042】
生じる1つの問題は、1つの特定用途又は使用ケースに関してうまくセットアップされるWiFiシステムが、他の使用ケースに関しては最適ではない場合があるということである。使用ケースは、中でも、セキュリティ、自動化、ウェルネス、及びペット監視を含み得る。本明細書は、一例として、2つの異なる使用ケースにおいて効果的であるようにシステムを構成することに向けられる。第1の例は、監視される場所内又はその周りの侵入又は定期保守を検出するためのセキュリティ監視である。第2のケースは、建物管理システムの一部(例えば暖房、換気及び空調(HVAC:heating,ventilation,and air conditioning)及び照明制御)として運動及び占拠検出を使用することによる、所謂「スマートビル」内の使用である。しかし、本明細書において開示されるシステムは様々な使用ケースのために構成され得ると理解されたい。
【0043】
図1は、感知システム100の概略線図である。
【0044】
システムは感知ネットワーク112を含む。感知ネットワーク112は、互いに通信する一組のネットワークデバイス、又はノードで構成される。各ノードは、送信器デバイス及び受信器デバイスのうちの少なくとも1つとして働く。
【0045】
ノードは感知モードにおいてグループ化される。図1の例では2つの感知モード:第1の(セキュリティ)感知モード及び第2の(自動化)感知モードがある。感知ネットワーク内の一群のデバイスは2つの感知モードの各感知モードにあるように構成される。
【0046】
本システムはまた、第1の感知モードエンジン(セキュリティエンジン106)及び第2の感知モードエンジン(自動化エンジン108)を含む。これらの感知モードエンジンはクラウドコンピューティング環境110上に実装される。クラウドコンピューティング環境110は図10を参照して以下に詳細に説明される。本質的に、クラウドコンピューティング環境110は、ネットワークを介しメッシュネットワーク112のメッシュデバイスと通信する1つ又は複数の遠隔サーバを含む。クラウドコンピューティング環境110はまた、感知されたデータに関係するデバイスのユーザへ情報を提供するためにネットワークを介しユーザデバイスと通信し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、感知モードエンジンは、その代りに、メッシュネットワーク内の受信器デバイス又は別の処理デバイス中に実装される。処理がメッシュデバイスにおいて実施されるならば、クラウド中のサーバへの接続は必要とされないので、システムの信頼性は改善される。
【0048】
いくつかの実施形態では、メッシュネットワーク112内の各受信器デバイスが、感知エンジンを提供するハードウェア上のコンピュータプログラムを実行する。このような実施形態では、ネットワークデバイスは、クラウドコンピューティング環境110において以下に記載されるように構成され、続いてこの構成に基づき自律的に実行される。
【0049】
メッシュデバイスはWiFi信号を送信及び/又は受信する。受信信号に関係する特徴的データはクラウドコンピューティング環境110へ送信される。特徴的データは、信号を受信する受信器デバイスのプロセッサにより判断される。
【0050】
クラウドコンピューティング環境110において受信されると、セキュリティ感知モード内のデバイスから受信された信号に関係する特徴的データがセキュリティエンジン106へ渡される一方で、自動化感知モードにおけるこれらのデバイスの信号に関係する特徴的データは自動化エンジン108へ渡される。これらの特徴的データは、以下に説明されるようにセキュリティ及び/又は環境自動化イベントをそれぞれトリガすべきかどうかを判断するためにそれぞれのエンジンにおいて分析される。
【0051】
クラウドコンピューティング環境110はまた、送信器/受信器対と感知モードとの間の関連性を格納する構成メモリ114を含む。構成メモリ114は、どの感知エンジン106及び108が特徴的データを分析するために使用されるかを判断するためにアクセスされる。
【0052】
感知システム100は、クラウドコンピューティング環境110において実装された構成ツールを使用することにより様々な使用ケースのために構成され得、メッシュネットワーク112のメッシュデバイスは、使用ケース及び/又は場所周りのデバイスレイアウトに基づき様々な送信器デバイスからの信号をリッスンするように構成され得る。本明細書では、受信器デバイスが特定送信器デバイスを「リッスンする」又は前記送信器デバイスからの信号を「リッスンする」と言われるとき、これは、受信器が当該特定送信器デバイスからの信号を受信し処理するように構成されているということを意味する。
【0053】
図2は、各々が少なくとも1つのネットワークデバイス202a-dを収容する、3つの部屋を有する家を示す。図2の家は本開示の例示的「場所」であり、場所は感知ネットワークにより感知されている領域である。居間の中には2つのネットワークデバイス202a及び202bがあり、寝室及び書斎のそれぞれの中には1つのデバイス202c、202dがそれぞれある。
【0054】
図2に示すネットワークは完全ネットワークトポロジーを有し、ここでは、各デバイス202a-dは他のデバイス202a-dの各々と直接通信状態にある。加えて、デバイスの202a-dの各々は、双方向矢印により示されるように、送信器及び受信器の両方として働く。
【0055】
即ち、例えば寝室内のデバイス202cは、居間内の2つのデバイス202a、202b及び書斎内のデバイス202dから信号を受信する。寝室内のデバイス202cはまた、デバイス202a、202b、202dの各々へ信号を送信する。ネットワークデバイスを家中に置くことにより、家のすべてではないにしてもほとんどを感知するために信号が使用され得るように、デバイス202a-d間で信号を送信するメッシュネットワークが構成され得る。
【0056】
図2における信号は、送信器と受信器との間において直線で送信されるように示されるが、各信号の少なくとも一部は、家具及び壁を含む表面から反射される。
【0057】
図3Aは、部屋内でいかなるもの動いていない「乱されない状態」(即ち部屋は空である)における居間を示す。3つの信号パス302a-cがデバイス202aとデバイス202bとの間に示されている。デバイス202aがここでは送信器デバイスとして構成される一方で、デバイス202bは受信器デバイスとして構成される。
【0058】
経路302aに従う第1の信号は、デバイス202aの上方へ及び若干右側へ送信され、受信器デバイス202bにおいて受信される前にTVの表面から反射し、次に天井から反射する。経路302bに従う第2の信号は、送信器デバイス202aの下方へ及びその左側へ送信され、受信器デバイス202bにおいて受信される前に床から反射し、続いてソファの基部により反射し、次に再び床により反射し、続いて左手壁により反射する。経路302cに従う第3の信号は、送信器デバイス202aから受信器デバイス202bへ乱されない直線で進む。
【0059】
部屋が空である場合、これらの信号の各々は特徴的信号と考えられ、信号データは室内環境を表す特徴的データと考えられる。即ち、受信器デバイス202bにおいて受信された信号の各信号の特性は、部屋のレイアウトに関係する。
【0060】
図3Aはまた、部屋内のエンティティを感知するために使用され得る信号横断経路302aのチャネル状態情報(CSI:channel state information)のグラフを示す。図3Aのグラフは、時間対サブキャリヤ指標対CSIマグニチュードを示す。示されたグラフは図解目的のためだけに提供されると理解されたい。
【0061】
CSIは、受信された信号の振幅、位相、又は両方の変化に基づき判断される。示されたCSIは、空部屋に対応するものであり、したがって環境を表す特徴的データと考えられる。このCSIは、本明細書ではCSIフィンガープリントと呼ばれる。図3Aに示される信号は、無擾乱状態又は基準状態における環境を表すので特徴的信号である。CSIフィンガープリントは存在感知のために使用される。
【0062】
信号により感知されるデバイス202c、202dと通信する際の部屋又は家のいくつかのエリアは、本明細書では信号区域と呼ばれる。
【0063】
図3Bは、人306が部屋内にいる場合のデバイス202a及び202bを有する同部屋を示す。経路302b及び302cに沿って進む信号は人306がこれらの信号のいずれかの信号の信号区域内にいないので乱されないということが分かり得る。即ち、人306は信号経路302b、302c内にいない。
【0064】
部屋が空である場合に経路302aに沿って進む信号は妨害された。この信号は今や長い経路304を進む。信号経路のこの変化は、図3Bのグラフにより示されるように信号の特性の変化を生じる。
【0065】
人306が部屋内で動けば、信号経路は再び変化するだろうし、受信された信号の特性もまた変化するだろう。人306の運動は、最近に受信された信号の特性と、以前に受信された信号又は別の最近受信された信号であるが過去の信号の特性とを比較することにより検出される。
【0066】
図3Cは、信号経路の変化、したがって信号特性の別の例を示す。しかし、この場合、信号経路、したがって信号特性は、TVの位置の変化に起因して変更される。この変化は環境内の恒久的変化であるので、特徴的信号は、存在している人により引き起こされた信号特性の変化が判断され得るように更新される必要がある。特徴的信号を更新する方法を以下に説明する。
【0067】
上記のように、デバイス202a-dは、送信器デバイス及び受信器デバイスのいずれかであり得るか、又は送信器及び受信器の両方として働き得る。
【0068】
図4Aのトポロジーは、ビーコン間の運動を捕捉することができないという欠点を有する。図4Bに示される所謂「ビーコン間スニッフィング」を有するハブベースアーキテクチャはこの点での改善を提供する。
【0069】
このアーキテクチャは、図4Aのスタートポロジーの拡張版である。主な差異は、ビーコンが信号を発射しているだけでなく、他のビーコンから受信もしているということである。ビーコンはCSI値を収集し、それらを分析のためにハブへ転送する。
【0070】
このようなトポロジーは、強力なサーバが存在するが受信器デバイスはそれほど強力ではない、ホテル又は病院などの所謂「ビジネス・ツー・ビジネス」環境内で有用であり得る。
【0071】
上記図4A、4Bのトポロジーの各々は、単一障害点(ハブ)に悩まされる。図4Cは、この問題を克服する、感知システムのメッシュデバイスのための例示的メッシュネットワークトポロジーを示す。
【0072】
メッシュネットワークは、ネットワークの各デバイス又はノードがネットワークの他のノードのうちのいくつか又はすべてへ自身を直接接続する1つ又は複数の経路を有する、ローカルネットワークトポロジーである。完全メッシュネットワークトポロジーでは、あらゆるノードは、ネットワークの他のすべてのノードと直接通信することができる。部分的メッシュネットワークトポロジーでは、ノードのうちのいくつかだけが互いに接続し得る。メッシュネットワークは有線であってもよいし無線であってもよい。即ち、メッシュネットワークデバイスは有線又は無線手段を介し、感知されたデータ検出結果を伝達し得る。
【0073】
図4Cはメッシュトポロジーの一実施形態を示し、ここでは、デバイス402の少なくとも幾つかは、構成された使用ケースに依存して受信器又は送信器として働くように構成され得る。専用送信器デバイス又は受信器デバイスのいくつか又はすべてを使用することにより、本明細書において説明されるメッシュ構成を実装することが可能であるが、すべてのデバイスの各々が、構成に依存して送信器又は受信器のいずれか又は両方としてセットアップされ得るという、取得されるべき著しい利点がある。このようなメッシュネットワークを一例として本明細書において説明する。
【0074】
メッシュネットワークは様々な使用ケースのために構成され得る:セキュリティモード及び自動化モードを以下に説明する。
【0075】
各メッシュデバイス402は、受信器部品104及び送信器部品102の両方を含む。メッシュトポロジーの各デバイス402は、双方向的やり方でネットワークの他のデバイス402の各々と直接通信し得る:即ち、各方向に送受信経路が存在するが、各デバイス402の受信器部品104及び送信器部品102の両方が活性化される必要はない。メッシュデバイス402が受信器デバイス及び送信器デバイスの両方として働くならば、受信器部品104及び送信器部品102は、メッシュデバイス402が、必要とされるハードウェア、即ち少なくとも2つの無線機を含むと仮定すると、同時に活性化され得る。メッシュデバイス402内に1つの無線だけが存在するならば実装され得る代替案として、受信器部品104及び送信器部品102が同時に活性化される、即ち、無線は送信状態と受信状態との間で絶えず交代する。いくつかの実施形態では、メッシュデバイス402は、殆どの時間、受信状態にある。
【0076】
メッシュトポロジーでは単一故障点がない。デバイス402のうちの1つが故障しても他のデバイス402が互いに通信し続け得、それらの信号により横断されるエリアを感知し得る。デバイス402が故障すると、故障は感知システムの故障検出モジュールにより検出される。故障が検出されると、感知ネットワークを再形成するために、以下に記載されるメッシュ形成が繰り返される。
【0077】
送信器デバイスとして構成されたデバイスはビーコン信号を送信し得る。単一送信器デバイスから送信されるビーコン信号はビーコンストリームと呼ばれる。
【0078】
各デバイス402がリッスンするビーコンストリームの数は、デバイス402の処理能力を考慮に入れるように構成され得る。例えば、デバイス402がより低い処理能力を有するならば、デバイス402はビーコン信号のうちのいくつかだけをリッスンするように構成され得、したがって、前記デバイスにより処理される信号の数を低減し得る。
【0079】
追加の利点として、メッシュネットワークは、デバイスの様々な対を構成することにより、すべてのデバイス間の運動が感知及び監視されることを可能にする。
【0080】
送信器部品102が活性化されると、メッシュデバイスは送信器として構成され、受信器部品104が活性化されると、メッシュデバイスは受信器として構成される。この実施形態では、図4Cの例のケースのように、両方の部品は単一デバイスにおいて同時に活性化され得る。
【0081】
一例として、システムは、少なくともn個のデバイスが存在し、各々のデバイスが図2に示すような複数の部屋を含む建物内において送信器及び受信器の両方であり、建物が場所である、メッシュアーキテクチャを使用することにより実装される。
【0082】
各デバイスはn個の入力ストリームをリッスンする。デバイスは、n個のストリームのうち、同じ部屋内に配置された1つのデバイスをリッスンし、建物の他の部分からn-1個のデバイスをリッスンする。同じ部屋内でいかなるデバイスも利用可能でない場合、デバイスは他の部屋からn個のデバイスをリッスンする。
【0083】
システムをセットアップするために、第1の工程として、メッシュネットワークは、メッシュ形成アルゴリズムを使用して当該場所内に設置されたデバイスから形成される。これは、コンピュータ可読媒体上に格納されて構成ツールを含むコンピュータプログラムにより行われる。
【0084】
感知システムをセットアップするための例示的システムが図10に示される。サーバ1002は、クライアントデバイス1008と、インターネットなどのネットワーク1004を介し感知メッシュ112を形成するデバイスと通信する。サーバ1002は、図1に示すクラウドコンピューティング環境110であってもよく、メッシュデバイスから遠い別のサーバであってもよい。クライアントデバイス1008は、ラップトップ又はスマートフォンなどの、パーソナルコンピューティングデバイスであり得る。
【0085】
メッシュ形成アルゴリズムは、遠隔サーバ1002と、クライアントデバイス1008と、感知メッシュネットワーク112のデバイスのうちの1つのデバイスとのうちの任意のものにおいて実装され得る。クライアントデバイス1008は、それにインストールされた、感知メッシュ112から情報を受信するための、及び/又はメッシュ形成アルゴリズムを実装するためのアプリケーションを有し得る。このアプリケーションは、例えば、場所内で及び/又はトリガされたイベントにおいて感知された人に関する感知情報をユーザへ表示し得る。感知ネットワークメッシュ112のデバイスの各デバイスは、各デバイスが、他のデバイスのうちのどのデバイスをリッスンするべきかと、各選択されたデバイスの感知モードとを選択するように、メッシュ形成アルゴリズムの複製を実行し得る。代替的に、感知メッシュネットワーク112のデバイスのうちの1つは、本明細書において説明したメッシュ形成アルゴリズム及び/又は感知モードエンジンを実装するための「ハブ」デバイス(プロセッサ及びメモリを含む)として働き得る。
【0086】
メッシュ形成アルゴリズムの主要工程は以下のとおりである:
1.ユーザは、ネットワーク内のすべてデバイスを対にする。これらのデバイスはこのプロセスのためにオンにされる。送信器部品及び受信器部品はこの工程のために活性化される必要はないが、これらのデバイスは、WiFiネットワークへ接続されており、したがって、ネットワークアクセスポイントと情報を交換する。メッシュネットワーク内で使用されるデバイスの各デバイスの識別子が、構成メモリ114(図1を参照)内に格納される。
2.デバイス毎に、n個の追加デバイスが、リッスンするべき当該デバイスのために以下により選択される:
a.同じ部屋内のデバイスを選択することを試みる。このようなデバイスがある場合は、これは選択され、自動化感知モードのために有効にされる。部屋内に他のデバイスがない場合は次の工程に進む。アルゴリズムは、デバイスと自動化感知モードとの間の関連性を構成メモリ114内に格納する。
b.他の部屋からn-1(又は、工程2.aにおいて発見された部屋内の他のデバイスがない場合はn)個のデバイスを選択し、セキュリティ感知モードを有効にする。アルゴリズムはこれらのデバイスとセキュリティ感知モードとの間の関連性を構成メモリ114内に格納する。これらのデバイスは、デバイスから送信された信号の受信信号強度指示子(RSSI:received signal strength indicator)に基づき選択され、候補デバイスが追加デバイスとして追加され得る。このことを判断するために、デバイスは送信器として構成され、各候補デバイスは受信器として構成される。代替的に、これは、送信器部品を活性化することなく行われる可能性がある。その代りに、ルータとデバイスとの間の通常WiFi通信が頼りにされ得る。この実施形態では、各デバイスは、デバイスからルータへ送信されたパケットを「スニッフ」し得、その逆も同様であり、送信者に関する受信された信号のRSSI値を計算し得る。各候補デバイスにおけるRSSIが測定され一連のRSSI値と比較される。例えば、理想RSSIは、異なる部屋に配置されたデバイスに関して-70/-75の領域内にある。余りにも良いRSSIを有するいかなる候補デバイスも、これが、果たされるべき最適運動感知のためにはデバイス同士が、互いに近過ぎるということを意味するので、回避されるべきである。同じ部屋内のデバイスに関して、RSSI要件はデバイス同士がより近くなるにつれ異なり得、例えば約-50のRSSIが理想的であり得る。RSSI要件を判断するために、1つ又は複数の要因(例えば、デバイスの配置、デバイスハードウェア、家具の存在/家具への近接性、デバイス間距離、隔壁材料など)が使用され得る。
c.(例えば、劣悪RSSI、オンにされたただ1つのデバイス、などのために)いかなる好適なデバイスも発見され得ない場合、メッシュ形成プロセスを停止し、クライアントデバイス1008におけるユーザインターフェースを介しエラーをユーザに報告する。
【0087】
上記方法の工程2は、コンピュータプログラム内に実装された構成ツールにより実施される。即ち、構成ツールは、感知モードの各モードで動作すべきメッシュデバイスのグループを選択する。
【0088】
上記工程2aにおいて選択されたデバイスはまた、前記デバイスから受信された信号が感知モード及びセキュリティモードの両方で使用されるように工程2bにおいて選択され得る。このような事例では、工程2bにおいてn個のデバイスが選択される可能性がある。
【0089】
いくつかの実施形態では、メッシュ形成アルゴリズムは、他のデバイスによりリッスンされているデバイスを考慮する。例えば、2つの受信器デバイスが互いに近い場合、受信器のうちの1つがリッスンするように構成された送信器は、他のデバイスがリッスンするように構成された送信器に少なくとも部分的に基づく。2つのデバイスは感知システムのカバレッジを増加するデバイスをリッスンするように構成される。例えば、1つのデバイスは、受信器のほぼ東に位置するデバイスをリッスンするように構成され得、他方は、2つの受信器のほぼ西にあるそれらのデバイスをリッスンするように構成され得る。
【0090】
各メッシュデバイスは感知エンジンを実装し得る。このような実施形態では、特定デバイスがリッスンするべきデバイスの数nは、デバイスが処理することを要求されるデータの量がデバイスの処理資源を越えないようにデバイスの処理能力に依存し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、ネットワーク内のすべてのWiFiデバイスが感知メッシュ内で使用されることにはならない。例えば、場所内に既に存在するデバイスがメッシュデバイスとして使用されることになる場合、場所内のデバイスのうちのいくつかだけが使用され得る。ユーザは、メッシュネットワーク内に含まれる各「対」デバイスを、ユーザインターフェースを介し選択する。これは、それらのクライアントデバイス1008におけるユーザインターフェースに関与するユーザにより行われ得、クライアントデバイス1008は、各デバイスの視覚的指示とセットアップされる場所内のその位置とを提示する。
【0092】
図5A-Dは、メッシュ形成プロセスを介し形成されるいくつかの例示的構成を示す。各例では、デバイスは図解のし易さのために送信器又は受信器のいずれかとしてだけ働くように示される。加えて、3つのデバイスだけが各例において示される。各例では、ユーザは、例えば視覚的指示又は他の表示されたメッセージにより、活性化モードの指示子を、ユーザインターフェースを介し受信し得る。
【0093】
図5Aは、送信器デバイス102bと共に部屋A内に配置された受信器デバイス104を示す。受信器104及び送信器102bは同じ部屋内にいるので、自動化感知モードで構成される。第2の送信器デバイス102aは、受信器104及び送信器デバイス102aがセキュリティ感知モードで構成されるように、部屋B内に配置される。したがって、セキュリティエンジン106及び自動化エンジン108の両方は活性状態にある。
【0094】
図5Bは、部屋A内に配置された受信器デバイス104と、部屋B内に配置された送信器デバイス102a、102bとの両方を示す。したがって、受信器デバイス104は、自動化エンジン108が活性状態でない一方でセキュリティエンジン106が活性状態であるように、送信器デバイス102a、102bの両方と共にセキュリティ感知モードで構成される。この状態は、1つの使用ケースだけが有効にされるので、劣化状態と呼ばれ得る。ユーザはこのような構成が発見された場合に通知される。
【0095】
図5Cは第2の劣化状態を示す。3つのデバイス102a、102b、104はすべて部屋A内に配置される。このシナリオでは、セキュリティエンジン106及び自動化エンジン108の両方が活性状態であるが、部屋Bが感知システムにより恐らくカバーされないので、セキュリティは制限される。
【0096】
WiFiアクセス点が、また、ネットワークデバイスとして使用され得る。図5Dは、図5Aの構成の変形形態を示し、ここでは、部屋B内のデバイス102aはアクセス点502と置換される。アクセス点は、メッシュデバイス間で送信されたときに信号のCSI値を判断するために使用されるWiFiパケットの源として使用され得る。アクセス点はまた、メッシュネットワークが劣化状態にある場合の性能を改善し得るか、又は、劣化状態がないイベントにあっても、カバレッジ又は信頼性を改善し得る。
【0097】
この構成では、以下の多くの選択肢がある:
・ WiFi通信プロトコルの一部は、アクセス点からのビーコンの定期的送信を含む。これは、約100ms(102.4ms)毎に送信するためのデフォルト設定により定期的に送信される。これらのフレームはCSIの値を抽出するために使用され得る。
・ ルータ上のソフトウェアは規定間隔を有するいくつかのWiFiフレームを転送するように更新及び構成され得る。
・ インターネット制御メッセージプロトコル(ICMP)パケットがルータへ定期的に送信され得、CSI情報がこの返答から収集され得る。
【0098】
上述の選択肢のうち第1のものはアクセス点502を含まないメッシュネットワークにおいて実施され得ると理解されたい。これは、プロトコルがWiFi標準規格の一部であり、したがってメッシュとは無関係であるためである。任意のWiFiサービスセット識別子(SSID)がこのようなビーコンを定期的に発射する。これらのビーコンは、構成された周波数が十分であるという前提で使用され得る。
【0099】
自動化感知モードは、上述の例では、同じ部屋内に2つのデバイス102、104がある場合に限り実施される。この自動化感知モードは、部屋間運動検出に基づき人の存在及び/又は位置を検出するためのエラー脆弱計算を回避することになる。しかし、自動化感知モードは様々な部屋内のデバイスを使用することにより実施され得ると理解されたい。
【0100】
本システムは「自己回復」する。即ち、ネットワークデバイスのうちの1つが故障状態である又はサービスから除かれた場合、残りのデバイスが再構成される。即ち、上に記載の方法の工程2は、受信器デバイスが信号を受信する現在最適n個のデバイスを判断するためにネットワークデバイスのデバイス毎に繰り返される。
【0101】
いくつかのシナリオでは、デバイスのWiFi接続は制限され得る又は不安定であり得る:例えば、デバイスがルータから遠く離れて配置される又は厚い壁の反対側に配置される場合。
【0102】
図12は、デバイスD3がWiFiネットワークへの接続を失う例を示す。状態1では、デバイスD1、D2及びD3はWiFiネットワークへ接続される。
【0103】
D3がネットワークから切り離される(状態2)。これは、例えば弱い又は不安定WiFi信号に起因する可能性がある;アクセス点のうちの1つがオフにされている、又は雑音レベルが増加している。
【0104】
今切り離されているデバイスD3をクラウドへ接続された状態に保ち、したがって感知システムに寄与することを維持するために、デバイスのうちの1つ(ここではD2)はD3がインターネットと通信し得るプロキシデバイスとして使用される(状態3)。D2はWiFiネットワークへ接続される。
【0105】
デバイスD3がインターネットと再度接続すれば(状態4)、D3は、D2を介しデータをプロキシ化することを停止し、状態1へ戻る。
【0106】
このプロトコルは、本システムのデバイスがWiFiネットワークへの接続が失われた場合ですら感知メッシュの一部であり続け得るので、WiFi感知システムの頑強性及び柔軟性を改善する。
【0107】
図13は、上述のプロトコルの変形形態を示し、ここでは、インターネットへ接続されたデバイスが、そのように働くことができないデバイスのためにゲートウェイとして働く。上述のように、デバイスは、例えばアクセス点、中間構造などからの距離に起因してインターネットへ接続することができない可能性がある。
【0108】
図13は、ネットワークへ接続されたデバイスD1及びD2を示す。3つのデバイスD4、D5及びD6はネットワークへ接続されない。代わりに、これらの切り離されたデバイスは、図12の例におけるようにD1及びD2のうちの1つをプロキシとして使用する。ここでは、D4及びD5はD1をプロキシデバイスとして使用する一方で、D6はD2をプロキシデバイスとして使用する。
【0109】
プロキシデバイスとして使用するためにどのデバイスをどのように選択するかの判断は、中央権威者として働いている、クラウドコンピューティング環境において、ローカルに又は合意形成プロトコルを介し行われ得る。
【0110】
メッシュデバイスが切り離されるときにプロキシデバイスを選択するための、中央クラウドベースアルゴリズムにより実施される例示的方法は、以下のとおりである:
1.クラウドベースアルゴリズムは、切断を検出し、切り離されたデバイスのMACアドレス上のフィルタにより「遭難」パケットをリッスンするために、当該場所内のWiFi接続されたデバイスへ命令を送信する;
2.切り離されたデバイスは、WiFi接続性に関する問題を指示する遭難信号を繰り返し送信する;
3.インターネットへ依然として接続されたデバイスは、遭難信号を受信し、受信された遭難信号のRSSI値をクラウドへ報告する;
4.クラウドベースアルゴリズムは、プロキシであるための最好適デバイスを複数の要因(RSSI値、デバイスのWiFi接続品質、既にプロキシ化されているデバイスの数、等々)に基づき選択し、命令を、プロキシとなるべき選択されたデバイスへ送信する;
5.プロキシデバイスは、プロキシのMACアドレスを指示するデータパケットを、切り離されたデバイスへ送信する。
【0111】
遭難信号及びデータパケットはESPNow信号であり得る。このタイプの信号は、ネットワークへ接続する必要性無しにESPモジュールにより送受信され得る。CSI値はこのようなデータパケットから抽出され得る。他の無線信号が使用され得ると理解されたい。
【0112】
工程4では、最も良く適したデバイスが、1つ又は複数のプロキシ判断基準を使用することにより判断され得る。プロキシ判断基準は、デバイスがプロキシデバイスであるために満足されなければならない判断基準を定義する。例えば、プロキシ判断基準はRSSI範囲を定義し得る。
【0113】
切り離されたデバイスがインターネットへ再接続する場合、下記工程が実施され得る:
1.切り離されたデバイスがクラウドへ接続する;
2.クラウドは、メッセージをプロキシ化することを停止することを指示するメッセージをプロキシへ送信する;
3.プロキシは、データパケットを今接続されたデバイスへ送信することを停止する。
【0114】
プロキシデバイスがネットワークから切り離されるか又はその電源が切られる場合、下記工程が実施され得る:
1.クラウドは、プロキシデバイスが切り離されていることを検出する;
2.クラウドは、ネットワークへ依然として接続されたデバイスから新しいプロキシを選択し、新しいプロキシデバイスとなる選択されたデバイスへ命令を送信する;
3.新しいプロキシデバイスは、プロキシMACアドレスを更新するために、切り離されたデバイスへデータパケットを送信する。
【0115】
上記の工程は、クラウドベースアルゴリズムに関係する。同様な工程がデバイスにおいて実施され得る。例えば、ネットワークへ接続されていない(即ち、メッシュデバイスは切り離されたデバイスである)ということを判断した場合、メッシュデバイスは遭難信号を送信する。ネットワークに依然として接続されているデバイスは、遭難信号を受信し、受信された遭難信号の特性とプロキシ判断基準とを比較する。プロキシ判断基準が満足された場合、接続されているデバイスはプロキシデバイスになり、切り離されたデバイスへデータパケットを送信する。
【0116】
いくつかの事例では、2つ以上の接続されたデバイスがプロキシ判断基準を満足し得る。この場合、プロキシ判断基準を満足するデバイスの各デバイスは、切り離されたデバイスへデータパケットを送信する。切り離されたデバイスは、受信されたデータパケットの特性同士を比較し、これらの特性に基づきプロキシデバイスを選択する。例えば、切り離されたデバイスは、最良RSSIを有する信号が受信されたデバイスをプロキシデバイスであるとして選択し得る。切り離されたデバイスは、選択されたプロキシデバイスへデータパケットを送信する。
【0117】
プロキシデバイスの選択のための上記の方法は、ネットワークへ以前接続されたデバイスが図12に示すように切り離される場合、又はデバイスが図13に示すようにネットワークへ決して接続されたことがない場合のいずれかの場合にプロキシデバイスを選択するために実施され得る。これらの工程は構成ツールにより行われ得る。
【0118】
図6は、セキュリティイベント及び環境自動化イベントをトリガするために本システムを使用する例示的方法を提供する。
【0119】
工程S602では、受信器デバイスにおいて信号が受信される。工程S604では、送信器/受信器対がセキュリティ感知モードにあるかどうかが構成メモリにアクセスすることにより判断される。構成メモリは各送信器/受信器対のデバイス識別子を格納し得る。送信器デバイスから送信された信号は送信器デバイスの識別子を含む。これは受信器デバイスの識別子と共に、感知モードを判断するために使用される。
【0120】
送信器/受信器対がセキュリティ感知モードにある場合、受信された信号のCSIは、セキュリティエンジンにより、特徴的信号のCSIフィンガープリントと比較される(工程S606)、CSIフィンガープリントは、セキュリティエンジンへアクセス可能なコンピュータメモリ位置内に格納される。比較を実施する1つの可能なやり方はPearson類似度係数を使用する。他の可能性は、当該技術領域において知られおり、実施され得る。工程S608において判断されるようにCSI間の差がない場合、信号の経路を乱すいかなる侵入者もいないので、いかなるアクションも要求されない(S610)。
【0121】
しかし、受信された信号のCSIとCSIフィンガープリントとの間に差があることが工程S608において判断された場合、差があった時間が閾値セキュリティ期間と比較される。この時間差は、受信されたCSI窓の数(差を指示する)に基づき判断され得る。代替的に、信号が受信された時に対応するメッシュデバイスの(インターネット時間と定期的に同期され得る)内部クロックからのデータが使用され得る。CSI窓は、受信された信号の規定期間の間のCSI値である。例えば、窓は、CSI窓が最近の100ms間に受信された信号のCSIの値に対応するように100msに対応し得る。現在の窓は最近受信されたCSIの値の窓を指す。CSIフィンガープリントは、当該区域が占有されていない1つ又は複数の過去のCSI窓から生じた。
【0122】
閾値セキュリティ期間を越える時間の差がある場合、セキュリティイベントがトリガされる(S614)。代わりに、この時間が閾値を越えていない場合、信号は監視され続ける(工程S616)。閾値セキュリティ時間は5-10秒の範囲内である。現在の窓と特徴的フィンガープリントとの間のCSIの差が存在する最小期間があるということを保証することにより、偽陽性の数は、セキュリティイベントがセキュリティのための合理的時間フレーム内に実施されるということを依然として可能にする一方で、低減される。
【0123】
トリガされ得るセキュリティイベントの例は以下のことを含む:警報音を生成すること;警報をセキュリティコンピュータシステムへ送信すること;及び警報を感知システムのユーザのクライアントデバイスへ送信し、セキュリティイベントをセキュリティ侵害に変更すること。
【0124】
工程S604に戻ると、その代わりに、送信器/受信器対がセキュリティ感知モードにいないということが判断された場合、送信器/受信器対は自動化感知モードにいるかどうかが判断される(工程S618)。そうでなければ、送信器/受信器対はメッシュ形成中にメッシュ化されなかったのでいかなるアクションも要求されない(S620)。
【0125】
しかし、送信器/受信器対が自動化感知モードにいるということが分かれば、受信された信号のCSIは自動化エンジンにより特徴的信号のCSIフィンガープリント(自動化エンジンにアクセス可能なメモリ位置内に格納されている)と比較される(S622)。工程S624において判断されるようにCSI間に差がない場合、信号の経路を乱す人がいないのでいかなるアクションも要求されない(S626)。
【0126】
その代わりに、受信された信号のCSIとCSIフィンガープリントとの間に差があることが工程S624において判断された場合、差があった時間が閾値自動化期間と比較される。上述のように、CSI窓は差の時間を判断するために使用され得る。
【0127】
閾値自動化期間を越える時間の間に差があった場合、ホーム環境自動化イベントがトリガされる(工程S630)。代わりに、時間が閾値を越えていない場合、信号は監視され続ける(工程S632)。
【0128】
閾値自動化期間は閾値セキュリティ期間より短い。これは自動化がタイムクリティカルであるからである。閾値自動化期間は100ms~1秒の範囲内にある。CSIの差が存在する短い期間だけを要求することにより、自動化イベントは直ちに実施され得る。少数の偽陽性は自動化に耐えられるので、比較的短い閾値期間が望ましい。
【0129】
トリガされ得るいくつかの例示的環境自動化イベントは以下のものを含む:ライトを調節すること;加熱ユニットを調節すること;空調ユニットを調節すること;ドアを施錠/解錠すること;及び電気器具を調節すること。
【0130】
自動化エンジンは、信号のCSIとCSIフィンガープリントとのに差により捕捉される運動の量を指示する運動統計値を判断し得る。次に、ホーム環境自動化イベントは、運動統計値が運動閾値を越えた場合にトリガされる。運動統計値は、人間以外の運動に起因する検出を回避するやり方(したがってトリガ効果)を提供する。例えば、CSIの値の変化は、動物よりも人間に関してより大きい。運動閾値はデバイスの構成及び位置に依存する。例えば、運動閾値は、デバイスの位置が最適でない場合は低い可能性がある。逆に、自動化イベントをトリガし得る場所にペットがいる場合、運動閾値はより高い可能性がある。
【0131】
図6の工程は一例として提供されており、したがって、並列に又は異なる順番で行われ得ると理解されたい。例えば、工程S604及びS618は感知モードを判断する単一工程により置換され得る。
【0132】
図6の例では、受信された信号のCSIは、CSIフィンガープリントと比較される。この方法は、人又は他のエンティティの存在を判断するために使用される。他の実施形態では、受信された信号のCSIは前のCSI窓のものと比較される。即ち、工程S606及びS622において、受信された信号のCSIは、前のCSI窓のCSI、又は或る他の最近の窓のものと比較される。例えば、受信された信号のCSIは、最後の5秒以内に受信された信号のCSIと比較され得る。受信された信号のCSIと最近のCSIとを前の信号により比較することにより、運動が検出され得る。上に記載のように、人の運動はCSIに影響を与えるので、最近の信号のCSIの値の変化はこの運動を指示する。最近のCSI窓もまた存在検出のために使用され得る。最近のCSI窓を使用する実施形態では、CSIフィンガープリントは判断又は格納される必要がない。代わりに、最近のCSIの値が格納される。CSI値は、構成メモリ114において格納され得、所定期間の間格納され得る。CSI値は時間の指示子と共に格納され得る(例えばCSIが導出された信号が受信された時に)。
【0133】
トリガされるイベントは、イベントが送信器/受信器対に依存するように予め定義され得る。代替的に、イベントは判断された阻害の位置(即ち部屋内の人の位置)に基づき得る。この場合、信号の阻害の位置(即ち人の位置)を判断し判断された位置に基づきイベントをトリガする追加工程が図6の方法内にある。イベントをトリガする人の位置と関連してトリガされるイベントを格納する位置/イベントデータベースが存在し得る。擾乱の位置は受信された信号のCSIから判断され得る。信号のCSIは、信号経路に依存し、延いては特徴的経路内の任意の物体の位置に依存するので、前記物体の位置が判断され得る。
【0134】
いくつかの事例では、人は、特定送信器202aから受信器202bへ送信されている複数の信号を乱し得る。図7は、人が特徴的信号の経路302b、302c内に立っている例を示す。
【0135】
この場合、信号は位置702a及び702bにおいて人と接触する。図7には示されないが、これは、信号を反射させ、したがって信号経路を変更させ、受信器デバイス202bにおいて受信された信号のCSI値の変化を生じる。
【0136】
複数の経路のCSI値の乱れは、「CSIのいかなる変化も、異常であることよりむしろエンティティの存在により実際に引き起こされる」ということを照査するために使用され得、したがって偽陽性の数を低減する。図8は、セキュリティイベントをトリガすべきかどうかを判断するために2つのデバイス間に2つの信号を使用する例示的方法を示す。本方法は異なる感知モードで使用される可能性があると理解されたい。
【0137】
工程S802では、第1及び第2の信号が受信器デバイスにおいて受信される。第1の信号のCSIがフィンガープリントCSIと比較される(S804)。CSI間に差がないということが工程S806において判断された場合、信号を阻害するいかなるエンティティも存在せず、したがっていかなるアクションも要求されない(S808)。
【0138】
しかし、CSIに差があるということが工程S806において判断された場合、擾乱の位置は工程S810においてCSIから判断される。擾乱の位置は受信された信号のCSIパターンに基づき判断される。異なる位置における擾乱は異なるCSIのパターンを生じる。CSIデータを使用する局所化は、Rui Zhou,Xiang Lu,Pengbiao Zhao,and Jiesong Chen.2017.Device-free Presence Detection and Localization With SVM and CSI Fingerprinting.IEEE Sensors Journal 17,23 Dec 2017,7990-7999.https://doi.org/10.1109/JSEN.2017.2762428において論述されるように当該技術領域において知られている。
【0139】
阻害の場所が見出されると、阻害の位置が第2の信号の信号区画内に入るかどうかが工程S812において判断される。即ち、第2の信号内にも阻害があるべきだということが判断される。
【0140】
阻害が第2の信号の信号区画の外にある場合、第2の信号は、人の存在に関するいかなる有用情報も提供しないので無視され得る。この場合、第1の信号のCSIに差があった時間は、差の時間が閾値を越えるかどうかを判断するために閾値セキュリティ期間と比較される(工程S814)。差の時間が閾値を越えた場合、セキュリティイベントが工程S816においてトリガされる。差の時間が閾値を越えていない場合、信号は監視され続ける(工程S818)。
【0141】
他方で、擾乱の位置が第2の信号の信号区画内にあるということが分かれば、第2の信号内の阻害が予想されることになる。第2の信号のCSIは、工程S820において特徴的な第2の信号のCSIフィンガープリントと比較され、CSIに差があるかどうかが工程S822において判断される。
【0142】
第2の信号の差がない場合、第1の信号内で検出された阻害は恐らく異例であるので、アクションは要求されない(工程S824)。しかし、第2の信号の差がある場合、これはエンティティが存在するという確認である。
【0143】
工程S826において、第1及び第2の信号の各信号が少なくとも閾値セキュリティ期間の間CSIの差を有していたかどうかが判断される。閾値期間が第1及び第2の信号の信号毎に満足されていなければ、これらの信号は監視され続ける(S830)。代わりに、これらの信号が、閾値を越える時間の間異なるCSIを有していたならば、セキュリティイベントがトリガされる(工程S828)。
【0144】
本方法はまた、第2の信号について行われる;即ち、阻害があるかどうかを見るために第2の信号を最初に処理し、次に、阻害が第1の信号の信号区画内にあるかどうかを見るために照査する。信号の処理は同時に実行され得るということを理解されたい。
【0145】
同じ閾値セキュリティ期間は、第1及び第2の信号の両方に関して使用され得るか、又は、異なる第1及び第2の閾値セキュリティ期間が存在し得る。図8の方法において2つの信号が使用されるとき、使用される閾値セキュリティ期間は、単一の信号だけが使用されるときよりも短い場合がある。閾値期間は、感知された人の位置に依存し得る。例えば、人が1つの位置から別の位置へ移動すると、この人は、当初、1つの信号の信号区画内だけに存在し得るが、重なり区域内に入るように移動し得る。第2の信号のために使用される閾値セキュリティ期間は、第1の信号のために使用される閾値セキュリティ期間よりも短い場合がある(感知ゾーンを通過する人の運動に合わせて)。
【0146】
図8の方法は2つのデバイス間で送信される信号の文脈で説明されるが、同概念は3つのデバイス間の信号のために使用され得る。
【0147】
例えば、2つの異なる送信器デバイスから信号を受信する受信器デバイスを取り上げる。受信器と通信する際に第1及び第2の送信器の信号区画内に重なりの領域がある場合、この重なりの領域内の信号のうちの1つ信号の阻害が他の信号により照査され得る。図8の方法が使用され、第1及び第2の信号が第1及び第2の送信器デバイスから受信される。
【0148】
即ち、第1及び第2の送信器デバイスの両方が同じ感知モードの受信器デバイスにより構成される場合、感知モードエンジンは:
1.第1の信号のCSIとCSIフィンガープリントとを比較し、阻害の位置を判断する;
2.第2の信号のCSIとCSIフィンガープリントとを比較する;
3.阻害の位置が第2の信号の信号区画内にあるか、即ち、第2の信号内の阻害が予想されるかどうかを判断する、;
4.阻害の位置が第2の信号の信号区画内にある場合、
a.第2の信号内に阻害がある場合、イベントをトリガする;
b.第2の信号内に阻害がない場合、イベントを妨げる;
5.阻害の位置が第2の信号6の信号区画内にない場合、イベントをトリガする。
【0149】
ここでは、第1の信号は第1の送信器デバイスから送信されたものであり、第2の信号は第2の送信器デバイスから送信されたものである。本方法はまた第2の信号に基づき行われる。
【0150】
ここでは、第1の信号内で検出された阻害が第2の信号の信号区画内にあるかどうかを判断する前に第2の信号のCSIを比較する工程が説明されるということに留意されることになる。これは実施され得る図8の方法の代替案である。即ち、工程S820及びS822は工程S810の前に前もって行われる。
【0151】
図6に関して記載されたように、CSI値は、最近であるが過去の信号(例えば前のCSI窓)のCSIと比較され得る。
【0152】
セキュリティエンジンはまた、運動統計値を判断し得、各信号の運動統計値が閾値セキュリティ運動統計値を越えた場合だけセキュリティイベントをトリガする。運動統計値は自動化エンジンを参照して上に論述された。同概念は任意の感知モードエンジンへ適用され得ると理解されたい。
【0153】
別の例では、同じ送信器デバイスが信号を複数の受信器デバイスへ送信し得る。第1及び第2の受信器デバイスと通信する際に送信器デバイスの信号区画内に重なりの領域がある場合、重なりのこの領域内の信号のうちの1つの阻害が他の信号により照査され得る。再び、図8の方法が使用され、第1及び第2の信号は、第1及び第2の受信器デバイスにおける第1及び第2の送信器デバイスから受信される。
【0154】
即ち、第1及び第2の受信器デバイスの両方が同じ感知モードで送信器デバイスと共に構成される場合、感知モードエンジンは:
1.第1の信号のCSIとCSIフィンガープリントとを比較し、阻害の位置を判断する;
2.第2の信号のCSIとCSIフィンガープリントとを比較する;
3.阻害の位置が第2の信号の信号区画内にあるか、即ち、第2の信号内の阻害が予想されるかどうかを判断する;
4.阻害の位置が第2の信号の信号区画内にある場合、
a.第2の信号内に阻害がある場合、イベントをトリガする;
b.第2の信号内に阻害がない場合、イベントを妨げる;
5.阻害の位置が第2の信号6の信号区画内にない場合、イベントをトリガする。
【0155】
ここでは、第1の信号は第1の受信器デバイスにおいて受信されたものであり、第2の信号は第2の受信器デバイスにおいて受信されたものである。上述のように、本方法はまた、第1の信号を第2の信号で置換することにより行われ、逆も同様である。
【0156】
代替案として、図8の方法は、阻害の位置(もしあれば)が信号毎に判断され、次に位置がほぼ同じであるかどうかが判断されるように修正され得る。当該アクションをトリガすべきかどうかは位置が同じかどうかに基づく。
【0157】
図8の方法は、信号により感知されるエリア内に重なりがあるということを前提として任意数のノード間の任意数の信号へ拡張し得る」と理解されたい。
【0158】
イベントが、複数の異なる受信器において受信された信号に基づく場合、イベントをトリガすべきかどうかを判断するための分析、即ち、阻害が別の信号の信号区画内に入るかどうかを判断する工程は、2つの信号の分析に基づきイベントをトリガすべきかどうかは、中央処理デバイスにより行われる。この中央処理デバイスは、クラウドコンピューティング環境に、受信器デバイスのうちの1つの指定デバイスに、又はネットワーク内の別の割り当てられたデバイスに配置され得る。
【0159】
図3Cに関連して記載したように、CSIフィンガープリントが、環境の変化(移動された家具など)を考慮するために更新される必要のある事例があり得る。図9は、CSIフィンガープリントを更新する例示的方法を示す。この方法は任意の感知モードエンジンにより実施され得る。CSIフィンガープリントを更新することは、受信された信号のCSIとCSIフィンガープリントとを比較する存在検出の実施形態のために必要とされる。
【0160】
工程S902において、この信号は、上述のように送信器デバイスにおいて受信されCSIフィンガープリントと比較される。
【0161】
受信された信号のCSI内の最終変化からの時間が判断される。この時間は、例えば受信された信号のタイムスタンプを使用することにより判断され得る。信号が受信されると、信号又はそのCSI値は、信号が受信された時間の指示子と共に、感知モードエンジンへアクセス可能な一時的格納位置に格納される。次の信号が同じ送信器デバイスから受信されると、そのCSIは格納された信号のものと比較される。CSI値が同じであれば、以前に受信された信号は格納されたままである。他方で、CSI値が異なれば、最近に受信された信号が一時的ストレージ内に格納される。一時的格納位置に格納された信号のタイムスタンプは、信号の最終変化からの時間を判断するために使用される。この時間は「無運動」時間(即ちいかなる運動も信号区画内になかった時間)を表す。
【0162】
最終変化からの時間は工程S904において閾値更新時間期間と比較される。無運動時間が閾値更新時間期間より短いということが工程S906において判断されれば、いかなるアクションも要求されない(工程S910)。
【0163】
代わりに、無運動時間が閾値更新時間を越えたということが工程S906において分かれば、フィンガープリント更新が実施される(工程S908)。フィンガープリント更新中、感知モードエンジンへアクセス可能なメモリ内に格納された特徴的信号のCSIの値は現在の信号のもの又は現在の信号と同じである一時的格納位置内に格納された信号のものと置換される。
【0164】
図9に示すものと同様な方法が、ホーム環境自動化イベントを逆にするために自動化感知モードエンジンにより使用され得る。この事例では、閾値期間は逆イベント時間期間であり、工程S908においてフィンガープリント更新を実施する代わりに、逆ホーム環境自動化イベント(reverse home environment automation event)がトリガされる。例えば、部屋内の人の存在によりトリガされたホーム環境自動化イベントがライトをオンにすれば、逆ホーム環境自動化イベントがライトをオフにするだろう。
【0165】
感知モードエンジンにより処理された信号は連続的に受信され処理され得る。代替的に、これらの信号は予め定義された間隔でサンプリングされ得る。
【0166】
本明細書に提示された例示的システムでは、2つの感知モードがある。任意数の感知モードが本システム内に実装され得ると理解されたい。
【0167】
本明細書において説明される方法では、信号のCSI値はエンティティの存在を感知するために使用される。しかし、受信された信号の他の特徴がエンティティを感知するために使用され得ると理解されたい。
【0168】
本システムのユーザは、特定感知モードで構成されるデバイスを選択することができる。例えば、ユーザは、浴室内のデバイスが転倒検出感知モードであることを望み得る一方で、応接室内のデバイスがセキュリティ感知モードであることを望み得る。ユーザは、これらの嗜好を、ユーザインターフェースを介し構成ツールへ提供し得る。構成ツールは、各モードにおいてリッスンするべき特定デバイス用のデバイスを検出する際に、ユーザ嗜好を考慮に入れる。
【0169】
上述の方法のうちの任意の方法においてCSI値の差があるかどうかを判断する工程は類似性(又は差)スコアを計算することを含み得る。CSI値は、類似性スコアが閾値を越える場合だけ異なると見做され得る。
【0170】
CSI値抽出及び評価は多種多様なやり方で実施され得る。例えば、人工知能モデルが、受信された信号からCSIデータを抽出するために及び/又は受信された信号が人の存在を指示するかどうかを判断するためにCSIデータを分析するために使用され得る。別の実施形態では、CSIフィンガープリントを格納するメモリにアクセスし、受信された信号のCSIとフィンガープリントとを比較するアルゴリズムが実行される。当該技術領域において知られている他の処理技術(時間及び/又は周波数領域処理、スムージング、雑音除去、フィルタリング、量子化、閾値化及び変換など)が追加的に又は代替的に使用され得る。
【0171】
上述のシステムでは、自動化感知モードの受信器は単一送信器だけをリッスンする。これは例示だけのために提供されると理解されたい。他のシステムでは、各感知モードは一組の任意数のメッシュデバイスを含み得る。
【0172】
上記開示は人の検出に関係するが、本明細書において開示される方法及びシステムは任意の異質エンティティ(動物及び無生物を含む)を検出するために使用され得る。
【0173】
上に提示された例において使用される場所は家である。当該場所は、無線信号がエンティティを感知するために使用され得る任意の環境であり得る。このような環境は、家、事務所若しくは病院などの室内環境、又は障壁(人工又は自然)を有する野外環境、囲まれた環境及び地下環境を含む室外環境を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、当該場所は「区域」に分割される。各区域内のメッシュデバイスは当該区域に依存する感知モードで構成され得る。建物内で、区域は、単一部屋であっても一群の部屋であってもよく、単一床上にあっても良いし、複数の床全体に広がってもよい。
【0175】
本明細書において説明される感知システムの別のアプリケーションは家庭内の高齢者及び弱者の監視である。病院及び高齢者介護設備は、心拍、呼吸及び四肢運動のような患者運動及び生体測定データを監視するためにWi-Fiセンサを使用し得る。
【0176】
本明細書において説明される例示的システムは当該場所内で一定ではないエンティティを感知するためにWiFi信号を使用する。しかし、「他の無線信号が、一定度のプライバシーを維持する一方で多種多様な感知モードのための柔軟感知の効果を実現するために同じシステム内で使用され得る」と理解されたい。
【0177】
上記実施形態におけるメッシュデバイスは、いかなる追加デバイスも要求されないように当該場所に既に配置されたデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、感知メッシュは、これらのデバイスのうちのいくつか及び感知システムに専用化された1つ又は複数の追加デバイスを含む。他の実施形態では、感知メッシュはこのような専用デバイスだけを含む。メッシュネットワーク内のすべてデバイスは、専用デバイスであるか他の機能を有するデバイスかに関係なく、感知システムのためのソフトウェアを実行しCSIデータを抽出することができるように互換性があるべきであるハードウェアを有する。
【0178】
メッシュネットワークが専用デバイスだけを含む実施形態では、ユーザは、上に記載のメッシュ形成方法のメッシュネットワーク工程のためのいかなるデバイスも選択することを要求されないかもしれない。このような実施形態では、専用デバイスだけが使用され、したがってユーザ選択は要求されない。
【0179】
一実施形態によるクライアントデバイス1008の概略図が図11に示される。ユーザデバイス1008はコントローラ1122を有する。コントローラ1122は1つ又は複数のプロセッサ1104及び1つ又は複数のメモリ1110を有し得る。例えば、ユーザデバイス1008上のメッシュ構成アルゴリズム及び/又は感知モードエンジンを実行するコンピュータコードがメモリ1110内に格納され得る。構成メモリもまたメモリ1110に格納され得る。メモリ1110はまた、デバイスを選択するための感知情報及び警報を受信するための能力をユーザに提供するアプリケーションであってプロセッサ1104により実施されるアプリケーションを格納し得る。
【0180】
コントローラ1122はまた、グラフィックコントローラ1106及びサウンドコントローラ1112を有するとして示される。グラフィックコントローラ1106及びサウンドコントローラ1112の一方又は他方又は両方が1つ又は複数のプロセッサ1104により提供され得るということが認識されるべきである。他の機能的ブロックがまた、1つ又は複数のプロセッサ1104により実行される好適な回路構成又はコンピュータコードにより実施され得る。
【0181】
グラフィックコントローラ1106は映像出力1108を提供するように構成される。サウンドコントローラ1112は音声出力1114を提供するように構成される。コントローラ1122は、当該デバイスがインターネット又は他の通信インフラストラクチャなどのネットワークと通信することができるようにするネットワークインターフェース1116を有する。
【0182】
映像出力1108はディスプレイ1118へ提供され得る。音声出力1114は、スピーカ及び/又はイヤホンなどのオーディオデバイス1120へ提供され得る。
【0183】
デバイス1008は入力デバイス1102を有し得る。入力デバイス1102は、キーボード、マウス又はタッチスクリーンのうちの1つ又は複数などの任意の好適なフォーマットを採用し得る。「ディスプレイ1118はまた、幾つかの実施形態では、例えば一体化タッチスクリーンを経由して入力デバイス1102を提供し得る」ということが認識されるべきである。
【0184】
コントローラ1122のブロックは、バスなどの相互接続配線又は任意の他の好適な相互接続配線を介し及び/又はポイントツーポイント通信により互いに通信するように構成される。
【0185】
幾つかの実施形態ではコントローラ1122は1つ又は複数の回路により少なくとも部分的に実装され得るということが認識されるべきである。
【0186】
いくつかの実施形態は異なるシステムアーキテクチャ内に配備され得るということが認識されるべきである。例えば、感知エンジンは、ユーザデバイス1008のメモリ1110内に格納されるコンピュータプログラムとして実装され得る。別のシステムアーキテクチャでは、構成メモリ及び/又は感知モードエンジンがサーバ1002において格納され、サーバ1002におけるプロセッサにより実施され得る。次に、ユーザインターフェースを介しユーザへ提供するための感知情報がネットワーク1004によりユーザデバイス1008へ提供される。
【0187】
上記実施形態は単に一例として説明されたと理解されたい。本発明の他の変形形態及び応用は、本明細書に提示された教示の観点で当業者にとって明白になる。本発明は、説明された実施形態により制限されるのではなく、添付の特許請求項のみにより制限される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図8-1】
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】