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特表2024-533200複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/16 20190101AFI20240905BHJP
【FI】
B60L53/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514109
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 CN2022116560
(87)【国際公開番号】W WO2023030456
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111028187.2
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125AC24
5H125FF12
(57)【要約】
本発明は、複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車を提供する。該連動装置は、駆動装置(1)を備え、駆動装置(1)の出力端には連動構造(2)が接続されており、前記連動構造(2)に少なくとも2つのロックレバーが接続されており、前記駆動装置(1)は、前記連動構造(2)によって各前記ロックレバーを同期移動させる。本発明では、連動構造を設計し、1つの駆動装置が連動構造を介して2つ以上の作動機構を同期制御できるようにすることにより、制御精度を向上し、製造コストを効果的に低減し、サブ部品の数を減少することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロックレバーを同期制御する連動装置であって、
駆動装置を備え、
駆動装置の出力端に連動構造が接続されており、前記連動構造に少なくとも2つのロックレバーが接続されており、
前記駆動装置は、前記連動構造を介して各前記ロックレバーを同期移動させる、
複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項2】
前記移動は、伸縮、並進、回転、揺動、湾曲、ねじれのうちの1種又は複数種である、
請求項1に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項3】
前記ロックレバーは、充電ガンのロック孔に挿着されることで充電ガンを固定する、
請求項1に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項4】
前記ロックレバーの形状は、円柱、円錐台、円錐、楕円柱、楕円台、楕円錐、多角柱、多角錐台及び多角錐のうちの1種又は複数種である、
請求項1に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項5】
前記連動構造には第1ロックレバーと第2ロックレバーが接続されており、前記第1ロックレバーと前記第2ロックレバーとが空間的に第1交差角度をなすように設けられており、
前記駆動装置は、前記連動構造を介して前記第1ロックレバーと前記第2ロックレバーを同期運動させる、
請求項1に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項6】
前記連動構造は伝動軸を有し、
前記伝動軸は、前記駆動装置の出力端と同軸に設けられており、前記伝動軸の第1端が前記駆動装置の出力端に固定接続されており、
前記伝動軸の第1端には第1リンク回転軸が設けられており、前記第1リンク回転軸が前記第1ロックレバーに接続されており、前記伝動軸は、第1リンク回転軸を介して前記第1ロックレバーを伸縮運動させることが可能であり、
伝動軸の第2端には第2リンク回転軸が設けられており、前記第2リンク回転軸が前記第2ロックレバーに接続されており、前記伝動軸は、前記第2リンク回転軸を介して前記第2ロックレバーを伸縮運動させることが可能である、
請求項5に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項7】
前記第1ロックレバーの長さは、5mm~55mmであり、
前記第2ロックレバーの長さは、5mm~55mmである、
請求項6に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項8】
前記第1ロックレバーのストロークは、5mm~36mmであり、
前記第2ロックレバーのストロークは、5mm~36mmである、
請求項6に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項9】
前記連動構造は梃子構造をさらに有し、
前記第1リンク回転軸は、前記梃子構造の第1端に回転可能且つ摺動可能に接続されており、前記梃子構造の第2端は、前記第1ロックレバーに回転可能且つ摺動可能に接続されている、
請求項6に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項10】
前記梃子構造は梃子を有し、
前記梃子には梃子回転軸が接続されており、前記梃子回転軸が固定的に設けられており、
前記梃子回転軸の中心軸と前記伝動軸の中心軸とが平行に配置されており、
前記梃子が前記梃子回転軸の中心軸周りに回転可能である、
請求項9に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項11】
前記梃子は、長尺状に設けられており、
前記梃子の第1端の側壁には第1摺動溝が設けられており、前記第1摺動溝は、梃子の第1端の端面から内方に延設されており、
前記第1リンク回転軸が回転可能かつ摺動可能に前記第1摺動溝内に嵌設されており、
前記第1摺動溝の幅方向と前記梃子回転軸の中心軸とが空間的に垂直に配置されており、
前記第1摺動溝の幅方向寸法は、前記第1リンク回転軸の外径寸法以上である、
請求項10に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項12】
前記第1摺動溝の前記梃子回転軸に近い一端の溝底は円弧状に設けられている、
請求項11に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項13】
前記伝動軸の第1端には、径方向に沿って外方に延在する第1接続板が設けられおり、
前記第1接続板に前記第1リンク回転軸が設けられている、
請求項6に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項14】
前記伝動軸の第1端の端面にキー溝が設けられており、前記駆動装置の出力端が前記キー溝に合わせて形成されており、
前記伝動軸が前記キー溝を介して前記駆動装置の出力端に接続されている、
請求項6に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項15】
前記第1ロックレバーは、第1位置規制レバーを有し、
前記第1ロックレバーの一端には、第1回転軸が設けられており、前記第1回転軸の中心軸と前記第1位置規制レバーの中心軸とが垂直に配置されており、
前記第1回転軸は、前記梃子の第2端に回転可能且つ摺動可能に接続されている、
請求項10に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項16】
前記梃子の第2端の側壁に第3摺動溝が設けられており、
前記第3摺動溝は、前記梃子の第2端の端面から内方に延設されており、
前記第1回転軸は、前記第3摺動溝内に回転可能に嵌設されており、
前記第3摺動溝の幅方向と前記梃子回転軸の中心軸とが空間的に垂直に配置されており、
前記第3摺動溝の幅方向寸法は、前記第1回転軸の外径寸法以上である、
請求項15に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項17】
前記第3摺動溝の前記梃子回転軸に近い一端の溝底は円弧状に設けられている、
請求項16に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項18】
前記第1位置規制レバーの一端には、L字型に設けられた第3接続板が接続されており、
前記第3接続板に前記第1回転軸が設けられている、
請求項15に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項19】
前記第1ロックレバーの一端に第1回転軸が設けられており、
前記第2リンク回転軸は第2回転軸を有し、前記第2回転軸が前記伝動軸の第2端の側壁に接続されており、
前記第2回転軸が前記第2ロックレバーの第1端に回転可能且つ摺動可能に接続されている、
請求項6に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項20】
前記第2ロックレバーは、第2位置規制レバーを有し、
前記第2ロックレバーの一端に第2摺動溝が設けられており、
前記第2回転軸の中心軸と第2位置規制レバーの中心軸とが垂直に配置されており、
前記第2摺動溝の幅方向と前記第2位置規制レバーの中心軸とが平行に配置されており、
前記第2摺動溝の幅方向寸法は、前記第2回転軸の外径寸法以上である、
請求項19に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項21】
前記第1回転軸と前記第2回転軸の回転半径が同じである、
請求項20に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項22】
前記第2摺動溝は、矩形、平行四辺形、多角形、台形、菱型又は長尺円形に形成されている、
請求項20に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項23】
前記第2位置規制レバーの一端に第2ロックレバー接続クリック板が設けられており、
前記第2ロックレバー接続クリック板の一方側に前記第2摺動溝が設けられており、
前記第2ロックレバー接続クリック板と前記第2位置規制レバーとの間に移行斜面が設けられている、
請求項20に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項24】
前記伝動軸の第2端には、径方向に沿って外方に延在する第2接続板が設けられており、
前記第2接続板に前記第2回転軸が設けられている、
請求項19に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項25】
前記駆動装置の出力電力は0.35W~5.56Wである、
請求項1に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項26】
前記駆動装置は出力端を有し、
前記出力端の出力トルクは2.25N・mm~9.85N・mmである、
請求項1に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項27】
前記伝動軸の回転角度は15°~92°である、
請求項6に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項28】
前記伝動軸の材料は、金属又は非金属を含む、
請求項6に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項29】
前記伝動軸の材料は、炭素鋼、全銅、純銅、アルミニウムで被覆された亜鉛、アルミニウムで被覆された銅又は亜鉛合金を含む、
請求項28に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項30】
前記伝動軸の材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エテン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エテン/酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの1種又は複数種を含む、
請求項28に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項31】
前記伝動軸の材料にはガラス繊維が含まれる、
請求項28に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項32】
前記第1ロックレバー及び前記第2ロックレバーの材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エテン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エテン/酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの1種又は複数種を含む、
請求項5に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項33】
前記第1回転軸及び前記第2回転軸に耐摩耗メッキ層が施されている、
請求項19に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項34】
前記耐摩耗メッキ層の材料は、セラミック、合金、酸化物又はフッ素プラスチックを含む、
請求項33に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項35】
前記耐摩耗メッキ層は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、硬質銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種又は複数種を含む、
請求項33に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか1項に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置を備える充電装置。
【請求項37】
請求項1~35のいずれか1項に記載の複数のロックレバーを同期制御する連動装置を備える自動車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、特許出願番号が202111028187.2であり、出願日が2021年9月2日であり、発明名称が「複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車」である中国特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、新エネルギー自動車の技術分野に関し、特に、複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー自動車における電気自動車は、単一の蓄電池をエネルギー貯蔵動力源とする自動車であり、電池を介してモータに電気エネルギーを供給し、モータを駆動して作動させることにより、自動車の走行を実現する。電気自動車の充電可能な電池としては、主に鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池及びリチウムイオン電池などがあり、これらの電池によって電気自動車に動力を提供することができると共に、電気自動車が電池によって電気エネルギーを貯蔵し、モータを駆動して作動させることで車両を正常に走行させる。電気自動車の電池は、主に新エネルギー自動車充電ガンによって充電される。
【0004】
従来の充電技術において、充電インレットに例えば直流充電口と交流充電口のような複数の充電口が配置される場合、異なる充電ガンによる充電が可能である。従来の技術では、複数の駆動装置を用いて複数の充電口と充電ガンとのロック接続をそれぞれ制御し、各駆動装置が対応するロックレバーを駆動し、充電ガンを対応する充電スタンドにロック接続して充電を行うため、駆動装置の部品数が多く、製造コストが高いなどの問題がある。
【0005】
従って、新エネルギー自動車の技術分野では、1つの駆動装置を使用し、複数のロックレバーを同時に制御して充電ガンにロック接続することにより、従来技術における欠陥を克服し、駆動装置の部品数が多く、製造コストが高いなどの問題を解決できる複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来技術における問題を解決するための複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車を提供することを目的とする。本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置において、連動構造を配置し、1つの駆動装置が連動構造を介して2つ以上の作動機構を同期制御することにより、制御精度を向上させ、製造コストを効果的に低減し、サブ部品の数を減少させることができる。
【0007】
本発明は、駆動装置を備え、駆動装置の出力端に連動構造が接続されており、前記連動構造に少なくとも2つのロックレバーが接続されており、前記駆動装置は、前記連動構造を介して各前記ロックレバーを同期移動させる複数のロックレバーを同期制御する連動装置を提供する。
【0008】
本発明は、上記の複数のロックレバーを同期制御する連動装置を備える充電装置をさらに提供する。
【0009】
本発明は、上記の複数のロックレバーを同期制御する連動装置を備える自動車をさらに提供する。
【0010】
以上のように、本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車は、以下の有益な効果を奏することができる。
【0011】
(1)本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置において、連動構造が配置され、1つの駆動装置が連動構造を介して2つ以上の作動機構を同期制御できるようにすることにより、製造コストを効果的に低減し、サブ部品の数を減少し、組立プロセスの難易度とコストを低減することができる。
【0012】
(2)本発明の連動構造は、位置規制及び摺動溝の原理を利用し、梃子によって力の方向を変えることにより、複数のロックレバーを同期伸縮運動させることができる。
【0013】
(3)本発明の連動構造において、各部品の構造が簡単で、製造しやすく、普及に有利である。
【0014】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下で実施例の説明に用いる図面を簡単に説明する。以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得られることは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置の模式図
図2】本発明の伝動軸の構造模式図
図3】本発明の伝動軸の第1端の端面模式図
図4】本発明の梃子の構造模式図
図5】本発明の第1ロックレバーの構造模式図
図6】本発明の第2ロックレバーの構造模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の技術的特徴、目的及び効果をより明確に理解するために、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0017】
ここで説明される本発明の具体的な実施形態は、本発明の目的を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の教示の下で、当業者が本発明に基づいて想到し得る任意の可能な変形はいずれも本発明の範囲に属するものと見なされるべきである。なお、素子が他の素子に「設けられる」と記載される場合、他の素子に直接に設けられてもよいし、中継素子を介して設けられてもよい。一方の素子が他方の素子に「接続」されていると見なされる場合、他方の素子に直接接続されてもよく、又は中継素子を介して接続されてもよい。「取り付け」、「連結」、「接続」という用語は広義に理解されるべきであり、例えば、機械的接続又は電気的接続であってもよく、2つの素子内部の連通であってもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の具体的な意味を理解することができる。本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」という用語及びこれらに類似する表現は、説明のためのものに過ぎず、唯一の実施形態を示すものではない。
【0018】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって通常理解される意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本願を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する要素のうちの任意のもの及び全ての組み合わせを含む。
【0019】
図1図6に示すように、本発明は、複数のロックレバーを同期制御する連動装置100を提供し、連動装置100は駆動装置1を備え、駆動装置1の出力端に連動構造2が接続されており、連動構造2には少なくとも2つのロックレバーが接続されており、各ロックレバーはそれぞれ1つ充電ガンヘッドに接続され、駆動装置1は、連動構造2を介して各ロックレバーを同期移動させる。駆動装置はモータ又は電子ロックを含むが、これらに限定されない。連動構造2はモータ又は電子ロックの出力端に接続され、トルクを伝達可能である。
【0020】
さらに、移動は、伸縮、並進、回転、揺動、湾曲、ねじれのうちの1種又は複数種である。連動構造2は、少なくとも2つのロックレバーを運動させる。運動の方式は、実際の使用環境に応じて決定してもよく、複数のロックレバーの同時制御を実現できればよい。
【0021】
さらに、ロックレバーは、充電ガンを固定するために、充電ガンのロック孔(従来技術、図示せず)に挿着される。
【0022】
本発明の一つの重要な目的は、充電ガンをロックすることである。そのために、各ロックレバーの全てを異なる充電ガンのロック孔に挿入してロックできるようにすることにより、充電過程において充電ガンが充電インレットから脱落して自動車の充電を行えなくなってしまうことを防止できる。また、脱落した帯電した充電ガンも感電被害のリスクがある。
【0023】
一つの具体的な実施例において、ロックレバーの形状は、円柱、円錐台、円錐、楕円柱、楕円台、楕円錐、多角柱、多角錐台及び多角錐の1種又は複数種である。実際の使用時に、充電ガンのロック孔の形状に応じて決定してもよい。
【0024】
一つの具体的な実施例において、連動構造2に第1ロックレバー3と第2ロックレバー4が接続されており、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4とが空間的に第1交差角度(該交差角度は実際の使用ニーズに応じて決定しもよく、本発明の一つの具体的な実施例において、両者は空間的に垂直に配置される)をなすように設けられており、第1ロックレバー3は第1充電ガンヘッド(従来技術における従来の充電構造を採用すればよい)を接続するために用いられ、第2ロックレバー4は第2充電ガンヘッド(従来技術における従来の充電構造を採用すればよい)を接続するために用いられ、駆動装置1は、連動構造2を介して第1ロックレバー3と第2ロックレバー4を同期運動させる。本実施形態において、第1ロックレバー3は交流ロックレバーであり、第1充電ガンヘッドは交流充電ガンヘッドであり、第2ロックレバー4は直流ロックレバーであり、第2充電ガンヘッドは直流充電ガンヘッドであり、モータは連動構造2を介して第1ロックレバー3と第2ロックレバー4を同期運動させる。
【0025】
実際に応用する場合、本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置100は、中空のハウジング(図示せず)内に設けられている。
【0026】
一つの具体的な実施例において、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4は作動機構であり、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4は2つの作動機構として駆動装置1の出力端に連動して同期に伸縮し、栓の役割を果たす。1つの駆動装置1が連動構造2を介して2つ以上の作動機構を同期制御できるようにすることにより、製造コストを効果的に低減し、サブ部品の数を低減できる。
【0027】
本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置には、連動構造2が設けられている。1つの駆動装置1が連動構造2を介して2つの作動機構を同期制御することにより、製造コストを効果的に低減し、サブ部品の数を減少し、組立プロセスの難易度とコストを低減することができる。
【0028】
さらに、図1図2に示すように、連動構造2は伝動軸20を有し、伝動軸20は駆動装置1の出力端と同軸に設けられ、伝動軸20の第1端が駆動装置1の出力端に固定接続されている。伝動軸20の第1端には第1リンク回転軸21が設けられており、第1リンク回転軸21が第1ロックレバー3に接続されており、伝動軸20は第1リンク回転軸21を介して第1ロックレバー3を伸縮運動させることができる。伝動軸20の第2端には第2リンク回転軸が設けられており、第2リンク回転軸が第2ロックレバー4に接続されており、伝動軸20は第2リンク回転軸を介して第2ロックレバー4を伸縮運動させることができる。連動構造2は、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4を同期に伸縮運動させる。
【0029】
さらに、第1ロックレバー3の長さは5mm~55mmであり、第2ロックレバー4の長さは5mm~55mmである。
【0030】
第1ロックレバー3と第2ロックレバー4の長さは短すぎるとロック作業を完了できず、長すぎると充電ガンと干渉して異音を発生させ得る。そこで、発明者は、長さの異なる第1ロックレバー3と第2ロックレバー4を選択してテストを行った。ここで、ロック動作を完了できない場合に不合格とし、異音が発生した場合に不合格とする。テスト結果を表1に示す。
【0031】
表1:異なるロックレバーの長さによるロック動作への影響
【0032】
【表1】
【0033】
表1から分かるように、ロックレバーの長さが5mmより小さい場合、ロックレバーが充電ガンをロックできず、ロックレバーの長さが55mmより大きい場合、ロックレバーが充電ガンと干渉して異音が発生し得る。そこで、発明者は、第1ロックレバー3の長さを5mm~55mmとし、第2ロックレバー4の長さを5mm~55mmとする。
【0034】
さらに、第1ロックレバーの最大ストロークは5mm~36mmであり、第2ロックレバーのストロークは5mm~36mmである。
【0035】
上記と同様に、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4の最大ストロークが短すぎると充電ガンをロックする動作を完了することができず、長すぎると充電ガンと干渉して異音が発生し得る。そこで、発明者は、最大ストロークが異なる第1ロックレバー3と第2ロックレバー4を選択してテストを行った。ここで、ロック動作を完了できない場合に不合格とし、異音が発生した場合に不合格とする。テスト結果を表2に示す。
【0036】
表2:異なるロックレバーの最大ストロークによるロック動作への影響
【0037】
【表2】
【0038】
表2から分かるように、ロックレバーの最大ストロークが5mmより小さい場合、ロックできず、ロックレバーの最大ストロークが36mmより大きい場合、異音が発生し得る。そこで、発明者は、第1ロックレバー3の最大ストロークを5mm~36mmとし、第2ロックレバー4の最大ストロークを5mm~36mmとする。
【0039】
さらに、図2に示すように、第1リンク回転軸21は伝動軸20の第1端の側壁に接続されており、第1リンク回転軸21の中心軸と伝動軸20の中心軸とが平行に配置されてもよく、他の角度に設置されてもよい。第1リンク回転軸21は伝動軸20とともにその中心軸周りに回転可能である。連動構造は梃子構造をさらに有し、第1リンク回転軸21は梃子構造の第1端に回転可能且つ摺動可能に接続されており、梃子構造の第2端が第1ロックレバー3に回転可能且つ摺動可能に接続されている。
【0040】
さらに、図1図4に示すように、梃子構造は梃子231を有し、梃子231には梃子回転軸232が接続されており、梃子回転軸232は固定的に設けられており、梃子回転軸232の中心軸と伝動軸20の中心軸とが平行に配置されており、梃子231は梃子回転軸232の中心軸周りに回転可能であり(梃子231は梃子回転軸232を円心として回転可能である)、梃子231の回転方向は伝動軸20の回転方向と反対である。
【0041】
さらに、図1図4に示すように、梃子231は、長尺状に設けられ、梃子の第1端の側壁には、第1摺動溝233が設けられており、第1摺動溝233は、梃子231の第1端の端面から内方に延設されており、第1リンク回転軸21は、第1摺動溝233内に回転可能かつ摺動可能に嵌設されており、第1摺動溝233の幅方向と梃子回転軸232の中心軸とが空間的に垂直に配置されており、第1摺動溝233の幅方向寸法は、第1リンク回転軸21の外径寸法以上である。
【0042】
さらに、第1摺動溝233の梃子回転軸232に近い一端の溝底は円弧状に設けられている。第1摺動溝233の輪郭形状は、実際のニーズに応じて調整してもよい。
【0043】
さらに、梃子231の第1端の端面は平面に設けられている。
【0044】
梃子231の輪郭形状、梃子回転軸232の取り付け位置等は、実際の応用に応じて調整してもよく、第1リンク回転軸21の外径寸法、第1摺動溝233の幅方向寸法及び長さ方向寸法は、実際の必要に応じて決定してもよく、応用範囲が広い。
【0045】
さらに、図2に示すように、伝動軸20の第1端には径方向に沿って外方に延在する第1接続板201が設けられており、第1接続板201には第1リンク回転軸21が設けられている。
【0046】
さらに、図3に示すように、伝動軸20の第1端の端面にはキー溝203(方形溝)が設けられており、駆動装置1の出力端がキー溝203に合わせて形成されており、伝動軸20はキー溝203を介して駆動装置1の出力端に接続されている。
【0047】
さらに、図1図5に示すように、第1ロックレバー3は第1位置規制レバー31を有し、第1ロックレバー3の一端には第1回転軸32が設けられており、第1回転軸32の中心軸と第1位置規制レバー31の中心軸とは垂直に配置されており、第1回転軸32が梃子の第2端に回転可能且つ摺動可能に接続されている。
【0048】
さらに、図5に示すように、梃子231の第2端の側壁には、第3摺動溝234が設けられており、第3摺動溝234は、梃子231の第2端の端面から内方に延設されており、第1回転軸32は、第3摺動溝234内に回転可能に嵌設されており、第3摺動溝234の幅方向と梃子回転軸232の中心軸とが空間的に垂直に配置されており、第3摺動溝234の幅方向の寸法は、第1回転軸の外径寸法よりも大きい。梃子231と伝動軸20における第1リンク回転軸21とを接続し、梃子231と第1ロックレバー3における第1回転軸32とを梃子によって力の方向を変えることにより、最終的に第1回転軸32の回転を第1位置規制レバー31の伸縮移動に変換する。
【0049】
さらに、第3摺動溝234の梃子回転軸232に近い一端の溝底は円弧状に設けられている。
【0050】
さらに、図5に示すように、第1位置規制レバー31の一端には、L字型に設けられた第3接続板33が接続されており、第3接続板33に第1回転軸32が設けられている。第3接続板33の輪郭形状は、実際の応用に応じて調整してもよい。
【0051】
さらに、図1図2に示すように、第2リンク回転軸は、第2回転軸22を有し、第2回転軸22は、伝動軸20の第2端の側壁に接続されており、第2回転軸22の中心軸と伝動軸20の中心軸とが平行に配置されており、第2回転軸22は、伝動軸20とともにその中心軸周りに回転可能であり、第2回転軸22は、第2ロックレバー4の第1端に回転可能且つ摺動可能に接続されている。
【0052】
さらに、図6に示すように、第2ロックレバー4は、第2位置規制レバー41を有し、第2ロックレバー4の一端には第2摺動溝42が設けられており、第2回転軸22の中心軸と第2位置規制レバー41の中心軸とが垂直に配置されており、第2回転軸22は、回転可能かつ摺動可能に第2摺動溝42内に係合されており、第2摺動溝42の幅方向と第2位置規制レバー41の中心軸とが平行に配置されており、第2摺動溝42の幅方向寸法は、第2回転軸22の外径寸法以上である。第2ロックレバー4と第2回転軸22とを接続するこれにより、第2回転軸22の回転を第2位置規制レバー41の伸縮移動に変換する。
【0053】
さらに、第1回転軸32と第2回転軸22の回転半径は同じである。同じ回転半径とすることで、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4を同期してロックすることができる。
【0054】
さらに、第2摺動溝42は、矩形、平行四辺形、多角形、台形、菱型又は長尺円形に設けられている。
【0055】
さらに、図6に示すように、第2位置規制レバー41の一端に第2ロックレバー接続クリック板43が設けられており、第2ロックレバー接続クリック板43の一側に第2摺動溝42が設けられており、第2ロックレバー接続クリック板43と第2位置規制レバー41との間に移行斜面が設けられている。
【0056】
さらに、図2に示すように、伝動軸20の第2端には、径方向に沿って外方に延在する第2接続板202が設けられており、第2接続板202には第2回転軸22が設けられている。
【0057】
上記した第1位置規制レバー31、第2位置規制レバー41のロックレバーの直径は実際の必要に応じて決定され、連動構造2における各ヒンジ箇所、各モーメントアームの設定は実際の必要に応じて決定される。
【0058】
本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置の作動過程は、
駆動装置1(モータ)によりトルクが入力され、伝動軸20がキー溝203を介して駆動装置1の出力端に接続され、駆動装置1の出力端がキー溝203を介して伝動軸20を回転させることと、
第1リンク回転軸21及び第2回転軸22は、伝動軸20とともにその中心軸周りに回転することと、
第1リンク回転軸21が第1摺動溝233内に嵌設されている状態で回転し、第1リンク回転軸21は梃子231を梃子回転軸232の中心軸周りに回転させ、ここで、梃子231の回転方向と第1リンク回転軸21の回転方向とは反対であることと、
第1ロックレバー3における第1回転軸32が第3摺動溝234内に嵌設されている状態で回転し、梃子231の回転により第1位置規制レバー31を伸縮移動(第1位置規制レバー31の中心軸方向に沿って移動)させることで、第1ロックレバー3が伸長又は収縮することと、
第2回転軸22は、第2摺動溝42内に回転可能且つ摺動可能に嵌設されており、第2回転軸22の回転により第2位置規制レバー41を伸縮移動(第2位置規制レバー41の中心軸方向に沿って移動)させることで、第2ロックレバー4が伸長又は収縮することと、を含む。
【0059】
いくつかの実施例において、駆動装置1の出力電力は0.35W~5.56Wである。
【0060】
連動装置の作動速度は駆動装置1の出力電力に依存し、電力が高いほど、連動装置が作動を完了する速度が速くなり、電力が小さいほど、連動装置が作動を完了する速度が遅くなり、ひいては伝動軸20の回転トルクが不足して第1ロックレバー3と第2ロックレバー4のロック動作を完了できないおそれがある。出力電力による連動装置の作動への影響を検証するために、発明者は関連テストを行い、テストの方法として、異なる出力電力の駆動装置1を選択し、連動装置は同じ構造とし、各駆動装置1が1分間連続して作動させ、連動装置の作動完了回数を記録する。ここで、完了回数が40以上の場合に合格とし、40未満の場合に不合格とする。連動装置の作動時に異音が発生した場合にも不合格とする。結果を表3に示す。
【0061】
表3:異なる出力電力による連動装置の速度及び異音への影響
【0062】
【表3】
【0063】
表3に示すように、駆動装置1の出力電力が0.35Wより小さくなった後、1分間内に連動装置が完成したロック動作回数が40回より小さく、速度が遅すぎて不合格であるため、発明者は駆動装置1の最小電力を0.35Wとする。駆動装置1の出力電力が5.56Wより大きくなった後、連動装置は全体設計の影響によって速度がボトルネック期間に入り、顕著な向上が得られないとともに、異音も発生したため、発明者は駆動装置1の出力電力を0.35W~5.56Wとする。具体的には、0.9W、0.96W、1W、1.08Wなどであってもよい。
【0064】
いくつかの実施例では、駆動装置1は出力端を有し、出力端の出力トルクは2.25N・mm~9.85N・mmである。
【0065】
伝動軸20に印加される力の大きさは駆動装置1の出力トルクに依存し、トルクが不十分であると、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4を作動させることができない。異なる出力トルクの駆動装置1の連動装置の作動への影響を検証するために、発明者は関連テストを行い、テストの方法として、異なる出力トルクの駆動装置1を選択し、連動装置の他の構造は同じとし、伝動軸20を正常に作動させることができる駆動装置1について合格とし、そうでなければ不合格とし、連動装置の作動中に異音が発生した場合にも不合格とする。テスト結果を表4に示す。
【0066】
表4:異なる出力トルクの駆動装置1が正常に伝動軸20を作動させることができるか否か












【0067】
【表4】
【0068】
表4に示すように、駆動装置1の出力トルクが2.25N・mmより小さくなると、伝動軸20を作動できなくなるため、発明者は、駆動装置1の出力トルクを最小で2.25N・mmとする。出力トルクが9.85N・mmを超えると、伝動軸20を作動させることもできるが、出力トルクが大きすぎることにより連動装置の作動時に異音が発生したため、発明者は駆動装置1の出力トルクを2.25N・mm~9.85N・mmとする。具体的には、3.5N・mm、4N・mmなどであってもよい。
【0069】
いくつかの実施例において、伝動軸20の回転角度は15°~92°である。
【0070】
第1ロックレバー3と第2ロックレバー4のストロークは伝動軸20の回転角度にも依存する。伝動軸20の回転角度が小さすぎると、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4のストロークが不足し、ロック作業を完了できない。伝動軸20の回転角度が大きすぎると、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4が作動位置まで伸びた後、伝動軸20は依然として回転させる力を出力するため、連動装置の破損を招きやすい。伝動軸20の回転角度による連動装置への影響を検証するために、発明者はテストを行った。テストの方法として、伝動軸20の回転角度が異なる駆動装置1を用意し、連動装置の他の構造は同じとし、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4のストロークでロック動作を完了させることができる場合に合格とし、そうでなければ不合格とする。より大きい回転角度は、第1ロックレバー3及び第2ロックレバー4のストロークがより大きいことを意味し、それに応じて、各接続部材のサイズを大きくする必要があるため、連動装置における他の部材と接触して連動装置の使用に影響を与えやすくなる。この場合の伝動軸20の回転角度も不合格とする。テスト結果を表5に示す。
【0071】
表5:異なる伝動軸の回転角度範囲による連動装置の機能への影響及び他の部品との接触の有無








【0072】
【表5】
【0073】
表5から分かるように、伝動軸20の回転角度が15°より小さいと、第1ロックレバー3と第2ロックレバー4のストロークが不足し、ロック作業を完了できなかった。伝動軸20の回転角度が92°より大きい場合、連動装置の部品同士の間に不要な接触が生じて異音が発生したため、不合格であった。そこで、発明者は、伝動軸20の出力端の回転角度を15°~92°とする。具体的には、50°、60°、70°又は80°などであってもよい。
【0074】
さらに、伝動軸20の材料は、金属又は非金属を含む。
【0075】
さらに、伝動軸20の材料は、炭素鋼、全銅、純銅、アルミニウムで被覆された亜鉛、アルミニウムで被覆された銅又は亜鉛合金を含む。これらの金属又は合金は、より良好な強度及び靭性を有し、伝動軸の要求をより満足させることができる。
【0076】
さらに、伝動軸20の材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エテン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エテン/酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの1種又は複数種を含む。
【0077】
ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド及びポリテトラフルオロエチレンを例とする場合、ポリオキシメチレンは、表面が滑らかで、光沢があり、硬くて緻密な材料であり、薄い黄色又は白色を呈し、-40℃~100℃の温度範囲内で長期間使用することができる。耐摩耗性と自己潤滑性もほとんどのエンジニアリングプラスチックより優れており、良好な耐油、耐過酸化物性能を有する。
【0078】
ポリエステルは、通常、テレフタル酸とブチレングリコールを重合したものであり、セグメントは、ハードセグメント部分とソフトセグメント部分を有し、熱可塑性エラストマーである。
【0079】
ポリカーボネートは、高強度、高弾性係数及び高衝撃強度を有し、耐疲労性に優れ、寸法安定性が良好であり、クリープが小さく、高い透明性及び自由染色性を有する。
【0080】
ポリアミドは、無毒かつ軽量であり、優れた機械的強度を有し、良好な耐摩耗性及び耐食性を有し、銅などの金属の代わりに機械、化学工業、計器、自動車などの工業において軸受、歯車、ポンプ羽根及び他の部品を製造するために用いられる。
【0081】
ポリフェニレンスルフィドは、新型の高性能熱可塑性樹脂であり、機械的強度が高く、耐高温、耐薬品性、難燃性を有し、熱安定性に優れ、電気性能に優れるなどの利点を有する。
【0082】
ポリテトラフルオロエチレンは、耐酸性、耐塩基性及び各種有機溶媒に対する耐性を有し、全ての溶媒にほとんど溶解しない。また、ポリテトラフルオロエチレンは耐高温の特徴を有する。
【0083】
さらに、伝動軸20の材料にはガラス繊維が含まれる。ガラス繊維により、伝動軸20の強度がより強く、一定の平滑度を有する。
【0084】
さらに、第1ロックレバー3及び第2ロックレバー4の材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エテン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エテン/酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの1種又は複数種を含む。
【0085】
ポリオキシメチレン、ポリカーボネート及びポリアミドを例とする場合、ポリオキシメチレンは、表面が滑らかで、光沢があり、硬くて緻密な材料であり、薄い黄色又は白色を呈し、-40℃~100℃の温度範囲内で長期間使用することができる。耐摩耗性と自己潤滑性もほとんどのエンジニアリングプラスチックより優れており、良好な耐油、耐過酸化物性能を有する。
【0086】
ポリカーボネートは、無色透明であり、耐熱性及び耐衝撃性を有し、難燃レベルがBIであり、通常の使用温度において良好な機械的特性を有する。ポリカーボネートは、性能が近いポリメタクリル酸メチルに比べて、耐衝撃性能が良く、屈折率が高く、加工性能が良く、添加剤を必要とせずに高度な難燃性能を有する。
【0087】
ポリアミドは、無毒かつ軽量であり、優れた機械的強度を有し、良好な耐摩耗性及び耐食性を有し、銅などの金属の代わりに機械、化学工業、計器、自動車などの工業において軸受、歯車、ポンプ羽根及び他の部品を製造するために用いられる。第1ロックレバー3と第2ロックレバー4には、高強度、高い耐熱温度、高耐摩耗性などの特性が求められているため、第1ロックレバー3及び第2ロックレバー4としては、ポリカーボネート又はポリアミドが好ましい。
【0088】
具体的な実施例において、第1回転軸32と第2回転軸22に耐摩耗メッキ層が施されている。
【0089】
さらに、耐摩耗層の材料は、セラミック、合金、酸化物又はフッ素プラスチックを含む。
【0090】
好ましい実施形態において、上記の耐摩耗メッキ層は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、硬質銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種又は複数種を含む。
【0091】
下記表6における耐食性時間テストは、第1回転軸32と第2回転軸22を塩水噴霧テスト箱内に入れ、第1回転軸32と第2回転軸22の各箇所に塩水噴霧を行い、20時間ごとに取り出して洗浄して表面腐食の状況を観察するまでの流れを1サイクルとし、第1回転軸32と第2回転軸22の表面腐食の面積が総面積の10%より大きくなった場合、テストを停止し、その時のサイクル数を記録する。本実施例では、サイクル数が80回未満の場合に不合格とする。表6における挿抜回数について、第1回転軸又は第2回転軸をそれぞれ実験台に固定し、100回の挿抜ごとに、第1回転軸32及び第2回転軸22の耐摩耗メッキ層の破損状況を観察し、傷が生じて第1回転軸又は第2回転軸自体の材料が露出した場合、実験を停止し、その時の挿抜回数を記録する。本実施例では、挿抜回数が8000回未満の場合に不合格とする。
【0092】
表6:異なるメッキ層の材料による第1回転軸と第2回転軸の挿抜回数と耐食性への影響
【0093】
【表6】
【0094】
上記表6から分かるように、メッキ層の材料が金、銀、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、硬質銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金である場合、実験結果が標準値を遥かに超えており、性能が比較的安定である。メッキ層の材料がニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛である場合、実験結果も要求を満たしているため、発明者は、メッキ層の材料として、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、硬質銀、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種又は複数種を選択する。
【0095】
本発明は、上記の複数のロックレバーを同期制御する連動装置を備える充電装置をさらに提供する。
【0096】
本発明は、上記の複数のロックレバーを同期制御する連動装置を備える自動車をさらに提供する。
【0097】
以上のように、本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置、充電装置及び自動車は、以下の有益な効果を奏することができる。
【0098】
(1)本発明の複数のロックレバーを同期制御する連動装置において、連動構造が配置され、1つの駆動装置が連動構造を介して2つ以上の作動機構を同期制御できるようにすることにより、製造コストを効果的に低減し、サブ部品の数を減少し、組立プロセスの難易度とコストを低減することができる。
【0099】
(2)本発明の連動構造は、位置規制及び摺動溝の原理を利用し、梃子によって力の方向を変えることにより、複数のロックレバーを同期運動させることができる。
【0100】
(3)本発明の連動構造において、各部品の構造が簡単で、製造しやすく、普及に有利である。
【0101】
以上は本発明の例示的な実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の要旨及び原則から逸脱することなく行われる同等の変形及び修正はいずれも本発明の保護範囲に属するのは当業者にとって明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】