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特表2024-533215リムレスステアリングホイール用の付勢されたバッグラップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】リムレスステアリングホイール用の付勢されたバッグラップ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/203 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B60R21/203
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514396
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 US2021048783
(87)【国際公開番号】W WO2023033824
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591067705
【氏名又は名称】ゼット・エフ・パッシブ・セーフティ・システムズ・ユーエス・インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524081099
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,カート
(72)【発明者】
【氏名】モハンティ,アディトヤ
(72)【発明者】
【氏名】トラスティ,クラーク
(72)【発明者】
【氏名】バウチャー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】カーロン,ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ベントレー,スコット
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA13
3D054FF16
(57)【要約】
ステアリングヨークを有する車両の運転者側の乗員の保護を支援するための装置は、ステアリングヨークに装着されたエアバッグを含む。エアバッグは、ステアリングヨーク内に隠された格納状態から、ステアリングヨークと乗員との間にエアバッグが位置付けられる展開状態まで、膨張可能である。装置はまた、エアバッグを格納状態でパッケージングするためのエアバッグラップも含む。エアバッグラップは、エアバッグラップとエアバッグラップに形成され断裂ステッチで固止されたひだ状部とによって画定された展開開口部を通して、最初にステアリングヨークのステアリング軸に対して横方向の初期展開方向に展開するように、エアバッグを付勢するよう構成されている。ひだ状部は最初に展開開口部のサイズを小さくするように構成されており、このことにより展開開口部を通したエアバッグの初期展開が限定される。ひだ状部は、展開開口部を通してエアバッグが更に展開するためにそのサイズを大きくするべく、エアバッグ展開力の増加に応答して破断するように更に構成されている。
【選択図】図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングヨークを有する車両の運転者側の乗員の保護を支援するための装置であって、
前記ステアリングヨークに装着されているエアバッグと、
前記ステアリングヨークに装着されている前記エアバッグを取り囲んでおり、前記ステアリングヨークのステアリング軸に対して横方向に展開するように前記エアバッグを付勢するように構成されている、エアバッグラップと、を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは前記エアバッグラップに形成されている展開開口部およびひだ状部を備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記ひだ状部は断裂ステッチで固止されている、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記断裂ステッチは前記エアバッグの展開に応答して破断するように構成されている、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記ひだ状部は前記ひだ状部の破断に応答して開くように構成されている、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、前記展開開口部は前記ひだ状部の破断に応答してサイズが大きくなるように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記エアバッグが前記展開開口部を通って初期展開方向に展開するにつれて前記展開中のエアバッグに及ぼされる付勢力が、前記エアバッグの加圧が前記付勢力を上回る点まで減少し、前記エアバッグが前記ステアリング軸に向かって通常展開状態に戻るように構成されている、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記エアバッグラップによって前記エアバッグが前記展開開口部を通して初期展開方向に展開するよう付勢されるように、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限するように更に構成されている、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記展開開口部が、前記エアバッグおよび前記エアバッグラップが背後に格納されているカバーの縁部から離れる方へと初期エアバッグ展開力の少なくとも一部を分散させるように構成されている前記ラップの縁部によって、少なくとも部分的に画定されるように構成されている、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記展開開口部を少なくとも部分的に画定する前記ラップの前記縁部はスカラップ状の縁部を備える、装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、前記スカラップ状の縁部は前記カバーの中央部分に向かって内側に湾曲した縁部を備える、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグおよびエアバッグラップはエアバッグモジュールの構成要素であり、前記エアバッグモジュールは、前記エアバッグを膨張させるためのインフレータと、前記インフレータ、前記エアバッグ、および前記エアバッグラップが固止される保持具と、を更に備え、前記保持具は前記ステアリングヨークに接続されて前記エアバッグモジュールを前記ステアリングヨークに装着するように構成されている、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、
前記エアバッグを覆うように構成されている中央部分と、
前記中央部分から第1の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の背部に固止されている、第1のラップ部分と、
前記中央部分から前記第1の方向とは反対向きの第2の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の前記背部に固止されている、第2のラップ部分と、
前記中央部分から前記第1の方向および前記第2の方向に対して横方向の第3の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の前記背部に固止されている、第3のラップ部分と、を備える、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記第3の方向は初期展開方向とは反対向きである、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、前記中央部分、ならびに前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分は前記展開開口部を画定し、前記保持具の前記背部へのこれらのそれぞれの接続によって、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限する、装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置であって、前記第2のラップ部分は折り畳まれてひだ状部を形成しており、断裂ステッチ加工部が前記ひだ状部を貫通して延びて、前記第2のラップ部分の前記折り畳まれた部分を前記中央部分に接続している、装置。
【請求項17】
請求項13に記載の装置であって、前記保持具を通ってならびに前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分の端部にある固定具受け入れ開口部を通って延びている、前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分を前記保持具に固止するための、固定具スタッドを更に備える、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、前記固定具スタッドは前記エアバッグおよび前記インフレータも前記保持具に固止する、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグは概ね円形の枕形状の構成を有し、前記エアバッグの通常展開位置は概ね前記ステアリング軸を中心としている、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置であって、初期展開方向は前記車両に対して横方向となるように構成されている、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置であって、初期展開方向は前記車両に対して横方向内向きの方向となるように構成されている、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置であって、初期展開方向は、アウト・オブ・ポジションの乗員の頭部が載ることのできる前記ステアリングヨーク上の領域から側方となるように構成されている、装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、前記エアバッグは、初期展開方向への展開が、前記エアバッグの展開エネルギーを、アウト・オブ・ポジションの乗員の頭部が載ることのできる前記ステアリングヨーク上の領域から離れる方へと方向付けるように構成されている、装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置であって、前記エアバッグは、初期展開方向への展開によって、前記OOP乗員の頭部に初期の低い展開エネルギーが加えられて、前記ステアリングヨークから離れるように前記OOP乗員の頭部の初期の低エネルギーの移動が引き起こされるように構成されている、装置。
【請求項25】
請求項23に記載の装置であって、前記エアバッグは、前記ステアリング軸に向かって通常展開状態まで前記エアバッグが移動して戻ることにより、初期の前記展開エネルギーが消費された後で、前記OOP乗員の頭部が前記ステアリングヨークから離れるように更に移動するよう構成されている、装置。
【請求項26】
請求項12に記載のエアバッグモジュールを備える車両安全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、車両衝突などの事象の発生時に車両の乗員の保護を支援するための装置に関する。詳細には、本発明は、車両のステアリングホイールに装着されるように構成された運転者エアバッグモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]自動車産業のトレンドは自律走行機能を有する車両へと移行してきており、純粋に自律型の、すなわち「ドライバーレス」な車両も視野に入ってきている。このような状況のなか、運転者制御もこのトレンドとともに進歩している。運転機能を自動制御が引き継ぐことが増えると、従来の運転者制御の必要性が変化するおよび/または軽減される。
【0003】
[0003]運転者制御が進歩している領域の1つがステアリングホイールである。自動化された運転機能の普及が進むにつれて、ステアリングホイールの使用は低減され得るが、車両には依然としてステアリングホイールを含める必要がある。この結果、ステアリングホイールは、車室内での存在感が薄くなるように設計される場合がある。そのような設計の一例は、ステアリングホイールのリムの上側部分と場合によっては下側部分とが除去された部分的リム設計を有するステアリングホイールである。この構成はステアリングヨーク構成と呼ばれることもある。
【0004】
[0004]しかしながら、従来のステアリングホイール装着型の運転者正面エアバッグは、いくつかの理由から従来の円形フルリム構成を利用する場合がある。例えば、従来の正面エアバッグは、全体に丸みを帯びた枕形状の構成を有する場合があり、展開時にステアリングホイールのリムをエアバッグ用の反作用面として利用する場合がある。ヨークステアリングホイールでは従来のステアリングホイールのリムの上側部分を省略してあるため、運転者正面エアバッグの構成では、この省略を考慮した設計が必要となる場合がある。
【0005】
[0005]更に、アウト・オブ・ポジション(OOP:out of position)の乗員は、自身の頭部がステアリングホイールに対して前傾姿勢になる可能性がある。従来の円形フルリムステアリングホイール構成では、乗員の頭部がステアリングホイールのリムの上側部分に係合し、この部分が頭部の(車内での)更なる前方移動を防止する。ヨークステアリングホイールはステアリングホイールの上側リム部分を省略しており、したがってOOP乗員の車内での更なる前方移動が可能になってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]運転者エアバッグモジュールは、従来の円形ステアリングホイールのリムの上側部分を省略したステアリングホイールに実装されるように構成されている。このようなステアリングホイール構成の非限定的な例は、ヨークステアリングホイールと呼ぶことができるものである。運転者エアバッグモジュールは、従来の上側のステアリングホイールのリム部分を有さないかまたはこれと同等の構成を有する、任意のステアリングホイールに実装され得る。
【0007】
[0007]一態様によれば、ステアリングホイールを有する車両の運転者側の乗員の保護を支援するための装置は、ステアリングホイールに装着されたエアバッグを含む。エアバッグは、ステアリングホイール内に隠された格納状態から、ステアリングホイールと乗員との間にエアバッグが位置付けられる展開状態まで、膨張可能である。装置はまた、エアバッグを格納状態でパッケージングするためのエアバッグラップも含む。エアバッグラップは、エアバッグラップとエアバッグラップに形成され断裂ステッチ(tear stitch)で固止されたひだ状部(pleat)とによって画定された展開開口部を通して、最初にステアリングホイールのステアリング軸に対して横方向の初期展開方向に展開するように、エアバッグを付勢するよう構成されている。ひだ状部は最初に展開開口部のサイズを小さくするように構成されており、このことにより展開開口部を通したエアバッグの初期展開が限定される。ひだ状部は、展開開口部を通してエアバッグが更に展開するためにそのサイズを大きくするべく、エアバッグ展開力の増加に応答して破断するように更に構成されている。
【0008】
[0008]別の態様によれば、エアバッグラップは、エアバッグラップによってエアバッグが展開開口部を通して初期展開方向に展開するよう付勢されるように、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限するように更に構成され得る。
【0009】
[0009]別の態様によれば、エアバッグラップは、展開開口部が、エアバッグおよびエアバッグラップが背後に格納されているカバーの縁部から離れる方へと初期エアバッグ展開力の少なくとも一部を分散させるように構成されているラップの縁部によって、少なくとも部分的に画定されるように構成され得る。ラップの縁部はスカラップ状の(scalloped)縁部を含み得る。スカラップ状の縁部は、カバーの中央部分に向かって内側に湾曲した縁部を含み得る。
【0010】
[0010]別の態様によれば、エアバッグおよびエアバッグラップは、エアバッグモジュールの構成要素であり得る。エアバッグモジュールはまた更に、エアバッグを膨張させるためのインフレータと、インフレータ、エアバッグ、およびエアバッグラップが固止される保持具と、を含み得る、保持具はステアリングホイールに接続されてエアバッグモジュールをステアリングホイールに装着するように構成され得る。エアバッグモジュールは車両安全システムの構成要素とすることができる。
【0011】
[0011]別の態様によれば、エアバッグラップはエアバッグを覆うように構成された中央部分を含み得る。エアバッグラップはまた、中央部分から第1の方向に延び、エアバッグ、インフレータ、および保持具の周囲を包み、保持具の背部に固止される、第1のラップ部分も含み得る。エアバッグラップはまた、中央部分から第1の方向とは反対向きの第2の方向に延びており、エアバッグ、インフレータ、および保持具の周囲を包んでおり、保持具の背部に固止されている、第2のラップ部分も含み得る。エアバッグラップは、中央部分から第1の方向および第2の方向に対して横方向の第3の方向に延びており、エアバッグ、インフレータ、および保持具の周囲を包んでおり、保持具の背部に固止されている、第3のラップ部分を更に備え得る。第3の方向は初期展開方向とは反対向きとすることができる。
【0012】
[0012]別の態様によれば、エアバッグラップは、エアバッグを折り畳んだ状態でパッケージングするように、および、初期展開方向に面する展開開口部を画定するように、構成され得る。エアバッグラップは、エアバッグラップによってエアバッグが展開開口部を通して初期展開方向に展開するよう付勢されるように、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限するように更に構成され得る。
【0013】
[0013]別の態様によれば、中央部分、ならびに第1のラップ部分、第2のラップ部分、および第3のラップ部分は展開開口部を画定し、保持具の背部へのこれらのそれぞれの接続によって、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限することができる。
【0014】
[0014]別の態様によれば、第2のラップ部分はひだ状部を形成するために折り畳むことができる。断裂ステッチ加工部はひだ状部を貫通して延び、第2のラップ部分の折り畳まれた部分を中央部分に接続することができる。
【0015】
[0015]別の態様によれば、装置はまた、保持具、ならびに第1のラップ部分、第2のラップ部分、および第3のラップ部分の端部にある固定具受け入れ開口部を通って延びている、第1のラップ部分、第2のラップ部分、および第3のラップ部分を保持具に固止するための、固定具スタッドも含み得る。固定具スタッドはまた、エアバッグおよびインフレータを保持具に固止することもできる。
【0016】
[0016]別の態様によれば、エアバッグは概ね円形の枕形状の構成を有してもよく、エアバッグの通常展開位置は概ねステアリング軸を中心とし得る。
【0017】
[0017]別の態様によれば、ステアリングホイールはステアリングヨーク構成を有し得る。
【0018】
[0018]別の態様によれば、初期展開方向は、車両に対して横方向となるように構成され得る。
【0019】
[0019]別の態様によれば、初期展開方向は、車両に対して横方向内向きの方向となるように構成され得る。
【0020】
[0020]別の態様によれば、初期展開方向は、アウト・オブ・ポジションの乗員の頭部が載ることのできるステアリングホイール上の領域から側方となるように構成され得る。
【0021】
[0021]別の態様によれば、エアバッグは、初期展開方向への展開が、エアバッグの展開エネルギーを、アウト・オブ・ポジションの乗員の頭部が載ることのできるステアリングホイール上の領域から離れる方へと方向付けるように構成され得る。
【0022】
[0022]別の態様によれば、エアバッグは、初期展開方向への展開によって、OOP乗員の頭部に初期の低い展開エネルギーが加えられて、ステアリングホイールから離れるようにOOP乗員の頭部の初期の低エネルギーの移動が引き起こされるように構成され得る。
【0023】
[0023]別の態様によれば、エアバッグは、ステアリング軸に向かって通常展開状態までエアバッグが移動して戻ることにより、初期展開エネルギーが消費された後で、OOP乗員の頭部がステアリングホイールから離れるように更に移動するよう構成され得る。
【0024】
[0024]上述のおよび他の特徴は、添付の図面を参照して以下の説明を検討することで、本開示が関連する技術分野の当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】[0025]例示の構成による、車両乗員の保護を支援するための装置を含む車両の概略図である。
図2】[0026]図1の車両に実装されるステアリングホイールの概略平面図である。
図3】[0027]装置のエアバッグモジュール部分の構成要素を示す概略図である。
図4】[0028]組み立てられた状態のエアバッグモジュールの上面図である。
図5】[0029]組み立てられた状態のエアバッグモジュールの側面図である。
図6】[0030]図6Aはエアバッグモジュールのエアバッグの膨張および展開を示す概略正面図である。 図6Bはエアバッグモジュールのエアバッグの膨張および展開を示す概略正面図である。
図7】[0031]図7Aはエアバッグモジュールのエアバッグの膨張および展開を示す概略上面図である。 図7Bはエアバッグモジュールのエアバッグの膨張および展開を示す概略正面図である。
図8】[0032]代替の構成によるエアバッグモジュールの一部を示す概略図である。
図9】[0033]図9Aは別の代替の構成によるエアバッグモジュールの一部を示す概略図である。 図9Bは別の代替の構成によるエアバッグモジュールの一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0034]安全システムの概要
図1は、車両12の乗員14の保護を支援するための装置10の例示の構成を示す。この説明では、乗員14は車両の操作者または運転者であり、これらの呼称は入れ替え可能に使用され得る。装置10は、車両12の運転者側16のステアリングヨーク50に装着されるように構成された、運転者フロントエアバッグモジュール20を含む。車両12はまた、乗員14が車両シート28内で動かないようにするのに役立つ、シートベルト18も含む。
【0027】
[0035]エアバッグモジュール20は、エアバッグ22と、インフレータなどの膨張流体源24と、エアバッグ22およびインフレータ24を車両12内で支持するためのハウジングなどの構造体26と、を含む。エアバッグは22’の破線で全体が示されている格納状態を有し、この状態ではエアバッグは収縮され、折り畳まれ、ハウジング26内に格納されている。ハウジング26は、格納状態にある間ステアリングヨーク50内にエアバッグ22を隠すのに役立つカバー64(図2を参照)を含み得る。
【0028】
[0036]インフレータ24は、格納状態から22の実線で全体が示されている展開状態までエアバッグを膨張させるように作動可能である。インフレータ24を作動させると、カバーは、エアバッグ22をハウジング26内に隠すのに役立つ閉じた状態から、エアバッグが膨張しハウジングから展開するのを可能にする開いた状態へと移動する。
【0029】
[0037]エアバッグ22は、ステアリングヨーク50から離れる方向へと、車両12のステアリング軸36と概ね平行に膨張し展開する。展開状態では、エアバッグ22は、乗員14とステアリングヨーク50との間、および乗員と車両12の運転者側16の計器パネル32との間に位置付けられる。エアバッグ22は展開状態にあるとき、エアバッグとの衝突の力を吸収するのを助け、乗員の衝撃緩和をもたらし所望のライドダウン効果を提供するために、衝突の力をエアバッグ全体に分散させるのを助ける。
【0030】
安全基準
[0038]米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、自動車の安全性を管理し、その新車評価プログラム(US-NCAP)を通じて新車の安全性を評価する、米国の政府機関である。NHTSAはUS-NCAPを通じて新車の耐衝突性能を確立するための衝突試験を制定し、その車両を5つ星評価が最高である星評価で評価する。NHTSAはまた、連邦自動車安全基準(FMVSS)を制定しているが、これは米国で販売される車両が様々な安全基準を満たしていること(合格/不合格)を確認するために、NHTSAが発行するものである。FMVSS基準には精確な試験手順が詳細に記載されており、これらの手順は試験時に車内に配置された衝突試験用ダミーで測定された尺度から決定される。
【0031】
[0039]独自の新車評価プログラムを持っている国は米国だけではない。中国、日本、およびオーストラリアなどの他の国、ならびにヨーロッパおよびラテンアメリカなどの他の国家群は、それら独自の新車評価プログラムを持っている。これらの機関によって発行される新車評価は類似しているが、若干異なる方法で衝突試験を利用しているところもある。
【0032】
[0040]NHTSAが基準を設定している特定領域の衝突シナリオの1つは、アウト・オブ・ポジションの(Out-Of-Position(OOP))乗員シナリオと呼ばれる。OOP乗員シナリオとは、車両衝突時に乗員が車内の正規着座位置から外れていることに関連するシナリオである。OOPシナリオによっては、乗員がエアバッグなどの安全デバイスに異常接近して位置付けられる場合がある。この可能性を考慮するのに役立てるために、NHTSAは、OOP乗員の可能性を考慮しながら乗員保護を維持することを目標として、このようなOOPシナリオうちの特定のものにおける、車両および安全システムの性能を試験するための基準を確立した。
【0033】
[0041]NHTSAが基準を設定している特定のOOPシナリオの1つは、自身の頭部がステアリングヨークのリムに当接して位置付けられ、自身の顎がエアバッグモジュール20と接しているかまたはこれと隣り合っているステアリングヨーク構造体に当接して位置付けられて、前傾姿勢となっている、OOP車両運転者のシナリオである。これは例えば、乗員が眠ってしまった場合、または、運転者が車両12の床30もしくはフットウェル38から物品を取ろうとして前傾姿勢になった場合に発生し得る。このシナリオにおいて衝突が発生した場合、エアバッグ22が展開されると、乗員の頭部40はエアバッグモジュール20に異常接近して位置付けられる可能性がある。
【0034】
[0042]このため、NHTSAは連邦自動車安全基準に、乗員の顎42が展開時のエアバッグモジュール20上にあるように乗員の頭部が位置付けられるOOPシナリオにおける、ステアリングヨーク装着型エアバッグモジュールの性能を評価するための試験を含めている。「エアバッグモジュール上」とは、乗員の顎が指定された試験手順に従って、エアバッグモジュール20に対するステアリングヨーク構造体上の規定された場所に当接して、または可能な限り接近して位置付けられることを意味する。
【0035】
[0043]NHTSAの連邦自動車安全基準は、一般にFMVSS208と呼ばれる連邦規則集第49編第571.208条に成文化されているが、その本文は一般に公開されており、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。FMVSS208 S26は、運転者エアバッグの低リスク展開試験の手順を規定している。試験手順26.2は、エアバッグモジュール上に自身の顎が位置付けられたOOP運転者用の試験手順を規定しており、これは本明細書ではモジュール顎載せ試験(chin-on-module test)と呼ばれる。この試験は5%女性衝突試験ダミーと呼ばれるものを用いて行われ、これはこのダミーが女性人口と等しいかまたはそれよりも大きい身長および体重を有する統計上の女性に基づいてモデル化されていることを意味しているが、その女性人口は5%に過ぎない。この統計上の人間は5パーセンタイル女性または小型女性乗員と呼ばれる場合がある。
【0036】
ステアリングヨークの構成
[0044]図2はステアリングヨーク50の概略図である。図2に示されているように、ステアリングヨーク50は、従来のステアリングホイール構成に典型的な丸みを帯びた/円形の形状から、逸脱した形状を有する。比較の目的で、図2には破線で、この従来の丸みを帯びた/円形の構成を有する、従来のステアリングホイールのリムRが示されている。示されているように、ステアリングヨーク50は、全体がRUPPERおよびRLOWERでそれぞれ識別される、従来のリムRの上側部分および下側部分を省略している。
【0037】
[0045]ステアリングヨーク50は航空分野で一般に見られるタイプの制御装置に似ている。しかしながら、図2に示されているステアリングヨーク50の構成は、装置10が実装され得るステアリングヨークのタイプを限定するものでも網羅するものでもない。装置10は、従来のステアリングホイールのリムの全部または一部、特に上側部分RUPPERを省略した、任意の構成を有するステアリングヨークに実装され得る。
【0038】
[0046]ステアリングヨーク50は、左リム部分52および右リム部54と、ステアリング軸36が中に延びるハブ部分56とを含む。横材またはスポーク60、62、64、および66が、左リム部分52および右リム部分54をハブ部分56に接続している。車両運転者14は、リム部分52、54を把持して車両12の操舵を行うことができる。図2に示されているように、ステアリングヨーク50は、スイッチ、ボタン、ノブ、等といった、車両システムを制御するための様々な操作者制御デバイス72および74を含むことができ、この車両システムの例としては、情報/娯楽(「インフォテインメント」)システム、およびハンズフリー携帯電話制御システムなどの通信システムが挙げられる。
【0039】
[0047]図2に示されているように、エアバッグモジュール20はステアリングヨーク50に装着され、エアバッグ展開時に開く外装またはカバー70の下に収容され得る。カバー64は例えば、エアバッグ22の膨張力および展開力を受けて破断する断裂シーム介して開き得る。エアバッグ22は膨張時には、全体に丸みを帯びた構成を有し、概ねステアリング軸36を中心とし得る。「概ね中心とする」という句は、エアバッグモジュール20およびエアバッグ22がハブ部分56内に存在し、ステアリング軸36がハブの中を通っているが、エアバッグ/エアバッグモジュールおよび/またはステアリング軸が精確にその軸を中心としていない場合のあることを説明することが意図されている。この場合、ステアリング軸36と、エアバッグモジュール20および/またはエアバッグ22自体の中心は、ステアリングヨーク50が図示されている「直進ステアリング(steering straight forward)」位置にあるとき、少なくとも密な間隔で垂直方向に整列されている。結果的にエアバッグ22は、これが膨張され展開され正常に位置付けられるとき、概ねステアリング軸36を中心とする。
【0040】
[0048]ステアリングヨーク50は前述したステアリングヨーク構成を有するので、前傾姿勢となってステアリングヨークに当接しているOOP乗員は、上側リム部分との係合によって自身の頭部の移動を限定されることがない(図2を参照)。OOP乗員は例えば、自身の顎がエアバッグモジュール20のカバー64に直接係合している状態で、前傾姿勢となる場合がある。有利には、エアバッグモジュール20は、このように上側リム部分がないにもかかわらず、FMVSS208 S26.2のモジュール顎載せ試験においてその性能を改善するように構成される。モジュール顎載せの性能を高めるエアバッグモジュール20の構造が図3に示されている。
【0041】
エアバッグモジュール
[0049]
図3を参照すると、エアバッグモジュール20は、概略的に組み立て前の状態で示されており、エアバッグ22、インフレータ24、エアバッグ保持具80、およびエアバッグラップ100の、4つの基本構成要素を含む。エアバッグモジュール20は追加の構成要素を含み得るが、それらはモジュール顎載せの性能にとって重要ではなく、明晰にする目的で省略されている。
【0042】
[0050]エアバッグモジュール20の組み立てが図3において全体に矢印で示されており、この組み立てによってモジュールが図4および図5は組み立てられた状態になる。本質的に、インフレータ24は、インフレータハウジング90を中央保持具開口部82に通し、インフレータリム部分92が保持具に係合するようにすることで、保持具80に組み付けられる。固定具スタッド84は、保持具80およびインフレータ24の整列された開口部を通過する。
【0043】
[0051]エアバッグ22は、口部分(図示せず)が保持具80およびインフレータ24の上に位置付けられ、固定具スタッド84が口部分と隣り合った固定具開口部を通過するように位置付けられる。エアバッグ22は、図示した星型折り畳み構成など、所望の様式で折り畳まれる。エアバッグラップ100は全体にT形状の構成を有する。エアバッグラップ100は、折り畳まれたエアバッグ22の上にラップの中央部分102を位置付けることで設置される。折り畳まれたエアバッグの「上に」とは、中央部分102が、概ねステアリング軸36に沿って乗員の方に面している、折り畳まれたエアバッグ22の表面を覆うことを意味する。言い換えれば、上側部分102は、エアバッグモジュール20がステアリングヨーク50内に設置されておりエアバッグの展開前であるとき、エアバッグ22と乗員14との間に位置付けられる。次に、折り畳まれたエアバッグ22、保持具80、およびインフレータ24の周囲に、第1のもしくは上側のラップまたはラップ部分110、第2のもしくは下側のラップまたはラップ部分120、および第3のもしくは側方のラップまたはラップ部分130が巻かれる。
【0044】
[0052]保持具80の背面側では、図5に見られるようなエアバッグ22、インフレータ24、および保持具の集合体の下で、インフレータ24の円筒状部分に、上側ラップ110のインフレータ係合部分112、下側ラップ120のインフレータ係合部分122、および側方ラップ130のインフレータ係合部分132が位置付けられているか、または係合している。固定具開口部114、124、134は、固定具スタッド84の対応する対の上に位置付けられている。このことにより、上側ラップ110、下側ラップ120、および側方ラップ130が、保持具の背部に接続される。ナットなどの固定具(図示せず)をスタッド84上に螺着して、エアバッグモジュール20の組み立てを完了する。
【0045】
[0053]エアバッグ22、インフレータ24、および保持具80を組み付けるためのこれらのステップが実行される順序は変更され得る。例えば、インフレータのリム92がエアバッグおよびラップの材料を挟み込んでエアバッグの固止を支援するように、インフレータ24の前にエアバッグ22および/またはエアバッグラップ100が保持具上に組み付けられて、インフレータはその後で設置されてもよい。別法として、エアバッグモジュール20は固定具スタッド84上に嵌合する挟持プレートを含んでもよく、その場合、エアバッグ22、インフレータ24、およびラップ100が、保持具80と挟持プレートとの間に挟持される。エアバッグラップ100を別として、エアバッグモジュール構成要素の開示されている構成および組み立てはそれほど重要ではない。これらの構成要素およびそのそれぞれの構成は、本明細書で説明するエアバッグラップ100の機能に悪影響を与えない限り、本明細書で図示し説明するものから逸脱し得ることを諒解されたい。
【0046】
エアバッグラップ
[0054]エアバッグモジュール20の組み立てられた状態が図4および図5に示されている。着座位置からステアリングヨーク50を見る運転者の視点、すなわち図2の視界から見ると、エアバッグラップ100の中央部分102は、折り畳まれたエアバッグ22の運転者に面する部分を覆っている/パッケージングしている。側方部分110、120、130は、モジュール20の周囲で、中央部分102から固定具84との対応する接続部まで延びている。エアバッグラップ100の3つのラップ部分110、120、130はしたがって、折り畳まれたエアバッグ22を、対応する3つの側で覆う/パッケージングする。第1の/上側ラップ110は、折り畳まれた状態のエアバッグ22の上側部分をパッケージングする。第2の/下側ラップ120は、折り畳まれた状態のエアバッグ22の下側部分をパッケージングする。第3の/側方ラップ130は、折り畳まれた状態のエアバッグ22の側方部分をパッケージングする。ここでも、折り畳まれたエアバッグ22の上側部分、下側部分、および側方部分は、図2の運転者の視点からの、ステアリングヨーク50内に設置されたときのそれらの相対位置を参照して識別されている。その場合、第3の/側方ラップ130によって覆われた/パッケージングされた、折り畳まれたエアバッグの側方部分は、エアバッグ22の外寄りの側方部分である。
【0047】
[0055]エアバッグモジュール20の組み立てられた状態では、折り畳まれたエアバッグ22は、エアバッグモジュール20のパッケージ空間104内に封入またはパッケージングされている。パッケージ空間104は、エアバッグラップ100の部分110、120、130によって3つの側が、エアバッグラップの中央部分102によって正面側(乗員/運転者に面する)が、インフレータ24および保持具80によって正面側とは反対側の背面側が、画定される。エアバッグラップ100は展開開口部106を開いたままにしておく。
【0048】
[0056]図5は、エアバッグモジュール20のパッケージングされた構成を、図4で全体に5-5と標示された矢印によって示されている側方の視点から示している。この図は、ステアリングヨーク50およびエアバッグモジュール20の内寄り側から外寄り側を見た図である。この視点からは、エアバッグ22が星型折り畳み構成で折り畳まれ、モジュール20のパッケージ空間104内で覆われている/パッケージングされていることが見て取れる。この図では、パッケージングされたエアバッグ22は、内寄りの側ではエアバッグラップ100によって覆われていない/パッケージングされていないことが見て取れる。損傷から保護するために、例えば、エアバッグモジュール20の設置中に、エアバッグ22を、エアバッグ膨張時に裂け展開に対してほとんどまたは全く抵抗をもたらさないように構成された、布シートなどの保護層で覆うことができる。
【0049】
[0057]エアバッグラップ100は、FMVSS208 S26手順26.2に従って行われる、エアバッグモジュールに自身の顎を載せたOOP運転者の衝突試験において、性能の改善をもたらすために、エアバッグ100の展開を付勢するように構成されている。図6A図6Bを参照すると、エアバッグラップ100は、ステアリング軸36に対して概ね横方向である初期展開方向に展開するように、エアバッグ22を付勢する。図に示されている例示の構成では、概ね横方向は、ステアリング軸36に対して概ね垂直であり得る。この方向は例えば、ステアリングヨーク50の回転面となるステアリング平面に概ね沿っているかまたは平行であり、ステアリングヨークのリム部分52、54の一方に向かうものであり得る。このモジュール顎載せ試験でのエアバッグ性能の改善を助けるべく、エアバッグラップ100によって加えられるエアバッグ展開付勢力は、膨張の初期段階中にエアバッグ22を、展開開口部106を通して内向き方向に、パッケージ空間104から側方となる概ね横方向へと展開させる。このことは、図6Aの横方向の展開を示す矢印58によって、全体に示されている。
【0050】
[0058]膨張が続くにつれ、エアバッグ22は、エアバッグラップ100によって加えられる付勢力に方向付けられて、エアバッグモジュール20から横方向内向きにパッケージ空間104の外側へと展開し続ける。エアバッグ22の一部が段々大きくなりながらパッケージ空間104の外に出るにつれて、エアバッグラップ100によって加えられる付勢力は小さくなる。エアバッグ22がパッケージ空間104の外側で膨張のある点または段階に達するとエアバッグラップ100はその展開を付勢する自身の能力を失うが、その理由は、エアバッグのかなりの部分が展開開口部106を通ってパッケージ空間104の外側に移動したためである。その結果、パッケージ空間104にはエアバッグラップ100を支持するためのエアバッグ構造体が残らない。
【0051】
[0059]エアバッグ22がパッケージ空間104の実質的に外側に位置付けられるとき、膨張するエアバッグはパッケージ空間の外側からエアバッグラップに展開力を及ぼし、これによりエアバッグラップ100が崩壊する。エアバッグが膨張および加圧を続けエアバッグラップ100がエアバッグ22をもはや付勢しなくなり崩壊している状態では、付勢されていないエアバッグは解放されて、加圧に応答して予め定められた形状に従って動作する。その結果、エアバッグ22は初期展開方向とは概ね反対向きの方向へと、図6Bに示す完全に膨張され展開され正常に位置付けられた状態まで移動する。
【0052】
[0060]有利には、エアバッグラップ100によってエアバッグ22に付与される展開進路は、FMVSSのモジュール顎載せ試験でのエアバッグ性能の改善に役立つ。このことが、乗員14、ステアリングヨーク50、およびエアバッグモジュール20を描いた概略上面図である図7A図7Cに示されている。図7Aに示されているように、乗員14は、頭部40がステアリングヨーク50のところにあり顎42がモジュール20上にあって、アウト・オブ・ポジション(OOP)となっている。
【0053】
[0061]図7Bに示されているように、エアバッグ22の初期展開時、エアバッグラップ100は、図7BのAと標示された矢印で全体に示されているように、横方向の内向き方向へと展開するようにエアバッグ22を付勢する。図7Bに示されているように、この初期の横方向内向きの展開は、図7BでBと標示されている矢印で全体に示されているように、乗員の頭部40をわずかにステアリングヨーク50から離れる方へと移動させることができる。しかしながら、この初期の頭部の動きは、エアバッグ22が、従来のステアリングヨーク装着型の運転者正面エアバッグの場合のように、横方向内向きにではなく代わりに直接乗員14に向かって付勢されていた場合に乗員の頭部に与えられることになる移動の程度に比べれば、わずかなものである。
【0054】
[0062]エアバッグモジュール20から横方向内向きに膨張が続くため、エアバッグ22から乗員14、特に乗員の頭部40への展開エネルギーの伝達が回避される。エアバッグ22が大きく膨張しエアバッグラップ100が崩壊すると、エアバッグは図7Cで全体にCと標示された矢印で示されているように、通常の膨張および展開状態に向かって戻るように動作する。このエアバッグの移動により、図7CでDと標示されている矢印で全体に示されているように、乗員の頭部40がステアリングヨーク50から離れる方へと移動される。エアバッグ22は膨張および加圧を続け、図7Cに示す完全に膨張され展開され正常に位置付けられた状態まで移動し、乗員の頭部40に伝達される展開エネルギーの量を大幅に減少させ、以って頭部および頸部を負傷する可能性を大幅に低減した。
【0055】
[0063]上記から、エアバッグモジュール20内にエアバッグラップ100を含めること、およびその結果エアバッグ22に展開付勢がもたらされることにより、エアバッグの初期展開に使用されるエネルギーの大部分が、乗員の頭部40に伝達されないことが諒解されよう。このことは、乗員の頭部40から内寄りに位置付けられる横方向に膨張/展開されたエアバッグの体積が大きく、これがもたらす頭部変位の量が非常に小さいことによって証明されている。有利には、エアバッグ22は、乗員14から実質的に横方向内向きに膨張された状態になることができ、また展開の後段で図7Cの通常の膨張および展開状態に移行することができ、エアバッグ22から乗員の頭部40に伝達される展開エネルギーの量を、大幅に低減できる。この性能は、上側リム部分を省略したステアリングヨーク50の場合に特に有利である。
【0056】
追加の構成
[0064]示されている例示のエアバッグモジュール20は、エアバッグ22の展開を横方向内向きに付勢するように構成されているが、エアバッグモジュールは、車両における任意の所望の方向にエアバッグの展開を付勢するように構成され得ることが、諒解されよう。例えば、エアバッグモジュール20はエアバッグの展開を、横方向に内向きではなく外向きに付勢するように構成されてもよい。別の例として、エアバッグモジュール20はエアバッグの展開を、(図6A図6Bの乗員の視点から見て)上向きまたは下向きに付勢するように構成されてもよい。更なる例として、エアバッグモジュール20はエアバッグの展開を、任意の所望の垂直方向/横方向に付勢するように構成されてもよい。
【0057】
[0065]例えば、図8は、エアバッグモジュール20に実装され得るエアバッグラップ100の代替構成を示す。図8のエアバッグラップ100は、図3に示されたエアバッグラップと同一であり、図3に関して上記した参照番号および関連する説明は図8にも当てはまり、ここでは繰り返されない。図8のエアバッグラップ100は、スカラップ状の構成を有し得る点で図3の構成とは異なり得る。エアバッグラップ100のスカラップ状の構成によれば、中央部分102に湾曲した縁部152を切り込むことによって、スカラップ150が形成される。
【0058】
[0066]スカラップ150の目的は例えば、エアバッグの膨張および展開に応答してエアバッグモジュールカバー64(図2を参照)が開かれるときにこれにかかる応力が、カバーの望まれない断裂または破砕を回避するように分散またはそれ以外で誘導されるように、中央部分102を形成することである。同時に、エアバッグラップは、上記したように、OOP乗員に保護を提供するべくエアバッグ22が初期に内向きに展開するよう付勢することにおいては、依然として有効である。図3図8の例示の構成を比較すると、図8のスカラップ150の湾曲した縁部152は、図3の構成における対応する縁部から、モジュールカバー64の中心に向かって移動されている。この構成は、カバー64の中心に向けて展開力を移動させることにより、カバーの縁部でのカバー64の破砕を回避するのに役立ち得る。
【0059】
[0067]別の例として、図9A図9Bは、エアバッグモジュール20に実装され得るエアバッグラップ100の別の代替構成を示す。図9A図9Bのエアバッグラップ100は、図3に示されたエアバッグラップまたは図8に示されたエアバッグラップのいずれかと同一とすることができ、図3および図8に関して上記した参照番号および関連する説明は図9A図9Bの構成にも当てはまり、ここでは繰り返されない。図9A図9Bに示されているエアバッグラップ100は図8のスカラップ構成を有し、したがってスカラップ150およびスカラップ状の縁部152(図9Aのみに示されている)を含む。図9A図9Bに示されているエアバッグラップ100は別法として、図3の非スカラップ状の構成を有してもよい。
【0060】
[0068]図9A図9Bのエアバッグラップ100は、エアバッグの展開の制御を支援するひだ状部160を含む点で、図3および図8の構成とは異なる。ひだ状部160は、エアバッグラップ100の下側部分120の一部がラップの中央部分102上に折り返されることによって形成される。このことにより、下側部分の残りの部分と中央部分102との間に、下側部分102のひだ状の部分164が配設される。ひだ状部160は、エアバッグラップ100の重なっている部分、すなわち中央部分102、下側部分120、およびひだ状の部分164を貫通して延びている、これらの部分を図に示すひだ状の状態で固止するための、断裂ステッチ162を含む。このようにすることで、ひだ状部160は、展開開口部106、詳細にはひだ状部の場所と隣り合う展開開口部の部分、すなわち展開
開口部の下側部分のサイズを小さくする。
【0061】
[0069]断裂ステッチ加工部162は、エアバッグラップ100に作用するエアバッグ展開力に応答して破断可能である。ひだ状部160に起因してサイズが小さくなっている展開開口部106を通ってエアバッグ22が膨張し展開する際に、展開中のエアバッグがエアバッグラップ100に作用し、これをステアリングヨーク50から離れる方へと外向きに押し、ひだ状部160に張力を蓄積させる。この張力が断裂ステッチ加工部162を引っ張り、断裂ステッチ加工部162は最終的に破断し、ひだ状部160が開くことを可能にする。このことが起こると、展開開口部106のサイズが大きくなる。
【0062】
[0070]エアバッグ22の初期の膨張および展開中、ひだ状部160は、エアバッグラップ100の下側部分120が移動するまたは開く程度を制限する。ひだ状部160がエアバッグラップ100の下側部分120に形成される結果、開口部の下側部分における展開開口部106(例えば、図4図5図7Bを参照)の開放が限定される。その結果、展開開口部106の下側部分を通って展開するエアバッグ22の一部(すなわち、エアバッグの下側部分)の初期展開が抑制される。エアバッグラップ100に作用する展開力が断裂ステッチ加工部162の断裂強度を上回ると、ステッチ加工部が解放され、展開開口部106が完全に開き、エアバッグ22の下側部分はこの初期抑制を受けずに展開することができる。
【0063】
[0071]エアバッグ22の下側部分を乗員の頭部40の下側部分、例えば顎と関連付けることができるため、エアバッグのこの部分の初期抑制は、特に前述したOOP乗員の場合に有利であり得る。初期展開力をこの領域から取り去ることで、エアバッグの初期展開に使用されるエネルギーが乗員の頭部40に伝達されない程度を、更に高めることができる。ひだ状部は、特にOOP乗員の場合、乗員の頭部40に対して横方向および上方向の両方への、エアバッグ22の初期展開進路を生み出すことができる。ひだ状部160が開き、エアバッグの展開が続くが、エアバッグ22から乗員の頭部40に伝達される展開エネルギーは、大幅に低減されている。
【0064】
[0072]本発明の上記の説明から、当業者は本発明の改善、変更、および修正を認識するであろう。当技術範囲内でのそのような改善、変更、および修正は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングヨークを有する車両の運転者側の乗員の保護を支援するための装置であって、
前記ステアリングヨークに装着されているエアバッグと、
前記ステアリングヨークに装着されている前記エアバッグを取り囲んでおり、前記ステアリングヨークのステアリング軸に対して横方向に展開するように前記エアバッグを付勢するように構成されている、エアバッグラップと、を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは前記エアバッグラップに形成されている展開開口部およびひだ状部を備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記ひだ状部は断裂ステッチで固止されている、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記断裂ステッチは前記エアバッグの展開に応答して破断するように構成されている、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記ひだ状部は前記断裂ステッチの破断に応答して開くように構成されている、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、前記展開開口部は前記断裂ステッチの破断に応答してサイズが大きくなるように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項2に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記エアバッグが前記展開開口部を通って初期展開方向に展開するにつれて前記展開中のエアバッグに及ぼされる付勢力が、前記エアバッグの加圧が前記付勢力を上回る点まで減少し、前記エアバッグが前記ステアリング軸に向かって通常展開状態に戻るように構成されている、装置。
【請求項8】
請求項2に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記エアバッグラップによって前記エアバッグが前記展開開口部を通して初期展開方向に展開するよう付勢されるように、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限するように更に構成されている、装置。
【請求項9】
請求項2に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記展開開口部が、前記エアバッグおよび前記エアバッグラップが背後に格納されているカバーの縁部から離れる方へと初期エアバッグ展開力の少なくとも一部を分散させるように構成されている前記ラップの縁部によって、少なくとも部分的に画定されるように構成されている、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記展開開口部を少なくとも部分的に画定する前記ラップの前記縁部はスカラップ状の縁部を備える、装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、前記スカラップ状の縁部は前記カバーの中央部分に向かって内側に湾曲した縁部を備える、装置。
【請求項12】
請求項2に記載の装置であって、前記エアバッグおよびエアバッグラップはエアバッグモジュールの構成要素であり、前記エアバッグモジュールは、前記エアバッグを膨張させるためのインフレータと、前記インフレータ、前記エアバッグ、および前記エアバッグラップが固止される保持具と、を更に備え、前記保持具は前記ステアリングヨークに接続されて前記エアバッグモジュールを前記ステアリングヨークに装着するように構成されている、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、
前記エアバッグを覆うように構成されている中央部分と、
前記中央部分から第1の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の背部に固止されている、第1のラップ部分と、
前記中央部分から前記第1の方向とは反対向きの第2の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の前記背部に固止されている、第2のラップ部分と、
前記中央部分から前記第1の方向および前記第2の方向に対して横方向の第3の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の前記背部に固止されている、第3のラップ部分と、を備える、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記第3の方向は前記エアバッグの初期展開方向とは反対向きである、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、前記中央部分、ならびに前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分は前記展開開口部を画定し、前記保持具の前記背部へのこれらのそれぞれの接続によって、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限する、装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置であって、前記第2のラップ部分は折り畳まれてひだ状部を形成しており、断裂ステッチ加工部が前記ひだ状部を貫通して延びて、前記第2のラップ部分の前記折り畳まれた部分を前記中央部分に接続している、装置。
【請求項17】
請求項13に記載の装置であって、前記保持具を通ってならびに前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分の端部にある固定具受け入れ開口部を通って延びている、前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分を前記保持具に固止するための、固定具スタッドを更に備える、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、前記固定具スタッドは前記エアバッグおよび前記インフレータも前記保持具に固止する、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグは概ね円形の枕形状の構成を有し、前記エアバッグは通常展開位置において概ね前記ステアリング軸を中心としている、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグの初期展開方向は前記車両に対して横方向となるように構成されている、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグの初期展開方向は前記車両に対して横方向内向きの方向となるように構成されている、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置であって、前記エアバッグの初期展開方向は、アウト・オブ・ポジションの乗員の頭部が載ることのできる前記ステアリングヨーク上の領域から側方となるように構成されている、装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、前記エアバッグは、初期展開方向への展開が、前記エアバッグの展開エネルギーを、アウト・オブ・ポジションの乗員の頭部が載ることのできる前記ステアリングヨーク上の領域から離れる方へと方向付けるように構成されている、装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置であって、前記エアバッグは、初期展開方向への展開によって、前記OOP乗員の頭部に初期の低い展開エネルギーが加えられて、前記ステアリングヨークから離れるように前記OOP乗員の頭部の初期の低エネルギーの移動が引き起こされるように構成されている、装置。
【請求項25】
請求項23に記載の装置であって、前記エアバッグは前記ステアリング軸に向かって通常展開状態まで戻るように移動するよう構成されており、このことにより、初期の前記展開エネルギーが消費された後で、前記OOP乗員の頭部が前記ステアリングヨークから離れるように更に移動する、装置。
【請求項26】
請求項12に記載のエアバッグモジュールを備える車両安全システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
[0072]本発明の上記の説明から、当業者は本発明の改善、変更、および修正を認識するであろう。当技術範囲内でのそのような改善、変更、および修正は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
<付記>
[付記1]
ステアリングヨークを有する車両の運転者側の乗員の保護を支援するための装置であって、
前記ステアリングヨークに装着されているエアバッグと、
前記ステアリングヨークに装着されている前記エアバッグを取り囲んでおり、前記ステアリングヨークのステアリング軸に対して横方向に展開するように前記エアバッグを付勢するように構成されている、エアバッグラップと、を備える、装置。
[付記2]
付記1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは前記エアバッグラップに形成されている展開開口部およびひだ状部を備える、装置。
[付記3]
付記2に記載の装置であって、前記ひだ状部は断裂ステッチで固止されている、装置。
[付記4]
付記3に記載の装置であって、前記断裂ステッチは前記エアバッグの展開に応答して破断するように構成されている、装置。
[付記5]
付記4に記載の装置であって、前記ひだ状部は前記ひだ状部の破断に応答して開くように構成されている、装置。
[付記6]
付記4に記載の装置であって、前記展開開口部は前記ひだ状部の破断に応答してサイズが大きくなるように構成されている、装置。
[付記7]
付記1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記エアバッグが前記展開開口部を通って初期展開方向に展開するにつれて前記展開中のエアバッグに及ぼされる付勢力が、前記エアバッグの加圧が前記付勢力を上回る点まで減少し、前記エアバッグが前記ステアリング軸に向かって通常展開状態に戻るように構成されている、装置。
[付記8]
付記1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記エアバッグラップによって前記エアバッグが前記展開開口部を通して初期展開方向に展開するよう付勢されるように、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限するように更に構成されている、装置。
[付記9]
付記1に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、前記展開開口部が、前記エアバッグおよび前記エアバッグラップが背後に格納されているカバーの縁部から離れる方へと初期エアバッグ展開力の少なくとも一部を分散させるように構成されている前記ラップの縁部によって、少なくとも部分的に画定されるように構成されている、装置。
[付記10]
付記9に記載の装置であって、前記展開開口部を少なくとも部分的に画定する前記ラップの前記縁部はスカラップ状の縁部を備える、装置。
[付記11]
付記9に記載の装置であって、前記スカラップ状の縁部は前記カバーの中央部分に向かって内側に湾曲した縁部を備える、装置。
[付記12]
付記1に記載の装置であって、前記エアバッグおよびエアバッグラップはエアバッグモジュールの構成要素であり、前記エアバッグモジュールは、前記エアバッグを膨張させるためのインフレータと、前記インフレータ、前記エアバッグ、および前記エアバッグラップが固止される保持具と、を更に備え、前記保持具は前記ステアリングヨークに接続されて前記エアバッグモジュールを前記ステアリングヨークに装着するように構成されている、装置。
[付記13]
付記12に記載の装置であって、前記エアバッグラップは、
前記エアバッグを覆うように構成されている中央部分と、
前記中央部分から第1の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の背部に固止されている、第1のラップ部分と、
前記中央部分から前記第1の方向とは反対向きの第2の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の前記背部に固止されている、第2のラップ部分と、
前記中央部分から前記第1の方向および前記第2の方向に対して横方向の第3の方向に延びており、前記エアバッグ、前記インフレータ、および前記保持具の周囲を包んでおり、前記保持具の前記背部に固止されている、第3のラップ部分と、を備える、装置。
[付記14]
付記13に記載の装置であって、前記第3の方向は初期展開方向とは反対向きである、装置。
[付記15]
付記13に記載の装置であって、前記中央部分、ならびに前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分は前記展開開口部を画定し、前記保持具の前記背部へのこれらのそれぞれの接続によって、初期展開方向以外の方向へのエアバッグの移動を制限する、装置。
[付記16]
付記13に記載の装置であって、前記第2のラップ部分は折り畳まれてひだ状部を形成しており、断裂ステッチ加工部が前記ひだ状部を貫通して延びて、前記第2のラップ部分の前記折り畳まれた部分を前記中央部分に接続している、装置。
[付記17]
付記13に記載の装置であって、前記保持具を通ってならびに前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分の端部にある固定具受け入れ開口部を通って延びている、前記第1のラップ部分、前記第2のラップ部分、および前記第3のラップ部分を前記保持具に固止するための、固定具スタッドを更に備える、装置。
[付記18]
付記17に記載の装置であって、前記固定具スタッドは前記エアバッグおよび前記インフレータも前記保持具に固止する、装置。
[付記19]
付記1に記載の装置であって、前記エアバッグは概ね円形の枕形状の構成を有し、前記エアバッグの通常展開位置は概ね前記ステアリング軸を中心としている、装置。
[付記20]
付記1に記載の装置であって、初期展開方向は前記車両に対して横方向となるように構成されている、装置。
[付記21]
付記1に記載の装置であって、初期展開方向は前記車両に対して横方向内向きの方向となるように構成されている、装置。
[付記22]
付記1に記載の装置であって、初期展開方向は、アウト・オブ・ポジションの乗員の頭部が載ることのできる前記ステアリングヨーク上の領域から側方となるように構成されている、装置。
[付記23]
付記22に記載の装置であって、前記エアバッグは、初期展開方向への展開が、前記エアバッグの展開エネルギーを、アウト・オブ・ポジションの乗員の頭部が載ることのできる前記ステアリングヨーク上の領域から離れる方へと方向付けるように構成されている、装置。
[付記24]
付記23に記載の装置であって、前記エアバッグは、初期展開方向への展開によって、前記OOP乗員の頭部に初期の低い展開エネルギーが加えられて、前記ステアリングヨークから離れるように前記OOP乗員の頭部の初期の低エネルギーの移動が引き起こされるように構成されている、装置。
[付記25]
付記23に記載の装置であって、前記エアバッグは、前記ステアリング軸に向かって通常展開状態まで前記エアバッグが移動して戻ることにより、初期の前記展開エネルギーが消費された後で、前記OOP乗員の頭部が前記ステアリングヨークから離れるように更に移動するよう構成されている、装置。
[付記26]
付記12に記載のエアバッグモジュールを備える車両安全システム。
【国際調査報告】