(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】放熱反応器を動作させる方法、放熱反応器、および放熱反応器の計算システム
(51)【国際特許分類】
F22B 35/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
F22B35/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514427
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2022075087
(87)【国際公開番号】W WO2023036921
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/074838
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506425251
【氏名又は名称】スミトモ エスエイチアイ エフダブリュー エナージア オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ケットゥネン,アリ
(72)【発明者】
【氏名】ミエッティネン,ヨウニ
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA05
3L021BA08
3L021DA05
3L021DA28
3L021EA04
(57)【要約】
【課題】 放熱反応器の制御を改善するために、方法が提案されている。
【解決手段】 この方法は、a)放熱反応器の現在の負荷(Q
h)を監視する工程、b)反応器の数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数(df
i)が許容条件を満たす、現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見する工程、および数値(Q
h,candidate)を、現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)として選択する工程、c)現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h、max)を、操作者に示す工程、ならびに/あるいは、現在の負荷(Q
h)が、c1)現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)よりも小さい場合に、c1i)負荷(Q
h)が増加する可能性があることを、操作者に示す工程、および/もしくはc1ii)負荷(Q
h)を、自動的に増加させる工程、ならびに/またはc2)現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)よりも大きい場合に、c2i)負荷(Q
h)が現在の計算上の最大瞬間負荷を超えていることを、操作者に示す工程、および/もしくはc2ii)負荷(Q
h)を、自動的に低減させる工程を含む。
【選択図】
図2及び
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成ガスを生成する放熱反応器を動作させる方法であって、
a)前記反応器の現在の負荷(Q
h)を監視する工程、
b)前記反応器の数値モデルを含む、現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が、許容条件を満たす、現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見する工程、および前記数値(Q
h,candidate)を、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)として選択する工程、
c)前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)を、操作者に示す工程、ならびに/あるいは、前記現在の負荷(Q
h)が、
c1)前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)よりも小さい場合に、
c1i)前記負荷(Q
h)が増加する可能性があることを、前記操作者に示す工程、および/もしくは
c1ii)前記負荷(Q
h)を、自動的に増加させる工程、
ならびに/または
c2)前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)よりも大きい場合に、
c2i)前記負荷(Q
h)が前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を超えていることを、前記操作者に示す工程、および/もしくは
c2ii)前記ボイラ負荷(Q
h)を、自動的に低減させる工程
を含む、方法。
【請求項2】
i)前記反応器の、前記現在監視されているプロセスデータが、
ia)ガス流路内の、現在の生成ガス出口温度(T
G,exit,current)と、
ib)前記生成ガス流路内の、伝熱面(i)ごとの熱負荷(Q
fluid,i)と
を含み、さらに
ii)ia)とib)との両方からの監視されているプロセスデータが、前記生成ガス係数を計算する際に使用され、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)に対する、前記数値(Q
h,candidate)を発見するときに使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応器の数値モデルを含む、現在監視されているプロセスデータを使用して計算される前記少なくとも1つの生成ガス係数(df
i)が、許容条件を満たさない場合、前記発見が、次の数値(Q
h,candidate)が自動的に選択されるように実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記次の数値(Q
h,candidate)が、繰り返し選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発見が、
- I:前記反応器の前記負荷が、前記数値(Q
h,candidate)と一致する場合に、計算上のモデルをもたらす、生成ガス出口温度(T
G,exit)の推定値を計算する工程、
- II:生成ガス質量流量(q
m,productgas)を計算する工程、
- III:前記ガス流れ経路内の伝熱面ごとの熱負荷(Q
fluid,i,candidate)を、数値上の反応器モデル、(Q
fluid,i,candidate=Q
fluid,i,current+Σα
j,i(Q
fluid,max)
j-Σα
j,i(Q
fluid,current)
j)を使用することによって補正される、前記伝熱面の現在の熱負荷(Q
fluid,i,current)を使って計算する工程、
- IV:前記生成ガス流路内の伝熱面ごとの前記計算された熱負荷(Q
fluid,i,candidate)を使用し、前記排ガス流路内の、生成ガスの流れの上流方向での前記生成ガス出口に最も近い前記伝熱面21
kから、前記生成ガス出口温度(T
fluegas,out,k=T
FG,exit)の前記推定値を使用して開始する、各伝熱面での生成ガス温度(T
G,in,i、T
G,out,i、i=1、・・・、k)を計算する工程、
- V:前記排ガス流路内の伝熱面ごとの前記生成ガス係数(df
i、i=1、・・・、k)を計算する工程
を実行することにより行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記排ガス係数が、下記式を含むかまたは下記式であり、
【数1】
ここで、k
iが、反応器固有に選択され得る、正の数である、非ゼロのパラメータであり、
q
m,productgasが、生成ガスの質量流量であり、
nが、反応器固有に選択され得る、正の非ゼロの数である、モデルパラメータであり、ρ
G,iが、i番目の伝熱面における生成ガス密度であり、Aが、i番目の伝熱面における排ガスチャネルの断面積である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
nが、
i)計算された生成ガス速度を使用する場合、0.9~1.1の範囲、
ii)腐食を引き起こす、計算された生成ガスを使用する場合、2.9~3.5の範囲、または
iii)前記生成ガスの流れの圧力損失を使用する場合、1.8~2.2の範囲
のうちの少なくとも1つであるよう選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記nの値が、時間の経過と共に変更される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記nの値が、少なくとも2台の別個の反応器を含む反応器群から、前記反応器のそれぞれについて監視される運用データを使用して判定される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
工程I)の前記計算において、前記排ガス出口温度が、実質的に、式
T
G,exit=α
0+Σα
j(Q
h,candidate)
j
または前記式の1次、2次、もしくは3次以上の近似式によって推定され、前記それぞれの係数(α
0、α
1、α
2、・・・)が、いくつかの個別の反応器負荷(Q
h)の値に対する、生成ガス出口温度(T
G,exit)の値を測定した後、当てはめによって事前に取得されている、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程II)において、生成ガス質量流量の計算には、生成ガス成分mの質量流量(q
m,G,m)が利用される、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程II)において、生成ガス質量流量の前記計算には、反応物パラメータを使用する工程が含まれる、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程b)が、前記反応器に対して遠隔で実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程b)が、前記反応器の現場でローカルに実行される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷がいずれも、リアルタイムでの測定によって得られ、フィルタリングによって処理され、平均化、傾向の計算、またはこれらの任意の組合せによって処理される、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記許容条件には、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)を変更する前に、所定の最小変更を必要とする、ヒステリシス条件が含まれる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記許容条件が、前記計算された少なくとも1つの生成ガス係数(df
i)の、それぞれの設計値に対する比較を含み、前記方法において、前記数値(Q
h,candidate)が、前記設計値を超えた場合に捨てられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記反応器が、循環流動床(CFB)反応器または気泡流動床(BFB)反応器であり、前記工程b)が、前記反応器内および/または前記生成ガスチャネル内の前記伝熱面に対して実行される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
- 生成ガス流れ経路を画定し、いくつかの伝熱面(21
i)を備える、反応器チャンバ(12)および関連する通路(15、16)と、
- 放熱反応器(10)の現在の負荷(Q
h)を監視する、測定機器と、
- 現在のプロセスデータを監視する、センサ(20、20
i、30、40、116、165、650)などの別の測定機器と、
- 請求項1~18のいずれか一項に記載の、前記放熱反応器を動作させる方法を実行するよう構成される、制御システム(CS 201、203、205)と
を具備する、放熱反応器。
【請求項20】
前記制御システム(CS)が、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を、フィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理するよう構成される、エッジサーバ(203)を備える、請求項19に記載の放熱反応器(10)。
【請求項21】
前記制御システムが、前記方法の工程b)を実行して、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)をローカルに判定するよう構成される、請求項19または20に記載の放熱反応器。
【請求項22】
前記制御システムが、前記方法の工程b)を実行して、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)を前記制御システムに返すよう構成される、遠隔コンピューティングシステムにデータを送信するよう構成される、請求項19または20に記載の燃焼ボイラ。
【請求項23】
前記エッジサーバが、前記遠隔コンピューティングシステムに渡される測定データの量を減らすよう構成される、請求項22に記載の燃焼ボイラ。
【請求項24】
- 請求項19~23のいずれか一項に記載の反応器(10)群であり、各反応器が、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、前記リアルタイムでの測定結果を、フィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理し、前記処理したリアルタイムでの測定結果を遠隔コンピューティングシステム(205)に送信するよう構成される、エッジサーバ(203)システムを備える、制御システム(DCS)を具備する、反応器(10)群、
- リアルタイムでの測定結果から処理されたデータを受信し、前記反応器(10)のそれぞれについて、数値モデルを使用してデータを計算し、前記反応器(10)のそれぞれに計算結果を返すよう構成される、遠隔コンピューティングシステム(205)
を具備する、反応器計算システムであって、さらに
前記制御システムが、前記計算結果に基づいて、前記反応器の機能を適合させるよう構成される、反応器計算システム。
【請求項25】
前記コンピューティングシステムが、前記反応器の数値モデルを含む、現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数(df
i)が、許容条件を満たす、現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見し、前記数値(Q
h,candidate)を、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)として選択するよう構成される、
請求項24に記載の反応器計算システム。
【請求項26】
前記反応器計算システムが、放熱反応器(10)の処理された測定データを使用して、前記放熱反応器(10)の数値モデルを校正するよう構成される、請求項24または25に記載の反応器計算システム。
【請求項27】
前記反応器計算システムが、他の放熱反応器(10)からも収集された、処理された測定データを使用して、放熱反応器(10)の数値モデルを校正するよう構成される、請求項24~26のいずれか一項に記載の反応器計算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱反応器を動作させることに関する。
【背景技術】
【0002】
放熱反応器が一般的に使用される技術分野は、火格子ボイラなどの燃焼ボイラであり、流動床ボイラは、一般的に、電気および熱の生成など様々な目的に使用できる、蒸気を発生させるために利用される。
【0003】
流動床ボイラでは、燃料および固体粒状物流動媒体(bed material)が炉内に導入される。流動媒体および燃料は、炉の底部から流動化ガスを取り込むことによって流動化される。燃料の燃焼は、炉内で行われる。BFBの燃焼では、流動化ガスが、床内に気泡を形成するように床を通過する。流動床は、BFBでは、流動化ガス供給および燃料供給を制御することにより、かなり簡便に制御することができる。場合によってはあり得る重金属、硫黄の収着性を高め、さらにアルカリの収着性を高めるために、燃料に加えて、ケイ酸アルミニウム(非水和粘土など)、アルカリアルカリ土類金属炭酸塩、およびこれらの混合物(石灰石または炭酸カルシウムなど)などの、特定の添加剤が燃焼に加えられてもよい。
【0004】
CFBの燃焼では、流動化ガスが流動媒体を通過する。ほとんどの床の粒子は、流動化ガスに混入し、排ガスと共に運ばれることになる。粒子は、少なくとも1台の粒子分離器内で排ガスから分離され、循環して炉内に戻される。粒子が炉内に戻される前に粒子から熱を回収するために、粒子分離器の下流に、流動床式熱交換器を配置するのが一般的である。
【0005】
すべてのボイラにおいて、燃焼技術に関係なく、空気と燃料との混合などの燃焼条件が、理想的ではない場合がある。
【0006】
Improbed ABの国際公開第2016/202640A1号に掲載された国際出願は、燃焼ボイラの熱負荷制御方法について開示している。この方法では、ボイラの少なくとも1箇所で監視された排ガス速度が、所定の最大排ガス速度の制限を超える場合、燃焼ボイラの熱負荷が抑えられる。排ガス速度は、方程式群を使用して、排ガスの体積流量を、サイクロンのすぐ下流の場所にある、排ガスダクトの断面積で割ることにより計算される。
【0007】
さらに、生成ガスを生成する他のプロセスもあることが知られており、生成ガスの温度は、制御する必要がある。これは、ガスおよび/またはプロセスを加熱または冷却することを意味する。
【0008】
放熱反応器は、反応器のそれぞれのボイラ最大連続蒸発量(MCR:maximum continuous rating)である、所与の能力に合わせて設計される。これは、設計負荷レベルと呼ばれる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、放熱反応器の性能、収益性、および自由度を高め、また反応器の負荷の制御を改善することである。本発明の第2の目的は、燃焼ボイラの制御システムの複雑度を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の目的は、請求項1に記載の放熱反応器を動作させる方法、および請求項19に記載の放熱反応器によって実現することができる。第2の目的は、請求項24に記載の反応器計算システムによって達成することができる。
【0011】
従属請求項は、方法、反応器、および計算システムの有利な態様を説明している。
【発明の効果】
【0012】
生成ガスを生成する放熱反応器を動作させる方法は、以下の工程を含む。
a)反応器の現在の負荷Qhを監視する工程、
b)反応器の数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数が許容条件を満たす、現在の計算上の最大瞬間負荷に対する数値を発見する工程、およびこの数値を、現在の計算上の最大瞬間負荷Qh,maxとして選択する工程、
c)現在の計算上の最大瞬間負荷Qh、maxを、操作者に示す工程、ならびに/あるいは、現在の負荷Qhが、
c1)現在の計算上の最大瞬間負荷よりも小さい場合に、
c1i)負荷が増加する可能性があることを、操作者に示す工程、および/もしくは
c1ii)負荷を自動的に増加させる工程、
ならびに/または
c2)現在の計算上の最大瞬間負荷よりも大きい場合に、
c2i)負荷Qhが現在の計算上の最大瞬間負荷を超えていることを、操作者に示す工程、および/もしくは
c2ii)負荷Qhを、自動的に低減させる工程。
【0013】
この方法では、最大負荷を固定するのではなく、生成ガス係数を計算し、生成ガス係数の許容条件を好適に選択する方法により、時々、固定最大負荷よりも高くなる可能性がある、反応器の現在の計算上の最大瞬間負荷で、またはそれにより近い負荷で、反応器を安全に動作させることが可能である。現在の計算上の最大瞬間負荷は、設計負荷レベルよりも高くなる可能性がある。したがって、反応器の全体的な性能を向上させることができ、電力/熱生成を増加させることが可能となる。さらに、現在の計算上の最大瞬間負荷が、設計負荷レベルよりも小さい場合があり得るので、現在の計算上の最大瞬間負荷を超えることに起因する反応器の磨耗を、より適切に低減することができる。現在の計算上の最大瞬間負荷は、言い換えると、最大許容負荷および/または好ましい負荷とみなすことができる。
【0014】
本出願人は、ボイラを用いて実行した試験において、平均して、固定ボイラ最大負荷を超える燃焼ボイラからの電力出力を得ることができた。本出願人は、燃焼ボイラでは、試験で、改善の可能性が2.5~5%の間であり得ることを実証することができた。これは、たとえば、120MWthの燃焼ボイラでは、3~6MWthに相当する。
【0015】
この方法において、以下であることが好ましい。
i)反応器の現在監視されているプロセスデータが、
ia)生成ガス流路内の現在の生成ガス出口温度と、
ib)生成ガス流路内の伝熱面ごとの熱負荷(heat duty)と
を含み、さらに、
ii)工程ia)およびib)の両方からの監視されているプロセスデータが、生成ガス係数の計算に使用され、現在の計算上の最大瞬間負荷Qh,maxに対する数値を発見するときに使用される。
【0016】
熱交換器の熱負荷の計算は、当業者には既知であり、熱負荷は、たとえば、以下の式を使用することによって得ることができる。
Qfluid,i=qm,fluid,i×(hfluid,out-hfluid,in)
ここで、qm,fluid,iは、i番目の伝熱面での流体流量、hfluid,inは、i番目の伝熱面に入る流体のエンタルピ、hfluid,outは、i番目の伝熱面から出る流体のエンタルピである。
【0017】
この発見は、反応器の数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数が許容条件を満たすことができない場合、次の数値が自動的に選択されるように実行され得る。次の数値が、繰り返し選択されることが好ましい。これにより、計算ライブラリ関数、具体的には、反復法ソルバ(関数の根を解く、PythonのFSOLVE関数など)の使用が可能となり得る。
【0018】
この発見は、以下の計算工程を実行することにより、行われ得る。
- I:反応器の熱負荷が数値と一致するときに、計算上の反応器モデルが得られる、ボイラ生成ガス出口温度の推定値を計算する工程、
- II:生成ガス質量流量を計算する工程、
- III:排ガス流路内の伝熱面ごとの熱負荷を、数値上のボイラモデルを使用することによって補正される現在の熱負荷を使用して、計算する工程、
- IV:生成ガス流路内の伝熱面ごとの計算された熱負荷を使用し、生成ガス流路内の、ガス流の上流方向での生成ガス出口に最も近い伝熱面から、排ガス出口温度の推定値を使用して開始する、各伝熱面での生成ガス温度を計算する工程、
- V:排ガス流路内の伝熱面ごとの生成ガス係数を計算する工程。
【0019】
この手法を使って、反応器の熱負荷が数値に一致する状況において、生成ガス流路内の各伝熱面(本願において、「伝熱面」とは、熱交換器、熱交換器管、熱交換器管束、熱交換器パッケージ、および/または熱交換器の構成群を意味する)の状況は、生成ガス係数を用いて数値的に推定することができる。したがって、ここで、現在の計算上の最大瞬間負荷の候補である特定の数値が、伝熱面において、許容可能な状況を生み出すかどうかを試験することができる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、工程III)において、数値反応器モデルは、Qfluid,i,candidate=Qfluid,i,current+Σαj,i(Qh,candidate)j-Σαj,i(Qh,current)jの形式のモデルである。
【0021】
パラメータ(αj,i)の当てはめは、人間が手動で、または履歴データを利用して、コンピュータによって自動的に行うことができる。パラメータの自動更新は、たとえば月に1回行われてもよい。自動更新において、AIおよびニューラルネットワークベースのアルゴリズムを利用することができる。
【0022】
とりわけ、本発明が燃料を燃焼させるボイラに適用されると、国際公開第2016/202640A1号に開示された方法とは異なり、現在のボイラ負荷で限界に達することなく、計算上許容可能な現在の最大ボイラ瞬間負荷を予測することが可能となり、一方、さらにより重要なことに、計算上許容可能な現在のボイラ瞬間負荷を超えることなく、限界に達することが可能である。
【0023】
生成ガス係数は、以下を含むかまたは以下であることが好ましい。
dfi=ki(qm,productgas/(ρproductgas,i×Across,i))n
ここで、
kiは、具体的には、燃焼ボイラで選択され得る、正の(非ゼロの)数であることが好ましい、非ゼロのパラメータであり、
qm,productgasは、生成ガスの質量流量であり、
nは、具体的には、反応器で選択され得る、正の(非ゼロの)数であることが好ましい、モデルパラメータであり、
ρproductgas,iは、i番目の伝熱面における生成ガスの密度であり、
Across,iは、i番目の伝熱面における、ガス流れ通路の断面積である。
【0024】
生成ガス係数にこの関数形式を選択すると、生成ガス係数は、非常に自由度が高くなり、反応器内で使用されている現在の反応物の状態に基づくなど、反応器の動作の様々なニーズに合わせて簡単に適合できるので、これはとりわけ好都合である。
i)モデルパラメータnは、以下のうちの少なくとも1つであるよう選択され得るので、とりわけ有利であり、計算された生成ガス速度を使用する場合、0.9~1.1の範囲、好ましくは約1.0、
ii)腐食を引き起こす、計算された生成ガスを使用する場合、2.9~3.5の範囲、好ましくは3.2~3.35の間、または
iii)生成ガスの流れの圧力損失を使用する場合、1.8~2.2の範囲、好ましくは約2.0である。
【0025】
nの値は、時間の経過と共に変更され得る。これは、反応器が流動床反応器である場合、伝熱面における排ガスの流れの状態が、ファウリング、灰の凝集、または反応物もしくは床の状態などにより、時間の経過と共に変化する可能性があるため、有利である。生成ガス係数は、したがって、実際のプロセスの状況をより適切に反映するために、時間の経過と共にシフトされ得る。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、n=2であり、生成ガス係数が圧力損失を表す場合、生成ガス係数dfiと生成ガス係数の所定の最大値dfmax,iとの比較は、伝熱面ごとに実行することができる。許容条件は、一実施形態によれば、実質的にdfi=dfmax,iである。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、n=2であり、生成ガス係数が圧力損失を表す場合、排ガス係数dfiの合計、
dptot=Σdfi
と、所定の生成ガス係数dfmax,iの合計との間で、比較を行うことができるか、または所定の生成ガス係数は、ただ単に、全圧力降下を表し、したがって比較は、反応器と煙突との間の全圧力降下の比較を表す。許容条件は、一実施形態によれば、実質的にdptot=dpmax,totである。
【0028】
生成ガス係数は、本発明の一実施形態によれば、粒子堆積係数を表し、以下の形式で書くことができる。
dfi=kphC(d)qm_favp
n
ここで、kphは粒子硬度係数、C(d)は粒子直径関数、qm_faは粒子質量流量の割合、vpは粒子速度、nは冪指数(0、3~4)である。所定の生成ガス係数は、かかる場合、最大粒子堆積値を表す。粒子堆積係数は、粒子の特性(柔らかさなど)に基づいて、調整することもできる。
【0029】
反応器は、本発明の特定の実施形態によれば、FBボイラまたはFBガス化器などの流動床(FB:fluidized bed)反応器であり、生成ガス係数は、灰堆積係数を表し、以下の形式で書くことができる。
dfi=kphC(d)qm_favp
n
ここで、kphは粒子硬度係数、C(d)は粒子直径関数、qm_faは飛灰の質量流量レート、vpは粒子速度、nは冪指数(0、3~4)である。所定の排ガス係数は、かかる場合、最大灰堆積値を表す。灰堆積係数は、灰の特性(柔らかさなど)に基づいて、調整することもできる。
【0030】
許容条件は、本発明の一実施形態によれば、実質的にdfi=dfmax,iであるが、実際の状況では、許容条件は、以下のように定義することができる。
dfmax,i-δ<dfi≦dfmax,i
ここで、δ>0であり、数値精度および/または方法によって変わる。dfmax,i-δ<dfi≦dfmax,iの場合、反応器の数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数が許容条件を満たすことを意味し、かかる場合に、最大許容負荷が発見され、したがって数値Qh,candidateが、現在の計算上の最大瞬間負荷Qh,maxとして選択される。
【0031】
許容条件は、本発明の一実施形態によれば、実質的にΣ(dfi)=Σ(dfmax,i)であるが、実際の状況では、許容条件は、以下の合計を利用して定義することができる。
Σ(dfmax,i)-δ<Σ(dfi)≦Σ(dfmax,i)
ここで、δ>0であり、数値精度および/または方法によって変わる。Σ(dfmax,i)-δ<Σ(dfi)≦Σ(dfmax,i)の場合、ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数が許容条件を満たすことを意味し、かかる場合に、最大許容負荷が発見され、したがって数値Qh,candidateが、現在の計算上の最大瞬間負荷Qh,maxとして選択される。一実施形態によれば、積算指数(summation index)iは、熱伝達面のすべてにわたる。積算指数iは、本発明の別の態様によれば、好ましくは生成ガスチャネル内にある、伝熱面の一部だけにわたる。
【0032】
nの値が、少なくとも2台の別個の反応器を含む反応器群から、反応器のそれぞれについて監視された運用データを使用して判定される場合、とりわけ有用である。より多数の反応器(2台、3台、4台、・・・)を使用すると、より大きなデータセットが得られる。したがって、より多くの運用データが監視されることになる。これは、より適切な結果を生み出すことができ、判定に実験データの内挿および/または外挿が使用される状況では、特に優れている可能性がある。
【0033】
生成ガス出口温度は、工程I)の計算では、以下の式によって実質的に推定され得る。
TG,exit=α0+ΣαiQi
h,candidate
または、上式の1次、2次、もしくは3次以上の近似式によって推定されることが好ましい。係数αは、いくつかの個別の反応器負荷の値に対する、生成ガス出口の値を測定した後、当てはめによって取得することができる。このデータは、時間の経過と共に収集され、定期的など、随時更新され得る。このデータは、別法として、または追加的に、反応器の1回または複数の校正を実行する際に、収集することができる。
【0034】
係数(α)の当てはめは、人間が手動で、または履歴データを利用して、コンピュータによって自動的に行うことができる。係数の自動更新は、たとえば月に1回実行されてもよい。AIおよびニューラルネットワークベースのアルゴリズムを、自動更新に利用することができる。
【0035】
生成ガス出口温度は、本発明の一実施形態によれば、工程I)において、人工知能ツールを利用することによって、実質的に推定することができる。生成ガス出口温度は、本発明の別の実施形態によれば、工程I)において、ニューラルネットワークを利用することによって、実質的に推定することができる。
【0036】
生成ガス出口温度は、本発明の一実施形態によれば、工程I)において、以下の式によって推定することができる。
TG,exit=α0+α1×Qh,candidate+α2×Qh,candidate
2
ここでα0、α1、およびα2は、予め定義された定数とすることができる。別法として、または追加的に、係数(α)の当てはめは、人間が手動で、または履歴データを利用して、コンピュータによって自動的に行うことができる。係数の自動更新は、たとえば月に1回実行されてもよい。AIおよびニューラルネットワークベースのアルゴリズムを、自動更新に利用することができる。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、α0の項は、現在の状態値に基づいて解くことができる。
α0=TG,exit,current-α1×Qh,current-α2×Qh,current
2
ここで、TG,exit,currentは、測定される生成ガス出口温度を表す。
【0038】
生成ガス質量流量は、本発明の一実施形態によれば、工程II)において、反応器質量およびエネルギーバランス式を使用して計算される。
【0039】
工程II)において、生成ガス質量流量の計算には、生成ガスの成分のガス固有の質量流量を考慮することが含まれ得る。燃焼プロセスの場合、成分には、CO2、H2O、N2、SO2、O2が含まれる。これらの成分の濃度は、ある程度簡単な装置を使って、確実に測定することができる。
【0040】
工程II)において、成分の値は、反応物パラメータを含むことができる。これにより、反応物の特性の変化を反映することができる。たとえば、より多くの腐食を引き起こす傾向のある反応物については、許容条件をより厳しくすることができ、一方、あまり腐食を引き起こす傾向がない反応物については、より希薄な許容条件を使用することができる。
【0041】
工程b)は、好ましくはクラウドベースの計算サービスにおいて、反応器に対して遠隔に実行されてもよい。これは、クラウドベースの計算サービスを実行するよう構成されているような、遠隔計算装置を、燃焼ボイラとは別個に保守できるので、燃焼ボイラの保守を簡素化するのに役立つ。計算ソフトウェアの更新は、これにより、たとえば、各反応器でソフトウェアを更新するのではなく、1箇所または少数の場所で集中的に実行することができる。
【0042】
工程b)は、別法として、反応器の現場で、好ましくはエッジサーバによって、ローカルに実行されてもよい。これにより、遠隔の計算場所にデータを転送する必要がないので、計算が高速化され得る。
【0043】
現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷のいずれも、リアルタイムでの測定により取得することができる。これの代わりに、またはこれに加えて、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷は、フィルタリングによって処理され、平均化、傾向の計算、またはこれらの任意の組合せによって処理され得る。これは、計算結果に影響を与えるノイズまたは異常値の測定を回避するのに役立ち、これにより、現在の計算上の最大瞬間負荷の安定性を高めることが容易になる。
【0044】
許容条件には、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を変更する前に、所定の最小変更を必要とする、ヒステリシス条件が含まれ得る。これは、現在の計算上の最大瞬間負荷の安定性を高めることができ、現在の計算上の最大瞬間負荷の過度の変動を回避するのに役立つので、好ましい。
【0045】
出願人は、燃焼ボイラが、循環流動床(CFB:circulating fluidized bed)または気泡流動床(BFB:bubbling fluidized bed)ボイラであることはもちろん、より一般的にはCFBおよびBFB反応器であり、工程b)が、流動床反応器の伝熱面に対して実行される場合にも、有用であることを発見した。
【0046】
工程b)は、一実施形態によれば、反応器と煙突との間にある伝熱面に対して実行される。
【0047】
放熱反応器は、以下を備える。
- 生成ガス流れ経路を画定し、いくつかの伝熱面を備える、反応器チャンバおよび関連する通路、
- 放熱反応器の現在の負荷を監視する、測定機器、
- 現在のプロセスデータを監視する、別の測定機器、ならびに
- 放熱反応器を動作させる方法を実行するよう構成される、制御システム。
【0048】
放熱反応器は、一実施形態によれば、ガス流れ経路を画定し、ガス流れ経路内にいくつかの伝熱面を備える、反応器チャンバおよび関連する通路を具備する。
【0049】
かかる放熱反応器は、反応器を制御する態様を改善することができる。利点は、放熱反応器を動作させる方法の利点と同じである。
【0050】
制御システムは、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理する、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理するよう構成され得る、エッジサーバを備えることができる。エッジサーバにより、現在監視されているプロセスデータの量を削減することが容易となろう。特定の設置環境では、毎日60~90ギガバイトの、監視されるプロセスデータがあり得るという事実を考慮すると、これは特に、とりわけ有用であり得る。
【0051】
制御システムは、方法の工程b)を実行して、現在の計算上の最大瞬間負荷をローカルに判定するよう構成されてもよい。これにより、反応器から転送する必要があり得るデータがより少なくなるか、またはまったくなくなるので、反応器での迅速な意思決定が容易になる。
【0052】
制御システムは、別法として、または追加的に、方法の工程b)を実行して、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を制御システムに返すよう構成され得る、遠隔の、好ましくはクラウドベースのコンピューティングシステムに、データを送信するよう構成され得る。これにより、反応器をより簡素化すること、およびコンピューティングシステムの更新をより簡単にすることが、より容易になる。更新は、この状況では、各反応器のいずれにおいても実行するのではなく、集中的に実行することができる。
【0053】
エッジサーバは、遠隔コンピューティングシステムに渡される測定データの量を減らすよう構成され得る。このようにして、データ転送には、より小さい帯域幅で十分であり得る。特定の設置環境では、毎日60~90ギガバイトの、監視されるプロセスデータがあり得るという事実を考慮すると、これは特に、とりわけ有用であり得る。
【0054】
反応器計算システムは、以下を備える。
- 各反応器が、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を、フィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理し、処理したリアルタイムでの測定結果を遠隔コンピューティングシステムに送信するよう構成される、エッジサーバシステムを備える、反応器制御システムを具備する、反応器群、
- リアルタイムでの測定結果から処理されたデータを受信し、反応器のそれぞれについて、数値反応器モデルを使用してデータを計算し、それぞれの反応器へ計算結果を返すよう構成される、クラウドベースのコンピューティングシステムであることが好ましい、遠隔コンピューティングシステム。
【0055】
反応器計算システムでは、制御システムはさらに、計算結果に基づいて、反応器制御システムの機能を適合させるよう構成される。
【0056】
この構成の利点は、反応器における計算デバイスの必要性を軽減しながらも、依然として遠隔コンピューティングシステムから効果的かつ高速な計算結果を得ることができることである。
【0057】
コンピューティングシステムは、反応器の数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数が許容条件を満たす、数値または現在の計算上の最大瞬間負荷を発見し、この数値を、現在の計算上の最大瞬間負荷として選択するよう構成され得る。これにより、基本的に、分散環境でも本発明の方法を使用することが可能となる。
【0058】
反応器計算システムは、反応器の処理された測定データを使用して、反応器の、生成ガス係数数値モデルなどの数値モデルを、校正するよう構成され得る。これにより、反応器制御の数値モデルを遠隔で適合または校正することが、より容易になる。
【0059】
反応器計算システムは、他の反応器からも収集され、処理された測定データを使用して、反応器の数値モデルを適合または校正するよう構成され得る。これにより、より多く収集されたデータを使用して、反応器制御の数値モデルを調整することが可能となる。
【0060】
本発明は、熱生成および熱の回収が関与する、様々なプロセスおよび反応器での使用に適用可能である。
【0061】
本発明は、反応器からのエネルギーの充放電の割合である、熱化学反応器の負荷を制御するために、熱化学反応器と共に使用するのに適用可能である。
【0062】
本発明はさらに、ガスを生成しながら、廃棄物を熱化学的に破壊する際に生成される熱を制御する、廃棄物ガス化器と共に使用するのに適用可能である。かかるガスはさらに、次に続く合成プロセスで合成して、燃料および化学薬品を作ることができる。
【0063】
本発明はさらに、ガスの流れからCO2を捕捉しながら、さらなる熱生成のために、ループ型炭素捕捉反応器(たとえば、カルシウムループ型反応器)の負荷を制御するような、いわゆる炭素捕捉プロセスと共に使用するのに適用可能である。
【0064】
反応器および反応器制御方法を、
図1~
図9の添付図面に示している実施形態に関連して、下記でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図3】センサからの測定データの流れを示す図である。
【
図4】現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxを発見する、第1の方法を示す流れ図である。
【
図5】現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxを発見する、第2の方法を示す流れ図である。
【
図6】現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxを、どのようにボイラ操作者に提示できるかを示す図である。
【
図7】ボイラ瞬間負荷Q
h、および計算された現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、max、ならびに試験期間中に本発明による方法を使用した効果を示すグラフである。
【
図8】
図7のデータをより詳しく見ることで、10日間の試験期間中の、本発明による方法を使用した効果がより明らかである、ボイラ瞬間負荷Q
h、計算された現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxを示すグラフである。
【
図9】本発明の一実施形態による、別の放熱反応器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
すべての図において、同じ参照番号は同じ技術的特徴を指す。
【0067】
図1は、循環流動床反応器CFBの形態の、熱を生成する放熱反応器として動作する燃焼ボイラ10を示している。CFB反応器は、燃焼器/蒸気発生器、(か焼器および/または炭酸化器(carbonator))を使用する炭素捕捉反応器はもちろん、廃材ガス化器としても使用することができる。CFB反応器は、以下の説明では、とりわけ循環流動床(CFB)ボイラと呼ばれ、燃焼ボイラ10の水蒸気回路に連結された管壁13を備える、炉12を具備する。水は、水タンク(図示せず)から節炭器に供給され、節炭器から蒸気ドラムを介して管壁13などの蒸発伝熱面に供給され、次いで、蒸気ドラムを介して過熱器に、次いでタービンに誘導される。排ガスチャネルには、節炭器および/または過熱器が設けられ得る。
【0068】
流動化ガス(空気および/または酸素含有ガスなど)は、流動化ガス供給源153からウィンドボックス(図示せず)を介して火格子(
図1には、火格子は示されていない)の下に供給され、1次流動化空気が、火格子の下から(床を流動化するための)ノズル(図示せず)、および(酸素含有ガスを供給して燃焼を制御する)2次流動化ガス供給部152を通って、炉に入る。その結果、床媒体が流動化されることになり、また燃焼に必要な酸素も炉12内に供給される。さらに、燃料が、燃料供給部22を介して炉12内に供給される。燃焼は、燃料供給部22を制御することにより(燃料の供給を減少または増加させるなどにより)、および流動化ガスの供給を制御することにより(炉12内への酸素供給量を減少または増加させることなどにより)、調整することができる。燃料は、添加剤、具体的には、たとえばCaCO3および/または粘土などのアルカリ吸着剤として作用するような添加剤と一緒に、供給することができる。追加的または別法として、アンモニウムまたは尿素などのNOx還元剤を、炉12の燃焼領域内に、または炉12の燃焼領域の上に、供給することができる。
【0069】
床媒体も炉内に供給され、床媒体は、砂、石灰石、および/または粘土を含むことができ、粘土は、具体的には、カオリンを含むことができる。床の、また一般に燃焼の1つの結果として、水蒸気回路において、水および蒸気が管壁13内で加熱され、水が蒸気に変換される。
【0070】
灰は、炉12の底に落ち、灰用シュート(明確にするために、
図1から省略)を介して排除され、灰の一部、いわゆる飛灰は、排ガスと一緒に運ばれることになる。
【0071】
排ガスなどの燃焼生成物、未燃燃料、および床媒体は、炉12から、渦ファインダ103を備えることができる粒子分離器17へ進む。粒子分離器17は、固体から排ガスを分離する。特に、より大型の燃焼ボイラ10では、互いに平行に配置されていることが好ましい、複数(2台、3台、・・・)の分離器17があってもよい。
【0072】
分離器17によって分離された固体は、分離器17の底部に位置することが好ましい、ループシール160を通過する。固体は、次いで、伝熱面でもある流動床式熱交換器(FBHE:fluidized bed heat exchanger)100へ進み、これによりFBHE100は、固体から熱を収集し、水蒸気回路内の蒸気をさらに加熱する。その内部にFBHE100が位置するチャンバは、流動化することができ、FBHE100自体は、伝熱管または他の種類の伝熱面を備える。FBHE100は、再加熱器または過熱器として配置され得る。蒸気は、FBHEの出口101から、高圧タービン(FBHE100が過熱器の場合)または中圧タービン(FBHE100が再加熱器の場合)内に送られる。明確にするために、タービンは
図1には示していない。固体は、FBHE100から戻りチャネル102を通って、炉12内に戻され得る。特に、より大型の燃焼ボイラ10では、互いに平行に配置されていることが好ましい、複数(2台、3台、・・・)のループシール160およびFBHE100、ならびに戻りチャネル102があってもよく、したがって分離器17ごとに、それぞれのループシール160、FBHE100、および戻りチャネル102が存在することになる。実際には、FBHE100のうちのいくつかは、過熱器として配置されてもよく、他のいくつかは、再加熱器として配置されてもよい。
【0073】
排ガスは、分離器17から水平通路15に送られ、そこからさらに(垂直通路であり得ることが好ましい)後部煙道16に送られ、そこから排ガス導管18を通って煙突19に送られる。
【0074】
後部煙道16は、いくつかの伝熱面21
i(i=1、2、3、・・・、k、ここでkは、伝熱面の数)を備える。
図1には、伝熱面21
1、21
2、21
3、・・・、21
k-1、21
kを示している。伝熱面21
kは、空気予熱器を示している。伝熱面21
k-1、21
2は過熱器を示し、伝熱面21
1、21
3は再加熱器を示している。これらの構成要素のそれぞれにおける様々な伝熱面の実際の数は、たとえば、実際の必要性に応じて、燃焼ボイラごとに様々に選択することができる。また、伝熱面21を備える別の構成要素も同様に、存在し得る。
【0075】
最後の伝熱面21kから出る排ガスでは、排ガス出口温度TG,exitとなる。この温度は、温度センサ20kで測定される。
【0076】
一態様によれば、各伝熱面21iの前後の温度(それぞれTG,in,i、TG,in,i+1)は、それぞれの温度センサ20i(i=1、2、3、・・・、k-1、k)で測定することができる。
【0077】
しかし、別の態様によれば、これらの温度は、必ずしも測定する必要がないことが好ましい。排ガス出口温度TG,exitを知るだけで、十分であろう。前述の各伝熱面21iの前後の温度(TG,in,i、TG,in,i+1)は、数値的に取得することができる。これについては、下記でさらに説明することにする。
【0078】
燃焼ボイラ10には、複数のセンサおよびコンピュータユニットが装備されている。実際、1台の中型(100~150MW
th)燃焼ボイラ10は、1日当たり1億個の測定値を生成する可能性があり、これには25GBの記憶空間が必要である。
図1、
図2、および
図3は、いくつかのセンサおよびコンピュータユニットを示している。センサの例としては、(1次および2次流動化ガスの供給を測定するための)燃焼ガス(通常は燃焼空気)体積流量センサ30、燃料供給センサ650、および温度センサ20
i(i=1、2、・・・、k)、(両方ともCFBボイラだけに存在する)FBHE内の温度センサおよび戻りチャネル102内の圧力センサ116、ならびに炉12内のセンサ40がある。
【0079】
プロセスデータは、分散制御システム(DCS:distributed control system)201によってセンサから収集され得る。データ収集部は、たとえばフィールドバス290を介して、最も好都合に配置することができる。DCS201は、操作者に運用状態情報を表示するための、ディスプレイ/モニタ202を備えることができる。エッジサーバ203は、センサから取得した測定データを、フィルタ処理および平滑化するなど、処理することができる。データを記憶するための、ローカル記憶装置204が存在し得る。
【0080】
DCS201、ディスプレイ/モニタ202、エッジサーバ203、ローカル記憶装置204は、燃焼ボイラ/ネットワーク280内にあり得る(ローカル記憶装置204は、エッジサーバに直接接続されていることが好ましい)。燃焼ボイラネットワーク280は、センサからの測定結果をDCS201および/またはエッジサーバ203に通知するために使用される、フィールドバス290から独立していることが好ましい。DCS201とエッジサーバ203との間には、システムの相互運用性をより高めるための、オープンプラットフォーム通信サーバ210(
図3参照)があってもよい。
【0081】
燃焼ボイラネットワーク280は、好ましくはゲートウェイ290を介して、インターネット200に接続され得る。測定結果は、この状況では、燃焼ボイラネットワーク280から、計算クラウド206内に位置するプロセス知能システム205などのクラウドサービスに転送され得る。出願人は現在、分析プラットフォームを実行するクラウドサービスを運用している。クラウドサービスは、分散コンピューティングおよびデータのクラウドでの記憶のための、仮想化された、容易に規模の拡大縮小が可能な環境である、Microsoft(登録商標)Azure(登録商標)などの仮想化サーバ環境で運用され得る。他のクラウドコンピューティングサービスも、分析プラットフォームを実行するのに好適であり得る。さらに、クラウドコンピューティングサービスの代わりに、またはクラウドコンピューティングサービスに加えて、分析プラットフォームを実行するために、ローカルまたは遠隔サーバを使用することができる。
【0082】
図2は、気泡流動床(BFB)ボイラである、燃焼ボイラ10である放熱反応器を示している。BFBボイラは、流動床が循環床ではなく気泡床であるという点で、CFBボイラとは異なる。したがって、分離器17、ループシール160、FBHE100、および戻りチャネル102は不要であり得る。
【0083】
通常、炉12内、好ましくは炉12の上部に、少なくとも1台の過熱器14がある。過熱器14の入口141は、蒸気ドラムまたは別の過熱器からの入口であり、出口142は、高圧タービンへの出口であることが好ましい。
【0084】
図4は、生成ガスを生成する、放熱反応器を動作させる方法を示している。
a)反応器10(燃焼ボイラ、ガス化反応器、液体空気エネルギー貯蔵器、水和反応器など)の現在の負荷Q
hが、工程K1で監視される(
図4に示している方法では、生成ガス出口温度T
G,exit、およびガス流路16内の伝熱面21
iごとの放熱流体に対する熱負荷Q
fluid,iも監視される。
b)数値Q
h,candidateが選択され(工程K3)、その後、伝熱面21
iにおける熱負荷、およびQ
h,candidateに対するガス温度が計算される。次いで、数値Q
h,candidateを使用し、許容条件を満たす(工程K9で試験される)、反応器の数値モデルを含む、現在監視されているプロセスデータを使用して、少なくとも1つの生成ガス係数df
i(燃焼プロセスに関連して、排ガス係数と呼ばれる場合がある)を計算し(工程K7)、数値Q
h,candidateを、反応器10の現在の計算上の最大瞬間負荷Q
h,maxとして選択する(工程K11)。
c)現在の計算上の最大瞬間負荷Q
h、maxが、(モニタ/画面202上に表示することなどにより)操作者に示され、ならびに/あるいは、現在の負荷Q
hが、
c1)計算上の最大瞬間負荷Q
h,maxよりも小さい場合、
c1i)ボイラ負荷Q
hが増加する可能性があることを、操作者に示し、かつ/もしくは
c1ii)反応器の負荷Q
hを、自動的に増加させ、
ならびに/または
c2)計算上の最大瞬間負荷Q
h,maxよりも大きい場合、
c2i)負荷Q
hが最大瞬間負荷を超えていることを、操作者に示し、かつ/もしくは
c2ii)反応器負荷Q
hを、自動的に低減させる。
【0085】
この方法では、現在監視されている反応器のプロセスデータには、a)ガス流路内の、現在の生成ガス出口温度TG,exit、およびb)ガス流路16内の伝熱面21iごとの、熱負荷Qfluid,iが含まれ得る。
【0086】
この方法ではさらに、a)とb)との両方からの監視されているプロセスデータが、生成ガス係数dfiを計算する際に、また現在の計算上の最大瞬間負荷Qh,maxに対する、数値Qh,candidateを発見するときに、使用され得る。
【0087】
この発見は、反応器の数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数dfiが許容条件を満たすことができない場合に、次の数値Qh,candidateが自動的に選択されるように実行される。自動選択は、反復して行われることが好ましい。
【0088】
この発見は、具体例として、以下の計算工程を実行することにより行われ得る。
- I:反応器の熱負荷が数値Qh,candidateと一致する場合に計算上のモデルをもたらす生成ガス出口温度TG,exitの推定値を計算する工程。
- II:ガス質量流量qm,fluegasを計算する工程。
- III:排ガス流路(後部煙道16)内の伝熱面21iごとの熱負荷Qfluid,i,candidateを、数値上のボイラモデル、Qfluid,i,candidate=Qfluid,i,current+Σαj,i(Qh,candidate)j-Σαj,i(Qh,current)jを使用することによって補正される、伝熱面の現在の熱負荷Qfluid,i,currentを使用して計算する工程。
- IV:ガス流路16内の伝熱面21iごとの、計算された熱負荷Qfluid,i,candidateを使用し、ガス流路16内の、ガス流の上流方向での排ガス出口に最も近い伝熱面21kから、すなわち、ガス出口温度の推定値TG,out,m=TG,exitを使用して開始する、各伝熱面でのガス温度(TG,in,i、TG,out,i、i=1、・・・、k)を計算する工程。
- V:排ガス流路(後部煙道16)内の伝熱面21iごとの、生成ガス係数dfi、i=1、・・・、kを計算する工程。
【0089】
パラメータ(αj,i)の当てはめは、人間が手動で、または履歴データを利用して、コンピュータによって自動的に行うことができる。パラメータの自動更新は、たとえば月に1回実行されてもよい。AIおよびニューラルネットワークベースのアルゴリズムを、自動更新に利用することができる。
【0090】
工程II)には、選択された排ガス成分について、生成ガス質量流量qm,G,mを計算する工程が含まれ得る。
【0091】
各伝熱面でのガス温度は、たとえば以下の式で計算することができる。
【0092】
【数1】
ここで、T
G,in,iはi番目の伝熱面の入口での排ガス温度、c
pは比熱容量、T
G,out,iはi番目の伝熱面の出口での排ガス温度である。排ガス温度は、人工知能ツールを使って判定することができる。排ガス温度は、ニューラルネットワークを使って判定することができる。
【0093】
生成ガス係数は、以下を含むかまたは以下であることが好ましい。
dfi=ki(qm,G/(ρG,IAcross,i))n
ここで、kiは、具体的には、燃焼ボイラで選択され得る、正の(非ゼロの)数であることが好ましい、所定の非ゼロのパラメータであり、
qm,Gは、排ガスの質量流量であり、
nは、(自然数、有理数、実数として、または複素数としてさえ選択され得る)正の数であり、
ρG,iは、i番目の伝熱面21iにおける排ガス温度TG,in,iから得られる、排ガス密度であり、
Aは、i番目の伝熱面21iにおける、排ガスチャネルの断面積である。
【0094】
i)nは、以下のうちの少なくとも1つであるよう選択され得るので有利である。計算されたガス速度を使用する場合、0.9~1.1の範囲、好ましくは1.0同等もしくは約1.0、
ii)腐食を引き起こす、計算されたガスを使用する場合、2.9~3.5の範囲、好ましくは3.2~3.35の間、または
iii)圧力損失を使用する場合、1.8~2.2の範囲、好ましくは2.0同等もしくは約2.0。
【0095】
nの値は、時間の経過と共に変更され得る。nの値は、具体的には、反応器群から判定でき、群は、少なくとも2台の別個の反応器10を含み、したがってこの判定には、反応器10ごとに監視される運用データが使用される。
【0096】
工程I)の計算において、ボイラ負荷に対して選択された任意の数値Qh,candidateの下での、ガス出口温度TG,exitの計算値は、以下の式によって推定され得る。
TG,exit=α0+Σαj(Qh,candidate)j
または、上式の1次、2次、もしくは3次以上の近似式によって推定されることが好ましい。係数α0、α1、α2、・・・は、いくつかの個別の反応器負荷Qhの値に対する、排ガス出口温度TG,exitの値を測定した後、当てはめによって事前に取得されている。
【0097】
工程II)において、反応器内のプロセスが燃料の燃焼である場合、ガスの質量流量を判定するために、成分qm,G,mの計算に、m=CO2、H2O、N2、SO2、O2の少なくとも一部、最も好ましくはすべてが含まれることが好ましい。言い換えると、計算の工程IV)では、qm,G,mの値として、qm,G,CO2、qm,G,H20、qm,G,N2、qm,G,SO2、qm,G,O2の一部またはすべてが使用され得る。これらは、ガス導管18または煙突19内で測定されることが好ましく、そのために、好適なセンサがガス通路内に設置される。工程II)において、成分の値には、反応物(CaOなどの、アルカリ酸化物の燃料など)のパラメータがさらに含まれ得る。
【0098】
反応器が燃焼プロセス用である場合、生成ガス、すなわち排ガスの質量流量は、燃料分析(燃料の近似分析および最終分析)、燃焼空気流量、ならびに/またはボイラ質量およびエネルギーバランス計算による、再循環ガス流量に基づいて計算される、排ガス成分の質量流量qm,G,mの合計の計算に基づき得る。
【0099】
排ガスの質量流量は、以下の式で計算され得ることが好ましい。
qm,G=Σqm,G,i
すなわち、たとえば、以下の排ガス質量流量成分CO2、H2O、N2、SO2、およびO2の合計である。
【0100】
【数2】
ここで、たとえば、x
c,fuelは燃料中の炭素を表す。すなわち、最初の添字は成分を表し、2番目の添字は参照されている燃料または燃焼用空気のいずれかであり、q
m,fuelは燃料流量、q
m,airは燃焼用空気流量であり、M
xはモル質量を示す。有利なことには、排ガス質量流量成分における、利用される燃料の特性、および燃焼用空気の特性。燃料の水分は、測定または計算することができる。
【0101】
本発明の別の実施形態によれば、反応器が、とりわけCaO/Ca(OH)2水和/脱水反応に基づく熱化学反応器である場合、H2O(蒸気)および流動化ガスである空気の流量が、工程II)における質量流量であり、その成分の質量流量の計算は、水和反応および脱水反応を利用して計算される。
【0102】
本発明の別の実施形態によれば、反応器が廃材ガス化器である場合、ガス流量の判定は、燃焼プロセスの場合と同じやり方で行うことができるが、ガス成分が、COおよびH2、ならびに一部の主要でないガス化生成物も含み、相異なる可能性がある。
【0103】
本発明の別の実施形態によれば、反応器が、いわゆる炭素捕捉反応器である場合、互いに好適に連結された、流動床炭酸化器およびか焼器を備える。反応器は、CaOとの反応により、浄化されるべきガスからとりわけCO2を低減し(炭酸化器)、CaCO3のか焼により、実質的に純粋なCO2を生成する(か焼器)よう構成される。ガス流量の判定は、か焼器内で燃料が燃焼されていることを考慮すると、酸素および浄化されるべきガスのガス流量を含め、燃焼プロセスの場合と同じやり方で行うことができる。
【0104】
工程b)は、プロセス知能システム205などにおいて、燃焼ボイラに対して遠隔に実行されてもよい。工程b)は、別法として、燃焼ボイラで、好ましくはエッジサーバ203で、ローカルに実行されてもよい。
【0105】
現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷はいずれも、リアルタイムでの測定によって得られ、フィルタリングによって処理され、平均化、傾向の計算、またはこれらの任意の組合せによって処理され得る。
【0106】
許容条件には、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxを変更する前に、所定の最小変更を必要とする、ヒステリシス条件が含まれ得る。
【0107】
許容条件には、計算された少なくとも1つの排ガス係数dfiをそれぞれの最大値dfmax,iと比較することが、含まれることが好ましい。最大値dfmax,iは、事前設定された値であり、ボイラ固有の値であることが好ましい。数値Qh,candidateは、最大値dfmax,iを超える場合に捨てられる。
【0108】
燃焼ボイラ10では、炉12および関連する通路(水平通路15および後部煙道16)が排ガスの流れる通路を画定する。炉12および通路15、16は、排ガスの流れる通路内にいくつかの伝熱面21iを備える。燃焼ボイラ10は、燃焼ボイラの現在の負荷Qhを監視するための測定機器、および現在のプロセスデータを現在監視するための、別の測定機器も備える。
【0109】
制御システム(DCS201、およびエッジサーバ203、または場合によってはエッジサーバ203の関与の下で、遠隔プロセス知能システム205)は、ボイラ制御方法を実行するよう構成される。
【0110】
エッジサーバ203は、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理する、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理するよう構成され得る。
【0111】
制御システムは、方法の工程b)を実行し、燃焼ボイラ10での、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxをローカルに判定し、かつ/またはデータを、方法の工程b)を実行し、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxを制御システムに返すよう構成される、遠隔の、好ましくはクラウドベースの(計算クラウド206などの)コンピューティングシステム(プロセス知能システム205など)に送信するよう構成され得る。制御システムは、次いで、ディスプレイ/モニタを使用して、方法の工程c)にあるように、情報を表示することなどにより、ボイラ操作者に情報を示すことができる。
【0112】
エッジサーバ203は、遠隔コンピューティングシステムに渡される測定データの量を減らすよう構成され得る。
【0113】
燃焼ボイラ計算システムは、燃焼ボイラ10群を備え、各燃焼ボイラ10は、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理し、処理したリアルタイムでの測定結果を遠隔コンピューティングシステムに送信するよう構成される、エッジサーバ(203)システムを備える、ボイラ制御システム(CS:control system)を具備する。遠隔コンピューティングシステムは、リアルタイムでの測定結果から処理されたデータを受信し、燃焼ボイラ10のそれぞれについて、数値ボイラモデルを使用してデータを計算し、ボイラ10のそれぞれに計算結果を返すよう構成される、クラウドベースのコンピューティングシステムであることが好ましい。ボイラ制御システムは、計算結果に基づいて、ボイラ制御システムの機能を適合させるよう構成され得る。
【0114】
コンピューティングシステムは、ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数dfiが許容条件を満たす、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxに対する数値Qh,candidateを発見し、数値Qh,candidateを、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxとして選択するよう構成されることが好ましい。
【0115】
ボイラ計算システムは、燃焼ボイラ10の処理された測定データを使用して、ボイラの数値モデルを適合または校正するよう構成され得る。ボイラ計算システムは、別法として、または追加的に、他の燃焼ボイラ10からも収集された、処理された測定データを使用して、燃焼ボイラ10の数値モデルを適合または校正するよう構成されてもよい。
【0116】
図5は、
図4に示される方法の修正形態を示している。工程L1、L3、L7、L9はそれぞれ、工程K1、K3、K9、K11と同じであるが、工程L5では、すべての伝熱面20
iについて、生成ガス係数df
iを直接計算することができる。すなわち、T
G,in,iを、それぞれの温度センサ21
iを使用して測定する場合には、逆算する必要がないため、
図5に示している方法では、工程K7を省略することができる。
【0117】
図6は、工程N1において、数値ボイラモデルへの、使用可能な入力を示している。工程N3では、Q
h,maxが、ボイラモデルを使用して数値的に計算され、工程N5では、推定された最大負荷Qh,maxが、特定のユーザインタフェース(UI:user interface)を介して、好ましくはディスプレイ/モニタ202を介して、ボイラ操作者に提示される。
【0118】
図7は、ボイラ瞬間負荷Q
h、および計算された現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、max、ならびに試験期間中に本発明による方法を使用した効果を示している。10日間の試験期間中、120MW
thのボイラ出力で、試験期間外より、平均で3~6MW
th大きい負荷が得られた。
図8は、10日間の試験期間をより詳細に示している。
【0119】
言い換えると、ボイラに適用される方法において、判定された、ボイラの動作パラメータを使用する、数値モデルを使用して、燃焼ボイラの現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxが推定される。現在のボイラ負荷Qhは、蒸気回路の測定データを使用して計算される。
【0120】
次いで、ボイラ負荷Qhが現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxよりも小さい場合、i)ボイラ負荷を増やしてもよいことをボイラ操作者に示し、および/またはii)ボイラ負荷を自動的に増加させる。別法として、または追加的に、ボイラ負荷Qhがボイラ最大瞬間負荷Qh,maxよりも大きい場合、i)ボイラ負荷がボイラ最大瞬間負荷を超えていることをボイラ操作者に示し、および/またはii)ボイラ負荷を自動的に低減させる。
【0121】
上記で、CFBおよびBFBにおける燃焼プロセスを参照しながら、本発明について説明してきた。本発明が、たとえばCFBおよびBFBガス化器にも同様に適用可能であることは明らかであり、その場合、排ガスの代わりに、必要に応じて使用するための、冷却された生成ガスが形成される。生成ガスは、当然のことながら、ガス化用途では、煙突を通って大気に放出されるのではなく、貯蔵されるか、または所望の別の処理部へ送出される。
【0122】
放熱反応器は、たとえば廃材ガス化器反応器、または炭素捕捉反応器であってもよい。
【0123】
このプロセスは、好適な場所に配置された反応器10への、少なくとも以下の、制御可能な投入流22、23を必要とする。
熱化学反応器、CaO(一般にアルカリ金属酸化物)水和
i.CaOなどの反応物投入、水和反応器
ii.H2O(蒸気)投入
iii.Ca(OH)2脱水反応器
iv.空気投入
廃棄物ガス化器反応器
i.燃焼プロセスと同様の対応する投入流
ii.COおよびH2、ならびに一部の主要でないガス化生成物
【0124】
本発明の別の実施形態によれば、反応器が、いわゆる炭素捕捉反応器である場合、互いに好適に連結された、流動床炭酸化器およびか焼器を備え、流動床炭酸化器およびか焼器は、
図1に示しているように、CFB反応器内に配置され得る。反応器は、CaOとの反応により、浄化されるべきガスからとりわけCO2を低減し(炭酸化器)、CaCO
3のか焼により、実質的に純粋なCO
2を生成する(か焼器)よう構成される。ガス流量の判定は、か焼器内で燃料が燃焼されていることを考慮すると、酸素および浄化されるべきガスのガス流量を含め、燃焼プロセスの場合と同じやり方で行うことができる。
【0125】
図9は、本発明の一実施形態による放熱反応器10を示している。放熱反応器は、たとえば、CaO(一般にアルカリ金属酸化物)水和反応器などの、熱化学反応器であり得る。反応器10は、壁13によって囲まれた反応器チャンバ12を備え、壁は、任意選択により、実際の用途に応じて、反応器チャンバ内で実施されるプロセスから熱を抜き取る、流体回路に連結された冷却壁であり得る。
【0126】
反応物は、反応物入口22を介して反応チャンバ12内に供給される。反応は、反応物供給入口22を制御することによって、また一般に、反応器10の放熱プロセスに関するプロセス変数を制御することによって、調整することができる。
【0127】
一般に生成ガスと呼ばれ得る反応生成物は、反応器チャンバ12からガス流路16に流れる。反応器10には、反応器チャンバ12に、少なくとも部分的に反応した固体材料用の出口22’も設けられ得る。ガス流路は、ここでは垂直通路として説明しているが、同様に、水平など、様々に設計されてもよい。生成ガスは、生成ガス流路から、単純な貯蔵器またはガス送出配管を備えてもよい、さらなる処理部19へ導かれる。
【0128】
生成ガス流路16は、いくつかの伝熱面21
i(I=1、2、3、・・・、k、ここでkは、伝熱面の数)を備える。
図9には、伝熱面21
1、21
2、21
3、・・・、21
k-1、21
kを示している。これらの構成要素のそれぞれにおける様々な伝熱面の実際の数は、たとえば、実際の必要性に応じて、反応器10ごとに様々に選択することができる。
【0129】
最後の伝熱面21kから出る生成ガスでは、出口温度TG,exitとなる。この温度は、温度センサ20kで測定される。
【0130】
一態様によれば、各伝熱面21iの前後の温度(それぞれTG,in,I、TG,in,i+1)は、それぞれの温度センサ20i(I=1、2、3、・・・、k-1、k)で測定することができる。
【0131】
しかし、別の態様によれば、これらの温度は、必ずしも測定する必要がないことが好ましい。排ガス出口温度TG,exitを知るだけで、十分であろう。前述の各伝熱面21iの前後の温度(TG,in,I、TFG,in,i+1)は、数値的に取得することができる。これについては、下記でさらに説明することにする。
【0132】
反応器10には、複数のセンサ40およびコンピュータユニットが装備されており、明確にするために、センサおよびコンピュータユニットの一部だけが提示されている。たとえば、反応器10の現在の実際の用途に応じて、反応器10内への反応物の流量の割合を判定するためのセンサ40、反応器10内の1つまたは複数の場所の温度を示すセンサ40、反応器内の圧力を示すセンサ40が存在してもよい。
【0133】
プロセスデータは、分散制御システム(DCS)201によってセンサから収集され得る。これは、
図1に関連して開示したものと同様であるが、燃焼ボイラネットワークは、当然のことながら、その代わりとして放熱ネットワークであり、対応するやり方で動作する。
【0134】
当業者には、技術の進歩に伴い、本発明の基本的な考え方を、多くの手法で実施できることが明らかである。本発明および本発明の実施形態は、したがって、上記で説明した例およびサンプルに限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその法的同等物の内容の範囲内で、変更することができる。
【0135】
上記で言及した特定の経験式を使用することに加えて、またはその代わりに、数値モデル計算において、人工知能ツールおよび/またはニューラルネットワークを利用することが可能である。
【0136】
以下の特許請求の範囲および本発明の前述の説明において、明示的な言い回しまたは必要な含意のために、文脈上別段の必要がある場合を除き、単語「comprise」または「comprises」もしくは「comprising」などの変形は、包括的な意味で使用される。すなわち、記載された特徴の存在を明示するために使用されるが、本発明の様々な実施形態における別の特徴の存在または追加を、排除するために使用されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成ガスを生成する放熱反応器を動作させる方法であって、
a)前記反応器の現在の負荷(Q
h)を監視する工程、
b)前記反応器の数値モデルを含む、現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が、許容条件を満たす、現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見する工程、および前記数値(Q
h,candidate)を、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)として選択する工程、
c)前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)を、操作者に示す工程、ならびに/あるいは、前記現在の負荷(Q
h)が、
c1)前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)よりも小さい場合に、
c1i)前記負荷(Q
h)が増加する可能性があることを、前記操作者に示す工程、および/もしくは
c1ii)前記負荷(Q
h)を、自動的に増加させる工程、
ならびに/または
c2)前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)よりも大きい場合に、
c2i)前記負荷(Q
h)が前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を超えていることを、前記操作者に示す工程、および/もしくは
c2ii)前記ボイラ負荷(Q
h)を、自動的に低減させる工程
を含む、方法。
【請求項2】
i)前記反応器の、前記現在監視されているプロセスデータが、
ia)ガス流路内の、現在の生成ガス出口温度(T
G,exit,current)と、
ib)前記生成ガス流路内の、伝熱面(i)ごとの熱負荷(Q
fluid,i)と
を含み、さらに
ii)ia)とib)との両方からの監視されているプロセスデータが、前記生成ガス係数を計算する際に使用され、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)に対する、前記数値(Q
h,candidate)を発見するときに使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応器の数値モデルを含む、現在監視されているプロセスデータを使用して計算される前記少なくとも1つの生成ガス係数(df
i)が、許容条件を満たさない場合、前記発見が、次の数値(Q
h,candidate)が自動的に選択されるように実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記次の数値(Q
h,candidate)が、繰り返し選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発見が、
- I:前記反応器の前記負荷が、前記数値(Q
h,candidate)と一致する場合に、計算上のモデルをもたらす、生成ガス出口温度(T
G,exit)の推定値を計算する工程、
- II:生成ガス質量流量(q
m,productgas)を計算する工程、
- III:前記ガス流れ経路内の伝熱面ごとの熱負荷(Q
fluid,i,candidate)を、数値上の反応器モデル、(Q
fluid,i,candidate=Q
fluid,i,current+Σα
j,i(Q
fluid,max)
j-Σα
j,i(Q
fluid,current)
j)を使用することによって補正される、前記伝熱面の現在の熱負荷(Q
fluid,i,current)を使って計算する工程、
- IV:前記生成ガス流路内の伝熱面ごとの前記計算された熱負荷(Q
fluid,i,candidate)を使用し、前記排ガス流路内の、生成ガスの流れの上流方向での前記生成ガス出口に最も近い前記伝熱面21
kから、前記生成ガス出口温度(T
fluegas,out,k=T
FG,exit)の前記推定値を使用して開始する、各伝熱面での生成ガス温度(T
G,in,i、T
G,out,i、i=1、・・・、k)を計算する工程、
- V:前記排ガス流路内の伝熱面ごとの前記生成ガス係数(df
i、i=1、・・・、k)を計算する工程
を実行することにより行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記排ガス係数が、下記式を含むかまたは下記式であり、
【数1】
ここで、k
iが、反応器固有に選択され得る、正の数である、非ゼロのパラメータであり、
q
m,productgasが、生成ガスの質量流量であり、
nが、反応器固有に選択され得る、正の非ゼロの数である、モデルパラメータであり、ρ
G,iが、i番目の伝熱面における生成ガス密度であり、Aが、i番目の伝熱面における排ガスチャネルの断面積である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
nが、
i)計算された生成ガス速度を使用する場合、0.9~1.1の範囲、
ii)腐食を引き起こす、計算された生成ガスを使用する場合、2.9~3.5の範囲、または
iii)前記生成ガスの流れの圧力損失を使用する場合、1.8~2.2の範囲
のうちの少なくとも1つであるよう選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記nの値が、時間の経過と共に変更される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記nの値が、少なくとも2台の別個の反応器を含む反応器群から、前記反応器のそれぞれについて監視される運用データを使用して判定される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
工程I)の前記計算において、前記排ガス出口温度が、実質的に、式
T
G,exit=α
0+Σα
j(Q
h,candidate)
j
または前記式の1次、2次、もしくは3次以上の近似式によって推定され、前記それぞれの係数(α
0、α
1、α
2、・・・)が、いくつかの個別の反応器負荷(Q
h)の値に対する、生成ガス出口温度(T
G,exit)の値を測定した後、当てはめによって事前に取得されている、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程II)において、生成ガス質量流量の計算には、生成ガス成分mの質量流量(q
m,G,m)が利用される、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程II)において、生成ガス質量流量の前記計算には、反応物パラメータを使用する工程が含まれる、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程b)が、前記反応器に対して遠隔で実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程b)が、前記反応器の現場でローカルに実行される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷がいずれも、リアルタイムでの測定によって得られ、フィルタリングによって処理され、平均化、傾向の計算、またはこれらの任意の組合せによって処理される、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記許容条件には、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)を変更する前に、所定の最小変更を必要とする、ヒステリシス条件が含まれる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記許容条件が、前記計算された少なくとも1つの生成ガス係数(df
i)の、それぞれの設計値に対する比較を含み、前記方法において、前記数値(Q
h,candidate)が、前記設計値を超えた場合に捨てられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記反応器が、循環流動床(CFB)反応器または気泡流動床(BFB)反応器であり、前記工程b)が、前記反応器内および/または前記生成ガスチャネル内の前記伝熱面に対して実行される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
- 生成ガス流れ経路を画定し、いくつかの伝熱面(21
i)を備える、反応器チャンバ(12)および関連する通路(15、16)と、
- 放熱反応器(10)の現在の負荷(Q
h)を監視する、測定機器と、
- 現在のプロセスデータを監視する、センサ(20、20
i、30、40、116、165、650)などの別の測定機器と、
- 請求項1~18のいずれか一項に記載の、前記放熱反応器を動作させる方法を実行するよう構成される、制御システム(CS 201、203、205)と
を具備する、放熱反応器。
【請求項20】
前記制御システム(CS)が、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を、フィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理するよう構成される、エッジサーバ(203)を備える、請求項19に記載の放熱反応器(10)。
【請求項21】
前記制御システムが、前記方法の工程b)を実行して、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)をローカルに判定するよう構成される、請求項19または20に記載の放熱反応器。
【請求項22】
前記制御システムが、前記方法の工程b)を実行して、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)を前記制御システムに返すよう構成される、遠隔コンピューティングシステムにデータを送信するよう構成される、請求項19または20に記載の
放熱反応器。
【請求項23】
前記エッジサーバが、前記遠隔コンピューティングシステムに渡される測定データの量を減らすよう構成される、請求項22に記載の
放熱反応器。
【請求項24】
- 請求項19~23のいずれか一項に記載の反応器(10)群であり、各反応器が、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、前記リアルタイムでの測定結果を、フィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理し、前記処理したリアルタイムでの測定結果を遠隔コンピューティングシステム(205)に送信するよう構成される、エッジサーバ(203)システムを備える、制御システム(DCS)を具備する、反応器(10)群、
- リアルタイムでの測定結果から処理されたデータを受信し、前記反応器(10)のそれぞれについて、数値モデルを使用してデータを計算し、前記反応器(10)のそれぞれに計算結果を返すよう構成される、遠隔コンピューティングシステム(205)
を具備する、反応器計算システムであって、さらに
前記制御システムが、前記計算結果に基づいて、前記反応器の機能を適合させるよう構成される、反応器計算システム。
【請求項25】
前記コンピューティングシステムが、前記反応器の数値モデルを含む、現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの生成ガス係数(df
i)が、許容条件を満たす、現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見し、前記数値(Q
h,candidate)を、前記現在の計算上の最大瞬間負荷(Q
h,max)として選択するよう構成される、
請求項24に記載の反応器計算システム。
【請求項26】
前記反応器計算システムが、放熱反応器(10)の処理された測定データを使用して、前記放熱反応器(10)の数値モデルを校正するよう構成される、請求項24または25に記載の反応器計算システム。
【請求項27】
前記反応器計算システムが、他の放熱反応器(10)からも収集された、処理された測定データを使用して、放熱反応器(10)の数値モデルを校正するよう構成される、請求項24~26のいずれか一項に記載の反応器計算システム。
【国際調査報告】