(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】水性表面処理組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20240905BHJP
C09D 183/08 20060101ALI20240905BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D183/08
C09D5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514431
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022042462
(87)【国際公開番号】W WO2023038857
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】デュソー,アン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ニン
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG121
4J038DG002
4J038DL082
4J038GA09
4J038MA10
4J038MA15
4J038NA03
4J038NA07
4J038NA09
4J038PC02
4J038PC04
4J038PC06
4J038PC08
4J038PC09
4J038PC10
(57)【要約】
本願では表面処理組成物が示され記述される。表面処理組成物はポリマーレジンおよびアミノシリコーン材料を含む水性組成物である。ポリマーレジンとアミノシリコーン材料はエマルジョンとして提供されてよい。アミノシリコーンを用いる本組成物は向上したスリップ、疎水性、および/または疎油性を示し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマーレジン;および
(b)式(I)の化合物:
MD
xD’
yM (I)
から選択されるアミノシリコーン材料を含む水性表面処理組成物であって:
ここで
M=R
1R
2
2SiO
1/2、
D=R
3
2SiO
2/2、および
D’=R
4R
5SiO
2/2、そして
式中R
1は12から約50の炭素原子を有するアルキル基;R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ独立して1から約20の炭素原子を有する置換または未置換の炭化水素基から選択され;R
5はアミノアルキル基またはジアミノアルキル基-R
6-NR
7R
8でありここでR
6は2から12の炭素原子を有する2価のアルキレン基、R
7はHまたは1から6の炭素原子を有するアルキル基、そしてR
8はH、1から6の炭素原子を有するアルキル基または-R
9NH
2でありここでR
9は2から12の炭素原子を有するアルキレン基;xは1から約2,000の値を有し;そしてyは1から約50の値を有する、水性表面処理組成物。
【請求項2】
R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ独立して、1から6の炭素原子を有する置換または未置換の炭化水素基から選択される、請求項1の水性表面処理組成物。
【請求項3】
R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ独立して、メチル、エチル、ブチル、またはヘキシルから選択される、請求項1の水性表面処理組成物。
【請求項4】
R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ独立して、C4~C20シクロアルキル基、アルコキシ基、およびC6~C20アリール基から選択される、請求項1の水性表面処理組成物。
【請求項5】
R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立して、アルキル基またはアリール基から選択される、請求項1の水性表面処理組成物。
【請求項6】
R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立して、メチルまたはフェニルから選択される、請求項1の水性表面処理組成物。
【請求項7】
式(I)の化合物のアミノシリコーン材料におけるR
5は3-アミノプロピル基および/またはN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である、請求項1から6のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項8】
R
1は約15から約20の炭素原子を含むアルキル基;R
2、R
3、およびR
4はメチル;そしてR
5はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である、請求項1の水性表面処理組成物。
【請求項9】
R
1は約30から約45の炭素原子を含むアルキル基;R
2、R
3、およびR
4 はメチル;そしてR
5はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である、請求項1の水性表面処理組成物。
【請求項10】
xの値は約10から約1,500、そしてyの値は約2から約40である、請求項1から11のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項11】
アミノシリコーンは25℃において約1,000から約5,000,000mPa・sの粘度を有する、請求項1から10のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項12】
アミノシリコーンは0.01から約0.3重量%の窒素含有量を有する、請求項1から11のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項13】
アミノシリコーン材料はアミノシリコーン材料および界面活性剤を含むアミノシリコーンエマルジョンである、請求項1から12のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項14】
界面活性剤はアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項13の水性表面処理組成物。
【請求項15】
ポリマーレジンは、アクリル樹脂、水系ポリウレタン樹脂、水系ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ビニル樹脂、炭水化物系水性ラテックス、タンパク質系水性ラテックス、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される、請求項1から14のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項16】
ポリマーレジンはポリマーレジンエマルジョンである、請求項1から15のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項17】
アミノシリコーン材料は組成物の合計重量に基づいて約0.01から約10重量%の量で存在する、請求項1から16のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項18】
アミノシリコーン材料は組成物の合計重量に基づいて約0.025から約0.5重量%の量で存在する、請求項1から16のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項19】
アミノシリコーン材料は組成物の合計重量に基づいて約1から約5重量%の量で存在する、請求項1から16のいずれかの水性表面処理組成物。
【請求項20】
表面を含む基材であって、ここで表面の少なくとも一部が請求項1から19のいずれかの水性表面処理組成物でコーティングされている基材。
【請求項21】
基材は木材系、石膏ボード、セメント、壁紙、予めコーティングされた表面、漆喰、皮革、プラスチック系表面、プラスチックフィルム、紙、板紙、または金属である、請求項20の基材。
【請求項22】
基材を処理するための方法であって、請求項1から19のいずれかの水性表面処理組成物を基材の表面の少なくとも一部に塗布することを含む方法。
【請求項23】
ポリマーレジン(a)およびアミノシリコーン材料(b)を混合することを含む、請求項1から20のいずれかの水性表面処理組成物の調製方法。
【請求項24】
ポリマーレジン(a)はエマルジョンであり、アミノシリコーン材料(b)はエマルジョンであり、これらのエマルジョンが一緒に混合される、請求項23の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は2021年9月8日に出願された「水性表面処理組成物」と題する米国仮出願63/241,573号の優先権および利益を主張し、その開示内容の全体は参照によって本願に取り入れられる。
【0002】
本発明は水性表面処理組成物に関する。特に、本発明はアミノシリコーンを含む水性表面処理組成物、それによって形成された表面処理剤およびコーティング、並びにこれを使用した表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水系コーティングは、揮発性有機溶媒を用い得る溶剤系と比較して環境的に好ましいプロフィールであることから、興味深い。しかしながら溶剤系コーティングは、水系コーティングと比較して良好な性能および耐久性を示す傾向がある。水系コーティングの性能を改善するための1つの手法は、ベースとなる樹脂の設計を改変することである。
【0004】
水系コーティングの性能を改善するための別の手法は、水系の樹脂と協働または相乗的に作用する添加剤を用いることである。シリコーンは硬質表面を処理するためにコーティングに使用されている。硬質表面用のコーティングは典型的には溶剤ベースの系である。水ベースの系においてシリコーンを使用することは一般に、溶剤ベースの系におけるよりも困難である。典型的なシリコーンは、シリコーンを水系の樹脂と相溶性とするために、多量の界面活性剤を使用することを必要としうる。しかしながら多量の界面活性剤を使用することは、水の弾性を低減させ、またはコーティングからの界面活性剤の浸出を導きうる。シリコーンポリエーテルはアクリルラテックスと良好な相溶性を有し、またコーティングのスリップを増大させうるが、シリコーンポリエーテルは耐久性および疎水性が限定されている。シリコーンゴム(例えば、ポリジメチルシロキサン)は、非常に低い濃度でスリップを増大させることができる。しかしながらシリコーンゴムは、フィルムにクレーターその他の欠陥を生じがちであり、また高濃度で使用される場合には撥水性を増大させるように使用することは困難である。加えて、シリコーン添加剤の使用は、コーティングの仕上げ、例えば光沢仕上げやマット仕上げに大きな影響を及ぼさないことが好ましい。したがって、特に高濃度で使用される場合に欠陥を生じたり、例えば光沢といった性質に大きな影響を及ぼしたりすることなしに、耐久性および疎水性といった改善された性質を有する、シリコーン系の水性表面処理組成物に対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【0005】
以下に示されるのは本開示の概要であり、幾つかの実施態様の基本的な理解がもたらされる。この概要は、重要なまたは必須の要素を特定することは意図しておらず、また実施形態や特許請求の範囲に対する何らかの限定を規定するものでもない。さらにまた、この概要は幾つかの実施態様の単純化された概説を提示するものであってよく、それらは本開示の他の部分において詳細に説明されてよい。
【0006】
提供されるのは水性表面処理組成物である。この水性表面処理組成物は、ポリマーレジンおよびアミノシリコーン材料を含んでいる。アミノシリコーン材料を含有すると、例えば疎水性、疎油性、および/またはスリップといった、表面処理組成物の1つまたはより多くの性質が向上されることが見出されている。加えて、アミノシリコーンの含有は、欠陥やクレーターといった何らかの重大な負の性質に寄与したりまたは生じたりしないように見受けられる。アミノシリコーンの使用はまた、光沢に対して何らかの大きな影響を有するものではなく、例えばアミノシリコーンの含有は、光沢を大きく減少または増大させるものではない。
【0007】
1つの実施態様において提供されるのは、(a)ポリマーレジン;および(b)式(I)の化合物:
MDxD’yM (I)
から選択されるアミノシリコーン材料を含む水性表面処理組成物であり:
ここで
M=R1R2
2SiO1/2、
D=R3
2SiO2/2、および
D’=R4R5SiO2/2、そして
式中R1は12から約50の炭素原子を有するアルキル基;R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1から約20の炭素原子を有する置換または未置換の炭化水素基から選択され;R5はアミノアルキル基またはジアミノアルキル基-R6-NR7R8でありここでR6は2から12の炭素原子を有する2価のアルキレン基、R7はHまたは1から6の炭素原子を有するアルキル基、そしてR8はH、1から6の炭素原子を有するアルキル基または-R9NH2でありここでR9は2から12の炭素原子を有するアルキレン基;xは1から約2,000の値を有し;そしてyは1から約50の値を有する。
【0008】
1つの実施形態において、R2、R3、およびR4 はそれぞれ独立して、1から6の炭素原子を有する置換または未置換の炭化水素基から選択される。
【0009】
1つの実施形態において、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して、メチル、エチル、ブチル、またはヘキシルから選択される。
【0010】
1つの実施形態において、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して、C4~C20シクロアルキル基、アルコキシ基、およびC6~C20アリール基から選択される。
【0011】
1つの実施形態において、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して、アルキル基またはアリール基から選択される。
【0012】
1つの実施形態において、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して、メチルまたはフェニルから選択される。
【0013】
上記の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、式(I)の化合物のアミノシリコーン材料におけるR5は3-アミノプロピル基および/またはN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である。
【0014】
1つの実施形態において、R1は約15から約20の炭素原子を含むアルキル基;R2、R3、およびR4はメチル;そしてR5はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である。
【0015】
1つの実施形態において、R1は約30から約45の炭素原子を含むアルキル基;R2、R3、およびR4はメチル;そしてR5はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である。
【0016】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、xの値は約10から約1,500、そしてyの値は約2から約40である。
【0017】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、アミノシリコーンは25℃において約1,000から約5,000,000mPa・sの粘度を有する。
【0018】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、アミノシリコーンは0.01から約0.3重量%の窒素含有量を有する。
【0019】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、アミノシリコーン材料はアミノシリコーン材料と界面活性剤を含むアミノシリコーンエマルジョンである。1つの実施形態において、界面活性剤はアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0020】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポリマーレジンは、アクリル樹脂、水系ポリウレタン樹脂、水系ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ビニル樹脂、炭水化物系水性ラテックス、タンパク質系水性ラテックス、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0021】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、ポリマーレジンはポリマーレジンエマルジョンである。
【0022】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、アミノシリコーン材料は組成物の合計重量に基づいて約0.01から約10重量%の量で存在する。
【0023】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、アミノシリコーン材料は組成物の合計重量に基づいて約0.025から約0.5重量%の量で存在する。
【0024】
先の実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、アミノシリコーン材料は組成物の合計重量に基づいて約1から約5重量%の量で存在する。
【0025】
別の実施態様において提供されるのは、表面を含む基材であり、ここで表面の少なくとも一部は先の実施態様または実施形態のいずれかの水性表面処理組成物でコーティングされている。
【0026】
1つの実施形態において、基材は木材系、石膏ボード、セメント、壁紙、予めコーティングされた表面、漆喰、皮革、プラスチック系表面、プラスチックフィルム、紙、板紙、または金属である。
【0027】
さらに別の実施態様において提供されるのは、基材を処理するための方法であって、先の実施態様または実施形態のいずれかの水性表面処理組成物を基材の表面の少なくとも一部に塗布することを含んでいる。
【0028】
さらにべつの実施態様において提供されるのは、先の実施態様または実施形態のいずれかの水性表面処理組成物を調製するための方法であって、ポリマーレジン(a)およびアミノシリコーン材料(b)を混合することを含んでいる。
【0029】
1つの実施形態において、ポリマーレジン(a)はエマルジョンであり、そしてアミノシリコーン材料(b)はエマルジョンであり、これらのエマルジョンが一緒に混合される。
【0030】
以下の記載および図面は種々の例示的な側面を開示する。幾つかの改善点および新規な側面は明示的に特定されていてよいが、その他は記載および図面から明らかなものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1は比較例塗料で塗装され、界面活性剤浸出試験を行ったパネルの写真である。
【0032】
図2は比較例塗料で塗装され、界面活性剤浸出試験を行ったパネルの写真である。
【0033】
図3は本件技術による実施例塗料で塗装され、界面活性剤浸出試験を行ったパネルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に例示的な実施態様および実施形態を参照すると、その例は本件の記載において説明されている。理解されるように、他の実施形態も利用してよく、構造的および機能的な変更も行ってよい。さらにまた、種々の実施形態の特徴を組み合わせまたは変更してよい。よって、以下の記載は単に例示として提示されており、例示した実施形態に対して行ってよい種々の代替や修正をいかなる仕方でも限定するものではない。本開示においては、幾つもの具体的な詳細事項が、開示された主題の完全な理解をもたらす。本開示の実施態様は、本願その他に記載されたすべての側面を必ずしも含まない他の実施形態で実施されてよいことが理解されねばならない。
【0035】
本願で使用するところでは、「例」および「例示」という用語は、実例または説明を意味している。「例」または「例示」という用語は、必須のまたは好ましい実施態様または実施形態を示すものではない。「または」という用語は、文脈が異なる示唆をしていない限り、排他的ではなく包括的であることを意図したものである。例えば、「AはBまたはCを用いる」という言い方は、任意の包括的な置き換え(例えば、AはBを用いる;AはCを用いる;またはAはBおよびCの両者を用いる)を含んでいる。別の事項として、「ひとつの」および「ある」という冠詞は一般に、文脈が異なる示唆をしていない限り、「1つのまたはより多く」を意味することが意図されている。
【0036】
提供されるのは水性表面処理組成物である。この水性表面処理組成物はポリマーレジンおよびアミノシリコーン材料を含んでいる。アミノシリコーン材料を含むことは、例えば疎水性、疎油性、および/またはスリップといった表面処理組成物の1つまたはより多くの性質を向上させることが見出されている。加えて、アミノシリコーンを含むことは、欠陥またはクレーターといった何らかの負の性質に寄与したりまたは生じたりしないように見受けられる。
【0037】
水性表面処理組成物はアミノシリコーン材料を含む。1つの実施形態において、アミノシリコーンはケイ素原子に結合したアミノ基およびケイ素原子に結合した長鎖アルキル基を含んでいる。長鎖アルキル基は一般に、鎖中に12またはより多くの炭素原子を含んでいる。アミノ基はアミノアルキル基またはジアミノアルキル基その他から選択することができる。
【0038】
アミノシリコーンは1つの実施形態において、式(I)のアミノシリコーンであり:
MDxD’yM (I)
ここで
M=R1R2
2SiO1/2、
D=R3
2SiO2/2、および
D’=R4R5SiO2/2、そして
式中R1は12から約50の炭素原子を有するアルキル基;R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1から約20の炭素原子を有する置換または未置換の炭化水素基から選択され;R5はアミノアルキル基またはジアミノアルキル基-R6-NR7R8でありここでR6は2から12の炭素原子を有する2価のアルキレン基、R7はHまたは1から6の炭素原子を有するアルキル基、そしてR8はH、1から6の炭素原子を有するアルキル基または-R9NH2でありここでR9は2から12の炭素原子を有するアルキレン基;xは1から約2,000の値を有し;そしてyは1から約50の値を有する。
【0039】
式(I)のアミノシリコーンにおいて、R1は12から約50の炭素原子を有するアルキル基であり、直鎖または分岐鎖であってよい。1つの実施形態において、R1は14から約50の炭素原子、約16から約45の炭素原子、約20から約40の炭素原子、または約25から約35の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基である。1つの実施形態において、R1は約15から約20の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキル基である。1つの他の実施形態において、R1は約30から約45の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキル基である。
【0040】
アミノシリコーン(I)において、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して、1から20の炭素原子を有する置換または未置換の炭化水素基から選択される。1つの実施形態において、未置換または置換炭化水素基は、C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、C4~C20シクロアルキル、およびC6~C20アリールから選択される。未置換炭化水素基の非限定的な例には、限定するものではないが、メチル、エチル、ブチル、またはヘキシルのような直鎖または分岐鎖アルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはブトキシのようなアルコキシ基;フェニル、トリル、またはナフチルのようなアリール基;ベンジル、β-フェニルエチル、またはメチルベンジルのようなアラルキル基;ビニルまたはアリルのようなアルケニル基、およびその他が含まれる。置換アルキル基の例には例えば、限定するものではないが、3,3,3-トリフルオロプロピルのようなフルオロアルキル基、およびその他が含まれる。1つの実施形態において、R2はアルキル基またはアリール基から選択される。1つの実施形態において、R2はメチルまたはフェニルである。
【0041】
1つの実施形態において、アミノシリコーン(I)におけるR5は3-アミノプロピル基および/またはN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である。
【0042】
1つの具体的な実施形態において、R1は約15から約20の炭素原子を含むアルキル基、R2、R3、およびR4はメチル、そしてR5はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である。
【0043】
別の具体的な実施形態において、R1は約30から約45の炭素原子を含むアルキル基、R2、R3、およびR4はメチル、そしてR5はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である。
【0044】
アミノシリコーン(I)において、xの値は1から約2,000、約10から約1,500、より好ましくは約50から約1500、約100から約1250、そしてさらには約500から約1,000の範囲内にある。アミノシリコーン(I)において、yの値は1から約50、2から約40、5から約30、10から約25、または15から約20の範囲内にある。
【0045】
アミノシリコーン(I)は一般に、約1,000から約5,000,000mPa・s、約2,000から約4,000,000mPa・s、約5,000から約3,000,000mPa・s、約10,000から約2,000,000mPa・s、約25,000から約1,000,000mPa・s、または約50,000から約500,000mPa・sの粘度を有する。この粘度はブルックフィールド粘度計LVDV上で、スピンドル#4、0.3rpmで25℃において測定することができる。
【0046】
アミノシリコーン(I)は0.01から約0.3重量%、約0.05から約0.25重量%、または約0.1から約0.2重量%の窒素含有量を有する。窒素含有量はポリマーの重量当たりの窒素の重量を指しており、重量%で表現される。アミノシリコーンのアミノ含有量が高ければ、アミノシリコーンから導かれる利点は低減され、またはコーティングに悪影響を与え得る。
【0047】
アミノシリコーンは水性表面処理組成物中にエマルジョンとして提供されてよい。すなわち1つの実施形態において、アミノシリコーンは乳化されてエマルジョンとなり、次いでポリマーレジンエマルジョンとブレンドされて、コーティング組成物が形成される。
【0048】
アミノシリコーンを含むエマルジョンは、エマルジョンを形成するための任意の適切な方法によって調製可能であり、それには限定するものではないが、コロイドミル、ラインミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザーのような乳化機、またはアンカーミキサーとホモミキサー、或いはアンカーミキサーとディスパミキサーを有する一体化乳化機を使用することが含まれる。
【0049】
エマルジョンの調製においては、界面活性剤と水が使用される。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、および両性界面活性剤のいずれかが使用されてよく、そしてこれらは単独でまたは2つまたはより多くの組み合わせとして使用されてよい。
【0050】
適切なアニオン界面活性剤の例には、限定するものではないが、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、テトラデセンスルホン酸、ヒドロキシテトラデセンスルホン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩その他、並びにこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。
【0051】
適切なカチオン界面活性剤の例には、限定するものではないが、ラウリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジステアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ジココジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびその他、或いはこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。他の適切なカチオン界面活性剤には、ベヘンアミドプロピルジメチルアミンまたは長鎖アルキル系のエステルクォートのようなアミドアミン誘導体、例えばベヘノイルPGトリモニウムクロリドが含まれる。
【0052】
適切なノニオン界面活性剤の例には、限定するものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、高分子量飽和脂肪族アルコール系のポリオキシエチレンアルコールおよびその他、並びにこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。他の適切なノニオン界面活性剤はアルキルポリグルコシドである。
【0053】
両性界面活性剤の例には、限定するものではないが、ラウリルアミンオキシド、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、およびその他が含まれる。
【0054】
ノニオン界面活性剤の幾つかの具体的な例には、限定するものではないが、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(18)ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート(EO14)、ポリエチレングリコールジステアレート(EO80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン(40)ソルビタンテトラオレエート、ポリオキシエチレン(15)グリセリルモノオレエート、ポリオキシエチレン(15)グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)フィトステロール、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(8)ステアリルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸ナトリウム、セテアレス-n化合物、およびその他、並びにこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。得られるエマルジョンの安定性が良好であることから、ノニオン界面活性剤の中で、HLB値が6から20であるものが好ましく使用される。
【0055】
界面活性剤は一般に、エマルジョン全体の約1から約40重量%、約2から約20重量%、約3から約15重量%、または約5から約10重量%の範囲内で提供される。約1重量%未満で使用された場合は、それぞれの成分を十分に分散させることが困難であり、また約40重量%を超えて使用された場合には、エマルジョンの安定性が低下する。水は分散媒として提供され、そして一般に、エマルジョン全体の約20から約90重量%、より好ましくはエマルジョン全体の約30から約80重量%の範囲内にある。
【0056】
乳化時には、アミノ部分を酸で中和することにより、エマルジョンの安定性を向上させることができる。そのときに使用される酸は、酢酸、乳酸、またはグリコール酸のような有機酸、および塩酸、硫酸、またはリン酸のような無機酸を含んでいる。
【0057】
表面処理組成物において、アミノシリコーンは組成物の合計重量に基づいて、約0.01から約10重量%、約0.025から約7.5重量%、約0.05から約5重量%、約0.1から約2.5重量%、または約0.5から約1重量%の量で提供される。1つの実施形態において、アミノシリコーンは組成物の合計重量に基づいて、約0.025から約0.5重量%、約0.05から約0.3重量%、または約0.1から約0.2重量%の量で提供される。別の実施形態においては、アミノシリコーンは組成物の合計重量に基づいて、約1から約5重量%、約1.5から約4重量%、または約2から約3重量%の量で提供される。
【0058】
ポリマーレジンは特に限定されるものではなく、特定の目的や意図する用途に関して所望に応じて選択可能である。ポリマーレジンは水系ポリマーレジンである。適切なポリマーレジンの例には、限定するものではないが、アクリル樹脂、水系ポリウレタン樹脂、水系ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ビニル樹脂、炭水化物系水性ラテックス、タンパク質系水性ラテックス、およびその他が含まれる。
【0059】
実施形態においては、ポリマーレジンは、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを水中で、界面活性剤と水溶性開始剤を使用して乳化重合により形成したラテックスポリマーを含んでいる。典型的なエチレン性不飽和モノマーには、限定するものではないが、ビニルモノマー、アクリルモノマー、アクリレートモノマー、メタクリルモノマー、メタクリレートモノマー、酸官能性モノマー、アリル系モノマー、およびアクリルアミドモノマー、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。建築用途に特に適した実施形態においては、水系有機樹脂(単数または複数)は、ビニルモノマーおよび/またはアクリルモノマーから形成されてよい。適切なビニルモノマーには、限定するものではないが、ビニルエステル、ビニル芳香族系炭化水素、ビニル脂肪族系炭化水素、ビニルアルキルエーテル、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。使用されてよいビニルエステルの例には、限定するものではないが、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニルノナノエート、ビニルデカノエート、ビニルネオデカノエート、ビニルブチラート、ビニルベンゾエート、ビニルイソプロピルアセテート、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。使用されてよいビニル芳香族系炭化水素の例には、限定するものではないが、スチレン、メチルスチレンおよびその他の低級アルキルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。使用されてよいビニル脂肪族系炭化水素の例には、限定するものではないが、ビニルクロリドおよびビニリデンクロリド、並びにエチレン、プロピレン、イソブチレン、ヘキシレン、およびオクチレンのようなアルファオレフィン、さらには限定するものではないが1,3-ブタジエン、メチル-2-ブタジエン、1,3-ピペリレン、2,3-ジメチルブタジエン、イソプレン、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、およびジシクロペンタジエンのような共役ジエン、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。使用されてよいビニルアルキルエーテルの例には、限定するものではないが、メチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、およびイソブチルビニルエーテル、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。本発明において使用するのに適したアクリルモノマーには、限定するものではないが、アルキルアクリレート、アクリル酸、並びにアクリル酸の芳香族誘導体、アクリルアミド、およびアクリロニトリルのようなアクリル官能性を有する任意の化合物、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。本発明において使用するのに適したメタクリルモノマーには、限定するものではないが、アルキルメタクリレート、メタクリル酸、並びにメタクリル酸の芳香族誘導体、メタクリルアミドのようなメタクリル官能性を有する任意の化合物、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。典型的には、アルキルアクリレートモノマー(本願ではまた「アクリル酸のアルキルエステル」とも言う)およびメタクリレートモノマー(本願ではまた「メタクリル酸のアルキルエステル」とも言う)は、1から12、好ましくは約1から5の炭素原子を分子当たりに含むアルキル基を有する。
【0060】
適切なアクリルモノマーには、限定するものではないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、およびネオペンチルアクリレート、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。アリールアクリレートモノマーには、限定するものではないが、フェニルアクリレートおよびトリルアクリレート、またはこれらの混合物が含まれる。アラルキルアクリレートモノマーには、限定するものではないが、ベンジルアクリレートおよびフェネチルアクリレート、またはこれらの混合物が含まれる。シクロアルキルアクリレートモノマーには、限定するものではないが、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、1-アダマンチルアクリレート、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。アクリル酸と反応したブチル、フェニル、およびクレシルグリシジルエーテルのような種々の反応生成物、ヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシプロピルアクリレートのようなヒドロキシルアルキルアクリレート、アミノアクリレート、並びにアクリル酸、メタクリル酸、アルファクロロアクリル酸、アルファシアノアクリル酸、クロトン酸、ベータアクリルオキシプロピオン酸、およびベータスチリルアクリル酸のようなアクリル酸、またはこれらの2つまたはより多くの混合物を、モノマーとして使用することができる。
【0061】
適切なメタクリルモノマーには、限定するものではないが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、およびネオペンチルメタクリレート、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。アリールメタクリレートモノマーには、フェニルメタクリレートおよびトリルメタクリレート、またはこれらの混合物が含まれる。アラルキルメタクリレートモノマーには、ベンジルメタクリレートおよびフェネチルメタクリレート、またはこれらの混合物が含まれる。シクロアルキルメタクリレートモノマーには、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、1-アダマンチルメタクリレート、またはこれらの2つまたはより多くの混合物が含まれる。メタクリル酸と反応したブチル、フェニル、およびクレシルグリシジルエーテルのような種々の反応生成物、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレートのようなヒドロキシルアルキルメタクリレート、アミノメタクリレート、並びにメタクリル酸、およびベータスチリルメタクリル酸のようなメタクリル酸、またはこれらの2つまたはより多くの混合物を、モノマーとして使用することができる。
【0062】
ポリマーレジンエマルジョンは、ラテックスポリマーを処方するために使用される任意の周知のフリーラジカル乳化重合技術を使用して調製されてよい。本願において使用するのに適した重合技術は、米国特許第5,486,576号に教示されており、これはその全体を参照によって本願に取り入れるものとする。
【0063】
1つの実施形態において、ポリマーレジンエマルジョンはラテックスポリマーエマルジョンである。在来のラテックスエマルジョンには、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを水中で、界面活性剤と水溶性開始剤を使用して重合により調製したエマルジョンが含まれる。典型的なエチレン性不飽和モノマーには、ビニルモノマー、アクリルモノマー、アリルモノマー、アクリルアミドモノマー、並びに不飽和モノおよびジカルボン酸が含まれる。適切なビニルエステルには、限定するものではないが、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチラート、ビニルイソプロピルアセテート、ビニルネオデカノエート、および類似のビニルエステル;ビニルクロリド、ビニルフルオライド、およびビニリデンクロリドを含むビニルハライド;スチレン、アルファメチルスチレン、および類似の低級アルキルスチレンを含むビニル芳香族系炭化水素が含まれる。適切なアクリルモノマーには、1から12の炭素原子を含むアルキルエステル部分を有するアクリル酸またはメタクリル酸の低級アルキルエステル、並びにアクリル酸またはメタクリル酸の芳香族誘導体のようなモノマーが含まれる。有用なアクリルモノマーには、限定するものではないが、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸、メチルアクリレートおよびメタクリレート、エチルアクリレートおよびメタクリレート、ブチルアクリレートおよびメタクリレート、プロピルアクリレートおよびメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびメタクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびメタクリレート、デシルアクリレートおよびメタクリレート、イソデシルアクリレートおよびメタクリレート、並びにベンジルアクリレートおよびメタクリレートが含まれる。
【0064】
他の有用なポリマーレジンエマルジョンには、限定するものではないが、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、およびエポキシエマルジョンが含まれる。
【0065】
ある実施形態において、ポリマーレジンエマルジョンは、約25から99重量%の水および約1から約75重量%の有機レジンおよび界面活性剤、約30から約75重量%の水および約25から約70重量%の有機レジンおよび界面活性剤、または約40から60重量%の水および約40から約60重量%の有機レジンおよび界面活性剤を含み、ここで重量%は有機レジン、界面活性剤、および水の合計重量に基づいている。
【0066】
この水性組成物は、表面処理組成物に対して所望の性質または効果を付与するために1つまたはより多くの任意選択的な添加剤を含有してよい。適切な添加剤の例には、限定するものではないが、フィラー(無機フィラー、有機フィラー)、顔料、湿潤剤、分散剤、レオロジー改質剤、保存剤、UV安定剤、消泡剤、凝集剤、架橋剤、pH調節剤(塩基または酸)、緩衝剤、ワックス、天然ワックスまたは合成ワックスのような疎水化剤が含まれる。組成物は、ナノ粒子、ナノサイズの酸化チタン、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、炭素質ナノサイズフィラー(カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン)、セルロースナノ結晶または他のセルロースナノ粒子を含有することができる。
【0067】
フィラーは組成物の合計重量に基づいて0から約80重量%、約0.1重量%から約80重量%、約0.5から約50重量%、または約1から約25重量%の量で提供されてよい。
【0068】
顔料は組成物の合計重量に基づいて0から約80重量%、約0.1重量%から約80重量%、約0.5から約50重量%、または約1から約25重量%の量で提供されてよい。
【0069】
湿潤剤は組成物の合計重量に基づいて0から約5重量%、約0.01重量%から約5重量%、約0.05から約2.5重量%、または約0.1から約1重量%の量で提供されてよい。
【0070】
分散剤は組成物の合計重量に基づいて0から約5重量%、約0.01重量%から約5重量%、約0.05から約2.5重量%、または約0.1から約1重量%の量で提供されてよい。
【0071】
レオロジー改質剤は組成物の合計重量に基づいて0から約10重量%、約0.01重量%から約10重量%、約0.1から約5重量%、または約0.5から約2.5重量%の量で提供されてよい。
【0072】
保存剤は組成物の合計重量に基づいて0から約3重量%、約0.001重量%から約3重量%、約0.01から約2重量%、または約0.1から約1重量%の量で提供されてよい。
【0073】
UV安定剤は組成物の合計重量に基づいて0から約5重量%、約0.001重量%から約5重量%、約0.01から約2.5重量%、または約0.1から約1重量%の量で提供されてよい。
【0074】
消泡剤は組成物の合計重量に基づいて0から約3重量%、約0.01重量%から約3重量%、約0.05から約2重量%、または約0.1から約1重量%の量で提供されてよい。
【0075】
凝集剤は組成物の合計重量に基づいて0から約20重量%、約0.01重量%から約20重量%、約0.1から約15重量%、または約1から約10重量%の量で提供されてよい。
【0076】
架橋剤は組成物の合計重量に基づいて0から約5重量%、約0.005重量%から約5重量%、約0.05から約2.5重量%、または約0.5から約1重量%の量で提供されてよい。
【0077】
pH調節剤(塩基または酸)は組成物の合計重量に基づいて0から約5重量%、約0.01重量%から約5重量%、約0.1から約2.5重量%、または約0.5から約1重量%の量で提供されてよい。
【0078】
緩衝剤は組成物の合計重量に基づいて0から約5重量%、約0.01重量%から約5重量%、約0.1から約2.5重量%、または約0.5から約1重量%の量で提供されてよい。
【0079】
疎水化剤は組成物の合計重量に基づいて0から約10重量%、約0.1重量%から約10重量%、約0.5から約5重量%、または約1から約2.5重量%の量で提供されてよい。
【0080】
ナノ粒子は組成物の合計重量に基づいて0から約50重量%、約0.1重量%から約50重量%、約1から約25重量%、または約5から約10重量%の量で提供されてよい。
【0081】
この組成物はアミノシリコーンエマルジョンをポリマーレジンエマルジョンと、コーティングに所望とされ得る任意の他の添加剤と共に混合することによって調製することができる。
【0082】
この発明の表面処理組成物は、殆どの任意選択的な塗布技術または工具を使用して、基材の所望の表面または表面の一部に塗布することができる。組成物は、スプレー技術、繊維系のローラーでの刷毛塗り、ロールコーティング装置の使用、およびその他により塗布することができる。表面処理組成物は、幾つもの異なる処理用途において提供され、または用いられてよい。例えば組成物は、コーティング(例えば、塗料として、保護コーティングとして、その他)、接着剤、シーラント、およびその他として用途を見出してよい。本発明の組成物を適用可能な基材には、木材系基材、ドライウォール、石膏ボード、セメント、コンクリート、壁紙、予めコーティングされた表面、漆喰、皮革、プラスチック系表面、プラスチックフィルム、ポリオレフィン系基材、紙、板紙、金属、ガラス、セラミック、タイル、石、積層体、複合体材料およびその他が含まれる。この組成物は内装用途に用いるのに適しているが、外装用途もまた考慮対象である。コーティングは、限定するものではないが、建築用途、自動車用途、電子用途、木材用途、海洋用途、包装用途、コイル用途、およびその他を含む、種々の用途に使用することができる。
【0083】
本技術の態様は、以下の実施例を参照してさらに理解され得る。これらの実施例は主として本技術の態様を説明する目的のものであり、本技術を実施例によって説明された特定の具体例に限定することを意図したものではない。
【0084】
実施例
【0085】
塗料の調製:塗料組成物は、文献記載の標準的な混合技術で調製された(有機コーティング:科学と技術、Z.Wicks、F.JonesおよびP.Pappas編、Wiley-Interscience出版、1998年、31章、建築用コーティング、これは全体を参照によって本願に取り入れる)。
【0086】
コーティング試料の調製:塗料はガラススライドまたはスチールプレート上に、75マイクロメートルのギャップを有するバード型アプリケーターを用いて塗布され、室温で一週間乾燥された。プレートおよびスチールプレートは、塗料の塗布に先立って、IPAで清浄化された。
【0087】
静的水接触角:水の接触角はVCA Optima装置を用いて測定した。4マイクロリットルのミリポア水の液滴をハミルトン社製のシリンジによって生成し、塗料コーティング上に付着させた。接触後の液滴をキャプチャーするために動画を記録した。報告された接触角は、3つの液滴の接触角の平均である。
【0088】
動摩擦係数:動摩擦係数はCSM社製の摩擦摩耗試験機を使用し、振幅0.5mmの直動往復ストロークを用いて、ステンレススチール製のボール(直径5mm)、荷重2N、および摺動速度1cm/秒で測定した。
【0089】
動的接触角:水の動的接触角および油の動的接触角はサーモフィッシャー社製のCahn DCA322マイクロバランスで測定した。塗料はスポンジアプリケーターを用いて、1インチ×1.5インチの矩形サイズに切断したレネータ社製の黒色スクラブテストパネルの両面に塗布された。塗料の乾燥膜厚はほぼ50マイクロメートルであった。試料を浸漬する速度および合計の深さは、それぞれ80マイクロメートル/秒および8mmであった。白金のウィルヘルミープレートを用いて水の動的接触角を測定する前の水の初期表面張力は72mN/mに等しかった。塗料試料の浸漬および引き上げの後に、試料の浸漬後の水の表面張力を測定して、界面活性剤または表面活性材料の水中への浸出を定量した。油の接触角について使用した油は、カーギル社製の大豆油Agri-Pure25であった。大豆油の表面張力は33mN/mであった。
【0090】
クレーターの形成は視覚的に評価した。
【0091】
実施例I:水性アクリル塗料
【0092】
水性塗料組成物を表1に示す。Hydroplat WE3111はBASF社製の湿潤剤である。Dispex CX4230、Dispex AA4144は、BASF社製の分散剤である。Foamstar ST2438、Foamstar ST2420は、BASF社製の消泡剤である。Rheovis PU1191、Rheovis PU1331は、BASF社製の高分子レオロジー改質剤である。Attagel 50はクレイ系のレオロジー改質剤である。酸化チタン顔料Ti-Pure R902およびR746はデュポン社製である。Minex-7はユニミン・スペシャルティ・ミネラルズ社製である。Texanolはイーストマン社製の凝集剤である。Proxel BD20はロンザ社製の保存剤である。Acronal 4230PLUSはBASF社製の最低造膜温度6℃で固形分60%のオールアクリルラテックスである。
【0093】
比較例のシリコーンエマルジョンは、ジメチコノールシリコーンゴムエマルジョンの50%固形分のエマルジョンであり、乳化重合によって製造され、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリルエーテル硫酸ナトリウムで安定化されており、このシリコーンゴムの粘度は350,000から700,000mPa・sの範囲にある。この粘度はブルックフィールド粘度計LVDV上でスピンドル#4を用い、0.3rpmで25℃において測定された。
【0094】
シリコーンエマルジョンAはアルキルアミノシリコーンの45%重量%固形分のエマルジョンであり、ノニオン界面活性剤によって安定化されている。このアルキルアミノシリコーンは両末端において変性されており、式(I)によって表され、式中xは650、yは3.5、R1は16から18の炭素原子を有するアルキル基、R2、R3、およびR4はそれぞれメチル、そしてR5はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である。このアミノシリコーンは、セテアレス-7およびセテアレス-21から選択されるノニオン界面活性剤の混合物で乳化された。このアミノシリコーンは約5000から約20,000mPa・sの粘度を有していた。この粘度はブルックフィールド粘度計LVDV上で、スピンドル#4を用いて30rpmで測定された。
【0095】
【0096】
アルキル末端アミノシリコーンは、シリコーンゴムエマルジョンと比較して、増大した疎水性を提供する。3重量%の濃度において、アルキル末端アミノシリコーンエマルジョンは、膜の欠陥を生成したり光沢に著しい影響を及ぼしたりすることなしに、摩擦の低減および疎水性の増大の両者をもたらす。
【0097】
実施例II:透明アクリルコーティング
【0098】
表2に示すアクリル組成物をバード型アプリケーターを用いてガラススライド上に塗布し、室温で一週間乾燥した。Rhoplex AC261はダウ社製のオールアクリルラテックスであり、最低造膜温度は16℃である。コロイダルシリカNalco1050は20nmの粒径を有する。シリコーンエマルジョンAおよび比較例のエマルジョンは実施例Iに記載している。
【0099】
【0100】
アルキル末端アミノシリコーンは、比較エマルジョンと対比して、増大した疎水性をもたらす。0.3重量%の濃度においてすら、シリコーンエマルジョンAは比較コーティング(比較例10)と対比して、動摩擦係数を大きく低減させる(実施例8)。実施例III:動的接触角および界面活性剤浸出試験 実施例Iの塗料(比較例3、実施例4、比較例5)はレネータ社製の黒色スクラブテストパネル(フォームP121-10N、黒色のプラスチック-塩化ビニル/アセテートコポリマー)上に塗布して乾燥された。塗装フィルムの動的前進水接触角およぴ大豆油の動的接触角を測定して、疎水性および疎油性を評価した。塗料から水相への表面活性材料の浸出は、塗料サンプルの浸漬の前後の水の表面張力を測定することによって評価した。表面張力が低いほど、界面活性剤の浸出はより悪い(参考文献:P.Santos他、低VOC凝集剤。コーティングの世界-技術論文、p2019、https://www.coatingsworld.com/issues/2019-2008-2001/view_technical-papers/low-voc-coalescents)。
【0101】
【0102】
アルキル末端アミノシリコーンを含有する塗料に対する前進水接触角は、比較エマルジョンを含有する塗料に対するものよりも高い。
【0103】
表面張力が清浄な水の初期値72mN/mから低下することによって示されているように、比較塗料(比較例11)は表面活性材料を水中へと浸出させる。
【0104】
アルキル末端アミノシリコーンは表面活性材料の何らかの顕著な追加的放出を生じさせないのに対し、比較シリコーンエマルジョンは水の表面張力をさらに低下させる。
【0105】
アルキル末端アミノシリコーンでの前進油接触角の増大は、比較エマルジョンでの場合よりも顕著に高く、比較エマルジョンよりもアルキル末端アミノシリコーンエマルジョンの疎油性効果が良好であることを示している。
【0106】
実施例III:水性アクリル塗料
【0107】
水性塗料組成物が表4に示されている。Hydroplat WE3105はBASF社製の湿潤剤である。Dispex AA4146は、BASF社製の分散剤である。Foamstar ST2410は、BASF社製の消泡剤である。Rheovis PU1250は、BASF社製の高分子レオロジー改質剤である。酸化チタン顔料Ti-Pure R902はデュポン社製である。Texanolはイーストマン社製の凝集剤である。IPEL BP-503はIPEL社製の保存剤である。Acronal 4670PLUSはBASF社製の最低造膜温度10℃で固形分50%のオールアクリルラテックスである。
【0108】
比較例のシリコーンエマルジョンは、乳化重合によって製造されたジメチコノールシリコーンゴムエマルジョンの50%固形分のエマルジョンであり、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリルエーテル硫酸ナトリウムで安定化されており、このシリコーンゴムの粘度は350,000から700,000mPa・sの範囲にある。この粘度はブルックフィールド粘度計LVDV上でスピンドル#4を用い、0.3rpmで25℃において測定された。
【0109】
シリコーンエマルジョンAはアルキルアミノシリコーンの45%重量%固形分のエマルジョンであり、ノニオン界面活性剤によって安定化されている。このアルキルアミノシリコーンは両末端において変性されており、式(I)によって表され、式中xは650、yは3.5、R1は16から18の炭素原子を有するアルキル基、R2、R3、およびR4はそれぞれメチル、そしてR5はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である。このアミノシリコーンは、セテアレス-7およびセテアレス-21から選択されるノニオン界面活性剤の混合物で乳化された。このアミノシリコーンは約5000から約20,000mPa・sの粘度を有していた。この粘度はブルックフィールド粘度計LVDV上で、スピンドル#4を用いて30rpmで測定された。
【0110】
耐摩耗スクラブ試験はASTM2486(方法A)に従って行われ、また試験は2回行われた。
【0111】
耐ブロッキング試験:塗料は7ミルのクリアランスを有するフィルムアプリケーターを用いて黒い艶消しのプラスチックパネル(レネータ社製のP-121-10N)に塗布され、室温で7日間乾燥された。このプラスチックパネルは2インチ×2インチの正方形に切断した。2枚の切断片を塗装面が向き合うようにして配置した。この対面試料を50℃のオーブンに入れた。1000グラムの円筒形の錘(半径=2cm)を試料の上に置き、50℃において2分間保持した。試料上の接触圧力は約80グラム/cm2であった。冷却後、対面試料を引き剥がした。視覚的な検査に基づいてパネルを評価した。耐ブロッキング性の度合いは10から0の尺度で評価した。この耐ブロッキング性の評価はASTM D4946に記載されている。シールの度合いは、表面の塗料が相互に接着している試料上の推定面積である。10の評価は粘着性もシールもないことを示す。1の評価はシールの度合いが50%から75%であることを示す。この試験は3回行われた。
【0112】
界面活性剤浸出試験法:塗料は7ミルのクリアランスを有するフィルムアプリケーターを用いて黒い艶消しのプラスチックパネル(レネータ社製のP-121-10N)に塗布され、室温で2時間乾燥された。それぞれ容積約0.1ccの3滴の水を試験塗料の上に置き、10分間そのままにした。パネルを垂直方向の位置に持ち上げ、水滴が流れ落ちるようにし、次いで室温で一晩垂直に乾燥した。このパネルを視覚的な検査に基づいて評価した。
【0113】
【0114】
アミノシリコーンエマルジョンは2.9重量%の濃度において、シリコーンを使用しないベース塗料(比較例12)と対比して増大した耐ブロッキング性をもたらした(実施例11)。加えて、アルキル末端アミノシリコーンエマルジョンを用いた実施例塗料(実施例11)は、ベース塗料(比較例12)およびシリコーンゴムエマルジョンを用いた比較塗料(比較例13)よりもずっと少ない界面活性剤の浸み出しをもたらした。
図1から
図3は、界面活性剤浸出試験で用いた塗料パネルの写真である。
図1は比較例12を用いたパネルであり、目に見える大きな水の筋を示している。
図2は比較例13についてのパネルであり、目に見える小さな水の筋を示している。
図3は実施例11のパネルであり、最小限の水の筋を示している。加えて、アルキル末端アミノシリコーンエマルジョンは塗料の耐摩耗スクラブ性を大きく低減しなかったのに対し、比較例のシリコーンゴムエマルジョンは耐摩耗スクラブ性を非常に顕著に低減させた。
【0115】
実施例IV:ポリウレタン分散液クリアコート
【0116】
クリアコート組成物を表5に示している。Bayhydrol UH2953/1はコベストロ社製の脂肪族、脂肪酸変性アニオン性ポリウレタン分散液であり、固形分重量34.5%である。ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテルまたはDowanol DPnPはダウケミカル社製の凝集剤である。BYK346はBYK社製の湿潤剤である。BYK028はBYK社製の消泡剤である。AquaflowTMNHS300はアシュランド社製のレオロジー改質剤である。
【0117】
この組成物はIKAラボラトリーテクノロジー社製のRW16ベーシックオーバーヘッドミキサーで調製した。水と凝集剤の溶媒を低混合速度(約100RPM)でプレミックスした。水/凝集剤のプレミックス、ポリウレタン分散液、湿潤剤、消泡剤、シリコーンエマルジョン、レオロジー改質剤、および追加の水をミキサーの主容器に添加し、中速(約600RPM)で15分間一緒に混合した。次いでこの組成物は高い混合速度(約1200RPM)で5分間混合した。実施例IVの組成物(比較例14、実施例12)はフイルムアプリケーターを用いてガラススライド上に塗布して厚さ10ミルの湿ったフィルムを形成し、乾燥した。表5における静的水接触角は5回の測定の平均値である。
【0118】
【0119】
アルキル末端アミノシリコーンを用いた実施例処方(実施例12)は、高い水接触角の値(106°)によって示されているように、比較例処方(比較例14)と対比して増大した疎水性を示した。
【0120】
上記に説明したところは、本明細書の例を含んでいる。もちろん、本明細書の記載を行う目的について、成分または方法論のすべての認識可能な組み合わせを記載することは不可能であるが、当業者は、本明細書の多くのさらなる組み合わせおよび置き換えが可能であることを認識してよい。したがって本明細書は、添付の特許請求の範囲の思想および範囲内に包含される、すべてのそうした変更、修正および変種を包囲することを意図している。さらにまた、詳細な説明または特許請求の範囲において「包含する」という用語が使用される限りにおいて、そうした用語は「含む」と同様の仕方で包括的であることを意図しているが、これは「含む」が特許請求の範囲において転換語として用いられた場合に解釈されるのと同様である。
【0121】
以上の説明は、コーティング組成物の、種々の非限定的な実施形態を明らかにしている。当業者および本発明を作成および使用する者には、変更が想起されてよい。開示された実施形態は単に例示的な目的のためのものであり、特許請求の範囲に記載された発明または主題の範囲を限定することを意図したものではない。
【国際調査報告】