(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電極組立体、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20240905BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20240905BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240905BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M50/489
H01M50/443 E
H01M50/443 M
H01M50/414
H01M50/42
H01M50/434
H01M50/46
H01M4/13
H01M4/139
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514436
(86)(22)【出願日】2023-06-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 KR2023007994
(87)【国際公開番号】W WO2023243952
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0072307
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0074427
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ミンキョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョシク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヘリ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・コン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジヨン・スン
(72)【発明者】
【氏名】スンジュン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・キュ・キム
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H021AA06
5H021BB12
5H021CC04
5H021EE02
5H021EE03
5H021EE06
5H021EE08
5H021EE22
5H021HH00
5H021HH03
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5H029AJ02
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5H029AL03
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5H029AL07
5H029AL08
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5H050AA02
5H050AA15
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA09
5H050HA04
5H050HA17
(57)【要約】
本発明は、電極間の絶縁性およびリチウム二次電池の安全性をより向上させることができるリチウム二次電池用電極組立体およびその製造方法に関するものである。前記電極組立体は、正極上に配置される第1絶縁層を含む正極-絶縁層複合体および負極上に配置される第2絶縁層を含む負極-絶縁層複合体を含み、前記第1または第2絶縁層は、ゼータ電位(zeta potential)の絶対値が25mV以上である高分子粒子またはセラミック粒子を含む多孔性絶縁層であり、前記正極-絶縁層複合体および負極-絶縁層複合体の厚さの総和に対する、前記第1および第2絶縁層の厚さの和の比率が一定の範囲を満たすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極上に配置される第1絶縁層を含む正極-絶縁層複合体と、
負極上に配置される第2絶縁層を含む負極-絶縁層複合体と、を含み、
前記第1または第2絶縁層は、ゼータ電位(zeta potential)の絶対値が25mV以上である高分子粒子またはセラミック粒子を含む多孔性絶縁層であり、
前記正極-絶縁層複合体および負極-絶縁層複合体の厚さの総和に対する、前記第1および第2絶縁層の厚さの和の比率は、19%ないし30%である、リチウム二次電池用電極組立体。
【請求項2】
前記第1および第2絶縁層は、それぞれ5μm以上の厚さを有し、
前記第1および第2絶縁層の厚さの和は、33ないし55μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項3】
前記第1および第2絶縁層は、直接接触している、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項4】
前記リチウム二次電池用電極組立体は、別途の分離膜を含まない、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項5】
前記正極-絶縁層複合体および前記負極-絶縁層複合体は積層され、
前記第1および第2絶縁層は互いに対向して配置される、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項6】
前記第1絶縁層の厚さは、10ないし20μmであり、前記第2絶縁層の厚さは、20ないし35μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項7】
前記第1および第2絶縁層は、それぞれ独立して前記高分子粒子またはセラミック粒子と、バインダーとを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項8】
前記第1および第2絶縁層は、互いに同一の組成を有する、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項9】
前記高分子粒子は、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンジイミダゾール、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項10】
前記セラミック粒子は、ボヘマイト、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化バナジウムおよび酸化マンガンからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極組立体。
【請求項11】
(S1)正極上に第1絶縁層を形成して正極-絶縁層複合体を形成するステップと、
(S2)負極上に第2絶縁層を形成して負極-絶縁層複合体を形成するステップと、
(S3)前記正極-絶縁層複合体および前記負極-絶縁層複合体を積層するステップと、を含み、
前記第1または第2絶縁層は、ゼータ電位(zeta potential)の絶対値が25mV以上である高分子粒子またはセラミック粒子を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極組立体の製造方法。
【請求項12】
電池ケースと、
電解質と、
請求項1に記載の電極組立体と、を含む、リチウム二次電池。
【請求項13】
前記リチウム二次電池の前記正極および負極の間に50Vの電圧を印加する時の抵抗値は、10
8オーム以上である、請求項12に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(等)の相互引用
本出願は、2022年6月14日付の韓国特許出願第10-2022-0072307号および2023年6月9日付の韓国特許出願第10-2023-0074427号に基づいた優先権の利益を主張して、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極間の絶縁性およびリチウム二次電池の安全性をより向上させることができるリチウム二次電池用電極組立体、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0003】
最近、リチウム二次電池の応用領域が電気、電子、通信、コンピュータのような電子機器の電力供給だけでなく、自動車や電力貯蔵装置のような大面積の機器の電力貯蔵供給まで急速に拡大するにつれて、高容量、高出力、長寿命でありながらも高安定性であるリチウム二次電池に対する要求が増えている。
【0004】
一般にリチウム二次電池は、正極、負極、前記正極および負極の間に介在される分離膜、電解質、有機溶媒などを含む。正極は、充電状態で不安定な構造によって酸素を発生させる可能性があり、酸素が発生する場合、発火危険が大きいのでリチウム二次電池の安全性を高めることができる方法に対する研究開発が試みられている。
【0005】
分離膜は、正極と負極の間で電気的絶縁を確保するために用いられ、ポリオレフィン(polyolefin)からなる薄い多孔性膜が一般に用いられる。しかし、ポリオレフィン系の分離膜の場合、高温環境で収縮し易くなり、正極と負極の間を絶縁できなくなる可能性がある。正極と負極の間に電気的絶縁が不可能になる場合、短絡が発生して、不安定な正極によって発生した酸素と作用して発火が起きる可能性がある。つまり、高温環境で充電状態のリチウム二次電池内の短絡が発生する場合、リチウム二次電池が発火するという問題が発生する可能性がある。
【0006】
前記発火危険性を下げ、安全性を向上させるために、前記ポリオレフィン系多孔性分離膜を代替する多孔性コーティング層などを形成しようと試みられた。しかし、このような多孔性コーティング層の形成時に、正極および負極間の電気的絶縁性が充分でないか、前記多孔性コーティング層の形成によりリチウム二次電池の容量特性または寿命特性が低下するなどの問題点が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、リチウム二次電池の優れた電気化学的特性を維持しながらも、電極間の絶縁性およびリチウム二次電池の安全性をより向上させることができるリチウム二次電池用電極組立体およびその製造方法を提供するものである。
【0008】
本発明は、また、前記電極組立体を含み、優れた電極間絶縁性、安全性および寿命特性を示すリチウム二次電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の一具現例に係ると、正極上に配置される第1絶縁層を含む正極-絶縁層複合体および負極上に配置される第2絶縁層を含む負極-絶縁層複合体を含み、
前記第1または第2絶縁層は、ゼータ電位(zeta potential)の絶対値が25mV以上である高分子粒子またはセラミック粒子を含む多孔性絶縁層であり、
前記正極-絶縁層複合体および負極-絶縁層複合体の厚さの総和に対する、前記第1および第2絶縁層の厚さの和の比率は、19%ないし30%であるリチウム二次電池用電極組立体が提供される。
【0010】
また、発明の他の具現例に係ると、(S1)正極上に第1絶縁層を形成して正極-絶縁層複合体を形成するステップ、(S2)負極上に第2絶縁層を形成して負極-絶縁層複合体を形成するステップ、および(S3)前記正極-絶縁層複合体および前記負極-絶縁層複合体を積層するステップを含み、前記第1または第2絶縁層は、ゼータ電位(zeta potential)の絶対値が25mV以上である高分子粒子またはセラミック粒子を含む前記電極組立体の製造方法が提供される。
【0011】
発明のまた他の具現例に係ると、電池ケース、電解質、および前記電極組立体を含むリチウム二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0012】
発明の一具現例に係る電極組立体は、正極および負極上にそれぞれ所定の厚さ比率の多孔性絶縁層が形成された正極-絶縁層複合体および負極-絶縁層複合体を含む。このような電極組立体は、前記多孔性絶縁層が既存の分離膜を代替しながらも、電極間の電気的絶縁性に優れるように維持できるだけでなく、分離膜の収縮による短絡などが実質的に防止され、リチウム二次電池の安全性を大きく向上できることが確認された。
【0013】
さらに、前記各絶縁体の厚さ比率が最適化することによって、このような電極組立体を含むリチウム二次電池の寿命特性など電気化学的特性も優れるように発現できることが確認された。
【0014】
明細書に添付される図面は、本発明の好ましい実施例を例示するものであり、前述した発明の内容とともに本発明の技術思想をより理解させる役割を果たすものであるので、本発明は、そのような図面に記載された事項にだけ限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施例1ないし3と、比較例1および2の電極組立体に対して、50V電圧の印加下で抵抗を測定する方法で、電気絶縁特性を評価した結果を比較して示すグラフである。
【
図2】
図2は、実施例1ないし3と、比較例1および2のリチウム二次電池に対して、時間による開放回路電圧(OCV)プロファイルを比較して示すグラフである。
【
図3】
図3は、実施例1ないし3のリチウム二次電池に対する寿命特性評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書および特許請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的や辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、その自身の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に立って本発明の技術的な思想に合致する意味と概念で解釈されなければならない。
【0017】
他の定義がなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味で使用することができる。また、一般に使用される辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0018】
本明細書で使用された用語は、実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り、複数型も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素以外に一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0019】
本明細書で、ある部分がある構成要素を含むとするとき、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含む可能性があることを意味する。
【0020】
本明細書で「Aおよび/またはB」の記載は、AまたはBまたは、AおよびBを意味する。
【0021】
本明細書で、「%」という明示的な他の表示がない限り、重量%を意味する。
【0022】
本明細書で、「ゼータ(ζ)電位(zeta potential)」は、粒子の表面帯電量の程度を示す指標である。本発明で、絶縁層に含まれる高分子粒子またはセラミック粒子のゼータ電位は、動的光散乱(dynamic light scattering)設備を用いて、電気泳動光散乱(electrophoretic light scattering)の方法で測定することができる。一例示として、高分子粒子またはセラミック粒子を水やアルコールなどの溶媒に分散剤なしに分散させた後、ゼータ電位の値を測定することができる。
【0023】
以下、発明の具現例に係る電極組立体などについて詳細に説明する。
【0024】
電極組立体
発明の一具現例に係る電極組立体は、リチウム二次電池に用いられるものであってもよい。このような電極組立体は、正極上に配置される第1絶縁層を含む正極-絶縁層複合体、および負極上に配置される第2絶縁層を含む負極-絶縁層複合体を含み、前記第1または第2絶縁層は、ゼータ電位(zeta potential)の絶対値が25mV以上である高分子粒子またはセラミック粒子を含む多孔性絶縁層であり、前記正極-絶縁層複合体および負極-絶縁層複合体の厚さの総和に対する、前記第1および第2絶縁層の厚さの和の比率は、19%ないし30%であるものであってもよい。
【0025】
前記正極は、正極集電体および正極活物質層を含んでもよい。
【0026】
前記正極集電体は、例えば、前記集電体としては、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが用いられるが、必ずこれに制限されるものではない。
【0027】
前記正極活物質層は、正極活物質を含んでもよく、必要に応じて導電材、バインダーなどをさらに含んでもよい。
【0028】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物であって、具体的には、コバルト、マンガン、ニッケルまたはアルミニウムのような1種以上の金属とリチウムとを含むリチウム金属酸化物を含んでもよい。より具体的には、前記リチウム金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4など)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoO2など)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiO2など)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMnYO2(ここで、0<Y<1)、LiMn2-ZNiZO4(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1O2(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2O2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-Z1CoZ1O4(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NipCoqMnr)O2(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r<1、p+q+r=1)またはLi(Nip1Coq1Mnr1)O4(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r1<2、p1+q1+r1=2)など)またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr2Ms2)O2(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群から選択され、p2、q2、r2およびs2はそれぞれ自立的な元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r2<1、0<s2<1、p2+q2+r2+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の化合物が含まれてもよい。
【0029】
また、前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物であって、具体的には、リチウムリン酸鉄化合物(例えば、LiFePO4)、リチウム-マンガン-リン酸鉄化合物(例えば、LiMnxFe1-xPO4、0<x<1)などを含んでもよい。
【0030】
この中でも、電池の容量特性および安全性を高めることができるという点で、前記リチウム金属酸化物は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O2およびLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2など)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2など)またはリチウムニッケルマンガンコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.86Co0.05Mn0.07Al0.02)O2)などであってもよく、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてもよい。
【0031】
前記正極活物質は、正極活物質層の全体重量を基準に60ないし99重量%、あるいは70ないし99重量%、あるいは80ないし98重量%の含有量で含まれてもよい。
【0032】
前記導電材は、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックまたはサーマルブラックなどの炭素粉末;結晶構造が非常に発達した天然黒鉛、人造黒鉛またはグラファイトなどの黒鉛粉末;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン粉末;アルミニウム粉末、ニッケル粉末などの導電性粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカ;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。しかし、必ずこれに制限されるものではない。
【0033】
また、前記バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、スルホン化エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを含んでもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0034】
前記第1または第2絶縁層、あるいは、前記第1および第2絶縁層は、それぞれ独立して前記高分子粒子および前記セラミック粒子の少なくとも一つを含んでもよい。このとき、前記高分子粒子および前記セラミック粒子はそれぞれ独立してゼータ電位(zeta potential)の絶対値が25mV以上であってもよい。
【0035】
前記ゼータ電位の絶対値は、前記高分子粒子またはセラミック粒子の表面極性を定義することができ、一定の水準以上の絶対値を有するというのは、表面極性が大きくなることを意味することができる。このように、表面極性が大きい粒子と、後述するバインダーなどを組み合わせることによって、前記第1および/または第2絶縁層が既存の分離膜を代替する多孔性、良好なコーティング性および表面特性を示すことができる。
【0036】
特に、このような物性を満たす高分子粒子またはセラミック粒子は相対的に高い融点を有することができるので、これを含む絶縁層の適用時に既存の分離膜の収縮などによる短絡を抑制することができ、より向上した安全性を示すリチウム二次電池の提供を可能にする。
【0037】
これに加えて、前記各絶縁層は、後述する難燃性電解質の含浸性を、既存の分離膜に対して向上させることができる。これは、前記難燃性電解質が既存の電解質に対して比較的に高い極性を有するためであると考えられる。したがって、前記一具現例の電極組立体を難燃性電解質と組み合せることによって、リチウム二次電池の安全性をより向上させながらも、絶縁層を通じる高いリチウムイオン移動性を確保し、電池の電気化学的特性をより向上させることができる。
【0038】
一方、前記高分子粒子またはセラミック粒子のゼータ電位は、例えば、動的光散乱(dynamic light scattering)設備を用いて、電気泳動光散乱(electrophoretic light scattering)方法で測定することができる。このとき、前記高分子粒子またはセラミック粒子は、別途の分散剤なしに水またはアルコール系溶媒に分散した状態で前記ゼータ電位を測定することができる。具体的な一例で、前記ゼータ電位は、水の溶媒内に前記粒子を0.1重量%以下の濃度に分散させた状態で測定することができる。
【0039】
前記高分子粒子またはセラミック粒子のゼータ電位の絶対値は、25mV以上、あるいは35mV以上、あるいは45mV以上であってもよく、100mV以下、あるいは90mV以下、あるいは80mV以下であってもよい。ゼータ電位の絶対値が前記数値範囲を満足するとき、難燃性電解質を各絶縁層に容易に含浸することができ、電極全体で均一な反応を起こすことができ、これにより、リチウム二次電池の容量、出力、寿命特性などの諸性能を向上させることができる。
【0040】
前記高分子粒子の具体的な例としては、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide、PEO)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate、PMMA)などのポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンジイミダゾール、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される1種以上を含んでもよいが、これに限定されない。
【0041】
さらに、前記セラミック粒子の具体的な例としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化バナジウム、および酸化マンガンからなる群より選択される1種以上を含んでもよいが、必ずこれに限定されない。
【0042】
前記高分子粒子またはセラミック粒子のゼータ電位は、各粒子の種類だけでなく、これら粒子の粒径または表面特性によっても調節することができる。これにより、前記高分子粒子またはセラミック粒子のゼータ電位、分散性または各絶縁層の適切な多孔性などを達成するために、前記高分子粒子またはセラミック粒子は、50nmないし3μm、あるいは50nmないし2μm、あるいは100nmないし1.5μmの平均粒径D50を有することができる。
【0043】
前記粒子の平均粒径D50が50nmより小さい場合、粒子の分散性の低下により粒子間凝集が発生し、凝集された粒子によって気孔が詰まって多孔性構造を有する絶縁層を形成し難い。また、前記粒子の平均粒径D50が3μmより大きい場合、絶縁層内多孔性構造で気孔構造が単純化されて、セル製作時にリチウムデンドライト(lithium dendrite)が発生するという問題がある。
【0044】
これに加えて、前記高分子粒子またはセラミック粒子の表面特性制御およびこれによるゼータ電位などの調節のために、前記高分子粒子またはセラミック粒子は、酸素プラズマまたはイオンビームで表面処理された状態で前記各絶縁層に含まれてもよい。
【0045】
一方、一具現例の電極組立体で、前記第1絶縁層は、前記正極上にコーティングされてもよく、これにより正極-絶縁層複合体が形成されてもよい。前記第1絶縁層は、前記正極および負極の間を電気的に絶縁する役割を果たすことができる。
【0046】
前記第1絶縁層は、前述した高分子粒子またはセラミック粒子以外に、分散剤およびバインダーなどをさらに含んでもよい。
【0047】
分散剤は、例えば、水素化ニトリル系重合体を含んでもよく、具体的には水素化ニトリル系共重合体であってもよい。
【0048】
具体的には、前記水素化ニトリル系共重合体は、α,β-不飽和ニトリル由来の構造単位、および水素化した共役ジエン由来の構造単位を含む共重合体であるか、α,β-不飽和ニトリル由来の構造単位、共役ジエン由来の構造単位、および水素化した共役ジエン由来の構造単位を含む共重合体であってもよい。前記α,β-不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルなどが用いられてもよく、これらのうち、1種単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。前記共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレンまたは2,3-メチルブタジエンなどの炭素数4~6の共役ジエン系単量体が用いられてもよく、これらのうち、1種単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0049】
より具体的には、前記水素化ニトリル系共重合体は、水素化ニトリル系ブタジエンゴム(H-NBR)であってもよい。
【0050】
一方、バインダーはゼータ電位の絶対値が25mV以上の絶縁層と活物質層間の接着力を向上させる役割を果たし、バインダー上に前述した高分子粒子またはセラミック粒子を適切に分散させ、良好な多孔性絶縁層の形成を可能にする。
【0051】
前記バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、スルホン化エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、スチレン-ブタジエンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。
【0052】
前記第1絶縁層は、少なくとも5μm以上の厚さを有することができ、10ないし30μm、あるいは10ないし20μmの厚さを有することができる。第1絶縁層の厚さが前記数値範囲を満足するとき、一具現例の電極組立体の電気絶縁性に優れるように確保することができる。
【0053】
また、前述した第1絶縁層は、前記高分子粒子またはセラミック粒子の55ないし85重量%、あるいは60ないし80重量%と、前記バインダーの10ないし35重量%、あるいは11ないし33重量%と、前記分散剤の3ないし20重量%、あるいは5ないし15重量%を含んでもよい。したがって、前記第1絶縁層は、前記正極活物質層上に良好な多孔性絶縁層の形態に形成され、優れた電気絶縁性を示すことができる。
【0054】
一方、前記第2絶縁層は、前記負極上にコーティングされ、これにより負極-絶縁層複合体が形成されてもよい。前記第2絶縁層は、前記正極および負極の間を電気的に絶縁する役割を果たすことができる。
【0055】
このような第2絶縁層は、前述した第1絶縁層と異なる組成を有することもできるが、第1絶縁層と接触して電極間で優れた電気絶縁性を示し、既存の分離膜を代替する役割を果たすことができるように、前記第1絶縁層と同種の高分子粒子またはセラミック粒子を含むことができ、より適切に前記第1絶縁層と同一の成分を同一の含有量で含む同一の組成を有することができる。
【0056】
ただし、前記第2絶縁層の厚さは、前記第1絶縁層の厚さと異なることがある。このような第2絶縁層は、少なくとも5μm以上の厚さを有することができ、15ないし35μm、あるいは20ないし35μm、あるいは20ないし30μmの厚さを有することができる。第2絶縁層の厚さが前記数値範囲を満足するとき、後述する電極組立体の電気絶縁性に優れるように確保することができる。
【0057】
前述した一具現例の電極組立体で、前記第1および第2絶縁層がともに作用して優れた電気絶縁性を示しながら、リチウム二次電池の安全性を向上させることができるように、これらの第1および第2絶縁層は、一定の厚さ比率および厚さ範囲を満たすことが好ましい。
【0058】
より具体的には、前記第1および第2絶縁層は、前記正極-絶縁層複合体および負極-絶縁層複合体の厚さの総和に対する、前記第1および第2絶縁層の厚さの和の比率が19.0%ないし30.0%、あるいは19.5%ないし29.0%、あるいは19.6%ないし25.0%であってもよい。このとき、前記厚さ比率は、集電体および活物質層を含む正極および負極と、第1および第2絶縁層の厚さの総和を基準に、第1および第2絶縁層の厚さの和の比率で算出されてもよい。前記第1および第2絶縁層の厚さの和は、33ないし55μm、あるいは33ないし50μm、あるいは33ないし40μmであってもよい。
【0059】
前記第1および第2絶縁層の厚さの和またはその比率が過度に小さくなる場合、電極間の電気的絶縁性が十分に確保されない可能性があることが確認された。これとは反対に、前記第1および第2絶縁層の厚さの和またはその比率が過度に大きくなる場合、リチウム二次電池の抵抗特性、容量特性または寿命特性などが低下する可能性がある。
【0060】
前述した正極-絶縁層複合体および前記負極-絶縁層複合体は積層され、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は互いに対向して配置されてもよい。
【0061】
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層が互いに対向して配置されることによって、前記電極組立体は、例えば、正極、第1絶縁層、第2絶縁層、負極の順序に積層されてもよい。つまり、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは、これらの間に別途の分離膜などが介在されず、互いに直接接触されてもよい。前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、前記正極と前記負極とを互いに電気的に絶縁させることができる。
【0062】
また、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層が正極や負極の一面に一度に形成されるのに対し、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層がそれぞれ正極と負極に形成された後に合わされるので、より優れた電気絶縁性を達成することができる。その理由は、絶縁層が正極や負極の一面に一度に形成される場合、絶縁層で微細クラックがより発生し易くなり、発生した微細クラックに電流が集中して絶縁層でデンドライト成長が誘発されるためである。これとは異なり、第1絶縁層および前記第2絶縁層がそれぞれ正極と負極に形成された後に合わされると、デンドライト成長が抑制され、優れた電気絶縁性を確保することができる。
【0063】
したがって、前記リチウム二次電池用電極組立体は、別途の分離膜を含まないことがある。
【0064】
一方、前述した一具現例の電極組立体で、負極-絶縁層複合体に含まれる負極は、負極集電体および負極活物質層を含んでもよい。
【0065】
負極集電体は、電池に化学的変化を誘発せずに、かつ高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが用いられてもよい。
【0066】
負極集電体は、通常、3μmないし500μmの厚さを有することができ、正極集電体と同様に、負極集電体表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で用いられてもよい。
【0067】
負極活物質層は、負極活物質を含んでもよく、必要に応じて導電材、バインダーなどをさらに含んでもよい。
【0068】
負極活物質は、リチウム金属、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーション可能な炭素物質、金属またはこれらの金属とリチウムの合金、金属複合酸化物、リチウムをドープおよび脱ドープ可能な物質および遷移金属酸化物からなる群より選択された少なくとも一つ以上を含んでもよい。
【0069】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーション可能な炭素物質としては、リチウムイオン二次電池で一般に用いられる炭素系負極活物質であれば、特に制限されることなく用いることができ、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらをともに用いることができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、麟片状(flake)、球形または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0070】
前記金属またはこれら金属とリチウムの合金としては、Cu、Ni、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属またはこれら金属とリチウムの合金が用いられてもよい。
【0071】
前記金属複合酸化物としては、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、Bi2O5、LixFe2O3(0<x≦1)、LixWO2(0<x≦1)およびSnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)からなる群より選択されることが用いられてもよい。
【0072】
前記リチウムをドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si、SiOx(0<x≦2)、Si-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO2、Sn-Y(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、また、これらの少なくとも一つとSiO2を混合して用いてもよい。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Poおよびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。
【0073】
前記遷移金属酸化物としては、リチウム含有チタニウム複合酸化物(LTO)、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0074】
前記負極活物質は、負極活物質層の全体重量を基準に60ないし99重量%、あるいは70ないし99重量%、あるいは80ないし98重量%に含まれてもよい。
【0075】
また、前記導電材は負極活物質の導電性をより向上させるための成分として、このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックまたはサーマルブラックなどの炭素粉末;結晶構造が非常に発達した天然黒鉛、人造黒鉛またはグラファイトなどの黒鉛粉末;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン粉末;アルミニウム粉末、ニッケル粉末などの導電性粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカ;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。
【0076】
前記バインダーは、前記導電材、負極活物質および負極集電体間の結合に助力する成分である。このようなバインダーの例としては、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、スルホン化エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体などが挙げられる。
【0077】
電極組立体の製造方法
一方、発明の他の具現例に係る電極組立体の製造方法は、下記のステップを含んでもよい。
【0078】
(S1)正極上に第1絶縁層を形成して正極-絶縁層複合体を形成するステップ
(S2)負極上に第2絶縁層を形成して負極-絶縁層複合体を形成するステップ
(S3)前記正極-絶縁層複合体および前記負極-絶縁層複合体を積層するステップ
【0079】
また、すでに一具現例に関して説明したように、前記第1または第2絶縁層は、ゼータ電位(zeta potential)の絶対値が25mV以上である高分子粒子またはセラミック粒子を含んでもよい。ただし、正極、負極、第1絶縁層、第2絶縁層の各組成に関しては以上で詳しく説明しているので、これに関する追加的な説明は省略する。
【0080】
前記他の具現例の製造方法では、まず、正極上に第1絶縁層を形成して正極-絶縁層複合体を形成する(S1)。具体的には、正極集電体上に正極活物質層の形成のためのスラリー組成物を塗布した後、乾燥および圧延して準備された正極に第1絶縁層スラリーを製造して塗布した後、乾燥させて第1絶縁層を形成し、正極-絶縁層複合体を形成することができる。
【0081】
前記第1絶縁層スラリーは、高分子粒子またはセラミック粒子、分散剤、バインダー、溶媒などを含むものであってもよい。
【0082】
以降、負極上に第2絶縁層を形成して負極-絶縁層複合体を形成する(S2)。
【0083】
具体的には、準備された負極に第2絶縁層スラリーを製造して塗布した後、乾燥させて負極-絶縁層複合体を形成することができる。
【0084】
前記第2絶縁層スラリーは、前記第1絶縁層スラリーと同様に製造されてもよい。ただし、絶縁特性の調節のために、高分子粒子またはセラミック粒子、分散剤、バインダー、および溶媒の種類および/または含有量が適切に調節されてもよい。
【0085】
以降、前記正極-絶縁層複合体および前記負極-絶縁層複合体を積層する(S3)。
【0086】
第1絶縁層と第2絶縁層とが互いに直接接触するように、前記正極-絶縁層複合体および前記負極-絶縁層複合体を積層することができる。
【0087】
これにより、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は互いに対向して配置されてもよい。前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は互いに隣接するように配置され、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は正極と負極の間を電気的に絶縁する役割を果たすことができる。
【0088】
リチウム二次電池
発明のまた他の具現例に係るリチウム二次電池は、電池ケース、電解質、および前述した一具現例の電極組立体を含んでもよい。前記電極組立体が第1絶縁層および第2絶縁層を含むので、別途の分離膜がなくても正極と負極の間に電気的絶縁特性を十分に確保することができ、既存の分離膜の収縮などによる短絡が抑制され、安定性が改善したリチウム二次電池を提供することができる。
【0089】
特に、前記リチウム二次電池の前記正極および負極の間に50Vの電圧を印加する時の抵抗値は、108オーム以上であってもよく、具体的には、108ないし1013オームであってもよい。前記数値範囲内で、前記正極と前記負極とが互いに短絡しないこともあり、電気絶縁性が十分に確保され、電池安定性を改善することができる。
【0090】
前記電池ケースは、当分野で通常用いられることが採択されてもよく、電池の用途に応じた外形に制限がなく、例えば、円筒型、角型、パウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などであってもよいが、これに限定されない。
【0091】
前記電解質は、具体的には難燃性電解質を含んでもよい。
【0092】
このとき、難燃性電解質は100℃以上の引火点を有するか、引火点を有しない難燃性溶媒およびリチウム塩を含むものと定義することができる。このとき、前記難燃性溶媒は、引火点を有しない実質的に不燃性である有機溶媒と、100℃以上、あるいは100ないし250℃、あるいは110ないし200℃の高い引火点および低い揮発性を有する有機溶媒を包括することができる。このような難燃性溶媒およびリチウム塩を含む難燃性電解質を含み、前記リチウム二次電池はより優れた高温安全性を示すことができる。また、難燃性電解質が前述した高分子粒子またはセラミック粒子を含む絶縁層に均一に含浸可能であるので、前記リチウム二次電池の電気化学的の諸特性に優れるように達成することができる。前記難燃性溶媒を定義する引火点は、ASTM D93または、ASTM D1310の標準方法によって密閉式または開放式の方法で測定することができる。
【0093】
具体的な例で、前記難燃性溶媒は、有機溶媒の低い揮発性と、難燃性ないし不燃性に寄与可能な官能基、例えば、スルホン系官能基、フッ素置換炭化水素基などフッ素含有官能基、ホスフェート基またはホスホネート基などリン含有官能基およびニトリル系官能基からなる群より選択された官能基を有する有機溶媒であってもよく、このような有機溶媒が1種以上混合され用いられてもよい。より具体的には、前記難燃性溶媒は、スルホン系化合物、ニトリル系化合物、リン酸系化合物およびフッ素が置換されたカーボネート系化合物からなる群より選択された1種以上の有機溶媒を含んでもよい。
【0094】
この中で、前記スルホン系化合物は、環状スルホン系化合物または線状スルホン系化合物であってもよく、具体的には、スルホラン、エチルメチルスルホン、ジブチルスルホン、エチルビニルスルホン、メチルプロピルスルホン、エチル-i-プロピルスルホン、エチル-i-ブチルスルホン、i-プロピル-i-ブチルスルホン、i-プロピル-s-ブチルスルホン、およびブチル-i-ブチルスルホンからなる群より選択された1種以上を含んでもよい。
【0095】
また、前記ニトリル系化合物は、マルノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、スベロニトリル、およびセバコニトリルからなる群より選択された1種以上を含んでもよい。
【0096】
また、前記リン酸系化合物は、ジメチルメチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジエチルエチルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、ジメチル(2-メトキシエトキシ)メチルホスホネート、ジエチル(2-メトキシエトキシ)メチルホスホネート、およびトリフェニルホスフェートからなる群より選択された1種以上を含んでもよい。
【0097】
これに加えて、前記フッ素が置換されたカーボネート系化合物は、ビス(2,2,3,3-テトラフルオロ-プロピル)カーボネート、メチル-2,2,2-トリフルオロエチルカーボネート、エチル-2,2,2-トリフルオロエチルカーボネート、プロピル-2,2,2-トリフルオロエチルカーボネート、メチル-2,2,2,2’,2’,2'-ヘキサフルオロ-i-プロピルカーボネート、エチル-2,2,2,2’,2’,2'-ヘキサフルオロ-i-プロピルカーボネート、ジ-2,2,2-トリフルオロエチルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチル-N,N-ジメチルカーボネート、ヘキサフルオロ-i-プロピル-N,N-ジメチルカーボネート、4-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシメチル)-[1,3]-ジオキソラン-2-オン、およびビス(2,2,3,3-ペンタフルオロ-プロピル)カーボネートからなる群より選択された1種以上を含んでもよい。
【0098】
一方、前記難燃性電解質に含まれるリチウム塩は、リチウム二次電池内でイオンを伝達するための媒介体として用いられるものである。リチウム塩は、例えば、陽イオンとして、Li+を含み、陰イオンとしては、F-、Cl-、Br-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、B10Cl10
-、AlCl4
-、AlO2
-、PF6
-、CF3SO3
-、CH3CO2
-、CF3CO2
-、AsF6
-、SbF6
-、CH3SO3
-、(CF3CF2SO2)2N-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、BF2C2O4
-、BC4O8
-、PF4C2O4
-、PF2C4O8
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、C4F9SO3
-、CF3CF2SO3
-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、CF3(CF2)7SO3
-およびSCN-からなる群より選択された少なくともいずれか一つが挙げられる。
【0099】
具体的には、前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiAlO2、LiPF6、LiCF3SO3、LiCH3CO2、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiCH3SO3、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Lithium bis(fluorosulfonyl)imide)、LiN(SO2F)2)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド(lithium bis(perfluoroethanesulfonyl)imide)、LiN(SO2CF2CF3)2およびLiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)、LiN(SO2CF3)2)からなる群より選択された単一物または2種以上の混合物を含んでもよいが、安定性に優れた面で、Li(N(SO2CF3)2を含むことが好ましい。
【0100】
これらの他にも、リチウム二次電池の電解質に通常用いられるリチウム塩が制限されることなく用いることができる。
【0101】
前記リチウム塩は、通常使用可能な範囲内で適切に変更することができるが、最適な電極表面の腐食防止用被膜形成効果を得るために、電解質内に1Mないし3Mの濃度、あるいは1Mないし2.5Mの濃度、あるいは1Mないし2Mの濃度で含まれてもよい。前記リチウム塩の濃度が前記範囲を満足する場合、リチウム二次電池の高温貯蔵時に、サイクル特性改善の効果が十分で難燃性電解質の粘度が適切で、難燃性電解質の含浸性を改善することができる。
【0102】
前述したリチウム二次電池は小型デバイスの電源として用いられる電池セルに用いられるだけでなく、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても好ましく用いることができる。前記中大型デバイスの好ましい例としては、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電力貯蔵用システム(Energy Storage System、ESS)などが挙げられる。
【0103】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の理解を助けるための例示であるだけで、本発明の範囲を限定するものではない。本記載の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能することは、当業者にとって明白なものであり、このような変形および修正が添付された特許請求の範囲に属することは言うまでもない。
【0104】
実施例および比較例
まず、以下の実施例で、高分子粒子またはセラミック粒子のゼータ電位は、これを25℃の温度下で水溶媒内に前記粒子を0.1重量%以下に分散させた状態で動的光散乱(dynamic light scattering)設備(製品名:ELS-Z)を用いて、電気泳動光散乱(electrophoretic light scattering)方法で測定された。
【0105】
実施例1
正極活物質としてLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2を含む全体厚さ60μmの正極(正極集電体および正極活物質層の厚さの和)と、負極活物質として人造黒鉛を含む全体厚さ75μmの負極(負極集電体および負極活物質層の厚さの和)とを準備した。
【0106】
-50mVのゼータ電位(zeta potential)を有し、平均粒径D50が1μmであるポリメチルメタクリレート(PMMA)高分子粒子を、PMMA:水素化ニトリルゴム(H-NBR)分散剤:フッ化ポリビニリデン(PVDF)バインダーの質量比が、7:1:2になるように、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に入れて分散し、絶縁層スラリーを製造した。
【0107】
S1:前記正極上に前記絶縁層スラリーを塗布して乾燥させて第1絶縁層を形成し、正極-絶縁層複合体を形成した。
【0108】
S2:前記負極上に前記絶縁層スラリーを塗布して乾燥させて第2絶縁層を形成し、負極-絶縁層複合体を形成した。
【0109】
S3:前記正極-絶縁層複合体および前記負極-絶縁層複合体を積層して電極組立体を製造した。このとき、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は互いに対向するように配置された。
【0110】
前記第1絶縁層の厚さは、13μmであり、前記第2絶縁層の厚さは、20μmであり、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の厚さの総和は、33μmと測定された。これにより、前記正極、負極、第1および第2絶縁体の厚さの総和168μmに対する前記第1および第2絶縁層の厚さの和の33μmの比率は、約19.64%と算出された。
【0111】
実施例2
絶縁層の厚さが異なることを除いては、実施例1と同様に行われた。
【0112】
前記第1絶縁層の厚さは、20μmであり、前記第2絶縁層の厚さは30μmであり、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の厚さの総和は、50μmと測定された。これにより、前記正極、負極、第1および第2絶縁体の厚さの総和185μmに対する前記第1および第2絶縁層の厚さの和の50μmの比率は、約27.03%と算出された。
【0113】
実施例3
絶縁層の厚さが異なることを除いては、実施例1と同様に行われた。
【0114】
前記第1絶縁層の厚さは、20μmであり、前記第2絶縁層の厚さは35μmであり、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の厚さの総和は、55μmと測定された。これにより、前記正極、負極、第1および第2絶縁体の厚さの総和190μmに対する前記第1および第2絶縁層の厚さの和の55μmの比率は、約28.95%と算出された。
【0115】
比較例1
正極活物質としてLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2を含む全体厚さ60μmの正極(正極集電体および正極活物質層の厚さの和)と、負極活物質として人造黒鉛を含む全体厚さ75μm(負極集電体および負極活物質層の厚さの和)の負極とを準備した。
【0116】
-50mVのゼータ電位(zeta potential)を有し、平均粒径D50が1μmであるポリメチルメタクリレート(PMMA)高分子粒子を、PMMA:水素化ニトリルゴム(H-NBR)分散剤:フッ化ポリビニリデン(PVDF)バインダーの質量比が7:1:2になるように、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に入れて分散して絶縁層スラリーを製造した。
【0117】
前記負極上に前記絶縁層スラリーを塗布して乾燥させ、負極-絶縁層複合体を形成した。以降、前記負極-絶縁層複合体上に正極を積層して電極組立体を製造した。絶縁層の総厚さは36μmと測定された。これにより、前記正極、負極、負極上の絶縁体の厚さの総和171μmに対する前記負極上絶縁層の厚さ36μmの比率は、約21.05%と算出された。
【0118】
比較例2
絶縁層の厚さが異なることを除いては、実施例1と同様に行われた。
【0119】
前記第1絶縁層の厚さは、10μmであり、前記第2絶縁層の厚さは、20μmであり、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の厚さの総和は、30μmと測定された。これにより、前記正極、負極、第1および第2絶縁体の厚さの総和165μmに対する前記第1および第2絶縁層の厚さの和の30μmの比率は、約18.18%と算出された。
【0120】
実験例1:電気絶縁特性比較(1)
実施例1ないし3、比較例1および2の電極組立体に対してHi-potテストを行った。Hi-potテストは、正極と負極とを80℃でロールラミネーションしてモノセルに作った後、前記モノセルに電圧を印加する方法で行われ、50Vの電圧の印加条件で絶縁層の総厚さに対する抵抗値を測定する方式で行われた。実験結果を
図1に示した。
【0121】
図1を参照すると、実施例1の場合、第1絶縁層と第2絶縁層とがそれぞれ正極と負極上に形成された後、積層された構造を有し、絶縁層の総厚さが33μmであり、その厚さ比率が約19.64%であって、約10
10オームと高い水準の抵抗値および優れた絶縁特性を有するものと示された。
【0122】
実施例2および3も、第1絶縁層と第2絶縁層とがそれぞれ正極と負極上に形成された後、積層された構造を有し、絶縁層の総厚さがそれぞれ50μmおよび55μmであり、これらの厚さ比率が約27.03%および約28.95%であって、約1010オームと高い水準の抵抗値および優れた絶縁特性を有するものと確認された。
【0123】
しかし、比較例1の場合、一つの絶縁層が負極上に形成された後、正極が積層された構造を有し、絶縁層の厚さが36μmであり、その厚さ比率が21.05%と比較的に厚いにも関わらず、約103オームと低い水準の抵抗値および劣悪な絶縁特性を有するものと示された。
【0124】
また、比較例2の場合、第1絶縁層と第2絶縁層とがそれぞれ正極と負極上に形成された後、積層された構造を有し、絶縁層の総厚さが30μmであり、その厚さ比率が約19.18%であって、約103オームと低い水準の抵抗値および劣悪な絶縁特性を有するものと示された。
【0125】
実験例2:電気絶縁特性比較(2)
実施例1ないし3、比較例1および2に対する開放回路電圧(OCV:open circuit voltage)プロファイルを測定した。実施例および比較例の電極組立体にカーボネート系電解質を注液した以降、常温ウェッティング(wetting)工程を行い、1分間隔または電圧変化20mVごとに電圧を測定し、その結果を
図2に示した。
【0126】
図2を参照すると、実施例1ないし3の場合、時間が経過するにつれて、OCV電圧が0.30~0.35V程度となり、ある程度一定に維持された。
【0127】
しかし、比較例1および2の場合、電解液注入後、OCV電圧が減少しながら0.1V以下に落ちることが確認された。これは、比較例1および2で絶縁層の絶縁特性に劣ることによって、電極間の内部微細短絡が発生したためである。これにより、実施例1ないし3の電気絶縁特性が比較例1および2に比べて優れていることを確認した。
【0128】
実験例3-リチウム二次電池の寿命特性評価
実施例1ないし3の電極組立体にカーボネート系電解質を注液してリチウム二次電池を製造した後、これに対する寿命特性(容量維持率)を、次の方法で評価した。
【0129】
各リチウム二次電池を上限電圧4.2VのCC/CV充電モードおよび下限電圧3VのCC放電モードで0.1C充放電した後、0.2C/0.2Cで4.2V~3V充放電を500サイクル実施して100サイクル間隔で容量維持率を測定した。実施例1ないし3に対する容量維持率測定結果は、
図3に示した。
【0130】
図3を参考にすると、実施例1ないし3は、200サイクル以下で95%以上の優れた容量維持率を示すことが確認された。さらに、実施例1(絶縁層の厚さの総和:33μm;厚さ比率:約19.64%)は、実施例2(絶縁層の厚さの総和:50μm;厚さ比率:約27.03%)および実施例3(絶縁層の厚さの総和:55μm;厚さ比率:約28.95%)に比べて、より優れた寿命特性を示すことが確認された。
【国際調査報告】