(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】物品を製造及び/又は加工する装置並びに物品を製造及び/又は加工する方法
(51)【国際特許分類】
B23P 23/04 20060101AFI20240905BHJP
B23Q 37/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B23P23/04
B23Q37/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514504
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022073985
(87)【国際公開番号】W WO2023036649
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123180.9
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524082395
【氏名又は名称】マルティヴェイティヴ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】フェーゲル・エリザ
(72)【発明者】
【氏名】フセネガー・ラウレンツ
【テーマコード(参考)】
3C042
【Fターム(参考)】
3C042RF09
(57)【要約】
本発明は、ツールが、作業保持手段にも、1つ又は複数の静止保持手段にも取着され、その際、それぞれ、それぞれ少なくとも1つの制御ユニットとの電気的な接続用の制御インタフェースに接続され得る、物品を製造及び/又は加工する装置に関する。さらに本発明は、対応する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を製造及び/又は加工する装置(100)であって、
ツール(150,151,152,153)が着脱自在に取り付け可能である作業保持手段(200)と、
前記作業保持手段(200)が取着されていて、前記作業保持手段(200)を可変にポジショニング可能であるマニピュレータ(116)と、
1つ又は複数の静止保持手段(300)であって、各静止保持手段(300)にツール(150,151,152,153)が着脱自在に取り付け可能である静止保持手段(300)と、
それぞれ少なくとも1つの制御ユニット(600,700)との電気的な接続用の1つ又は複数の制御インタフェース(500,510)と、
を備え、
前記作業保持手段(200)も、少なくとも1つの静止保持手段(300)も、前記作業保持手段(200)及び前記静止保持手段(300)に取り付けられたツール(150,151,152,153)との接続用のそれぞれ1つ又は複数の接続部を有し、前記作業保持手段(200)及び少なくとも1つの前記静止保持手段(300)の前記接続部は、少なくとも1つの制御インタフェース(500,510)に電気的に接続されている、
物品を製造及び/又は加工する装置(100)。
【請求項2】
前記静止保持手段(300)の1つの、幾つかの又はすべての接続部から、それぞれ1つのライン(540)が出ており、前記ライン(540)は、1つの、幾つかの又は各制御インタフェース(500,510)のそれぞれ1つの接点(520)に電気的に接続されている、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記作業保持手段(200)の1つの、幾つかの又はすべての接続部から、それぞれ1つのライン(530)が出ており、前記ライン(530)は、1つの、幾つかの又は各制御インタフェース(500,510)のそれぞれ1つの接点(520)に電気的に接続されている、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記制御インタフェース(500,510)は、互いに同種に形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記作業保持手段(200)用の圧縮空気供給部及び/又は負圧供給部を備え、
前記圧縮空気供給部及び/又は前記負圧供給部は、中央の制御ユニット(560)から、かつ/又は前記制御インタフェース(500,510)に接続される制御ユニット(600,700)から、動作制御可能である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記作業保持手段(200)用及び/又は前記静止保持手段(300)用の1つ又は複数の電力供給部(400)を備え、
前記電力供給部(400)は、中央の制御ユニット(560)から、かつ/又は前記制御インタフェース(500,510)に接続される1つ又は複数の制御ユニット(600,700)から、動作制御可能である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
少なくとも1つのマルチプレクサ(410)を備え、前記マルチプレクサ(410)は、複数の電力供給部(400)のうちの1つの電力供給部を前記作業保持手段(200)及び/又は前記静止保持手段(300)の1つ又は複数の接続部に選択的に接続すべく、形成されている、請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
各制御インタフェース(500,510)は、1つ又は複数の電気的な接点(520)を有し、各接点(520)は、1つ又は複数の接続部に電気的に接続されており、制御ユニット(600,700)に電気的に接続可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
幾つかの又はすべての接続部は、電気的な接点又はコネクタとして構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項10】
各静止保持手段(300)は、前記静止保持手段(300)に取り付けられたツール(150,151,152,153)との接続用のそれぞれ1つ又は複数の接続部を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記制御インタフェース(500,510)は、電子式の差し込みカードの形態の制御ユニット(600,700)用の差し込みスペースとして形成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記作業保持手段(200)は、前記マニピュレータ(116)により自動的に、かつ/又は電気式若しくは電子式に制御可能にポジショニング可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記マニピュレータ(116)は、ガントリ装置として形成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記作業保持手段(200)は、前記マニピュレータ(116)により3次元でポジショニング可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項15】
1つ又は複数の前記ツール(150,151,152,153)は、前記作業保持手段(200)及び1つの前記静止保持手段(300)の前記接続部、又は複数の前記静止保持手段(300)の前記接続部によってのみ、前記制御インタフェース(500,510)又は制御ユニット(600,700)に接続可能である、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記作業保持手段(200)は、ツール(150,151,152,153)をばね力の利用により保持し、かつ圧縮空気の利用により解除すべく、構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項17】
1つの、幾つかの又はすべての静止保持手段(300)は、1つ又は複数のレール(330,340)を有し、前記レール(330,340)上に、ツール(150,151,152,153)は、上から挿入されることができ、前記ツール(150,151,152,153)は、前記静止保持手段(300)の底に載置され得る、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項18】
前記静止保持手段(300)は、1つの線に沿って互いに隣接して配置されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項19】
前記接続部は、ツール(150,151,152,153)と制御ユニット(600,700)との間でデータ及び/又は電気的なエネルギを伝送すべく、それぞれの前記制御インタフェース(500,510)に接続されている、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項20】
中央の制御ユニット(560)を備え、
前記中央の制御ユニット(560)は、1つの、幾つかの又はすべての制御インタフェース(500,510)及び/又は制御ユニット(600,700)に接続されており、かつ/又は
前記中央の制御ユニット(560)は、前記マニピュレータ(116)を制御すべく、形成されている、
請求項1から19のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項21】
前記作業保持手段(200)に、又はそれぞれ1つの静止保持手段(300)に取り付けられている1つ又は複数のツール(150,151,152,153)と、
1つ又は複数の制御ユニット(600,700)と、
を備え、
各制御ユニット(600,700)は、それぞれ1つの制御インタフェース(500,510)に、1つ又は複数のツール(150,151,152,153)を制御すべく、接続されている、
請求項1から20のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項22】
1つの、幾つかの又はすべてのツール(150,151,152,153)は、電子式のツールIDを有し、かつ
前記ツール(150,151,152,153)は、前記ツール(150,151,152,153)の電子式のツールIDを、少なくとも1つの接続部を介して、中央の制御ユニット(560)に、かつ/又は制御インタフェース(500,510)に接続される少なくとも1つの制御ユニット(600,700)に、かつ/又は検出モジュール(570)に送信すべく、構成されている、
請求項21に記載の装置(100)。
【請求項23】
少なくとも1つのツール(150,151,152,153)又は複数のツール(150,151,152,153)は、付加的製造用のツール、フライス加工ツール(153)、走査ツール(152)、調量ツール(151)、装着ツール(150)、レーザ彫刻ツール、接着ツール又はロータリカッタである、請求項21又は22に記載の装置(100)。
【請求項24】
物品を製造及び/又は加工する方法であって、
少なくとも1つのツール(150,151,152,153)を静止保持手段(300)に取り付けるステップであって、前記ツール(150,151,152,153)は、前記静止保持手段(300)に取り付けられている間は、前記静止保持手段(300)の少なくとも1つの接続部により電気的に、前記ツール(150,151,152,153)に割り当てられた制御ユニット(600,700)に接続されているステップと、
前記ツール(150,151,152,153)を前記静止保持手段(300)から分離し、このとき、前記ツール(150,151,152,153)を作業保持手段(200)に取り付けるステップであって、前記ツール(150,151,152,153)は、前記作業保持手段(200)に取り付けられている間は、前記作業保持手段(200)の少なくとも1つの接続部により電気的に、前記ツール(150,151,152,153)に割り当てられた前記制御ユニット(600,700)に接続されているステップと、
前記ツール(150,151,152,153)を、前記作業保持手段(200)が取り付けられているマニピュレータ(116)によりポジショニングし、このとき、前記物品を前記ツール(150,151,152,153)により製造及び/又は加工するステップと、
を含む、物品を製造及び/又は加工する方法。
【請求項25】
請求項1から23のいずれか一項に記載の装置(100)により実施する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ツール(150,151,152,153)は、前記静止保持手段(300)及び/又は前記作業保持手段(200)の前記接続部によってのみ、前記制御ユニット(600,700)に接続されている、請求項24又は25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を製造及び/又は加工する装置並びに対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品、例えば機械部品の製造は、従来、多くの場合、切削加工又はその他の除去加工により実現されていた。典型的には、ブランクが使用され、ブランクから、不要な部分が除去されていた。しかし、近年は、付加的製造方法が、数多の用途において利点を有し、特に、よりフレキシブルであり、必要とされる材料も少なくて済むことが明らかとなっている。同じく、プリント基板の製造時、つまり、例えばプリント基板に電子コンポーネントを装着するとき、多くのさらなる製造技術が有意義であることが明らかとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、公知の構成と比較して代替的に又はより良好に構成されている、物品を製造及び/又は加工する装置を提供することである。さらに本発明の課題は、対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このことは、本発明により、それぞれの主請求項に記載の装置及び方法により達成される。
【0005】
有利な構成は、例えばそれぞれの従属請求項に看取可能である。特許請求の範囲の内容を参照することを明示し、明細書の内容に引用する。
【0006】
本発明は、物品を製造及び/又は加工する装置に関する。装置は、ツールが着脱自在に取り付け可能である作業保持手段を備えている。装置は、作業保持手段が取着されていて、作業保持手段を可変にポジショニング可能であるマニピュレータを備えている。装置は、1つ又は複数の静止保持手段であって、各静止保持手段にツールが着脱自在に取り付け可能である静止保持手段を備えている。装置は、それぞれ少なくとも1つの制御ユニットとの電気的な接続用の1つ又は複数の制御インタフェースを備えている。作業保持手段も、少なくとも1つの静止保持手段も、合目的的には、作業保持手段及び静止保持手段に取り付けられたツールとの接続用のそれぞれ1つ又は複数の接続部を有し、作業保持手段及び少なくとも1つの静止保持手段の接続部は、少なくとも1つの制御インタフェースに電気的に接続されている。
【0007】
このような装置により、ツールは、それが必要とされない間は、静止保持手段内に保持されることができ、それが使用される間は、作業保持手段により収容されることができ、両ケースとも、ツールの制御及び/又は供給が、制御インタフェースに接続される制御ユニットにより可能である。装置の運転は、こうして大幅に簡単化され得る。特に、ツールへのダイレクトなライン、例えば、持続的にツールに取り付けられているフレキシブルなラインは、省略可能である。このことは、ツールの交換及び新しいツールの使用を容易にし、かつツールの使用半径を拡大させる。
【0008】
装置は、特に3Dプリンタをなしていてもよい、又は3Dプリンタとして形成されていてもよい。
【0009】
物品の製造とは、特に、物品自体が生じることと解してもよい。このことは、例えば付加的製造の範囲内で実施され得る。その際、材料は、例えばツールにより、ストックされ、物品、物品の一部又はその後さらに加工すべき部品が生じるように被着される。物品の加工とは、特に、既に存在する物品が材料除去により、又は材料の被覆により変更されることと解してもよい。物品は、例えばプリント基板であってもよく、プリント基板には、多様な電気構成素子及び/又は電子構成素子が装着され、又は別の加工が実施される。しかし、その他の物品であっても構わない。
【0010】
作業保持手段は、特に、ツールが今使用されるときに取り付けられる保持手段である。マニピュレータにより、作業保持手段は、必要な場所に移動され得るように動かされ得る。例えば作業保持手段は、加工又は製造すべき物品の近傍にもたらされ得る。マニピュレータは、例えば作業保持手段の3次元のポジショニングを可能とし得る。マニピュレータは、2次元又は1次元のポジショニングも可能とし得る。多次元、例えば4次元、5次元又は6次元のポジショニングも可能である。この場合、例えばさらに1つ又は複数の回転軸線、例えば1つの回転軸線、2つの回転軸線又は3つの回転軸線が、コントロールされ得る。マニピュレータは、作業保持手段を正確にポジショニングすべく、特に狙い定めて制御可能であり得る。
【0011】
静止保持手段は、特に、それぞれのツールを、それが今は必要とされないとき、保持すべく、形成されていることができる。このことは、特に自動的なツールチェンジも可能にする。それというのも、装置自体が、その静止保持手段に、予定されるすべてのツールを保持することができ、これらのツールが、必要なときに、作業保持手段により収容され得るからである。静止保持手段内で、ツールは、電気的に接点接続されることも可能であり、その結果、例えばウォームアップフェーズを静止保持手段内で実施することができ、データを交換することができ、コントロールを実施することができ、又はツールに新しい消費材料を供与することができる。制御インタフェースは、特に、それぞれの制御ユニットに接続され得るインタフェースである。例えば制御インタフェースは、差し込みカード用の差し込みスペースであってもよく、これに応じて制御ユニットは、特に、制御インタフェース内に差し込まれ得る差し込みカードであってもよい。制御ユニットと制御インタフェースとの間の電気的な接続を形成すべく、制御インタフェースは、例えば接点を有していてもよく、制御ユニットは、これに対して相補的な接点を有していてもよい。しかし、別の構成も使用可能である。制御インタフェースは、制御ユニットへの、それぞれの固定的な、例えば固定的に配線された接続を形成していてもよい。制御インタフェースの場合、このケースは、固定的に接続された接点と称呼されてもよい。制御ユニットが、接続を機械的に解除することなく除去可能であるときは、オープン型の接点と称呼されてもよい。
【0012】
接続部は、例えば、ツールとそれぞれの保持手段との間の電気的な接続を形成し得る接点であってもよい。作業保持手段内に、1つ又は複数の接点が存在しているようにしてもよく、さらに、それぞれの静止保持手段内に、同じく形成されており、ツールをそれゆえ、作業保持手段の接点により接点接続されているのと同様に接点接続することが可能な1つ又は複数の接点が設けられているようにしてもよい。しかし、異なる種類の接点が、作業保持手段と静止保持手段とに設けられていてもよい。特に、例えばすべての機能性が静止保持手段内では必要とされない場合、静止保持手段内では、作業保持手段内よりも少ない接点が使用されてもよい。
【0013】
基本的には、少なくとも1つの作業保持手段と、少なくとも1つの静止保持手段とが存在しているが、複数の静止保持手段が存在していてもよいことは、自明である。複数の作業保持手段が存在していることも可能である。これらは、例えばそれぞれ異なる観察課題に適合されていることができる。さらに、基本的には、複数の静止保持手段のうちの少なくとも1つの静止保持手段が、この静止保持手段に取り付けられたツールとの接続用のそれぞれ1つ又は複数の接続部を有し、かつこのような接続部を有しないか、又は別の種類の接続部を有する別の静止保持手段が存在していてもよいことは、自明である。基本的には、複数の又はすべての静止保持手段が、相応の接続部を有していてもよい。
【0014】
装置は、これまで説明した装置の形態では、1つ又は複数のツール及び1つ又は複数の制御ユニットと相互作用すべく、構成されている。つまり、ツール及び/又は制御ユニットは、必ずしも装置の構成部分である必要はない。ツール及び/又は制御ユニットは、しかし、装置の構成部分であってもよい。
【0015】
静止保持手段の1つの、幾つかの又はすべての接続部から、それぞれ1つのラインが出ており、この又はこれらのラインは、1つの、幾つかの又は各制御インタフェースのそれぞれ1つの接点に電気的に接続されているようにしてもよい。このようなラインにより、制御インタフェースあるいは制御インタフェースに接続される制御ユニットからの、電力及び/又はデータ通信及び/又は信号通信の、それぞれの接続部への直接的な供給が実施され得る。
【0016】
作業保持手段の1つの、幾つかの又はすべての接続部から、それぞれ1つのラインが出ており、この又はこれらのラインは、1つの制御インタフェースの、幾つかの制御インタフェースの、又は各制御インタフェースのそれぞれ1つの接点に電気的に接続されているようにしてもよい。このことは、作業保持手段の接点によるツールへの相応の供給を可能にする。
【0017】
特に、静止保持手段の1つ又は複数の接続部において、作業保持手段のそれぞれ1つの対応する接続部が、同じ制御インタフェースに、かつ/又は制御インタフェースの同じ接点に接続されているようにしてもよい。この種の接続は、切り換え可能に構成されていてもよい。1つの機能性は、これにより静止保持手段内と作業保持手段内とで同等に動作制御あるいは供給され得る。
【0018】
接続部とは、特に、ツールとの電気的なエネルギ、データ又は流体若しくはその他の物質の交換用に形成されている要素と解すべきである。ツールの存在を検出する純然たる検出器は、接続部とは見なされない。
【0019】
制御インタフェースは、特に互いに同種に形成されていてもよい。このことは、制御ユニットのモジュール式の簡単な交換を可能にする。特に制御インタフェースは、例えばエンクロージャ内に配置されていてもよく、エンクロージャは、制御インタフェース及び制御ユニットの機械的な保護を形成する。しかし、異種の制御インタフェースが、装置内で使用されてもよい。
【0020】
装置は、一構成によれば、作業保持手段用の圧縮空気供給部及び/又は負圧供給部を備えていてもよい。圧縮空気供給部及び/又は負圧供給部は、特に中央の制御ユニットから、かつ/又は制御インタフェースに接続される制御ユニットから、動作制御可能であってもよい。このような構成は、ツールへの圧縮空気及び/又は負圧の供給を可能にする。ここで、圧縮空気は、例えば加圧下にある空気流をいうことができ、これに対して、負圧は、大気圧を下回る圧力とされるラインにより設定されていることができる。このことは、例えば真空ポンプ又はその他のポンプにより実施され得る。圧縮空気は、例えばコンプレッサにより設定され得る。中央の制御ユニットは、特に、制御インタフェースに接続される制御ユニットに対して付加的に存在している制御ユニットであってもよい。中央の制御ユニットは、特に中央の機能、例えば、今しがた言及したような圧縮空気供給部及び/若しくは負圧供給部の制御並びに/又はマニピュレータ若しくは装置のその他のコンポーネントの制御を担うことができる。中央の制御ユニットは、例えば差し込みカードとして構成され、又はコンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ(SPSS=speicherprogrammierbare Steuerung)、特定用途向け集積回路(ASIC=Application Specific Integrated Circuit)として、若しくはその他のプログラミング可能なあるいは固定的に配線されたユニットとして構成されていてもよい。その他の点では、制御ユニットの構成についても同じことがいえる。
【0021】
圧縮空気及び/又は負圧は、特にツールチェンジのために利用可能であり、例えばツールは、負圧により保持されることができ、又は圧縮空気により動かされ得る。圧縮空気操作式又は真空操作式のコンポーネントが、ツール内に設けられていてもよく、これらのコンポーネントには、今しがた説明したように供給がなされ得る。例えば圧縮空気により、ツール内で、タービンや、ドリル又はその他の加工ユニットを駆動するその他の要素が、駆動され得る。負圧は、例えばツールに、別のコンポーネントや、加工すべき部品を吸着すべく、利用され得る。
【0022】
一構成によれば、装置は、作業保持手段用及び/又は静止保持手段用の1つ又は複数の電力供給部を備えている。電力供給部は、特に中央の制御ユニットから、かつ/又は制御インタフェースに接続される1つ又は複数の制御ユニットから、動作制御可能であってもよい。このことは、ツール用の中央の電力供給を可能にし、その結果、このような電力供給は、制御インタフェースを介して提供される必要がない。代替的又は付加的に、このような電力提供は、制御インタフェースを介して実施されてもよい。今しがた説明したような電力供給部は、基本的には、それが独立的に実装可能であり、典型的には、より高出力に構成されていることが可能であるという利点を有している。例示的な一構成では、4つの接点を介して、同時にそれぞれ230V/10Aが伝送され得る。合計では、つまり、最大230V/20A(流入及び流出の保証時)が可能であり、このことは、4kWまでの電力に相当する。例えば高電力供給部であってもよい。提供される電力により、ツール内で、例えば加熱素子、電気モータ、リレー、アクチュエータ又はランプが運転され得る。中央の制御ユニットに関しては、上記の説明を参照されたい。
【0023】
装置は、一構成によれば、少なくとも1つのマルチプレクサを備えていてもよく、マルチプレクサは、複数の電力供給部のうちの1つの電力供給部を作業保持手段及び/又は静止保持手段の1つ又は複数の接続部に選択的に接続すべく、形成されている。これにより、必要に応じて、1つの好適な電力供給部を複数の中から選択することができ、電力は、好適な箇所で作業保持手段に、かつ/又は複数の静止保持手段のうちの1つ若しくは複数の静止保持手段に提供され得る。
【0024】
各制御インタフェースは、又は複数の制御インタフェースのうちの1つだけ、又は幾つかも、特に1つ又は複数の電気的な接点を有していることができ、各接点は、1つ又は複数の接続部に電気的に接続されており、制御ユニットに電気的に接続可能である。接続部は、この場合、特に、ずっと上で既に言及した接続部である。接点は、例えばタブ又は面として構成されていてもよく、特に電気的に伝導性である。制御インタフェースの接点は、例えば、互いに差し込まれ得るDIN 41612による差し込み接続器として構成されていてもよい。
【0025】
特に、幾つかの又はすべての接続部は、電気的な接点又はコネクタとして構成されていてもよい。電気的な接点は、例えば表面の、ラインに接続されている伝導性の部分であってもよい。表面のこの伝導性の部分には、例えばツールの相補的な伝導性の部分が接点接続し、ひいては電気的な接続を形成することができる。コネクタは、例えば、互いに相補的な、突出したかつ/又は係合されたコンポーネントの係止及び/又は接点接続が可能であるように形成されていることができる。幾つかの又はすべての接続部は、ばね式接点として構成されていてもよい。
【0026】
特に、各静止保持手段は、静止保持手段に取り付けられたツールとの接続用のそれぞれ1つ又は複数の接続部を有していてもよい。しかし、例えば、制御インタフェースとの接続用の接続部は有していないが、それにもかかわらず、ツールの識別用の1つ又は複数の接続部を有していてもよい付加的な静止保持手段が設けられていてもよい。しかし、ツールとの接続用の接続部を有しない静止保持手段が設けられていてもよい。
【0027】
特に制御インタフェースは、電気的な差し込みカードの形態の制御ユニット用の差し込みスペースとして形成されていてもよい。このことは、単純な構成を可能にし、かつ特に差し込みカードの簡単な交換も可能にする。制御インタフェース及び/又は差し込みスペースは、特にエンクロージャ又はその他の囲繞されたハウジング内に配置されていてもよく、これにより、機械的な損傷、塵埃から、さらには、不正な交換又は操作からも、保護され得る。
【0028】
作業保持手段は、特にマニピュレータにより自動的に、かつ/又は電気式若しくは電子式に制御可能にポジショニング可能であってもよい。このことは、作業保持手段、ひいては作業保持手段に取着されたツールの正確なポジショニングを可能にし、作業保持手段をポジショニングすべく、例えば3次元の座標系が使用され、又は円筒座標系若しくは球面座標系も使用され得る。
【0029】
マニピュレータは、特にガントリ装置として形成されていてもよい。このことは、例えば、ビームが、ある保持手段に沿ってx方向で走行可能であり、このとき、この保持手段は、z方向で、つまり高さ方向で走行可能であることを意味し得る。ビームに沿って、作業保持手段は、例えばy方向で走行可能であり得る。挙げた方向(x,y,z)は、特に互いに垂直であり得る。特にxy平面は、水平平面を規定し得る。
【0030】
作業保持手段は、特にマニピュレータにより3次元でポジショニング可能であってもよい。このことは、特に高いフレキシビリティを可能にする。しかし、2次元又は1次元のポジショニング可能性や、4次元、5次元又は6次元のポジショニング可能性も、可能である。
【0031】
1つ又は複数のツールは、特に、作業保持手段及び1つの静止保持手段の接続部、又は複数の静止保持手段の接続部によってのみ、制御インタフェース又は制御ユニットに接続可能である又は接続されていることができる。このことは、特に、それぞれのツールへの付加的な接続、特に電気的な接続及び/又は空気圧の接続が、存在しないことを意味し得る。従来技術において公知の構成では、ツールへの供給のために、かつ具体的には、そのツールが今使用されるのか、又は静止保持手段内に存在しているのか、に関わらず、フレキシブルなラインが使用されることが多い。フレキシブルなラインは、これにより、従来技術において公知の構成では、常にツールに接続されており、ツールの可動範囲及び交換可能性を制限してしまう。ここで説明する装置の場合、有利には、このことが省略され得るので、ツールは、より簡単に交換可能であり、かつ動作半径は、拡張される。
【0032】
作業保持手段は、特に、ツールをばね力の利用により保持し、かつ圧縮空気の利用により解除すべく、構成されていてもよい。このことは、有利な構成として実証されており、例えばばねが係止を提供することができ、この係止は、圧縮空気により解除され得る。特に1つ又は複数のゼロポイントクランプが使用され得る。
【0033】
1つの、幾つかの又はすべての静止保持手段は、それぞれ1つ又は複数のレールを有していてもよく、レール上には、例えばそれぞれのツールが、上から挿入され得る。ツールは、例えば静止保持手段の底に載置され得る。
【0034】
静止保持手段は、特に1つの線に沿って互いに隣接して配置されていてもよい。この線は、例えば直線であっても、曲線であってもよい。このことは、単純な構成を可能にする。
【0035】
接続部は、特に、ツールと制御ユニットとの間でデータ及び/又は電気的なエネルギを伝送すべく、それぞれの制御インタフェースに接続されていてもよい。データは、特に双方向で伝送されてもよいし、単方向でのみ伝送されてもよい。これにより、例えばツールは、制御可能であり、例えば指令を取得し、ソフトウェアを更新し、又は測定値若しくはその他のデータを読み出すことができる。電気的なエネルギは、特にコンポーネント、例えば電気モータ、磁石、ライト又は加熱素子を駆動するために用いられ得る。
【0036】
装置は、特に中央の制御ユニットを備えていてもよい。この中央の制御ユニットは、例えば、既にずっと上で言及した中央の制御ユニットであってもよい。中央の制御ユニットは、特に1つの、幾つかの又はすべての制御インタフェースに接続されていてもよい。このことは、中央の制御ユニットと、制御インタフェースに接続されているそれぞれの制御ユニットとの間の通信を可能にする。中央の制御ユニットは、1つの、幾つかの又はすべての制御ユニットに接続されていてもよい。このことは、例えばCANバス又はその他バスシステムにより実施され得る。中央の制御ユニットは、特にマニピュレータを制御すべく、形成されていることができる。このことは、マニピュレータの中央制御を可能にし、その結果、各制御ユニットは、マニピュレータの制御を行える必要がない。このことは、例えば各制御ユニットが、1つのツール又は複数のツールに割り当てられていることができるようになるため、特にモジュール性を向上させる。
【0037】
装置は、特に、作業保持手段に、又はそれぞれ1つの静止保持手段に取り付けられている1つ又は複数のツールを備えていてもよい。このことは、特に機能的に解すべきであって、すなわち、各ツールは、作業保持手段か、1つの静止保持手段に取り付けられており、このとき、典型的には、2つ以上のツールが同時に、作業保持手段又はそれぞれの静止保持手段に取り付けられていない。装置は、特に1つ又は複数の制御ユニットを備えていてもよく、各制御ユニットは、それぞれ1つの制御インタフェースに、1つ又は複数のツールを制御すべく、接続されている。このことは、特に、各ツールが、割り当てられた制御ユニット、例えば差し込みカードであって、例えばそれぞれのツールと一緒に販売され得る差し込みカードを有していることができるので、特に高いモジュール性を可能にする。このことは、顧客の要求に応じたモジュール性も可能にする。それというのも、装置自体は、装置に様々なツールが装着可能であり、各顧客は、自身が実際にも必要とするツール及び割り当てられた制御ユニットのみを有しているように、構成されていることができるからである。
【0038】
特に1つの、幾つかの又はすべてのツールは、電子式のツールIDを有していてもよい。これらのツールは、特に、ツールの電子式のツールIDを、少なくとも1つの接続部を介して、中央の制御ユニットに、又は制御インタフェースに接続される少なくとも1つの制御ユニットに送信すべく、構成されていてもよい。これによりツールは、識別可能である。ツールは、ツールの電子式のツールIDを検出モジュールに送信すべく、構成されていてもよい。この検出モジュールは、作業保持手段内の、かつ/又は1つの、幾つかの若しくはすべての静止保持手段内のツールの検出を行うべく、構成されていてもよい。例えば、タイプ又はある特定のツールを識別すべく、構成されていてもよい。ツールIDは、例えば、ツールの種類についてのIDを包含しているように形成されていてもよい。ツールIDは、ある特定ツールの一意的なID、例えばシリアルナンバの形態のIDを包含していてもよい。IDは、静止保持手段を介しても、作業保持手段を介しても送信され得る。このことは、両種の保持手段内のツールの識別を可能にする。
【0039】
以下に種々異なるツールについて説明する。1つのツール又は複数のツールは、このリストから取り出され得る。例えば付加的製造用のツール、フライス加工ツール、走査ツール、調量ツール、装着ツール、レーザ彫刻ツール、接着ツール及び/又はロータリカッタが存在していてもよい。別のツールも使用可能である。
【0040】
以下に、幾つかのツールについて、表にして、これらのツールの典型的な機能性と、可能な接続部とを表示する。接続部は、特に、割り当てられる制御ユニットの形成に関わる。言及しておくと、ここには、典型的なもの又は好ましいものを表示してあるが、別の機能性、接続部及び値も使用可能である。
【表1】
【0041】
さらに本発明は、物品を製造及び/又は加工する方法であって、
少なくとも1つのツールを静止保持手段に取り付けるステップであって、ツールは、静止保持手段に取り付けられている間は、静止保持手段の少なくとも1つの接続部により電気的に、ツールに割り当てられた制御ユニットに接続されているステップと、
ツールを静止保持手段から分離し、このとき、ツールを作業保持手段に取り付けるステップであって、ツールは、作業保持手段に取り付けられている間は、作業保持手段の少なくとも1つの接続部により電気的に、ツールに割り当てられた制御ユニットに接続されているステップと、
ツールを、作業保持手段が取り付けられているマニピュレータによりポジショニングし、このとき、物品をツールにより製造及び/又は加工するステップと、
を含む、物品を製造及び/又は加工する方法に関する。
【0042】
このような方法により、各ツールが常に作業保持手段に、又は複数の静止保持手段のうちの1つの静止保持手段に取り付けられており、それぞれの保持手段を介して、割り当てられた制御ユニットに接続されていることが保証され得る。このことは、ツールをそれぞれの制御ユニットにより、そのツールが今どこに存在するかによらず、制御することを可能にする。それにもかかわらず、持続的な接続、例えばフレキシブルなラインの形態の接続は、省略され得る。
【0043】
本方法は、特に、ここで説明したような装置により実施され得る。この装置に関しては、本明細書で説明したすべての構成及び変化態様が援用され得る。装置に関して与えられたすべての特徴が、方法にも適用可能であることは、自明である。同じことは、反対方向にもいえる。
【0044】
ツールに割り当てられる制御ユニットは、特に、複数の制御ユニットからの1つの制御ユニットであってもよい。特に、複数のツールからの各ツールには、それぞれ、正確に1つの制御ユニットが割り当てられていてもよい。
【0045】
本明細書において説明する方法は、ツールが、それぞれの保持手段あるいはその接続部を介して制御ユニットに接続されていないときも、実施され得ることは、自明である。例えばこの方法は、制御ユニットとの接続を必要とするツールにより実施されることも、このような接続を必要としないツールにより実施されることも可能である。特に装置は、この説明する方法を実施するものの、例えば制御ユニットへの接続を一切必要としないツールも使用するために、形成されていてもよい。
【0046】
ツールは、例えば静止保持手段及び/又は作業保持手段の接続部によってのみ、制御ユニットに接続されていてもよい。これにより、特に、ツールへのフレキシブルなライン又はその他のダイレクトな接続は、省略され得る。このことは、フレキシビリティを向上させ、交換可能性を容易にする。
【0047】
当業者は、さらなる特徴及び利点を、添付の図面を参照しながら以下に説明する実施例から見出す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】物品を製造及び/又は加工する装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、物品を製造及び/又は加工する装置100を概略的に示している。装置100は、架構110を備え、架構110は、図示の構成では、計4つの脚112により任意のベース上に立つことができ、これらの4つの脚112のうち、
図1には、3つが看取可能である。
【0050】
架構110は、とりわけ加工表面120を支持している。加工表面120上には、加工すべき物品を下ろすことができる。物品を新規に、例えば3D印刷の範囲内で生成することも同じく可能である。
【0051】
架構110には、さらにガントリ130が組み付けられている。ガントリ130は、架構110の短辺に沿って走行可能、具体的には、架構110の後ろに取着される第1の電気モータ132により走行可能である。今しがた説明したようにガントリ130がそれに沿って走行可能な方向は、y方向と称呼し得る。
【0052】
ガントリ130の傍らには、図示しないラインガイドが配置され得る。ラインガイドを介して、詳しくは図示しないラインが、架構110とガントリ130との間でガイドされる。この種のラインは、例えば電流供給、圧縮空気又は真空の供給、並びにデータ交換及び/又は信号交換に用いられ得る。
【0053】
ガントリ130には、ここでは、第1のレール134と、第2のレール136とが形成されている。第1のレール134及び第2のレール136は、水平に架構110の長辺の方向で延在し、この方向は、x方向と称呼し得る。レール134,136は、本例では、覆い隠されるように構成されている。すなわち、レール134,136は、フレキシブルなカバー要素、例えば毛により覆い隠される。
【0054】
ガントリ130には、モジュールホルダ140が取着、具体的には、今しがた説明した両レール134,136に沿ってx方向で摺動され得るように取着されている。このために第2の電気モータ142が用いられる。付加的に第3の電気モータ144が設けられており、第3の電気モータ144により、モジュールホルダ140は、鉛直に、つまりz方向で走行され得る。モジュールホルダ140は、これにより、合わせて3次元で自由に空間内においてポジショニングされ得る。このポジショニングの限界は、場合によっては、挙げた要素の幾何学的な所与の条件により予め設定される。
【0055】
モジュールホルダ140には、作業保持手段200が配置されている。作業保持手段200については、以下に
図2を参照しながら詳しく説明する。作業保持手段200には、物品を製造及び/又は加工すべく、ツールを取り付けることができる。このことについては、さらに下で詳しく立ち入るものとする。
【0056】
装置100は、さらに計5つの静止保持手段300を備えている。静止保持手段300は、それぞれのツールを、そのツールが今は物品を製造及び/又は加工するためには必要とされないときに、収容するために用いられる。静止保持手段300は、図示のように直接的に相並んで配置されており、さらに下で
図3を参照しながら詳しく説明する。
【0057】
ガントリ130とモジュールホルダ140とは、相俟ってマニピュレータ116と見なされ得る。マニピュレータ116は、作業保持手段200を走行させ、ポジショニングすることができる。
【0058】
最も左側に配置される静止保持手段300は、本例では、ツールに占拠されていない。
【0059】
左から見て2番目の静止保持手段300内には、本例では、装着ツール150が収容されており、このような装着ツール150は、典型的には、中空軸を有するモータを有し、中空軸内には、真空が印加可能である。この真空により、構成部品を保持し、ポジショニングすることができる。中空軸は、モータにより回転可能である。このことは、構成部品、例えばプロセッサ又はその他の微細電子コンポーネント若しくは電気コンポーネントのポジショニング及びアライメントを可能にする。これにより、例えば基板の実装を行うことができる。
【0060】
左から見て3番目の静止保持手段300内には、本例では、調量ツール151が存在し、調量ツール151は、例えばカートリッジ、チューブ、スピンドル及び電気モータを有している。電気モータにより、スピンドルは、カートリッジ内に貯蔵された材料、例えばはんだ付けペースト又はシール手段を圧送し、下側から吐出すべく、駆動され得る。これにより、この材料は、加工すべき物品上に被着され得る。
【0061】
左から見て4番目の静止保持手段300内には、3D測定走査ツール152が存在し、3D測定走査ツール152は、下側に可動のピンを有し、ピンにより、物品は走査され得る。このとき、物品との接触により生起されるピンの動きは、捕捉され得る。これにより、物品の表面についての極めて正確な情報が取得され得る。
【0062】
最も右側に配置される静止保持手段300内には、本例では、フライス加工ツール153が存在し、フライス加工ツール153は、下側にフライスを有し、フライスは、電気モータにより回転可能である。フライス加工ツール153は、場合によっては生じるフライス加工くずを直接的に吸引すべく、吸引部も有している。このために、詳しくは図示しない吸引シューが設けられていてもよく、吸引シューは、フライス加工くずが側方に流れてしまわないように、毛を有していてもよい。吸引シューは、浮動式に組み付けられていてもよく、その結果、吸引シューは、例えば自動的に、加工すべき物品の高さ及び/又は輪郭に適合し得る。
【0063】
ツール150,151,152,153がここでは概略的に図示し、大まかに説明したものにすぎないことは、自明である。別のツール、例えば3D印刷用の材料を放出する3D印刷ツールも、例えば使用可能である。
【0064】
図2は、既に言及した作業保持手段200をより大きな詳細度で示している。上側に、この場合は、まず長穴状の吸引部210が設けられている。これにより、例えばフライス加工くずは、ずっと上で既にフライス加工ツール153との関連で言及したように吸引され得る。さらに下には、第1のゼロポイントクランプ220と、第2のゼロポイントクランプ225とが設けられている。これにより、既に言及したツールの1つが、又は別のツールも、好適な形式で作業保持手段200に機械的に取り付けられ得る。
【0065】
吸引部210より下の上側には、側方に、真空接続部230と圧縮空気接続部235とが設けられている。これにより真空と圧縮空気とが提供され得る。逆の配置構成も可能である。作動時に、圧縮空気及び/又は真空がかかっているべきか否か、そして、それがどこにかかっているべきかを、決定し得るようになっていてもよい。真空とは、この場合、特に大気圧を下回る圧力と解され、例えば好適なポンプにより発生され得る。圧縮空気とは、特に大気圧を上回る圧力を有する空気と解され、同じく好適なポンプにより発生され得る。
【0066】
両ゼロポイントクランプ220,225間には、高電力電流供給接続部240が設けられている。これにより、取り付けられたツールに、存在するその他の供給ラインの定格を超える高い電流及び/又は高い電圧が供給され得る。
【0067】
高電力電流供給接続部240の左右のすぐ横には、取り付けねじ用の皿穴250,255が設けられている。
【0068】
両皿穴250,255のさらに外側には、本例では、4つの第1の小電圧接続部260と、4つの第2の小電圧接続部265とが設けられている。これらの小電圧接続部260,265は、ばね式の接点として構成されており、36Vまでの電圧を伝送し得る。
【0069】
さらに、それぞれ、これらの小電圧接続部260,265の外側には、本例では、10個の第1のユニバーサル接続部270と、10個の第2のユニバーサル接続部275とが設けられている。これらのユニバーサル接続部270,275は、同じくばね式の接点として構成されており、例えば信号、データ又はアナログ信号、例えば小さな電流若しくは電圧を伝送するために使用され得る。
【0070】
本明細書で説明する構成が例示にすぎず、相応の特徴を独立請求項に取り込まない限り、決して限定的に解すべきものでないことは、自明であるが、その権利は、当然留保されている。
【0071】
図3は、目下のところツールが装着されていない静止保持手段300をより大きな詳細度で示している。その際、静止保持手段300内には、下側に、計10個のユニバーサル接続部310が設けられていることが看取可能であり、これらのユニバーサル接続部310は、データ、アナログ信号、その他の信号、電流又は電圧をツールへ、そしてツールから、伝送するために用いられる。ツールを認識するためにも、これらのユニバーサル接続部310は、使用可能である。さらに本例では、4つの電圧供給接続部320が設けられており、電圧供給接続部320は、収容されたツールの電圧供給及び電流供給のために用いられる。
【0072】
静止保持手段300の側方には、下側のレール330と、上側のレール340とが設けられている。これらのレール330,340は、静止保持手段300内に収容されたツールを保持するために用いられる。このために、ツール内には、それぞれの空所が存在しており、その結果、ツールは、水平にレール上に押し込まれ、その後、下降されることができ、その結果、その後占められた状態で、レール330,340によって保持される。続いて、ツールは、既にずっと上で言及したゼロポイントクランプ220,225から解除されることができ、作業保持手段200は、離され、別の任務のために使用され得る。
【0073】
図4は、純粋に概略的に装置100の回路図を示している。その際、概略的にガントリ130を、ガントリ130に取着されたモジュールホルダ140と、その作業保持手段200とともに示してある。さらにそこには、概略的にツール150を示してあり、ツール150は、作業保持手段200に取り付けられており、ひいては物品の加工に使用され得る。静止保持手段300のうち、機能性及び構造について概略的に説明するために用いる計4つの静止保持手段300を示してある。図示の静止保持手段300のうち、3つの静止保持手段300は、さらに下で説明するように、制御インタフェースへの接続を有し、1つの静止保持手段300(最も左側)は、このような接続を有していない。
【0074】
作業保持手段200は、図示のようにマルチプレクサ410を介して電力供給部400に接続されており、電力供給部400は、さらに下で説明するように制御ユニットに接続されている。これにより、高い電力が提供されることができ、この高い電力は、例えば既にずっと上で言及した高電力電流供給接続部240を介して出力され得る。マルチプレクサ410を介して、さらに別の電力供給部も接続され、かつ使用され得る。これらの別の電力供給部は、図示していない。
【0075】
複数の制御インタフェース500,510が存在し、本例では、4つの制御インタフェース500,510を概略的に示してある。基本的には、任意の数の制御インタフェース500,510が使用可能であることは、自明であり、これにより、相応に多数の機能性及び高い可変性を提供することができる。これらの制御インタフェースのうち、1つの最上位の制御インタフェース510が設けられている。制御インタフェース500の各々と、最上位の制御インタフェース510とは、本例では、差し込みカード用の差し込みスペースとして形成されており、その結果、制御インタフェース500,510には、簡単に差し込みカードが装着され得る。制御インタフェース500,510は、簡略的にのみ示す接点520を有し、接点520により、制御インタフェース500,510内に存在する差し込みカードに対するそれぞれの電気的な接続が実施され得る。接点520は、以下に説明するように、かつ
図4に示すように、作業保持手段200と静止保持手段300とに接続されている。
【0076】
作業保持手段200からは、図示のように、本例では、3つのライン530が出ている。これらのライン530は、
図4の図示では、最上位の制御インタフェース510の下の、最も上側に配置される制御インタフェース500の左側から分岐しており、これにより、制御インタフェース500の各々と、最上位の制御インタフェース510とに接続されている。ここに示す3つのライン530が例示にすぎず、基本的には、任意の数のこのようなライン530が使用可能であることは、自明である。
【0077】
右端に示してある3つの静止保持手段300からは、同じくそれぞれ3つのライン540が出ている。この場合も、言及しておくならば、ここで任意の数のラインを使用することが可能である。これらのライン540も、それぞれ、すべての制御インタフェース500と、最上位の制御インタフェース510とに接続されている。
【0078】
言及したライン530,540により、これにより電流、電圧、信号、アナログ信号及び/又はデータが、作業保持手段200と、制御インタフェース500と、最上位の制御インタフェース510との間で、かつ言及した静止保持手段300と、制御インタフェース500と、最上位の制御インタフェース510との間でも、交換され得る。それぞれのライン530,540が接続されている既に言及した接点520により、これに応じて、制御インタフェース500及び最上位の制御インタフェース510内に収容された差し込みカードと相応に交換されることが可能とされる。さらに下で詳しく立ち入る差し込みカードは、これにより、作業保持手段200内に、かつ/又は複数の静止保持手段300のうちの1つの静止保持手段300内に収容されているツールの制御のために使用され得る。
【0079】
ツールが作業保持手段200及び/又は静止保持手段300内に存在しているか否かを認識すべく、検出モジュール570と、中央の制御ユニット560とが設けられている。中央の制御ユニット560は、ツールが作業保持手段200に取り付けられているか否かを検出すべく、ダイレクトに作業保持手段200に接続されている。データの付加的な交換、例えば、それぞれのツールの一意的なID又はモデルIDの取得により、それがどのツールであるかについても推定することができる。
【0080】
さらにCANバス550が設けられており、CANバス550は、中央の制御ユニット560にも、検出モジュール570にも接続されている。検出モジュール570は、すべての静止保持手段300に接続されており、これに応じて、それぞれのツールが静止保持手段300内に存在しているか否かを検出することができる。一意的な識別及び/又はタイプの識別も、今しがた作業保持手段200に関して説明したように実施され得る。CANバス550を介して、相応のフィードバックが、中央の制御ユニット560へ提供され得る。中央の制御ユニット560には、これにより、どのツールが静止保持手段300内に存在しているかについても情報提供されている。
【0081】
各制御インタフェース500内には、それぞれの制御ユニット600が収容されている。制御ユニット600は、差し込みカードとして構成されており、これにより、制御インタフェース500の接点520と直接的に接点接続可能である。最上位の制御インタフェース510内には、最上位の制御ユニット700が収容されており、最上位の制御ユニット700は、基本的には、制御ユニット600と同等に形成されている。制御ユニット600に関するすべての以下の説明は、最上位の制御ユニット700に対しては符号を値100の分だけ増やすという条件はあるが、相応に最上位の制御ユニット700に当てはまる。最上位の制御インタフェース510及び最上位の制御ユニット700は、
図4において一番上に配置されているがゆえに、そのように称呼している。最上位の制御ユニット700は、特に、電力供給部400を制御し得ることを特徴とする。中央の制御ユニット560は、典型的にはツールに割り当てられた、別に説明する制御ユニット600,700の意味での制御ユニットではなく、それぞれ異なるツールのための、かつ装置100全体の制御のための中央の機能性を提供する。
【0082】
各制御ユニット600は、本例では、マイクロプロセッサ610と、ツール制御部620と、スイッチ制御部630と、複数のスイッチ640とを有している。スイッチ640は、簡略的にのみ図示してある。この簡略的な図示は、図面を見やすくするためだけのものである。これに応じて、最上位の制御ユニット700も同じく、マイクロプロセッサ710と、ツール制御部720と、スイッチ制御部730と、複数のスイッチ740とを有している。
【0083】
マイクロプロセッサ610は、それぞれの制御ユニット600の基本的な機能を制御する。ツール制御部620は、それぞれのツールのための特有の機能を提供し、特有の機能は、例えば電流、電圧又はデータの提供並びにデータの受信及び評価であり得る。ツール制御部620は、図示のようにスイッチ640を介してそれぞれの制御インタフェース500の接点520に接続されている。スイッチ640は、スイッチ制御部630により、それぞれの制御ユニット600が保持手段200,300のうちの1つの保持手段にのみ所定の時点で接続されているように切り換えられる。それぞれの制御ユニット600は、つまり、作業保持手段200に接続されているか、又は複数の静止保持手段300のうちの正確に1つの静止保持手段300に接続されている。これにより、1つの特定のツールがコントロールされ得る。所望の保持手段200,300への接続を形成するすべてのスイッチ640は、閉じられている。すべての他のスイッチ640は、開けられている。図示しない代替的な一構成において、スイッチは、制御ユニット600,700外に、例えば制御インタフェース500,510内に構成されていてもよい。
【0084】
規定通りの運転、特にそれぞれのツールと制御ユニット600,700との間の正しい割り当てを保証すべく、すべての制御ユニット600,700は、中央の制御ユニット560に接続されている。中央の制御ユニット560は、それぞれの接続を介して制御ユニット600,700に、どのツールがどの保持手段200,300に結合されているかを伝え、その結果、それぞれこのツールの制御のために形成される制御ユニット600,700は、スイッチ640,740を相応に切り換えることができる。
【0085】
さらに制御ユニット600及び最上位の制御ユニット700も、既に言及したCANバス550に接続されている。このことは、汎用のデータ交換を可能にする。特に制御ユニット600,700は、それぞれ、1つ又は複数の特定のツールの制御のために形成されていることができる。
【0086】
中央の制御ユニット560は、すべての又は複数のツールのための共通の制御課題を担当し、装置100のすべての機能性を、例えば既に言及した電気モータ132,142,144を含め、制御し、かつ制御ユニット600,700の機能性を協調させるために形成されている。制御ユニット600,700は、例えばCANバス550を介して、電力供給部400を介した特別な電力の提供の要求を中央の制御ユニット560に与えることができ、中央の制御ユニット560は、この場合、電力供給部400が最上位の制御ユニット700に接続されているため、最上位の制御ユニット700を介して電力供給部400を相応に動作制御する。
【0087】
図示の構成により、作業保持手段200及びそれぞれの静止保持手段300に設けられたそれぞれのツールを直接的に、それぞれ割り当てられた制御ユニット600,700に接続することが可能である。これにより、保持手段200,300の各々に設けられたそれぞれのツールの機能性は、それぞれの制御ユニット600,700により制御され得る。このことは、特にツールへの持続的な接続なしに済み、このことは、作業フローを大幅に容易にし、かつフレキシビリティを大幅に向上させる。同時に、ツール及び制御ユニット600,700の使用時の特に高いフレキシビリティも保証される。ユーザは、まさに、彼の特別な使用目的のために必要とするツールを購入し、ストックし、かつこのために特有の制御ユニット600,700を制御インタフェース500,510内に装入することが可能である。まったく必要とされない機能性の用意は、こうして回避される。さらに、個々の制御ユニット600,700の簡単な交換も可能であり、これにより、例えば新しいバージョンを使用することができ、又は故障した制御ユニット600,700を交換することができる。
【0088】
本発明に係る方法の言及したステップは、表示した順序で実施され得る。ステップは、しかし、それが技術的に有意義である限りにおいて、別の順序で実施されてもよい。本発明に係る方法は、その構成の1つにおいて、例えばステップのある特定の編成で、その他のステップが実施されることがないように実施されてもよい。しかし、基本的には、言及していないようなステップも含め、さらなるステップが実施されてもよい。
【0089】
付言すると、特許請求の範囲及び明細書において、特徴は、これらの特徴が互いに独立的に使用され得るものだとしても、例えば理解を容易にするために、組み合わせとして記載していることもある。当業者であれば、このような特徴が互いに独立的にも別の特徴又は特徴組み合わせと組み合わされ得ることは、自明である。
【0090】
従属請求項における引用は、それぞれの特徴の好ましい組み合わせを示し得るが、その他の特徴組み合わせを排除するものではない。
【0091】
可読性を改善するために、作業保持手段及び静止保持手段の接続部に符号を付すことは、特許請求の範囲では省略した。
【符号の説明】
【0092】
100 装置
110 架構
112 脚
116 マニピュレータ
120 加工表面
130 ガントリ
132 第1の電気モータ
134 第1のレール
136 第2のレール
140 モジュールホルダ
142 第2の電気モータ
144 第3の電気モータ
150 装着ツール
151 調量ツール
152 3D測定走査ツール
153 フライス加工ツール
200 作業保持手段
210 吸引部
220 第1のゼロポイントクランプ
225 第2のゼロポイントクランプ
230 真空接続部
235 圧縮空気接続部
240 高電力電流供給接続部
250 皿穴
255 皿穴
260 第1の小電圧接続部
265 第2の小電圧接続部
270 第1のユニバーサル接続部
275 第2のユニバーサル接続部
300 静止保持手段
310 ユニバーサル接続部
320 電圧供給接続部
330 下側のレール
340 上側のレール
400 電力供給部
410 マルチプレクサ
500 制御インタフェース
510 最上位の制御インタフェース
520 接点
530 ライン
540 ライン
550 CANバス
560 中央の制御ユニット
570 検出モジュール
600 制御ユニット
610 マイクロプロセッサ
620 ツール制御部
630 スイッチ制御部
640 スイッチ
700 最上位の制御ユニット
710 マイクロプロセッサ
720 ツール制御部
730 スイッチ制御部
740 スイッチ
【国際調査報告】