(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】農産物などの製品における保護コーティング用の化合物及び配合物
(51)【国際特許分類】
A23B 7/154 20060101AFI20240905BHJP
A23L 3/3517 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A23B7/154
A23L3/3517
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514510
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022043079
(87)【国際公開番号】W WO2023039176
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516027797
【氏名又は名称】アピール テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファウスト,ミーナ
(72)【発明者】
【氏名】バクス,ロナルド シー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,スタンレー
(72)【発明者】
【氏名】カウン,スティーブン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ジャスティン
【テーマコード(参考)】
4B021
4B169
【Fターム(参考)】
4B021LA41
4B021LW02
4B021MC01
4B021MC06
4B021MK21
4B021MK28
4B021MP02
4B169HA01
4B169HA07
4B169HA11
4B169KA01
4B169KA08
4B169KA10
4B169KB02
4B169KB03
4B169KC37
4B169KC39
(57)【要約】
例えば、農産物における保護コーティングを形成するための組成物が、水及びガスなどの流体に対するバリアを形成する、農産物の表面上の二重層構造を形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物の熟成速度を低下させる方法であって、
以下を含む分散体:
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
前記農産物の表面に適用すること;及び
空気流下で前記農産物の表面上の前記分散体を乾燥させて、前記農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、前記農産物上に前記1つ以上のスクロースエステル、前記1つ以上のソルビタンエステル、又は前記1つ以上のスクロースエステル及び前記1つ以上のソルビタンエステルを含むコーティングを形成することを含む方法。
【請求項2】
前記1つ以上のスクロースエステルのそれぞれが、C
10~C
24のエステル鎖長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のスクロースエステルが、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、及びラウリン酸スクロースの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のソルビタンエステルのそれぞれが、C
10~C
24のエステル鎖長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のソルビタンエステルが、ステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、及びラウリン酸ソルビタンの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
50℃~100℃の温度で前記分散体を調製することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
室温で前記分散体を調製することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分散体が、溶媒及びコーティング剤を含み、
前記コーティング剤が、総量の90重量%~100重量%の前記1つ以上のスクロースエステル及び前記1つ以上のソルビタンエステルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記分散体が、1つ以上の脂肪酸誘導体をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記分散体中の前記1つ以上のスクロースエステル及び前記1つ以上のソルビタンエステルの総濃度が、30mg/mL~125mg/mLである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記分散体中の前記1つ以上のスクロースエステル及び前記1つ以上のソルビタンエステルの総濃度が、1mg/mL~5mg/mLである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記分散体が水溶液である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記分散体が、加えられた安定剤を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記分散体が、加えられた界面活性剤を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記空気の温度が、50℃~100℃である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の二重層が、1つ以上の開放二重層を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の二重層中の各二重層が、開放二重層である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記開放二重層の1つ以上が、層状である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の二重層が、1つ以上の閉鎖二重層を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の二重層中の各二重層が、閉鎖二重層である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記閉鎖二重層の1つ以上がそれぞれ、独立して、球形又は円筒形である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記コーティングの厚さが、2ミクロン未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記コーティングの厚さが、1ミクロン未満である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
農産物;及び
前記農産物の表面上のコーティング
を含む被覆された農産物であって、前記コーティングが、
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステル、及び
前記農産物の表面上の複数の二重層
を含む、被覆された農産物。
【請求項25】
前記コーティングの厚さが、2ミクロン未満である、請求項24に記載の農産物。
【請求項26】
前記コーティングの厚さが、1ミクロン未満である、請求項24に記載の農産物。
【請求項27】
前記複数の二重層が、1つ以上の開放二重層を含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の農産物。
【請求項28】
前記複数の二重層中の各二重層が、開放二重層である、請求項27に記載の農産物。
【請求項29】
前記開放二重層の1つ以上が、層状である、請求項27に記載の農産物。
【請求項30】
前記複数の二重層が、1つ以上の閉鎖二重層を含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の農産物。
【請求項31】
前記複数の二重層中の各二重層が、閉鎖二重層である、請求項30に記載の農産物。
【請求項32】
前記閉鎖二重層の1つ以上がそれぞれ、独立して、球形又は円筒形である、請求項30に記載の農産物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年9月9日に出願された米国仮特許出願第63/242,477号に対する優先権を主張するものであり、その開示内容は、全体が参照により援用される。
【0002】
技術分野
[0002] 本発明は、農産物に適用されるコーティング用の化合物及び配合物並びにその適用及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 一般的な農産物は、環境に曝されたとき、劣化及び腐敗(すなわち、損傷)を生じやすい。このような農産物は、例えば、卵、果実、野菜、農作物、種子、堅果、花、及び/又は植物全体(それらの加工及び半加工形態を含む)を含み得る。食用の非農産物(例えば、ビタミン、キャンディ(candy)など)も、周囲環境に曝されたとき、劣化しやすい。農産物及び他の食用製品の劣化は、非生物的媒体を介して、製品の外面から外気への蒸散水分の損失、環境から製品中に拡散する酸素による酸化、表面への機械的損傷、及び/又は光に誘起される分解(すなわち、光分解)の結果として起こり得る。細菌、真菌、ウイルス、及び/又は有害生物などの生物的ストレス要因も、製品に寄生し、それを腐敗させ得る。
【0004】
[0004] ほとんどの植物(高等植物など)の地上部表面を形成する細胞は、外皮又はクチクラ(cuticle)を含み、これは、植物種及び植物器官(例えば、果実、種子、樹皮、花、葉、茎など)に応じて様々な程度の、水分損失、酸化、機械的損傷、光分解、及び/又は生物的ストレス要因からの保護を提供する。細胞脂質に由来するバイオポリマーであるクチンは、クチクラの主要な構成成分を形成し、環境ストレス要因(非生物的及び生物的ストレス要因の両方)から植物を保護する役割を果たす。クチンの厚さ、密度、並びに組成(すなわち、クチンを形成する異なるタイプのモノマー及びそれらの相対的比率)は、植物種によって、同じ又は異なる植物種内の植物器官によって、及び植物の成熟段階によって変化し得る。植物のクチン含有部分は、さらなる化合物(例えば、クチクラ外ワックス、フェノール類、酸化防止剤、着色化合物、タンパク質、多糖など)も含有し得る。植物種、植物器官及び/又は異なる成熟段階の所与の植物の間のクチン組成並びにクチン層の厚さ及び密度のこの変化は、環境ストレス要因(すなわち、水分損失、酸化、機械的損傷、及び光)及び/又は生物的ストレス要因(例えば、真菌、細菌、ウイルス、昆虫など)による攻撃に対する、植物種又は植物器官間の、異なる程度の耐性をもたらし得る。
【0005】
[0005] 劣化を防ぎ、品質を維持し、農産物の寿命を延長するための従来の手法としては、特殊包装及び/又は冷蔵が挙げられる。冷蔵は、資本集約的設備を必要とし、持続的なエネルギー消費を要し、注意深く制御されない場合、製品に損傷又は品質の低下を引き起こすことがあり、能動的に管理されなければならず、その利益は、温度管理されたサプライチェーンが中断すると失われる。貯蔵中の農産物質量損失(例えば水分損失)は、湿度を増加させ、これは、貯蔵中のマイナスの影響(例えば、結露、微生物増殖など)を避けるために相対湿度レベルの注意深い維持(例えば、冷却器を用いて)を必要とする。さらに、農産物の呼吸は、熱を周囲の外気に放出する発熱プロセスである。輸送コンテナ内における運搬及び貯蔵中、農産物の呼吸によって発生される熱、並びに外部環境条件及び機械的プロセス(例えば、モータ)から発生される熱は、貯蔵の適切な温度を維持するために、貯蔵コンテナの能動冷却を必要とし、これは、輸送会社にとって主要な原価作用因である。劣化の速度を低下させ、貯蔵及び運搬中の熱発生を減少させ、農産物の貯蔵寿命を延長することは、サプライチェーン全体を通して主要投資者にとって直接的な価値がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] 劣化を防ぎ、熱及び湿気の発生を減少させ、品質を維持し、農産物の寿命を延長するための新規なよりコスト効率の高い手法が必要とされている。このような手法は、より少ない冷蔵、特殊包装などを必要とするか、又はそれらを必要としないことが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
[0007] 保護コーティングを形成するための組成物及び配合物並びにそのコーティングを作製及び使用する方法が、本明細書に記載される。コーティングの成分は、コーティングが配置される基材(例えば、農産物)の表面に1つ以上の薄層を含む構造を形成し、それによって、保護バリアを形成する。ある実施形態において、保護バリアは、低い水及びガス透過性を示す。例えば、薄層の分子が採用する格子形成及び薄層間の分子間力が、基材からの水又はガスの損失を減少させ得る。ある実施形態において、本明細書に記載されるコーティングの水及びガス透過性は、例えば、(1)基材に適用される組成物中の成分(例えば、コーティング剤)又は成分の量を変更すること、並びに(2)コーティングを形成するのに使用される方法を変更すること(例えば、コーティング剤が混合される温度、基材におけるコーティング剤を含む混合物が乾燥される温度若しくは速度、及び/又は基材に適用される混合物中のコーティング剤の濃度)によって変更され得る。ある実施形態において、コーティング剤及び/又は形成されるコーティングは、1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルを含む。ある実施形態において、本明細書に記載されるコーティングは、例えば、従来のワックスコーティングより有効な、水及びガスに対するバリアである。あるこのような実施形態において、コーティングの厚さは、従来のワックスコーティングの厚さ未満である。
【0008】
[0008] 農産物の熟成速度を低下させる方法も、本明細書に記載される。本方法は、1つ以上のスクロースエステル、若しくは1つ以上のソルビタンエステル、又はその両方を含む溶液を、農産物の表面に適用すること、及び空気流下で農産物の表面上の溶液を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物上にスクロースエステル及び/又はソルビタンエステルを含有するコーティングを形成することを含む。
【0009】
[0009] 開示される本発明に係る概念は、添付の特許請求の範囲において規定されるものを含むが、本発明に係る概念はまた、以下の実施形態に従って規定され得ることが理解されるべきである。
【0010】
[0010] 添付の特許請求の範囲の実施形態及び上述される実施形態に加えて、以下の番号付けされた実施形態も革新的である。
【0011】
[0011] 実施形態1は、農産物の熟成速度を低下させる方法であって、
以下を含む分散体:
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
農産物の表面に適用すること;及び
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物上に1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含むコーティングを形成することを含む方法である。
【0012】
[0012] 実施形態2は、約50℃~約100℃の温度で分散体を調製することをさらに含む、実施形態1に記載の方法である。
【0013】
[0013] 実施形態3は、室温で分散体を調製することをさらに含む、実施形態1に記載の方法である。
【0014】
[0014] 実施形態4は、1つ以上のスクロースエステルのそれぞれが、C10~C24のエステル鎖長を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法である。
【0015】
[0015] 実施形態5は、1つ以上のスクロースエステルが、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、及びラウリン酸スクロースの1つ以上を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法である。
【0016】
[0016] 実施形態6は、1つ以上のソルビタンエステルのそれぞれが、C10~C24のエステル鎖長を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法である。
【0017】
[0017] 実施形態7は、1つ以上のソルビタンエステルが、ステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、及びラウリン酸ソルビタンの1つ以上を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法である。
【0018】
[0018] 実施形態8は、分散体が、溶媒及びコーティング剤を含み、コーティング剤が、総量の約90重量%~約100重量%の1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法である。
【0019】
[0019] 実施形態9は、分散体が、1つ以上の脂肪酸誘導体をさらに含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法である。
【0020】
[0020] 実施形態10は、分散体中の1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルの総濃度が、約30mg/mL~約125mg/mLである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法である。
【0021】
[0021] 実施形態11は、分散体中の1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルの総濃度が、約1mg/mL~約5mg/mLである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法である。
【0022】
[0022] 実施形態12は、分散体が水溶液である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法である。
【0023】
[0023] 実施形態13は、分散体が、加えられた安定剤を含まない、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法である。
【0024】
[0024] 実施形態14は、分散体が、加えられた界面活性剤を含まない、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法である。
【0025】
[0025] 実施形態15は、空気の温度が、約50℃~約100℃である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法である。
【0026】
[0026] 実施形態16は、複数の二重層が、1つ以上の開放二重層を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法である。
【0027】
[0027] 実施形態17は、複数の二重層中の各二重層が、開放二重層である、実施形態16に記載の方法である。
【0028】
[0028] 実施形態18は、開放二重層の1つ以上が、層状である、実施形態16又は実施形態17に記載の方法である。
【0029】
[0029] 実施形態19は、複数の二重層が、1つ以上の閉鎖二重層を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法である。
【0030】
[0030] 実施形態20は、複数の二重層中の各二重層が、閉鎖二重層である、実施形態19に記載の方法である。
【0031】
[0031] 実施形態21は、閉鎖二重層の1つ以上がそれぞれ、独立して、球形又は円筒形である、実施形態19又は実施形態20に記載の方法である。
【0032】
[0032] 実施形態22は、コーティングの厚さが、約2ミクロン未満である、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法である。
【0033】
[0033] 実施形態23は、コーティングの厚さが、約1ミクロン未満である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法である。
【0034】
[0034] 実施形態24は、
農産物;及び
農産物の表面上のコーティング
を含む被覆された農産物であって、コーティングが、
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステル、及び
農産物の表面上の複数の二重層
を含む、被覆された農産物である。
【0035】
[0035] 実施形態25は、コーティングの厚さが、約2ミクロン未満である、実施形態24に記載の農産物である。
【0036】
[0036] 実施形態26は、コーティングの厚さが、約1ミクロン未満である、実施形態24又は実施形態25に記載の農産物である。
【0037】
[0037] 実施形態27は、複数の二重層が、1つ以上の開放二重層を含む、実施形態24~26のいずれか1つに記載の農産物である。
【0038】
[0038] 実施形態28は、複数の二重層中の各二重層が、開放二重層である、実施形態27に記載の農産物である。
【0039】
[0039] 実施形態29は、開放二重層の1つ以上が、層状である、実施形態27又は実施形態28に記載の農産物である。
【0040】
[0040] 実施形態30は、複数の二重層が、1つ以上の閉鎖二重層を含む、実施形態24~26のいずれか1つに記載の農産物である。
【0041】
[0041] 実施形態31は、複数の二重層中の各二重層が、閉鎖二重層である、実施形態30に記載の農産物である。
【0042】
[0042] 実施形態32は、閉鎖二重層の1つ以上がそれぞれ、独立して、球形又は円筒形である、実施形態30又は実施形態31に記載の農産物である。
【0043】
[0043] 本開示の主題の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び本明細書に記載される。主題の他の特徴、態様、及び利点は、本明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】[0044]非処理であるか、スクロースエステルで被覆された、及びモノグリセリドコーティングで被覆されたカリフォルニア産ハス種アボカドについての1日当たりの質量損失率のプロットを示す。
【
図2】[0045]非処理であるか、スクロースエステルで被覆された、及びモノグリセリドコーティングで被覆されたメキシコ産ハス種アボカドについての1日当たりの質量損失率のプロットを示す。
【
図3】[0046]非処理であるか、スクロースエステルで被覆された、及びモノグリセリドコーティングで被覆されたレッドグレープトマトについての1日当たりの質量損失率のプロットを示す。
【
図4】[0047]非処理であるか、スクロースエステルで被覆された、及びモノグリセリドコーティングで被覆されたモモについての1日当たりの質量損失率のプロットを示す。
【
図5】[0048]非処理であるか、スクロースエステルで被覆された、及びモノグリセリドコーティングで被覆されたモモについての1日当たりの質量損失率のプロットを示す。
【
図6】[0049]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで被覆された、及びスクロースエステルコーティングで被覆された農産物についての質量損失係数のプロットを示し、ここで、コーティングは、ブラシベッド及びヒートトンネル条件を用いて適用された。
【
図7】[0050]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで被覆された、及びスクロースエステルコーティングで被覆された農産物についての呼吸速度のプロットを示す。
【
図8】[0051]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで処理された、低温混合された100%のスクロースエステルコーティングで処理された、及び高温混合された100%のスクロースエステルコーティングで処理されたメキシコ産アボカドについての質量損失係数のプロットを示し、ここで、コーティングは、ボウルディップ適用及びヒートトンネル乾燥条件を用いて適用される。
【
図9】[0052]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで処理された、低温混合された100%のスクロースエステルコーティングで処理された、及び高温混合された100%のスクロースエステルコーティングで処理されたメキシコ産アボカドについての呼吸速度のプロットを示す。
【
図10A】[0053]非処理のアボカドの画像である。
【
図10B】[0054]高温混合された100%のスクロースエステルコーティングで被覆されたアボカドの画像である。
【
図11】[0055]モノグリセリドコーティング、低温混合された100%のスクロースエステルコーティング、高温混合された100%のスクロースエステルコーティング、及び98%のスクロースエステルコーティングで被覆されたプラスチック基材についての光沢度のプロットを示す。
【
図12】[0056]モノステアレートと混合された2つの異なるタイプのスクロースエステルの透過率のプロットを示す。
【
図13】[0057]ステアリン酸スクロース添加剤とのモノグリセリド混合物の分散体についての濁度のプロットを示す。
【
図14】[0058]ステアリン酸スクロース添加剤とのモノグリセリド混合物の分散体についての濁度のプロットを示す。
【
図15】[0059]シリコン基材におけるモノステアリン酸ソルビタン薄膜のX線散乱画像の軸からのq(Å
-1)に対する強度のプロットを示す。
【
図16】[0060]シリコン基材におけるモノパルミチン酸ソルビタン薄膜のX線散乱画像の軸からのq(Å
-1)に対する強度のプロットを示す。
【
図17】[0061]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで被覆された、及びソルビタンエステルコーティングで被覆されたカリフォルニア産アボカドについての質量損失係数のプロットを示す。
【
図18】[0062]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで被覆された、及びソルビタンエステルで被覆されたカリフォルニア産アボカドについての呼吸速度のプロットを示す。
【
図19】[0063]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで被覆された、及びソルビタンエステルで処理されたメキシコ産アボカドについての質量損失係数のプロットを示す。
【
図20】[0064]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで被覆された、及びソルビタンエステルで処理されたメキシコ産アボカドについての呼吸速度のプロットを示す。
【
図21】[0065]非処理であるか、モノグリセリドコーティングで被覆された、湿潤剤添加剤とともにモノグリセリドコーティングで被覆された、及びソルビタンエステル添加剤とともにモノグリセリドコーティングで処理された農産物についての質量損失係数のプロットを示す。
【
図22】[0066]95/5モノステアリン酸グリセロール/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【
図23】[0067]100/0 C
18エリトリトールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【
図24】[0068]95/5 C
18エリトリトールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【
図25】[0069]100/0 C
18キシリトールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【
図26】[0070]95/5 C
18キシリトールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【
図27】[0071]
図22~26の分散体についての接触角を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
定義
[0072] 本明細書において使用される際、「植物物質」という用語は、例えば、果実(植物学的には、果実の皮及び果汁嚢を含む)、野菜、葉、茎、樹皮、種子、花、皮、又は根を含む、植物の任意の部分を指す。植物物質は、収穫前植物又はその部分並びに収穫後植物又はその部分(例えば、収穫された果実及び野菜、収穫された根及び液果、及び摘み取られた花を含む)を含む。
【0046】
[0073] 本明細書において使用される際、「コーティング剤」は、保護コーティングを形成し得る化合物又は化合物の群を含む組成物を指す。
【0047】
[0074] 本明細書において使用される際、「質量損失率」は、(例えば、水及び他の揮発性化合物を放出することによって)製品が重量を失う率を指す。質量損失率は、典型的に、単位時間当たりの元の質量におけるパーセンテージ(例えば、1日当たりのパーセント)として表される。
【0048】
[0075] 本明細書において使用される際、「質量損失係数」という用語は、所与の時間にわたる対応する試験農作物(例えば、被覆された農作物)の平均質量損失率に対する、非被覆農作物(対照群について測定される)の平均質量損失率の比率として定義される。したがって、被覆された農作物についてのより大きい質量損失係数は、被覆された農作物についての平均質量損失率のより大きい減少に相当する。
【0049】
[0076] 本明細書において使用される際、「呼吸速度」という用語は、製品がCO2などのガスを放出する速度を指す。この速度は、製品の単位重量当たり単位時間当たりに放出されるガス(例えば、CO2)(標準温度及び圧力における)の体積から決定され得る。呼吸速度は、mlガス/kg・hとして表され得る。製品の呼吸速度は、時間の関数としてコンテナ内のガス濃度を記録するCO2センサーなどのセンサーを備えた公知の体積の密閉コンテナ中に製品を入れ、次に、測定濃度値を得るのに必要とされるガス放出の速度を計算することによって測定され得る。
【0050】
[0077] 本明細書において使用される際、「呼吸係数」という用語は、所与の時間にわたる対応する試験農作物(例えば、被覆された農作物)の平均ガス拡散に対する、非被覆農作物(対照群について測定される)の平均ガス拡散(例えば、CO2放出)の比率として定義される。したがって、被覆された農作物についてのより大きい呼吸係数は、被覆された農作物についてのガス拡散/呼吸のより大きい減少に相当する。
【0051】
[0078] 本明細書において使用される際、固体表面における液体の「接触角」という用語は、気液界面が液固界面に接触する場合に測定される液体の液滴の外面の角度を指す。接触角は、液体によって固体表面の湿潤性を定量化する。
【0052】
[0079] 本明細書において使用される際、「湿潤剤」又は「界面活性剤」という用語はそれぞれ、溶媒、懸濁液、コロイド、又は溶液に加えられるとき、溶媒/懸濁液/コロイド/溶液と、溶媒/懸濁液/コロイド/溶液が配置される固体表面との間の表面エネルギーの差を減少させる化合物を指す。
【0053】
[0080] 本明細書において使用される際、「層状構造」は、互いに隣接して垂直に積層され、分子間力によって一緒に保持される薄層を含む構造を指す。本明細書において使用される際、「薄層」は、1つの薄層又は2つ以上の薄層、すなわち、分子のそれぞれの1つ以上の個別の層を指す。ある実施形態において、薄層中に存在する分子は、秩序がある(例えば、開放二重層のように整列される)。薄層の表面と、同じ方向に面する隣接する薄層の表面との間の距離は、本明細書において「層間間隔」又は「周期的間隔」と呼ばれる。2つの薄層間の層間間隔は、(1)コーティングの面外X線散乱画像を取得すること、(2)層状構造に対応するピークの散乱ベクトル(q)を決定すること、及び(3)以下のブラッグの式を用いて、層間間隔(d)を決定することによって決定される。
d=2π/qpeak (1)
【0054】
[0081] 本明細書において使用される際、「脂質二重層」又は「二重層構造」は、2つの連続する副層を含む構造を指し、各副層は、親水性末端が親水性表面を形成し、疎水性末端が疎水性表面を形成するように、縦方向に互いに隣接して整列されたスクロースエステル又はソルビタンエステルの分子を含み;分子配列は、反復格子構造を画定する。脂質二重層中の各副層の疎水性表面が、互いに面し、各層の親水性表面が、互いに反対側を向いている。脂質二重層は、各副層が平行なシートにおいて配置される「開放二重層」であり得る。例えば、開放二重層は、層状構造を有し得る。脂質二重層はまた、各副層が環状構造において配置される「閉鎖二重層」であり得る。例えば、閉鎖二重層は、球形又は円筒形構造を有し得る。
【0055】
[0082] 本明細書において使用される際、「グレイン」は、格子形成が連続し、1つの配向を有する、層状構造内の領域を指す。層状構造中のグレイン間の境界は、格子形成の欠陥であり、格子形成及び/又は格子形成を形成する分子の配向の連続性が中断される。コーティングを形成するグレインの「グレインサイズ」は、(1)コーティングの面内X線散乱画像を取得すること;(2)コーティング中の分子に対応するピークの半値全幅(FWHM)を決定すること;及び(3)以下のシェラーの式を用いて、グレインサイズ(D)を計算することによって決定される。
D=2πb/FWHM (2)
式中、bは2次元結晶について約0.95である。
【0056】
[0083] 理論によって制約されるものではないが、グレインサイズは、グレイン境界と逆の相関関係があってもよい。したがって、グレインサイズが大きいほど、グレイン境界が少なく;及びグレインサイズが小さいほど、多くのグレイン境界が存在する。コーティング中のグレイン境界が少ないほど、被覆された農産物の質量損失率及び/又は呼吸速度が低くなり、その理由は、水及び/又はガスがコーティングを通過するための経路がより少ないためであることがさらに理解される。
【0057】
[0084] 本明細書において使用される際、「モザイク性」は、コーティング中の薄層の配向が、基材(例えば、農産物)表面の面と実質的に平行な面から外れる確率を指す。基材表面の面と実質的に平行な面からの薄層の逸脱は、空気及び水に対するコーティングの透過性を増加させ、それによって、コーティングが農産物上に配置されるとき、質量損失率及び呼吸速度を増加させる、ある種の結晶欠陥であると理解される。
【0058】
[0085] 本明細書において使用される際、「基材」は、コーティングが適用される物品を指す。ある実施形態において、基材は、農産物(例えば、農作物)、シリコン基材、又は多糖(例えば、セルロース)を含む基材である。
【0059】
保護コーティング
[0086] 植物物質、農産物、又は食品などの基材上に保護コーティングを形成するのに使用され得る溶媒中の組成物(例えば、コーティング剤)を含有する分散体(例えばエマルジョン又はコロイド)が、本明細書に記載される。保護コーティングは、例えば、基材からの水分損失及びガス拡散、基材の酸化を防止若しくは減少させることができ、及び/又は細菌、真菌、ウイルスなどの脅威から基材を保護することができる。コーティングはまた、物理的損傷(例えば、打ち傷)及び光損傷から基材を保護することができる。したがって、この形成されるコーティング剤、分散体、及びコーティングを用いて、損傷せずに、長期間にわたって農産物又は他の食品を貯蔵するのを助けることができる。ある場合には、それらを形成するコーティング及びコーティング剤は、冷蔵の非存在下で食物を新鮮に保つことを可能にし得る。本明細書に記載されるコーティング剤及びコーティングはまた、食用であり得る(すなわち、コーティング剤及びコーティングは、人の飲食用に非毒性であり得る)。いくつかの特定の実施において、分散体は、分散体を、適用中に基材の表面全体にわたってより良好に広げ、それによって、表面被覆率並びに得られるコーティングの全体的性能を改善する湿潤剤又は界面活性剤を含む。いくつかの特定の実施において、溶液/懸濁液/コロイドは、溶媒へのコーティング剤の溶解度を改善し、及び/又はコーティング剤を溶媒中で懸濁若しくは分散させる乳化剤を含む。湿潤剤及び/又は乳化剤はそれぞれ、コーティング剤の成分であり得、又は分散体に別々に加えられ得る。ある実施形態において、コーティングは、コーティングが配置される基材の表面(例えば、農産物)上に形成された層状構造を含む。
【0060】
[0087] 植物物質(例えば、農産物)及び他の分解性物品は、製品の外面に保護コーティングを形成することによって、生物的又は非生物的ストレス要因による劣化から保護され得る。コーティングは、コーティングの成分(本明細書においてまとめて「コーティング剤」)を、溶媒(例えば、水及び/又はエタノール)に加えて、分散体(例えば、溶液、懸濁液、又はコロイド)を形成し、例えば、製品を分散体に浸漬するか又は分散体を製品の表面に噴霧することによって、分散体を、被覆される製品の外面に適用し、次に、例えば、溶媒を蒸発させることによって、製品の表面から溶媒を除去し、それによって、コーティングを、製品の表面上にコーティング剤から形成させることによって形成され得る。コーティング剤は、得られるコーティングが、水及び/又は酸素移動に対するバリアを提供し、それによって、被覆された製品からの水分損失及び/又は被覆された製品の酸化を防ぐように配合され得る。コーティング剤は、得られるコーティングが、CO2、エチレン及び/又は他のガス移動に対するバリアを提供するように、それに加えて又はその代わりに配合され得る。
【0061】
[0088] 1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルを含むコーティング剤は、人の飲食用に安全であり得、且つ様々な農作物における質量損失及び酸化を減少させるのに有効なコーティングを形成するために、コーティング剤として使用され得る。例えば、ステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、及び/又はモノラウリン酸スクロースなどの1つ以上のスクロースエステルの様々な組合せを含むコーティング剤から形成されるコーティングは、多くの種類の農作物、例えばアボカド、トマト、及びモモにおける質量損失率を減少させるのに有効であることが示されている。例えば、モノステアリン酸ソルビタン及び/又はモノパルミチン酸ソルビタンなどの1つ以上のソルビタンエステルの様々な組合せを含むコーティング剤から形成されるコーティングは、多くの種類の農作物、例えば、アボカドにおける質量損失率を減少させるのに有効であることが示されている。様々なコーティングの具体例及び様々な種類の農作物における質量損失率を低下させるそれらの効果は、以下の実施例に示されている。
【0062】
[0089] コーティング組成物は、湿潤剤として1つ以上のソルビタン又はスクロースエステルを含み得る。例えば、コーティング組成物は、湿潤剤としてモノラウリン酸ソルビタンを含み得る。
【0063】
コーティング及びコーティング剤組成物
[0090] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング剤又はコーティング)は、1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルを含む。ある実施形態において、組成物は、1つ以上のスクロースエステルを含む。ある実施形態において、1つ以上のスクロースエステルは、C10~C24の範囲のエステル鎖長を有する。ある実施形態において、1つ以上のスクロースエステルは、主にC16~C18の範囲のエステル鎖長を有する。ある実施形態において、1つ以上のスクロースエステルは、主に、C18の鎖長を有するスクロースエステルを含む。ある実施形態において、1つ以上のスクロースエステルは、ステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、又はラウリン酸スクロースを含む。ある実施形態において、1つ以上のスクロースエステルは、モノステアリン酸スクロース、モノパルミチン酸スクロース、及び/又はモノラウリン酸スクロースを含む。
【0064】
[0091] ある実施形態において、組成物は、1つ以上のソルビタンエステルを含む。ある実施形態において、1つ以上のスクロースエステルは、C10~C24の範囲のエステル鎖長を有する。ある実施形態において、1つ以上のソルビタンエステルは、ステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、又はラウリン酸ソルビタンを含む。ある実施形態において、1つ以上のソルビタンエステルは、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、及び/又はモノラウリン酸ソルビタンを含む。ある実施形態において、1つ以上のソルビタンエステルは、1つ以上のエトキシ化ソルビタンエステルを含む。例えば、ある実施形態において、1つ以上のソルビタンエステルは、エトキシ化モノラウリン酸ソルビタンを含む。
【0065】
[0092] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約90重量%~約100重量%の1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルを含む。例えば、組成物は、約94重量%~約100重量%の1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルを含み得る。ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約100重量%の1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルを含む。
【0066】
[0093] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約1重量%~約15重量%の1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルを含む。例えば、組成物は、約1重量%~約10重量%、又は約2.5重量%~約7.5重量%の1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルを含み得る。ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約85重量%~約99重量%の1つ以上の脂肪酸誘導体を含む。
【0067】
[0094] ある実施形態において、組成物は、単糖の1つ以上のエステルを含む。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、C8~C24、例えば、C8~C16の範囲のエステル鎖長を有する。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、アルドースのエステル、ケトースのエステル、フラノースのエステル、又はピラノースのエステルを含む。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、ジオース(例えば、アルドジオース)のエステル、トリオース(例えば、アルドトリオース又はケトトリオース)のエステル、テトロース(例えば、アルドテトロース又はケトテトロース)のエステル、ペントース(例えば、アルドペントース又はケトペントース)のエステル、ヘキソース(例えば、アルドヘキソース又はケトヘキソース)のエステル、又はヘプトース(例えば、アルドヘプトース又はケトヘプトース)のエステルを含む。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、アルドヘキソースのエステル、例えば、アロースのエステル、アルトロースのエステル、グルコースのエステル、マンノースのエステル、グロースのエステル、イドースのエステル、ガラクトースのエステル、又はタロースのエステルを含む。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、グルコースエステルを含む。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、ケトヘキソースのエステル、例えば、プシコースのエステル、フルクトースのエステル、ソルボースのエステル、又はタガトースのエステルを含む。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルの混合物を含む。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、主に、モノエステルを含む。ある実施形態において、単糖の1つ以上のエステルは、主に、ジエステルを含む。
【0068】
[0095] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約1重量%~約15重量%の単糖の1つ以上のエステルを含む。例えば、組成物は、約1重量%~約10重量%、又は約2.5重量%~約7.5重量%の単糖の1つ以上のエステルを含み得る。ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約85重量%~約99重量%の1つ以上の脂肪酸誘導体を含む。
【0069】
[0096] ある実施形態において、組成物は、二糖の1つ以上のエステルを含む。ある実施形態において、組成物は、還元二糖の1つ以上のエステル、例えば、スクロースのエステル又はトレハロースのエステルを含む。ある実施形態において、組成物は、非還元二糖の1つ以上のエステル、例えばラクトースのエステル又はマルトースのエステルを含む。ある実施形態において、二糖の1つ以上のエステルは、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルの混合物を含む。ある実施形態において、二糖の1つ以上のエステルは、主に、モノエステルを含む。ある実施形態において、二糖の1つ以上のエステルは、主に、ジエステルを含む。
【0070】
[0097] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約1重量%~約15重量%の1つ以上の二糖エステルを含む。例えば、組成物は、約1重量%~約10重量%、又は約2.5重量%~約7.5重量%の1つ以上の二糖エステルを含み得る。ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約85重量%~約99重量%の1つ以上の脂肪酸誘導体を含む。
【0071】
[0098] ある実施形態において、単糖又は二糖の1つ以上のエステルは、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルの混合物を含む。ある実施形態において、単糖又は二糖の1つ以上のエステルは、主に、モノエステルを含む。ある実施形態において、単糖又は二糖の1つ以上のエステルは、主に、ジエステルを含む。
【0072】
[0099] ある実施形態において、組成物は、糖アルコールの1つ以上のエステルを含む。ある実施形態において、糖アルコールの1つ以上のエステルはそれぞれ、C2~C12の範囲のエステル鎖長を有する。ある実施形態において、組成物は、単糖に由来する糖アルコール、二糖に由来する糖アルコール、又はそれらの組合せの1つ以上のエステルを含む。ある実施形態において、糖アルコールの1つ以上のエステルは、エチレングリコールのエステル、グリセロールのエステル、エリトリトールのエステル、トレイトールのエステル、アラビトールのエステル、キシリトールのエステル、リビトールのエステル、マンニトールのエステル、ガラクチトールのエステル、フシトールのエステル、イジトールのエステル、イノシトールのエステル、ボレミトールのエステル、イソマルトのエステル、ラクチトールのエステル、又はそれらの組合せを含む。
【0073】
[00100] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約1重量%~約15重量%の糖アルコールの1つ以上のエステルを含む。例えば、組成物は、約1重量%~約10重量%、又は約2.5重量%~約7.5重量%の糖アルコールの1つ以上のエステルを含み得る。ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、約85重量%~約99重量%の1つ以上の脂肪酸誘導体を含む。
【0074】
[00101] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、安定剤又は粘度調整剤を含まない。例えば、組成物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他の修飾若しくは非修飾多糖を含まなくてもよい。
【0075】
[00102] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング剤又はコーティング)は、脂肪酸エステル又は脂肪酸塩などの1つ以上の脂肪酸誘導体をさらに含む。ある実施形態において、1つ以上の脂肪酸誘導体は、1つ以上のモノグリセリドを含む。ある実施形態において、組成物は、モノグリセリド、脂肪酸塩、又はその両方をさらに含む。
【0076】
コーティング剤混合物
[00103] ある実施形態において、組成物(例えば、コーティング剤)は、溶媒に溶解、混合、分散、又は懸濁されて、混合物又は分散体(例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、又はコロイド)を形成し得る。使用され得る溶媒の例としては、水、アンモニアを含有する水、アミンを含有する水、塩基を含有する水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、又はそれらの組合せが挙げられる。例えば、溶媒は、水であり得る。例えば、溶媒は、エタノールであり得る。
【0077】
[00104] ある実施形態において、分散体中の組成物(例えば、コーティング剤)の濃度は、約1mg/mL~約200mg/mL、例えば、約1~約150mg/mL、1~100mg/mL、約1~約90mg/mL、約1~約80mg/mL、約1~約75mg/mL、約1~約70mg/mL、約1~約65mg/mL、約1~約60mg/mL、約1~約55mg/mL、約1~約50mg/mL、約1~約45mg/mL、約1~約40mg/mL、約2~約200mg/mL、約2~約150mg/mL、約2~約100mg/mL、約2~約90mg/mL、約2~約80mg/mL、約2~約75mg/mL、約2~約70mg/mL、約2~約65mg/mL、約2~約60mg/mL、約2~約55mg/mL、約2~約50mg/mL、約2~約45mg/mL、約2~約40mg/mL、約5~約200mg/mL、約5~約150mg/mL、約5~約100mg/mL、約5~約90mg/mL、約5~約80mg/mL、約5~約75mg/mL、約5~約70mg/mL、約5~約65mg/mL、約5~約60mg/mL、約5~約55mg/mL、約5~約50mg/mL、約5~約45mg/mL、約5~約40mg/mL、約10~約200mg/mL、約10~約150mg/mL、約10~約100mg/mL、約10~約90mg/mL、約10~約80mg/mL、約10~約75mg/mL、約10~約70mg/mL、約10~約65mg/mL、約10~約60mg/mL、約10~約55mg/mL、約10~約50mg/mL、約10~約45mg/mL、約10~約40mg/mL、約20~約50mg/mL、約20~約40mg/mL、約25~約35mg/mL、約30~約125mg/mL、約30~約50mg/mL、又は約35~約45mg/mLである。例えば、分散体中の組成物(例えば、コーティング剤)の濃度は、約50mg/mL、又は約30mg/mLであり得る。
【0078】
[00105] ある実施形態において、分散体中の1つ以上のスクロース又はソルビタンエステルの濃度は、約1mg/mL~約5mg/mL、例えば、約1mg/mL~約10mg/mL、又は約1mg/mL~約4mg/mLである。
【0079】
[00106] 上述されるように、コーティング剤は、スクロースエステル又はソルビタンエステルの様々な組合せから主に形成され得る。また、上述されるように、コーティング剤は、脂肪酸誘導体の様々な組合せから主に形成され得る。また、上述されるように、コーティングは、コーティング剤を溶媒に溶解、懸濁、又は分散させて、分散体を形成し、(例えば、製品を噴霧コーティングすることによって、製品を分散体に浸漬することによって、又は分散体を、製品の表面にブラシ塗布することによって)分散体を農産物の表面に適用し、次に、(例えば、溶媒を蒸発させることによって)溶媒を除去することによって、農産物の外面上に形成され得る。溶媒は、任意の極性、非極性、プロトン性、又は非プロトン性溶媒(それらの任意の組合せを含む)を含み得る。使用され得る溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、任意の他の好適な溶媒又はそれらの組合せが挙げられる。コーティングが、植物又は他の食用製品に適用される予定である場合、飲食用に安全な溶媒、例えば水、エタノール、又はそれらの組合せを使用することが好ましいことがある。使用される溶媒に応じて、溶媒中のコーティング剤の溶解限度は、特定の用途のための必要量より少なくてもよい。
【0080】
[00107] 溶媒へのコーティング剤の溶解度を改善するため、又はコーティング剤が溶媒中で懸濁若しくは分散させるために、コーティング剤は、乳化剤をさらに含み得る。コーティングが、植物又は他の食用製品上に形成されることになる場合、乳化剤が飲食用に安全であることが好ましいことがある。さらに、乳化剤がコーティングに組み込まれないか、又は、乳化剤がコーティングに組み込まれる場合、それがコーティングの性能を損なわないことも好ましい。
【0081】
[00108] 溶媒中のコーティング剤の均一性を改善するために、コーティング剤は、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムなど)をさらに含み得る。
【0082】
[00109] 上述されるように、コーティング剤は、溶媒に加えられるか、又は溶媒に溶解、懸濁、若しくは分散されて、コロイド、懸濁液、又は溶液を形成し得る。コーティング剤の様々な成分(例えば、スクロースエステル又はソルビタンエステル)は、溶媒に加えられる前に組み合わされ、次に、溶媒に一緒に加えられ得る。或いは、コーティング剤の成分は、互いに別々に保たれ、次に、連続して(又は別々の時点で)溶媒に加えられ得る。
【0083】
[00110] また、上述され、以下の実施例において実証されるように、コーティング溶液/懸濁液/コロイドは、分散体と、被覆される基材の表面との間の接触角を減少させる働きをする湿潤剤をさらに含み得る。湿潤剤は、コーティング剤の成分として含まれ得、したがって、コーティング剤の他の成分と同時に溶媒に加えられ得る。或いは、湿潤剤は、コーティング剤とは別個であり得、コーティング剤の前、後、又はそれと同時に溶媒に加えられ得る。或いは、湿潤剤は、コーティング剤とは別個であり得、表面を下塗りするために、コーティング剤の前に表面に適用され得る。
【0084】
[00111] ある実施形態において、コーティング(例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、コロイド)は、加えられた湿潤剤又は界面活性剤を含まない。
【0085】
[00112] ある実施形態において、湿潤剤は、スクロースエステル又はソルビタンエステルである。例えば、湿潤剤は、モノラウリン酸スクロースであり得る。例えば、湿潤剤は、モノラウリン酸ソルビタンであり得る。
【0086】
[00113] ある実施形態において、混合物又は組成物(例えば、コーティング又はコーティング剤)は、1つ以上(例えば、1、2、又は3つ)の防腐剤を含む。ある実施形態において、1つ以上の防腐剤は、1つ以上の酸化防止剤、1つ以上の抗菌剤、1つ以上のキレート剤、又はそれらの任意の組合せを含む。例示的な防腐剤としては、限定はされないが、ビタミンE、ビタミンC、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、ブチルパラベン、クロロブタノール、メタクレゾール、クロロクレゾール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、プロピルパラベン、フェノール、ベンゾニック酸(benzonic acid)、ソルビン酸、ブロニドール(bronidol)、及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0087】
[00114] 本明細書に記載されるコーティング溶液/懸濁液/コロイドのいずれかは、抗菌剤、例えばエタノール又はクエン酸をさらに含み得る。ある実施形態において、抗菌剤は、溶媒の一部又は溶媒の成分である。本明細書に記載されるコーティング溶液のいずれかは、炭酸水素塩及び炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム)などの他の成分又は添加剤をさらに含み得る。
【0088】
[00115] 本明細書に記載されるコーティング剤のいずれかは、さらなる材料をさらに含み得、さらなる材料はまた、コーティングとともに表面に輸送されるか、又は別々に堆積され、その後、コーティングによって封入されるか(例えば、コーティングは、さらなる材料の周りに少なくとも部分的に形成される)、又は別々に堆積され、その後、コーティングによって支持される(例えば、さらなる材料は、コーティングの外面に固着される)。このようなさらなる材料の例は、細胞、生体シグナル伝達分子、ビタミン、ミネラル、顔料、香料、酵素、触媒、抗真菌剤、抗菌剤、及び/又は持効性薬物を含み得る。さらなる材料は、被覆された製品の表面及び/又はコーティングと非反応性であり得、又は代わりに、表面及び/又はコーティングと反応性であり得る。
【0089】
[00116] ある実施形態において、コーティングは、例えば、コーティングの粘度、蒸気圧、表面張力、又は溶解度を変更するように構成される添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、コーティングの化学安定性を高めるように構成され得る。例えば、添加剤は、コーティングの酸化を阻害するように構成される酸化防止剤であり得る。ある実施形態において、添加剤は、コーティングの溶融温度又はガラス転移温度を低下又は増加させ得る。ある実施形態において、添加剤は、コーティングを通した水蒸気、酸素、CO2、若しくはエチレンの拡散性を低下させ、又はコーティングが、より多くの紫外(UV)光を吸収するのを可能し、例えば、農産物(又は本明細書に記載される他の製品のいずれか)を保護するように構成される。ある実施形態において、添加剤は、意図的な香り、例えば、香料(例えば、花、果実、植物の香り、新鮮さ、芳香など)を与えるように構成され得る。ある実施形態において、添加剤は、色を与えるように構成され得、例えば、染料又は米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration)(FDA)に承認された着色添加剤を含み得る。
【0090】
[00117] 本明細書に記載されるコーティング剤又はその形成されるコーティングのいずれかは、風味がないか又は例えば500ppm超の高い風味の閾値を有し得、風味がないか又は高い香りの閾値を有し得る。ある実施形態において、本明細書に記載されるコーティングのいずれかに含まれる材料は、実質的に透明であり得る。例えば、コーティングに含まれるコーティング剤、溶媒、及び/又は任意の他の添加剤は、それらが実質的に同じか又は同様の屈折率を有するように選択され得る。それらの屈折率を適合させることによって、それらは、光散乱を減少させ、光の透過を改善するように任意に適合され得る。例えば、同様の屈折率を有し、クリアで透明な特性を有する材料を用いることによって、実質的に透明な特性を有するコーティングが形成され得る。
【0091】
[00118] 本明細書に記載されるコーティングのいずれかは、任意の好適な手段を用いて、農産物又は他の基材の外面に配置され得る。例えば、基材は、コーティング配合物の浴(例えば、水性又は混合水性有機又は有機溶液)中で浸漬コーティングされ得る。堆積されたコーティングは、農産物の表面に薄層を形成し得、これは、農産物を、生物的ストレス要因、水分損失、呼吸、及び/又は酸化から保護し得る。ある実施形態において、堆積されたコーティングは、約20ミクロン、10ミクロン、9ミクロン、8ミクロン、7ミクロン、6ミクロン、5ミクロン、4ミクロン、3ミクロン、2ミクロン、又は1.5ミクロン未満の厚さを有し得る。ある実施形態において、堆積されたコーティングは、約100nm~約20ミクロン、約100nm~約2ミクロン、約700nm~約1.5ミクロン、約700nm~約1ミクロン、約1ミクロン~約1.6ミクロン、約1.2ミクロン~約1.5ミクロンの厚さを有し得る。ある実施形態において、コーティングは、肉眼で透明である。ある実施形態において、堆積されたコーティングは、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1,000nm、1,100nm、1,200nm、1,300nm、1,350nm、1,400nm、1,500nm、1,600nm、1,700nm、1,800nm、1,900nm、2,000nm、2,100nm、2,200nm、2,300nm、2,400nm、2,500nm、2,600nm、2,700nm、2,800nm、2,900nm、又は3,000nm(それらの間の全ての範囲を含む)の厚さを有する。
【0092】
[00119] ある実施形態において、堆積されたコーティングは、基材上に実質的に均一に堆積され得、欠陥及び/又はピンホールを含まないことがある。ある実施形態において、浸漬コーティングプロセスは、農産物上で自己集合又は共有結合を起こして、コーティングを形成し得るコーティング前駆体の浴中における農産物の連続コーティングを含み得る。ある実施形態において、コーティングは、コーティングの流れ(例えば、分散体の水流(waterfall))下に農産物を通過させることによって、農産物上に堆積され得る。例えば、農産物は、コーティングの流れを通過するコンベア上に配置され得る。ある実施形態において、コーティングは、農産物の表面上に噴霧され、蒸着され又は乾燥蒸着され得る。ある実施形態において、コーティングは、例えばそれを表面にブラシ塗布することによって、被覆される農産物の表面に機械的に適用され得る。ある実施形態において、コーティングは、UV架橋によって、又は反応性ガス、例えば酸素への曝露によって、農産物の表面に固定されるように構成され得る。
【0093】
[00120] ある実施形態において、コーティング溶液/懸濁液/コロイドは、農産物上に噴霧コーティングされ得る。市販の噴霧器が、コーティング溶液/懸濁液/コロイドを農産物に噴霧するのに使用され得る。ある実施形態において、堆積されるコーティングが、農産物の外面に静電的に及び/又は共有結合的に結合するように、コーティング配合物は、農産物への噴霧コーティングの前に、噴霧器中で荷電され得る。
【0094】
[00121] ある実施形態において、農産物上に本明細書に記載されるコーティング剤から形成されるコーティングは、農産物の表面エネルギーを変化させるように構成され得る。本明細書に記載されるコーティングの様々な特性は、コーティングの架橋密度、その厚さ、又はその化学組成を調整することによって調節され得る。これは、例えば、収穫後の果実又は農産物の熟成を制御するのに使用され得る。例えば、二官能性又は多官能性モノマー単位を主に含むコーティング剤から形成されるコーティングは、例えば、単官能性モノマー単位を含むものより高い架橋密度を有し得る。したがって、二官能性又は多官能性モノマー単位から形成されるコーティングは、ある場合には、単官能性モノマー単位から形成されるコーティングと比較して、より遅い熟成速度をもたらし得る。
【0095】
[00122] ある実施形態において、上述されるものなどの1つ以上の湿潤剤が、コーティング分散体が適用される表面の湿潤を改善するのに使用されるが、湿潤剤は、コーティング分散体に含まれていない。代わりに、湿潤剤は、第2の溶媒(コーティング剤が加えられる溶媒と同じか又は異なり得る)に加えられて、第2の混合物を形成し、第2の混合物は、コーティングを表面に適用する前に、被覆される表面に適用される。この場合、第2の混合物は、コーティングの表面との接触角が、本来より小さくなるように、被覆される表面を下塗りし、それによって、表面湿潤を改善し得る。
【0096】
[00123] 上述されるように、本明細書に記載されるコーティング剤から形成されるコーティングは、植物の被覆部分からの水分損失若しくは他の湿り損失を防ぎ、熟成を遅らせ、及び/又は植物の被覆部分中への酸素拡散を防ぎ、例えば、植物の被覆部分の酸化を減少させるように構成され得る。コーティングはまた、植物若しくは農産物への又はそれらからの、二酸化炭素及び/又はエチレンの拡散に対するバリアとして働き得る。コーティングはまた、例えば、植物の被覆部分に侵入し、それを腐敗させ得る細菌、真菌、ウイルス、及び/又は有害生物などの生物的ストレス要因から、植物の被覆部分を保護し得る。細菌、真菌及び有害生物は全て、農産物の表面における特定の分子の認識によって食物源を特定するため、農産物をコーティング剤で被覆することにより、植物の部分の表面に分子的に対照的な分子を堆積させ得、それにより、農産物を認識できないようにし得る。さらに、コーティングはまた、農産物の表面の物理的及び/又は化学的環境を変化させて、その表面を、細菌、真菌又は有害生物が生育するのに好ましくないものにし得る。コーティングはまた、摩耗、打ち傷、若しくは他の機械的損傷から植物の部分の表面を保護し、及び/又は光分解から植物の部分を保護するように配合され得る。植物の部分は、例えば、葉、茎、シュート、花、果実、根などを含み得る。
【0097】
[00124] 本明細書に記載されるコーティングのいずれかは、農産物(例えば、生鮮農作物)の質量損失率を減少させることによって、輸送及び貯蔵中の質量損失(例えば水分損失)によって農産物(例えば、生鮮農作物)によって生成される湿気を減少させるのに使用され得る。
【0098】
[00125] ある実施形態において、農産物は、質量損失率を、非処理製品の測定値と比較して少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上だけ減少させる組成物で被覆される。ある実施形態において、本明細書に記載されるコーティングのいずれかを用いて農産物を処理することにより、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、又は3.0の質量損失係数が得られる。ある実施形態において、本明細書に記載されるコーティングのいずれかを用いて農産物を処理することにより、貯蔵中に生成される湿度を、非処理製品と比較して少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上だけ減少させ得る。ある実施形態において、農産物の質量損失率の減少は、貯蔵又は輸送中に相対湿度を所定のレベルに(例えば、約90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、又は45%の相対湿度以下に)維持するのに必要なエネルギーを減少させ得る。ある実施形態において、貯蔵又は輸送中の相対湿度を所定のレベル(例えば、上に列挙される所定のレベルのいずれか)に維持するのに必要なエネルギーは、非処理製品と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上だけ減少され得る。
【0099】
[00126] 本明細書に記載されるコーティングのいずれかは、農産物(例えば、生鮮農作物)の呼吸速度を低下させることによって、輸送及び貯蔵中に呼吸によって農産物(例えば、生鮮農作物)によって発生される熱を減少させるのに使用され得る。ある実施形態において、製品は、呼吸速度を、非処理製品(上述されるように測定される)と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上だけ低下させる組成物で被覆される。ある実施形態において、農産物によって発生される熱の減少は、貯蔵又は輸送中に温度(例えば、所定の温度)を維持するのに必要なエネルギーを減少させ得る。ある実施形態において、発生される熱は、非処理製品と比較して被覆製品について少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上だけ減少され得る。ある実施形態において、被覆製品を所定の温度に(例えば、約25℃、23℃、20℃、18℃、15℃、13℃、10℃、8℃、5℃、又は3℃以下に)維持するのに必要なエネルギーは、非処理製品と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上だけ減少され得る。
【0100】
[00127] 様々な種類の農産物(例えば、生鮮農作物)についての呼吸速度の概算値が、表1に示される。
【0101】
【0102】
[00128] ある実施形態において、本明細書に記載される方法及び組成物は、冷蔵コンテナ又は「冷蔵庫」中で貯蔵及び/又は輸送される農産物(例えば、生鮮農作物)を処理するのに使用される。農作物の呼吸からの熱は、冷蔵コンテナ内の全体的な熱に寄与する。ある実施形態において、本明細書に記載される方法及び組成物は、冷蔵コンテナ又は「冷蔵庫」中の農産物(例えば、生鮮農作物)の呼吸により発生される熱を減少させるために、処理された農産物(例えば、生鮮農作物)の呼吸速度を低下させ得る。ある実施形態において、本明細書に記載される方法及び組成物は、冷蔵コンテナ又は「冷蔵庫」中の農産物(例えば、生鮮農作物)の質量損失(例えば水分損失)により発生される湿気を減少させるために、処理された農産物(例えば、生鮮農作物)の質量損失率を減少させ得る。
【0103】
[00129] 本明細書に記載される方法及び組成物はまた、不均一な熟成を防ぐために、農産物(例えば、生鮮農作物)をスタック又はパレット上に集めることから生じる温度又は湿度勾配を最小限に抑えるか又は減少させるのに使用され得る。処理された農産物(例えば、生鮮農作物)は、貯蔵中に直線的に積み重ねられ得るか、又は農産物(例えば、生鮮農作物)の周りの循環を増加させるために、他の形式で積み重ねられ得る(例えば交差して積み重ねられる)。農作物サプライチェーン内で、農産物の箱は、輸送中に好ましい場合がある直線的なスタックから、空気循環を増加させ、不均一な熟成を防ぐために、貯蔵中に使用され得る交差スタックに再配置されてもよい。
【0104】
[00130] ある実施形態において、呼吸速度を低下させるコーティングで農産物を処理することにより、温度がスタック中で(例えば、低温貯蔵からの取り出し後に)上昇する速度を、非処理のスタックと比較して、1日当たり少なくとも約0.5℃、例えば1日当たり少なくとも1.0℃、1.5℃、2.0℃、2.5℃、3.0℃、3.5℃、4.0℃、4.5℃、又は5℃だけ低下させ得る。ある実施形態において、呼吸速度を低下させるコーティングで農産物を処理することにより、大気間の平衡温度差及びスタックの平均温度を、少なくとも約0.5℃、1.0℃、1.5℃、2.0℃、2.5℃、3.0℃、3.5℃、4.0℃、4.5℃、又は5℃だけ低下させ得る。
【0105】
[00131] 本明細書に記載されるコーティングのいずれかは、任意の農産物を保護するのに使用され得る。ある実施形態において、コーティングは、食用農産物、例えば、果実、野菜、食用種子及び堅果、ハーブ、香辛料、農作物、肉、卵、乳製品、海産物、穀物、又は任意の他の消費可能な物品上に被覆され得る。このような実施形態において、コーティングは、非毒性であり、人及び/又は動物による飲食用に安全である成分を含み得る。例えば、コーティングは、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)(FDA)に承認された直接又は間接食品添加物、FDAに承認された食品接触物質であり、食品添加物若しくは食品接触物質として使用されるためにFDA規制要件を満たし、及び/又はFDAにより一般的に安全と認められている(Generally Recognized as Safe)(GRAS)材料である成分を含み得る。このような材料の例は、「www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfcfr/cfrsearch.cfm」にあるFDA Code of Federal Regulations Title 21内に見出され得る。ある実施形態において、コーティングの成分は、栄養補助食品又は栄養補助食品の成分を含み得る。コーティングの成分は、FDAに承認された食品添加物又は着色添加剤も含み得る。ある実施形態において、コーティングは、本明細書に記載されるような、天然由来の成分を含み得る。ある実施形態において、コーティングは、風味がなくてもよく、又は500ppm未満の高い風味閾値を有してもよく、無臭であり、又は高い臭気閾値を有し、及び/又は実質的に透明である。ある実施形態において、コーティングは、例えば、水で食用農産物から洗い流されるように構成され得る。
【0106】
[00132] ある実施形態において、本明細書に記載されるコーティングは、非食用農産物上に形成され得る。このような非食用農産物は、例えば、非食用花、種子、シュート、茎、葉、植物全体などを含み得る。このような実施形態において、コーティングは、非毒性であるが、非毒性の閾値レベルが食用製品について規定されるものより高いことがある成分を含み得る。このような実施形態において、コーティングは、FDAに承認された食品接触物質、FDAに承認された食品添加物、又はFDAに承認された薬物成分、例えば、「http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/index.cfm」に見出される承認薬のFDAのデータベースに含まれる任意の成分を含み得る。ある実施形態において、コーティングは、薬物中で使用されるためにFDA要件を満たすか、又はFDA’s National Drug Discovery Code Directory、「www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/ndc/default.cfm」内に列挙される材料を含み得る。ある実施形態において、材料は、FDAのデータベース、「www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/ndc/default.cfm」内に列挙される承認された薬品の不活性薬物成分を含み得る。
【0107】
[00133] 本明細書に記載されるコーティングの実施形態は、例えば:(1)コーティングが、生物的ストレス要因、すなわち、細菌、ウイルス、真菌、又は有害生物から農産物を保護し得ること;(2)コーティングが、水の蒸発及び/又は酸素、二酸化炭素、及び/又はエチレンの拡散を防ぎ得ること;(3)コーティングが、冷蔵なしで、農産物、例えば、収穫後農作物の貯蔵寿命を延長するのを助け得ること;(4)コーティングが、損傷を加速するタイプの打ち傷を防ぐように設計された高価な包装の必要をなくしながら、農産物の表面に機械的安定性を導入し得ること;(5)コーティングを得るための農業廃棄物の使用が、細菌、真菌、及び有害生物の繁殖環境を取り除くのを助け得ること;(6)コーティングが、植物を保護するために殺有害生物剤の代わりに使用され、それによって、人の健康及び環境に対する殺有害生物剤の有害な影響を最小限に抑え得ること;(7)コーティングが、天然由来であるため、人の飲食用に安全であり得ることを含む、いくつかの利点を提供する。ある場合には、本明細書に記載されるコーティングの成分が、農業廃棄物から得られるため、このようなコーティングは、比較的低いコストで作製され得る。したがって、コーティングは、例えば、殺有害生物剤から作物を保護し、生物的及び/又は環境ストレス要因による腐敗による農産物の収穫後損失を減少させるのに必要なコストを削減することによって、小規模農家に特に適し得る。
【0108】
[00134] 市場における分割のため、コーティング剤又はコーティング溶液/懸濁液/コロイドの調製/形成及びコーティング溶液/懸濁液/コロイドからの基材におけるコーティングの形成は、異なる当事者又はエンティティによって行われることが多い。例えば、本明細書に記載されるコーティング剤などの組成物の製造業者(すなわち、第1の当事者)は、本明細書に記載される方法の1つ以上によって組成物を形成し得る。次に、製造業者は、得られた組成物を、第2の当事者、例えば農業従事者、運送業者、配給業者、又は農作物の小売業者に販売するか又は他の方法で提供し得、第2の当事者が、組成物を1つ以上の農産物に適用して、製品上に保護コーティングを形成し得る。或いは、製造業者は、得られた組成物を、仲介業者、例えば卸売販売業者に販売するか又は他の方法で提供し得、次に、仲介業者は、組成物を、農業従事者、運送業者、配給業者、又は農作物の小売業者などの第2の当事者に販売するか又は他の方法で提供し、第2の当事者は、組成物を1つ以上の農産物に適用して、製品上に保護コーティングを形成し得る。
【0109】
[00135] ある場合には、複数の当事者が関与する場合、第1の当事者は、書面で又は口頭で、製品への組成物の適用から得られる以下の1つ以上を示す組成物(すなわち、コーティング剤)についての指示又は勧告を任意に提供し得る:(i)組成物が、コーティングの目的のために若しくは製品を保護するために、製品の寿命を延長するために、製品の損傷を減少させるため、又は製品の審美的な外観を修正若しくは改善するために、製品に適用されることが意図されること;(ii)組成物を製品の表面に適用するのに好適な条件及び/又は方法;及び/又は(iii)潜在的利益(例えば、延長された貯蔵寿命、減少された質量損失率、カビ(molding)及び/又は損傷の減少した率など)。指示又は勧告が、第1の当事者によって、植物抽出物組成物とともに(例えば、組成物を中に入れて販売又は流通される包装上で)直接与えられ得る一方、指示又は勧告は、代わりに、別々に、例えば第1の当事者によって所有若しくは管理されるウェブサイト上で、又は第1の当事者によって又は第1の当事者の代理として提供される広告若しくはマーケティング材料上で与えられ得る。
【0110】
[00136] 上記を考慮して、ある場合には、本明細書に記載される1つ以上の方法に従って組成物(すなわち、コーティング剤)又はコーティング溶液/懸濁液/コロイドを製造する当事者(すなわち、第1の当事者)が、組成物から製品上にコーティングを直接形成しなくてもよいが、代わりに、組成物から製品上にコーティングを形成するように、第2の当事者に命令し得る(例えば、指示又は要求し得る)ことが認識される。すなわち、第1の当事者が、本明細書に記載される方法及び組成物によって製品を被覆しない場合でも、第1の当事者は、依然として、上述される指示又は勧告を提供することによって、コーティング剤又は溶液を、製品に適用させて、製品上に保護コーティングを形成させ得る。したがって、本明細書において使用される際、コーティング剤又は分散体を、製品(例えば、植物又は農産物)に適用する行為は、コーティング剤又は溶液を、製品に適用し、それによって、コーティング剤又は溶液を、製品に適用させるように、別の当事者に命令又は指示することも含む。
【0111】
溶媒
[00137] コーティング剤及び湿潤剤(コーティング剤とは別個である場合)が加えられて、分散体を形成する溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、アルコール、任意の他の好適な溶媒、又はそれらの組合せであり得る。得られた溶液、懸濁液、又はコロイドは、農産物上にコーティングを形成するのに好適であり得る。例えば、溶液、懸濁液、又はコロイドは、農産物の表面に適用され得、その後、溶媒が、(例えば、蒸発又は対流乾燥によって)除去されて、農産物の表面にコーティング剤から形成される保護コーティングが残り得る。
【0112】
[00138] 上記のいくつかの溶媒(特に、水及びエタノール)が、農作物又は他の農産物などの食用製品に適用される溶液/懸濁液/コロイドにおいて安全に及び有効に使用され得る一方、多くの場合、水或いは少なくとも約40体積%(多くの場合、それより多い)の水である溶媒のいずれかを使用することが有利であり得る。これは、水が、典型的に、他の好適な溶媒より安価であり、また、より高い揮発性及び/又はより低い引火点を有する溶媒(例えば、アセトン又はアルコール、例えばイソプロパノール又はエタノール)より機能するのに安全であり得るためである。ある実施形態において、溶媒は、水を含む。例えば、溶媒は、水であり得る。したがって、本明細書に記載される分散体のいずれかについて、溶媒は、重量若しくは体積基準で少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%の水であり得る。ある実施形態において、溶媒は、水及びエタノールの組合せを含み、任意に、体積基準で少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%の水であり得る。ある実施形態において、溶媒は、重量若しくは体積基準で約40%~100%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約50%~約100%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約60%~約100%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約70%~約100%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約80%~約100%、約80%~約99%、約80%~約97%、約80%~約95%、約80%~約93%、約80%~約90%、約85%~約100%、約85%~約99%、約85%~約97%、約85%~約95%、約90%~約100%、約90%~約99%、約90%~約98%、又は約90%~約97%の水であり得る。
【0113】
[00139] 上記を考慮して、ある用途では、溶媒は、低湿潤溶媒(すなわち、それが適用される表面に対して大きい接触角を示す溶媒)であり得る。例えば、いずれかの加えられる湿潤剤又は他の界面活性剤の非存在下で、溶媒と、(a)カルナウバろう、(b)カンデリラろう、(c)パラフィンろう、又は(d)ノーワックスレモンの表面のいずれかとの間の接触角は、少なくとも約70°、例えば少なくとも約75°、80°、85°、又は90°であり得る。単独で又は他の化合物若しくはコーティング剤と組み合わせた、溶媒への本明細書に記載される湿潤剤のいずれかの添加は、得られる分散体と、(a)カルナウバろう、(b)カンデリラろう、(c)パラフィンろう、又は(d)ノーワックスレモンの表面のいずれかとの間の接触角を、約85°未満、例えば約80°、75°、70°、65°、60°、55°、50°、45°、40°、35°、30°、25°、20°、15°、10°、5°、又は0°未満になるようにすることができる。
【0114】
[00140] 溶媒に加えられるか又は溶媒に溶解、懸濁、若しくは分散されて、分散体を形成するコーティング剤は、分散体が適用される基材上に保護コーティングを形成することが可能な任意の化合物又は化合物の組合せであり得る。コーティング剤は、得られるコーティングが、生物的及び/又は非生物的ストレス要因から基材を保護するように配合され得る。例えば、コーティングは、酸素及び/又は水の移動を防止又は抑制し、それによって、基材が酸化するのを防ぎ、及び/又は蒸散/浸透/蒸発によって水が失われるのを防ぎ得る。基材が腐敗性及び/又は食用である場合、例えば、基材が、植物、農産物、又は農作物の一部である場合、コーティング剤は、好ましくは、飲食用に安全である非毒性化合物から構成される。例えば、コーティング剤は、脂肪酸及び/又はその塩若しくはエステルを含み得る。脂肪酸エステルは、例えば、エチルエステル、メチルエステル、又はグリセリルエステル(例えば、1-グリセリル若しくは2-グリセリルエステル)であり得る。
【0115】
[00141] ある実施形態において、組成物は、コーティング剤を、室温(例えば、20℃~30℃)で溶媒に溶解、懸濁、又は分散させることによって調製される。ある実施形態において、組成物は、コーティング剤を、50℃~100℃、例えば、約60℃又は約80℃の温度で、溶媒中で混合することによって調製される。ある実施形態において、組成物は、1つ以上のスクロースエステルを、室温で、水中で混合することによって調製される。ある実施形態において、室温で混合することによって調製される組成物は、以下の実施例において詳述されるように、より高い水分保持、呼吸の減少、及びより高い光沢を提供することが分かった。
【0116】
被覆された農産物並びにその調製及び使用方法
[00142] ある実施形態において、コーティング剤の成分(例えば、ソルビタンエステル又はスクロースエステル)が、溶媒と混合される場合、それらは、例えば、溶媒中の小胞などの微細構造を形成する。ある実施形態において、この混合物が、農産物(例えば、農作物)などの表面に接触する場合、微細構造は、表面に吸着し、開放二重層(例えば、薄層)、又は一連の積層された開放二重層を形成して、表面上に開放二重層構造(例えば、層状構造)を形成し得る。ある実施形態において、溶媒の除去又は乾燥後、開放二重層構造は、グレインへと分割し、グレイン間の境界は、結晶欠陥である。ある実施形態において、この混合物が、農産物(例えば、農作物)などの表面に接触する場合、微細構造は、表面に吸着し、閉鎖二重層(例えば、球又は円筒)、又は一連の閉鎖二重層を形成して、表面上に閉鎖二重層構造(例えば、球形又は円筒形構造)を形成し得る。ある実施形態において、溶媒の除去又は乾燥後、閉鎖二重層構造は、グレインへと分割し、グレイン間の境界は、結晶欠陥である。
【0117】
[00143] ある実施形態において、開放二重層(例えば、薄層)構造の利点は、その低い透過性である。理論によって制約されるものではないが、水が、コーティングを通過するとき、それは、グレイン境界を通って、開放二重層構造の外面が十分に親水性である場合(例えば、薄層が脂質二重層であるとき)開放二重層構造間を移動する。ある実施形態において、コーティング中のソルビタンエステル又はスクロースエステルから形成される脂質二重層から構成される開放二重層構造は、コーティングを構成する脂質二重層の外面の親水性を高め、したがって、より多い水を、脂質二重層間に挿入させ、したがって、コーティングの水透過性を高め、増加した質量損失率をもたらす。
【0118】
[00144] ある実施形態において、閉鎖二重層構造(例えば、球形又は円筒形構造)の利点は、その低い透過性である。理論によって制約されるものではないが、水が、コーティングを通過するとき、それは、グレイン境界を通って、閉鎖二重層構造の外面が十分に親水性である場合(例えば、球形又は円筒形構造が脂質二重層であるとき)閉鎖二重層構造間を移動する。ある実施形態において、コーティング中のソルビタンエステル又はスクロースエステルから形成される脂質二重層から構成される閉鎖二重層構造は、コーティングを構成する脂質二重層の外面の親水性を高め、したがって、より多い水を、脂質二重層間に挿入させ、したがって、コーティングの水透過性を高め、増加した質量損失率をもたらす。
【0119】
[00145] ある実施形態において、混合物中のコーティング剤の濃度を増加させることにより、コーティングの厚さが増加され、これは、例えば、水透過性を低下させ得(ひいては、コーティングが農産物上に配置されるとき、質量損失を減少させ得る)、ガス拡散率を低下させ得る(ひいては、コーティングが農産物上に配置されるとき、呼吸速度を低下させ得る)。
【0120】
[00146] ある実施形態において、乾燥の温度が高いほど、コーティング中のグレインサイズがより大きくなり、モザイク性(ある種の結晶欠陥として認識される、コーティング中の結晶面の配向が、基材表面の面と実質的に平行な面から外れる確率の尺度である)がより低くなり、これは、水及び/又はガスが通過するためのより少ないグレイン境界及び欠陥をもたらし得る。ある実施形態において、これは、例えば、コーティングが、農産物上に配置されるとき、より低い質量損失率及びより低い呼吸速度につながり得るより低い水及びガス透過性をもたらし得る。
【0121】
[00147] ある実施形態において、コーティング(又は被覆された農産物)を、第1の温度から、第1の温度より高いがコーティングの融点(すなわち、相転移温度)未満である第2の温度に加熱し、次に、コーティングを冷却することにより、コーティング中のグレインサイズを増加させ得、これは、より低い質量損失率、より低いガス拡散率、及びより低い呼吸速度をもたらし得る。
【0122】
被覆された農産物
[00148] 一態様において、基材及び基材上に形成された二重層構造を含むコーティングを含む被覆された基材であって、コーティングが、約20ミクロン未満、例えば約10ミクロン、5ミクロン、又は2ミクロン未満の厚さを有する、被覆された基材が本明細書に記載される。
【0123】
[00149] ある実施形態において、層は、1つ以上の開放二重層を含む。例えば、開放二重層は、層状であり得る。
【0124】
[00150] ある実施形態において、層は、1つ以上の閉鎖二重層を含む。例えば、1つ以上の閉鎖二重層はそれぞれ、独立して、円筒形又は球形であり得る。
【0125】
[00151] 別の態様において、基材及び基材上に形成された層状構造を含むコーティングを含む被覆された基材であって、コーティングが、複数のグレインを含む、被覆された基材が本明細書に記載される。別の態様において、基材及び基材上に形成された球形構造を含むコーティングを含む被覆された基材であって、コーティングが、複数のグレインを含む、被覆された基材が本明細書に記載される。別の態様において、基材及び基材上に形成された円筒構造を含むコーティングを含む被覆された基材であって、コーティングが、複数のグレインを含む、被覆された基材が本明細書に記載される。
【0126】
[00152] ある実施形態において、基材は、農産物、シリコン基材、ポリスチレン基材、又は多糖(例えば、セルロース)を含む基材である。例えば、基材は、農産物であり得る。
【0127】
[00153] 別の態様において、農産物及び農産物上に形成された層状構造を含むコーティングを含む被覆された農産物であって、コーティングが、約20ミクロン未満の厚さを有する、被覆された農産物が本明細書に記載される。
【0128】
[00154] 別の態様において、農産物及び農産物上に形成された層状構造を含むコーティングを含む被覆された農産物であって、コーティングが、複数のグレインを含む、被覆された農産物が本明細書に記載される。
【0129】
[00155] ある実施形態(例えば、薄層が、1つ以上のソルビタンエステル又はスクロースエステルを含む脂質二重層などの脂質二重層であるとき)において、格子形成は、六角形単位セルによって画定される。単位セル中の各隣接する分子間の距離(「a」と呼ばれる)は、約0.2nm~約2nm、例えば、約0.2~約0.7nm、約0.2~約1.2nm、約0.2nm~約0.4nm、約0.3nm~約0.5nm、約0.4nm~約0.6nm、約0.43nm~約0.5nm、又は約0.47nm~約0.48nmである。ある実施形態において、格子形成は、斜方晶系単位セルによって画定される。ある実施形態において、格子形成は、正方晶系単位セルによって画定される。ある実施形態において、格子形成は、単斜晶系単位セルによって画定される。
【0130】
[00156] ある実施形態において、層状構造は、複数の薄層を含む。薄層の表面と、同じ方向に面する隣接する薄層の表面との間の距離は、本明細書において「周期的間隔」と呼ばれる。ある実施形態において、薄層の層間間隔は、約1.0~約20nmである。例えば、約1~約20nm、約2~約13nm、約3nm~約10nm、約3~約7nm、約3~約6nm、約3~約5nm、約5~約7nm、約4~約6nm、約4~約5nm、約5~約6nm、又は約5.0~約5.8nmである。
【0131】
[00157] ある実施形態において、コーティングは、複数のグレインを含む。
【0132】
[00158] ある実施形態において、グレインサイズは、約2nm~約100nmであり、例えば、約4nm~約100nm、約7nm~約100nm、約6nm~約100nm、約6nm~約80nm、約6nm~約60nm、約6nm~約40nm、約6nm~約25nm、約9nm~約22nm、約9nm~約15nm、約13nm~約25nm、約8nm~約25nm、約11nm~約17nm、約11nm~約14nm、約13nm~約17nm、約12nm~約16nm、約15nm~約17nm、約9nm~約13nm、約13nm~約17nm、約17nm~約25nm、約2nm~約10nm、5nm~約10nm、約8nm~約9nm、約8.5nm~約9.5nm、約9nm~約10nm、約8nm、約9nm、約10nm、約11nm、約12nm、約13nm、約14nm、約15nm、約16nm、約17nm、約19nm、約21nm、又は約22nmである。
【0133】
使用及び適用の方法
[00159] 一態様において、基材を被覆する方法であって、
以下を含む分散体:
1つ以上の脂肪酸エステル;及び
1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを;
農産物の表面に適用すること;並びに
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上にコーティングを形成することを含み、
ここで:
コーティングが、農産物の表面上の複数の脂質二重層を含み;
コーティングの厚さが、約2ミクロン以下である、方法が本明細書に記載される。
【0134】
[00160] ある実施形態において、コーティングは、1つ以上の脂肪酸エステル及び1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含む。
【0135】
[00161] 別の態様において、基材を被覆する方法であって、
以下を含む分散体:
1つ以上の脂肪酸エステル;及び
1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、1つ以上の単糖エステル、1つ以上の二糖エステル、糖アルコールの1つ以上のエステル、又はそれらの任意の組合せを;
農産物の表面に適用すること;並びに
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上にコーティングを形成することを含む、方法が本明細書に記載される。
【0136】
[00162] ある実施形態において、コーティングは、1つ以上の脂肪酸エステル及び1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、1つ以上の単糖エステル、1つ以上の二糖エステル、糖アルコールの1つ以上のエステル、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0137】
[00163] ある実施形態において、コーティングは、農産物の表面上の複数の脂質二重層を含む。ある実施形態において、コーティングの厚さが、約2ミクロン以下である。ある実施形態において、基材は、農産物を含む。ある実施形態において、1つ以上の脂肪酸エステルは、1つ以上のモノグリセリドを含む。
【0138】
[00164] ある実施形態において、分散体は、1つ以上のソルビタンエステルを含む。ある実施形態において、ソルビタンエステルの1つ以上は、C10~C24のエステル鎖長を有する。ある実施形態において、1つ以上のソルビタンエステルは、モノラウリン酸ソルビタンを含む。ある実施形態において、1つ以上のソルビタンエステルは、1つ以上のエトキシ化ソルビタンエステル、例えば、エトキシ化モノラウリン酸ソルビタンを含む。ある実施形態において、分散体中の1つ以上のソルビタンエステルの総濃度は、約1mg/mL~約5mg/mLである。
【0139】
[00165] ある実施形態において、分散体は、1つ以上の単糖エステルを含む。ある実施形態において、1つ以上の単糖エステルは、グルコースエステルを含む。ある実施形態において、単糖エステルの1つ以上は、C8~C24、例えば、C8~C16のエステル鎖長を有する。ある実施形態において、分散体中の1つ以上の単糖エステルの総濃度は、約1mg/mL~約5mg/mLである。
【0140】
[00166] ある実施形態において、分散体は、糖アルコールの1つ以上のエステルを含む。ある実施形態において、糖アルコールの1つ以上のエステルは、エリトリトールエステル、キシリトールエステル、又はその両方を含む。ある実施形態において、糖アルコールのエステルの1つ以上は、C2~C12のエステル鎖長を有する。ある実施形態において、分散体中の1つ以上の単糖エステルの濃度は、約1mg/mL~約5mg/mLである。
【0141】
[00167] 別の態様において、基材を被覆する方法であって、
以下を含む分散体:
1つ以上のスクロースエステル;
1つ以上のソルビタンエステル;又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
農産物の表面に適用すること;及び
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物上にコーティングを生じさせることを含み、コーティングが、
1つ以上のスクロースエステルを含む層;
1つ以上のソルビタンエステルを含む層;又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含む層を、
農産物の表面上に含み、
ここで:
空気の温度が、約50℃超であり、
コーティングが、農産物の表面上の複数の二重層を含み、
複数の二重層の各二重層が、複数のグレインを含む、方法が本明細書に記載される。
【0142】
[00168] ある実施形態において、分散体の温度は、約10℃~約80℃、例えば、約10℃~約70℃、約20℃~約80℃、約20℃~約60℃、又は約40℃~約70℃である。
【0143】
[00169] ある実施形態において、空気の温度は、約20℃~約120℃、例えば、約20℃~約100℃、約40℃~約120℃、又は約50℃~約100℃である。
【0144】
[00170] 別の態様において、基材を被覆する方法であって、
コーティング剤及び溶媒を含む分散体を基材に適用することであって、分散体の温度が約50℃以下である、適用すること;
溶媒を除去して、基材上にコーティングを生じさせること;
コーティングを、第1の温度から第2の温度に加熱することであって、第2の温度が、第1の温度を超え、且つコーティング剤の融点未満である、加熱すること、及び
コーティングを、第2の温度から第3の温度に冷却することであって、第3の温度が、第2の温度未満であり、コーティングが、基材の表面上の複数の二重層を含む、冷却することを含み、
複数の二重層の各二重層が、複数のグレインを含む、方法が本明細書に記載される。
【0145】
[00171] 別の態様において、農産物を被覆する方法であって、
コーティング剤及び溶媒を含む分散体を、農産物に適用して、農産物上に液体層を生じさせること;及び
液体層を、約50℃~約100℃の温度で乾燥させて、農産物上にコーティングを生じさせることを含み、
ここで、コーティングが、基材の表面上の複数の二重層を含み、
コーティングの厚さが、約2ミクロン以下である、方法が本明細書に記載される。
【0146】
[00172] 別の態様において、農産物を被覆する方法であって、
コーティング剤及び溶媒を含む分散体を、農産物に適用すること;及び
分散体を、約50℃~約100℃の温度で乾燥させて、農産物上にコーティングを生じさせることを含み、
ここで、コーティングが、基材の表面上の複数の二重層を含み、複数の二重層の各二重層が、複数のグレインを含む、方法が本明細書に記載される。
【0147】
[00173] 別の態様において、農産物を被覆する方法であって、
コーティング剤及び溶媒を含む分散体を、農産物に適用すること;
溶媒を除去して、農産物上にコーティングを生じさせること;
コーティングを、第1の温度から第2の温度に加熱することであって、第2の温度が、第1の温度を超え、且つコーティング剤の融点未満である、加熱すること;及び
コーティングを、第2の温度から第3の温度に冷却することであって、第3の温度が、第2の温度未満である、冷却することを含み、
ここで、コーティングが、基材の表面上に複数の二重層を形成し、複数の二重層の各二重層が、複数のグレインを含む、方法が本明細書に記載される。
【0148】
[00174] ある実施形態において、第1の温度は、約0℃~約50℃であり、例えば、約10℃~約40℃、約20℃~約30℃、約23℃~約27℃、又は約25℃である。ある実施形態において、第1の温度は、周囲の外気の温度より高い。ある実施形態において、第1の温度は、周囲の外気の温度未満である。
【0149】
[00175] ある実施形態において、第2の温度は、約40℃~約65℃であり、例えば、約45℃~約65℃、約50℃~約65℃、約55℃~約65℃、約57℃~約63℃、又は約60℃である。ある実施形態において、第2の温度は、周囲の外気の温度より高い。ある実施形態において、第2の温度は、周囲の外気の温度未満である。ある実施形態において、コーティングは、農産物の温度より高い温度を有する空気で加熱される。ある実施形態において、コーティングが加熱される空気は、第2の温度より高い。ある実施形態において、コーティングが加熱される空気は、コーティングの融点より高い。
【0150】
[00176] ある実施形態において、コーティングが、コーティング剤の溶融温度(約65℃~約70℃、又は約70℃)で又はそれを超える温度で加熱される場合、コーティング中の結晶面(例えば薄層)の格子形成が、破壊され得、構成分子が、ランダムな配向を採り得、コーティングが液化し得る。
【0151】
[00177] ある実施形態において、第3の温度は、約0℃~約50℃であり、例えば、約10℃~約40℃、約20℃~約30℃、約23℃~約27℃、又は約25℃である。ある実施形態において、第3の温度は、周囲の外気の温度より高い。ある実施形態において、第3の温度は、周囲の外気の温度未満である。
【0152】
[00178] ある実施形態において、第2の温度は、約5秒間~約10時間にわたって維持される。例えば、第2の温度は、約5秒間~約7時間、約5秒間~約3時間、約5秒間~約1.5時間、約5秒間~約60分間、約30秒間~約45分間、約5分間~約60分間、約10分間~約45分間、約20分間~約40分間、約25分間~約35分間、約30秒間~約10分間、約30秒間~約7分間、約30秒間~約3分間、約3分間~約7分間、約30秒間~約1分間、約1分間~約5分間、約25分間、約27分間、約29分間、約30分間、約32分間、約35分間、約30秒間、約1分間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、又は約7分間にわたって維持され得る。
【0153】
[00179] ある実施形態において、コーティングを、第2の温度から第3の温度に冷却した後のグレインサイズが、コーティングを、第1の温度から第2の温度に加熱する前のグレインサイズより大きい。ある実施形態において、被覆された農産物を、第1の温度から第2の温度に加熱する前のコーティングのグレインサイズが、約2nm~約10nmである。例えば、約5nm~約10nm、約8nm~約9nm、約8.5nm~約9.5nm、約9nm~約10nm、約8nm、約9nm、又は約10nmである。例えば、被覆された農産物を、第2の温度から第3の温度に冷却した後のコーティングのグレインサイズが、約7nm~約100nmであり得る。例えば、約8nm~約25nm、約11nm~約17nm、約11nm~約14nm、約13nm~約17nm、約12nm~約16nm、約15nm~約17nm、約11nm、約12nm、約13nm、約14nm、約15nm、約16nm、又は約17nmである。
【0154】
[00180] 別の態様において、農産物の質量損失率を減少させる方法であって、
以下を含む分散体:
溶媒、及び
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
農産物の表面に適用して、農産物の表面上に複数の二重層を生じさせること;並びに
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物の表面上に1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含むコーティングを生じさせることを含む、方法が本明細書に記載される。
【0155】
[00181] 別の態様において、農産物の呼吸速度を低下させる方法であって、
以下を含む分散体:
溶媒、及び
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
農産物の表面に適用して、農産物の表面上に複数の二重層を生じさせること;並びに
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物の表面上に1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含むコーティングを生じさせることを含む、方法が本明細書に記載される。
【0156】
[00182] ある実施形態において、分散体中のコーティング剤の濃度が、約10g/L~約200g/Lであり得、例えば、約1g/L~約150g/L、約1g/L~約50g/L、約50g/L~約100g/L、約100g/L~約150g/L、約150g/L~約200g/L、約5g/L~約100g/L、約5g/L~約80g/L、約70g/L~約130g/L、約10g/L~約80g/L、約25g/L~約60g/L、約30g/L~約60g/L、約30g/L~約50g/L、約40g/L~約60g/L、約30g/L~約40g/L、約40g/L~約50g/L、約50g/L~約60g/L、約10g/L、約20g/L、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L又は約140g/Lである。
【0157】
[00183] ある実施形態において、分散体は、約20℃~約100℃、例えば、約25℃~約80℃、約25℃~約70℃、約30℃~約65℃、約40℃~約65℃、50℃~約65℃、約55℃~約65℃、約60℃~約65℃、約55℃、約60℃、又は約65℃の温度で乾燥される。ある実施形態において、分散体は、部分的に乾燥される。ある実施形態において、乾燥は、約5%超の溶媒、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%超の溶媒を除去する。ある実施形態において、二重層構造は、分散体が部分的に乾燥されるとき、形成される。ある実施形態において、二重層構造は、少なくとも約5%の溶媒が除去された後、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の溶媒が除去された後、形成される。
【0158】
[00184] ある実施形態において、より迅速な溶媒除去及び/又は乾燥は、コーティングの性能を改善し得る。例えば、より迅速な溶媒除去及び/又は乾燥は、より厚い及びより均質なコーティングをもたらし得る。ある実施形態において、溶媒の除去又は分散体の乾燥は、約2時間未満で行われる。例えば、溶媒は、約1.5時間未満、1時間、45分、30分、25分、20分、15分、10分、5分、4分、2分、1分、30秒、15秒、10秒、5秒、又は3秒未満で除去又は乾燥され得る。
【0159】
[00185] 別の態様において、農産物を被覆する方法であって、
1つ以上のスクロースエステル、又は1つ以上のソルビタンエステル、及び溶媒を含む分散体を、農産物の表面に適用すること;
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物の表面に1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含むコーティングを生じさせることを含む、方法が本明細書に記載される。
【0160】
[00186] 別の態様において、農産物を被覆する方法であって、
コーティング剤及び溶媒を含む分散体を、農産物に適用することであって、分散体中のコーティング剤の濃度が、約30g/L~約50g/Lである、適用すること;
約50℃超の温度で分散体を乾燥させて、農産物上にコーティングを生じさせることを含み、ここで、コーティングが、約13nm~約25nmのグレインサイズ及び約2ミクロン未満の厚さを有する二重層構造を含む、方法が本明細書に記載される。
【0161】
[00187] 別の態様において、農産物を被覆する方法であって、
コーティング剤及び溶媒を含む分散体を、農産物の表面に適用することであって、コーティング剤が、
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含む、適用すること;及び
約60℃超の温度で分散体を乾燥させて、農産物の表面上にコーティングを生じさせ、それによって、農産物の表面上に1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含むコーティングを生じさせることを含み、ここで、コーティングが、約2ミクロン未満の厚さを有し、約13nm~約25nmのグレインサイズを有する二重層構造を含む、方法が本明細書に記載される。
【0162】
[00188] 別の態様において、基材におけるコーティングの水透過性を低下させる方法であって、
以下を含む分散体:
溶媒、及び
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
農産物の表面に適用すること;並びに
空気流下で分散体を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物の表面上にコーティングを生じさせることを含み、ここで、コーティングが、1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含む、方法が本明細書に記載される。
【0163】
[00189] 別の態様において、基材におけるコーティングのガス拡散率を低下させる方法であって、
以下を含む分散体:
溶媒、及び
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
農産物の表面に適用すること;並びに
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物の表面上にコーティングを生じさせることを含み、ここで、コーティングが、1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含む、方法が本明細書に記載される。
【0164】
[00190] ある実施形態において、基材は、農産物、シリコン基材、又は多糖(例えば、セルロース)を含む基材である。例えば、基材は、農産物であり得る。
【0165】
[00191] 別の態様において、コーティングが上に配置された農産物の質量損失率を減少させる方法であって、
以下を含む分散体:
溶媒、及び
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
農産物の表面に適用すること;並びに
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物の表面上にコーティングを生じさせることを含み、ここで、コーティングが、1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含む、方法が本明細書に記載される。
【0166】
[00192] 別の態様において、コーティングが上に配置された農産物の呼吸速度を低下させる方法であって、
以下を含む分散体:
溶媒、及び
1つ以上のスクロースエステル、
1つ以上のソルビタンエステル、又は
1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを、
農産物の表面に適用すること;並びに
空気流下で農産物の表面上の分散体を乾燥させて、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、農産物の表面上の複数の二重層の自己集合を促進し、それによって、農産物の表面上にコーティングを生じさせることを含み、ここで、コーティングが、1つ以上のスクロースエステル、1つ以上のソルビタンエステル、又は1つ以上のスクロースエステル及び1つ以上のソルビタンエステルを含む、方法が本明細書に記載される。
【0167】
コーティング厚さ及び質量損失係数/率
[00193] ある実施形態において、農作物などの被覆された基材からの水分損失又は被覆された基材の酸化を防ぐように配合されるコーティングについて、より厚いコーティングは、同じコーティング剤から形成されるより薄いコーティングと比較して、水及び酸素に対する透過性が低くなり、したがって、より薄いコーティングと比較して、より低い質量損失率をもたらすはずである。より厚いコーティングは、分散体中のコーティング剤の濃度を増加させ、同様の体積の分散体を、(同様のサイズの)農作物の各部分に適用することによって形成され得る。
【0168】
接触角/湿潤剤
[00194] 理論に制約されるのを望むものではないが、分散体に加えられたスクロースエステル又はソルビタンエステルが、界面活性剤/湿潤剤として作用して、農作物の表面における分散体の接触角を減少させると考えられる。ある実施形態において、湿潤剤の添加は、農作物の表面上の分散体の被覆率を改善し、それによって、実質的に連続するコーティングが、表面全体にわたって形成されるのを可能にし得る。その結果、被覆された農作物の質量損失率は、コーティング厚さの増加とともに減少することが分かり、全体的な質量損失率は、湿潤剤を欠いた同様の分散体で被覆された農作物と比較して、かなり減少されることが分かった。これらの効果のさらなる証拠が以下に示される。
【0169】
[00195] 広範な実験によって、少なくともいくつかの種類の農作物の表面におけるいくつかの溶媒及びコーティング溶液/懸濁液の液滴の接触角がかなり大きいことが分かり、これは、農作物の表面と比較した液滴の表面エネルギーの大きな差を示している。この影響は、分散体が少なくとも約70体積%の水であった場合に特に明らかであったが、その理由は、多くの植物又は他の農産物の表面が、多くの場合、クチクラ外ワックスの存在のため疎水性である傾向があるためである。この現象は、以下のように特徴付けられた。溶媒又はコーティング(すなわち、コーティング剤が溶解、懸濁又は分散された溶媒)の液滴が、農作物表面に直接、又はカルナウバ、カンデリラ、若しくはパラフィンろうに直接、堆積され(カルナウバ、カンデリラ、及びパラフィンろうは全て、レモン並びに多くの他の種類の農作物の表面のものと同様の天然疎水性を有する傾向がある)、接触角は、画像解析ソフトウェアを用いて決定された。様々な試験の結果が、以下のように要約される。
【0170】
[00196] ある実施形態において、水ベースの又は高い含水量のコーティング分散体中の湿潤剤(例えば、ソルビタン又はスクロースエステル)の濃度を増加させることにより、農作物又はワックス表面における分散体の接触角が減少された。
【実施例】
【0171】
[00197] 以下の実施例は、様々な基材における様々なコーティング剤及び溶液/懸濁液/コロイドの効果、並びに様々なコーティング剤及び溶液/懸濁液/コロイドのいくつかの特性評価を記載している。これらの実施例は、例示目的のためのものであるに過ぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていない。以下の実施例のそれぞれにおいて、特に規定されない限り、全ての試薬及び溶媒は、購入され、さらに精製せずに使用された。
【0172】
[00198] 実施例において、「処理A」(又は「Tmt.A」)は、示される濃度の100%のエタノール中の2,3-ジヒドロキシプロパン-イルパルミテート/1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルパルミテートの30/70混合物を指す。「処理B」(又は「Tmt.B」)は、100%のエタノール中のモノステアレート/1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルパルミテート/パルミチン酸の60/5/35混合物を指す。「処理C」(又は「Tmt.C」)は、100%の水中の95/5モノステアレート/ステアリン酸ナトリウムを指す。処理D」(又は「Tmt.D」)は、100%の水中のモノステアレート/ステアリン酸ナトリウムの98/2混合物を指す。比率(例えば、30/70)は、重量比を指す。
【0173】
実施例1:カリフォルニア産ハス種アボカドの質量損失率に対するスクロースエステルから形成されたコーティングの効果。
[00199]
図1は、カリフォルニア産ハス種アボカドについての1日当たりの平均質量損失率を示すグラフである。非処理群に対応するアボカドは、非処理であった。スクロースエステル群に対応するアボカドを、100%のエタノール中の10mg/mLのパルミチン酸スクロースで処理した。処理A群に対応するアボカドを、10mg/mLの処理Aで処理した。処理B群に対応するアボカドを、10mg/mLの処理Bで処理した。処理C群に対応するアボカドを、30mg/mLの処理Cで処理した。コーティング剤をそれぞれ、溶媒に溶解させて、溶液を形成し、溶液を、ボウルディッピングによって対応するアボカドの表面に適用し、70℃で乾燥させて、コーティングを形成した。
【0174】
実施例2:メキシコ産ハス種アボカドの質量損失率に対するスクロースエステルから形成されたコーティングの効果。
[00200]
図2は、メキシコ産ハス種アボカドについての1日当たりの平均質量損失率を示すグラフである。非処理バーに対応するアボカドは、非処理であった。スクロースエステルバーに対応するアボカドを、100%のエタノール中の10mg/mLのパルミチン酸スクロースで処理した。処理A群に対応するアボカドを、10mg/mLの処理Aで処理した。処理B群に対応するアボカドを、10mg/mLの処理Bで処理した。処理C群に対応するアボカドを、30mg/mLの処理Cで処理した。コーティング剤をそれぞれ、溶媒に溶解させて、溶液を形成し、溶液を、ボウルディッピングによって対応するアボカドの表面に適用し、70℃で乾燥させて、コーティングを形成した。
【0175】
実施例3:レッドグレープトマトの質量損失率に対するスクロースエステルから形成されたコーティングの効果。
[00201]
図3は、レッドグレープトマトについての1日当たりの平均質量損失率を示すグラフである。非処理群に対応するトマトは、非処理であった。スクロースエステル群に対応するトマトを、100%のエタノール中の10mg/mLのパルミチン酸スクロースで処理した。処理A群に対応するトマトを、10mg/mLの処理Aで処理した。処理B群に対応するトマトを、10mg/mLの処理Bで処理した。処理C群に対応するトマトを、30mg/mLの処理Cで処理した。コーティング剤をそれぞれ、溶媒に溶解させて、溶液を形成し、溶液を、ボウルディッピングによって対応するトマトの表面に適用し、70℃で乾燥させて、コーティングを形成した。
【0176】
実施例4:モモの質量損失率に対するスクロースエステルから形成されたコーティングの効果。
[00202]
図4は、モモについての1日当たりの平均質量損失率を示すグラフである。非処理群に対応するモモは、非処理であった。糖(スクロース)エステル群に対応するモモを、100%のエタノール中の10mg/mLのパルミチン酸スクロースで処理した。処理C群に対応するモモを、10mg/mLの処理Cで処理した。コーティング剤をそれぞれ、溶媒に溶解させて、溶液を形成し、溶液を、ボウルディッピングによって対応するモモの表面に適用し、70℃で乾燥させて、コーティングを形成した。
【0177】
実施例5:モモの質量損失率に対するスクロースエステルから形成されたコーティングの効果。
[00203]
図5は、モモについての1日当たりの平均質量損失率を示すグラフである。非処理群に対応するモモは、非処理であった。糖(スクロース)エステル群に対応するモモを、100%のエタノール中の10mg/mLのパルミチン酸スクロースで処理した。処理C群に対応するモモを、30mg/mLの処理Cで処理した。コーティング剤をそれぞれ、溶媒に溶解させて、溶液を形成し、溶液を、ボウルディッピングによって対応するモモの表面に適用し、70℃で乾燥させて、コーティングを形成した。
【0178】
実施例6:アボカドの質量損失係数及び呼吸速度に対するスクロースエステルから形成されたコーティングの効果。
[00204]
図6は、アボカドについての質量損失係数を示すグラフである。非処理群に対応するアボカドは、非処理であった。処理C群に対応する農産物を、脱イオン水中の30g/Lの処理Cで処理した。スクロースエステル基に対応する農産物を、脱イオン水中の30g/Lのパルミチン酸スクロース(98重量%)及びモノステアリン酸ナトリウム(2重量%)で処理した。コーティング剤をそれぞれ、高せん断混合(1600RPMで5分間)を用いて60℃の脱イオン水中で混合した。アボカドを、ブラシベッドを用いて処理し、70℃で、ヒートトンネル中で乾燥させた。
【0179】
[00205]
図7は、アボカドについての呼吸速度を示すグラフである。スクロースエステルで処理されたアボカドは、2日目に1.70の質量損失係数及び1.38の呼吸係数を有していた。モノグリセリド(95/5モノステアレート/ステアリン酸ナトリウム)で処理されたアボカドは、2日目に2.38の質量損失係数及び1.55の呼吸係数を有していた。
【0180】
実施例7:メキシコ産アボカドの質量損失係数及び呼吸速度に対する100%のスクロースエステルから形成されたコーティングの効果。
[00206]
図8は、メキシコ産アボカドについての質量損失係数を示すグラフである。非処理群は、非処理であった。処理C群を、Silverson高せん断ミキサーを用いて調製された50g/Lの処理Cで処理した。スクロースエステル100%の低温混合群を、Vitamixブレンダーを用いて室温で1分間混合することによって調製された、水中の50g/Lのスクロースエステル(100重量%)で処理した。スクロースエステル100%の高温混合群を、Vitamixを用いて80℃で3分間混合することによって調製された、水中の50g/Lのスクロースエステル(100重量%)で処理した。コーティングを、ボウルディップ方法を用いて適用し、ヒートトンネル条件下で乾燥させた。
【0181】
[00207]
図9は、メキシコ産アボカドについての呼吸速度を示すグラフである。
図8及び
図9に示されるように、低温混合されたスクロースエステルコーティングは、水分保持及び呼吸減少の両方について、モノグリセリド(98/2パルミチン酸スクロース/ステアリン酸ナトリウム)コーティングのおよそ2倍良好に機能した。
【0182】
[00208]
図10Aは、非処理のメキシコ産アボカドの画像であり、
図10Bは、高温混合されたスクロースエステルコーティングで処理されたメキシコ産アボカドの画像である。
図10A及び10Bに見られるように、高温混合されたスクロースエステルコーティングで処理されたアボカドは、非処理のメキシコ産アボカドより高い光沢を有する。
【0183】
実施例8:薄膜の光沢に対するスクロースエステルから形成されたコーティングの効果。
[00209]
図11は、様々な組成物の薄膜についての光沢度を示すグラフである。1つのフィルムを、50g/Lの処理Cから形成した。第2のフィルムを、低温混合プロセスを用いて、水中の50g/Lのスクロースエステル(100重量%)から形成した。第3のフィルムを、高温混合プロセスを用いて、水中の50g/Lのスクロースエステル(100重量%)から形成した。第4のフィルムを、50g/Lの、スクロースエステル/ステアリン酸ナトリウムの98/2混合物から形成した。50g/Lの各組成物の分散体を、最大設定において3分間にわたってVitamixブレンダー中で混合した。次に、分散体(0.5mL)を、プラスチック製の顕微鏡カバースリップ上に付着させた。フィルムを周囲空気で乾燥させ、光沢を、Horiba IG-320光沢計を用いて測定した。Horiba IG-320により60°の光反射を測定し、黒色ガラスの反射を用いて校正した。
図11に示されるように、スクロースエステルを含有するフィルムは、モノグリセリドコーティングよりはるかに高い光沢度をもたらした。エラーバーは、3回の試験にわたる光沢度測定の標準偏差である。より高い光沢度は、フィルムからのより高い光反射の指標である。
【0184】
実施例9:スクロースエステル混合物の混合試験。
[00210]
図12は、2つの異なるスクロースエステル混合物の透過率を示すグラフである。1つの混合物は、水中の50g/Lのスクロースエステル(100重量%)を含み、低温混合プロセスを用いて調製された。第2の混合物は、水中の50g/Lのスクロースエステル(100重量%)を含み、高温混合プロセスを用いて調製された。2つのタイプのスクロースエステルを、3分間にわたって最大設定で、Vitamixブレンダーを用いて、80℃の水中でモノステアレートと混合した。
【0185】
[00211]
図13は、様々な量のスクロースエステル添加剤(ステアリン酸スクロース又は「SS」)を用いたモノグリセリド分散体についての経時的な濁度を示すグラフである。モノグリセリド溶液(処理D)は、50g/Lの濃度の、100%の水中のモノステアレート/ステアリン酸ナトリウムの98/2混合物(Tmt.D)を含む。分散体を、3分間にわたってVitamixブレンダー中で、高温水中で混合することによって生成した。分散体の濁度を、経時的に濁度計を用いて監視した。
図13に示されるように、ステアリン酸スクロースの添加は、ステアリン酸スクロースを含有しないものと比較した濁度の変化によって決定される、分散体安定性の2~3倍の増加をもたらす。
【0186】
[00212]
図14は、様々な量のスクロースエステル添加剤(ステアリン酸スクロース又は「SS」)を用いたモノグリセリド分散体についての経時的な濁度を示すグラフである。モノグリセリド溶液(処理D)は、50g/Lの濃度の、100%の水中のモノステアレート/ステアリン酸ナトリウムの98/2混合物を含む。スクロースエステル添加剤は、Sisterna B.V.から入手可能な、スクロース脂肪酸エステル(≧90重量%)、遊離脂肪酸(オレイン酸として、≦3重量%)、遊離スクロース(≦4重量%)、及び水(≦4重量%)の混合物である。分散体を、3分間にわたってVitamixブレンダー中で、高温水(80℃)中で混合することによって生成した。分散体の濁度を、経時的に濁度計を用いて監視した。
図14に示されるように、ステアリン酸スクロースの添加は、ステアリン酸スクロースを含有しないものと比較した濁度の変化によって決定される、分散体安定性の2~3倍の増加をもたらす。
【0187】
実施例10:X線散乱によって測定されるソルビタンエステルコーティングの構造。
[00213] コーティング剤を、空気に曝されたときに親水性表面として働くプラスチック基材の表面に適用した。適用されたコートのX線散乱画像を、コーティングの特性を特定するために取得した。
【0188】
[00214] 具体的には、モノステアリン酸ソルビタン(95重量%)及びステアリン酸ナトリウム(5重量%)のコーティング剤を、薄膜として基材に適用した。フィルムを、30g/Lの水溶液からドロップキャストし、40℃で4時間乾燥させた。
図15に示されるように、モノステアリン酸ソルビタンは、5.5nmの周期性を有する交互の二重層へと自己集合することが分かった。「LAM」は、層状又は二重層形態を指す。
【0189】
[00215] さらに、モノパルミチン酸ソルビタン(95重量%)及びステアリン酸ナトリウム(5重量%)のコーティング剤を、薄膜として基材に適用した。フィルムを、30g/Lの水溶液からキャストし、40℃で4時間乾燥させた。
図16に示されるように、モノパルミチン酸ソルビタンは、5.6nmの周期性を有する交互の二重層へと自己集合することが分かった。
【0190】
実施例11:カリフォルニア産アボカドの質量損失係数及び呼吸速度に対するソルビタンエステルから形成されたコーティングの効果。
[00216]
図17は、カリフォルニア産アボカドについての質量損失係数を示すグラフである。アボカドの非処理群は、非処理であった。アボカドの第2の群を、15g/Lの処理Cで処理した。アボカドの第3の群を、30g/Lの処理Cで処理した。アボカドの第4の群を、30g/Lのモノパルミチン酸ソルビタン(MP)(100重量%)で処理した。アボカドの第5の群を、30g/Lのモノステアリン酸ソルビタン(MS)で処理した。ソルビタンエステルコーティングを、ソルビタンエステルを脱イオン水中で分散させることによって調製した。コーティングを、ボウルディップ方法を用いて適用し、70℃の温度で、空気流下で乾燥させた。
図17に示されるように、ソルビタンエステルフィルムは、脱水を減少させ、15g/Lの濃度の処理Cに対する同様の性能を与えることが分かった。
【0191】
[00217]
図18は、カリフォルニア産アボカドについての呼吸速度を示すグラフである。
図18に示されるように、ソルビタンエステルフィルムは、30g/Lのモノステアレート/ステアリン酸ナトリウムの95/5混合物と比較して、同等(モノステアリン酸ソルビタン)又はより高い(モノパルミチン酸ソルビタン)呼吸係数を示すことが分かった。
【0192】
実施例12:メキシコ産アボカドの質量損失係数及び呼吸速度に対するソルビタンエステルから形成されたコーティングの効果。
[00218]
図19は、メキシコ産アボカドについての質量損失係数(MLF)を示すグラフである。アボカドの第1の群は、非処理であった。アボカドの第2の群を、20g/Lの処理Cで処理した。アボカドの第3の群を、40g/Lの処理Cで処理した。モノグリセリドコーティングを、高せん断ミキサーを用いて混合した。アボカドの第4の群を、20g/Lの、モノステアリン酸ソルビタン(94重量%)及びステアリン酸ナトリウム(6重量%)の混合物で処理した。アボカドの第5の群を、40g/Lの、モノステアリン酸ソルビタン(94重量%)及びステアリン酸ナトリウム(6重量%)の混合物で処理した。モノステアリン酸ソルビタンコーティングを、ブレンダーを用いて混合した。コーティングを、ブラシベッドを用いて適用し、70℃の温度で乾燥させた。
図19に示されるように、モノグリセリド及びモノステアリン酸ソルビタンフィルムの間の水分バリア性能は、同様であることが分かった。20g/Lの95/5モノステアレート/ステアリン酸ナトリウムのMLFは、1.49であり、40g/Lの95/5モノステアレート/ステアリン酸ナトリウムのMLFは、2.24であった。モノステアリン酸ソルビタン20g/L群は、1.83のMLFを有し、モノステアリン酸ソルビタン40g/L群は、2.32のMLFを有していた。
【0193】
[00219]
図20は、メキシコ産アボカドについての呼吸速度を示すグラフである。
図20に示されるように、モノステアリン酸ソルビタン及びモノグリセリド組成物の間の呼吸性能は、同様であることが分かった。1日目に、20g/Lの処理CのRFは、1.17であり、40g/Lの処理CのRFは、1.43であった。モノステアリン酸ソルビタン20g/L群は、1.15のRFを有し、40g/L群は、1.25のRFを有していた。
【0194】
実施例13:非ワックスピクシーオレンジについての質量損失係数に対するモノラウリン酸ソルビタン湿潤剤によるコーティングの効果。
[00220]
図21は、非ワックスピクシーオレンジ(「ピクシー」)についての質量損失係数を示すグラフである。ピクシーの1つの群は、非処理であった。ピクシーの第2の群を、50g/Lの処理Cで処理した。ピクシーの第3の群を、50g/Lの処理C及び2g/Lの湿潤剤(WAG)で処理した。ピクシーの第4の群を、50g/Lの、モノステアレート/ステアリン酸ナトリウム及び2g/Lのモノラウリン酸ソルビタンの95/5混合物で処理した。コーティングを、ボウルディップ方法を用いて適用し、70℃の温度で乾燥させた。
図21に示されるように、2g/Lのモノラウリン酸ソルビタンをモノグリセリドに加えることにより、非処理の基材と比較して質量損失係数が3.56倍増加された。ピクシーは、ヒートトンネルから出て、大部分は乾燥していた(約80%)。
【0195】
実施例14:脂肪酸のエリトリトール及びキシリトールモノエステルの合成。
[00221] 撹拌子を含む乾燥した500mLの丸底フラスコ中に、10gのステアリン酸ビニル及び1.05当量の適切な糖アルコールを加えた後、窒素でフラッシュし、3Å分子篩上で乾燥された400mLのt-ブタノールをカニューレで移動した。これを、57℃に加熱し、4時間撹拌して、糖アルコールを部分的に溶解させた。これに、1gの固定化されたCalB酵素を加えた。3日後、ある程度のステアリン酸及び未反応の出発ビニルアルコールが、TLCによって検出された。さらなる0.5当量の糖アルコールを、さらなる1gの固定化されたCalB酵素とともに加え、さらに1日撹拌した。次に、反応物を高温ろ過して、酵素樹脂を除去し、凍結乾固させた。少量の材料を、カラムクロマトグラフィーによって精製して、試験のための目的のエステルを得た。NMR分析は、単離された材料が、2つの結合性異性体の混合物であり、1-イル異性体が優勢であることを示す。或いは、これらの材料は、酵素触媒を適切な塩基触媒(例えば、カリウムt-ブトキシド)と取り替えることによって合成され得る。
【0196】
[00222] ステアリン酸のエリトリトールモノエステル(2,3,4-トリヒドロキシブチルステアレート及び1,3,4-トリヒドロキシブタン-2-イルステアレート)についての特性評価データが、以下に列挙される。簡潔にするために、立体化学は省略される。
Rf:0.45(EtAc)
1H NMR(600MHz、1:1 CDCl3:d4-MeOD)δ 4.89-4.80(m,0.1H、2-yl)、4.28(dd,J=11.4、3.0Hz、1H)、4.13(dd,J=11.7、6.5Hz、1H)、3.77-3.68(m,2H)、3.63(dd,J=11.3、5.9Hz、1H)、3.56(td,J=6.4、3.9Hz、1H)、2.33(t,J=7.6Hz、2H)、1.60(p,J=7.4Hz、2H)、1.23(s,31H)、0.85(t,J=6.9Hz、3H).
13C NMR(151MHz、1:1 CDCl3:d6-DMSO、ref DMSO)δ 173.40、72.41、70.10、66.41、63.60、34.11、31.78、29.53、29.49、29.39、29.24、29.19、29.04、24.88、22.56、14.28.
【0197】
[00223] ステアリン酸のキシリトールモノエステル(2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチルステアレート及び1,3,4,5-テトラヒドロキシペンタン-2-イルステアレート、潜在的に1,2,4,5-テトラヒドロキシペンタン-3-イルステアレート)についての特性評価データが、以下に列挙される。簡潔にするために、立体化学は省略される。
Rf:0.25(EtAc)
1H NMR(600MHz、1:1 CDCl3:d4-MeOD)δ 5.00(d,J=4.9Hz、0.2H、2-yl)、4.16(dd,J=5.8、3.1Hz、2H)、3.95-3.87(m,1H)、3.77-3.69(m,1H)、3.67-3.57(m,3H)、2.32(t,J=7.5Hz、2H)、1.59(p,J=7.3Hz、2H)、1.23(s,31H)、0.85(t,J=6.9Hz、3H).
13C NMR(151MHz、1:1 CDCl3:d4-MeOD)δ 174.45、72.53、70.44、70.27、65.38、63.02、34.12、33.95、31.75、29.50、29.46、29.43、29.32、29.30、29.17、29.15、29.12、29.00、28.97、24.71、22.47、13.60.
【0198】
実施例15:糖アルコールエステル分散体の調製及び分析。
[00224] 100重量%の糖アルコールエステル、又は95%/5重量%の糖アルコールエステル/ステアリン酸ナトリウム混合物を、バイアルに加えた後、適切な量脱イオン水を加えて、25g/Lの溶液を作製した。バイアルに蓋をし、材料が溶液に溶解され、均一になる時間まで、高温水(約85℃)中で超音波処理した。バイアルを取り出し、得られた分散体を、熱特性及び接触角特性について試験した。モノグリセリドと対照的に、糖アルコールエステルは、ステアリン酸ナトリウムの存在なしに分散することが可能であった。
【0199】
[00225] 分散体のサンプルを、Al密閉シーリングパン中に充填し、TA Instruments DSC 250において10℃/分の上昇速度で10℃~90℃のサイクルに供した。理論に制約されるのを望むものではないが、液晶->α-ゲル相変化温度は、頭部基サイズが増加するにつれて、わずかに低下した(モノグリセリド、モノエリトリチド(monoerythritide)、及びモノキシリチド(monoxylitide)エステルのそれぞれについて、55℃、52℃、50℃)。しかしながら、ステアリン酸ナトリウムを含めることは、温度遷移の著しい拡大及び遷移に関連するより低いエンタルピーから明らかなように、推定二重層の結晶秩序を乱す。表2は、実施例15に従って調製された分散体についての開始温度、ピーク温度、及びエンタルピーを示す。これらの分散体についてのDSCプロットが、
図22~26に示される。
【0200】
【0201】
[00226]
図22は、95/5 C18グリセロールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【0202】
[00227]
図23は、100/0 C18エリトリトールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【0203】
[00228]
図24は、95/5 C18エリトリトールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【0204】
[00229]
図25は、100/0 C18キシリトールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【0205】
[00230]
図26は、95/5 C18キシリトールエステル/ステアリン酸ナトリウム、25g/Lの分散体についてのDSCプロットを示す。
【0206】
[00231] 表2に列挙される各分散体を、ポリカーボネート顕微鏡スライドカバー上に滴下した。60秒後、接触角を、Kruss DSA 25Sにおいて測定した。
図27は、表2に列挙される分散体についての接触角を示す。
【0207】
[00232] 様々な組成物及び方法が、上述されているが、それらが例として示されているに過ぎず、限定として示されるものではないことが理解されるべきである。上述される方法及び工程が、特定の順序で起こる特定の事象を示す場合、工程の順序は、変更されてもよく、このような変更は、本発明の変形形態に従う。さらに、工程のいくつかは、上述されるように連続して行われ得るだけでなく、可能であれば、並行プロセスで同時に行われ得る。様々な実施が、具体的に示され、記載されているが、形態及び詳細の様々な変更がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、他の実施が、以下の特許請求の範囲内である。
【0208】
実施例16:従来のライムの質量損失係数に対するエステル含有コーティングの効果。
[00233] 従来のライムを、表3に従って処理した。コーティングを、ボウルディップ方法を用いて適用し、70℃の温度で、空気流下で乾燥させた。
【0209】
【0210】
[00235] 質量損失係数(MLF)を、群1~8について決定した。結果が、表4に示される。
【0211】
【0212】
[00237] 本開示は、多くの特定の実施形態の詳細を含むが、これらは、主題の範囲又は権利請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本開示に記載されるある特徴はまた、単一の実施形態において、組み合わせて実施され得る。逆に、単一の実施形態の文脈において記載される様々な特徴はまた、複数の実施形態において、別々に、又は任意の好適な副次的な組合せで実施され得る。さらに、上述される特徴が、ある組合せで機能すると記載され、さらにはそのように最初に権利請求され得るが、権利請求された組合せからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組合せから削除され得、権利請求される組合せは、副次的な組合せ又は副次的な組合せの変形を対象とし得る。
【0213】
[00238] 主題の特定の実施形態が記載されている。当業者に明らかであるように、他の実施形態、記載される実施形態の変更、及び置き換えが、以下の特許請求の範囲内である。動作が、特定の順序で図面又は特許請求の範囲に示されるが、これは、望ましい結果を達成するために、このような動作が、示される特定の順序又は連続した順序で行われること、又は全ての示される動作が行われることが必要であると理解されるべきではない(一部の動作は、任意であると見なされ得る)。
【0214】
[00239] したがって、上述される例の実施形態は、本開示を規定又は制限しない。他の変形、置き換え、及び変更も、本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに可能である。
【国際調査報告】