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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 19/00 20060101AFI20240905BHJP
   B43K 1/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B43K19/00 Z
B43K1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514523
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022074978
(87)【国際公開番号】W WO2023036869
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】21196016.6
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020417
【氏名又は名称】ビック バイオレクス シングル メンバー エス.エー
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アントナキス,イオン-イオアニス
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA11
2C350HA20
(57)【要約】
少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板(52)の外観を変化させるための光を放出するように構成された筆記具(10)であって、ユーザが筆記具を把持することを可能にする細長い本体部分(12)であって、本体部分は、近位端(P)及び遠位端(D)を含む、本体部分(12)と、近位端から光を放出するように構成された第1の光源(16)であって、放出された光は、第1の波長範囲(65)内の少なくとも第1の色成分を含み、第1の波長範囲は、基板(52)の第1のフォトクロミック材料(62Y)の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する、第1の光源(16)と、ユーザからの入力を受信し、受信されたユーザ入力に基づいて第1の光源を制御するための信号を生成するように構成されたコントローラ(18)と、を備える、筆記具(10)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板(52)の外観を変化させるための光を放出するように構成された筆記具(10)であって、前記筆記具は、
ユーザが前記筆記具を把持することを可能にする細長い本体部分(12)であって、前記本体部分は、近位端(P)及び遠位端(D)を備える、細長い本体部分(12)と、
前記近位端から光を放出するように構成された第1の光源(16)であって、前記放出された光は、第1の波長範囲(65)内の少なくとも第1の色成分を含み、前記第1の波長範囲は、400nm~425nm、425nm~475nm、475nm~525nm、525nm~560nm、560nm~590nm、590nm~625nm、又は625nm~700nmの範囲のうちの1つの範囲内のスペクトル最大値を含む、第1の光源(16)と、
ユーザからの入力を受信し、前記受信されたユーザ入力に基づいて前記第1の光源を制御するための信号を生成するように構成されたコントローラ(18)と、
前記筆記具のユーザから色設定コマンドを受信し、前記色設定コマンドを前記コントローラ(18)に提供するように構成されたユーザ作動可能な色セレクタ(20)と、を備える、筆記具(10)。
【請求項2】
前記第1の光源(16)は、第2の波長範囲(67)内の第2の色成分を含む光を放出するように更に構成され、前記第2の波長範囲は、前記基板(52)の第2のフォトクロミック材料(62R)の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応し、前記第1及び第2の色成分は、(i)個別に、(ii)同時に、又は(iii)所定の交互シーケンスで、前記第1の光源から放出されることが可能である、請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記第2の波長範囲は、400nm~425nm、425nm~475nm、475nm~525nm、525nm~560nm、560nm~590nm、590nm~625nm、又は625nm~700nmの範囲のうちの1つの範囲内のスペクトル最大値を含む、請求項1又は2に記載の筆記具(10)。
【請求項4】
前記第1の光源(16)は、少なくとも前記第1の波長範囲の光を放出するように構成された発光ダイオード、調整可能な可変色LED、1つ以上のレーザ光源、又は少なくとも前記第1の波長範囲の対応するフィルタリング要素を含む1つ以上の多色LEDの群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の筆記具(10)。
【請求項5】
前記コントローラ(18)は、前記ユーザ作動可能な色セレクタ(20)から前記色設定コマンドを受信し、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板(52)上に所望の色が表示されることを可能にする前記第1の光源の少なくとも前記第1の色成分を設定する必要な強度設定を計算し、少なくとも前記計算された第1の色成分を含む光を前記計算された強度で放出するように前記第1の光源(16)を制御するように構成される、先行請求項のいずれか一項に記載の筆記具(10)。
【請求項6】
前記筆記具は、前記第1の光源(16)からのビームのビームサイズを調整することによって、対向する基板(52)の表面上の照明領域の範囲を調整するように構成された集束要素(32)を更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載の筆記具(10)。
【請求項7】
前記ユーザからビームサイジングコマンドを受信することができるユーザ作動可能なビームサイズセレクタ(22)であって、前記ビームサイズセレクタ(22)は、前記ユーザによって選択された前記ビームサイズを提供するように前記集束要素(32)を制御するように構成され、前記集束要素は、前記ビームサイズセレクタへの機械的リンク機構を介して、又は前記コントローラによって制御される電子作動部材を介して作動される、ユーザ作動可能なビームサイズセレクタ(22)を更に備える、請求項6に記載の筆記具(10)。
【請求項8】
少なくとも前記第1のフォトクロミック材料の活性化スペクトル(64)に少なくとも部分的に対応する更なるスペクトルの光を生成することができる第2の光源(24)であって、前記第2の光源は、315~400nmの波長範囲の成分を有する光を生成する、第2の光源(24)を更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載の筆記具(10)。
【請求項9】
前記コントローラ(18)が第2のモデム(56)と通信することを可能にするように構成された第1のモデム(28)を更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載の筆記具(10)。
【請求項10】
前記コントローラ(18)は、前記第1のモデム(28)を介して、基板(52)を含む筆記媒体(50)の電子サブシステムに問い合わせ、前記筆記媒体(50)の前記基板内に含まれる少なくとも第1のフォトクロミック材料を記述する筆記媒体(50)指定データを前記電子サブシステムから受信するように構成され、前記コントローラは、前記受信された筆記媒体(50)指定データに基づいて、前記第1の光源によって放出される少なくとも前記第1の色成分のための前記必要な強度設定を計算するように構成される、請求項9に記載の筆記具(10)。
【請求項11】
フォトクロミック材料の特定の組み合わせと組み合わせて前記筆記具(10)を動作させている間に得られた基板(52)の色のフィードバックを前記コントローラ(18)に提供するためのカメラ(38)を更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載の筆記具(10)。
【請求項12】
少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板の外観を変化させるための光を放出するように構成された筆記具(10)を使用するための方法(70)であって、
前記筆記具のユーザ作動可能な色セレクタから、前記筆記具のユーザからの色設定コマンドを受信すること(72)と、
前記色設定コマンドを前記筆記具のコントローラに提供すること(74)と、
前記筆記具の前記第1の光源によって放出される少なくとも第1の色成分に必要な設定を計算すること(76)と、
少なくとも前記計算された第1の色成分を含む光を放出するように前記第1の光源を制御すること(78)であって、前記第1の色成分は、近接筆記媒体(50)の基板(52)の第1のフォトクロミック材料の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する第1の波長範囲内にある、制御することと、
少なくとも前記第1のフォトクロミック材料を含む前記近接筆記媒体(50)の前記基板を、前記第1の光源によって生成された前記光に露出させるように、前記近接筆記媒体(50)に対して前記筆記具の前記近位端を配置すること(80)と、を含む、方法(70)。
【請求項13】
パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォン上で前記筆記具のための管理アプリケーションを初期化することと、
前記パーソナルコンピューティングデバイス又は前記スマートフォンと前記筆記具の前記コントローラとの間のデータ通信接続を確立することと、
前記管理アプリケーションを介して、前記筆記具の所望の筆記色、ビームサイズ、及び第2の光源の「オン」若しくは「オフ」状態、前記筆記具の電力管理特徴、又はユーザが選択した筆記媒体(50)の色素構成を含む1つ以上のパラメータを選択することと、
前記1つ以上のパラメータを前記筆記具の前記コントローラ(18)に送信し、前記送信されたパラメータに基づいて前記筆記具を構成することと、を更に含む、請求項12に記載の筆記具を使用するための方法(70)。
【請求項14】
フォトクロミック筆記システム(90)であって、
請求項1~11のいずれか一項に記載の筆記具(10)と、
少なくとも1つのフォトクロミック材料(62Y)を含有する基板(52)を含む筆記媒体(50)と、を備え、
前記筆記具は、使用時に、その近位端から、前記筆記媒体(50)の前記基板に含まれる前記少なくとも1つのフォトクロミック材料を不活性化することができる可視スペクトルの光を放出し、それによって前記筆記媒体(50)の一部の前記外観を変化させるように構成される、フォトクロミック筆記システム(90)。
【請求項15】
前記第1の波長範囲は、前記基板(52)の前記第1のフォトクロミック材料(62Y)の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する、請求項14に記載のフォトクロミック筆記システム(90)。
【請求項16】
コンピュータプロセッサ上で実行されると、前記プロセッサに請求項13に記載のステップを実施させる機械実行可能命令を含む、コンピュータプログラム要素又は信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年9月10日に出願された欧州特許出願EP21196016.6号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。以下の開示に記載される実施形態は、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板の外観を変化させるための光を放出するように構成された筆記具、並びに関連する方法、フォトクロミック筆記システム、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
素材に書いたり絵を描いたりする方法には、ペン及び永久インクを使用して紙上に書くこと、鉛筆を使用して紙上に書くこと、又は非永久インクを使用してホワイトボード表面、例えばBIC Velleda(商標)ホワイトボード上に書いたりする方法がある。
【0003】
消字性、つまり、インク配合物を付着させ乾燥させた後に表面からインクを除去する能力は、文房具のカテゴリーにおける難題である。利用可能な解決策の大部分は、単色の筆記製品に焦点を当てている。筆記面の色を変えるには、通常、別のインク色を使って再度書く必要がある。これでは、ユーザのスピードが落ちるし、リセットすることもできない。更に、非相溶性インクを使用して表面の色を変化させると、2色以上の色が剥がれたり、膨れたり、色が混ざったりする可能性がある。
【0004】
現代の消費者は、典型的には、追加された機能を有するパーソナライズされた筆記製品により関心を持つようになってきている。このような製品は、個々のユーザのニーズに合わせてパーソナライズすることができる。更に、環境への関心が高まり続けるにつれて、筆記媒体の再使用を可能にする筆記オプションの重要性が高まる可能性がある。
【0005】
したがって、ユーザの柔軟性を高め、環境面での成果を向上させる筆記装置が提供される可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板の外観を変化させるための光を放出するように構成された筆記具が提供される。筆記具は、ユーザが筆記具を把持することを可能にする細長い本体部分を備え、本体部分は、近位端及び遠位端を備える。
【0007】
筆記具は、近位端から光を放出するように構成される第1の光源を更に備え、放出された光は、第1の波長範囲内の少なくとも第1の色成分を含む。
【0008】
筆記具は更に、ユーザから入力を受信し、受信されたユーザ入力に基づいて、第1の光源を制御するための信号を生成するように構成されたコントローラを備える。
【0009】
筆記具は更に、筆記具のユーザから色設定コマンドを受信し、色設定コマンドをコントローラに提供するように構成されたユーザ作動可能な色セレクタを備える。
【0010】
この態様によれば、少なくとも1つの色を使用してマーキングすることができる非永久マーカーを提供することができる発光筆記具が提供される。ユーザは、単一の発光筆記具を使用して、いかなるインクも堆積させず、グラファイトマークを作成せず、又はインク再充填を必要とせずに、フォトクロミック表面の基板上に1つ以上の色で筆記又は描画することが可能になる。これは、基板を含む筆記媒体が、基板が露出される光の強度及び波長に基づいてその色を変化させる少なくとも1つの物質で覆われているために可能である。発光筆記具は、筆記媒体上の光活性化フォトクロミック材料の色をそれに応じて変化させる様々な強度で、その先端から1つ以上の色の光を放出することができる。
【0011】
筆記媒体の基板上のフォトクロミック材料の組み合わせと組み合わされた、広範囲の色を発することができる光源又は単一光源の組み合わせは、色空間の広い色域が筆記者に表示されることを可能にする。例では、筆記システムは、単一のフォトクロミック材料と、単一の色スペクトルを放出するように構成されたスタイラスと、を備えることができる。この場合、単色インクペンの芸術的機能を実施する同様のシステムを提供することができる。
【0012】
フォトクロミック材料は、典型的には、特定の波長範囲の放射線、具体的にはUVを基板の一部に照射することによってリセット可能(消去可能)である。そのような部分は、その特定の波長の放射線(例えば、紫外線)が基板に照射されると不透明に見える。このプロセスは、少なくとも1つのフォトクロミック材料の活性化と称される。
【0013】
フォトクロミック媒体の光ベースの作動は、スタイラスの少なくとも1つの光源の焦点特性を変化させることによってスタイラスの有効ペン先サイズを変化させることができることを意味する。
【0014】
第2の態様によれば、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板の外観を変化させるために光を放出するように構成された筆記具を使用するための方法であって、
筆記具のユーザ作動可能な色セレクタから、筆記具のユーザからの色設定コマンドを受信することと、
色設定コマンドを筆記具のコントローラに提供することと、
筆記具の第1の光源によって放出される少なくとも第1の色成分に必要な設定を計算することと、
少なくとも計算された第1の色成分を含む光を放出するように第1の光源を制御することであって、第1の色成分は、近接筆記媒体の基板の第1のフォトクロミック材料の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する第1の波長範囲内にある、制御することと、
少なくとも第1のフォトクロミック材料を含む近接筆記媒体の基板を、第1の光源によって生成された光に露出させるように、近接筆記媒体に対して筆記具の近位端を配置することと、を含む、方法が提供される。
【0015】
第3の態様によれば、
第1の態様又はその実施形態による筆記具と、フォトクロミック材料で処理された基板を含む筆記媒体50(表面)と、を備える、フォトクロミック筆記システムが提供される。筆記具は、使用時に、筆記媒体の基板に含まれるフォトクロミック材料を不活性化することができる可視スペクトルの光を放出して、筆記媒体の一部の外観を変化させるように構成されている。
【0016】
第4の態様によれば、コンピュータプロセッサ上で実行されると、プロセッサに第2の態様の方法によるステップを実施させる機械実行可能命令を含むコンピュータプログラム要素が提供される。
【0017】
第5の態様によれば、第4の態様のコンピュータプログラム要素を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲では、「近位端」という用語は、スタイラスの「遠位端」と比較して、使用時に筆記媒体の最も近くに保持されるスタイラスの端部を意味する。スタイラスが、基板上に書き込むための第1の光源と、基板を消去するためのスタイラスの反対側の端部にある第2の光源と、を備える場合、本明細書における慣例は、スタイラスの近位端が、基板上に書き込むための第1の光源を備えるスタイラスの端部であることである。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲において、用語「フォトクロミック材料」(又は「フォトクロミック色素」)は、フォトクロミズムを利用する材料に関する。フォトクロミズムは、電磁放射線の吸収によって媒介される2つの形態間の化学種の可逆的な変換である。典型的には、化学種の2つの形態は、異なる吸収スペクトルを有する。観察者にとって、得られた材料は、光に露出したときに色の可逆的変化を提供する効果を有することができる。フォトクロミック材料は、フォトクロミック色素(塗料又はインク)、フォトクロミックフィルム、又はフォトクロミックプラスチックを含み得る。換言すれば、フォトクロミック材料は光活性化材料である。フォトクロミック材料が表面に適用されることを可能にするために、フォトクロミック材料は、例えば、ラッカー又は樹脂などの封入剤と混合させることができる。
【0020】
本明細書では、「筆記具」という用語は、例えば、少なくとも1つのフォトクロミック色素を含有する筆記媒体の基板上に可視マーキングを生成するために、ユーザによって保持され得る光源を近位端に含有するスタイラスを指す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
他の特徴は、本開示の一部を形成する添付図面から明らかになるであろう。図面は、本開示を更に説明し、当業者が本開示を実施することを可能にすることを意図する。しかしながら、図面は非限定的な例として意図される。異なる図中の共通の参照番号は、類似又は同様の特徴を示す。
図1】3つのフォトクロミック材料の活性化及び不活性化スペクトルを示すプロットを示す。
図2】3つのフォトクロミック材料の活性化及び不活性化スペクトル上に重ね合わされた3つの光源スペクトルを示すプロットを示す。
図3a】第1の態様による筆記具及び第3の態様によるフォトクロミック筆記システムを概略的に示す。
図3b】第1の態様による筆記具の要素の機能的関係を概略的に示す。
図4】光源の強度を設定するためのコンピュータ実行可能アルゴリズムの例を概略的に示す。
図5】第2の態様による方法を概略的に示す。
図6】例示的な方法を概略的に示す。
図7】フォトクロミック筆記システム上で筆記を行う筆記具を概略的に示す。
図8】フォトクロミック筆記システムに適用された筆記を消去するために使用されている筆記具を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
現在の筆記装置は、媒体によってはインクの乾燥時間が比較的長いため、簡単に汚れてしまうテキストやグラフィックの跡が残りやすい。特有の色を取得するために、複数のインク色を濡れた状態で混合すると、見栄えの悪いにじみやインクの混合ムラが生じることがある。従来の筆記装置のペン先サイズは固定されていることが多く、ユーザが様々なペン先サイズを使いたい場合、ユーザは、様々な異なるペンを購入して保管しなければならない。紙ゴミの量を減らし、プラスチック及び再利用できない製品の数を減らすことは、ますます重要になっている。
【0023】
フォトクロミック材料は、紫外線(UV:ultraviolet)光の吸収を介して透明状態から着色状態に変換することができる。フォトクロミック材料へのUV光の適用は、フォトクロミック材料をいわゆる「活性化」状態にし、フォトクロミック材料に色を表示させる。不活性化波長の可視光を吸収することによって、フォトクロミック材料は、色を表示する状態から実質的に透明な状態(いわゆる「不活性化状態」)に変換される。各フォトクロミック材料(色素)は、異なる活性化スペクトルを有し、活性化スペクトル内に入るフォトクロミック材料の一部に適用された光は、フォトクロミック色素の一部を活性化させ、不透明にする。これは、入射光の波長が、所与のフォトクロミック材料についての活性化スペクトルのピークに近いほど、より顕著に、又はより速くなる。
【0024】
単色のフォトクロミック筆記媒体溶液中で単一のフォトクロミック材料を使用することが可能である。しかしながら、入射光の波長に対してより複雑な色空間を取得することを可能にするために、例えば、2つ以上のフォトクロミック材料を一緒に混合し、半透明樹脂又は他の透明材料中に分離することができる。
【0025】
図1は、3つのフォトクロミック材料の活性化及び不活性化スペクトルを示すプロットを示している。
【0026】
Punpongsanonらによる論文「ColorMod:Recoloring 3D Printed Objects using Photochromic Inks」(CHI 2018,April 21-26,2018,Montreal,QC,Canada(ISBN 978-1-4503-5620-6/18/04)には、フォトクロミックインク、並びに3つのフォトクロミック材料の活性化スペクトル及び不活性化スペクトルが記載されている。Jin,Yらによる論文「Photo-Chromeleon:Re-Programmable Multi-Color Textures Using Photochromic Dyes」(UIST’19,October 20-23,2019,New Orleans,LA,USA(ISBN N 978-1-4503-6816-2/19/10))には、色素の異なる配置が記載されている。
【0027】
図1は、日本、京都の山田化学工業株式会社から入手可能なチャート(http://ymdchem.com)から入手し、上記の論文に記載されている。例えば、図1は、山田化学工業株式会社から入手可能なDAE-0001(青色)、DAE-0004(赤色)、及びDAE-0068(黄色)の活性化スペクトル及び不活性化スペクトルを示している。
【0028】
図1において、x軸は、フォトクロミック材料の活性化又は不活性化に使用される入射電磁放射線の波長を示している。y軸は、その波長における所与のフォトクロミック材料の正規化された吸収を示す。
【0029】
具体的には、点線62Yは、黄色フォトクロミック材料DAE-0068(以下、「黄色」)の不活性化スペクトルであり、点線62Rは、赤色フォトクロミック材料DAE-0004(以下、「赤色」)の不活性化スペクトルであり、点線62Bは、青色フォトクロミック材料DAE-0001(以下、「青色」)の不活性化スペクトルである。また、実線64Bは青色フォトクロミック材料の活性化スペクトルのピークであり、実線64Rは赤色フォトクロミック材料の活性化スペクトルのピークであり、実線64Yは黄色フォトクロミック材料の活性化スペクトルのピークである。
【0030】
境界線63は、紫外(UV)光波長と可視光波長との間のおおよその遷移を示す。したがって、DAE-0001(青色)は約270nmに活性化ピークを有し、約580nmに不活性化ピークを有し、DAE-0004(赤色)は約310nmに活性化ピークを有し、約225nmに不活性化ピークを有し、DAE-0068(黄色)は約350nmに活性化ピークを有し、約425nmに不活性化ピークを有する。図1における3つの特定されたフォトクロミック色素の組み合わせは、RGB色空間を提供するが、例示的な目的のためであり、必須ではない。例えば、2つ又は1つのフォトクロミック材料を利用することができる。3つより多くのフォトクロミック材料が利用され得る。
【0031】
例えば、別の例示的な色の組み合わせは、CMY色空間を取得するためのYamada DAE-0001(青色)、DAE-0012(マゼンタ)、及びDAE-0068(黄色)である。DAE-0012は530nmに不活性化ピークを有する。CMYフォトクロミック材料混合物の全ての成分が活性化されると、黒色の筆記媒体面が得られる。
【0032】
図2は、DAE-0001、DAE-0004及びDAE-0068の組み合わせの第1の例における3つのフォトクロミック材料の活性化スペクトル及び不活性化スペクトルに重ね合わされた、それぞれ青色、緑色及び赤色フォトクロミック材料を不活性化するための3つの光源スペクトルを示すプロットを示している。このプロットの右側の「I」軸は、それぞれ青色、緑色、又は赤色の光源の正規化された強度の例示的なスケールである。赤色光源スペクトルは、約620nmにスペクトルピーク66Rを有する。緑色光源スペクトルは、約525nmにスペクトルピーク66Gを有する。青色光源スペクトルは、約440nmにスペクトルピーク66Bを有する。
【0033】
これらの波長範囲は、例示的であり、異なる波長及び/又は異なるスペクトル線幅を有する他の光源が、図1の例における赤色、青色、又は黄色のフォトクロミック材料を不活性化するために使用され得る。不活性化は、所与の光源のピーク不活性化波長が対応する色素の不活性化ピークと一致する場合に最も効果的であり、より迅速となる。青色66B、緑色66G、及び赤色66R光源の各々の線幅は、それぞれ波長範囲65、67、及び69によって示されている。例えば、波長範囲65、67、及び69は、それぞれの線幅の3dB降下点によって定義することができる。
【0034】
使用されるフォトクロミック材料の組み合わせに応じて、光源線幅は、隣接する色素不活性化スペクトルにできるだけ影響を及ぼさずに、標的色素を最大限に不活性化させるように選択することができる。しかし、光源の線幅要件は、複数の技術を使用して緩和することができる。例えば、光源は、色チャネル間の漏れを最小にするように設計された高速反復時間シーケンスで基板52に適用されてもよい。色空間は、利用可能なフォトクロミック材料と光源との間のスペクトル混合を引き起こさない色オプションに制限することができる。
【0035】
基調色(例えば、CMY)の着色フォトクロミック色素を一緒に混合し、樹脂又はラッカー中に単離することができる。これは、筆記媒体(例えば、ホワイトボード又はハンドヘルドタブレット)への適用のためのフォトクロミック塗料配合物を提供する(しかし、基本的なオプションにおいて、1つのフォトクロミック材料のみが使用される必要がある)。2つ以上のフォトクロミック材料を有する一例では、塗料配合物は、各フォトクロミック材料を個々に不活性化することによって、要求に応じて色を変化させる能力を有する。
【0036】
CMY色空間を(例えば、DAE-0001、DAE-0004、及びDAE-0068を含む塗料配合物を介して)使用する一例では、塗料配合物は、最初に(UV光への露出によって)活性化される。その結果、色は全て完全に飽和される(CMY色選択の例では、塗料配合物は黒色に見える)。ユーザが黄色で塗装することを望む場合、C色素及びM色素は不活性化されるべきである。不活性化は、この例では、塗料配合物を580nm(シアン)及び530nm(マゼンタ)の光に所定の時間露出させることによって達成することができた。C及びM色素が不活性化されると、塗料配合物は黄色に見える。
【0037】
塗料配合物は、例えば、365nmの波長を有するUV光への露出によって色素の全てを再飽和させる露出によってリセットすることができる。一例では、このリセットプロセスは、例えば、1平方センチメートル当たり約5mWの出力を有するUV光への塗料配合物の30秒間の露出を含む。例えば、365nmの波長で光を放出することができる電力効率の良いUV発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、並びにRGB色を放出することができるLEDが利用可能である。
【0038】
第1の態様によれば、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板52の外観を変化させるための光を放出するように構成された筆記具10が提供される。筆記具は、ユーザが筆記具を把持することを可能にする、細長い本体部分12を備え、本体部分は、近位端Pと、遠位端Dと、を備える。筆記具は更に、近位端から光を放出するように構成された第1の光源16を備え、放出される光は、少なくとも、第1の波長範囲65内の第1の色成分を含む。第1の波長範囲は、基板(52)の第1のフォトクロミック材料62Yの不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する。筆記具はまた、ユーザからの入力を受信し、受信されたユーザ入力に基づいて、第1の光源を制御するための信号を生成するように構成されたコントローラ18を備える。
【0039】
図3aは、第1の態様による筆記具10及び第3の態様によるフォトクロミック筆記システムを概略的に示している。
【0040】
例えば、図3aの筆記具10(又はライトペン、又は発光スタイラス)は、例えば、大人又は子供の手で保持することが可能な細長い物体である。筆記具10は、不活性化の間、筆記媒体50に配向するために好適な近位端Pと、遠位端Dとを有する。例では、筆記具10は、少なくともセグメントに沿って、円形、卵形、正方形、長方形、五角形、六角形、又は七角形の断面を有する。筆記具10は、例えば、長手方向軸Lに沿って整列された細長い物体として示されているが、これは必須ではない。例えば、筆記具10は、例えば、第1の光源16からの光が、筆記具の一部に沿って光ファイバを介して伝達される状態で、長手方向軸Lから再整列され得る可撓性セグメント(図示せず)を備えてもよい。
【0041】
細長い本体12のフォームファクタは、例えば、人間工学的なばらつきに対応するために、又はユーザの快適性を高めるために、筆記具10の長手方向軸Lに沿って変化してもよい(図示せず)。図示の例では、筆記具10は、本体部分12aと、テーパ状本体部分12bと、光学ペン先部分12cと、を備える。
【0042】
筆記具10を説明するために、筆記媒体50(筆記具が共に使用されることが意図される)は、例えば、フォトクロミック基板層52がその上に提供される、実質的に平面の剛性裏材層54であると見なすことができる。フォトクロミック基板層52は、対象の色空間を提供するように選択された1つ以上のフォトクロミック材料(色素)を含み得る。筆記媒体50が実質的に平面であることは必須ではなく、筆記媒体は、カートン、3D印刷された物体、ラップトップケーシング、ホワイトボード、又は多くの他の物体などの物理的物体であってもよい。
【0043】
例えば、フォトクロミック基板層52は、CMY色空間を取得するために、Yamada DAE-0001(青色)、DAE-0012(マゼンタ)、及びDAE-0068(黄色)の混合物を含み得る。別の例では、フォトクロミック基板層52は、山田化学工業株式会社から入手可能なYamada DAE-0001(青色)、DAE-0004(赤色)、及びDAE-0068(黄色)の混合物を含む。当業者は、意図される最終色仕様に応じて、広範囲のフォトクロミック材料が適用され得ることを理解するであろう。
【0044】
例では、1つのフォトクロミック材料が基板52に適用されてもよい。一例では、1つ以上のフォトクロミック色素は、硬化性ラッカーを含む組成物中に混合され、1つ以上のフォトクロミック色素を基板52に永久的に塗布することを可能にする。
【0045】
必須ではないが、筆記媒体50は、第2のモデム及びメモリを含む電子サブシステム56を含み得る。説明されるように、電子サブシステムは、筆記具10が、筆記媒体50から色空間データ(所与の筆記媒体50で使用されるフォトクロミック材料のタイプなど)を取得することを可能にする。例では、筆記具10は、標的筆記媒体50のルックアップテーブルを運ぶことができ、筆記媒体の識別子は、筆記具10又はスマートフォンアプリケーションの制御を介して選択可能である。これは、筆記媒体50が単純化され、例えば第2のモデム及びメモリを必要としないことを可能にする。
【0046】
一例では、長手方向Lにおける筆記具10の全長は、50mm~200mmであり、具体的には140mmである。一例では、筆記具10が円形断面を有するとき、筆記具の最大直径は、6mm~20mmの範囲内、具体的には、9mmである。筆記具10の細長い本体は、例えば、ポリスチレン又はポリプロピレンから射出成形されたものを含んでもよい。
【0047】
図示の例では、筆記具10の外面は、その遠位端の近くに、例えばユーザのポケットへの取り付けを容易にするためのクリップ40を備える。筆記具10は、近位端の近くに、ゴムなどの弾性材料からなるユーザグリップ30を備える。ユーザグリップ30は、書き心地を向上させるために、典型的なユーザプロファイルとの人間工学的適合を達成するように成形させることができる。
【0048】
図示された筆記具10の細長い本体部分12は、第1の光源16(少なくとも1つのフォトクロミック材料のための不活性化光源)と、集束要素32と、突出光学ペン先部分42を有する光結合器14と、を封入する。第1の光源16は、フォトクロミック色素を不活性化するための不活性化光を生成するように構成されている。図示の例では、前述の要素は、長手方向軸Lに沿って整列され、その結果、不活性化光が、第1の光源16から、集束要素32及び光結合器14を介して、突出光学ペン先部分42の外に送信され、その結果、別個の筆記媒体50の別個のフォトクロミック基板層52が、第1の光源16によって供給される1つ以上の波長を有する光を使用して、不活性化される。別の例では、第1の光源は、長手方向軸Lに沿って細長い本体12内の他の要素と整列される必要はない。第1の光源16からの光放射は、例えば、ライトパイプ又は光ファイバを使用して分散されてもよい。
【0049】
ユーザ作動可能な色セレクタは、筆記具10のユーザから色設定コマンドを受信し、色設定コマンドをコントローラに提供するように構成される。
【0050】
筆記具10は、色セレクタ20と、ビームサイズセレクタ22と、を備え、これについては後でより詳細に説明する。色セレクタ20及びビームサイズセレクタ22は、例えば、細長い本体部分12の外面上でアクセス可能である。色セレクタ20及びビームサイズセレクタ22は、コントローラ18に入力信号を供給するように構成される。コントローラ18、第1の光源16、及び集束要素32は、電源26から電気エネルギーを受け取る。
【0051】
一実施形態では、コントローラ18は、以下の機能、すなわち、第1の光源16の色設定計算を実行すること、色選択システムのディスプレイを駆動すること、第1及び/又は第2の発光源を制御すること、ビームサイズセレクタ22からの入力を受け入れ、それに応じて集束要素32を制御し、電源26及び/又は第1のモデム28を監視及び制御すること、のうちの1つ以上を実施するように構成される。コントローラは、例えば、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラであってもよい。
【0052】
図3bは、第1の態様による筆記具10の要素の機能的関係を概略的に示している。
【0053】
一実施形態では、色セレクタ20は、利用可能な色オプションを選択するための事前設定ボタンの固定選択を含む。一実施形態では、色セレクタ20は、細長い本体部分12上の回転ホイール又は摺動セレクタであってもよく、セレクタを所定の変位だけ移動させることによって所定の色の選択を可能にする。
【0054】
一例では、筆記具10は、コントローラ18に接続されるディスプレイ(図示せず)を備えてもよい。ディスプレイは、選択された又は利用可能な色及び/又はペン先サイズ設定をユーザに示すように構成され得る。一例では、ディスプレイは、例えば、1つのカラーLCD、カラーOLED、多色LED、又は薄膜トランジスタディスプレイを含んでもよい。例では、ディスプレイは、細長い本体12の周りに又はそれに沿って表示される複数の独立型LEDであってもよく、例えば、別個の色オプションを示す。
【0055】
一例では、電源26は、充電式「AA」電池、又は多くの代替物のうちの1つであってもよい。電源は、例えば、有線又は無線の充電システムを備え得る。
【0056】
筆記具10は、一例では、(少なくとも1つのフォトクロミック色素を活性化することが可能な)第2の光源24を備えてもよい。筆記具10は、一例では、(少なくとも1つのフォトクロミック色素を活性化することが可能な)第3の光源24を備えてもよい。図示の例では、第2の光源は、直感的には従来の鉛筆の消しゴムの代わりに、筆記具10の遠位端Dに提供される。第2の光源24は、少なくとも1つのフォトクロミック材料を活性化することができる紫外線光源であり得る。具体的には、第2の光源26は、365nmのスペクトルピークを有する光を放出するように構成され得る。
【0057】
筆記具10は、フォトクロミック材料の特定の組み合わせと組み合わせて筆記具10を動作させている間に得られた基板52の色のフィードバックをコントローラ18に提供するためのカメラ38を備えることができる。この実施形態については後述する。
【0058】
筆記具10は、コントローラ18から別のモデムにデータを送信することが可能であり、別のモデム18からデータを受信し、それをコントローラ18に提供することが可能である、第1のモデル28を備えることができる。データ接続性を有する筆記具10を提供する用途については、後で説明する。
【0059】
動作において、ユーザは、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含有する基板52を含む筆記媒体50を取得する。通常の開始条件では、基板52に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料は、実質的に又は完全に活性化状態にあり、その結果、基板は、ユーザには飽和しているように見える。基板52がCMYフォトクロミック材料の混合物を含む例では、基板52は実質的に黒色に見える。ユーザは、スタイラス10をオンにし、色セレクタ20を介して色及び/又は強度を選択する。コントローラ18は、色セレクタ20から供給される色及び/又は強度入力信号を受信する。ルックアップテーブル又はアルゴリズムは、第1の光源16に含まれる少なくとも1つの成分光源の強度を算出するために使用される。次いで、第1の光源16の少なくとも1つの成分光源が、コントローラ18によって算出された又は取得された強度で起動される。
【0060】
一例では、ユーザは、(集束要素32に動作可能に結合された)ビームサイズセレクタ22を使用してビームサイズを選択することができる。次に、ユーザは、スタイラス10の近位端Pが筆記媒体50の基板52に十分に近くなり、基板52に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料が不活性化されるように、スタイラス10を保持する。ユーザは、単純又は複雑なパターンを描くか、又は基板52上に所望の情報を書き込むことができる。一例では、ユーザは、色セレクタ20を介して色及び/若しくは強度のうちの1つ以上を、並びに/又はビームサイズセレクタ22を使用してビームサイズを調整することができる。筆記媒体50を使用した筆記媒体又は描画セッションが完了した後、ユーザは、例えば、基板52上に提供されたトレースを活性化するために紫外線を使用して、基板52上に書き込まれたものを消去することができる。
【0061】
一実施形態によれば、筆記具の第1の光源16は、第2の波長範囲67内の第2の色成分を含む光を放出するように更に構成され、第2の波長範囲は、基板52の第2のフォトクロミック材料62Rの不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応し、第1及び第2の色成分は、(i)個別に、(ii)同時に、又は(iii)所定の交互シーケンスで、第1の光源から放出されることが可能である。
【0062】
第1の色成分は、400nm~425nm、425nm~475nm、475nm~525nm、525nm~560nm、560nm~590nm、590nm~625nm、又は625nm~700nmの範囲のうちの1つの範囲内にスペクトル最大値を有する第1の波長範囲を有する光放射によって定義される。
【0063】
一実施形態によれば、第2の色成分は、400nm~425nm、425nm~475nm、475nm~525nm、525nm~560nm、560nm~590nm、590nm~625nm、又は625nm~700nmの範囲のうちの1つの範囲内にスペクトル最大値を有する第2の波長範囲を有する光放射によって定義される。
【0064】
例では、第1の波長範囲は400nm~425nmであり、第2の波長範囲は425nm~475nmである。第1の波長範囲は400nm~425nmであり、第2の波長範囲は475nm~525nmである。第1の波長範囲は400nm~425nmであり、第2の波長範囲は525nm~560nmである。第1の波長範囲は400nm~425nmであり、第2の波長範囲は560nm~590nmである。第1の波長範囲は400nm~425nmであり、第2の波長範囲は590nm~625nmである。第1の波長範囲は400nm~425nmであり、第2の波長範囲は625nm~700nmである。
【0065】
例では、第1の波長範囲は425nm~475nmであり、第2の波長範囲は475nm~525nmである。第1の波長範囲は425nm~475nmであり、第2の波長範囲は525nm~560nmである。第1の波長範囲は425nm~475nmであり、第2の波長範囲は590nm~625nmである。第1の波長範囲は425nm~475nmであり、第2の波長範囲は526nm~700nmである。
【0066】
例では、第1の波長範囲は475nm~525nmであり、第2の波長範囲は525nm~560nmである。第1の波長範囲は475nm~525nmであり、第2の波長範囲は560nm~590nmである。第1の波長範囲は475nm~525nmであり、第2の波長範囲は590nm~625nmである。第1の波長範囲は475nm~525nmであり、第2の波長範囲は625nm~700nmである。
【0067】
例では、第1の波長範囲は525nm~560nmであり、第2の波長範囲は560nm~590nmである。第1の波長範囲は525nm~560nmであり、第2の波長範囲は590nm~625nmである。第1の波長範囲は525nm~560nmであり、第2の波長範囲は625nm~700nmである。
【0068】
例では、第1の波長範囲は560nm~590nmであり、第2の波長範囲は590nm~625nmである。第1の波長範囲は560nm~590nmであり、第2の波長範囲は625nm~700nmである。
【0069】
例では、第1の波長範囲は590nm~625nmであり、第2の波長範囲は625nm~700nmである。
【0070】
一実施形態によれば、第1の光源によって放出される光は、第3の波長範囲内にスペクトル最大値を有する第3の色成分を更に含む。例では、第3の波長範囲は、400nm~425nm、425nm~475nm、475nm~525nm、525nm~560nm、560nm~590nm、590nm~625nm、及び625nm~700nmの範囲のうちの1つの範囲内の最大値を含むように選択される。
【0071】
第1の光源16は、例では、第1の波長範囲65内の1つの色成分からなる光を出力するように構成され得る。このような規定は、1つのフォトクロミック材料を含む基板52に適切であり得る。
【0072】
一実施形態によれば、第1の光源16は、少なくとも第1の波長範囲の光を放出するように構成された発光ダイオード、調整可能な可変色LED、1つ以上のレーザ光源、又は少なくとも第1の波長範囲の対応するフィルタリング要素を含む1つ以上の多色LEDの群から選択される。
【0073】
例えば、第1の光源は、1つ、2つ、又は3つの色、例えばRGBを放出するように構成された単一の多色LEDを含み得る。第1の光源は、調整可能な色域内の色の範囲を放出するように構成された単一の多色LEDを含み得る。第1の光源は、以下の範囲、すなわち、400nm~425nm、425nm~475nm、475nm~525nm、525nm~560nm、560nm~590nm、590nm~625nm、及び625nm~700nmのうちの少なくとも2つにおいてスペクトル最大値を有する光を放出するように構成される。一例では、第1の光源はまた、UV、又は具体的には、UV-A光を発生させ、筆記具の近位端が基板52の詳細部分を活性化し、それによって微細な消しゴムとして作用することを可能にするように構成され得る。
【0074】
一実施形態によれば、コントローラ18は、ユーザ作動可能な色セレクタ20から色設定コマンドを受信し、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板52上に所望の色が表示されることを可能にする第1の光源の少なくとも第1の色成分の必要な強度設定を計算し、少なくとも計算された第1の色成分を含む光を計算された強度で放出するように第1の光源16を制御するように構成される。一例では、コントローラ18は、第1の光源によって放出される第2及び/又は第3の色成分の必要な強度を計算するように構成される。
【0075】
図4は、コンピュータ実行可能色制御命令100の形態で、光源の強度を設定するためのコンピュータ実行可能アルゴリズムの一例を概略的に示している。
【0076】
第1の光源16を制御するための例示的なコンピュータ実装アルゴリズムは、コントローラ18によって実行することができる。例では、入力色設定102は、筆記具10の第1のモデム28を介して、例えば、筆記具10にリンクされたスマートフォン又はデジタルタブレットアプリケーションを実行するスマートフォンなどの外部処理手段に送信されてもよい。この場合、外部処理手段は、第1の光源の色の出力強度値及び/又はシーケンス情報108を計算し、それらを筆記具10上での実装のために筆記具10のコントローラ18に返信することができる。この後者の技術は、筆記具に含まれるコントローラ18が、必要とされる色選択アルゴリズムを考慮して適切な計算リソースを有していない場合に適用可能である。
【0077】
一例では、入力色設定102は、例えば、筆記具10の色セレクタ20から受信される。色設定計算106は、RGB色空間などの色空間から複数の量子化された選択のうちの1つを受信することを含む。色設定計算106は、入力色設定102を使用してルックアップテーブルに問い合わせることを含み得る。ルックアップテーブルは、入力色設定102を第1の光源16の出力強度値及び/又は強度シーケンス情報108にマッピングする、予め計算された値を含む。コントローラ18は、出力強度値及び/又はシーケンス情報108に基づいて第1の光源16を設定する(110)。第1の光源16は、所望の入力色設定102又はそれにできるだけ近い色を達成するために、1つ以上の適切なフォトクロミック材料不活性化色で1つ以上の波長又はスペクトルを放出する。
【0078】
一例では、入力色設定102は、筆記媒体50の基板52上に表示されることが望まれる第1の色に対応する1つの色設定を含み得る。この場合、出力強度値及び/又はシーケンス情報108は、第1の波長範囲内の第1の色成分の出力強度値及び/又はシーケンス情報を含む。これは、1つのフォトクロミック色素を有する筆記媒体50を用いた使用事例、又は第1の色成分によってのみ不活性化されることが意図される複数のフォトクロミック色素を含む筆記媒体50を用いた使用事例に対応する。一例では、色成分は、光源のスペクトルのスペクトル最大値の波長によって定義されると見なすことができる。
【0079】
一例では、入力色設定102は、筆記媒体50の基板52上に表示されることが望まれる限定された色空間における第1及び第2の色座標の混合に対応する2つの色設定を含み得る。この場合、出力強度値及び/又はシーケンス情報108は、第1の波長範囲内の第1の色成分及び第2の波長範囲内の第2の色成分の少なくとも2つの出力強度値及び/又はシーケンス情報を含む。これは、2つ以上のフォトクロミック色素を有する筆記媒体50を用いる使用事例、又は第1及び第2の色成分によって不活性化されることが意図される複数のフォトクロミック色素を含む筆記媒体50を用いる使用事例に対応する。
【0080】
一例では、入力色設定102は、筆記媒体50の基板52上に表示されることが望まれる色空間(RGB、CMYなど)における第1、第2、及び第3の色座標の混合に対応する3つ以上の色設定を含み得る。この場合、出力強度値及び/又はシーケンス情報108は、第1の波長範囲内の第1の色成分、第2の波長範囲内の第2の色成分、及び第3の波長範囲内の第3の色成分の少なくとも3つの出力強度値及び/又はシーケンス情報を含む。これは、2つ以上のフォトクロミック色素を有する筆記媒体50を用いた使用事例、又は少なくとも第1、第2、及び第3の色成分によって不活性化されることが意図される複数のフォトクロミック色素を含む筆記媒体50を用いた使用事例に対応する。
【0081】
一例では、筆記媒体パラメータ104は、色設定計算106の一部として提供される。例えば、色設定計算106を実施するように構成されたスマートフォンアプリケーション、及び/又は色設定計算106を実施するように構成されたコントローラ18は、筆記媒体パラメータ104を備えることができる。
【0082】
実際の例では、筆記媒体50は、例えば、少なくとも第2のモデム及びメモリを有する電子サブシステム56を有する。メモリは、筆記媒体50の基板52に含まれるフォトクロミック材料に関するパラメータ、又は少なくともそれらの材料の不活性化スペクトルを記憶する。したがって、筆記具10及び/又は接続されたスマートフォン若しくはタブレットアプリケーションは、Bluetooth(商標)、Wi-Fi(商標)、ZigBee(商標)、又はNFC通信などの有線又は無線データ伝送において、筆記媒体50の基板52内に含まれるフォトクロミック材料を詳述する情報をダウンロードすることができる。
【0083】
例では、ユーザは、スマートフォン又はタブレットアプリケーションにコードを入力することによって、使用される筆記媒体のタイプを識別し、それによって暗黙的に、筆記媒体50の基板52に含まれるフォトクロミック材料を識別することができる。色設定計算106が、筆記媒体50の基板52に含まれるフォトクロミック材料の事前の知識を有する場合、第1の光源16の出力強度値のより正確なセットを計算することができる。
【0084】
一例では、入力色設定102は、スマートフォン又はタブレットアプリケーションを介して受信される。
【0085】
一例では、色設定計算は、入力色設定と第1の光源106の出力強度値及び/又はシーケンス情報との間の色域(色空間)におけるマッピングの計算を含む。
【0086】
一実施形態では、第1の光源16は、少なくとも第1及び第2の色成分の出力を多色的に、言い換えれば、同時に、定常状態で放出するように構成される。
【0087】
言い換えると、色設定計算106は、第1の光源を使用して、筆記媒体50の基板52上に(色セレクタ20によって選択された)所望の色をもたらす光の適切な組み合わせ又はシーケンスを生成することを担う。アルゴリズムの入力は、例えば、色セレクタ20の出力、又はスマートフォン若しくはタブレット実装におけるその類似の実装である。例えば、ユーザが赤色で書き込むことを望む場合、青色チャネル及び緑色チャネルは、飽和した基板52から不活性化される必要があり得る。したがって、色設定計算106の出力は、色チャネルごとの強度を定義する信号である。したがって、Rチャネルは、0%色相、0%強度に設定され得る。Gチャネルは、100%色相、100%強度になり、青色チャネルは、100%色相、100%強度になる。
【0088】
別の実施形態では、第1の光源16は、第1の時間間隔で第1の色成分を放出し、第1の時間間隔と重複しない第2の時間間隔で第2の色成分を放出するように構成される。
【0089】
この実施形態では、第1及び第2のフォトクロミック材料が基板52の同じ領域で混合される場合、第1のフォトクロミック材料の不活性化はまた、第2のフォトクロミック材料を部分的に不活性化することができる。したがって、第1の色成分が第2の色成分と分離して基板に適用される場合、利用可能な色域のより大きな部分が達成可能であり得る。フォトクロミック材料の所与の組み合わせに対して、実験は、例えば、意図された色空間内で許容可能な性能を達成する入力色設定の所与のセットに対して露出シーケンスが生成されることを可能にし得る。第1の色成分又は第2の色成分を最初に露出させるか否か、及びどれだけ長く露出させるかの計算は、実験的に導出することができ、又は、例えば勾配降下法などの最適化アルゴリズムを使用して事前に計算することができる。一例では、第1の時間間隔は、10ms~1sの範囲の持続時間を有する。一例では、第2の時間間隔は、10ms~1sの範囲の持続時間を有する。
【0090】
別の実施形態では、計算された出力強度値又はシーケンス情報118を使用して第1の光源を設定(110)した後、筆記具10、カメラ(図示せず)を備えるスマートフォン、又は別のフィードバック要素などの要素が、筆記媒体50の基板52上に最終的に現れるにつれて、トレースの色及び強度を観察することができる。
【0091】
図3aは、例えば、この目的のためにカメラ38を使用する一例を示している。カメラは、基板52上の視野を可能にする細長い本体部分12からの突出部に提供された、適切な光学系を有するCMOS又はCCDカメラであり得る。光学カメラ38は、基板の色の監視112を可能にし、したがって色フィードバックデータを提供する。色セレクタ20の所与の設定における意図された色出力と、基板52の結果として生じる色との間の相違を検出することができる。色設定計算は、一実施形態では、発散を検出し、第1の光源16の出力強度値及び/又はシーケンス情報を再計算して、意図される出力色を基板52上でより正確に表現するように構成される。
【0092】
一実施形態では、筆記媒体50及び関連付けられた筆記具10は、ユーザによって行われる較正シーケンスを受けるように構成され得る。較正シーケンスの一例は、第1の光源が既知の強度で第1の波長を有する光を放出するように設定されることである。スマートフォンアプリケーション、タブレットコンピュータ、又はPCを介して、ユーザは、基板52上に形状を描くように指示される。この形状の画像は、捕捉される。画像は、例えば、筆記具10と一体型のカメラ38を使用して、又はスマートフォンカメラによって捕捉されてもよい。画像は、基板52上に描かれた形状の隣の試験用ブックレットの関連する「色見本」の画像を含むように捕捉されてもよい。基板52上の予想される画像の明度及び/又は色相と、例えば「色見本」又は試験用ブックレット上の画像との間の偏差を使用して、補正係数を計算する。この較正プロセスは、例えば、全ての原色について繰り返されてもよい。例では、較正は、任意の色選択に対して実施することができる。前述の較正方法によれば、試験用色見本又は試験用ブックレットから較正を実施することができるので、筆記媒体50は、基板52のフォトクロミック組成を規定するデータを送信することができる電子機器を含む必要はない。これは、異なるフォトクロミック材料製造業者からの異なるフォトクロミック材料をより注意深く適合させることを可能にする。
【0093】
一実施形態によれば、光結合器が、第1の光源16と筆記具10の近位端Pとの間に提供される。光結合器は、第1の光源16によって放出された光を近位端Pに案内するように機能し、近位端Pにおいて、光は筆記媒体上に放出される。
【0094】
一例では、光結合器14は、光スペクトル内の電磁波を第1の光源から近位端Pに誘導する透明構造である。光結合器14は、例えば、光ファイバ、又はプラスチック若しくはガラスの透明誘電体導波路であってもよい。光結合器14は、ライトパイプであってもよい。筆記具の近位端Pに配置された光結合器14の端部は、静的集束要素を備えるように一体的に形成されてもよい。
【0095】
一例では、第1の光源から基板52への光ビームの伝送経路が自由空間を介するように、光結合器14及び/又は突出光学ペン先部分を省略することができる。
【0096】
一実施形態によれば、筆記具10は、第1及び/又は第2の光源からのビームサイズを調整することによって、対向する基板の表面上の照明領域の範囲を調整するように構成された集束要素32を更に備える。
【0097】
図3aは、第1の光源16からの光ビームの伝送経路内に平凸レンズなどの可動レンズを備えるものとして、集束要素32の例を概略的に示している。
【0098】
一実施形態によれば、ユーザ作動可能なビームサイズセレクタ22は、ユーザからビームサイジングコマンドを受信し、ユーザによって選択されたビームサイズを提供するように集束要素32を制御することが可能であり、集束要素32は、ビームサイズセレクタへの機械的リンク機構を介して作動される。例では、焦点合わせは、コントローラ18を介して電子的に作動される部材によって実施される。
【0099】
集束要素32は、筆記具10の有効ペン先サイズを変更する役割を果たす。集束要素32は、例えば、第1の光源16からの光を受け入れ、その焦点を変化させてペン先サイズを効果的に変化させるように光を操作する1つ以上の可動レンズのアセンブリを備えることができる。例えば、非集束光ビームは、大きなペン先サイズ(直径2mm超、最大10mm)をシミュレートすることができる。焦点の合った光ビームは、微細なペン先サイズ(例えば、0.5mmの直径を有する)を複製することができる。この集束要素は、ビームサイズセレクタ22及びコントローラ18を介して電子的に作動させることができる。
【0100】
図3aに示される平凸レンズは、例えば、ラックアンドピニオン機構(図示せず)、又はコントローラ18によって制御される少なくとも1つのステッピングモータ若しくはリニアモータを使用して、筆記具10の長手方向軸52に沿って調整することができる。
【0101】
ビームサイズセレクタ22は、集束要素32に動作可能に結合され、例えば、そのような機械的ビームサイズセレクタ22の回転又は摺動移動に基づいて、集束要素32内のレンズの位置を調整することが可能な機構であり得る。
【0102】
しかしながら、他の集束モダリティが適用されてもよい。例えば、集束要素32は、少なくとも1つの電気流体レンズを備えてもよい。電気流体レンズは、集束液体を含み、例えば、印加された静電場に基づいて、その形状、したがって、集束特性を変化させることができる。
【0103】
一例では、ビームサイズセレクタ22は、筆記具10の細長い本体部分12上に配置された機械的選択ホイールである。例えば、機械的選択ホイールは、集束要素32のレンズに機械的に結合され、少なくとも1つの可動レンズと第1の光源16との間の距離を直接変更するように構成することができる。
【0104】
一例では、ビームサイズセレクタ22は、機構を介して集束要素32に結合された、筆記具10の細長い本体部分12の側に配置された機械的選択ホイールと同様の機能を有する摺動セレクタであり得る。
【0105】
一例では、ビームサイズセレクタ22は、利用可能なペン先サイズオプションを通してインクリメントするための1つ以上の選択ボタンであり得る。利用可能なペン先サイズを循環させるために、単一のボタンが細長い本体部分12に提供されてもよい。
【0106】
一例では、ビームサイズセレクタ22は、第1のモデム28を介してコントローラ18をアドレス指定するように構成された、スマートフォンアプリケーション上のメニューオプションであり得る。
【0107】
当然ながら、当業者は、最終的なペン先サイズが、基板52が突出光学ペン先部分42又は筆記具10の近位端Pからどれだけ離れて保持されるかなどの状況要因にも依存することを理解する。ペン先サイズ変更オプションを確実に使用できるようにするために、適切な指示を筆記具のユーザに提供することができる。例えば、筆記具10は、筆記具10の近位端Pと基板52との間の最適な分離が、5mmなどの所与の距離であることを記述する命令を提供されてもよい。例では、筆記具10の近位端Pと基板52との間のデフォルト分離距離は、例えば、スマートフォン構成アプリケーションの事前設定可能メニューオプションであり得る。
【0108】
一実施形態によれば、集束要素32は、第1の光源16と光結合器との間の光軸上に整列された1つ以上の可動レンズ34を備える。一例では、ビームサイジング要素は、絞りを含む。
【0109】
絞りは、複数の平坦なリーフを備え、リーフの回転運動が筆記具10の長手方向軸に対して行われるにつれて、各リーフは、第1の光源16からのビームと次第に大きく交差し、それによってペン先サイズを制御するための別のオプションを提供する。
【0110】
一実施形態によれば、筆記具10は、集束要素32及びビームサイズセレクタ22を備えていない。
【0111】
一実施形態によれば、筆記具10は、少なくとも第1及び/又は第2のフォトクロミック材料の活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する更なるスペクトルの光を生成し得る第2の光源24を更に備え、第2の光源は、315~400nmの範囲、又は具体的には345nmの波長を有する光を生成する。
【0112】
第2の光源24は、スタイラス10の消去機構であると見なすことができる。315~400nmの範囲、又は具体的には345nmの波長を有する光を使用する別個の消去モダリティが、315~400nmの範囲、又は具体的には345nmの波長を有する光を放出する独立型消去ワンドなどの別個のデバイスを使用して提供され得るため、筆記具10内にそれを含むことは必須ではない。
【0113】
一例では、第2の光源24は、基板52上に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料に、一例では、2つ、3つ、又はそれ以上のフォトクロミック材料に活性化光を提供するように構成される。
【0114】
一例では、第2の光源24は、紫外光又は近紫外光を放出するように構成される。
【0115】
この実施形態では、第2の光源24は、筆記具10と一体であってもよい。一例では、第2の光源24は、筆記具10の遠位端に、又は実質的にそれに近接して提供され、従来の鉛筆搭載型消しゴムと類似機能を果たす。一例では、第2の光源24は、細長い本体部分12の長さに沿って実質的に直線状の要素として提供される。一例では、第2の光源24は、細長い本体部分12の全長の25%にわたって延在する実質的に直線状の要素として提供される。一例では、第2の光源24は、細長い本体部分12の全長の50%にわたって延在する実質的に直線状の要素として提供される。一例では、第2の光源24は、細長い本体部分12の全長の75%にわたって延在する実質的に直線状の要素として提供される。例えば、実質的に線形の要素は、第2の光源24から基板52の大きな領域への活性化光の高速な適用を可能にするために、第2の光源24から基板52の大きな表面領域への光の伝搬を可能にする漏洩光バー又は漏洩光ファイバであってもよい。
【0116】
図3aに示すように、第2の光源24は、細長い本体部分12の遠位端Dに光源として提供される。一例では、第2の光源24は、スイッチが押され、筆記具10の長手方向軸Lの方向に跳ね返るときに起動及び停止される(トグルされる)照明スイッチであり得る。
【0117】
一実施形態によれば、第2の光源24は、筆記具10の遠位端に提供される。
【0118】
一実施形態では、近接センサ、及び/又は筆記具10内に含まれる加速度計のいずれかが、第1の光源16が基板52と近接する(光学的に接触する)第1の状態と、第2の光源24が基板52と近接する(光学的に接触する)第2の状態との間の筆記具10の平行移動を検出するように構成され、逆もまた同様である。第1の状態に移行するとき、第2の光源24は、コントローラ18によって自動的に停止される。第2の状態に移行するとき、第1の光源は、コントローラ18によって自動的に停止される。
【0119】
別の例(図示せず)では、第2の光源24は、細長い本体12内の第1の光源16と同じ場所に配置され、第1の光源16と同じ基板52への光伝送経路を使用することができる。これにより、例えば、消去精度をより細かくすることができる。一例では、第2の光源24は、色セレクタ20を用いて、例えば色セレクタ20の極限又は境界設定として制御され得る。
【0120】
一例では、第2の光源24は、基板52に使用されるフォトクロミック材料(色素)の少なくとも1つ、具体的には全ての活性化波長の光を生成する。一例では、第2の光源24は、波長範囲100~400nmのUV光を生成するように構成される。一例では、第2の光源24は、315nm~400nmの波長範囲、具体的には345nmのUV-A光を生成するように構成される。第2の光源24は、一例では、例えばコントローラからのコマンドに基づいて、その強度を増加又は減少させることができる。
【0121】
一実施形態によれば、第1の光源16及び/又は第2の光源24は、基板52に近接していないときに自動的に停止するように構成される。
【0122】
例えば、第1の光源16及び/又は第2の光源24は、近接検出器を備える。コントローラ18は、第1の光源16及び/又は第2の光源24が基板52への近接基準を満たすか否かを監視する。第1の光源16及び/又は第2の光源24が基板52に対する近接基準を満たさない場合、このことは、第1の光源16及び/又は第2の光源24がユーザ又は別の人の目の方を指している可能性があることを意味する。近接基準が満たされない場合、コントローラ18は、例えば、第1の光源16及び/又は第2の光源24から放出される電磁放射線の強度を不活性化するか、又はその強度を低減することができる。
【0123】
一例では、近接検出器は、第2の光源24、又は、例えば、存在する場合には、突出光学ペン先部分42に取り付けられた往復又はばね付き機械スイッチを備えることができる。第2の光源24が筆記具10の遠位端に提供される一例では、筆記具10の遠位端が表面と接触していない場合、機械的スイッチは、活性化されず、コントローラ18は、安全上の理由から、第2の光源24を照明しない。例えば、突出光学ペン先部分42と接触する機械的スイッチを介して作動可能な第1の光源16に対して、類似の配置を提供することができる。
【0124】
近接検出器は、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、光依存抵抗器、又は第1の光源16及び/又は第2の光源24の基板52への近接を感知することができる他の電子アクチュエータとして提供することができる。近接検出器は、例えば、筆記具10の遠位端及び/又は近位端に提供される飛行時間センサであってもよい。
【0125】
一実施形態によれば、光結合器42の一部は、筆記具10の近位端から突出し、使用時に、筆記具10の突出部分が筆記媒体タブレットの基板と接触しているときに、筆記具10のユーザに触覚フィードバックを提供することができる硬化された透明材料を含む。
【0126】
したがって、光学ペン先42の突出部分は、筆記具10の透明ペン先として機能する。透明ペン先は、例えば、基板52に直接接触する。これは、筆記具10のユーザに触覚フィードバックを提供し、表面上の筆記媒体の感覚がエミュレートされることを可能にする。光学ペン先42の突出部分は、例えば、光学ペン先の均一な寸法決めを確実にするために、基板52からの筆記具10の間隔を予測可能に調節することを可能にし得る。
【0127】
一実施形態によれば、第1の光源は、光源が筆記媒体に接触し得るペン先として機能するように、筆記具10の近位端Pに固定される。例えば、単色LED又は多色LEDが、筆記具10の近位端Pに搭載されてもよい。この場合、光結合器及び/又は集束要素は必要ではない。
【0128】
光学ペン先42の突出部分は、光結合器14と一体的に形成されてもよく、したがって、例えば、光学ガラス、プラスチック、又はカプセル化されたゲルから形成されてもよい。
【0129】
別の例では、光学ペン先42の突出部分は存在しない。例えば、筆記具10は、正確なサイズの光学ペン先を確保するために、基板52からの距離の範囲内に保持されるべきであることを詳述する指示を提供されてもよい。別の例では、光学ペン先直径は、固定されてもよい(したがって、集束要素34は、調整不可能であってもよい)。この場合、光学ペン先のサイズは、筆記具10を基板52に近づけたり遠ざけたりすることによって変化する。
【0130】
一実施形態によれば、筆記具10は、コントローラが外部通信ノードと通信することを可能にするように構成された第1のモデム28、又は筆記媒体50内に含まれる第2のモデムを更に備える。例えば、有線モデムは、USB(商標)モデムであってもよい。例えば、ワイヤレスモデムは、WiFi(商標)互換モデム、Bluetooth(商標)互換モデム、近距離通信(NFC)モデム、又はZigBee(商標)モデムのうちの1つであってもよい。
【0131】
一実施形態によれば、コントローラ18は、第1のモデム28を介して、基板52を含む筆記媒体50の電子サブシステムに問い合わせ、筆記媒体50の基板内に含まれる少なくとも第1及び第2のフォトクロミック材料を記述する筆記媒体50指定データを電子サブシステムから受信するように構成される。コントローラ18は、受信した筆記媒体指定データに基づいて、第1の光源の第1の色成分及び第2の色成分のうちの1つ以上に必要な設定を計算するように構成される。
【0132】
一実施形態では、スマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータは、筆記具10の第1のモデム28を介して筆記具10と通信することが可能なアプリケーションを備える。アプリケーションは、色選択、ビームサイズなどの筆記具10の機能を制御することができる。例では、筆記具10は、アプリケーションを介して色及びビームサイズ設定でプログラムされるため、筆記具10は、色セレクタ20及び/又はビームサイズセレクタ22を必要としない。更なる例では、アプリケーションは、色設定計算を実施し、第1のモデム28を介して第1の光源16の出力強度値又はシーケンス表示情報を通信するように構成される。
【0133】
第2の態様によれば、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板の外観を変更するために光を放出するように構成された筆記具10を使用するための方法70が提供され、方法は、
筆記具のユーザ作動可能な色セレクタから、筆記具のユーザからの色設定コマンドを受信すること(72)と、
色設定コマンドを筆記具のコントローラに提供すること(74)と、
筆記具の第1の光源によって放出される少なくとも第1の色成分に必要な設定を計算すること(76)と、
少なくとも計算された第1の色成分を含む光を放出するように第1の光源を制御すること(78)であって、第1の色成分は、近接筆記媒体50の基板52の第1のフォトクロミック材料の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する第1の波長範囲内にある、制御することと、
少なくとも第1のフォトクロミック材料を含む近接筆記媒体50の基板を第1の光源によって生成された光に露出させるように、近接筆記媒体50に対して筆記具の近位端を配置すること(80)と、を含む。
【0134】
図5は、第2の態様による方法70を概略的に示している。
【0135】
図6は、例示的な方法81を概略的に示している。
【0136】
例示的な方法81の第1のステップ82において、ユーザは、例えば、専用の電源スイッチ(図示せず)を使用することによって、又は色セレクタ20若しくはビームサイズセレクタ22(存在する場合)のうちの1つを代用電源スイッチとして使用することによって、デバイスをオンにすることによって、筆記具10を起動する。
【0137】
所望の色は、色セレクタ20を介してユーザによって選択されてもよい(83)。例えば、ユーザは、所望の色が筆記具10の色選択ディスプレイ、又は接続されたスマートフォン若しくはタブレットアプリケーション上に表示されるまで、色選択ホイールを回転させることができる。筆記媒体50の基板52は、UV又はUV-A光を使用して部分的に又は完全に予め活性化されていると仮定する。
【0138】
ユーザは、ビームサイズセレクタ22を使用してペン先サイズを調整する(84)ことができる。例えば、ユーザは、筆記具10の細長い本体部分上に位置するペン先サイズ選択ホイール又はスライダを調整してもよい。
【0139】
選択を行うと、色設定計算106が実施され(85)、第1の光源16は、計算された色を放出するように設定される。
【0140】
次に、ユーザは、筆記媒体50の基板52上に筆記媒体を開始する(86)。選択された不活性化色を基板52に適用することにより、スケッチ又は筆記媒体を筆記媒体50の基板52上に表示することができる。
【0141】
ユーザは、例では、基板52の一部を消去することを決定することができる。したがって、第2の光源24は、状況によっては、ユーザによって起動されてもよい(87)。例えば、ユーザは、筆記具10をひっくり返して、筆記具10の遠位端を基板52に近接(光学的接触)させることができる。第2の光源24が基板52に近接しているとき、基板52に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料は、第2の光源24と光学的に接触している基板52の部分で不活性化される。ユーザは、状況によっては、例えば、基板52をUV又はUV-Aワンド又は光源に露出させることによって、又は例では、基板52を所定の期間にわたって直射日光中に放置することによって、基板52全体をリセット(活性化)する(88)ことを決定することができる。
【0142】
本方法の更なるステップは、
パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォン上で筆記具10のための管理アプリケーションを初期化することと、
パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンと筆記具10のコントローラ18との間のデータ通信接続を確立することと、
管理アプリケーションを介して、筆記具10の所望の筆記媒体色、ビームサイズ、及び第2の光源24の「オン」又は「オフ」状態、筆記具の電力管理特徴、又はユーザが選択した筆記媒体50のフォトクロミック材料構成を含む、1つ以上のパラメータを選択することと、
1つ以上のパラメータを筆記具のコントローラに送信し、送信されたパラメータに基づいて筆記具を構成することと、を更に含み得る。
【0143】
したがって、筆記具10がスマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピューティングアプリケーションを介して制御されるとき、色セレクタ20及びビームサイズセレクタ22などの筆記具10の多くの物理的インターフェース特徴が省略されてもよい。これにより、スタイラス自体の設計を簡略化することができる。
【0144】
第3の態様によれば、第1の態様又はその実施形態による筆記具10と、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含有する基板52を含む筆記媒体50と、を含むフォトクロミック筆記システム90が提供される。
【0145】
筆記具10は、使用時に、近位端Pから、筆記媒体50の基板52に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料を不活性化することができる可視スペクトルの光を放出し、それによって筆記媒体50の一部の外観を変化させるように構成される。
【0146】
フォトクロミック筆記システム90の基板52は、筆記具10の第1の光源16に一致する波長の範囲内に最大不活性化波長を有する少なくとも1つのフォトクロミック材料を含むように選択することができる。
【0147】
例えば、基板52は、1つのフォトクロミック材料を含んでもよい。基板52が1つのフォトクロミック材料を含む場合、1つのフォトクロミック材料の不活性化スペクトルの最大値は、波長範囲400nm~425nm、425nm~475nm、475nm~525nm、525nm~560nm、560nm~590nm、590nm~625nm、及び625nm~700nmのうちの1つの範囲内にある。
【0148】
例えば、基板52は、表1の第1列及び第2列からの範囲の任意の組み合わせによって規定される以下の不活性化波長極大を有する少なくとも第1及び第2のフォトクロミック材料の組み合わせを含み得る。
【0149】
【表1】
【0150】
フォトクロミック筆記システム90の基板52は、3つのフォトクロミック材料を含み得る。この場合、筆記具10(光学スタイラス、発光スタイラス)の第1の光源16は、3つのフォトクロミック材料の3つの不活性化波長(又は波長範囲)に対応する3つのスペクトル最大値で光を生成することができる。
【0151】
例えば、フォトクロミック基板層52は、CMY色空間を取得するために、Yamada DAE-0001(青色)、DAE-0012(マゼンタ)、及びDAE-0068(黄色)の混合物を含み得る。別の例では、フォトクロミック基板層52は、山田化学工業株式会社から入手可能なYamada DAE-0001(青色)、DAE-0004(赤色)、及びDAE-0068(黄色)の混合物を含む。当業者は、意図される最終色仕様に応じて、広範囲のフォトクロミック材料が適用され得ることを理解するであろう。
【0152】
一実施形態では、筆記媒体50は、電子サブシステム56を備える。電子サブシステム56は、筆記媒体50の基板52に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料の識別子又はスペクトルデータを記憶するように構成されたメモリを含み得る。筆記具10は、一実施形態では、電子サブシステムに(例えば、第2のモデムを介して)問い合わせ、筆記媒体50の基板52内に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料の識別子又はスペクトルデータを取得するように構成される。筆記具10のコントローラ18、及び/又はスマートフォン、タブレット、若しくはパーソナルコンピュータ上の遠隔アプリケーションは、筆記具10の色セレクタ20によって定義される1つ以上の所望の色を取得するために要求される第1の光源16の強度値を計算するために、筆記媒体50の基板52内に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料の識別子又はスペクトルデータを使用してもよい。
【0153】
図7は、フォトクロミック筆記媒体50に筆記媒体を行う筆記具10を含むフォトクロミック筆記システム90を概略的に示している。
【0154】
図8は、筆記具10の第2の光源24を使用してフォトクロミック筆記媒体50に適用された筆記媒体を消去するために使用される筆記具10を備えるフォトクロミック筆記システム90を概略的に示している。
【0155】
第3の態様の一実施形態によれば、フォトクロミック筆記システム90は、パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンを更に備える。パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンは、筆記具10のための管理アプリケーションを初期化し、パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンと筆記具10のコントローラとの間のデータ通信接続を確立し、管理アプリケーションを介して、筆記具10の所望の筆記媒体色、ビームサイズ、及び第2の光源の「オン」又は「オフ」状態、筆記具10の電力管理特徴、又はユーザが選択した筆記媒体50の材料構成を含む、1つ以上のパラメータを選択するように構成される。パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンは、1つ以上のパラメータを筆記具10のコントローラに送信するように構成され、コントローラは、送信されたパラメータに基づいて、筆記具10を更新するように構成される。
【0156】
第4の態様によれば、コンピュータプロセッサ上で実行されると、プロセッサに第2の態様の方法によるステップを実施させる機械実行可能命令を含むコンピュータプログラム要素が提供される。
【0157】
第5の態様によれば、第4の態様のコンピュータプログラム要素を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0158】
更なる態様によれば、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含む基板の外観を変化させるための光を放出するように構成された筆記具10が提供され、筆記具10は、
ユーザが筆記具10を把持することを可能にする細長い本体部分12であって、本体部分は、近位端P及び遠位端Dを備える、細長い本体部分12と、
近位端から光を放出するように構成された第1の光源16であって、光は、第1の波長範囲65内の少なくとも第1の色成分を含み、第1の色成分は、所定の交互シーケンスで放出されることが可能であり、第1の波長範囲は、第1のフォトクロミック材料62Yの不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する、第1の光源16と、ユーザからの入力を受信し、受信されたユーザ入力に基づいて第1の光源を制御するための信号を生成するように構成されたコントローラ18と、を更に備える。
【0159】
したがって、単色発光源を備える筆記具10を提供することが可能であり、したがって、色設定を計算するように構成される色セレクタ及び/又はコントローラ18の必要性を排除する。この態様によれば、単色の筆記媒体が利用可能である。
【0160】
更なる態様によれば、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含有する基板52と、電子サブシステム56とを含む筆記媒体50が提供される。電子サブシステム56は、筆記媒体50の基板52に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料の識別子又はスペクトルデータを記憶するように構成されたメモリを含み得る。一例では、筆記媒体50は、第2のモデムを備え、第2のモデムは、筆記具10による問い合わせに応じて、電子機器サブシステム56に問い合わせて、筆記媒体50の基板52に含まれる少なくとも1つのフォトクロミック材料の識別子又はスペクトルデータを取得するように構成される。
【0161】
「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「一例(one example)」又は「一例(an example)」、「一態様(one aspect)」又は「一態様(an aspect)」への前述の明細書全体への言及は、実施形態又は例に関連して記載された特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所における「一実施形態において(in one embodiment)」、「一実施形態において(in an embodiment)」、「一例(one example)」又は「一例(an example)」、「一態様(one aspect)」又は「一態様(an aspect)」という表現は、必ずしも全てが同じ実施形態又は例を指すとは限らない。
【0162】
更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態又は例において、任意の好適な組み合わせ及び/又はサブ組み合わせで組み合わせることができる。
【0163】
本開示はまた、以下の実施形態に従って定義され得ることを理解されたい。
1.少なくとも1つのフォトクロミック色素を含む基板の外観を変化させるための光を放出するように構成された筆記具であって、筆記具は、
ユーザが筆記具を把持することを可能にする細長い本体部分であって、本体部分は、近位端及び遠位端を備える、細長い本体部分(12)と、
近位端から離れる方向に光を放出するように構成された第1の光源であって、放出された光は、第1の波長範囲内の少なくとも第1の色成分を含み、第1の波長範囲は、第1のフォトクロミック材料の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する、第1の光源と、
ユーザからの入力を受信し、受信されたユーザ入力に基づいて第1の光源を制御するための信号を生成するように構成されたコントローラと、を更に備える、筆記具。
2.近位端は、基板に光を伝達するように構成された光結合器を収容する、実施形態1に記載の筆記具。
3.第2の波長範囲内の第2の色成分を更に備え、第1及び第2の色成分は、同時に、又は所定の交互シーケンスで放出されることが可能である、実施形態1又は2に記載の筆記具。
4.
第1及び第2の波長範囲の各々は、400nm~425nm、425nm~475nm、475nm~525nm、525nm~560nm、560nm~590nm、590nm~625nm、及び625nm~700nmの範囲のうちの1つの範囲内の最大値を含むように選択される、実施形態3に記載の筆記具。
5.
第1の光源によって放出された光は、第3の波長範囲内の第3の色成分を更に含む、実施形態4に記載の筆記具。
6.
第1の光源は、第1及び第2の波長範囲の光を放出するように構成された少なくとも第1及び第2の発光ダイオード、フルスペクトルRGB LED、1つ以上のレーザ光源、又は、第1及び/又は第2の波長範囲におけるフィルタリング要素を有する1つ以上の多色LEDの群から選択される、先行する実施形態のうちの1つに記載の筆記具。
7.
筆記具のユーザから色設定コマンドを受信し、色設定コマンドをコントローラに提供するように構成されたユーザ作動可能な色セレクタを更に備える、先行する実施形態のうちの1つに記載の筆記具。
8.
コントローラは、ユーザ作動可能な色セレクタから色設定コマンドを受信し、第1の光源の第1及び第2の色成分のうちの1つ以上について必要な設定を計算し、計算された第1及び第2の色成分を含む光を放出するように第1の光源を制御するように構成される、実施形態7に記載の筆記具。
9.
筆記具は、第1の光源と光結合器との間に配置される集束要素を更に備え、集束要素は、対向する基板の表面上の照射領域の範囲を調整するように構成される、先行する実施形態のうちの1つに記載の筆記具。
10.
ビームサイジング要素は、第1の光源と光結合器との間の光軸上に整列された1つ以上の可動レンズを含み、又は、ビームサイジング要素は、絞りを含む、実施形態9に記載の筆記具。
11.
ユーザからビームサイズ決定コマンドを受信し、ユーザによって選択されたビームサイズを提供するようにビームサイズ決定要素を制御することが可能なユーザ作動可能なビームサイズセレクタであって、ビームサイズ決定要素は、ビームサイズセレクタへの機械的リンク機構を介して、又はコントローラを介して電子的に作動される部材によって作動される、ユーザ作動可能なビームサイズセレクタを更に備える、実施形態9又は10に記載の筆記具。
12.
少なくとも第1及び第2のフォトクロミック色素の活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する更なるスペクトルの光を生成することができる第2の光源であって、第2の光源は、315~400nmの範囲の波長を有する光を生成する、第2の光源を更に備える、実施形態9又は10に記載の筆記具。
13.
第2の光源は、筆記具の先端に提供されている、実施形態12に記載の筆記具。
14.
第2の光源は、基板と接触していないときに自動的に不活性化するように構成される、実施形態12又は13に記載の筆記具。
15.
光結合器の一部は、筆記具の近位端から突出し、使用時に、光筆記具の突出部分が筆記媒体タブレットの基板と接触しているときに、筆記具のユーザに触覚フィードバックを提供することが可能な硬化された透明材料を含む、先行する実施形態のうちの1つに記載の筆記具。
16.
コントローラが外部通信ノードと通信することを可能にするように構成された無線又は有線通信モデムを更に備える、先行する実施形態のうちの1つに記載の筆記具。
17.
コントローラは、無線又は有線通信モデムを介して、基板を含む筆記媒体面の電子サブシステムに問い合わせ、筆記媒体面の基板内に含まれる少なくとも第1及び第2のフォトクロミック色素を記述する筆記媒体面指定データを電子サブシステムから受信するように構成され、コントローラは、受信された筆記媒体面指定データに基づいて、第1の光源の第1及び第2の色成分のうちの1つ以上のための必要とされる設定を計算するように構成される、実施形態8~16のいずれか1つに記載の筆記具。
18.少なくとも1つのフォトクロミック色素を含む基板の外観を変化させるために実施形態1~17のいずれか1つに記載の筆記具を使用する方法であって、
筆記具のユーザ作動可能な色セレクタから、筆記具のユーザからの色設定コマンドを受信することと、
色設定コマンドを筆記具のコントローラに提供することと、
筆記具の第1の光源の第1及び第2の色成分のうちの1つ以上のための要求される設定を計算することと、
少なくとも計算された第1及び第2の色成分を含む光を放出するように第1の光源を制御することであって、第1の色成分は、第1の波長範囲内にあり、第2の色成分は、第2の波長範囲内にあり、第1及び第2の色成分は、同時に又は所定の交互シーケンスで放出されることが可能であり、第1の波長範囲は、第1のフォトクロミック色素の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応し、第2の波長範囲は、第2のフォトクロミック色素の不活性化スペクトルに少なくとも部分的に対応する、制御することと、
少なくとも第1及び第2のフォトクロミック色素を含む近接筆記媒体面の基板を、第1及び/又は第2の光源によって生成された光に露出させるように、筆記具の近位端を配置することと、を含む、方法。
19.
パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォン上で筆記具のための管理アプリケーションを初期化することと、
パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンと筆記具のコントローラとの間のデータ通信接続を確立することと、
管理アプリケーションを介して、筆記具の所望の筆記媒体色、ビームサイズ、及び第2の光源の「オン」又は「オフ」状態、筆記具の電力管理特徴、又はユーザが選択した筆記媒体面の色素構成を含む、1つ以上のパラメータを選択することと、
1つ以上のパラメータを筆記具のコントローラに送信し、送信されたパラメータに基づいて筆記具を構成することと、を更に含む、実施形態18に記載の筆記具を使用するための方法。
20.フォトクロミック筆記システムであって、
実施形態1~17のいずれか1つに記載の筆記具と、
第1のフォトクロミック色素及び第2のフォトクロミック色素を含有する基板を含む筆記面と、を備え、
筆記具は、使用時に、近位端の光結合器から、筆記面の基板に含まれる第1及び/又は第2のフォトクロミック色素のうちの少なくとも1つを不活性化して筆記面の一部の外観を変化させることが可能な可視スペクトルの光を放出するように構成される、フォトクロミック筆記システム。
21.
パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンを更に備え、
パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンは、筆記具のための管理アプリケーションを初期化し、パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンと筆記具のコントローラとの間のデータ通信接続を確立し、管理アプリケーションを介して、筆記具の所望の筆記色、ビームサイズ、及び第2の光源の「オン」若しくは「オフ」状態、筆記具の電力管理特徴、又はユーザが選択した筆記面の色素構成を含む、1つ以上のパラメータを選択するように構成され、パーソナルコンピューティングデバイス又はスマートフォンは、1つ以上のパラメータを筆記具のコントローラに送信するように構成され、コントローラは、送信されたパラメータに基づいて、筆記具を更新するように構成される、実施形態20に記載のフォトクロミック筆記システム。
22.コンピュータプロセッサ上で実行されると、実施形態18又は19に記載のステップをプロセッサに実施させる機械実行可能命令を含むコンピュータプログラム要素。
23.実施形態22のコンピュータプログラム要素を含む、コンピュータ可読媒体。
【0164】
【表2】
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】