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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】自動車用のタンク用のフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/03 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B60K15/03 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514546
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022074578
(87)【国際公開番号】W WO2023031451
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】LU500623
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515269659
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・アドヴァンスド・イノベーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・デューズ
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・ショーサナン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・レヴェイヤール
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA03
3D038CB01
3D038CC20
(57)【要約】
本発明は、タンクの2つの対向する隔壁を連結するためのタンクの内部補強要素(2)を固定するための少なくとも1つの手段(10)を含む自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)であって、内部補強要素(2)を固定するための手段(10)が、内部補強要素(2)の少なくとも一部をスナップ嵌めするように構成された少なくとも1つの第1の構造(100)を含み、前記少なくとも1つの第1の構造が、少なくとも2つの互いに対する可動体(1000)であって、スナップ嵌め方向と反対の方向に内部補強要素(2)を保持するように構成された保持手段(10001)を各々が備える可動体(1000)と、内部補強要素がスナップ嵌めされる時、内部補強要素(2)用のストッパを提供するために、スナップ嵌め方向と反対の方向に突き出る、少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)と、を含むことを特徴とする、フレーム(1)に関する。本発明は、フレーム(1)に対する内部補強要素(2)の固定後に得られるアセンブリ(4)、およびこのアセンブリ(4)を含むタンクにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの2つの対向する隔壁を連結するための前記タンクの内部補強要素(2)を固定するための少なくとも1つの手段(10)を含む自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)であって、前記内部補強要素(2)を固定するための前記少なくとも1つの手段(10)が、前記内部補強要素(2)の少なくとも一部をスナップ嵌めするように構成された少なくとも1つの第1の構造(100)を含み、前記少なくとも1つの第1の構造(100)が、
- 少なくとも2つの互いに対する可動体(1000)であって、スナップ嵌め方向と反対の方向に前記内部補強要素(2)を保持するように構成された保持手段(10001)を各々が備える可動体(1000)と、
- 前記内部補強要素がスナップ嵌めされる時、前記内部補強要素(2)用のストッパを提供するために、スナップ嵌め方向と反対の方向に突き出る、前記可動体(1000)と異なる、少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)と、
を含むことを特徴とする、フレーム(1)。
【請求項2】
前記保持手段(10001)と組み合わされた、前記少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)が、スナップ嵌め後に、前記保持手段(10001)および前記少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)によって確実にされる保持の組み合わせによって、前記内部補強要素(2)の少なくとも一部が、定位置に維持され、かつ挟持されるように挟持部を形成する、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の構造(100)が、前記内部補強要素(2)の少なくとも1つの内側部分をスナップ嵌めするように構成される、請求項1または2に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の構造(100)が、前記内部補強要素(2)の少なくとも1つの外側部分をスナップ嵌めするように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの互いに対する可動体(1000)が舌部(10000)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項6】
前記内部補強要素(2)を保持するように構成された前記保持手段(10001)が、くり抜き部または突出部の形状を呈する、請求項1から5のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)がロッドを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項8】
通気もしくは液ライン、バルブ、温度センサ、レベルセンサ、圧力センサまたは品質センサなどの燃料タンクの構成要素の支持手段(3)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項9】
騒音防止バッフルまたはアンチスロッシュバッフル、バルブ、通気または液ライン、温度センサ、レベルセンサ、圧力センサまたは品質センサから選択される少なくとも1つの構成要素を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項10】
前記フレーム(1)と、前記内部補強要素(2)を固定するための前記少なくとも1つの手段(10)と、を連結する変形可能な連結部材(11)を含み、前記連結部材(11)が、前記フレーム(1)に対する外部からの機械的応力の影響を受けて、前記フレーム(1)と、前記内部補強要素(2)を固定するための前記少なくとも1つの手段(10)と、の相対移動を可能にするために変形されるように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項11】
例えば挿入スティックなどの挿入手段を受けるように構成された受け部(12)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項12】
複数の貫通孔(13)を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)と、前記フレーム(1)に対してスナップ嵌めされるように構成された内部補強要素(2)と、を含む、自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ(4)。
【請求項14】
前記内部補強要素が、柱(21)および保持部(20)から選択される、請求項13に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ(4)。
【請求項15】
前記保持部(20)が、中央くり抜き部(200)を備えた隔壁(201)を含み、前記隔壁(201)の一部は、補強リブ(2010)を含む、請求項14に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ(4)。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ(4)を含む、自動車用のプラスチック製タンク。
【請求項17】
自動車用のプラスチック製タンクの製造方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)に内部補強要素(2)をスナップ嵌めするステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のプラスチック製タンクの技術分野に関し、詳細には、液体燃料タンクに関する。本発明は、一般に、タンクの内部補強要素を固定するための少なくとも1つの手段を含む自動車用のプラスチック製タンク用のフレームに関する。
【0002】
特に、本発明は、自動車用のプラスチック製タンク用の内部補強要素を固定するための少なくとも1つの手段を含む自動車用のプラスチック製タンク用のフレームに関する。
【0003】
本発明は、前記フレームと、少なくとも1つの内部補強要素と、を含む自動車用のプラスチック製タンクの内部に固定されるように構成されたアセンブリにも関し、さらに前記アセンブリを含む自動車用のプラスチック製タンクにも関する。本発明は、自動車用のプラスチック製タンクの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
パリソンの押し出しブロー成形によって得られるプラスチック製燃料タンクは、その耐用期間中に、材料の収縮を伴う冷却のために最初に成形型からそれを取り出した直後であるか、特に内容物の過剰圧力もしくは圧力降下を理由としてその使用中であるか、耐用期間中にその熱膨張によるか、またはその老朽化によるかで、寸法が変化する。
【0005】
タンク製造時に、タンク中に内部補強要素を挿入することが知られている。これらの内部補強要素は、耐用期間中に受ける機械的応力に対するプラスチック製タンクの抵抗を増加させることを目的とする。
【0006】
例えば、特許文献1は、フレームと、タンクの隔壁への接続要素と、を含むアセンブリを開示し、前記接続要素は低い剛性を有し、内部補強機能を確保することを可能にせず、前記フレームは、フレームが向けられる車両の長手方向Xおよびこの車両の横方向Yのみならず、前記車両の垂直方向Zに沿っても変形可能な構造を同様に含む。しかしながら、かかるアセンブリは、タンクの寸法変化に適応するための、かなり限られた能力を有する。その上、かかるアセンブリは、車両の垂直方向における圧縮および伸長に対する低すぎる抵抗を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0226777号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、先行技術のこれらの短所を緩和することを特に目的とする。
【0009】
このために、本発明は、自動車用のプラスチック製タンク用のフレームを含むアセンブリを提供することを目的とし、アセンブリは、少なくとも1つの内部補強要素を同様に含み、前記アセンブリは、タンクの寸法変化に適応する増大した能力を、特に前記タンクの製造時に有し、かつ圧縮および伸長に対する改善された抵抗を有する。
【0010】
より正確には、本発明の目的は、その実施形態の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの内部補強要素を固定するように構成された固定手段を含むフレームを提供することであって、フレームおよび少なくとも1つの内部補強要素は、自動車用のプラスチック製タンクの寸法変化に適応する増大した能力を、特に前記タンクの製造時に有するアセンブリを形成できる。
【0011】
本発明は、その実施形態の少なくとも1つにおいて、自動車用のプラスチック製タンクを提供することをさらに目的とする。
【0012】
本発明の別の目的は、その実施形態の少なくとも1つにおいて、自動車用のプラスチック製タンクの製造方法を用いることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
特定の実施形態に従えば、本発明は、タンクの内部補強要素を固定するための少なくとも1つの手段を含む自動車用のプラスチック製タンク用のフレームに関する。
【0014】
本発明によれば、内部補強要素を固定するための少なくとも1つの手段は、内部補強要素の少なくとも一部をスナップ嵌めするように構成された少なくとも1つの第1構造を含み、前記少なくとも1つの第1構造は、少なくとも2つの互いに対する可動体であって、スナップ嵌め方向と反対の方向に内部補強要素を保持するように構成された保持手段を各々が備える可動体と、内部補強要素がスナップ嵌めされる時、内部補強要素用のストッパを提供するために、スナップ嵌め方向と反対の方向に突き出るストッパを形成する少なくとも1つの要素と、を含む。
【0015】
本発明の一般原理は、タンクの製造時に得られる、アセンブリが受ける機械的応力に対する増大した抵抗と、タンクの寸法変化に適応する増大した能力と、を有する固定を確実にするために、内部補強要素の少なくとも一部をスナップ嵌めすること、およびスナップ嵌め後に補強要素を定位置に維持することを同時に可能にする内部補強要素を固定するための手段の存在に立脚する。少なくとも1つの第1構造は、少なくとも2つの互いに対する可動体を含み、各可動体は、スナップ嵌め方向と反対の方向に内部補強要素を保持するように構成された保持手段を備え、内部補強要素の少なくとも一部をスナップ嵌めすることを可能にし、かつスナップ嵌め方向と反対の方向に突き出るストッパを形成する少なくとも1つの要素の存在は、内部補強要素がスナップ嵌めされる時、内部補強要素用のストッパを提供する。ストッパを形成するこの要素は、可動体と異なる要素であること、すなわち特にスナップ嵌め方向と反対の方向に内部補強要素を保持するように構成された保持手段は、ストッパを形成する要素と混同されないことが理解される。
【0016】
好適には、ストッパを形成する要素は、スナップ嵌め後に補強要素を維持することを可能にする。内部補強要素の少なくとも一部は、スナップ嵌め後に定位置に維持され、かつ可動体上に存在する、スナップ嵌め方向と反対の方向に内部補強要素を保持するように構成された保持手段、およびストッパを形成する少なくとも1つの要素によって確実にされる保持の組み合わせによって挟持される。その上、スナップ嵌め後、内部補強要素の少なくとも一部は、少なくとも2つの可動体によって及ぼされる力によって同様に定位置に維持される。
【0017】
このように、本発明は、タンクの寸法変化に適応するための、フレームと、少なくとも1つの内部補強要素と、を含むアセンブリの能力の増大を可能にする固定手段のまったく新規であり、かつ進歩性を有するアプローチに立脚し、かつタンク中で前記アセンブリの存在によって生じた応力の減少を可能にする。かかる配置は、特に溶接面に対して平行な2本の軸における2つの部材間の相対移動を制限する。内部補強要素とフレームとの間に創出されたかかる相互接続により、2つの部材のセンタリングおよび固定の向上を確実にすることが可能になる。
【0018】
表現「内部補強要素」は、タンクの2つの対向する隔壁を連結するための構造の要素を指し示すことを意味する。内部補強要素は、圧力を掛けられる時にタンクの変形を制限することを可能にする。内部補強要素は、好ましくは両端でプラスチック製タンクに溶接される。
【0019】
用語「タンク」は、種々の多様な使用および環境条件において、液体燃料を貯蔵可能な密閉タンクを指し示すことを意味する。本発明によるタンクは、一般に、その凹部での内面と、その凸部での外面と、を含むプラスチック製隔壁によって製作される。好ましくは、タンクは、プラスチック製液体燃料タンクである。
【0020】
表現「内部補強要素の少なくとも一部をスナップ嵌めするように構成された第1の構造」は、補強要素の少なくとも一部、好ましくは補強要素全体が、可動体上に存在する保持手段とストッパを形成する少なくとも1つの要素との間で挟持されることによるスナップ嵌め後に、固定手段によって係止され、かつ移動することが妨げられることを指し示すことを意味する。
【0021】
有利には、ストッパを形成する少なくとも1つの要素は、2つの面、すなわちスナップ嵌め方向において内部補強要素用の軸方向当接面を形成するための第1の面と、軸方向当接軸に平行な軸の周りでの内部補強要素の回転方向において内部補強要素用の径方向当接面を形成するための第2の面と、を有する。
【0022】
有利には、ストッパを形成する少なくとも1つの要素は、スナップ嵌め後に、内部補強要素が回転を係止されるように、内部補強要素の受け部内に入り込むように構成される。この受け部は、内部補強要素内に設けられる特殊な受け形状から特に構成され得ることが理解される。
【0023】
有利には、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、少なくとも1つの第1の構造が、内部補強要素の少なくとも1つの内側部分をスナップ嵌めするように構成されるようになっている。
【0024】
このように、内部補強要素の少なくとも1つの内側部分をスナップ嵌めするように構成された第1の構造は、内部補強要素の改善された固定を可能にし、可動体は、全方向において内部補強要素の移動制限を確実に行うことを可能にする。実際に、可動体によって内部補強要素の内部に及ぼされる力は、非常に多くの方向においてそのようになり得る。
【0025】
表現「内部補強要素の内部」は、例えば貫通孔または止まり穴などの、内部補強要素の材料のくり抜かれた部分を指し示すことを意味する。
【0026】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、第1の構造が、内部補強要素の少なくとも1つの外側部分をスナップ嵌めするように構成されるようになっている。
【0027】
このように、内部補強要素の少なくとも1つの外側部分をスナップ嵌めするように構成された第1の構造は、他の方向では内部補強要素の固定強度の増大を確実に行いながら、内部補強要素の溶接方向においては内部補強要素の固定強度を低くすることを可能にし、可動体は、溶接場所に位置しない内部補強要素の外部と結合される。
【0028】
表現「可動体は、溶接場所に位置付しない内部補強要素の外部と結合される」は、可動体が、溶接場所に位置しない内部補強要素の外部と接触し、かつそこに圧力を及ぼすことを指し示すことを意味する。
【0029】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、少なくとも2つの互いに対する可動体が舌部であるようになっている。
【0030】
このように、舌部の形状を有する互いに対する可動体は、可動体の剛性と柔軟性との間で良好な妥協点を得ることを可能にする。
【0031】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、内部補強要素を保持するように構成された保持手段が、くり抜き部または突出部の形状を呈するようになっている。
【0032】
このように、内部補強要素を保持するように構成された保持手段がくり抜き部または突出部の形状を呈し、製作がさらに容易な可動体を持つことを可能にする。
【0033】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、ストッパを形成する少なくとも1つの要素が、ロッド、好ましくはリブ付きロッドを含むようになっている。ロッドは、有利にはX、U、VまたはW字形を有する。
【0034】
このように、ロッドを含むストッパを形成する要素は、さらに簡易な、ストッパの位置決め調整を可能にする。「ロッド」とは、主軸に沿って延伸し、第1の構造の面からこの軸において突き出る部材を意味する。
【0035】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)からなる材料群から選択される材料を主成分とする。好ましくは、フレームは、一体部材の形状を呈する。
【0036】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、通気もしくは液ライン、フラップ弁(clapet)などのバルブ、ロールオーバーバルブ(ROV)タイプのバルブ、またはフルリミットベントバルブ(FLVV)タイプのバルブ、温度センサ、レベルセンサまたは品質センサなどの、燃料タンクの構成要素の支持手段を含むようになっている。フレームはまた、騒音防止バッフルまたはアンチスロッシュバッフルとも呼ばれる偏向器を含むか、その役目を果たしても良い。好ましくは、燃料タンクおよび/または偏向器の構成要素は、「クリッピング(clipage)」によってフレームに固定される。このように、「クリッピング」は、フレームに対する燃料タンクおよび/または偏向器の構成要素の容易な固定および取扱いを可能にする。
【0037】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、フレームと、内部補強要素を固定するための少なくとも1つの手段と、を連結する変形可能な連結部材を含むようになっており、前記連結部材が、フレームに対する外部からの機械的応力の影響を受けて、フレームと、内部補強要素を固定するための少なくとも1つの手段と、の相対移動を可能にするために変形されるように構成される。
【0038】
このように、変形可能な連結部材は、フレームに対する応力を減少させることを可能にし、前記応力は、内部補強要素の相互に対する移動による変形を発生させる、タンク内の温度および圧力変化に関係する。いかなる変形可能な連結部材もフレーム上に、かつそれ故にフレームと1つ以上の内部補強要素との間に存在しないならば、これらの移動は、フレームに対する応力を発生させる。好ましくは、変形可能な連結部材は、タンクに対する内部補強要素の溶接面に平行な軸における変形を可能にする。
【0039】
好ましい変形形態によれば、自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、フレームを含むアセンブリをパリソン中に挿入するために、タンクの製造時に例えば使用される、挿入スティックなどの挿入手段を受けるように構成された受け部を含むようになっている。前記受け部は、有利には穴、または止まり穴の形状を呈する。
【0040】
好ましい変形形態によれば、自動車用のプラスチック製タンク用のフレームは、複数の貫通孔を含むようになっている。好ましくは、フレームは、リブなどの剛性化手段を同様に備える。
【0041】
このように、フレーム内の貫通孔の存在は、タンク内に含まれる液体のさらに容易な移動を可能にする。フレーム上の剛性化手段の存在は、フレームに対する構成要素の固定に関係した応力と、燃料タンク中でフレームが受ける応力とに、フレームがより良く抵抗することを可能にする。
【0042】
本発明の別の対象は、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームと、フレームに対してスナップ嵌めされるように構成された内部補強要素と、を含む自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリを提供することである。好ましくは、内部補強要素は、好ましくは円筒形の円柱形状の柱の形状、またはディアボロの形状か、保持部の形状を呈する。好ましくは、保持部は、中央くり抜き部を備えた隔壁を含み、隔壁の一部は、補強リブを含む。保持部の隔壁は、平坦であっても、湾曲していても良い。前記補強要素は、これら2つの末端上にタンクの隔壁に溶接され得る材料でオーバーモールドされた2つの部分を好ましくは含む。内部補強要素は、好ましくはポリオキシメチレン(POM)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)、ポリアミド(PA)、金属を主成分とする中心部と、高密度ポリエチレン(HDPE)でオーバーモールドされた2つの部分と、からなる。内部補強要素は、タンクに対して及ぼされる圧力から発生する強い応力を受ける時、前記要素の破砕を引き起こし得る機械的に弱い領域を好ましくは含む。この機械的に弱い領域は、薄い断面、少なくとも1つの切欠き、または薄い隔壁の形状を呈する。内部補強要素は、特には補強要素の中心部に、中空部を含んでも良い。
【0043】
本発明の別の対象は、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリを含む自動車用のプラスチック製タンクを提供することである。
【0044】
本発明の1つの対象は、自動車用のプラスチック製タンクの製造方法を提供することでもある。
【0045】
本発明による自動車用のプラスチック製タンクの製造方法の有利な実施によれば、前記方法は、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のフレームに対する内部補強要素の固定ステップ、より正確にはスナップ嵌めステップを含む。
【0046】
本発明の他の特徴および利点は、限定的でない、説明のための単なる例として与えられる好ましい実施形態の以下に続く記載、および添付図面を読めばさらに明瞭に現れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリを示す。
図2】本発明によるフレームの内部補強要素を固定するための手段を例示する。
図3】本発明による内部補強要素とフレームとの間の接続を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1と関連して、フレーム1と、内部補強要素2と、を含む、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ4の実施形態を示す。内部補強要素2は、タンクの2つの対向する隔壁を連結することを目的とする。自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム1は、タンクに対する内部補強要素2を固定するための少なくとも1つの手段10を含む。フレーム1は、フレーム1と、内部補強要素2を固定するための手段10と、を連結する変形可能な連結部材11を含み、前記連結部材11は、フレーム1に対する外部からの機械的応力の影響を受けて、フレーム1と、内部補強要素2を固定するための手段10と、の相対移動を可能にするために変形することが可能である。フレーム1は、タンクの製造時にアセンブリ4をパリソン中に挿入するための、例えば挿入スティックなどの挿入手段を受けるように構成された受け部12を同様に含む。前記受け部12は、有利には穴、または止まり穴の形状を呈する。フレーム1は、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)からなる材料群から選択される材料を主成分とする。フレーム1は、ポンプ、レベルセンサ、圧力センサ、温度センサ、およびフラップ弁などのバルブ、ロールオーバーバルブ(ROV)タイプのバルブ、またはフィルリミットベントバルブ(FLVV)タイプのバルブ、または通気および燃料ラインなどの燃料タンクの構成要素用の支持手段3を同様に含む。フレーム1は、複数の貫通孔13を同様に含む。好ましくは、フレーム1は、図示しないリブなどの剛性化手段を同様に備える。内部補強要素2は、好ましくは円筒形の円柱形状の柱21の形状、またはディアボロの形状を呈する。内部補強要素2は、中央くり抜き部を備えた隔壁を含む保持部20の形状を同様に呈しても良く、隔壁の一部は、補強リブを含む。保持部の隔壁は、平坦であっても、湾曲していても良い。前記補強要素2は、その2つの末端上にタンクの隔壁に溶接され得る材料でオーバーモールドされた2つの部分を好ましくは含む。内部補強要素2は、好ましくはポリオキシメチレン(POM)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)、ポリアミド(PA)、金属を主成分とする中心部と、高密度ポリエチレン(HDPE)でオーバーモールドされた2つの部分と、からなる。内部補強要素は、タンクに対して及ぼされる圧力から発生する強い応力を受ける時、前記要素の破砕を引き起こし得る機械的に弱い領域を好ましくは含む。
【0049】
図2は、フレーム1に対するタンクの内部補強要素を固定するための手段10を示す。前記手段10は、内部補強要素の少なくとも一部をスナップ嵌めするように構成された少なくとも1つの第1構造100を含み、前記少なくとも1つの第1構造は、舌部10000形状の少なくとも2つの互いに対する可動体1000を含み、各可動体1000は、スナップ嵌め方向と反対の方向に内部補強要素2を保持するように構成された保持手段10001を備え、前記保持手段10001は、突出部の形状を呈し、ストッパを形成する少なくとも1つの要素1001は、U字形のロッドを含む。ストッパを形成する要素1001は、内部補強要素2がスナップ嵌めされる時、内部補強要素2用のストッパを提供するために、スナップ嵌め方向と反対の方向に突き出る。第1の構造100は、内部補強要素2の少なくとも1つの内側部分をスナップ嵌めするように構成される。保持手段10001と組み合わされた、ストッパを形成する要素1001は、スナップ嵌め後に、保持手段10001および少なくとも1つのストッパを形成する要素1001によって確実にされる保持の組み合わせによって、内部補強要素2の少なくとも一部が、定位置に維持され、かつ挟持されるように挟持部を形成する。ストッパを形成する要素1001は、少なくとも2つの当接面、すなわちスナップ嵌め方向において内部補強要素2用の軸方向当接面を形成するための第1の面と、軸方向当接軸と平行な軸の周りでの内部補強要素2の回転方向において内部補強要素2用の径方向当接面を形成するための第2の面と、を有する。より正確には、図2の実施例において、軸方向当接面は、第1の構造100の後面とほぼ平行に延伸する要素1001のU字形の前面に対応し、かつ径方向当接面は、第1の構造100の後面とほぼ垂直に延伸する要素1001の1つ以上の面に対応する。
【0050】
図3は、本発明による自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリの一部を形成する、本発明による内部補強要素2とフレーム1との間の接続を例示する。接続は、内部補強要素2の少なくとも一部をスナップ嵌めするように構成される少なくとも1つの第1の構造100を含む手段10を用いて行われ、前記少なくとも1つの第1の構造100は、舌部形状の4つの互いに対する可動体1000を含み、各可動体1000は、スナップ嵌め方向と反対の方向に内部補強要素2を保持するように構成された保持手段10001を備え、前記保持手段10001は、突出部の形状を呈し、かつ少なくとも1つの要素が、ストッパを形成する。第1の構造100は、内部補強要素2の少なくとも1つの内部200をスナップ嵌めするように構成される。内部補強要素2は、中央くり抜き部200を備えた隔壁201を含む保持部20の形状を呈し、隔壁201の一部は、補強リブ2010を含む。保持部の隔壁は、湾曲している。前記補強要素は、これら2つの末端上にタンクの隔壁に溶接され得る材料でオーバーモールドされた2つの部分を好ましくは含む。内部補強要素は、好ましくはポリオキシメチレン(POM)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)、ポリアミド(PA)、金属を主成分とする中心部202と、高密度ポリエチレン(HDPE)でオーバーモールドされた2つの部分203、204と、からなる。内部補強要素は、タンクに対して及ぼされる圧力から発生する強い応力を受ける時、前記要素の破砕を引き起こし得る機械的に弱い領域を好ましくは含む。
【符号の説明】
【0051】
1 フレーム
2 内部補強要素
3 支持手段
4 アセンブリ
10 固定手段
11 連結部材
12 受け部
13 貫通孔
20 保持部
21 柱
100 第1構造
200 中央くり抜き部
201 隔壁
202 中心部
203、204 高密度ポリエチレン(HDPE)でオーバーモールドされた部分
1000 可動体
1001 ストッパを形成する要素
2010 補強リブ
10000 舌部
10001 保持手段
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの2つの対向する隔壁を連結するための前記タンクの内部補強要素(2)を固定するための少なくとも1つの手段(10)を含む自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)であって、前記内部補強要素(2)を固定するための前記少なくとも1つの手段(10)が、前記内部補強要素(2)の少なくとも一部をスナップ嵌めするように構成された少なくとも1つの第1の構造(100)を含み、前記少なくとも1つの第1の構造(100)が、
- 少なくとも2つの互いに対する可動体(1000)であって、スナップ嵌め方向と反対の方向に前記内部補強要素(2)を保持するように構成された保持手段(10001)を各々が備える可動体(1000)と、
- 前記内部補強要素がスナップ嵌めされる時、前記内部補強要素(2)用のストッパを提供するために、スナップ嵌め方向と反対の方向に突き出る、前記可動体(1000)と異なる、少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)と、
を含むことを特徴とする、フレーム(1)。
【請求項2】
前記保持手段(10001)と組み合わされた、前記少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)が、スナップ嵌め後に、前記保持手段(10001)および前記少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)によって確実にされる保持の組み合わせによって、前記内部補強要素(2)の少なくとも一部が、定位置に維持され、かつ挟持されるように挟持部を形成する、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の構造(100)が、前記内部補強要素(2)の少なくとも1つの内側部分をスナップ嵌めするように構成される、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の構造(100)が、前記内部補強要素(2)の少なくとも1つの外側部分をスナップ嵌めするように構成される、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの互いに対する可動体(1000)が舌部(10000)である、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項6】
前記内部補強要素(2)を保持するように構成された前記保持手段(10001)が、くり抜き部または突出部の形状を呈する、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのストッパを形成する要素(1001)がロッドを含む、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項8】
料タンクの構成要素の支持手段(3)を含む、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項9】
騒音防止バッフルまたはアンチスロッシュバッフル、バルブ、通気または液ライン、温度センサ、レベルセンサ、圧力センサまたは品質センサから選択される少なくとも1つの構成要素を含む、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項10】
前記フレーム(1)と、前記内部補強要素(2)を固定するための前記少なくとも1つの手段(10)と、を連結する変形可能な連結部材(11)を含み、前記連結部材(11)が、前記フレーム(1)に対する外部からの機械的応力の影響を受けて、前記フレーム(1)と、前記内部補強要素(2)を固定するための前記少なくとも1つの手段(10)と、の相対移動を可能にするために変形されるように構成される、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項11】
入手段を受けるように構成された受け部(12)を含む、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項12】
複数の貫通孔(13)を含む、請求項1に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)と、前記フレーム(1)に対してスナップ嵌めされるように構成された内部補強要素(2)と、を含む、自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ(4)。
【請求項14】
前記内部補強要素が、柱(21)および保持部(20)から選択される、請求項13に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ(4)。
【請求項15】
前記保持部(20)が、中央くり抜き部(200)を備えた隔壁(201)を含み、前記隔壁(201)の一部は、補強リブ(2010)を含む、請求項14に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ(4)。
【請求項16】
請求項13に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のアセンブリ(4)を含む、自動車用のプラスチック製タンク。
【請求項17】
自動車用のプラスチック製タンクの製造方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の自動車用のプラスチック製タンク用のフレーム(1)に内部補強要素(2)をスナップ嵌めするステップを含む方法。
【国際調査報告】