(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】バッテリーモジュールフレーム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240905BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/231 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/229 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M50/204 401E
H01M50/224
H01M50/227
H01M50/231
H01M50/271 B
H01M50/229
H01M50/342 201
H01M50/383
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514550
(86)(22)【出願日】2023-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 KR2023009402
(87)【国際公開番号】W WO2024010331
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0083855
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・スク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ド・ジャン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012BB08
5H012CC10
5H012FF01
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS01
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY10
5H040CC20
5H040JJ01
5H040JJ03
5H040LL01
5H040LL04
5H040LL06
5H040LL10
5H040NN03
(57)【要約】
開示される発明は、内部に複数のバッテリーセルを収容する多面体状のバッテリーモジュールフレームに関するものであって、一つの例において、上記バッテリーモジュールフレームは、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第1層と、上記第1層の上に積層され、上記第1層より融点が高い強化プラスチック素材からなる第2層と、上記第2層の上に積層され、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第3層と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数のバッテリーセルを収容する多面体状のバッテリーモジュールフレームにおいて、
前記バッテリーモジュールフレームは、
アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第1層と、
前記第1層の上に積層され、前記第1層より融点が高い強化プラスチック素材からなる第2層と、
前記第2層の上に積層され、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第3層と、
を含む、バッテリーモジュールフレーム。
【請求項2】
前記バッテリーモジュールフレームは、
前記第1層から第3層までが積層された状態でプレス加工により共に成形される、請求項1に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項3】
前記第1層または第3層に締結部が形成される、請求項2に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項4】
前記締結部は、
溶接部またはボルティング部である、請求項3に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項5】
前記第2層をなす強化プラスチック素材は、
芳香族ナイロン繊維と熱硬化性樹脂が結合した素材である、請求項1に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項6】
前記第2層をなす強化プラスチック素材は、
ガラス繊維強化プラスチックである、請求項1に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項7】
前記バッテリーモジュールフレームの少なくともいずれか一面には、
前記第1層および第3層の一部に前記第2層を露出させる通気部が形成される、請求項1に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項8】
前記通気部は、
前記バッテリーモジュールフレームの上面に形成される、請求項7に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項9】
前記通気部は、
対角方向に複数個が形成される、請求項8に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項10】
前記第1層に形成された内側通気部と前記第3層に形成された外側通気部は互いに重ならない、請求項8に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項11】
前記第1層に形成された内側通気部を中心として前記第3層に形成された外側通気部は、対角方向に離隔している、請求項10に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【請求項12】
前記外側通気部は、
前記内側通気部からの距離が遠いほど通気面積が大きい複数個の通気孔を含む、請求項11に記載のバッテリーモジュールフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールフレームに関するものであって、フレーム内部に搭載されたバッテリーセルが過熱して火炎が発生してもフレームの破損および構造崩壊を防止することにより、外部火災や爆発などの二次被害の拡散を抑制し得るバッテリーモジュールフレームに関するものである。
【0002】
本出願は、2022年7月7日付の韓国特許出願第10-2022-0083855号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池は一次電池とは異なって再充電が可能であり、また、小型および大容量化の可能性により近年多く研究開発されている。モバイル機器に対する技術開発と需要が増加し、また、環境保護の時代的要求に合わせて浮上する電気自動車とエネルギー貯蔵システムなどにより、エネルギー源としての二次電池の需要はさらに急激に増加している。
【0004】
二次電池は、電池ケースの形状に応じて、コイン型電池、円筒型電池、角型電池およびパウチ型電池に分類される。二次電池において電池ケースの内部に装着される電極組立体は、電極および分離膜の積層構造からなる充放電が可能な発電素子である。
【0005】
二次電池は、長期間連続的な使用が要求されるため、充放電過程中に発生する熱を効果的に制御する必要がある。二次電池の冷却が円滑に行われない場合には、温度上昇が電流の増加を引き起こし、電流の増加が再び温度上昇の原因となる正帰還の連鎖反応が起こり、結局熱暴走(Thermal Runaway)の破局状態に至ることになる。
【0006】
また、二次電池がモジュールやパックの形態として集団をなしている場合には、いずれか1つの二次電池に発生した熱暴走により周辺の他の二次電池が連続的に過熱する熱伝播(Thermal Propagation)現象が起こることになる。
【0007】
さらに、過熱した二次電池で発生した火炎によってバッテリーモジュールのフレームが構造崩壊を起こすことになると、内部火炎に大量の酸素が供給されることにより大型火災や爆発などの二次被害に拡散し得るので、このようなフレームの構造崩壊を防止し得る対策を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2018-0060997号(2018年6月7日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、内部に搭載されたバッテリーセルが過熱して火炎が発生してもフレームの構造崩壊を防止することにより、外部の火災や爆発などの二次被害への拡散を抑制し得るバッテリーモジュールフレームを提供することにその目的がある。
【0010】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、言及されない別の課題は、下記に記載された発明の説明から通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、内部に複数のバッテリーセルを収容する多面体状のバッテリーモジュールフレームに関するものであって、一つの例において、上記バッテリーモジュールフレームは、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第1層と、上記第1層の上に積層され、上記第1層より融点が高い強化プラスチック素材からなる第2層と、上記第2層の上に積層され、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第3層と、を含む。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記バッテリーモジュールフレームは、上記第1層から第3層までが積層された状態でプレス加工により共に成形され得る。
【0013】
そして、上記第1層または第3層に締結部が形成され、上記締結部は、溶接部またはボルティング部であり得る。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記第2層をなす強化プラスチック素材は、芳香族ナイロン繊維と熱硬化性樹脂が結合した素材であり得る。
【0015】
好ましくは、上記第2層をなす強化プラスチック素材は、ガラス繊維強化プラスチックであり得る。
【0016】
一方、本発明の実施形態によっては、上記バッテリーモジュールフレームの少なくともいずれか一面には、上記第1層および第3層の一部に上記第2層を露出させる通気部が形成され得る。
【0017】
例えば、上記通気部は、上記バッテリーモジュールフレームの上面に形成され得る。
【0018】
上記通気部は、対角方向に複数個が形成され得る。
【0019】
そして、上記第1層に形成された内側通気部と上記第3層に形成された外側通気部は互いに重ならないことが好ましいと言える。
【0020】
また、上記第1層に形成された内側通気部を中心として上記第3層に形成された外側通気部は、対角方向に離隔し得る。
【0021】
そして、上記外側通気部は、上記内側通気部からの距離が遠いほど通気面積が大きい複数個の通気孔を含み得る。
【発明の効果】
【0022】
上記のような構成を備えた本発明のバッテリーモジュールフレームは、アルミニウム素材の構造層とその間にガラス繊維強化プラスチックのような耐熱性補強材がサンドイッチ状に合体した複合素材からなることにより軽量のフレーム構造をなすと同時に、内部に火炎が発生しても耐熱性補強材が構造崩壊を抑制することになり、これによりフレーム内部の火炎に大量の酸素が供給されなくなる。
【0023】
また、ガラス繊維強化プラスチックを内蔵しながら、その外部をアルミニウム素材の構造層が包むことにより、溶接やボルティングなどの組立構造を容易に具現し得る。
【0024】
そして、通気部の配置と形状を最適化することにより内部で発生した火炎の伝播を効果的に抑制することで、火災の危険をさらに下げることもできる。
【0025】
ただし、本発明によって得ることができる技術的効果は上述した効果に制限されず、言及されない別の効果は、下記に記載された発明の説明から通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書に添付される下記の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述される発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【
図1】本発明のバッテリーモジュールフレームを含むバッテリーモジュールの一例を図示した図面である。
【
図2】プレス成形前のバッテリーモジュールフレームの断面構造を図示した図面である。
【
図3】プレス成形によりメインフレームを形成する一例を図示した図面である。
【
図4】上部プレートに通気孔が形成された実施形態を図示した図面である。
【
図5】メインフレームと上部プレートを溶接で結合する一例を図示した図面である。
【
図6】メインフレームと上部プレートをボルトで結合する一例を図示した図面である。
【
図7】内側通気部と外側通気部の配置構造を図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有し得るので、特定の実施形態を以下に詳細に説明する。
【0028】
しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0029】
本発明において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。
【0030】
また、本発明において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると記載された場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あると記載された場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0031】
本発明は、内部に複数のバッテリーセルを収容する多面体状のバッテリーモジュールフレームに関するものであって、一つの例において、上記バッテリーモジュールフレームは、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第1層と、上記第1層の上に積層され、上記第1層より融点が高い強化プラスチック素材からなる第2層と、上記第2層の上に積層され、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第3層と、を含む。
【0032】
上記のような構成を備えた本発明のバッテリーモジュールフレームは、アルミニウム素材の構造層とその間にガラス繊維強化プラスチックのような耐熱性補強材がサンドイッチ状に合体した複合素材からなることにより軽量のフレーム構造をなすと同時に、内部に火炎が発生しても内部の耐熱性強化プラスチック素材が構造崩壊を抑制することになり、これによりフレームの構造が崩れ、内部の火炎に大量の酸素が供給される事故を防止することになる。
【0033】
また、耐熱性強化プラスチック素材を内蔵しながら、その外部をアルミニウム素材の構造層が包むことにより、溶接やボルティングなどの組立構造を容易に具現し得る。
【0034】
以下、添付された図面を参照して本発明のバッテリーモジュールフレームの具体的な実施形態について詳細に説明する。参考として、以下の説明で使用される相対的な位置を指定する前後や上下左右の方向は発明の理解を助けるためのものであって、特に定義がされない限り図面に図示された方向を基準とする。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、本発明のバッテリーモジュールフレーム100を含むバッテリーモジュール10の一例を図示した図面である。バッテリーモジュール10は、バッテリーセルを外部の衝撃と熱、振動などから保護するために一定の個数で束ねてフレームに入れたバッテリー組立体を指すものである。バッテリーモジュール10は、互いに直列および/または並列に連結された多数のバッテリーセルからなっており、多数のバッテリーセルは、それを保護するための機械的構造物、すなわち、バッテリーモジュールフレーム100内に埋め込まれる。
【0036】
バッテリーセルは、それぞれがエネルギーを蓄えて必要なときに外部に供給する基本的な役割を果たすが、それぞれのバッテリーセルのみでは容量が小さいため、それをまとめたモジュールを作り、さらにモジュールを大きく合わせてバッテリーパックを作ることになる。
【0037】
本発明は、多数のバッテリーセルを保護する機械的構造物であるバッテリーモジュールフレーム100に関するものである。
図1に一つの例として図示されたバッテリーモジュール10は、複数のバッテリーセルが直列および/または並列に連結されて1つの組立体をなすバッテリーセルアセンブリ400を含んでいる。そして、バッテリーセルアセンブリ400の両端には、エンドプレートアセンブリ500と機械的、電気的に結合する構造体が備えられている。
【0038】
そして、バッテリーモジュールフレーム100は、「U」字状の断面をなし、その内部にバッテリーセルアセンブリ400を収容する空間を形成するメインフレーム102と、メインフレーム102の開放された上面を覆う上部プレート104と、を含む。ここで、バッテリーモジュールフレーム100の開放された両側面には、エンドプレートアセンブリ500が結合してバッテリーモジュール10を密封するが、大きな意味ではエンドプレートアセンブリ500もバッテリーモジュールフレーム100に含まれ得る。
【0039】
バッテリーモジュール10は、複数のバッテリーセルを収容する多面体状、
図1では六面体状をなしているが、バッテリーモジュールフレーム100の断面構造は
図2に図示されている。すなわち、
図2は、メインフレーム102と上部プレート104の断面構造を図示しており、さらにエンドプレートアセンブリ500も
図2の断面構造をなし得る。
【0040】
図2を参照すると、バッテリーモジュールフレーム100は、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第1層110と、上記第1層110より融点が高い強化プラスチック素材からなる第2層120と、上記第2層120上に積層され、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる第3層130と、を含む。
【0041】
すなわち、本発明のバッテリーモジュールフレーム100は、アルミニウム素材からなる第1層110および第3層130の構造層と、構造層間に耐熱性強化プラスチック素材からなる第2層120がサンドイッチ状に合体した複合素材からなっている。ここで、構造層とは、アルミニウム素材からなる第1層110および第3層130がバッテリーモジュールフレーム100の基本的な機械的構造、すなわち、形状と剛性を維持する役割を果たす層であることを意味する。
【0042】
アルミニウム素材の第1層110と第3層130との間に挟まれている第2層120は、アルミニウム素材より融点がより高い強化プラスチック素材からなっている。すなわち、第2層120は、アルミニウム素材の第1層110および第3層130が過熱したバッテリーセルで発生した火炎によって溶ける高温環境でもその形態を維持し得る耐熱性の強化プラスチック素材で構成されている。
【0043】
このような本発明のバッテリーモジュールフレーム100は、構造層としてアルミニウム素材を適用しながら、中間にプラスチック素材の第2層120を含んでいるので、アルミニウム素材による軽量化とプラスチック層による重量低減により、軽量のフレーム構造を具現し得るようになる。
【0044】
また、高温の火炎によりアルミニウム素材の第1層110および第3層130が局部的に溶けても融点がより高い耐熱性強化プラスチック素材からなる中央の第2層120が構造崩壊を抑制することになる。これにより、バッテリーモジュールフレーム100の構造が崩れ、内部の火炎に大量の酸素が供給されて大型火災につながる事故を防止するようになる。
【0045】
そして、本発明の一実施形態において、第2層120をなす強化プラスチック素材は、芳香族ナイロン繊維と熱硬化性樹脂が結合した素材からなり得る。例えば、芳香族ナイロン繊維は、補強材としての機能を果たすものであって、ガラス繊維、炭素繊維、ケブラー(Kevlar:米国デュポン社の商品名(登録商標))などがそれに該当し、熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂などが使用され得る。
【0046】
機械的強度と耐熱性を考慮すると、ガラス繊維が含まれたガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を第2層120の素材として使用することが好ましいと言える。ガラス繊維強化プラスチックは、軽量でありながら機械的強度と耐熱性に非常に優れており、常温・常圧での成形が可能であるため製造しやすいという長所がある。
【0047】
したがって、耐熱性に優れたガラス繊維強化プラスチックで第2層120を形成すれば、バッテリーセルの熱暴走により発生した火炎は、本発明のバッテリーモジュールフレーム100の第2層120に塞がれて伝播しにくくなる。これにより、熱伝播現象や外部火災が効果的に抑制される。
【0048】
一方、
図3は、プレス成形によりメインフレーム102を形成する一例を図示した図面である。
図3を参照すると、本発明のバッテリーモジュールフレーム100は、第1層110から第3層130までがいずれも積層された平板状態でプレス加工により一括して成形され得る。
【0049】
これは、耐熱性強化プラスチック素材、特にガラス繊維強化プラスチックからなる第2層120は薄い板状をなしているので、アルミニウム素材の第1層110と第3層130との間にガラス繊維強化プラスチック素材の第2層120を接合した平板状(
図2参照)に製造した後に、
図3のように、上型UMと下型BMとの間に平板状のバッテリーモジュールフレーム100を置いてプレス加工を行う。これにより、「U」字状断面のメインフレーム102を作ることができる。
【0050】
すなわち、第1層110および第3層130は焼成加工が容易なアルミニウム素材であるため、プレス加工に適しており、また、第2層120をなすガラス繊維強化プラスチックは常温でも成形が可能であるため、プレス加工により多様な形態のバッテリーモジュールフレーム100に成形され得る。
【0051】
このように、本発明のバッテリーモジュールフレーム100は、アルミニウム素材の第1層110と第3層130との間に耐熱性強化プラスチック素材の第2層120を接合した平板状の予備フレームをプレス加工により多様な形態に変形することが可能であるため、生産性の側面から耐熱性強化プラスチックが介在されない既存のフレームと同等のレベルを維持し得る。
【0052】
(第2実施形態)
一方、本発明の第2実施形態において、バッテリーモジュールフレーム100をなす上部プレート104には通気部300が形成され得る。
図4は、上部プレート104に通気部300が形成された例示的な実施形態を図示している。
【0053】
参考として、第2実施形態では、バッテリーモジュールフレーム100中の上部プレート104に通気孔が形成されることを例として説明している。これは、火炎が上方に伝播する性質を考慮したものであって、メインフレーム102にも通気孔が形成され得ることはもちろんである。ここで、通気孔の位置は、通気孔から噴出される高温ガスや一部の火炎による外部火災や周辺部品に対する二次被害を考慮して選定される必要がある。
【0054】
図4を参照すると、バッテリーモジュールフレーム100の上面をなす上部プレート104には、第3層130の一部に外側通気部320が形成されており、外側通気部320を介して第2層120が外部に露出している。そして、
図5~
図7を参照すると、上部プレート104の第1層110にも第2層120を露出する内側通気部310が形成されている。
【0055】
通気部300は、バッテリーモジュールフレーム100の第1層110および第3層130の一部をそれぞれ切開した部分であって、通気部300により第2層120が露出する。バッテリーモジュール10内で火炎が発生して温度と圧力が上昇することになると、バッテリーモジュールフレーム100で融点が相対的に低いアルミニウム素材の第1層110および第3層130の一部分が溶融し、高温ガスと火炎が外部に噴出することになる。このような火炎の噴出部位は、火災の発生地点やバッテリーモジュールフレーム100の局部的強度などによって決定され得るが、このような部位は予測することが難しい。
【0056】
したがって、本発明の第2実施形態では、意図的に第1層110および第3層130の一部をそれぞれ切開した通気部300を形成し、これにより高温ガスと火炎が定められた地点、すなわち、通気部300から噴出するようにその位置を制限している。したがって、通気部300の位置を好適に設計することによって、外部火災などの二次被害の危険を大きく下げることができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、通気部300は、一つの面、図面を例にすると、バッテリーモジュールフレーム100の上面に対角方向に複数個が形成され得る。通気部300は、耐熱性強化プラスチック素材からなる第2層120を経由して第3層130の外側に火炎が噴出する領域であるため、複数の通気部300を形成する場合には、互いの距離を遠く確保することにより、火炎が十分な距離と時間の間に第2層120を経て徐々に熱を失うことになる。
【0058】
そして、第1層110に形成された内側通気部310と、第3層130に形成された外側通気部320は互いに重ならないことが好ましいと言える。これもまた内側通気部310と外側通気部320が直接連結されると、第2層120による消炎作用が発揮されるほどの十分な火炎経路を確保することが難しいからである。
【0059】
例えば、
図7に図示されたように、第1層110に形成された内側通気部310を中心として第3層130に形成された外側通気部320は、対角方向に離隔し得る。このような内側通気部310と外側通気部320の配置により、内側通気部310と外側通気部320は互いに重ならずに外側通気部320間の距離を遠くにし得る。
【0060】
そして、外側通気部320は、複数個の通気孔が1つの群をなす形態で構成され得るが、この場合、外側通気部320は、内側通気部310からの距離dが遠いほど通気孔の通気面積が大きくなるように段階的なサイズの配列を有するようにすることが好ましいと言える。これは、第2層120の強化プラスチック層を通過する火炎経路が長く、十分に熱を奪われた火炎が内側通気部310からの距離dが遠い外側の通気孔へとより多く排出されるようにすることが消炎の側面から有利であるからである。
【0061】
そして、アルミニウム素材である第1層110または第3層130には締結部200が形成され得、このような締結部200は、溶接部210またはボルティング部220であり得る。
図5は、締結部200が溶接部210として形成される一例を、そして
図6は、ボルティング部220が締結部200を形成する例をそれぞれ図示している。
【0062】
本発明のバッテリーモジュールフレーム100は、高温の火炎でも構造崩壊を防止し、消炎機能も備えた耐熱性強化プラスチックの第2層120を含んでおり、たとえ第2層120では機械的締結構造を構成することは難しいが、第2層120がアルミニウム素材である第1層110と第3層130との間に埋め込まれているので、バッテリーモジュールフレーム100の内外部を包むアルミニウム層により溶接やボルティングなどの締結構造を容易に具現し得る。
【0063】
参考として、
図5および
図6は、それぞれ溶接部210およびボルティング部220が締結部200を構成する一例を図示しているが、一つのバッテリーモジュールフレーム100が締結部200として溶接部210とボルティング部220とを複合的に含み得ることはもちろんである。
【0064】
以上、図面と実施形態などにより本発明をより詳細に説明した。しかしながら、本明細書に記載された図面または実施形態などに記載された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替し得る多様な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0065】
10:バッテリーモジュール
100:バッテリーモジュールフレーム
102:メインフレーム
104:上部プレート
110:第1層
120:第2層
130:第3層
200:締結部
210:溶接部
220:ボルティング部
300:通気部
310:内側通気部
320:外側通気部
400:バッテリーセルアセンブリ
500:エンドプレートアセンブリ
UM:上型
BM:下型
【国際調査報告】