(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】螺旋状に巻かれた膜要素
(51)【国際特許分類】
B01D 63/10 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B01D63/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514591
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022026541
(87)【国際公開番号】W WO2023033876
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/116407
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520030844
【氏名又は名称】ディーディーピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】524082465
【氏名又は名称】デュポン テクノロジー (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】リャオ チュオダン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンス スティーヴン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006HA61
4D006JA05A
4D006JA06A
4D006JA06C
4D006JA19A
4D006JA22A
4D006JA25Z
4D006JA27Z
4D006MA06
4D006MA25
4D006MC18
4D006MC29
4D006MC54
4D006MC56
4D006MC62
4D006MC63
(57)【要約】
螺旋状に巻かれた濾過膜要素は、少なくとも2つの同心円の軸方向に移動された領域を含むスクロール面を有する。それらの領域の少なくとも1つは封止され、少なくとも1つは封止されない。そのような膜要素は、巻く工程に続いて、同心円の軸方向に移動された領域を生成するトリミング又は切断ステップによって生成することができる。シールは、トリミング若しくは切断ステップの前、間又は後に塗布することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に巻かれた濾過要素であって、
a)その長さに沿った複数の開口及び1端又は両端における透過液出口を有する、中心透過液収集管と、
b)少なくとも1つの膜エンベロープ、及び前記螺旋状に巻かれた濾過要素内に供給液チャネルを生成するための少なくとも1つの供給液スペーサ手段を含む螺旋束であって、前記少なくとも1つの膜エンベロープ及び少なくとも1つの供給液スペーサ手段は、前記中心透過液収集管を中心に巻かれる、螺旋束とを含み、
(i)各膜エンベロープは、膜シートの2つの部分、及び前記膜シートの2つの部分の間に透過液チャネルを提供するための透過液チャネルスペーサ手段を含み、各膜エンベロープは、第1の縁部、前記第1の縁部と反対の第2の縁部、及び遠位縁部のそれぞれの上で封止され、近位縁部の上で開き、各膜エンベロープは、各膜エンベロープの前記開いた近位縁部が、前記透過液収集管の長さに沿って前記複数の開口の1つ又は複数と流体連通するように、前記中心透過液収集管に付着され、
(ii)前記螺旋束は、前記螺旋束の対向する端部における対向する第1及び第2のスクロール面、前記第1のスクロール面と前記第2のスクロール面との間の外部長手方向表面、並びに前記螺旋束内の前記少なくとも1つの膜エンベロープの隣接した外部表面の間の供給液チャネルを有し、
(iii)前記第1のスクロール面は、少なくとも2つの同心円の軸方向に移動された領域、前記供給液チャネルに対して封止される前記第1のスクロール面の前記同心円の軸方向に移動された領域の少なくとも1つ、並びに供給流体が、前記第1のスクロール面の封止されていない領域を通って前記螺旋束の前記供給液チャネルの中に流入し、又は濃縮液が、そのような封止されていない領域を通って前記螺旋束の前記供給液チャネルから流出することができるように、そのように封止されていない前記第1のスクロール面の前記同心円の軸方向に移動された領域の少なくとも1つを含み、
前記螺旋状に巻かれた濾過要素は、濃縮液が前記螺旋束の前記供給液チャネルから流出し、又は供給流体が前記螺旋束の前記供給液チャネルに流入することができるように、前記第2のスクロール面上、前記螺旋束の前記外部長手方向表面上、又は両方に開口を更に含む、螺旋状に巻かれた濾過要素。
【請求項2】
前記少なくとも2つの同心円の軸方向に移動された領域は、1mm~2cmの平均距離だけそれぞれから軸方向に移動される、請求項1に記載の螺旋状に巻かれた濾過要素。
【請求項3】
前記第1のスクロール面は、丁度2つの同心円の軸方向に移動された領域を有する、請求項1又は2に記載の螺旋状に巻かれた濾過要素。
【請求項4】
前記同心円の軸方向に移動された領域は、内部領域及び外部領域を含み、前記内部領域は、前記外部領域に対して軸方向外方に移動される、請求項1~3のいずれか一項に記載の螺旋状に巻かれた濾過要素。
【請求項5】
前記同心円の軸方向に移動された領域は、内部領域及び外部領域を含み、前記外部領域は、前記内部領域に対して軸方向外方に移動される、請求項1~3のいずれか一項に記載の螺旋状に巻かれた濾過要素。
【請求項6】
前記第1のスクロール面の隣接した同心円の軸方向に移動された領域の間の軸方向の移動により、前記同心円の隣接した軸方向に移動された領域の間の境界に壁を生成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の螺旋状に巻かれた濾過要素。
【請求項7】
前記第1のスクロール面の前記同心円の軸方向に移動された領域の少なくとも1つは、熱溶融接着剤、及び少なくとも1つの反応性単量体を有する硬化型接着剤から構成される群から選択された接着シールで前記供給液チャネルに対して封止される、請求項1~6のいずれか一項に記載の螺旋状に巻かれた濾過要素。
【請求項8】
前記接着シール層が前記スクロール面と裏打ち層との間に挟まれるように、前記接着シールに接着された前記裏打ち層を更に含む、請求項7に記載の螺旋状に巻かれた濾過要素。
【請求項9】
螺旋状に巻かれた濾過要素を生成するための方法であって、
a)対向する第1及び第2の端部、前記第1の端部と前記第2の端部との間の外部長手方向表面、少なくとも1つの膜エンベロープの隣接した外部表面の間に置かれた供給液チャネル、並びに濃縮液が螺旋束の前記供給液チャネルから流出し、又は供給流体が前記螺旋束の前記供給液チャネルに流入することができるように、前記第2の端部内、前記外部長手方向表面、又は両方における1つ又は複数の開口を有する前記螺旋束を形成するために、前記少なくとも1つの膜エンベロープ並びに前記供給液チャネルを生成するための供給液スペーサ手段を、透過液収集管を中心に巻くことであって、
(i)前記透過液収集管は、その長さに沿った複数の開口及び少なくとも1つの端部上の透過液出口を有し、
(ii)各膜エンベロープは、膜シートの2つの部分、及び前記膜シートの2つの部分の間に透過液チャネルを提供するための透過液チャネルスペーサ手段を含み、各膜エンベロープは、近位縁部の上で開き、第1の縁部、前記第1の面縁部と反対の第2の縁部、及び遠位縁部のそれぞれで又はそれぞれの付近で封止され、前記第1の縁部は、接着ストリップで封止され、各膜エンベロープは、各膜エンベロープの前記開いた近位縁部が、前記透過液収集管の長さに沿って前記複数の開口の1つ又は複数と流体連通するように、前記中心透過液収集管に付着される、巻くことと、
b)1つ又は複数の除去ステップでは、前記螺旋束の第1の端部の少なくとも一部を除去することであって、それによって膜シート、供給液スペーサ手段、透過液スペーサ手段及び接着ストリップのそれぞれの一部は、第1のスクロール面を形成するために除去される一方で、各膜エンベロープの前記第1の縁部全体に沿って前記接着ストリップの一部をそのまま残し、前記第1のスクロール面は、少なくとも2つの同心円の軸方向に移動されたスクロール面領域を含む、除去することと、
c)1つ又は複数の封止されたスクロール面領域を生成するために、前記第1のスクロール面の前記同心円の軸方向に移動されたスクロール面領域の全てより少ないが、そのうち少なくとも1つを封止することであって、各封止されたスクロール面領域は、前記封止されたスクロール面領域を通って前記供給液チャネルに流れが入出するのを遮断するシールを有する、封止することとを含む、方法。
【請求項10】
ステップb)で生成された前記少なくとも2つの同心円の軸方向に移動されたスクロール面領域は、1mm~2cmの平均距離だけそれぞれから軸方向に移動される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップb)では、丁度2つの同心円の軸方向に移動された領域が、前記第1のスクロール面内に生成される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)で生成された前記同心円の軸方向に移動された領域は、内部領域及び外部領域を含み、前記内部領域は、前記外部領域に対して軸方向外方に移動される、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記同心円の軸方向に移動された領域は、内部領域及び外部領域を含み、前記外部領域は、前記内部領域に対して軸方向外方に移動される、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)では、前記第1のスクロール面の前記隣接した同心円の軸方向に移動された領域の間の軸方向の移動と等しい高さを有する壁を生成する、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップc)は、ステップb)の後に実行される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップc)は、ステップb)の前に前記スクロール面全体に接着シールを塗布することによって実行され、前記接着シールの一部は、ステップb)の間に除去された前記螺旋束の入口端部の一部と共に除去される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1の除去ステップが実行され、接着シールが、次いで前記第1のスクロール面の全て又は一部に塗布され、第2の除去ステップが実行され、それによって前記接着シールの一部は、膜シート、供給液スペーサ手段、透過液スペーサ手段及び接着ストリップのそれぞれの一部と一緒に除去される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋状に巻かれた膜要素及びそれらを作成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透(RO)、ナノ濾過、及び限外濾過膜は、一般的に螺旋状に巻かれた膜要素又はモジュールとして構成される。螺旋状に巻かれた構成は、大量の膜面積を小容量に詰め込むことができる。
【0003】
一般の螺旋状に巻かれた濾過要素は、中心透過液収集管を含み、1つ又は複数の膜エンベロープ及び供給液スペーサは、螺旋束を形成するために中心透過液収集管を中心に巻かれる。膜エンベロープは、透過液チャネルスペーサを挟む膜シートの2つの部分を含む。膜エンベロープを形成する膜シートは、3つの縁部に沿って封止され、膜エンベロープが中心透過液収集管と交わる近位縁部で開く。螺旋束は、対向する端部にスクロール面を有する。螺旋束は、一般的に繊維ガラス若しくはテープラップを含む、外部容器又はラップ内に一部或いは全体が閉囲されてもよい。
【0004】
図1は、従来の軸方向流れ要素(
図1a)と半径方向流れ用に設計された要素(
図1b及び1c)との供給液流路の違いを例示する。
図1aに示されたような軸方向流れ用に設計された要素では、供給液は螺旋束(例示目的で解かれて示されている)の入口側201の中に導かれ、供給液スペーサを通り、矢印150によって示されたように、膜エンベロープの巻線の間を中心透過液収集管2に概ね平行な方向に流れ、濃縮され、濃縮液としてスクロール面の出口側210から除去される。透過液、すなわち膜を通り膜エンベロープの中に透過する供給液の一部は、膜シートの間を透過液収集管2に向かって螺旋状内部方向に進む。透過液は、次いで透過液収集管2に入り、透過液出口24を通って除去される。
【0005】
膜を通る供給液の半径方向流れを確立することには利点がある。例えば、要素内の流れは、汚れ又は剥がれを低減するように設計され得る。軸方向供給液流れを備えた伝統的なRO要素では、透過液スペーサ内の圧力降下により、流動(及び膜表面付近の分裂)が透過液管に隣接した領域で最高になる。同時に、膜を通る水の透過により、供給液が要素から出る要素の末端で供給液濃度が最高になる。剥がれは、典型的にはこれらの2つの領域が部分的に同一場所に置かれる隅でまず明らかになる。それに反して、半径方向流れ要素を通る流れは、要素の周囲に置かれた供給液の最高濃度を有するように配置することができるので、最高流動及び分裂の領域と重複しない。また同様の流動及び回復で評価される時も、半径方向流れ要素は、同じ大きさ及び供給液スペーサの厚さの伝統的な要素より速い供給液流れ速度を有するように設計され得、その結果混合が増加することにより、剥がれ及び汚れのどちらも減らすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
典型的な半径方向流れのパターンは、
図1b及び1cに例示されている。
図1b及び1cに示されたように、供給液は、膜エンベロープの巻線の間を螺旋状に外方に、透過液管に主に垂直な半径方向に進む。
図1b及び1cでは、矢印151は、濃縮液が出口側210から又は遠位端211から除去されるように、半径方向外方である供給液流れ方向に対応する。別法により、供給液の流れ方向は、反対方向、すなわち螺旋状に内方にも進んでもよく、その場合、
図1b及び1cの矢印は反対方向であるはずである。半径方向流れは、スクロール面の一部のみを選択的に封止し、他の部分を遮断するためにシーラントを使用することなどにより、供給液がスクロール面の一部のみを通って入ることができることにより、少なくとも部分的に促進されることが可能である。例えば、シーラントは、スクロール面の半径方向外方部に塗布されることがあるが、管により近い半径方向内方部には塗布されないことがある。その場合、供給液は、封止されていない半径方向内方部を通って螺旋束に入ることのみ可能である。反対に、半径方向内方部は封止することができるが、半径方向外方部は封止できず、それによって供給液は、スクロール面の半径方向外方部のみを通って入ることができる。この封止方法の問題は、シーラントの塗布をスクロール面の意図した部分のみに正確に制御することが困難であることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、螺旋状に巻かれた濾過要素であって、
a)その長さに沿った複数の開口及び1端又は両端における透過液出口を有する、中心透過液収集管と、
b)少なくとも1つの膜エンベロープ、及び螺旋状に巻かれた濾過要素内に供給液チャネルを生成するための少なくとも1つの供給液スペーサ手段を含む螺旋束であって、少なくとも1つの膜エンベロープ及び少なくとも1つの供給液スペーサ手段は、中心透過液収集管を中心に巻かれる、螺旋束とを含み、
(i)各膜エンベロープは、膜シートの2つの部分、及び膜シートの2つの部分の間に透過液チャネルを提供するための透過液チャネルスペーサ手段を含み、各膜エンベロープは、第1の縁部、面縁部と反対の第2の縁部及び遠位縁部のそれぞれの上で封止され、近位縁部の上で開き、各膜エンベロープは、各膜エンベロープの開いた近位縁部が、透過液収集管の長さに沿って複数の開口の1つ又は複数と流体連通するように、中心透過液収集管に付着され、
(ii)前記螺旋束は、螺旋束の対向する端部における対向する第1及び第2のスクロール面、第1のスクロール面と第2のスクロール面との間の外部長手方向表面、並びに螺旋束内の少なくとも1つの膜エンベロープの隣接した外部表面の間の供給液チャネルを有し、
(iii)第1のスクロール面は、少なくとも2つの同心円の軸方向に移動された領域、供給液チャネルに対して封止される第1のスクロール面の前記同心円の軸方向に移動された領域の少なくとも1つ、並びに供給流体が、第1のスクロール面の封止されていない領域を通って螺旋束の供給液チャネルの中に流入し、又は濃縮液が、そのような封止されていない領域を通って螺旋束の供給液チャネルから流出することができるように、そのように封止されていない第1のスクロール面の前記同心円の軸方向に移動された領域の少なくとも1つを含み、
螺旋状に巻かれた濾過要素は、濃縮液が螺旋束の供給液チャネルから流出し、又は供給流体が螺旋束の供給液チャネルに流入することができるために、第2のスクロール面上、螺旋束の外部長手方向表面上、又は両方に開口を更に含む、螺旋状に巻かれた濾過要素である。
【0008】
本発明は、また螺旋状に巻かれた濾過要素を生成するための方法であって、
a)対向する第1及び第2の端部、第1の端部と第2の端部との間の外部長手方向表面、少なくとも1つの膜エンベロープの隣接した外部表面の間に置かれた供給液チャネル、並びに濃縮液が螺旋束の供給液チャネルから流出し、又は供給流体が螺旋束の供給液チャネルに流入することができるように、第2の端部、外部長手方向表面、又は両方における1つ又は複数の開口を有する螺旋束を形成するために、少なくとも1つの膜エンベロープ並びに供給液チャネルを生成するための供給液スペーサ手段を、透過液収集管を中心に巻くことであって、
(i)透過液収集管は、その長さに沿った複数の開口及び少なくとも1つの端部上の透過液出口を有し、
(ii)各膜エンベロープは、膜シートの2つの部分、及び膜シートの2つの部分の間に透過液チャネルを提供するための透過液チャネルスペーサ手段を含み、各膜エンベロープは、近位縁部の上で開き、第1の縁部、第1の縁部と反対の第2の縁部、及び遠位縁部のそれぞれ又はそれぞれの付近で封止され、第1の縁部は接着ストリップで封止され、各膜エンベロープは、各膜エンベロープの開いた近位縁部が、透過液収集管の長さに沿って複数の開口の1つ又は複数と流体連通するように、中心透過液収集管に付着される、巻くことと、
b)1つ又は複数の除去ステップでは、螺旋束の第1の端部の少なくとも一部を除去することであって、それによって膜シート、供給液スペーサ手段、透過液スペーサ手段及び接着ストリップのそれぞれの一部は、第1のスクロール面を形成するために除去される一方で、各膜エンベロープの第1の縁部全体に沿って接着ストリップの一部をそのまま残し、前記第1のスクロール面は、少なくとも2つの同心円の軸方向に移動されたスクロール面領域を含む、除去することと、
c)1つ又は複数の封止されたスクロール面領域を生成するために、第1のスクロール面の同心円の軸方向に移動されたスクロール面領域の全てより少ないが、そのうちの少なくとも1つを封止することであって、各封止されたスクロール面領域は、前記封止されたスクロール面領域を通って供給液チャネルに流れが入出するのを遮断するシールを有する、封止することとを含む、方法でもある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1a】螺旋状に巻かれた膜を通る軸方向供給液流れを例示する斜視図である。
【
図1b】螺旋状に巻かれた膜を通る半径方向供給液流れのモードを例示する斜視図である。
【
図1c】螺旋状に巻かれた膜を通る半径方向供給液流れのモードを例示する斜視図である。
【
図2】本発明の一部が解かれた螺旋状に巻かれた濾過要素の一部が断面の斜視図である。
【
図3】本発明の螺旋状に巻かれた濾過要素の一実施形態の等角図である。
【
図4】本発明の螺旋状に巻かれた濾過要素の第2の実施形態の等角図である。
【
図5】本発明の螺旋状に巻かれた濾過要素の第2の実施形態の等角図である。
【
図6a】本発明の一実施形態の一部が断面の断面図である。
【
図6b】本発明の一実施形態の一部が断面の断面図である。
【
図7】本発明の螺旋状に巻かれた濾過要素を生成する際に使用するように適合された膜材料の斜視図である。
【
図8】本発明の螺旋状に巻かれた濾過要素上に接着シールを生成する第1の方法を概略的に例示する。
【
図9】本発明の螺旋状に巻かれた濾過要素上に接着シールを生成する第2の方法を概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2~5を参照すると、螺旋状に巻かれた濾過要素1は、中心透過液収集管2を含む。中心透過液収集管2は、それを通って透過液が膜エンベロープ4(
図2)から入る、その長さに沿った複数の開口3(
図2)、及び透過液を排出するための一端又は両端における少なくとも1つの透過液出口24を有する。
【0011】
1つ又は複数の膜エンベロープ4及び1つ又は複数の供給液スペーサ手段11は、螺旋束23を形成するために、中心透過液収集管2を中心に巻かれる。中心透過液収集管を中心に巻かれた、膜エンベロープ及び供給液スペーサ手段を有する螺旋状に巻かれた濾過要素、並びにそれらの要素を作成するための方法は周知であり、いずれも本発明に有益である多くの他の参考文献のうち、例えば米国特許第4,792,401号明細書、同第5,275,726号明細書、同第8,142,657号明細書、同第8,661,648号明細書、及び国際公開第91/11249号に記載されている。従って螺旋状に巻かれた濾過要素の組立体は、ざっと記載されるに過ぎない。
【0012】
膜エンベロープ4の実施形態は、
図2に例示されている。膜エンベロープ4は、2つの膜シート5(2つの膜シート5は、正方形を含む実質的に長方形であってもよい)及び透過液スペーサ手段6を含む。2つの膜シート5は、一般的にその間に供給液スペーサ手段11を含む近位縁部10に沿って折り畳まれる、単一のより大きいシートから形成されてもよい。一部の実施形態では、キランソウの葉の図案などの複数の膜シートは、遠位縁部9に沿って単一のより大きいシートも折り畳むことによって形成される。
【0013】
膜シートは、ナノ濾過、逆浸透若しくは限外濾過膜材料などの膜材料のシートであり、又は膜材料のシートを含み、膜シートは、識別層及び支持層を有する非対称又は対称の膜材料であってもよい。識別膜材料の例は、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、フッ化ポリビニルデン及び同種のものを含むが、識別層は、好ましくは界面重合を通して形成されたポリアミド薄膜である。非対称の膜内の支持層は、米国特許第4,214,994号明細書、同第4,795,559号明細書、同第5,435,957号明細書、同第6,156,680号明細書、同第7,048,855号明細書及び同第8,591,684号明細書に記載されているような、例えば不織布、繊維ウェブ、又は織布を含んでもよい。最も好ましくは、膜は、米国特許第4,277,344号明細書に記載されたような、不織布ウェブによってそれ自体が支持される多孔限外濾過支持層の上に薄膜層を含む合成物である。
【0014】
透過液スペーサ手段6は、膜シート5を通過する透過液が膜エンベロープ4に入り、透過液チャネル内で中心透過液収集管2まで流れるように、膜エンベロープ4の2つの膜シート5の間に透過液チャネルを生成する。膜エンベロープ4の開いた近位端は、膜エンベロープ4の透過液チャネル内の透過液が、複数の開口3の中に流入することができるように、中心透過液収集管2の長さに沿ってそれらの開口の1つ又は複数と流体連通する。透過液スペーサ手段6は、流れチャネルを形成するメッシュ、ニット又は織布などの2つの膜シート5のそれぞれから分離した材料のシートであってもよく、ある一般的な形はトリコットニットである。他の実施形態では、膜シートの間の透過液チャネルは、押出成形、エンボス加工、又は別法により膜の間を流れるために複数の連続した経路を提供するように構築された構造によって形成されてもよい。透過液スペーサ材料の例は、ポリエチレン、ポリエステル及び/又はポリプロピレンを含む。
【0015】
別法として又は追加として、透過液スペーサ手段6は、例えば透過液チャネルの中に延在する隆起面積の形で、膜シート5の一方又は両方に一体化されてもよい。そのような隆起面積は、例えば隆起ディンプル、隆起リッジ及び同種のものであってもよく、若しくは隆起ディンプル、隆起リッジ及び同種のものを含んでもよく、これらはあらゆるパターンを形成してもよく、並びに/又は透過液チャネルを形成するために2つの膜シート5を分離するように、それぞれの場合に無作為に配置されてもよい。
【0016】
膜エンベロープ4は、第1の縁部7、第2の縁部8、及び遠位縁部9上で封止される。第1の縁部7は、好ましくは第1の縁部7に平行に走り、そこから内方に延在する接着ストリップ70(
図6a及び6b)を形成する接着剤で封止される。好ましくは、接着ストリップ70の幅は、以下により完全に記載されるように、第1のスクロール面20の同心円の軸方向に移動された領域(
図3~5の領域30、31及び301など)を生成するために、膜エンベロープ4を接着ストリップ70内でトリミングできるように十分に大きい。第2の縁部8及び遠位縁部9は、対応する縁部に平行に、対応する縁部から内方に延在する接着ストリップ(
図6a及び6bの接着ストリップ72など)を形成するために接着剤を使用して、同じ手法で封止されることが可能である。別法として、第2の縁部8及び/又は遠位縁部9のいずれかは、膜エンベロープ4の2つの膜シート5を形成するために折り畳まれた、より大きい膜シートの折り畳まれた側面であることが可能であり、折れ目はそのような場合にシールを生成する。
【0017】
図2に示されたように、供給液スペーサ手段11は、螺旋束23内の膜エンベロープ4の隣接した外部表面の間に供給液チャネルを生成する。各供給液チャネルは、それを通って供給液が膜エンベロープ4の間を流れ、膜エンベロープ4と接触して流れ、供給液の一部が膜エンベロープ4の中に透過することに起因して濃縮され、(濃縮液として)濃縮液出口に導かれる導管である。供給液スペーサ手段11は、例えば米国特許第6,881,336号明細書に記載されたような、押出型対角ネットなどの別個のシートであってもよい。別法として又は追加として、供給液スペーサ手段11は、供給液チャネルの中に延在した隆起面積の形で膜シート5の一方又は両方に一体化されてもよい。
【0018】
1つ又は複数の膜エンベロープ4の近位端10は、典型的には糊付けにより、中心透過液収集管2に付着されるが、機械的締付方法を使用することができる。供給液スペーサ手段11は、膜エンベロープ4から分離する時、膜エンベロープ4で挟まれ、膜エンベロープ4及び供給液スペーサ手段11は、螺旋束23を形成するために中心透過液収集管2を中心に巻かれる。
【0019】
螺旋束23は、外部長手方向表面22、第1のスクロール面20及び第1のスクロール面20と反対の螺旋束の反対の端部上の第2のスクロール面21を有する。巻いた後に、第1のスクロール面20は、膜エンベロープ4の第1の縁部7に対応し、第2のスクロール面21は、膜エンベロープ4の第2の縁部8に対応する。符号「第1」及び「第2」は、膜エンベロープのスクロール面と特定の縁部を識別するために、本明細書では恣意的に使用され、これらの識別により、これらの間で時間的関係又は優先順位を意図することはない。
【0020】
第1のスクロール面20は、同心円の軸方向に移動された領域(
図2~5の領域30、31及び301など)を含む。「軸方向に移動された」とは、少なくとも2つの隣接した同心円領域が軸方向にずれており、すなわち透過液管に平行な軸に沿って異なる位置又は異なる高さに置かれることを意味する。少なくとも1つの内部領域30及び少なくとも1つの外部領域31が存在する。「内部」は半径方向内方を指し、「外部」は半径方向外方を指す。内部領域30などの内部領域は、
図3及び6に示されたように、外部領域31などの外部領域に対して軸方向外方に延在してもよい。逆に、(
図2~5の外部領域31などの外部領域は、
図4に示されたように、内部領域30などの隣接した内部領域に対して軸方向外方に延在してもよい。隣接した同心円の軸方向に移動された領域の間の平均の軸方向のずれは、例えば少なくとも1mm~2cmであってもよい。より好ましくは、平均の軸方向のずれは、2mmより長く、又は更に2.5mmより長く、又は更に5mmより長くてもよい。平均の軸方向のずれは、例えば2.5cmまで、又は1cmまでであってもよい。各同心円の軸方向に移動された領域は、例えば入口スクロール面20のスクロール面の全面積の5%を超えて構成してもよい。
【0021】
第1のスクロール面20の隣接した同心円の軸方向に移動された領域の間の軸方向の移動により、それらの隣接した軸方向に移動された領域の間の境界に壁(
図3~6の参照番号97)を生成する。壁97は、より軸方向外方に延在する領域の露出した側面であり、隣接領域から軸方向外方に延在する第1のスクロール面の表面領域を描写する。壁97は、軸方向のずれと等しい高さを有してもよい。リッジすなわち壁97は、好ましくは第1のスクロール面20の隣接した同心円の軸方向に移動された領域(領域30、31など)に垂直であるが、それに対して別の角度であってもよい。好ましくは、壁は、垂線から45度以下、より好ましくは15度である。
【0022】
第1のスクロール面20内に丁度2つの同心円の軸方向に移動された領域を提供することが好ましいが、所望であれば、より多く提供されてもよい。
図5は、3つのそのような同心円の軸方向に移動された領域30、31及び301を有する、例示的実施形態を例示する。
【0023】
第1のスクロール面20の軸方向に移動された領域は、いくつかの方法で生成することができる。好ましい工程では、同心円の軸方向に移動された領域(
図2~5の領域30、31及び301など)は、切断又はトリミング操作を介して生成され、螺旋束23は、第1の端部を有して形成され、第1のスクロール面20は、同心円の軸方向に移動された領域を生成するために、第1の端部を切断又はトリミングすることによって生成される。
【0024】
図6aを参照すると、線55及び55’は、巻いた後でそのような切断又はトリミング操作の前の、螺旋束23(及び修正していない開始スクロール面)の長手方向の広がりを表す。線56及び56’は、巻いた後でそのような切断又はトリミング操作の前の、接着ストリップ70及び72のそれぞれの長手方向の広がりを表す。((ハッシュマーク及び点を付けた)両方の網掛領域は、初めに接着ストリップの領域に対応するが、ハッシュマークの領域のみが、切断操作の後に残る。)
図6a及び6bに示された実施形態では、切断又はトリミング操作は、内部領域30及び外部領域31の両方で実行される。切断又はトリミング操作は、単一ステップ又は複数のステップで行われてもよい。切断又はトリミング操作を実行する時、除去された材料は、典型的には各膜シート5、供給液スペーサ手段11、透過液スペーサ手段6の一部、及び典型的には接着ストリップ70の一部を含む一方で、接着ストリップ70の少なくとも一部はそのまま残る。スクロール面20は、内部及び外部領域30及び31並びに壁97で形成される。
【0025】
一実施形態では、内部領域30及び外部領域31は、螺旋束23の第1の端部の第1の部分を半径方向内方場所から除去することによって形成される一方で、前記第1の部分の接着ストリップの一部をそのまま残し、第2の部分を螺旋束の第1の端部の半径方向外方部から除去する。これは1つ又は複数のステップで実行することができる。内部領域30及び外部領域31のそれぞれの上に均一な平面を生成することが好ましいことが多いが、必要ではない。そのような平面は、好ましくは中心透過液収集管2の軸に垂直である。そのような方法は、3つ以上の同心円の軸方向に移動された領域を生成するように広げられてもよい。
【0026】
別の実施形態では、第1の除去ステップが実行され、接着シールが、次いで第1のスクロール面の全て又は一部に塗布される。第2の除去ステップでは、接着シールの一部は(膜シート、供給液スペーサ手段、透過液スペーサ手段及び接着ストリップのそれぞれの一部と一緒に)、供給液を通すのに適した、封止されていないスクロール面の半径方向内方及び軸方向内方の領域を形成するために、透過液管に隣接して除去される。
図4の例示と対照的に、この内部領域30は、傾斜した切断により切断面に形成されるデブリを少なくすることができ、そうでないと流れを制限する可能性があるので、(平坦で透過液管軸に垂直であるのと反対に)概ね傾いた面を有することが好ましいことがある。また半径方向内方の同心円領域30が軸方向内方で透過液管に隣接する時も、より大きい幅の接着ストリップ70を透過液管の付近に有することが好都合である可能性がある。好ましい実施形態では、第1及び第2の縁部(7、8)付近の対向する接着ストリップ(70、72)の間の開いた透過液チャネルの平均距離は、好ましくは透過液スペーサの他の領域にわたるより、透過液管の5cm以内で少なくとも1cm短い。
図6bは、透過液管に隣接した傾斜切断面が、接着ストリップ70を裂くことなく、開いた供給液チャネルの生成を促進するために、第1の縁部7から内方に増加して広がる接着ストリップ70とどのように組み合わせることができるかを例示する。
【0027】
そのような切断又はトリミングステップは、膜エンベロープ4の第1の面縁部7上のシールを裂くことなく実行される。膜エンベロープ4の第1の面縁部7が、接着ストリップ70で封止される好ましい実施形態では、切断又はトリミングは、
図5に示されたように、接着ストリップ70によって生成されたシールがそのままであるように、接着ストリップ70内又は接着ストリップ70の外側で実行される。
【0028】
切断又はトリミングは、例えばナイフ、回転刃、製粉機、又は他の有益な方法を使用して実行することができる。好ましい実施形態では、切断又はトリミングは、切削工具など)切断工具に対して要素を回転している間に、少なくとも部分的に実行されてもよい。
【0029】
入口スクロール面20の同心円の軸方向に移動された領域を生成する代替方法は、膜エンベロープ4が螺旋束を形成するために巻かれる時に、同心円の軸方向に移動された領域を生成するような手法で、膜エンベロープ4及び/又は膜シート5を製作することである。
図7を参照すると、膜80は、2つの膜シート5を形成するために線81に沿って折り畳むように適合され、折目81は、膜80が膜エンベロープに組み立てられる時に、膜エンベロープ4の封止された遠位縁部9を形成する。膜エンベロープに組み立てると、縁部8’及び縁部10’は、膜エンベロープの出口縁部8及び近位縁部10のそれぞれを生成する。縁部7A及び7Bは互いから移動され、折り畳むと膜エンベロープの第1の縁部7を生成する。螺旋束を形成するために巻くと、縁部7A及び7Bは、スクロール面20の軸方向に移動された同心円内部及び外部領域(30、31)を生成する。
【0030】
別法として、2つの別個の膜シートは、移動された第1の縁部7A及び7Bを生成するために、
図7に示された手法と類似した手法で別個に製作され、次いで膜エンベロープを生成するように(透過液スペーサ手段と一緒に)形成されることが可能である。そのような手法で膜又は膜シートを製作する代わりに、膜シートは、まず膜エンベロープに形成され、膜エンベロープの第1の縁部が、
図7の第1の縁部7A及び7Bに類似した縁部を生成するために、切断又はトリミングされることが可能である。巻くと、スクロール面20の軸方向に移動された同心円内部及び外部領域(30、31)が生成される。
【0031】
第1のスクロール面20の同心円の軸方向に移動された領域の全てではないが少なくとも1つは、第1のスクロール面20の1つ又は複数の領域を通って供給液チャネルに入出する流路を局所的に閉じるために封止される。外部領域31などの外部領域を封止し、領域30及び/又は301などのより半径方向内部の1つ若しくは複数の領域を封止しないまま残すことが概して好ましい。シーラントの好ましい型は、第1のスクロール面20の対応する領域上に接着シール60を形成するために、液体若しくは乳状として塗布され、乾燥及び/又は硬化される接着シーラントである。
【0032】
接着シール60は、供給液が第1のスクロール面20の封止領域を通る螺旋束23に入る又は出るのを防ぐように適合され、それによって封止されていない領域のみに流体が流れるように限定する。シーラントは、弾性型であってもよい。有益な接着シーラントの例は、様々な型の熱溶融接着剤、並びに例えば様々な1液若しくは2液の樹脂又はウレタン、遊離基重合性接着剤、シアノアクリル酸接着剤、及び同種のものなどの、少なくとも1つの反応性単量体を有する重合性接着剤を含む。一部の実施形態では、シールは、シール層がスクロール面と裏打ち層との間に挟まれるように、透過性又は非透過性裏打ち層に接着されてもよい。
【0033】
第1のスクロール面20の同心円の軸方向に移動された領域が、切断又はトリミングによって生成される実施形態では、接着シール60は、
図8に概略的に示されたように、切断又はトリミングステップの後に塗布されてもよい。
図8に示されたように、トリミングされていない螺旋束23’は、ステップ(a)で中心透過液収集管2の周りに形成される。トリミングされていない螺旋束23’の第1の端部20’は、同心円の軸方向に移動された領域30及び31を有する螺旋束23の第1の端部20を生成するために、1つ又は複数のステップ(b)でトリミングされる。示されたように、内部領域30は、領域31から軸方向外方に延在する。ステップ(c)では、接着シール60は、次いで第1のスクロール面20(c)の同心円の軸方向に移動された領域の1つのみに塗布される。示されたように、接着シール60は、外部領域31に塗布されるが、そのような領域の少なくとも1つが封止されないままであれば、任意の1つ又は複数の同心円の軸方向に移動された領域に塗布されてもよい。
【0034】
本発明の利点は、第1のスクロール面20の隣接した同心円領域の軸方向のずれに起因して、意図した領域のみに接着シールを塗布することが簡略化され、隣接した同心円の軸方向に移動された領域の間の境界における壁(壁97など)の付近でより容易に制御されることである。本発明は、具体的にはロボット又は別法により接着シールの自動化された塗布に非常に適する。
【0035】
別の好ましい実施形態では、接着シールは、好ましくはスクロール面の表面を平坦にする第1の切断又はトリミング操作の後に、螺旋束23の第1の端部全体に塗布されてもよい。この実施形態では、接着シールの一部のみが、切断又はトリミング操作中に除去され、第1のスクロール面20の残りの部分(軸方向にあまり移動されていない)の上に接着シール60を残す。この実施形態では、切断又はトリミング操作が、好ましくは複数の切断をすることで実行され、接着シール60は、第1の切断の後で第2又は最終切断の前に実行される。そのような工程は、
図9に概略的に例示されている。
図9に示されたように、トリミングされていない螺旋束23’は、ステップ(a)で中心透過液収集管2を中心に形成される。ステップ(b)では、接着シール60は、螺旋束の第1の端部20’全体に塗布される。螺旋束23’の第1の端部20’は、次いで同心円の軸方向に移動された領域30及び31を有する螺旋束23の第1の端部20を生成するために、1つ又は複数のステップ(b)でトリミングされ、その一方(30)は接着シール60で封止されたままである。接着シールは、トリミング中に領域31から除去され、領域30のみが封止されたまま残る。示されたように、内部領域30は、領域31から軸方向外方に延在し、接着シールを留める。
【0036】
別法として、封止されるべき第1のスクロール面20のあらゆる同心円の軸方向に移動された領域は、適切なガスケット又は適切な領域を封止するように篏合された他の機械装置の使用などを通して、機械的に封止することができる。そのようなガスケットは、エンドキャップ又は他の機械手段を介して適位置に保持され得る。
【0037】
一部の実施形態では、第2のスクロール面21も、第1のスクロール面20に関して記載されたように、半径方向内部領域及び少なくとも1つの半径方向外部領域を含む、少なくとも2つの同心円の軸方向に移動された領域を含む。そのような場合、そのような領域の少なくとも1つは、上記のように封止されてもよく、そのような領域の少なくとも1つは、封止されなくてもよい。他の実施形態では、第2のスクロール面21は、平坦表面を有する。
【0038】
供給流体は、本発明の螺旋状に巻かれた膜要素を使用して濾過される。第1のスクロール面20の封止されていない領域は、流れが要素を通ってどのように方向付けられるかに依存して、供給入口ポート(
図1a、1b及び1Cに示されたように)又は同心円出口ポートのいずれかとして機能する。螺旋状に巻かれた濾過要素1は、第2のスクロール面21上(
図1bに示されたように)、螺旋束23の外部長手方向表面22上(
図1Cに示されたように)、又は両方に開口を更に含む。第2のスクロール面21及び外部長手方向表面22上の開口は、やはり流れが要素を通ってどのように方向付けられるかに依存して、同心円出口又は供給流体入口のいずれかとして機能する。流れの方向は、濾過システム内の螺旋状に巻かれた膜要素の配向によって、及び入口スクロール面20の封止領域の場所によって決定される。
【0039】
一部の実施形態では、供給流体は、掛けられた圧力を受けて第1のスクロール面20の封止されていない領域と接触され、そこでは供給流体は、供給液スペーサ手段11によって形成された供給液チャネルを介して螺旋束23に入る。供給液は、次いで螺旋束23内に螺旋束23を通って進み、供給液の一部は、透過液を形成するために膜エンベロープ4の中に透過され、残り(濃縮液)は濃縮液出口を通って螺旋束23から流出し、濃縮液出口は、第2のスクロール面21内、外部長手方向表面22内、又は両方にあってもよい。そのような実施形態では、供給流体は、最も好ましくは第1のスクロール面20の封止されていない内部領域(
図2~4の領域30など)で供給液チャネルに入り、
図1b及び1cにおける矢印151によって示されたような(矢印151は、流れの実際の方向を見積もるだけの理想化された流路を表すことを理解されたい)半径方向外方の螺旋方向に流れる。濃縮液出口は、(a)第2のスクロール面21(
図1b)の全て若しくは一部、(b)螺旋束23の外部長手方向表面22(
図1c)、膜エンベロープ4の遠位端及び供給液スペーサ手段11、又は(c)両方であってもよい。濃縮液出口が、螺旋束23の外部長手方向表面22に沿っている実施形態では、第2のスクロール面21は、好ましくは濃縮液が第2のスクロール面21を通って螺旋束23から出るのを防ぐために全体的に封止される。濃縮液出口が出口スクロール面21の一部である実施形態では、出口スクロール面21の内部又は外部は、入口スクロール面20に関して記載されたように封止されてもよい。出口スクロール面21の一部が封止される実施形態では、出口スクロール面は、入口スクロール面20の同心円の軸方向に移動された領域(30、31、301、その他)に類似した同心円の軸方向に移動された領域を含んでもよい。
【0040】
他の実施形態では、第1のスクロール面20の封止されていない領域は、濃縮液出口として機能する。そのような実施形態では、外部長手方向表面22上、膜エンベロープ4の遠位端及び供給液スペーサ手段11に1つ又は複数の開口が好ましくは提供され、その開口は供給流体入口として機能する。そのような実施形態では、第1のスクロール面20の封止されていない領域が提供され、その場合、供給流体は、
図1b及び1cにおいて矢印151によって示された方向と反対の半径方向内方の螺旋方向に流れる。
【0041】
螺旋状に巻かれた濾過要素1は、様々な追加及び任意の特徴を含んでもよい。エンドキャップは、要素の入口及び出口端部のいずれか又は両方に提供されてもよい。螺旋束は、長手方向ケーシング内に含有されてもよい。そのようなエンドキャップ及びケーシングは、存在する時に、例えば流体(供給液、透過液及び濃縮液)を要素に導き、要素から除去するための1つ若しくは複数のポートを含み、螺旋束の特定の面積に流れ、特定の面積から流れるために方向付けるように適合され、伸縮を防ぎ若しくは低減するように適合され、機械的保護を螺旋束に提供するように適合され、並びに/又は濾過システムの他の構成要素と接合するように適合されてもよい。
【国際調査報告】