(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】シリコン粒子を使用する光起電力装置に向けた方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0352 20060101AFI20240905BHJP
H01L 31/0747 20120101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L31/04 340
H01L31/06 455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514610
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 US2022043245
(87)【国際公開番号】W WO2023039257
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524084182
【氏名又は名称】リープ フォトヴォルテイクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニードルマン,デイビット バーニー
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】フェーレンバッハ,ナタナエル
(72)【発明者】
【氏名】メイ,ジミー
(72)【発明者】
【氏名】レパート,アルノー
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA03
5F251AA05
5F251AA16
5F251CB13
5F251CB18
5F251CB20
5F251CB24
5F251DA01
5F251DA03
5F251DA07
5F251FA02
5F251FA06
5F251FA10
5F251GA02
5F251GA05
5F251GA06
(57)【要約】
光起電力装置および光起電力装置を製造する方法。本方法は、複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布することを含む。本方法はまた、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子を基板層に埋め込むことを含む。本方法は、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置されたコーティング層の一部分を除去することをさらに含む。本方法はまた、基板層の表面上に絶縁体層を置くことを含む。本方法は、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分上に選択的キャリア輸送層を置くことをさらに含む。
【選択図】
図13A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布することと、
前記複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、前記複数のシリコン粒子を前記基板層に埋め込むことと、
前記複数のシリコン粒子それぞれの前記露出部分の周囲に配置された前記コーティング層の一部分を除去することと、
前記基板層の前記表面に絶縁体層を置くことと、
前記複数のシリコン粒子それぞれの前記露出部分に選択的キャリア輸送層を置くことと、
を含む、光起電力装置を製造する方法。
【請求項2】
前記コーティング層が、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり、前記選択的キャリア輸送層が、前記正電荷キャリアに対して高導電性、かつ前記負電荷キャリアに対して高抵抗性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コーティング層がアモルファスシリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング層が酸化物層およびポリシリコン層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のシリコン粒子それぞれの長軸が100マイクロメートル未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
横方向電荷輸送を行う透明導電体層を前記選択的キャリア輸送層上に配置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のシリコン粒子それぞれの前記露出部分の周囲に配置された前記コーティング層の部分をエッチングによって除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
表面を含む基板層と、
前記基板層に埋め込まれた複数のシリコン粒子であって、前記複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が前記基板層の前記表面から遠くに延在するようにさせた、複数のシリコン粒子と、
前記複数のシリコン粒子それぞれと前記基板層との間に配置されたコーティング層と、
前記基板層の前記表面上に配置された絶縁体層と、
前記複数のシリコン粒子それぞれの前記露出部分に配置された選択的キャリア輸送層と、
を含む、光起電力装置。
【請求項9】
前記コーティング層が、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり、前記選択的キャリア輸送層が、前記正電荷キャリアに対して高導電性、かつ前記負電荷キャリアに対して高抵抗性である、請求項8に記載の光起電力装置。
【請求項10】
前記コーティング層がアモルファスシリコンを含む、請求項8に記載の光起電力装置。
【請求項11】
前記コーティング層が酸化物層およびポリシリコン層を含む、請求項8に記載の光起電力装置。
【請求項12】
前記複数のシリコン粒子それぞれの長軸が100マイクロメートル未満である、請求項8に記載の光起電力装置。
【請求項13】
横方向電荷輸送を行うために前記選択的キャリア輸送層上に配置された透明導電体層をさらに含む、請求項8に記載の光起電力装置。
【請求項14】
前記複数のシリコン粒子それぞれの前記露出部分の周囲に配置された前記コーティング層の部分をエッチングによって除去する、請求項8に記載の光起電力装置。
【請求項15】
前記コーティング層が、n型ドーパントでドープされ、前記コーティング層が、前記複数のシリコン粒子それぞれを取り巻き、前記シリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置された前記コーティング層の部分が、p型ドーパントでドープされる、請求項8に記載の光起電力装置。
【請求項16】
複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布することと、
前記複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、前記複数のシリコン粒子を前記基板層に埋め込むことと、
前記基板層の前記表面上、および前記複数のシリコン粒子それぞれの前記露出部分上に絶縁体層を置くことと、
前記複数のシリコン粒子それぞれの前記露出部分の周囲に配置された前記コーティング層の一部分の周囲に配置された前記絶縁体層の一部分を除去することと、
前記コーティング層の第1の部分をカウンタードープして、前記コーティング層の第2の部分とは反対の極性とすることによって、選択的キャリア輸送層を生成することであって、前記コーティング層の前記第1の部分が、前記複数のシリコン粒子それぞれの前記露出部分の周囲に配置され、前記コーティング層の前記第2の部分が、前記基板層に埋め込まれていることと、
を含む、光起電力装置を製造する方法。
【請求項17】
前記コーティング層の前記第1の部分が、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり、前記コーティング層の前記第2の部分が、前記正電荷キャリアに対して高導電性、かつ前記負電荷キャリアに対して高抵抗性である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コーティング層がアモルファスシリコンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記コーティング層が酸化物層およびポリシリコン層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のシリコン粒子それぞれの長軸が100マイクロメートル未満である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、「シリコン粒子を使用する光起電力装置に向けた方法およびシステム(Methods and Systems for Photovoltaic Devices using Silicon Particles)」と題して、2022年9月12日に出願された米国出願第17/931,462号明細書の利益への優先権を主張するものであり、これは、「シリコン粒子を使用する光起電力装置に向けた方法およびシステム(Methods and system for photovoltaic devices using silicon particles)」と題して、2021年9月10日に仮出願された米国仮出願第63/242,960号明細書への優先権を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
光起電力技術は、シリコンのような半導体材料を使用して光を電力に直接変換することである。シリコンのような半導体材料を含有する太陽電池は、太陽光にこれらの材料を露出させる場合に電圧と電流を発生させる光起電力効果を使用している。次いで光起電力吸収体材料が、結果として生じる電荷キャリアを電気的コンタクトに輸送する。
【0003】
吸収体材料は典型的には、バルク材料からワイヤーソーを用いて切り出されたシリコン・ウェーハを使用して製造される。しかしソーイング工程の結果、材料が大きく失われ、またウェーハが硬質で脆弱であることから、非可撓性の基板、ガラス、および/または金属フレームを使用する必要がある。また、この製造工程は、ウェーハを製造するのに利用しなければならない様々な装置のせいで、高価であり、多大なエネルギー入力を必要とする。さらに、シリコン光起電力モジュールの従来の使用には、ウェーハの決められたフォームファクタ、剛性、および脆弱さのせいで、考えられる用途に制限がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載の実施態様は、光起電力装置に関連する方法およびシステムに関する。具体的には、高効率光起電力変換装置が、シリコン粒子とも称される小さいシリコン粒子を基板上に堆積させたものを使用して提供される。シリコン・ウェーハではなく小さいシリコン粒子を使用することにより、シリコン光起電力モジュールを魅力的なものとする(高効率、無害で、信頼性が高く、確実に利益がでるという)根本的特徴を失うことなく、光起電力吸収体を製造する装置、エネルギー、コストを劇的に削減することができる。さらに、いくつかの実施態様では、ウェーハではなく粒子を使用することによって、ガラスまたは金属のフレームを使用しない可撓性基板とラミネート体の使用が可能になる。この組み合わせにより、軽量で可撓性のモジュールが製造され、このモジュールにより、地上設置型アレイや屋根型アレイのような従来の用途では輸送や設置がさらに速やかにまた安価になるだけでなく、モバイルシステムおよび建物一体型システムを含む新たな用途も可能になる。本開示に記載される実施態様によれば、さらに小さいシリコン粒子(例えば、100マイクロメートル未満のサイズ)を使用すること、これらの粒子の表面を不動態化すること、さらに高い電子キャリア選択性およびさらに低いコンタクト抵抗を有するコンタクトを作ること、薄膜反射防止コーティングを追加すること、これらの組み合わせ、および同類のものによって、従来設計よりも低コストで高効率の、シリコン粒子吸収体を有する光起電力装置が可能になる。
【0005】
小さいシリコン粒子、例えば、100マイクロメートル未満の直径を含む寸法を特徴とする粒子を使用することによって、使用する材料をさらに少なくすることができて、シリコン製造にかかるコストとエネルギーが削減される。また、小さい粒子サイズによって、少数キャリアの拡散長と少数キャリアの再結合寿命とをさらに短くして同じ電力変換効率を達成することが可能になる。また、小さい粒子サイズによって、結晶粒を小さくすることが可能になる一方で、各粒子は単一の結晶(単結晶)の状態のままである。また小さい粒子サイズによって、装置のキャリア濃度(およびそれによる動作電圧)も上昇する。
【0006】
本開示は、光起電力装置を作製する方法を提供する。本方法は、複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布することを含む。本方法はまた、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子を基板層に埋め込むことを含む。本方法は、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置されたコーティング層の一部分を除去することをさらに含む。本方法はまた、基板層の表面上に絶縁体層を置くことを含む。本方法は、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分上に選択的キャリア輸送層を置くことをさらに含む。
【0007】
本開示はまた、基板層、複数のシリコン粒子、コーティング層、絶縁体層、および選択的キャリア輸送層を一実施態様において含む光起電力装置を提供する。基板層は表面を含む。複数のシリコン粒子は、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、基板層に埋め込まれる。コーティング層は、複数のシリコン粒子それぞれと基板層との間に配置される。絶縁体層は、基板層の表面上に配置される。選択的キャリア輸送層は、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分上に配置される。
【0008】
本開示はさらに、光起電力装置を作製する方法を提供する。本方法は、複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布することを含む。本方法はまた、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子を基板層に埋め込むことを含む。本方法はさらに、基板層の表面上と、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分上とに絶縁体層を置くことを含む。本方法はまた、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置されたコーティング層の一部分の周囲に配置された絶縁体層の一部分を除去することを含む。本方法はさらに、コーティング層の第1の部分にカウンタードープして、コーティング層の第2の部分とは反対の極性となるようにすることによって、選択的キャリア輸送層を生成することを含む。コーティング層の第1の部分は、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置される。コーティング層の第2の部分は、基板層に埋め込まれる。
【0009】
その他の技術的特徴は、以下の図、記載、および特許請求の範囲から、当業者には容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示およびその利点をより完全に理解するために、これ以降、添付の図面と併せて以下の記載に言及する。図面の様々な特徴は、一般的な慣行に従って必ずしも同一縮尺ではないことを強調しておく。反対に、様々な特徴の寸法は、明確化を目的として、任意に拡大または縮小され得て、典型的には拡大または縮小されている。
【0011】
【
図1A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図1B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図1C】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図1D】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図1E】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図1F】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図1G】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図1H】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図1I】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0012】
【
図2】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0013】
【
図3】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0014】
【
図4】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0015】
【
図5】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0016】
【
図6】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0017】
【
図7】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0018】
【
図8A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図8B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図8C】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図8D】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図8E】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図8F】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図8G】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図8H】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0019】
【
図9A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図9B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図9C】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図9D】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図9E】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図9F】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図9G】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図9H】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0020】
【
図10A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図10B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図10C】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図10D】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図10E】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図10F】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図10G】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図10H】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0021】
【
図11A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図11B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図11C】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図11D】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図11E】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図11F】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図11G】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0022】
【
図12A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図12B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図12C】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図12D】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図12E】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図12F】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図12G】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【
図12H】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示するフローチャート図である。
【0023】
【
図13A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、単層コーティングを含む光起電力装置の一例の断面図である。
【0024】
【
図13B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、透明導電体層を含む光起電力装置の一例の断面図である。
【0025】
【
図14】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、多層コーティングを含む光起電力装置の一例の断面図である。
【0026】
【
図15】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、部分的にエッチング除去されたコーティングを有するシリコン粒子を有する光起電力装置を作製する方法の一例のフロー図である。
【0027】
【
図16A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、コーティングされたシリコン粒子の断面図である。
【0028】
【
図16B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、基板層に埋め込まれた
図16Aのコーティングされたシリコン粒子の断面図である。
【0029】
【
図16C】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、コーティングの一部分がエッチング除去された後の
図16Bのコーティングされたシリコン粒子の断面図である。
【0030】
【
図16D】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、基板層上に絶縁体層が置かれた
図16Cのコーティングされたシリコン粒子の断面図である。
【0031】
【
図16E】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、絶縁体層上に選択的キャリア輸送層が置かれた
図16Eのコーティングされたシリコン粒子の断面図である。
【0032】
【
図17】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、部分的にドープされたコーティングを有するシリコン粒子を有する光起電力装置を作製する方法の一例のフロー図である。
【0033】
【
図18A】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、基板層に埋め込まれてコーティングされたシリコン粒子を覆うように置かれた絶縁体層の断面図である。
【0034】
【
図18B】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、絶縁体層の一部分が除去された後の
図18Aのコーティングされたシリコン粒子の断面図である。
【0035】
【
図18C】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、コーティングの一部分がカウンタードープされた後の
図18Bのコーティングされたシリコン粒子の断面図である。
【0036】
【
図19】本開示のいくつかの実施態様に準拠する、シリコン・ウェーハと複数のシリコン粒子との断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
表記および命名法
特定のシステム構成成分を参照するために、様々な用語が使用される。特定の構成成分が、商業上、またはそうでなければ異なる名称によって、参照され得る。さらに、特定の構成成分(または同一または類似の構成成分)が、商業上、またはそうでなければ異なる名称によって、参照され得る。これに矛盾しないことであるが、名称のみが異なり機能は同じである構成成分どうしを、本開示のいかなる部分も区別しないとみなされるものとする。以下の考察および特許請求の範囲では、「を含む(including)」および「を含む(comprising)」という用語は非限定的に使用され、よって「...を含むが、これらには限定されない」ことを意味すると解釈されるのが望ましい。また、「と結合している(couple)」または「と結合している(couples)」という用語は、間接的な接続または直接的な接続のいずれをも意味することが意図される。よって、第1の装置が第2の装置と結合しているならば、その接続は、直接的な接続を介することがあり得るし、他の装置や接続を介した間接的な接続を介することもあり得る。
【0038】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施態様を説明する目的のためでしかなく、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことを示しているのでない限り、複数形をも含むことが意図され得る。本明細書に記載される方法ステップ、工程、および操作は、実行の順序として具体的に特定されているのでない限り、考察または例示されている特定の順序で実行することを必然的に要求しているとは解釈されない。また、追加の、または代わりのステップが採用され得ることも理解されよう。
【0039】
第1、第2、第3などの用語が、様々な構成要素、構成成分、領域、層、および/または断面を説明するために本明細書において使用され得るが、これらの構成要素、構成成分、領域、層、および/または断面は、これらの用語によっては限定されないものとする。これらの用語は、1つの構成要素、構成成分、領域、層、または断面を、別の領域、層、または断面から区別するためにのみ使用され得る。「第1」、「第2」などの用語、および他の数的な用語は、本明細書で使用される場合には、文脈によって明確に示されているのでない限り、順列または順序を示唆しない。よって、以下で考察される第1の構成要素、構成成分、領域、層、または断面は、例示的な実施態様の教示から逸脱することなく、第2の構成要素、構成成分、領域、層、または断面と称され得る。「少なくとも1つの(at least one of)」という語句は、細目の列挙とともに使用される場合には、列挙された細目の1つまたは複数の異なる組み合わせが使用され得て、列挙の内の1つの細目のみが必要であり得ることを意味する。例えば、「A、B、Cの少なくとも1つ(at least one of: A, B, C)」は、A、B、C、AとB、AとC、BとC、そしてAとBとCという組み合わせのいずれかを含む。別の例では、「1つまたは複数(one or more)」という語句は、細目の列挙とともに使用される場合には、1つの細目、または1つを超えるいずれかの好適な数の細目が存在し得ることを意味する。
【0040】
「内部」、「外部」、「下方」、「下」、「より下」、「上方」、「上」、「より上」、「最上部」、「最下部」、「下って」、「内側」、「外側」、「の範囲内に収まる」、「上に重なる」、および同類のものなど空間に関して相対的な用語が、本明細書において使用され得る。これらの空間に関して相対的な用語は、図に例示される1つの構成要素または特徴の、別の構成要素(複数可)または特徴(複数可)に対する関係を説明するための記載を容易にするために使用することができる。空間に関して相対的なこの用語はまた、図示されている向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きをも包含することも意図され得る。例えば、図中の装置が上下逆さまである場合には、他の構成要素または特徴の「下」または「下方」として記載された構成要素は、他の構成要素または特徴の「上」に向くことになるであろう。したがって、例示の用語「下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。この装置は、これ以外の向き(90度回転した向き、または他の向き)であり得て、本明細書で使用される空間的に相対的な記載は、適宜解釈され得る。
【0041】
詳細な記載
以下の考察は、本開示の様々な実施態様を対象としている。これらの実施態様のうちの1つまたは複数が好ましい場合があるものの、開示された実施態様は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲を限定するものとして解釈されない、またはそうでなければ使用されないのが望ましい。加えて、当業者であれば、以下の記載が広範に当てはまることと、いかなる実施態様の考察も、その実施態様の例示であることのみを企図するものであって、特許請求の範囲を含む本開示の範囲をその実施態様に限定することを意図するものではないこととを理解するであろう。
【0042】
シリコン・ウェーハを使用して製造される従来のシリコン光電池モジュールの限界は、装置集約性のさらに低い、無駄のさらに少ない、そしてさらに安価な製造工程が必要性であることを実証するものである。また、剛性の太陽電池モジュールが適用できないであろう用途において太陽電池を利用できることも望ましい。
【0043】
本開示では、表面を電気的に不動態化することを目的として、粒子とも称されるシリコン粒子上に材料(例えば、SiO2、Al2O3、SiNx、TiO2、アモルファスシリコン、ポリシリコンなど)の堆積を(粒子が基板上に堆積される前または後のいずれかで)可能にする実施態様を記載する。いくつかの実施態様では、不動態化によって、シリコン粒子の表面またはシリコン粒子と他の材料との間の界面での電子キャリア再結合が低減する。この低減は、電子のとり得る中間ギャップ電子状態の数を低減させることによって、例えば、表面でのシリコン原子を酸素や水素のような他の元素と結合させることによって、またはシリコン-シリコン結合の結合ひずみを低減させることによって、化学的に生じ得る。また、不動態化層中の固定電荷による電界効果に起因しても、低減が生じ得る。また、表面または界面の近傍の一方のキャリア型の移動度を変化させることによっても(例えば、この表面または界面の直下の領域にドーパントを拡散させることによっても)、低減が生じ得る。また、これらの効果の組み合わせによっても、低減が生じ得る。
【0044】
本開示の実施態様は、可撓性である(すなわち、光から電気への変換効率を低下させることなく反復して、屈曲させられることになるまたは屈曲した位置で動作させられることになる)、固体電極とシリコン粒子吸収体とを有する光起電力装置を提供し得る。
【0045】
本開示のいくつかの実施態様によれば、本明細書で使用される小さいシリコン粒子の体積に対する表面積の比は、シリコン・ウェーハと比較して非常に高い。この比を増大させることで、吸収体のバルクにおける再結合に対して表面での再結合の影響が強調され、これは、非常に薄いウェーハ上に作製された太陽電池で示されているとおりである。
【0046】
別の実施態様によれば、一方の型の電子キャリアを引き出しもう一方の型のキャリアを遮断するためのp-n接合または電子選択層または正孔選択層を形成するために、シリコン粒子を基板上に堆積させる前に粒子の表面上に半導体の堆積を実行する。半導体層を堆積させる結果として、例えばドーパントの内方拡散とは対照的に、いくつかの実施態様の場合にはさらに高い効率が得られる。粒子を基板上に堆積させる前にこの層を堆積させることで、堆積前に粒子表面を洗浄またはそうでなければ準備し、基板に関連する温度制限(例えば、577℃でのSi-Al共晶の形成)を取り除くことを含め、加工技術の範囲を拡大することが可能になる。
【0047】
いくつかの実施態様では、一方の型の電子キャリアを引き出しもう一方の型の電子キャリアを遮断するためのp-n接合または電子選択層または正孔選択層を形成するために、50ナノメートル未満の厚さの半導体を堆積させる。この層は、粒子を基板上に堆積させる前または後に粒子上に堆積させ得る。本明細書に記載される薄層は、従来の技術よりも高速に堆積させることができ、さらに均一でコンフォーマルなカバレッジを作り出す原子層堆積法のような技術を使用することが可能になる。また、さらに薄い層により、高いキャリア選択性と低いコンタクト抵抗をさらに良好に最適化することができる。
【0048】
別の実施態様によれば、シリコン粒子と電極(例えば、金属電極)との間にオーミックコンタクトを形成するために、シリコン粒子と電極との間に中間層を挿入する。中間層は、例えば、LiFまたはMgFを含むことができ、例えば、n型Siとアルミニウム(Al)電極との間に挿入することができる。この実施態様では、中間層の挿入により、Si-Al界面でのフェルミレベルのピン止めを回避することができる。また、中間層の挿入により、一方のキャリア型(電子または正孔のいずれか)のコンタクトへの輸送を防止することによって、コンタクトのところでの電子キャリア再結合を低減させることができる。中間層は、基板を電極として使用するという、または基板上へのシリコン粒子の堆積前に基板上に電極を堆積させるというアーキテクチャにおいて形成することができる。また、中間層は、基板が透明であるか、または装置が完成して粒子の最上部に電極が堆積される前に基盤が除去されるかのいずれかであるアーキテクチャにおいても形成することができる。
【0049】
中間層は、シリコン粒子を基板上に堆積させる前にシリコン粒子上に堆積させることができるし、中間層は、シリコン粒子を堆積させる前に基板もしくは電極上に堆積させ得る。シリコン粒子を異なる基板上に堆積させ、次いでそれらを覆うようにして電極を堆積させるまたは置く場合には、中間層は、電極の前にシリコン粒子上に堆積させ得る。加えて、これらの手法の他の組み合わせも使用され得る。直接コンタクトの設計とは対照的に、シリコン粒子と電極の間に中間層、例えばラミネート構造で提供される1つまたは複数の中間層を使用することで、コンタクト抵抗とコンタクトでの再結合とを低減させることができる。
【0050】
さらに、中間層を使用することで、コンタクトへの多数キャリア輸送が防止される(すなわち、中間層は、シリコン粒子がp型導電性を有する場合にはコンタクトへの正孔の到達を防止し、シリコン粒子がn型導電性を有する場合にはコンタクトへの電子の到達を防止する)。本開示の実施態様を用いると、少数キャリアを電極のところで引き出すことができ、それによって、キャリア選択性、コンタクト抵抗、光学特性、および他の層との加工適応性について各コンタクトの独立した最適化とともに、シリコン粒子の導電型についてさらなる柔軟性が可能になる。
【0051】
別の実施態様では、装置構造は、アルミニウムまたはアルミニウム含有ペーストを電極の1つ(および随意に基板)として利用しており、シリコン粒子をアルミニウムと接触させた後に熱処理工程が実行される。熱処理工程により、シリコン粒子内のバックグラウンドのドーピング濃度よりも高いAl(Si中でp型ドーパントとして働く)濃度を有するシリコン粒子内領域を作り出すことができる。電子と正孔についての移動度差だけでなく高-低接合または裏面電界(「Back Surface Field(BSF)」)の生成を通じて、この領域は、Al電極への電子の輸送を防止する一方で、正孔の輸送を可能にして、低いコンタクト抵抗と低いキャリア再結合を有するコンタクトを作り出す。この熱処理とドーピングは、裸のp型粒子にも、n型ドーパントを粒子内に拡散させた表面近傍領域を有するp型粒子にも使用できる。後者の場合には、Alドーパント濃度は、BSF領域においてn型ドーパント濃度を超え得る。したがって、いくつかの実施態様では、コンタクト抵抗とキャリア再結合の低減が可能になる。
【0052】
別の実施態様では、反射防止(anti-reflection (AR))コーティング機能を提供する光起電力装置構造の構成要素として、1つまたは複数の層を堆積させる。シリコン粒子を基板上に堆積させ、p-n接合(またはキャリア選択コンタクト)を(基板上への堆積の前または後のいずれかで)形成する実施態様の場合には、装置構造からの反射を低減または最小化するように選択された屈折率および厚さを有する1つまたは複数の層を装置構造の最上部に堆積させて、ARコーティングを形成することができる。基板/粒子/接合構造の最上部を覆うように透明導電体を堆積させる実施態様では、この透明導電体の屈折率および厚さを選択して、透明導電体をもARコーティングとして機能させるようにでき得る。異なる屈折率を有する材料の積層内の別の層を使用することにより、この層の厚さを、薄膜干渉が装置からの反射を低減または最小化するようにして調整することができる。
【0053】
図1A~
図1Iは、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を形成する方法を例示している。
図1Aでは、シリコン粒子110を取得する。粒子サイズは20~100マイクロメートルであり得る。さらに小さいサイズ(1マイクロメートル以下)も可能であるが、追加の光捕捉構造(例えば、導波路構造またはナノパターニング)を利用して所望の効率を得てもよい。シリコン粒子110は球状として例示されているが、シリコン粒子110は他の形状とすることができて、球状に表されているのは、分かり易くする目的のためでしかない。シリコン粒子110は、(リンのようなV族元素を用いて)n型または(ホウ素、ガリウムなどのIII族元素を用いて)p型にドープされ得る。この層の抵抗率は、1オーム・cmと150オーム・cmの間(例えば、1オーム・cmと25オーム・cmの間)であり得る。いくつかの実施態様では、ホウ素のドーピング濃度は、1e14cm
-3と1.5e16cm
-3の間の範囲である。いくつかの実施態様では、リンのドーピング濃度は、3e13cm
-3と5e15cm
-3の間である。シリコン粒子110は、単結晶であってその中に粒界が存在しないようなものであり得るか、または粒子は、粒子のサイズと同程度の大きさの結晶ドメインを有してその中に粒界がほとんど存在しないようなものであり得る。シリコン粒子110は、シリコンまたは酸化シリコンを99.99%より高い純度(99.9999~99.9999999%である可能性がさらに高い)まで冶金精製することによって製造され得る。シリコン粒子110はまた、シランまたはトリクロロシランのようなシリコン含有ガスの結晶化を通じて製造され得る。この工程は、シーメンス(Siemens)工程、流動床反応器工程、(エピタキシャル成長法におけるような)CVD工程、これらの組み合わせ、または同類のものなどを含むことができる。結晶粒は、例えば、粒子に(または粒子を形成するために後に粉砕される固体シリコンの断片に)熱処理を施すことによって、大きくさせ得る。この熱処理により、他の結晶欠陥(例えば、転位)および不純物(例えば、Fe、Cu、Ni、Co、およびCrを含む遷移金属)の存在を低減させることもでき得る。熱処理中に不純物が除去されることになる場合には、表面に不純物用のシンクが必要であり得て、次いでこのシンクはエッチング除去され得る。これらのシンクには、例えば、リンに富む層、酸素に富む層、または酸素析出物などが挙げられ得る。シリコン粒子110は、シリコンをソーイングする(例えば、シリコンインゴットをワイヤーソーイングしてウェーハにする)際に挽き目として製造され得る。また、シリコン粒子110は、さらに大きいシリコン片(単結晶シリコン、または100μmよりかなり大きい結晶粒を有するポリシリコンのいずれか)を粉砕して粉末にすることによっても製造され得る。これらのシリコン粒子110は、シクロヘキサシランまたは溶融元素シリコンのような液体シリコン源からの結晶化によっても製造され得る。シリコン粒子110は、さらに大きいシリコン片を陽極エッチングして多孔質層を作り出し、この多孔質層を機械的に除去することによっても、製造され得る。シリコン粒子110はまた、ボールミルを使用して固体シリコンの大きな1つのブロックまたは複数のブロックを粉砕することによっても製造され得る。シリコン粒子110を気相から成長させるいくつかの実施態様では、粒子を、低濃度ドープされた内核と、より高濃度にドープされて反対の導電性を有する外殻とが存在するようにして成長させ得る。これは、結晶化中に気体の組成を変化させることによって実現され得る。いくつかの実施態様では、シリコン粒子110は、ウェーハ厚と同様かそれよりも大きい結晶粒サイズを有する薄いウェーハ(10~100ミクロン厚)として成長させ得る。他の実施態様では、シリコン粒子110は、非シリコン基板(例えば、ガラスまたは石英)上に薄膜(ウエーハと同様の厚さおよび結晶粒サイズ)として成長させ得る。いくつかの実施態様では、このシリコン・ウェーハまたは膜を可撓性基板(例えば、ステンレス鋼またはアルミニウムシート/箔)に取り付け、ローラーの間を走らせてウェーハまたはフィルムを破砕して、適切なサイズおよび形状の粒子を得られ得る。ローラーは平坦なもの、または歯がついているものであり得る。いくつかの実施態様では、この破砕工程は、ベアウェーハ/膜上、または追加の加工(例えば、ドーパント拡散、誘電体不動態層またはキャリア選択層の堆積、金属の堆積)がなされたシリコン・ウェーハ/膜上で行い得る。ウェーハ/膜への追加の加工の後に破砕を行う場合には、破砕工程は、破砕片がキャリアに対して配向した状態のままとなるようにして行い得る。いくつかの実施態様では、この方法は、反射を最小限にする表面テクスチャを作り出すためにシリコン粒子の表面をエッチングすることを含むことができる。このエッチングは、酸性(フッ化水素酸と硝酸の組み合わせ、およびいくつかの実施態様では、水または酢酸のような追加の緩衝剤を伴う)またはアルカリ性(例えば、KOHまたはNaOH)のエッチング溶液を用いたウェットエッチングであり得て、このエッチングにより、1~5ミクロン(例えば、3~5ミクロン)程度の表面テクスチャが製造され、いくつかの実施態様ではテクスチャ形状のアスペクト比は1に近い。これはまた、反応性イオンエッチング(例えば、SF
6/O
2工程ガス)、レーザーアブレーション工程(工程ガスの存在するか否かにかかわらず)、金属触媒ウェット化学エッチング、またはプラズマ浸漬イオン注入工程であり得て、このエッチングにより、2~10というテクスチャ形状のアスペクト比を有する数十~数百ナノメートル程度の表面テクスチャが製造される。エッチング工程は、シリコン粒子110を組み込むのに先立って実行できるだけでなく、組み込んだ後、例えば、
図1Eに例示されるステップの後に粒子が部分的に露出した後、および裸の粒子が部分的または完全に露出している場合にはその工程における他の適切なステップで実行できる。
【0054】
図1Bでは、ドーパントを拡散させて、接合(すなわち、層112)を作り出す。いくつかの実施態様では、層112は、粒子10に対して反対のドーピング/導電性を有する粒子10の表面近傍の高導電性のドープされたシリコン層である。層112の厚さは、10nmから10μm(例えば、100nmから1μm)であり得る。層112のドーピングのピークは、1e17から1e20cm
-3(例えば1e18から2e19cm
-3)であり得る。層112の場合のドーパント源は、ガス源(例えば、リンの場合にはPOCl
3またはホウ素の場合にはBBr
3)、液体源、またはプラズマ源のいずれかであり得る。このドーパント源は、大気圧以下の圧力で管状炉内でのCVDによって、プラズマ増強CVDによって、液体に粒子を浸漬することによって、または粒子上に液体をコーティングすることによって、粒子10の表面上に堆積させ得る。これらのドーパント源により典型的には、シリコン粒子110の表面上にシリカートガラスが作り出され、このガラスは、フッ化水素酸(水溶液または蒸気の形態)によって除去されるか、またはシリコン粒子110の表面上で不動態化層として作用するようにそのまま残される。内方拡散工程中に、金属および他の不純物を層112にゲッタリングして、装置性能への影響を最小限にすることができる。この工程の後、表面近傍領域または高濃度ドープ領域全体を(例えば、酸性またはアルカリ性溶液中での化学エッチングによって)除去し得る。層112が厚い(1μmより厚い)場合には、表面近傍領域を除去してドーパントのプロファイルをさらに均一化させ、それほど高濃度ドープ状態にしないようにすることで、キャリア選択性を依然として提供しつつこの層での再結合を低減させ得る。
【0055】
図1Cでは、シリコン粒子110の表面上に不動態化誘電体層114を堆積させる。不動態化誘電体層114は、酸化物(例えば、化学量論的または非化学量論的シリコン酸化物、または酸化アルミニウムもしくは酸化チタンのような金属酸化物)、窒化物(シリコン窒化物のようなもの)、LiFもしくはMgFのようなフッ化物、アモルファスシリコン、またはPEDOT-pssのような有機化合物であり得る。いくつかの実施態様では、不動態化誘電体層114は、多層(例えば、真性、ドープされたa-Si、SiO
2、およびドープされた多結晶シリコン)を含み得る。いくつかの実施態様では、これらの層のいずれも、シリコン表面での満たされていない価電子を結合させるために、過剰の水素を含有するように(堆積中またはその後のいずれかで)加工され得る。これらの材料は、(大気圧以下での)原子層堆積法によって、(大気圧以下)でのCVD法によって、プラズマエンハンストCVD法によって、または液体源からの浸漬またはコーティングによって、堆積させ得る。この層の厚さは、1~100ナノメートル(例えば、10~20ナノメートル)であり得る。いくつかの実施態様では、不動態化誘電体層114を、大量の「固定電荷」を有するように設計して、シリコン表面の化学的不動態化のみならず、空乏層、蓄積層、または反転層(粒子および層112の導電型と、不動態化誘電体層114中の固定電荷の極性とに依存)を作り出すことによって電界効果を提供するようにする。
【0056】
いくつかの実施態様では、透明導電体層115をシリコン粒子110の表面上に堆積させる。いくつかの実施態様では、透明導電体層116は、酸化スズまたは酸化亜鉛などの酸化物であり得る。透明導電体層115は、その導電性を高めるために別の元素で(例えば、酸化スズの場合にはインジウムで、酸化亜鉛の場合にはアルミニウムで)ドープまたは合金化され得る。透明導電体層115は、グラフェンまたはカーボンナノチューブメッシュのような低次元炭素層であり得る。透明導電体層115は、PEDOTのような導電性ポリマーであり得る。それは、ナノ粒子またはナノワイヤ(例えば、銀または銅)でできた拡散金属メッシュであり得る。透明導電体層115は、CVD(有機金属前駆体の使用を含む)、レーザー蒸着法もしくはビーム蒸着法、物理的気相成長法、噴霧熱分解法、または液体源からの浸漬またはコーティングによって堆積させ得る。透明導電体層115の厚さは、10~300nm(例えば、60~200nm)であり得る。透明導電体層115の高濃度ドーピングにより、シリコン粒子110の表面および層112の表面のさらなる電界効果不動態化が提供され得る。
【0057】
図1Dでは、シリコン粒子110をキャリア116に組み込む。いくつかの実施態様では、キャリア116は、熱または放射線の印加により硬化可能であり得る軟質ポリマーでコーティングされたPETのようなポリマー膜であり得る。膜全体または軟質ポリマーコーティングは、太陽電池の活性層のいずれとも反応しない溶媒に容易に溶解させ得る。膜および/またはコーティングは、水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムのようなアルカリ性溶液、または硝酸、フッ化水素酸、酢酸、塩酸、もしくはこれらの組み合わせのような酸性溶液を含む、活性層を溶解させる材料への露出に対して不浸透性であり得る。組み込み工程は、充填、振とう、堆積、または粒子を基板の表面上に置き次いでキャリアを2つのローラーの間で走行させる(粒子10はまた、箔をローラーのピンチ点の直前で直角に方向転換して、そのピンチ点のところで堆積させ得る)いずれかの他の方法、または同類のものによって行われ得る。いくつかの実施態様では、2つのローラーを使用する代わりに、粒子のブレードコーティング、または粉末コーティング(すなわち、粒子をエアロゾル化し、粒子を含む流体を基板に導く)を使用することができる。この工程は、粒子の10%から90%(例えば、80~90%)を露出した状態のままにし得る。
【0058】
図1Eでは、層112および不動態化誘電体層114を部分的に除去する。層112および不動態化誘電体層114は、機械的に(例えば、スラリー溶液中のまたは膜上に組み込まれたシリコンカーバイドまたはダイヤモンドのような微細砥粒材料によるアブレーション)、光学的に(例えば、レーザーアブレーションにより)、化学的に(例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング、または反応性イオンエッチングを含む選択的エッチングにより)、またはイオン衝撃により、除去され得る。層112および不動態化誘電体層114を化学的に除去するいくつかの実施態様では、使用される化学薬品は、その化学薬品が、下にあるシリコン粒子110をエッチングするよりもはるかに速くこれらの層をエッチングするような選択的なものであり得る。
【0059】
図1Fでは、不動態化誘電体層118を堆積させる。この工程は、
図1Cに示されたステップと同様であり得る。不動態化誘電体層118は、高濃度ドーピング領域に対してではなく、シリコン粒子のドーピング濃度および型に対して最適化されるであろう。不動態化誘電体層118は、シリコン粒子110だけでなく、キャリア116上のシリコン粒子110どうしの間の空間をもコーティングするであろう。いくつかの実施態様では、絶縁層(図示せず)を随意に堆積させる。いくつかの実施態様では、この絶縁層は、不動態化誘電体層114または不動態化誘電体層118と同様であり得るが、他の実施態様では、この絶縁層は、ポリマーまたはゴムであり得る。この絶縁層が不動態化誘電体層118と同一であるいくつかの実施態様では、この絶縁層を、
図1Gに示されるものと同様のやり方で堆積させ得る。この絶縁層をコーティングによって堆積させるいくつかの実施態様では、コーティング工程の結果、シリコン粒子110の最上部よりもシリコン粒子110どうしの間で厚さが増すことになり得る(例えば、シリコン粒子110どうしの間では1~100ミクロン、シリコン粒子110の最上部では10nmから1ミクロン)。いくつかの実施態様では、この絶縁層は、キャリア116またはキャリア116のコーティングを溶解させるが活性層とは反応しない溶媒の1つまたは複数に対して不浸透性であり得る。いくつかの実施態様では、この絶縁層は、シリコン粒子110を完全に覆い得る。一実施態様では、この絶縁層は、シリコン粒子110どうしの間の厚さがシリコン粒子110の最上部の厚さよりも大きくなる(例えば、粒子どうしの間では1ミクロン、最上部では10nmとなる)ようにしてコーティング工程によって堆積させたネガ型フォトレジストであり得る。光露光によってネガ型レジストが溶媒/エッチング/溶液/現像液に可溶化され、ポジ型レジストが不溶化される限り、このポリマーをフォトリソグラフィー用に設計または使用する必要はない。次いで、露光されたレジストの厚さがシリコン粒子110の最上部の厚さに相当するように、そしてシリコン粒子110どうしの間のレジストの幾分かが未露光状態のままであるようにして、フォトレジストを光露光し得る。別の実施態様では、この絶縁層は、シリコン粒子110どうしの間の領域がシリコン粒子110上の領域よりも高い光子ドーズ量を受けるようにして、両面または基板側のいずれかから(基板を透過する高い透過率、しかしシリコン粒子110を透過する低い透過率の光波長で)照射されるポジ型フォトレジストであり得る。
【0060】
図1Fでは、不動態化誘電体層118の一部分を除去して、シリコン粒子110の表面を露出させる。この除去後に露出したシリコン粒子110の量(例えば表面積)は、5%~20%であり得る。
図1Fのとおりにフォトレジストを使用する場合には、この工程は、フォトレジスト除去用に設計された溶媒洗浄であり得る。この工程の結果、シリコン粒子110の上の不動態化誘電体層118が完全に除去されるのではなく、ピンホールが生じ得る。これが光学的工程であるならば、この工程では、下にある基板よりもシリコン粒子110によってさらに効率的に反射されるような波長の2つの光子の間の相互作用を使用し得て、これを、シリコン粒子110どうしの間でよりも粒子の上方で2つの光子(一次入射光子と反射光子)による吸収が生じる可能性が高くなるようにして行い得る。
【0061】
図1Gでは、金属層120を堆積させる。これは、単一の金属(例えば、Al、Ag、もしくはCu)または金属積層(例えば、Ti/Ni/Ag、もしくはTi/Pd/Ag)、または合金であり得る。金属層120は、ペーストまたは溶液に含有され得て、シリコン粒子110の表面に印刷され得る。いくつかの実施態様では、ペースト/溶液は、室温または室温付近で液体である合金(例えば、Ga、In、およびTi、またはGa、In、およびSn)であり得る。いくつかの実施態様では、金属層120は、PVD工程(例えば、蒸着またはスパッタリング)によって堆積させ得る。いくつかの実施態様では、この金属層120は、自立した箔またはシートであり得る。このシートは可撓性であり得る。これらの工程のいくつかとともに、高温硬化ステップを使用することで、「背面場(back-surface field)」を作り出し、さらに良好な接着性または界面特性を実現し、バルク金属特性を改善させ得る(例えば、ナノ粒子を焼結させ得る)。この型の加熱は、局所的に(例えばレーザーを用いて)実現し得る。光硬化も使用し得る。硬化により、ペーストまたはインクから非金属(例えば、有機物)元素を除去し得る。合金を使用するいくつかの実施態様では、この合金中の元素の一部分が、Si中のドーパント(例えば、GaまたはAl)であり得て、シリコン粒子110中に内方拡散し得る。合金を使用するいくつかの実施態様では、電子輸送層(もしくは正孔輸送層)、または電子輸送層(もしくは正孔輸送層)の構成成分を、合金に可溶性であるような、または合金と共晶を形成するようなものにし、硬化ステップ中、金属合金と接触している場合に電子輸送層(または正孔輸送層)が溶解するようにして、合金を設計し得る。いくつかの実施態様では、LiF、MgF、MoO
x、またはNiO
xのような中間層をシリコン粒子110と金属層120との間に堆積させて、シリコン粒子110と金属層120との間のコンタクト抵抗を低減させ得る。この中間層の厚さは、0.5~15nm(例えば、1~1.5ナノメートル)であり得る。
【0062】
図1Gでは、キャリア116を除去する。いくつかの実施態様では、キャリア116を溶解させて、除去工程を実施する。キャリア116は、太陽電池の活性層と反応しない溶媒に溶解させ得る。
図1Hでは、層114の一部分を完全にまたは部分的に除去して、シリコン粒子110のドープされた表面を露出させる。
【0063】
図1Iでは、透明導電体層122を、キャリア116がそれ以前にあった場所であるシリコン粒子110の側に堆積させる。いくつかの実施態様では、透明導電体層122は、透明導電体層115と同様の材料であり得る。いくつかの実施態様では、透明導電体層122は、透明導電体層115と同様のやり方で堆積させ得る。いくつかの実施態様では、透明導電体層122は、銀ナノワイヤーのような拡散導電体であり得る。いくつかの実施態様では、透明導電体層122は、これらの導電体の組み合わせであり得る。いくつかの実施態様では、透明導電体層122は、スピンコーティング、ブレードコーティング、もしくはスロットダイコーティングのようなコーティング工程、または拡散導電体の堆積に好適な非コーティング工程によって堆積させ得る。いくつかの実施態様によれば、透明導電体層122は、現時点で金属基板に組み込まれた粒子上に堆積させ得る。いくつかの実施態様では、透明導電体層122は、代わりに、またはそれに加えて、ラミネート膜上に堆積させ得て、次いでこの膜を、基板および粒子上にラミネート加工する。
図1Iでは、セルをラミネート加工する(すなわち、層124)。基板は、EVAまたは同類のもののバリア膜でラミネート加工し得る。このラミネート体は、基板に取り付けられ得るし、基板を取り巻き得る。ラミネート体は、シリコン粒子110から透明導電体層122を通してキャリアを効率的に引き出せるように、その中に組み込まれた導電性ワイヤを有し得る。
【0064】
図2は、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を形成する方法200を例示するフローチャート図である。ステップ201では、シリコン粒子を取得する。これらの粒子は、
図1に関連して記載されたものと同様の特性を有し得る。いくつかの実施態様では、粒子は、(ホウ素、ガリウムなどのようなIII族元素で)ドープされたp型とし得る。
【0065】
ステップ202では、ドーパント種を粒子内に拡散させる(層1)。これは
図1のステップ102と同様である。いくつかの実施態様では、n型ドーパント(例えば、リンなどのV族元素)を使用し得る。いくつかの実施態様では、このステップは省略し得る。
【0066】
ステップ203では、粒子を金属箔に組み込む。いくつかの実施態様では、金属箔に組み込む前に、正孔輸送層を粒子上に堆積させる。この場合には、粒子はp型またはn型(正孔輸送層の代わりに電子輸送層を堆積させる)のいずれかであり得る。いくつかの実施態様では、金属箔は、同じ金属または異なる金属を含有する金属インクまたはペーストでコーティングし得る。いくつかの実施態様では、ペースト(および箔)は、シリコン中でp型ドーパントとしても作用するアルミニウムであり得る。いくつかの実施態様では、このペースト/溶液は、室温または室温付近で液体である合金(例えば、Ga、In、およびTi、またはGa、In、およびSn)であり得る。粒子は、充填、振とう、堆積、または粒子を箔の表面に置き次いで箔を2つのローラーの間で走行させる(粒子はまた、箔をローラーのピンチ点の直前で直角に方向転換して、そのピンチ点のところで堆積させ得る)他のいずれかの方法、または同類のものによって金属箔に組み込み得る。
【0067】
ステップ204では、粒子と金属を焼成してアルミニウム(Al)を内方拡散させる。焼成は、インク/ペーストを乾燥させる乾燥ステップ(400℃以下)と、400℃と1000℃の間のステップ(例えば、500℃と600℃の間の1つの段階、600℃と1000℃の間の別の段階、および場合によっては再び500℃と600℃の間の第3の段階を有する2から3段階のもの)とを用いてベルト炉または光学炉内で行い得る。第2のステップの合計継続時間は、10秒と300秒の間とし得る(例えば、50~100秒であって、600℃超で費やされる時間を10秒未満に制限し得る)。いくつかの実施態様では、焼成は代わりにレーザーの適用によって実行し得る。焼成により、シリコン粒子どうしの間、および金属ペースト/箔と内方拡散Alとの間にオーミックコンタクトが形成されるであろう。Alの内方拡散により、正孔に対して相対的な電子の移動度が低下してセルの背面に高低接合が形成されるであろうことで、シリコン粒子と金属ペースト/箔との間に正孔選択的なコンタクトが作り出されるであろう。この第2の目標を達成するためには、Alの濃度が、層1のn型ドーパントの濃度を上回る必要があるであろう。合金を使用するいくつかの実施態様では、この合金中の元素のいくつかは、Si中のドーパント(例えば、GaまたはAl)であり得て、シリコン粒子に内方拡散し得る。合金を使用するいくつかの実施態様では、電子輸送層(もしくは正孔輸送層)、または電子輸送層(もしくは正孔輸送層)の構成成分を、合金に可溶性であるような、または合金と共晶を形成するようなものにし、硬化ステップ中、金属合金と接触している場合に電子輸送層(または正孔輸送層)が溶解するようにして、合金を設計し得る。
【0068】
ステップ205では、粒子の露出表面に不動態化誘電体(層2)を堆積させる。この材料は、
図1の層2と同様である。堆積技術もまた、
図1の層2と同様である。
【0069】
ステップ206では、絶縁層(層3)を堆積させる。この層は
図1の層5と同様である。いくつかの実施態様では、良好な表面不動態化をも絶縁層が提供する場合には、このステップをステップ205と組み合わせ得る。ステップ206では、層2の一部と層3の幾分かを除去して、粒子を露出させる。このステップは、
図1のステップ106と同様である。層2が電子輸送の障壁にならない場合(例えば、トンネル透過可能な極薄SiO
2)には、層2を除去する必要はない。これを
図2に示す。層3は、粒子の一部を覆わないように堆積させることができれば、除去する必要はない。
【0070】
ステップ207では、電子輸送層(層4)を堆積させる。層4は、その伝導帯とシリコン粒子の伝導帯との間に優れたバンド整列を有し得る。この整列は、層4の伝導帯がシリコン粒子の伝導帯よりもわずかに(約10~30meV)高い場合に最適化され得る。この層は、シリコン粒子よりも広いバンドギャップを有することで正孔輸送にエネルギー障壁を提供し得る。いくつかの実施態様では、この層は正孔導電性よりも高い電子導電性を有し得る。いくつかの実施態様では、この層はTiO2のような金属酸化物またはn型ドープされたa-Siであり得る。この層は、上に列挙したもののようなさらに高導電性の材料の下の、ドープされていない真性a-SiまたはSiO2のような高抵抗性または絶縁性の材料を伴う材料の積層体であり得る。この層は、原子層堆積法(大気圧以下)、化学的気相成長法(大気圧以下)、物理的気相成長法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法、または液体源からのコーティングによって堆積させ得る。この層の厚さは、0.5~20nm(例えば、1~3nm)であり得る。
【0071】
ステップ207では、透明導電体(層5)もまた堆積させる。このステップは、
図1のステップ109と同様である。ステップ207では、セルもまたラミネート加工する。このステップは、
図1のステップ109と同様である。
【0072】
図3は、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を形成する方法300を例示するフローチャート図である。ステップ301では、シリコン粒子を取得する。このステップは、
図2のステップ201と同様であり得る。ステップ302では、ドーパント種を粒子内に拡散させる(層1)。このステップは、
図2のステップ202と同様であり得る。いくつかの実施態様では、このステップは省略され得る。ステップ303では、粒子を金属箔に組み込む。このステップは、
図2のステップ203と同様であり得る。ステップ304では、粒子と金属を焼成してAlを内方拡散させる。このステップは、
図2のステップ204と同様であり得る。ステップ305では、粒子の露出表面に不動態化誘電体(層2)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ205と同様であり得る。ステップ306では、絶縁層(層3)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ206と同様であり得る。ステップ307では、層2と層3を部分的に除去して、粒子の表面を露出させる。層2および層3の除去は、
図1のステップ106と同様のやり方で実行し得る。ステップ308では、選択的キャリア輸送層(層4)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。ステップ308では、透明導電体(層5)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。ステップ308では、セルをラミネート加工する。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。
【0073】
図4は、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を形成する方法400を例示するフローチャート図である。ステップ401では、シリコン粒子を取得する。このステップは、
図2のステップ201と同様であり得る。ステップ402では、粒子を金属箔に組み込む。このステップは、
図2のステップ203と同様であり得る。ステップ403では、粒子と金属を焼成してAlを内方拡散させる。このステップは、
図2のステップ204と同様であり得る。ステップ404では、粒子の露出表面に不動態化誘電体(層1)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ205と同様であり得る。ステップ405では、絶縁層(層2)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ206と同様であり得る。ステップ406では、層1と層2を部分的に除去して、粒子の表面を露出させる。層1および層2の除去は、
図1のステップ106と同様のやり方で実行し得る。ステップ407では、選択的キャリア輸送層(層3)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。ステップ407では、透明導電体(層4)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。ステップ407では、セルをラミネート加工する。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。
【0074】
図5は、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を形成する方法500を例示するフローチャート図である。ステップ501では、シリコン粒子を取得する。このステップは、
図2のステップ201と同様であり得る。ステップ502では、粒子を金属箔に組み込む。このステップは、
図2のステップ203と同様であり得る。ステップ503では、粒子と金属を焼成してAlを内方拡散させる。このステップは、
図2のステップ204と同様であり得る。ステップ504では、不動態化誘電体(層1)を堆積させる。この実施態様では、不動態化誘電体は、絶縁特性も提供するので、絶縁層を随意とすることが可能になる(
図5では絶縁層は見送られている)。このステップにおける堆積のこの工程は、
図1のステップ106と同様であり得る。ステップ505では、層1を部分的に除去して、粒子の表面を露出させる。層1の除去は、
図1のステップ106と同様のやり方で実行し得る。ステップ506では、選択的キャリア輸送層(層2)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。ステップ506では、透明導電体(層3)を堆積させる。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。ステップ506では、セルをラミネート加工する。このステップは、
図2のステップ207と同様であり得る。
【0075】
図6は、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を形成する方法600を例示するフローチャート図である。ステップ601では、シリコン粒子を取得する。このステップは、
図1のステップ101と同様であり得る。ステップ602では、ドーパントを拡散させて接合(層1)を作り出す。このステップは、
図1のステップ102と同様であり得る。ステップ603では、選択的キャリア輸送層(層2)を堆積させる。層2は、
図2の層4と同様であり得る。層2は、
図2の層4と同様に堆積させ得る。層2は粒子上に堆積させることになるので、流動床反応器中でALDまたはCVD型の工程によって堆積させ得る。いくつかの実施態様では、この層は、SiO
2のような極薄(例えば、1.5nm未満の)絶縁体の最上部に堆積させ得て、この極薄絶縁体が、優れた表面不動態化を提供し、またキャリア輸送に対して充分に薄い電子障壁を有することで、量子トンネリングによるまたはピンホールを通じた効率的な輸送を可能にする。いくつかの実施態様では同一の理由で、この層を、代わりにa-Siのようなドープされていない真性半導体の最上部に堆積させ得る。この層は、トンネリング、ホッピング、および電子ドリフトの組み合わせを通じて電子キャリア輸送が生じるのに充分な薄さ(例えば、10nm未満)であり得る。ステップ603では、透明導電体(層3)を堆積させる。このステップは、
図1のステップ103と同様であり得る。ステップ604では、粒子を基板に組み込む。いくつかの実施態様では、基板は、熱や放射線の印加で硬化可能な軟質ポリマーでコーティングされたPETおよびシリコーンのような、ポリマー膜であり得る。いくつかの実施態様では、基板およびコーティングは可撓性であり得る。いくつかの実施態様では、基板およびコーティングは、太陽放射に対して高度に透明であり得る。いくつかの実施態様では、膜および/またはコーティングは、水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムのようなアルカリ性溶液、または硝酸、フッ化水素酸、酢酸、塩酸、もしくはこれらの組み合わせのような酸性溶液を含む、活性層を溶解させる材料への露出に対して、不浸透性であり得る。組み込み工程は、本明細書の他の実施態様に記載されているとおりに実行され得る。この工程は、粒子の10%~90%(例えば、40~60%)を露出したまま残し得る。ステップ605では、層1、2、および3の一部を除去して、粒子を露出させる。この工程は、
図1のステップ105と同様であり得る。ステップ606では、不動態化誘電体(層4)を堆積させる。この工程は、
図2のステップ205と同様であり得る。ステップ606では、絶縁層(層5)を堆積させる。この工程は、
図2のステップ206と同様である。ステップ607では、層4の幾分かおよび層5の幾分かを除去して、粒子の一部を露出させる。この工程は、
図3のステップ307と同様であり得る。ステップ608では、金属層(層6)を堆積させ、次いで焼成する。この工程は、
図1のステップ107と同様であり得る。
【0076】
図7は、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を形成する方法700を例示するフローチャート図である。ステップ701では、シリコン粒子を取得する。このステップは、
図1のステップ101と同様であり得る。ステップ702では、電子輸送層または正孔輸送層(層1)を堆積させる。この工程は、
図6のステップ603と同様であり得る。層1が電子輸送層ではなく正孔輸送層である場合には、層1は、MoO
xのような金属酸化物、または、真性およびドープされたアモルファスシリコン、もしくはSiO
2およびドープされたポリシリコンのような多層であり得る。ステップ702では、透明導電体(層2)を堆積させる。この工程は、
図1のステップ103と同様であり得る。ステップ703では、粒子を基板に組み込む。この工程は、
図6のステップ604と同様とすることができる。いくつかの実施態様では、この工程は、他の組み込み工程とは異なるものとすることができるが、これは、完成したセル/モジュールの一部である透明基板に粒子が組み込まれているからである。ステップ704では、層1の一部および層2の一部を除去して、粒子を露出させる。この工程は、
図1のステップ106と同様である。ステップ705では、不動態化誘電体(層3)を堆積させる。この工程は、
図2のステップ205と同様である。ステップ705では、絶縁層(層4)を堆積させる。この工程は、
図2のステップ206と同様であり得る。ステップ706では、層3の幾分かおよび層4の幾分かを除去して、粒子の一部を露出させる。この工程は、
図2のステップ207と同様である。ステップ707では、正孔輸送層、電子輸送層、またはトンネル中間層(層5)を堆積させる。層1が、電子に対して導電性であって正孔を遮断する場合には、層5は、正孔に対して導電性であって電子を遮断し、その逆もしかりである。他の点では、この工程は、ステップ702と同様であり得る。いくつかの実施態様では、この層は、キャリア選択的/遮断性である代わりに、シリコン粒子と金属との間のコンタクト抵抗を低減させるLiF、MgF、MoO
x、またはNiO
xのような中間層であり得る。ステップ708では、金属層(層6)を堆積させる。この工程は、
図6のステップ608と同様であり得る。
【0077】
図8A~
図8Hは、本開示のいくつかの実施態様による、カウンタードーピングを使用する光起電力装置を作製する方法を例示する図である。
図8Aでは、シリコン粒子810を取得する。
図8Aでは、トンネル酸化物層812を堆積させる。トンネル酸化物層812は、シリコン粒子810に優れた化学的表面不動態化を提供し得る。トンネル酸化物層812は、1から4ナノメートルの厚さであり得る。いくつかの実施態様では、トンネル酸化物層812を、加熱された硝酸浴(Tは約70℃)に粒子を浸漬することによって、またはオゾンによる表面処理によって堆積させ得る。他の実施態様では、他の工程(例えば、CVD、ALDなど)を利用することができる。
図8Cでは、縮退ドープシリコン層814を堆積させる。この層は、化学的気相成長法によって堆積させ得る。この層は粒子上に堆積させることになるので、流動床反応器中で堆積させることができる。縮退ドープシリコン層814は、5~200nmの厚さ(例えば、50~100nm)であり得る。縮退ドープシリコン層814は、600℃と1000℃の間(例えば、800℃と900℃の間)でアニールされ得る。アニーリング工程は、トンネル酸化物層812を通してシリコン粒子810にドーパントを内方拡散させることで、シリコン粒子810の表面の不動態化を助け得る。また、アニーリング工程によって、縮退ドープシリコン層814の結晶構造が変化し得て、例えば、それまでのアモルファス層に結晶粒を形成し得る。また、アニーリング工程によって、トンネル酸化物層812にピンホールを作り出して、さらに効率的なキャリア輸送/コンタクト抵抗の低減をも可能にし得る。
図8Dでは、シリコン粒子810を金属箔層816に組み込む。この工程では、粒子の1~90%(例えば、10~20%)が露出した状態のままであり得る。
図8Eでは、トンネル酸化物層812および縮退ドープシリコン層814を部分的に除去して、シリコン粒子810の一部を露出させる。トンネル酸化物層812および縮退ドープシリコン層814は、機械的に(例えば、スラリー溶液中のまたは膜に組み込まれたシリコンカーバイドまたはダイヤモンドのような微細砥粒材料によるアブレーション)、光学的に(例えば、レーザーアブレーションにより)、化学的に(例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング、または反応性イオンエッチングを含む選択的エッチングにより)、またはイオン衝撃により、除去され得る。トンネル酸化物層812および縮退ドープシリコン層814を化学的に除去する場合には、使用される化学薬品は、その化学薬品が、下にあるシリコン粒子810をエッチングするよりもはるかに速くトンネル酸化物層812および縮退ドープシリコン層814をエッチングするような選択的なものであり得る。選択的化学工程は、2つのステップで進行し得て、1つのステップは、シリコンに対して選択的であり、縮退ドープシリコン層814を除去するが、トンネル酸化物層812は除去せず、もう1つのステップは、酸化物に対して選択的であり(例えば、HF)、トンネル酸化物層812は除去するが、下にあるシリコン粒子はエッチングしない。この工程では、トンネル酸化物層812ではなく、縮退ドープシリコン層814の一部を除去し得る。
図8Fでは、不動態化誘電体層818を堆積させる。
図8Fでは、不動態化誘電体層818の幾分かを除去して、シリコン粒子810の一部を露出させる。いくつかの実施態様では、不動態化誘電体層818は、トンネル酸化物層812および縮退ドープシリコン層814を部分的に除去する前に堆積させる。
図8Gでは、ドーパント層820をシリコン粒子810内に拡散させる。この工程は、化学的気相成長法(プラズマ増強を含む)、イオン注入、液体ドーパント源でコーティングした後のアニーリングであり得る。このドーパントは、縮退ドープシリコン層814のドーパントとは反対の型とすることができる。いくつかの実施態様では、ドーパント層820はまた、高濃度ドープされたa-Siの下にあるドープされていない真性a-Siの中間層、またはSiO
2の中間層上の高濃度ドープされたシリコンの中間層でもあり得る。SiO
2の最上部の高濃度ドープされたシリコンの場合では、トンネル酸化物層812が上記のとおり、除去されていなければ、SiO
2層はトンネル酸化物層812であり得る。
図8Gでは、透明導電体層822を堆積させる。
図8Hでは、セルをラミネート加工する(すなわち、層824)。
【0078】
図9A~
図9Hは、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示する。
図9Aでは、シリコン粒子910を取得する。
図9Bでは、トンネル酸化物層912を堆積させる。
図9Cでは、縮退ドープシリコン層914を堆積させる。
図9Dでは、シリコン粒子910を金属箔層916に組み込む。この工程では、粒子の1~90%(例えば、10~20%)が露出した状態のままであり得る。
図9Eでは、トンネル酸化物層912および縮退ドープシリコン層914を部分的に除去して、シリコン粒子910の一部分を露出させる。
図9Fでは、不動態化誘電体層918を堆積させる。トンネル酸化物層912が除去されない場合には、不動態化誘電体層918は、絶縁性であるが不動態化しないものであり得る。
図9Fでは、不動態化誘電体層918の幾分かを除去して、シリコン粒子の一部を露出させる。
図9Gでは、露出したシリコン粒子上に電子輸送層または正孔輸送層またはトンネリング中間層を堆積させる(すなわち、層920)。縮退ドープシリコン層914が、ドープされたn型である場合には、層920は、正孔に対して導電性であって電子を遮断する。縮退ドープシリコン層914が、ドープされたp型である場合には、層920は、電子に対して導電性であって正孔を遮断する。いくつかの実施態様では、層920は、キャリア選択的/遮断性である代わりに、シリコン粒子910と透明導電体との間のコンタクト抵抗を低減させるLiF、MgF、MoO
x、またはNiO
xのような中間層であり得る。
図9Gでは、透明導電体層922を堆積させる。
図9Hでは、セルをラミネート加工する(すなわち、層924)。
【0079】
図10A~
図10Hは、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示する。
図10Aでは、シリコン粒子1010を取得する。
図10Bでは、トンネル酸化物層1012を堆積させる。
図10Cでは、縮退ドープシリコン層1014を堆積させる。
図10Dでは、シリコン粒子1010を金属箔層1016に組み込む。この工程では、粒子の1~90%(例えば10~20%)が露出した状態のままであり得る。
図10Eでは、不動態化誘電体層1018を堆積させ、次いで不動態化誘電体層1018の一部分を除去する。
図10Fでは、縮退ドープシリコン層1014を部分的に除去して、シリコン粒子1010の一部分を露出させる。
図10Gでは、電子輸送層または正孔輸送層またはトンネリング中間層を堆積させる(すなわち、層1020)。縮退ドープシリコン層1014が、ドープされたn型である場合には、層1020は、正孔に対して導電性であって電子を遮断する。縮退ドープシリコン層1014が、ドープされたp型である場合には、層1020は、電子に対して導電性であって正孔を遮断する。いくつかの実施態様では、層1020は、キャリア選択的/遮断性的である代わりに、シリコン粒子と透明導電体との間のコンタクト抵抗を低減させるLiF、MgF、MoO
x、またはNiO
xのような中間層であり得る。
図10Gでは、透明導電体層1022も堆積させる。
図10Hでは、セルをラミネート加工する(すなわち、層1024)。
【0080】
図11A~
図11Gは、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示する図である。
図11Aでは、シリコン粒子1110を取得する。
図11Bでは、層間層1112を堆積させる。層間層1112は、シリコン-金属界面においてフェルミ準位をピン止めしない(すなわち、シリコンのバンドの曲がりを低減させる)LiFまたはMgFのような材料、またはシリコン粒子と金属との間のコンタクト抵抗を低減させるMoO
xまたはNiO
xのような材料であり得る。層間層1112は、0.5~20nmの厚さ(例えば、1~5nmの厚さ)であり得る。層間層1112は、原子層堆積法(大気圧以下)、化学的気相成長法(大気圧以下)、物理的気相成長法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法、または液体源からのコーティングによって堆積させ得る。層間層1112は、SiO
2のような極薄(例えば、1.5nm未満の)絶縁体の最上部に堆積させ得て、この極薄絶縁体が、優れた表面不動態化を提供するが、キャリア輸送に対するその電子障壁は、量子トンネリングによる効率的な輸送を可能にするのに充分な薄さである。同一の理由から、層間層1112を、代わりにa-Siのようなドープされていない真性半導体の最上部に堆積させ得る。層間層1112は、トンネリング、ホッピング、および電子ドリフトの組み合わせによって電子キャリア輸送を生じさせるのに充分な薄さ(例えば、10nm未満)であり得る。
図11Cでは、シリコン粒子1110を金属箔層1114に組み込む。
図11Dでは、層間層1112を部分的に除去して、シリコン粒子1110の一部を露出させる。
図11Eでは、不動態化誘電体層1116を堆積させる。層間層1112を別の層の最上部に堆積させ、この第1の層を除去しない場合には、不動態化誘電体層1116は絶縁性ではあるが不動態化しないものであり得る。
図11Eでは、不動態化誘電体層1116の一部を除去して、シリコン粒子1110の一部を露出させる。
図11Fでは、露出したシリコン粒子上に電子輸送層または正孔輸送層またはトンネル中間層を堆積させる(すなわち、層1118)。
図11Fでは、透明導体層1120を堆積させる。
図11Gでは、セルをラミネート加工する(すなわち、層1122)。
【0081】
図12A~
図12Hは、本開示のいくつかの実施態様による、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法を例示する。
図12Aでは、シリコン粒子1210を取得する。
図12Bでは、薄い不動態化誘電体層1212を堆積させる(層1)。他の実施態様では、同一の理由から、薄い不動態化誘電体層1212は、a-Siのようなドープされていない真性半導体であり得る。薄い不動態化誘電体層1212は、トンネリング、ホッピング、および電子ドリフトの組み合わせを通じて電子キャリア輸送が生じるのに充分な薄さ(例えば、l0nm未満)である。
図12Cでは、層間層1214を堆積させる。
図12Dでは、シリコン粒子1210を金属箔層1216に組み込む。
図12Eでは、層間層1214を部分的に除去する。
図12Fでは、絶縁体層1218を堆積させる。
図12Fでは、絶縁体層1218の幾分かを除去して、シリコン粒子1210の一部を露出させる。
図12Gでは、露出したシリコン粒子上に電子輸送層または正孔輸送層またはトンネル中間層を堆積させる(すなわち層1220)。
図12Gでは、透明導電体層1222を堆積させる。
図12Hでは、セルをラミネート加工する(すなわち、層1224)。
【0082】
図13Aは、光起電力装置1302の一例の断面図である。
図13Aに例示される光起電力装置1302は、複数のシリコン粒子1304(例えば、ドープされたシリコン粒子)、コーティング層1306、基板層1308(例えば、金属層)、絶縁体層1310(例えば、酸化物層)、および選択的キャリア輸送層1312を含む。光起電力装置1302は、
図13Aに例示される光起電力装置1302とは異なる構成でのさらに少ない構成成分、追加の構成成分、または異なる構成成分を含み得る。例えば、いくつかの実施態様では、光起電力装置1302は、2つより多いシリコン粒子1304を含み得る。さらに、いくつかの実施態様では、光起電力装置1302は、
図13Bに例示されるとおり、選択的キャリア輸送層1312上に置かれた透明導電体層1314をさらに含み得る。透明導電体層1314は、例えば、横方向電荷輸送を提供する。
【0083】
いくつかの実施態様では、コーティング層1306は、
図13Aおよび
図13Bに例示されるとおり、単層である。他の実施態様では、コーティング層1306は、単層より多い層を含み得る。例えば、
図14に例示される光起電力装置1402は、2つの層(すなわち、層1404および1406)を有するコーティング層1306を含む。いくつかの実施態様では、コーティング層1306は、アモルファスシリコンを含む。代わりに、またはこれに加えて、コーティング層1306は、酸化物層およびポリシリコン層を含み得る。代わりに、またはこれに加えて、コーティング層1306は、本明細書で先に記載のいずれかのコーティングを含み得る。
【0084】
コーティング層1306および選択的キャリア輸送層1312は、反対の極性の電荷キャリアの流れを促進するように設計される。例えば、いくつかの実施態様では、コーティング層1306は、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性である。さらに、選択的キャリア輸送層1312は、正電荷キャリアに対して高導電性、かつ負電荷キャリアに対して高抵抗性であり得る。他の実施態様では、コーティング層1306は、正電荷キャリアに対して高導電性、かつ負電荷キャリアに対して高抵抗性である。さらに、選択的キャリア輸送層1312は、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり得る。
【0085】
図15は、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法1500の一例のフロー図である。説明の単純化のため、方法1500は、一連の操作として図示、記載されている。しかし、方法1500に準拠する操作は、様々な順序で、および/または同時に、および/または本明細書には表示、記載されていない他の操作とともに、行うことができる。例えば、方法1500に図示されている操作は、本明細書に開示されているいずれかの他の方法のいずれかの他の操作と組み合わせて行い得る。さらに、開示された主題に準拠する方法1500を実施するために、すべての例示された操作が必要であるわけではない。加えて当業者であれば、方法1500が、一連の相互に関連する状態として状態図または事象図を介して代替的に表され得ることを理解し認めるであろう。
【0086】
ブロック1502では、複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布する。例えば、
図16Aに例示されるとおり、コーティング層1306をシリコン粒子1304の周囲に塗布する。ブロック1504では、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子を基板層に埋め込む。例えば、
図16Bに例示されるとおり、複数のシリコン粒子1304それぞれの露出部分が基板層1308の表面1602から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子1304を基板層1308に埋め込む。ブロック1506では、コーティング層の一部分を除去する。コーティング層1306のこの部分を、
図16Cに例示されるとおり、複数のシリコン粒子1304それぞれの露出部分の周囲に配置する。ブロック1508では、絶縁体層を基板層の表面上に置く。例えば、絶縁体層1310を、
図16Dに例示されるとおり、基板層1308の表面1602上に置く。ブロック1510では、選択的キャリア輸送層を、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分上に置く。例えば、
図16Eに例示されるとおり、選択的キャリア輸送層1312を、複数のシリコン粒子1304それぞれの露出部分上に置く。ブロック1510の後、選択的キャリア輸送層1312上に他の層を置いてもよい。例えば、
図13Bに例示されるとおり、透明導電体層1314を選択的キャリア輸送層1312上に置いてもよい。代わりに、またはこれに加えて、ラミネート層(図示せず)を透明導電体層1314上または選択的キャリア輸送層1312上に置いてもよい。
【0087】
図17は、シリコン粒子を使用する光起電力装置を作製する方法1700の一例のフロー図である。ブロック1702では、複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布する。例えば、
図16Aに例示されるとおり、シリコン粒子1304を取り巻くコーティング層1306を塗布する。ブロック1704では、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子を基板層に埋め込む。例えば、
図16Bに例示されるとおり、複数のシリコン粒子1304それぞれの露出部分が基板層1308の表面1602から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子1304を基板層1308に埋め込む。ブロック1706では、絶縁体層を基板層の表面上に置く。例えば、
図18Aに例示されるとおり、絶縁体層1310を基板層1308の表面1802上に置く。ブロック1708では、絶縁層の一部分を除去する。絶縁体層1310の除去された部分は、
図18Bに例示されるとおり、複数のシリコン粒子1304それぞれの露出部分の周囲に配置されたコーティング層1306の部分の周囲に配置される。ブロック1710では、コーティング層の第1の部分にカウンタードープして、コーティング層の第2の部分とは反対の極性となるようにすることによって、選択的キャリア輸送層を生成する。
図18Cは、コーティング層1306の第1の部分1804にカウンタードープして、コーティング層1306の第2の部分1806と反対の極性になるようにすることによって、選択的キャリア輸送層1312を生成する例示的な実施態様を例示する。いくつかの実施態様では、コーティング層1306の第1の部分1804は、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり得る。さらに、コーティング層1306の第2の部分1806は、正電荷キャリアに対して高導電性、かつ負電荷キャリアに対して高抵抗性であり得る。他の実施態様では、コーティング層1306の第1の部分1804は、正電荷キャリアに対して高導電性、かつ負電荷キャリアに対して高抵抗性であり得る。さらに、コーティング層1306の第2の部分1806は、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり得る。
【0088】
シリコン粒子は、シリコン・ウェーハの約3分の1から7分の1までと小さい。例えば、
図19は、シリコン・ウェーハ1902と複数のシリコン粒子1904とのサイズ差の一例を例示している。
図19に例示されるとおり、シリコン粒子1904の、その総体積に対する表面積は、シリコン・ウェーハ1902の、その総体積に対する表面積よりはるかに高い。未処理のシリコン表面、および金属や多くの他の材料とシリコンとの界面は、高度に再結合活性であるので、本明細書に記載されるコーティングがなければ、電荷キャリアは、シリコン粒子1904の表面であまりに高い速度で再結合することになるので、効率的な光起電力変換に向けて、光励起自由電子の効率的な収集、または高い電流と高電圧をそれぞれ生成するのに充分高い光励起自由電子の定常状態濃度は不可能となる。シリコン・ウェーハ1902の体積に対する表面積の比が比較的小さいことを考えると、表面での電荷キャリアの損失は、シリコン・ウェーハを用いた光起電力装置の全体的な性能にそれほど大きな影響を与えない。上記のコーティング(例えば、コーティング層1306)は、シリコン粒子1904の表面での光励起自由電子の再結合を5から7桁低減させて、シリコン粒子1904(非常に小さい)を有する光起電力装置において、より大きな光電流、動作電圧、および発電を可能にする。
【0089】
試験では、シリコン・ウェーハを用いた、良好な不動態化を伴う光起電力装置の平均フォトルミネッセンス強度は、292カウントの測定値であったのに対し、本明細書に記載されるシリコン粒子を使用する光起電力装置の平均フォトルミネッセンス強度は、329.15カウントの測定値であった(すなわち、約9%の改善)。参考として、シリコン・ウェーハを用いた、不動態化の貧弱な光起電力装置の平均フォトルミネッセンス強度は、21.33カウントの測定値であり、シリコン粒子を使用する、不動態化の貧弱な光起電力装置の平均フォトルミネッセンス強度は、7.5カウントの測定値であった。
【0090】
上の開示に矛盾しないことであるが、以下の項に列挙されるシステムおよび方法の例が具体的に企図され、非限定的な一組の例であることが意図される。
【0091】
項1. 複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布することと、
複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子を基板層に埋め込むことと、
複数のシリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置されたコーティング層の一部分を除去することと、
基板層の表面に絶縁体層を置くことと、
複数のシリコン粒子それぞれの露出部分に選択的キャリア輸送層を置くことと、
を含む、光起電力装置を製造する方法。
【0092】
項2. コーティング層が、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり、選択的キャリア輸送層が、正電荷キャリアに対して高導電性、かつ負電荷キャリアに対して高抵抗性である、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0093】
項3. コーティング層がアモルファスシリコンを含む、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0094】
項4. コーティング層が酸化物層およびポリシリコン層を含む、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0095】
項5. 複数のシリコン粒子それぞれの長軸が100マイクロメートル未満である、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0096】
項6. 横方向電荷輸送を行う透明導電体層を選択的キャリア輸送層上に置くことをさらに含む、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0097】
項7. 複数のシリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置されたコーティング層の部分をエッチングによって除去する、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0098】
項8. 表面を含む基板層と、
基板層に埋め込まれた複数のシリコン粒子であって、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにさせた、複数のシリコン粒子と、
複数のシリコン粒子それぞれと基板層との間に配置されたコーティング層と、
基板層の表面上に配置された絶縁体層と、
複数のシリコン粒子のそれぞれの露出部分に配置された選択的キャリア輸送層と、
を含む、光起電力装置。
【0099】
項9. コーティング層が、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり、選択的キャリア輸送層が、正電荷キャリアに対して高導電性、かつ負電荷キャリアに対して高抵抗性である、本明細書のいずれかの項に記載の光起電力装置。
【0100】
項10. コーティング層がアモルファスシリコンを含む、本明細書のいずれかの項に記載の光起電力装置。
【0101】
項11. コーティング層が酸化物層およびポリシリコン層を含む、本明細書のいずれかの項に記載の光起電力装置。
【0102】
項12. 複数のシリコン粒子それぞれの長軸が100マイクロメートル未満である、本明細書のいずれかの項に記載の光起電力装置。
【0103】
項13. 横方向電荷輸送を行うために選択的キャリア輸送層上に配置された透明導電体層をさらに含む、本明細書のいずれかの項に記載の光起電力装置。
【0104】
項14. 複数のシリコン粒子の各々の露出部分の周囲に配置された前記コーティング層の部分をエッチングによって除去する、本明細書のいずれかの項に記載の光起電力装置。
【0105】
項15. コーティング層が、n型ドーパントでドープされ、コーティング層が、複数のシリコン粒子それぞれを取り囲み、シリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置されたコーティング層の部分が、p型ドーパントでドープされる、本明細書のいずれかの項に記載の光起電力装置。
【0106】
項16. 複数のシリコン粒子それぞれを取り巻くコーティング層を塗布することと、
複数のシリコン粒子それぞれの露出部分が基板層の表面から遠くに延在するようにして、複数のシリコン粒子を基板層に埋め込むことと、
基板層の表面上、および複数のシリコン粒子それぞれの露出部分上に絶縁体層を置くことと、
複数のシリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置されたコーティング層の一部分の周囲に配置された絶縁体層の一部分を除去することと、
コーティング層の第1の部分をカウンタードープして、コーティング層の第2の部分とは反対の極性とすることによって、選択的キャリア輸送層を生成することであって、コーティング層の第1の部分が、複数のシリコン粒子それぞれの露出部分の周囲に配置され、コーティング層の第2の部分が、基板層に埋め込まれている、ことと、
を含む、光起電力装置を製造する方法。
【0107】
項17. コーティング層の第1の部分が、負電荷キャリアに対して高導電性、かつ正電荷キャリアに対して高抵抗性であり、コーティング層の第2の部分が、正電荷キャリアに対して高導電性、かつ負電荷キャリアに対して高抵抗性である、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0108】
項18. コーティング層がアモルファスシリコンを含む、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0109】
項19. コーティング層が酸化物層およびポリシリコン層を含む、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0110】
項20. 前記複数のシリコン粒子それぞれの長軸が100マイクロメートル未満である、本明細書のいずれかの項に記載の方法。
【0111】
いかなる特定の構成要素、ステップ、または機能も、特許請求の範囲に含まれていなければならない必須の構成要素であるということを示唆していると、本願明細書のどの部分も解釈されないのが望ましい。特許となる主題の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定められる。さらに、「means for」という正確な語句の後に分詞が続いているのでない限り、特許請求の範囲のいずれであっても、米国特許法第104条(f)を援用することを意図するものではない。
【0112】
先の記載では、説明を目的として、記載の実施形態の完全な理解を提供するために具体的な命名法が使用されている。しかし、記載の実施形態を実施するための具体的な詳細が必要でないことは、当業者には明らかであろう。したがって、具体的な実施形態の先の記載は、例示および説明を目的として提示されるものである。これらは、限定列挙であること、すなわち記載の実施形態を、開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に鑑みて、多くの修正形態および変形形態が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0113】
上の考察は、本開示の原理および様々な実施形態を例示することを企図している。上の開示が最大限に理解されれば、多数の変形形態および修正形態が当業者に明らかとなろう。以下の特許請求の範囲は、そのような変形形態および修正形態をすべて包含すると解釈されることが意図される。
【国際調査報告】