(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】シートベルト巻き取り及びロック装置、並びに自動車用シート
(51)【国際特許分類】
B60R 22/40 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B60R22/40 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514657
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2022105849
(87)【国際公開番号】W WO2023035771
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202111067644.9
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ケザオ
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018HA07
3D018HB03
3D018HC01
3D018HD01
3D018HE01
(57)【要約】
【課題】製品性能が安定化されたシートベルト巻き取り及びロック装置等を提供する。
【解決手段】シートベルト巻き取り及びロック装置等は、シートベルトリトラクタ(1)と、感知シート(21)及び感知ボール(22)を有するセンサと、感知シート(21)をロックするためのロック機構(3)を含む。ロック機構(3)がロック状態にあるとき、感知シート(21)は初期位置に固定される。ロック機構(3)がロック解除状態にあるとき、感知シート(21)は第1の枢動シャフト(212)の軸に対して回転可能であり、初期位置に留まる。シートベルト巻き取り及びロック装置(3)等が通常状態にあるとき、感知シート(21)は初期位置にロックされ、その角度及び位置が、車両の速度の変化によって影響されず、感知ボール(22)と爪(14)とラチェット(13)との間の相対的位置は変化せず、製品の性能の安定性を改善する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトリトラクタ(1)と、感知シート(21)及び感知ボール(22)を有するセンサと、前記感知シート(21)をロックするためのロック機構(3)と、を備えることを特徴とする、シートバック(301)に装着するためのシートベルト巻き取り及びロック装置(100)であって、
前記シートベルトリトラクタ(1)が、前記シートバック(301)のバックレストフレームに接続するためのリトラクタハウジング(11)と、前記リトラクタハウジング(11)に装着されたコアシャフト(12)と、前記コアシャフト(12)にスリーブ接続されたシートベルトリールと、前記リトラクタハウジング(11)の外側に位置し、前記シートベルトリールと同期的に回転するラチェット(13)と、前記リトラクタハウジング(11)の外側に枢動可能に装着されて、前記感知ボール(22)によってトリガされて前記ラチェット(13)をロックすることができる爪(14)と、を備え、
前記感知シート(21)が、第1の枢動シャフト(212)によって前記リトラクタハウジング(11)に接続されており、
前記感知シート(21)が、収容凹部(211)を有し、前記感知ボール(22)が、前記収容凹部(211)内に少なくとも部分的に位置し、
前記爪(14)の当接部分が、前記感知ボール(22)上に載っており、
前記感知シート(21)が、初期位置を有し、前記初期位置における前記感知シート(21)の重心が、前記第1の枢動シャフト(212)の軸の直下に位置し、
前記ロック機構(3)が、前記リトラクタハウジング(11)に装着されて、前記センサの一側面に位置し、前記ロック機構(3)が、前記シートバック(301)がロックされたときに前記感知シート(21)をロックするロック状態と、前記シートバック(301)の角度が調節されるときに前記感知シート(21)をロック解除するロック解除状態と、を有し、
前記ロック機構(3)が前記ロック状態にあるときには、前記感知シート(21)が、前記初期位置に固定され、
前記ロック機構(3)が前記ロック解除状態にあるときには、前記感知シート(21)が、前記第1の枢動シャフト(212)の前記軸に対して回転可能であり、前記感知シート(21)が、前記初期位置に留まる、
シートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項2】
釣合錘ブロック(213)が、前記感知シート(21)に装着されており、前記釣合錘ブロック(213)が、前記第1の枢動シャフト(212)の前記軸の直下に位置し、
前記ロック機構(3)が前記ロック解除状態にあるときには、前記釣合錘ブロック(213)が、前記感知シート(21)を前記初期位置に留まらせる、請求項1に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項3】
前記感知ボール(22)が前記収容凹部(211)内で静止状態にあるときには、前記感知ボール(22)の前記重心が、前記釣合錘ブロック(213)の直上に位置する、請求項2に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項4】
前記収容凹部(211)の反対側に面している前記感知シート(21)の側面には、湾曲ラック(214)が提供されており、前記釣合錘ブロック(213)が、前記湾曲ラック(214)の2つの端部の間に位置し、
前記ロック機構(3)が、前記感知シート(21)の一側面に位置し、
前記ロック機構(3)が、拡張可能なロックピン(31)と、前記ロックピン(31)を前記感知シート(21)の側面に向かって移動させるように駆動するための駆動部材(32)と、を備え、
前記ロックピン(31)の端部分が、ロックピン歯(311)を有する前記湾曲ラック(214)に面しており、
前記ロックピン歯(311)が前記湾曲ラック(214)と係合するとき、前記ロック機構(3)が、前記感知シート(21)をロックし、
前記ロックピン歯(311)が前記湾曲ラック(214)から分離されるとき、前記ロック機構(3)が、前記感知シート(21)をロック解除する、
請求項2に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項5】
前記駆動部材(32)が、弾性要素(321)であり、
前記弾性要素(321)が圧縮状態にあるときには、前記ロックピン(31)が、前記湾曲ラック(214)から分離されており、
前記弾性要素(321)が解除状態にあるときには、前記ロックピン(31)が、前記湾曲ラック(214)と噛合している、
請求項4に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項6】
前記シートベルト巻き取り及びロック装置(100)が、前記弾性要素(321)を前記圧縮状態と前記解除状態との間で切り替えるように駆動するための電磁アクチュエータ(4)を更に備え、
前記電磁アクチュエータ(4)が、電源をオンにすると前記弾性要素(321)を圧縮することができる電磁石(41)と、車両コンピュータ(200)に接続されており、前記電磁石(41)の電源のオン及びオフを制御することができるコントローラ(42)と、を備え、
通常状態では、前記電磁石(41)が、電源オフ状態にあり、前記弾性要素(321)が、前記解除状態にあり、
前記コントローラ(42)が前記車両コンピュータ(200)によって送信された前記シートバック(301)の角度調節信号を受信するとき、前記コントローラ(42)が、前記電磁石(41)の電源をオンにするように制御して、前記弾性要素(321)を前記圧縮状態にする、
請求項5に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項7】
前記シートベルト巻き取り及びロック装置(100)が、シートアジャスタ(6)の回転シャフト(61)と前記ロックピン(31)との間を接続するための引っ張りコード(5)を更に備え、
前記シートアジャスタ(6)がロック状態にあるときには、前記弾性要素(321)が、前記解除状態にあり、前記ロックピン(31)が、前記湾曲ラック(214)と噛合しており、
前記シートアジャスタ(6)がロック解除状態にあるときには、前記引っ張りコード(5)が、前記ロックピン(31)を引っ張って前記湾曲ラック(214)から離れさせて、前記弾性要素(321)を前記圧縮状態にする、
請求項5に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項8】
前記湾曲ラック(214)が、互いに対向して配置された第1の端部(2141)及び第2の端部(2142)を有し、
前記釣合錘ブロック(213)と前記第1の端部(2141)との間の距離が、前記釣合錘ブロック(213)と前記第2の端部(2142)との間の距離よりも短く、
前記シートバック(301)が垂直状態にあるときには、前記ロックピン(31)が、前記湾曲ラック(214)の下方に位置し、前記釣合錘ブロック(213)に面しており、
前記シートバック(301)が水平になるように後方に倒された状態にあるときには、前記ロックピン(31)が、前記湾曲ラック(214)の前側面に位置し、前記第2の端部(2142)に面している、
請求項4に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項9】
前記爪(14)が、第2の枢動シャフト(142)によって前記リトラクタハウジング(11)に接続されており、
前記第1の枢動シャフト(212)が、前記シートバック(301)の回転シャフトに平行であり、前記第2の枢動シャフト(142)及び前記コアシャフト(12)がそれぞれ、前記第1の枢動シャフト(212)に平行である、
請求項1に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)。
【請求項10】
自動車用シートであって、シートバック(301)と、請求項1~9のいずれか一項に記載のシートベルト巻き取り及びロック装置(100)と、を備えることを特徴とし、
前記リトラクタハウジング(11)が、前記シートバック(301)のバックレストフレームに固定的に接続されており、
前記シートバック(301)がロックされたときには、前記ロック機構(3)が特徴としており前記感知シート(21)をロックし、
前記シートバック(301)の角度が調節されるときには、前記ロック機構(3)が、前記感知シート(21)をロック解除する、
自動車用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2021年9月13日に出願された中国特許出願第202111067644.9号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、シートベルト用の感知器具の技術分野に関するものであり、特に、シートベルト巻き取り及びロック装置並びに自動車用シートに関するものである。
【背景技術】
【0003】
図1~
図2に示されるように、いくつかの車両モデルの場合、シートベルト巻き取り及びロック装置4’は、シートバック2’に装着されており、具体的には、シートバック2’のバックレストフレームに装着されている。シートバック2’は、回転シャフト3’によってシートクッション1’に接続されている。シートバック2’は、シートクッション1’に対して回転させて、角度を調節することができる。
【0004】
シートベルト巻き取り及びロック装置4’は、シートベルトリトラクタ41’と、センサ42’と、を含む。シートベルトリトラクタ41’は、リールハウジング411’と、コアシャフト412’と、シートベルトリール413’と、ラチェット414’と、爪415’と、を含む。コアシャフト412’は、リールハウジング411’に装着されている。シートベルトリール413’は、コアシャフト412’にスリーブ接続されている。ラチェット414’は、リールハウジング411’の外側に位置している。ラチェット414’は、コアシャフト412’にスリーブ接続されている。ラチェット414’は、シートベルトリール413’の一端部に接続されている。ラチェット414’及びシートベルトリール413’は、コアシャフト412’上を同期的に回転することができる。爪415’は、リールハウジング411’の外側に位置し、爪枢動シャフトによってリールハウジング411’に接続されている。爪415’がトリガされた後に、爪415’は、ラチェット414’と係合してラチェット414’が回転するのを防止し、それによって、シートベルトリール413’が回転するのを防止するように、爪枢動シャフトを中心に回転することができる。
【0005】
センサ42’は、感知シートと、感知シートの凹状キャビティ内に位置する感知ボールと、を含む。感知シートは、感知シート枢動シャフトによってリールハウジング411’に接続されている。センサ42’は、支持体によって装着され得る。感知シートは、感知シートの枢動シャフトを中心に前後に回転することができる。
【0006】
通常状態では、センサ42’が自然に垂下し、爪415’が感知ボール上に載っている。爪415’がラチェット414’から分離されている。シートベルトリール413’は、正常に回転することができる。
【0007】
車両が急に減速した又は傾斜した場合などの緊急事態時には、慣性に起因して、感知ボールが初期位置から離れて爪415’を押し上げる。爪415’が爪枢動シャフトを中心に回転する。歯を有する爪415’の一端部が上方に回転してラチェット414’と係合し、そのため、シートベルトリール413’が回転し続けることができなくなり、シートベルトが引き出されるのを防止し、それによって、乗員をより良好に保護する。
【0008】
先行技術のセンサ42’は、シンクロナイザによってシートバック2’の回転シャフト3’に接続されており、シートバック2’の角度を調節するのに応じてセンサ42’の角度が変化する。
【0009】
シートバック2’の角度が調節されるとき、シンクロナイザの誤差に起因して、センサ42’の角度及び/又は位置が変化し、それによって、センサ42’の正常な性能に影響し得る。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、シートベルト巻き取り及びロック装置、並びに自動車用シートを提供することである。通常状態では、感知シートは、ロック機構によって初期位置にロックされ、そのため、その角度又は位置は、車両の速度の変化に影響されない。シートバックの角度が調節されるときには、ロック機構が、感知シートをロック解除し、車両用感知シートが常に初期位置に留まり、そのため、感知ボールと、爪と、ラチェットとの間の相対的位置が変化せず、それによって、製品の性能の安定性を確実にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の技術的解決策では、シートベルトリトラクタと、感知シート及び感知ボールを有するセンサと、感知シートをロックするためのロック機構と、を備える、シートバックに装着するためのシートベルト巻き取り及びロック装置であって、
シートベルトリトラクタが、シートバックのバックレストフレームに接続するためのリトラクタハウジングと、リトラクタハウジングに装着されたコアシャフトと、コアシャフトにスリーブ接続されたシートベルトリールと、リトラクタハウジングの外側に位置し、シートベルトリールと同期的に回転するラチェットと、リトラクタハウジングの外側に枢動可能に装着されて、感知ボールによってトリガされてラチェットをロックすることができる爪と、を備え、
感知シートが、第1の枢動シャフトによってリトラクタハウジングに接続されており、
感知シートが、収容凹部を有し、感知ボールが、収容凹部内に少なくとも部分的に位置し、
爪の当接部分が、感知ボール上に載っており、
感知シートが、初期位置を有し、初期位置における感知シートの重心が、第1の枢動シャフトの軸の直下に位置し、
ロック機構が、リトラクタハウジングに装着されて、センサの一側面に位置し、ロック機構が、シートバックがロックされたときに感知シートをロックするロック状態と、シートバックの角度が調節されるときに感知シートをロック解除するロック解除状態と、を有し、
ロック機構がロック状態にあるときには、感知シートが初期位置に固定され、
ロック機構がロック解除状態にあるときには、感知シートが、第1の枢動シャフトの軸に対して回転可能であり、感知シートが、初期位置に留まる、シートベルト巻き取り及びロック装置が提供される。
【0012】
任意選択的な技術的解決策では、釣合錘ブロックが、感知シートに装着されており、釣合錘ブロックが、第1の枢動シャフトの軸の直下に位置し、
ロック機構がロック解除状態にあるときには、釣合錘ブロックが、感知シートを初期位置に留まらせる。
【0013】
任意選択的な技術的解決策では、感知ボールが収容凹部内で静止状態にあるときには、感知ボールの重心が、釣合錘ブロックの直上に位置する。
【0014】
任意選択的な技術的解決策では、収容凹部の反対側に面している感知シートの側面には、湾曲ラックが提供されており、釣合錘ブロックが、湾曲ラックの2つの端部の間に位置し、
ロック機構が、感知シートの一側面に位置し、
ロック機構が、拡張可能なロックピンと、ロックピンを感知シートの側面に向かって移動させるように駆動するための駆動部材と、を備え、
ロックピンの端部分が、ロックピン歯を有する湾曲ラックに面しており、
ロックピン歯が湾曲ラックと係合するとき、ロック機構が、感知シートをロックし、
ロックピン歯が湾曲ラックから分離されるとき、ロック機構が、感知シートをロック解除する。
【0015】
任意選択的な技術的解決策では、駆動部材が、弾性要素であり、
弾性要素が圧縮状態にあるときには、ロックピンが、湾曲ラックから分離されており、
弾性要素が解除状態にあるときには、ロックピンが、湾曲ラックと噛合している。
【0016】
任意選択的な技術的解決策では、シートベルト巻き取り及びロック装置は、弾性要素を圧縮状態と解除状態との間で切り替えるように駆動するための電磁アクチュエータであって、
電源をオンにすると弾性要素を圧縮することができる電磁石と、車両コンピュータに接続されており、電磁石の電源のオン及びオフを制御することができるコントローラと、を備え、
通常状態では、電磁石が、電源オフ状態にあり、弾性要素が、解除状態にあり、
コントローラが車両コンピュータによって送信されたシートバックの角度調節信号を受信するとき、コントローラが、電磁石の電源をオンにするように制御して、弾性要素を圧縮状態にする、電磁アクチュエータを更に備える。
【0017】
任意選択的な技術的解決策では、シートベルト巻き取り及びロック装置は、シートアジャスタの回転シャフトとロックピンとの間を接続するための引っ張りコードを更に備え、
シートアジャスタがロック状態にあるときには、弾性要素が、解除状態にあり、ロックピンが、湾曲ラックと噛合しており、
シートアジャスタがロック解除状態にあるときには、引っ張りコードが、ロックピンを引っ張って湾曲ラックから離れさせて、弾性要素を圧縮状態にする。
【0018】
任意選択的な技術的解決策では、湾曲ラックは、互いに対向して配置された第1の端部及び第2の端部を有し、
釣合錘ブロックと第1の端部との間の距離が、釣合錘ブロックと第2の端部との間の距離よりも短く、
シートバックが垂直状態にあるときには、ロックピンが、湾曲ラックの下方に位置し、釣合錘ブロックに面しており、
シートバックが水平になるように後方に倒された状態にあるときには、ロックピンが湾曲ラックの前側面に位置し、第2の端部に面している。
【0019】
任意選択的な技術的解決策では、爪が、第2の枢動シャフトによってリトラクタハウジングに接続されており、
第1の枢動シャフトが、シートバックの回転シャフトに平行であり、第2の枢動シャフト及びコアシャフトがそれぞれ、第1の枢動シャフトに平行である。
【0020】
本発明の技術的解決策では、自動車用シートであって、シートバックと、前述の技術的解決策のうちのいずれか1つによるシートベルト巻き取り及びロック装置と、を備え、
リトラクタハウジングが、シートバックのバックレストフレームに固定的に接続されており、
シートバックがロックされたときには、ロック機構が感知シートをロックし、
シートバックの角度が調節されるときには、ロック機構が感知シートをロック解除する、自動車用シートが更に提供される。
【0021】
上記の技術的解決策を使用することにより、以下の有益な効果が達成される。
【0022】
本発明によって提供されるシートベルト巻き取り及びロック装置並びに自動車用シートでは、通常状態では、感知シートがロック機構によって初期位置にロックされ、そのため、感知シートの角度及び位置は、車両の速度の変化に影響されない。
【0023】
車両が通常動作しているときには、爪がラチェットから分離され、シートベルトリトラクタは、通常動作することができる。車両が急激に制動した又は傾斜した場合などの緊急事態には、慣性に起因して、感知ボールが収容凹部の陥凹壁に沿って前方及び上方に移動し、それによって、爪をトリガして、爪をラチェットと係合させ、そのため、シートベルトリールが回転し続けることができなくなり、シートベルトが引き出されるのを防止し、それによって、保護効果を提供する。
【0024】
シートバックの角度が調節されるときには、シートベルトリトラクタ及びロック機構がシートバックとともに回転する。しかしながら、感知シートが常に初期位置に留まり、感知ボールが実質的に静止しており、そのため、感知ボールと、爪と、ラチェットとの間の相対的位置が変化せず、それによって、製品の性能の安定性を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】先行技術における、シートバックに装着されたシートベルト巻き取り及びロック装置の概略図である。
【
図2】先行技術における、シートベルト巻き取り及びロック装置の概略構造図である。
【
図3】シートバックが垂直状態にあり、ロック機構が感知シートをロックしているときの、ロック機構、センサ、爪、及びラチェットの相対的位置の概略図である。
【
図4】シートバックが垂直状態にあり、ロック機構が感知シートをロック解除したときの、ロック機構、センサ、爪、及びラチェットの相対的位置の概略図である。
【
図5】シートバックが後方に傾斜された状態にあり、ロック機構が感知シートをロックしているときの、ロック機構、センサ、爪、及びラチェットの相対的位置の概略図である。
【
図6】シートバックが後方に傾斜された状態にあり、ロック機構が感知シートをロック解除したときの、ロック機構、センサ、爪、及びラチェットの相対的位置の概略図である。
【
図7】シートバックが水平になるように後方に倒された状態にあり、ロック機構が感知シートをロックしているときの、ロック機構、センサ、爪、及びラチェットの相対的位置の概略図である。
【
図8】シートバックが水平になるように後方に倒された状態にあり、ロック機構が感知シートをロック解除したときの、ロック機構、センサ、爪、及びラチェットの相対的位置の概略図である。
【
図10】電磁アクチュエータ、ロックピン、及び弾性要素の概略図である。
【
図11】シートアジャスタがロック状態にあり、弾性要素が解除状態にあるときの、湾曲ラックと噛合したロックピンの概略図である。
【
図12】シートアジャスタがロック解除状態にあるときに、ロックピンを引っ張って湾曲ラックから離して弾性要素を圧縮する、引っ張りコードの概略図である。
【
図13】シートバックに装着されたシートベルト巻き取り及びロック装置の概略図である。
【
図14】垂直状態にあるシートバックの概略図である。
【
図15】後方に傾斜された状態にあるシートバックの概略図である。
【
図16】水平になるように後方に倒された状態にあるシートバックの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の具体的な実施形態について、添付の図面を参照して以下に更に説明する。同じ部品は、同じ参照番号によって表される。以下の説明で使用される「前方」、「後方」、「左」、「右」、「上部」、及び「下部」という語は、添付図面における方向を指すものであり、「内側」及び「外側」という用語はそれぞれ、特定の構成要素の幾何学的中心に向かう方向又はそこから離れる方向を指すことに留意されたい。
【0027】
図13~
図16と併せて
図2~
図9に示されるように、本発明の一実施形態によって提供される、シートバック301に装着するためのシートベルト巻き取り及びロック装置100は、シートベルトリトラクタ1と、感知シート21及び感知ボール22を有するセンサ2と、感知シート21をロックするためのロック機構3と、を含む。
【0028】
シートベルトリトラクタ1は、シートバック301のバックレストフレームに接続するためのリトラクタハウジング11と、リトラクタハウジング11に装着されたコアシャフト12と、コアシャフト12にスリーブ接続されたシートベルトリール(図示せず)と、リトラクタハウジング11の外側に位置し、シートベルトリールと同期的に回転するラチェット13と、リトラクタハウジング11の外側に枢動可能に装着されて、感知ボール22によってトリガされてラチェット13をロックすることができる爪14と、を含む。
【0029】
感知シート21は、第1の枢動シャフト212によってリトラクタハウジング11に接続されている。
【0030】
感知シート21には、収容凹部211が提供され、感知ボール22は、収容凹部211内に少なくとも部分的に位置する。
【0031】
爪14の当接部分141は、感知ボール22上に載っている。
【0032】
感知シート21は、初期位置を有し、初期位置の感知シート21の重心は、第1の枢動シャフト212の軸の直下に位置する。
【0033】
ロック機構3は、リトラクタハウジング11に装着されて、センサ2の一側面に位置する。ロック機構3は、シートバック301がロックされたときに感知シート21をロックするロック状態と、シートバック301の角度が調節されるときに感知シート21をロック解除するロック解除状態と、を有する。
【0034】
ロック機構3がロック状態にあるときには、感知シート21が初期位置に固定されている。
【0035】
ロック機構3がロック解除状態にあるときには、感知シート21が、第1の枢動シャフト212の軸に対して回転可能であり、感知シート21が、初期位置に留まる。
【0036】
本発明によって提供されるシートベルト巻き取り及びロック装置100は、自動車用シート300のシートバック301に装着するために使用される。シートベルト巻き取り及びロック装置100は、シートベルトリトラクタ1と、常時ロックセンサ2と、感知シート21を通常ロックするためのロック機構3と、を含む。
【0037】
シートベルトリトラクタ1は、リトラクタハウジング11と、コアシャフト12と、シートベルトリールと、ラチェット13と、爪14と、を含む。コアシャフト12は、リトラクタハウジング11に装着されている。シートベルトリールは、コアシャフト12にスリーブ接続されている。シートベルトリールの装着手段については、背景技術でのシートベルトリールの説明を参照することができる。シートベルトリールがコアシャフト12を中心に正常に回転するとき、シートベルトが、正常に引き出され得る。シートベルトリールが、コアシャフト12を中心に回転することができないように制限されるとき、シートベルトがロックされ、それ以上引き出すことができなくなる。
【0038】
ラチェット13は、リトラクタハウジング11の外側に位置する。ラチェット13は、コアシャフト12にスリーブ接続されている。ラチェット13は、シートベルトリールの一端部に固定的に接続されている。ラチェット13及びシートベルトリールは、コアシャフト12を中心に同期的に回転し得る。爪14及びラチェット13は、リトラクタハウジング11の同じ側面に位置する。爪14は、第2の枢動シャフト142によってリトラクタハウジング11に接続されている。爪14は、感知ボール22に向かって延在している当接部分141を有する。爪14の一端部は、ラチェット13と係合するための歯を有する。
【0039】
常時ロックセンサ2は、感知シート21と、感知ボール22と、を含む。
【0040】
センサ2、ラチェット13、及び爪14は、リトラクタハウジング11の同じ側面に位置する。爪14は、センサ2とラチェット13との間に位置する。
【0041】
第1の枢動シャフト212は、感知シート21に接続されて、シートバック301の幅方向(車幅方向)に延在している。感知シート21は、第1の枢動シャフト212によってリトラクタハウジング11に接続されている。
【0042】
感知シート21は、収容凹部211を有する。感知ボール22の一部分は、収容凹部211内に位置し、感知ボール22の一部分は、収容凹部211から突出している。通常状態では、爪14の当接部分141は、感知ボール22上に載っている。
【0043】
ロック機構3は、リトラクタハウジング11の外側に取り付けられており、ロック機構3及びセンサ2は、リトラクタハウジング11の同じ側面に位置している。通常状態では、ロック機構3は、感知シート21をロックしている。シートバック301の角度が調節されるときには、シートベルトリトラクタ1及びロック機構3の両方がシートバック301とともに回転シャフト303を中心に回転する。
【0044】
感知シート21は、第1の枢動シャフト212への以下の2つの接続手段を有する。
【0045】
第1の接続手段:感知シート21が第1の枢動シャフト212に固定されて、第1の枢動シャフト212がリトラクタハウジング11に枢動的に接続される。ロック機構3が感知シート21をロック解除するとき、感知シート21及び第1の枢動シャフト212が、全体的にリトラクタハウジング11に対して回転する。
【0046】
第2の接続手段:感知シート21が第1の枢動シャフト212に回転可能に装着されて、第1の枢動シャフト212がリトラクタハウジング11に固定される。ロック機構3が感知シート21をロック解除するとき、感知シート21は、第1の枢動シャフト212に対して回転することができる。
【0047】
感知シート21が第1の枢動シャフト212に固定的に接続されているか、回転可能に(枢動可能に)接続されているかにかかわらず、ロック機構3が感知シート21をロック解除するとき、感知シート21は、第1の枢動シャフト212の軸に対して回転することができる。
【0048】
センサ2がリトラクタハウジング11に装着されるとき、感知シート21が、初期位置を有し、初期位置に位置する感知シート21の重心が、第1の枢動シャフト212の軸の直下に位置し、そのため、感知シート21が、垂直状態に留まる。
【0049】
ロック機構3のロック状態及びロック解除状態は、シートバック301のロック状態及び調節可能状態に対応する。シートバック301がロックされるとき、ロック機構3が、ロック状態になり、ロック機構3が、感知シート21をロックする。シートバック301の角度が調節されるときには、ロック機構3がロック解除状態になり、ロック機構3が感知シート21をロック解除する。
【0050】
ロック機構3としては、ロックピン、ラッチボルト、ボルト、プッシュロッド、及びストップアームなどの機構が選択され得る。感知シート21をロック及びロック解除することができる任意の機構をロック機構3とみなすことができる。
【0051】
ロック機構3のロック状態及びロック解除状態は、所望に応じて手動で操作するように構成され得るか、又は所望に応じて自動的に操作するように構成され得る。
【0052】
ロック機構3が感知シート21をロックするとき、感知シート21が、初期位置に位置する。車両が急激に制動した又は傾斜した場合などの状況では、慣性力の作用下で、感知ボール22が収容凹部211内を前方に転がり、収容凹部211の前側面上の陥凹壁に沿って上方に移動し、それによって、爪14の当接部分141を押し上げ、そのため、爪14が、第2の枢動シャフト142を中心に回転する。歯を有する爪14の前端部が上方に回転して、ラチェット13と係合して、ラチェット13をロックし、そのため、シートベルトリールが、それ以上回転しなくなり、それによって、シートベルトが引き出されるのを防止する。
【0053】
したがって、本発明によって提供される常時ロックセンサ装置の場合、シートバック301の角度が調節されていない限り、感知シート21がロック機構3によって初期位置にロックされ、そのため、感知シート21の角度及び位置は、車両の速度の変化に影響されない。
【0054】
シートバック301の角度が調節されるとき、シートベルトリトラクタ1及びロック機構3が、シートバック301とともに回転シャフト303を中心に回転する。しかしながら、感知シート21が第1の枢動シャフト212の軸に対してだけ回転して、常に初期位置に留まり、感知ボール22もまた実質的に静止したままになり、そのため、感知ボール22と、爪14と、ラチェット13との間の相対的位置が変化せず、それによって、製品の性能の安定性を改善する。
【0055】
1つの実施形態では、
図1~
図6に示されるように、釣合錘ブロック213は、感知シート21に載置されており、釣合錘ブロック213は、第1の枢動シャフト212の軸の直下に位置する。
【0056】
ロック機構3がロック解除状態にあるときには、釣合錘ブロック213が感知シート21を初期位置に留まらせる。
【0057】
本実施形態では、釣合錘ブロック213が感知シート21内に提供され、釣合錘ブロック213が第1の枢動シャフト212の軸の直下に位置し、それによって、感知シート21及び釣合錘ブロック213の組み合わせの重心の位置を第1の枢動シャフト212の軸の直下に維持するのを容易にし、ロック機構3がロック解除状態にあるときに感知シート21が初期位置に留まるのを補助する。
【0058】
1つの実施形態では、感知ボール22が収容凹部211の静止状態にあるときには、感知ボール22の重心が釣合錘ブロック213の直上に位置し、そのため、感知ボール22の重心、並びに感知シート21及び釣合錘ブロック213の組み合わせの重心が、同じ垂直線に位置し、センサ2が垂直状態に留まるのを容易にする。
【0059】
1つの実施形態では、
図2~
図9に示されるように、収容凹部211の反対側に面している感知シート21の側面には、湾曲ラック214が提供されており、釣合錘ブロック213が湾曲ラック214の2つの端部の間に位置する。
【0060】
ロック機構3は、感知シート21の一側面に位置する。
【0061】
ロック機構3は、拡張可能なロックピン31と、ロックピン31を感知シート21の側面に向かって移動させるように駆動するための駆動部材32と、を含む。
【0062】
湾曲ラック214に面するロックピン31の端部分は、ロックピン歯311を有する。
【0063】
ロックピン歯311が湾曲ラック214と係合するとき、ロック機構3が、感知シート21をロックする。
【0064】
ロックピン歯311が湾曲ラック214から分離されるとき、ロック機構3が、感知シート21をロック解除する。
【0065】
本実施形態では、感知シート21の底部には、湾曲ラック214が提供されており、湾曲ラック214及び感知シート21は、一体的に形成され得る。釣合錘ブロック213は、湾曲ラック214の2つの端部間に位置する。すなわち、感知シート21及び釣合錘ブロック213の組み合わせの重心は、湾曲ラック214の2つの端部間に位置する。
【0066】
ロック機構3は、感知ボール22の反対側に面する感知シート21の一側面に位置する。ロック機構3は、拡張可能なロックピン31と、駆動部材32と、を含む。ロックピン31は、湾曲ラック214に向かって延在しており、ロックピン31の端部分は、ロックピン歯311を有する。駆動部材32は、ロックピン31を感知シート21の側面に向かって移動するように駆動して、ロックピン歯311を湾曲ラック214と係合させるために使用される。駆動部材32は、ロックピン31を直線的に移動させるように駆動することができる、弾性部材、シリンダ、及びモータなどの部材であり得る。
【0067】
ロック機構3は、支持体33を含む。ロックピン31は、支持体33の貫通孔を横断しており、また、支持体33に対して摺動することができる。ロックピン31は、接続プレート34を有し、駆動部材32は、支持体33と接続プレート34との間に接続されている。
【0068】
通常状態では、シートバック301はロックされている。駆動部材32は、湾曲ラック214の側面に向かって移動させるようにロックピン31を駆動して、ロックピン歯311を湾曲ラック214と係合させて、かかるときに、ロック機構3が感知シート21をロックする。
【0069】
シートバック301の角度を調節する必要がある場合、ロックピン31を湾曲ラック214から離れさせる動作が行われ得る。かかるときに、ロック機構3が感知シート21をロック解除する。具体的には、駆動部材をオフにすること、駆動部材をリセットすること、又はロックピン31を手動で引っ張ること、などによって、ロックピン31を湾曲ラック214から離れさせ得る。
【0070】
ロックピン31がシートバック301とともに回転するときには、ロックピン31と湾曲ラック214との間の距離が変化せず、それによって、ロックピン31と湾曲ラック214との間の噛合又は分離の制御を容易にする。
【0071】
1つの実施形態では、駆動部材32は、弾性要素321である。
【0072】
弾性要素321が圧縮状態にあるときには、ロックピン31が湾曲ラック214から分離されている。
【0073】
弾性要素321が解除状態にあるときには、ロックピン31が湾曲ラック214と噛合している。
【0074】
本実施形態では、駆動部材32は、拡張ばね又は弾性片などの弾性要素321であり、それによって、動作を容易にする。
【0075】
通常状態では、接続プレート24を押し上げるように弾性要素321が解除されるか、又は広げられ、それによって、湾曲ラック214と噛合するようにロックピン31を駆動する。
【0076】
シートバック301の角度を調節する必要がある場合は、弾性要素321の作用力に打ち勝つようにロックピン31を引っ張るか、又は電磁機構によって弾性要素321を圧縮し、そのため、ロックピン31が、湾曲ラック214から分離される。
【0077】
1つの実施形態では、
図10に示されるように、シートベルト巻き取り及びロック装置100は、弾性要素321を圧縮状態と解除状態との間で切り替えるように駆動するための電磁アクチュエータ4を更に含む。
【0078】
電磁アクチュエータ4は、電源をオンにすると弾性要素321を圧縮することができる電磁石41と、車両コンピュータ200に接続されており、電磁石41の電源のオン及びオフを制御することができるコントローラ42と、を含む。
【0079】
通常状態では、電磁石41が電源オフ状態にあり、弾性要素321が解除状態にある。
【0080】
コントローラ42が車両コンピュータ200によって送信されたシートバックの角度調節信号を受信するとき、コントローラ42が、電磁石41の電源をオンにするように制御して、弾性要素321を圧縮状態にする。
【0081】
本実施形態の電磁アクチュエータ4は、ボタンタイプ、キータイプ、又はタッチタイプのシートバック調節スイッチに適用可能である。電磁アクチュエータ4は、電磁石41と、コントローラ42と、回路基板43と、を含む。電磁石41及びコントローラ42はそれぞれ、回路基板43に接続されている。電磁石41は、支持体33に装着され得る。回路基板43は、電磁石41に給電するために使用される。コントローラ42は、回路の電源のオン及びオフを制御することによって、電磁石41の電源をオン及びオフにし得る。車両コンピュータ200は、センサによって、電気的に調節可能なシート内のモータの動作状態、シートロックピンの状態、ユーザ操作、などを監視することができる。概して、ユーザがシートバック301の調節を選択していない場合、シートバック301は、常にデフォルトのロック状態(通常状態)にあるとみなされる。コントローラ42は、回路の電源をオフにするように制御し得、電磁石41の電源をオフにする。通常状態にある電磁石41は、電源オフ状態にある。かかるときには、電磁石41が弾性要素321に吸引力を及ぼさず、弾性要素211は、解除状態又は広げた状態又は拡張状態にあり、ロックピン31を延出させて、湾曲ラック214と噛合させるように駆動することができる。ユーザがシートバック301の調節を選択した場合、車両コンピュータ200は、コントローラ42にシートバックの角度調節信号を送信する。コントローラ42は、回路を閉じるように制御し、電磁石41の電源をオンにする。電源がオンになった電磁石41は、磁場を生成して弾性要素321を引き寄せ、そのため、弾性要素321が、圧縮され、ロックピン31を引っ張って、湾曲ラック214から分離させることができる。
【0082】
1つの実施形態では、
図11~
図12に示されるように、シートベルト巻き取り及びロック装置100は、シートアジャスタ6の回転シャフト61とロックピン31との間を接続するための引っ張りコード5を更に含む。
【0083】
シートアジャスタ6がロック状態にあるときには、弾性要素321が解除状態にあり、ロックピン31が湾曲ラック214と噛合している。
【0084】
シートアジャスタ6がロック解除状態にあるときには、引っ張りコード5がロックピン31を引っ張って湾曲ラック214から離れさせて、弾性要素321を圧縮状態にする。
【0085】
本実施形態の引っ張りコード5は、回転シャフトを有するハンドルタイプのシートバック調節スイッチに適用可能である。
【0086】
シートアジャスタ6は、ハンドル、ロッカー、などであり得、回転シャフト61を有する。引っ張りコード5の一方の端部は、ロックピン31に接続されており、他方の端部は、回転シャフト61の周りに巻回されている。回転シャフト61は、シートバック301及びシートクッション302の回転シャフト303に装着され得る。
【0087】
シートアジャスタ6がロック状態又はロック位置(通常状態)にあるときには、シートバック301がロックされて、引っ張りコード5はロックピン31に作用しない。弾性要素211は、解除状態又は広げた状態又は拡張状態にあり、ロックピン31を延出させて、湾曲ラック214と噛合させるように駆動することができる。シートアジャスタ6がロック解除状態又は係止解除位置へと回転するときには、回転シャフト61がそれに応じて回転して引っ張りコード5を巻回し、引っ張りコード5がロックピン31を引っ張って弾性要素321を圧縮し、そのため、ロックピン31が、湾曲ラック214から分離される。
【0088】
1つの実施形態では、
図3~
図8に示されるように、湾曲ラック214は、互いに対向して配置された第1の端部2141及び第2の端部2142を有する。
【0089】
釣合錘ブロック213と第1の端部2141との間の距離は、釣合錘ブロック213と第2の端部2142との間の距離よりも短い。
【0090】
シートバック301が垂直状態にあるときには、ロックピン31が湾曲ラック214の下方に位置し、釣合錘ブロック213に面する。
【0091】
シートバック301が水平になるように後方に倒された状態にあるときには、ロックピン31が湾曲ラック214の前側面に位置し、第2の端部2142に面する。
【0092】
第1の端部2141は、湾曲ラック214の後端部であり、第2の端部2142は、湾曲ラック214の前端部である。釣合錘ブロック213が第1の端部2141に近づくほど、湾曲ラック214の長さが短くなり得る。
【0093】
湾曲ラック214の半径をrとすると、湾曲ラック214が1/2πrの円弧よりも僅かに長ければ、シートバック301を垂直状態から後方に90°調節することが可能である。
【0094】
1つの実施形態では、爪14が、第2の枢動シャフト142によってリトラクタハウジング11に接続されている。第1の枢動シャフト212は、シートバック301の回転シャフト303に平行であり、第2の枢動シャフト142及びコアシャフト12はそれぞれ、第1の枢動シャフト212に平行であり、それによって、製品構造の配置を容易にし、感知シート21を車幅方向に対して垂直なままにし、また、車幅方向に振動させず、センサ2を垂直状態のままにするのを容易にする。
【0095】
図13~
図16に示されるように、本発明の一実施形態によって提供される自動車用シート300は、シートバック301と、前述の実施形態のいずれか1つに記載のシートベルト巻き取り及びロック装置100と、を含む。
【0096】
リトラクタハウジング11は、シートバック301のバックレストフレームに固定的に接続されている。
【0097】
シートバック301がロックされるとき、ロック機構3が、感知シート21をロックする。
【0098】
シートバック301の角度が調節されるときには、ロック機構3が感知シート21をロック解除する。
【0099】
本発明によって提供される自動車用シート300は、シートバック301と、シートクッション302と、回転シャフト303と、シートベルト巻き取り及びロック装置100と、を含む。
【0100】
シートベルト巻き取り及びロック装置100の構造、構成、及び作動原理については、シートベルト巻き取り及びロック装置100の上述の説明を参照されたい。本明細書では、詳細を再度説明しない。
【0101】
シートバック301は、回転シャフト303によってシートクッション302に接続されている。シートバック301は、シートクッション302に対して回転シャフト303を中心に回転させて調節することができる。シートバック301の調節手段及び調節機構については、先行技術の内容を参照することができる。
【0102】
ロック機構3のロック状態及びロック解除状態は、シートバック301のロック状態及び調節可能状態に対応する。シートバック301がロックされるとき、ロック機構3が、ロック状態になり、ロック機構3が、感知シート21をロックする。シートバック301の角度を調節する必要があるときには、又は調節するときには、ロック機構3がロック解除状態になり、ロック機構3が感知シート21をロック解除する。
【0103】
したがって、本発明によって提供される自動車用シート300の場合、シートバック301の角度が調節されていない限り、感知シート21がロック機構3によって初期位置にロックされ、そのため、感知シート21の角度及び位置は、車両の速度の変化に影響されない。
【0104】
シートバック301の角度が調節されるときには、シートベルトリトラクタ1及びロック機構3がシートバック301とともに回転する。しかしながら、感知シート21が第1の枢動シャフト212の軸に対してだけ回転して、常に初期位置に留まり、感知ボール22もまた実質的に静止したままになり、そのため、感知ボール22と、爪14と、ラチェット13との間の相対的位置が変化せず、それによって、製品の性能の安定性を改善する。
【0105】
要件に応じて、上記の技術的解決策は、最適な技術的効果を達成するように組み合わせることができる。
【0106】
上記の説明は、単に、本発明の原理及び好ましい例の例示である。他の変形形態は当業者によって本発明の原理に基づいてなされてもよく、このような変形形態は、本発明の保護の範囲内にあるとして解釈されるべきであることに留意されたい。
【国際調査報告】