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特表2024-533272インラインヒータ過熱システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】インラインヒータ過熱システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20240905BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20240905BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61M1/28 130
A61M1/16 110
A61M1/16 171
A61M1/36 175
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024514658
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2022042613
(87)【国際公開番号】W WO2023038886
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,738
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ファルマン, オスカル エリク フローデ スティルビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ペッテルソン, ミケル
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン, ジミー マルクス アクセル
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077AA06
4C077BB01
4C077EE03
4C077HH02
4C077HH13
4C077HH14
4C077JJ02
4C077JJ13
4C077JJ15
(57)【要約】
インライン加熱システム(10)であって、インライン加熱システム(10)は、ヒータ素子(26a、26b)を含むインラインヒータ(20)と、インラインヒータに給電するために電圧または電流の一方が印加されるようにするように構成された制御ユニット(50)と、印加された電圧または電流に起因するヒータ素子における電流または電圧の他方を測定するように位置付けられ、配置された電流計または電圧計(66、66a、66b)とを含み、制御ユニットは、該制御ユニットによって実装される無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として、印加された電圧または電流と測定された電流または電圧とを使用してヒータ素子抵抗を決定するようにさらに構成され、インラインヒータに給電するために印加される電圧または電流は、無流量または低流量状態が検出された場合、停止される、インライン加熱システム(10)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インライン加熱システム(10)であって、前記インライン加熱システム(10)は、
ヒータ素子(26a)を含むインラインヒータ(20)と、
前記インラインヒータ(20)に給電するために電圧または電流の一方が印加されるようにするように構成された制御ユニット(50)と、
前記制御ユニット(50)に出力する電流計または電圧計(66、66a)の少なくとも一方と
を備え、
前記電流計または電圧計(66、66a)の前記少なくとも一方は、前記印加された電圧または電流に起因する前記ヒータ素子(26a)における前記電流または電圧の少なくとも一方を測定するように配置され、前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として、前記印加された電圧または電流と、前記測定された前記電流または電圧の少なくとも一方とを使用してヒータ素子抵抗(R)を決定するようにさらに構成され、前記インラインヒータ(20)に給電するために印加される前記電圧または電流は、前記無流量または低流量状態が検出された場合、停止される、インライン加熱システム(10)。
【請求項2】
前記制御ユニット(50)は、前記電流計または前記電圧計(66、66a)の前記少なくとも一方を含む、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項3】
前記制御ユニット(50)は、前記無流量または低流量状態が検出されるかどうかを決定するために、サンプル期間にわたって異なる時間に前記印加された電圧または電流と前記測定された少なくとも一方の電流または電圧とを使用して複数のヒータ素子抵抗(R)を決定するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項4】
前記ヒータ素子(26a)は、第1のヒータ素子であり、前記インライン加熱システム(10)は、少なくとも1つのさらなるヒータ素子(26b)を含み、前記制御ユニット(50)は、前記無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として各ヒータ素子(26a、26b)のためのヒータ素子抵抗(R)を決定するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項5】
前記少なくとも一方の電流計または電圧計(66、66a)は、第1の電流計または電圧計であり、前記インライン加熱システム(10)は、少なくとも一方のさらなる電流計または電圧計(66b)を含み、前記少なくとも一方のさらなる電流計または電圧計(66b)は、前記少なくとも1つのさらなるヒータ素子(26b)における前記少なくとも一方の電流または電圧を測定するように配置されている、請求項4に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項6】
前記制御ユニット(50)は、前記ヒータ素子(26a、26b)のいずれかで前記無流量または低流量状態が検出された場合、前記インラインヒータ(20)に給電するために印加される前記電圧または電流を停止するように構成されている、請求項4に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項7】
前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される前記低流量状態検出アルゴリズムの一部として、決定されたヒータ素子抵抗(R)における変化率を決定されたヒータ素子抵抗(R)における設定された最大変化率と比較するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項8】
前記決定されたヒータ素子抵抗(R)における変化率は、正の変化率である、請求項7に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項9】
前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される前記低流量状態検出アルゴリズムの一部として、前記決定されたヒータ素子抵抗(R)を較正されたヒータ素子抵抗(R)と比較するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項10】
前記較正されたヒータ素子抵抗(R)は、前記インライン加熱システムからリモートで決定された後、前記制御ユニット(50)に記憶されている、請求項9に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項11】
前記較正されたヒータ素子抵抗(R)は、(i)前記インラインヒータ(20)を通る流体流量または(ii)前記インラインヒータ(20)への入力電力の少なくとも一方に特有である、請求項9に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項12】
前記制御ユニット(50)は、(i)100Hz以上または(ii)前記インラインヒータ(20)に給電するパルス電圧源の周波数より少なくとも2倍大きいの少なくとも一方であるサンプルレートで前記電流または電圧の前記少なくとも一方を測定するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項13】
前記制御ユニット(50)は、前記測定された前記電流または電圧の少なくとも一方をフィルタリングするように構成されたアナログヒータ保護回路(70)を含む、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項14】
インライン加熱システム(10)であって、前記インライン加熱システム(10)は、
ヒータ素子(26a、26b)を含むインラインヒータ(20)と、
前記インラインヒータ(20)に給電するために電圧または電流を印加するように位置付けられた電圧源または電流源と、
アナログヒータ保護回路(70)と
を備え、
前記アナログヒータ保護回路(70)は、(i)前記印加された電圧または電流に起因する前記ヒータ素子(26a、26b)における前記電流または電圧の少なくとも一方を測定することと、(ii)前記印加された電圧または電流と、前記測定された前記電流または電圧の少なくとも一方とを使用してヒータ素子抵抗(R)を決定することと、(iii)前記ヒータ素子抵抗(R)が無流量または低流量状態を示す場合、停止電力信号を供給することまたはイネーブル信号を無効にすることとを行うように構成されている、インライン加熱システム(10)。
【請求項15】
前記アナログヒータ保護回路(70)は、測定回路、除算回路、差動回路、比較器、またはローパス/タイマ回路の少なくとも1つを含む、請求項14に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項16】
インライン加熱システム(10)であって、前記インライン加熱システム(10)は、
ヒータ素子(26a、26b)を含むインラインヒータ(20)と、
制御ユニット(50)と
を備え、
制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として、ヒータ素子抵抗(R)における変化率をヒータ素子抵抗(R)における設定された最大変化率と比較するように構成され、前記無流量または低流量状態が検出された場合、前記インラインヒータ(20)に印加される電力は、停止される、インライン加熱システム(10)。
【請求項17】
前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される前記低流量状態検出アルゴリズムの一部として、少なくとも1つの決定されたヒータ素子抵抗(R)を少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗(R)と比較するようにさらに構成されている、請求項16に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項18】
前記少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗(R)は、前記インライン加熱システムからリモートで決定された後、前記制御ユニット(50)に記憶されている、請求項17に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗(R)は、(i)前記インラインヒータ(20)を通る流体流量または(ii)前記インラインヒータ(20)への入力電力の少なくとも一方に特有である、請求項17に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項20】
前記インライン加熱システム(10)は、腹膜透析機、血液透析機、血液濾過機、血液透析濾過機、連続腎置換療法機、浄水ユニット、透析流体調製ユニット、または血液加温器の一部として提供される、請求項16に記載のインライン加熱システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれ、依拠される2021年9月8日に出願された米国仮特許出願第63/241,738号の優先権および利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、医用流体治療に関し、特に、透析流体治療中の処理流体の加熱に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な原因により、人の腎臓系が機能しなくなり得る。腎不全は、幾つかの生理学的障害を生じる。水とミネラルのバランスをとること、または毎日の代謝負荷を排出することはもはや不可能である。尿素、クレアチニン、尿酸などの代謝の毒性最終生成物は、患者の血液および組織に蓄積し得る。
【0004】
腎機能の低下、とりわけ腎不全は、透析によって治療される。透析は、正常に機能する腎臓がそうでなければ除去するであろう排泄物、毒素および過剰な水を身体から除去する。腎機能の代替のための透析治療は、治療が救命的であるため、多くの人々にとって重要である。
【0005】
腎不全療法の1つのタイプは、血液透析(「HD」)であり、それは、一般に患者の血液から老廃物を除去するために拡散を使用する。拡散勾配が、血液と透析物または透析流体と呼ばれる電解質溶液との間で半透性透析器を横切って生じ、拡散を引き起こす。
【0006】
血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流輸送に依存する代替的な腎代替療法である。HFは、治療中、体外回路に置換流体または代替流体を加えることによって達成される。治療の間に患者によって蓄積された置換流体および流体は、HF治療の過程にわたって限外濾過され、HF治療は、中分子および大分子を除去することにおいて特に有益な対流輸送機構を提供する。
【0007】
血液透析濾過(「HDF」)は、対流クリアランスと拡散クリアランスとを組み合わせた治療法である。HDFは、標準的な血液透析と同様、拡散クリアランスを提供するために透析器を通して流れる透析流体を使用する。さらに、置換溶液が、対流クリアランスを提供するために体外回路に直接供給される。
【0008】
ほとんどのHD、HF、およびHDF治療は、センターで行われる。家庭血液透析(「HHD」)への傾向が今日存在するのは、HHDが毎日実施されることができ、典型的に週2回または3回行われる施設内血液透析治療より治療上の利益を提供するからである。研究は、より頻繁な治療が、より頻繁ではないがおそらくより長い治療を受けている患者より多くの毒素および老廃物を除去し、透析間液の過負荷を少なくすることを示している。より頻繁な治療を受けている患者は、治療前に2または3日分の毒素を蓄積している施設内の患者ほど多くのダウンサイクル(体液および毒素の変動)を経験しない。特定の地域では、最も近い透析センターは、患者の自宅から何マイルも離れていることもあり、それは、ドアツードアの治療時間が1日の大部分を消費する原因となる。患者の自宅に近い施設での治療も、患者の一日の大部分を消費し得る。HHDは、患者がリラックスし、仕事をし、または他の様態で生産的である間、一晩または日中に行うことができる。
【0009】
別のタイプの腎不全療法は腹膜透析(「PD」)であり、PDは透析流体またはPD流体とも呼ばれる透析溶液をカテーテルを介して患者の腹膜腔に注入する。PD流体は、患者の腹膜チャンバ内の腹膜と接触する。廃棄物、毒素および過剰な水は、患者の血流から腹膜膜の毛細管を通り、拡散および浸透によりPD流体に入る。すなわち、浸透勾配が膜を横切って生じる。PD流体中の浸透圧剤は、浸透圧勾配を提供する。使用済みPD流体は、患者から排出させられ、患者から老廃物、毒素および過剰な水を除去する。このサイクルは、例えば複数回繰り返される。
【0010】
連続携行式腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流量透析および連続流量腹膜透析(「CFPD」)を含む腹膜透析療法の様々なタイプが、ある。CAPDは、手動透析治療である。ここで、患者は、埋め込まれたカテーテルをドレインに手動で接続して、使用済みPD流体を患者の腹膜腔から排出することを可能にする。次いで、患者は、流体連絡を切り替え、それによって、患者カテーテルは、カテーテルを通して患者に新鮮なPD流体を注入するための新鮮なPD流体のバッグと通じる。患者は、カテーテルを新鮮なPD流体バッグから切り離し、PD流体が患者の腹膜腔内に留まることを可能にし、排泄物、毒素および過剰な水の移送が行われる。滞留期間の後、患者は、例えば1日4回、手動透析手順を繰り返す。手動腹膜透析は、患者からのかなりの量の時間および労力を必要とし、改善の余地を十分に残す。
【0011】
APDは、透析治療がドレイン、充填および滞留サイクルを含むという点でCAPDと同様である。しかしながら、APD機は、通常、患者の睡眠中にサイクルを自動的に実行する。APD機は、治療サイクルを手動で実行する必要から患者を解放し、日中に補給物質を輸送する必要から患者を解放する。APD機は、埋め込まれたカテーテル、新鮮なPD流体の供給源またはバッグ、および流体ドレインに流体接続する。APD機は、透析流体源からカテーテルを通って患者の腹膜チャンバに新鮮なPD液を圧送する。APD機は、PD流体がチャンバ内に滞留し、廃棄物、毒素および過剰な水の移送が行われることも可能にする。供給源は、幾つかの溶液バッグを含む複数リットルの透析流体を含み得る。
【0012】
APD機は、患者の腹膜腔からカテーテルを介して、使用したPD流体をポンプで排出する。手動プロセスと同様、透析中に幾つかのドレイン、充填および滞留サイクルが起こる。「最後の充填」は、APD治療の終了時に起こり得る。最後の充填流体は、次の治療の開始まで患者の腹膜腔内に残り得るか、または、日中のある時点で手動で空にされ得る。
【0013】
透析流体またはHD、HF、HDFおよびPDの治療は、一般に、透析器(HD、HDF)、血液ライン(HF、HDF)または患者(PD)に送達される前に加熱される。透析流体は、典型的に、透析流体が患者の血液と混ざり合うかまたは患者の腹膜腔に送達されるときに患者が熱ショックを経験しないように、体温または37°Cに加熱される。透析流体ヒータの1つのタイプは、透析流体がインラインヒータを通過するときに透析流体を加熱するインライン透析流体ヒータである。インラインヒータは、治療が行われているときにオンラインで動作し、治療からオフラインでの別個の時間量を必要としないので有利である。しかしながら、オンライン加熱の1つの欠点は、インラインヒータに給電されているときに透析流体が流れない場合、インラインヒータが過熱し得ることである。
【0014】
したがって、無流量または低流量状態に起因するインラインヒータにおける過熱を防止または緩和する効果的で低コストの方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、腹膜透析(「PD」)機、血液透析(「HD」)機、血液濾過(「HF」)機、血液透析濾過(「HDF」)機または連続腎置換療法(「CRRT」)機などの任意の種類の透析機であり得る透析機におけるインラインヒータの使用を含む。インラインヒータは、治療のためにヒータを通って患者(PD)、透析器(HD、HDF)、または血液ライン(HF、HDF、CRRT)に向かって流れる透析流体を加熱する。インライン加熱方法は、治療のために送達される前に透析流体のバッグを加熱するためにPDと共に一般的に使用されるバッチヒータとは対照的である。本開示のインラインヒータは、バッチ加熱のためのバッグの維持に関わる設置面積を必要としないので有利である。インラインヒータは、必要に応じて透析流体を加熱し、治療を開始する前の加熱期間の必要性も排除する。
【0016】
本開示のインラインヒータは、透析流体が流れていない状態で透析流体を加熱しようとする場合、インラインヒータが過熱し得るという一観点で不利である。ヒータに通電する条件として流れが存在することを確実にするために、フロースイッチがインラインヒータの前方に配置され得る。しかしながら、フロースイッチはコストを増加させ、スタックするか、そうでなければ適切に機能しないこともある。
【0017】
本解決策のインライン流体加熱システムは、インラインヒータのヒータ素子の抵抗を決定することを含む。ヒータ素子の抵抗は、典型的に、温度の上昇とともに増加する。ヒータ素子の抵抗は、一実施形態において、インラインヒータが給電されている間にヒータ素子に印加される電圧または電流の量を把握することと、ヒータ素子における電流または電圧の他方を測定することとによって計算される。ヒータ素子抵抗Rは、V/Iに等しい。計算された抵抗は、透析機の制御ユニットに格納されたアルゴリズムに適用され、インラインヒータ内に低流量状態または無流量状態が存在するかどうかを決定する。
【0018】
1つの想定し得るアルゴリズムは、最大ヒータ素子抵抗の増加または抵抗導関数(ヒータ素子抵抗の経時的な変化)を設定する。ヒータ素子抵抗の変化率または増加率を見ることによって、温度が過度に上昇する前に、またはインラインヒータを損傷し得る時点までに、インラインヒータを通じた無流量または低流量状態を早期に検出することができる。通電されたインラインヒータに流体の流れがない場合、温度は急速に上昇し、したがってヒータ抵抗は急速に上昇する。ある期間またはある時間にわたるヒータ素子抵抗の変化(変化率)、例えばサンプル期間にわたるヒータ素子抵抗の変化が、その期間あたりの抵抗の設定された最大変化率を満たすかまたは超える場合、アルゴリズムは、制御ユニットをトリガして、インラインヒータの通電を自動的に停止し、治療を停止し、患者、介護者または看護師に警告する。
【0019】
過熱アルゴリズムの1つの想定し得る実装は、透析機の製造および/または保守時にインラインヒータの特性評価を行う特性評価プログラムを実行することである。特性評価プログラムは、インラインヒータ抵抗が温度にどのように関連するかを特徴とする。ここで、インラインヒータは、既知の流量の流体を受け取りながら通電される。入力電力は、流量を一定に保ちながら変動させられる。温度センサを使用して、インラインヒータの下流の試験流体温度を測定して、ヒータが試験流体を適切に加熱していることを確認することができる。特性評価プログラムは、所与の流体流量に関して、(ヒータ素子温度と互いに関係する)測定されたヒータ素子抵抗を入力電力設定の共通または使用範囲にわたって知ることを可能にする。得られた較正データテーブルは、その後、透析機の制御ユニットのメモリに記憶される。制御ユニットは、治療中に較正データを使用して、インラインヒータが過熱しているときを検出する。すなわち、所与のまたは指令された流量および指令された入力電力設定に関して、測定されたヒータ素子抵抗Rが指令された透析流体温度に関してあるべきより大きいことを検出する。
【0020】
したがって、透析機の制御ユニットに記憶されたアルゴリズムは、(i)無流量または低流量状態が開始していることを示すヒータ素子抵抗の変化率(導関数)、および(ii)較正抵抗と比較した決定抵抗の2つの要因を分析することができる。すなわち、ヒータ素子抵抗の変化率は高く、無流量または低流量状態が始まり得ることを示すが、決定されたヒータ素子抵抗(および対応する温度)が所与の流量および電力入力設定に関してヒータ素子抵抗があるべきであると較正データが言うものより低い場合、アルゴリズムは、透析機の制御ユニットが治療を継続できるようにする。
【0021】
一実施形態において、電流または電圧測定のサイクルレートは非常に高くノイズが多くあり得、したがって、アルゴリズムは、一実施形態において、例えば、無流量または低流量の決定を行い、インラインヒータの通電を停止し、治療を停止し、患者、介護者または看護師に警告する前、1秒以上の期間にわたって多くの測定を行うように構成され得る。インラインヒータが過熱するには短すぎる安全な期間にわたって多くの測定を行うことは、誤ったトリップを防止するために著しく役立つ。多くの測定を行うことは、測定信号ノイズを効率的に抑制するために適切な数のサンプルも供給する。
【0022】
アナログヒータ保護回路は、本システムの制御ユニットの一部として提供され、電流および/または電圧の一方または両方において、本明細書で論じられる変化率または導関数を検出することができる。アナログヒータ保護回路は、測定回路、除算回路、差動回路、比較器、および/またはローパス/タイマ回路の1つ以上を含み得る。
【0023】
本明細書に記載の開示に照らして、決して本開示を限定するものではないが、任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第1の側面において、インライン加熱システムは、ヒータ素子を含むインラインヒータと、インラインヒータに給電するために電圧または電流の一方が印加されるようにするように構成される制御ユニットと、制御ユニットに出力し、印加された電圧または電流に起因するヒータ素子における電流または電圧の少なくとも一方を測定するように配置された電流計または電圧計の少なくとも一方であって、制御ユニットは、該制御ユニットによって実装される無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として、印加された電圧または電流と測定された電流または電圧の少なくとも一方とを使用してヒータ素子抵抗を決定するようにさらに構成され、インラインヒータに給電するために印加される電圧または電流は、無流量または低流量状態が検出された場合、停止される、電流計または電圧計の少なくとも一方とを含む。
【0024】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第2の側面において、制御ユニットは、電流計または電圧計の少なくとも一方を含む。
【0025】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第3の側面において、制御ユニットは、無流量または低流量状態が検出されるかどうかを決定するために、サンプル期間にわたって異なる時間に印加された電圧または電流と測定された少なくとも一方の電流または電圧とを使用して複数のヒータ素子抵抗を決定するように構成される。
【0026】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第4の側面において、ヒータ素子は、第1のヒータ素子であり、少なくとも1つのさらなるヒータ素子を含み、制御ユニットは、無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として各ヒータ素子におけるヒータ素子抵抗を決定するように構成される。
【0027】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第5の側面において、少なくとも一方の電流計または電圧計は、第1の電流計または電圧計であり、少なくとも1つのさらなるヒータ素子で少なくとも一方の電流または電圧を測定するように配置される少なくとも一方のさらなる電流計または電圧計を含む。
【0028】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第6の側面において、制御ユニットは、ヒータ素子のいずれかで無流量または低流量状態が検出された場合、インラインヒータに給電するために印加される電圧または電流を停止するように構成される。
【0029】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第7の側面において、制御ユニットは、制御ユニットによって実装される低流量状態検出アルゴリズムの一部として、決定されたヒータ素子抵抗の変化率を決定されたヒータ素子抵抗の設定された最大変化率と比較するように構成される。
【0030】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第8の側面において、決定されたヒータ素子抵抗における変化率は、正の変化率である。
【0031】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第9の側面において、制御ユニットは、制御ユニットによって実装される前記低流量状態検出アルゴリズムの一部として、決定されたヒータ素子抵抗を較正されたヒータ素子抵抗と比較するように構成される。
【0032】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第10の側面において、較正されたヒータ素子抵抗は、インライン加熱システムからリモートで決定された後、制御ユニットに記憶される。
【0033】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第11の側面において、較正されたヒータ素子抵抗は、(i)インラインヒータを通る流体流量または(ii)インラインヒータへの入力電力の少なくとも一方に特有である。
【0034】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第12の側面において、制御ユニットは、(i)100Hz以上または(ii)インラインヒータに給電するパルス電圧源の周波数より少なくとも2倍大きいの少なくとも一方であるサンプルレートで前記電流または電圧の少なくとも一方を測定するように構成される。
【0035】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第13の側面において、制御ユニットは、測定された電流または電圧の少なくとも一方をフィルタリングするように構成されたアナログヒータ保護回路を含む。
【0036】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第14の側面において、インライン加熱システムは、ヒータ素子を含むインラインヒータと、インラインヒータに給電するために電圧または電流を印加するように位置付けられた電圧源または電流源と、(i)印加された電圧または電流に起因するヒータ素子における電流または電圧の少なくとも一方を測定し、(ii)印加された電圧または電流と測定された電流または電圧の少なくとも一方とを使用してヒータ素子抵抗を決定し、(iii)ヒータ素子抵抗が無流量または低流量状態を示す場合、停止電力信号を供給するように構成されるアナログヒータ保護回路とを含む。
【0037】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第15の側面において、アナログヒータ保護回路は、測定回路、除算回路、差動回路、比較器、またはローパス/タイマ回路の少なくとも1つを含む。
【0038】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第16の側面において、インライン加熱システムは、ヒータ素子を含むインラインヒータと、制御ユニットであって、制御ユニットは、該制御ユニットによって実装される無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として、ヒータ素子抵抗の変化率をヒータ素子抵抗における設定された最大変化率と比較するように構成され、無流量または低流量状態が検出された場合、インラインヒータに印加される電力が停止される、制御ユニットとを含む。
【0039】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第17の側面において、制御ユニットは、該制御ユニットによって実装される低流量状態検出アルゴリズムの一部として、少なくとも1つの決定されたヒータ素子抵抗を少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗と比較するようにさらに構成される。
【0040】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第18の側面において、少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗は、インライン加熱システムからリモートで決定された後、制御ユニットに記憶される。
【0041】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第19の側面において、少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗は、(i)インラインヒータを通る流体流量または(ii)インラインヒータへの入力電力の少なくとも一方に特有である。
【0042】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第20の側面において、インライン加熱システムは、腹膜透析機、血液透析機、血液濾過機、血液透析濾過機、連続腎置換療法機、浄水ユニット、透析流体調製ユニット、または血液加温器の一部として提供される。
【0043】
任意の他の側面またはその一部と組み合わせることができる第21の側面において、図1図4のいずれか1つ以上に関連して説明した特徴、機能、および代替形態のいずれかは、図1図4の他のいずれかに関連して説明した特徴、機能、および代替例のいずれかと組み合わせられ得る。
【0044】
したがって、上記の側面および本開示に照らして、本開示の利点は、無流量または低流量状態のときに非通電になるインラインヒータを有する透析機を提供することである。
【0045】
本開示の別の利点は、費用効果の高いインラインヒータ無流量または低流量保護を有する透析機を提供することである。
【0046】
本開示のさらなる利点は、大幅なさらなるハードウェアを必要としないインラインヒータ無流量または低流量保護を有する透析機を提供することである。
【0047】
さらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面に記載され、それらから明らかになる。本明細書に記載の特徴および利点は、全てを含むものではなく、特に、多くのさらなる特徴および利点が、図面および説明を考慮すると当業者には明らかである。任意の特定の実施形態は、本明細書にリストアップされた利点の全てを有する必要はなく、個々の有利な実施形態を別々に請求することも、明確に企図される。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】腹膜透析(「PD」)、血液透析(「HD」)機、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)、連続腎置換療法(「CRRT」)および血液加温などの多くの異なる種類の透析様式で使用され得るポンプ、圧力センサおよび温度センサと組み合わせたインラインヒータを示す概略フロー図である。
【0049】
図2】本開示の低流量検出または無流量検出に使用される複数のヒータ素子および検知構成要素を示す図1のインラインヒータの断面図である。
【0050】
図3】アナログヒータ保護回路を使用する本開示のシステムの代替実施形態を示す概略ブロック図である。
【0051】
図4】共通の期間にわたるインラインヒータ電力入力、透析流体流量、およびヒータ素子抵抗を互いに関係づけるグラフの集合である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここで図面、特に図1を参照すると、インライン加熱システム10が示される。インライン加熱システム10は、腹膜透析(「PD」)、血液透析(「HD」)機、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)、連続腎置換療法(「CRRT」)および血液加温を含むがこれらに限定されない多くの医用流体用途に使用され得る。透析がインライン加熱システム10の主な焦点であるが、システムは、それに限定されない。例えば、インライン加熱システム10は、透析流体の生成のために精製水を調製し、下流での使用または消毒のために水を加熱する浄水ユニットに使用され得る。インライン加熱システム10は、透析流体をオンラインで調製し、下流での使用または消毒のために透析流体を加熱する透析流体調製ユニットで代替的に使用され得る。
【0053】
インライン加熱システム10は、流体源12sを含み、それは、例えば、PD流体源、HD流体源、交換流体源(HF、HDF、CRRT)、または水源であり得る。インライン加熱システム10は、流体目的地12dを含み、それは、患者の腹膜腔(PD)、透析器(HD、HDF)、血液ライン(HF、HDF、CRRT)、透析流体調製ユニット(インライン加熱システム10が浄水ユニットに使用されるか、またはそれによって提供される場合)、または透析機(例えば、PDサイクラー、透析インライン加熱システム10が透析流体調製ユニットに使用されるかまたはそれによって提供される場合)であり得る。或いは、インライン加熱システム10が血液加温器の一部として提供される場合、流体源12sおよび流体目的地12dの両方は、患者であり得る。
【0054】
供給源12sからの流体(流体が前述のものに限定されないが、以下透析流体と呼ばれる)は、ポンプ16を介して流体ライン14に沿って圧送される。ポンプ16は、任意の種類の流体ポンプ、例えば、ピストン、ギア、遠心または回転ベーンポンプなど、透析流体と直接接触する耐久性のある(再使用可能な)ポンプであり得る。或いは、ポンプ16は、使い捨てカセットで動作する空気圧ポンプ、使い捨てカセットで動作する電気機械式ポンプ、または蠕動管セグメントで動作する蠕動ポンプなどの使い捨て構成要素を有し得る。
【0055】
流体源12sと流体目的地12dとの間の流体ライン14に沿って配置された多くの異なる構成要素、例えば、1つ以上のバルブ、エアトラップ、および様々なセンサがあると考えられる。説明を容易にするために、圧力センサ18pおよび温度センサ18tを有するインライン加熱システム10が示されている。圧力センサ18pの出力は、正または負の圧力限界を超えないようにポンプ16を制御するためのフィードバックとして使用され得る。温度センサ18tの出力は、インラインヒータ20への入力電力を制御するためのフィードバックとして使用され得る。温度センサ18tは、ヒータから出る透析流体の温度を感知するように、インラインヒータ20の下流側に配置される。必要に応じて、インラインヒータ20に入る透析流体の温度に関するフィードフォワード情報を供給するために、インラインヒータ20の上流側にさらなる温度センサを配置され得る。
【0056】
図1は、本開示のインライン加熱システム10が制御ユニット50を含むことをさらに示し、インライン加熱システム10は、透析機(例えば、PDサイクラー)、浄水ユニットまたは透析流体調製ユニットの制御ユニットであり得る。図示の実施形態における制御ユニット50は、1つ以上のプロセッサ52と、1つ以上のメモリ54と、ビデオコントローラ58とを含む。制御ユニット50は、圧力センサ18p、温度センサ18t、および導電率センサ(図示せず)などの機械またはユニットによって供給される他のセンサからの信号または出力を受信し、記憶し、処理する。制御ユニット50は、所望の圧力または安全な圧力限界(例えば、患者の腹膜腔への陽圧の0.21バール(3psig)以内)内で透析流体を圧送するようにポンプ16を制御するために、圧力センサ18pからの圧力フィードバックを使用する。制御ユニット50は、透析流体を所望の温度、例えば体温または37°Cに加熱するようにインラインヒータ20を制御するために、温度センサ18tからの温度フィードバックを使用する。
【0057】
制御ユニット50のビデオコントローラ58は、機械またはユニットのユーザインタフェース60とインタフェースし、ユーザインタフェース60は、タッチスクリーンおよび/または膜スイッチなどの1つ以上の電気機械ボタンで動作する表示画面を含み得る。ユーザインタフェース60は、警報、警告、および/または音声ガイダンスコマンドを出力するための1つ以上のスピーカも含み得る。ユーザインタフェース60は、図1に示すような機械またはユニットに提供され得、および/または、制御ユニット50とともに動作するリモートユーザインタフェースであり得る。制御ユニット50は、医師または臨床医のコンピュータとインタフェースする医師または臨床医のサーバに治療データを送信し、医師または臨床医のサーバから処方命令を受信するために、トランシーバ(図示せず)およびネットワーク、例えばインターネットへの有線または無線接続も含み得る。
【0058】
ここで図2を参照すると、インラインヒータ20がより詳細に示される。図示の実施形態において、インラインヒータ20は、流体加熱経路24を取り囲むハウジング22を含む。経路24は、説明を容易にするために直線状であるように示されているが、コイル状または蛇行形状などの代替的な形状を有し得る。さらに、インラインヒータ20が使い捨てユニットとともに動作しない耐久性のある構成要素として示されているが、インラインヒータ20は、代替的に、コイル状または蛇行状の加熱経路を画定する使い捨てユニットなどの流体搬送使い捨てユニットとともに動作し得る。
【0059】
図示の実施形態におけるインラインヒータ20は、2つのヒータ素子などの複数のヒータ素子26a、26bを含む。或いは、インラインヒータ20は、単一のヒータ素子のみ、または3つ以上のヒータ素子26a、26bを含み得る。図示の実施形態におけるヒータ素子26a、26bは、ハウジング22と流体加熱経路24との間、ハウジング22の内側、かつ流体加熱経路24の外側に配置されている。しかしながら、インラインヒータ20は、異なって構成され得る。例えば、ヒータ素子26a、26bは、代わりに、ハウジング22の中心に沿って配置され得る。流体加熱経路24は、ここでは、任意のヒータ実施形態では断熱され得るヒータ素子とハウジング22との間で中央に配置されたヒータ素子26a、26bの外側の周りで延びている。制御ユニット50は、インラインヒータ20の任意の構成のために、ヒータ素子26a、26bに供給される電力を制御する。制御ユニット50は、ヒータ素子26a、26bへの電圧または電流のいずれかを制御することによってそうすることができる。供給される電圧または電流が多いほど、より多くの電力がインラインヒータ20に供給され、したがって、インラインヒータ20を流れる透析流体のより多くの加熱が行われ、より高い透析流体の温度をもたらす。
【0060】
図示の実施形態において、制御ユニット50は、電圧源62から各ヒータ素子26a、26bへの電圧を制御する。電圧源62は、90~130VAC、200~240VAC電圧源、またはヒータ素子26a、26bに直流電圧を供給する電圧源であり得る。正電圧源ライン64aが各ヒータ素子26a、26bの一端まで延び、負電圧源ライン64bが、各ヒータ素子26a、26bの他端まで延びている。
【0061】
図示の実施形態における制御ユニット50は、ヒータ素子26a、26bのために、それぞれ、電流計66a、66bも含む。電流計66a、66bは、ヒータ素子26a、26bと直列に接続され、各ヒータ素子に印加される電流を測定することができる。図示の実施形態において、電流計66a、66bは、各ヒータ素子26a、26bの一端まで延びている正電圧源ライン64aに沿って配置されている。破線で示される代替の実施形態において、単一の電流計66が、複数のヒータ素子26aおよび26bを通って流れる電流を読み取るために、使用され得、制御ユニット50は、各ヒータ素子からの読み取り値を通して周期的に割り出すことまたは切り替えることを行い得る。或いは、制御ユニット50は、単一のセンサ66を有する共通ラインに沿って(ライン64aおよび64bを通る)両方の電流を読み取るように、単一の電流計66とともに動作し得る。ここで、異なるライン64a、64bを個別に読み出すためにセンサ66を循環させる必要はない。
【0062】
代わりに、制御ユニット50は、各ヒータ素子26a、26bの抵抗値Rの良好な精度を得るために、電圧と電流の両方を同時に測定することが考えられる。図3に関連して以下で説明するように、アナログヒータ保護回路は、電流および/または電圧の一方または両方において、本明細書で説明する変化率または導関数を検出するために制御ユニット50に提供される得る。
【0063】
インライン加熱システム10のインラインヒータ20は、透析流体が流れていない間にそれが透析流体を加熱しようと試みられると、インラインヒータ20が過熱し得るという一観点で不利である。フロースイッチが、制御ユニット50がヒータに通電する条件として流れが存在することを確実にするために、インラインヒータ20の前方に配置され得る。しかしながら、フロースイッチは、コストを増加させ、スタックするか、そうでなければ適切に機能しないこともある。
【0064】
インライン加熱システム10は、インラインヒータ26の各ヒータ素子26a、26bの抵抗Rを決定するように制御ユニット50を構成することによって過熱問題を解決する。各ヒータ素子26a、26bの抵抗Rは、典型的に、温度が上昇すると増加する。各ヒータ素子26a、26bの抵抗Rは、一実施形態において、インラインヒータ20が給電されている間、各ヒータ素子26a、26bに印加される電圧または電流の量(図2において、ヒータ素子への電圧Vは、制御ユニット50によって制御される)を知り、各ヒータ素子26a、26bにおける電流または電圧の他方(図2において、ヒータ素子26a、26bに沿った電流Iは、制御ユニット50によって測定される)を測定することによって計算される。ヒータ素子抵抗Rは、V/Iに等しい。計算された抵抗は、制御ユニット50のメモリ54に記憶されたアルゴリズムに適用され、このアルゴリズムは、インラインヒータ20内に低流量状態または無流量状態が存在するかどうかを決定するためにプロセッサ52によって調べられる。
【0065】
ここで図3を参照すると、代替の実施形態において、本開示のシステム10は、アナログヒータ保護回路70を使用することができ、アナログヒータ保護回路70は、1つ以上のプロセッサ52および1つ以上のメモリ54を使用してソフトウェアを介して実行されるとして前述された機能の一部または全てを実行する。本明細書で説明する制御ユニット50は、アナログヒータ保護回路70と、システム10によって使用され得る任意の他のヒータ保護回路とも含むことが、理解されるべきである。制御ユニット50は、全ての監視制御側および保護側のハードウェアおよびソフトウェア、および全ての下位レベルのハードウェア(ヒータ保護回路70を含む)およびソフトウェアを含む。
【0066】
図3に示すように、アナログヒータ保護回路70は、測定値VおよびIを取得する測定回路72を含み得る。回路72は、電流プローブ、例えば、電流Iを測定するACS723電流プローブを含み得る。測定回路72は、電圧Vを測定するために適切なサイズの抵抗器グリッドを含み得る。測定回路72は、2つの電圧信号(一方は電流Iを表し、他方は電圧Vを表す)をフィルタリングするローパスフィルタも含み得る。例えば、標準的なRCローパスフィルタが、パルスコントローラによって生成される最も一般的なノイズを抑制するために、使用され得る。2つの電圧信号(おそらくフィルタリングされた)は、測定回路72から、除算回路74に供給され、除算回路74は、ヒータ素子抵抗Rに対応する新たな電圧を生成する除算器(例えば、AD538除算器など)を含む。
【0067】
ヒータ素子抵抗Rに対応する電圧は、除算回路74から、差動回路76に供給され、差動回路76は、ヒータ素子抵抗Rの変化率を表す第2の新たな電圧を生成する。差動回路76は、(i)コンデンサおよび抵抗器を含む受動容量差動回路、(ii)インダクタおよび抵抗器を含む受動誘導差動回路、または(iii)コンデンサおよび抵抗器のみならず、演算増幅器も含み得る能動差動回路であり得る。次いで、ヒータ素子抵抗Rの変化率を表す第2の新たな電圧は、差動回路76から比較器78に供給され、比較器78の出力は、ヒータ素子抵抗Rの変化率が比較器78に設定されたヒータ素子抵抗Rの閾値変化率を満たすかまたは超える場合、インラインヒータ20を無効にするために、またはオフにするために使用され得る。潜在的なグリッチ/外乱を除去するために、比較器78の後、ローパス/タイマ回路80が、提供されることができる。ローパス/タイマ回路80は、ローパスフィルタ/タイマ回路に到達していることもあるノイズに基づいて無流量/低流量信号がハイにならないことを確実にする。代わりに、ローパス/タイマ回路80は、信号が一定時間安定していること/トリガされること、および、発生し得る小さな信号スパイクまたはノイズのためにインラインヒータ20の電源が切られないこと、または遮断さないことを確実にする。
【0068】
ここで図4を参照すると、ヒータ素子26a、26bに印加されるインラインヒータ電力入力と、インラインヒータ20を通る透析流体流量と、ヒータ素子抵抗Rとを互いに関係づける共通の期間にわたるグラフの集合が示されている。グラフは、例えば、ヒータ素子26a、26bへの電力が、例えば100ワットから、200ワットに、300ワットに増加するにつれて、ヒータ素子抵抗Rが、それぞれ、約9.52オームから、約9.6オームに、約9.66オームに順次増加し、それは、ヒータ素子温度の上昇と一致することを強調している。グラフは、透析流体または他の流体流量が停止されるたびに、入力電力が印加され続けている間、ヒータ素子抵抗Rが急激に増加し、それも、ヒータ素子温度の急激な増加と一致することも強調している。
【0069】
メモリ54に記憶され、プロセッサ52によって調べられる1つの想定し得るアルゴリズムは、最大ヒータ素子抵抗増加または抵抗導関数(経時的なヒータ素子抵抗の変化)を設定する。制御ユニットがヒータ素子抵抗R率の経時的な変化または増加を分析することにより、ヒータ素子26a、26bの温度がインラインヒータ20を損傷し得る点まで上昇する前のインラインヒータ20を通した無流量または低流量状態が、検出可能である。通電されたインラインヒータ20に流体の流れがない場合、ヒータ素子26a、26の温度は急速に上昇し、したがってヒータ素子抵抗Rは急速に上昇する。従って、制御ユニット50は、ある期間またはある期間にわたるヒータ素子抵抗Rの変化(変化率)を決定するように、例えば、ある期間にわたる抵抗Rのサンプル期間変化率が抵抗Rの設定された最大変化率を満たすか超えるかを決定するようにプログラムされ、アルゴリズムは、インラインヒータ20の通電を自動的に停止するように、対応する機械またはサイクラーでの治療を停止するように(または、対応するユニットにおいて、精製水の調製を停止するように、または透析流体の調製を停止するように)、例えばユーザインタフェース60において患者、介護者または看護師に警告するように、制御ユニット50をトリガする。
【0070】
インライン加熱システム10の過熱アルゴリズムの可能な一実装は、透析機(または他のユニット)の製造および/またはサービス時にインラインヒータ20の特性評価を行う特性評価プログラムを実行することである。特性評価プログラムは、ヒータ素子抵抗Rが入力電力および流量にどのように関係するかを特徴とする。ここで、インラインヒータは、既知の流量の流体を受け取りながら通電される。入力電力は、流量が一定に保たれながら、変動させられる。温度センサ18tは、インラインヒータ20から下流の試験流体温度を測定し、インラインヒータが試験流体を指令された温度に適切に加熱していることを確認するために、使用され得る。ポンプ16の出力は、指令された流量が満たされていることを確認するために監視される(試験設定において重量スケールが使用され得る)。特性評価プログラムは、試験される特定のインラインヒータ20に関して、指令された流量および流体温度に関して、入力電力設定の共通または使用範囲にわたって、測定されたヒータ素子抵抗R(ヒータ素子温度と互いに関係づけられている)が把握されることを可能にする。得られた較正データテーブルは、次に、透析機(または他のユニット)の制御ユニット50のメモリ54に記憶される。制御ユニット50は、インラインヒータ20が過熱しているときを検出するために、すなわち、所与のまたは指令された流量および入力電力設定に関して、指令された温度を達成するために、測定および決定されたヒータ素子抵抗Rが指令された透析流体温度に関してそれがあるべきより大きいかどうかを検出するために、治療中、較正データを使用する。
【0071】
したがって、透析機(または他のユニット)の制御ユニット50のメモリ54に記憶されたアルゴリズムは、2つの要因:(i)無流量または低流量状態が始まり得ることを示すヒータ素子抵抗の変化率(導関数)、および(ii)同じ入力電力および命令された流量に関する較正抵抗に対する決定されたヒータ素子抵抗Rの比較を分析し得る。すなわち、ヒータ素子抵抗Rの変化率は高く、無流量または低流量状態が進行している可能性があることを示すが、決定されたヒータ素子抵抗(および対応する温度)が、較正データが所与の流量および電力入力設定に対してヒータ素子抵抗があるべきと言うものより低い場合、アルゴリズムは、透析機(または他のユニット)の制御ユニット50が治療を継続することを可能にする。
【0072】
一実施形態において、ヒータ素子抵抗Rを決定するための電流または電圧測定のサイクル速度は非常に高くあり得、したがって、アルゴリズムは、例えば、無流量または低流量の決定を行い、インラインヒータ20を通電解除し、治療を停止し、患者、介護者または看護師に警告する前に、1秒以上の期間にわたって多くの測定を行うように構成され得る。インラインヒータ20が過熱するには短すぎる安全な期間にわたって多くの測定を行うことは、誤ったトリップを防止するのに著しく役立つ。
【0073】
多くの測定を行うことは、測定信号ノイズを効率的に抑制するための適切な数のサンプルも供給する。ヒータ素子抵抗Rに関する測定信号は、パルス電源を含むその環境のために非常にノイズが多い傾向がある。一実装では、高サンプリングレートは5kHzであり、多段階または4段階デシメーション手順が、適用された。各デシメーション工程は、8次チェビシェフローパスフィルタタイプIを適用することによって、および、元の工程または前の工程の10分の1に(例えばm500サンプルに対して、50サンプルなど)サンプルを除去することによって行われた。図4の上部のヒータ素子抵抗Rグラフに至るフィルタリングを実行する方法は、多数ある。しかしながら、フィルタリングの成功は、5kHzなどの大きなサンプルレートを必要する可能性が高い。サンプルレートは、パルス電圧源の周波数に依存し、例えば、典型的な50/60HzのAC電圧源の場合、少なくとも2倍の速さ、例えば100から120Hzのサンプルレートが必要とされる可能性が高い。しかしながら、サンプルレートは、望ましくは、少なくとも10倍高く、例えば500から600Hzであり得る。
【0074】
本明細書に記載の現在好ましい実施形態に対する様々な変形および変更が当業者にとって明らかであることが、理解されるべきである。したがって、そのような変更および修正のいずれかまたは全てが添付の特許請求の範囲によって包含され得ることが意図されている。例えば、インライン加熱システム10は、2つのヒータ素子26a、26bを(例えば、いずれかの要素における抵抗の上昇が無流量または低流量結果をトリップさせる可能性がある冗長性のために)調べるように示されているが、本開示のインライン加熱システムは、代わりに、インラインヒータ20のヒータ素子の単一のみ、または全てより少ないヒータ素子のみを調べ得る。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インライン加熱システム(10)であって、前記インライン加熱システム(10)は、
ヒータ素子(26a)を含むインラインヒータ(20)と、
前記インラインヒータ(20)に給電するために電圧または電流の一方が印加されるようにするように構成された制御ユニット(50)と、
前記制御ユニット(50)に通信可能に結合されたメモリ(54)であって、前記メモリは、較正データテーブルを記憶するように構成され、前記較正データテーブルは、前記インラインヒータ(20)の較正された加熱要素抵抗を前記インラインヒータ(20)を通した流体流量または前記インラインヒータ(20)への入力電圧または電流の少なくとも一方に関連させる、メモリ(54)と、
前記制御ユニット(50)に出力する電流計または電圧計(66、66a)の少なくとも一方と
を備え、
前記電流計または電圧計(66、66a)の前記少なくとも一方は、前記印加された電圧または電流に起因する前記ヒータ素子(26a)における前記電流または電圧の少なくとも一方を測定するように配置され、
前記制御ユニット(50)は、
前記制御ユニット(50)によって実装される無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として、前記印加された電圧または電流と、前記測定された前記電流または電圧の少なくとも一方とを使用してヒータ素子抵抗(R)を決定することと、
前記決定されたヒータ素子抵抗(R )と、コマンドされた流体流量または前記較正データテーブルに前記適用された電圧または電流の少なくとも一方とを比較することによって、前記無流量または低流量状態が検出されたかどうかを決定することと、
前記無流量または低流量状態が検出された場合、前記インラインヒータ(20)に給電するために印加されている前記電圧または電流を停止することと
を行うようにさらに構成されている、インライン加熱システム(10)。
【請求項2】
前記制御ユニット(50)は、前記電流計または前記電圧計(66、66a)の前記少なくとも一方を含む、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項3】
前記制御ユニット(50)は、前記無流量または低流量状態が検出されるかどうかを決定するために、サンプル期間にわたって異なる時間に前記印加された電圧または電流と前記測定された少なくとも一方の電流または電圧とを使用して複数のヒータ素子抵抗(R)を決定するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項4】
前記ヒータ素子(26a)は、第1のヒータ素子であり、前記インライン加熱システム(10)は、少なくとも1つのさらなるヒータ素子(26b)を含み、前記制御ユニット(50)は、前記無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として各ヒータ素子(26a、26b)のためのヒータ素子抵抗(R)を決定するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項5】
前記少なくとも一方の電流計または電圧計(66、66a)は、第1の電流計または電圧計であり、前記インライン加熱システム(10)は、少なくとも一方のさらなる電流計または電圧計(66b)を含み、前記少なくとも一方のさらなる電流計または電圧計(66b)は、前記少なくとも1つのさらなるヒータ素子(26b)における前記少なくとも一方の電流または電圧を測定するように配置されている、請求項4に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項6】
前記制御ユニット(50)は、前記ヒータ素子(26a、26b)のいずれかで前記無流量または低流量状態が検出された場合、前記インラインヒータ(20)に給電するために印加される前記電圧または電流を停止するように構成されている、請求項4に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項7】
前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される前記低流量状態検出アルゴリズムの一部として、決定されたヒータ素子抵抗(R)における変化率を決定されたヒータ素子抵抗(R)における設定された最大変化率と比較するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項8】
前記決定されたヒータ素子抵抗(R)における変化率は、正の変化率である、請求項7に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項9】
前記較正されたヒータ素子抵抗(R)は、前記インライン加熱システムからリモートで決定された後、前記制御ユニット(50)に記憶されている、請求項に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項10】
前記制御ユニット(50)は、(i)100Hz以上または(ii)前記インラインヒータ(20)に給電するパルス電圧源の周波数より少なくとも2倍大きいの少なくとも一方であるサンプルレートで前記電流または電圧の前記少なくとも一方を測定するように構成されている、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項11】
前記制御ユニット(50)は、前記測定された前記電流または電圧の少なくとも一方をフィルタリングするように構成されたアナログヒータ保護回路(70)を含む、請求項1に記載のインライン加熱システム(10)。
【請求項12】
前記インライン加熱システム(10)は、腹膜透析機、血液透析機、血液濾過機、血液透析濾過機、連続腎置換療法機、浄水ユニット、透析流体調製ユニット、または血液加温器の一部として提供される、請求項に記載のインライン加熱システム(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
さらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面に記載され、それらから明らかになる。本明細書に記載の特徴および利点は、全てを含むものではなく、特に、多くのさらなる特徴および利点が、図面および説明を考慮すると当業者には明らかである。任意の特定の実施形態は、本明細書にリストアップされた利点の全てを有する必要はなく、個々の有利な実施形態を別々に請求することも、明確に企図される。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
インライン加熱システム(10)であって、前記インライン加熱システム(10)は、
ヒータ素子(26a)を含むインラインヒータ(20)と、
前記インラインヒータ(20)に給電するために電圧または電流の一方が印加されるようにするように構成された制御ユニット(50)と、
前記制御ユニット(50)に出力する電流計または電圧計(66、66a)の少なくとも一方と
を備え、
前記電流計または電圧計(66、66a)の前記少なくとも一方は、前記印加された電圧または電流に起因する前記ヒータ素子(26a)における前記電流または電圧の少なくとも一方を測定するように配置され、前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として、前記印加された電圧または電流と、前記測定された前記電流または電圧の少なくとも一方とを使用してヒータ素子抵抗(R )を決定するようにさらに構成され、前記インラインヒータ(20)に給電するために印加される前記電圧または電流は、前記無流量または低流量状態が検出された場合、停止される、インライン加熱システム(10)。
(項目2)
前記制御ユニット(50)は、前記電流計または前記電圧計(66、66a)の前記少なくとも一方を含む、項目1に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目3)
前記制御ユニット(50)は、前記無流量または低流量状態が検出されるかどうかを決定するために、サンプル期間にわたって異なる時間に前記印加された電圧または電流と前記測定された少なくとも一方の電流または電圧とを使用して複数のヒータ素子抵抗(R )を決定するように構成されている、項目1に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目4)
前記ヒータ素子(26a)は、第1のヒータ素子であり、前記インライン加熱システム(10)は、少なくとも1つのさらなるヒータ素子(26b)を含み、前記制御ユニット(50)は、前記無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として各ヒータ素子(26a、26b)のためのヒータ素子抵抗(R )を決定するように構成されている、項目1に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目5)
前記少なくとも一方の電流計または電圧計(66、66a)は、第1の電流計または電圧計であり、前記インライン加熱システム(10)は、少なくとも一方のさらなる電流計または電圧計(66b)を含み、前記少なくとも一方のさらなる電流計または電圧計(66b)は、前記少なくとも1つのさらなるヒータ素子(26b)における前記少なくとも一方の電流または電圧を測定するように配置されている、項目4に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目6)
前記制御ユニット(50)は、前記ヒータ素子(26a、26b)のいずれかで前記無流量または低流量状態が検出された場合、前記インラインヒータ(20)に給電するために印加される前記電圧または電流を停止するように構成されている、項目4に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目7)
前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される前記低流量状態検出アルゴリズムの一部として、決定されたヒータ素子抵抗(R )における変化率を決定されたヒータ素子抵抗(R )における設定された最大変化率と比較するように構成されている、項目1に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目8)
前記決定されたヒータ素子抵抗(R )における変化率は、正の変化率である、項目7に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目9)
前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される前記低流量状態検出アルゴリズムの一部として、前記決定されたヒータ素子抵抗(R )を較正されたヒータ素子抵抗(R )と比較するように構成されている、項目1に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目10)
前記較正されたヒータ素子抵抗(R )は、前記インライン加熱システムからリモートで決定された後、前記制御ユニット(50)に記憶されている、項目9に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目11)
前記較正されたヒータ素子抵抗(R )は、(i)前記インラインヒータ(20)を通る流体流量または(ii)前記インラインヒータ(20)への入力電力の少なくとも一方に特有である、項目9に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目12)
前記制御ユニット(50)は、(i)100Hz以上または(ii)前記インラインヒータ(20)に給電するパルス電圧源の周波数より少なくとも2倍大きいの少なくとも一方であるサンプルレートで前記電流または電圧の前記少なくとも一方を測定するように構成されている、項目1に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目13)
前記制御ユニット(50)は、前記測定された前記電流または電圧の少なくとも一方をフィルタリングするように構成されたアナログヒータ保護回路(70)を含む、項目1に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目14)
インライン加熱システム(10)であって、前記インライン加熱システム(10)は、
ヒータ素子(26a、26b)を含むインラインヒータ(20)と、
前記インラインヒータ(20)に給電するために電圧または電流を印加するように位置付けられた電圧源または電流源と、
アナログヒータ保護回路(70)と
を備え、
前記アナログヒータ保護回路(70)は、(i)前記印加された電圧または電流に起因する前記ヒータ素子(26a、26b)における前記電流または電圧の少なくとも一方を測定することと、(ii)前記印加された電圧または電流と、前記測定された前記電流または電圧の少なくとも一方とを使用してヒータ素子抵抗(R )を決定することと、(iii)前記ヒータ素子抵抗(R )が無流量または低流量状態を示す場合、停止電力信号を供給することまたはイネーブル信号を無効にすることとを行うように構成されている、インライン加熱システム(10)。
(項目15)
前記アナログヒータ保護回路(70)は、測定回路、除算回路、差動回路、比較器、またはローパス/タイマ回路の少なくとも1つを含む、項目14に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目16)
インライン加熱システム(10)であって、前記インライン加熱システム(10)は、
ヒータ素子(26a、26b)を含むインラインヒータ(20)と、
制御ユニット(50)と
を備え、
制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される無流量または低流量状態検出アルゴリズムの一部として、ヒータ素子抵抗(R )における変化率をヒータ素子抵抗(R )における設定された最大変化率と比較するように構成され、前記無流量または低流量状態が検出された場合、前記インラインヒータ(20)に印加される電力は、停止される、インライン加熱システム(10)。
(項目17)
前記制御ユニット(50)は、前記制御ユニット(50)によって実装される前記低流量状態検出アルゴリズムの一部として、少なくとも1つの決定されたヒータ素子抵抗(R )を少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗(R )と比較するようにさらに構成されている、項目16に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目18)
前記少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗(R )は、前記インライン加熱システムからリモートで決定された後、前記制御ユニット(50)に記憶されている、項目17に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目19)
前記少なくとも1つの較正されたヒータ素子抵抗(R )は、(i)前記インラインヒータ(20)を通る流体流量または(ii)前記インラインヒータ(20)への入力電力の少なくとも一方に特有である、項目17に記載のインライン加熱システム(10)。
(項目20)
前記インライン加熱システム(10)は、腹膜透析機、血液透析機、血液濾過機、血液透析濾過機、連続腎置換療法機、浄水ユニット、透析流体調製ユニット、または血液加温器の一部として提供される、項目16に記載のインライン加熱システム(10)。
【国際調査報告】