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特表2024-533277ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置
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  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図1
  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図2
  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図3A
  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図3B
  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図4A
  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図4B
  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図5A
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  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図5C
  • 特表-ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ウェアラブル薬剤送達装置のコンパクトな容積式ポンプのためのクラッチ装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61M5/142 520
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514677
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022076051
(87)【国際公開番号】W WO2023039429
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,633
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519167449
【氏名又は名称】インスレット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ソローシュ カムラバ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル アリス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー バーンズ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066FF04
4C066HH03
4C066HH14
4C066QQ24
4C066QQ44
4C066QQ62
4C066QQ64
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ85
4C066QQ92
(57)【要約】
本開示の実施形態は、ポンプ装置のための技術、プロセス、装置、又はシステムに関する。1つのアプローチでは、ウェアラブル薬剤送達装置が、流体を収容するように構成されたリザーバであって、リザーバはハウジングを備えており、ハウジングは内部チャンバを画定する外壁を備えている、リザーバと、流体をリザーバから放出させるための駆動機構と、を備える。この駆動機構は、リザーバの内部チャンバ内に受け入れられたプランジャーと、プランジャーから延びる送りねじと、送りねじと螺合されるクラッチ機構と、を備える。クラッチ機構は、係合解除されているときには、送りねじがそのクラッチ機構を通過できるように構成されており、係合されているときには、その送りねじをグリップし、クラッチ機構を回転させて送りねじ及びプランジャーをリザーバ内へと前進させるように構成されている。
【選択図】3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブル薬剤送達装置であって、前記ウェアラブル薬剤送達装置は、
流体を収容するように構成されたリザーバであって、前記リザーバは内部チャンバを画定するハウジングを備えている、リザーバと、
前記流体を前記リザーバから放出させるための駆動機構と、を備えており、前記駆動機構は、
前記リザーバの前記内部チャンバ内のプランジャーと、
前記プランジャーから延びる送りねじと、
前記送りねじと係合されたクラッチ機構と、を備えており、前記クラッチ機構は、係合解除されているときには、前記送りねじが前記クラッチ機構を通過できるように構成されており、かつ、係合されているときには、前記送りねじを、前記クラッチ機構が回転して前記リザーバ内の前記送りねじ及び前記プランジャーを前進させるように、グリップするように構成されている、ウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項2】
前記クラッチ機構はクラッチばねを備えており、かつ、前記クラッチばねは、前記クラッチ機構が前記送りねじと係合しているとき、前記送りねじの外側部と直接物理的に接触している、請求項1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項3】
前記クラッチ機構は、ばねラッチをさらに備えており、前記ばねラッチは、前記クラッチばねを係合解除位置に保持するように動作可能であり、かつ、前記クラッチばねが係合位置に移行するように前記クラッチばねを解放するように構成されている、請求項2に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項4】
前記ばねラッチは、駆動ホイールの運動に応答して前記クラッチばねを解放するように動作可能である、請求項3に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項5】
前記ウェアラブル薬剤送達装置は、前記クラッチばねと接続されたスライダをさらに備えている、請求項2に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項6】
前記クラッチばねは、前記スライダの内側部に沿って設けられている、請求項5に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項7】
前記クラッチばねは、正方形プロファイル、三角形プロファイル、又は楕円形プロファイルを有する、請求項2に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項8】
前記ウェアラブル薬剤送達装置は、駆動ホイールをさらに備えており、前記駆動ホイールは、前記送りねじを回転させかつ前進させるように前記クラッチ機構と動作可能である、請求項1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項9】
ウェアラブル薬剤送達装置であって、前記ウェアラブル薬剤送達装置は、
液体薬剤を収容するように構成されたリザーバであって、前記リザーバはハウジングを備えており、前記ハウジングは内部チャンバを画定する外壁を含む、リザーバと、
前記液体薬剤を前記リザーバから放出させるための駆動機構と、を備えており、前記駆動機構は、
前記リザーバの前記内部チャンバ内のプランジャーと、
前記プランジャーから延びる送りねじと、
クラッチばねを回転させて前記送りねじを前進させるようにクラッチ機構と動作可能である、駆動ホイールと、を備えており、前記クラッチ機構は、係合解除位置にあるときには、前記送りねじが前記クラッチばねを通過できるように、構成されており、かつ、係合位置にあるときには、前記駆動ホイールが前記クラッチばねを回転させて前記送りねじ及び前記プランジャーを前記リザーバ内へと前進させるように、前記クラッチばねによって前記送りねじをグリップするように構成されている、ウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項10】
前記クラッチばねは、前記クラッチ機構が前記係合位置にあるとき、前記送りねじの外側部と直接物理的に接触している、請求項9に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項11】
前記クラッチ機構は、前記クラッチばねと係合及び係合解除するように動作可能なばねラッチをさらに備えている、請求項9に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項12】
前記ばねラッチは、前記駆動ホイールの運動に応答して前記クラッチばねを解放するように動作可能である、請求項11に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項13】
前記ウェアラブル薬剤送達装置は、前記クラッチばねと接続されたスライダをさらに備えており、前記クラッチばねは前記スライダの内側部に沿って設けられている、請求項9に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項14】
前記クラッチばねは、正方形プロファイル、三角形プロファイル、円形プロファイル、又は楕円形プロファイルを有する、請求項9に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項15】
方法であって、前記方法は、
液体薬剤を収容するように構成されたリザーバを提供することであって、前記リザーバは内部チャンバを画定するハウジングを備えている、リザーバを提供することと、
前記液体薬剤を前記リザーバから放出させるための駆動機構を提供することであって、前記駆動機構は、
-前記リザーバの前記内部チャンバ内のプランジャーと、
-前記プランジャーから延びる送りねじと、
-クラッチ機構と動作可能な駆動ホイールであって、前記クラッチ機構は前記送りねじに結合されている、駆動ホイールと、を備えている、駆動機構を提供することと、
前記クラッチ機構のクラッチばねを回転させて前記送りねじを前進させることであって、前記クラッチ機構は、係合解除位置にあるときには、前記送りねじが前記クラッチばねを通過できるように構成されており、かつ、係合位置にあるときには、前記クラッチばねによって前記送りねじをグリップするように構成されている、前記クラッチ機構のクラッチばねを回転させて前記送りねじを前進させることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記方法は、前記駆動ホイールを回転させ、前記クラッチばねを回転させて前記送りねじ及び前記プランジャーを前記リザーバ内へと前進させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、前記クラッチばねを、前記クラッチ機構が前記係合位置にあるときに前記送りねじと直接物理的に接触しているように、設けることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記クラッチばねをばねラッチと係合させること及び係合解除させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、前記係合解除位置から前記クラッチ機構を解放することをさらに含み、前記解放することは、前記駆動ホイールを回転させることによってばねラッチから前記クラッチばねを解放することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記駆動ホイールを回転させて流体を前記リザーバから吐出させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に関する相互参照)
本出願は、2021年9月8日に出願された、米国特許仮出願第63/241633号の利益を主張する。同出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ここで開示される実施形態は、一般的に薬剤送達に関する。より詳細には、開示される実施形態は、省スペースな形で流体薬品を送達するための、技術、プロセス、システム、及び吐出装置に関する。
【背景技術】
【0003】
流体送達装置は、患者への流体薬品の皮下送達等、多くの用途を有する。例えば、糖尿病患者においては、インスリンを患者に送達するために、携行用注入ポンプが用いられている。これらの注入ポンプは、可変のベーサル速度及びボーラス必要量を含む洗練された流体送達プロファイルを提供する能力を有している。薬剤送達を注意深く制御する能力によって、薬剤及び治療の有効性は高められかつ患者への毒性も減少し得るのである。
【0004】
既存の注入ポンプの中には、流体薬剤を収容するリザーバを含んでおり、かつ電気機械的な圧送技術又は計量技術を用い、チューブを介して流体薬品を患者に皮下挿入されたニードル及び/又は軟質カニューレに送達するものがある。注入ポンプの中には、比較的小型であり、低コストであり、軽量であり、かつ使い易いように設計されたものがある。これらのポンプは、ニードル及び/又は軟質カニューレを患者に送達するための挿入機構を備えている。しかしながら、ポンプのサイズを減少させ、ユーザの快適性を向上させ、かつ/又はポンプの部品数を減少させるために、該挿入機構の設計は改善され得るのである。
【0005】
従って、流体薬品をリザーバから正確に排出させるためであり、また薬剤送達装置の全体サイズも減少させる、より単純化されたシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本概要は、以下の詳細な説明においてさらに記述される概念の一部を単純化された形で紹介するために設けられている。本概要は、特許請求される主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図されたものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として意図されたものでもない。
【0007】
幾つかのアプローチでは、ウェアラブル薬剤送達装置が、流体を収容するように構成されたリザーバであって、該リザーバはハウジングを備えており、該ハウジングは内部チャンバを画定する外壁を備えている、リザーバと、流体を該リザーバから放出させるための駆動機構と、を備え得る。上記駆動機構は、リザーバの内部チャンバ内に受け入れられたプランジャーと、該プランジャーから延びる送りねじと、該送りねじと螺合されるクラッチ機構と、を備え得るのであって、ここで、該クラッチ機構は、係合解除されているときには、送りねじがそのクラッチ機構を通過できるように構成されており、かつ、係合されているときには、そのクラッチ機構が回転してリザーバ内で送りねじ及びプランジャーを前進させるように、その送りねじをグリップするように構成されている。
【0008】
幾つかのアプローチでは、ウェアラブル薬剤送達装置は、液体薬剤を収容するように構成されたリザーバであって、上記リザーバはハウジングを備えており、上記ハウジングは内部チャンバを画定する外壁を含む、リザーバと、上記液体薬剤を上記リザーバから放出させるための駆動機構と、を備え得る。上記駆動機構は、上記リザーバの上記内部チャンバ内に受け入れられたプランジャーと、上記プランジャーから延びる送りねじと、クラッチばねを回転させて上記送りねじを前進させるようにクラッチ機構と動作可能である、駆動ホイールと、を備え得るのであって、上記クラッチ機構は、係合解除位置にあるときには、上記送りねじが上記クラッチばねを通過できるように構成されており、かつ、係合位置にあるときには、上記駆動ホイールが上記クラッチばねを回転させて上記送りねじ及び上記プランジャーを上記リザーバ内へと前進させるように、上記送りねじをグリップするように構成されている。
【0009】
幾つかのアプローチでは、方法が、液体薬剤を収容するように構成されたリザーバを提供することであって、上記リザーバはハウジングを備えており、上記ハウジングは内部チャンバを画定する外壁を備えている、リザーバを提供することと、上記液体薬剤を上記リザーバから放出させるための駆動機構を提供することと、を含み得る。上記駆動機構は、上記リザーバの上記内部チャンバ内に受け入れられたプランジャーと、上記プランジャーから延びる送りねじと、クラッチ機構と動作可能な駆動ホイールと、を備え得る。上記方法は、上記クラッチ機構のクラッチばねを回転させて上記送りねじを前進させることをさらに含み得るのであって、ここで、上記クラッチ機構は、係合解除位置にあるときには、上記送りねじが上記クラッチばねを通過できるように構成されており、かつ、係合位置にあるときには、上記送りねじをグリップするように構成されている。
【0010】
図面においては、同様の参照符号は、一般的に、異なる図面を通じて同等の部分を指している。以下の説明では、本開示の様々な実施形態が、以下の図面を参照しつつ記述される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態による薬剤送達システムの概略図を示している。
【0012】
図2図2は、本開示の実施形態による、送達ポンプ装置の駆動機構の斜視図を示している。
【0013】
図3A図3Aは、本開示の実施形態による、図2の駆動機構の一部分の斜視図を示している。
【0014】
図3B図3Bは、本開示の実施形態による駆動機構の一部分を示す側断面図である。
【0015】
図4A図4Aは、本開示の実施形態による駆動機構の送りねじ及びクラッチばねの一斜視図を示している。
図4B図4Bは、本開示の実施形態による駆動機構の送りねじ及びクラッチばねの一斜視図を示している。
【0016】
図5A図5Aは、本開示の実施形態による、1つのクラッチばねを示す斜視図である。
図5B図5Bは、本開示の実施形態による、1つのクラッチばねを示す斜視図である。
図5C図5Cは、本開示の実施形態による、1つのクラッチばねを示す斜視図である。
【0017】
図6図6は、本開示の実施形態による方法のプロセスフローを示している。
【0018】
図面は必ずしも縮尺どおりではない。図面は単なる表現であり、本開示の特定のパラメタを描写することを意図されてはいない。図面は本開示の例示的な実施形態を描写することを意図されており、従って、範囲を限定するものと考えられるべきではない。さらに、一部の図面において、図示を明瞭化するために、特定の要素が省略されているか又は縮尺どおりではなく描かれている場合がある。さらに、明瞭化のために、一部の参照符号が特定の図面において省略されている場合もある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示に従うシステム、装置、及び方法は、1つ以上の実施形態が示されている添付の図面を参照しつつ、より完全に記述される。それらのシステム、装置、及び方法は、多くの異なる形態で具現化され得るのであって、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。代わりに、これらの実施形態が提供されることによって、本開示は徹底的かつ完全なものになり、当業者に対して方法及び装置の範囲を完全に伝達するであろう。本明細書で開示されるそれらのシステム、装置、及び方法の各々は、従来のシステム、構成要素、及び方法に対して1つ以上の有利な点を提供する。
【0020】
流体ポンプを作動させるための1つのアプローチは、送りねじ及びばね/クラッチ機構によって発生させられる直線運動を用いることである。この機構は、SMAワイヤ、ソレノイド、モータ等であり得るアクチュエータの回転運動を、正確な直線運動に変換する。一例として、容積式流体ポンプでは、送りねじによって発生させられた直線運動は、リザーバ内のプランジャーに伝達され、その結果リザーバからの正確かつ制御された流体の吐出がもたらされる。充填プロセスの間、該プランジャーは送りねじ及びばね/クラッチ機構からは係合解除されたままであり、流体は、プランジャーを自由に動かして充填体積に基づく任意の位置に移動させることができる。ユーザが充填を終えたとき、ばね/クラッチ機構は送りねじ及びプランジャーと接続されており、これにより、装置が流体をリザーバ外へと吐出させることが可能になる。
【0021】
幾つかの実施形態では、ばねは、最初は、内径(ID)が送りねじの外径(OD)よりも大きい状態である負荷構成にあり、それにより、ユーザがポッドを充填する際にばね及び送りねじが互いに対して自由に運動することが可能になる。所望の場合は、クラッチ機構はばねを解放することができ、それによって、コイルのIDの減少と、ばねと送りねじの直接係合とが引き起こされる。幾つかの実施形態では、ばねは、送りねじの外側部に沿ったねじ切りと係合する。従って、送りねじの回転によって、ばね及びプランジャーの直線運動がもたらされ、それによって、ポッドが流体を正確に吐出することが可能になる。
【0022】
各種実施形態では、本明細書に記載のウェアラブル薬剤送達装置は、血糖センサ等の分析物センサを備えることができ、かつ、カニューレ又はマイクロニードルアレイは、装置がその装置のユーザの分析物レベルを測定できるように動作可能であり得る。
【0023】
図1は、例示的なシステム(以下、「システム」)100の単純化されたブロック図を示している。システム100は、ウェアラブル又はオンボディの薬剤送達装置及び/又は患者103の皮膚に取付けられた分析物センサであり得る。システム100は、1つ以上のハウジング内に、コントローラ102、ポンプ機構104(以下、「ポンプ104」)、及びセンサ108を備え得る。センサ108は、グルコース又は他の分析物モニタ、例えば持続グルコースモニタであり得るのであって、ウェアラブル装置内に組み込まれ得る。例えば、センサ108は、ユーザの血糖(BG)値を測定し、測定BGレベル信号112を生成するように動作可能であり得る。コントローラ102、ポンプ104、及びセンサ108は、有線又は無線通信経路を介して互いに通信可能に結合され得る。例えば、コントローラ102、ポンプ104、及びセンサ108の各々は、Bluetooth(登録商標)等の1つ以上の通信プロトコルを介して通信を行うように動作可能な無線高周波トランシーバを備え得る。また、システム100は、送達ポンプ装置(以下、「装置」)105も含み得るのであって、この装置105は、リザーバ126から液体薬剤125を放出させるためにリザーバ126に結合された駆動機構106を含む。本明細書でさらに詳細に記述されるように、駆動機構106は、リザーバ126のハウジング139の内部チャンバ内に配置されたピストンヘッド又はプランジャー134と、クラッチばね136と結合可能な送りねじ135と、を含み得る。システム100は、簡潔性のために図示又は記述されていない追加的な構成要素を含み得る。
【0024】
コントローラ102は、患者103の所望BGレベル又は幅を示す第1の信号であり得る、所望BGレベル信号を受信することができる。その所望BGレベル信号は、装置105上のコントローラ109のメモリに記憶されるか、ユーザインタフェースから受信されてコントローラ102又は他の装置へと向かうか、又は患者103に対する適切なBGレベル又は目標値を自動決定するコントローラ109(又はコントローラ102)内のアルゴリズムによって受信される。センサ108は、患者103に結合され得るのであって、かつユーザのBGレベルのおおよその値を測定するように動作可能であり得る。測定BGレベル又は値に応じて、センサ108はBG測定値を示す信号を生成し得る。図示されているように、コントローラ102はまた、通信経路を介してセンサ108から測定BGレベル信号112を受信し得る。この測定BGレベル信号112は、第2の信号であり得る。
【0025】
所望BGレベル信号及び測定BGレベル信号112に基づき、コントローラ102又はコントローラ109は、ポンプ104の動作を指示するための1つ以上の制御信号を生成し得る。例えば、コントローラ102又はコントローラ109からの1つの制御信号119は、ポンプ104をオンにするか、又は装置105と動作可能に接続された1つ以上の電力要素123を作動させることができる。指定量の液体薬剤125が、ユーザの測定BGレベルを所望BGレベルに至らせるために適切な量のインスリンとして決定され得る。制御信号119によって決定されたポンプ104の動作に基づき、患者103はリザーバ126から液体薬剤を受け取り得る。システム100は、閉ループシステム、開ループシステム、又はハイブリッドシステムとして動作し得る。例示的な閉ループシステムにおいては、コントローラ109は、コントローラ102からの入力なしで装置105の動作を指示することができ、かつセンサ108からBGレベル信号112を受信することができる。センサ108は、装置105内に格納される場合があり、又は別個の装置内に格納されて装置105と直接無線通信するという場合がある。
【0026】
さらに示されているように、システム100は、コントローラ102又はコントローラ109と通信しているニードル展開要素128を含み得る。ニードル展開要素128は、患者103の体内へ展開可能なニードル/カニューレ129を含み得るのであって、かつその遠位端に1つ以上の穴を含み得る。ニードル展開要素128は、装置105内に格納されている場合があり、又は装置105に接続可能な別個の構成要素である場合もある。装置105は、流体経路要素130によってニードル/カニューレ129に接続され得る。流体経路要素130は、任意のサイズ又は形状であってよく、かつ任意の材料から作製されてよい。流体経路要素130は、リザーバ126内の液体薬剤125等である流体がニードル/カニューレ129へ移送されることを可能にする。
【0027】
コントローラ102/109は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせ内に実装され得る。コントローラ102/109は、例えば、プロセッサ、ロジック回路、又はメモリに結合されたマイクロコントローラであり得る。コントローラ102/109は、日付及び時刻、ならびにプロセッサによって実行される他の機能(計算等)を保持していてよい。コントローラ102/109は、コントローラ102/109がポンプ104の動作を指示できるようにする、メモリ内に記憶された(図示されてはいない)人工膵臓(AP)アルゴリズムを実行するように動作可能であり得る。例えば、コントローラ102/109は、センサ108からの入力を受け取るように動作可能であり得る。その際、該入力は自動インスリン送達(AID)の適用設定を示している。AID適用設定に基づき、コントローラ102/109は、ポンプ104の挙動と、その結果である装置105を介して患者103に送達される液体薬剤125の量と、を変更することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、センサ108は、例えば持続グルコースモニタ(CGM)であり得る。センサ108は、ポンプ104から物理的に分離している場合があり、又は同じそのハウジング内の統合された構成要素である場合もあり、又は他の形で物理的に統合されている場合もある。センサ108は、コントローラ102に、ユーザの測定又は検出血糖レベルを示すデータを提供し得る。
【0029】
電力要素123は、装置105に電力を供給するための、バッテリー、圧電素子等であり得る。また、他の実施形態では、電力要素123又は追加的な電力源(図示されてはいない)は、ポンプ104の他の構成要素に対しても、例えば、コントローラ102、メモリ、センサ108、及び/又はニードル展開要素128等に対しても、電力を供給し得る。
【0030】
一例においては、センサ108はコントローラ102に通信可能に結合された装置であり得るのであって、例えば5分毎、10分毎といった事前決定された時間間隔で血糖値を測定するように動作可能であり得る。センサ108は、APアプリケーションに対して多数の血糖測定値を提供することができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、ポンプ104は、通常の動作モードで動作しているときには、センサ108又は他のポンプ104の機能要素によって提供された情報(例:血糖測定値、目標血糖値、搭載インスリン、以前のインスリン送達、時刻、曜日、慣性測定ユニットからの入力、GPSシステム対応デバイス、Wi-Fi対応デバイス、又はそれらに類するもの)に基づいて、リザーバ126に格納されたインスリンを患者103に提供する。例えば、ポンプ104は、薬剤又は治療薬の送達を制御するためのコントローラ102/109として実装され得るアナログ及び/又はデジタル回路を含み得る。コントローラ102/109を実装するように用いられる回路は、専用のディスクリートロジック及び/又はディスクリートコンポーネント、特定用途向け集積回路、以下を実行するマイクロコントローラ又はプロセッサであって、即ち、ソフトウェア命令、ファームウェア、プログラミング命令、又は、例えばメモリに格納されたAPアプリケーションを可能にするプログラミングコード、を実行するマイクロコントローラ又はプロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせ、を含み得る。例えば、コントローラ102/109は、制御アルゴリズム及び他のプログラミングコードを実行し得る。ここで、制御アルゴリズム及び他のプログラミングコードとは、コントローラ102/109を、以下のように、即ち、血糖測定値を目標血糖値に持っていくために、所定の間隔で、又は必要に応じて、ポンプに投与量の薬剤又は治療薬をユーザに対して送達させるように、動作可能にさせることができるものである。投与量のサイズ及び/又はタイミングは、例えば、患者103又は第三者(例:ヘルスケアプロバイダ、親又は保護者、ウェアラブル薬剤送達装置の製造者、又はそれらに類するもの)によって、有線又は無線リンクを用いて、APアプリケーションに少なくとも部分的に事前にプログラムされ得る。
【0032】
図示されてはいないものの、幾つかの実施形態では、センサ108は、プロセッサ、メモリ、センシング又は測定装置、及び通信装置を含み得る。メモリは、他のプログラミングコードと同様にAPアプリケーションのインスタンスを記憶することができ、かつ、APアプリケーションに関連したデータを記憶するように動作可能であり得る。
【0033】
各種実施形態では、センサ108のセンシング/測定装置は、例えば血糖測定要素、血圧モニタ、心拍数モニタ、血中酸素センサ要素等の1つ以上のセンシング要素を備え得る。センサプロセッサは、専用のディスクリートロジック及び/又はディスクリートコンポーネント、特定用途向け集積回路、以下を実行するマイクロコントローラ又はプロセッサであって、即ち、ソフトウェア命令、ファームウェア、メモリに記憶されたプログラミング命令、を実行するマイクロコントローラ又はプロセッサ、又はそれらの組み合わせ、を備え得る。
【0034】
図2に移ると、本開示の実施形態による駆動機構106が、より詳細に示されている。図示されているように、駆動機構106は、リザーバ126のハウジング139の内部チャンバ150内に位置させられ得る。ハウジング139は、内部チャンバ150を画定する外壁を備え得るのであって、その外壁は、内側面の反対側の外側面を含む。非限定的ではあるものの、ハウジング139は円状又は楕円形状のシリンダであり得るのであって、第2の端158の反対側に第1の端157を備えている。
【0035】
さらに図示されているように、駆動機構106は、ハウジング139の内部チャンバ150内に配置されたプランジャー134を備え得る。幾つかの実施形態では、プランジャー134は、プランジャー134の外面163の周方向に延在するシールリング162(例:Oリング)を備え得る。シールリング162は、ハウジング139の外壁の内側面と接触してそれとの間に液密シールを形成することができる。送りねじ135は、プランジャー134に結合されている場合があり、又は、分離不可能な、インサート成形されたアセンブリであってもよい。
【0036】
駆動機構106の幾つかの実施形態は、リザーバ126内における流体の充填及び吐出を、ならびにリザーバ126から流体を放出させるための駆動機構106との係合を、容易化するようなクラッチ機構170を含み得る。クラッチばね136は、送りねじ135に係合することができ、かつクラッチ機構170を介して駆動ホイール156によって駆動されることができる。
【0037】
図2に示されているように、リザーバ126が空であるか又はプレフィル状態であるときは、プランジャー134は、プランジャー134が延伸させられてクラッチ機構170が係合解除されるように、リザーバ126の第2の端158に位置している。ある実施形態では、リザーバ126は、その後、インスリン等の流体薬品を充填され得るのであって、これは、リザーバ126への入口ポートを開き、プランジャー134をリザーバ126内で第1の端157に向かって後退させるのに十分な液圧下でインスリンを圧送することによって行われ得る。その後、該入口ポートは閉鎖され得る。リザーバ126が充填されており、かつ、プランジャー134が、リザーバ126の第1の端157へ、又はそれに向かって運動しているときには、クラッチ機構170は係合解除されたままであり、それによって、送りねじ135がクラッチばねを通過して駆動ホイール156のハブの細長い円筒ボアに(駆動軸に沿って)入っていくことが可能になる。その後、クラッチ機構170は、以下のように、即ち、駆動ホイール156の回転がクラッチ機構170にクラッチばね136の回転を引き起こし、それによって、送りねじ135がプランジャー134をリザーバ126内へと前進させ、そこから流体が送達させられるように、係合され得る。代替的な実施形態では、リザーバ126は、プランジャー134が既に後退させられているときに充填されてもよい。図示された実施形態では、駆動ホイール156は、1つ以上のラチェット186を備え得るのであって、該ラチェット186は、アクチュエータと係合され、駆動ホイール156を増分的に駆動し、プランジャー134をリザーバ126を横切るように前進させる。
【0038】
幾つかの実施形態では、図3A~3Bに示されているように、クラッチ機構170のクラッチばね136は、駆動ホイール156の1つの端にあるカウンターボア172(図3B)内に配置された螺旋状のねじりばねであってよい。クラッチばね136のIDは、クラッチばね136に負荷がかかっているときには送りねじ135の外径よりも大きくあり得るのであって、それによって、クラッチばね136が送りねじ135から係合解除され、かつ送りねじ135がクラッチばね136の中央開口を通過して駆動ホイール156の細長いボア174に入っていくことが可能になる。あるいは、クラッチばね136のIDは、クラッチばね136に負荷がかかっていないときには送りねじ135の外径よりも小さくあり得るのであって、それによって、送りねじ135に係合するか又はそれをグリップし、駆動ホイール156が送りねじ135を回転させることが可能になる。幾つかの実施形態では、クラッチばね136は、送りねじ135の外ねじ切り138に係合する。
【0039】
図示された実施形態では、リザーバ126の充填前においては、クラッチばね136は、駆動ホイール156と係合されたばねラッチ164によって、負荷のかかった係合解除位置に保持され得る。リザーバ126が充填された後では、クラッチばね136は、ばねラッチ164がクラッチばね136を解放するまで駆動ホイール156を回転させることによって、係合され、これにより、クラッチばね136が負荷を解除して送りねじ135をグリップすることが可能になる。その後、駆動ホイール156の継続的な回転により、流体をリザーバ126から吐出させることができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、ばねラッチ164は、クラッチばね136によって、以下のように付勢され得るのであって、即ち、駆動ホイール156が回転するにつれ、ばねラッチ164がリザーバキャップ175の表面に対して回転運動し、クラッチばね136がばねラッチ164を偏向させてリザーバキャップ175の窓176内に入れるに至るように、付勢され得る。ばねラッチ164が窓176内へと移動したとき、ばねラッチ164によって保持されたクラッチばね136の第1の端178(図3A)が解放され、クラッチ機構170に係合する。クラッチばね136が係合されたとき、駆動ホイール156はクラッチばね136の第2の端179に接触してクラッチばね136に推力を生じさせ、それによって、クラッチばね136は送りねじ135を回転させる。
【0041】
図4A~4Bに移れば、他の実施形態によるクラッチばね136及び送りねじ135の動作が記述される。この実施形態では、クラッチばね136は、スライダ184の内側面に結合されていてもよいし、又はそれに沿って伸びていてもよい。スライダ184は、プランジャー(図示されてはいない)に結合されたシリンダであり得る。この実施形態は、駆動システム全体(特にクラッチ機構)の必要長さを約半分まで減少させることができ、それによって駆動機構の全体サイズを減少させることができる。加えて、この駆動機構においてはチューブナットが必要とされないので、システムの全体部品数及び複雑さが減少させられている。先行する他の駆動機構においては、チューブナットは、ばねと送りねじの間に配置され、回転駆動部材の回転運動を送りねじの並進運動に変換するように用いられていた。そのようなチューブナットは、典型的には送りねじの長さの大部分に沿って伸びており、それによって、クラッチ機構ひいては駆動システム全体の必要長さは送りねじの長さの約2倍まで増大していた。また、駆動部材が送りねじを回転させることも、2つの構成要素即ちばねと該チューブナットを介して可能であった。本明細書で開示される進歩では、そのようなチューブナットは取り除かれ、ばねは、ばねが送りねじと直接係合できるように、変更されている。上で説明されたように、このことによって、駆動システム全体の必要長さは減少させられ、「2倍の長さ」の課題が克服されており、また一方では、駆動システム及びクラッチ機構の必要部品数も減少させられている。
【0042】
上記のように、クラッチばね136は、当初、IDが送りねじ135のODよりも大きく、リザーバが充填されている際にスライダ184が送りねじ135に沿って自由に運動することができる、負荷構成にあり得る。クラッチばね136は、解放されたときには、クラッチばね136のIDの減少を、ひいてはクラッチばね136及びスライダ184と送りねじ135の係合を引き起こす。クラッチばね136の解放後、スライダ184は、駆動ナットのように機能し、一方、クラッチばね136は送りねじ135のOD上のねじ山と係合しかつ/又はそれに従う内ねじ切りとして機能する。このようにすると、クラッチばね136の回転により、送りねじ135及びプランジャーの直線運動がもたらされ、駆動機構が流体をリザーバから正確に吐出させることが可能になる。
【0043】
図5A~5Cは、本明細書で記述されるクラッチばね136の非限定的な各種例を示している。図示されているように、各クラッチばね136は、第1の端178と第2の端179の間に、螺旋形状の主体部189を備え得る。主体部189は、中央開口191であって、その中に送りねじを受け入れるように動作可能である、中央開口191を画定し得る。主体部189は、送りねじの外ねじ切りの窪みに係合するように動作可能な、複数のループ又は回旋部192を備え得る。非限定的ではあるものの、クラッチばね136は、円形の断面、楕円状又は卵状(oval)の断面(図5A)、正方形又は菱形プロファイル(図5B)、又は三角形プロファイル(図5C)を有し得る。円形ではないプロファイルは、送りねじ135の外ねじ切りと相補的な、嵌合するねじの形状の、幾何形状を形成するように用いることができる。
【0044】
図6は、本開示の実施形態による、例示的なプロセス300を示している。ブロック301では、プロセス300は、液体薬剤を収容するように構成されたリザーバを提供することを含み得る。その際、該リザーバはハウジングを備えており、該ハウジングは内部チャンバを画定する外壁を備えている。
【0045】
ブロック302では、プロセス300は、液体薬剤をリザーバから放出させるための駆動機構を提供することを含み得る。幾つかの実施形態では、駆動機構は、リザーバの内部チャンバ内に受け入れられたプランジャーと、該プランジャーから延びる送りねじと、該送りねじに結合されておりクラッチ機構と動作可能である、駆動ホイールと、を備え得る。上記プランジャーは、ハウジングの外壁の内側面に対するシールを形成し得る。
【0046】
ブロック303では、プロセス300は、クラッチ機構のクラッチばねを回転させて送りねじを前進させることをさらに含み得る。クラッチ機構は、係合解除位置にあるときには、送りねじがクラッチばねを通過できるように構成されており、かつ、係合位置にあるときには、送りねじをグリップするように構成されている。幾つかの実施形態では、プロセス300は、駆動ホイールを回転させ、クラッチばねを回転させて送りねじ及びプランジャーをリザーバ内へと前進させることをさらに含み得る。幾つかの実施形態では、クラッチばねは、クラッチばねが送りねじと係合しているときに送りねじの外側部と直接物理的に接触しているように設けられ得る。幾つかの実施形態では、駆動ホイールを回転させることによって、プランジャーが流体をリザーバから吐出させることが引き起こされる。
【0047】
幾つかの実施形態では、プロセス300は、クラッチばねをばねラッチと係合させること及び係合解除させることを含み得る。幾つかの実施形態では、クラッチ機構は、駆動ホイールを回転させることによってクラッチばねをばねラッチから解放することにより、係合解除位置から解放され得る。
【0048】
本明細書で使用される際、血糖レベル及びインスリン療法を管理するアルゴリズム又はコンピュータアプリケーションは、「人口膵臓」アルゴリズムベースシステムと、又はより一般的には、人工膵臓(AP)アプリケーションと、呼称され得る。APアプリケーションは、メモリ装置に記憶されており、かつプロセッサ、コントローラ、又はコンピュータデバイスによって実行可能である、プログラミングコードであり得る。
【0049】
薬剤送達システム(例:システム100又はその任意の構成要素)に関する本明細書記載の技術は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせ内に実装され得る。本明細書記載の構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせ内に実装され得る。例えば、システム100又はその任意の構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせ内に実装され得る。本明細書記載の技術のソフトウェア関連の実装は、ファームウェア、特定用途向けソフトウェア、又は1つ以上のプロセッサによって実行され得る任意の他の種類のコンピュータ可読命令を含み得るが、それらに限定されるわけではない。本明細書記載の技術のハードウェア関連の実装は、集積回路(IC)、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含み得るが、それらに限定されるわけではない。幾つかの例では、本明細書記載の技術、及び/又は本明細書記載の任意のシステム又は構成要素は、1つ以上のメモリ要素上に記憶されたコンピュータ可読命令を実行するプロセッサを用いて実装され得る。
【0050】
開示される装置の幾つかの例は、例えば、機械(即ち、プロセッサ又はコントローラ)によって実行される場合には、以下を用いて、即ち、本開示の例に従う方法及び/又は動作をその機械に行わせることができる、記憶媒体、コンピュータ可読媒体、又は、命令又は命令のセットを記憶できる製造品、を用いて実装され得る。そのような機械は、例えば、任意の適切な処理プラットフォーム、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングデバイス、処理デバイス、コンピューティングシステム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ、又はそれらに類するものを含み得るのであって、かつ、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の適切な組み合わせを用いて実装され得る。コンピュータ可読媒体又は物品は、例えば、任意の適切な種類のメモリユニット、メモリ、メモリ物品、メモリ媒体、記憶装置、記憶物品、記憶媒体及び/又は記憶ユニット、例えば、メモリ(非一時的なメモリを含む)、取り外し可能又は取り外し不可能なメディア、消去可能又は消去不能メディア、書き込み可能又は書き換え可能メディア、デジタル又はアナログメディア、ハードディスク、フロッピーディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、光学ディスク、磁気ディスク、磁気光学メディア、取り外し可能メモリカード又はディスク、各種DVD、テープ、カセット、又はそれらに類するもの、を含み得る。上記の命令は、任意の適切な種類のコードを、例えばソースコード、コンパイラ型コード、インタプリタ型コード、実行可能なコード、静的コード、動的コード、暗号化されたコード、プログラミングコード、及びそれらに類するものを、含み得る。ここで、それらは、以下を用いて、即ち、高水準、低水準、オブジェクト指向、ビジュアル、コンパイラ型、及び/又はインタプリタ型の、任意の適切なプログラミング言語を用いて、実装されている。非一時的なコンピュータ可読媒体に具現化されたプログラミングコードは、そのプログラミングコードの実行の際には、本明細書に記述されているような機能をプロセッサに実行させることができる。
【0051】
本開示の主題の特定の例を、上で記述した。しかしながら、本開示の主題はそれらの例に限定されるものではないことは、明示的に指摘しておく。意図はむしろ、本明細書に明示的に記載されたものに対する追加及び修正もまた本開示の主題の範囲内に含まれるということにある。さらに、本明細書に記載された各種例の特徴は、相互に排他的ではなく、様々な組み合わせ及び順序で存在し得るのであり、さらに、そのような組み合わせ又は順序が本明細書で明示されなかったとしても、本開示の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、それらが存在し得るということは、理解されたい。実際、本明細書に記載されたものの変形、修正、及び他の実装は、本開示の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者に想起されるところであろう。このように、本開示の主題は、先の例示的な記述のみによって定義されるものではない。
【0052】
本技術のプログラムの態様は、典型的には、一種の機械可読媒体内で実行又は具現化された実行可能コード及び/又は関連付けられたデータの形態の「製品」又は「製造品」として考えることができる。ストレージ形式のメディアは、以下のような任意又はすべての有形メモリを含む。即ち、コンピュータ、プロセッサ、又はそれらに類するものの任意又はすべての有形メモリ、又は、それらに関連付けられたモジュールの、例えば各種半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブ、又はそれらに類する、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的な記憶を提供することが可能なモジュールの、任意の有形メモリ又はすべての有形メモリ、を含む。本開示の要約は、読者が技術的開示の本質を迅速に把握できるように提供されていることは、強調されたい。本開示の要約は、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するようには用いられないことを理解して提出されている。加えて、先の発明を実施するための形態においては、開示の合理化のため、各種特徴は単一の例の中にまとめられている。この開示方法は、特許請求された例が各請求項に明示的に記載されたよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映しているように、進歩的な主題は、単一の開示された例のすべての特徴よりも少ない特徴に存在している。従って、以下の請求項は、本明細書の発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項はそれ自体別個の例として自立している。添付の請求項においては、「~を含む」「そこで(in which)」という用語は、それぞれ、「~を備える」及び「において(wherein)」というそれぞれの語の平易な英語の等価物として用いられている。さらに、「第1の」、「第2の」、「第3の」等の用語は単なるラベルとして用いられ、それらの対象に数値的な要件を課すことを意図されてはいない。
【0053】
前述の実施例の説明は、例示及び説明の目的のために提示されたものである。網羅的であること、又は本開示を開示されたまさにその形態に限定することは意図されていない。本開示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。本開示の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろそれに添付された請求項によって限定されることが意図されている。本出願に対する優先権を主張する将来の出願は、本開示の主題を異なる態様で特許請求することができ、かつ、一般的には、本明細書で様々に開示されたか又は他の方法で実証されたような1つ以上の限定事項の任意のセットを含むことができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
【国際調査報告】