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特表2024-533278不均衡の検出と特性評価により原子力発電所を監視する方法およびシステム
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  • 特表-不均衡の検出と特性評価により原子力発電所を監視する方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】不均衡の検出と特性評価により原子力発電所を監視する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G21C17/00 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514678
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2022074781
(87)【国際公開番号】W WO2023036792
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】2109360
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593128105
【氏名又は名称】フラマトム
【氏名又は名称原語表記】FRAMATOME
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ファンゴールド,ジャン
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA05
2G075BA03
2G075CA17
2G075DA03
2G075DA04
2G075DA05
2G075DA06
2G075EA02
2G075FB09
2G075GA40
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い方法で監視を実行することを可能にする監視システムによって実施される原子力発電所の監視方法を提案する。
【解決手段】 監視方法は、複数の蒸気発生器の各蒸気発生器について、および、蒸気発生器の動作の代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、蒸気発生器におけるこのパラメータの不均衡を検出するためにこの蒸気発生器のパラメータの測定値とすべての蒸気発生器のこのパラメータの平均値との偏差を決定すること、および、物理的問題信号または測定偏差信号を生成するために、代表パラメータのセットの一つまたは複数の他のパラメータに応じて不均衡を特性評価することを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視システム(40)によって実行される原子力発電所(2)の監視方法であって、
原子力発電所(2)は、一次回路(4)、二次回路(6)、一次回路(4)内を循環する水を加熱するために一次回路(4)内に配置された原子炉(10)、二次回路(6)内で蒸気を発生させることによって一次回路(4)から二次回路(6)に熱を伝達するように配置されたN個(Nは2以上の整数である)の蒸気発生器(8)を有し、
監視システム(40)は、各蒸気発生器(8)について蒸気発生器(8)の動作の代表パラメータのセットのうちのパラメータ測定用のセンサを備え、
監視方法は、代表パラメータのセットのうちの少なくとも一つのパラメータについて、および各蒸気発生器(8)について、
-センサによって提供される測定に応じて、この蒸気発生器(8)のパラメータの測定値とすべての蒸気発生器(8)のこのパラメータの平均値との偏差を決定し、蒸気発生器(8)におけるこのパラメータの不均衡を検出すること、および、
-代表パラメータのセットの一つまたは複数の他のパラメータに応じての、この蒸気発生器(8)のパラメータに影響を与える不均衡の特性評価をし、不均衡によって影響される蒸気発生器(8)の物理的問題の存在を示す物理的問題信号、または不均衡の影響を受ける蒸気発生器(8)で考慮されるパラメータの測定の偏差を示す測定偏差信号を生成すること、
を含む監視方法。
【請求項2】
前記代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、
一つまたは複数の前記パラメータの不均衡の特性評価が、前記他のパラメータの少なくとも一つまたは各々について、考慮される蒸気発生器(8)のこの他のパラメータの測定値と、すべての蒸気発生器(8)についてのこの他のパラメータの基準値との偏差に応じて実行され、
該基準値は、この他のパラメータの平均値およびこの他のパラメータの設定値から選択される、請求項1に記載の監視方法。
【請求項3】
前記パラメータの測定値と基準値との間の少なくとも一つまたは各々の偏差を一つまたは複数の比較閾値と比較して、このパラメータについての不均衡の検出または他のパラメータの不均衡の検出することを含み、
該基準値は、このパラメータの平均値および設定値から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の監視方法。
【請求項4】
前記代表パラメータのセット内の少なくとも一つのパラメータについて、考慮される蒸気発生器(8)のパラメータの不均衡の特性評価には以下の、
-このパラメータについての測定値と計算された平均値の偏差が、このパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さいか、またはこのパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、好ましくは、この他のパラメータについて計算された平均値および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされたこの他のパラメータの設定値から選択された代表パラメータのセットの他のパラメータの基準値との偏差が、この他のパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さいか、またはこの他のパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きい場合の、物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータについて計算された偏差が、このパラメータに関連付けられた下限閾値より小さい、またはこのパラメータに関連付けられた上限閾値より大きい場合、および測定値と、好ましくは、前記他のパラメータについて計算された平均値および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた前記他のパラメータの設定値から選択された代表パラメータのセットの他のパラメータの基準値との偏差が、この他のパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さくなく、また、この他のパラメータに関連付けられた上限閾値より大きくない場合の、測定偏差信号の発信、
を含む、請求項1~3のいずれか一つに記載の監視方法。
【請求項5】
前記各蒸気発生器(8)について、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、この蒸気発生器(8)におけるこのパラメータの不均衡の特性評価には以下の、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、負の下限閾値よりも小さい場合、および測定値と、好ましくはこの他のパラメータの計算された平均値と任意で位相進みフィルタによってフィルタリングされた設定値から選択された代表パラメータのセットのこの他のパラメータの基準値との偏差が、負の下限閾値より小さい場合の、第1の物理的問題信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、負の下限閾値よりも小さい場合、および測定値と、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの基準値との偏差が負の下限閾値より小さくない場合の、第1の測定偏差信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、正の上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの基準値の偏差が正の上限閾値より大きい場合の、第2の物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、正の上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの基準値との偏差が、正の上限閾値より大きくない場合の、第2の測定偏差信号の発信、
を含む、請求項1~4のいずれか一つに記載の監視方法。
【請求項6】
前記各蒸気発生器(8)について、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、測定値と基準値の偏差が警報下限閾値より小さい場合の警報信号の発信、および/または測定値と基準値との間の偏差が警報上限閾値より大きい場合に警報信号を発信し、基準値は、このパラメータの平均値とこのパラメータの設定値から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一つに記載の監視方法。
【請求項7】
前記測定値と基準値との偏差は、警報下限閾値と比較される前、および/または警報上限閾値と比較される前に、位相進みフィルタを使用してフィルタリングされる、請求項6に記載の監視方法。
【請求項8】
前記代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータまたは各パラメータの不均衡の特性評価には、代表パラメータのセットの別のパラメータに対して発信される警報信号を考慮することが含まれることを特徴とする、請求項7に記載の監視方法。
【請求項9】
前記各蒸気発生器(8)、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、測定値とこのパラメータの基準値の偏差が、下限偏差閾値より小さい場合に偏差信号を発信し、および/または測定値とこのパラメータの基準値の偏差が、上限偏差閾値より大きい場合に差信号を発信し、基準値は、このパラメータの平均値とこのパラメータの設定値から選択される、請求項1~8のいずれか一つに記載の監視方法。
【請求項10】
前記蒸気発生器の少なくとも一つのパラメータの不均衡の特性評価は、このパラメータに対して発信される偏差信号と、特性評価を考慮した少なくとも一つの他のパラメータに対して発信される警報または偏差信号に応じて実行される、請求項6~9のいずれか一つに記載の監視方法。
【請求項11】
前記各蒸気発生器について、代表パラメータのセットには、一つまたは複数の、蒸気流量(DV)、蒸気圧力(PV)、給水流量(DE)、給水温度(TE)、パージ流量(DP)、水位(NV)および一次出力(P1)のパラメータのうちの一つまたは複数が含まれる、請求項1~10のいずれか一つに記載の監視方法。
【請求項12】
前記蒸気発生器(8)の蒸気圧力の不均衡の特性評価は、蒸気流量と一次出力に応じて、この蒸気発生器(8)の測定蒸気流量(DVmes)と蒸気発生器(8)の平均蒸気流量(DVavg)との偏差、およびこの蒸気発生器(8)の測定一次出力(P1mes)とすべての蒸気発生器(8)の平均一次出力(P1avg)との偏差に応じて実行される、請求項11に記載の監視方法。
【請求項13】
前記蒸気発生器(8)の蒸気流量の不均衡の特性評価は、蒸気圧力と一次出力に応じて、この蒸気発生器(8)の測定蒸気圧力(PVmes)とすべての蒸気発生器(8)の蒸気圧力の平均蒸気圧力(PVavg)の偏差、およびこの蒸気発生器(8)の測定一次出力(P1mes)とすべての蒸気発生器(8)の平均一次出力(P1avg)との偏差に応じて実行される、請求項11または12に記載の監視方法。
【請求項14】
前記蒸気発生器(8)の給水温度(TE)の不均衡の特性評価は、一次出力に応じて、この蒸気発生器(8)の測定一次出力(P1mes)とすべての蒸気発生器(8)の平均一次出力(P1avg)との偏差に応じて実行される、請求項11~13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
前記蒸気発生器(8)の給水流量(DE)の不均衡の特性評価は、この蒸気発生器(8)の水位に応じて、この蒸気発生器(8)の測定水位値(NVmes)と設定水位値(NVcons)との偏差に応じて実行される、請求項11~14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
前記蒸気発生器(8)のパージ流量の不均衡の特性評価は、この蒸気発生器(8)の給水流量に応じて、この蒸気発生器(8)の測定給水流量(DEmes)とすべての蒸気発生器(8)の平均給水流量(DEavg)との偏差に応じて実行される、請求項11~15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記各蒸気発生器(8)について、代表パラメータのセットのパラメータを測定するためのセンサ、およびセンサによって提供される測定を基にした請求項1~16のいずれか一つに記載の監視方法の実行のために構成された電子監視ユニット(60)を含む、原子力発電所監視システム。
【請求項18】
メモリまたはデータ媒体に記録可能であり、プロセッサまたはコンピュータによって実行可能なコンピュータプログラム製品であり、請求項1~16のいずれか一つに記載の監視方法の実行のためのソフトウェアコード命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の監視分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所は、分離されている一次水回路(または「一次回路」)と二次水回路(または「二次回路」)と、一次回路を循環する水を加熱する原子炉と、一次回路から二次回路に熱を伝え、二次回路で蒸気を生成するように配置された複数の蒸気発生器と、二次回路に組み込まれ、蒸気発生器によって生成された蒸気から機械エネルギーを生成する蒸気タービンを有する。
この機械エネルギーは、蒸気タービンに連結された発電機を使用して電気エネルギーに変換できる。
【0003】
原子力発電所には、一般に、原子力発電所を監視および制御するために使用される動作パラメータを測定するセンサが装備されている。
【0004】
これらの動作パラメータは、例えば、原子力発電所を自動的に監視および/または制御するように構成された監視システムによって使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、信頼性の高い方法で監視を実行することを可能にする監視システムによって実施される原子力発電所の監視方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、監視システムによって実行される原子力発電所を監視する方法であって、
原子力発電所は、一次回路、二次回路、一次回路内を循環する水を加熱するために一次回路内に配置された原子炉、二次回路内で蒸気を発生させることによって一次回路から二次回路に熱を伝達するように配置されたN個(Nは2以上の整数である)の蒸気発生器を有し、
監視システムは、各蒸気発生器について蒸気発生器の動作の代表パラメータのセットのパラメータ測定用のセンサを備え、
その監視方法は、代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、および、各蒸気発生器について、
-センサによって提供される測定値に応じて、この蒸気発生器のパラメータの測定値とすべての蒸気発生器のこのパラメータの平均値との偏差を決定し、蒸気発生器におけるこのパラメータの不均衡を検出すること、および、
-代表パラメータのセットの一つまたは複数の他のパラメータに応じてこの蒸気発生器のパラメータに影響を与える不均衡の特性評価をし、不均衡によって影響される蒸気発生器の物理的問題の存在を示す物理的問題信号、または不均衡によって影響される蒸気発生器で考慮されるパラメータの測定の偏差を示す測定偏差信号を生成すること、
を含む監視方法を提案する。
【0007】
蒸気発生器のパラメータの測定値をすべての蒸気発生器のこのパラメータの平均値と比較すると、この蒸気発生器のこのパラメータの不均衡を特定することができる。
【0008】
このような不均衡は、この蒸気発生器の物理的問題、すなわち、不均衡の影響を受けるこの蒸気発生器に実際に存在する問題、またはこの蒸気発生器の前記パラメータの測定における偏差、すなわち、その測定がこのパラメータの値を決定するセンサの測定誤差が原因である可能性がある。
【0009】
考慮されるパラメータで検出される不均衡の特性評価のために考慮される他の各パラメータは、好ましくは、考慮される前記パラメータにリンクされ、原則として不均衡の影響も受けるはずの別のパラメータである。
【0010】
蒸気発生器のパラメータの不均衡を一つまたは複数の他のパラメータに応じて特性評価をすることにより、監視システムは、検出された不均衡が、蒸気発生器の物理的な問題またはこの蒸気発生器のこのパラメータの測定値の偏差によるものであることを示す信号を自動的に生成することができる。
【0011】
したがって、不均衡の特性評価により、原子力発電所を制御するオペレータまたは監視システムは、不均衡が物理的な問題であるか測定偏差であるかに応じて、不均衡の検出後に適切な措置を講じることができる。
【0012】
物理的問題の特性評価の場合、原子力発電所を制御して物理的問題を補正したり、原子力発電所を動作モードに切り替えて物理的問題を修正したりすることができる。
測定偏差を特性評価する場合、実行された測定を修正したり、電源状態または電源停止しているときに一つまたは複数の欠陥のある機器のメンテナンス(修理または交換)を実行したりすることが可能である。
【0013】
特定の実施形態によれば、監視方法は、個別に、または技術的に可能なすべての組み合わせによって取得される、以下の単数または複数の次の選択可能な特性を備える。
-代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、パラメータの不均衡の特性評価は、前記の他のパラメータの少なくとも一つまたは各々について、考慮される蒸気発生器についてのこの他のパラメータの測定値とすべての蒸気発生器についてのこの他のパラメータの基準値との偏差に応じて実行され、基準値は、この他のパラメータの平均値およびこの他のパラメータの設定値から選択される。
-監視方法は、このパラメータの不均衡を検出するため、または他のパラメータの不均衡を検出するために、パラメータの測定値と基準値との間の少なくとも一つまたは各々の偏差を、一つまたは複数の比較閾値と比較することを含み、基準値は、このパラメータの平均値および設定値から選択され、基準値は、関係するパラメータの平均値および設定値から選択される。
-代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、考慮される蒸気発生器のパラメータの不均衡の特性評価には以下が含まれる。
-このパラメータについて計算された偏差が、このパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さいか、またはこのパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、好ましくは、この他のパラメータについて計算された平均値および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされたこの他のパラメータの設定値から選択された代表パラメータのセットのこの他のパラメータの基準値との偏差が、この他のパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さいか、またはこの他のパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きい場合の、物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータについて計算された偏差が、このパラメータに関連付けられた下限閾値より小さい、またはこのパラメータに関連付けられた上限閾値より大きい場合、および測定値と、好ましくは、前記他のパラメータについて計算された平均値および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた前記他のパラメータの設定値から選択された代表パラメータのセットの他のパラメータの基準値との偏差が、この他のパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さくなく、また、この他のパラメータに関連付けられた上限閾値より大きくない場合の、測定偏差信号の発信。
-各蒸気発生器、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、この蒸気発生器のこのパラメータの不均衡の特性評価には以下のものが含まれる。
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が負の下限閾値よりも小さい場合、および測定値と、好ましくは、この他のパラメータについて計算された平均値、および任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされたこの他のパラメータの設定値から選択された代表パラメータのセットの他のパラメータの基準値との偏差が負の下限閾値より小さい場合の、第1の物理的問題信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が負の下限閾値よりも小さい場合、および測定値と、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの基準値との偏差が負の下限閾値より小さくない場合の、第1の測定偏差信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が正の上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの基準値の偏差が正の上限閾値より大きい場合の、第2の物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が正の上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの基準値との偏差が正の上限閾値より大きくない場合の、第2の測定偏差信号の発信。
-各蒸気発生器、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、測定値と基準値との偏差が警報下限閾値より小さい場合の警報信号の発信、および/または測定値と基準値との偏差が警報上限閾値より大きい場合の警報信号の発信であって、基準値は、このパラメータの平均値とこのパラメータの設定値から選択される。
-測定値と基準値との偏差は、警報下限閾値と比較される前、および/または警報上限閾値と比較される前に、位相進みフィルタを使用してフィルタリングされる、
-代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータまたは各パラメータの不均衡の特性評価は、代表パラメータのセットの別のパラメータに対して発信される警報信号を考慮することを含む、
-各蒸気発生器、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、測定値とこのパラメータの基準値の偏差が下限偏差閾値より小さい場合の偏差信号の発信であって、および/または測定値とこのパラメータの基準値の偏差が上限偏差閾値より大きい場合偏差信号の発信、基準値は、このパラメータの平均値とこのパラメータの設定値から選択される。
-蒸気発生器の少なくとも一つのパラメータの不均衡の特性評価は、このパラメータに対して発信される偏差信号と、特性評価を考慮した少なくとも一つの他のパラメータから発信される警報または偏差信号に応じて実行される。
-各蒸気発生器について、代表パラメータのセットには、蒸気流量、蒸気圧力、給水流量、給水温度、パージ流量、液体水位および一次出力のパラメータのうち一つまたは複数が含まれる。
-蒸気発生器の蒸気圧力の不均衡の特性評価は、例えば、蒸気流量と一次出力に応じて、特に、この蒸気発生器の測定された蒸気流量と蒸気発生器の平均蒸気流量との偏差およびこの蒸気発生器の測定された一次出力とすべての蒸気発生器の平均一次出力との偏差に応じて実行される。
-蒸気発生器の蒸気流量の不均衡の特性評価は、例えば、蒸気圧力と一次出力に応じて、特に、この蒸気発生器の測定された蒸気圧力とすべての蒸気発生器の平均蒸気圧力の偏差、およびこの蒸気発生器の測定された一次出力と蒸気発生器の平均一次出力との偏差に応じて実行される。
-蒸気発生器の給水温度の不均衡の特性評価は、例えば一次出力に応じて、特に、この蒸気発生器の測定された一次出力とすべての蒸気発生器の平均一次出力との偏差に応じて実行される。
-蒸気発生器の給水流量の不均衡の特性評価は、例えば、この蒸気発生器の水位に応じて、特に、この蒸気発生器の測定された水位と設定水位値との偏差に応じて実行される。
-蒸気発生器のパージ流量の不均衡の特性評価は、この蒸気発生器の給水量に応じて、特に、この蒸気発生器の測定された給水流量とすべての蒸気発生器の平均給水流量との偏差に応じて実行される。
【0014】
本発明は、また、各蒸気発生器について代表パラメータのセットのパラメータを測定するためのセンサを備える原子力発電所監視システムおよび以上で限定するようなセンサによる測定からの監視方法の実行のために構成された電子装置に関するものである。
【0015】
本発明は、また、メモリまたはデータ記憶媒体に記録可能であり、プロセッサまたはコンピュータによって実行可能なコンピュータプログラム製品に関するものであり、コンピュータプログラム製品は以上で限定するような監視方法の実行のためのソフトウェアコード命令を含む。
【0016】
本発明およびその利点は、参考として且つ非限定的に、添付図面を参照して、以下に示す詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】監視方法の実施のために構成された監視システムを有する原子力発電所の概略図である。
図2】監視方法のステップを示すブロック図である。
図3】監視方法の実施のために構成された監視システムの電子監視ユニットを示す図である。
図4】監視方法の実施のために構成された監視システムの電子監視ユニットを示す図である。
図5】監視方法の実施のために構成された監視システムの電子監視ユニットを示す図である。
図6】監視方法の実施のために構成された監視システムの電子監視ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示した原子力発電所2は、一次水循環回路4および二次水循環回路6を含み、一次回路4および二次回路6は、N個(Nは2以上の整数であり、例えば4である。)の蒸気発生器8によって分離および熱的に連結されている。
【0019】
図1には、図面の簡略化のために、単一の蒸気発生器8が図示されている。
【0020】
各蒸気発生器8は、一次回路4と二次回路6の間に配置されており、一次回路4の水と二次回路6の水との間の熱交換のために構成されている。
【0021】
機能として、各蒸気発生器8は、二次回路6内に蒸気を生成させることができ、その内部で、蒸気発生器8は入口で液体状態の水が供給され、出口で気体状態の水、すなわち、水蒸気を提供する。
【0022】
一次回路4は、一次回路4内を循環する水を加熱するための原子炉10を含む。
【0023】
原子力発電所2は、例えば、加圧水型原子力発電所であり、その場合、原子炉10は加圧水型原子炉(PWR)であり、または沸騰水型原子力発電所であり、その場合、原子炉10は沸騰水型原子炉(BWR)である。
【0024】
一次回路4はN個の一次流体ループ12を備え、各一次ループ12は原子炉10をそれぞれの蒸気発生器8に流体結合する。
【0025】
原子炉10は、原子炉容器14と、原子炉容器14内に並べて配置された複数の核燃料集合体18からなる炉心16とを備えている。
【0026】
原子炉10は、原子炉10の反応度を制御するために炉心16内に降ろしたり、炉心16から上昇させたりすることができる制御クラスタ20を備える。
制御クラスタ20は、例えば、反応度を低下させるために炉心16に選択的に挿入でき、または反応度を高めるために炉心16から引き出すことができる制御クラスタ、および原子炉10の自動停止を引き起こすために炉心16に生成することができる停止クラスタを含む。
【0027】
各一次ループ12は、原子炉容器14をそれぞれの蒸気発生器8に連結する。
各一次ループ12は、この一次ループ12内で水を強制的に循環させるためのそれぞれの一次ポンプ22を含む。
【0028】
原子力発電所2が加圧水型原子力発電所である場合、一次回路4は、一次回路4内を循環する水が液体状態に留まるように十分な圧力を一次回路4内に維持するように構成された加圧器24を備える。
【0029】
加圧器24は、一次ループ12のホットブランチ、すなわち、流体が原子炉10からこの一次ループ12上に位置する蒸気発生器8に向かって循環する分岐に流体結合されている。
【0030】
二次回路6はN個の二次ループ26を備え、各二次ループ26はそれぞれの一次ループ12に結合されている。
各蒸気発生器8は、一次ループ12と、結合する二次ループ26との間に配置される。
【0031】
二次回路6は、二次回路6内の水を強制的に循環させるための一つまたは複数の二次ポンプ28を備える。
二次回路6は、例えば、各二次ループ26内にそれぞれの二次ポンプ28を含む。
あるいは、一つまたは複数の二次ポンプ28は、すべての二次ループ26に供給する。
【0032】
二次回路6は、二次回路6内を循環する蒸気に含まれる熱エネルギーを機械エネルギーに変換するように構成されたタービン30を含む。
【0033】
タービン30の入口は、蒸気発生器8によって生成された蒸気を収集し、収集された蒸気をタービン30に供給するように構成された入口マニホルド(または「バレル」)(図示せず)を介して二次ループ26に連結される。
【0034】
二次回路6は、特にタービン30から出る蒸気、任意で蒸気バイパス群(図示せず)から出る蒸気を冷却し、二次ループ26を介して液体状態の水を蒸気発生器8に送り返す前に水を液体状態に戻すように構成された復水器32を含む。
【0035】
蒸気バイパス群は、複数の蒸気発生器8から来る蒸気を収集するように設計された蒸気収集器(図示せず)と復水器32との間で、タービン30を通る所望の蒸気流量に応じて、タービン30をバイパスすることを可能にする回路の一部である。
【0036】
復水器32の出口は、復水器32から出る水を異なる二次ループ26に向けて分配するように構成された出口コレクタ(図示せず)を介して二次ループ26に連結されている。
【0037】
各復水器32は、例えば、二次回路6上に配置され、二次回路6の水と冷却回路34内を循環する水との間で熱交換を行うように構成されている。
【0038】
原子力発電所2は、このタービン30によって生成される機械エネルギーから電気エネルギーを生成するためにタービン30に機械的に結合された発電機36を含む。
電気エネルギーは、例えば配電網に供給される。
【0039】
原子力発電所2は、原子力発電所2の自動監視、特に原子力発電所2の監視方法の実施のために構成された監視システム40を含む。
【0040】
監視システム40は、原子力発電所2の動作パラメータ、特に各蒸気発生器8の動作を表すパラメータを測定するためのセンサを含む。
【0041】
センサは、例えば、各蒸気発生器8について次のものが含まれる。
-この蒸気発生器8が配置されている一次ループ12内の水流量Q1を測定するための、一次水流量センサ42。
-ホットブランチTC内の水温、すなわち原子炉10から蒸気発生器8に水を導く一次ループ12のホットブランチ内の水の温度を測定するための、流入水温度センサ44。
-コールドブランチTF内の水温、すなわち蒸気発生器8から原子炉10に水を導く一次ループ12のコールドブランチ内の水の温度を測定するための、流出水温度センサ46。
-蒸気圧力PV、すなわち、蒸気発生器8が配置されている二次ループ26内の蒸気発生器8の出口における蒸気圧力を測定するための、蒸気圧力センサ48。
-蒸気流量DV、すなわち、蒸気発生器8が配置されている二次ループ26内の蒸気発生器8の出口における蒸気流量を測定するための、蒸気流量センサ50。
-給水温度TE、すなわち、蒸気発生器8が配置されている二次ループ26内の蒸気発生器8に到達する液体状態の水の温度を測定するための、給水温度センサ52。
-給水流量DE、すなわち、蒸気発生器8に配置されている二次ループ26内のこの蒸気発生器8に到達する液体状態の水の流量を測定するための、給水流量センサ54。
-蒸気発生器8のパージ流量DPを測定するパージ流量センサ56。
パージ流量DPは、蒸気発生器8の二次側から抽出される液体状態の水の流量である。
このパージ流量DPは、特に蒸気発生器8から抽出される蒸気の流量と比較して比較的少ない。
-二次ループ26の側で、蒸気発生器8内の液体状態の水のレベルである水位NVを測定する水位センサ58。
【0042】
本特許出願では、別段の規定がない限り、「流量」という用語は、流体の質量流量を指すために使用されることに留意されたい。
【0043】
監視システム40は、監視方法を実施することによって原子力発電所2を監視するように構成された電子監視ユニット60を含む。
【0044】
電子監視ユニット60は、例えば、原子力発電所2上に配置されたセンサによって提供され、各蒸気発生器8の動作を示す測定信号を受信するように構成されており、センサとは、すなわち、各蒸気発生器8について、一次水流量センサ42、流入水温度センサ44、流出水温度センサ46、蒸気圧力センサ48、蒸気流量センサ50、給水温度センサ52、給水流量センサ54、パージ流量センサ56および/または水位センサ58である。
【0045】
電子監視ユニット60は、例えば、各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8のこのパラメータの測定値をすべての蒸気発生器のこのパラメータの平均値と比較して、この蒸気発生器8の少なくとも一つのパラメータの不均衡を検出し、電子監視ユニット60によって受信される測定信号に応じて、物理的問題信号と測定偏差信号の発信よって、蒸気発生器8の少なくとも一つの他の動作パラメータに応じてのそのような不均衡の特性評価をするように構成されている。
【0046】
電子監視ユニット60は、好ましくは、蒸気発生器8全体についてのこのパラメータの平均値に対する一つの蒸気発生器のパラメータについての不均衡の検出に応じて、人間のオペレータが感知できるような方法で、および/または任意で一次回路4および/または二次回路6の自動制御のために、警報信号および偏差信号を発信するように構成される。
【0047】
電子監視ユニット60は、例えば、制御クラスタ20を制御して原子炉の反応度を調整または検査し、各一次ポンプ22を制御して一次回路4の各一次ループ12内の水量を調整または検査し、各二次ポンプ28を制御して、二次回路6の各二次ループ26内の水量および/または水温を調整または検査し、各タービン30を制御し、および/または各発電機36を制御し、二次回路6の各ループ26内の蒸気流量および/または蒸気圧力を調整または検査するように構成されている。
【0048】
電子監視ユニット60は、例えば、プロセッサ、メモリ、およびコンピュータプログラム製品、すなわち、メモリまたはコンピュータデータ媒体に記録可能であり、メモリに記録されているとき実行可能なソフトウェアコード命令を含む一つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを含む情報処理装置を含む。
代替的にまたは任意には、電子監視ユニット60は、例えば、プログラマブル論理回路(例えば、現場でプログラム可能なゲートアレー)および/または集積回路を含む。
【0049】
コンピュータプログラム製品の場合、監視方法を実施するためのソフトウェアコード命令が含まれている。
【0050】
この監視方法は、原子力発電所2の定常状態運転中、すなわち原子炉10によって生成される電力が安定している期間中に実施されることが好ましい。
【0051】
動作中、各蒸気発生器8は、一次回路4から一次出力P1を受け取り、二次電力P2を二次回路6に抽出し、伝達電力PSを二次回路6に供給する。
【0052】
各蒸気発生器8について、一次回路4によってこの蒸気発生器8に供給される一次出力P1は、この蒸気発生器8に供給する一次ループ12内の水流量Q1、一次ループ12のホットブランチTC内の水温、および一次ループ12のコールドブランチTFの水温の関数である。
【0053】
各蒸気発生器8について、一次出力P1は、例えば、
方程式P1=K1×Q1×(TC-TF)、
に従って計算することができ、ここで、Q1は一次ループ内で測定された水流量であり、TCは、一次ループのホットブランチ内の水温であり、TFは1次ループのコールドブランチ内の水温、K1は比例係数である。
【0054】
定常状態運転では、二次電力P2と伝達電力PSは実質的に等しく、各蒸気発生器8について、二次電力P2は、例えば、
方程式P2=DV×HV+DP×HP-DE×HE、
によって決定され、ここで、DVは、蒸気発生器から出る蒸気の流量であり、HVは、蒸気発生器出口での蒸気圧力と温度の関数である蒸気発生器から出る蒸気エンタルピーであり、DEは、給水流量、すなわち、二次回路6の蒸気発生器8に液体状態で入る水の流量であり、HEは、蒸気発生器8に液体状態で入る水の圧力と温度の関数である給水エンタルピーであり、DPはパージ流量、HPはパージエンタルピーである。
【0055】
定常状態運転では、各蒸気発生器8について、給水流量DEは、蒸気流量DVとパージ流量DPの合計に等しく、従って、次の、
方程式DV+DP=DEが成立する。
【0056】
さらに、各蒸気発生器8は、好ましくは設定水位値NVconsに従わなければならない液体状態の水位NVを有する。
【0057】
各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8の動作を表すパラメータのセットは、以下のパラメータのうちの一つまたは複数を含む。
そのパラメータとは、蒸気流量DV、蒸気圧力PV、給水流量DE、給水温度TE、パージ流量DP、液体状態の水位NV、および一次出力P1である。
【0058】
各蒸気発生器8について、各パラメータの値は、原子力発電所2の測定センサ、すなわち、各蒸気発生器8について、一次水流量センサ42、流入水温度センサ44、蒸気発生器8が配置されている一次ループ12の流出水温度センサ46、蒸気圧力センサ48、蒸気流量センサ50、給水温度センサ52、給水流量センサ54、パージ流量センサ56、および/または蒸気発生器8が配置されている二次ループ26の水位センサ58のうちの一つまたは複数の測定センサによって提供される一つまたは複数の測定値の関数である。
【0059】
続いて、蒸気発生器のパラメータの測定値は、原子力発電所2の測定センサのうちの一つまたは複数のセンサよって提供される測定値に応じてこの蒸気発生器8について決定されたパラメータの測定値に対応する。
【0060】
さらに、パラメータの平均値は、すべての蒸気発生器8についてのこのパラメータの測定値の平均である。
【0061】
各パラメータについて、考慮されている蒸気発生器8についてのこのパラメータの測定値を示すために接尾語「mes」を追加し、すべての蒸気発生器8についてのこのパラメータの平均値を示すために接尾語「avg」を追加する。
【0062】
図2に示すように、監視方法は、代表パラメータのセットのパラメータのうちの少なくとも一つのパラメータについて、および各蒸気発生器8について、以下を含む。
-この蒸気発生器8のこのパラメータの不均衡を検出するために、この蒸気発生器8のこのパラメータの測定値とすべての蒸気発生器8のこのパラメータの平均値との差として偏差を計算すること、および、
-不均衡によって影響を受ける蒸気発生器8に物理的な問題が存在することを示す物理的問題信号、または、不均衡によって影響を受ける蒸気発生器8の動作パラメータの値の測定における偏差を示す測定偏差信号を生成するために、代表パラメータのセットのパラメータのうちの一つまたは複数の他のパラメータに応じて蒸気発生器8のパラメータの不均衡の特性評価すること。
【0063】
監視方法は、例えば、潜在的な不均衡状況または実際の不均衡状況を判定するために、一つまたは複数の比較閾値におけるパラメータの測定値と平均値との偏差を比較することを含む。
【0064】
一実施形態において、各蒸気発生器8について、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、この蒸気発生器8におけるこのパラメータの不均衡の特性評価には、例えば、以下が含まれる。
-このパラメータに関して測定値と計算との偏差が、このパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さい、またはこのパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた代表パラメータのセットの他のパラメータの測定値と基準値との偏差が、この他のパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さいか、またはこの他のパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きく、基準値は、好ましくは前記他のパラメータについて計算された平均値、または前記他のパラメータの設定値から選択されている場合の、物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータに関して測定値と計算値との偏差が、このパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さい、またはこのパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた代表パラメータのセットの他のパラメータの測定値と基準値との偏差が、この他のパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さくなく、この他のパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きくなく、基準値は、好ましくは、前記他のパラメータの平均値、または前記他のパラメータの設定値から選択されている場合の、測定偏差信号の発信。
【0065】
このような特性評価は、例えば、給水温度TE、蒸気圧力PV、蒸気流量DVおよび/またはパージ流量DPについて実行される。
【0066】
ここでの位相進みフィルタとは、フィルタによってフィルタリングされた信号に位相進みを導入するように構成された進み遅延フィルタを指す。
【0067】
一実施形態では、各蒸気発生器8について、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、この蒸気発生器8におけるこのパラメータの不均衡の特性評価には、例えば、以下が含まれる。
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、前記パラメータに関連付けられた負の下限閾値よりも小さい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた代表パラメータのセットの他のパラメータの測定値と基準値との偏差が、前記他のパラメータに関連付けられた負の下限閾値よりも小さく、基準値は、好ましくは前記他のパラメータについて計算された平均値、または前記他のパラメータの設定値から選択されている場合の、第1の物理的問題信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値の偏差が、前記パラメータに関連付けられた負の下限閾値よりも小さい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの測定値と基準値の偏差が、前記他のパラメータに関連付けられた負の下限閾値よりも小さくない場合の、第1の測定偏差信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、前記パラメータに関連付けられた正の上限閾値よりも大きい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの測定値と基準値の偏差が、前記他のパラメータに関連付けられた正の上限閾値よりも大きい場合の、第2の物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、前記パラメータに関連付けられた正の上限閾値よりも大きい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの測定値と基準値との偏差が、前記他のパラメータに関連付けられた正の上限閾値よりも大きくない場合の、第2の測定偏差信号の発信。
【0068】
このような特性評価は、例えば、少なくとも一つの蒸気発生器8の給水流量DEに対して実行され、特性評価のために考慮される他のパラメータは、この蒸気発生器8内の液体状態の水位NVである。
【0069】
代替的にまたは任意には、各蒸気発生器8について、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、この蒸気発生器8におけるこのパラメータの不均衡の特性評価は、例えば以下を含む。
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、前記パラメータに関連付けられた負の下限閾値よりも小さい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた代表パラメータのセットの他のパラメータの測定値と基準値との偏差が、前記他のパラメータに関連付けられた正の上限閾値よりも大きく、基準値は、好ましくは前記他のパラメータについて計算された平均値、または前記他のパラメータの設定値から選択されている場合の、第1の物理的問題信号の発信、
-測定値とこのパラメータについて計算された平均値の偏差が、前記パラメータに関連付けられた負の下限閾値よりも小さい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの測定値と基準値の偏差が、前記他のパラメータに関連付けられた正の上限閾値よりも大きくない場合の、第1の測定偏差信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値の偏差が、前記パラメータに関連付けられた正の上限閾値よりも大きい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの測定値と基準値の偏差が、前記他のパラメータに関連付けられた負の下限閾値よりも小さい場合の、第2の物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値の偏差が、前記パラメータに関連付けられた正の上限閾値よりも大きい場合、および、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた他のパラメータの測定値と基準値の偏差が、前記負の下限閾値よりも小さくない場合の、第2の測定偏差信号の発信。
【0070】
一実施形態では、監視方法は、このパラメータについて測定値と、例えば、このパラメータの計算された平均値、または任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされたこのパラメータの設定値から選択されたこのパラメータの基準値との偏差が、警報下限閾値より小さい場合の警報信号の生成および/または、測定値と、位相進みフィルタを使用してフィルタリングされたこのパラメータの基準値との偏差が、警報上限閾値より大きい場合の警報信号の発信を含む。
【0071】
一実施形態では、監視方法は、このパラメータについて計算された測定値と、例えば平均値または、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされたこのパラメータの設定値から選択されたこのパラメータの基準値との偏差が、偏差下限閾値より小さい場合の差信号の発信および/または、測定値と、任意には位相進みフィルタを使用してフィルタリングされた基準値との偏差が、偏差上限閾値より大きい場合の偏差信号の生成を含む。
【0072】
測定値とパラメータの基準値(例えば、このパラメータに対して計算された平均値またはこのパラメータの設定値)との偏差の、下限閾値および上限閾値(例えば、負の閾値と正の閾値)との比較を使用する不均衡の特性評価については、測定値と基準値の偏差が下限閾値を下回るか上限閾値を超えるとすぐに、同一偏差信号または同一警報信号を発信することができ、偏差が下限閾値を下回る場合には第1の偏差信号または第1の警報信号を発信し、偏差が上限閾値を上回る場合には第2の偏差信号または第2の警報信号を発信することができる。
【0073】
比較時に、特に代表パラメータのセットの別のパラメータの不均衡の特性評価で考慮に入れるために、測定値と基準値との偏差に適用される位相進みフィルタを使用すると、この偏差の閾値の通過、すなわち、下限閾値を下回るか、または上限閾値を上回ることを予測することができる。
【0074】
特に、各蒸気発生器8について、および代表パラメータのセットのうちの少なくとも一つのパラメータについて、例えば、このパラメータの不均衡の特性評価に使用される偏差信号の発信のために偏差閾値を、および蒸気発生器の他のパラメータの不均衡の検出と前記パラメータの不均衡の特性評価に使用される警報信号の発信のために警報閾値を、使用することができる。
【0075】
同じパラメータについては、各偏差閾値は、好ましくは、絶対値で、対応する警報閾値と同等または上回る。
【0076】
したがって、蒸気発生器のパラメータの小さな値の偏差は、蒸気発生器の別のパラメータの大きな値の偏差につながる不均衡の特性評価をするために使用できる警報信号の発信を引き起こす可能性がある。
【0077】
このパラメータの小さな値の偏差は、必ずしもこのパラメータの物理的問題信号または偏差信号の発信を必要とするわけではないが、他のパラメータの不均衡を特性評価し、この他のパラメータの偏差が物理的問題または測定の偏差に関連しているかどうかを判断することを可能にする。
【0078】
一実施形態では、各蒸気発生器8について、一つのパラメータの不均衡の特性評価は、例えば、上述の条件に従って、このパラメータおよび考慮されているパラメータの潜在的な不均衡を検出するために考慮されている他の互いの各パラメータに対して発信される一つまたは複数の警報信号および/または一つまたは複数の偏差信号に応じて、および、例えば、論理ゲート(「OR」ゲート、「AND」ゲート、インバータゲート)、真理値表、または上述の条件をエンコードするソフトウェアコード命令を使用して、実行される。
【0079】
蒸気発生器8の動作を表すパラメータのセットには、例えば、各蒸気発生器8について、一次ループ12内の水流量Q1と、一次ループ12のコールドブランチTF内の水の温度と、一次ループ12のホットブランチTC内の水の温度の関数である一次出力P1が含まれる。
【0080】
一実施形態では、一次出力P1は、代表パラメータのセット間の少なくとも一つの他のパラメータの不均衡の特性評価をするために使用される。
【0081】
次に、監視方法は、図3に示すように、各蒸気発生器8について、(上述の一次出力の計算式によって)測定水流量Q1mes、コールドループ内の水の測定温度TFmes、およびホットブランチの水の測定温度TCmesに応じて、測定一次出力P1mesを計算すること、および測定一次出力P1mesの平均としての平均一次出力P1avgを計算することを含む。
【0082】
各蒸気発生器8について、監視方法は、その蒸気発生器8について測定一次出力P1mesと平均一次出力P1avgとの間の差として一次出力偏差ΔP1を計算することを含む。
【0083】
各蒸気発生器8について、監視方法は、一次出力偏差ΔP1が、任意で一次出力位相進みフィルタFP1を使用してフィルタリングされた後、一次出力警報下限閾値SALP1infを下回る場合、または一次出力警報上限閾値SALP1supを上回る場合の一次出力警報信号ALP1の生成を含む。
【0084】
一実施例では、監視方法は、蒸気発生器8ごとに、この蒸気発生器8の測定蒸気圧力PVmesとすべての蒸気発生器8の平均蒸気圧力PVavgとの間の差として蒸気圧力偏差ΔPVを計算することと、この蒸気発生器8の測定蒸気流量DVmesとすべての蒸気発生器8の平均蒸気流量DVavgとの差として蒸気流量偏差ΔDVを計算することを含む。
【0085】
各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8の蒸気圧力PVの不均衡の特性評価は、例えば以下を含む。
-この蒸気発生器8の蒸気圧力偏差ΔPVが、蒸気圧力偏差下限閾値SECPVinfより小さいか、または蒸気圧力偏差上限閾値SECPVsupより大きい場合、および、さらに、任意で蒸気流量位相進みフィルタFDVを使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の蒸気流量偏差ΔDVが、蒸気流量警報下限閾値SALDVinfより小さいか、または蒸気流量警報上限閾値SALDVsupより大きい場合、または任意で一次出力位相進みフィルタFP1を使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の一次出力偏差ΔP1が、一次出力警報下限閾値SALP1infより小さいか、または一次出力警報上限閾値SALP1supより大きい場合の蒸気圧力物理的問題信号PPPVの発信、および/または、
-この蒸気発生器8の蒸気圧力偏差ΔPVが蒸気圧偏差下限閾値SECPVinfより小さいか、または蒸気圧力偏差上限閾値SECPVsupより大きい場合、および、さらに、任意で蒸気流量位相進みフィルタFDVを使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の蒸気流量偏差ΔDVが、蒸気流量警報下限閾値SALDVinfより小さくなく、蒸気流量警報上限閾値SALDVsupより大きくない場合、および任意で一次出力位相進みフィルタFP1を使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の一次出力偏差ΔP1が、一次出力警報下限閾値SALP1infより小さくなく、一次出力警報上限閾値SALP1supより大きくない場合の蒸気圧力測定偏差信号DMPVの発信。
【0086】
各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8の蒸気流量DVの不均衡の特性評価は、例えば以下を含む。
-この蒸気発生器8の蒸気流量偏差ΔDVが、蒸気流量偏差下限閾値SECDVinfより小さいか、または蒸気流量偏差上限閾値SECDVsupより大きい場合、および、さらに、任意で蒸気圧力位相進みフィルタFPVを使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の蒸気圧力偏差ΔPVが、蒸気圧力警報下限閾値SALPVinfより小さいか、または蒸気圧力警報上限閾値SALPVsupより大きい場合、または任意で一次出力位相進みフィルタFP1を使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の一次出力偏差ΔP1が、一次出力警報下限閾値SALP1infより小さいか、または一次出力警報上限閾値SALP1supより大きい場合の蒸気流量物理的問題信号PPDVの発信、および/または、
-この蒸気発生器8の蒸気流量偏差ΔDVが、蒸気流量偏差下限閾値SECDVinfより小さいか、または蒸気流量偏差上限閾値SECDVsupより大きい場合、および、さらに、任意で位相進みフィルタを使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の蒸気圧力偏差ΔPVが、蒸気圧力警報下限閾値SALPVinfより小さくなく、蒸気圧力警報上限閾値SALPVsupより大きくない場合、および任意で一次出力位相進みフィルタFP1を使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の一次出力偏差ΔP1が、一次出力警報下限閾値SALP1infより小さくなく、または一次出力警報上限閾値SALP1supより大きくない場合の蒸気流量測定偏差信号DMDVの発信。
【0087】
蒸気圧力PVの不均衡を特性評価するために考慮される偏差閾値と警報閾値は異なることが好ましい。
【0088】
好ましくは、各偏差閾値(蒸気圧力偏差下限閾値SECPVinfおよび蒸気圧力偏差上限閾値SECPVsup)の絶対値は、対応する警報閾値(それぞれ蒸気圧警報下限閾値SALPVinfおよび蒸気圧警報上限閾値SALPVsup)の絶対値以上である。
【0089】
蒸気流量DVの不均衡を特性評価するために考慮される偏差閾値と警報閾値は異なることが好ましい。
【0090】
好ましくは、各偏差閾値(蒸気流量偏差下限閾値SECDVinfおよび蒸気流量偏差上限閾値SECDVsup)の絶対値は、対応する警報閾値(それぞれ蒸気流量警報下限閾値SALDVinfおよび蒸気流量警報上限閾値SALDVsup)の絶対値以上である。
【0091】
一実施形態では、監視方法は、各蒸気発生器8について以下を含む。
-任意で一次出力位相進みフィルタFP1を使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の一次出力偏差ΔP1が、一次出力警報下限閾値SALPinfより小さい、または、一次出力警報上限閾値SALP1supより大きい場合の一次出力警報信号ALP1の発信。
-任意で蒸気圧力位相進みフィルタFPVを使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の蒸気圧力偏差ΔPVが、蒸気圧力警報下限閾値SALPVinfより小さい、または、蒸気圧力警報上限閾値SALPVsupより大きい場合の蒸気圧力警報信号ALPVの発信。
-この蒸気発生器8の蒸気圧力偏差ΔPVが、蒸気圧力偏差下限閾値SECPVinfより小さい、または蒸気圧力偏差上限閾値SECPVsupより大きい場合の蒸気圧力偏差信号ECPVの発信。
-任意で蒸気流量位相進みフィルタFDVを使用してフィルタリングされたこの蒸気発生器8の蒸気流量偏差ΔDVが、蒸気流量警報下限閾値SALDVinfより小さい、または、蒸気流量上限閾値SALDVsupより大きい場合の蒸気流量警報信号ALDVの発信、および/または、
-この蒸気発生器8の蒸気流量偏差ΔDVが、蒸気流量偏差下限閾値SECDVinfより小さい、または蒸気流量偏差上限閾値SECDVsupより大きい場合の蒸気流量偏差信号ECDVの発信。
【0092】
一実施形態では、各蒸気発生器8について、蒸気圧力PVについての不均衡または蒸気流量DVについての不均衡の特性評価は、例えば、先述の条件に従って、警報信号(ALP1、ALPV、ALDV)に応じて、および、偏差信号(ECPV、ECDV)に応じて、および、例えば、論理ゲート(「OR」ゲート、「AND」ゲート、インバータゲート)、真理値表、または前に示した条件をエンコードするソフトウェアコード命令を使用して、実行される。
【0093】
図3は、論理ゲートを使用して、一つまたは複数の警報信号に応じて、および一つまたは複数の偏差信号に応じて、蒸気圧力の不均衡または蒸気流量の不均衡の特性評価をするように構成された電子監視ユニット60を示す。
【0094】
図3に示すように、電子監視ユニット60は、蒸気発生器8ごとに、一次出力偏差ΔP1を計算する一次出力差動コンパレータ62、蒸気圧力偏差ΔPVを計算する蒸気圧力差動コンパレータ64、および蒸気流量偏差ΔDVを計算する蒸気流量差動コンパレータ66を含む。
【0095】
電子監視ユニット60は、一次出力警報信号ALP1発信のための一次出力警報閾値コンパレータ68、蒸気圧力警報信号ALPV発信のための蒸気圧力警報閾値コンパレータ70、蒸気圧力偏差信号ECPV発信のための蒸気圧力偏差閾値コンパレータ72、蒸気流量警報信号ALDV発信のための蒸気流量警報閾値コンパレータ74、および/または蒸気流量偏差信号ECDV発信のための蒸気流量偏差閾値コンパレータ76をさらに含む。
【0096】
各閾値コンパレータは、上述の発信条件に応じて、論理信号の形式で、対応する警報信号または偏差信号を発信する。
【0097】
電子監視ユニット60は、上述した基準に従って、閾値コンパレータによって発信される警報信号および偏差信号に応じて、物理的問題信号PPPV、PPDVおよび測定偏差信号DMPV、DMDVを発信するための論理ゲートを含む。
【0098】
一実施例では、監視方法は、各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8について測定給水温度TEmesとすべての蒸気発生器8についての平均給水温度TEavgとの間の差として給水温度偏差ΔTEを計算することを含む。
【0099】
各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8の給水温度の不均衡の特性評価は、例えば以下を含む。
-この蒸気発生器8の給水温度偏差ΔTEが、給水温度偏差下限閾値SECTEinfより小さいか、または給水温度偏差上限閾値SECTEsupより大きい場合、および、この蒸気発生器8の一次出力偏差ΔP1が、一次出力警報下限閾値SALP1infより小さいか、または一次出力警報上限閾値SALP1supより大きい場合の、給水温度物理的問題信号PPTEの発信、および/または、
-この蒸気発生器8の給水温度偏差ΔTEが、給水温度偏差下限閾値SECTEinfより小さいか、または給水温度偏差上限閾値SECTEsupより大きい場合、および、この蒸気発生器8の一次出力偏差ΔP1が、一次出力警報下限閾値SALP1infより小さくなく、または一次出力警報上限閾値SALP1supより大きくない場合の、給水温度測定偏差信号DMTEの発信。
【0100】
一実施形態では、監視方法は、各蒸気発生器8について、給水温度偏差ΔTEが、給水温度偏差下限閾値SECTEinfより小さいか、または給水温度偏差上限閾値SECTEsupより大きい場合の、給水温度偏差信号ECTEの発信を含む。
【0101】
監視方法は、例えば、各蒸気発生器8について、上述した条件に従って、給水温度偏差信号ECTEおよび一次出力警報信号ALP1に応じて、および、例えば、論理ゲート(「OR」ゲート、「AND」ゲート、インバータゲートなど)、真理値表、または上述した条件をエンコードしたソフトウェアコード命令を使用して、給水温度についての不均衡の特性評価を含む。
【0102】
代替的に、監視方法は、各蒸気発生器8について、任意で給水温度位相進みフィルタFTEを使用してフィルタリングされた給水温度偏差ΔTEが、給水温度警報下限閾値SALTEinfより小さい、または、給水温度警報上限閾値SALTEsupより大きい場合に、給水温度警報信号ALTEの発信を含む。
【0103】
各偏差閾値(給水温度偏差下限閾値SECTEinfおよび給水温度偏差上限閾値SECTEsup)および対応する警報閾値(給水温度警報下限閾値SALTEinfおよび給水温度警報上限閾値SALTEsup)は異なり、偏差閾値は、絶対値で、対応する警報閾値以上であることが好ましい。
【0104】
図4は、論理ゲートを使用して、警報信号に応じて、および偏差信号に応じて、蒸気発生器8の給水温度の不均衡の特性評価をするように構成された電子監視ユニット60を示す。
【0105】
図4に示すように、電子監視ユニット60は、各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8の給水温度の偏差を計算するための給水温度差動コンパレータ78を含む。
【0106】
電子監視ユニット60は、さらに、一次出力警報信号ALP1を発信するための一次出力警報閾値コンパレータ80と、給水温度警報信号ALTEを発信するための給水温度警報閾値コンパレータ82および/または、給水温度偏差信号ECTEを発信するための給水温度偏差閾値コンパレータ84を含む。
【0107】
各閾値コンパレータは、上述の発信条件に応じて、対応する警報信号または偏差信号を発信する。
【0108】
電子監視ユニット60は、上述の条件に従って、閾値コンパレータによって決定された警報信号および偏差信号に応じて、物理的問題および測定偏差信号を発信するための論理ゲートを含む。
【0109】
監視方法は、例えば、各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8の測定給水流量DEmesとすべての蒸気発生器8の平均給水流量DEavgとの差として給水流量偏差ΔDEを計算することを含む。
【0110】
監視方法はさらに、各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8の測定水位値NVmesと設定水位値NVconsとの差として水位偏差ΔNVを計算することを含む。
【0111】
各蒸気発生器について、この蒸気発生器8の給水流量の不均衡の特性評価は、例えば、この蒸気発生器8からの給水流量偏差ΔDEと水位偏差ΔNVに応じて実行される。
【0112】
一実施形態では、各蒸気発生器8について、蒸気発生器8の給水流量の不均衡の特性評価には、以下が含まれる。
-給水流量偏差ΔDEが、負の給水流量偏差閾値SECDEnegより小さく、任意で水位位相進みフィルタFNVを使用してフィルタリングされた水位偏差ΔNVが、負の水位警報閾値SALNVnegより小さい場合の、少ない給水流量物理的問題信号PPDEnegの発信。
-給水流量偏差ΔDEが、負の給水流量偏差閾値SECDEnegより小さく、場合によっては水位位相進みフィルタFNVを使用してフィルタリングされた水位偏差ΔNVが、負の水位警報閾値SALNVnegより小さくない場合の、少ない給水流量測定偏差信号DMDEnegの発信。
-給水流量偏差ΔDEが、正の給水流量偏差閾値SECDEposより大きく、任意で水位位相進みフィルタFNVを使用してフィルタリングされた水位差が、正の水位警報閾値SALNVposより大きい場合の、大きい給水流量物理的問題信号PPDEposの発信、および/または、
-給水流量偏差ΔDEが、正の給水流量偏差閾値SECDEposより大きく、任意で水位位相進みフィルタFNVを使用してフィルタリングされた水位偏差ΔNVが、正の水位警報閾値SALNVposより大きくない場合の、大きい給水流量測定偏差信号DMDEposの発信。
【0113】
一実施形態では、監視方法は、各蒸気発生器8に対して以下を含む。
-給水流量偏差ΔDEが、負の給水流量偏差閾値SECDEnegよりも小さい場合の、負の給水流量偏差信号ECDEnegの発信。
-給水流量偏差ΔDEが、正の給水流量偏差閾値SECDEposよりも大きい場合の、正の給水流量偏差信号ECDEposの発信。
-任意で給水流量位相進みフィルタFDEを使用してフィルタリングされた給水流量偏差ΔDEが、負の給水流量警報閾値SALDEnegより小さい場合の、負の給水流量警報信号ALDEnegの発信。
-任意で給水流量位相進みフィルタFDEを使用してフィルタリングされた給水流量偏差ΔDEが、正の給水流量警報閾値SALDEposより大きい場合の、正の給水流量警報信号ALDEposの発信、および/または、
-任意で比較流量位相進みフィルタFDCを使用してフィルタリングされた給水流量偏差ΔDEが、比較流量偏差下限閾値SECDCinfより小さいか、または、比較流量上限閾値SECDCsupより大きい場合の、比較流量偏差信号ECDEの発信。
【0114】
さらに、図5に示すように、その方法は、例えば、任意で水位位相進みフィルタFNVを使用してフィルタリングされた水位偏差ΔNVが、負の水位警報閾値SALNVnegよりも小さい場合、負の水位偏差警報信号ALNVnegの発信、および、任意で水位位相進みフィルタFNVを使用してフィルタリングされた水位偏差ΔNVが、正の水位警報閾値SALNVposよりも大きい場合の、正の水位偏差警報信号ALNVposの発信を含む。
【0115】
好ましくは、各給水流量偏差閾値(負の給水流量偏差閾値および正の給水流量偏差閾値)および対応する警報閾値(それぞれ負の給水流量警報閾値および正の給水流量警報閾値)は、異なる。
特に、絶対値において、各偏差閾値は、対応する警報閾値よりも大きいことが好ましい。
【0116】
監視方法は、例えば、各蒸気発生器8について、上述の条件に従って、および、例えば、論理ゲート(「OR」ゲート、「AND」ゲート、インバータゲート)、または真理値表、または上述の条件をエンコードしたソフトウェアコード命令を使用して、給水流量DEに関する偏差信号(負の給水流量偏差信号ECDEnegおよび正の給水流量偏差信号ECDEpos)に応じて、および水位に関する警報信号(負の水位偏差警報信号ALNVnegおよび正の水位偏差警報信号ALNVpos)に応じて、給水流量DEについての不均衡の特性評価を含む。
【0117】
一実施例では、監視方法は、各蒸気発生器8について、この蒸気発生器8の測定パージ流量DPmesとすべての蒸気発生器8の平均パージ流量DPavgとの間の差としてパージ流量偏差ΔDPを計算することを含む。
【0118】
各蒸気発生器8について、監視方法は、例えば、以下を含む。
-パージ流量偏差ΔDPが、パージ流量偏差下限閾値SECDPinfを下回るか、またはパージ流量偏差上限閾値SECDPsupを上回る場合、および、任意で比較流量位相進みフィルタFDCを使用してフィルタリングされた、この蒸気発生器8の給水流量偏差ΔDEが、比較流量偏差下限閾値SECDCinfより小さい、または、比較流量偏差上限閾値SECDCsupよりも大きい場合の、パージ流量物理的問題信号PPDPの発信、および/または、
-この蒸気発生器のパージ流量偏差ΔDPが、パージ流量偏差下限閾値SECDPinfを下回るか、またはパージ流量偏差上限閾値SECDPsupを上回る場合、および、任意で比較流量位相進みフィルタFDCを使用してフィルタリングされた、この蒸気発生器8の給水流量偏差ΔDEが、比較流量偏差下限閾値SECDCinfより小さくなく、比較流量偏差上限閾値SECDCsupよりも大きくない場合の、パージ流量測定偏差信号DMDPの発信。
【0119】
特に、監視方法が、上述の条件に従って、比較流量偏差信号ECDCが発信されるか否か(すなわち、存在しない)の発信の可能性を含む場合、監視方法は、例えば、各蒸気発生器8について以下を含む。
-パージ流量偏差ΔDPが、パージ流量偏差下限閾値SECDPinfを下回るか、またはパージ流量偏差上限閾値SECDPsupを上回る場合、および比較流量偏差信号ECDCが存在する場合の、パージ流量物理的問題信号PPDPの発信、および/または、
-この蒸気発生器のパージ流量偏差ΔDPが、パージ流量偏差下限閾値SECDPinfを下回るか、またはパージ流量偏差上限閾値SECDPsupを上回る場合、および比較流量偏差信号ECDCが存在しない場合の、パージ流量測定偏差信号DMDPの発信。
【0120】
一実施形態では、監視方法は、パージ流量偏差ΔDPが、パージ流量偏差下限閾値SECDPinfを下回るか、またはパージ流量偏差上限閾値SECDPsupを上回る場合の、パージ流量偏差信号ECDPの発信を含む。
【0121】
さらに、監視方法は、例えば、各蒸気発生器8について、上述の条件に従って、および、例えば論理ゲート(「OR」ゲート、「AND」ゲート、インバータゲートなど)、真理値表、または上術の条件をエンコードするソフトウェアコードの命令を使用して、パージ流量偏差信号ECDPおよび比較流量偏差信号ECDCに応じてパージ流量の不均衡の特性評価を含む。
【0122】
任意で、監視方法は、各蒸気発生器8について、任意でパージ流位相進みフィルタFDPを使用してフィルタリングされたパージ流量偏差ΔDPがパージ流量警報下限閾値SALDPinfよりも小さい、または、パージ流量警報上限閾値SALDPsupより大きい場合の、パージ流量警報信号ALDPの発信を含む。
【0123】
好ましくは、各偏差閾値(パージ流量偏差下限閾値SECDPinfおよびパージ流量偏差上限閾値SECDPsup)は、絶対値で、対応する警報閾値(パージ流量警報下限閾値SALDPinfおよびパージ流量警報上限閾値SALDPsup)以上である。
【0124】
図5および図6は、監視方法を実施するために、論理ゲートを使用して、単数または複数の警報信号および単数または複数の偏差信号に応じて、特に蒸気発生器8の給水流量および/またはパージ流量の不均衡の特性評価のために構成された電子監視ユニット60を示す。
【0125】
図5および図6に示すように、電子監視ユニット60は、各蒸気発生器8に、この蒸気発生器8の給水流量偏差を計算する給水流量差動コンパレータ90(図5)、この蒸気発生器8の測定水位値NVmesと設定水位値NVconsとの差を計算する水位流量差動コンパレータ92(図5)、および、この蒸気発生器8のパージ流量偏差ΔDPを計算するパージ流量差動コンパレータ93(図6)を含む。
【0126】
電子監視ユニット60は、さらに、負の給水流量偏差信号ECDEnegを発信するための負の給水流量偏差閾値コンパレータ94、正の給水流量偏差信号ECDEposを発信するための正の給水流量偏差閾値コンパレータ96、負の給水流量偏差警報信号ALDEnegを発信するための負の給水流量警報閾値コンパレータ98、正の給水流量偏差警報信号ALDEposを発信するための正の給水流量警報閾値コンパレータ100、比較流量偏差信号ECDCを発信するための比較流量閾値コンパレータ102、負の測定-設定水位差警報信号ALNVnegを発信するための負の水位閾値コンパレータ104、および/または正の測定-設定水位差警報信号ALNVposを発信するための正の水位閾値コンパレータ106を含む(図5)。
【0127】
電子監視ユニット60は、さらに、パージ流量警報信号ALDPを発信するためのパージ流量警報閾値コンパレータ108と、パージ流量偏差信号ECDPを発信するためのパージ流量偏差閾値コンパレータ110とを含む(図6)。
【0128】
各閾値コンパレータは、上述の発信条件に応じて、対応する警報信号または偏差信号を発信する。
【0129】
電子監視ユニット60は、上述の基準に従って、閾値コンパレータによって決定される警報信号および偏差信号に応じて、物理的問題信号および測定偏差信号を発信するための論理ゲートを含む。
【0130】
蒸気発生器8のパラメータの測定値を、すべての蒸気発生器8のこのパラメータの平均値と比較することにより、他の蒸気発生器8に対するこの蒸気発生器8のこのパラメータの不均衡を特定することが可能になる。
【0131】
このような不均衡は、この蒸気発生器8の物理的問題、すなわち不均衡の影響を受けるこの蒸気発生器8に実際に存在する問題、またはこの蒸気発生器8の前記パラメータの測定偏差によるものである可能性がある。
【0132】
パラメータ上で検出された不均衡の特性評価のために考慮される他の各パラメータは、好ましくは、不均衡が検出され、不均衡の影響も受ける前記パラメータにリンクされた別のパラメータである。
【0133】
したがって、上述のように、
-蒸気発生器8の蒸気圧力の不均衡の特性評価は、例えば蒸気流量と一次出力に応じて、特にこの蒸気発生器8の測定蒸気流量DVmesと蒸気発生器8の平均蒸気流量DVavgとの偏差、およびこの蒸気発生器8の測定一次出力P1mesとすべての蒸気発生器8の平均一次出力P1avgとの偏差に応じて実行される。
-蒸気発生器8の蒸気流量の不均衡の特性評価は、例えば蒸気圧力と一次出力に応じて、特にこの蒸気発生器8の測定蒸気圧力PVmesとすべての蒸気発生器8の平均蒸気圧力PVavgとの偏差に応じて、およびこの蒸気発生器8の測定一次出力P1mesとすべての蒸気発生器8の平均一次出力P1avgとの偏差に応じて実行される。
-蒸気発生器8の給水温度の不均衡の特性評価は、例えば一次出力に応じて、特に、この発生器蒸気8の測定一次出力P1mesとすべての蒸気発生器8の平均一次出力P1avgの偏差に応じて実行される。
-蒸気発生器8の給水流量の不均衡の特性評価は、例えば、この蒸気発生器8の水位に応じて、特に、この蒸気発生器8の測定水位値NVmesと設定水位値NVconsとの偏差に応じて実行される、および/または、
-蒸気発生器8のパージ流量の不均衡の特性評価は、例えば、この蒸気発生器8の給水流量に応じて、特にこの蒸気発生器8の測定給水流量DEmesとすべての蒸気発生器8の平均給水流量DEavgとの偏差に応じて実行される。
【0134】
蒸気発生器8のパラメータの不均衡を、一つまたは複数の他のパラメータに応じて特性評価をすることにより、監視システム40は、検出された不均衡が蒸気発生器の物理的問題、またはこの蒸気発生器のこのパラメータの測定偏差によるものであることを示す信号を、自動的に生成することができる。
【0135】
各警報信号、各偏差信号、各物理的問題信号、および/または各測定偏差信号により、蒸気発生器8間の実際のまたは潜在的な不均衡を検出することが可能になる。
【0136】
いくつかのセンサによって提供される測定値の処理に位相進みフィルタを使用すると、特に潜在的な問題を予測することが可能になり、これにより人間のオペレータは、特定のパラメータでのより重大な偏差の出現に対してより適切に準備することが可能である。
【0137】
パラメータに関連する各警報信号、各偏差信号、各物理的問題信号、および/または各測定偏差信号は、一つまたは複数の他のパラメータに応じて決定され、これにより、前記信号をタイミングよく生成することが可能になる。
【0138】
好ましくは、次のパラメータの少なくとも一つ、特にそれぞれが、警報信号、偏差信号、物理的問題信号、および/または測定偏差信号の発信につながる可能性がある特性評価の対象となる。
そのパラメータとは、蒸気圧力PV、蒸気流量DV、給水温度TE、給水流量DEおよびパージ流量DPである。
【0139】
これらの各パラメータは、別のパラメータを考慮することを特徴としており、蒸気発生器の動作における不均衡の出現を、任意で事前に検出することが可能になる。
【0140】
一実施形態では、各警報信号、各偏差信号、各物理的問題信号、および/または各測定偏差信号は、人間のオペレータが知覚できるように、例えば視覚信号、可聴信号、および/または触覚信号の形で発信される。
したがって、オペレータは、必要な措置を講じることができる。
【0141】
人間のオペレータが知覚できるように発信される各警報信号、各偏差信号、各物理的問題信号、および/または各測定偏差信号は、例えばヒューマンマシンインターフェースを介して発信される。
ヒューマンマシンインターフェースには、例えば、ディスプレイスクリーン、コントロールパネル、および/または音響発生装置が含まれる。
【0142】
不均衡の特性評価が確認された後、オペレータまたは監視システムが原子力発電所2を制御するために構成されている場合、物理的問題なのか、測定偏差なのかによって、不均衡の検出および確認に続いて適切な措置を講じることを可能にする。
【0143】
物理的問題が特性評価されている場合、原子力発電所2は、物理的問題を補償するか、または物理的問題が修正されることを可能にする動作モードに原子力発電所2を置くように制御することができる。
【0144】
測定偏差が特性評価されている場合は、偏差を考慮して、問題のセンサから提供される測定信号を補正したり、または動作中またはシャットダウン状態で、故障した機器の点検(修理または交換)を実行したりすることが可能である。
【0145】
本発明による監視方法により、人間のオペレータに原子力発電所の制御の支援を提供することが可能になる。
【0146】
人間のオペレータが知覚できるように発せられる各警報信号、各偏差信号、各物理的問題信号、および/または各測定偏差信号により、原子力発電所2の蒸気発生器8のうちの一つが不均衡な動作をした場合に人間のオペレータに警告することが可能になる。
【0147】
人間のオペレータの注意を引くために発せられる各警報信号、各偏差信号、各物理的問題信号、および/または各測定偏差信号は、例えば報告された問題の端緒(すなわち、原子力発電所2のどの部分に報告された問題の端緒があるかを判断する)および報告された問題の原因(すなわち、何が報告された問題の理由であるのか、物理的問題か、測定偏差か)を突き止めることを可能にすることにより、人間のオペレータが診断を確立するのに役立つ。
【0148】
人間のオペレータが知覚できるように発信される各警報信号、各偏差信号、各物理的問題信号、および/または各測定偏差信号は、一次回路または二次回路における漏れの可能性を探索し、および/または、原子力発電所2の蒸気発生器8のうちの一つが不均衡な動作をした場合、人間のオペレータに警告するのに役立つ。
【符号の説明】
【0149】
2 原子力発電所
4 一次水循環回路
6 二次水循環回路
8 蒸気発生器
10 原子炉
12 一次流体ループ
14 原子炉容器
16 炉心
18 核燃料集合体
20 制御クラスタ
22 一次ポンプ
24 加圧器
26 二次ループ
28 二次ポンプ
30 タービン
32 復水器
34 冷却回路
36 発電機
40 監視システム
42 一次水流量センサ
44 流入水温度センサ
46 流出水温度センサ
48 蒸気圧力センサ
50 蒸気流量センサ
52 給水温度センサ
54 給水流量センサ
56 パージ流量センサ
58 水位センサ
60 電子監視ユニット
62 一次出力差動コンパレータ
64 蒸気圧力差動コンパレータ
66 蒸気流量差動コンパレータ
68 一次出力警報閾値コンパレータ
70 蒸気圧力警報閾値コンパレータ
72 蒸気圧力偏差閾値コンパレータ
74 蒸気流量警報閾値コンパレータ
76 蒸気流量偏差閾値コンパレータ
78 給水温度差動コンパレータ
80 一次出力警報閾値コンパレータ
82 給水温度警報閾値コンパレータ
84 給水温度偏差閾値コンパレータ
90 給水流量差動コンパレータ
92 水位流量差動コンパレータ
93 パージ流量差動コンパレータ
94 負の給水流量偏差閾値コンパレータ
96 正の給水流量偏差閾値コンパレータ
98 負の給水流量警報閾値コンパレータ
100 正の給水流量警報閾値コンパレータ
102 比較流量閾値コンパレータ
104 負の水位閾値コンパレータ
106 正の水位閾値コンパレータ
108 パージ流量警報閾値コンパレータ
110 パージ流量偏差閾値コンパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視システム(40)によって実行される原子力発電所(2)の監視方法であって、
原子力発電所(2)は、一次回路(4)、二次回路(6)、一次回路(4)内を循環する水を加熱するために一次回路(4)内に配置された原子炉(10)、二次回路(6)内で蒸気を発生させることによって一次回路(4)から二次回路(6)に熱を伝達するように配置されたN個(Nは2以上の整数である)の蒸気発生器(8)を有し、
監視システム(40)は、各蒸気発生器(8)について蒸気発生器(8)の動作の代表パラメータのセットのうちのパラメータ測定用のセンサを備え、
監視方法は、代表パラメータのセットのうちの少なくとも一つのパラメータについて、および各蒸気発生器(8)について、
-センサによって提供される測定に応じて、この蒸気発生器(8)のパラメータの測定値とすべての蒸気発生器(8)のこのパラメータの平均値との偏差を決定し、蒸気発生器(8)におけるこのパラメータの不均衡を検出すること、および、
-代表パラメータのセットの一つまたは複数の他のパラメータに応じての、この蒸気発生器(8)のパラメータに影響を与える不均衡の特性評価をし、不均衡によって影響される蒸気発生器(8)の物理的問題の存在を示す物理的問題信号、または不均衡の影響を受ける蒸気発生器(8)で考慮されるパラメータの測定の偏差を示す測定偏差信号を生成すること、
を含む監視方法。
【請求項2】
前記代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、
一つまたは複数の前記パラメータの不均衡の特性評価が、前記他のパラメータの少なくとも一つまたは各々について、考慮される蒸気発生器(8)のこの他のパラメータの測定値と、すべての蒸気発生器(8)についてのこの他のパラメータの基準値との偏差に応じて実行され、
該基準値は、この他のパラメータの平均値およびこの他のパラメータの設定値から選択される、請求項1に記載の監視方法。
【請求項3】
前記パラメータの測定値と基準値との間の少なくとも一つまたは各々の偏差を一つまたは複数の比較閾値と比較して、このパラメータについての不均衡の検出または他のパラメータの不均衡の検出することを含み、
該基準値は、このパラメータの平均値および設定値から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の監視方法。
【請求項4】
前記代表パラメータのセット内の少なくとも一つのパラメータについて、考慮される蒸気発生器(8)のパラメータの不均衡の特性評価には以下の、
-このパラメータについての測定値と計算された平均値の偏差が、このパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さいか、またはこのパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、代表パラメータのセットの他のパラメータの基準値との偏差が、この他のパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さいか、またはこの他のパラメータに関連付けられた上限閾値よりも大きい場合の、物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータについて計算された偏差が、このパラメータに関連付けられた下限閾値より小さい、またはこのパラメータに関連付けられた上限閾値より大きい場合、および測定値と、代表パラメータのセットの他のパラメータの基準値との偏差が、この他のパラメータに関連付けられた下限閾値よりも小さくなく、また、この他のパラメータに関連付けられた上限閾値より大きくない場合の、測定偏差信号の発信、
を含む、請求項に記載の監視方法。
【請求項5】
-物理的問題信号を発信するステップにおいて、代表パラメータのセットの他のパラメータの基準値が、この他のパラメータについて計算された平均値およびこのほかのパラメータの設定値から選択される、および/または、
-測定偏差信号を発信するステップにおいて、代表パラメータのセットの他のパラメータの基準値が、前記他のパラメータについて計算された平均値と前記他のパラメータの設定値から選択される、請求項4に記載の監視方法。
【請求項6】
前記各蒸気発生器(8)について、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、この蒸気発生器(8)におけるこのパラメータの不均衡の特性評価には以下の、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、負の下限閾値よりも小さい場合、および測定値と、代表パラメータのセットのこの他のパラメータの基準値との偏差が、負の下限閾値より小さい場合の、第1の物理的問題信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、負の下限閾値よりも小さい場合、および測定値と、他のパラメータの基準値との偏差が負の下限閾値より小さくない場合の、第1の測定偏差信号の発信、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、正の上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、他のパラメータの基準値の偏差が正の上限閾値より大きい場合の、第2の物理的問題信号の発信、および/または、
-このパラメータについて測定値と計算された平均値との偏差が、正の上限閾値よりも大きい場合、および測定値と、他のパラメータの基準値との偏差が、正の上限閾値より大きくない場合の、第2の測定偏差信号の発信、
を含む、請求項に記載の監視方法。
【請求項7】
-物理的問題信号を発信するステップにおいて、代表パラメータのセットの他のパラメータが、この他のパラメータについて計算された平均値およびこのほかのパラメータの設定値から選択される、請求項6に記載の監視方法。
【請求項8】
前記各蒸気発生器(8)について、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、測定値と基準値の偏差が警報下限閾値より小さい場合の警報信号の発信、および/または測定値と基準値との間の偏差が警報上限閾値より大きい場合に警報信号を発信し、基準値は、このパラメータの平均値とこのパラメータの設定値から選択されることを特徴とする、請求項に記載の監視方法。
【請求項9】
前記測定値と基準値との偏差は、警報下限閾値と比較される前、および/または警報上限閾値と比較される前に、位相進みフィルタを使用してフィルタリングされる、請求項に記載の監視方法。
【請求項10】
前記代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータまたは各パラメータの不均衡の特性評価には、代表パラメータのセットの別のパラメータに対して発信される警報信号を考慮することが含まれることを特徴とする、請求項に記載の監視方法。
【請求項11】
前記各蒸気発生器(8)、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、測定値とこのパラメータの基準値の偏差が、下限偏差閾値より小さい場合に偏差信号を発信し、および/または測定値とこのパラメータの基準値の偏差が、上限偏差閾値より大きい場合に差信号を発信し、基準値は、このパラメータの平均値とこのパラメータの設定値から選択される、請求項に記載の監視方法。
【請求項12】
-前記各蒸気発生器(8)について、および代表パラメータのセットの少なくとも一つのパラメータについて、測定値とこのパラメータの基準値の偏差が、偏差下限閾値より小さい場合の偏差信号の発信、および/または測定値とこのパラメータの基準値との偏差が、偏差上限閾値より大きい場合に偏差信号を発信し、基準値は、このパラメータの平均値とこのパラメータの設定値から選択される、および、
前記蒸気発生器の少なくとも一つのパラメータの不均衡の特性評価は、このパラメータに対して発信される偏差信号と、特性評価を考慮した少なくとも一つの他のパラメータに対して発信される警報または偏差信号に応じて実行される、請求項に記載の監視方法。
【請求項13】
前記各蒸気発生器について、代表パラメータのセットには、一つまたは複数の、蒸気流量(DV)、蒸気圧力(PV)、給水流量(DE)、給水温度(TE)、パージ流量(DP)、水位(NV)および一次出力(P1)のパラメータのうちの一つまたは複数が含まれる、請求項に記載の監視方法。
【請求項14】
前記蒸気発生器(8)の蒸気圧力の不均衡の特性評価は、蒸気流量と一次出力に応じて、この蒸気発生器(8)の測定蒸気流量(DVmes)と蒸気発生器(8)の平均蒸気流量(DVavg)との偏差、およびこの蒸気発生器(8)の測定一次出力(P1mes)とすべての蒸気発生器(8)の平均一次出力(P1avg)との偏差に応じて実行される、請求項13に記載の監視方法。
【請求項15】
前記蒸気発生器(8)の蒸気流量の不均衡の特性評価は、蒸気圧力と一次出力に応じて、この蒸気発生器(8)の測定蒸気圧力(PVmes)とすべての蒸気発生器(8)の蒸気圧力の平均蒸気圧力(PVavg)の偏差、およびこの蒸気発生器(8)の測定一次出力(P1mes)とすべての蒸気発生器(8)の平均一次出力(P1avg)との偏差に応じて実行される、請求項13に記載の監視方法。
【請求項16】
前記蒸気発生器(8)の給水温度(TE)の不均衡の特性評価は、一次出力に応じて実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記蒸気発生器(8)の給水温度(TE)の不均衡の特性評価は、この蒸気発生器(8)の測定一次出力(P1mes)とすべての蒸気発生器(8)の平均一次出力(P1avg)との偏差に応じて実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記蒸気発生器(8)の給水流量(DE)の不均衡の特性評価は、この蒸気発生器(8)の水位に応じて実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記蒸気発生器(8)の給水流量(DE)の不均衡の特性評価は、この蒸気発生器(8)の測定水位値(NVmes)と設定水位値(NVcons)との偏差に応じて実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記蒸気発生器(8)のパージ流量(DE)の不均衡の特性評価は、この蒸気発生器(8)の給水流量に応じて実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記蒸気発生器(8)のパージ流量の不均衡の特性評価は、この蒸気発生器(8)の測定給水流量(DEmes)とすべての蒸気発生器(8)の平均給水流量(DEavg)との偏差に応じて実行される、請求項20に記載の方法
【請求項22】
前記各蒸気発生器(8)について、代表パラメータのセットのパラメータを測定するためのセンサ、およびセンサによって提供される測定を基にした請求項に記載の監視方法の実行のために構成された電子監視ユニット(60)を含む、原子力発電所監視システム。
【請求項23】
メモリまたはデータ媒体に記録可能であり、プロセッサまたはコンピュータによって実行可能なコンピュータプログラム製品であり、請求項に記載の監視方法の実行のためのソフトウェアコード命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】