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特表2024-533285シールド付き接続機構、送電装置及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】シールド付き接続機構、送電装置及び自動車
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240905BHJP
   H01R 13/6593 20110101ALI20240905BHJP
   H02G 15/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05K9/00 C
H01R13/6593
H02G15/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514730
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2022123138
(87)【国際公開番号】W WO2023051764
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111167054.3
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122400684.2
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
5E021
5E321
5G375
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FB07
5E021FB20
5E021FB21
5E021FC40
5E021LA10
5E021LA14
5E021LA19
5E321AA01
5E321AA14
5E321AA24
5E321AA41
5E321CC16
5E321CC30
5E321GG01
5E321GG05
5E321GG09
5G375CA02
5G375CA03
5G375CA19
5G375DA08
5G375DA36
5G375DB16
(57)【要約】
本発明は、シールド付き接続機構、送電装置及び自動車を提供し、ここで、接続機構は、機能ケーブル(10)と、挿着端子(11)と、保護導体(20)と、接地端子(21)と、機能ケーブル(10)及び挿着端子(11)と一体成形されたインナーハウジング(30)と、インナーハウジング(30)の外周の少なくとも一部に設けられている保護シールドケース(40)と、を備え、機能ケーブル(10)には、シールド層(12)が設けられ、保護シールドケース(40)は、一端がシールド層(12)と少なくとも一部が電気的に接続され、他端が保護導体(20)または接地端子(21)と少なくとも一部が電気的に接続されている。シールド付き接続機構には、機能ケーブル(10)及び挿着端子(11)と一体化して射出成形されたインナーハウジング(30)が設けられることで、加工が簡単で、シールド用の金属ハウジングよりもコストがはるかに低い。シールド付き接続機構と相手側接続機構との挿着接続、および、機能ケーブルのシールド層(12)、保護導体(20)との電気的接続により、接続機構の内部における電磁干渉を効果的にシールドすることができ、他の機器に対する電磁干渉の発生が低減される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能ケーブルと、
挿着端子と、
前記機能ケーブル及び前記挿着端子と一体成形されたインナーハウジングと、
前記インナーハウジングの外周の少なくとも一部に設けられた保護シールドケースと、を備え、
前記機能ケーブルにシールド層が設けられ、
前記保護シールドケースと前記シールド層は、少なくとも一部が電気的に接続されている、ことを特徴とするシールド付き接続機構。
【請求項2】
保護導体と、接地端子と、をさらに備え、
前記保護シールドケースは、一端が前記シールド層と少なくとも一部が電気的に接続され、他端が前記保護導体または前記接地端子と少なくとも一部が電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項3】
前記保護シールドケースは、シールド装置を含み、
前記シールド装置と前記シールド層は、少なくとも一部が電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項4】
前記保護シールドケースの内面には、導電弾性片がさらに設けられ、
前記導電弾性片は、前記シールド層と接触して接続され、
前記導電弾性片は、前記シールド層に圧力を印加する、ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項5】
前記導電弾性片によって印加される圧力の範囲は、0.3N~95Nである、ことを特徴とする請求項4に記載のシールド付き接続機構。
【請求項6】
前記保護シールドケースと前記シールド層の間のインピーダンスは、80mΩ未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項7】
前記保護シールドケースのトランスインピーダンスは、100mΩ未満である、ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項8】
前記保護シールドケースは、前記シールド層の少なくとも一部と一体化して射出成形された、ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項9】
前記挿着端子は、順次に設置された第1固定部と、挿着部と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項10】
前記機能ケーブルは、
最も内部に設けられている線芯と、
前記線芯の外周に外嵌されているシールド層と、
前記シールド層の外周に外嵌されている絶縁層と、を含み、
前記第1固定部と前記線芯の導電部分とが電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のシールド付き接続機構。
【請求項11】
前記挿着部は、柱状であり、
前記挿着部は、少なくとも一部が前記インナーハウジングから突出し、又は、
前記インナーハウジングは、凹溝を有し、前記挿着部は、少なくとも一部が前記凹溝の底面から突出しているが、前記インナーハウジングを超えていない、
ことを特徴とする請求項9に記載のシールド付き接続機構。
【請求項12】
前記挿着部は、筒状であり、
前記挿着部は、少なくとも一部が前記インナーハウジングの外壁から突出し、又は、
前記インナーハウジングには、開口ボスが設けられ、前記挿着部は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている、
ことを特徴とする請求項9に記載のシールド付き接続機構。
【請求項13】
前記保護シールドケースは、少なくとも、前記第1固定部および前記機能ケーブルの少なくとも一部を包んでいるが、前記挿着端子および前記機能ケーブルの導電部分と絶縁されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のシールド付き接続機構。
【請求項14】
前記インナーハウジングは、少なくとも、前記第1固定部及び、前記挿着端子と前記機能ケーブルの導電部分の外周に一体化して射出成形され、絶縁機能を発揮する、
ことを特徴とする請求項9に記載のシールド付き接続機構。
【請求項15】
前記保護シールドケースは、少なくとも、前記インナーハウジングの外周の一部を包んでおり、
前記保護シールドケースは、前記インナーハウジングの外周の少なくとも一部に一体化して射出成形された、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項16】
前記インナーハウジング及び/又は前記保護シールドケースの外周には、さらに、外絶縁ケースが一体化して射出成形され、
前記外絶縁ケースは、前記インナーハウジング及び/又は前記保護シールドケースの少なくとも一部と、前記機能ケーブルの少なくとも一部を包んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項17】
前記接続機構は、インタロック接続機構を含み、
前記インタロック接続機構は、少なくとも一部が前記インナーハウジング内に一体化して射出成形された、
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項18】
前記接地端子は、第2固定部と、相手挿着部と、を含み、
前記第2固定部は、前記保護導体と電気的に接続された、ことを特徴とする請求項2に記載のシールド付き接続機構。
【請求項19】
前記相手挿着部は、柱状であり、
前記相手挿着部は、少なくとも一部が前記インナーハウジングから突出し、又は、
前記インナーハウジングは、凹溝を有し、前記相手挿着部は、少なくとも一部が前記凹溝の底面から突出したが、前記インナーハウジングを超えていない、
ことを特徴とする請求項18に記載のシールド付き接続機構。
【請求項20】
前記相手挿着部は、筒状であり、
前記相手挿着部は、少なくとも一部が前記インナーハウジングの外壁から突出し、又は、
前記インナーハウジングには、開口ボスが設けられ、前記相手挿着部は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている、
ことを特徴とする請求項18に記載のシールド付き接続機構。
【請求項21】
前記インナーハウジングは、少なくとも、前記第2固定部と前記保護導体の導電部分との外周に一体化して射出成形され、絶縁機能を発揮する、
ことを特徴とする請求項18に記載のシールド付き接続機構。
【請求項22】
前記保護シールドケースは、少なくとも、前記第2固定部および/又は前記保護導体の導電部分の外周を包んでおり、
前記保護シールドケースは、前記第2固定部及び/又は前記保護導体の導電部分と電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項18に記載のシールド付き接続機構。
【請求項23】
密封構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項24】
前記インナーハウジング及び/又は前記保護シールドケースの外周は、外絶縁ケースを含み、
前記密封構造は、前記インナーハウジング及び/又は前記保護シールドケースに二次射出成形され、及び/又は、
前記密封構造は、前記外絶縁ケースに二次射出成形された、
ことを特徴とする請求項23に記載のシールド付き接続機構。
【請求項25】
前記挿着端子及び/又は前記接地端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定部品を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシールド付き接続機構。
【請求項26】
前記挿着端子及び/又は前記接地端子と密着され、前記挿着端子及び/又は前記接地端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定部品を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシールド付き接続機構。
【請求項27】
重量が272g以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項28】
挿抜方向における高度が274mm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項29】
前記挿着端子及び/又は前記接地端子の表面の少なくとも一部には、導電防食層が設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のシールド付き接続機構。
【請求項30】
前記保護導体の導電部分は、前記接地端子と一体成形された、ことを特徴とする請求項2に記載のシールド付き接続機構。
【請求項31】
前記機能ケーブルの導電部分は、前記挿着端子と一体成形された、ことを特徴とする請求項1に記載のシールド付き接続機構。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載のシールド付き接続機構を備えた、ことを特徴とする送電装置。
【請求項33】
請求項1~31のいずれか一項に記載のシールド付き接続機構を備えた、ことを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年10月1日に提出された、出願番号202111167054.3の、発明名称が「シールド付き接続機構、送電装置及び自動車」である中国特許出願の優先権を主張しており、当該特許出願の全ての内容がここに取り込まれる。
【0002】
本願は、さらに、2021年10月1日に提出された、出願番号202122400684.2の、実用新案名称が「シールド付き接続機構、送電装置及び自動車」である中国実用新案の優先権を主張しており、当該実用新案の全ての内容がここに取り込まれる。
【0003】
本願は、電気的接続の分野に関し、特に、シールド付き接続機構、送電装置及び自動車に関する。
【背景技術】
【0004】
新エネルギー車に向けた新エネルギーバッテリーは、充電システムによってエネルギーの補足が行われる。充電システムでは、充電台に加えて、バッテリーシステムに接続される高圧接続機構が備えられる。充電ハーネスは、電気自動車高圧システムにおける最も重要なユニットである。従来の充電ハーネスは、充電ケーブルとして、銅線が用いられ、銅線の末端には、バッテリーシステムと電気的に接続する挿着端子が接続されている。既存の高圧接続機構は、組立構造の接続機構であり、構造が複雑で、組立が困難で、接続機構のコストが高いなどの課題がある。また、ケーブル及び端子には、銅材料の使用量が高いので、接続加工が複雑となる。それは、高圧接続機構のコストが常に高い原因の一つである。
【0005】
また、充電システムでは、充電台には、温度測定部品が取り付けられているが、充電ハーネス接続機構には温度測定部品が取り付けられないことが一般的である。しかし、導通電流が同じなので、充電ハーネス接続機構は、充電ハーネス及びバッテリーシステムの安全確保のために、同様に、監視の必要があり、温度が高くなると充電作業を即時停止する必要がある。
【0006】
さらに、電磁干渉の影響を抑制するために、高圧接続機構は、通常、PEラインをシールドする必要がある。現在、接続機構には、シールドするためのシールド装置がないことが一般的である。よって、接続機構において、PEラインによる電磁干渉が大きい。ただし、接続機構の内部又は外部に金属カバーが設けられることで、シールド効果も得られる。しかし、金属カバーは、加工が困難で、コストが高いものである。そして、金属カバーと接続機構の組立には、手間がかかり、組立工数が多い。また、金属カバーが接続部の内部に設けられた場合、ガイドコアとの短絡が発生しやすいので、シールド層が損傷を受けたり、ひいては、ケーブルが焼失して、深刻な事故が起こったりすることもある。
【0007】
そのため、電気自動車の市場拡大に伴い、充電システムでは、構造が簡単で、コスト優位性を有するとともに、PEラインに対するシールド効果が付けられた高圧接続機構及び送電装置が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、機能ケーブル及び挿着端子と一体化して射出成形されたインナーハウジングが設けられ、加工が簡単で、シールド用の金属ハウジングよりもコストがはるかに低いシールド付き接続機構を提供することを目的としている。シールド付き接続機構と相手側接続機構との挿着接続、および機能ケーブルシールド網、保護導体との電気的接続により、接続機構の内部における電磁干渉を効果的にシールドすることができ、他の機器に対する電磁干渉の発生が低減される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の技術案によって実現されてもよい。
【0010】
本発明は、機能ケーブルと、挿着端子と、前記機能ケーブル及び前記挿着端子と一体成形されたインナーハウジングと、前記インナーハウジングの外周の少なくとも一部に設けられた保護シールドケースと、を備え、前記機能ケーブルにシールド層が設けられ、前記保護シールドケースと前記シールド層は、少なくとも一部が電気的に接続されている、シールド付き接続機構を提供する。
【0011】
好適な実施形態では、前記接続機構は、保護導体と、接地端子と、をさらに備え、前記保護シールドケースは、一端が前記シールド層と少なくとも一部が電気的に接続され、他端が前記保護導体または前記接地端子と少なくとも一部が電気的に接続されている。
【0012】
好適な実施形態では、前記保護シールドケースは、シールド装置を含み、前記シールド装置と前記シールド層は、少なくとも一部が電気的に接続されている。
【0013】
好適な実施形態では、前記保護シールドケースの内面には、導電弾性片がさらに設けられ、前記導電弾性片は、前記シールド層と接触して接続され、前記導電弾性片は、前記シールド層に圧力を印加する。
【0014】
好適な実施形態では、前記導電弾性片によって印加される圧力の範囲は、0.3N~95Nである。
【0015】
好適な実施形態では、前記保護シールドケースと前記シールド層の間のインピーダンスは、80mΩ未満である。
【0016】
好適な実施形態では、前記保護シールドケースのトランスインピーダンスは、100mΩ未満である。
【0017】
好適な実施形態では、前記保護シールドケースは、前記シールド層の少なくとも一部と一体化して射出成形された。
【0018】
好適な実施形態では、前記挿着端子は、順次に設置された第1固定部と、挿着部と、を含む。
【0019】
好適な実施形態では、前記機能ケーブルは、最も内部に設けられている線芯と、前記線芯の外周に外嵌されているシールド層と、前記シールド層の外周に外嵌されている絶縁層と、を含み、前記第1固定部と前記線芯の導電部分とが電気的に接続されている。
【0020】
好適な実施形態では、前記挿着部は、柱状のものであり、前記挿着部は、少なくとも一部が前記インナーハウジングから突出し、又は、前記インナーハウジングは、凹溝を有し、前記挿着部は、少なくとも一部が前記凹溝の底面から突出しているが、前記インナーハウジングを超えていない。
【0021】
好適な実施形態では、前記挿着部は、筒状のものであり、前記挿着部は、少なくとも一部が前記インナーハウジングの外壁から突出し、又は、前記インナーハウジングには、開口ボスが設けられ、前記挿着部は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている。
【0022】
好適な実施形態では、前記保護シールドケースは、少なくとも、前記第1固定部および前記機能ケーブルの少なくとも一部を包んでいるが、前記挿着端子および前記機能ケーブルの導電部分と絶縁されている。
【0023】
好適な実施形態では、前記インナーハウジングは、少なくとも、前記第1固定部及び、前記挿着端子と前記機能ケーブルの導電部分の外周に一体化して射出成形され、絶縁機能を発揮する。
【0024】
好適な実施形態では、前記保護シールドケースは、少なくとも、前記インナーハウジングの外周の一部を包んでおり、前記保護シールドケースは、前記インナーハウジングの外周の少なくとも一部に一体化して射出成形された。
【0025】
好適な実施形態では、前記インナーハウジング及び/又は前記保護シールドケースの外周は、さらに、外絶縁ケースに一体化して射出成形され、前記外絶縁ケースは、前記インナーハウジング及び/又は前記保護シールドケースの少なくとも一部および前記機能ケーブルの少なくとも一部と前記保護導体を包んでいる。
【0026】
好適な実施形態では、前記接続機構は、インタロック接続機構を含み、前記インタロック接続機構は、少なくとも一部が前記インナーハウジング内に一体化して射出成形された。
【0027】
好適な実施形態では、前記接地端子は、第2固定部と、相手挿着部と、を含み、前記第2固定部は、前記保護導体と電気的に接続された。
【0028】
好適な実施形態では、前記相手挿着部は、柱状のものであり、前記相手挿着部は、少なくとも一部が前記インナーハウジングから突出し、又は、前記インナーハウジングは、凹溝を有し、前記相手挿着部は、少なくとも一部が前記凹溝の底面から突出したが、前記インナーハウジングを超えていない。
【0029】
好適な実施形態では、前記相手挿着部は、筒状のものであり、前記相手挿着部は、少なくとも一部が前記インナーハウジングの外壁から突出し、又は、前記インナーハウジングには、開口ボスが設けられ、前記相手挿着部は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている。
【0030】
好適な実施形態では、前記インナーハウジングは、少なくとも、前記第2固定部と前記保護導体の導電部分との外周に一体化して射出成形され、絶縁機能を発揮する。
【0031】
好適な実施形態では、前記保護シールドケースは、少なくとも、前記第2固定部および/又は前記保護導体の導電部分の外周を包んでおり、前記保護シールドケースは、前記第2固定部及び/又は前記保護導体の導電部分と電気的に接続されている。
【0032】
好適な実施形態では、前記接続機構は、密封構造を有する。
【0033】
好適な実施形態では、前記インナーハウジング及び/又は前記保護シールドケースの外周は、外絶縁ケースを含み、前記密封構造は、前記インナーハウジング及び/又は前記保護シールドケースに二次射出成形され、及び/又は、前記密封構造は、前記外絶縁ケースに二次射出成形された。
【0034】
好適な実施形態では、前記挿着端子及び/又は前記接地端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定部品を有する。
【0035】
好適な実施形態では、前記挿着端子及び/又は前記接地端子と密着され、前記挿着端子及び/又は前記接地端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定部品を有する。
【0036】
好適な実施形態では、前記接続機構は、重量が272g以下である。
【0037】
好適な実施形態では、前記接続機構は、挿抜方向における高度が274mm以下である。
【0038】
好適な実施形態では、前記挿着端子及び/又は前記接地端子の表面の少なくとも一部には、導電防食層が設けられている。
【0039】
好適な実施形態では、前記保護導体の導電部分は、前記接地端子と一体成形された。
【0040】
好適な実施形態では、前記機能ケーブルの導電部分は、前記挿着端子と一体成形された。
【0041】
本発明は、上記いずれか1つに記載のシールド付き接続機構を備えた送電装置を提供する。
【0042】
本発明は、上記いずれか1つに記載のシールド付き接続機構を備えた自動車を提供する。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、以下のような特徴及び利点を有する。
【0044】
1、本発明におけるシールド付き接続機構には、機能ケーブル及び挿着端子と一体化して射出成形されたインナーハウジングが設けられたことで、加工が簡単で、シールド用の金属ハウジングよりもコストがはるかに低い。シールド付き接続機構と相手側接続機構との差し込み接続、および、機能ケーブルシールド網、保護導体との電気的接続によれば、接続機構の内部における電磁干渉を効果的にシールドすることができ、他の機器に対する電磁干渉の発生が低減された。
【0045】
2、本発明における保護シールドケースと機能ケーブルシールド網との接続は、複数の方式によって行われたので、保護シールドケースとシールド網とを安定的かつ効果的に接続することができ、良好なシールド効果が得られる。
【0046】
3、本発明における保護シールドケースは、機能ケーブルシールド網と電気的に接続されたほか、保護導体または接地端子にも電気的に接続されたので、二重接地が確保され、機能ケーブルシールド網による接地が失敗したとしても、保護導体による接地が可能であり、シールドされた電流の流出をスムーズにガイドすることができ、電磁シールドの干渉が低減された。
【0047】
4、嵌め込み型高圧インタロック構造は、従来の組立型高圧インタロック構造の代わりに用いられ、接続機構に一体化して射出成形されて固定されたので、組立が不要となり、コストの低減を図り、高圧インタロックの効果が十分に得られる。
【0048】
5、接続機構の密封構造として、シールリングが個別的に取り付けられたものではなく、従来のシールリングの代わりに、二次射出成形された密封構造が用いられたので、接続機構に直接に成形されることができ、射出成形による接合性が更に良好であり、コストが低減された。
【0049】
6、温度測定機構が用いられたことで、接続機構の内部における端子の温度を個別的に監視することができ、他の位置における温度センサの損傷に起因して接続機構の温度に対する監視ができなくなることが避けられた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明における技術案をより明確に説明するために、以下は、実施例の説明に必要な添付図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下の説明における添付図面は、本発明における幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わずに、これらの添付図面に基づいて他の添付図面をさらに取得することができるものである。
図1】本発明におけるシールド付き接続機構の構造模式図である。
図2】本発明におけるインナーハウジングの構造模式図である。
図3】本発明における保護シールドケースの構造模式図である。
図4】本発明における絶縁アウトケースの構造模式図である。
図5】本発明における挿着端子および接地端子の柱状構造模式図である。
図6】本発明における挿着端子および接地端子の筒状構造模式図である。
図7】本発明におけるシールド付き接続機構の断面図である。
図8】本発明におけるシールド付き接続機構の別の断面図である。
図9】本発明におけるシールド付き接続機構の別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下は、本発明における実施例の添付図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、明らかなことに、説明される実施例は、本発明における一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例を基にして、当業者は、創造的な労力を払わずに取得できる全ての他の実施例がいずれも、本発明の保護範囲に入っている。
【0052】
シールド付き接続機構であって、図1図4に示されるように、接続機構は、機能ケーブル10と、挿着端子11と、機能ケーブル10及び挿着端子11と一体成形されたインナーハウジング30と、インナーハウジング30の外周の少なくとも一部に設けられた保護シールドケース40と、を備え、機能ケーブル10には、シールド層12が設けられ、保護シールドケース40とシールド層12は少なくとも一部が電気的に接続されている。
【0053】
シールド付き接続機構では、機能ケーブル10が大電流を伝送される必要があるので、電流が流れると、機能ケーブル10の周囲には大きな電磁界が発生するようになる。大電流による電磁界が周囲環境における電気機器に電磁干渉を与え、他の電気機器の正常な作動に影響を与えることを防止するために、機能ケーブル10の導電コアの外にシールド層12を設置することで、機能ケーブル10が通電した後に発生した電磁界を電磁シールドする。
【0054】
図7図9に示されるように、機能ケーブル10には、シールド層12が設けられ、保護シールドケース40の一端がシールド層12の少なくとも一部と電気的に接続される。
【0055】
本発明におけるシールド付き接続機構には、機能ケーブル10と挿着端子11とを一体化して射出成形されたインナーハウジング30が設けられることで、加工が簡単で、シールド用の金属ハウジングよりもコストがはるかに低い。また、シールド付き接続機構と相手側接続機構との挿着接続、および、シールド付き接続機構と機能ケーブル10およびシールド層12との電気的接続により、接続機構の内部における電磁干渉を効果的にシールドすることができ、他の機器に対する電磁干渉の発生が低減される。
【0056】
一実施形態では、接続機構は、保護導体20と、接地端子21と、をさらに備え、保護シールドケース40は、一端がシールド層12の少なくとも一部と電気的に接続され、他端が保護導体20または接地端子21の少なくとも一部と電気的に接続される。
【0057】
本発明における保護シールドケース40は、機能ケーブル10およびシールド層と電気的に接続されるほか、保護導体20または接地端子21にも電気的に接続されるので、二重接地が確保され、機能ケーブル10のシールド網による接地が失敗したとしても、保護導体20による接地が可能であり、シールドされる電流の流出をスムーズにガイドすることができ、電磁シールドの干渉が低減される。
【0058】
幾つかの実施例では、挿着端子11および接地端子21の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、錫、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム、鉛のうちの1つまたは複数を含む金属導電材料であり、それらの材料は、性質が安定し、良好な導電性を有する。好適な材料として、銅または銅合金、又は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む材料が挙げられる。
【0059】
幾つかの実施例では、機能ケーブル10および保護導体20の導電部分の材質は、アルミニウム、リン、錫、銅、鉄、マンガン、クロム、チタン及びリチウムの1つまたは複数を含むものである。ここで、機能ケーブル10および保護導体20の導電部分の材質にアルミニウムまたはアルミニウム合金を含まらせることは、近来、省エネ・コスト低減のための主な手段の一つである。電気的接続分野では、電流を伝導するために、導電率が高く、延性が良好である銅製導線が用いられることが一般的である。しかし、銅価格が日増しに高くなるにつれて、導線の材料として、銅材が用いられると、コストも高くなるに決まっている。そのため、コスト削減のために、金属銅の代替品に対する検討が始まる。地殻における金属アルミニウムの含有量は約7.73%である。精製技術の最適化により、金属アルミニウムの価格は比較的に低くなる。しかも、アルミニウムは、重量が銅よりも軽く、導電率が銅に次ぐものであるため、電気接続分野では、一部の銅の代替品として用いられてもよい。そのため、自動車電気的接続分野において、銅の代わりに、アルミニウムが用いられるという発展の傾向がある。
【0060】
一実施形態では、図8に示されるように、保護シールドケース40は、シールド装置41を含み、シールド装置41とシールド層21は、少なくとも一部が電気的に接続されている。
【0061】
保護シールドケース40は、シールド装置41を含み、シールド装置41がシールド層21と接触して電気的に接続されて、密閉した電磁シールド構造を形成する。よって、電磁シールドの効果を最適にさせることが可能である。また、図8図9に示されるように、密閉した電磁シールド構造が形成されることで、電磁波の放射を効果的に制御することができ、良好なシールド効果が得られる。
【0062】
シールド層12は、シールド網であってもよく、導電箔系のものであってもよい。シールド層12は、柔軟な構造を有するが、雄端であるシールド装置41は、一般的に、硬性構造を有する。その両者が接触するとき、シールド層12が変形するため、シールド装置41とシールド層12との接続が過渡的に遮断されて、接触位置におけるインピーダンスを変化させてしまう。そうすると、機能ケーブル10の接続構造によるシールド効果が不安定となり、信号の伝送に影響を及ぼす。そのため、シールド装置41とシールド層12との安定的な接続が求められ、そして、機能ケーブル10と保護シールドケース40との良好な電気的接続を実現するためにシールド装置41が一般的に硬性構造を有することが求められ、安定したシールド効果の取得が可能となる。
【0063】
一実施形態では、図9に示されるように、保護シールドケース40の内面には、導電弾性片42がさらに設けられ、導電弾性片42は、シールド層12と接触して接続され、導電弾性片42は、シールド層12に圧力を印加する。
【0064】
保護シールドケース40は、導電弾性片42によってシールド層12に電気に接続する。導電弾性片42の少なくとも一部は、弾性を有し、当該部分は、機能ケーブル10を加締めるように内方へ収縮していく傾向がある。それにより、一方では、保護シールドケース40とシールド層12との間の電気的接続の安定性が確保されるが、他方では、図7図9に示されるように、機能ケーブル12が保護シールドケース40に挿入されると、導電弾性片42と接触して接続されるようになるので、組立及び加工の工数が節約される。
【0065】
さらに、導電弾性片42によって印加される圧力の範囲は、0.3N~95Nである。
【0066】
導電弾性片42によってシールド層12に印加される圧力による導電弾性片42とシールド層12の間の接触抵抗への影響を検証するために、発明者は、対象を絞り込んでテストを行った。導電弾性片42によってシールド層12に印加される圧力を例にすると、発明者は、同じ形状および同じ寸法を有する導電弾性片42とシールド層12を選択するとともに、導電弾性片42とシールド層12の間の圧力を異なる圧力に設定し、導電弾性片42とシールド層12の間の接触抵抗を観察した。
【0067】
接触抵抗の検出方式は以下の通りである。精密抵抗測定器を用いて、導電弾性片42とシールド層12との接触位置において、抵抗の測定を行うとともに、精密抵抗測定器に表示される値を読み取る。本実施例では、接触抵抗が50μΩ未満であることは理想的である。
【0068】
表1 導電弾性片とシールド層の間の異なる圧力による接触抵抗への影響
【表1】
表1から分かるように、導電弾性片42とシールド層12の間の圧力が0.3N未満である場合、結合力が小さすぎるため、両者間の接触抵抗が理想値よりも高く、要求を満足できない。導電弾性片42とシールド層12の間の圧力が95N超過である場合、接触抵抗が明らかに低下することがないが、材料の選択および加工処理がより困難となる。しかも、圧力が大きすぎると、シールド層12に損傷を与えてしまう可能性がある。そのため、発明者は、導電弾性片42によって印加される圧力の範囲を0.3N~95Nにする。
【0069】
また、発明者は以下のような知見がある。導電弾性片42とシールド層12の間の圧力が0.5N超過である場合、導電弾性片42とシールド層12の間の接触抵抗が良好であって、素早く低下する傾向があるが、導電弾性片42とシールド層12の間の圧力が50未満である場合、導電弾性片の製造、取付け、および、使用が容易となり、コストが低い。そのため、発明者は、導電弾性片42によって印加される圧力の好適な範囲を0.5N~50Nにする。
【0070】
一実施形態では、導電弾性片42と保護シールドケース40の間の接続方式として、溶接方式、接着方式、一体化射出成形方式、嵌め込み方式、または、係着方式が用いられる。
【0071】
溶接方式とは、レーザー溶接、超音波溶接、抵抗溶接、圧力拡散溶接またはロウ付け溶接などの方式を含み、集中した熱エネルギーまたは圧力によって、導電弾性片42と保護シールドケース42の内面とが接触する位置で熔融接続されるようにする方式である。溶接方式による接続は強固になり、異なる種類の材料間の接続も実現させることができ、接触位置が熔融したので、導電効果が更に良好なものである。
【0072】
接着方式とは、導電性ペーストを用いて、導電弾性片42と保護シールドケース40の内面とを接着させる方式である。そのような方式では、機器の使用が不要となり、導電性ペーストによって、導電弾性片42と保護シールドケース40の内面とが十分に電気的に接続されるようになり、導電効果が良好なものである。しかし、接続強度が低いので、接続強度の要求が高くなく、導電弾性片42と保護シールドケース40の内面との融点または強度が低い使用環境に適する。
【0073】
一体化射出成形方式とは、導電弾性片42を射出成形金型に入れて、接続機構の加工時、保護シールドケース40の内面に直接に一体化して射出成形させる方式であり、加工が簡素化されて、迅速に行われることが可能となり、他の組立工程がないので、組立にかかる時間が節約される。
【0074】
嵌め込み方式とは、保護シールドケース40の内面に凹溝を設置し、そして、導電弾性片42を凹溝内に嵌め込むことで、導電弾性片42を保護シールドケース40の内面に固定させる方式である。
【0075】
係着方式とは、保護シールドケース40の内面に係止爪または係止溝を設置し、導電弾性片42に対応する係止溝または係止爪を設置し、そして、係止爪と係止溝とを接続して組み立てることで、導電弾性片42を保護シールドケース40の内面に固定させる方式である。
【0076】
本発明における保護シールドケースは、機能ケーブル10とシールド層12との接続が複数の方式によって行われるので、保護シールドケースとシールド網とを安定的かつ効果的に接続することができ、良好なシールド効果が得られる。
【0077】
一実施形態では、保護シールドケース40とシールド層12の間のインピーダンスは、80mΩ未満である。
【0078】
保護シールドケース40とシールド層12の間のインピーダンスをなるべく小さいようにしなければならない。そうすると、シールド層12で発生される電流は、エネルギーソースまたは接地位置にスムーズに戻ることができる。仮に、保護シールドケース40とシールド層12の間のインピーダンスが大きいと、保護シールドケース40とシールド層12の間には、大きな電流が生じてしまい、機能ケーブル10と挿着端子11との接続箇所には、大きな放射が発生するようになる。
【0079】
保護シールドケース40とシールド層12の間のインピーダンスからの、シールド付き接続機構によるシールド効果への影響を例にすると、発明者は、仕様が同じである機能ケーブル10および挿着端子11を選択するとともに、保護シールドケース40とシールド層12の間の異なるインピーダンスを選定したうえで、シールド付き接続機構の接続構造の試料を製造し、且つ、保護シールドケース40の開口を金属製シールド装置によって密封させることで、保護シールドケース40全体が完全にシールドされる状態にあることを確保する。そして、シールド付き接続機構によるシールド効果をそれぞれ、テストした。実験結果を以下の表2に示す。本実施例では、シールド性能値が40dB超過であることが理想的である。
【0080】
シールド性能値のテスト方法は以下の通りである。試験装置は、保護シールドケース40とシールド層12に対して、1つの信号値を出力する(ここで、その数値をテスト値2とする)。シールド付き接続機構の外側に検知装置を設置し、その検知装置は、1つの信号値を検出した(ここで、その数値をテスト値1とする)。シールド性能値=テスト値2-テスト値1。
【0081】
表2 保護シールドケース40とシールド層12の間のインピーダンスによるシールド性能への影響
【表2】
表2から分かるように、保護シールドケース40とシールド層12の間のインピーダンスが80mΩ超過である場合、シールド付き接続機構のシールド性能値が40dB未満になり、理想値として好ましくない。また、保護シールドケース40とシールド層12の間のインピーダンスが80mΩ未満である場合、シールド付き接続機構のシールド性能値が全部、理想値の要求を満足したものになり、且つ、ますますよくなる傾向がある。そのため、発明者は、保護シールドケース40とシールド層12の間のインピーダンスが80mΩ未満であるように設定する。
【0082】
一実施形態では、保護シールドケース40のトランスインピーダンスは、100mΩ未満である。
【0083】
シールド材料の場合、通常、保護シールドケース40によるシールド効果はトランスインピーダンスで表される。トランスインピーダンスが小さければ小さいほど、シールド効果が良くなることを示す。保護シールドケース40のトランスインピーダンスは、単位長さのシールドに誘導されたディファレンシャルモード電圧Uとシールド表面に流れた電流Isとの比であるように定義される。即ち、ZT=U/ISとなる。
【0084】
そのため、保護シールドケース40のトランスインピーダンスにより、保護シールドケース40における電流をディファレンシャルモード干渉に変換すると理解されてもよい。トランスインピーダンスが小さければ小さいほどよく、即ち、ディファレンシャルモード干渉への変換を低減することで、良好なシールド性能が得られるということである。
【0085】
トランスインピーダンスが異なる保護シールドケース40からのシールド付き接続機構によるシールド効果への影響を検証するために、発明者は、仕様が同じである保護シールドケース40、機能ケーブル10および挿着端子11を選択し、トランスインピーダンスが異なる保護シールドケース40を用いて、一連のシールド付き接続機構の接続構造の試料を製造し、且つ、保護シールドケース40の開口を金属製シールド装置によって密封することで、保護シールドケース40全体が完全にシールドされた状態にあることを確保する。そして、シールド付き接続機構によるシールド効果をそれぞれ、テストする。実験結果を以下の表3に示す。本実施例では、シールド付き接続機構の接続構造のシールド性能値が40dB超過であることが理想的である。
【0086】
シールド性能値のテスト方法は以下の通りである。試験装置は、シールド付き接続機構に対して、1つの信号値を出力する(ここで、その数値をテスト値2とする)。シールド付き接続機構の外側に検知装置を設置し、その検知装置は、1つの信号値を検出した(ここで、その数値をテスト値1とする)。シールド性能値=テスト値2-テスト値1。
【0087】
表3 保護シールドケース40のトランスインピーダンスによるシールド性能への影響
【表3】
上表3から分かるように、保護シールドケース40のトランスインピーダンスが100mΩ超過である場合、シールド付き接続機構のシールド性能値が40dB未満になり、理想値として好ましくない。また、保護シールドケース40のトランスインピーダンスが100mΩ未満である場合、シールド付き接続機構のシールド性能値が全部、理想値の要求を満足したものになり、且つ、ますますよくなる傾向がある。そのため、発明者は、保護シールドケース40のトランスインピーダンスが100mΩ未満であるように設定する。
【0088】
一実施形態では、保護シールドケース40の材質は、導電性セラミックス、炭素含有導電体、固体電解質、混合導電体、導電性高分子材料のうちの1つまたは複数を含む。
【0089】
異なる材質による保護シールドケース40の導電率への影響を検証するために、発明者は、同じ仕様及び寸法を有するが、材質が異なる材料を用いて、保護シールドケース40の試料を製造した。保護シールドケース40の導電率をそれぞれ、テストした。実験結果を以下の表4に示す。本実施例では、保護シールドケース40の導電率が99%超過であることが理想的である。
【0090】
表4 異なる材質による保護シールドケース40の導電率への影響
【表4】
上表4から分かるように、選ばれた材料の材質で製造された保護シールドケース40は、導電率が全部、理想値の範囲内にある。そのため、発明者は、保護シールドケース40の材質が、導電性セラミックス、炭素含有導電体、固体電解質、混合導電体、導電性高分子材料のうちの1つまたは複数であるように設定する。
【0091】
さらに、炭素含有導電体は、黒鉛粉末、カーボンナノチューブ材料、グラフェン材料のうち1つまたは複数を含む。
【0092】
さらに、導電高分子材料は、金属粒子を含む高分子材料である。前記金属粒子の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、錫、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウムのうちの1つまたは複数を含む。前記高分子材料の材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、シリコーンゴム、架橋ポリオレフィン、エチレンプロピレンゴム、エチレン/酢酸ビニル共重合体、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、ポリアクリレートゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、クロロエーテルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロ硫黄ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの1つまたは複数である。
【0093】
以下は、例を挙げながら、材料の特性を説明する。
【0094】
ポリオキシメチレンは、表面が滑らかで、光沢あり、硬くて緻密な材料であり、薄い黄色又は白色を呈しており、-40℃~100℃の温度範囲内において長期間に亘って使用することが可能である。ほとんどのエンジニアリングプラスチックと比べて、ポリオキシメチレンは、優れている耐摩耗性および自己潤滑性を有するとともに、良好な耐油性能、過酸化物耐性を有する。
【0095】
ポリカーボネートは、無色透明なもので、耐熱、耐衝撃の特性を有し、難燃BI級のものであり、一般的使用温度において、良好な機械的特性を発揮できる。性能が近いポリメタクリル酸メチルに比べて、ポリカーボネートは、耐衝撃性能が優れており、屈折率が高く、加工性能が良好であり、添加剤が不要なままで高度な難燃性能を発揮できる。
【0096】
ポリアミドは、無毒で、軽量なものであって、良好な機械的強度を有するとともに、優れている耐摩耗性及び耐食性を有するものであり、銅などの金属の代わりに、機械、化学工業、計測器、自動車などの工業において、軸受、歯車、ポンプ羽根及び他の部品の製造に用いられてもよい。ポリカーボネートまたはポリアミドは、導電性高分子材料として、好適なものである。
【0097】
一実施形態では、保護シールドケース40は、押出方法、射出成形方法、ディッピング成形方法、ブロー成形方法、発泡方法、スプレー方法、印刷方法、3D印刷方法のうちの1つまたは複数によって加工されるものである。
【0098】
射出成形方法とは、熔融した原料を、加圧、注入、冷却、脱離などの操作によって、所定の形状を有する半製品の部材に製造する方法である。
【0099】
ディッピング成形方法とは、ワークを電気的に加熱した後、一定の温度に達せ、その後、ディップ成形液に浸漬して、ディップ成形液をワークに硬化させるという方法である。
【0100】
ブロー成形方法とは、押出機で管状パリソンを押出させてから、熱いうちに金型に入れて、圧縮空気を導入してブローアップすることでキャビティ形状にさせて、冷却して成形した後、製品を取得するという方法である。当該方法は、複数種類のプラスチックに適用可能で、大型の製品を生産することができるとともに、生産効率が高く、パリソンの温度がより均一的で、設備上のコストが低いなどの利点を有する。
【0101】
発泡方法とは、発泡成形過程又は発泡ポリマー材料において、物理発泡剤又は化学発泡剤の添加および反応により、ハニカム状又は多孔質状の構造を形成する方法である。発泡成形の基本的なステップとして、泡核を形成することと、泡核を成長又は拡大させることと、及び、泡核を安定化させることが含まれる。所定の温度及び圧力条件下で、気体の溶解度を低下させて飽和状態にも達することにより、余分な気体を排除して気泡を形成し、核の形成を実現させる。
【0102】
スプレー方法とは、スプレーガン又はディスク式アトマイザーによって、圧力又は遠心力により、スプレー材料を均一的かつ微細な霧滴に分散させて被塗物の表面に塗布する塗装方法である。ここで、エアスプレー、エアレススプレー、静電スプレー、及び上記基本的なスプレー形式による様々な派生的な方式に分けられる。
【0103】
印刷方法とは、印刷版を用いて、インク又は他の粘性流体材料を被塗物の表面に転写する方法であり、スクリーン印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、凹版印刷又は平板印刷を含む。
【0104】
3D印刷方法は、高速成形技術の一種で、付加製造とも呼ばれるものであり、デジタルモデルファイルを基にして、粉末状の金属又はプラスチックなどの接着可能な材料を用いて、層ごとに印刷する方式によって物体を構築する技術である。
【0105】
一実施形態では、保護シールドケース40は、シールド層12の少なくとも一部と一体化して射出成形される。射出成形方法では、保護シールドケース40は、機能ケーブル10のシールド層12と一体化して射出成形されてもよい。そうすると、シールド付き接続機構は、シールド装置41を用いることなく、保護シールドケース40とシールド層12との電気的接続を実現させることができ、良好なシールド効果が得られる。
【0106】
一実施形態では、挿着端子11は、順次に設置される第1固定部111と、挿着部112と、を含み、挿着部112は、筒状または柱状であってもよい。第1固定部111は、機能ケーブル10の導電部分と電気的に接続されることで、回路の導通が実現される。挿着部112は、筒状または柱状であってもよい。接続機構と挿着される相手である電力装置にも端子があり、端子の先端は、柱状または筒状であってもよい。図5図6に示されるように、柱状の端子と筒状の端子は互いに相手として挿着されることで、回路の接続を挿抜可能な接続にすることができる。
【0107】
さらに、機能ケーブル10は、最も内部に設けられる線芯101と、線芯101の外周に外嵌されるシールド層12と、シールド層12の外周に外嵌される絶縁層102と、を含み、第1固定部111と線芯101の導電部分とが電気的に接続される。機能ケーブル10は、多芯線であってもよく、各芯線が異なる回路を代表する。挿着端子11の数は、芯線の数と同じである。複数の挿着端子11の第1固定部111は、それぞれ、複数の芯線の導線部分と電気的に接続される。線芯101の外周に外嵌されるシールド層12が保護シールドケース40と電気的に接続されることで、信号干渉をシールドする目的を達成させる。シールド層12の外周に外嵌される絶縁層102は、絶縁保護の役割を果たしているものであり、図7図9に示されるように、内部における挿着端子11、線芯101およびシールド層12が外界導体と接触して短絡を引き起こすことを防止する。
【0108】
さらに、第1固定部111と線芯101の導電部分との接続は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係着、接合及び圧着のうちの1つまたは複数の接続方式が用いられる。
【0109】
抵抗溶接方式とは、強い電流が電極とワークの間の接触点を流れることにより、接触抵抗が熱量を発して溶接を実現させる方法である。第1固定部111と線芯101の導電部分とは、抵抗溶接方式によって溶接される。
【0110】
摩擦溶接方式とは、ワークの接触面上の摩擦によって生じた熱量を熱源として、ワークを圧力による作用で塑性変形させて溶接する方法である。第1固定部111と線芯101の導電部分とは、摩擦溶接方式によって溶接される。
【0111】
超音波溶接方式とは、高周波振動波による2つの溶接対象となる物体の表面への伝達を利用して、加圧される場合、2つの物体の表面を互いに摩擦させて分子層間の融合を形成することである。第1固定部111と線芯101の導電部分とは、超音波溶接方式によって溶接された。
【0112】
アーク溶接方式とは、アークを熱源として、空気放電という物理的現象により、電気エネルギーを溶接に必要な熱エネルギーおよび機械エネルギーに変換して、金属を接続するという目的を達成させることであり、主な方法として、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、ガスシールド溶接などがある。
【0113】
レーザー溶接方式とは、高密度なエネルギーを有するレーザビームを熱源とする高効率な精密溶接方法である。
【0114】
電子ビーム溶接方式とは、加速され集束された電子ビームを用いて、真空または非真空中に置かれた溶接面に衝撃することによって、溶接対象のワークを溶かして溶接を実現させる方法である。
【0115】
圧力溶接方式とは、溶接部材に対して圧力を印加することによって、接合面を緊密に接触させてある程度の塑性変形を発生させて溶接を完成する方法である。
【0116】
拡散溶接方式とは、ワークを高温で加圧するが、目で見える変形や相対的移動がないようにする固体溶接方法である。
【0117】
磁気誘導溶接方式とは、2つの溶接対象のワークを、強いパルス磁場による作用で、瞬間的に高速で衝突させて、材料表層において、非常に高い圧力波による作用で、2つの材料の原子が原子間距離内で出会うこととなり、界面において安定化した冶金結合が形成されるようになるという方法である。当該磁気誘導溶接方式は、固体冷間溶接の一種であり、属性が類似又は非類似の第1固定部111と第1ケーブルとを溶接することができる。
【0118】
螺着方式とは、ねじ接続のことを指し、ねじ部(又は被接続部材のねじ部分)を用いて、被接続部を一体化して着脱可能に接続する方法である。汎用的なねじ接続部として、ボルト、スタッド、ねじ及び締結ねじなどが挙げられ、標準的な部材が用いられることが多い。
【0119】
係着方式とは、接続端又は接続面において、それぞれ対応する係止爪又は係止溝を設置し、係止溝や係止爪によって組み立てを行い、接続させることを指す。係着方式は、迅速な接続が可能であり、着脱可能であるという利点を有する。
【0120】
継ぎ接合方式とは、接続端又は接続面において、それぞれ対応する凹溝又は突起を設置し、凹溝や突起によって互いにほぞ継ぎまたは継ぎ接合して、組み立てを行い、接続させることを指す。継ぎ接合方式は、安定的な接続が可能であり、着脱可能であるという利点を有する。
【0121】
圧着接続方式とは、接続端と接続面とを組み立てた後、圧着機を用いて、両者を一体化してプレスする生産工程である。圧着接続は、量産性というメリットがあり、自動圧着機が用いられることで、安定的な品質を有する製品を迅速で大量に製造することができる。
【0122】
上述した接続方式によれば、実際な使用環境に応じて、第1固定部111と線芯101の導電部分の実際な使用状態に応じて、適切な接続方式または接続方式の組合せを選択して、有効な電気的接続を可能にすることができる。
【0123】
一実施形態では、挿着部112は、柱状のものであり、挿着部112は、少なくとも一部が前記インナーハウジング30から突出し、又は、前記インナーハウジング30は、凹溝を有し、前記挿着部112は、少なくとも一部が前記凹溝の底面から突出するが、前記インナーハウジング30を超えていない。挿着部112は、インナーハウジング30から突出し、挿着される相手である電力装置における凹んだ接地端子21と対応して挿着されて電気的に接続されることができる。或いは、図5に示されるように、インナーハウジング30が凹溝を有し、挿着部112が凹溝の底面から突出し、挿着される相手である電力装置には、突出した接地端子21があり、接地端子21が凹溝内における挿着部112と挿着されて、電気的に接続されることができる。
【0124】
一実施形態では、前記挿着部112は、筒状のものであり、前記挿着部112は、少なくとも一部が前記インナーハウジング30の外壁から突出し、又は、前記インナーハウジング30には、開口ボスが設けられ、前記挿着部112は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている。挿着部112は、インナーハウジング30の外壁から突出し、挿着される相手である電力装置における凹んだ相手挿着部212と挿着されて電気的に接続されることができる。或いは、図6に示されるように、インナーハウジング30が開口ボスを有し、挿着部112が開口ボス内に位置し、挿着される相手である電力装置には、突出した接地端子21があり、接地端子21が開口ボス内における挿着部112と挿着されて電気的に接続されることができる。
【0125】
一実施形態では、保護シールドケース40は、少なくとも、第1固定部111と機能ケーブル10の少なくとも一部を包んでいるが、挿着端子11と機能ケーブル10の導電部分と絶縁されている。挿着端子11と線芯101は干渉信号の発生源であるため、干渉信号をシールドできるように、保護シールドケース40は、少なくとも、挿着端子11と線芯101を包んでいる。また、挿着部112と相手挿着部212とが挿着されて電気的に接続されているので、保護シールドケース40も電力装置とともに、シールド機構を形成する必要がある。ただし、保護シールドケース40は、少なくとも、第1固定部111を包んでいる必要がある。また、機能ケーブル10の多くは、シールド層12によって信号をシールドされるので、保護シールドケース40に入り込んだ分のシールド層12を取り外して保護シールドケース40と電気的に接続させるだけで済む。そのため、図7図9に示されるように、保護シールドケース40は、少なくとも、第1固定部111と、機能ケーブル10の少なくとも一部を包んでいる。
【0126】
一実施形態では、インナーハウジング30は、少なくとも、第1固定部111と挿着端子11及び機能ケーブル10の導電部分との外周に一体化して射出成形されており、絶縁機能を発揮する。一体化射出成形方式によれば、インナーハウジング30を、少なくとも、第1固定部111と挿着端子11及び機能ケーブル10の導電部分との外周に直接に成形することができ、挿着端子11と機能ケーブル10の導電部分が外界における他の導体と接続されて短絡されてしまうことがないように確保される。
【0127】
さらに、保護シールドケース40は、少なくとも、インナーハウジング30の外周の一部を包んでおり、保護シールドケース40は、インナーハウジング30の外周の少なくとも一部に一体化して射出成形されている。一体化射出成形方式によれば、保護シールドケース40をインナーハウジング30の外周の一部に直接に成形するとともに、シールド層12と直接に電気的に接続することができ、良好な信号シールド機能を発揮できるように確保される。
【0128】
一実施形態では、前記インナーハウジング30及び/又は前記保護シールドケース40の外周に、さらに、外絶縁ケース50が一体化して射出成形され、前記外絶縁ケース50は、前記インナーハウジング30及び/又は前記保護シールドケース40の少なくとも一部および前記機能ケーブル10および前記保護導体20の少なくとも一部を包んでいる。一体化射出成形方式によれば、外絶縁ハウジング50を、インナーハウジング30及び/または保護シールドケース40の外周に直接に成形することができ、保護シールドケースが外界における他の導体と接続されて短絡されてしまうことがないように確保される。
【0129】
一実施形態では、シールド付き接続機構は、インタロック接続機構13を含み、前記インタロック接続機構13は、少なくとも一部が前記インナーハウジング30内に一体化して射出成形されている。高圧インタロックとは、低圧信号を用いて高圧回路の完全性を監視するためのセキュリティー設計方法である。具体的な高圧インタロックの実現形式は、項目によって設計が異なる。高圧インタロックによれば、高圧回路における意外的な遮断を監視し、動力が急になくなった場合に自動車に損傷を与えることを回避することができる。図7に示されるように、本実施例におけるインタロック接続機構13は、電気的に接続される2本の相手挿着ピンを有し、U字状またはV字状の低圧回路になる。当該低圧回路は、取り付けられる必要がなく、一体化射出成型の方式によって、インナーハウジング30内に直接に成形され、相手側機構における高圧インタロック構造とマッチングして接続されて、低圧監視回路を構成することができる。本実施例におけるシールド付き接続機構が意外に遮断された場合、インタロック接続機構13と高圧インタロック構造との接続も同時に遮断されるようになり、低圧監視回路から中央制御システムへと警告が報知され、自動車が急に動力を失ってしまったことで損傷を受けないように制御することが可能である。
【0130】
一実施形態では、接地端子21は、第2固定部211と、相手挿着部222と、を含み、第2固定部211は、保護導体20と電気的に接続され、相手挿着部212は、筒状または柱状のものである。第2固定部211は、保護導体20の導電部分と電気的に接続されることで、回路の導通が実現される。相手挿着部212は、筒状または柱状であってもよい。相手として接続機構と挿着される電力装置にも端子が設けられ、端子の先端は、柱状または筒状であってもよい。図5図6に示されるように、柱状の端子と筒状の端子は互いに相手として挿着されることで、回路における接続を挿抜可能な接続にすることができる。
【0131】
さらに、第2固定部111と保護導体20の導電部分との接続は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係着、接合及び圧着のうちの1つまたは複数の接続方式が用いられる。ここは、第1固定部111と機能ケーブル10との接続方式と同様である。
【0132】
一実施形態では、相手挿着部212は、柱状のものであり、相手挿着部212は、少なくとも一部が前記インナーハウジング30から突出し、又は、インナーハウジング30は、凹溝を有し、相手挿着部212は、少なくとも一部が凹溝の底面から突出しているが、インナーハウジング30を超えていない。図5に示されるように、相手挿着部212は、インナーハウジング30から突出し、挿着される相手である電力装置における凹んだ接地端子21と挿着されて電気的に接続されることができる。或いは、インナーハウジング30が凹溝を有し、相手挿着部212が凹溝の底面から突出し、挿着される相手である電力装置には、突出した接地端子21が設けられ、接地端子21が凹溝内における相手挿着部212と挿着されて、電気的に接続されることができる。
【0133】
一実施形態では、相手挿着部212は、筒状のものであり、相手挿着部212は、少なくとも一部がインナーハウジング30の外壁から突出し、又は、インナーハウジング30には、開口ボスが設けられ、相手挿着部212は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている。図6に示されるように、相手挿着部222は、インナーハウジング30の外壁から突出し、挿着される相手である電力装置における凹んだ接地端子21と挿着されて電気的に接続されることができる。或いは、インナーハウジング30が開口ボスを有し、相手挿着部212が開口ボス内にあり、挿着される相手である電力装置には、突出した接地端子21が設けられ、開口ボス内における相手挿着部212と挿着されて電気的に接続されることができる。
【0134】
一実施形態では、インナーハウジング30は、少なくとも、第2固定部211と保護導体20の導電部分との外周に一体化して射出成形され、絶縁機能を発揮する。一体化射出成形方式によれば、インナーハウジング30を、少なくとも、第2固定部211と保護導体21の導電部分との外周に直接に成形することができ、接地端子21と保護導体20の導電部分が外界における他の導体と接続されて短絡されてしまうことがないように確保される。
【0135】
一実施形態では、保護シールドケース40は、少なくとも、第2固定部211および/又は保護導体20の導電部分の外周を包んでおり、前記保護シールドケース40は、第2固定部211及び/又は保護導体20の導電部分と電気的に接続される。
【0136】
本発明における保護シールドケース40は、機能ケーブルシールド網と電気的に接続されるほか、保護導体20または接地端子にも電気的に接続されるので、二重接地が確保され、機能ケーブルシールド網による接地が失敗したとしても、保護導体20による接地が可能であり、シールドされた電流の流出をスムーズにガイドすることができ、電磁シールドの干渉が低減される。
【0137】
一実施形態では、接続機構は、密封構造を有し、前記密封構造は、前記インナーハウジング30及び/又は前記保護シールドケース40に二次射出成形されたものである。密封構造によれば、接続機構と挿着される相手である電力装置との接続をさらに緊密にさせることができます。接続機構の密封構造は、個別的に取り付けられる密封リングではなく、従来の密封リングの代わりに、二次射出成形された構造が用いられ、接続機構に直接に成形されることができ、射出成形による結合性がさらに良好なものとなり、コストが低減される。
【0138】
一実施形態では、前記接続機構は、密封構造を有し、前記密封構造は、前記外絶縁ケース50に二次射出成形されたものである。密封構造によれば、接続機構と相手挿着される電力装置との接続をさらに緊密にさせることができます。
【0139】
さらに、前記密封構造の材質は、ゴム又は軟質ゴム又はシリコーンゴムである。それらの材料が用いられることで、射出成形機によって、材料を加熱して溶融し、対応する金型に射出し成形させることができ、加工が簡素化され、強固に粘結されることが可能であり、密封構造30の使用寿命を最大限に延ばすことができる。また、それらの材料は、良好な弾性を有するため、接続機構の組立時に押さえられて変形して、隙間に充填されることができ、良好な密封性能を発揮できる。しかも、材料は、耐水耐油のものであり、密封構造の使用寿命が長く、密封性能が安定したことを確保することができる。
【0140】
密封構造とインナーハウジング30及び/又は保護シールドケース40との最大隙間が520nm未満である。
【0141】
各密封構造と隣接する機器との隙間の大きさによる密封レベルへの影響を検証するために、発明者は、ドライエア法により、密封装置をテストした。真空吸引または空気加圧によって、測定される試料の内外圧力を異なるように制御し、漏れがある場合、内外圧力の差が小さくなる。空気圧力の変化を検出することによって、密封性を検出することができる。検出用の媒体は、ドライエアであって、無毒無害のものであり、測定される物品を破壊するものではない。同時に、検出環境は、清潔なものである。インナーハウジング30に設置された密封構造を検出する場合を例にすると、発明者は、インナーハウジング30と保護シールドケース40とが接続された後の他の接続箇所を完全に密閉させ、密封程度が異なる密封構造を選択し、密封構造におけるドライエアの一部を吸引して、密封構造内の気圧が外部気圧よりも低いようにするとともに、密封構造の内部気圧を持続的に検出し、気圧が高くなる場合を不合格とする。テスト結果を表5に示す。
【0142】
表5、密封構造とインナーハウジング30及び/又は保護シールドケース40との最大隙間による気圧変化への影響
【表5】
表5から分かるように、密封構造とインナーハウジング30及び/又は保護シールドケース40との最大隙間が520nm超過である場合、気圧が変化するようになり、気体が密封構造に入り込んだことが示され、テストの結果が不合格となる。そのため、発明者は、密封構造とインナーハウジング30及び/又は保護シールドケース40との最大隙間が520nm以上であるように選択する。
【0143】
一実施形態では、接続機構は、挿着端子11及び/又は接地端子21の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定部品を有する。温度測定部品は、挿着端子11及び/又は接地端子21と一定の距離を有し、挿着端子11及び/又は接地端子21による熱放射を、温度測定部品に伝達させ、温度測定部品によって、挿着端子11及び/又は接地端子21の温度を測定してもよい。又は、温度測定部品には、伝導素子が含まれ、伝導素子が挿着端子11及び/又は接地端子21と密着され、伝導素子によって伝達された温度から、挿着端子11及び/又は接地端子21の温度を測定して、制御システムに伝達し、挿着端子11及び/又は接地端子21を流れる電流を調整することで、接続機構10の温度を調整する。
【0144】
さらに、温度測定部品は、挿着端子11及び/又は接地端子21と密着され、温度測定部品は、温度センサであって、挿着端子11及び/又は接地端子21に直接に密着されて、挿着端子11及び/又は接地端子21の実際な温度を直接に取得することができる。算出することにより挿着端子11及び/又は接地端子21の実際な温度を取得する必要がなく、構造が簡単で、温度測定がさらに正確に行われることが可能である。
【0145】
温度センサは、NTC温度センサまたはPTC温度センサである。その2種類の温度センサが用いられると、以下のような利点が考えられる。体積が小さいので、他の温度計によって測定できない隙間まで測定できるようになる。使用が便利なもので、抵抗値が0.1~100kΩの範囲から任意に選択されてもよい。複雑な形状を有するものに加工されやすいので、大量生産が可能となり、安定性が良く、過負荷能力が強いので、変換アダプタのような、小体積および安定した性能が求められる製品に適する。
【0146】
温度測定部品が用いられることで、接続機構の内部における端子の温度を個別的に監視することができ、他の位置における温度センサの損傷に起因して接続機構の温度に対する監視ができなくなることが避けられる。
【0147】
一実施形態では、挿着端子11及び/又は接地端子21の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、錫、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウムのうちの1つまたは複数を含む。
【0148】
異なる材質による挿着端子11又は接地端子21の導電率への影響を検証するために、発明者は、接地端子21を例にして、同じ仕様及び寸法を有するが、材質が異なる材料で製造された接地端子11の試料を用いて、接地端子21の導電率をそれぞれ、テストした。実験結果を表6に示す。本実施例では、接地端子21の導電率が99%超過であることが理想的である。
【0149】
表6 異なる材質による接地端子21の導電率への影響
【表6】
表6から分かるように、選択された金属材質で製造された接地端子21は、その導電率がいずれも、理想値の範囲内にある。また、リンは、非金属材料であり、金属インサートの材質として直接に使用されることができないが、他の金属に添加されて合金を形成することで、金属そのものの導電性能および機械性能を向上させることができる。そのため、発明者は、接地端子21の材質が、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、錫、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウムのうちの1つまたは複数を含むように設定する。
【0150】
一実施形態では、機能ケーブル10または保護導体20の導電部分の材質は、アルミニウム、リン、錫、銅、鉄、マンガン、クロム、チタン及びリチウムのうちの1つまたは複数を含む。
【0151】
異なる材質による機能ケーブル10または保護導体20の導電率への影響を検証するために、発明者は、機能ケーブル10を例にして、同じ仕様及び寸法を有するが、材質が異なる材料で製造された機能ケーブル10の試料を用いて、機能ケーブル10の導電率をそれぞれ、テストした。実験結果を表7に示す。本実施例では、機能ケーブル10の導電率が99%超過であることが理想的である。
【0152】
表7異なる材質による機能ケーブル10の導電率への影響
【表7】
表7から分かるように、発明者によって選択された金属材質で製造された機能ケーブル10は、その導電率がいずれも、理想値の範囲内にあるが、他の幾つかの材料が要求を満足できない。また、リンは、非金属材料であり、機能ケーブル10の材質として直接に使用されることができないが、他の金属に添加されて合金を形成することで、金属そのものの導電性能および機械性能を向上させることができる。そのため、発明者は、機能ケーブル10または保護導体20の導電部分の材質は、アルミニウム、リン、錫、銅、鉄、マンガン、クロム、チタン及びリチウムのうちの1つまたは複数を含むように設定する。
【0153】
しかも、機能ケーブル10または保護導体20の材質は、アルミニウムを含む(又はアルミニウムである)。機能ケーブル10または保護導体20の材質は、アルミニウムである場合、機能ケーブル10または保護導体20は、充電アルミニウム線となる。アルミニウム線は、電気的性能が優れており、その密度が銅密度の1/3であり、重さの面では、銅製ハーネスよりも軽いほか、コストの面でも銅よりも低い。
【0154】
一実施形態では、接続機構は、重量が272g以下である。接続機構の重量が大きすぎると、接続機構が受けた重力も大きいので、電力装置に振動現象が生じた場合、接続機構全体がそれに伴って振動するようになる。その場合、慣性作用で、接続機構は、大きく振動することとなり、異常音を発することもある。しかし、電力装置の使用中に、異常音の発生が許されない。
【0155】
接続機構の重量による接続機構の異常音の発生への影響を検証するために、発明者は、異なる重量を有する接続機構の試料を用いて、挿着される電力装置と組み合わせてから、振動試験台に取り付け、振動試験を行い、振動試験の過程において、接続機構が異常音を発生させるか否かを観察する。テストの結果を表8に示す。
【0156】
表8 接続機構の重量による接続機構の異常音の発生への影響
【表8】
表8から分かるように、接続機構の重量が272g超過である場合、振動試験の過程において、接続機構が異常音を発生させるので、テストの結果が不合格となる。そのため、発明者は、接続機構の重量が272g以下であるように選択する。
【0157】
一実施形態では、接続機構は、挿抜方向における高度が274mm以下である。接続機構が電力装置に取り付けられる必要があるが、一般的には、電力装置における予め保留される空間が比較的に小さいので、接続機構の高度が高い場合、一方では、電力装置に取り付けられることができないが、他方では、原材料が無駄になってしまう場合もある。そのため、接続機構は、設計時、一定の高さよりも低いように設計される必要がある。
【0158】
接続機構の挿抜方向における高度による接続機構の取付けへの影響を検証するために、発明者は、挿抜方向における高度が異なる接続機構の試料を用いて、組み立てて、電力装置に取り付ける。取り付けの過程において、接続機構が電力装置における他の部品と干渉してしまうか否かを観察する。テストの結果を表9に示す。
【0159】
表9 接続機構の挿抜方向における高度による接続機構の取付けへの影響
【表9】
表9から分かるように、接続機構は、挿抜方向における高度が274mm超過である場合、電力装置における指定される位置へ取り付けらことができなく、テストの結果が不合格となる。そのため、発明者は、接続機構は、挿抜方向における高度が274mm以下であるように設定する。
【0160】
一実施形態では、挿着端子11及び/又は接地端子21の表面の少なくとも一部には、導電防食層が設けられている。
【0161】
挿着端子11および接地端子21の材質は、相手側端子の材質と一致しない場合、両者間の導電により、電位差の存在で、ガルバニック腐食が生じてしまい、挿着端子11および接地端子21の使用寿命が短くなる。そのようなガルバニック腐食の発生を低減するために、挿着端子11および接地端子21の表面の少なくとも一部に、導電防食層が設けられてもよい。導電防食層の材質として、その電位が挿着端子11および接地端子21の材質の電位と相手側端子の材質の電位の間にある金属材料が用いられてもよい。そうすると、挿着端子11および接地端子21と相手側端子とを絶縁することができ、ガルバニック腐食の発生を緩和し、挿着端子11および接地端子21の使用寿命を延ばすことができる。
【0162】
さらに、導電防食層は、電解メッキ、無電解メッキ、マグネトロンスパッタリング、真空メッキ、圧力溶接、拡散溶接、摩擦溶接、抵抗溶接、超音波溶接、および、レーザー溶接という方式のうちの1つまたは複数方式によって、挿着端子11および/または接地端子21の少なくとも一部の表面に付着される。
【0163】
電解メッキ方式とは、電解原理により、幾つかの金属の表面において、他の金属又は合金を薄く1層めっきするプロセスである。
【0164】
無電解メッキ方式とは、金属による触媒作用下で、制御可能な酸化還元反応により、金属を堆積させるプロセスである。
【0165】
マグネトロンスパッタリング方式とは、磁界と電界の交互作用により、電子をターゲット表面近傍で螺旋状に運動させることにより、電子がアルゴンガスに衝突してイオンを発生させる確率を増大させ、発生されたイオンが、電界による作用で、ターゲット面に衝突してターゲットからスパッタリングされる方式である。
【0166】
真空メッキ方式とは、真空条件下で、蒸留又はスパッタリングなどの方式により、プラスチック材の表面において、各種の金属及び非金属薄膜を堆積させることである。
【0167】
圧力溶接方式とは、溶接部材に対して圧力を印加することによって、接合面を緊密に接触させて一定の塑性変形を発生させて溶接を完成する方法である。
【0168】
摩擦溶接方式とは、ワークの接触面上の摩擦によって生じた熱量を熱源として、ワークを圧力による作用で塑性変形させて溶接する方法である。
【0169】
抵抗溶接方式とは、強い電流が電極とワークの間の接触点を流れることにより、接触抵抗が熱量を発して溶接を実現させる方法である。
【0170】
超音波溶接方式とは、高周波振動波を2つの溶接対象となる物体の表面へ伝達して、加圧される場合、2つの物体の表面を互いに摩擦させて分子層間の融合を形成することである。
【0171】
レーザー溶接方式とは、高密度なエネルギーを有するレーザビームを熱源とする高効率な精密溶接方法である。
【0172】
拡散溶接方式とは、ワークを高温で加圧するが、目で見える変形や相対的移動がないようにする固体溶接方法である。以上の複数の方式の何れかまたはそれらの組み合わせが用いられたことで、導電防食層を、挿着端子11及び/又は接地端子21の少なくとも一部の表面に安定的に設置することができる。
【0173】
一実施形態では、導電防食層の厚さが0.3μm~3000μmである。
【0174】
一実施形態では、導電防食層の厚さが2.5μm~1000μmである。
【0175】
導電防食層の異なる厚さによる電圧降下への影響をテストするために、発明者は、同じ材質及び構造を有する挿着端子11および接地端子21を用いて、挿着端子11および接地端子21の少なくとも一部の表面に、異なる厚さを有する導電防食層を配置し、その後、挿着端子11および接地端子21と相手側端子とが挿着された後の電圧降下をテストする。その結果を表10に示す。
【0176】
本実施例では、挿着端子11および接地端子21と相手側端子とが挿着された後の電圧降下が4mV超過である場合を不合格とする。
【0177】
表10 導電防食層の異なる厚さによる電圧降下(mV)への影響
【表10】
上表10におけるデータから分かるように、導電防食層の厚さが3000μm超過である場合及び0.3μm未満である場合に、挿着端子11および接地端子21と相手側端子とが挿着された後の挿着構造の電圧降下が4mV超過となり、求められる値を満足しない。そのため、発明者は、導電防食層の厚さが0.3μm~3000μmであるように選択した。ここで、導電防食層の厚さが2.5μm~1000μmという範囲内にある場合に、挿着端子11および接地端子21と相手側端子とが挿着される挿着構造の電圧降下が最適値となる。そのため、発明者は、好ましく、導電防食層の厚さが2.5μm~1000μmであるように選択した。
【0178】
一実施形態では、導電防食層の材質は、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、錫、チタン、クロム、金、銀、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む。
【0179】
好ましくは、導電防食層の材質の電位は、挿着端子11および接地端子21の材質の電位と、相手側端子の材質の電位の間にある。そのような方案は、挿着端子11および接地端子21と相手側端子とが挿着された後のガルバニック腐食の発生を低減することができる。
【0180】
以下は、同様に、挿着端子11および接地端子21を例にする。挿着端子11および接地端子21には、導電防食層が設置された。導電防食層の材質の異なりによる挿着端子11および接地端子21の性能への影響を検証するために、発明者は、同じ仕様および材質を有するが、導電防食層の材質が異なる挿着端子11および接地端子21を用いて、一連の耐腐食性時間テストを行った。実験の結果を表11に示す。
【0181】
表11における耐腐食性時間テストは以下のように行われる。挿着端子11および接地端子21の試料を塩水噴霧試験箱内に置いて、挿着端子11および接地端子21における各位置に対して塩水噴霧を行い、20時間おきに挿着端子11および接地端子21を取り出して表面の腐食状況を観察する。そのような一系列の操作を1サイクルとする。そして、挿着端子11および接地端子21の試料の表面における腐食面積が総面積の10%超過となったときに、テストを終了させて、そのときのサイクル数を記録する。本実施例では、サイクル数が80回よりも小さい場合を不合格とする。
【0182】
表11 導電防食層の材質の異なりによる挿着端子11および接地端子21の試料の耐腐食性への影響
【表11】
表11から分かるように、導電防食層の材質は、汎用的な金属錫、ニッケル、亜鉛を含む場合、その実験の結果が選定された他の金属の場合よりもはるかに劣る。選定された他の金属の実験結果は、標準値よりも大きく超えたので、性能の面では、比較的安定したことが明らかになった。そのため、発明者は、導電防食層の材質は、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、錫、チタン、クロム、金、銀、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む(又はである)ように選択した。また、より好ましくは、導電防食層の材質は、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、チタン、クロム、金、銀、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀、銀金ジルコニウム合金のうちの1つまたは複数を含む(又はである)ように選択する。
【0183】
一実施形態では、保護導体20の導電部分は、接地端子21と一体成形される。保護導体20の導電部分と接地端子21は、同じ材料で製造されてもよい。すなわち、保護導体20の導電部分は、延伸して接地端子21として成形されてもよい。そうすると、接地端子21を使用する必要がなく、材料コストを低減し、加工工数を削減するとともに、保護導体20の導電部分の先端を、要求に応じて、複数の形状に成形させることができ、組立上の課題を考慮する必要がない。
【0184】
一実施形態では、機能ケーブル10の導電部分は、挿着端子11と一体成形される。機能ケーブル10の導電部分と挿着端子11は、同じ材料で製造されてもよい。すなわち、機能ケーブル10の導電部分は、延伸して挿着端子11として成形されてもよい。そうすると、挿着端子11を使用する必要がなく、材料コストを低減し、加工工数を削減するとともに、機能ケーブル10の導電部分の先端を、要求に応じて、複数の形状に成形させることができ、組立上の課題を考慮する必要がない。
【0185】
本発明は、上述したようなシールド付き接続機構を備えた送電装置をさらに開示している。
【0186】
本発明は、上述したようなシールド付き接続機構および上述した送電装置とを備えた自動車をさらに開示している。
【0187】
本発明におけるシールド付き接続機構には、機能ケーブル及び挿着端子と一体化して射出成形されるインナーハウジングが設けられることで、加工が簡単で、シールド用の金属ハウジングよりもコストがはるかに低い。シールド付き接続機構と相手側接続機構との挿着係合、および、シールド付き接続機構と機能ケーブルシールド網及び保護導体との電気的接続により、接続機構の内部における電磁干渉を効果的にシールドすることができ、他の機器に対する電磁干渉の発生が低減される。
【0188】
本発明における保護シールドケースと機能ケーブルシールド網との接続は、複数の方式によって行われることが可能であるので、保護シールドケースとシールド網とを安定的かつ効果的に接続することができ、良好なシールド効果が得られる。
【0189】
本発明における保護シールドケースは、機能ケーブルシールド網と電気的に接続されるほか、保護導体または接地端子にも電気的に接続されるので、二重接地が確保され、機能ケーブルシールド網による接地が失敗したとしても、保護導体による接地が可能であり、シールドされる電流の流出をスムーズにガイドすることができ、電磁シールドの干渉が低減される。
【0190】
嵌め込み型高圧インタロック構造は、従来の組立型高圧インタロック構造の代わりに用いられ、接続機構に一体化して射出成形されて固定されるので、組立が不要となり、コストの低減を図り、高圧インタロックの効果が十分に得られる。
【0191】
接続機構の密封構造は、個別的に取り付けられる密封リングではなく、従来の密封リングの代わりに、二次射出成形される構造が用いられ、接続機構に直接に成形されることができ、射出成形による結合性がさらに良好なものとなり、コストが低減された。
【0192】
温度測定部品が用いられることで、接続機構の内部における端子の温度を個別的に監視することができ、他の位置における温度センサの損傷に起因して接続機構の温度に対する監視ができなくなることが避けられる。
【0193】
以上に説明の内容は、本発明の幾つかの実施例に過ぎない。当業者は、出願文書に開示の内容に基づき、本発明の精神や範囲から逸脱しない限り、本発明の実施例に対する種々の変更や変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0194】
10 機能ケーブル
11 挿着端子
12 シールド層
111 第1固定部
112 挿着部
101 線芯
102 絶縁層
13 インタロック接続機構
20 保護導体
21 接地端子
211 第2固定部
212 相手挿着部
30 インナーハウジング
40 保護シールドケース
41 シールド装置
42 導電弾性片
50 外絶縁ケース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】