(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】フラットリボン式接続機構、電気エネルギー伝送装置および自動車
(51)【国際特許分類】
H01R 12/78 20110101AFI20240905BHJP
【FI】
H01R12/78
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514738
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2022123135
(87)【国際公開番号】W WO2023051763
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111167060.9
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122400678.7
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA21
5E223AA28
5E223AB11
5E223AB59
5E223AC21
5E223BA78
5E223BB12
5E223CA15
5E223CC15
5E223DA05
(57)【要約】
フラットリボン式接続機構、電気エネルギー伝送装置および自動車であって、フラットリボン式接続機構は、雄端接続機構(10)と、雌端接続機構(20)と、を含み、雄端接続機構は、フラットリボン(11)と、フラット式端子(113)と、フラットリボンおよびフラット式端子に接続された雄端ハウジング(12)とを含み、雌端接続機構は、ダブルフラットリボン(21)と、クランプ端子(213)と、ダブルフラットリボンおよびクランプ端子に接続された雌端ハウジング(22)とを含み、雄端接続機構と雌端接続機構は、フラット式端子がクランプ端子に電気的に接続され、雄端ハウジングが雌端ハウジングに組み立てられて接続されることによって、フラットリボン式接続機構を形成する。フラットリボンを積層して設置するとともに、適切な間隔を設けることによって、フラットリボンに通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減することができ、これによって、高圧充電ヤハーネスのシールド層構造をなくし、コストを低減し、重量を軽減する目的を達成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端接続機構と雌端接続機構とを含むフラットリボン式接続機構において、
前記雄端接続機構は、フラットリボンと、フラット式端子と、前記フラットリボンおよび前記フラット式端子に接続された雄端ハウジングとを含み、前記雌端接続機構は、ダブルフラットリボンと、クランプ端子と、前記ダブルフラットリボンおよび前記クランプ端子に接続された雌端ハウジングとを含み、前記雄端接続機構および前記雌端接続機構は、前記フラット式端子が前記クランプ端子に電気的に接続され、前記雄端ハウジングが前記雌端ハウジングに接続されることによって、前記フラットリボン式接続機構を形成する
ことを特徴とするフラットリボン式接続機構。
【請求項2】
前記フラットリボンの横断面のアスペクト比は、1:1~120:1である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項3】
前記ダブルフラットリボンの横断面のアスペクト比は、1:1~120:1である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項4】
前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、前記雄端ハウジングは、前記フラットリボンの少なくとも一部および/または前記フラット式端子の少なくとも一部の間および/または外周に一体射出成形されて絶縁構造を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項5】
前記フラットリボンは、第1の平角線コアと第1の外部絶縁層とを含み、前記第1の外部絶縁層の一部が剥がされて前記第1の平角線コアを露出させ、前記第1の外部絶縁層の端部が前記雄端ハウジング内に位置し、または前記雄端ハウジングに当接する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項6】
前記フラットリボンは、硬さが8HV~105HVである第1の平角線コアを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項7】
前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コアを含み、2本の前記第1の平角線コアの間の垂直距離は27cm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項8】
前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コアを含み、2本の前記第1の平角線コアの間の垂直距離は7cm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項9】
前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コアを含み、2本の前記第1の平角線コアの積層方向に沿った重なり度は40%~100%である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項10】
前記フラットリボンは、先端が前記フラット式端子に接続される第1の平角線コアを含み、前記雄端ハウジングは、前記フラット式端子の少なくとも一部を被覆する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項11】
前記フラットリボンは、前記フラット式端子と一体構造の第1の平角線コアを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項12】
前記フラット式端子は、少なくとも一部が前記雄端ハウジングから突出し、または前記雄端ハウジングは収容キャビティを有し、前記フラット式端子は、少なくとも一部が前記収容キャビティの底面から突出するが、前記雄端ハウジングを超えない
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項13】
前記フラットリボンは、第1の平角線コアを含み、前記第1の平角線コアと前記フラット式端子との間に角度が0°~180°である第1の折り曲げ部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項14】
前記フラット式端子の少なくとも一部には、第1の過渡層が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項15】
前記第1の過渡層の厚さは0.3μm~3000μmである
ことを特徴とする請求項14に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項16】
前記第1の過渡層の厚さは2.5μm~1000μmである
ことを特徴とする請求項14に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項17】
前記フラット式端子の端部には、面取りが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項18】
前記雄端接続機構は、少なくとも一部が前記雄端ハウジング内に一体射出されるインターロックコネクタを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項19】
前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、前記雌端ハウジングは、少なくとも一部の前記ダブルフラットリボンおよび/または少なくとも一部の前記クランプ端子の間および/または外周に一体射出成形されて絶縁構造を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項20】
前記ダブルフラットリボンは、第2の平角線コアと第2の外部絶縁層とを含み、前記第2の外部絶縁層の一部が剥がされて前記第2の平角線コアを露出させ、前記第2の外部絶縁層の端部が前記雌端ハウジング内に位置し、または前記雌端ハウジングに当接する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項21】
前記ダブルフラットリボンは、硬度が8HV~105HVである第2の平角線コアを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項22】
前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コアを含み、2本の前記第2の平角線コアの間の垂直距離は27cm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項23】
前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コアを含み、2本の前記第2の平角線コアの間の垂直距離は7cm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項24】
前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コアを含み、2本の前記第2の平角線コアの積層方向に沿った重なり度は40%~100%である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項25】
前記ダブルフラットリボンは、2本の平角導体で重ねて接続された第2の平角線コアを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項26】
前記ダブルフラットリボンは、先端が前記クランプ端子に接続される第2の平角線コアを含み、前記雌端ハウジングは前記クランプ端子の少なくとも一部を被覆する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項27】
前記ダブルフラットリボンは、前記クランプ端子と一体構造の第2の平角線コアを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項28】
前記クランプ端子は、少なくとも一部が前記雌端ハウジングの外壁から突出し、または前記雌端ハウジングには、開口ボスが設けられており、前記クランプ端子は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項29】
前記ダブルフラットリボンは、第2の平角線コアを含み、前記第2の平角線コアの先端と前記クランプ端子との間に角度が0°~180°である第2の折り曲げ部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項30】
前記クランプ端子の少なくとも一部の表面には、第2の過渡層が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項31】
前記第2の過渡層の厚さは0.3μm~3000μmである
ことを特徴とする請求項30に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項32】
前記第2の過渡層の厚さは2.5μm~1000μmである
ことを特徴とする請求項30に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項33】
前記クランプ端子の先端には、開口した凹溝が設けられており、前記凹溝の開口側の幅は、前記凹溝の閉口側の幅よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項34】
前記クランプ端子には、材質が記憶合金であるクリップが外装されている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項35】
前記記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内に設定され、前記クリップの温度が該変態温度より低い状態では、前記クリップは、拡張状態になり、前記クリップの温度が該変態温度より高い状態では、前記クリップは締め付け状態になる
ことを特徴とする請求項34に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項36】
前記クランプ端子にはクリップが外装されており、前記クリップは側壁と前記側壁に固定された弾性ユニットとを含み、前記弾性ユニットは前記クランプ端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項37】
前記弾性ユニットが前記クランプ端子に付勢する力の範囲は3N~200Nである
ことを特徴とする請求項36に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項38】
前記弾性ユニットは、弾性ゴム体、ばねまたは金属弾性片である
ことを特徴とする請求項36に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項39】
前記雌端接続機構は、前記インターロックコネクタと電気的に接続されて回路を形成する高電圧インターロック構造を有する
ことを特徴とする請求項18に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項40】
前記雌端接続機構および/または前記雄端接続機構は、封止構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項41】
前記封止構造は、前記雌端ハウジングおよび/または前記雄端ハウジングに二次射出成形されたものである
ことを特徴とする請求項40に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項42】
前記雌端接続機構は、前記ダブルフラットリボンおよび/または前記クランプ端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項43】
前記雌端接続機構は、前記ダブルフラットリボンおよび/または前記クランプ端子にあてがわれ、前記ダブルフラットリボンおよび/または前記クランプ端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項44】
前記雌端接続機構は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、前記温度測定構造が前記ダブルフラットリボンの間に位置し、前記ダブルフラットリボンの温度を測定するために用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項45】
前記雄端接続機構は、前記フラットリボンおよび/または前記フラット式端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項46】
前記雄端接続機構は、前記フラットリボンおよび/または前記フラット式端子にあてがわれ、前記フラットリボンおよび/または前記フラット式端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項47】
前記雄端接続機構は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記温度測定構造が前記フラットリボンの間に位置し、前記フラットリボンの温度を測定するために用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項48】
前記雄端接続機構と前記雌端接続機構は、接着接続、磁気吸引接続、バヨネット接続、挿着接続、バックル接続、結束接続、ねじ接続、リベット接続および溶接接続のうちの1種または複数種で接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項49】
前記フラット式端子と前記クランプ端子との間の挿着力は3N~150Nである
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項50】
前記フラット式端子と前記クランプ端子との間の挿着力は10N~130Nである
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項51】
前記フラット式端子と前記クランプ端子との間の接触抵抗は9mΩ未満である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項52】
前記フラット式端子と前記クランプ端子との間の接触抵抗は1mΩ未満である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項53】
前記雄端接続機構と前記雌端接続機構との間の挿抜回数は9回以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項54】
前記雄端接続機構の重量は305g以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項55】
前記雄端接続機構の挿抜方向に沿った高さは208mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン式接続機構。
【請求項56】
請求項1~55のいずれか1項に記載のフラットリボン式接続機構を含む
ことを特徴とする電気エネルギー伝送装置。
【請求項57】
請求項1~55のいずれか1項に記載のフラットリボン式接続機構を含む
ことを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年10月01日に提出された、出願番号が202111167060.9であり、発明名称が「フラットリボン式接続機構、電気エネルギー伝送装置および自動車」である中国特許の優先権を享受することを要求し、該特許の全ての内容は、ここで全て援用されている。本願は、2021年10月01日に提出された、出願番号が202122400678.7であり、実用新案の名称が「フラットリボン式接続機構、電気エネルギー伝送装置および自動車」である中国実用新案の優先権を享受することをさらに要求し、該実用新案の全ての内容はここで全て援用されている。
【0002】
本願は、充電の技術分野に関し、特に、フラットリボン式接続機構、電気エネルギー伝送装置および自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー自動車の新エネルギー電池は、充電システムを用いてエネルギーを補充する。充電システムには、充電インレット以外に、電池システムに接続される高電圧フラットリボン式接続機構もあり、充電ヤハーネスは、電気自動車の高電圧システムにおける最も重要なユニットであり、従来の充電ヤハーネスは、充電ケーブルとして銅線を採用し、銅線の末端が挿着端子に接続され、電池システムに電気的に接続される。従来の高電圧フラットリボン式接続機構は、いずれも組立構造のコネクタであり、構造が複雑であり、組み立てが困難であり、コネクタのコストが高いなどの問題を有し、また、ケーブルと端子の銅材料の使用量が多く、接続加工が複雑であり、高電圧フラットリボン式接続機構がコストダウンし難い原因でもある。
【0004】
大電流が高電圧充電ヤハーネスを通過する場合、他の部品に電磁干渉を発生し、このような電磁干渉を回避するために、高電圧充電ヤハーネスの外側にシールド層を追加する必要があり、このような高電圧充電ヤハーネスをシールドすることは、そのコストおよび重量を著しく増加させる。
【0005】
また、一般的に、充電システムは、いずれも充電インレットに温度測定構造が取り付けられ、フラットリボン式接続機構に設けられていないが、導通電流は同様であり、フラットリボン式接続機構の温度が上昇した場合、充電ヤハーネスおよび電池システムの安全を保護するために、同様に監視して充電作業をタイムリーに停止する必要がある。
【0006】
電気自動車の市場の拡大に伴い、充電システムでは、構造が簡単で、コストメリットを有するフラットリボン式接続機構および電気エネルギー伝送装置は切に求められている。
【発明の概要】
【0007】
本願は、フラットリボン式接続機構を提供することを目的とし、該フラットリボン式接続機構は、フラットリボンを積層して設置するとともに、適切な間隔を設けることによって、フラットリボンに通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減することができ、これによって、高電圧充電ヤハーネスのシールド層構造をなくし、コストを低減し、重量を軽減する目的を達成する。
【0008】
本願の上記目的は、以下の技術的解決手段によって実現することができる。
【0009】
本願は、フラットリボン式接続機構を提供し、該フラットリボン式接続機構は、雄端接続機構と雌端接続機構とを含み、前記雄端接続機構は、フラットリボンと、フラット式端子と、前記フラットリボンおよび前記フラット式端子に接続された雄端ハウジングとを含み、前記雌端接続機構は、ダブルフラットリボンと、クランプ端子と、前記ダブルフラットリボンおよび前記クランプ端子に接続された雌端ハウジングとを含み、前記雄端接続機構および前記雌端接続機構は、前記フラット式端子が前記クランプ端子に電気的に接続され、前記雄端ハウジングが前記雌端ハウジングに接続されることによって、前記フラットリボン式接続機構を形成する。
【0010】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンの横断面のアスペクト比は、1:1~120:1である。
【0011】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンの横断面のアスペクト比は、1:1~120:1である。
【0012】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、前記雄端ハウジングは、前記フラットリボンの少なくとも一部および/または前記フラット式端子の少なくとも一部の間および/または外周に一体射出成形されて絶縁構造を形成する。
【0013】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、第1の平角線コアと第1の外部絶縁層とを含み、前記第1の外部絶縁層の一部が剥がされて前記第1の平角線コアを露出させ、前記第1の外部絶縁層の端部が前記雄端ハウジング内に位置し、または前記雄端ハウジングに当接する。
【0014】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、硬さが8HV~105HVである第1の平角線コアを含む。
【0015】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コアを含み、2本の前記第1の平角線コアの間の垂直距離は27cm以下である。
【0016】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コアを含み、2本の前記第1の平角線コアの間の垂直距離は7cm以下である。
【0017】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コアを含み、2本の前記第1の平角線コアの積層方向に沿った重なり度は40%~100%である。
【0018】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、先端が前記フラット式端子に接続される第1の平角線コアを含み、前記雄端ハウジングは、前記フラット式端子の少なくとも一部を被覆する。
【0019】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、前記フラット式端子と一体構造の第1の平角線コアを含む。
【0020】
好ましい実施形態において、前記フラット式端子は、少なくとも一部が前記雄端ハウジングから突出し、または前記雄端ハウジングは収容キャビティを有し、前記フラット式端子は、少なくとも一部が前記収容キャビティの底面から突出するが、前記雄端ハウジングを超えない。
【0021】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、第1の平角線コアを含み、前記第1の平角線コアと前記フラット式端子との間に角度が0°~180°である第1の折り曲げ部を含む。
【0022】
好ましい実施形態において、前記フラット式端子の少なくとも一部には、第1の過渡層が設けられている。
【0023】
好ましい実施形態において、前記第1の過渡層の厚さは0.3μm~3000μmである。
【0024】
好ましい実施形態において、前記第1の過渡層の厚さは2.5μm~1000μmである。
【0025】
好ましい実施形態において、前記フラット式端子の端部には、面取りが設けられている。
【0026】
好ましい実施形態において、前記雄端接続機構は、少なくとも一部が前記雄端ハウジング内に一体射出されるインターロックコネクタを含む。
【0027】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、前記雌端ハウジングは、少なくとも一部の前記ダブルフラットリボンおよび/または少なくとも一部の前記クランプ端子の間および/または外周に一体射出成形されて絶縁構造を形成する。
【0028】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、第2の平角線コアと第2の外部絶縁層とを含み、前記第2の外部絶縁層の一部が剥がされて前記第2の平角線コアを露出させ、前記第2の外部絶縁層の端部が前記雌端ハウジング内に位置し、または前記雌端ハウジングに当接する。
【0029】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、硬度が8HV~105HVである第2の平角線コアを含む。
【0030】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コアを含み、2本の前記第2の平角線コアの間の垂直距離は27cm以下である。
【0031】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コアを含み、2本の前記第2の平角線コアの間の垂直距離は7cm以下である。
【0032】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コアを含み、2本の前記第2の平角線コアの積層方向に沿った重なり度は40%~100%である。
【0033】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、2本の平角導体で重ねて接続された第2の平角線コアを含む。
【0034】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、先端が前記クランプ端子に接続される第2の平角線コアを含み、前記雌端ハウジングは前記クランプ端子の少なくとも一部を被覆する。
【0035】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、前記クランプ端子と一体構造の第2の平角線コアを含む。
【0036】
好ましい実施形態において、前記クランプ端子は、少なくとも一部が前記雌端ハウジングの外壁から突出し、または前記雌端ハウジングには、開口ボスが設けられており、前記クランプ端子は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている。
【0037】
好ましい実施形態において、前記ダブルフラットリボンは、第2の平角線コアを含み、前記第2の平角線コアの先端と前記クランプ端子との間に角度が0°~180°である第2の折り曲げ部を含む。
【0038】
好ましい実施形態において、前記クランプ端子の少なくとも一部の表面には、第2の過渡層が設けられている。
【0039】
好ましい実施形態において、前記第2の過渡層の厚さは0.3μm~3000μmである。
【0040】
好ましい実施形態において、前記第2の過渡層の厚さは2.5μm~1000μmである。
【0041】
好ましい実施形態において、前記クランプ端子の先端には、開口した凹溝が設けられており、前記凹溝の開口側の幅は、前記凹溝の閉口側の幅よりも大きい。
【0042】
好ましい実施形態において、前記クランプ端子には、材質が記憶合金であるクリップが外装されている。
【0043】
好ましい実施形態において、前記記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内に設定され、前記クリップの温度が該変態温度より低い状態では、前記クリップは、拡張状態になり、前記クリップの温度が該変態温度より高い状態では、前記クリップは締め付け状態になる。
【0044】
好ましい実施形態において、前記クランプ端子にはクリップが外装されており、前記クランプは側壁と前記側壁に固定された弾性ユニットとを含み、前記弾性ユニットは前記クランプ端子に接続されている。
【0045】
好ましい実施形態において、前記弾性ユニットが前記クランプ端子に付勢する力の範囲は3N~200Nである。
【0046】
好ましい実施形態において、前記弾性ユニットは、弾性ゴム体、ばねまたは金属弾性片である。
【0047】
好ましい実施形態において、前記雌端接続機構は、前記インターロックコネクタと電気的に接続されて回路を形成する高電圧インターロック構造を有する。
【0048】
好ましい実施形態において、前記雌端接続機構および/または前記雄端接続機構は、封止構造を有する。
【0049】
好ましい実施形態において、前記封止構造は、前記雌端ハウジングおよび/または前記雄端ハウジングに二次射出成形されたものである。
【0050】
好ましい実施形態において、前記雌端接続機構は、前記ダブルフラットリボンおよび/または前記クランプ端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。
【0051】
好ましい実施形態において、前記雌端接続機構は、前記ダブルフラットリボンおよび/または前記クランプ端子にあてがわれ、前記ダブルフラットリボンおよび/または前記クランプ端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。
【0052】
好ましい実施形態において、前記雌端接続機構は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、前記温度測定構造が前記ダブルフラットリボンの間に位置し、前記ダブルフラットリボンの温度を測定するために用いられる。
【0053】
好ましい実施形態において、前記雄端接続機構は、前記フラットリボンおよび/または前記フラット式端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。
【0054】
好ましい実施形態において、前記雄端接続機構は、前記フラットリボンおよび/または前記フラット式端子にあてがわれ、前記フラットリボンおよび/または前記フラット式端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。
【0055】
好ましい実施形態において、前記雄端接続機構は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記温度測定構造が前記フラットリボンの間に位置し、前記フラットリボンの温度を測定するために用いられる。
【0056】
好ましい実施形態において、前記雄端接続機構と前記雌端接続機構は、接着接続、磁気吸引接続、バヨネット接続、挿着接続、バックル接続、結束接続、ねじ接続、リベット接続および溶接接続のうちの1種または複数種で接続されている。
【0057】
好ましい実施形態において、前記フラット式端子と前記クランプ端子との間の挿着力は3N~150Nである。
【0058】
好ましい実施形態において、前記フラット式端子と前記クランプ端子との間の挿着力は10N~130Nである。
【0059】
好ましい実施形態において、前記フラット式端子と前記クランプ端子との間の接触抵抗は9mΩ未満である。
【0060】
好ましい実施形態において、前記フラット式端子と前記クランプ端子との間の接触抵抗は1mΩ未満である。
【0061】
好ましい実施形態において、前記雄端接続機構と前記雌端接続機構との間の挿抜回数は9回以上である。
【0062】
好ましい実施形態において、前記雄端接続機構の重量は305g以下である。
【0063】
好ましい実施形態において、前記雄端接続機構の挿抜方向に沿った高さは208mm以下である。
【0064】
上記のいずれかに記載のフラットリボン式接続機構を含む電気エネルギー伝送装置である。
【0065】
上記のいずれかに記載のフラットリボン式接続機構を含む自動車である。
【0066】
本願の特徴および利点は以下の通りである。
【0067】
1、本願に係るフラットリボン式接続機構には、射出成形された雄端ハウジングと雌端ハウジングとが設けられており、加工が簡単で、コストが低く、フラットリボンに直接射出されるとともに絶縁することができ、フラットリボンの取り付けコストを低減することができ、かつ、フラットリボンの先端を必要に応じて様々な形状に成形することができ、組み立ての問題を考慮する必要がなく、加工工程を節約し、加工コストを低減する。
【0068】
2、本願に係るフラットリボン式接続機構は、フラットリボンを積層して設置するとともに、適切な間隔を設けることによって、フラットリボンに通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減することができ、これによって、高電圧充電ヤハーネスのシールド層構造をなくし、コストを低減し、重量を軽減するニーズを満たす。
【0069】
3、フラット式端子とクランプ端子との接続において、過渡層は、フラットリボンのフラット式端子とクランプ端子との間に発生する電気化学反応を減少させ、フラットリボンが他の端子または受電装置に接続できるために銅端子を介する必要があるという技術的課題を解決している。
【0070】
4、フラットリボンとフラット式端子、ダブルフラットリボンとクランプ端子は、一体成形されることができ、フラット式端子とクランプ端子との接続により、フラットリボンとダブルフラットリボン自体が端子の機能を実現し、フラットリボンとダブルフラットリボンには、他の端子が接続される必要があることによるコストが高く、効率が低いという課題を解決し、安全で迅速な挿抜を実現することができる。
【0071】
5、クリップを採用してクランプ端子を締付けて固定することによって、クランプ端子からフラット式端子に付勢する圧力を増大させることができ、長時間の使用により、クランプ端子の挟持力が減少し、クランプ端子とフラット式端子との間の接触抵抗が増大し、導通電流が増大し、およびクランプ端子とフラット式端子の温度が上昇し、深刻な場合に燃焼事故を引き起こすことを回避する。
【0072】
6、クリップは記憶機能を帯び、変態温度以下である場合、クリップは、通常拡張状態であり、この場合、フラットリボンのフラット式端子は、挿入力がなくクランプ端子と接合することを実現でき、操作者が容易に受電機器を挿着することができる。動作中に、クランプ端子に電流を導通し、抵抗の作用により、クランプ端子とクリップの温度が徐々に上昇し、温度が変態温度以上に上昇すると、クリップが径方向に収縮し、温度の上昇により、クランプ端子とフラット式端子の接触面積及び接触力を増加させ、接触の信頼性を向上させ、挿入力への要求を省くため、作業がより楽になり、作業効率が向上する。
【0073】
7、組み込み式高電圧インターロック構造は、従来の組立式の高電圧インターロックの代わりに、一体射出で接続機構に固定され、組み立てを必要とせず、コストを低減し、高電圧インターロック効果を完全に満たす。
【0074】
8、接続機構の封止構造は、単独のシールリングを取り付けるものではなく、従来のシールリングの代わりに封止構造を二次射出するものを採用し、接続機構に直接成形することができ、射出の結合性がより良く、コストを低減する。
【0075】
温度測定機構を採用することによって、接続機構内部の端子温度を単独で監視することができ、他の位置の温度センサが破損して接続機構の温度を監視できなくなることを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
本願における技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、実施例の説明に使用される図面を簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本願に係るフラットリボン式接続機構の概略構造図である。
【
図2】本願に係るフラットリボンとダブルフラットリボンとの接続断面図である。
【
図3】本願に係るフラットリボンとダブルフラットリボンとの接続概略構造図である。
【
図4】本願に係る雄端接続機構の概略構造図である。
【
図5】本願に係るフラットリボンの概略構造図である。
【
図6】本願に係る雄端接続機構の概略構造図である。
【
図7】本願に係るダブルフラットリボンの概略構造図である。
【
図9】本願に係るインターロックコネクタの概略構造図である。
【
図10】本願に係る高電圧インターロックの概略構造図である。
【
図11】本願に係るフラットリボンとダブルフラットリボンの磁界の概略構造図である。
【
図12】本願に係るフラットリボンとダブルフラットリボンの磁界の概略構造図である。
【
図13】本願に係る
図1のフラットリボン式接続機構のA方向に沿った断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明瞭で完全に説明し、明らかに、説明された実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が進歩的な労働をしない前提で取得した他の全ての実施例は、いずれも本願の権利保護範囲に属する。
【0078】
一実施形態において、
図1~
図6に示すように、フラットリボン式接続機構は、雄端接続機構10と雌端接続機構20とを含み、雄端接続機構10は、フラットリボン11と、フラット式端子113と、フラットリボン11およびフラット式端子113に接続された雄端ハウジング12とを含み、雌端接続機構20は、ダブルフラットリボン21と、クランプ端子213と、ダブルフラットリボン21およびクランプ端子213に接続された雌端ハウジング22とを含み、雄端接続機構10および雌端接続機構20は、フラット式端子113がクランプ端子213に電気的に接続され、雄端ハウジング12が雌端ハウジング22に組み立てられて接続されることによって、フラットリボン式接続機構を形成する。
【0079】
フラットリボンを積層して設置するとともに、適切な間隔を設けることによって、フラットリボンに通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減することができ、これによって、高電圧充電ヤハーネスのシールド層構造をなくし、コストを低減し、重量を軽減するニーズを満たす。
【0080】
さらに、フラットリボン11またはダブルフラットリボン21は、放熱、組み立てのいずれにも大きな利点があり、フラットリボン11またはダブルフラットリボン21は、導電部分のアスペクト比が大きく、つまり、大きな平面が外部環境に接触するため、効果的な放熱を行うことができ、電流によるケーブルの温度上昇を迅速に低減し、ケーブルの寿命を延ばすことができる。また、ケーブルを組み立てる際に、取り付け環境の高さが不足する場合、フラットリボン11またはダブルフラットリボン21を採用して、ケーブルを敷設する高さを低減し、取り付け環境に効果的に密着して組み立てられて、取り付け空間への要求を低減し、空間利用率を向上させることができる。
【0081】
いくつかの実施例において、フラット式端子113およびクランプ端子213の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム、鉛のうちの1種または複数種を含む金属導電材料であり、これらの材料は、性質が安定し、且つ導電性が良く、好ましい材料は、銅または銅合金またはアルミニウムまたはアルミニウム合金を含む材料である。
【0082】
いくつかの実施例において、フラットリボン11およびダブルフラットリボン21の導電部分の材質は、アルミニウム、リン、スズ、銅、鉄、マンガン、クロム、チタンおよびリチウムのうちの1種または複数種を含み、ここに、フラットリボン11およびダブルフラットリボン21の導電部分の材質がアルミニウムまたはアルミニウム合金を含むことは、最近の省エネおよびコストダウンの主な手段の1つである。電気接続の分野では、いずれも銅導線を用いて電流を伝導し、銅の導電率が高く、延性が良い。しかし、銅価格の高騰に伴い、銅材料を導線の材料とすると、コストが高くなっている。そのため、コストを低減するために、人々は金属銅の代替品を探している。金属であるアルミニウムの地殻における含有量は約7.73%であり、精製技術が最適化された後、価格が比較的低くなり、且つアルミニウムは、銅に対して重量が軽く、導電率が銅に次いで、電気接続の分野において一部の銅を代替することができる。したがって、自動車の電気的接続分野では、アルミニウムで銅を代替することが発展のトレンドである。一実施形態において、フラットリボン11の横截面のアスペクト比は、1:1~120:1である。
【0083】
フラットリボン11の横截面のアスペクト比によるフラットリボン11の温度上昇と引張強度への影響を検証するために、発明者は、断面積規格が同じ、アスペクト比が異なるフラットリボン11のサンプルを選択し、フラットリボン11の温度上昇と引張強度を検証し、検証結果を表1に示す。
【0084】
フラットリボン11の温度上昇の検証方法について、該フラットリボン11に同一の電流を流し、閉じた環境で、通電前と温度が安定した後のフラットリボン11の同一の位置の温度を検出するとともに、温度の差を求めて絶対値にした。本実施例において、温度上昇が50Kよりも大きいものを不合格とする。
【0085】
フラットリボン11の引張強度の検証方法について、万能引張力試験機を用いて、フラットリボン11のサンプルの両端をそれぞれ万能引張力試験機の引張治具に固定するとともに、50mm/minの速度で引っ張り、最終的に破断する時の引張力の値を記録し、本実施例において、1600Nよりも大きい引張力の値を合格値とする。
【0086】
表1:フラットリボン11の横截面のアスペクト比によるフラットリボン11の温度上昇および引張強度への影響
【0087】
【0088】
上記の表1から分かるように、フラットリボン11の横断面のアスペクト比が1:1未満である場合、フラットリボン11の温度上昇が50Kよりも大きく、不合格であり、フラットリボン11の横断面のアスペクト比が1:1以上である場合、フラットリボン11の温度上昇が50Kよりも小さく、合格となり、且つ、状態がますますよくなり、なぜかというと、フラットリボン11の横断面のアスペクト比が大きいほど、フラットリボン11の放熱面積も大きくなり、同じ温度上昇である場合、放熱が良いフラットリボン11ほど、温度上昇値が低くなるためである。フラットリボン11の横断面のアスペクト比が120:1よりも大きい場合、フラットリボン11が薄すぎるため、フラットリボン11が引張力を受けた場合、薄すぎるフラットリボン11は、大きな引張力に耐えられずに破断され、この場合、フラットリボン11の引張強度の値は、合格の要求を満たさない。したがって、発明者は、フラットリボン11の横截面のアスペクト比を1:1~120:1として設定した。
【0089】
一実施形態において、ダブルフラットリボン21の横截面のアスペクト比は、1:1~120:1である。
【0090】
ダブルフラットリボン21の横断面のアスペクト比によるダブルフラットリボン21の温度上昇と引張強度への影響を検証するために、発明者は、断面積規格が同じ、アスペクト比が異なるダブルフラットリボン21のサンプルを選択し、ダブルフラットリボン21の温度上昇と引張強度を検証し、検証結果を表2に示す。
【0091】
ダブルフラットリボン21の温度上昇の検証方法について、該ダブルフラットリボン21に同一の電流を流し、閉じた環境で、通電前と温度が安定した後のダブルフラットリボン21の同一の位置の温度を検出するとともに、温度の差を求めて絶対値にした。本実施例において、温度上昇が50Kよりも大きいものを不合格とする。
【0092】
ダブルフラットリボン21の引張強度の検証方法について、万能引張力試験機を用いて、ダブルフラットリボン21のサンプルの両端をそれぞれ万能引張力試験機の引張治具に固定するとともに、50mm/minの速度で引っ張り、最終的に破断する時の引張力の値を記録し、本実施例において、1600Nよりも大きい引張力の値を合格値とする。
【0093】
表2:ダブルフラットリボン21の横截面のアスペクト比によるダブルフラットリボン21の温度上昇と引張強度への影響
【0094】
【0095】
上記の表2から分かるように、ダブルフラットリボン21の横截面のアスペクト比が1:1未満である場合、ダブルフラットリボン21の温度上昇が50Kよりも大きく、不合格であり、ダブルフラットリボン21の横截面のアスペクト比が1:1以上である場合、ダブルフラットリボン21の温度上昇が50Kよりも小さく、合格となり、且つ、状態がますますよくなり、なぜかというと、ダブルフラットリボン21の横截面のアスペクト比が大きいほど、ダブルフラットリボン21の放熱面積も大きくなり、同じ温度上昇である場合、放熱が良いダブルフラットリボン21ほど、温度上昇値が低くなるためである。ダブルフラットリボン21の横断面のアスペクト比が120:1よりも大きい場合、ダブルフラットリボン21が薄すぎるため、ダブルフラットリボン21が引張力を受けた場合、薄すぎるダブルフラットリボン21は、大きな引張力に耐えられず破断され、この場合、ダブルフラットリボン21の引張強度の値は、合格の要求を満たさない。したがって、発明者は、ダブルフラットリボン21の横断面のアスペクト比を1:1~120:1として設定した。
【0096】
一実施形態において、
図3に示すように、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、前記雄端ハウジングは、前記フラットリボンの少なくとも一部および/または前記フラット式端子の少なくとも一部の間および/または外周に一体射出成形されて絶縁構造を形成する。
【0097】
一般的な導電回路は、いずれも2本の回路で構成され、例えば、直流充電インレットには、直流正極充電ケーブルと直流負極充電ケーブルとがあり、交流充電インレットにも、交流ライブ充電ケーブルと交流ニュートラル充電ケーブルとがある。フラットリボン11は、上下に積み重ねられると、組立空間を効果的に利用することができ、かつ、電磁干渉を相殺する作用を有する。2本のフラットリボン11が上下に積み重ねられた後、射出金型により、雄端ハウジング12の素材をフラットリボン11および/またはフラット式端子113の少なくとも一部の間および外周に射出して、雄端ハウジング12を形成することによって、フラットリボン11とフラット式端子113とを良好に絶縁保護することができる。
【0098】
いくつかの実施例において、連通すべき回路が多い場合、フラットリボン11は、3本、4本または複数本であってもよく、異なる回路を接続する。
【0099】
本実施例におけるフラットリボン式接続機構には、射出成形された雄端ハウジング12が設けられており、加工が簡単で、コストが低く、フラットリボン11またはダブルフラットリボン21に直接射出されるとともに絶縁することができ、フラットリボン11またはダブルフラットリボン21の取り付けコストを低減することができ、かつ、フラットリボン11またはダブルフラットリボン21の先端を必要に応じて様々な形状に成形することができ、組み立ての問題を考慮する必要がなく、加工工程を節約し、加工コストを低減する。
【0100】
一実施形態において、
図2に示すように、フラットリボン11は、第1の外部絶縁層111と第1の平角線コア112とを含み、第1の外部絶縁層111の一部が剥がされて前記第1の平角線コア112を露出させ、第1の外部絶縁層111の端部が雄端ハウジング12内に位置し、または雄端ハウジング12に当接する。第1の平角線コア112は、フラットリボン11の導電部分であり、第1の外部絶縁層111は、フラットリボン11の絶縁部分であり、雄端ハウジング12を射出する前に、フラットリボン11の第1の外部絶縁層111の一部を剥がし、内部の第1の平角線コア112を露出させる必要があり、それから、フラット式端子113との接続および雄端ハウジング12の一体射出成形を行う。
【0101】
一実施形態において、フラットリボン11は、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コア112を含み、2本の第1の平角線コア112の間の垂直距離は27cm以下である。
【0102】
さらに、フラットリボン11は、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コア112を含み、2本の第1の平角線コア112の間の垂直距離は7cm以下である。
【0103】
フラットリボン11は、通電時に誘導磁界を発生し、該誘導磁界が外部への電磁干渉を発生し、従来技術における通常の解決手段は、フラットリボン11の外部に電磁シールド層を設けることである。シールド構造をなくし、コストを低減し、重量を軽減するために、本願は以下の設計を採用し、前記車両用電気エネルギー伝送システムは、積層して設置された2本のフラットリボン11を含む。
【0104】
2本のフラットリボン11が上下に積層して置かれると、発生した磁界は、
図11と
図12に示すとおりである。第1の平角線コア112が扁平構造であるため、その面積の最大部位でその磁界が最も強く、第1の平角線コア112を積層して置くことによって、2本の第1の平角線コア112の磁界を相殺することができ(2本の第1の平角線コア112における電流の大きさが同じで電流の方向が反対であるため、誘導磁界の強度が同じで方向が反対である)、これによって、第1の平角線コア112に通電する時の他の電気部品に対する電磁干渉を除去することができる。
【0105】
好ましくは、前記2本のフラットリボン11は、幅方向に互いに平行である。前記フラットリボン11は、互いに鏡像である。前記第1の平角線コア112の間の距離はHである。前記2本のフラットリボン11の積層方向は、
図11と
図12における上下方向である。
【0106】
前記2本のフラットリボン11の積層方向に沿った重なり度が100%である場合、前記第1の平角線コア112の間の距離Hによる磁界相殺への影響を表3に示す。
【0107】
磁場相殺百分率が30%よりも大きいものを合格とする。
【0108】
表3:2本のフラットリボン11の重なり度が100%である場合、第1の平角線コア112の間の距離Hによる磁界相殺への影響
【0109】
【0110】
ここに、前記重なり度は、前記2本のフラットリボン11の積層方向に沿った重なり面積が1本のフラットリボン11の面積を占める百分率を意味する。
【0111】
表3から分かるように、前記2本のフラットリボン11の積層方向に沿った重なり度が100%である場合、前記2本の第1の平角線コア112の距離Hが27cm以下である場合、磁界相殺百分率が合格であり、電磁干渉防止に一定の効果があり、さらに前記2本の第1の平角線コア112の間の垂直距離が7cm以下である場合、磁界を効果的に相殺でき、効果が明らかであるため、好ましくは、2本の第1の平角線コア112の間の距離Hを7cm以下に設定した。
【0112】
本実施例に係るフラットリボン接続機構は、フラットリボン11を積層して設置するとともに、適切な間隔を設けることによって、フラットリボン11に通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減することができ、これによって、高電圧充電ヤハーネスのシールド層構造をなくし、コストを低減し、重量を軽減するニーズを満たす。
【0113】
一実施形態において、フラットリボン11は、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第1の平角線コア112を含み、2本の第1の平角線コア112の積層方向に沿った重なり度は40%~100%である。
【0114】
フラットリボン11が上下に積層して置かれると、フラットリボン11が扁平構造であるために、その面積の最大部位でその磁界が最も強く、フラットリボン11を積層して置くことによって、正負極に充電してフラットリボン11の磁界を相殺することができ、これによって、フラットリボン11に通電する時の他の電気部品に対する電磁干渉を除去することができる。
【0115】
フラットリボン11の間の距離およびフラットリボン11の積層重なり度は、磁界の相殺程度に大きな影響を与え、本願は、2本のフラットリボン11の積層設計および2本のフラットリボンの積層距離と重なり度に対する制御により、フラットリボン11の磁界を効果的に相殺する。
【0116】
前記2本のフラットリボン11の第1の平角線コア112の間の距離が7cmである場合、前記2本のフラットリボン11の積層方向に沿った重なり度による磁場相殺への影響を表2に示し、磁場相殺百分率が30%よりも大きいものを合格とする。
【0117】
表4:2本の第1の平角線コア112の距離が7cmである場合、フラットリボン11の積層重なり面積による磁場相殺への影響
【0118】
【0119】
表4から分かるように、2本の第1の平角線コア112の間の距離が7cmである場合、前記フラットリボン11の積層方向に沿った重なり度は、40%~100%であると、磁界相殺百分率が合格であり、電磁干渉防止に一定の効果があり、2本のフラットリボン11の積層方向に沿った重なり度が90%以上になると、効果が明らかであり、2本のフラットリボン11の積層方向に沿った重なり度が100%である場合、効果が最適である。
【0120】
一実施形態において、
図1~
図5に示すように、フラットリボン11は、第1の平角線コア112と第1の外部絶縁層111とを含み、第1の平角線コア112の先端がフラット式端子113に接続され、雄端ハウジング12は、フラット式端子113の少なくとも一部を被覆する。フラットリボン11は、第1の外部絶縁層111を剥がし、第1の平角線コア112を露出させ、第1の平角線コア112がフラット式端子113に接続され、フラット式端子113を設けることによって、クランプ端子213と効果的に挿着して接続され、フラットリボン式接続機構の効果的な電気接続を実現することができる。
【0121】
フラット式端子113がクランプ端子213に効果的に挿着して接続されるために、フラットリボン11と雄端ハウジング12とが一体成形される過程において、フラット式端子113は、雄端ハウジング12の外に裸で設けられる必要があり、雄端ハウジング12の被覆によりフラット式端子113とクランプ端子213との挿着による接続が不可能になることを防止する。
【0122】
さらに、第1の平角線コア112の先端がフラット式端子113に接続される方式は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、螺着、係止、つなぎ合わせおよび圧着のうちの1種または複数種である。
【0123】
抵抗溶接方式とは、強い電流に電極とワークの接触点を通過させ、接触抵抗から熱を発生させて溶接を実現する方法を指し、第1の平角線コア112の先端とフラット式端子113とを抵抗溶接により溶接する。
【0124】
摩擦溶接方式とは、ワーク接触面の摩擦による熱を熱源として、ワークを圧力により塑性変形させて溶接する方法を指し、第1の平角線コア112の先端とフラット式端子113とを摩擦溶接により溶接する。
【0125】
超音波溶接方式は、高周波振動波を2つの溶接すべき物体表面に伝達し、加圧する場合、2つの物体表面を互いに摩擦させて分子層間の融着を形成することであり、第1の平角線コア112の先端とフラット式端子113とを超音波により溶接する。
【0126】
アーク溶接方式とは、アークを熱源とし、空気放電の物理現象を利用して、電気エネルギーを溶接に必要な熱エネルギーおよび機械エネルギーに変換することによって、金属を接続する目的を達成することを指し、主な方法として、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、ガスシールドアーク溶接などがある。
【0127】
レーザー溶接方式は、高エネルギー密度のレーザービームを熱源とする高効率で精密な溶接方法である。
【0128】
電子ビーム溶接方式とは、加速されかつ集束された電子ビームを真空または非真空中に置かれた溶接面に衝突させることによって、溶接対象のワークを溶融させて溶接を実現することを指す。
【0129】
圧力溶接方式は、溶接ワークに圧力を付勢し、接合面を密着接触させて一定の塑性変形を生じさせて溶接を実施する方法である。
【0130】
拡散溶接方式とは、ワークを視認可能な変形や相対的な移動が生じることなく、高温で加圧する固相溶接方法を指す。
【0131】
磁気誘導溶接方式は、2つの溶接対象のワークが強いパルス磁場の作用で瞬間的に高速に衝突し、材料の表層が非常に高い圧力波の作用で、2種の材料の原子が原子間距離内で出会うことによって、界面に安定的な冶金結合を形成することである。磁気誘導溶接方式は、固相冷間溶接の一種であり、属性が類似または非類似の第1の固定端と第1のケーブルとを溶接することができる。
【0132】
螺着方式とは、ねじによる接続を指し、ねじ接続部材(または被接続部材のねじ部分)で被接続部材を一体に接続する取り外し可能な接続を指す。一般的なねじ接続部材として、ボルトと、スタッドと、ねじと、止めねじなどがあり、ほとんどは規格品である。
【0133】
係止方式とは、接続端または接続面に対応する係止爪または係止溝をそれぞれ設け、係止溝と係止爪による組み立てにより、互いに接続されることを指す。係止方式は、接続が速く、取り外し可能であることを利点とする。
【0134】
つなぎ合わせ方式とは、接続端または接続面に対応する凹溝および突起とをそれぞれ設け、凹溝と突起を介して互いにほぞ継ぎまたはつなぎ合わせで組み立てられることによって、互いに接続されることを指す。つなぎ合わせ方式は、接続が安定し、取り外し可能であることを利点とする。
【0135】
圧着方式について、圧着は、第1の平角線コア112の先端とフラット式端子113とを組み立てた後、圧着機を用いて両者を一体にプレス加工する生産プロセスである。圧着の利点は、量産性であり、自動圧着機を採用することで安定した品質の製品を迅速で大量に製造できることである。
【0136】
一実施形態において、フラットリボン11は、フラット式端子113と一体構造の第1の平角線コア112を含む。第1の平角線コア112とフラット式端子113は、同一の材料で製造されてもよく、第1の平角線コア112の先端部分がフラット式端子113に直接成形されてもよく、使用されるフラット式端子113を節約し、材料コストを低減し、加工工数を節約することができ、かつ、第1の平角線コア112の先端を必要に応じて様々な形状に成形することができ、組み立ての問題を考慮する必要がない。
【0137】
一実施形態において、フラット式端子113は、少なくとも一部が雄端ハウジング12から突出し、または雄端ハウジング12は、収容キャビティを有し、フラット式端子113は、少なくとも一部が収容キャビティの底面から突出するが、雄端ハウジング12を超えない。フラット式端子113は、少なくとも一部が雄端ハウジング12の外に突出して設けられて、雌端ハウジング22におけるクランプ端子213に直接挿着して接続されてもよく、雄端ハウジング12の収容キャビティの内部に設けられ、雌端ハウジング22におけるクランプ端子213が収容キャビティに深く挿入されるとともに、フラット式端子113に挿着して接続されてもよく、これによって、安全で迅速な挿抜を実現することができる。
【0138】
一実施形態において、
図2~
図3に示すように、フラットリボンは、第1の平角線コアを含み、第1の平角線コア112とフラット式端子113との間に角度が0°~180°である第1の折り曲げ部1131を含む。第1の折り曲げ部1131は、異なる折り曲げ角度に設置され、異なる形状、異なる第1の平角線コア112とフラット式端子113方向の接続機構に適用でき、取り付け環境の要求、および接続機構の構造の簡略化、接続空間の低減の要求に応じて、設計者は、フラット式端子113と異なる角度のクランプ端子213とを挿着して接続させるために異なる角度の第1の折り曲げ部1131を設定することができ、これによって、接続機構の両側のケーブルの配向方向を変更し、また、第1の平角線コア112とフラット式端子113とは、第1の折り曲げ部1131を介して接続され、第1の折り曲げ部1131によって第1の平角線コア112の延在方向を調整し、フラットリボン11と取り付け環境との適合を容易にする。
【0139】
本実施例において、フラットリボン11の利点は、折り曲げ成形しやすいことにもあり、すなわち、フラットリボン11は、折り曲げられた後に形状を保持することができ、このように、車体板金にしたがって配置することができ、異なる位置で必要に応じて折り曲げ成形を行うことができ、空間を節約しやすいと同時に、固定もされやすくなる。
【0140】
一実施形態において、フラット式端子113の少なくとも一部には、第1の過渡層が設けられている。フラット式端子113とクランプ端子213とは、材質が一致しない場合、両者の間の導電が電位の電位差によって電気化学的腐食を発生させることによって、フラット式端子113とクランプ端子213の寿命を短くし、このような電気化学的腐食を低減させるために、フラット式端子113に第1の過渡層を設けることができ、第1の過渡層の材質は、ポテンシャル(電位)がフラット式端子113の材質のポテンシャル(電位)とクランプ端子213の材質のポテンシャル(電位)の間にある金属材料を使用することができ、これによって、フラット式端子113とクランプ端子213を絶縁し、第1の過渡層は、フラット式端子113とクランプ端子213の間で電気化学反応が発生することを減少させ、フラット式端子113とクランプ端子213の寿命を延ばすことができる。
【0141】
さらに、第1の過渡層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリング、真空めっき、圧力溶接、拡散溶接、摩擦溶接、抵抗溶接方式、超音波溶接またはレーザー溶接方式のうちの1種または複数種によって前記フラット式端子の少なくとも一部の表面に付着される。
【0142】
電気めっき方法は、電解原理を利用してある金属表面に他の金属または合金を薄層めっきするプロセスである。
【0143】
無電解めっき方法は、金属の触媒作用下で、制御可能な酸化還元反応により金属を生成する堆積プロセスである。
【0144】
マグネトロンスパッタリング方法は、磁場と電場の交互作用を利用して、電子をターゲット表面付近で螺旋状に運動させることによって、電子がアルゴンガスに衝突してイオンを発生させる確率を増大させる。発生したイオンは、電界の作用でターゲット面に衝突してターゲットをスパッタする。
【0145】
真空めっき方法は、真空条件下で、蒸留またはスパッタリングなどによりワークの表面に様々な金属および非金属薄膜を堆積する。
【0146】
圧力溶接は、溶接ワークに圧力を付勢し、接合面を密着接触させて一定の塑性変形を生じさせて溶接を実施する方法である。
【0147】
摩擦溶接方式とは、ワーク接触面の摩擦による熱を熱源として、ワークを圧力により塑性変形させて溶接する方法を指す。
【0148】
抵抗溶接方式とは、強い電流に電極とワークの接触点を通過させ、接触抵抗から熱を発生させて溶接を実現する方法を指す。
【0149】
超音波溶接方式は、高周波振動波を2つの溶接すべき物体表面に伝達させ、加圧する場合、2つの物体表面を互いに摩擦させて分子層間の融着を形成することである。
【0150】
レーザー溶接方式は、高エネルギー密度のレーザービームを熱源とする高効率で精密な溶接方法である。
【0151】
拡散溶接方式とは、ワークを視認可能な変形や相対的な移動が生じることなく、高温で加圧する固相溶接方法を指す。以上の複数の方式またはその組み合わせにより、第1の過渡層をフラット式端子113の表面に安定的に設置することができる。
【0152】
一実施形態において、第1の過渡層の厚さは0.3μm~3000μmである。
【0153】
さらに、第1の過渡層の厚さは2.5μm~1000μmである。
【0154】
異なる第1の過渡層の厚さによる電圧降下への影響を検証するために、発明者は、同じ材質および構造のフラット式端子113を採用し、フラット式端子113に異なる厚さの第1の過渡層をそれぞれ設け、クランプ端子213に過渡層を設けず、その後、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着後の電圧降下を検証した。
【0155】
本実施例において、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着後の電圧降下が4mVよりも大きいものを不合格とする。
【0156】
表5:異なる第1の過渡層の厚さによる電圧降下(mV)への影響
【0157】
【0158】
上記の表5のデータから分かるように、第1の過渡層の厚さが3000μmよりも大きく0.3μmよりも小さい場合、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着構造の電圧降下の値が4mVよりも大きく、要求を満たさないため、発明者は、第1の過渡層の厚さを0.3μm~3000μmとして選択した。ここに、第1の過渡層の厚さが2.5μm~1000μmの範囲内にある場合、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着構造の電圧降下が最適値であるため、好ましくは、発明者は、第1の過渡層の厚さを2.5μm~1000μmとして選択した。
【0159】
一実施形態において、第1の過渡層の材質は、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、スズ、チタン、クロム、金、銀、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む。
【0160】
前記第1の過渡層の材質は、フラット式端子113にラップされる電極の材質と同じである。このような方案は、フラット式端子113の表面強度を補強し、フラット式端子113と異種金属とのラップによる腐食を回避することを実現できる。
【0161】
異なる第1の過渡層の材質によるフラット式端子113の性能への影響を検証するために、発明者は、規格、材質が同じ、第1の過渡層の材質が異なるフラット式端子113を用いて一連の耐食性時間に対する検証を行い、検証結果を表6に示す。
【0162】
表6における耐食性時間検証は、フラット式端子113のサンプルを塩霧吐出試験箱内に入れ、フラット式端子113の各位置に塩霧を吐出し、20時間ごとに取り出して洗浄して表面の腐食状況を観察し、すなわち20時間は1サイクルであり、フラット式端子113のサンプルの表面腐食面積が総面積の10%を超えたときに、検証を停止し、その時のサイクル数を記録した。本実施例において、サイクル数が80回未満であるものを不合格とする。
【0163】
表6:異なる第1の過渡層の材質によるフラット式端子113のサンプルの耐食性への影響
【0164】
【0165】
表6から分かるように、第1の過渡層の材質が常用の金属スズ、ニッケル、亜鉛を含む場合、検証の結果は他の選択された金属ほどではなく、他の金属を選択した検証結果は、標準値を大幅に超え、性能が安定している。したがって、発明者は、第1の過渡層の材質として、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、スズチタン、クロム、金、銀、亜鉛スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む(または、である)ものを選択した。より好ましい形態として、第1の過渡層の材質として、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、チタン、クロム、金、銀、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む(または、である)ものを選択した。
【0166】
一実施形態において、フラットリボンは硬さが8HV~105HVである第1の平角線コアを含む。
【0167】
第1の平角線コア112の硬度による第1の過渡層が第1の平角線コア112から剥離する力および第1の平角線コア112がXY方向へ折り曲げられるトルクへの影響を検証するために、発明者は、同じ寸法規格、異なる硬度の第1の平角線コア112のサンプルを選択し、第1の平角線コア112の第1の過渡層が剥離する力および第1の平角線コア112が折り曲げられる時のトルクを測定し、測定結果を表7に示す。
【0168】
第1の過渡層が剥離する力に対する測定方法について、万能引張力測定機を用い、第1の過渡層が溶接されている第1の平角線コア112のサンプルに対して、第1の過渡層を含む第1の平角線コア112を万能引張力測定機の引張治具にそれぞれ固定するとともに、50mm/minの速度で引っ張り、最終的に第1の過渡層が第1の平角線コア112から剥離する時の引張力の値を記録し、本実施例において、900Nよりも大きい引張力の値を合格値とする。
【0169】
第1の平角線コア112が折り曲げられる時のトルクに対する測定方法について、トルクテスターを用い、第1の平角線コア112を同じ半径、同じ速度で90°折り曲げる時に、折り曲げる過程における第1の平角線コア112が変形するトルク値を測定し、本実施例において、30N・m未満であるトルク値を合格値とする。
【0170】
表7:第1の平角線コア112の硬さによる第1の過渡層の剥離する力と折り曲げられる時のトルクへの影響
【0171】
【0172】
上記の表7から分かるように、第1の平角線コア112の硬度が8HV未満である場合、第1の過渡層が第1の平角線コア112から剥離する時の引張力の値が合格値よりも小さく、この時、第1の平角線コア112における第1の過渡層が外力の作用で第1の平角線コア112から剥離しやすく、これによって、第1の平角線コア112に対する保護を実現できず、第1の平角線コア112の機能が失効し、これによって、電気エネルギー伝送の目的を達することができず、深刻な場合、短絡による燃焼事故を引き起こす。第1の平角線コア112の硬度が105HVよりも大きい場合、第1の平角線コア112自体の硬度が高いため、第1の平角線コア112を折り曲げる必要がある場合、第1の平角線コア112を変形させるためにより大きなトルクが必要となり、この場合、トルク値が合格の要求を満たさない。したがって、発明者は、第1の平角線コア112の硬さを8HV~105HVに設定した。
【0173】
表7のデータから分かるように、第1の平角線コア112の硬度が10HV~55HVである場合、第1の過渡層が第1の平角線コア112から剥離する時の引張力の値および第1の平角線コア112のXY方向へ折り曲げられるトルク値はいずれも良好な範囲にあるため、発明者は、第1の平角線コア112の硬度が10HV~55HVであることが好ましいと考える。
【0174】
一実施形態において、フラット式端子113の端部には、面取りが設けられている。フラット式端子113とクランプ端子213は、それぞれ射出加工時と取り付け時にいずれも組立誤差があり、この時、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着による組立は、同様に大きな組立誤差があり、フラット式端子113をクランプ端子213に正確に挿着して接続しやすくするために、フラット式端子113の端部に面取りを設ける必要があり、クランプ端子213に挿入される時に、ガイドの役割を果たす。
【0175】
一実施形態において、
図9と
図13に示すように、雄端接続機構10は、少なくとも一部が雄端ハウジング12内に一体射出されるインターロックコネクタ13を含む。高電圧インターロックは、低電圧信号を用いて高電圧回路の完全性を監視する安全設計方法であり、具体的な高電圧インターロックの実現形態は、異なる項目に異なる設計を有し、高電圧インターロックは、高電圧回路の不意の切断を監視し、突然の動力喪失による自動車への損害を回避する。本実施例における高電圧インターロックについて、一端は、2本の挿着針を備えるとともに、2本の挿着針が電気的に接続される1つのU字状またはV字状の低電圧回路であるインターロックコネクタ13であり、取り付ける必要がなく、一体射出によって、雄端ハウジング12内に直接成形されることができ、挿着針を雄端ハウジング12の外に露出させるとともに、雌端接続機構20における高電圧インターロック構造23とマッチングして接続し、低電圧監視回路を構成し、本実施例におけるフラットリボン式接続機構が不意に切断されると、インターロックコネクタ13と高電圧インターロック構造23も同時に切断され、低電圧監視回路が中央制御システムに警報を出すことによって、自動車が突然の動力喪失により損害を引き起こさないように制御する。
【0176】
一実施形態において、
図7に示すように、前記ダブルフラットリボンは、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、前記雌端ハウジングは、少なくとも一部の前記ダブルフラットリボンおよび/または少なくとも一部の前記クランプ端子の間および/または外周に一体射出成形されて絶縁構造を形成する。
【0177】
一般的な導電回路は、いずれも2本の回路で構成され、例えば、直流充電インレットには、直流正極充電ケーブルと直流負極充電ケーブルとがあり、交流充電インレットにも、交流ライブ充電ケーブルと交流ニュートラル充電ケーブルとがある。ダブルフラットリボン21は、上下に積み重ねられ、組立空間を効果的に利用することができ、かつ、電磁干渉を相殺する作用を有する。2本のダブルフラットリボン21が上下に積み重ねられた後、射出金型により、雌端ハウジング22の素材をダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213の少なくとも一部の間および外周に射出して、雌端ハウジング22を形成する。
【0178】
一実施形態において、
図2に示すように、ダブルフラットリボン21は、第2の外部絶縁層211と第2の平角線コア212とを含み、第2の外部絶縁層211の一部が剥がされて第2の平角線コア212を露出させ、第2の外部絶縁層211の端部が雌端ハウジング22内に位置し、または雌端ハウジング22に当接する。第2の平角線コア212は、ダブルフラットリボン21の導電部分であり、第2の外部絶縁層211は、ダブルフラットリボン21の絶縁部分であり、雌端ハウジング22を射出する前に、ダブルフラットリボン21の第2の外部絶縁層211の一部を剥がし、内部の第2の平角線コア212を露出させる必要があり、それから、クランプ端子213の接続および雌端ハウジング22の一体射出成形を行う。
【0179】
一実施形態において、ダブルフラットリボン21は、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コア212を含み、2本の第2の平角線コア212の間の垂直距離は27cm以下である。
【0180】
さらに、ダブルフラットリボン21は、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コア212を含み、2本の前記第2の平角線コア212の間の垂直距離は7cm以下である。
【0181】
好ましくは、前記2本のダブルフラットリボン11の幅方向は、互いに平行である。前記ダブルフラットリボン21は互いに鏡像である。前記2本の第2の平角線コア212の間の距離はHである。前記2本のダブルフラットリボン21の積層方向は、
図10における上下方向である。
【0182】
前記2本のダブルフラットリボン21の積層方向に沿った重なり度が100%である場合、前記2本の第2の平角線コア212の間の距離Hによる磁場相殺への影響を表8に示し、磁場相殺百分率が30%よりも大きいものを合格とする。
【0183】
表8:ダブルフラットリボン21の積層重なり面積が100%である場合、2本の第2の平角線コア212の間の距離Hによる磁界相殺への影響
【0184】
【0185】
ここに、前記重なり度は、前記2本のダブルフラットリボン21の積層方向に沿った重なり面積が1本のダブルフラットリボン21の面積を占める百分率を意味する。
【0186】
表8から分かるように、前記2本のダブルフラットリボン11の積層方向に沿った重なり度が100%である場合、前記2本の第2の平角線コア212の距離Hが27cm以下である場合、磁界相殺百分率が合格であり、電磁干渉防止に一定の効果があり、さらに前記2本の第2の平角線コア212の間の垂直距離が7cm以下である場合、磁界を効果的に相殺でき、効果が明らかであるため、好ましくは、2本の第2の平角線コア212の間の距離Hを7cm以下に設定した。
【0187】
本実施例に係るフラットリボン式接続機構は、ダブルフラットリボン11を積層して設置するとともに、適切な間隔を設けることによって、ダブルフラットリボン11に通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減することができ、これによって、高電圧充電ヤハーネスのシールド層構造をなくし、コストを低減し、重量を軽減するニーズを満たす。
【0188】
一実施形態において、ダブルフラットリボン21は、少なくとも2本であり、上下に積み重ねられ、第2の平角線コア212を含み、2本の第2の平角線コア212の積層方向に沿った重なり度は40%~100%である。
【0189】
ダブルフラットリボン21は、上下に積層して置かれると、ダブルフラットリボン21が扁平構造であるために、その面積の最大部位でその磁界が最も強く、ダブルフラットリボン21を積層して置くことによって、正負極に充電してダブルフラットリボン21の磁界を相殺することができ、これによって、ダブルフラットリボン21の通電による他の電気部品に対する電磁干渉を除去することができる。
【0190】
2本のダブルフラットリボン21の間の距離およびダブルフラットリボン21の積層重なり度は、磁界の相殺程度に大きな影響を与え、本願は、2本のダブルフラットリボン21の積層設計および2本のダブルフラットリボン21の積層距離と重なり度に対する制御により、ダブルフラットリボン21の磁界を効果的に相殺する。
【0191】
前記2本のダブルフラットリボン21の第1の平角線コア112の間の距離が7cmである場合、前記2本のフラットリボン11の積層方向に沿った重なり度による磁場相殺への影響を表6に示し、磁場相殺百分率が30%よりも大きいものを合格とする。
【0192】
表9:2本の第2の平角線コア212の距離が7cmである場合、ダブルフラットリボン21の積層重なり面積による磁場相殺への影響
【0193】
【0194】
表9から分かるように、2本の第2の平角線コア212の間の距離が7cmである場合、前記ダブルフラットリボン21の積層方向に沿った重なり度は、40%~100%であると、磁界相殺百分率が合格であり、電磁干渉防止に一定の効果があり、2本のダブルフラットリボン21の積層方向に沿った重なり度が90%以上になると、効果が明らかであり、2本のダブルフラットリボン21の積層方向に沿った重なり度が100%である場合、効果が最適である。
【0195】
一実施形態において、ダブルフラットリボン21は、2本の平角導体214によって重ねて接続された第2の平角線コア212を含み、2本の平角導体214は、あてがわれて重ねてもよく、一定の隙間を有してもよい。2本の平角導体214があてがわれる場合、2本の平角導体214は、圧力溶接、拡散溶接、摩擦溶接、抵抗溶接方式、超音波溶接またはレーザ溶接方式のうちの1種または複数種によって接続される。
【0196】
圧力溶接は、溶接ワークに圧力を付勢し、接合面を密着接触させて一定の塑性変形を生じさせて溶接を実施する方法である。
【0197】
摩擦溶接方式とは、ワーク接触面の摩擦による熱を熱源として、ワークを圧力により塑性変形させて溶接する方法を指す。
【0198】
抵抗溶接方式とは、強い電流に電極とワークの接触点を通過させ、接触抵抗から熱を発生させて溶接を実現する方法を指す。
【0199】
超音波溶接方式は、高周波振動波を2つの溶接すべき物体表面に伝達させ、加圧する場合、2つの物体表面を互いに摩擦させて分子層間の融着を形成することである。
【0200】
レーザー溶接方式は、高エネルギー密度のレーザービームを熱源とする高効率で精密な溶接方法である。
【0201】
拡散溶接方式とは、ワークを視認可能な変形や相対的な移動が生じることなく、高温で加圧する固相溶接方法を指す。以上の複数の方式またはその組み合わせを採用することによって、2本の平角導体214を組み合わせることができる。
【0202】
一実施形態において、ダブルフラットリボン21は、第2の平角線コア212と第2の外部絶縁層211とを含み、第2の平角線コアの先端がクランプ端子213に接続され、雌端ハウジング22は、クランプ端子213の少なくとも一部を被覆する。ダブルフラットリボン21は、第2の外部絶縁層211を剥がし、第2の平角線コア212を露出させ、第2の平角線コア212がクランプ端子213に接続され、クランプ端子213を設けることによって、フラット式端子113と効果的に挿着して接続され、フラットリボン接続機構の効果的な電気接続を実現することができる。
【0203】
クランプ端子213がフラット式端子113に効果的に挿着して接続されるために、ダブルフラットリボン21と雌端ハウジング22とが一体成形される過程において、クランプ端子213は、雌端ハウジング22の外に裸で設けられる必要があり、雌端ハウジング22の被覆によるクランプ端子213とフラット式端子113との挿着による接続が不可能になることを防止する。
【0204】
一実施形態において、第2の平角線コア212の先端がクランプ端子213に接続される方式は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係止、つなぎ合わせおよび圧着のうちの1種または複数種である。接続方式は上記方法と同じであり、ここで、詳しい説明を省略する。
【0205】
一実施形態において、第2の平角線コア212は、クランプ端子213と一体構造である。第2の平角線コア212とクランプ端子213は、同一の材料で製造されてもよく、2本の平角導体214が延在するとともに先端にクランプ端子213が形成される構造であってもよく、使用されるクランプ端子213を節約し、材料コストを低減し、加工工数を節約することができ、かつ、第2の平角線コア212の先端の2本の平角導体214を必要に応じて様々な形状に成形することができ、組み立ての問題を考慮する必要がない。
【0206】
一実施形態において、クランプ端子213は、少なくとも一部が雌端ハウジング22の外壁から突出し、雌端ハウジング22には、開口ボスが設けられており、クランプ端子213は、少なくとも一部が前記開口ボス内に設けられている。上記実施形態において、フラット式端子113は、雄端ハウジング12に突出して設けられており、開口ボス内に設けられているクランプ端子213と挿着して接続することができる。または、雄端ハウジング12は、凹溝を有し、フラット式端子113は、前記凹溝の底面から突出するが、前記雄端ハウジング12を超えず、雌端ハウジング22の外壁から突出するクランプ端子213と挿着して接続することができる。
【0207】
一実施形態において、
図2~
図3に示すように、ダブルフラットリボン21は、第2の平角線コア212を含み、第2の平角線コア212の先端とクランプ端子213との間に角度が0°~180°である第2の折り曲げ部2131を含む。第2の折り曲げ部2131は、異なる折り曲げ角度に設置され、異なる形状、異なるフラット式端子113方向の接続機構に適用でき、取り付け環境の要求、および接続機構の構造の簡略化、接続空間の低減の要求に応じて、設計者は、異なる角度のフラット式端子113と接続するための異なる角度の第2の折り曲げ部2131を設定することができ、これによって、接続機構の両側のケーブルの配向方向を変更し、また、ダブルフラットリボン21の本体とクランプ端子213とは、第2の折り曲げ部2131を介して接続され、第2の折り曲げ部2131によってダブルフラットリボン21の延在方向を調整し、ダブルフラットリボン21と取り付け環境との適合を容易にする。
【0208】
一実施形態において、クランプ端子213の少なくとも一部の表面には、第2の過渡層が設けられている。クランプ端子213とフラット式端子113とは、材質が一致しない場合、両者の間の導電が電位の電位差によって電気化学的腐食を発生させることによって、クランプ端子213とフラット式端子113の寿命を短くし、このような電気化学的腐食を低減させるために、クランプ端子213の少なくとも一部の表面に過渡層を設けることができ、過渡層の材質は、ポテンシャル(電位)がクランプ端子213の材質のポテンシャル(電位)とフラット式端子113の材質のポテンシャル(電位)の間にある金属材料を使用することができ、これによって、クランプ端子213とフラット式端子113を絶縁し、電気化学的腐食を緩和し、クランプ端子213とフラット式端子113の寿命を延ばす。
【0209】
さらに、第2の過渡層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリング、真空めっき、圧力溶接、拡散溶接、摩擦溶接、抵抗溶接方式、超音波溶接またはレーザー溶接方式のうちの1種または複数種によって前記クランプ端子213の少なくとも一部の表面に付着される。第2の過渡層をクランプ端子213に固定する方法は、第1の過渡層をフラット式端子113に固定する方法と同じである。
【0210】
一実施形態において、第2の過渡層の厚さは0.3μm~3000μmである。
【0211】
さらに、第2の過渡層の厚さは2.5μm~1000μmである。
【0212】
異なる第2の過渡層の厚さによるクランプ端子213とフラット式端子113との間の電圧降下への影響を検証するために、発明者は、同じ材質および構造のクランプ端子213を採用し、クランプ端子213に異なる厚さの第1の過渡層をそれぞれ設け、フラット式端子113に過渡層を設けず、その後、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着後の電圧降下を検証する。
【0213】
本実施例において、クランプ端子213とフラット式端子113との挿着後の電圧降下が4mVよりも大きいものを不合格とする。
【0214】
表10:異なる第2の過渡層の厚さによる電圧降下(mV)への影響
【0215】
【0216】
上記の表10のデータから分かるように、第2の過渡層の厚さが3000μmよりも大きく0.3μmよりも小さい場合、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着構造の電圧降下の値が4mVよりも大きく、要求を満たさないため、発明者は、第2の過渡層の厚さを0.3μm~3000μmとして選択した。ここに、第2の過渡層の厚さが2.5μm~1000μmの範囲内にある場合、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着構造の電圧降下が最適値であるため、好ましくは、発明者は、第2の過渡層の厚さを2.5μm~1000μmとして選択した。
【0217】
一実施形態において、第2の過渡層の材質は、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、スズ、チタン、クロム、金、銀、亜鉛、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む。
【0218】
前記第2の過渡層の材質は、クランプ端子213にラップされる電極の材質と同じである。このような方案は、クランプ端子213の表面強度を補強し、クランプ端子213と異種金属とのラップによる腐食を回避することを実現できる。
【0219】
異なる第2の過渡層の材質によるクランプ端子213の性能への影響を検証するために、発明者は、規格、材質が同じ、異なる第2の過渡層の材質を採用したクランプ端子213を用いて一連の耐食性時間に対する検証を行い、検証結果を表11に示す。
【0220】
表11における耐食性時間検証は、クランプ端子213のサンプルを塩霧吐出試験箱内に入れ、クランプ端子213の各位置に塩霧を吐出し、20時間ごとに取り出して洗浄して表面の腐食状況を観察し、すなわち20時間は1サイクルであり、クランプ端子213のサンプルの表面腐食面積が総面積の10%を超えたときに、検証を停止し、その時のサイクル数を記録した。本実施例において、サイクル数が80回未満であるものを不合格とする。
【0221】
表11:異なる第2の過渡層の材質によるクランプ端子213のサンプルの耐食性への影響
【0222】
【0223】
表11から分かるように、第2の過渡層の材質が常用の金属スズ、ニッケル、亜鉛を含む場合、検証の結果は他の選択された金属ほどではなく、他の金属を選択した検証結果は、標準値を大幅に超え、性能が安定している。従って、発明者は、第2の過渡層の材質として、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、スズチタン、クロム、金、銀、亜鉛スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む(または、である)ものを選択した。より好ましい形態として、第2の過渡層の材質として、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、チタン、クロム、金、銀、スズ鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀、硬質銀および銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む(または、である)ものを選択した。
【0224】
一実施形態において、第2の平角線コア212の硬さは8HV~105HVである。
【0225】
第2の平角線コア212の硬度による第2の過渡層が第2の平角線コア212から剥離する力および第2の平角線コア212がXY方向へ折り曲げられるトルクへの影響を検証するために、発明者は、同じ寸法規格、異なる硬度の第2の平角線コア212のサンプルを選択し、第2の平角線コア212の第2の過渡層が剥離する力および第2の平角線コア212が折り曲げられる時のトルクを測定し、測定結果を表12に示す。
【0226】
第2の過渡層が剥離する力に対する測定方法について、万能引張力試験機を用い、第2の過渡層が溶接されている第2の平角線コア212のサンプルに対して、第2の過渡層を含む第2の平角線コア212を万能引張力試験機の引張治具にそれぞれ固定するとともに、50mm/minの速度で引っ張り、最終的に第2の過渡層が第2の平角線コア212から剥離する時の引張力の値を記録し、本実施例において、900Nよりも大きい引張力の値を合格値とする。
【0227】
第2の平角線コア212のトルクに対する測定方法について、トルクテスターを用いて、第2の平角線コア212を同じ半径、同じ速度で90°折り曲げる時に、折り曲げ過程における第2の平角線コア212が変形するトルク値を測定し、本実施例において、30N・m未満であるトルク値を合格値とする。
【0228】
表12:第2の平角線コアの硬さによる電気エネルギー伝送層の剥離する力および折り曲げられる時のトルクへの影響
【0229】
【0230】
上記の表12から分かるように、第2の平角線コア212の硬度が8HV未満である場合、第2の過渡層が第2の平角線コア212から剥離する時の引張力の値が合格値よりも小さく、この時、第2の平角線コア212に溶接されている第2の過渡層が外力の作用で第2の平角線コア212から剥離しやすく、これによって、第2の平角線コア212に対する保護を実現できず、第2の平角線コア212の機能が失効し、これによって、電気エネルギー伝送の目的を達することができず、深刻な場合、短絡による燃焼事故を引き起こす。第2の平角線コア212の硬度が105HVよりも大きい場合、第2の平角線コア212自体の硬度が高いため、第2の平角線コア212を折り曲げる必要がある場合、第2の平角線コア212を変形させるためにより大きなトルクが必要となり、この場合、トルク値が合格の要求を満たさない。したがって、発明者は、第2の平角線コア212の硬さを8HV~105HVに設定した。
【0231】
表12のデータから分かるように、第2の平角線コア212の硬度が10HV~55HVである場合、第2の過渡層が第2の平角線コア212から剥離する時の引張力の値および第2の平角線コア212のXY方向へ折り曲げられるトルク値はいずれも良好な範囲にあるため、発明者は、第2の平角線コア212の硬度が10HV~55HVであることが好ましいと考える。
【0232】
一実施形態において、クランプ端子213の先端には、開口した凹溝が設けられており、凹溝の開口側の幅は、前記凹溝の閉口側の幅よりも大きい。クランプ端子213は、組立加工時に誤差があり、フラット式端子113とフラットリボン11は、取り付け時に組立誤差があり、この時、フラット式端子113とクランプ端子213の組立は、同様に、大きな組立誤差があり、フラット式端子113がクランプ端子213と正確に挿着して接続されやすいために、凹溝の開口側の端部に面取りを設ける必要があり、フラット式端子113が凹溝に挿入される時に、ガイドの役割を果たす。
【0233】
一実施形態において、
図3、
図8に示すように、クランプ端子213には、材質が記憶合金であるクリップ30が外装されている。記憶合金は、記憶力を有するスマート金属であり、そのミクロ構造は相対的に安定した2種の状態を有し、高温でこのような合金は任意の所望の形状に変えられ、低い温度で合金は、引っ張られることができ、これを再加熱すると、その元の形状を思い出して回復し、記憶合金はその変態温度以上と変態温度以下の結晶構造が異なるが、温度が変態温度の上下で変化すると、記憶合金は収縮または膨張し、その形態を変化させる。いくつかの実施例において、記憶合金はニッケルチタン合金である。
【0234】
一実施形態において、記憶合金の変態温度は40℃~70℃の範囲内に設定され、クリップ30の温度が該変態温度より低い状態では、クリップ30は拡張状態になり、クリップ30の温度が該変態温度より高い状態では、クリップ30は締め付け状態になる。
【0235】
一般的に、変態温度が40℃~70℃の間に選択されるのは、変態温度が40℃より低ければ、導通電流がない場合でも、クランプ端子213とクリップ30の環境温度が40℃に近くなり得り、この時、クリップ30が締め付け状態になり、クランプ端子213の帯状凹溝が小さくなり、フラット式端子113がクランプ端子213に挿入できなくなり、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着構造が挿着できなくなり、動作もできなくなるためである。
【0236】
室温において、フラット式端子113とクランプ端子213とを挿着した後、導電が始め、挿着を開始した直後クリップ30が拡張状態にあるため、フラット式端子113とクランプ端子213との接触面積が小さく、電流が大きいため、挿着後のクランプ端子213およびクリップ30が温度上昇し始め、変態温度が70℃より高ければ、クリップ30の温度の上昇時間が長く、フラット式端子113とクランプ端子213との挿着構造が長時間にわたって大電流状態にあり、電気劣化を引き起こしやすくなり、深刻な場合フラット式端子113とクランプ端子213との挿着構造を過負荷させて破損させ、必要でない損失を引き起こしてしまう。
【0237】
したがって、一般的に、記憶合金の変態温度は40℃~70℃の間に設定された。
【0238】
クリップ30は、記憶機能を帯び、変態温度以下である場合、クランプ端子213の帯状凹溝は、通常、拡張状態になり、このとき、フラットリボン11のフラット式端子113は、無挿入力の挿着を実現することができ、操作者が受電機器を気楽に挿着しやすい。動作中にクランプ端子213に電流を導通し、抵抗の作用によりクランプ端子213の温度が徐々に上昇し、温度が変態温度以上に上昇すると、クリップ30が径方向に収縮し、温度の上昇により、クランプ端子213の帯状凹溝とフラットリボン11のフラット式端子113の接触面積および接触力を増加させ、接触の信頼性を向上させ、挿入力に対する要求を省くため、作業がより容易になり、作業効率が向上する。
【0239】
一実施形態において、
図8に示すように、クランプ端子213にはクリップ30が外装されており、クリップ30は側壁31と側壁に固定された弾性ユニット32とを含み、弾性ユニット32はクランプ端子213に接続されている。クリップ30は、側壁の内壁に設けられた弾性ユニット32により、クランプ端子213に圧力を付勢することによって、クランプ端子213の帯状凹溝がフラットリボン11のフラットリボン端子113を更に締付けることができ、クランプ端子213とフラットリボン端子113との接触面積を確保し、接触抵抗を低減させ、導電性能を向上させる。
【0240】
クリップ30を設けることによって、クランプ端子213とフラット式端子113との緊密な接続を確保することができる。
【0241】
さらに、弾性ユニット32がクランプ端子213に付勢する力の範囲は3N~200Nである。
【0242】
弾性ユニット32がクランプ端子213に付勢する圧力による偏心の大きいフラット式端子113の挿着後の接触抵抗と挿抜状況への影響を検証するために、発明者は、同じ寸法規格のフラット式端子113とクランプ端子213とを選択し、弾性ユニット32がクランプ端子213に付勢する圧力を異ならせ、次に同じ偏心度のフラット式端子113とクランプ端子213とを選択して挿着して、挿着した後の端子間の接触抵抗、および複数回の挿抜実験においてフラット式端子113が成功に挿入された割合をそれぞれ検証し、検証結果を表13に示す。
【0243】
接触抵抗の測定方法について、マイクロオムメータを用い、マイクロオムメータの測定端の一端をフラット式端子113に置き、他端をクランプ端子213に置き、毎回測定するときに置かれた位置が同じようにし、そしてマイクロオムメータに示される接触抵抗の読み取り値を読み取る。本実施例において、接触抵抗が1mΩよりも大きいものを不合格とする。
【0244】
挿着成功率の測定方法について、弾性ユニット32によりクランプ端子213に付勢した圧力値それぞれは、いずれも100個の同じ偏心度のフラット式端子113と挿着して、一回に挿入に成功した数を記録するとともに、全体の数に対する比を求めて100%を乗算する。本実施例において、挿着成功率が95%未満であるものを不合格とする。
【0245】
表13:異なる圧力による接触抵抗と挿着成功率への影響
【0246】
【0247】
表13から分かるように、弾性ユニット32によりクランプ端子213に付勢する圧力が3N未満である場合、挿着成功率が合格であるが、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗が1mΩよりも大きく、接触抵抗が大きすぎ、弾性ユニット32によりクランプ端子213に付勢する圧力が200Nよりも大きい場合、挿着成功率が95%未満であり、応用の要求を満たすことができないため、発明者は、弾性ユニット32によりクランプ端子213に付勢する圧力を3N~200Nに設定した。
【0248】
一実施形態において、弾性ユニット32は、弾性ゴム体、ばねまたは金属弾性片である。弾性ユニット32は、弾性ゴム体であってもよく、弾性ゴム体が圧縮される弾性力によって、クランプ端子213に付勢する圧力を確保し、弾性ユニット32は、圧縮ばねであってもよく、圧縮ばねが圧縮される弾性力によって、クランプ端子213に付勢する圧力を確保し、弾性ユニット32は、金属弾性片であってもよく、金属弾性片は、クリップ30と一体成形され、一端が固定され、他端が自由端であるシングルエンド弾性片の形態であってもよく、両端が固定され、中間が突出するダブルエンド弾性片の形態であってもよく、金属弾性片自体の弾性力によって、クランプ端子213に付勢する圧力を確保する。
【0249】
一実施形態において、
図10と
図13に示すように、雌端接続機構20は、インターロックコネクタ13と電気的に接続されて回路を形成する高電圧インターロック構造23を有する。高電圧インターロック構造23は、インターロックコネクタ13と電気的に接続されて回路を形成する。高電圧インターロックは、低電圧信号を用いて高電圧回路の完全性を監視する安全設計方法であり、高電圧インターロックは、高電圧回路の不意の切断を監視し、突然の動力喪失による自動車への損害を回避する。本実施例における高電圧インターロックについて、一端は、2本の挿着針を備えるとともに、2本の挿着針が電気的に接続される1つのU字状またはV字状の低電圧回路であるインターロックコネクタ13であり、他端は、雌端接続機構20内に設けられており、低電圧回路に接続される2つの挿着端子であり、高電圧インターロック構造23の挿着端子がインターロックコネクタ13の挿着針とマッチングして接続され、低電圧監視回路を構成し、本実施例におけるフラットリボン式接続機構が不意に切断されると、インターロックコネクタ13と高電圧インターロック構造23も同時に切断され、低電圧監視回路が中央制御システムに警報を出すことによって、自動車が突然の動力喪失により損害を引き起こさないように制御する。
【0250】
組み込み式高電圧インターロック構造は、従来の組立式高電圧インターロックの代わりに、一体射出によって接続機構に固定され、組み立てが不要であり、コストを低減し、高電圧インターロックの効果を完全に奏する。
【0251】
一実施形態において、雌端接続機構20および/または雄端接続機構10は、封止構造40を有し、封止構造40がフラット式端子113、クランプ端子213および一部のフラットリボン11とダブルフラットリボン21を接続機構内に封止することができ、外部の埃や水が内部の導電機構に損傷や腐食を与えることを防止し、接続機構の寿命を大幅に延ばす。
【0252】
一実施形態において、
図13に示すように、封止構造40は、雌端ハウジング22および/または雄端側ハウジング12に二次射出成形されたものである。接続機構の封止構造40は、単独のシールリングを取り付けるものではなく、従来のシールリングの代わりに、封止構造40を二次射出するものを採用し、接続機構に直接成形することができ、射出の結合性がより良く、コストを低減する。
【0253】
さらに、封止構造40の材質は、ゴム、軟質ゴムまたはシリカゲルである。これらのいくつかの材料を選択すると、射出成形機を用いて材料を加熱溶融するとともに、対応する金型に射出して成形することができ、加工が簡単であり、接着が強固であり、封止構造の寿命を大幅に延ばすことができ、また、これらのいくつかの材料は、良好な弾性を有し、接続機構の組み立て時に押圧変形し、隙間に充填され、良好な封止性能を実現することができることに加え、材料は、耐水耐油であり、封止構造が長い寿命と安全な封止性能を有することを確保することができる。
【0254】
封止構造40と雄端接続機構10および/または雌端接続機構20との最大隙間は520nm未満である。
【0255】
各封止構造40と隣接するデバイスとの隙間の大きさによる封止レベルへの影響を検証するために、発明者は、ドライエア法を採用して封止装置を検証し、真空引きまたは空気加圧により、被検証サンプルの内外圧力を異ならせるように制御し、漏れがあると、内外圧力の差が小さくなる。空気圧の変化を検出することによってシール性を検出することができる。検出媒体は、乾燥空気であり、無毒無害であり、被検証品を破壊することなく、検証環境がきれいで清潔である。雄端接続機構10に封止構造40が設けられていることを検出することを例として、発明者は、雄端接続機構10と雌端接続機構20とが接続された後の他の接続箇所を完全に密閉し、異なる封止程度の封止構造40を選択し、封止構造40における乾燥空気の一部を抽出し、封止構造40内の気圧を外部気圧よりも低くし、封止構造40の内部気圧を持続的に検出し、気圧が上昇したことを発見すると不合格であり、検証結果を表14に示す。
【0256】
表14:封止構造40と雄端接続機構10および/または雌端接続機構20との最大隙間による気圧変化への影響
【0257】
【0258】
表14から分かるように、封止構造40と雄端接続機構10および/または雌端接続機構20との最大隙間が520nmを超えると、気圧が変化し、気体が封止構造40に入っていることを意味し、検証が不合格である。したがって、発明者は、封止構造40と雄端接続機構10および/または雌端接続機構との最大隙間を520nm以上として選択した。
【0259】
一実施形態において、雌端接続機構20は、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。温度測定構造は、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213から一定の距離を有し、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213の温度は、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213の熱放射によって温度測定構造に伝達されてから、温度測定機構によって測定されてもよく、または温度測定構造に伝導素子が含まれ、伝導素子がダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213にあてがわれ、伝導素子によって伝達された温度によって、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213の温度を測定する。そして、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213に流れる電流を調節することによって、雌端接続機構20の温度を調整するように測定された温度が制御システムに伝達される。
【0260】
さらに、雌端接続機構20は、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213にあてがわれ、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。温度測定構造は温度センサであり、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213に直接あてがい、ダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213の実際温度を直接取得することができ、算出によりダブルフラットリボン21および/またはクランプ端子213の実際温度を取得する必要がなく、構造が簡単で、温度測定がより正確である。
【0261】
さらに、雌端接続機構20は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、温度測定構造が2本のダブルフラットリボン21の間に位置し、ダブルフラットリボン21の温度を測定するために用いられる。温度測定構造が2本のダブルフラットリボン21の間に置かれることによって、2本のダブルフラットリボン21から伝導される熱を同時に取得することができ、2本のダブルフラットリボン21の発熱量をバランスさせることができ、温度測定構造の数を節約するだけでなく、2本のダブルフラットリボン21の最高の温度を直接取得することもでき、ダブルフラットリボン21の温度制御に対して良好な役割を果たすことができる。
【0262】
一実施形態において、雄端接続機構10は、フラットリボン11および/またはフラット式端子113の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。温度測定構造は、フラットリボン11および/またはフラット式端子113から一定の距離を有し、フラットリボン11および/またはフラット式端子113の温度は、フラットリボン11および/またはフラット式端子113の熱放射によって温度測定構造に伝達されてから、温度測定機構によって測定されてもよく、または温度測定構造に伝導素子が含まれ、伝導素子がフラットリボン11および/またはフラット式端子113にあてがわれ、伝導素子によって伝達された温度によって、フラットリボン11および/またはフラット式端子113の温度を測定する。そして、フラットリボン11および/またはフラット式端子113に流れる電流を調節することによって、雄端接続機構10の温度を調整するように測定された温度が制御システムに伝達される。
【0263】
一実施形態において、雄端接続機構10は、フラットリボン11および/またはフラット式端子113にあてがわれ、フラットリボン11および/またはフラット式端子113の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。温度測定構造は温度センサであり、フラットリボン11および/またはフラット式端子113に直接あてがい、フラットリボン11および/またはフラット式端子113の実際温度を直接取得することができ、算出によりフラットリボン11および/またはフラット式端子113の実際温度を取得する必要がなく、構造が簡単で、温度測定がより正確である。
【0264】
一実施形態において、雄端接続機構10は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、温度測定構造が2本のフラットリボン11の間に位置し、フラットリボン11の温度を測定するために用いられる。温度測定構造が2本のフラットリボン11の間に置かれることによって、2本のフラットリボン11から伝導される熱を同時に取得することができ、2本のフラットリボン11の発熱量をバランスさせることができ、温度測定構造の数を節約するだけでなく、2本のフラットリボン11の最高の温度を直接取得することもでき、フラットリボン11の温度制御に対して良好な役割を果たすことができる。
【0265】
温度測定構造は温度センサであってもよく、温度センサはNTC温度センサまたはPTC温度センサであってもよく、タイムリーで正確に雄端接続機構10を監視したり、雌端接続機構20の温度を監視したりする。
【0266】
温度センサは、NTC温度センサまたはPTC温度センサである。この2種類の温度センサを採用するメリットは、体積が小さく、他の温度計では測定できない隙間を測定することができ、使用しやすく、抵抗値を0.1~100kΩの間で任意に選択することができ、複雑な形状に加工しやすく、大量生産が可能であり、安定性が高く、過負荷能力が高く、アダプタのような体積が小さく、性能が安定することが要求される製品に適用される。
【0267】
一実施形態において、雄端接続機構10と雌端接続機構20は、接着接続、磁気吸引接続、バヨネット接続、挿着接続、バックル接続、結束接続、ねじ接続、リベット接続および溶接接続のうちの1種または複数種で接続されている。
【0268】
第1種の実行可能な技術的解決手段において、接着構造を採用することができ、例えば、雄端接続機構10と雌端接続機構20のつなぎ合わせるべき表面に接着層がそれぞれ設けられており、両者は接着により固定的に接続される。
【0269】
第2種の実行可能な技術的解決手段において、磁気吸引構造を採用することができ、例えば、雄端接続機構10と雌端接続機構20のつなぎ合わせるべき表面に同様に磁気吸引部材が設けられており、接続により、接続が便利で迅速である。
【0270】
第3種の実行可能な技術的解決手段において、挿着構造を採用することができ、雄端接続機構10のハウジングにプラグが設けられており、雌端接続機構20のハウジングの表面にスロットが設けられており、プラグがスロットに挿入された後に固定的に接続されることによって、雄端接続機構10と雌端接続機構20とを固定的に接続させ、雄端接続機構10と雌端接続機構20との接続を実現する。
【0271】
第4種の実行可能な技術的解決手段において、係止構造を採用することができ、例えば、雄端接続機構10の雄端シールドシェル14に係止具が設けられており、雌端接続機構20の雌端に係止溝が設けられており、係止具と係止溝が組み立てられた後に固定的に接続されることによって、雄端接続機構10と雌端接続機構20が固定的に接続される。
【0272】
第5種の実行可能な技術的解決手段において、ボルト接続構造を採用することができ、ボルト接続構造は、ボルトとナットとを含み、ボルトが雄端接続機構10のつなぎ合わせるべき表面に固定されており、ナットが雌端接続機構20のつなぎ合わせるべき表面に設けられて回転可能であり、ボルトとナットとが互いに螺着されて締め付けられた後、雄端接続機構10と雌端接続機構20のつなぎ合わせるべき表面が固定的に接続される。ボルト締結構造は、最小でM3のボルトとナットとを採用し、ボルト締結構造の締め付け時のトルクは最小で0.2N・mである。
【0273】
第6種の実行可能な技術的解決手段において、カシメ構造を採用することができ、カシメ構造は、リベットと固定孔とを含み、固定孔は、雄端接続機構10と雌端接続機構20とのつなぎ合わせるべき表面に設けられており、リベットは、固定孔を貫通するとともに、リベットの貫通した一端を変形させ、固定孔を引き締めることによって、雄端接続機構10と雌端接続機構20とのつなぎ合わせるべき表面を固定的に接続する。
【0274】
第7種の実行可能な技術的解決手段において、溶接構造を採用することができ、例えば、溶接ワークを雄端接続機構10と雌端接続機構20とのつなぎ合わせるべき表面に設け、溶接機を用いて溶接ワークを溶融させて一体に接続することによって、雄端接続機構10と雌端接続機構20とのつなぎ合わせるべき表面を固定的に接続する。溶着機は、ホットメルト溶着機と超音波溶着機とを含む。
【0275】
第8種の実行可能な技術的解決手段において、結束構造を採用することができ、結束構造は、結束部材を含み、雄端接続機構10と雌端接続機構20の表面に凹溝が設けられており、結束部材を用いて凹溝の位置で雄端接続機構10と雌端接続機構20とのつなぎ合わせるべき表面を結束することによって、雄端接続機構10と雌端接続機構20とのつなぎ合わせるべき表面を固定的に接続する。結束部材は、結束バンド、フェルール、カプラロック等を含む。
【0276】
第9種の実行可能な技術的解決手段において、ラッチ構造を採用することができ、ラッチ構造は、ラッチ部材を含み、ラッチ部材が雄端接続機構10と雌端接続機構20とのつなぎ合わせるべき表面の隣接表面に設けられ、またはつなぎ合わせるべき表面に設けられ、雄端接続機構10と雌端接続機構20とのつなぎ合わせるべき表面はラッチ部材により固定的に接続される。
【0277】
一実施形態において、フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力は3N~150Nである。
【0278】
さらに、フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力は10N~95Nである。
【0279】
フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力によるフラット式端子113とクランプ端子213との接触抵抗および挿着状況への影響を検証するために、発明者は、同じ形状、寸法のフラット式端子113とクランプ端子213とを選択するとともに、フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力を異なる挿着力に設計して、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗および複数回に挿着した後の状況を観測した。
【0280】
接触抵抗の検出方式は、マイクロオムメータを用い、フラット式端子113とクランプ端子213との接触位置において抵抗の測定を行うとともに、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗としてマイクロオムメータに示される数値を読み取り、本実施例において、50μΩ未満の接触抵抗を理想値とする。
【0281】
フラット式端子113とクランプ端子213の挿着状況に対する測定方式は、フラット式端子113とクランプ端子213を50回挿着し、挿抜後の落下回数と挿抜不能回数を観察し、挿抜後の落下回数が3回未満であることが要求されて、挿抜不能回数が5回未満であることが要求される。
【0282】
表15:フラット式端子113とクランプ端子213との間の異なる挿着力による接触抵抗および挿着状況への影響
【0283】
【0284】
上記の表15から分かるように、フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力が3N未満である場合、フラット式端子113とクランプ端子213との間の結合力が小さすぎるため、両者の間の接触抵抗が理想値よりも高くなったと同時に、挿抜後の落下回数も3回以上を超え、不合格の状態である。フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力が150Nよりも大きい場合、フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿抜不能回数は、5回以上であり、不合格の状態でもあるため、発明者は、フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力を3N~150Nに設定した。
【0285】
上記の表15から分かるように、フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力が10N~95Nにある場合、挿抜後に落下することも挿抜不能もなく、接触抵抗値も理想値の範囲内にあるため、発明者は、フラット式端子113とクランプ端子213との間の挿着力が10N~95Nであると好ましいと設定した。一実施形態において、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗は9mΩ未満である。
【0286】
さらに、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗は1mΩ未満である。
【0287】
一般的に、フラット式端子113とクランプ端子213との間に大電流を導通する必要があり、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗が9mΩを超えると、接触位置において大きな温度上昇が発生し、且つ時間の増加に伴い、温度がますます高くなり、フラット式端子113とクランプ端子213との間の温度が高すぎると、1つ目として、第1の過渡層とフラット式端子113との間、第2の過渡層とクランプ端子213との間に、材質が異なり熱膨張率が異なるため、機械的変形が同期せず、第1の過渡層とフラット式端子113との間、第2の過渡層とクランプ端子213との間に、内部応力を発生してしまい、深刻な場合、第1の過渡層と第2の過渡層の脱落を引き起こし、保護作用を実現できない。2つ目として、フラット式端子113とクランプ端子213の高すぎる温度は、フラットリボン11の絶縁層およびダブルフラットリボン21の絶縁層に伝導したりすることによって、対応する絶縁層が溶融し、絶縁保護の役割を果たすことができなくなり、深刻な場合、回路の短絡による接続構造の損傷、ひいては燃焼などの安全事故を引き起こす。したがって、発明者は、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗を9mΩ未満に設定した。
【0288】
フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗による接続機構の温度上昇と導電率への影響を検証するために、発明者は、接触抵抗が異なるクランプ端子213、及び同じフラット式端子113を選択し、挿着構造の導電率および温度上昇を検証した。
【0289】
導電率検証は、フラット式端子113とクランプ端子213とを挿着した後、該挿着構造に通電した後、対応する挿着箇所の導電率を検出することであり、本実施例において、99%よりも大きい導電率を理想値とする。
【0290】
温度上昇検証は、該挿着構造に同じ電流を流し、閉じた環境で通電前と温度が安定した後のフラット式端子113とクランプ端子213の同じ位置の温度を検出するとともに、差を求めて絶対値にした。本実施例において、温度上昇が50Kよりも大きいものを不合格とする。
【0291】
表16:フラット式端子113とクランプ端子213との間の異なる接触抵抗による導電率と温度上昇への影響
【0292】
【0293】
上記の表16から分かるように、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗が9mΩよりも大きい場合、挿着構造の温度上昇が50Kを超えると同時に、挿着構造の導電率も99%未満であり、標準の要求を満たさない。したがって、発明者は、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗を9mΩ未満に設定した。
【0294】
好ましくは、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗が1mΩ未満である場合、挿着構造の温度上昇が20K以下であり、温度上昇値が小さく、また、挿着構造の導電率がいずれも99.9%に達し、導電効果が良好であるため、発明者は、フラット式端子113とクランプ端子213との間の接触抵抗が1mΩ未満であることが好ましいと考える。
【0295】
一実施形態において、雄端接続機構10と雌端接続機構20との間の挿抜回数は、9回以上であり、フラットリボン式接続機構と受電装置とを組み立てる時に、雄端接続機構10と雌端接続機構20とを組み立てる必要があり、その後のメンテナンス、部材の取り外し際に、いずれも雄端接続機構10と雌端接続機構20とを分離させてから挿抜する必要がある可能性があるため、雄端接続機構10と雌端接続機構20との間の挿抜回数は、9回未満にすることができず、9回未満であると、ある取り外しやメンテナンス過程において、雄端接続機構10または雌端接続機構20が損傷され、電流を導通する役割を果たすことができなくなる可能性があり、ヤハーネスを含めて接続機構全体を全部交換する必要があり、メンテナンス時間がかかるだけでなく、メンテナンスコストも増加するため、雄端接続機構10と雌端接続機構20との材料に対する選択にしろ、雄端接続機構10と雌端接続機構20との間の挿抜機構、ロック機構、封止機構の設計にしろ、接続機構の使用要求を満たすために、いずれも少なくとも9回取り外し・組み立てられる必要がある。
【0296】
一実施形態において、雄端接続機構の重量は305g以下である。
図1に示すように、雄端コネクタは接続機構の上方に位置し、且つ雌端接続機構20に挿着固定される。雄端接続機構10の重量が大きすぎると、雌端接続機構20の受ける重力も大きい。受電装置が振動する場合、接続機構全体は追従して振動するようになる。慣性の原因により、雄端接続機構10が大きな振動を受けると、異音が発生し、受電装置の使用中に異音の発生が許容されない。
【0297】
雄端接続機構10の重量による接続機構の異音の発生への影響を検証するために、発明者は、雌端接続機構20が同じ、異なる重量の雄端接続機構10のサンプルを採用して、組み立てた後に振動試験台に取り付けるとともに、振動試験を行い、振動試験中に雄端接続機構10に異音が発生したか否かを観察し、検証結果を表17に示す。
【0298】
表17:雄端接続機構10の重量による接続機構の異音の発生への影響
【0299】
【0300】
表17から分かるように、雄端接続機構10の重量が305gよりも大きい場合、振動試験中に、雄端接続機構10に異音が発生し、試験が不合格である。したがって、発明者は、雄端接続機構10の重量を305g以下として選択した。
【0301】
一実施形態において、雄端接続機構の挿抜方向に沿った高さは208mm以下である。雄端接続機構10と雌端接続機構20とが組み立てられた後、受電装置に取り付けられる必要があるが、一般的に、受電装置に予備された空間は、いずれも小さい。雄端接続機構10が高い場合、1つ目として、受電装置に取り付けられることができず、2つ目として原材料を浪費する。したがって、雄端接続機構10は、設計時に一定の高さより低くされる必要がある。
【0302】
雄端接続機構10の挿抜方向に沿った高さによる接続機構の取り付け状況への影響を検証するために、発明者は、同じ雌端接続機構20と、異なる挿抜方向に沿った高さの雄端接続機構10とのサンプルを採用し、組み立てた後に受電装置に取り付け、取り付け中、雄端接続機構10が受電装置の他の部品と干渉したか否かを観察し、検証結果を表18に示す。
【0303】
表18:雄端接続機構10の挿抜方向に沿った高さによる接続機構の取り付け状況への影響
【0304】
【0305】
表18から分かるように、雄端接続機構10の挿抜方向に沿った高さが208mmよりも大きい場合、受電装置の所定の位置に取り付けることができず、試験が不合格である。したがって、発明者は、雄端接続機構10の挿抜方向に沿った高さを208mm以下として選択した。
【0306】
本願は、上記のフラットリボン式接続機構を含む電気エネルギー伝送装置をさらに提供する。
【0307】
本願は、上記のフラットリボン式接続機構および上記電気エネルギー伝送装置を含む自動車をさらに提供する。
【0308】
本願に係るフラットリボン式接続機構は、射出成形された雄端ハウジング12と雌端ハウジング22が設けられており、加工が簡単で、コストが低く、フラットリボン11に直接射出されるとともに絶縁することができ、フラットリボン11の取り付けコストを低減することができ、かつ、フラットリボン11の先端を必要に応じて様々な形状に成形することができ、組み立ての問題を考慮する必要がなく、加工工程を節約し、加工コストを低減する。
【0309】
本願に係るフラットリボン式接続機構は、フラットリボン11を積層して設置するとともに、適切な間隔を設けることによって、フラットリボン11に通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減することができ、これによって、高電圧充電ヤハーネスのシールド層構造をなくし、コストを低減し、重量を軽減するニーズを満たす。
【0310】
クリップ30を採用してクランプ端子213を締め付けて固定することによって、クランプ端子213からフラット式端子113に付勢する圧力を増大させることができ、長時間の使用により、クランプ端子213の挟持力が減少し、クランプ端子213とフラット式端子113との間の接触抵抗が増大し、導通電流が増大し、およびクランプ端子213とフラット式端子113の温度が上昇し、深刻な場合に燃焼事故を引き起こすことを回避する。
【0311】
組み込み式高電圧インターロック構造23は、従来の組立式の高電圧インターロックの代わりに、一体射出で接続機構に固定され、組み立てを必要とせず、コストを低減し、高電圧インターロック効果を完全に奏する。
【0312】
接続機構の封止構造は、単独のシールリングを取り付けるものではなく、従来のシールリングの代わりに封止構造を二次射出するものを採用し、接続機構に直接成形することができ、射出の結合性がより良く、コストを低減する。
【0313】
温度測定機構を採用することによって、接続機構内部の端子温度を単独で監視することができ、他の位置の温度センサが破損して接続機構の温度を監視できなくなることを回避する。
【0314】
以上は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者は、本願の精神および範囲から逸脱することなく、本願の実施例に対して、出願書類に開示の内容に基づいて様々な変更または変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0315】
10、雄端接続機構;11、フラットリボン;12、雄端ハウジング;111、第1の外部絶縁層;112、第1の平角線コア;113、フラット式端子;1131、第1の折り曲げ部;13、インターロックコネクタ;
20、雌端接続機構;21、ダブルフラットリボン;22、雌端ハウジング;211、第2の外部絶縁層;212、第2の平角線コア;213、クランプ端子;2131、第2の折り曲げ部;214、平角導体;23、高電圧インターロック構造;
30、クリップ;31、側壁;32、弾性ユニット;
40、封止構造。
【図】
【国際調査報告】