(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】マルチモータ電気車両駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240905BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240905BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20240905BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/33
H02K9/19 A
B60K1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514740
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022074997
(87)【国際公開番号】W WO2023039333
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バシス、ディミトリ
【テーマコード(参考)】
3D235
5H605
5H609
5H611
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB20
3D235CC12
3D235CC13
5H605AA08
5H605CC01
5H605DD11
5H605EC20
5H609PP02
5H609QQ05
5H609RR01
5H609RR53
5H611TT01
(57)【要約】
マルチモータ電気車両駆動ユニットシステムは、第1駆動ユニットであって:第1モータ筐体;第1モータ筐体の底部にマウントされる第1油リザーバ;及び第1モータ筐体にマウントされる第1インバータ、ここで第1駆動ユニットは、第1インバータが第1配向を有するように設置される、を含む第1駆動ユニット;及び第2駆動ユニットであって、第2モータ筐体、ここで第2モータ筐体は第1モータ筐体と同一である;第2モータ筐体の底部にマウントされる第2油リザーバ、ここで第2油リザーバは第1油リザーバと異なる形状を有する;及び第2モータ筐体にマウントされる第2インバータ、ここで、第2駆動ユニットは、第2インバータが第2配向を有するように設置され、第2配向は第1配向と異なる、を含む第2駆動ユニットを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動ユニットであって:
第1モータ筐体;
前記第1モータ筐体の底部にマウントされる第1油リザーバ;及び
前記第1モータ筐体にマウントされる第1インバータ、ここで前記第1駆動ユニットは、前記第1インバータが第1配向を有するように設置される、
を含む第1駆動ユニット;及び
第2駆動ユニットであって、
第2モータ筐体、ここで前記第2モータ筐体は前記第1モータ筐体と同一である;
前記第2モータ筐体の底部にマウントされる第2油リザーバ、ここで前記第2油リザーバは前記第1油リザーバと異なる形状を有する;及び
前記第2モータ筐体にマウントされる第2インバータ、ここで、前記第2駆動ユニットは、前記第2インバータが第2配向を有するように設置され、前記第2配向は前記第1配向と異なる、
を含む第2駆動ユニット
を備えるマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項2】
前記第1モータ筐体及び前記第2モータ筐体の各々は円筒形状を有する、請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項3】
前記第2モータ筐体は、前記第1モータ筐体及び前記第2モータ筐体がダイカストされることに起因して前記第1モータ筐体と同一である、請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項4】
前記第1インバータは、前記第2インバータと同一の機械的構造を有する、請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項5】
前記第1インバータにおける第1ソフトウェア、前記第1ソフトウェアは、前記第1配向における前記第1インバータを用いて前記第1駆動ユニットの動作を制御するよう構成されている;及び
前記第2インバータにおける第2ソフトウェア、前記第2ソフトウェアは前記第1ソフトウェアと異なり、前記第2ソフトウェアは、前記第2配向における前記第2インバータを用いて前記第2駆動ユニットの動作を制御するよう構成されている、
を更に備える、請求項4に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項6】
前記第1駆動ユニットは更に、前記第1モータ筐体における第1マウントを含み、前記第1マウントは、前記第1インバータが前記第1配向を有するように前記第1駆動ユニットを設置するよう構成されている;及び
前記第2駆動ユニットは更に、前記第2モータ筐体における第2マウントを含み、前記第2マウントは前記第1マウントと異なり、前記第2マウントは、前記第2インバータが前記第2配向を有するように前記第2駆動ユニットを設置するよう構成されている、
請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項7】
前記第1駆動ユニットは更にブレースを含み、ここで前記第1マウントの第1端部は前記第1モータ筐体に接続し、ここで前記ブレースは前記ブレースの第2端部を前記第1モータ筐体に接続し、前記第2端部は前記第1端部と反対である、請求項6に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項8】
前記ブレース及び前記第1マウントは前記第1駆動ユニットについての熱交換器を包囲する、請求項7に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項9】
前記第1モータ筐体及び前記第2モータ筐体の各々は最初に第1排出ポート構造及び第2排出ポート構造を含み、ここで、前記第1モータ筐体の前記第1排出ポート構造は、第1排出ポートに加工され、ここで、前記第1モータ筐体の前記第2排出ポート構造は機能的でなく、ここで、前記第2モータ筐体の前記第1排出ポート構造は機能的でなく、ここで、前記第2モータ筐体の前記第2排出ポート構造は、第2排出ポートに加工される、請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項10】
前記第1モータ筐体及び前記第2モータ筐体の各々は最初に第1給油口構造及び第2給油口構造を含み、ここで、前記第1モータ筐体の前記第1給油口構造は第1給油口に加工され、ここで前記第1モータ筐体の前記第2給油口構造は機能的でなく、ここで前記第2モータ筐体の前記第1給油口構造は機能的でなく、ここで前記第2モータ筐体の前記第2給油口構造は第2給油口に加工される、請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項11】
前記第1モータ筐体及び前記第2モータ筐体の各々は更に、軸方向に延在する共通給油口流路を含み、ここで、前記第1給油口構造及び前記第2給油口構造は、前記共通給油口流路から反対方向に円周方向に延在する、請求項10に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項12】
前記第1給油口構造及び前記第2給油口構造の各々は、前記共通給油口流路からロータ回転軸の周りに約45度円周方向に延在する、請求項11に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項13】
前記第1駆動ユニット及び前記第2駆動ユニットは、前記第1配向及び前記第2配向がロータ回転軸の周りの前記第1駆動ユニットに対する前記第2駆動ユニットの回転を含むように設置される、請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項14】
前記回転は約90度である、請求項13に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項15】
前記第1モータ筐体は第1インバータマウントを含み、ここで前記第1インバータは、前記第1インバータマウントを使用して前記第1モータ筐体にマウントされ;及び
前記第2モータ筐体は第2インバータマウントを含み、前記第2インバータマウントは前記第1インバータマウントと同一であり、ここで前記第2インバータは前記第2インバータマウントを使用して前記第2モータ筐体にマウントされる、
請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項16】
前記第1駆動ユニットは更に、前記第1油リザーバを含む第1油系統を含み;及び
前記第2駆動ユニットは更に、前記第2油リザーバを含む第2油系統を含む、
請求項1に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項17】
前記第1油系統は更に、前記第1油リザーバにマウントされる第1油ポンプを含み;及び
前記第2油系統は更に、前記第2油リザーバにマウントされる第2油ポンプを含む、
請求項16に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項18】
前記第1油系統は第1共通油流路を形成し;及び
前記第2油系統は第2共通油流路を形成し、前記第2共通油流路は前記第1共通油流路と実質的に同一である、
請求項16に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項19】
前記第1油系統及び前記第2油系統の各々は、ロータ回転軸と中心を揃えられたナットを含み、前記ナットは、前記第1共通油流路及び前記第2共通油流路においてそれぞれ油の環を生成する、請求項18に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【請求項20】
前記第1駆動ユニット及び前記第2駆動ユニットの各々はアクティブコアを伴うロータを含み、ここで、前記ナットは更に、油が回転して前記ロータの前記アクティブコア内に入るようにマニホールドを形成するクロスドリル孔を含む、請求項19に記載のマルチモータ電気車両駆動ユニットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年9月7日に出願された、「マルチモータ電気車両駆動ユニット」と題する米国特許出願第63/260,948号の優先権を主張し、その開示は全体として本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本文書は、マルチモータ電気車両駆動ユニットに関連する。
【背景技術】
【0003】
高性能電気車両は、前方駆動ユニット及び後方駆動ユニットを使用して、全輪駆動を提供し得る。これらのモータは、高いボリュームで生産され得、典型的には、高圧ダイカストアルミニウム外部ケース部品を必要とする。また、前方及び後方駆動ユニットは、互いに非常に異なり得る。製造は、前方駆動ユニットのための専用の工場組み立てライン、及び、後方駆動ユニットのための完全に別の専用の工場組み立てラインを使用し得る。著しく異なる前方及び後方駆動ユニットを伴う設計は、複数の高圧ダイカスト設備及び専用の加工を必要とし、製造及び組み立てのためのコスト及び空間の要件が増加する。
【発明の概要】
【0004】
態様において、マルチモータ電気車両駆動ユニットシステムは、第1駆動ユニットであって:第1モータ筐体;第1モータ筐体の底部にマウントされる第1油リザーバ;及び第1モータ筐体にマウントされる第1インバータ、ここで第1駆動ユニットは、第1インバータが第1配向を有するように設置される、を含む第1駆動ユニット;及び第2駆動ユニットであって、第2モータ筐体、ここで第2モータ筐体は第1モータ筐体と同一である;第2モータ筐体の底部にマウントされる第2油リザーバ、ここで第2油リザーバは第1油リザーバと異なる形状を有する;及び第2モータ筐体にマウントされる第2インバータ、ここで、第2駆動ユニットは、第2インバータが第2配向を有するように設置され、第2配向は第1配向と異なる、を含む第2駆動ユニットを備える。
【0005】
実装は、以下の特徴のうちのいずれか又はすべてを含むことができる。第1及び第2モータ筐体の各々は円筒形状を有する。第2モータ筐体は、第1及び第2モータ筐体がダイカストされることに起因して第1モータ筐体と同一である。第1インバータは第2インバータと同一の機械的構造を有する。マルチモータ電気車両駆動ユニットシステムは、第1インバータにおける第1ソフトウェア、第1ソフトウェアは、第1配向における第1インバータを用いて第1駆動ユニットの動作を制御するよう構成されている;及び第2インバータにおける第2ソフトウェア、第2ソフトウェアは第1ソフトウェアと異なり、第2ソフトウェアは、第2配向における第2インバータを用いて第2駆動ユニットの動作を制御するよう構成されている、を更に備える。第1駆動ユニットは更に、第1モータ筐体における第1マウントを含み、第1マウントは、第1インバータが第1配向を有するように第1駆動ユニットを設置するよう構成されている;及び第2駆動ユニットは更に、第2モータ筐体における第2マウントを含み、第2マウントは第1マウントと異なり、第2マウントは、第2インバータが第2配向を有するように第2駆動ユニットを設置するよう構成されている。第1駆動ユニットは更にブレースを含み、ここで第1マウントの第1端部は第1モータ筐体に接続し、ここでブレースはブレースの第2端部を第1モータ筐体に接続し、第2端部は第1端部の反対である。ブレース及び第1マウントは第1駆動ユニットの熱交換器を包囲する。第1及び第2モータ筐体の各々は最初に第1排出ポート構造及び第2排出ポート構造を含み、ここで、第1モータ筐体の第1排出ポート構造は、第1排出ポートに加工され、ここで、第1モータ筐体の第2排出ポート構造は機能的でなく、ここで、第2モータ筐体の第1排出ポート構造は機能的でなく、ここで、第2モータ筐体の第2排出ポート構造は、第2排出ポートに加工される。第1及び第2モータ筐体の各々は最初に第1給油口構造及び第2給油口構造を含み、ここで、第1モータ筐体の第1給油口構造は第1給油口に加工され、ここで第1モータ筐体の第2給油口構造は機能的でなく、ここで第2モータ筐体の第1給油口構造は機能的でなく、ここで第2モータ筐体の第2給油口構造は第2給油口に加工される。第1及び第2モータ筐体の各々は更に、軸方向に延在する共通給油口流路を含み、ここで、第1及び第2給油口構造は、共通給油口流路から反対方向に円周方向に延在する。第1及び第2給油口構造の各々は、共通給油口流路からロータ回転軸の周りに約45度円周方向に延在する。第1及び第2駆動ユニットは、第1及び第2配向がロータ回転軸の周りの第1駆動ユニットに対する第2駆動ユニットの回転を含むように設置される。回転は約90度である。第1モータ筐体は第1インバータマウントを含み、ここで第1インバータは、第1インバータマウントを使用して第1モータ筐体にマウントされ;及び第2モータ筐体は第2インバータマウントを含み、第2インバータマウントは第1インバータマウントと同一であり、ここで第2インバータは第2インバータマウントを使用して第2モータ筐体にマウントされる。第1駆動ユニットは更に、第1油リザーバを含む第1油系統を含み;及び第2駆動ユニットは更に、第2油リザーバを含む第2油系統を含む。第1油系統は更に、第1油リザーバにマウントされる第1油ポンプを含み;及び第2油系統は更に、第2油リザーバにマウントされる第2油ポンプを含む。第1油系統は第1共通油流路を形成し;及び第2油系統は第2共通油流路を形成し、第2共通油流路は第1共通油流路と実質的に同一である。第1及び第2油系統の各々は、ロータ回転軸と中心を揃えられたナットを含み、ナットは、第1及び第2共通油流路においてそれぞれ油の環を生成する。第1及び第2駆動ユニットの各々はアクティブコアを伴うロータを含み、ここで、ナットは更に、油が回転してロータのアクティブコア内に入るようにマニホールドを形成するクロスドリル孔を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】マルチモータ電気車両駆動ユニットシステムの例を示す。
【0007】
【0008】
【0009】
【
図4】
図2における駆動ユニットの別の例示的な図を示す。
【0010】
【
図5】
図3における駆動ユニットの例示的な断面図を示す。
【0011】
【
図6】
図2における駆動ユニットのモータ筐体の例示的な図を示す。
【0012】
【
図7】
図3における駆動ユニットのモータ筐体の例示的な図を示す。
【0013】
【
図8】
図6のモータ筐体の例示的な断面図における給油口を示す。
【0014】
【
図9】
図7のモータ筐体の例示的な断面図における給油口を示す。
【0015】
【
図10】
図9における給油口の別の例示的な図を示す。
【0016】
【
図11】
図1~2における駆動ユニットのいずれかについての共通油流路を概念的にそれぞれ示す。
【0017】
【
図12】
図2~3における駆動ユニットのモータ筐体のいずれかについてのカバーをそれぞれ示す。
【0018】
【
図13】
図11における共通油流路の少なくとも一部を促進し得る構造の例を示す。
【0019】
【0020】
【0021】
【
図16】ロータ及びステータを伴う、
図2~3における駆動ユニットのモータ筐体のいずれかの例をそれぞれ示す。
【0022】
【0023】
【
図18】
図11の共通油流路の少なくとも一部を促進し得る構造の例を示す。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本文書は、マルチモータ電気車両アーキテクチャについての駆動ユニットを提供するためのシステム及び技法の例を記載する。マルチモータアーキテクチャは、2又はより多くの駆動ユニットを含み得る。駆動ユニットは、単にいくつかの例を挙げると、モータ、ギアボックス及びインバータを含み得る。本明細書に記載されるシステム及び技法は、車両設計の複雑性を低減し、設備要件を低減し、及び/又は、生産ラインコストを低減し得る。いくつかの実装において、電気駆動ユニットは、電気車両の前方モータベイ又は後方モータベイのいずれかに設置され得るように設計され得る。例えば、前方及び後方駆動ユニットは、同一のハードウェアの大部分を共有し得る。これにより、駆動ユニットが様々な利用可能な設置場所における異なる可能性がある構造的環境に適合可能であることを可能にしながら、デュアルモータ電気車両を組み立てるとき、複雑性を低減し得る。例えば、構築の複雑性、部品表(BOM)の複雑性、及び/又は、コストが著しく低減され得る。いくつかの実装において、前方及び後方駆動ユニット構成の両方は、同一の工場生産ラインで構築され得る。いくつかの実装において、モータ筐体は、ダイカストされるように設計され得、その結果、油(又は別の潤滑剤及び/又は冷却材)の内部通路が後に、有利なことに、穿孔及び/又は他の加工動作を実行することによって提供され得る。
【0029】
本明細書における例は、車両に言及する。車両は、乗員又は積荷、又はその両方を輸送する機械である。車両は、少なくとも1つのタイプの燃料、又は他のエネルギー源(例えば電気)を使用する1又は複数のモータを有することができる。車両の例は車、トラック、及びバスを含むが、これらに限定されない。車輪の数は複数のタイプの車両の間で異なってもよく、車輪のうちの1又は複数(例えば全て)は車両の推進のために使用され得る。車両は1又は複数の人を収容する乗員コンパートメントを含むことができる。単にいくつかの例を挙げると、車両は、電気のみによって動力を供給され得るか、又は、電気に加えて1又は複数の他のエネルギー源を使用し得る。
【0030】
本明細書の例は駆動ユニットに言及する。本明細書において使用される場合、駆動ユニットは、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する少なくとも1つの機械を含む。インバータは、直流を交流に変換することによって、駆動ユニットに動力を供給し得る。駆動ユニットはロータ及びステータを含み得る。例えば、駆動ユニットは、永久磁石モータを含み得る。別の例として、駆動ユニットは、誘導モータを含み得る。駆動ユニットは少なくとも1つのモータ筐体を含む。本明細書において使用される場合、駆動ユニットがロータ及びステータを含むとき、モータ筐体は実質的にロータ及びステータを含む。例えば、モータ筐体は、駆動ユニットのための主なハウジングとして機能し得る。いくつかの実装において、モータ筐体は略円筒形状を有し得る。いくつかの実装において、モータ筐体は鋳造処理によって形成され得る。例えば、(例えば、アルミニウム又は別の材料の)高圧ダイカストが使用され得る。
【0031】
図1は、マルチモータ電気車両駆動ユニットシステム100の例を示す。マルチモータ電気車両駆動ユニットシステム100は、ここで概略に示され、本明細書の他の箇所で記載される1又は複数の他の例と共に使用され得る。マルチモータ電気車両駆動ユニットシステム100は、駆動ユニット102A~102Bを含む。駆動ユニット102A~102Bの各々は、電気車両における前方駆動ユニット及び/又は後方駆動ユニットとして使用され得る。例えば、単にいくつかの例を挙げると、駆動ユニット102Aは、車両の後方において使用され得、駆動ユニット102Bは、車両の前方において使用され得、又は、その逆も同様である。
【0032】
駆動ユニット102Aはモータ筐体104Aを含み、駆動ユニット102Bはモータ筐体104Bを含む。モータ筐体104Bはモータ筐体104Aと同一であり得る。いくつかの実装において、モータ筐体104A~104Bは、共通のモールドキャビティを使用して鋳造処理において製造され得る。共通のモールドキャビティは、2又はより多くのダイによって形成され得る。例えば、アルミニウム又は別の金属の高圧ダイカストが実行され得る。いくつかの実装において、モータ筐体104A~104Bは各々、略円筒形状を有する。モータ筐体104Aは、ロータ108Aを収容するステータ106Aを含み得、モータ筐体104Bは、ロータ108Bを収容するステータ106Bを含み得る。いくつかの実装において、ロータ108A~108Bは、ディファレンシャルを伴うアクティブコアを有し得る。例えば、ディファレンシャルは、取り外し可能なディファレンシャルであり得る。
【0033】
駆動ユニット102Aは油リザーバ110Aを含み得、駆動ユニット102Bは油リザーバ110Bを含み得る。油リザーバ110Aは、駆動ユニット102Aの底部に位置し、油リザーバ110Bは、駆動ユニット102Bの底部に位置する。いくつかの実装において、油リザーバ110A~110Bの一方は、他方と異なる形状を有し得る。例えば、ステータ106A~106Bの1つにわたる油リザーバ110A~110Bの1つの(例えば、図示における水平方向に沿った)幅は異なり得る。別の例として、モータ筐体の1つからの油リザーバ110A~110Bの1つの(例えば、図示における鉛直方向の)深さは異なり得る。別の例として、ロータ108A~108Bの1つの回転軸に沿った油リザーバ110A~110Bの1つの(例えば、図示の平面に垂直な方向の)長さは異なり得る。油リザーバ110A~110Bは、代替的又は追加的に、1又は複数の他の差を有し得る。
【0034】
駆動ユニット102Aはインバータ112Aを含み得、駆動ユニット102Bはインバータ112Bを含み得る。インバータ112A~112Bは、互いに同一の機械的構造を有し得る。いくつかの実装において、そのソフトウェア(例えばファームウェア)の1又は複数の態様を除くインバータ112A~112Bのすべての特徴は、互いに同一であり得る。そのようなソフトウェアの態様は、インバータ112A又は112Bが使用されている駆動ユニットの配向に関連し得る。これらに限定されないが、示される配向のいずれか又は両方を含む、任意の配向が使用され得る。
【0035】
この図示において、現在の図示の観点から見たときに、駆動ユニット102Aの残りに関して実質的に9時の配向をインバータ112Aが有するように、駆動ユニット102Aが設置される。例えば、駆動ユニット102Aが車両の後方に設置されるとき、示される配向は、車両の後方端部を指すインバータ112Aに対応し得る。インバータ112Aは、駆動ユニット102Aの動作を制御するソフトウェア114Aを含み得る。いくつかの実装において、ソフトウェア114Aは、特定の配向(例えば、図示において駆動ユニット102Aが有する配向)における駆動ユニット102Aの動作を促進するよう構成され得る。ソフトウェア114Aの構成は、駆動ユニット102A及び/又はインバータ112Aが、駆動ユニット102Aに提供される電力を供給及び/又は制御するのに使用する1又は複数の参照フレームに関連し得る。ソフトウェア114Aは、ソフトウェア114Aがインバータ112Aにインストールされる前又は後のそのような動作のために構成され得る。いくつかの実装において、ソフトウェア114Aは、2又はより多くの配向において(例えば、車両の前方及び後方位置の両方において)、駆動ユニット102Aの使用をサポートする複数の動作モードを有し得る。設置後、ソフトウェア114Aは、駆動ユニット102Aの配向に基づいて適用可能である動作モードで動作させられ得る。例えば、データの1又は複数のビットが外部コンピューティングデバイスからインバータ112Aに提供(例えば、フラッシュ)され、ソフトウェア114Aに、選択されたモードで動作させ得る。ソフトウェア114Aを構成するための他のアプローチが使用され得る。
【0036】
上の対応する記載は、駆動ユニット102Bにおけるインバータ112Bに適用し得る。いくつかの実装において、現在の図示の観点から見たときに、駆動ユニット102Bの残りに関して実質的に正午(又は真昼)の配向をインバータ112Bが有するように、駆動ユニット102Bが設置される。例えば、駆動ユニット102Bが車両の前方に設置されるとき、示される配向は、上方を指すインバータ112Bに対応し得る。インバータ112Bは、駆動ユニット102Bの動作を制御するソフトウェア114Bを含み得る。いくつかの実装において、ソフトウェア114Bは、特定の配向(例えば、図示において駆動ユニット102Bが有する配向)における駆動ユニット102Bの動作を促進するよう構成され得る。ソフトウェア114Bの構成は、駆動ユニット102Bに提供される電力を供給及び/又は制御することに駆動ユニット102B及び/又はインバータ112Bが使用する1又は複数の参照フレームに関連し得る。ソフトウェア114Bは、ソフトウェア114Bがインバータ112Bにインストールされる前又は後のそのような動作のために構成され得る。いくつかの実装において、ソフトウェア114Bは、2又はより多くの配向において(例えば、車両の前方及び後方位置の両方において)、駆動ユニット102Bの使用をサポートする複数の動作モードを有し得る。設置後、ソフトウェア114Bは、駆動ユニット102Bの配向に基づいて適用可能である動作モードで動作させられ得る。例えば、データの1又は複数のビットが外部コンピューティングデバイスからインバータ112Bに提供(例えば、フラッシュ)され、ソフトウェア114Bに、選択されたモードで動作させ得る。ソフトウェア114Bを構成するための他のアプローチが使用され得る。
【0037】
駆動ユニット102A~102Bのいずれか又は両方は、車両におけるそれぞれの設置のための1又は複数のマウントを含み得る。ここで、駆動ユニット102Aは、マウント116Aを含むことを概略的に示され、駆動ユニット102Bは、マウント116Bを含むことが概略的に示される。マウント116A~116Bは、対応する配向でそれぞれの駆動ユニット102A~102Bを設置するように構成され得る。マウント116A~116Bは、それぞれのモータ筐体104A~104Bから延在し得、互いに異なり得る。いくつかの実装において、マウント116A~116Bの間の差は、少なくとも部分的に、車両内の異なる設置場所、及び、各場所に存在する周囲の構造に起因する。いくつかの実装において、マウント116A及び/又は116Bはまた、又は代わりに、それぞれのインバータ112A及び/又は112Bに接続し得る。例えば下で記載されるように、マウント116A及び/又は116B及びそれぞれのインバータ112A及び/又は112Bの間にブレースが使用され得る。
【0038】
駆動ユニット102A~102Bは、互いに対するそれらの配向が、ロータ回転軸の周りの回転を含むように、車両に設置され得る。いくつかの実装において、示される駆動ユニット102Aの配向は、インバータ112Aが、ロータ108Aの回転軸に関して特定の配向(例えば、9時の位置)を有することによって特徴付けられ得る。いくつかの実装において、示される駆動ユニット102Bの配向は、インバータ112Bが、ロータ108Bの回転軸に関して特定の配向(例えば、正午の位置)を有することによって特徴付けられ得る。設置における他方に関する駆動ユニット102A~102Bのいずれかの回転は、特定の角度に対応するものとして特徴付けられ得る。任意の角度が使用され得る。例えば、ここで、駆動ユニット102A~102Bは、互いに対して約90度の回転で設置される。油リザーバ110A~110Bは、それぞれのモータ筐体104A~104Bの底部にマウントされ得る。そのため、油リザーバ110A~110Bの位置は、上で論じられる回転とは無関係であり得る。
【0039】
以下の例は、上で言及される態様のいくつかを要約する。マルチモータ電気車両駆動ユニットシステム100は駆動ユニット102A~102Bを含み得る。駆動ユニット102Aは、モータ筐体104A、油リザーバ110A、及びインバータ112Aを含み得る。油リザーバ110Aは、モータ筐体104Aの底部にマウントされ得る。インバータ112Aは、モータ筐体104Aにマウントされ得る。駆動ユニット102Aは、インバータ112Aが(例えば、示されるように)第1配向を有するように設置され得る。また、駆動ユニット102Bは、モータ筐体104B、油リザーバ110B及びインバータ112Bを含み得る。モータ筐体104Bはモータ筐体104Aと同一であり得る。油リザーバ110Bは、モータ筐体104Bの底部にマウントされ得る。油リザーバ110Bは、油リザーバ110Aとは異なる形状を有し得る。インバータ112Bはモータ筐体104Bにマウントされ得る。駆動ユニット102Bは、インバータ112Bが(例えば、示されるように)第2配向を有するように設置され得る。第2配向は、第1配向と異なり得る。
【0040】
上の及び/又は本明細書に記載される他のアプローチは、電気車両に組み立てられるコンポーネントの製造可能性及び/又は組み合わせ可能性を改善し得る。モータ筐体104A~104Bが互いに同一である場合、それらは両方とも、同一の機器(例えば、ダイカスト機械)を使用して製造され得、それらは、ハンドヘルドであり得、互いに同一の機器(例えば1又は複数のロボット)を使用して設置され得る。また、異なるコンポーネントの数(例えば、BOM)が低減され得、ボリュームがより大きいので、材料及び/又はコンポーネントの調達(sourcing)をより効率的にできる。
【0041】
図2は駆動ユニット200の例を示す。駆動ユニット200は、本明細書の他の箇所に記載される1又は複数の他の例と共に使用され得る。いくつかの実装において、駆動ユニット200は駆動ユニット102B(
図1)の例である。駆動ユニット200は、少なくとも1つの軸202に結合され、車両の1又は複数の車輪に推進力を提供し得る。駆動ユニット200は、車両における複数の場所のいずれかに設置され得る。例えば、駆動ユニット200は、前方及び/又は後方モータとして設置され得る。
【0042】
駆動ユニット200はここで、モータ筐体204を含む。いくつかの実装において、モータ筐体204は、車両についての複数のモータを作るために使用されるモールドからダイカストされる。例えば、(例えば、アルミニウムの)高圧ダイカストが使用され得る。
【0043】
駆動ユニット200はここでインバータ206を含む。インバータ206は、回路、及び/又は、駆動ユニット200への電力の供給を制御する他の電気コンポーネントを含み得る。
【0044】
駆動ユニット200はここで、熱交換器208を含む。熱交換器208は、2又はより多くの熱伝達媒体の間で熱を伝達するために使用され得る。いくつかの実装において、熱交換器208は、インバータ206の冷却材からモータ筐体204についての冷却材へ熱を伝達し得る。例えば、インバータ206は水性冷却材を使用し得、モータ筐体204は油性冷却材を使用し得る。他のアプローチが使用され得る。
【0045】
駆動ユニット200は1又は複数のマウントを含み得る。ここで、駆動ユニット200は、モータ筐体204におけるマウント210A~210Bを含む。マウント210A及び/又は210Bは、インバータ206が特定の配向を有するように、駆動ユニット200を設置するために構成され得る。例えば、マウント210A及び/又は210Bは、インバータ206の配向が、モータ筐体204の最上部の上(例えば、上方)となるように促進し得る。
【0046】
駆動ユニット200は、1又は複数のブレースを含み得る。ここで、駆動ユニット200はブレース212A~212Bを含む。ブレース212A及び/又は212Bは、駆動ユニット200の設置を更にサポートするよう構成され得る。マウント210Aの第1端部はモータ筐体204に接続し得、ブレース212Aはマウント210Aの第2端部(第2端部は第1端部の反対にある)をモータ筐体204に接続し得る。それに対応して、マウント210Bの第1端部はモータ筐体204に接続し得、ブレース212Bはマウント210Bの第2端部(第2端部は第1端部の反対にある)をモータ筐体204に接続し得る。ブレース212A及び/又は212Bは、駆動ユニット200の1又は複数のコンポーネントを包囲し得る。例えば、ブレース212B及びマウント210Bはここで、熱交換器208を包囲する。
【0047】
駆動ユニット200は油系統を含み得る。油系統の一部はここで、例示の目的で示される。油系統は、モータ筐体204の底部にマウントされた油リザーバ214を含む。油リザーバ214は、モータ筐体204から排出される油を収集するように機能し得る。油系統は、油リザーバ214にマウントされた油ポンプ216を含み得る。いくつかの実装において、油ポンプ216は、1又は複数の導管を通じて油を駆動することによって油系統において油を循環させ得る。例えば、油ポンプ216は、油リザーバ214から、油フィルタを通じて、次に、熱交換器208を通じて、次に、インバータ206における1又は複数の流路(例えば、穿孔部)を通じて、その後、再び1又は複数の場所におけるモータ筐体204の内部へ油を押し出し得る。そのような循環が生じる油流路は、駆動ユニットの2又はより多くの設置の間で実質的に同等であり得、配向に基づく小さい違いだけを伴うという点で、共通油流路として特徴付けられ得る。
【0048】
図3は駆動ユニット300の別の例を示す。駆動ユニット300は、本明細書の他の箇所に記載される1又は複数の他の例と共に使用され得る。駆動ユニット300のいくつかの態様は、駆動ユニット200(
図2)と同様に記載される。いくつかの実装において、駆動ユニット300は駆動ユニット102A(
図1)の例である。駆動ユニット300は、少なくとも1つの軸302に結合され、車両の1又は複数の車輪に推進力を提供し得る。駆動ユニット300は、車両における複数の場所のいずれかに設置され得る。例えば、駆動ユニット300は、後方及び/又は前方モータとして設置され得る。
【0049】
駆動ユニット300はここで、モータ筐体304を含む。いくつかの実装において、モータ筐体304は、車両についての複数のモータを作るために使用されるモールドからダイカストされる。例えば、(例えば、アルミニウムの)高圧ダイカストが使用され得る。
【0050】
駆動ユニット300はここで、インバータ306を含む。インバータ306は、回路、及び/又は、駆動ユニット300への電力の供給を制御する他の電気コンポーネントを含み得る。
【0051】
駆動ユニット300はここで、熱交換器308を含む。熱交換器308は、2又はより多くの熱伝達媒体の間で熱を伝達するために使用され得る。いくつかの実装において、熱交換器308は、インバータ306の冷却材からモータ筐体304についての冷却材へ熱を伝達し得る。例えば、インバータ306は水性冷却材を使用し得、モータ筐体304は油性冷却材を使用し得る。他のアプローチが使用され得る。
【0052】
駆動ユニット300は1又は複数のマウントを含み得る。ここで、駆動ユニット300は、モータ筐体304におけるマウント310A~310Bを含む。マウント310A及び/又は310Bは、インバータ306が特定の配向を有するように駆動ユニット300を設置するように構成され得る。例えば、マウント310A及び/又は310Bは、車両において後方を向くようにインバータ306の配向を促進し得る。
【0053】
駆動ユニット300は油系統を含み得る。油系統の一部はここで、例示の目的で示される。油系統は、モータ筐体304の底部にマウントされた油リザーバ312を含む。油リザーバ312は、モータ筐体304から排出される油を収集するように機能し得る。油系統は、油リザーバ312にマウントされた油ポンプ314を含み得る。いくつかの実装において、油ポンプ314は、1又は複数の導管を通じて油を駆動することによって油系統において油を循環させ得る。例えば、油ポンプ314は、油リザーバ312から、油フィルタを通じて、次に、熱交換器308を通じて、次に、インバータ306における1又は複数の流路(例えば、穿孔部)を通じて、その後、再び1又は複数の場所におけるモータ筐体304の内部へ油を押し出し得る。そのような循環が生じる油流路は、駆動ユニットの2又はより多くの設置の間で実質的に同等であり得、配向に基づく小さい違いだけを伴うという点で、共通油流路として特徴付けられ得る。
【0054】
図4は、
図2における駆動ユニット200の別の例示的な図を示す。油系統の油リザーバ214は、ロータ回転軸の方向においてモータ筐体204の底部に沿って延在する。
【0055】
図5は、
図3における駆動ユニット300の例示的な断面図を示す。油リザーバ312は、相対的に狭い空間における駆動ユニット300の設置を促進する形状であり得る。油リザーバ312の1又は複数の寸法は、適宜に選択され得る。例えば、油リザーバ312は、モータ筐体304からラジアル方向(例えばz方向)に相対的に小さい深さを有し得る。
【0056】
本明細書に記載される1又は複数のコンポーネントは、駆動ユニットの異なる設置(例えば、前方及び後方バージョンのいずれか)において使用され得ると言及された。そのようなコンポーネントは、異なる設置の各々に最初に適合可能であるように製造され得る。特定のコンポーネントについての設置が指定されると、そのコンポーネントは、特定のタイプの設置にそれを合わせるために1又は複数の方式で適合され得る。例えばそのような適合は、最初に存在する構造の1又は複数の、機能的構造への加工を実行し、一方で、1又は複数の同様の最初に存在する他の構造を加工せず、それにより、他の構造を機能的でないままにすることを含み得る。下に記載される例はこれを示す。
【0057】
図6は、
図2における駆動ユニット200のモータ筐体204の例示的な図を示す。モータ筐体204は、複数の異なる配向のいずれかにおける使用のために構成され得る。いくつかの実装において、モータ筐体204は、インバータマウント600が駆動ユニットの残りに対して上方を向くように使用され得る。例えば、この配向は、車両における特定の場所(例えば、前方)における設置に関連付けられ得る。
【0058】
ここで、モータ筐体204には、排出ポート602A及び604Aが設けられている。排出ポート602A及び604Aは、設置されたときにモータ筐体204の底部となる場所に、又は、それに向むくように位置し得る。排出ポート602A及び604Aは、それぞれ、排出ポート構造602B及び604Bにおいて加工され得る。すなわち、モータ筐体204は、排出ポート構造602B及び604Bを含むように製造(例えば、ダイカスト)され得る。示される配向における動作を促進するために、排出ポート602A及び604Aは、それぞれ、排出ポート構造602B及び604Bにおいて加工され得る(例えば、穿孔される及び/又は別の方法で設置される)。これにより、モータ筐体204の製造における有用な柔軟性を提供し得る。例えば、製造(例えば、鋳造)されたときのモータ筐体204は最初に、排出ポート構造602B及び604B、及びまた、異なる配向における動作に関連付けられた1又は複数の他の排出ポート構造の両方を含み得る。モータ筐体204において、それらの他の排出ポート構造は、加工されず、機能的でないままである。
【0059】
ここで、モータ筐体204には給油口606Aが設けられている。給油口606Aは、設置されたときにモータ筐体204の最上部となる場所に、又は、それに向かって油を導入するように位置し得る。給油口606Aは、給油口構造606Bにおいて加工され得る。すなわち、モータ筐体204は、給油口構造606Bを含むように製造(例えば、ダイカスト)され得る。示される配向における動作を促進するために、給油口606Aは、給油口構造606Bにおいて加工され得る(例えば、穿孔される及び/又は別の方法で設置される)。これにより、モータ筐体204の製造における有用な柔軟性を提供し得る。例えば、製造(例えば、鋳造)されたときのモータ筐体204は、給油口構造606B、及びまた、異なる配向における動作に関連付けられた1又は複数の他の給油口構造の両方を含み得る。モータ筐体204において、当該他の給油口構造は、加工されず、機能的でないままである。
【0060】
図7は、
図3における駆動ユニット300のモータ筐体304の例示的な図を示す。モータ筐体304のいくつかの態様が、モータ筐体204(
図6)と同様に記載される。モータ筐体304は、複数の異なる配向のいずれかにおける使用のために構成され得る。いくつかの実装において、モータ筐体304は、インバータマウント700が駆動ユニットの残りに対して側方を向くように使用され得る。例えば、この配向は、車両における特定の場所(例えば、後方)における設置に関連付けられ得る。
【0061】
ここで、モータ筐体304には、排出ポート702A及び704Aが設けられている。排出ポート702A及び704Aは、設置されたときにモータ筐体304の底部となる場所に、又は、それに向むくように位置し得る。排出ポート702A及び704Aは、それぞれ、排出ポート構造702B及び704Bにおいて加工され得る。すなわち、モータ筐体304は、排出ポート構造702B及び704Bを含むように製造(例えば、ダイカスト)され得る。示される配向における動作を促進するために、排出ポート702A及び704Aは、それぞれ、排出ポート構造702B及び704Bにおいて加工され得る(例えば、穿孔される及び/又は別の方法で設置される)。これにより、モータ筐体304の製造における有用な柔軟性を提供し得る。例えば、製造(例えば、鋳造)されたときのモータ筐体304は最初に、排出ポート構造702B及び704B、及びまた、異なる配向における動作に関連付けられた1又は複数の他の排出ポート構造の両方を含み得る。モータ筐体304において、それらの他の排出ポート構造は、加工されず、機能的でないままである。
【0062】
ここで、モータ筐体304には給油口706Aが設けられている。給油口706Aは、設置されたときにモータ筐体304の最上部となる場所に、又は、それに向かって油を導入するように位置し得る。給油口706Aは、給油口構造706Bにおいて加工され得る。すなわち、モータ筐体304は、給油口構造706Bを含むように製造(例えば、ダイカスト)され得る。示される配向における動作を促進するために、給油口706Aは、給油口構造706Bにおいて加工され得る(例えば、穿孔される及び/又は別の方法で設置される)。これにより、モータ筐体304の製造における有用な柔軟性を提供し得る。例えば、製造(例えば、鋳造)されたときのモータ筐体304は、給油口構造706B、及びまた、異なる配向における動作に関連付けられた1又は複数の他の給油口構造の両方を含み得る。モータ筐体304において、他の給油口構造は、加工されず、機能的でないままである。
【0063】
図8は、
図6のモータ筐体204の例示的な断面図における給油口606Aを示す。すなわち、給油口606Aはここで(給油口構造606Bから、
図6を参照)加工され、一方、給油口構造706Bは加工されず(すなわち、
図7と異なる)、ここで機能的でないままである。他のアプローチが使用され得る。給油口606Aは、モータ筐体204のロータ回転軸に沿って軸方向に延在する共通給油口800と流体連通し得る。すなわち、共通給油口800は、製造(例えば、鋳造)されたときのモータ筐体204の部品であり得、給油口606A又は別の給油口(例えば、
図7における給油口706A)のいずれかと共に使用され得る。
【0064】
図9は、
図7のモータ筐体304の例示的な断面図における給油口706Aを示す。すなわち、給油口706Aは、ここで(給油口構造706Bから、
図7を参照)加工され、一方、給油口構造606Bは、加工されず(すなわち、
図6と異なる)、ここで機能的でないままである。他のアプローチが使用され得る。給油口706Aは、共通給油口800と流体連通し得る。すなわち、共通給油口800は、製造されたとき(例えば、鋳造されたとき)のモータ筐体304の部品であり得、給油口706A又は別の給油口(例えば、
図6における給油口606A)のいずれかと共に使用され得る。給油口構造706A及び706Bは、例えば示されるように、ロータ回転軸の周りに共通給油口800から反対方向円周方向に延在し得る。いくつかの実装において、給油口構造706A及び706Bは、モータ筐体304のそれぞれの半径の間に概略的に示されるように、角度900にわたって円周方向に延在する。角度900は任意の値を有し得る。例えば、角度900は、約45度であり得る。
【0065】
図10は、
図9の給油口706Aの別の例示的な図を示す。例は、給油口706Aが共通給油口800から、本質的にモータ筐体304の最上部にある開口部内へ油を導入するよう構成されていることを示す。
【0066】
図11は、
図2~3のそれぞれの駆動ユニット200又は300のいずれかについての共通油流路1100を概念的に示す。共通油流路1100は、本明細書の他の箇所で記載される1又は複数の他の例と共に使用され得る。共通油流路1100は、油が駆動ユニットにおいて循環され得るときに通るキャビティ、通路、又は他の開口部を示す。明確にするために、そのようなキャビティ、通路、又は他の開口部を画定する周囲の構造は、図示において示されていない。むしろ、(循環する)油のボディの形状だけが描かれている。
【0067】
共通油流路1100は、図示の左側に向かって開始する共通給油口1102を含み得る。例えば共通給油口1102は共通給油口800(
図8~9)に対応し得る。駆動ユニット200(
図2)において、共通油流路1100は、駆動ユニット300(
図3)における共通油流路1100と実質的に同一であり得が、配向に起因する小さい違いを除く。例えば、共通油流路1100は、給油口1104A又は給油口1104B(部分的に表示されず、給油口1104Aと同様の形状である)を含み得る。給油口1104Aは給油口606A(
図8)に対応し得、給油口1104Bは給油口706A(
図9)に対応し得る。そのため、共通油流路1100は、給油口1104A~1104Bの一方だけを有し、他方を有しないことがあり得る。
【0068】
共通給油口1102は、給油口1104A又は1104Bを越えて延在し続け、リング1106を形成する。いくつかの実装において、リング1106は、油をモータ筐体の端部カバーに又はその近くに提供し得る。例えば、これにより、ステータ巻線の端部の曲がりにおける冷却を促進し得る。共通油流路1100はフィード1108を含み得る。いくつかの実装において、フィード1108は、リング1106に関して実質的にラジアル方向であり得る。例えば、フィード1108は、油が駆動ユニットの回転中心に又はその近くに提供されることを促進し得る。共通油流路1100は、ロータの端部における油の流れのためのマニホールド1110を提供し得る。いくつかの実装において、これにより、油をロータ軸上に及び/又はその内部に与え得る。例えば、これにより、ディファレンシャル及び/又はアクティブコアのための冷却を提供し得る。
【0069】
共通油流路1100はフィード1112を含む。いくつかの実装において、フィード1112は、モータ筐体の別の端部に向かう油の流れを促進し得る。例えば、フィード1112は、リング1114への油の流れを提供し得る。リング1114は、駆動ユニットのステータの他の端部の曲がりの冷却を提供し得る。例えば、リング1114は、油をステータ末端に又はその近くに供給し得る。別の例として、フィード1112は油の流れをブランチ1116に提供し得る。ブランチ1116は、油を駆動ユニットの回転中心に又はその近くに提供し得る。上に記載された共通油流路1100の態様のいずれかによって分配される油は、最終的に重力によってモータ筐体の底部に又はその近くに収集され得る。例えば、1又は複数の排出ホース(例えば、本明細書の他の箇所に記載される)は、蓄積された油が油リザーバ及び/又は油ポンプ内へ出ることを促進し得る(例えば、本明細書の他の箇所において記載される)。
【0070】
図12は、
図2~3のそれぞれの駆動ユニット200及び300のモータ筐体204又は304のいずれかについてのカバー1200を示す。カバー1200は、本明細書の他の箇所において記載される1又は複数の他の例と共に使用され得る。カバー1200は、ロータ軸の1つの端部を保持し得、モータ筐体内部の1又は複数の場所への油の分配を促進し得る。そのため、カバー1200は、例えば下に記載されるように、1又は複数の通路、形状、及び/又は、油の流れを誘導することを助ける他の構造を含み得る。
【0071】
図13は、
図11における共通油流路1100の少なくとも一部を促進し得る構造1300の例を示す。
図14は、
図13の構造1300の別の例示的な図を示す。構造1300は、本明細書の他の箇所に記載される1又は複数の他の例と共に使用され得る。例えば、構造1300はカバー1200に含まれ得る(
図12)。構造1300は、1又は複数の通路、形状、及び/又は、油の流れを誘導するための他の構造を含み得る。例えば、構造1300は、(例えば、
図1におけるステータ106A及び/又は106Bの)ステータ末端のそれぞれの位置に対応する開口部1302を含む。別の例として、構造1300は、(例えば、
図1におけるステータ106A及び/又は106Bの)ステータラグのそれぞれの位置に対応する開口部1304を含む。いくつかの実装において、構造1300は、共通油流路1100(
図11)の少なくとも一部を提供し得る。例えば、構造1300は、少なくともリング1114(
図11)を提供し得る。別の例として、構造1300は、ブランチ1116(
図11)の少なくとも一部を提供し得る。
図15は、
図13の構造1300の例示的な断面図を示す。開口部1500は、ブランチ1116(
図11)を通って出口1502へ向かう油の流れを促進し得る。
【0072】
図16は、ロータ1600及びステータ1602と共に、
図2~3におけるそれぞれの駆動ユニット200及び300のモータ筐体204又は304のいずれかの例を示す。ロータ1600はここで、アクティブコアを含む。例えば、ロータ1600は、中空ロータ軸内部に配置されるディファレンシャルを含み得る。駆動ユニットは、ロータ回転軸と中心を揃えたナット1604を含む。ナットは、少なくともロータ1600を冷却する油の環を生成し得る。そのような油の環は、共通油流路において循環する油の一部として形成され得る(例えば
図11)。
【0073】
図17は、
図16のモータ筐体の例を示す。プラグ1700は、駆動ユニットにおいて少なくとも2つの役割を果たし得る。第1に、プラグ1700は、共通油流路1702(
図11における共通油流路1100と比較)の油を、共通油流路1702の一部でもある流路1704内に誘導し得る。第2に、プラグ1700は、油が流路1704の端部を通じてインバータ1706内に漏れることを防止し得る。
【0074】
図18は、
図11における共通油流路1100の少なくとも一部を促進し得る構造1800の例を示す。
図19は、
図18の構造1800の別の例示的な図を示す。構造1800は、本明細書の他の箇所に記載される1又は複数の他の例と共に使用され得る。例えば、構造1800は、カバー1200(
図12)に含まれ得る。構造1800は、1又は複数の通路、形状、及び/又は、油の流れを誘導するための他の構造を含み得る。いくつかの実装において、構造1800は、少なくともフィード1108(
図11)を提供し得る。
図20は、
図18の構造1800の例示的な断面図を示す。開口部2000は、フィード1108(
図11)を通って出口2002へ向かう油の流れを促進し得る。
【0075】
図21は、
図16のナット1604の別の例示的な断面図を示す。ナット1604は、本明細書の他の箇所に記載される1又は複数の他の例と共に使用され得る。ナット1604は更に、マニホールドを形成する少なくとも1つのクロスドリル孔2100を含み、その結果、油は回転してロータのアクティブコアに入る。いくつかの実装において、これによりマニホールド1110(
図11)を提供し得る。例えば、クロスドリル孔2100は、油を流路1704(
図17)から中空ロータ軸のアクティブコアへ向かって運ぶように機能し得る。
【0076】
本明細書の全体を通して使用される「実質的に」及び「約」という用語は、処理時のばらつきに起因するものなどの小さい変動を説明及び報告するために使用される。例えば、それらは、±5%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±2%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±1%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±0.5%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±0.2%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±0.1%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±0.05%よりも小さい又はそれに等しいことを指し得る。また、本明細書において使用される場合、「a」又は「an」などの不定冠詞は「少なくとも1つ」を意味する。
【0077】
上記の概念及び以下でより詳細に論じられる追加の概念の全ての組み合わせが(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)、本明細書において開示されている本発明の主題の一部であると企図されていることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題の全ての組み合わせが、本明細書において開示されている本発明の主題の一部であると企図されている。
【0078】
複数の実装を説明してきた。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されるであろう。
【0079】
加えて、図に描かれている論理フローは、望ましい結果を実現するために、示されている特定の順序、又は連続した順序を必要としない。加えて、他の処理が提供されてよく、又は説明されたフローから処理が排除されてよく、説明されたシステムに他のコンポーネントが追加されてよく、又は説明されたシステムから他のコンポーネントが削除されてよい。したがって、他の実装が以下の特許請求の範囲に記載の範囲内に含まれる。記載される実装の特定の特徴が、本明細書に記載されるように示されているが、当業者であれば、多くの修正、置換、変更及び同等物をここで想到するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、これらの実装の範囲に含まれる全てのそのような修正及び変更を包含するように意図されていることが理解されるべきである。それらは限定ではなく単なる例として提示されており、形態及び詳細の様々な変更が行われてよいことを理解されたい。相互に排他的な組み合わせを除き、本明細書において説明されている装置及び/又は方法の任意の部分が任意の組み合わせで組み合わされてよい。本明細書において説明されている実装は、説明されている異なる実装の機能、コンポーネント及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は副次的組み合わせを含み得る。
【国際調査報告】