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特表2024-533290多層耐油電気機械式合成HEPA媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】多層耐油電気機械式合成HEPA媒体
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20240905BHJP
   B01D 39/14 20060101ALI20240905BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20240905BHJP
   B03C 3/28 20060101ALI20240905BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20240905BHJP
   D04H 1/4242 20120101ALI20240905BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B01D39/14 E
B01D39/16 E
B01D39/20 B
B03C3/28
B01D46/10 A
B01D46/10 E
D04H1/4242
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514752
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 US2022042748
(87)【国際公開番号】W WO2023038965
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,267
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519161665
【氏名又は名称】コロンバス・インダストリーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】COLUMBUS INDUSTRIES, Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100096725
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 明▲ひこ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】バルディンガー、ラッセル・エル
【テーマコード(参考)】
4D019
4D054
4D058
4L047
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019AA02
4D019BA03
4D019BA04
4D019BA13
4D019BB03
4D019BC01
4D019BC05
4D019BD01
4D019CA02
4D019DA03
4D054AA11
4D054BC01
4D054BC16
4D058JA13
4D058JB25
4D058JB39
4D058QA01
4D058QA21
4D058SA01
4D058SA15
4D058TA03
4D058TA07
4L047AA03
4L047CB10
4L047CC08
(57)【要約】
低抵抗の油性エアロゾルチャレンジによるHEPA効率が必要とされる用途で使用するための、大きな圧力降下がありガラスマイクロファイバーHEPA媒体に代わる複合媒体。複合媒体は、2つの軽量光濾過層を含み、その一方または両方が荷電され、材料の効率は、同じ重量の材料を含む単一層よりも大幅に増加することができる。複合媒体は、濾過層に機械的支持を提供するためのバッカー層を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ガス濾過媒体であって、
(a)複合ガス濾過媒体を機械的に支持し、それを通って流れるガスを予備濾過するための、上流表面および下流表面を有するバッカー層と、
(b)上流表面および下流表面を有する第1の不織布濾過層であって、前記第1の不織布濾過層の上流表面が前記バッカー層の下流表面に取り付けられている、第1の不織布濾過層と、
(c)上流表面および下流表面を有する第2の不織布濾過層であって、前記第2の不織布濾過層の上流表面が前記第1の不織布濾過層の下流表面に取り付けられ、少なくとも静電的に帯電されている、第2の不織布濾過層と、
からなる複合ガス濾過媒体。
【請求項2】
前記第1の不織布濾過層が静電気的に帯電している、請求項1に記載の複合ガス濾過媒体。
【請求項3】
前記バッカー層が、前記複合ガス濾過媒体を通って流れる任意のガスから所定の気体種を除去するための炭素質材料を含む、請求項1に記載の複合ガス濾過媒体。
【請求項4】
前記バッカー層が、少なくとも前記第1の不織布濾過層の下流に配置される、請求項3に記載の複合ガス濾過媒体。
【請求項5】
(a)長期間の人の呼吸に有害な量の油性粒子を含む空気を含む部屋、および
(b)前記部屋に配置されるインペラと、該インペラに隣接して配置される複合ガス濾過媒体を備える装置であって、
該インペラが作動しているとき、前記部屋内の空気の少なくとも一部が該複合ガス濾過媒体を通って強制的に送られ、該油性粒子の少なくとも一部を除去し、
前記複合ガス濾過媒体は、
(i)複合媒体を機械的に支持するための、上流表面および下流表面を有するバッカー層と、
(ii)上流表面および下流表面を有する第1の不織布濾過層であって、該第1の層の上流表面が前記バッカー層の下流表面に取り付けられている、第1の不織布濾過層と、
(iii)上流表面および下流表面を有する第2の不織布濾過層であって、前記第2の不織布濾過層の上流表面が前記第1の不織布濾過層の下流表面に取り付けられ、少なくとも静電的に帯電される、第2の不織布濾過層と、
を含む、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
空気から油性粒子を除去する方法であって、
(a) 空気を強制する複合ガス濾過媒体を通して工程であって、
ここで、前記複合ガス濾過媒体が、
(i)複合媒体を機械的に支持するためのバッカー層であって、上流表面および下流表面を有するバッカー層と、
(ii)上流表面および下流表面を有する第1の不織布濾過層であって、前記第1の不織布濾過層の上流表面が前記バッカー層の下流表面に取り付けられている、第1の不織布濾過層と、
(iii)上流表面および下流表面を有する第2の不織布濾過層であって、前記第2の不織布濾過層の上流表面が前記第1の不織布濾過層の下流表面に取り付けられ、少なくとも帯電されている第2の不織布濾過層と、を有し、
(b)前記第1の不織布濾過層を通過する空気中の非油性粒子の少なくとも約99%を第1の不織布濾過層で処理する工程と
(c)第2の不織布濾過層を通過する空気中の油性粒子の少なくとも約99%を第2の不織布濾過層で処理する工程と、
を有する方法。
【請求項7】
前記第2の不織布濾過層に配置する工程が、第2の不織布濾過層に配置される油性粒子の静電引力を含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には濾過媒体に関し、より詳細には、多層を有し、油性エアロゾルによって悪影響を受けないガラスおよび/または合成不織布濾過媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の合成HEPA材料は、空気中の乾燥(非油性)粒子を濾過するように設計され、使用されている。HEPA効率(0.1ミクロン以上のもので99.97%以上)で油性エアロゾルを濾過するために使用される従来の材料は、ガラスマイクロファイバーであった。ガラスマイクロファイバーは、従来、非常に小さなガラス繊維を用いて製造されている(この繊維は、液体溶液中に均一に混合され、液体パルプから紙が製造される方法と同様にして連続シートになるように乾燥される)。この従来の濾過材製造方法で製造された材料は非常に高密度であり、従って、小さな粒子を捕捉する非常に効率的な機械的な手段を作り出す。捕捉する手段は機械的(すなわち、粒子を歪ませる)であるため、これらの材料は乾燥エアロゾルと油性エアロゾルを同等に容易に捕捉する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような構造の欠点は、濾過材を通る空気流に対する抵抗が非常に高いことである。これを別の言い方で言えば、そのような濾過材には大きな圧力降下がある。
【0004】
ガラスマイクロファイバーから作られた従来の濾過材は非常に大きく(すなわち、広い表面積)なければならず、これらの濾過材を通して空気を移動させるために使用される器具は、そこを流れる高い抵抗を克服するために高度の力を有していなければならない。高電力機器に対するこの要求は、機器のコストおよび電力消費を増加させ、典型的には、人々がいらいらするようなより高い動作ノイズをもたらす。このように、油性エアロゾルに対する耐性が必要な場合、従来、媒体を形成するために高耐性の機械的濾過材料が使用されるが、この媒体は、空気を媒体に強制的に通すために大きなモーターを必要とする。これらの大きくてノイズの多い器具を克服するために、業界では、低抵抗の静電帯電濾過材料に目が向けられている。
【0005】
従来の荷電繊維濾過媒体の効率は、油性エアロゾルに曝露されると悪影響を受ける。このジレンマに対する典型的なアプローチは、メルトブローンプロセスを用いて作製された、重い重量の帯電繊維材料の単一層を使用することである。困難な点は、メルトブローン媒体のための全ての公知の帯電方法が、重量が増加するにつれて材料に印加され得る電荷の量に関して制限を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
低抵抗の油性エアロゾルチャレンジによるHEPA効率が要求される用途で使用するための、高抵抗(大きな圧力降下)の機械的なガラスマイクロファイバーHEPA媒体の代替として開発された複合媒体を本明細書で開示する。開示された媒体は、少なくとも2つのより軽い濾過層を含み、その少なくとも1つの下流側の層は荷電され、その上流側の層は、そうでなければ下流側の層の荷電をマスクする空気流中の粒子の大部分または全てを除去する。開示された媒体はまた、上流に配置されると、機械的支持、予備濾過を提供し、かつ、濾過層をプリーツ加工して、拡張表面、低抵抗、HEPA濾過材を形成することができる手段を提供するバッカー層を含む。材料の効率は、本明細書に記載される濾過層の合計重量と同じ重量の材料を含有する単一層の場合を超えて大幅に増加させることができる。
【0007】
開示された実施形態は、油性エアロゾルの非常に高い除去および空気流に対する低い抵抗が必要とされる空気を濾過するための低い圧力降下の代替案を提供する。開示された媒体は、同等重量の従来の媒体よりも、より長い寿命、より低い圧力降下、およびより高い効率を有する。
【0008】
この媒体の1つの考えられる用途は、火災または洪水の影響を受けた区域の空気を清浄にするために使用される修復および回復空気移動器具である。別の意図された用途は、室内空気浄化である。この技術は住宅用および工業用のHVACシステムで使用することができるが、これは好ましい用途ではない。
【0009】
開示された媒体の使用前では、高出力機器を使用せずに油性エアロゾルを濾過する場合にHEPA効率を得ることは不可能であった。その代わりに、従来はガラス繊維が使用されており、これらの繊維を使用する圧力降下は許容できないほど高かった。開示された媒体を用いることで、油性エアロゾルを濾過する際にHEPA効率を得ることができ、圧力降下は、従来技術を用いた場合よりも実質的に小さい。
【0010】
開示された媒体は、濾過および/または静電引力によって空気中の非油性粒子の大部分または全部を除去する上流濾過層を有する。このように、油性エアロゾル粒子が帯電した下流の濾過層に到達すると、油性粒子は静電引力によって空気流から除去される。このように、非油性粒子の大部分は上流の濾過層を通過しないので、下流層の静電引力は非油性粒子によってマスクされず、あるいはそれほど迅速にマスクされない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の第1の実施形態を示す断面概略側面図である。
図2図2は本発明の第2の実施形態を示す断面概略側面図である。
図3図3は本発明の実施形態を濾過層の形態で示す断面の概略側面図である。
図4図4は、従来のHVACシステムにおける本発明の実施形態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面に例示されている本発明の好ましい実施形態を説明する際に、明確にするために特定の用語を用いる。しかし、本発明がそのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、各特定の用語は、同様の目的を達成するために同様の方法で動作する全ての技術的等価物を含むことが理解されるべきである。例えば、連結という言葉やそれに類似する言葉がよく使われている。これらは、直接接続に限定されず、当業者によって同等であると認識される他の要素を介した接続を含む。
【0013】
本明細書では、図1に示すように、少なくとも3つの層、すなわちバッカー層10と、バッカー層10に取り付けられた2つの濾過層12および14とを含む複合媒体8を開示する。図1の実施形態では、流動する空気16はまずバッカー層10に接触する。媒体8は、好ましくは、最も上流の層としてのバッカー層10と、それに続く(下流に進む)濾過層12および14とで構成される。濾過層12及び14は、同一であってもよく、又は実質的に異なっていてもよい。一方または両方の濾過層は、粒子除去のために帯電されてもよいが、複合媒体8の最も下流にある少なくとも第2の濾過層14は、粒子を除去するために帯電される。
【0014】
一実施形態では、媒体の全ての層は合成(ポリマー)である。別の実施形態では、媒体の全ての層はガラスである。さらに別の実施形態では、媒体の層の各々は、合成材料とガラスとの組み合わせである。さらに別の実施形態では、各層は、1種類の材料のみからなるが、合成材料とガラスとの間で材料の種類が異なる。バッカー層10は、合成繊維またはガラス繊維のような任意の材料であってよい不織布媒体であることが好ましい。繊維は、粗くても細かくてもよく、例えば、バッカー層の繊維は、直径が10から40ミクロンであってもよい。バッカー層10は、直接または別の層を介して、それに適用される濾過層12および14のための「キャリア」および「支持層」として使用され、したがって、バッカー層10は、濾過層12および14に機械的支持を提供する。バッカー層10は、好ましくは、それを通る空気の流れを実質的に抑制しない。すなわち、バッカー層10のみを通る圧力降下は、一般的な装置によって測定した場合、ゼロないしほぼゼロである。
【0015】
層は、(例えば、従来の方法での設置を可能にする剛性フレームを有する)濾過層の形態で組み立てられ、空気移動器具が火災または洪水の影響を受けた領域の空気を洗浄するために使用される修復および回復ユニットに配置されてもよい。あるいは、濾過材は、室内空気清浄機などの空気浄化装置に使用することができる。いずれの状況においても、考えられるシステム(図4に示す)は、ハウジングまたはダクト40、ファン46、および媒体8を通って流れる空気44を有してもよい。濾過される空気(図1の参照符号16)は、まずバッカー層10を通り、次いで濾過層12および14を通る。従って、バッカー層10は、媒体8が作動可能な位置に置かれる場合(例えば、図4のように)、濾過媒体の最も「上流」の層であり得るが、代替的な実施形態において、バッカー層は、最も下流の層であり得るか、または濾過層の中間であり得る。
【0016】
バッカー層10は、(図1に示すように)平坦な形態および(「プリーツ付き」として知られ、図3に示す)折り畳まれた形態で、濾過媒体の2つ以上の層12、14を支持するように設計される。バッカー層10は、より大きな流出物の空気を事前に濾過するようにもできる。バッカー層10は、好ましくは、約10ミクロンより大きい粒子のみを捕捉するように設計される。また、このバッカー層は、炭素材料または空気中の不要なガス、臭いの除去を補助する他の材料で含浸され得る。例えば、空気からガスおよび臭気を除去する炭素材料を含浸させるバッカー層の場合、バッカーの好ましい位置は、濾過層の下流であり、その結果、炭素材料は、濾過空気流中にある乾燥または湿潤粒子でコーティングされることから保護される。
【0017】
第1の濾過層12は、メルトブローンプロセスで形成されるポリマー(例えば、ポリプロピレン)繊維媒体などの任意の濾過媒体であってよい。濾過層12は、任意の帯電方法などによって帯電させることができ、あるいは、帯電させない状態で使用することができる。濾過層12は、第2の濾過層14と同じ繊維構造であってもよいし、第2の濾過層14の繊維よりも大きい繊維構造であってもよい。
【0018】
濾過層12の意図された目的は、空気が第2の濾過層14に入る前に乾燥粒子の空気流を「ポリッシュ(研磨)」することである。したがって、この第1の濾過層12は、空気流中に存在する任意の流出物を標的とするように設計することができる。濾過層12は、媒体8が汚染物質で充填されるときに空気流に対する抵抗を低く維持するために、空気流および深さ方向の充填物中の汚染物質の大部分(>99%)を捕捉するように設計される。濾過層12は、層12が汚染物質で充填されるにつれて、大部分が静電的な微粒子除去から大部分が機械的な微粒子除去に移行し得る。しかし、濾過層12が帯電していない場合、層は濾過媒体8の全寿命にわたって微粒子を機械的に除去する。濾過層12には、ナノ粒子を注入することができる。
【0019】
第1の濾過層12は、空気中の粒子をある程度機械的に捕捉できるように、十分な質量、密度、およびより小さな繊維直径を有するべきである。また、第1の濾過層12は、静電メカニズムによって粒子を捕捉するように帯電され得ることが考えられる。第1の濾過層12は、任意の手段またはメカニズムによって粒子を捕捉してもよい。
【0020】
一例として、第1の濾過層12は、重量が34~40グラム/平方メートル(g/m2)、繊維直径分布が2.0~5.0ミクロンの範囲であり、大部分の繊維が好ましくは2.0~3.0ミクロンの範囲である不織布繊維層であってもよい。第1の濾過層12は、ポリプロピレンのようなポリマーで作られてもよく、媒体は、メルトブローンプロセスで形成されてもよい。オイル状エアロゾルを用いた第1の濾過層12の平坦シート効率は、10.5フィート/分の空気速度で6.0ミリメートル以下の水の抵抗で少なくとも99.97%である。濾過層12は、0.1ミクロン(100ナノメートル)のサイズまでの油性浮遊粒子を99.97%以上除去するように設計されている。
【0021】
第2の濾過層14は、第1の濾過層12に使用されるのと同じ媒体の別の層を使用することなどによって、第1の濾過層12と実質的に同じであってもよい。第2の濾過層14は、(メルトブローンまたは他のプロセスで形成されたポリマー(例えば、ポリプロピレン)繊維媒体であってもよい)不織濾過媒体の高荷電層であってもよい。濾過層14は、媒体8の寿命にわたってHEPA効率をもたらすように設計される。第2の濾過層14は、高度に帯電しており、空気流中の粒子を捕捉する濾過層14の手段として、媒体8の寿命を通じて静電気力を用いて空気を濾過する能力を維持する。
【0022】
一例として、第2の濾過層14は、21~34g/m2の重量、2.0~5.0ミクロンの範囲の繊維直径分布、好ましくは4.0~5.0ミクロンの範囲の大部分の繊維を有することができる。40g/m2を超える重量を有する濾過層は、既存の技術を用いてその全厚を通して充填することが困難であり、従って、これは、任意の濾過層についての重量に関する実際的な制限を提示する。第1の濾過層12は、ポリプロピレンのようなポリマーで作られてもよく、不織繊維媒体は、メルトブローンプロセスで形成されてもよい。オイル状エアロゾルを用いた第1の濾過層12の平坦シート効率は、10.5フィート/分の空気速度で1.5~2.5ミリメートルの水の抵抗以下で少なくとも95~98%である。濾過層14は、0.1ミクロン(100ナノメートル)のサイズまでの油性浮遊粒子の99.97%超を除去するように設計されている。
【0023】
濾過層10、12、14は、従来の接着剤の軽い塗布によって一緒に保持され得るが、他の手段も考えられる。複数の層の複合材料は、超音波点接合のような任意の機械的手段によって一緒に保持することもできる。
【0024】
上記の例のように、3層以上の層は、同等の機械的濾過材料の3倍の抵抗(圧力降下)を有する複合媒体を生じることが予想される。しかし、これら3つの層の組み合わせは、同等の機械的濾過材料の3倍未満の抵抗で空気流から油性エアロゾルを濾過する複合媒体を形成する。
【0025】
電気機械式合成HEPA媒体は、空気が第1の2つの濾過層10および12を通って移動するときに空気を事前に濾過し、第2の濾過層14が効率を失うことなく乾燥および油性エアロゾルを濾過できるようにする。複合媒体8の抵抗は、典型的には、同じ効率の機械的媒体の抵抗の3倍未満である。したがって、記載された媒体から作製された濾過層は、同じ効率を提供しながら、より小さく設計することができる。また、これらの濾過層を通して空気を移動させるために使用される器具は、より小型であり、同じ時間で同じ量の空気を濾過するためにより少ないエネルギーを必要とする。
【0026】
図2に示す複合濾過媒体18は別の実施形態であり、バッカー層20、第1の濾過層22、第2の濾過層24、および第3の濾過層26を有する。空気は矢印28で示す方向に流れる。全ての層20~26は、上述の濾過媒体8の対応する層10~14と同様であり、同様の方法で形成されるが、追加の濾過層を有する。この第3の濾過層26は、企図される本発明の実施形態が、媒体8のように少なくとも3つの層を有してもよいが、媒体18のように3つを超える層を有してもよく、場合によっては3つをはるかに超える層を有してもよいことを示す。
【0027】
図1に示される複合濾過媒体8は、平坦な形態であってもよく、またはプリーツ付きの形態で、媒体8を囲むフレーム30を有する媒体8の3つの濾過層10、12および14を示す概略断面図である図3に示されるように、プリーツ付きであってもよい。濾過層10、12、14は、矢印32で示す空気流と整列している。プリーツ付き「パネル」40の各々は、隣接するパネルに対して約60~120度の角度をなしている。
【0028】
図面に関連するこの詳細な説明は、主として、本発明の現在好ましい実施形態の説明を意図しているのであり、本発明が構築または利用され得る唯一の形態を表すことを意図していない。本明細書は、例示された実施形態に関連して本発明を実施する設計、機能、手段、および方法を説明する。しかし、同一または同等の機能および特徴は、本発明の精神および範囲内に包含されることも意図される異なる実施形態によって達成され得ること、および種々の改変が、本発明または特許請求の範囲から逸脱することなく採用され得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】