(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】血液ポンプにおける交番磁界または回転磁界からのエネルギー生成
(51)【国際特許分類】
A61M 60/871 20210101AFI20240905BHJP
A61M 60/117 20210101ALI20240905BHJP
A61M 60/216 20210101ALI20240905BHJP
A61M 60/38 20210101ALI20240905BHJP
A61M 60/419 20210101ALI20240905BHJP
A61M 60/845 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
A61M60/871
A61M60/117
A61M60/216
A61M60/38
A61M60/419
A61M60/845
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515066
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2022074855
(87)【国際公開番号】W WO2023036819
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508031922
【氏名又は名称】マクエット カルディオプルモナリー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バンク, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ, ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】コム, ベンヤミン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA03
4C077BB06
4C077DD01
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH13
4C077HH14
4C077HH15
4C077HH21
(57)【要約】
本開示は、モータにより生成される交番磁界または回転磁界から、電気エネルギーを収集することに関する。体外血流システムは、モータにより回転されるように連結されたポンプロータを備えた血液ポンプと、ロータに対して動作可能な近接距離に配置されたトランスデューサであって、ロータの回転に関連する第1の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように構成されたトランスデューサと、トランスデューサにより生成される電気エネルギーで電力供給される少なくとも1つのセンサと、を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血流システムであって、
電動モータにより回転されるように連結されたポンプロータを備えた血液ポンプと、
前記ポンプロータに対して動作可能な近接距離に配置されたトランスデューサであって、前記ポンプロータの回転に関連する第1の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように構成された前記トランスデューサと、
前記トランスデューサにより生成される電気エネルギーで電力供給される少なくとも1つのセンサと、
を備える、前記体外血流システム。
【請求項2】
前記モータは、モータロータ及びモータステータを備え、前記モータロータは、前記モータステータ及び前記モータロータに関連する第2の変化磁界に応じて前記モータステータに対して回転するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記トランスデューサは、前記モータステータ及び前記モータロータに関連する前記第2の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように、前記モータステータ及び前記モータロータに対して動作可能な近接距離に配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記モータロータ及び前記モータステータのうちの少なくとも一方は、永久磁石を含み、
前記モータロータ及び前記モータステータのうちの少なくとも一方は、電磁石を含み、
前記モータは、前記電磁石の極性を周期的に変化させて、前記モータロータの回転を引き起こすように構成される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記トランスデューサは、ウィーガンドインダクタを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記トランスデューサは、ダイナモを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサを含む酸素供給器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、血液温度センサ、血圧センサ、流量センサ、及び距離センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロータが回転したときに前記変化磁界を生成するように、前記ロータは、前記血液ポンプの前記電動モータに磁気結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ロータを回転させて、前記ロータが回転したときに前記変化磁界を生成するように、ドライブシャフトは、前記ロータを前記血液ポンプの前記電動モータに連結する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサから出力データ信号を受信するようにプログラムまたは構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのセンサは、前記出力データ信号を前記コントローラに無線で送信するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラを含む心肺装置をさらに備えた、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第1の電圧パルスを含み、各第1の電圧パルスは、前記第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第1の電圧パルスを含み、各第1の電圧パルスは、前記第1の変化磁界及び前記第2の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項16】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第2の電圧パルスを含み、各第2の電圧パルスは、前記第1の変化磁界及び前記第2の変化磁界の前記回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有し、前記第1の電圧パルスは、前記第2の電圧パルスとは実質的に異なる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記トランスデューサにより生成された前記電気エネルギーが前記少なくとも1つのセンサに電力供給するのに適した形態になるように、前記トランスデューサにより生成された前記電気エネルギーを貯蔵し調整するための変換ボックスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムは、心肺バイパス装置、体外膜型酸素供給装置、及びポンプ補助肺保護装置からなる群から選択される医療装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
流体流動システムであって、
電動モータにより回転されるように連結されたポンプロータを備えた流体ポンプと、
前記ロータに対して動作可能な近接距離に配置されたトランスデューサであって、前記ポンプロータの回転に関連する第1の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように構成された前記トランスデューサと、
前記トランスデューサにより生成される電気エネルギーで電力供給される少なくとも1つのセンサと、
を備える、前記流体流動システム。
【請求項20】
前記モータは、モータロータ及びモータステータを備え、前記モータロータは、前記モータステータ及び前記モータロータに関連する第2の変化磁界に応じて前記モータステータに対して回転するように構成される、請求項19に記載の流体システム。
【請求項21】
前記トランスデューサは、前記モータステータ及び前記モータロータに関連する前記第2の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように、前記モータステータ及び前記モータロータに対して動作可能な近接距離に配置される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記モータロータ及び前記モータステータのうちの少なくとも一方は、永久磁石を含み、
前記モータロータ及び前記モータステータのうちの少なくとも一方は、電磁石を含み、
前記モータは、前記電磁石の極性を周期的に変化させて、前記モータロータの回転を引き起こすように構成される、
請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記トランスデューサは、ウィーガンドインダクタを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記トランスデューサは、ダイナモを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのセンサは、流体温度センサ、流体圧力センサ、流量センサ、及び距離センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
前記ロータが回転したときに前記変化磁界を生成するように、前記ロータは、前記流体ポンプの前記電動モータに磁気結合される、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記ロータを回転させて、前記ロータが回転したときに前記変化磁界を生成するように、ドライブシャフトは、前記ロータを前記血液ポンプの前記電動モータに連結する、請求項19に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つのセンサから出力データ信号を受信するようにプログラムまたは構成されたコントローラをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのセンサは、前記出力データ信号を前記コントローラに無線で送信するように構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第1の電圧パルスを含み、各第1の電圧パルスは、前記第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する、請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第1の電圧パルスを含み、各第1の電圧パルスは、前記第1の変化磁界及び前記第2の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第2の電圧パルスを含み、各第2の電圧パルスは、前記第1の変化磁界の前記回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有し、前記第1の電圧パルスは、前記第2の電圧パルスとは実質的に異なる、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記トランスデューサにより生成された前記電気エネルギーが前記少なくとも1つのセンサに電力供給するのに適した形態になるように、前記トランスデューサにより生成された前記電気エネルギーを貯蔵し調整するための変換ボックスをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項34】
前記流体ポンプは血液ポンプであり、前記システムは、心肺バイパス装置、体外膜型酸素供給装置、ポンプ補助肺保護装置、及び血液透析装置からなる群から選択される医療装置である、請求項19に記載のシステム。
【請求項35】
少なくとも1つの電子デバイスに電力供給するための電気エネルギーを生成する方法であって、
ポンプロータと電動モータとを結合する磁界を含む流体ポンプにおいて、前記ポンプロータを回転させて、前記ポンプロータに関連する第1の変化磁界を生成するステップと、
前記第1の磁界を回転させた結果、トランスデューサに電圧を誘起するステップであって、前記トランスデューサはウィーガンドインダクタを含み、前記誘起電圧は複数の第1の電圧パルスを含み、前記第1の変化磁界を回転させたとき、各第1の電圧パルスは前記第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する、前記誘起するステップと、
前記誘起電圧を電気エネルギー源として使用して、前記少なくとも1つの電子デバイスに電力供給するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項36】
前記電動モータは、モータロータ及びモータステータを備え、前記モータロータは、前記モータステータ及び前記モータロータに関連する第2の変化磁界に応じて前記モータステータに対して回転するように構成され、前記方法はさらに、
前記モータステータに対して前記モータロータを回転させるように前記第2の変化磁界を生成するステップ、
を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の変化磁界を回転させた結果、前記トランスデューサにさらなる電圧を誘起すること、
をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記モータロータ及び前記モータステータのうちの少なくとも一方は、永久磁石を含み、
前記モータロータ及び前記モータステータのうちの少なくとも一方は、電磁石を含み、
前記電動モータは、前記電磁石の前記極性を周期的に変化させて、前記モータロータの回転を引き起こすように構成される、
請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記誘起電圧は、複数の第2の電圧パルスを含み、各第2の電圧パルスは、前記第1の変化磁界の前記回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有し、前記第1の電圧パルスは、前記第2の電圧パルスとは実質的に異なる、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記トランスデューサにより生成された前記電気エネルギーを調整するステップであって、前記トランスデューサにより生成された前記誘起電圧が、前記少なくとも1つの電子デバイスに電力供給するのに適した形態になるように、前記電気エネルギーは、変換ボックスにより調整される、前記調整するステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記流体ポンプは血液ポンプであり、前記システムは、心肺バイパス装置、体外膜型酸素供給装置、ポンプ補助肺保護装置、及び血液透析装置からなる群から選択される医療装置であり、前記電気エネルギーにより電力供給される前記少なくとも1つの電子デバイスは、血液温度センサ、血流センサ、血圧センサ、及び距離センサからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
電動システムであって、
ロータを備えた電動モータであって、前記ロータは前記電動モータにより回転されるように連結される、前記電動モータと、
前記ロータに対して動作可能な近接距離に配置されたトランスデューサであって、前記ロータの回転に関連する第1の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように構成された前記トランスデューサと、
前記トランスデューサにより生成される電気エネルギーで電力供給される少なくとも1つの電子デバイスと、
を備える、前記電動システム。
【請求項43】
前記電動モータは、モータロータ及びモータステータを備え、前記モータロータは、前記モータステータ及び前記モータロータに関連する第2の変化磁界に応じて前記モータステータに対して回転するように構成される、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記トランスデューサは、前記モータステータ及び前記モータロータに関連する前記第2の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように、前記モータステータ及び前記モータロータに対して動作可能な近接距離に配置される、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記モータロータ及び前記モータステータのうちの少なくとも一方は、永久磁石を含み、
前記モータロータ及び前記モータステータのうちの少なくとも一方は、電磁石を含み、
前記モータは、前記電磁石の極性を周期的に変化させて、前記モータロータの回転を引き起こすように構成される、
請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記トランスデューサは、ウィーガンドインダクタを含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項47】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第1の電圧パルスを含み、各第1の電圧パルスは、前記第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する、請求項42に記載のシステム。
【請求項48】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第1の電圧パルスを含み、各第1の電圧パルスは、前記第1の変化磁界及び前記第2の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する、請求項44に記載のシステム。
【請求項49】
前記トランスデューサにより生成される前記電気エネルギーは、複数の第2の電圧パルスを含み、各第2の電圧パルスは、前記第1の変化磁界の前記回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有し、前記第1の電圧パルスは、前記第2の電圧パルスとは実質的に異なる、請求項42に記載のシステム。
【請求項50】
前記トランスデューサにより生成された前記電気エネルギーが前記少なくとも1つの電子デバイスに電力供給するのに適した形態になるように、前記トランスデューサにより生成された前記電気エネルギーを貯蔵し調整するための変換ボックスをさらに備える、請求項42に記載のシステム。
【請求項51】
前記電動モータは血液ポンプのコンポーネントであり、前記システムは、心肺バイパス装置、体外膜型酸素供給装置、ポンプ補助肺保護装置、及び血液透析装置からなる群から選択される医療装置であり、前記電気エネルギーにより電力供給される前記少なくとも1つの電子デバイスは、血液温度センサ、血流センサ、血圧センサ、及び距離センサからなる群から選択される、請求項42に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月7日に出願された米国仮特許出願第63/241,326号の優先権を主張し、その開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、モータにより生成される交番磁界または回転磁界から、電気エネルギーを収集することに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、体外血液循環システムの電動血液ポンプにより生成される交番磁界または回転磁界から、電気エネルギーを収集し、収集した電気エネルギーで電子デバイスに電力供給するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
心肺バイパスは、例えば開心手術中及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療などの医療処置中に、体外装置を使用して、患者の本来の心臓及び肺を迂回する技術である。体外装置の例としては、心肺バイパス装置、及び体外膜型酸素供給(ECMO)装置が挙げられる。患者の本来の肺及び心臓の機能を模倣するために、このような体外装置は、抽出された血液を酸素にさらして二酸化炭素を除去する酸素供給器と、酸素供給器を通って患者の循環系に戻るように血液を循環させる血液ポンプとを含む。酸素供給器に関連する様々なセンサを使用して、データが収集され、体外装置の動作パラメータを制御するために使用される情報が提供され得る。従来のシステムでは、このようなセンサは、通常、酸素供給器から遠隔に取り付けられた電源により電力供給される。よって、体外装置のセットアップ中に、技師により電源とこれらのセンサとの間に電力ケーブルが接続され、これにより、このようなシステムは、より複雑になり、嵩が高くなる。体外装置のセットアップ時間が長引くことに加えて、電力ケーブルの接続が不注意に忘れられて、または不適切に行われて、医療処置のパフォーマンスに悪影響を及ぼす場合がある。上記を考慮して、体外血液循環システムのセットアップ及び動作を簡潔にするために、体外血液循環システムの様々なセンサ及び/または体外装置の他の電子コンポーネントに電力供給するための代替的な手段の必要性が存在する。もちろん、本開示の技術は、一般により広く流体循環システムに適用されてもよく、血液循環システムに限定されない。実際に、本開示の技術は、変化磁界を生成して、変化磁界から電気エネルギーを収集し、それをシステムの1つ以上の電子デバイスの電力供給に使用し得る、ポンプまたは他のデバイスを有するいずれのシステムにも適用可能である。
【0004】
体外装置に関連のない電気技術分野では、1970年代に最初に開発されたウィーガンド(Wiegand)センサを使用して、電気機械コンポーネントの位置及び速度、特に回転位置及び回転速度が測定されている。ウィーガンドセンサは、変化磁界に応じて電圧パルスを生成することにより、作動する。磁界の変化の回数及びタイミングを特定するために、ウィーガンドセンサにより生成される電圧パルスは、通常、電子プロセッサによりカウントされ得る。このデータは、次に、電気機械コンポーネントの位置及び/または回転速度に相関付けられ得る。現時点では、流体流動システムの分野における他の電気コンポーネントに電力供給するために、電動モータに関連する変化磁界から電気エネルギーを収集することにより電力生成する手段として、ウィーガンドセンサは使用されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述を考慮して、本開示は、電動モータを備えたポンプまたは他のデバイスにより生成される交番磁界/回転磁界からエネルギーを収集することにより、センサ及び/または他の電気コンポーネントに電力を供給するためのデバイス、システム、及び方法に関する。
【0006】
本開示の非限定的で例示的な実施形態1は、体外血流システムに関し、体外血流システムは、電動モータにより回転されるように連結されたポンプロータを含む血液ポンプと、ポンプロータに対して動作可能な近接距離に配置されたトランスデューサであって、ポンプロータの回転に関連する第1の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように構成されたトランスデューサと、少なくとも1つのセンサと、を備える。少なくとも1つのセンサは、トランスデューサにより生成される電気エネルギーで電力供給される。
【0007】
本開示の非限定的で例示的な実施形態2は、非限定的な実施形態1をさらに変更し、モータがモータロータ及びモータステータを含むことを提供する。モータロータは、モータステータ及びモータロータに関連する第2の変化磁界に応じて、モータステータに対して回転するように構成される。
【0008】
本開示の非限定的で例示的な実施形態3は、非限定的な実施形態1または2をさらに変更し、トランスデューサが、モータステータ及びモータロータに関連する第2の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように、モータステータ及びモータロータに対して動作可能な近接距離に配置されることを提供する。
【0009】
本開示の非限定的で例示的な実施形態4は、非限定的な実施形態1~3のいずれかをさらに変更し、モータロータ及びモータステータのうちの少なくとも一方が永久磁石を含み、モータロータ及びモータステータのうちの少なくとも一方が電磁石を含み、モータが電磁石の極性を周期的に変化させてモータロータの回転を引き起こすように構成されることを提供する。
【0010】
本開示の非限定的で例示的な実施形態5は、非限定的な実施形態1~4のいずれかをさらに変更し、トランスデューサがウィーガンドインダクタを含むことを提供する。
【0011】
本開示の非限定的で例示的な実施形態6は、非限定的な実施形態1~5のいずれかをさらに変更し、トランスデューサがダイナモを含むことを提供する。
【0012】
本開示の非限定的で例示的な実施形態7は、非限定的な実施形態1~6のいずれかをさらに変更し、少なくとも1つのセンサを含む酸素供給器をさらに備える。
【0013】
本開示の非限定的で例示的な実施形態8は、非限定的な実施形態1~7のいずれかをさらに変更し、少なくとも1つのセンサが、血液温度センサ、血圧センサ、流量センサ、及び距離センサのうちの少なくとも1つを含むことを提供する。
【0014】
本開示の非限定的で例示的な実施形態9は、非限定的な実施形態1~8のいずれかをさらに変更し、ロータが回転したときに変化磁界を生成するように、ロータが血液ポンプの電動モータに磁気結合されることを提供する。
【0015】
本開示の非限定的で例示的な実施形態10は、非限定的な実施形態1~9のいずれかをさらに変更し、ロータを回転させて、ロータが回転したときに変化磁界を生成するように、ドライブシャフトがロータを血液ポンプの電動モータに連結することを提供する。
【0016】
本開示の非限定的で例示的な実施形態11は、非限定的な実施形態1~10のいずれかをさらに変更し、少なくとも1つのセンサから出力データ信号を受信するようにプログラムまたは構成されたコントローラをさらに備える。
【0017】
本開示の非限定的で例示的な実施形態12は、非限定的な実施形態1~11のいずれかをさらに変更し、少なくとも1つのセンサが、出力データ信号をコントローラに無線で送信するように構成されることを提供する。
【0018】
本開示の非限定的で例示的な実施形態13は、非限定的な実施形態1~12のいずれかをさらに変更し、コントローラを含む心肺装置をさらに備える。
【0019】
本開示の非限定的で例示的な実施形態14は、非限定的な実施形態1~13のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第1の電圧パルスを含むことを提供する。各第1の電圧パルスは、第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。
【0020】
本開示の非限定的で例示的な実施形態15は、非限定的な実施形態1~14のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第1の電圧パルスを含むことを提供する。各第1の電圧パルスは、第1の変化磁界及び第2の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。
【0021】
本開示の非限定的で例示的な実施形態16は、非限定的な実施形態1~15のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第2の電圧パルスを含むことを提供する。各第2の電圧パルスは、第1の変化磁界及び第2の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。第1の電圧パルスは、第2の電圧パルスとは実質的に異なる。
【0022】
本開示の非限定的で例示的な実施形態17は、非限定的な実施形態1~16のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成された電気エネルギーが少なくとも1つのセンサに電力供給するのに適した形態になるように、トランスデューサにより生成された電気エネルギーを貯蔵し調整するための変換ボックスをさらに備える。
【0023】
本開示の非限定的で例示的な実施形態18は、非限定的な実施形態1~17のいずれかをさらに変更し、システムが、心肺バイパス装置、体外膜型酸素供給装置、及びポンプ補助肺保護装置からなる群から選択される医療装置であることを提供する。
【0024】
本開示の非限定的で例示的な実施形態19は、流体流動システムに関し、流体流動システムは、電動モータにより回転されるように連結されたポンプロータを含む流体ポンプと、ロータに対して動作可能な近接距離に配置されたトランスデューサであって、ポンプロータの回転に関連する第1の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように構成されたトランスデューサと、少なくとも1つのセンサと、を備える。少なくとも1つのセンサは、トランスデューサにより生成される電気エネルギーで電力供給される。
【0025】
本開示の非限定的で例示的な実施形態20は、非限定的な実施形態19をさらに変更し、モータがモータロータ及びモータステータを含み、モータロータが、モータステータ及びモータロータに関連する第2の変化磁界に応じてモータステータに対して回転するように構成されることを提供する。
【0026】
本開示の非限定的で例示的な実施形態21は、非限定的な実施形態19または20をさらに変更し、トランスデューサが、モータステータ及びモータロータに関連する第2の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように、モータステータ及びモータロータに対して動作可能な近接距離に配置されることを提供する。
【0027】
本開示の非限定的で例示的な実施形態22は、非限定的な実施形態19~21のいずれかをさらに変更し、モータロータ及びモータステータのうちの少なくとも一方が永久磁石を含み、モータロータ及びモータステータのうちの少なくとも一方が電磁石を含み、モータが電磁石の極性を周期的に変化させてモータロータの回転を引き起こすように構成されることを提供する。
【0028】
本開示の非限定的で例示的な実施形態23は、非限定的な実施形態19~22のいずれかをさらに変更し、トランスデューサがウィーガンドインダクタを含むことを提供する。
【0029】
本開示の実施形態24は、非限定的な実施形態19~23のいずれかをさらに変更し、トランスデューサがダイナモを含むことを提供する。
【0030】
本開示の非限定的で例示的な実施形態25は、非限定的な実施形態19~24のいずれかをさらに変更し、少なくとも1つのセンサが、流体温度センサ、流体圧力センサ、流量センサ、及び距離センサのうちの少なくとも1つを含むことを提供する。
【0031】
本開示の非限定的で例示的な実施形態26は、非限定的な実施形態19~25のいずれかをさらに変更し、ロータが回転したときに変化磁界を生成するように、ロータが流体ポンプの電動モータに磁気結合されることを提供する。
【0032】
本開示の非限定的で例示的な実施形態27は、非限定的な実施形態19~26のいずれかをさらに変更し、ロータを回転させて、ロータが回転したときに変化磁界を生成するように、ドライブシャフトがロータを血液ポンプの電動モータに連結することを提供する。
【0033】
本開示の非限定的で例示的な実施形態28は、非限定的な実施形態19~27のいずれかをさらに変更し、少なくとも1つのセンサから出力データ信号を受信するようにプログラムまたは構成されたコントローラをさらに備える。
【0034】
本開示の非限定的で例示的な実施形態29は、非限定的な実施形態19~28のいずれかをさらに変更し、少なくとも1つのセンサが、出力データ信号をコントローラに無線で送信するように構成されることを提供する。
【0035】
本開示の非限定的で例示的な実施形態30は、非限定的な実施形態19~29のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第1の電圧パルスを含むことを提供する。各第1の電圧パルスは、第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。
【0036】
本開示の非限定的で例示的な実施形態31は、非限定的な実施形態19~30のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第1の電圧パルスを含むことを提供する。各第1の電圧パルスは、第1の変化磁界及び第2の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。
【0037】
本開示の非限定的で例示的な実施形態32は、非限定的な実施形態19~31のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第2の電圧パルスを含むことを提供する。各第2の電圧パルスは、第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。第1の電圧パルスは、第2の電圧パルスとは実質的に異なる。
【0038】
本開示の非限定的で例示的な実施形態33は、非限定的な実施形態19~32のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成された電気エネルギーが少なくとも1つのセンサに電力供給するのに適した形態になるように、トランスデューサにより生成された電気エネルギーを貯蔵し調整するための変換ボックスをさらに備える。
【0039】
本開示の非限定的で例示的な実施形態34は、非限定的な実施形態19~33のいずれかをさらに変更し、流体ポンプが血液ポンプであり、システムが、心肺バイパス装置、体外膜型酸素供給装置、ポンプ補助肺保護装置、及び血液透析装置からなる群から選択される医療装置であることを提供する。
【0040】
本開示の非限定的で例示的な実施形態35は、少なくとも1つの電子デバイスに電力供給するための電気エネルギーを生成する方法に関する。方法は、ポンプロータと電動モータとを結合する磁界を含む流体ポンプにおいて、ポンプロータを回転させて、ポンプロータに関連する第1の変化磁界を生成するステップと、第1の磁界を回転させた結果、トランスデューサに電圧を誘起するステップであって、トランスデューサはウィーガンドインダクタを含み、誘起電圧は複数の第1の電圧パルスを含み、第1の変化磁界を回転させたとき、各第1の電圧パルスは第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する、誘起するステップと、誘起電圧を電気エネルギー源として使用して、少なくとも1つの電子デバイスに電力供給するステップと、を含む。
【0041】
本開示の非限定的で例示的な実施形態36は、非限定的な実施形態35をさらに変更し、電動モータがモータロータ及びモータステータを含むことを提供する。モータロータは、モータステータ及びモータロータに関連する第2の変化磁界に応じて、モータステータに対して回転するように構成される。方法は、モータステータに対してモータロータを回転させるように第2の変化磁界を生成するステップをさらに含む。
【0042】
本開示の非限定的で例示的な実施形態37は、非限定的な実施形態35または36をさらに変更し、第2の変化磁界を回転させた結果、トランスデューサにさらなる電圧を誘起することをさらに含む。
【0043】
本開示の非限定的で例示的な実施形態38は、非限定的な実施形態35~37のいずれかをさらに変更し、モータロータ及びモータステータのうちの少なくとも一方が永久磁石を含み、モータロータ及びモータステータのうちの少なくとも一方が電磁石を含み、電動モータが電磁石の極性を周期的に変化させてモータロータの回転を引き起こすように構成されることを提供する。
【0044】
本開示の非限定的で例示的な実施形態39は、非限定的な実施形態35~38のいずれかをさらに変更し、誘起電圧が複数の第2の電圧パルスを含むことを提供する。各第2の電圧パルスは、第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。第1の電圧パルスは、第2の電圧パルスとは実質的に異なる。
【0045】
本開示の非限定的で例示的な実施形態40は、非限定的な実施形態35~39のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成された電気エネルギーを調整するステップをさらに含む。トランスデューサにより生成された誘起電圧が、少なくとも1つの電子デバイスに電力供給するのに適した形態になるように、電気エネルギーは、変換ボックスにより調整される。
【0046】
本開示の非限定的で例示的な実施形態41は、非限定的な実施形態35~40のいずれかをさらに変更し、流体ポンプが血液ポンプであり、システムが、心肺バイパス装置、体外膜型酸素供給装置、ポンプ補助肺保護装置、及び血液透析装置からなる群から選択される医療装置であることを提供する。電気エネルギーにより電力供給される少なくとも1つの電子デバイスは、血液温度センサ、血流センサ、血圧センサ、及び距離センサからなる群から選択される。
【0047】
本開示の非限定的で例示的な実施形態42は、電動システムに関し、電動システムは、ロータを含む電動モータであって、ロータは電動モータにより回転されるように連結される、電動モータと、ロータに対して動作可能な近接距離に配置されたトランスデューサであって、ロータの回転に関連する第1の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように構成されたトランスデューサと、少なくとも1つの電子デバイスと、を備える。少なくとも1つの電子デバイスは、トランスデューサにより生成される電気エネルギーで電力供給される。
【0048】
本開示の非限定的で例示的な実施形態43は、非限定的な実施形態42をさらに変更し、電動モータがモータロータ及びモータステータを含むことを提供する。モータロータは、モータステータ及びモータロータに関連する第2の変化磁界に応じて、モータステータに対して回転するように構成される。
【0049】
本開示の非限定的で例示的な実施形態44は、非限定的な実施形態42または43をさらに変更し、トランスデューサが、モータステータ及びモータロータに関連する第2の変化磁界に応じて電気エネルギーを生成するように、モータステータ及びモータロータに対して動作可能な近接距離に配置されることを提供する。
【0050】
本開示の非限定的で例示的な実施形態45は、非限定的な実施形態42~44のいずれかをさらに変更し、モータロータ及びモータステータのうちの少なくとも一方が永久磁石を含み、モータロータ及びモータステータのうちの少なくとも一方が電磁石を含み、モータが電磁石の極性を周期的に変化させてモータロータの回転を引き起こすように構成されることを提供する。
【0051】
本開示の非限定的で例示的な実施形態46は、非限定的な実施形態42~45のいずれかをさらに変更し、トランスデューサがウィーガンドインダクタを含むことを提供する。
【0052】
本開示の非限定的で例示的な実施形態47は、非限定的な実施形態42~46のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第1の電圧パルスを含むことを提供する。各第1の電圧パルスは、第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。
【0053】
本開示の非限定的で例示的な実施形態48は、非限定的な実施形態42~47のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第1の電圧パルスを含むことを提供する。各第1の電圧パルスは、第1の変化磁界及び第2の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。
【0054】
本開示の非限定的で例示的な実施形態49は、非限定的な実施形態42~48のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成される電気エネルギーが複数の第2の電圧パルスを含むことを提供する。各第2の電圧パルスは、第1の変化磁界の回転速度の変化に影響されない略一定の電圧を有する。第1の電圧パルスは、第2の電圧パルスとは実質的に異なる。
【0055】
本開示の非限定的で例示的な実施形態50は、非限定的な実施形態42~49のいずれかをさらに変更し、トランスデューサにより生成された電気エネルギーが少なくとも1つの電子デバイスに電力供給するのに適した形態になるように、トランスデューサにより生成された電気エネルギーを貯蔵し調整するための変換ボックスをさらに備える。
【0056】
本開示の非限定的で例示的な実施形態51は、非限定的な実施形態42~50のいずれかをさらに変更し、電動モータが血液ポンプのコンポーネントであり、システムが、心肺バイパス装置、体外膜型酸素供給装置、ポンプ補助肺保護装置、及び血液透析装置からなる群から選択される医療装置であることを提供する。電気エネルギーにより電力供給される少なくとも1つの電子デバイスは、血液温度センサ、血流センサ、血圧センサ、及び距離センサからなる群から選択される。
【0057】
本明細書で詳しく説明される様々な非限定的な実施例のさらなる詳細及び利点は、添付の図面と併せて、様々な非限定的な実施例の下記の詳細説明を検討すると、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1A】本開示の実施形態による、体外循環システムの斜視図である。
【
図1B】本開示の実施形態による、体外循環システムの概略図である。
【
図2A】本開示の実施形態による、
図1Bの体外循環システムの部分概略図である。
【
図2B】本開示の実施形態による、
図1Bの体外循環システムの部分概略図である。
【
図3A】本開示の実施形態による、関連するトランスデューサを含む血液ポンプの上面図である。
【
図3B】血液ポンプの動作中に生成される回転磁界を示す、
図3Aの血液ポンプの概略上面図である。
【
図3C】本開示の実施形態による、
図3Aの血液ポンプの側断面図である。
【
図3D】
図3Cの切断線II-IIに沿って切り取られた、
図3Cの血液ポンプの横断面図である。
【
図3E】本開示の実施形態による、
図3Aの血液ポンプの側断面図である。
【
図3F】
図3Eの切断線III-IIIに沿って切り取られた、
図3Eの血液ポンプの横断面図である。
【
図4A】本開示の実施形態による、体外循環システムの部分概略図である。
【
図4B】本開示の実施形態による、体外循環システムの部分概略図である。
【
図5】本開示の実施形態による、体外循環システムの部分概略図である。
【
図6】A~Fは、本開示の実施形態による、変化磁界に応答するウィーガンドインダクタの概略図である。
【
図7】
図6A~6Fのウィーガンドインダクタのヒステリシス図である。
【
図8】
図6A~6Fのウィーガンドインダクタの電気出力のグラフ図である。
【
図9】
図6A~6Fのウィーガンドインダクタの電圧出力のグラフである。
【
図10】
図9のグラフの第1の電圧パルスの詳細図である。
【
図11】本発明の実施形態による、ダイナモの電気出力のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
いくつかの図を通して同様の参照記号が同様の部分を指す図面を参照すると、本開示は、概して、体外循環システムの血液ポンプにより生成される回転磁界から電気エネルギーを収集するためのシステム及び方法に関するが、ポンプは血液ポンプである必要はなく、流体は血液以外の流体であってもよく、システムは流体流動システムであってもよい。
【0060】
以下の説明の目的では、用語「上方(upper)」、「下方(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「横(lateral)」、「縦/長手方向(longitudinal)」、及びこれらの派生物は、図面において配向された開示に関する。開示される実施形態は様々な代替的配向を取ることができるため、「左」、「右」、「内側(inner)」、「外側(outer)」、「~の上(above)」、及び「~の下(below)」などの空間的または方向的用語は、限定として考慮されるべきではない。
【0061】
本明細書で使用される「a」、「an」、及び「the」という単数形は、文脈上明らかに別段に示されている場合を除き、複数の指示対象を含む。
【0062】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるすべての数は、すべての事例において用語「約」により変更されることを理解されたい。用語「およそ」、「約」、及び「略/実質的に」は、記載された値のプラスまたはマイナス10パーセントの範囲を意味する。
【0063】
本明細書で使用される用語「~のうちの少なくとも1つ」は、「~のうちの1つ以上」と同義である。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」という表現は、A、B、及びCのうちのいずれか1つ、またはA、B、及びCのうちのいずれか2つ以上による任意の組み合わせを意味する。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」には、1つ以上のA単独、または1つ以上のB単独、または1つ以上のC単独、または1つ以上のAと1つ以上のB、または1つ以上のAと1つ以上のC、または1つ以上のBと1つ以上のC、または1つ以上のすべてのA、B、及びC、が含まれる。同様に、本明細書で使用される用語「~のうちの少なくとも2つ」は、「~のうちの2つ以上」と同義である。例えば、「D、E、及びFのうちの少なくとも2つ」という表現は、D、E、及びFのうちのいずれか2つ以上による任意の組み合わせを意味する。例えば、「D、E、及びFのうちの少なくとも2つ」には、1つ以上のDと1つ以上のE、または1つ以上のDと1つ以上のF、または1つ以上のEと1つ以上のF、または1つ以上のすべてのD、E、及びF、が含まれる。
【0064】
添付の図面に示され、下記の明細書に説明される特定のデバイス及びプロセスは、単に本開示の代表的な実施例であることも理解されたい。よって、本明細書に開示される実施例に関する特定の寸法及び他の物理的特性は、限定的であるとみなされるべきではない。
【0065】
用語「第1」及び「第2」などは、いずれの特定の順序または時系列も指すことを意図しないが、異なる条件、属性、または要素を指す。
【0066】
用語「少なくとも~」は、「~以上である」と同義である。用語「~を超えない」は、「~以下」と同義である。
【0067】
本明細書で使用される用語「ダイナモ」は、変化磁界に応じて交番(AC)出力電圧を生成する電気コンポーネントを意味し、出力電圧の大きさは、磁界が変化する速度に対して正の相関を有する。
【0068】
明確に反対の指定がある場合を除いて、本開示は、代替的な変形形態及びステップシーケンスを想定し得ることを理解されたい。添付の図面に示され、下記の明細書に説明される特定のデバイス及びプロセスは、単に本開示の代表的な態様であることも理解されたい。よって、本明細書に開示される実施例に関する特定の寸法及び他の物理的特性は、限定的であるとみなされるべきではない。
【0069】
まず
図1A及び
図1Bを参照すると、体外循環システム10(心肺装置、または心臓バイパスシステム、または心肺バイパスシステムとも称され、心肺バイパス(CPB)システム、最小体外循環(MECC)システム、体外膜型酸素供給(ECMO)システム(呼吸器及び心臓)、及びポンプ補助肺保護(PALP)システムを含むように広く解釈されるべきである)は、コントローラ12、静脈血液リザーバ14、1つ以上の血液ポンプ16、及び酸素供給器18を含む。静脈血液リザーバ14、血液ポンプ16、及び酸素供給器18は、従来の方法で相互に接続され、これにより、患者の循環システムの静脈側、例えば心臓Hの大静脈及び/または右心房に挿入された大静脈-心房カニューレ37から抽出された静脈血液は、チューブ22を介して静脈血液リザーバ14に流入し、そこから血液ポンプ16を介して酸素供給器18へポンプ輸送される。酸素供給器18は、血液に酸素供給し、ここで酸素供給された血液はその後、チューブ24を通って、心臓Hの大動脈基部に挿入された動脈カニューレ26に流入する。血液ポンプ16は、ローラ式ポンプまたは遠心式ポンプであり得、これらのそれぞれが、当技術分野で既知の実質的に異なる機構を介したとしても、血液をポンプ輸送するために電動モータを含む。好適な血液ポンプ16及び関連コンポーネントの市販例として、Maquet Cardiopulmonary GmbHにより提供されるMaquet Cardiohelp(登録商標)システム及びMaquet Rotaflow(登録商標)システムが挙げられるが、これらに限定されない。
図1A及び
図1Bに示される体外循環システム10は、一般にこのようなシステムは非常に複雑であるため、簡略化された非限定的な例示を構成する。
【0070】
引き続き
図1Bを参照すると、血液の温度、血圧、及び血流量などの1つ以上のパラメータを測定するために、少なくとも1つのセンサ180が酸素供給器18に関連して設けられ得る。少なくとも1つのセンサ180は、酸素供給器18において流入、流出、または通過する血液の属性、例えば血圧、血液温度、または流量を、検出または測定するように構成され得る。少なくとも1つのセンサ180はさらに、検出または測定された属性に対応する出力データ信号を、コントローラ12に送信するように構成され得る。少なくとも1つのセンサ180は、酸素供給器18の入口近く、酸素供給器18の出口近く、または酸素供給器18内など、酸素供給器18に対して臨床的に望ましい位置に設けられ得る。このようなセンサ180は、通常、動作するために5ボルトの電源を必要とするが、いくつかの事例では、1.2ボルト、1.8ボルト、または3.3ボルトしか必要としない電子センサが利用可能であり得る。
【0071】
本開示の体外循環システム10のさらなる詳細は、2015年5月13日に出願された米国仮特許出願第62/160,689号、及びその対応する米国特許出願公開第US2018/0344919号に記載されており、両者とも参照により、それらの開示内容全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0072】
ここで
図2A及び
図2Bを参照すると、本開示による体外循環システム10は、血液ポンプ16の電動モータからエネルギーを収集して、少なくとも1つのセンサ180、及び/または電子システム10の他の回路もしくは電子デバイスに電力を供給するためのコンポーネントを含む。血液ポンプ16は、誘導モータなどの電動モータ162を含み、電動モータ162は、ポンプロータ164(例えばインペラ)に接続され、ポンプロータ164を駆動するように構成される。モータ162によるロータ164の回転が交番磁界を生成するように、モータ162とロータ164は、磁気結合166、すなわち結合する磁界により、磁気的に結合され得る。交番磁界は、例えば電動モータ162の動作中に生成される回転磁界であり得、これは、ロータ164の回転を生じる。特に
図2Aに示される実施形態を参照すると、ウィーガンドインダクタ含むトランスデューサ168は、交番磁界内に存在するように、ロータ164に対して動作可能な近接距離に配置される。トランスデューサ168は、ロータ164に関連する交番磁界の変化に応じて電気エネルギーを生成するように構成される。よって、トランスデューサ168は、交番磁界のエネルギーを、電子センサ及び他の電子デバイスなどの1つ以上の電子デバイスに電力供給するのに使用可能な電気エネルギーに変換することから、本開示では「磁気トランスデューサ」と称され得る。
【0073】
血液ポンプ16に対するトランスデューサ168の配置の非限定的な実施例が、
図3A~
図3Dに示される。具体的には、ロータ164の回転中に生成される交番磁界の有効動作可能範囲内にトランスデューサ168が入るように、トランスデューサ168は、ロータ164及びモータ162に対して動作可能な近接距離に配置され得、これにより、トランスデューサ168は、変化磁界からのエネルギーを、電子デバイスに電力供給するのに適した使用可能な電気エネルギーに変換することが可能となる。いくつかの実施形態では、
図3Aに示されるように、トランスデューサ168は、血液ポンプ16の筐体167、例えば筐体167のカバー172の上または中に配置され得、カバー172は、1つ以上の留め具173により血液ポンプ16に対して取り外し可能及び再取り付け可能であり、これにより、ロータ164の交換が可能となる。カバー172、またはトランスデューサ168が取り付けられる筐体167の任意の他の部分は、ロータ164の回転に関連する交番磁界を妨害しないように、プラスチックなどの非磁性材料である。
図3Aに示されるように、カバー172、またはトランスデューサ168が取り付けられる筐体167の任意の他の部分は、ロータ164の目視検査を可能にするために、透明であり得る。
【0074】
図3A~
図3Bに示されるように、トランスデューサ168は、ロータ164の回転軸Aの中心から外れた位置に配置され得る。しかし、回転軸Aに対するトランスデューサ168の位置は、
図3Aに示される位置に限定されない。むしろ、変化磁界内で、電気エネルギーに変換する磁気エネルギーをトランスデューサ168が収集できる位置に、トランスデューサ168が存在する限り、トランスデューサ168は、回転軸A対して実質的にいずれの位置に配置されてもよい。
図3Bは、ロータ164に重ねられたトランスデューサ168を示し、ロータ164の磁石17(例えば永久磁石または電磁石)のN極及びS極を交互に含み、これらは、モータ162に電流が印加されると回転軸Aを中心に交番磁界を生成する。モータ162に電流を印加して、ロータ164を方向Rに回転させると、トランスデューサ168は、交番磁界により生成されるエネルギーを収集する。
【0075】
ここで
図3C及び
図3Dを参照すると、非限定的な実施形態では、磁石17は、ロータ164に取り付けられるか、または埋め込まれてもよく、ロータ164は、結合プレート20を介してモータ162に磁気結合される。電動モータ162は、モータステータ310及びモータロータ320を含み得、モータ162に電流が印加されると、モータステータ310及びモータロータ320は、シャフト163に接続されたロータ320を回転させて、シャフト163を回転させるために、交番磁界を生成するように動作する。本開示の目的のために、モータステータ310及び/またはモータロータ320の動作に関連する交番磁界は、モータの交番磁界と称され得る。
【0076】
当技術分野で既知の従来のモータ設計に則して、モータステータ310及びモータロータ320は、様々な設計が可能である。例えば、モータロータ320は、複数の永久磁石を含み得、モータステータ310は、複数の電磁石を含み得、複数の電磁石は、周期的に極性が変化して、モータロータ320内の磁石の回転を駆動する交番磁界を生成する。より具体的には、モータステータ310の交番磁界は、モータロータ320の磁界と相互作用して、ステータ310に対してモータロータ320を回転させるトルクを生成し得る。例えば、モータロータ320が電磁石を含み、モータステータ310が永久磁石を含む、またはモータステータ310及びモータロータ320の両方が電磁石を含むなど、モータステータ310及びモータロータ320の別の実施形態は、従来のモータ設計として、当業者には容易に理解されよう。当技術分野で従来知られているように、モータ162は、好適な回路を使用してAC電力またはDC電力のいずれかにより電力供給され得る。よって、電力モータ162は、直流(DC)モータか、または交流(AC)モータであり得る。
【0077】
引き続き
図3C~
図3Dを参照すると、シャフト163は、モータロータ320から延在し、複数の磁石21(例えば永久磁石または電磁石)を含む結合プレート20に連結される。結合プレート20の磁石21は、N極とS極とが交互になるように円周方向に配置され得る。結合プレート20の磁石21の数は、ポンプロータ164の磁石17の数と同じであり得、よって、結合プレート20の磁石21は、ポンプロータ164の磁石17と1対1の関係を有する。結合プレート20の磁石21は、ポンプロータ164の磁石17と相互作用して、結合プレート20とポンプロータ164との間に磁気結合166(
図2A~2Bに表示される)を形成し得る。具体的には、ポンプロータ164は、磁気結合プレート20に近接すると、自己整列する傾向があり得、よって、
図3Dに示されるように、ポンプロータ164のN極性を有する磁石17は、結合プレート20のS極性を有する磁石21に対向する傾向があり、またその逆の傾向もある。
図3Cに示されるように、筐体167の部分167aは、ポンプロータ164と結合プレート20との間の磁気結合166を妨げることなく、ポンプロータ164の磁石17と結合プレート20の磁石21との間に延在し得る。シャフト163により結合プレート20が回転すると、ポンプロータ164の磁石17と結合プレート20の磁石21との間の磁気結合効果により、ポンプロータ164は、シャフト163と同じ方向に実質的に同じ速度で回転する。言い換えると、ポンプロータ164と結合プレート20は機械的接続で相互に直接しっかりと固定されていないが、ポンプロータ164の磁石17と結合プレート20の磁石21との間に存在する磁気結合166は、結合プレート20がシャフト163により回転するとき、ポンプロータ164の回転を生じる磁気接続として機能する。結合プレート20及びポンプロータ164がモータ162により回転されると、ポンプロータ164の磁石17と結合プレート20の磁石21は、交番磁界(例えば回転磁界)を生成する。本開示の目的のために、ポンプロータ164及び/または結合プレート20の回転に関連するこの交番磁界は、集合的にポンプロータの交番磁界と称され得る。
【0078】
モータの交番磁界及びポンプロータの交番磁界は、それぞれが実質的に異なる磁気源から生じるので、実質的に異なる交番磁界を構成する。1つ以上のトランスデューサ168、または1つ以上のダイナモ169、またはトランスデューサ168とダイナモ169との組み合わせを、これらのデバイスが、主にポンプロータの交番磁界から、または主にモータの交番磁界から、または実質的にポンプロータの交番磁界とモータの交番磁界の両方から、電気エネルギーを収集するように、1つ以上の位置に配置することは、本開示の範囲内である。
【0079】
引き続き
図3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、モータステータ310及び/またはモータロータ320により生成される交番磁界(例えば回転磁界)、すなわちステータ310の極性の周期的変化により及び/またはモータロータ320の回転により誘起された、集合的にモータの交番磁界と称される交番磁界に対して、トランスデューサ168は近接して配置され得る。よって、トランスデューサ168は、モータ162の交番磁界から直接エネルギーを収集し得る。付加的または代替的に、トランスデューサ168は、ポンプロータ164の磁石17と結合プレート20の磁石21の回転により生成される交番磁界(例えば回転磁界)からエネルギーを収集するために、ポンプロータ164に対して動作可能な近接距離に配置されてもよい。すなわち、トランスデューサ168は、モータステータ310及びモータロータ320に関連する交番磁界と、結合プレート20及びポンプロータ164に関連する交番磁界とのいずれかまたは両方から、エネルギーを収集し得る。
【0080】
図3Cでは、トランスデューサ168及び関連する変換ボックス170に関するこのような代替的な位置が、集積回路または集積電子チップとして仮想線で示されるが(参照番号168y、170y、及び168z、170zで識別されるが)、これらは、別個に存在して、1つ以上の有線または無線電気接続により電気接続されてもよい。同様に、カバー172上に配置されたトランスデューサ168及び変換ボックス170は、離間して配置された状態が示され、1つ以上の有線(
図3Cには図示せず)または無線電気接続(
図3Cには図示せず)がこれらを接続し、よって、トランスデューサ168により生成された電圧パルスは、変換ボックス170に送られて、1.2ボルト~5.0ボルト以上の範囲などの使用可能な出力電圧へと処理されるが、これらの別個の構造は、集積回路に統合されてもよく、集積電子チップを形成するように統合されてもよい。
【0081】
図3A~
図3Dに示される血液ポンプ16のさらなる詳細は、1997年8月19日に発行された米国特許第5,658,136号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0082】
図3E~
図3Fは、血液ポンプ106の別の非限定的な実施形態を示し、この実施形態では、ポンプロータ264はモータロータとしても機能し、そのためロータ264は、モータ262のステータにより直接駆動され、よって、この実施形態には、シャフト163及び結合プレート20は含まれない。この実施形態では、ロータ264は、
図3C~
図3Dに関連して説明されたものと実質的に同じであり得る。モータ262は、モータステータ311を含み、モータステータ311は、ロータ264の磁石27に動作可能に関連付けられた1つ以上の磁石23(例えば電磁石)を含む。DCモータまたはACモータであり得るモータ262の動作中、電磁石23に電流が供給され、電磁石23の極性は周期的に変化する。ステータ311の電磁石23の交番極性は、軸A中心にロータ264を回転させる交番磁界を生成する。より具体的には、モータステータ311の交番磁界は、ロータ264の磁石27の磁界と相互作用して、ステータ311に対してロータ264を回転させるトルクを生成し得る。トランスデューサ168は、モータステータ311に関連する交番磁界、すなわち磁石23の極性の周期的変化により誘起される交番磁界からエネルギーを収集するために、ステータ311に対して動作可能な近接距離に配置され得る。付加的または代替的に、トランスデューサ168は、ロータ264の磁石27の回転に関連する交番磁界からエネルギーを収集するために、ロータ264に対して動作可能な近接距離に配置されてもよい。
【0083】
上記のように、トランスデューサ168は、ウィーガンドインダクタを含み、これは、ロータ164、264に関連する交番磁界の回転に応じて、略均一な振幅の一連の電圧パルスを生成する。いくつかの実施形態では、ウィーガンドインダクタの形態のトランスデューサ168は、ダイナモ169(
図2B及び
図4Bに示される)に置き換えられ得、これは、ロータ164、264に関連する交番磁界の回転に応じて、ロータ164、264の回転速度に比例したAC電圧出力を生成する。ダイナモ169は、
図3A~
図3Bに示されるトランスデューサ168と同様にロータ164、264に関連する交番磁界内に配置され得る。ウィーガンドインダクタの形態の磁気トランスデューサ168に関連する電気属性及び電気出力のさらなる詳細は、
図6A~
図10に関連して本明細書に説明され、ダイナモ169に関連する電気属性及び電気出力のさらなる詳細は、
図11及び
図12に関連して本明細書に説明される。
【0084】
ウィーガンドセンサは、磁界の変化の回数及びタイミングを感知するように適合されたウィーガンドインダクタであることに留意されたい。本開示によれば、ウィーガンドインダクタが、電気エネルギーが収集される変化磁界の変化の回数及びタイミングを感知するためにも使用されるかどうかに関係なく、ウィーガンドインダクタは、新規で進歩性のある独創的な方法で、例えばポンプロータの電動モータ及び/または磁石により生成される変化磁界から電気エネルギーを収集するために使用されるデバイスである。本開示の実施形態によれば、ウィーガンドインダクタは、変化磁界から電気エネルギーを収集するように適合されているが、このウィーガンドインダクタは、磁界の変化の回数及びタイミングに関するデータを収集するように適合されていないため、ウィーガンドセンサと解釈することはできない。
【0085】
本開示のいくつかの実施形態では、トランスデューサ168、169は、主に電動モータにより生成される変化磁界から電気エネルギーを収集するように配置されてもよく、またはトランスデューサ168、169は、主に回転ロータ164、264の磁石により生成される変化磁界から電気エネルギーを収集するように配置されてもよく、またはトランスデューサ168、169は、実質的に、電動モータにより生成される変化磁界と、回転ロータ164、264の磁石により生成される変化磁界との両方から電気エネルギーを収集するように配置されてもよい。
図3C~
図3Dに関して説明された実施形態(複数可)では、トランスデューサ168、169がモータ162により生成される変化磁界と、回転ロータ164の磁石により生成される変化磁界との両方から電気エネルギーを収集するように配置されたとき、2つの変化磁界は、トランスデューサ168及び169に異なる影響を与え得る。モータロータ320及びポンプロータ164は、実質的に同じ速度で一緒に回転していることから、2つの変化磁界は、互いに一緒に位相が変化していることに留意されたい。その結果、ダイナモ169に関しては、複合変化磁界の累積効果により、回転サイクルあたり、より多くの電気エネルギーが収集される。
【0086】
図6A~
図6Fに関して後述されるように、極性シフトを引き起こす閾値に達するのであれば、ウィーガンドインダクタは一定の振幅パルスのみ生成するので、トランスデューサ168に関して、必ずしも複合磁界からより多くの電気エネルギーが収集されることはない。しかしながら、複合磁界は同相であるため、単一の変化磁界源のうちの1つから電気エネルギーを収集する場合よりも頻繁に、複合磁界が電圧パルスをトリガすることはあり得ない。一方で、複合変化磁界の累積効果により、複合変化磁界から電気エネルギーを収集するようにトランスデューサ168を配置できる領域の拡大が可能となる。
【0087】
図1Aに示されるように、複数のポンプ16をポンプアレイで動作させるとき、同相で動作していることのない2つの隣接するポンプ16から電気エネルギーを収集するように、トランスデューサ168を配置することが可能である。この場合、複合磁界により、トランスデューサ168は、2つの隣接するポンプ16のうちのいずれかのポンプにおける変化磁界の周波数よりも高い周波数で、電圧パルスを生成するようにトリガされ得る。よって、トランスデューサ168は、電圧パルスをより速く生成するほど、複合変化磁界からますます多くの電力を収集することから、位相が一致しない2つ以上の変化磁界源の複合変化磁界にトランスデューサ168を曝すように、トランスデューサ168を配置する場所を賢明に選択することにより、トランスデューサ168を使用して、複合磁界からより多くの電力を収集することが可能となる。
【0088】
図2Aを再び参照すると、酸素供給器18に動作可能に関連付けられた少なくとも1つのセンサ180に電力供給するために、トランスデューサ168により生成された電気エネルギーが使用され得る。トランスデューサ168から少なくとも1つのセンサ180に電気エネルギーを供給する電力リード線182を介して、トランスデューサ168は、少なくとも1つのセンサ180と電気通信し得る。少なくとも1つのセンサ180は、例えば血圧センサ、血液温度センサ、流量センサ、または距離センサなどを構成し得る。少なくとも1つのセンサ180は、酸素供給器18において流入、流出、または通過する血液の属性、例えば血圧、血液温度、または流量を、検出または測定するように構成され得る。少なくとも1つのセンサ180はさらに、検出または測定された属性に対応する出力データ信号を、コントローラ12へ直接的または間接的に送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、
図4及び
図5に関連して本明細書で論述されるように、少なくとも1つのセンサ180に関連付けられたさらなる回路が、少なくとも1つのセンサ180から出力データ信号を受信し、コントローラ12に出力データ信号を送信し得る。コントローラ12は、少なくとも1つのセンサ180から、または少なくとも1つのセンサ180に関連付けられたさらなる回路から、出力データ信号を受信し、受信した出力データ信号に基づいて、GUIディスプレイにシステム10の動作に関連するデータを表示し、及び/またはシステム10の動作を調整するようにプログラムまたは構成され得る。
【0089】
少なくとも1つのセンサ180はトランスデューサ168により電力供給され、トランスデューサ168自体は血液ポンプ16上に、または血液ポンプ16に近接して配置されることから、少なくとも1つのセンサ180に電力供給するために、コントローラ12からの電力ケーブル及び別の外部電源(例えばバッテリ)のいずれも必要ではない。よって、システム10のセットアップ時間は短縮され、少なくとも1つのセンサ180に不適切な電力接続を行う可能性は排除される。
【0090】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサ180は、出力データ信号をコントローラ12に無線で送信するように構成され得る。よって、少なくとも1つのセンサ180とコントローラ12との間に、信号ケーブルを設ける必要はない。よって、システム10のセットアップ時間は短縮され、コントローラ12と少なくとも1つのセンサ180との間に不適切な信号接続を行う可能性は排除される。
図2Aに参照番号200で示される無線出力データ信号は、Wi-Fi、近接通信(NFC)、またはBluetooth(登録商標)などの任意の従来の無線プロトコルにより送信され得る。
【0091】
引き続き
図2Aを参照すると、トランスデューサ168と少なくとも一つのセンサ180との間に変換ボックス170が設けられ、トランスデューサ168により生成された電気エネルギーが蓄積及び調整され得る。変換ボックス170は、トランスデューサ168により出力された電気エネルギーを、少なくとも1つのセンサ180により使用可能な電力形態に変換するための回路を含む。例えば、変換ボックス170は、少なくとも1つのセンサ180に対する損傷を防止するために、少なくとも1つのセンサ180により受け取られる電圧を制限する回路を含み得る。トランスデューサ168の仕様及び少なくとも1つのセンサ180の仕様に応じて、変換ボックス170内に設けられる具体的な回路は変わり得る。例えば、トランスデューサ168がウィーガンドインダクタである実施形態では、変換ボックス170は、トランスデューサ168により生成された電圧パルスを整流する少なくとも1つの整流器と、トランスデューサ168により生成されたエネルギーの整流パルスを蓄積して、蓄積エネルギーを電力出力電圧として少なくとも1つのセンサ180(または他の回路コンポーネント)に出力する少なくとも1つのコンデンサと、を含み得る。変換ボックス170はさらに、少なくとも1つのセンサ180を安全に作動させるのに適した所定閾値に出力電圧を制限する保護回路を含み得る。いくつかの実施形態では、変換ボックス170は、約1.2ボルト~約5.0ボルト、または約1.8ボルト~約5.0ボルト、または約3.3ボルト~約5.0ボルトのDC電圧を出力し得る。
【0092】
再び
図3C、
図3Eを参照すると、いくつかの実施形態では、トランスデューサ168、変換ボックス170、及び少なくとも1つのセンサ180はすべて、血液ポンプ16の筐体167、例えばカバー172の部分の上に、配置され得る。よって、ロータ164、筐体167、カバー172、トランスデューサ168、変換ボックス170、及び少なくとも1つのセンサ180は、所定の衛生慣習に沿った定期的な保守間隔で単一ユニットとして容易に交換することができるモジュール(すなわち使い捨てモジュール)を形成し得る。これは、本明細書に説明されるように、変換ボックス170及び少なくとも1つのセンサ180へ供給を行う外部電力接続の必要性がトランスデューサ168により排除されることから、可能となる。さらに、少なくとも1つのセンサ180の無線データ転送により、少なくとも1つのセンサ180と心肺装置のコントローラ12との間の信号ケーブルの必要性が排除される。よって、医療提供者は、従来のシステムとは対照的に、血液ポンプ16からトランスデューサ168、変換ボックス170、及び少なくとも1つのセンサ180を取り外すために、いずれの電気切断も行う必要がない。ロータ164、筐体167、カバー172、トランスデューサ168、変換ボックス170、及び少なくとも1つのセンサ180を、単一のモジュール型ユニットとして設けることにより、これらのコンポーネントを個々に交換することに伴い得るオペレータのエラーの可能性及び深刻度が軽減される。
【0093】
ここで
図2Bを参照すると、本開示による体外循環システム10の別の実施形態が示される。
図2Bの実施形態は、
図2Aの実施形態と実質的に同様であり、相違点のみが説明される。
図2Bの実施形態は、
図2Aのウィーガンドインダクタトランスデューサ168とは対照的に、ダイナモの形態のトランスデューサ169を利用する。
図2Bのダイナモ169は、ロータ164に関連する交番磁界の回転に応じて、ロータ164の回転速度に比例したAC電圧出力を生成し得る。ダイナモの形態の磁気トランスデューサ169の様々な形態に関連する電気属性及び電気出力のさらなる詳細は、
図11~
図12に関連して本明細書に説明される。
【0094】
ダイナモ169の出力は
図2Aのウィーガンドインダクタ168とは異なることから、
図2Bの実施形態では、
図2Aの変換ボックス170は、変換ボックス171に置き換えられている。変換ボックス171は、ダイナモ169により生成されたACエネルギーを蓄積するための1つ以上のインダクタと、1つ以上のインダクタに流入または1つ以上のインダクタから流出する電圧を整流するための1つ以上の整流器と、ダイナモ169により生成されたAC電圧を、少なくとも1つのセンサ180などの1つ以上の電子コンポーネントに電力供給するのに適したDC電圧に変換するための1つ以上のコンポーネント(例えば回路またはサブ回路)と、を含み得る。例えばAC電圧の整流を含み得る、AC電圧をDC電圧に変換するためのこのようなコンポーネントは、従来の市販のユニットを構成し得る。いくつかの実施形態では、変換ボックス171は、約1.2ボルト~約5.0ボルト、または約1.8ボルト~約5.0ボルト、または約3.3ボルト~約5.0ボルトのDC電圧を出力し得る。
【0095】
図2A及び
図2Bは、トランスデューサ168、169を介して少なくとも1つのセンサ180に電力供給するための非限定的で例示的な回路の実施形態を示すが、しかしながら、システム10は、
図4A、
図4B、及び
図5に示されるように、トランスデューサ168、169及び/または少なくとも1つのセンサ180のパフォーマンスを促進及び/または改善するさらなる回路を含み得る。
図4Aを参照すると、トランスデューサ168の出力は、実質的に
図2Aに示される方法で、変換ボックス170と電気通信され得る。
図2Aに関連して本明細書で説明されるように、変換ボックス170は、トランスデューサ168から出力されるパルス電気エネルギーを、少なくとも1つのセンサ180に電力供給するのに適切な形態(例えば適切なDC電圧)に変換する。さらに、変換ボックス170は、トランスデューサ168から出力されたパルス電気エネルギーを、少なくとも1つのセンサプロセッサ185及び少なくとも1つの送信器190などの様々な他の電気コンポーネントに電力供給するのに適切な形態(例えば適切なDC電圧)に変換し得る。具体的には、変換ボックス170は、約1.2ボルト~約5.0ボルト、または約1.8ボルト~約5.0ボルト、または約3.3ボルト~約5.0ボルトのDC電圧を出力し得る。
【0096】
少なくとも1つのセンサプロセッサ185は、有線または無線のデータ接続187を介して、少なくとも1つのセンサ180と電子通信し得る。センサプロセッサ185は、データ接続187を介して少なくとも1つのセンサ180から出力データ信号(例えばアナログ出力信号)を受信し、その出力データ信号を、少なくとも1つの送信器190へ送信するためのセンサデータ信号(例えばデジタル信号)に変換するように構成され得る。センサプロセッサ185は、センサ180からの出力データ信号をセンサプロセッサ185から出力されるセンサデータ信号に変換するためのアルゴリズムを実行するように構成された、当技術分野で従来知られているプロセッサを含み得る。送信器190は、有線または無線のデータ接続189を介して、少なくとも1つのセンサプロセッサ185と電子通信し得る。少なくとも1つの送信器190は、センサデータ信号を心肺装置のコントローラ12に送信するように構成され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの送信器190は、センサデータ信号をコントローラ12に無線で送信し得る。よって、少なくとも送信器190とコントローラ12との間に、信号ケーブルを設ける必要はない。よって、システム10のセットアップ時間は短縮され、コントローラ12と少なくとも1つの送信器190との間に不適切な信号接続を行う可能性は排除される。少なくとも1つの送信器190は、Wi-Fi、近距離通信(NFC)、またはBluetooth(登録商標)などの任意の従来の無線プロトコルを使用して、データ信号200を無線で出力し得る。
【0098】
図4Bは、
図2Bに関連して本明細書に説明されるように、ウィーガンドインダクタ168及び関連する変換ボックス170が、ダイナモ169及び関連する変換ボックス171に置き換えられていることを除いて、
図4Aと実質的に同じである別の非限定的で例示的な回路の実施形態を示す。よって、
図4Bに示される実施形態は、ダイナモ169を使用して交番磁界からエネルギーを収集し、少なくとも1つのセンサ180、少なくとも1つのセンサプロセッサ185、及び少なくとも1つの送信器190のうちの1つ以上に、電力を供給する。変換ボックス171は、トランスデューサ169から出力されたAC電気エネルギーを、少なくとも1つのセンサ180、少なくとも1つのセンサプロセッサ185、及び少なくとも1つの送信器190のうちの1つ以上に電力供給するのに適切な形態(例えば適切なDC電圧)に変換する。具体的には、変換ボックス171は、約1.2ボルト~約5.0ボルト、または約1.8ボルト~約5.0ボルト、または約3.3ボルト~約5.0ボルトのDC電圧を出力し得る。少なくとも1つのセンサ180、少なくとも1つのセンサプロセッサ185、及び少なくとも1つの送信器190は、
図4Aに関連して説明されたものと形態及び機能が同一であり得る。
【0099】
図4A及び
図4Bは、例示を明確にするために、少なくとも1つのセンサ180、少なくとも1つのセンサプロセッサ185、及び少なくとも1つの送信器190を、別個のコンポーネントとして示す。しかし、これらのコンポーネントのうちのいずれかまたはすべては、本開示の範囲から逸脱することなく単一の物理的デバイスに統合されてもよく、これは、少なくとも1つの磁気トランスデューサ168またはダイナモ169を使用して交番磁界から収集した電気エネルギーで電力供給されることが、当業者には理解されよう。もちろん、集積回路またはコンピュータチップであり得る単一の物理的デバイスに電力供給して通電するために、複数の磁気トランスデューサ168、または複数のダイナモ169、またはこれらの混合を使用して、ポンプモータまたは他の電動モータにより生成される交番磁界から電気エネルギーを収集することは、本開示の範囲内である。
【0100】
図5を参照すると、それぞれウィーガンドインダクタまたはダイナモのいずれかの形態であるトランスデューサ168、169、及び少なくとも1つのセンサ180に関連する回路の別の実施形態が示されており、さらなる回路により、トランスデューサ168、169及び/または少なくとも1つのセンサ180のパフォーマンスが促進及び/または改善される。
【0101】
図5の回路は、エネルギー収集器250を含み、これは、第1の実施形態では、ウィーガンドインダクタ168とその関連する変換ボックス170との組み合わせ、または第2の実施形態では、ダイナモ169とその関連する変換ボックス171との組み合わせを含み得る。いずれの実施形態でも、エネルギー収集器250は、
図5に示される1つ以上の電子コンポーネントに電力供給するのに適したDC電圧の形態の電源を構成する。エネルギー収集器250の出力は、エネルギー蓄積コンポーネント184と電気通信され得る。エネルギー蓄積コンポーネント184は、エネルギー収集器250により生成された電気エネルギーを受け取り得、エネルギー蓄積コンポーネント184は、1つ以上の電気コンポーネントに電力供給するのに適切な形態(例えば適切なDC電圧)で電気エネルギーを供給し得る。具体的には、エネルギー蓄積コンポーネント184は、約1.2ボルト~約5.0ボルト、または約1.8ボルト~約5.0ボルト、または約3.3ボルト~約5.0ボルトのDC電圧を出力し得る。エネルギー蓄積コンポーネント184の1つ以上のアウトレットは、少なくとも1つのセンサ180、少なくとも1つのセンサ180に関連する少なくとも1つの信号プロセッサ186、少なくとも1つのデータプロセッサ188、及び少なくとも1つの送信器190のうちの1つ以上と電気通信し得、これらに前述の電圧範囲内の電力を供給し得る。これらコンポーネントのそれぞれについて順に説明する。少なくとも1つの信号プロセッサ186は、有線または無線のデータ接続187を介して、少なくとも1つのセンサ180と電子通信し得る。少なくとも1つの信号プロセッサ186は、データ接続187を介して少なくとも1つのセンサ180から出力データ信号(例えばアナログ出力信号)を受信し、その出力データ信号を、少なくとも1つのデータプロセッサ188へ送信するためのセンサデータ信号(例えばデジタル信号)に変換するように構成され得る。少なくとも1つの信号プロセッサ186は、出力データ信号をセンサデータ信号に変換するためのアルゴリズムを実行するように構成された、当技術分野で従来知られている信号処理ユニットを含み得る。
【0102】
少なくとも1つのデータプロセッサ188は、有線または無線のデータ接続191を介して、少なくとも1つの信号プロセッサ186と電子通信し得る。少なくとも1つのデータプロセッサ188は、少なくとも1つの信号プロセッサ186からセンサデータ信号を受信し、センサデータ信号を少なくとも1つの送信器190に送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのデータプロセッサ188は、センサデータ信号を少なくとも1つの送信器190に送信する前に、適切な方法でセンサデータ信号をフィルタリングするか、あるいは変換するように構成され得る。さらに、少なくとも1つのデータプロセッサ188は、少なくとも1つの送信器190から検証信号を受信するように構成され得る。検証信号は、少なくとも1つのデータプロセッサ188と少なくとも1つの送信器190との間で送信されるデータの真正性を検証するために、例えばハンドシェイク通信またはチェックサム通信を含み得る。少なくとも1つのデータプロセッサ188は、センサデータ信号を送信し、少なくとも1つの送信器190から検証信号を受信するためのアルゴリズムを実行するように構成された、当技術分野で従来知られているマイクロプロセッサを含み得る。
【0103】
少なくとも1つの送信器190は、有線または無線のデータ接続189を介して、少なくとも1つのデータプロセッサ188と電子通信し得る。少なくとも1つの送信器190は、センサデータ信号を心肺装置のコントローラ12に送信するように構成され得る。さらに、少なくとも1つの送信器190は、コントローラ12から検証信号を受信するように構成され得る。検証信号は、少なくとも1つの送信器190とコントローラ12との間で送信されるデータの真正性を検証するために、例えばハンドシェイク通信またはチェックサム通信を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの送信器190は、コントローラ12にセンサ故障信号を通信するように、及び/またはコントローラ12から少なくとも1つのデータプロセッサ188に信号命令を通信するように、構成され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの送信器190は、センサデータ信号をコントローラ12に無線で送信し得る。よって、少なくとも送信器190とコントローラ12との間に、信号ケーブルを設ける必要はない。よって、システム10のセットアップ時間は短縮され、コントローラ12と少なくとも1つの送信器190との間に不適切な信号接続を行う可能性は排除される。少なくとも1つの送信器190は、Wi-Fi、近距離通信(NFC)、またはBluetooth(登録商標)などの任意の従来の無線プロトコルを使用して、データ信号200を無線で出力し得る。
【0105】
図5は、例示を明確にするために、少なくとも1つのセンサ180、エネルギー蓄積コンポーネント184、少なくとも1つの信号プロセッサ186、少なくとも1つのデータプロセッサ188、及び少なくとも1つの送信器190を、別個のコンポーネントとして示す。しかし、これらのコンポーネントのうちのいずれかまたはすべては、本開示の範囲から逸脱することなく、集積コンピュータチップなどの単一の物理的デバイスに統合されてもよく、これは、少なくとも1つの磁気トランスデューサ168またはダイナモ169を使用して交番磁界から収集した電気エネルギーで電力供給されることが、当業者には理解されよう。もちろん、集積コンピュータチップであり得る単一の物理的デバイスに電力供給するために、複数の磁気トランスデューサ168、または複数のダイナモ169、またはこれらの混合を使用して、ポンプモータまたは他の電動モータにより生成される交番磁界から電気エネルギーを収集することは、本開示の範囲内である。
【0106】
ここで
図6A~
図6Fを参照すると、ウィーガンドインダクタの形態のトランスデューサ168によるエネルギー収集及びエネルギー出力の原理が示される。
図6A~
図6Fは、ウィーガンドインダクタの電圧生成特性を説明するための合理的な理論モデルを示すが、このモデルは、
図9及び
図10から明らかなように、実験的に測定された電圧生成の特性のすべてを説明し得ないことに、留意されたい。
【0107】
図6A~
図6Fに示される理論モデルによれば、ウィーガンドインダクタは、内側コア302と外側シェル304とを有するウィーガンドワイヤを含む。外側シェル304は内側コア302よりも高い保磁力を有し、よって、極性の変化を誘発するには、外側シェル304は比較的強い磁界に曝される必要がある。ウィーガンドワイヤは、低炭素バイカロイ(Vicalloy)(例えばコバルト、鉄、及びバナジウムの強磁性合金)から構成され得、これは、外側シェル304を冷間加工するために一連の撚り及び撚り戻し動作を受ける。この冷間加工により、外側シェル304は硬磁性を有するようになるが、内側コア302は軟磁性を有したままである。この冷間加工に続いて、ウィーガンドワイヤは時効処理され得る。ウィーガンドワイヤに適したビカロイの具体的な例は、実質的に52%のコバルト、10%のバナジウム、微量の炭素及びマンガンなどの元素、及び残部(~37%)の鉄の合金を含む。ピックアップコイル306が、ウィーガンドワイヤの周りに巻き付けられ、2つの端子308有して、その間に電圧が生成される。このような電圧は、ウィーガンドインダクタが変化磁界に曝されたときに、端子308間で生成される。より具体的には、内側コア302の極性を反転させるのに十分な大きさの磁界にウィーガンドインダクタが曝されたとき、端子308間に第1の電圧パルスp1が生成され、続いて、外側シェル304の極性を反転させるのに十分な大きさの磁界にウィーガンドインダクタが曝されたとき、端子308間に第2の電圧パルスp2が生成される。
【0108】
ここで
図6Aを参照すると、外部磁界が存在しない状態のトランスデューサ168が示され、内側コア302及び外側シェル304の両方のそれぞれの極性は、矢印Bで示されるように同じ方向に整列している。
図6Aに示される状態では、ピックアップコイル306により電圧は生成されない。次に
図6Bを参照すると、内側コア302の極性を反転させるのに十分な大きさであるが、外側シェル304の極性を反転させるには不十分な大きさの外部磁界Mに曝されたトランスデューサ168が示される。内側コア302の極性の切り替わりにより、ピックアップコイル306の端子308間に、第1の電圧パルスp1が生成される。次に
図6Cを参照すると、磁界Mが外側シェル304の極性を反転させるのに十分な大きさを有するように、外部磁界Mの大きさは、
図6Bと比較して増大される。外側シェル304の極性の切り替わりにより、ピックアップコイル306の端子308間に、第2の電圧パルスp2が生成される。内側コア302の極性と、外側シェル304の極性は、再び整列する。第1の電圧パルスp1及び第2の電圧パルスp2は、実質的に異なる振幅を有し得るが、これらは同じ極性を有する。具体的には、いくつかの事例では、第2の電圧パルスp2の振幅は、第1の電圧パルスp1と比較してエネルギー出力が無視できるほど小さくあり得、よって、第2の電圧パルスp2から評価できるほどのエネルギーは集されない。
【0109】
ここで
図6Dを参照すると、外部磁界Mが取り除かれるか、または少なくともゼロに低減されるが、内側コア302及び外側シェル304の極性は、
図6Cと同じ状態に留まる。コイル306により電圧は生成されない。ここで
図6Eを参照すると、外部磁界Mは、
図6Bと比較して同様の大きさであるが反対方向に存在する。外部磁界Mは、内側コア302の極性を反転させるのに十分な大きさであるが、外側シェル304の極性を反転させるには不十分な大きさである。内側コア302の極性の切り替わりにより、ピックアップコイル306の端子308間に、第3の電圧パルスp3が生成される。次に
図6Fを参照すると、外部磁界Mが外側シェル304の極性を反転させるのに十分な大きさを有するように、外部磁界Mの大きさは、
図6Eと比較して増大される。外側シェル304の極性の切り替わりにより、ピックアップコイル306の端子308間に、第4の電圧パルスp4が生成される。内側コア302の極性と、外側シェル304の極性は、再び整列する。磁界Mが取り除かれるか、または少なくともゼロに低減されると、ウィーガンドインダクタは再び
図6Aの状態になり、外部磁界Mを変化させるサイクルが繰り返され得る。
【0110】
第3の電圧パルスp3及び第4の電圧パルスp4は、実質的に異なる振幅を有し得るが、これらは同じ極性を有する。具体的には、いくつかの事例では、第4の電圧パルスp4の振幅は、第3の電圧パルスp3と比較してエネルギー出力が無視できるほど小さくあり得、よって、第4の電圧パルスp4から評価できるほどのエネルギーは収集されない。第3の電圧パルスp3及び第4の電圧パルスp4の極性は、第1の電圧パルスp1及び第2の電圧パルスp2の極性と逆である。電圧パルスp1と電圧パルスp3の振幅は実質的に同じであるが、極性は反対である。電圧パルスp2と電圧パルスp4の振幅は実質的に同じであるが、極性は反対である。
【0111】
図6A~
図6Fに示されるような大きさ及び方向が変化する交番磁界Mは、血液ポンプ16のロータ164の回転により生成される(
図2A、
図3A、及び
図3B参照)。すなわち、ロータ164が回転すると、交番磁界が生成され、これにより、
図6A~
図6Fに示されるように、磁界Mの大きさ及び方向の周期的な変化にトランスデューサ168は曝される。主に第1の電圧パルスp1及び第3の電圧パルスp3が、変換ボックス170及び/またはエネルギー蓄積コンポーネント184に収集され蓄積されるように、ピックアップコイル306の端子308は、電力リード線182に取り付けられる(
図2A参照)。これは、第2の電圧パルスp2及び第4の電圧パルスp4の振幅が、第1の電圧パルスp1及び第3の電圧パルスp3と比べて無視できるほど小さく、よって、第2の電圧パルスp2及び第4の電圧パルスp4は、収集され蓄積されるエネルギー量に、評価できるほど寄与しないからである。
【0112】
単位時間当たりに生成される電圧パルスp1、p2、p3、p4の数は、磁界Mが交番する速度と共に増加し、すなわち、電圧パルスp1、p2、p3、p4の生成がより速い速度で起こるので、より速くロータ164が回転すると、トランスデューサ168により単位時間当たりより多くのエネルギーが収集される。しかし、電圧パルスp1の振幅及び極性は一定のままであり、電圧パルスp2の振幅及び極性は一定のままであり、電圧パルスp3の振幅及び極性は一定のままであり、電圧パルスp4の振幅及び極性は一定のままである。
図9から理解されるように、電圧パルスp1、p2、p3、p4のそれぞれは、一連の振動として現れる。しかし、
図6A~
図6Fにおける描写及び説明を容易にするために、電圧パルスp1、p2、p3、p4のそれぞれは、電圧の単一スパイクとして示される。本開示の目的のために、
図6A~
図6Fにより示される電圧パルスp1、p2、p3、p4の電圧パルス生成のこのパターンは、交番磁界(ロータ164の回転により生成される回転磁界など)にウィーガンドインダクタを曝した結果であり、「ウィーガンドインダクタ電圧パルス生成パターン」と称される。
【0113】
ここで
図7を参照すると、本開示の非限定的な実施形態による、
図6A~
図6Bのウィーガンドワイヤ(すなわち内側コア302及び外側シェル304)の磁気ヒステリシス
図700が示される。
図700では、x軸に磁界Hがアンペア/センチメートル(A/cm)単位でプロットされ、y軸にウィーガンドワイヤの磁束密度Bがテスラ単位でプロットされる。
図700から理解され得るように、ウィーガンドワイヤは、高保磁力、すなわち消磁されることなく外部磁界に耐える能力を有し、これにより、
図6A~
図6Fに関連して説明された電圧パルスp1、p2、p3、p4の生成が促進される。
【0114】
図8は、
図6A~
図6Fにおけるウィーガンドインダクタの形態のトランスデューサ168のパルス電圧出力のグラフ図を示す。グラフ810は、時間tに対してプロットされた磁束Bを示す。グラフ820は、時間tに対してプロットされた電圧Vを示す。グラフ810には、2つの異なる交番磁界変化率を示す、2つの異なる磁束曲線J及びKが表される。曲線Jは、曲線Kと比べて、経時的磁束変化が比較的遅い。グラフ820は、グラフ810に表される曲線K及びJの磁界変化に関連する電圧パルス生成を経時的に示す。
図6A~
図6Fに関連して本明細書に説明されるように、交番磁界が内側コア302及び外側シェル304の極性の変化を引き起こすと、ウィーガンドインダクタによりパルスpの電圧が生成される。パルスpが発生する時間間隔は、磁界の変化速度、この事例ではロータ164の回転速度に応じる。よって、曲線Jに関連する電圧パルスp
Jは、曲線Jの極性が変化するたびに生じ、曲線Kに関連する電圧パルスp
Kは、曲線Kの極性が変化するたびに生じる。よって、グラフ810に示されるように、曲線Kは、曲線Jと比較して磁束の変化速度が速いため、曲線Kは、曲線Jが電圧パルスp
Jを生成するよりも速い速度で、電圧パルスp
Kを生成する。しかし、ウィーガンドインダクタにより生成されるパルスの振幅は、交番磁界の変化率に依存しないことから、曲線Kに関連する電圧パルスp
Kは、曲線Jに関連する電圧パルスp
Jと同じ振幅を有することに、留意されたい。
【0115】
実質的に異なる回転周波数を有する2つの回転磁界内に(すなわちポンプアレイの2つの隣接するポンプ16における2つの隣接する電力モータ162などの異なる磁気源から生成される2つの回転磁界内に)同時に、トランスデューサ168が配置されたとき、トランスデューサ168がどのように電圧パルスを生成し得るかを概念化するために、グラフ810及び820は使用され得る。位相が異なる曲線J及びKの両方により表される磁界から電気エネルギーを収集するように配置されたトランスデューサ168は、電圧パルスp
J及びp
Kを生成するため、経時的に生成されるパルス数は、電圧パルスp
Jとp
Kの合計となり、よって、トランスデューサ168は、ただ1つの変化磁界JまたはKに配置されたときよりも、複合磁界でより多くのパルスを単位時間当たり生成する。これは、複合磁界でより大きい電圧パワーを生成することに等しい。一方、
図6A~
図6Fを参照して上記で説明されたように、トランスデューサ168は極性シフトを受けたときに一定のパルス振幅を生成するため、例えば電動モータ162により生成される回転磁界J、及びその関連するポンプロータ164の磁石により生成される回転磁界J’など、同相である2つの変化磁界内にトランスデューサ168が配置された場合、生成される電圧パルスp
Jの数は、トランスデューサ168が単一の回転磁界のみに配置された場合と同じである。よって、磁界(複数可)が、トランスデューサ168内の極性シフトを引き起こす電圧を生じるのに十分な強さを有するならば、トランスデューサ168は、同相で回転する複数の変化磁界内に存在するとき、単一の変化磁界内に存在した場合と同じ電圧パワー出力を生成する。
【0116】
グラフ830は、変化磁界の回転速度、すなわちロータ164の回転速度に対してプロットされた各パルスpのパルスエネルギーを示す。グラフ830から理解され得るように、個々のパルスp
J、p
Kのパルスエネルギーは、磁界のすべての回転速度にわたり一定に留まり、これは、各パルスp
J、p
Kの電圧振幅が磁界の回転速度により影響を受けないことを意味する。しかしながら、上記のように、磁界の回転速度の増加により、パルスp
J、p
Kが生成される時間間隔は短縮するため、ロータ164の回転速度が増加すると、ウィーガンドインダクタから単位時間当たり生成される電圧パルス形態の収集可能エネルギーが増加することから、より多くの電力が生成される。
図8に示されるグラフ810、820、及び830は、一般的な概念の例示のみを意図したものであり、これらにプロットされた様々な属性の実際の値の伝達を意図したものではないことを、理解されたい。
【0117】
図9は、回転磁界に応じて、実際の非限定的なウィーガンドインダクタの実施形態から集められた実験的データのグラフを示す。データは、オシロスコープを使用して集められた。ウィーガンドインダクタにより生成された、任意の電圧調整が行われる前の電圧が直接示されることに、留意されたい。すなわち、(
図2A及び
図4Aに示されるように)トランスデューサ168により出力された、変換ボックス170で調整される前の電圧が示される。時間がミリ秒単位でx軸にプロットされ(各垂直線は1.000ミリ秒を表す)、電圧がボルト単位でy軸にプロットされる(各水平線は2.00ボルトを表す)。グラフは、
図6A~
図6Cに示されるように、ウィーガンドインダクタにより生成された3つの電圧パルスp1、p3、及び第2のサイクルのp1を示す。
図6A~
図6Fに関連して本明細書に述べられたように、この事例では、第2の電圧パルスp2及び第4の電圧パルスp4は図らずも無視できるほど小さいエネルギーを生成するため、第2の電圧パルスp2及び第4の電圧パルスp4は、オシロスコープで前述の電圧スケールに登録されない。第1のサイクルのパルスp1は、約6ボルトの最大振幅を有する。次のパルスp3は、約(-6)ボルトの最大振幅を有し、
図6Eに示される磁界の方向変化の結果、値が負となる。第2のサイクルのパルスp1は、約6ボルトの最大振幅を有し、
図6Bに示される磁界の方向変化の結果、値が正に変化し戻る。
図9から理解され得るように、各電圧パルスp1、p3は、最大振幅に達する初期スパイクを含み、その後、ゼロ電圧まで徐々に減少する一連の振動が続く。
図10は、これらの振動を例示する
図9の第1のサイクルのパルスp1のクローズアップ図を示す(各垂直線が50.00マイクロ秒を表すように拡大されている)。初期スパイクs1は、第1のパルスp1の最大電圧である約6.0002ボルトに達する。後続のスパイクs2~s11は、ゼロ電圧の周りで振動し、信号がゼロボルトで安定するまで、順次に振幅が減少する。
【0118】
図11は、本明細書に記載のウィーガンドインダクタの代替的インダクタ実施形態として使用され得る、ダイナモの形態のトランスデューサ169の二乗平均平方根(RMS)電圧出力のグラフ図を提供する。グラフ910は、時間tに対してプロットされた磁束Bを示す。2つの異なる交番磁界変化率を示す、2つの異なる磁束曲線L及びMが表される。曲線Lは、曲線Mと比べて、経時的磁束変化が比較的遅い。グラフ920は、時間tに対してプロットされた、曲線Lに関連する二乗平均平方根電圧V
L及び曲線Mに関連する二乗平均平方根電圧V
Mを示す。グラフ920は、グラフ910と比較したときの磁界変化に関する経時的な二乗平均平方根電圧生成を示す。グラフ920から理解され得るように、電圧V
L、V
Mは、ウィーガンドインダクタにより出力される一連の電圧パルスp(
図8に示される)とは対照的に、略一定の二乗平均平方根値で出力される。ダイナモ169のAC電圧出力及び対応する二乗平均平方根電圧出力は、磁界の変化率に依存することから、曲線Lに関連する出力電圧V
Lは、曲線Mに関連する出力電圧V
Mよりも小さい。これは、パルスp
J、p
Kの振幅は磁界の変化率の影響を受けないが、単位時間当たり生成されるパルス数が磁界の変化率の影響を受けるウィーガンドインダクタ168のパルス出力とは対照的である(
図8参照)。グラフ930は、磁界の回転速度、すなわちロータ164の回転速度に対してプロットされたAC電圧のエネルギーを示す。グラフ930から理解され得るように、ダイナモ169により生成されるAC電圧の振幅及び周波数は、ロータ164の回転速度の増加に比例して直線的に増加することから、平均電気エネルギーは、磁界の回転速度と共に略直線的に増加する。すなわち、変化磁界の回転速度を増加させると、ダイナモ169の二乗平均平方根電圧出力の振幅は、線形的に増加する。これは、磁界の回転速度に関係なく、各パルスpの電圧振幅が一定のままである
図8のウィーガンドインダクタとは対照的であり、つまり
図8のウィーガンドインダクタでは、変化磁界の回転速度が増加しても、パルスp1の振幅は一定のままであり、パルスp2の振幅は一定のままであり、パルスp3の振幅は一定のままであり、パルスp4の振幅は一定のままである。
図11に示されるグラフ910、920、及び930は、一般的な概念の例示のみを意図したものであり、これらにプロットされた様々な属性の実際の値の伝達を意図したものではないことを、理解されたい。
【0119】
例えば曲線L及びMの磁界がダイナモ169に課された状況など、複数の変化磁界に同時にダイナモ169が曝されたとき、ダイナモ169は、より大きいRMS電圧出力の形態で、より多くの電圧パワーを生成する。これは、曲線L及びMの磁界が位相変化するかどうかに関係なく起こる。
【0120】
図12は、回転磁界に応じて、実際の非限定的なダイナモの実施形態から集められた実験的データのグラフを示す。データは、オシロスコープを使用して集められた。ダイナモインダクタにより生成された、任意の電圧調整が行われる前の電圧が直接示されることに、留意されたい。すなわち、(
図2B及び
図4Bに示されるように)トランスデューサ169により出力された、変換ボックス171で調整される前の電圧が示される。時間がミリ秒単位でx軸にプロットされ(各垂直線は10ミリ秒を表す)、電圧がボルト単位でy軸にプロットされる(各水平線は2.00ボルトを表す)。
図8~
図10のウィーガンドインダクタにより示される周期的パルスp1、p3、p1とは対照的に、グラフは、出力電圧が実質的に同形な波形wをたどることを示す。図示の実施例では、波状曲線wは、約5.7ボルトの振幅、及び約51.962Hzの周波数を有し、このAC出力に対応する二乗平均平方根電圧は、1.839ボルトである。
図11に関連して述べられるように、RMS電圧の振幅は、回転磁界の速度に応じ、よって、
図12に示される波状曲線wは、磁界の具体的な回転速度のみを表す。別の回転速度を有する磁界は、ダイナモ169に別の振幅の二乗平均平方根電圧を生成させる。より具体的には、約52Hzより速い回転周波数を有する磁界は、より高い二乗平均平方根電圧を生成し、約52Hzより遅い回転周波数を有する磁界は、より低い二乗平均平方根電圧を生成する。
【0121】
前述の説明は主に医療装置、具体的には体外循環システム10に関するが、本明細書に説明される原理は他の技術分野にも同様に適用され得ることが、当業者には理解されよう。例えば、トランスデューサ168及び関連するコンポーネントを含む、
図2、
図4、及び
図5に示される電気回路は、酸素供給器18を取り外して、血液以外の流体をポンプ輸送する所望のシステムに好適な流体ポンプに血液ポンプ16を置き換えることにより、体外循環とは別の様々な流体流動システムに実装されてもよい。同様に、少なくとも1つのセンサ180は、所望のシステムの任意のセンサまたは他の低電力電子コンポーネントを包含してもよい。例えば、トランスデューサ168及び関連するコンポーネントを含む、
図2、
図4、及び
図5に示される電気回路は、透析器に関連するセンサに電力を供給するトランスデューサ168を有する血液透析装置に実装されてもよい。さらにより一般的には、ウィーガンドインダクタまたはダイナモの形態のトランスデューサ168を使用して、回転磁界あるいは変化磁界を誘起する電動モータからエネルギーを収集し、収集したエネルギーを使用してセンサ及び他の電子コンポーネントに電力供給することが、本開示の範囲内に入ることは、当業者には理解されよう。
【0122】
前述の説明では、本開示の様々な実施例が提供されたが、当業者は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、これらの実施例に対し変更及び改変を行ってもよい。例えば、本明細書で説明された様々な実施形態の特徴は、本明細書で説明された他の実施形態に適合され得ることを、理解されたい。したがって、前述の説明は、限定的ではなく例示的であることが意図される。本明細書で前述された開示は、添付の特許請求の範囲により定義され、特許請求の範囲の意味及び等価性の範囲に含まれる開示に対するすべての変更は、特許請求の範囲に包含される。
【国際調査報告】