(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】冷却要素および冷却要素に関連する方法
(51)【国際特許分類】
F27D 1/12 20060101AFI20240905BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20240905BHJP
F28D 7/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F27D1/12 A
F27D21/00 A
F28D7/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024515073
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 FI2021050603
(87)【国際公開番号】W WO2023037034
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523394066
【氏名又は名称】メッツォ メタルズ オサケ ユキチュア
【氏名又は名称原語表記】Metso Metals Oy
【住所又は居所原語表記】Rauhalanpuisto 9, 02230 Espoo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ビヨルクルンド、ペテル
(72)【発明者】
【氏名】ソンニネン、バルッテリ
(72)【発明者】
【氏名】ランキ、ティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ロンッパネン、ヤーナ
(72)【発明者】
【氏名】ラーニネン、アキ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイノネン、ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】ソラ、ペトリ
(72)【発明者】
【氏名】スイッカネン、パイビ
【テーマコード(参考)】
3L103
4K051
4K056
【Fターム(参考)】
3L103AA05
4K051AA01
4K051AA05
4K051AB03
4K051HA01
4K051HA03
4K051HA08
4K051HA18
4K056AA01
4K056AA05
4K056CA01
4K056FA11
4K056FA27
(57)【要約】
炉(1)に用いる冷却要素(4)は、炉(1)の内部(3)を向くように構成されている第1の面(7)と、第1の面(7)の反対側にあり、炉の内側(3)から離れる方向を向くように構成されている第2の面(8)と、冷却流体の循環に用いる冷却流路システム(6)とを有する。冷却要素(4)はさらに、圧力媒体に用いるモニタ管路(11)を含むモニタ管路システム(10)を有する。モニタ管路(11)の少なくとも一部分(12)は、第1の面(7)と第1の面(7)に最も近い冷却流路システム(10)の地点(15)によって画定された平面(14)との間に設けられた冷却要素(4)の部分(13)を延伸している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉に用いる、
該炉の内側を向くように構成されている第1の面と、
第1の面の反対側にあり、前記炉の内側から離れる方向を向くように構成されている第2の面と、
冷却流体の循環に用い、冷却要素の内部に設けられた少なくとも1つの冷却流路を含む冷却流路システムとを有する冷却要素であって、
該冷却要素はさらに、圧力媒体に用いる少なくとも1つのモニタ管路を含むモニタ管路システムを有し、前記モニタ管路の少なくとも一部分は、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された平面との間に設けられた前記冷却要素の前記部分を延伸していて、
前記モニタ管路の前記部分は、以下に記載する方向、すなわち、前記平面に平行な方向、第1の面の表面の少なくとも一部分に平行な方向、または、前記平面に対して30度以下の角度をつけた方向のうち少なくともいずれかに延伸していることを特徴とする冷却要素。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却要素において、該冷却要素は、2つ以上の冷却流路を有する冷却要素。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷却要素において、前記モニタ管路システムは、冷却媒体に対する2つ以上のモニタ管路を含み、該モニタ管路のうちの少なくともいくつかの少なくとも一部分は、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された前記平面との間に設けられた該冷却要素の前記部分を延伸していて、
前記モニタ管路の前記部分は、以下に記載する方向、すなわち、前記平面に平行な方向、第1の面の表面の少なくとも一部分に平行、または、前記平面に対して30度以下の角度をつけた方向のうち少なくともいずれかに延伸している冷却要素。
【請求項4】
請求項3に記載の冷却要素において、前記モニタ管路のうちの少なくともいくつかは、該冷却要素の内部に設けられる少なくとも1つの接続管路によって相互に接続され、前記モニタ管路システムを形成する冷却要素。
【請求項5】
請求項4に記載の冷却要素において、前記接続管路は、前記モニタ管路に直交する方向に、および、前記モニタ管路によって画定された前記平面に平行な平面内を延伸している冷却要素。
【請求項6】
請求項3に記載の冷却要素において、前記モニタ管路のうちの少なくともいくつかは、該冷却要素の外部に設けられた少なくとも1つの接続管路によって相互に接続され、前記モニタ管路システムを形成する冷却要素。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の冷却要素において、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された平面との間に設けられた該冷却要素の部分を延伸している前記モニタ管路の少なくとも一部分を含む前記モニタ管路の数は、前記冷却流路の数の0.2~2.0倍の範囲内にある冷却要素。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の冷却要素において、第1の面から第2の面の方向を見たときに、各モニタ管路の断面は冷却流路の断面と重なる冷却要素。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の冷却要素において、第1の面から第2の面の方向を見たときに、各モニタ管路の断面は、いずれの冷却流路の断面とも重ならない冷却要素。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路の径は、6~20mmの範囲内にある冷却要素。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路の径は、8~13mmの範囲内にある冷却要素。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路のそれぞれは、一方の端部が閉じていて、第2の端部は直接または接続管路を介して圧力媒体供給システムに接続されるように構成されている冷却要素。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の冷却要素において、該冷却要素はさらに、前記モニタ管路システムの少なくとも1つのモニタ管路に接続されるとともに、以下に記載する量、すなわち、前記モニタ管路システムの圧力、前記モニタ管路システムの前記圧力の変化、前記モニタ管路システムの流量、または前記モニタ管路システムの前記流量の変化のうち少なくともいずれかを検出するように設けられる少なくとも1つの検出部を有する冷却要素。
【請求項14】
請求項13に記載の冷却要素において、該冷却要素は、前記モニタ管路システムに接続されるただ1つの検出部を有する冷却要素。
【請求項15】
請求項13または14に記載の冷却要素において、該冷却要素は、ただ1つのモニタ管路システムと、該モニタ管路システムに接続されるただ1つの検出部を有する冷却要素。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記検出部は、少なくとも圧力センサまたは流量計を含む冷却要素。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路システムのそれぞれのモニタ管路は、供給圧力が0.2~10バールの範囲内にある圧力媒体に適する構成をとり、前記圧力媒体は、圧縮空気、窒素または他の圧縮気体でなる冷却要素。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の冷却要素において、該冷却要素は金属生産工程に関連する炉での使用に適する構成をとる冷却要素。
【請求項19】
炉に用いる冷却設備であって、該冷却設備は、
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの冷却要素と、
前記冷却流路システム内で冷却流体を循環するように設けられた冷却流体循環手段と、
既定の流入圧力および流量のうち少なくともいずれかで、前記モニタ管路システムに圧力媒体を供給する圧力媒体供給システムとを備えることを特徴とする冷却設備。
【請求項20】
請求項19に記載の冷却設備において、前記圧力媒体供給システムは、前記圧力媒体に対する供給ラインを有し、該圧力媒体の供給ラインは、前記供給ラインの圧力を既定の値に下げるように配設された圧力調整手段を備える冷却設備。
【請求項21】
請求項20に記載の冷却設備において、前記既定の値は、0.2~10バールの範囲内である冷却設備。
【請求項22】
請求項19ないし21のいずれか一項に記載の冷却設備において、該冷却設備は、前記モニタ管路システム内の前記圧力または前記流量のうち少なくともいずれかを検出するよう構成された請求項13ないし16のうち少なくとも一項に記載の少なくとも1つの検出部と、
前記検出部によって検出される量に関連する定義済み状態に達したかどうかを判定するモニタ装置とを有し、
前記測定される量は、前記モニタ管路システム内の圧力および前記モニタ管路システム内の流量のうち少なくともいずれかを含む冷却設備。
【請求項23】
請求項22に記載の冷却設備において、前記定義済み状態とは、既定の値またはそれ未満への前記検出圧力の低下、既定の値またはそれ未満への前記検出流量の上昇、定義済みの閾値を超える前記検出圧力の低下、または、定義済みの閾値を超える前記検出流量の上昇のうち少なくともいずれかである冷却設備。
【請求項24】
請求項22または23に記載の冷却設備において、前記検出部は、前記モニタ管路システム内の前記圧力および前記流量のうち少なくともいずれかを、継続的にまたは既定の時間間隔でモニタする冷却設備。
【請求項25】
請求項19ないし25のいずれか一項に記載の冷却設備において、該冷却設備はさらに、前記圧力媒体の供給ラインに設けられた流量制限手段を含み、前記検出部は、前記流量制限部から下流に設けられる冷却設備。
【請求項26】
請求項19ないし25のいずれか一項に記載の冷却設備において、前記モニタ管路システムの前記モニタ管路のうち少なくとも1つは、前記モニタ管路内に圧力媒体流を開通および遮断可能な弁を備える冷却設備。
【請求項27】
請求項26に記載の冷却設備において、前記モニタ管路システムのそれぞれのモニタ管路は、該モニタ管路内に圧力媒体流を開通および遮断可能な弁を備える冷却設備。
【請求項28】
請求項19ないし27のいずれか一項に記載の冷却設備において、該冷却設備は2つ以上の冷却要素およびただ1つの検出部を有する冷却設備。
【請求項29】
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの冷却要素または請求項19ないし27のいずれか一項に記載の冷却設備のうち少なくともいずれかを有する炉。
【請求項30】
請求項28に記載の炉において、該炉は金属生産工程に関連するものである炉。
【請求項31】
炉に用いる冷却要素に関連する方法であって、前記冷却要素は、請求項1ないし18のいずれか一項に記載の冷却要素で構成され、
該方法は、
冷却流体循環手段を用いて前記冷却流路システムの冷却流体を循環することによって前記冷却媒体を冷却し、
前記少なくとも1つのモニタ管路に圧力媒体供給システムによって圧力媒体を供給する方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、前記冷却要素は、
請求項13ないし16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの検出部と、
該検出部によって検出された量に関連する定義済み状態に達しているかどうかを判定するモニタ装置とを有し、
該方法はさらに、
前記モニタ管路システム内の圧力または流量を継続的にまたは既定の時間間隔でモニタし、
前記モニタ装置による前記定義済み状態に達しているとの判定に応じて前記冷却設備の摩耗を検出する方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法において、前記定義済み状態とは、既定の値またはそれ未満への前記検出圧力の低下、既定の値またはそれ未満への前記検出流量の上昇、定義済みの閾値を超える前記検出圧力の低下、または、定義済みの閾値を超える前記検出流量の上昇のうち少なくともいずれかである方法。
【請求項34】
請求項31または32に記載の方法において、前記冷却要素はさらに、前記モニタ管路システムの前記モニタ管路のうち少なくとも1つに設けられた前記モニタ管路内に圧力媒体流を開通および遮断可能な弁を有し、
該方法はさらに、一度に1つまたは複数の弁を開閉して、前記制御システム流路内の前記圧力または流量のうち少なくとも一方の低下を引き起こす前記摩耗を特定する方法。
【請求項35】
請求項31ないし33のいずれか一項に記載の方法において、前記モニタ装置は、前記摩耗を操作員に示す信号を生成する方法。
【請求項36】
冷却要素が請求項1ないし18のいずれか一項に記載の冷却要素で構成される、炉に用いる冷却要素の摩耗をモニタする方法であって、該方法は、
前記少なくとも1つのモニタ管路に圧力媒体を供給し、
前記冷却要素に、前記モニタ管路システムの少なくとも1つのモニタ管路に接続された前記少なくとも1つの検出部を備え付け、
前記検出部を、該検出部によって検出された量に関連する定義済み状態に達しているかどうかを判定するモニタ装置に接続し、
前記モニタ管路システム内の圧力または流量を継続的にまたは既定の時間間隔でモニタし、
前記モニタ装置による前記定義済み状態に達しているとの判定に応じて前記冷却要素の摩耗を検出することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
本開示は、炉、より具体的には炉の冷却要素に関するものである。本開示はさらに、このような冷却要素に関連する方法に関するものである。
【0002】
産業上の目的で、特に金属類の製造時に用いられる炉、例えば自溶炉、高炉および電気炉または他の冶金炉に関して、冷却要素が用いられる。一般的には、良好な熱伝導率のため冷却要素は主に銅から造られる。概して、このような冷却要素は水によって冷却されるので冷却水路システムを備え、このような場合に、熱は炉内空間で耐火煉瓦から、冷却要素のハウジングを介して冷却水に伝導する。稼働環境は極度に厳しく、冷却要素はとりわけ、炉内雰囲気または溶融物の接触に起因する強い腐食および浸食の負荷にさらされる。経時的に、冷却要素には摩耗および損傷が生じ得る。損傷が冷却水路システムにまで達すれば、冷却水は炉の内部に漏出することがある。このようなことは、工程不良、予定外のサービス中断および著しい経済的損失につながる可能性がある。
【開示の簡単な説明】
【0003】
本開示は、新たな冷却要素および冷却要素に関連する新たな方法を提供することを目的とする。本目的は、独立請求項の記載により特徴づけられている方法および冷却要素によって達成される。本開示のいくつかの好適な実施態様は、独立請求項に開示されている。
【0004】
本開示は、冷却要素の内部にモニタ管路システムを設ける着想に基づく。より具体的には、冷却要素を炉に据え付けて使用するときに、モニタ管路システムは、冷却流路システムと炉の内部に対向する表面との間にある冷却要素の内部に設けられる。
【0005】
本開示の方法および装置の利点は、起こり得る損傷が冷却流路システムに達する前に冷却設備の摩耗を検出可能なことである。この手段によれば、冷却要素を修理または交換する必要性が予測可能となり、工程の中断を予め計画して他の必要な保守とともに最適化することが可能となる。さらに、本開示は公知の方式よりも簡易な構造ならびに少ない部品数および配管工程で実効性のあるモニタ装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下において、添付図面を参照しながら好適な実施形態によって本開示をより詳細に説明する。
【
図2】一実施態様における冷却要素の断面を概略的に示す。
【
図3】一実施態様における冷却要素の断面を
図2の断面に直交する方向から概略的に示す。
【
図4】一実施態様における第1の面に最も近い冷却流路の地点によって画成される平面を示す。
【
図5】別の実施態様における第1の面に最も近い冷却流路の地点によって画成される平面を示す。
【
図6】第1の面に最も近い冷却流路の地点によって画成される平面とモニタ管路の間の角を概略的に示す。
【
図7】冷却要素の一端から見た冷却要素の断面を概略的に示す。
【
図8】
図7で示す交線B-Bの方向に見た
図7の冷却要素の拡大断面を概略的に示す。
【
図9】冷却要素の一端から見た冷却要素の断面を概略的に示す。
【
図10】
図9で示す交線B-Bの方向に見た
図9の冷却要素の拡大断面を概略的に示す。
【
図11】冷却要素の一端から見た冷却要素の断面を概略的に示す。
【
図14】冷却要素の一端から見た冷却要素の2つの異なる実施態様の断面を概略的に示す。
【
図23】
図13で示す交線C-Cの方向に見た、または
図14で示す交線A-Aの方向に見た冷却要素のさまざまな実施態様の拡大断面を概略的に示す。
【
図27】炉に用いる冷却要素の摩耗をモニタする方法を示す。 図面は、例証の目的でのみ示されるものであり、縮尺を示すものではなく、対応する構成のすべてを提示しているとは限らない。
【詳細な説明】
【0007】
図1は、炉1の細部断面を示す。当業者にとっては、
図1で示す炉はさまざまな型の炉のうちの一例にすぎないことが明白である。このような炉に本明細書および添付図面で開示する冷却設備および方法が使用可能であり、開示の冷却設備および方法は、このような炉に一般的な関連用語や構成を入れて示している。同様に、このような炉は本方式に関係がないことを理由に明細書では言及しない複数の部品および構造体を有することは、当業者にとって明白なことである。
【0008】
炉1は一般的に、炉外被2と、炉外被内に炉空間、言わば炉の内部3とを有し、処理される材料が炉内に供給される。ある実施態様では、炉1は産業目的で使用される。ある実施態様では、炉はより具体的に金属品の製造に用いられる。このような炉1は、自溶炉、高炉、電気炉または他の型の冶金炉であってもよい。
【0009】
一般的には、
図1の炉など上述の型の炉は、炉の内部3に対向して炉外被2の側面部上に設けられる冷却要素4を有する。実施態様に応じて、本明細書で開示されている1つ以上の冷却要素4は、炉1の様々な部分に設けられて構わない。冷却要素4は、炉の内部3を全体的に囲繞していてもよく、1つまたは複数の冷却要素4が炉外被2の一部分を覆うように設けられてもよく、または、1つ以上の冷却要素4が炉1で冷却が必要な特定の個所のみに設けられてもよい。一例として、炉1が自溶炉を構成する実施態様では、1つまたは複数の冷却要素4は、反応チャンバ内、下部炉内、および/または通気シャフト内に設けられる。改良した一実施態様では、耐火裏張り5、例えば耐火煉瓦を含む裏張りが、炉の内部3に対向する冷却要素4の表面と連結して設けられる。耐火裏張りは、セラミック材料を含有していてもよい。本明細書では、および/または、という表現を使用する場合、開示した選択肢のうち少なくとも1つ、言わば選択肢のうち1つ以上のことを指す。
【0010】
ある実施態様では、冷却要素4は銅を含有している。ある実施態様では、冷却要素4の体積の少なくとも50パーセントは、銅から成る。冷却要素4の体積のうち、より好ましくは60パーセント以上、最も好ましくは70パーセント以上が銅から成る。ある実施態様によれば、冷却要素4は銅に加えて、または銅に代えて、他の材料で構成される。
【0011】
冷却要素4は、冷却要素の内部を循環する冷却流体、例えば冷却液によって冷却されてもよい。これを果たすために、冷却流路システム6が冷却要素4の内部に設けられてもよい。したがって、熱は耐火裏張り5から冷却要素4のハウジングを介して冷却液に移動することができる。
【0012】
体積の50、60または70パーセントなど、冷却要素4が高率の銅を含有する実施態様の利点は、銅は特に良好な熱伝導率を有し、ゆえに冷却要素4は効率的に熱を炉の内部3に対向する表面から、例えば耐火裏張り5から、冷却流路システム6の冷却流体に伝導できることにある。冷却要素4は溝または畝を備えていてもよく、耐火裏張り5は例えば、セラミックまたは他の種類の材料から作られた耐火煉瓦などのセラミック部材で構成することができる。
【0013】
図2は、一実施態様における冷却要素4の断面を概略的に示す。炉1用の冷却要素4は、炉の内部3に対向するように構成されている第1の面7、および、第1の面7の反対側にあり炉の内部3から離れた方向に構成された第2の面8を含んでいる。言い換えれば、冷却要素4が炉1に付設されている場合に、第1の面7は、炉内空間とも名付けられる炉の内部3に向けて配置された冷却要素4の面を構成し、第2の面8は、炉外被2に向けて配置された冷却要素4の面を構成する。
【0014】
冷却要素4は、冷却流体の循環に用いる冷却流路システム6も備える。冷却流路システム6は、冷却要素4の内部に設けられた少なくとも1つの冷却流路9を有する。実施態様によっては、冷却要素4は2つ以上の冷却流路9を有する。それぞれの冷却流路9は、冷却流体を収容するよう構成されている。したがって、冷却流体の循環は、冷却流路システム6内で行なわれるように構成することができる。冷却流体の循環および冷却流路は当該技術分野では公知であるため、本願での詳細な説明は控える。
【0015】
冷却要素4はさらに、モニタ管路システム10を備える。管路モニタシステム10は、圧力媒体用に少なくとも1つのモニタ管路11を有する。すなわち、モニタ管路11は、圧力媒体を収容するような構成になっている。モニタ管路11内の圧力および/または流量はモニタされ、データは冷却要素4の状態、例えば摩耗をモニタする用途に用いられる。より具体的には、炉1の内部3に対向しているがゆえに高温に晒される第1の面7における冷却要素4の摩耗を検出するために、データが用いられる。冷却要素4の状態をモニタすることは、他の実施態様との関連で後により詳しく述べる。このようなモニタ管路11により、摩耗が冷却流路9に達する前に摩耗を検出することができる。これにより、冷却流体が炉1の内部3に触れる危険性が生じる前に、冷却要素4を例えば交換または修理することができる。実施態様によっては、管路モニタシステム10は、圧力媒体用にただ1つのモニタ管路11を備える。
【0016】
実施態様に応じて、冷却要素4は例えば、連続鋳造、鋳型鋳造または砂型鋳造などの鋳造によって製造されてもよい。実施態様に応じて、モニタ管路11および管路モニタシステム10は、穿孔などの加工によって、あるいは鋳造および/または射出成形に際して冷却要素4の内部に形成されても構わない。
【0017】
モニタ管路11の少なくとも一部分12は、第1の面7と第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15によって画定される平面14との間に設けられる冷却要素の部分13内を延伸している。これは例えば、一実施態様に係る冷却要素を
図2の断面と直交する方向からの断面で概略的に図解している
図3に示される。このような実施態様の利点は、たとえば、点状測定すなわち複数の測定点でよりも、冷却要素4および冷却流路システム6のより広い範囲にわたってモニタできることにある。
図3は、モニタ管路11が冷却要素4の内部および外部に他の部分も有してよいことを概略的に図示している。当業者にとっては、これが単なる概略的な例であり、モニタ管路11はさまざまな次元で相互に角度を付けた部分を有していてもよいということは明白である。いくつかの例が添付図面に示される。当業者にとっては、冷却流路9が一直線である必要はなく、曲状、波状、ジグザグ状または他の形状を採ってもよいことは明白である。この場合にも、冷却流路9は本明細書で述べたように平面14を画定する地点15を有する。
【0018】
管路11またはいくつかの他の構造上の特徴要素がある方向にもしくは平面をまたはある部分内を延伸しているとは、構造上の特徴要素がその方向もしくは平面にまたはその部分内に実体寸法を有していることを指す。本明細書においては、例えば直線状の孔とは、孔の長手方向、言い換えるとドリルの前進動作の方向に延伸しているものと理解され、孔は当然ながら直径も有しているとはいえ長手方向に直交する方向に延伸しているものと理解すべきではない。
図15、19または22のモニタ管路などの曲線状のモニタ管路11は、湾曲方向に延伸していると捉えられ、モニタ管路11の場合には、モニタ管路11の断面18に直交する各地点で湾曲方向に延伸している。曲状の特徴要素とは、波状、環状または螺旋状の特徴要素を含んでいてもよく、例えばモニタ管路11である。同様に、本明細書においては、平面は互いに直交する2つの次元内に延在しているものと捉えられ、他の2つに直交する第3の方向に延在するものではない。したがって、例えばモニタ管路11は、延伸しているとされる方向においてモニタ管路の径20よりも大きな寸法をとっている。
【0019】
ある実施態様では、第1の面7と第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15によって画定される平面14との間にある冷却要素の部分13を延伸するモニタ管路11の寸法は、モニタ管路11の径20の少なくとも10倍、好ましくはモニタ管路11の径20の少なくとも50倍である。ある実施態様では、第1の面7と第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15によって画定される平面14との間にある冷却要素の部分13を延伸するモニタ管路11の寸法は、冷却流路9の長さの少なくとも70パーセントである。ある実施態様では、第1の面7と第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15によって画定される平面14との間にある冷却要素の部分13を延伸するモニタ管路11の寸法は、少なくとも1メートルの長さ、好ましくは少なくとも4メートルの長さである。ある実施態様では、第1の面7と第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15によって画定される平面14との間にある冷却要素の部分13を延伸する複数のモニタ管路11の寸法の合計は、少なくとも1メートルの長さ、好ましくは少なくとも4メートルの長さである。
【0020】
第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15とは、冷却流路システム6の冷却流路9と第1の面7に対する横断方向で測定した第1の面7からの最短距離との接点にある3つ以上の地点のことを指す。言わば、最短距離16は、炉の内部3に対向するように構成された第1の面7の表面から測定される。第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15によって画定される平面14とは、
図4で示すようにすべての地点15を通って延在している平面、または、
図5でその一例が概略的に示されている、データ点として地点15を用いた内挿法を使用して画定された平面のことを指す。言い換えると、平面14は、各地点15を通って延在している平面または冷却要素4の内部に点在する地点15の高さを示す近似関数から成っていてもよい。そのようにして、モニタ管路11の少なくとも部分12は、冷却要素4の内部で冷却流路システム6と冷却要素の第1の面7との間を延伸している。
【0021】
モニタ管路11の部分12は、モニタ管路部分12と名付けてもよく、同様に、冷却要素の部分13も本明細書においては冷却要素部分13とよぶ。実施態様に応じて、モニタ管路11は部分12に加えて他の部分、例えば、冷却要素4の外部を延伸している部分、ならびに/または、平面14および/もしくは第1の面7に直交する方向に延伸している部分を含んでいてもよい。
【0022】
一実施態様によれば、モニタ管路の部分12は、以下に記載する方向、すなわち、平面14に平行な方向、第1の面7の表面の少なくとも一部分に平行な方向、または、平面14に対して30度以下、好ましくは10度以下の角度Xをつけた方向のうち少なくともいずれかに延伸している。言い換えると、モニタ管路部分12は、平面14と第1の面7、より具体的には冷却要素4が炉に付設された場合に炉の内部3に対向する第1の面7の表面との間に延びている。より具体的には、付設している管路部分12は、平面14に対して30度以下、好ましくは10度以下の角度を付けた方向、および/または、第1の面7の表面の少なくとも一部分に平行な方向となる。実際上、このことは、付設している管路部分12が冷却要素4の内部で平面14と第1の面7との間を、第1の面7の表面の少なくとも一部分に対して実質的に平行方向またはわずかに角度をつけた方向に延伸していることを意味する。一実施態様における平面14とモニタ管路11の間の角度Xは、
図6に示される。
図6では平面14に平行な直線が加えられ、角度Xをより明確に示している。
【0023】
図2の実施態様などいくつかの実施態様では、第1の面7の表面は平面状ではなくてもよく、および/または、例えば相互に角度をつけたいくつかの部分からな成るものでも構わない。第1の面7の表面は、例えば、畝状に隆起していてもよく、および/または曲線状であってもよい。したがって、第1の面7の表面の部分は、好ましくは、第1の面7から第2の面8の方向へ見たときにモニタ管路11の位置にあるかまたはこの位置に近接した第1の面の表面の一部分である。
【0024】
図7は、冷却要素の端部から見た冷却要素4の断面を概略的に示し、
図8は、
図7の冷却要素を
図7で示す方向B-Bに見た拡大断面部分で概略的に示す。同様に、
図9は、冷却要素の端部から見た冷却要素4の断面を概略的に示し、
図10は、
図9の冷却要素を
図9で示す方向B-Bに見た拡大断面部分で概略的に示す。これも同様に、
図11は、冷却要素の端部から見た冷却要素の断面を概略的に示し、
図12は、
図11の冷却要素を
図11で示す方向B-Bに見た拡大断面部分で概略的に示す。
【0025】
ある実施態様、例えば
図13の実施態様によれば、1つまたは複数のモニタ管路11は、1つの平面上に設けられる。他の実施態様、例えば
図14の実施態様では、複数のモニタ管路11は2つ以上の平面上に設けられる。好ましくは、各モニタ管路11の少なくとも一部分12は、第1の面7と第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15によって画成される平面14の間に設けられる冷却要素の部分13との結びつきをもって延伸している。
図15ないし
図23は、
図13のC-Cに交差する方向または
図14のA-Aに交差する方向に見た、冷却要素4にモニタ管路11を設けて得られる幾何形状のいくつかの実施態様を示す。これらはモニタ管路11を冷却要素4内に配置する多種多様な方法を図解するために示されていること、および、この方向から見たときのモニタ管路の幾何形状がとり得る実施態様は図面に示した実施態様に限定されないことは、当業者にとって明白である。
【0026】
ある実施態様、例えば
図7ないし
図10の実施態様では、モニタ管路システム10は、圧力媒体用に2つ以上のモニタ管路11を備えることができる。より改良した実施態様によれば、このようなモニタ管路システム10において、少なくとも一部のモニタ管路11での少なくとも1つの部分12は、第1の面7と第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15によって画成される平面14の間に設けられる冷却要素4の部分13内を延伸している。そして、モニタ管路の複数部分12は、平面14と平行な方向、第1の面7の表面の少なくとも一部分と平行な方向、および/または、平面14に対して30度以下、好ましくは10度以下の角度をつけた方向に延伸している。ある実施態様では、モニタ管路11のうち少なくともいくつかは、冷却要素の内部に設けられる少なくとも1つの接続管路17によって相互に接続され、モニタ管路システム10を形成する。ある実施態様では、モニタ管路11の少なくとも2つが冷却要素の内部に設けられる少なくとも1つの接続管路17によって相互に接続され、モニタ管路システム10を形成する。ある実施態様では、接続管路17は、モニタ管路に直交する方向でありモニタ管路により画定される平面に平行な平面内を延伸している。他の実施態様によれば、接続管路17の少なくとも一部分は、モニタ管路に対して角度をつけた方向でありモニタ管路により画定される平面に対して角度をつけた平面内を延伸している。改良したある実施態様では、モニタ管路に対する接続管路の角度は、5~90度、好ましくは45~90度の範囲内にできる。改良したある実施態様では、モニタ管路により画定される平面に対する接続管路の角度は、0~45度、好ましくは0~20度の範囲内にある。他の実施態様によれば、接続管路17はいくつかの他の方式でモニタ管路11を接続することができる。いくつかの例が図面に示されている。
【0027】
ある実施態様では、モニタ管路11のうち少なくともいくつかは、冷却要素4の外部に設けられる少なくとも1つの接続管路17によって相互に接続され、モニタ管路システム10を形成する。ある実施態様では、モニタ管路11の少なくとも2つが冷却要素の外部に設けられる少なくとも1つの接続管路17によって相互に接続され、モニタ管路システム10を形成する。
【0028】
ある実施態様では、例えば冷却要素4を
図2、
図8および
図10のように断面で見た場合における冷却要素では、第1の面7と第1の面7に最も近い冷却流路システム6の地点15により画定される平面14との間に設けられた冷却要素の部分13で延伸しているモニタ管路の少なくとも1つの部分12を含むモニタ管路11の数は、冷却流路9の数の0.2~2.0倍、好ましくは0.8~1.5倍の範囲にあり、最も好ましくは、冷却流路9毎に1つのモニタ管路である。
【0029】
ある実施態様、例えば
図2および
図8の実施態様では、それぞれのモニタ管路11の断面18は、第1の面7から第2の面8の方向を見た場合に冷却流路9の断面19と重なる。ある実施態様では、少なくとも1つのモニタ管路11の断面18が、冷却流路9の断面19と重なる。ある実施態様では、少なくとも2つ以上のモニタ管路11の断面18が、それぞれ、冷却流路9の断面19と重なる。ある実施態様では、すべてのモニタ管路11の断面18が、それぞれ、冷却流路の断面19と重なる。実施態様に応じて、冷却流路9の断面19と重なるそれぞれのモニタ管路11の断面18は、冷却流路9の断面19と部分的または完全に重なってもよい。言い換えると、冷却流路9の断面と重なるそれぞれのモニタ管路11の断面19の全体が、
図8の実施態様のように、第1の面7の方向から第2の面8の方を見た場合に、冷却流路9の断面19と重なってもよい。
図10の実施態様など他の実施態様によれば、それぞれのモニタ管路11の断面18は、第1の面7の方向から第2の面8の方を見た場合に冷却流路9のいずれの断面19にも重ならない。改良した実施態様によっては、冷却要素4において、例えば
図12の実施態様のように、モニタ管路11のうち1つまたは複数はそれぞれ冷却流路9と重なってもよく、モニタ管路11のうち1つまたは複数は上述したとおり冷却流路9とは重ならなくてもよい。
【0030】
ある実施態様、例えば
図10の実施態様では、1つまたは複数のモニタ管路11はそれぞれが、部分13内であって、第1の面7の方向から第2の面8の方を見たときにおける2つの隣接する冷却流路9の中間に設けられる。
【0031】
図12の実施態様などの一実施態様によれば、モニタ管路11は2つ以上の平面内に設けられる。
【0032】
図面で示される2つ以上のモニタ管路11はそれぞれ、図面には示さなかったが互いに接続され、これにより1つだけのモニタ管路11を形成してもよく、または、これらの管路は個別のモニタ管路11であってもよいと理解すべきである。
【0033】
一実施態様によれば、モニタ管路11の径20は、6~20mmの範囲内、より具体的には8~13mmの範囲内にある。
【0034】
一実施態様によれば、モニタ管路11のそれぞれは、一方の端部が閉じていて、第2の端部は直接または接続管路を介して圧力媒体供給システム(不図示)と接続されるように構成されている。
【0035】
ある実施態様では、冷却要素4はさらに、モニタ管路システム10の少なくとも1つのモニタ管路11に接続された少なくとも1つの検出部21を有し、以下に記載する量、すなわち、モニタ管路システムの圧力、モニタ管路システムの圧力変化、モニタ管路システムの流量またはモニタ管路システムの流量変化のうち少なくともいずれかの量を検出するように配設される。ある実施態様では、冷却要素4はモニタ管路システム10に接続されたただ1つの検出部21を有する。ある実施態様において冷却要素4は、ただ1つのモニタ管路システム10およびモニタ管路システムに接続されたただ1つの検出部21を有する。ある実施態様では、検出部21は少なくとも圧力センサまたは流量計を有する。
【0036】
ある実施態様では、冷却要素4では、モニタ管路システム10にあるそれぞれのモニタ管路11は、供給圧力が0.2~10バールの範囲、好ましくは0.4~4バールの範囲にある圧力媒体に適する構成をとり、圧力媒体は圧縮空気、窒素または他の圧縮された気体でなる。圧力機器指令または同種のものなどの規定を適用する実施態様では、供給圧力は0.2~0.5バールの範囲内であってもよい。
【0037】
ある実施態様では、冷却要素4は金属生産工程に関連する炉1での使用に適した冷却要素である。
【0038】
図24は、炉1に用いる冷却設備22を開示する。
図25は、一実施態様における冷却設備の細部を図示する、
【0039】
図24によれば、冷却設備22は、本明細書および/または添付図面に開示された実施態様またはこのような実施態様の組合せに係る少なくとも1つの冷却要素4を有する。
図24の実施態様によれば、冷却設備22はさらに、冷却流路システム6の冷却流体を循環するように配設された冷却流体循環手段23と、既定の流入圧力および/または流入量でモニタ管路システム10内に圧力媒体を提供する圧力媒体供給システム24とを含む。
【0040】
ある実施態様では、圧力媒体供給システム24は圧力媒体用の供給ライン30を有し、圧力媒体用の供給ライン24は、供給ライン30の圧力を既定の値に下げるため配設された圧力調整手段25を備える。ある実施態様では、既定の値は0.2~10バールの範囲、好ましくは0.4~4バールの範囲内にある。圧力機器指令または同様のものを例とする規定を適用する実施態様では、既定の圧力は0.2~0.5バールの範囲内である。
【0041】
ある実施態様では、冷却設備22は、冷却要素4の実施態様に関連して開示された実施態様または実施態様の組合せに係る少なくとも1つの検出部21を有する。このときの検出部21は、モニタ管路システム10の圧力および/または流量を検出するように構成されていてもよい。冷却設備はさらに、検出部によって検出される量に関連する定義済み状態に達したかを判断するモニタ装置26を有していてもよい。ある実施態様では、測定される量は、モニタ管路システムの圧力およびモニタ管路システムの流量のうち少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0042】
ある実施態様では、定義済み状態とは、既定の値またはそれ未満への検出圧力の低下、既定の値またはそれ未満への検出流量の上昇、定義済みの閾値を超える検出圧力の低下、または定義済みの閾値を超える検出流量の上昇のうち少なくともいずれかを含む。
【0043】
ある実施態様では、検出部21は、モニタ管路システム10の圧力および/または流量を継続的または既定の時間間隔でモニタするよう構成されている。
【0044】
ある実施態様では、冷却設備22はさらに、圧力媒体用の供給ライン24に設けられた流量制限手段27を含み、検出部21は流量制限手段27から下流に設けられる。
【0045】
ある一実施態様では、モニタ管路システム10のモニタ管路11のうち少なくとも1つは、モニタ管路11内で圧力媒体流を開通および遮断可能な弁28を備える。改良した実施態様によれば、モニタ管路システム10のモニタ管路11はそれぞれ、モニタ管路内で圧力媒体流を開通および遮断可能な弁28を備える。このような実施態様では、モニタ管路システム10内で異常事象が確認されると、その出所をより正確に特定することができる。例えば、検出部によって検出された量に関連する状態に達したとき、弁が一度に1つずつ閉じられ、測定量のモニタによって異常を引き起こしているモニタ管路11またはその一部分を特定することができる。より具体的には、異常を引き起こしているモニタ管路11またはその一部分への圧力媒体の流動が対応するバルブ28を閉じることによって塞がれると、検出部21によって検出される圧力が上昇し始める。
【0046】
一実施態様によれば、冷却設備22は、2つ以上の冷却要素およびただ1つの検出部21を有する。一実施態様によれば、1つのモニタ装置26と1つの検出部21とを有する1つの冷却設備22は、2つ以上の冷却要素4に用いられてもよい。このような実施態様では、冷却要素4のモニタ管路11は、流体接続部によって相互に接続される。
【0047】
ある実施態様において炉1は、本明細書および/または添付図面に開示された一実施態様もしくは実施態様の組合せに係る、少なくとも1つの冷却要素4および/または冷却設備22を有する。ある実施態様において、炉1は金属生産工程に関連する炉である。
【0048】
図26は、炉1用の冷却要素4に関連する方法を開示する。冷却要素4は、本明細書および/または添付図面に開示された一実施態様もしくは実施態様の組合せに係る冷却要素で構成される。
【0049】
図26に係る方法は、冷却流体循環手段23を用いた冷却流路システム6内での冷却流体の循環による冷却要素4の冷却41と、圧力媒体供給システムを用いた少なくとも1つのモニタ管路11内への圧力媒体の供給43とを含む。ある実施態様では、冷却要素4は、冷却要素4および/もしくは冷却設備22の実施態様に関連して開示された一実施態様または実施態様の組合せに係る少なくとも1つの検出部21と、検出部21により検出された量に関連する定義済み状態に達したかどうかを判定するモニタ装置26とを有する。それに関して、本方法はさらに、継続的なまたは既定の時間間隔でのモニタ管路システム10内における圧力または流量のモニタと、モニタ装置による定義済み状態に達したかどうかの判定に応じた冷却要素4の摩耗の検出とを含んでいてもよい。ある実施態様では、定義済み状態とは、既定の値またはそれ未満への検出圧力の低下、既定の値またはそれ未満への検出流量の上昇、定義済みの閾値を超える検出圧力の低下、または定義済みの閾値を超えた検出流量の上昇のうち少なくともいずれかを含む。
【0050】
ある実施態様では、冷却要素4はさらに、モニタ管路11内で圧力媒体流を開放および遮断可能な1つ以上の弁28を有する。ある実施態様によれば、弁28は、モニタ管路システム10のモニタ管路11のうち1つ以上に設けることができる。このとき、本方法はさらに、一度にひとつずつまたは複数ずつの弁28の開閉による制御システム管路内の圧力および/または流量の低下の原因となる摩耗の特定を含んでいてもよい。
【0051】
ある実施態様では、モニタ装置26は、操作員に摩耗を通知する信号を生成するような構成を採っている。
【0052】
図27は、炉1に用いる冷却要素4の摩耗のモニタ方法を開示し、冷却要素4は、本明細書および/または添付図面に開示された実施態様もしくは実施態様の組合せによる冷却要素で構成される。
【0053】
図27の方法は、少なくとも1つのモニタ管路11への圧力媒体の供給51、モニタ管路システム10の少なくとも1つのモニタ管路11に接続された少なくとも1つの検出部21の冷却要素4への備付53、検出器21と検出器により検出された量に関連する定義済み状態に達しているかどうかを判定するモニタ装置26との接続55、継続的または既定の時間間隔でのモニタ管路システム10内の圧力または流量のモニタ57、およびモニタ装置による定義済み状態に達したという判定を受けた冷却要素4の摩耗の検出57を含んでいる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉に用いる、
該炉の内側を向くように構成されている第1の面と、
第1の面の反対側にあり、前記炉の内側から離れる方向を向くように構成されている第2の面と、
冷却流体の循環に用い、冷却要素の内部に設けられた少なくとも1つの冷却流路を含む冷却流路システムとを有する冷却要素であって、
該冷却要素はさらに、圧力媒体に用いる少なくとも1つのモニタ管路を含むモニタ管路システムを有し、前記モニタ管路の少なくとも一部分は、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された平面との間に設けられた前記冷却要素の前記部分を延伸していて、
前記モニタ管路の前記部分は、以下に記載する方向、すなわち、前記平面に平行な方向、第1の面の表面の少なくとも一部分に平行な方向、または、前記平面に対して30度以下の角度をつけた方向のうち少なくともいずれかに延伸していることを特徴とする冷却要素。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却要素において、該冷却要素は、2つ以上の冷却流路を有する冷却要素。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷却要素において、前記モニタ管路システムは、冷却媒体に対する2つ以上のモニタ管路を含み、該モニタ管路のうちの少なくともいくつかの少なくとも一部分は、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された前記平面との間に設けられた該冷却要素の前記部分を延伸していて、
前記モニタ管路の前記部分は、以下に記載する方向、すなわち、前記平面に平行な方向、第1の面の表面の少なくとも一部分に平行、または、前記平面に対して30度以下の角度をつけた方向のうち少なくともいずれかに延伸している冷却要素。
【請求項4】
請求項3に記載の冷却要素において、前記モニタ管路のうちの少なくともいくつかは、該冷却要素の内部に設けられる少なくとも1つの接続管路によって相互に接続され、前記モニタ管路システムを形成する冷却要素。
【請求項5】
請求項4に記載の冷却要素において、前記接続管路は、前記モニタ管路に直交する方向に、および、前記モニタ管路によって画定された前記平面に平行な平面内を延伸している冷却要素。
【請求項6】
請求項3に記載の冷却要素において、前記モニタ管路のうちの少なくともいくつかは、該冷却要素の外部に設けられた少なくとも1つの接続管路によって相互に接続され、前記モニタ管路システムを形成する冷却要素。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の冷却要素において、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された平面との間に設けられた該冷却要素の部分を延伸している前記モニタ管路の少なくとも一部分を含む前記モニタ管路の数は、前記冷却流路の数の0.2~2.0倍の範囲内にある冷却要素。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の冷却要素において、第1の面から第2の面の方向を見たときに、各モニタ管路の断面は冷却流路の断面と重なる冷却要素。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の冷却要素において、第1の面から第2の面の方向を見たときに、各モニタ管路の断面は、いずれの冷却流路の断面とも重ならない冷却要素。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路の径は、6~20mmの範囲内にある冷却要素。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路の径は、8~13mmの範囲内にある冷却要素。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路のそれぞれは、一方の端部が閉じていて、第2の端部は直接または接続管路を介して圧力媒体供給システムに接続されるように構成されている冷却要素。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の冷却要素において、該冷却要素はさらに、前記モニタ管路システムの少なくとも1つのモニタ管路に接続されるとともに、以下に記載する量、すなわち、前記モニタ管路システムの圧力、前記モニタ管路システムの前記圧力の変化、前記モニタ管路システムの流量、または前記モニタ管路システムの前記流量の変化のうち少なくともいずれかを検出するように設けられる少なくとも1つの検出部を有する冷却要素。
【請求項14】
請求項13に記載の冷却要素において、該冷却要素は、前記モニタ管路システムに接続されるただ1つの検出部を有する冷却要素。
【請求項15】
請求項13または14に記載の冷却要素において、該冷却要素は、ただ1つのモニタ管路システムと、該モニタ管路システムに接続されるただ1つの検出部を有する冷却要素。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記検出部は、少なくとも圧力センサまたは流量計を含む冷却要素。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路システムのそれぞれのモニタ管路は、供給圧力が0.2~10バールの範囲内にある圧力媒体に適する構成をとり、前記圧力媒体は、圧縮空気、窒素または他の圧縮気体でなる冷却要素。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の冷却要素において、該冷却要素は金属生産工程に関連する炉での使用に適する構成をとる冷却要素。
【請求項19】
炉に用いる冷却設備であって、該冷却設備は、
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの冷却要素と、
前記冷却流路システム内で冷却流体を循環するように設けられた冷却流体循環手段と、
既定の流入圧力および流量のうち少なくともいずれかで、前記モニタ管路システムに圧力媒体を供給する圧力媒体供給システムとを備えることを特徴とする冷却設備。
【請求項20】
請求項19に記載の冷却設備において、前記圧力媒体供給システムは、前記圧力媒体に対する供給ラインを有し、該圧力媒体の供給ラインは、前記供給ラインの圧力を既定の値に下げるように配設された圧力調整手段を備える冷却設備。
【請求項21】
請求項20に記載の冷却設備において、前記既定の値は、0.2~10バールの範囲内である冷却設備。
【請求項22】
請求項19ないし21のいずれか一項に記載の冷却設備において、該冷却設備は、前記モニタ管路システム内の前記圧力または前記流量のうち少なくともいずれかを検出するよう構成された請求項13ないし16のうち少なくとも一項に記載の少なくとも1つの検出部と、
前記検出部によって検出される量に関連する定義済み状態に達したかどうかを判定するモニタ装置とを有し、
前記測定される量は、前記モニタ管路システム内の圧力および前記モニタ管路システム内の流量のうち少なくともいずれかを含む冷却設備。
【請求項23】
請求項22に記載の冷却設備において、前記定義済み状態とは、既定の値またはそれ未満への前記検出圧力の低下、既定の値またはそれ未満への前記検出流量の上昇、定義済みの閾値を超える前記検出圧力の低下、または、定義済みの閾値を超える前記検出流量の上昇のうち少なくともいずれかである冷却設備。
【請求項24】
請求項22または23に記載の冷却設備において、前記検出部は、前記モニタ管路システム内の前記圧力および前記流量のうち少なくともいずれかを、継続的にまたは既定の時間間隔でモニタする冷却設備。
【請求項25】
請求項19ないし25のいずれか一項に記載の冷却設備において、該冷却設備はさらに、前記圧力媒体の供給ラインに設けられた流量制限手段を含み、前記検出部は、前記流量制限部から下流に設けられる冷却設備。
【請求項26】
請求項19ないし25のいずれか一項に記載の冷却設備において、前記モニタ管路システムの前記モニタ管路のうち少なくとも1つは、前記モニタ管路内に圧力媒体流を開通および遮断可能な弁を備える冷却設備。
【請求項27】
請求項26に記載の冷却設備において、前記モニタ管路システムのそれぞれのモニタ管路は、該モニタ管路内に圧力媒体流を開通および遮断可能な弁を備える冷却設備。
【請求項28】
請求項19ないし27のいずれか一項に記載の冷却設備において、該冷却設備は2つ以上の冷却要素およびただ1つの検出部を有する冷却設備。
【請求項29】
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの冷却要素または請求項19ないし27のいずれか一項に記載の冷却設備のうち少なくともいずれかを有する炉。
【請求項30】
請求項
29に記載の炉において、該炉は金属生産工程に関連するものである炉。
【請求項31】
炉に用いる冷却要素に関連する方法であって、前記冷却要素は、請求項1ないし18のいずれか一項に記載の冷却要素で構成され、
該方法は、
冷却流体循環手段を用いて前記冷却流路システムの冷却流体を循環することによって前記冷却媒体を冷却し、
前記少なくとも1つのモニタ管路に圧力媒体供給システムによって圧力媒体を供給する方法。
【請求項32】
請求項
31に記載の方法において、前記冷却要素は、
請求項13ないし16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの検出部と、
該検出部によって検出された量に関連する定義済み状態に達しているかどうかを判定するモニタ装置とを有し、
該方法はさらに、
前記モニタ管路システム内の圧力または流量を継続的にまたは既定の時間間隔でモニタし、
前記モニタ装置による前記定義済み状態に達しているとの判定に応じて前記冷却設備の摩耗を検出する方法。
【請求項33】
請求項
32に記載の方法において、前記定義済み状態とは、既定の値またはそれ未満への前記検出圧力の低下、既定の値またはそれ未満への前記検出流量の上昇、定義済みの閾値を超える前記検出圧力の低下、または、定義済みの閾値を超える前記検出流量の上昇のうち少なくともいずれかである方法。
【請求項34】
請求項
32または
33に記載の方法において、前記冷却要素はさらに、前記モニタ管路システムの前記モニタ管路のうち少なくとも1つに設けられた前記モニタ管路内に圧力媒体流を開通および遮断可能な弁を有し、
該方法はさらに、一度に1つまたは複数の弁を開閉して、前記制御システム流路内の前記圧力または流量のうち少なくとも一方の低下を引き起こす前記摩耗を特定する方法。
【請求項35】
請求項
32ないし
34のいずれか一項に記載の方法において、前記モニタ装置は、前記摩耗を操作員に示す信号を生成する方法。
【請求項36】
冷却要素が請求項1ないし18のいずれか一項に記載の冷却要素で構成される、炉に用いる冷却要素の摩耗をモニタする方法であって、該方法は、
前記少なくとも1つのモニタ管路に圧力媒体を供給し、
前記冷却要素に、前記モニタ管路システムの少なくとも1つのモニタ管路に接続された前記少なくとも1つの検出部を備え付け、
前記検出部を、該検出部によって検出された量に関連する定義済み状態に達しているかどうかを判定するモニタ装置に接続し、
前記モニタ管路システム内の圧力または流量を継続的にまたは既定の時間間隔でモニタし、
前記モニタ装置による前記定義済み状態に達しているとの判定に応じて前記冷却要素の摩耗を検出することを特徴とする方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉に用いる、
該炉の内側を向くように構成されている第1の面と、
第1の面の反対側にあり、前記炉の内側から離れる方向を向くように構成されている第2の面と、
冷却流体の循環に用い、冷却要素の内部に設けられた少なくとも1つの冷却流路を含む冷却流路システムとを有する冷却要素であって、
該冷却要素はさらに、圧力媒体に用いる少なくとも1つのモニタ管路を含むモニタ管路システムを有し、前記モニタ管路の少なくとも一部分は、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された平面との間に設けられた前記冷却要素の前記部分を延伸していて、
前記モニタ管路の前記部分は、以下に記載する方向、すなわち、前記平面に平行な方向、第1の面の表面の少なくとも一部分に平行な方向、または、前記平面に対して30度以下の角度をつけた方向のうち少なくともいずれかに延伸していることを特徴とする冷却要素。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却要素において、該冷却要素は、2つ以上の冷却流路を有する冷却要素。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷却要素において、前記モニタ管路システムは、冷却媒体に対する2つ以上のモニタ管路を含み、該モニタ管路のうちの少なくともいくつかの少なくとも一部分は、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された前記平面との間に設けられた該冷却要素の前記部分を延伸していて、
前記モニタ管路の前記部分は、以下に記載する方向、すなわち、前記平面に平行な方向、第1の面の表面の少なくとも一部分に平行、または、前記平面に対して30度以下の角度をつけた方向のうち少なくともいずれかに延伸している冷却要素。
【請求項4】
請求項3に記載の冷却要素において、前記モニタ管路のうちの少なくともいくつかは、該冷却要素の内部
または該冷却要素の外部に設けられる少なくとも1つの接続管路によって相互に接続され、前記モニタ管路システムを形成する冷却要素。
【請求項5】
請求項1ないし
4のいずれか一項に記載の冷却要素において、第1の面と第1の面に最も近い前記冷却流路システムの地点によって画定された平面との間に設けられた該冷却要素の部分を延伸している前記モニタ管路の少なくとも一部分を含む前記モニタ管路の数は、前記冷却流路の数の0.2~2.0倍の範囲内にある冷却要素。
【請求項6】
請求項1ないし
5のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路の径は、6~20mmの範囲内にある冷却要素。
【請求項7】
請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路のそれぞれは、一方の端部が閉じていて、第2の端部は直接または接続管路を介して圧力媒体供給システムに接続されるように構成されている冷却要素。
【請求項8】
請求項1ないし
7のいずれか一項に記載の冷却要素において、該冷却要素はさらに、前記モニタ管路システムの少なくとも1つのモニタ管路に接続されるとともに、以下に記載する量、すなわち、前記モニタ管路システムの圧力、前記モニタ管路システムの前記圧力の変化、前記モニタ管路システムの流量、または前記モニタ管路システムの前記流量の変化のうち少なくともいずれかを検出するように設けられる少なくとも1つの検出部を有する冷却要素。
【請求項9】
請求項
8に記載の冷却要素において、該冷却要素は、前記モニタ管路システムに接続されるただ1つの検出部を有する冷却要素。
【請求項10】
請求項1ないし
9のいずれか一項に記載の冷却要素において、前記モニタ管路システムのそれぞれのモニタ管路は、供給圧力が0.2~10バールの範囲内にある圧力媒体に適する構成をとり、前記圧力媒体は、圧縮空気、窒素または他の圧縮気体でなる冷却要素。
【請求項11】
炉に用いる冷却設備であって、該冷却設備は、
請求項1ないし
10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの冷却要素と、
前記冷却流路システム内で冷却流体を循環するように設けられた冷却流体循環手段と、
既定の流入圧力および流量のうち少なくともいずれかで、前記モニタ管路システムに圧力媒体を供給する圧力媒体供給システムとを備えることを特徴とする冷却設備。
【請求項12】
請求項
11に記載の冷却設備において、前記圧力媒体供給システムは、前記圧力媒体に対する供給ラインを有し、該圧力媒体の供給ラインは、前記供給ラインの圧力を既定の値に下げるように配設された圧力調整手段を備え
、前記既定の値は0.2~10バールの範囲内である冷却設備。
【請求項13】
請求項
11または12に記載の冷却設備において、該冷却設備は、前記モニタ管路システム内の前記圧力または前記流量のうち少なくともいずれかを検出するよう構成された請求項
8または9に記載の少なくとも1つの検出部と、
前記検出部によって検出される量に関連する定義済み状態に達したかどうかを判定するモニタ装置とを有し、
前記測定される量は、前記モニタ管路システム内の圧力および前記モニタ管路システム内の流量のうち少なくともいずれかを含む冷却設備。
【請求項14】
請求項1ないし
10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの冷却要素または請求項
11ないし
13のいずれか一項に記載の冷却設備のうち少なくともいずれかを有する炉。
【請求項15】
請求項
14に記載の炉において、該炉は金属生産工程に関連するものである炉。
【請求項16】
炉に用いる冷却要素に関連する方法であって、前記冷却要素は、請求項1ないし
10のいずれか一項に記載の冷却要素で構成され、
該方法は、
冷却流体循環手段を用いて前記冷却流路システムの冷却流体を循環することによって前記冷却媒体を冷却し、
前記少なくとも1つのモニタ管路に圧力媒体供給システムによって圧力媒体を供給する方法。
【請求項17】
請求項
16に記載の方法において、前記冷却要素は、
請求項
8または9に記載の少なくとも1つの検出部と、
該検出部によって検出された量に関連する定義済み状態に達しているかどうかを判定するモニタ装置とを有し、
該方法はさらに、
前記モニタ管路システム内の圧力または流量を継続的にまたは既定の時間間隔でモニタし、
前記モニタ装置による前記定義済み状態に達しているとの判定に応じて前記冷却設備の摩耗を検出する方法。
【請求項18】
請求項
17に記載の方法において、前記定義済み状態とは、既定の値またはそれ未満への前記検出圧力の低下、既定の値またはそれ未満への前記検出流量の上昇、定義済みの閾値を超える前記検出圧力の低下、または、定義済みの閾値を超える前記検出流量の上昇のうち少なくともいずれかである方法。
【請求項19】
請求項
16または
17に記載の方法において、前記冷却要素はさらに、前記モニタ管路システムの前記モニタ管路のうち少なくとも1つに設けられた前記モニタ管路内に圧力媒体流を開通および遮断可能な弁を有し、
該方法はさらに、一度に1つまたは複数の弁を開閉して、前記制御システム流路内の前記圧力または流量のうち少なくとも一方の低下を引き起こす前記摩耗を特定する方法。
【請求項20】
冷却要素が請求項1ないし
10のいずれか一項に記載の冷却要素で構成される、炉に用いる冷却要素の摩耗をモニタする方法であって、該方法は、
前記少なくとも1つのモニタ管路に圧力媒体を供給し、
前記冷却要素に、前記モニタ管路システムの少なくとも1つのモニタ管路に接続された前記少なくとも1つの検出部を備え付け、
前記検出部を、該検出部によって検出された量に関連する定義済み状態に達しているかどうかを判定するモニタ装置に接続し、
前記モニタ管路システム内の圧力または流量を継続的にまたは既定の時間間隔でモニタし、
前記モニタ装置による前記定義済み状態に達しているとの判定に応じて前記冷却要素の摩耗を検出することを特徴とする方法。
【国際調査報告】