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特表2024-533328誘導性プロモーター、それに基づくベクターおよび宿主細胞
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  • 特表-誘導性プロモーター、それに基づくベクターおよび宿主細胞 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】誘導性プロモーター、それに基づくベクターおよび宿主細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20240905BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C12N15/63 100Z
C12N15/12 ZNA
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515119
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 RU2022050279
(87)【国際公開番号】W WO2023038547
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】2021126254
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516261966
【氏名又は名称】ジョイント・ストック・カンパニー “バイオキャド”
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】コノノフ,アレクセイ・ウラディミロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジリアコワ,マリーア・ウラドミロウナ
(72)【発明者】
【氏名】ゴルデーフ,アレクサンドル・アンドリービッチ
(72)【発明者】
【氏名】プシュコワ,マリーア・ユリエウナ
(72)【発明者】
【氏名】ソロウィエフ,ワレリ-・ウラディミロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】モロゾフ,ドミトリー・バレンチノビッチ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA87X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA46
(57)【要約】
本発明は、バイオテクノロジーおよび分子生物学の分野、特に汎用の誘導性プロモーター、それに基づくベクターおよび宿主細胞、ならびに前記宿主細胞を生成するための方法に関する。提案された発明は、標的タンパク質、例えば受容体リガンド、例えばサイトカインの活性を分析することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位、ならびに最小プロモーターを含む誘導性プロモーター。
【請求項2】
前記転写因子STAT3の前記結合部位が、配列番号1、配列番号2または配列番号3を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である、請求項1に記載の誘導性プロモーター。
【請求項3】
前記転写因子STAT5の前記結合部位が、配列番号4、配列番号5または配列番号6を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である、請求項1に記載の誘導性プロモーター。
【請求項4】
AP-1ファミリー転写因子の前記結合部位が、配列番号7、配列番号8または配列番号9を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である、請求項1に記載の誘導性プロモーター。
【請求項5】
転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の前記結合部位が、5’末端から3’末端まで順に、以下の順序:STAT3-STAT5-AP-1で配列されている、請求項1に記載の誘導性プロモーター。
【請求項6】
前記転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の前記結合部位が、5’末端から3’末端まで順に、以下の順序:STAT3-STAT5-AP-1で配列されており、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項5に記載の誘導性プロモーター。
【請求項7】
転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の前記結合部位が、配列番号13のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の誘導性プロモーター。
【請求項8】
前記最小プロモーターがTATAボックスを含む、請求項1に記載の誘導性プロモーター。
【請求項9】
前記最小プロモーターが配列番号14のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の誘導性プロモーター。
【請求項10】
5’末端から3’末端方向に、請求項1から9のいずれか一項に記載の誘導性プロモーター、およびレポーター遺伝子を含む、誘導性発現ベクター。
【請求項11】
前記レポーター遺伝子がホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子である、請求項10に記載の誘導性発現ベクター。
【請求項12】
前記ホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子が、配列番号15のヌクレオチド配列を含む、請求項11に記載の誘導性発現ベクター。
【請求項13】
配列番号16のヌクレオチド配列を含む、請求項10に記載の誘導性発現ベクター。
【請求項14】
標的タンパク質の活性を分析するための宿主細胞を生成するための方法であって、請求項10から13のいずれか一項に記載の誘導性発現ベクターにより細胞を形質転換するステップを含む、方法。
【請求項15】
標的タンパク質の活性を分析するための宿主細胞であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の誘導性プロモーター、およびレポーター遺伝子を含む、宿主細胞。
【請求項16】
前記レポーター遺伝子がホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子である、請求項15に記載の宿主細胞。
【請求項17】
前記ホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子が、配列番号15のヌクレオチド配列を含む、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
配列番号16のヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の宿主細胞。
【請求項19】
前記標的タンパク質が受容体リガンドである、請求項15に記載の宿主細胞。
【請求項20】
前記受容体リガンドがサイトカインである、請求項19に記載の宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジーおよび分子生物学の分野、特に汎用の誘導性プロモーター、それに基づくベクターおよび宿主細胞、ならびに前記宿主細胞を生成するための方法に関する。提案された発明は、標的タンパク質、例えば受容体リガンド、例えばサイトカインの活性を分析することを可能にする。
【背景技術】
【0002】
各種治療上活性なポリペプチド(例えば、モノクローナル抗体、融合タンパク質、各種サイトカイン、受容体リガンドなど)には、複数の障害および疾患の治療のための有効な医薬生成物としての価値が実証されてきた。
【0003】
新規の治療上活性なポリペプチドを開発するには、所与の治療上活性なポリペプチドの生物活性を決定するために、機能試験を実施することが必要である。
治療上活性なポリペプチドについての生物活性試験は、候補医薬生成物を評価するのに使用され、in vitroで初代細胞培養物および特殊細胞株の両方を使用して、またはin vivoで実験動物を使用して、分子の生物活性を分析することに基づく、一連の技法である。機能試験のデータは、候補の治療上活性なポリペプチドの活性についての情報をもたらす。
【0004】
機能試験は以下の群に分けられる:
1)特定の活性(細胞増殖の刺激および阻害、細胞毒性/アポトーシス、抗ウイルス活性、分化、遊走など)についての試験、
2)レポーター遺伝子発現についての試験。
【0005】
増殖/細胞毒性調節試験は、最も治療上活性なポリペプチドについての最も汎用的な試験である。これらの試験は、治療上活性なポリペプチドのレベルおよび活性を、それらの、細胞増殖を増大または減少させる能力により測定する。方法は、試験試料に応答した細胞の成長または死を追跡することに基づく(Banks RE. Measurement of cytokines in clinical samples using immunoassays:problems and pitfalls. Crit Rev Clin Lab Sci.2000年4月;37(2):131~82. doi: 10.1080/10408360091174187. PMID: 10811142)。
【0006】
そのような試験は抗増殖活性アッセイに応用され、例えば研究者らは、IFN-β-1aの、WISH細胞の成長を低減させる能力を評価した(Renato Mastrangeliら、In vitro biological characterization of IFN-β-1a major glycoforms、Glycobiology、25巻、1号、2015年1月、21~29頁、https://doi.org/10.1093/glycob/cwu082)。
【0007】
別の注目すべき例は、細胞性免疫を評価するのに広く使用されるリンパ球増殖アッセイである(Nikbakht、M.ら、Evaluation of a new lymphocyte proliferation assay based on cyclic voltammetry; an alternative method. Sci Rep 9、4503(2019). https://doi.org/10.1038/s41598-019-41171-8)。現在までに、細胞増殖アッセイは、以下の通りの複数のサイトカイン:IFN-γ、IL-1α、IL-1β、IL-2、3、4、5、6、7、8、10、13、15、19、21、33について市販されている。
【0008】
レポーター遺伝子は一般的に、転写および/または翻訳レベルでの、受容体媒介性発現の変化を追跡するための細胞アッセイに使用される。これらの最適化された遺伝子は、プロモーター内の感受性配列の制御下で発現され、転写因子がそこに結合する。
【0009】
Phyllis A.Rees、R.Joel Lowyは、時間および労力のかかる増殖アッセイに対する代案として、1型インターフェロンを測定するためのレポーター細胞株の使用について報告した(Phyllis A.ら、Measuring type I interferon using reporter gene assays based on readily available cell lines、Journal of Immunological Methods、461巻、2018、63~72頁、ISSN 0022-1759、https://doi.org/10.1016/j.jim.2018.06.007)。
【0010】
Jacqueline Mockらは、NF-kB依存性プロモーターの制御下のルシフェラーゼ遺伝子を含むレポーター株を開発した。アナログが、従来の試験、例えばCTLL-2増殖アッセイ、INF-γ誘導性IL-12を検出するためのELISA、TNFの細胞毒性の測定により生成された(Mock J.ら、A universal reporter cell line for bioactivity evaluation of engineered cytokine products. Sci Rep. 2020;10(1):3234.2020年2月24日出版. doi:10.1038/s41598-020-60182-4)。
【0011】
Zeuner MTらは、神経炎症について調査するための、NF-kB感受性プロモーターおよびルシフェラーゼ遺伝子を含むレポーター細胞株の使用について報告した。このアッセイは、神経細胞における炎症促進性分子およびペプチド、ならびに抗炎症性医薬品の有効性を評価することを可能にする(Marie-Theres Zeunerら、Development and Characterisation of a Novel NF-κB Reporter Cell Line for Investigation of Neuroinflammation、Mediators Inflamm、2017、doi: 10.1155/2017/6209865)。
【0012】
Wangらは、SIE(血清応答配列)の制御下でルシフェラーゼを発現する細胞株に基づく増殖アッセイのアナログを開発した(Wang L.ら、Development of reporter gene assays to determine the bioactivity of biopharmaceuticals、Biotechnology Advances (2018)、https://doi.org/10.1016/j.biotechadv.2019.107466)。
【0013】
従来の特定の活性アッセイと比較した場合のレポーター細胞の利点は以下を含む:
1)容易に再現可能な結果、自動化およびスケール変更、
2)標的医薬生成物に対する特異性、
3)高レベルの感受性、低レベルのバックグラウンド活性化、
4)使用の容易さ、レポーターシグナルの容易な検出。
【0014】
従来の特定の活性アッセイと比較した場合のレポーター細胞の欠点は、工程が最大数カ月続く可能性があることから、標的医薬生成物に対する個々のレポーター細胞を開発する長い工程を含むことである。
【0015】
ゆえに、わずか1つの個々の治療上活性なポリペプチドではなく、複数の各種治療上活性なポリペプチドの生物活性を決定するのに使用可能なレポーター細胞の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の著者らは、転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位、ならびに最小プロモーターを含む汎用の誘導性プロモーター、ならびにそれに基づくベクターおよび宿主細胞を開発し、これらは、わずか1つの個々の治療上活性なポリペプチドではなく、複数の各種治療上活性なポリペプチドの生物活性を決定することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一側面において、本発明は、転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位、ならびに最小プロモーターを含む誘導性プロモーターに関する。
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT3の結合部位を含み、これは、配列番号1、配列番号2または配列番号3を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である。
【0018】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT5の結合部位を含み、これは、配列番号4、配列番号5または配列番号6を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である。
【0019】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターはAP-1ファミリー転写因子の結合部位を含み、これは、配列番号7、配列番号8または配列番号9を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である。
【0020】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位を含み、これらは、5’末端から3’末端まで順に、以下の順序:STAT3-STAT5-AP-1で配列されている。
【0021】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位を含み、これらは、5’末端から3’末端まで順に、以下の順序:STAT3-STAT5-AP-1で配列されており、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0022】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位を含み、これらは配列番号13のヌクレオチド配列を含む。
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは、TATAボックスを含む最小プロモーターを含む。
【0023】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは、配列番号14のヌクレオチド配列を含む最小プロモーターを含む。
一側面において、本発明は、5’末端から3’末端方向に、上記の誘導性プロモーターのうちのいずれかおよびレポーター遺伝子を含む誘導性発現ベクターに関する。
【0024】
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターは、ホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子であるレポーター遺伝子を含む。
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターはホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子を含み、これは配列番号15のヌクレオチド配列を含む。
【0025】
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターは配列番号16のヌクレオチド配列を含む。
一側面において、本発明は、標的タンパク質の活性を分析するための宿主細胞を生成するための方法に関し、前記方法は、上記の誘導性発現ベクターのうちのいずれかにより細胞を形質転換することを含む。
【0026】
一側面において、本発明は、標的タンパク質の活性を分析するための宿主細胞に関し、前記宿主細胞は、上記の誘導性プロモーターのうちのいずれかおよびレポーター遺伝子を含む。
【0027】
本発明の一部の態様において、宿主細胞は、ホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子であるレポーター遺伝子を含む。
本発明の一部の態様において、宿主細胞はホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子を含み、これは配列番号15のヌクレオチド配列を含む。
【0028】
本発明の一部の態様において、宿主細胞は配列番号16のヌクレオチド配列を含む。
本発明の一部の態様において、宿主細胞は、標的タンパク質の活性を分析するのに使用され、標的タンパク質は受容体リガンドである。
【0029】
本発明の一部の態様において、宿主細胞は、標的タンパク質の活性を分析するのに使用され、標的タンパク質はサイトカインである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、遺伝子レポーター構築物の図である。この構築物は、STAT3、STAT5、AP-1依存性プロモーターの制御下の、レポーターホタルルシフェラーゼタンパク質遺伝子のヌクレオチド配列を含む。非コード領域はTATAボックスからなる最小プロモーターを含み、その5’末端には、図に示されるように、3つの反復配列としての、転写因子STAT3、STAT5、AP-1の交互の結合部位(alternating binding sites)からなるシス調節配列が位置する。隣接配列は、標的ベクター内の発現カセット周囲の領域に対し相補的であり、制限エンドヌクレアーゼAcc65IおよびBglIIの認識部位を含む。
図2図2は、STAT3、STAT5、AP-1依存性プロモーターの制御下のホタルルシフェラーゼ遺伝子をコードする、レポータープラスミドベクターE6.90_STAT3_STAT5_AP-1_FLucのマップである。AmpRは、アンピシリンに対する抵抗性を付与するベータラクタマーゼ遺伝子であり、E.coli細胞における選択を可能にし、ポリAはポリアデニル化シグナル、転写終結因子であり、STAT3-STAT5-AP-1は、FLuc遺伝子発現を調節する調節配列であり、MinPは、TATAボックスを含む最小プロモーターであり、FLucは、Photinus pyralis(ホタル)ルシフェラーゼ遺伝子であり、HygRは、ハイグロマイシンに対する抵抗性を付与する遺伝子である。これは、真核細胞培養物における選択を可能にし、SV40プロモーター/エンハンサーは、SV40ウイルスの真核生物プロモーター/エンハンサーである。
図3図3は、ヒトIL10RA遺伝子をコードする、発現プラスミドベクターE4.244_IL10RA_PRのマップである。HS4はHS4インスレーターであり、pCMVe/EF1アルファは、CMV/EF1アルファの構成的ハイブリッドプロモーターであり、KozakはKozak配列であり、IL10RAはヒトIL10RA遺伝子であり、ポリAはポリアデニル化シグナル、転写終結因子であり、SV40エンハンサーは、SV40ウイルスのエンハンサーであり、b-グロビンMARは、ヒトb-グロビン遺伝子のMAR配列(M5)であり、Rep開始点1は複製開始点部位であり、AmpRは、アンピシリンに対する抵抗性をもたらすベータ-ラクタマーゼ遺伝子である。これは、E.coli細胞培養物における選択を可能にし、F1開始点はバクテリオファージf1複製開始点であり、SV40プロモーターは、SV40ウイルスの真核生物プロモーターである。PuroRは、ピューロマイシンに対する真核生物の抵抗性である。この遺伝子は、ピューロマイシンに対する抵抗性を付与する。これは、真核細胞培養物における選択を可能にする。
図4図4は、ヒトIL10RB遺伝子をコードする、発現プラスミドベクターE4.245_IL10RB_BRのマップである。HS4はHS4インスレーターであり、pCMVe/EF1アルファは、CMV/EF1アルファの構成的ハイブリッドプロモーターであり、KozakはKozak配列であり、IL10RAはヒトIL10RA遺伝子であり、ポリAはポリアデニル化シグナル、転写終結因子であり、SV40エンハンサーは、SV40ウイルスのエンハンサーであり、b-グロビンMARは、ヒトb-グロビン遺伝子のMAR配列(M5)であり、Rep開始点1は複製開始点部位であり、AmpRは、アンピシリンに対する抵抗性をもたらすベータ-ラクタマーゼ遺伝子である。これは、E.coli細胞培養物における選択を可能にし、F1開始点はバクテリオファージf1複製開始点であり、SV40プロモーターは、SV40ウイルスの真核生物プロモーターであり、BlastiRは、ブラストサイジンに対する真核生物の抵抗性である。この遺伝子は、ブラストサイジンに対する抵抗性を付与する。これは、真核細胞培養物における選択を可能にする。
図5図5は、様々な用量のPMAに応答した、HEK293 Nf-kBレポーター細胞の活性化の倍加(multiplicity)の度合を示すヒストグラムである。
図6図6は、PMA濃度33nMに応答した、レポータークローン株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLucの活性化の倍加の度合を示すヒストグラムである。A2、A4、A5、B1、B3、B5、B6、C4、C6、D1、D4、C4#2、B0>、B1>、B2>、B3>は、各種クローンレポーター株の名称であり、初期-未トランスフェクト親細胞、プール-トランスフェクション後の細胞集団。プールおよび未トランスフェクト細胞は対照として使用した。
図7図7は、100ng/mlのIL10に応答した、IL10Rを発現するレポータークローン株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLucの活性化の倍加の度合を示すヒストグラムである。A1.2、A1.4、A1.5、A1.7、C1.1、C1.2、C1.6、C1.15、C1.11、C1.14、C1.16、A4_1、A4_3、A4_9、A4_10、C4_3、C4_12、C4_13、A5、A8、A9、A12、A15、A23、A31、C44、C4.4、C12、C16、C20、C27、C28、C29、C31、C33、C40、C41は、IL10レポーターの各種クローン株の名称である。
図8図8は、HEK293-STAT3-STAT5-AP1_FLuc_IL10R細胞の、IL10活性化に対する用量依存性応答を示すグラフである。
図9図9は、レポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLucの3つの異なるクローン(Cl.D1、cl.B3、cl.C4#2)に基づいて生成されたHEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXLプールの、GAS6依存性活性化のグラフである。GAS6は、AXL依存性細胞シグナル伝達の活性化剤である。Cl.D1、cl.B3、cl.C4#2)は、レポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLucのクローンである。
図10図10は、各種GAS6生成物の濃度に応じた、レポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXLの活性化を示すグラフである。GAS6生成物#1、#2、#3は、3つの異なるGas6生成物である。
図11図11は、GAS6の存在下での細胞インキュベーション時間に応じた、レポーター細胞株HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1の活性化を示すグラフである。
図12図12は、GAS6濃度に応じた、DU145細胞増殖を示すグラフである。
図13図13は、DU145_STAT3-STAT5-AP1_FLucの各種クローン(図13ではクローンC2、図14ではクローンH4、図15ではクローンE8)のGAS6依存性活性化を示すグラフである。クローンC2、H4およびE8は、STAT3-STAT5-AP1プロモーターの制御下のホタルルシフェラーゼをコードする構築物を使用して、天然のAXL発現体(expresser)であるDU145細胞株に基づいて生成された、DU145_STAT3-STAT5-AP1細胞株のクローンである。これらのクローンは、GAS6プロセシングに対し最大の応答レベルを示した。
図14図14は、DU145_STAT3-STAT5-AP1_FLucの各種クローン(図13ではクローンC2、図14ではクローンH4、図15ではクローンE8)のGAS6依存性活性化を示すグラフである。クローンC2、H4およびE8は、STAT3-STAT5-AP1プロモーターの制御下のホタルルシフェラーゼをコードする構築物を使用して、天然のAXL発現体であるDU145細胞株に基づいて生成された、DU145_STAT3-STAT5-AP1細胞株のクローンである。これらのクローンは、GAS6プロセシングに対し最大の応答レベルを示した。
図15図15は、DU145_STAT3-STAT5-AP1_FLucの各種クローン(図13ではクローンC2、図14ではクローンH4、図15ではクローンE8)のGAS6依存性活性化を示すグラフである。クローンC2、H4およびE8は、STAT3-STAT5-AP1プロモーターの制御下のホタルルシフェラーゼをコードする構築物を使用して、天然のAXL発現体であるDU145細胞株に基づいて生成された、DU145_STAT3-STAT5-AP1細胞株のクローンである。これらのクローンは、GAS6プロセシングに対し最大の応答レベルを示した。
図16図16は、HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1_FLucのプールおよび個々のクローンのGAS6依存性活性化のグラフである。Cl.1、cl.8、cl.10、cl.14は、HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1_FLucプールから生成された、HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1_FLuc細胞株のクローンである。プールは、AXL過剰発現体(overexpresser)である細胞株HEK293_AXLから生成された、細胞株HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1_FLucであり、そこには、ホタルルシフェラーゼをコードする遺伝子が、STAT3-STAT5-AP1依存性プロモーターの制御下で導入された。
図17図17は、細胞数に応じた、レポーター細胞株HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1の活性化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義および一般的方法
本明細書で別途定義されない限り、本発明に関連して使用される技術および科学用語は全て、当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0032】
さらに、状況により別途必要とされない限り、単数の用語は複数の用語を含むものとし、複数の用語は単数の用語を含むものとする。一般的には、細胞培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、有機合成化学、医化学および製薬化学の現在の分類および方法、ならびに本明細書に記載されるタンパク質および核酸のハイブリダイゼーションおよび化学反応は、当業者に周知であり、当技術分野で広く使用される。酵素反応および精製方法は、製造業者のガイドラインに従って、当技術分野で一般的であるように、または本明細書に記載されるように実施される。
【0033】
本明細書で交換可能に使用される用語「核酸」、「核配列」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」は、修飾されているかまたはされておらず、核酸の断片または領域を決定し、非天然ヌクレオチドを含有するかまたは含有せず、二本鎖DNAもしくはRNA、一本鎖DNAもしくはRNA、または前記DNAの転写産物のいずれかである、ヌクレオチドの正確な配列を意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドは、非限定的な例として、組換え手段、すなわち、通常のクローニング技術およびPCRおよび同様のものを使用する、組換えライブラリーまたは細胞ゲノム由来の核酸配列のクローニング、および合成手段を含む、当技術分野で利用可能な任意の手段により得られる全ての核酸配列を非限定的な例として含む。
【0035】
本発明が、天然の染色体環境、すなわち天然の状態のヌクレオチド配列に関しないことも、ここに含まれるべきである。本発明の配列は単離および/または精製されている、すなわち、本発明の配列は、例えば少なくとも部分的に改変された環境をコピーすることにより、直接または間接的に試料採取された。ゆえに、例えば宿主細胞を用いて組換え遺伝学により得られるか、または化学合成により得られる、単離された核酸もここで言及されるべきである。
【0036】
別途示されない限り、用語ヌクレオチド配列はその相補体を包含する。ゆえに、特定の配列を有する核酸は、その相補的配列を有するその相補鎖を包含する核酸として理解されるべきである。
【0037】
用語「ベクター」は、本明細書で使用される場合、連結した別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を意味する。
本明細書で使用される場合、用語「発現」は、特定のヌクレオチド配列の、そのプロモーターにより推進される転写および/または翻訳として定義される。
【0038】
発明の詳細な記載
誘導性プロモーター
一側面において、本発明は、転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位、ならびに最小プロモーターを含む誘導性プロモーターに関する。
【0039】
本発明による誘導性プロモーターは、受容体リガンド、例えばサイトカインの活性を決定するための、レポーター細胞系における使用について汎用性がある。
誘導性プロモーターは、特定のシグナルに応答して遺伝子発現をもたらすプロモーターを指す。
【0040】
本発明の著者らは驚くべきことに、誘導性プロモーター中に、転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位が存在することで、リガンドとその受容体との間の相互作用から生成される特定のシグナルに応答した、レポーター遺伝子の発現のレベルを決定することが可能となることを見出し、受容体リガンドは、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-21、GM-CSF、IL-3、IL-5、IL-6、IL-11、IL-12、IL-27、LIF、OSM、CNTF、CT-1、CLC、NP、レプチン、NNT-1/BSF-3、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-23、IL-10、IL-20、IL-22、IL-28、IL-29、IL-19、IL-24、IL-26、IL37、IL18、M-CSF、CSF1、G-CSF、CSF3、IL-31、IL-35、成長ホルモン、プロラクチン、THPO、MGDF、EPO、TSLP、TNFSF18、IL-1、IL-17、TNF、TNF-α、RANKL(OPGL/TRANCE)、TRAIL、VEGI、CD153(CD30L)、CD154(CD40L)、CD70(CD27L)、TNF-C、CD70、4-1BBリガンドまたはGAS6を含む複数のサイトカインおよび他の受容体リガンドから選択されてよく、ゆえに、前記誘導性プロモーターが、受容体に対するリガンド、例えばサイトカインの活性を決定するための、レポーター細胞系における使用について汎用性となる。
【0041】
転写因子STAT3の結合部位は、TTCnnnGAAであるコア部分を含む。
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT3の結合部位を含み、これは、配列番号1、配列番号2または配列番号3を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である。
【0042】
転写因子STAT5の結合部位は、TTCnnnGAAであるコア部分を含む。
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT5の結合部位を含み、これは、配列番号4、配列番号5または配列番号6を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である。
【0043】
転写因子AP-1の結合部位は、T[G/T]A[C/G]TCAであるコア部分を含む。
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターはAP-1ファミリー転写因子の結合部位を含み、これは、配列番号7、配列番号8または配列番号9を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列である。
【0044】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位を含み、これらは、5’末端から3’末端まで順に、以下の順序:STAT3-STAT5-AP-1で配列されている。
【0045】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは、転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位を含み、これらは、5’末端から3’末端まで順に、以下の順序:STAT3-STAT5-AP-1で配列されており、STAT3-STAT5-AP-1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40の、またはそれを超える反復配列として表される。STAT3-STAT5-AP-1反復配列の最大量は、発現ベクターの容量により制限される。STAT3-STAT5-AP-1反復配列の量は、本発明による誘導性プロモーターの性能に影響を及ぼさない。
【0046】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位を含み、これらは、5’末端から3’末端まで順に、以下の順序:STAT3-STAT5-AP-1で配列されており、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含むヌクレオチド配列の群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0047】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは転写因子STAT3、STAT5およびAP-1の結合部位を含み、これらは配列番号13のヌクレオチド配列を含む。
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは、TATAボックスを含む最小プロモーターを含む。
【0048】
最小プロモーターは、TATAボックス(Hogness box)および転写開始部位を含む、最少の調節配列含有量を有するプロモーターを指し、プロモーターは、特別な調節配列がその前に追加されない限り機能しない。
【0049】
本発明の一部の態様において、誘導性プロモーターは、配列番号14のヌクレオチド配列を含む最小プロモーターを含む。
誘導性発現ベクター
一側面において、本発明は、5’末端から3’末端方向に、上記の誘導性プロモーターのうちのいずれかおよびレポーター遺伝子を含む誘導性発現ベクターに関する。
【0050】
本発明による誘導性発現ベクターは、リガンド、例えばサイトカインの、その受容体に対する活性を決定するためのレポーター細胞系を生成するのに汎用性がある。
誘導性発現ベクターは組換えベクターである。
【0051】
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターは、ルシフェラーゼタンパク質の遺伝子であるレポーター遺伝子を含む。
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターは、ホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子であるレポーター遺伝子を含む。
【0052】
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターはホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子を含み、これは配列番号15のヌクレオチド配列を含む。
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターは配列番号16のヌクレオチド配列を含む。
【0053】
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターは、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子、または赤色蛍光タンパク質遺伝子(DsRed)、または酵素ベータ-ガラクトシダーゼをコードするLacZ遺伝子、またはレポーター遺伝子として使用可能な、蛍光もしくは発光タンパク質をコードする任意の他の遺伝子であるレポーター遺伝子を含む。
【0054】
本発明の一部の態様において、誘導性発現ベクターは、レポーターポリペプチドの遺伝子の発現をもたらす調節配列を含む異種核酸配列を含む。
「標的細胞において異種核酸配列によりコードされる生成物の発現をもたらす調節配列」は、本発明において使用される場合、クローニング先のコード配列の発現およびプロセシングに影響を及ぼすのに必要なポリヌクレオチド配列を意味する。発現制御配列は、適切な転写開始、終結、誘導性プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えばスプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上させる配列(すなわちKozakコンセンサス配列);タンパク質安定性を向上させる配列;および必要に応じて、タンパク質分泌を向上させる配列を含む。そのような制御配列の性質は宿主生物次第で異なり、原核生物では、そのような制御配列は概して、リボソーム結合部位のプロモーター、および転写終結配列を含み、真核生物では、一般的にそのような制御配列は、プロモーターおよび転写終結配列を含む。用語「調節配列」は、その存在が発現およびプロセシングにとって重要である少なくとも全ての成分を包含する。
【0055】
用語「エンハンサー(enhancers)」または「エンハンサー(enhancer)」は、本明細書で使用される場合、組換え産物をコードするDNA配列に隣接して位置するDNA配列を指すことができる。エンハンサー配列は、一般的にはプロモーター配列から5’方向に位置するか、またはコードDNA配列(例えば単数または複数の組換え産物に転写または翻訳されるDNA配列)の下流もしくは配列内に位置しうる。ゆえに、エンハンサー配列は、組換え産物をコードするDNA配列の、100塩基対、200塩基対、または300またはそれを超える塩基対分上流または下流に位置しうる。エンハンサー配列は、DNA配列から発現される組換え産物の量を、単一のプロモーター配列に伴う発現レベルを超えて増大させることができる。複数のエンハンサー配列は当業者にとって容易に利用可能である。
【0056】
本発明の一部の態様において、汎用の誘導性発現ベクターは、例えば、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-21、GM-CSF、IL-3、IL-5、IL-6、IL-11、IL-12、IL-27、LIF、OSM、CNTF、CT-1、CLC、NP、レプチン、NNT-1/BSF-3、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-23、IL-10、IL-20、IL-22、IL-28、IL-29、IL-19、IL-24、IL-26、IL37、IL18、M-CSF、CSF1、G-CSF、CSF3、IL-31、IL-35、成長ホルモン、プロラクチン、THPO、MGDF、EPO、TSLP、TNFSF18、IL-1、IL-17、TNF、TNF-α、RANKL(OPGL/TRANCE)、TRAIL、VEGI、CD153(CD30L)、CD154(CD40L)、CD70(CD27L)、TNF-C、CD70、4-1BBリガンドまたはGAS6である、複数の各種受容体リガンドの活性を分析するための、汎用のレポーター細胞株として使用される宿主細胞を発生させるのに使用されてよい。
【0057】
宿主細胞およびそれを生成するための方法
一側面において、本発明は、標的タンパク質の活性を分析するための宿主細胞を生成するための方法に関し、前記方法は、上記の誘導性発現ベクターのうちのいずれかにより細胞を形質転換することを含む。
【0058】
一側面において、本発明は、標的タンパク質の活性を分析するための宿主細胞に関し、前記宿主細胞は、上記の誘導性プロモーターのうちのいずれかおよびレポーター遺伝子を含む。
【0059】
本発明による上記の誘導性プロモーターの特徴により、本発明による宿主細胞は、例えば、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-21、GM-CSF、IL-3、IL-5、IL-6、IL-11、IL-12、IL-27、LIF、OSM、CNTF、CT-1、CLC、NP、レプチン、NNT-1/BSF-3、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-23、IL-10、IL-20、IL-22、IL-28、IL-29、IL-19、IL-24、IL-26、IL37、IL18、M-CSF、CSF1、G-CSF、CSF3、IL-31、IL-35、成長ホルモン、プロラクチン、THPO、MGDF、EPO、TSLP、TNFSF18、IL-1、IL-17、TNF、TNF-α、RANKL(OPGL/TRANCE)、TRAIL、VEGI、CD153(CD30L)、CD154(CD40L)、CD70(CD27L)、TNF-C、CD70、4-1BBリガンドまたはGAS6である、複数の各種受容体リガンドの活性を分析するのに使用されてよい。
【0060】
本発明による宿主細胞は組換え宿主細胞である。
本発明の一部の態様において、宿主細胞は、ルシフェラーゼタンパク質の遺伝子であるレポーター遺伝子を含む。
【0061】
本発明の一部の態様において、宿主細胞は、ホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子であるレポーター遺伝子を含む。
本発明の一部の態様において、宿主細胞はホタルルシフェラーゼタンパク質の遺伝子を含み、これは配列番号15のヌクレオチド配列を含む。
【0062】
本発明の一部の態様において、宿主細胞は配列番号16のヌクレオチド配列を含む。
本発明の一部の態様において、宿主細胞は、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子、または赤色蛍光タンパク質遺伝子(DsRed)、または酵素ベータ-ガラクトシダーゼをコードするLacZ遺伝子、またはレポーター遺伝子として使用可能な、蛍光もしくは発光タンパク質をコードする任意の他の遺伝子であるレポーター遺伝子を含む。
【0063】
本発明の一部の態様において、宿主細胞は、標的タンパク質の活性を分析するのに使用され、標的タンパク質は受容体リガンドである。
本発明の一部の態様において、宿主細胞は、標的タンパク質の活性を分析するのに使用され、標的タンパク質はサイトカインである。
【0064】
本発明の一部の態様において、宿主細胞は真核細胞である。
本発明の一部の態様において、宿主細胞は哺乳動物細胞である。
形質転換のための宿主として使用される哺乳動物細胞株は、当技術分野で周知であり、利用可能な複数の不死化細胞株を含む。これらは、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HEK-293T細胞、FreeStyle293細胞(Invitrogen)、NIH-3T3細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、A549細胞、および複数の他の細胞株を含む。細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有し、生成されるタンパク質の必要な特徴をもたらすかを決定することにより選択される。使用可能な他の細胞株は、昆虫細胞株、例えばSf9またはSf21細胞である。植物宿主細胞は、例えばタバコ、シロイヌナズナ、ウキクサ、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモなどを含む。細菌宿主細胞は、Escherichia属およびStreptomyces属の種を含む。酵母宿主細胞は、Schizosaccharomyces pombe、Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisを含む。
【0065】
本発明の上記の宿主細胞は、ヒト胚を使用して生成される宿主細胞を指さない。
本発明の上記の宿主細胞は、ヒト生殖系細胞の遺伝的完全性を改変することにより生成される宿主細胞を指さない。
【実施例
【0066】
以下の実施例は、本発明のよりよい理解のために提供される。これらの実施例は説明のためのものでしかなく、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0067】
本明細書で引用される出版物、特許、および特許出願は全て、参照により本明細書に組み込まれる。前述の発明は、理解を明確にする目的で、説明および例として詳細に記載されてきたが、本発明の教示に照らせば、添付の態様の趣旨または範囲から逸脱することなく、特定の変更および改変がそこになされてよいことが、当業者には容易に明らかである。
【0068】
材料および一般的方法
組換えDNA技法
Sambrook、J.ら、Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1989に記載されるように、標準的な方法を使用してDNAを操作した。分子生物学的試薬は、製造業者のプロトコルに従って使用した。
【0069】
遺伝子合成
所望の遺伝子セグメントを、化学合成により作製されたオリゴヌクレオチドから調製した。単数の制限部位に隣接する、300~1400bp長の遺伝子セグメントを、PCR増幅を含むオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーションにより構築し、それに続いて制限部位を介してクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列を、DNAシークエンシングにより確認した。
【0070】
DNA配列決定
DNA配列をSangerシークエンシングにより決定した。
DNA配列分析および配列データ管理
Unipro’s UGENEスイートバージョン1.29およびSnapGene Viewerを、配列生成、マッピング、分析、アノテーションおよび図示に使用した。
【0071】
発現ベクター
レポーター遺伝子を含むベクターは、出願書類に記載されるように、レポーター構築物:E. coliにおいて前記プラスミドの複製をもたらす複製開始部位に加えて、選択的抗生物質(アンピシリン)に対するE. coliの抵抗性を付与する遺伝子を含んでいた。
【0072】
以下に記載されるベクターの遺伝子構築物を、PCRおよび/または遺伝子合成、および例えば対応するベクターにおける独自の制限部位を使用しての、対応する核酸セグメントの接続による、既知の組換え方法および技法を使用する構築により構築した。サブクローニングされた核酸配列を、DNAシークエンシングにより検証した。一過性トランスフェクションについては、形質転換されたE. coli培養物からのプラスミド調製により、より大量のプラスミドを調製した。
【0073】
実施例1.STAT3-STAT5-AP-1感受性プロモーターの制御下のホタルルシフェラーゼ遺伝子をコードするレポータープラスミドベクターの生成。
汎用のレポーター構築物を発生させるため、我々は、多くの各種シグナル伝達分子の活性を媒介する転写因子STAT3、STAT5、AP-1を選択した。
【0074】
我々は、TATAボックスからなる最小プロモーターを含む調節配列を創出し、プロモーターの5’末端には転写因子STAT3、STAT5、AP-1のための結合部位(doi:10.1128/JVI.01713-10;doi:10.1074/jbc.M001748200)を3つの反復配列として配置した(図1)。この転写因子結合部位の組み合わせにより、広い適用範囲を有する誘導性プロモーターを生成することが可能となる。
【0075】
アレイを構築するため、我々は、20bpの重複を有する、6つの60bp長の部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを合成した。オリゴヌクレオチドからの合成により構築を実施し、プラスミドベクターに対し相補的な領域に隣接する249bp長の断片を得た。生じた配列を、ライゲーション非依存クローニングによりベクターE6.90内にクローニングした(図2)。クローニングされた核酸配列をDNAシークエンシングにより検証した。
【0076】
実施例2.安定な発現体細胞株を創出するための、IL-10受容体サブユニットをコードするプラスミドベクターの生成。
特定の細胞試験におけるレポーター株を評価するため、我々は、レポーター細胞の表面上にIL-10受容体を発現させた。
【0077】
ヒトIL-10Ra遺伝子(https://www.uniprot.org/uniprot/Q13651)およびヒトIL-10Rb遺伝子(https://www.uniprot.org/uniprot/Q08334)の天然の配列を発生させるため、我々は、ドナーの末梢血単核細胞から総RNAを単離し、これに基づいてcDNAを合成した。生じたcDNAライブラリーを、制限部位に隣接する標的配列のPCR増幅のための鋳型として使用した。発現ベクター内の標的遺伝子を、制限-ライゲーション方法によりクローニングした(図3図4)。クローニングされた核酸配列をDNAシークエンシングにより検証した。
【0078】
実施例3.HEK293 Nf-kBの活性化。
我々は、PMA活性化剤を使用してクローンレポーター株をスクリーニングした。この薬剤はプロテインキナーゼCに直接影響を及ぼし、ゆえにレポーター遺伝子発現を活性化するシグナル伝達カスケードを引き起こす(https://doi.org/10.1007/s11373-005-1210-5;doi:10.1093/carcin/bgm261)。PMAの最良の用量を決定するため、我々は、HEK293 Nf-kBレポーター株の活性化を伴う実験を行った。細胞を、1ウェルあたり3*10細胞で、接着培養物用の白色96ウェル培養プレートに播種し、PMA活性化剤を、グラフに示される濃度で、最大150μlでウェルに添加した。溶液は全て、10%ウシ胎児血清、2mM L-グルタミンおよび10μg/mlゲンタマイシンを添加したDMEM成長培地で調製した。プレートを、5%COの存在下の湿潤雰囲気で、37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後、ウェルを排水させ、溶解成分を有するルシフェリン基質100μlを添加し、プレートを暗所に10分間放置し、その後、SparkControl V2.1ソフトウェアパッケージ(Tecan、Austria)を使用するプレートリーダーを使用して発光レベルを検出した。
【0079】
このようにPMA活性化剤の最良の濃度33nMを選択した(図5)。
実施例4.安定なレポーター細胞株の生成。
レポーター細胞株についての重要な指標は、試験分子に応答した活性化の倍加の度合、およびバックグラウンド活性化のレベルである。
【0080】
実施例1のレポーター構築物を含むプラスミドベクターによりトランスフェクトされたHEK293細胞株(ATCC CRL-1573、USA)を使用して、安定なレポーター細胞株を生成した。生じた安定なプールを、限界希釈クローニングによりクローニングした。クローン株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLucをスクリーニングするため、我々はルシフェラーゼ発現活性化試験を行った。細胞を、96ウェルプレートに1ウェルあたり1*10細胞で播種し、ウェルに最大最終体積150μlで、33nM PMA活性化剤を添加した。溶液は全て、10%ウシ胎児血清、2mM L-グルタミンおよび10μg/mlゲンタマイシンを添加したDMEM成長培地で調製した。プレートを、5%COの存在下の湿潤雰囲気で、37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後、ウェルを排水させ、溶解成分を有するルシフェリン基質100μlを添加し、プレートを暗所に10分間放置し、その後、SparkControl V2.1ソフトウェアパッケージ(Tecan、Austria)を使用するプレートリーダーを使用して発光レベルを検出した。
【0081】
このようにレポーター細胞株を生成し、これは、高い活性化の倍加の度合および低レベルのバックグラウンド活性化を示す(図6)。
実施例5.IL10に特異的なレポーター株の生成。
【0082】
特定の細胞試験におけるレポーター株を評価するため、我々は、レポーター細胞の表面上にIL-10受容体を発現させた。この目的のため、実施例4で生成されたHEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLucレポーター細胞株を、実施例2で生成されたIL-10受容体サブユニットをコードするプラスミドベクターによりトランスフェクトした。IL10受容体を発現するクローンレポーター株をスクリーニングするため、我々は実施例3に記載されるルシフェラーゼ発現活性化試験を実施した。濃度100ng/mlの組換えヒトIL10を活性化剤として使用した。
【0083】
活性化の倍加の度合に基づくクローンのスクリーニングおよび選択が、汎用の株に基づくIL10特異的レポーター株をもたらした(図7)。
実施例6.IL10活性決定試験
候補医薬生成物の活性を評価するのにレポーター株が使用される。我々は、グラフに示される各種濃度のIL10活性化剤に応答したルシフェラーゼ発現活性化試験を実施した。試験設計は実施例3に記載される。
【0084】
我々は最終的に、特定の活性化剤に対するレポーター細胞株の用量依存性応答を観察した(図8)。
実施例7.汎用のレポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLucに基づく、Gas6 STAT3-STAT5-AP1生成物による細胞内シグナル伝達のAXL媒介性活性化を評価するための、レポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXLの創出。
【0085】
レポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXLを発生させるため、我々は、汎用のレポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc:cl.D1、cl.B3およびcl.C4#2の3つのクローンを使用し、それらに基づいて、我々は、埋め込まれ、構成的に発現されたAXL受容体遺伝子を有する3プールの細胞をそれぞれ生成した。これらのプールのAXL媒介性活性化を試験した。試験を、発光アッセイ用に設計された96ウェル培養プレートにおいて実施した。懸濁液は、各ウェルに30,000のHEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXL細胞、および図9に示される濃度のAXLリガンドGAS6を含有していた。ウェル中の細胞懸濁液の最終体積は100μlであり、懸濁液の成分は全て、ウシ胎児血清不含のDMEM培地で調製した。成分を全て添加した後、プレートを37℃、5%COで16時間インキュベートし、次いで、発光アッセイキットを使用して、我々はウェルにおける発光強度を測定した。プレートリーダーを使用して測定を実施した。GAS6の存在下での所与のプールについての発光レベルの、GAS6の非存在下での発光レベルに対する比として活性化レベルを算出した。
【0086】
実施例8.レポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXLにおける、STAT3-STAT5-AP1のAXL媒介性活性化についての各種GAS6生成物の試験。
【0087】
実施例7に記載される手順と同様に試験を実施し(濃度2μg/mlのGAS6の存在下で)、活性化には、我々は、HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXL(細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc:cl.D1に基づいて生成されたプール、実施例7を参照のこと)およびグラフに示される濃度の各種GAS6調製物を使用した(図10)。
【0088】
実施例9.HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXLクローンのAXL媒介性活性化の分析。
細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc:cl.D1、cl.B3およびcl.C4#2に基づいて生成されたプール(実施例7を参照のこと)から、我々は、試験(濃度2μg/mlのGAS6の存在下で、実施例7と同様に実施)において、GAS6依存性活性化を示した個々のクローンを選択した。最大レベルの活性化を示したクローンを、cl.D1に基づいて生成された細胞プールから選択した。所与のプールの各種クローンおよび初期プール自体を含有する96ウェルプレートのうちの1つにおける活性化レベルが表1に示され、これは非活性化細胞に対する活性化を示し、H11ウェルはプールに対応する。灰色は、さらなる研究に使用されたクローンHEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXL(cl.13)に対応するウェルを示す。
【0089】
【表1】
【0090】
実施例10.GAS6の存在下でのインキュベーション時間に応じた、レポーター細胞株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXLの活性化の研究。
実施例7に記載される手順と同様に試験を実施し、我々は、活性化のため、レポーター株HEK293_STAT3-STAT5-AP1_FLuc_AXL(cl.13)の細胞および濃度2μg/mlのGAS6を使用し(図11)、成分全てを添加した後、プレートをグラフに示される時間インキュベートし、次いでウェルにおける発光強度を決定した。前記濃度のGAS6の存在下での発光値の、同じインキュベーション時間での、GAS6バリアントの非存在下での発光値に対する比として、活性化のレベルを算出した。最大レベルの活性化が、24時間インキュベーション中に観察された。
【0091】
実施例11.STAT3-STAT5-AP1細胞内シグナル伝達のAXL媒介性活性化を評価するための、天然に存在するDu145細胞株に基づくレポーター細胞株の発生。
【0092】
AXLリガンドGAS6によるDu145細胞増殖の活性化を試験するため(図12)、我々は、天然のAXL発現体であるDu145細胞株を使用した。接着培養物用の96ウェル培養プレートにおいてアッセイを実施した。懸濁液は、各ウェルに、5,000のDu145細胞、およびグラフに示される濃度のAXLリガンドGAS6を含有していた。ウェル中の細胞懸濁液の最終体積は100μlであり、懸濁液の成分は全て、0.3%ウシ胎児血清を含むDMEM培地で調製した。成分全てを添加した後、プレートを37℃、5%COで72時間インキュベートし、次いでアラマーブルー試薬10mlを各ウェルに添加し、次いでタブレットをオービタルシェーカーで振とうし、37℃、5%COで6時間インキュベートした。プレートリーダーを使用して、励起波長544nmおよび放出波長590nmで蛍光を測定した。
【0093】
我々は、天然のAXL発現細胞株に基づく、AXLシグナル伝達のGAS6依存性活性化に対し感受性のレポーター細胞株を発生させるため、STAT3-STAT5-AP1プロモーターの制御下のホタルルシフェラーゼをコードするSTAT3-STAT5-AP1_FLuc遺伝子を含むDu145細胞の安定なクローンを生成した。
【0094】
試験において活性化を示したクローンを選択した(図13~15)。96ウェルELISAプレートにおいて試験を実施した。実験前日、AXLリガンドGAS6をプラスチック上に固定化した:我々は、DPBS中濃度5μg/mlのGAS6溶液を調製し、100μLを各プレートウェルに添加した。プレートを37℃で5%COとともに16時間インキュベートした。次に我々は、50,000のDu145_STAT3-STAT5-AP1_FLuc細胞を含む懸濁液を添加した。細胞懸濁液の最終体積は1ウェルあたり100μLであった。細胞懸濁液を添加した後、プレートを37℃、5%COで16時間インキュベートし、次いで、発光アッセイキットを使用して、我々はウェルにおける発光強度を測定した。プレートリーダーを使用して測定を実施した。
【0095】
実施例12.STAT3-STAT5-AP1細胞内シグナル伝達のAXL媒介性活性化を評価するための、AXLを過剰発現する細胞株HEK-293-AXLに基づくレポーター細胞株HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1_FLucの創出。
【0096】
レポーター細胞株HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1_FLucを創出するため、我々は、我々が生成した、STAT3-STAT5-AP1プロモーターの制御下のホタルルシフェラーゼをコードする遺伝子を含む細胞のプールに基づく、AXL過剰発現体である細胞株HEK293_AXLを使用した。次に、我々はこのプールから個々のクローンを選択し、これらは試験において活性化を示した(図16)。GAS6 2μg/mlの濃度で、実施例7に記載される手順と同様に試験を実施した。GAS6の存在下での所与のクローンについての発光値の、GAS6の非存在下での発光値に対する比として、活性化のレベルを算出した。
【0097】
実施例13.細胞数に応じた、レポーター細胞株HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1の活性化の研究。
GAS6 2μg/mlの濃度で、実施例7に記載される手順と同様に試験を実施し、レポーター株HEK293_AXL_STAT3-STAT5-AP1の細胞を、グラフに示されるように96ウェルプレートの1ウェルあたりの細胞数で活性化に使用した(図17)。ウェルが25,000~50,000細胞のレポーター株を含有していた場合に、最大レベルの活性化が観察された。
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【配列表】
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【国際調査報告】