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▶ ネステ オイル オサケ ユキチュア ユルキネンの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】船舶用燃料ブレンド
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/02 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
C10L1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024515122
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 FI2022050589
(87)【国際公開番号】W WO2023037049
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】20215937
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(31)【優先権主張番号】21208970.0
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505081261
【氏名又は名称】ネステ オサケ ユキチュア ユルキネン
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーラ、リーッカ-マリ
(72)【発明者】
【氏名】コウバ、メルヤ
(72)【発明者】
【氏名】カルビネン、エスコ
(72)【発明者】
【氏名】キースキ、ウッラ
(72)【発明者】
【氏名】レメ、ビルピ
(72)【発明者】
【氏名】レセネン、ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】ラウテリン、ウォルター
【テーマコード(参考)】
4H013
【Fターム(参考)】
4H013BA00
(57)【要約】
本発明は、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~700mm2/sであり、および、0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む船舶用燃料ブレンドであって、前記カシューナッツ殻液が少なくとも50wt-%のカルダノールを含む船舶用燃料ブレンドに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~700mm2/sであり、および、0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む船舶用燃料ブレンドであって、前記カシューナッツ殻液が少なくとも50wt-%のカルダノールを含み、前記船舶用燃料ブレンドが、残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている船舶用燃料ブレンド。
【請求項2】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~30mm2/sである請求項1記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項3】
0.5~30vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む請求項2記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項4】
EN ISO 3016:2019によって測定されて、5~30℃の流動点を有する請求項2または3記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項5】
ISO 8754:2003によって測定されて、最大で0.1wt-%である硫黄含有量を有する請求項2~4のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項6】
EN ISO 2719:2016によって測定されて、60℃より高い、好ましくは100~150℃であるPensky-Martens引火点を有する請求項2~5のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項7】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が31~700mm2/sであり、および、0.5~20vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む請求項1記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項8】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が90~130mm2/sである請求項7記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項9】
0.5~10vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む請求項7または8記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項10】
ISO 10307-2:2009によって測定されて、0.10wt-%未満、好ましくは0.08wt-%未満の経年沈殿物の量を有する請求項7~9のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項11】
前記カシューナッツ殻液が、少なくとも80wt-%のカルダノールを含む請求項1~10のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項12】
前記カシューナッツ殻液が、減圧蒸留、蒸留、熱処理、ろ過、脱ガム、またはそれらの組み合わせのいずれかによって精製されている請求項1~11のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項13】
前記カシューナッツ殻オイルが、精製カシューナッツ殻オイルを得るために、2.5~3.5mbarの圧力下、200~240℃での減圧蒸留によって精製されている請求項1~12のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項14】
前記精製カシューナッツ殻液が、粗カシューナッツ殻液を得るために非加熱下でカシューナッツ殻を圧搾すること、精製カシューナッツ殻液を得るために前記粗カシューナッツ殻液を漂白し、次いで160℃で脱水することによって得られる請求項1~12のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項15】
少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定された動粘度が1~700mm2/sである船舶用バンカー燃料のためのアスファルテン安定剤としての使用。
【請求項16】
少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の船舶用燃料成分としての使用であって、結果として得られる船舶用燃料ブレンドが、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて1~700mm2/sである動粘度を有し、ならびに残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている使用。
【請求項17】
欧州議会および理事会の指令2018/2001にしたがって計算されたCO2eq/MJとして少なくとも4%の温室効果ガス排出量を削減するための、請求項15または16記載の使用。
【請求項18】
船舶用バンカー燃料の貯蔵安定性を改善するための、少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の使用。
【請求項19】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~700mm2/sである船舶用燃料を製造するための方法であって、残渣の化石ベース成分を0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻オイルと混合する工程を含み、ここで前記カシューナッツ殻オイルは少なくとも50wt-%のカルダノールを含んでおり、結果として得られる船舶用燃料は残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている、船舶用燃料を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用燃料ブレンド、および船舶用燃料ブレンドの使用、および船舶用燃料ブレンドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶用燃料は伝統的に化石オイルをベースとしており、通常、陸上車両に使用されるガソリンおよびディーゼルなどよりも粘度が高い。しかしながら、公害および気候変動に関連する問題のため、例えばより低い硫黄含有量を有する船舶用燃料も提供する必要がある。もうひとつの必要性は、温室効果ガス(GHG)の排出を削減することである。国際海事機関IMOの目標は、実際に、2050年までに国際海運からのGHG年間総排出量を2008年のレベルと比較して少なくとも50%削減することである。この目標は、例えばモーターおよびオペレーションの効率を改善することで達成され得るかもしれないが、代替燃料も必要である。
【0003】
天然または未加工のカシューナッツ殻液(天然CNSL)は、カシューナッツ産業の副産物であり、カシューナッツの殻、カシューナッツの木(Anacardium occidentale)の果実から直接抽出される。オイルはカシューナッツの殻から抽出され、これはカシューナッツの殻の果皮液である。天然CNSLは、4つの成分の混合物であり、それらの全てが置換フェノール:アナカルジン酸、カルダノール、カルドールおよび2-メチルカルドールである。物理的に抽出された天然CNSLは、アナカルド酸を約70wt-%、カルドールを約18wt-%、およびカルダノールを約5wt-%含む。物理的に抽出された天然CNSLは、アナカルド酸がカルダノールに脱炭酸されるように処理され得、いわゆるテクニカルCNSLを与える。テクニカルCNSLは、蒸留によってさらに精製され得る。
【0004】
アスファルテンは、原油および重油中に懸濁されるコロイドである大きな芳香族分子である。アスファルテンは、樹脂(極性芳香族化合物)に囲まれているときは油中に分散されており、およびしたがってオイルは安定していると言われる。好ましくない溶媒条件下では、樹脂はアスファルテンから脱着され、アスファルテンの凝集を引き起こす。この沈殿は、オイル中の沈殿物の量を増加させるであろう。多量の沈殿物は、容器を操作している際に、特にフィルターおよびセパレーター内に問題を生じさせる。アスファルテン含有燃料が長期間保管される、および/または、加熱される場合、その安定性は低下し始め、および、アスファルテンが燃料から析出し、沈殿物の増加を引き起こす。
【0005】
カシューナッツ殻液(CNSL)の使用を提供することが目的である。別の目的は、代替船舶用燃料および船舶用燃料ブレンドを提供することである。さらなる目的は、従来の船舶用燃料よりも化石ベースの成分が少ない船舶用燃料ブレンドを提供すること、すなわち、その中に再生可能成分を有する船舶用燃料ブレンドを提供することである。さらなる目的は、アスファルテンが安定化され、および沈殿物を形成しない船舶用燃料ブレンドを提供することである。さらなる目的は、温室効果ガスの排出を削減できる船舶用燃料ブレンドを提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、独立請求項の特徴によって定義される。いくつかの具体的な実施形態は従属請求項に定義される。一態様において、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定された動粘度が1~700mm2/sであり、および、0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む船舶用燃料ブレンドが提供され、ここで、カシューナッツ殻液は少なくとも50wt-%のカルダノールを含み、船舶用燃料ブレンドは、残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている。
【0007】
別の態様において、少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定された動粘度が1~700mm2/sである船舶用バンカー燃料のためのアスファルテン安定剤としての使用が提供される。少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の別の用途は、船舶用燃料成分としての使用であり、結果としてもたらされる船舶用燃料ブレンドは、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定した動粘度が1~700mm2/sであり、ならびに残渣および流出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている。少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液のさらなる使用は、船舶用バンカー燃料の貯蔵安定性を改善することである。
【0008】
さらに別の態様において、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定した動粘度が1~700mm2/sである船舶用燃料を製造するための方法であって、該方法が、残渣の化石ベース成分を0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻オイルと混合することを含み、ここでカシューナッツ殻オイルは少なくとも50wt-%のカルダノールを含んでおり、結果としてもたらされる船舶用燃料は残渣および蒸留物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている、船舶用燃料の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、重量%(wt-%)はブレンドの総計の重量に基づいて算出される。体積%(vol-%)もまた、ブレンドの総計の体積に基づいて計算される。
【0010】
再生可能燃料成分の文脈における「再生可能(renewable)」との用語は、任意の再生可能な供給源に由来する(すなわち、いかなる化石ベースの供給源にも由来しない)1つまたはそれ以上の有機化合物を指す。したがって、再生可能燃料成分は、再生可能な供給源に基づくものであり、および、その結果、いかなる化石ベースの材料にも起源をもたず、また、由来もしない。このような成分は、化石源に由来する同様の成分と比較してより高い14C同位体含有量を必然的に有していることによって特徴づけられる。前記より高い14C同位体含有量は、再生可能燃料成分を特徴付け、およびそれを化石燃料から区別する固有の特徴である。したがって、ブレンドの一部が部分的に化石ベースの材料、および部分的に再生可能燃料成分に基づいている燃料ブレンドにおいて、再生可能成分は、14C活性を測定することによって決定され得る。14C分析(炭素年代測定または放射性炭素分析とも称される)は、12Cと比較した同位体14Cの崩壊速度に基づいて人工物の年代を決定する確立されたアプローチである。再生可能材料は、化石材料ほど古くなく、そのため、材料の種類は14C:14Cの非常に異なる比率を含んでいるため、この方法は、バイオ/化石混合物中の再生可能材料の物理的な割合留分を決定するために使用され得る。したがって、前記同位体の特定の比率は、再生可能炭素化合物を同定し、およびそれを非再生可能炭素化合物から区別するための「タグ(tag)」として使用され得る。再生可能成分は現代の大気中の14C活性を反映する一方、化石燃料(石油、石炭)中には、14Cはほとんど存在しない。したがって、対象とする任意の物質の再生可能な留分は、その14C含有量に比例している。燃料ブレンドのサンプルは、燃料中の再生可能源由来炭素の量を決定するために反応後分析されてもよい。このアプローチは、コプロセスされる燃料または混合されたフィードストックから製造される燃料のどちらにも等しく機能するであろう。燃料ブレンドの再生可能性は直接測定され得るため、この方法を使用する場合、必ずしも投入原料を試験する必要がないことに留意すべきである。同位体比は化学反応中に変化しない。したがって、同位体比は、再生可能な異性体パラフィン組成物、再生可能な炭化水素、再生可能なモノマー、再生可能なポリマー、ならびに前記ポリマーに由来する材料および製品を同定するために、および、非再生可能な材料からそれらを区別するために使用することができる。生物起源の原料のフィードストックとは、ASTM D6866(2018)に記載されるように、14C、13Cおよび/または12Cを含む同位体分布による放射性炭素分析を用いて決定され得る、再生可能な(すなわち、現代またはバイオベースまたはバイオ起源の)炭素、14C含有成分のみを有する材料を意味する。生物学的または再生可能な供給源からの炭素の含有量を分析するための適切な方法の他の例は、DIN 51637(2014)またはEN 16640(2017)である。
【0011】
本発明では目的に関し、ASTM D6866で測定されて現代炭素(pMC)が90%以上含まれる、例えば100%現代炭素である場合に、例えばフィードストックまたは生成物などの炭素含有材料が生物学的、すなわち再生可能な起源であるとみなされる。
【0012】
本明細書において、「残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリー(category of ISO 8217:2017(E))」とは、同規格の表1および2に「カテゴリーISO-F-」として記載されている様々なカテゴリー(DMX、DMA、DFA、DMZ、RMA、RMG、RMD、RMGなど)を意味する。残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たす船舶用燃料ブレンドは、したがって、例えばRMGなどの単一のカテゴリーの全ての要件を満たす船舶用燃料ブレンドであり、すなわち、これはRMGとして分類される船舶用燃料が必要とされる用途に使用され得る。
【0013】
本発明の一態様において、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定した動粘度が1~700mm2/sであり、および、0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む船舶用燃料ブレンドが提供され、ここで、カシューナッツ殻液は少なくとも50wt-%のカルダノールを含み、船舶用燃料ブレンドは、残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている。
【0014】
したがって、船舶用燃料混合物は、本明細書においては精製CNSLまたは単にCNSLとも称される、または、精製カシューナッツ殻油(CNSO)とも称され得る精製カシューナッツ殻液をある特定の量で含む。実際、本発明の説明においては、「CNSL」という略語は、天然または未加工のCNSLではなく、精製されたCNSLと理解されるべきである。船舶用燃料ブレンドはまた、船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たし、この規格にはいくつかの異なる船舶用燃料カテゴリーが記載されている。したがって、本発明の船舶用燃料ブレンドは、より厳しい環境要件を満たすための脱炭素船舶用燃料ブレンドを提供することを可能にする。それはまた、食品産業には使用できない成分を含む船舶用燃料ブレンドも提供する。本発明の船舶用燃料ブレンドに使用される再生可能成分は、スケーラブルであり、および経済的である。
【0015】
以下の実施例の部に示されるように、CNSLの長期保存とアスファルテン安定化効果とが調査され、分析手段によって証明された。したがって、カシューナッツ殻液が、溶液中でアスファルテンを可溶に保ち、および、ISO 8217:2017規格の経時沈殿限界値が満たされることが示された。さらに、経時沈殿限界は、参照と比較して、高温で数ヶ月間保持される。さらに、安定化成分は再生可能であり、および、温室効果ガスの排出を削減する方法を提供する。
【0016】
アスファルテンは大きな芳香族分子であって、原油および重油中に懸濁されているコロイドである。アスファルテンは、樹脂(極性芳香族化合物)に取り囲まれているときは油中に分散しており、および、したがって、油は安定しているといわれる。好ましくない溶媒条件下では、樹脂はアスファルテンから脱着し、これはアスファルテンの凝集および沈殿を引き起こす。この沈殿は、油の沈殿物量を増加させるであろう。沈殿物の量が多いと、容器の操作上の問題がより引き起こされ、および、セパレーターのスラッジ廃棄量を増加させる。アスファルテン含有燃料が長期間貯蔵される、および/または加熱される場合、劣化が始まり、およびその沈殿物量が増加する。
【0017】
したがって、本発明の船舶用燃料ブレンドの特に有利な点は、ブレンド中でのCNSLの使用が、通常、船舶用燃料には使用できないであろう成分、特には、溶解力が低い成分、または、その中でアスファルテンの性質が通常使用される船舶用燃料成分中で溶解性が低くならびにより凝集および沈殿しやすいようなものである成分の使用を可能にすることである。したがって、CNSL含有ブレンドは、通常使用される船舶用燃料成分よりも高いアスファルテンの溶解力を有する。船舶用燃料ブレンドの安定性に影響するアスファルテンおよびその他の化合物の含有量は、ブレンドが化石成分を含む場合、原油の産地とそれが付された処理とに依存する。実施例の部において後述されるように、本発明の船舶用燃料ブレンドは、船舶用燃料の使用に極めて重要である長期貯蔵安定性という利点を有する。
【0018】
船舶用燃料ブレンドは、0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液を含み、ブレンドの残り(すなわち100vol-%まで)は他の適切な成分である。したがって、ブレンドは、0.5、1、1.5、2、3、4、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27、30、32、35、37、40または42vo-%、2、3、4、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27、30、32、35、37、40、42、47または50vol-%までの精製CNSLを含んでいてもよい。精製CNSLの量は、例えば、ブレンドの総計の重量の0.5~30vol-%、0.5~20vol-%、または0.5~10vol-%であり得る。
【0019】
カシューナッツ殻液は、少なくとも50wt-%のカルダノールを含む。一実施形態において、それは少なくとも80wt-%のカルダノール、または少なくとも90wt-%のカルダノールを含む。したがって、CNSLは、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85または90wt-%、最大で60、65、70、75、80、85、90または95wt-%のカルダノールを含み得る。CNSL中のカルダノールの量は、例えば50~80wt-%または60~90wt-%であり得る。
【0020】
一実施形態において、カシューナッツ殻液は、減圧蒸留、蒸留、熱処理、ろ過、脱ガム、またはそれらの組み合わせのいずれかによって精製されている。例えば、CNSLは、2.5~3.5mbarの圧力下、200~240℃での減圧蒸留によって精製されたものであってもよい。このような蒸留条件は、精製CNSL中のカルダノールの高い収率を導くことが知られている。天然または未加工のCNSLはまた、超臨界CO2抽出、蒸留、熱処理、ろ過、脱ガム、ろ過および脱ガムの組み合わせ、または例えば上記の2つまたはそれ以上の組み合わせなどの任意の他の適切な方法で精製され得る。精製カシューナッツ殻液を得る1つの可能な方法は、粗カシューナッツ殻液を得るために非加熱下でカシューナッツ殻を圧搾すること、精製カシューナッツ殻液を得るために粗カシューナッツ殻液を漂白し、次いで160℃で脱水することによる。
【0021】
船舶用燃料ブレンドの動粘度は、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて、1~700mm2/sである。したがって、動粘度は、例えば、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、120、140、150、170、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650または675mm2/sから、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、120、140、150、170、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675または700mm2/sまでなどである。
【0022】
一実施形態において、船舶用燃料ブレンドの動粘度は、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて、1~30mm2/sである。したがって、動粘度は、例えば、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて、1、2、3、4、5、7、9、10、12、14、15、17、20、22または25mm2/sから、3、4、5、7、9、10、12、14、15、17、20、22、25、27または30mm2/sまでであり得る。
【0023】
より低い動粘度を有するこのような船舶用燃料ブレンドは、0.5~20vol-%の精製カシューナッツシェルリキッドを含み得る。これらのブレンド中の精製CNSLの量は、0.5、1、1.5、2、3、4、5、7、10、12、15または17vol-%、2、3、4、5、7、10、12、15、17または20vol-%まであってもよい。
【0024】
一実施形態において、船舶用燃料ブレンドは、EN ISO 3016:2019によって測定されて、5~30℃の流動点を有する。好ましい実施形態において、流動点は、EN ISO 3016:2019で測定されて、15~30℃、または、より好ましくは20~30℃である。したがって、流動点は、例えば、EN ISO 3016:2019によって測定されて、5、10、15または20℃から、10、15、20、25または30℃までであり得る。
【0025】
燃料ブレンドが加熱および/または長期間貯蔵される場合、船舶用燃料ブレンドは、典型的には、いくぶんかの量の沈殿物を含む、または形成する。RMBおよびRMGのカテゴリーにある船舶用燃料ブレンドの場合、これらはISO 10307-2A:2009にしたがって測定され、およびTotal sediment-Aged(総沈殿物-経年)、またはPotential Total Sediment(潜在的総沈殿物、TSPと略される)と称される。本明細書においては、略称TSPがRMBおよびRMGに関して使用される。DMBのカテゴリーにある船舶用燃料ブレンドの場合、測定方法はISO 10307-1:2009に記載されており、および、高温ろ過によるTotal sediment(総沈殿物)、またはExistent Total Sediment(実在総沈殿物、TSEと略される)と称される。本明細書において、略称TSEがDMBに対して使用される。
【0026】
別の実施形態において、船舶用燃料ブレンドは、ISO 10307-2A:2009で測定されて0.10wt-%未満の経年沈殿物、TSPの量、または、ISO 10307-1:2009で測定されて0.10wt-%未満のTSEの量を有する。この量は、船舶用燃料に関する規格の要件を満たしている。経年沈殿物の量は、0.08、0.07、0.06もしくは0.05wt-%未満、またはさらに低くさえあり得る。
【0027】
船舶用燃料ブレンドはまた、ISO 6245:2002で測定されて、0.1wt-%未満の灰分含有率を有し得る。この灰分含有量は、船舶用燃料の規格の要件を満たす。
【0028】
船舶用燃料ブレンドの硫黄含有量は、ISO 8754:2003で測定されて、好ましくは最大で0.1wt-%である。この硫黄含有量は、Sulphur Emission Control Area(SECAエリア)のための規格の要件を満たす。硫黄含有量は、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04もしくは0.03wt-%未満、またはさらに低くさえあり得る。
【0029】
船舶用燃料ブレンドのPensky-Martens引火点は、EN ISO 2719:2016で測定されて60℃より高く、好ましくは100~150℃である。
【0030】
実際、その異なる化学的性質にもかかわらず、精製CNSLは、従来の化石ベースのRMBまたはRMGとブレンドされた場合に、RMBおよびRMGの両方のカテゴリー(ISO 8217:2017)を満たすことが見いだされたことが観察された(以下の実施例の項で示されるように)。蒸留シミュレーションによると、CNSLを含むブレンドの挙動は従来のRMB/RMGの蒸留挙動によく似ており、およびしたがって、明らかな燃焼の問題は見られ得ない。非化石ベースの成分を含んでいる、またはそれらから構成されているRMB/RMGは、化石ベースのRMB/RMGと同じ要件を満たす必要があるため、CNSLはこれらのRMB/RMGとも問題なく組み合わせられ得るであろうと考えられる。
【0031】
別の実施形態において、船舶用燃料ブレンドの動粘度は、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて、31~700mm2/sである。したがって、動粘度は、例えば、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて、31、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、120、130、140、150、170、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650または675mm2/sから、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、120、130、140、150、170、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675または700mm2/sまでであり得る。動粘度は、好ましくは、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて、90~130mm2/sである。
【0032】
より高い動粘度を有するこのような船舶用燃料ブレンドは、0.5~20vol-%の精製カシューナッツ殻液を含み得る。これらのブレンド中の精製CNSLの量は、0.5、1、1.5、2、3、4、5、7、10、12、15または17vol-%、2、3、4、5、7、10、12、15、17または20vol-%までであり得る。精製CNSLの量は、好ましくは、0.5~10vol-%である。
【0033】
当業者であれば、vol-%およびwt-%にもかかわらず、本発明の船舶用燃料ブレンドを容易に製造することができる。実際、CNSLは典型的には、カルダノールの含有量をwt-%で表示して販売されている。さらに、船舶用燃料ブレンドの種々の成分の密度を知っている当業者であれば、対応する値を計算することもまた可能である。例えば、密度880.8kg/m3であるRMBを95vol-%、および、密度939.5kg/m3であるCNSLを5vol-%含む船舶用燃料ブレンドでは、CNSLが5.3wt-%となるであろう。精製CNSLを含む船舶用燃料ブレンドの経年沈殿物の量は、同じ測定方法で測定した場合、典型的には、ブレンドの他の成分(すなわち、精製CNSLを含まないブレンド)の量よりも0.01~0.11wt-%低い。典型的には、精製CNSLを使用することで、精製CNSLを使用しない場合と比較して、経年沈殿物の量を0.05~0.10wt-%低下させることができる。
【0034】
船舶用燃料ブレンドの硫黄含有量は、ISO 8754:2003で測定して、最大で0.5wt-%であることが好ましい。この硫黄含有量は、船舶用燃料に関する規格の要件を満たす。硫黄含有量は、0.45、0.40、0.35、0.30、0.25、0.20、0.15、0.10もしくは0.05wt-%未満であり得、またはそれより低くてもよい。
【0035】
さらに、これらの船舶用燃料ブレンドは、最大で0.5wt-%の硫黄含有であるRMG等級の船舶用燃料の要件を達成するのに特に適している。実際、これらの燃料は、560℃+塔底油の残留水素化分解機で高度に分解されたアスファルテンを含んでおり、これらは油中に分散させておく必要がある。今回、カシューナッツ殻液由来の安定化成分であるカルダノールがアスファルテンを溶液中に保持することが観察され(実施例の項で示されるように)、そしてISO 8217:2017のバンカーカテゴリーにおける経年沈殿物の限度が満たされている。実際、経年沈殿物の実験室試験法(ISO 10307-2:2009)は燃料の経年劣化をシミュレートし、船舶用燃料規格ISO 8217:2017は船舶用燃料中の経年沈殿物量の限度を定義している。
【0036】
船舶用燃料ブレンドの化石部分は、蒸留物の船舶用燃料もしくは複数の燃料、残渣の船舶用燃料もしくは複数の燃料、またはそれらの混合物を含んでいてもよい。例えば、船舶用燃料ブレンドは、10vol-%の残渣の船舶用燃料、50vol-%までのCNSL、蒸留物の船舶用燃料である残余物を含み得る。
【0037】
船舶用燃料ブレンドの組成は、例えば、90vol-%の残渣の船舶燃料、および10vol-%のCNSLであり得る。代替で、組成は、80vol-%の残渣の船舶燃料、および20vol-%のCNSLであってもよい。
【0038】
本発明の船舶用燃料ブレンドは、任意の公知の船舶用燃料またはそれらの混合物を含み得る。例えば、それは、ISO 8217:2017(E)におけるそれらの特性によって定義される船舶用燃料、すなわちDMX、DMA、DFA、DMZ、DFZ、DMB、DFB、RMA、RMB、RMD、RME、RMGまたはRMK、例えばRMG180、RMG380、RMG500またはRMG700またはRMK380、RMK500またはRMK700などを含んでいてもよい。典型的には、RMGグレードが好ましいグレードである。
【0039】
例えば、船舶用燃料は、残渣の燃料であり、水素化分解された残渣油であるLCO(Light Cycle Oil、流動接触分解装置からのディーゼル沸点範囲生成物)および/または水素化分解された蒸留物を含むRMGであってもよい。燃料は、典型的には、最大で700mm2/sである50℃動粘度、および、最大で991kg/m3である密度を有する。水素化分解された残渣油の含有量は、典型的には、0~70wt-%の範囲である。水素化分解された残渣油はまた、0~100wt-%の水素化分解された脱アスファルト油を含んでいてもよい。別の実施例において、船舶用燃料は、同様に残渣の燃料であり、(水素化分解された)減圧蒸留物を含む蒸留ガスオイルを含み得るRMBであってもよい。これは典型的には、50℃で30cStの動粘度、最大で960kg/m3である密度、30℃以下の流動点、およびC6~C43の沸点範囲を有する。
【0040】
船舶用燃料ブレンドはまた、カシューナッツ殻オイルに加えて、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019/053323号に記載されるような低硫黄燃料油バンカー成分を含んでいてもよい。
【0041】
真空残渣から低硫黄燃料油バンカー成分を製造するためのプロセスは、以下
前記真空残渣の溶媒脱灰(SDA)、および、脱灰画分の回収、
水素化分解装置で前記脱アスファルト画分を水素化分解すること、ならびに
前記水素化分解装置の残渣として低硫黄燃料油バンカー成分を回収すること
を含み得る。
【0042】
このプロセスにより、真空残渣のより効率的な使用が得られる。得られた低硫黄燃料油バンカー成分は、船舶用燃料として容易に適用され、そこで設定されている要件を満たす。それはまた、ブレンド成分として使用されてもよい。硫黄分が約3wt-%である真空残渣を使用することも可能である。
【0043】
溶媒脱アスファルト法(SDA)は、本明細書において、溶媒を用いて、物理的手段によって、より軽質の炭化水素からアスファルテンが分離される分離プロセスを意味している。溶媒脱アスファルト法は、真空残渣フィードストックのより芳香族系およびアスファルテン系の成分から、典型的により価値の高いオイルおよび樹脂を分離するために、脂肪族溶媒を使用する。このプロセスにおいて、溶媒は典型的には、フィード流と向流で接触される。
【0044】
溶剤脱灰は、典型的には、10~260℃、例えば50~180℃の温度、および、3~100気圧の圧力下で行われる。
【0045】
適切な溶媒が、真空残渣から所望の留分を抽出するために使用される。溶媒脱アスファルトにおいて、使用される溶媒は、例えばプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサンおよびそれらの任意の混合物などの低分子炭化水素からなる群より選択される。ここで好ましい溶媒は、例えばペンタンまたはヘキサン、好ましくはn-ペンタンまたはn-ヘキサンなどの重溶媒から選択される。重溶媒の使用は、良好な収率を与える。例えばプロパンなどの軽溶媒もまた使用され得、低い収率であるがより純粋な生成物を与える。
【0046】
金属を多量に含む重油は、残渣水素化分解(RHC)システムにおいて高品質のディーゼルに変換される。RHCシステムは複数の反応器を備え得、ここで、真空残渣は、触媒の存在下で脱金属、水素化分解、脱硫および脱窒素反応を経て変換される。RHCシステムは、沸騰床式反応器、スラリー反応器、およびマイルド水素化分解反応器から選択される少なくとも1つの反応器、好ましくはそれらの組み合わせから構成される。残渣水素化分解システムはまた、他のユニット操作を備えていてもよい。
【0047】
好ましい実施形態において、残渣の水素化分解は、少なくとも1つの沸騰床式反応器を備える。沸騰床式反応器は、沸騰床式または膨張した触媒床を使用して重質フィードをアップグレードする水素化分解プロセスである。フィードは底部から反応器に入り、および、反応器の出口に向かって上方に移動する。水素および触媒の存在下、フィードは蒸留生成物(真空軽油、ディーゼル、灯油およびナフサ)に変換される。一定の触媒活性が、連続的な添加および反応器からの除去によって、運転中において維持される。これはまた、固定床残渣水素化分解ユニットの場合であり得るような、反応器上における圧力降下の蓄積がないという利点を有する。したがって、沸騰床式反応は、多量の金属および固体を含む重質炭化水素フィードの連続プロセスに特に適切である。
【0048】
上述されたように、このプロセスの核心は、低硫黄燃料油バンカー成分を製造する、溶媒脱アスファルト反応および水素化分解反応の組み合わせにある。しかしながら、大気残渣の減圧蒸留から得られるストリームとして真空残渣を考える場合、原油から低硫黄燃料油バンカー成分への全体のプロセスは、以下のように考えられ得る。
【0049】
低硫黄燃料油バンカー成分を製造するためのプロセスであって、以下
原油の常圧蒸留および常圧残渣の回収、
前記大気残渣を減圧蒸留し、および減圧残渣の回収、
前記真空残渣を溶媒脱アスファルトし、および脱アスファルト留分の回収、
水素化分解装置で前記脱アスファルト画分を水素化分解すること、および
前記水素化分解ユニットの残渣として低硫黄燃料油バンカー成分を回収すること
を含む。
【0050】
上記のプロセスでは、得られた真空残渣の一部も、コフィードとして水素化分解段階に供給され得る。
【0051】
石油精製において、常圧蒸留および減圧蒸留はよく知られたプロセスである。製油所では、原油はまず常圧蒸留によって各留分に蒸留される。常圧蒸留からの残渣は、減圧軽油と減圧残渣と呼ばれる塔底留分を得るために、減圧を利用する減圧蒸留プロセスによってさらに蒸留される。
【0052】
船舶用燃料ブレンドはまた、コプロセスされた成分、すなわち化石由来の油が従来の化石燃料加工システムで再生可能由来のフィードと共にコプロセスされた成分を含んでいてもよい。
【0053】
本発明の船舶用燃料ブレンドは、例えば再生可能成分などの他の非化石成分を含むことも当然可能である。また、化石成分を全く含まないブレンドも可能である。
【0054】
一実施形態において、このようにして、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定した粘度が1~30mm2/sであり、0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む船舶用燃料ブレンドが提供され、ここで、カシューナッツ殻液は少なくとも50wt-%のカルダノールを含む。別の実施形態において、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定された粘度が31~700mm2/sであり、0.5~20vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む船舶用燃料ブレンドが提供され、ここでカシューナッツ殻液は少なくとも50wt-%のカルダノールを含む。
【0055】
別の態様において、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定された動粘度が1~700mm2/sである船舶用バンカー燃料用のアスファルテン安定剤としての、少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の使用が提供される。精製カシューナッツ殻液の特に有利な使用は、残渣船舶用燃料のためのアスファルテン安定剤としてである。
【0056】
少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の別の使用は、船舶用燃料成分としてであり、結果として得られる船舶用燃料ブレンドは、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定された動粘度が1~700mm2/sであり、および、残渣および蒸留物船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)の少なくとも1つのカテゴリーを満たす。少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液のさらなる使用は、船舶用バンカー燃料の貯蔵安定性を向上させることである。これらの使用におけるCNSLの効果は、以下の実施例の項に示されている。
【0057】
実際に、実験の部分で後述するように、船舶用燃料における本発明のCNSLの使用は、船舶用バンカー燃料中のアスファルテンを安定化させることを可能にし、燃料のより良好な安定性、および、フィルターなどの目詰まりの問題の減少を導くことが確認された。
【0058】
別の態様において、再生可能な供給源からのエネルギーの使用の促進に関する2018年12月11日の欧州議会および理事会の指令2018/2001にしたがって計算されたCO2eq/MJとして少なくとも4%の温室効果ガス排出量を削減するための船舶用燃料ブレンドの使用が提供される。実際に、GHG排出量の4%の削減が、5vol-%のCNSLを使用する場合に得られ、一方、10vol-%のCNSLを使用する場合、9%の削減が達成される。本発明の船舶用燃料ブレンドの使用は、再生可能な材料を含むため、GHG排出量を削減することを可能にする。したがって、本発明の船舶用燃料ブレンドは、上述したように、温室効果ガスの排出削減に関して、IMOの要求事項を少なくとも部分的に満たしている。
【0059】
さらに別の態様において、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定した動粘度が1~700mm2/sである船舶用燃料を製造するための方法であって、該方法は、残渣化石ベース成分を0.5~50vol-%の精製カシューナッツシェル殻オイルと混合する工程を含み、ここでカシューナッツ殻オイルは、少なくとも50wt-%のカルダノールを含み、結果として得られる船舶用燃料は、残渣および蒸留物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たす、船舶用燃料を製造するための方法が提供される。ベース成分は、化石由来成分および/または再生可能成分であり得る。ベース成分はまた、1つまたは複数の化石フィードを1つまたは複数の再生可能フィードとコプロセッシングすることによって得られたものであってもよい。さらに、リサイクルフィードがまた使用されてもよい。船舶用燃料ブレンドに関連して上述された様々な実施形態および代替物は、船舶用燃料を製造するための方法にも準用される。化石ベースの成分は、それ自体、船舶用燃料に適している任意の成分であり得、例えば、上記に列挙した成分のいずれかでもよい。混合は、船舶用燃料または複数の燃料を混合する既知の方法にしたがって、例えば船舶用燃料の製造施設または流通地点などで行なわれ得る。燃料成分の混合はまた、船上でも可能である。
【0060】
開示される本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、プロセス工程、または材料に限定されるものではなく、関連技術分野における通常の当業者によって認識されるであろうそれらの等価物に拡張されることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみに使用され、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0061】
さらに、記載された特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。本明細書では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を提供する。
【0062】
本明細書においては、「含む(to comprise)」および「含む(to include)」という動詞は、参照されていない特徴の存在を排除するものでも、要求するものでもない、開放的な限定として使用されている。従属請求項に記載された特徴は、特に明示しない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本書を通じて「1つ(a)」または「1つ(an)」、すなわち単数形の使用は、複数形を排除するものではないことを理解されたい。
【0063】
実験の部
本発明の船舶用燃料ブレンドは、様々な組成で試験され、および、得られたブレンドはその特性について試験された。試験結果を表1から表4に示す。
【0064】
燃料ブレンドに使用したRMBは、流動点(*印が付されている)を除き、ISO 8217-2017規格を満たす典型的な化石ベースのRMBであった。
【0065】
燃料ブレンドに使用された最大硫黄含有量0.5wt-%のRMG 1(またはRMG試験サンプル1)は、残渣水素化分解機の560℃+塔底油であった。他の2つのRMG(それぞれ、RMG 2およびRMG 3、または、RMG試験サンプル2およびRMG試験サンプル3)は、わずかに異なる2つのRMGグレードであった。
【0066】
DMBはISO 8217:2014に準拠した蒸留物ベースの船舶用燃料であり、非常に低い(すなわち0.1wt-%より低い)硫黄含有量を有していた。
【0067】
使用した精製CNSLは、少なくとも50wt-%のカルダノールを含んでいた。3つの異なるグレードである精製CNSL、すなわちCNSL 1、CNSL 2、CNSL 3が使用された。
【0068】
測定方法は以下の通りであった:
15℃における密度:ISO 12185:1996
RMBの流動点:ASTM D5950-14(2020)
RMGの流動点:ISO 3016:2019
50℃における動粘度:EN ISO 3104:1996
硫黄含有量:ISO 8754:2003
RMBの引火点:ISO 2719:2016、方法A
RMGの引火点:ISO 2719:2016、方法B
硫化水素:IP570:2015
灰分:ISO 6245:2002
炭素残渣:ISO 10370:2014
RMBの全酸価(TAN):ISO 6619:1988
RMGの全酸価(TAN):ASTM D664-2018
RMBおよびRMGの潜在的総沈殿物(TSP):ISO 10307-2A:2009
DMBおよびCNSLの実在総沈殿物(TSE):ISO 10307-1:2009
CNSLに関する経年沈殿物:ISO 10307-2:2009
アスファルテンのペプチド化状態(S値):ASTM D7157:2012
油性媒体の本質的安定性(So値):ASTM D7157:2012
電位差カールフィッシャー滴定法による含水率(vol-%またはwt-%):ISO 10336M:1997
【0069】
さらに、表1は、以下の式を用いて算出した炭素芳香族度指数(CCAI)を示している:
【数1】
ここで、
D=15℃における密度(kg/m3
V=動粘度(mm2/s)
t=粘度温度(℃)
である。
【0070】
ブレンド中のAl、Ca、Na、P、Si、V、Znの量(mg/kg)は、誘導結合プラズマ(ICP)を用いて測定した。
【0071】
表1において、ISO 8217:2017(E)と題された欄には、RMB船舶用燃料に関する同規格の要件が記載されているが、流動点は例外であり、最大は30.0℃として示されている(*印が付されている)。RMG船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)の要件は、RMB船舶用燃料と同じであるが、以下の例外がある:最大密度991.0kg/m3、50℃における粘度700mm2/s、最大硫黄量0.5wt-%、最大灰分量0.100wt-%および最大炭素残渣量18wt-%。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
精製CNSLはまた、さらに2種類の異なる、最大で0.5wt-%である硫黄含有船舶用燃料であるRMGグレード(RMG試験サンプル1、すなわちRMG 1およびRMG試験サンプル2、すなわちRMG 2)と混合され、そして、ISO 10307-2A:2009にしたがってTSPが測定された。3種類の異なるCNSL、CNSL 1、CNSL 2、CNSL 3(それぞれCNSL試験試料1、CNSL試験試料2、CNSL試験試料3とも称される)が使用された。表3および表4はその結果を示しており、ISO 8217:2017(E)と題された列は、RMG船舶用燃料に関する同規格の要件を示している。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
使用されたRMG試験試料RMG 1およびRMG 2だけでは、TSPに関するRMG船舶用燃料カテゴリーISO 8217の制限(0.10wt-%)を満たさなかった。RMG 1へのCNSL 1の0.5vol-%添加は、無添加の場合と同じ経時沈殿物濃度を保っていた。RMG 1、RMG 2またはRMG 3に5vol-%または10vol-%の任意のCNSLを添加した場合、TSPはCNSL 1では、それぞれ、0.12wt-%から0.05wt-%および0.04wt-%に、CNSL2では、それぞれ、0.16wt-%から0.07wt-%および0.05wt-%に、ならびに、CNSL3では、0.16wt-%から0.10wt-%に減少した。TSPの量は、絶対的な減少が5vol-%のCNSLを使用した場合に0.07~0.09wt-%に、10vol-%のCNSLを使用した場合は0.08wt-%~0.11wt-%となり、最終的に要求される制限値を十分に下回った。
【0078】
試験されたDMBのTSE量は非常に低く、これは10wt-%のCNSL 2または3を添加しても変わらなかった。
【0079】
さらなる保管試験がCNSL 2およびCNSL 3を用いて行われた。CNSL 2は蒸留、加熱、精密ろ過されたCNSLであり、一方、CNSL 3は脱ガムされたCNSLである。まず、2つのCNSLを単独で試験し、その結果を表5に示す。表からわかるように、製品は保存中に良好な挙動を示した。
【0080】
【表5】
【0081】
これら2つのCNSLは、表6~9に示すように、異なる船舶用燃料ブレンドでも試験された。
【0082】
表6は、サンプルの上部と下部との密度(ISO 12185:1996)をkg/m3で示したものであり、すなわち、DMB(単独)およびCNSL 2またはCNSL 3を10wt-%添加したDMBの室温での貯蔵試験結果である。表からわかるように、保管のあいだ、相の分離は見られなかった。
【0083】
【表6】
【0084】
表7~9は、RMG05単独(表7)およびCNSLと混合した場合の70℃での貯蔵試験結果であり、ここで、表8はCNSL 2(5wt-%または10wt-%)を使用した場合の結果、表9はCNSL 3を使用した場合の同じ結果である。船舶用燃料ブレンドは、定期的に70℃で貯蔵されるわけではないが、試験された最大6ヶ月よりも顕著に長い貯蔵期間をシミュレーションするために、これらの試験ではこのような温度が使用された。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
ISO 10307-2:2009(ろ過についてはISO 10307-1:2009を参照)にしたがって測定される場合、本方法の精度評価の対象となる最大総沈殿物量は、残渣燃料に関しては0.50wt-%(w/w)、残渣成分を含む留出物燃料に関しては0.40wt-%(w/w)である。
【0089】
結果は、いずれのCNSLも船舶用燃料の貯蔵特性に良い影響を与えることを示している。CNSL 2はCNSL 3よりも経年沈殿物が少ないため、全体的に良好な結果を示している。また、船舶用燃料中のCNSLの量が多いほど、貯蔵特性により良い影響を与えることが観察された。
【0090】
したがって、再生可能成分(CNSL)は、試験したRMG05の堆積物を向上させ(すなわち減少)、および、最も重要なことには経年沈殿物を向上させ(すなわち減少)、S値を向上させ(すなわち増加)、So値を向上させ(すなわち増加)る。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~700mm2/sであり、および、0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む船舶用燃料ブレンドであって、前記カシューナッツ殻液が少なくとも50wt-%のカルダノールを含み、前記船舶用燃料ブレンドが、残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしており、前記船舶用燃料ブレンドが、化石ベース成分および/またはコプロセスされた成分および/またはさらなる再生可能成分を含んでいる船舶用燃料ブレンド。
【請求項2】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~30mm2/sである請求項1記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項3】
0.5~30vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む請求項2記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項4】
EN ISO 3016:2019によって測定されて、5~30℃の流動点を有する請求項2または3記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項5】
ISO 8754:2003によって測定されて、最大で0.1wt-%である硫黄含有量を有する請求項2~4のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項6】
EN ISO 2719:2016によって測定されて、60℃より高い、好ましくは100~150℃であるPensky-Martens引火点を有する請求項2~5のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項7】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が31~700mm2/sであり、および、0.5~20vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む請求項1記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項8】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が90~130mm2/sである請求項7記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項9】
0.5~10vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む請求項7または8記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項10】
ISO 10307-2:2009によって測定されて、0.10wt-%未満、好ましくは0.08wt-%未満の経年沈殿物の量を有する請求項7~9のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項11】
前記カシューナッツ殻液が、少なくとも80wt-%のカルダノールを含む請求項1~10のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項12】
前記カシューナッツ殻液が、減圧蒸留、蒸留、熱処理、ろ過、脱ガム、またはそれらの組み合わせのいずれかによって精製されている請求項1~11のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項13】
前記カシューナッツ殻が、精製カシューナッツ殻を得るために、2.5~3.5mbarの圧力下、200~240℃での減圧蒸留によって精製されている請求項1~12のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項14】
前記精製カシューナッツ殻液が、粗カシューナッツ殻液を得るために非加熱下でカシューナッツ殻を圧搾すること、精製カシューナッツ殻液を得るために前記粗カシューナッツ殻液を漂白し、次いで160℃で脱水することによって得られる請求項1~12のいずれか1項に記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項15】
少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の船舶用燃料成分としての使用であって、結果として得られる船舶用燃料ブレンドが、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて1~700mm2/sである動粘度を有し、ならびに残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている使用。
【請求項16】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~700mm2/sである船舶用燃料を製造するための方法であって、残渣の化石ベース成分および/またはコプロセスされた成分および/またはさらなる再生可能成分を0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻と混合する工程を含み、ここで前記カシューナッツ殻は少なくとも50wt-%のカルダノールを含んでおり、結果として得られる船舶用燃料は残渣および留出物の船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている、船舶用燃料を製造するための方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~700mm2/sであり、および、0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む船舶用燃料ブレンドであって、前記カシューナッツ殻液が少なくとも50wt-%のカルダノールを含み、前記船舶用燃料ブレンドが、残渣船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしており、および、ISO 10307-2:2009によって測定されて、0.10wt-%未満の経年沈殿物の量を有しており、前記船舶用燃料ブレンドが、化石ベース成分および/または1つまたは複数の化石フィードを1つまたは複数の再生可能フィードとコプロセッシングすることによって得られるコプロセスされた成分および/またはさらなる再生可能成分を含んでいる船舶用燃料ブレンド。
【請求項2】
0.5~0vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む請求項記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項3】
EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が90~130mm2/sである請求項記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項4】
0.5~10vol-%の精製カシューナッツ殻液を含む請求項記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項5】
ISO 10307-2:2009によって測定されて、0.08wt-%未満の経年沈殿物の量を有する請求項記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項6】
前記カシューナッツ殻液が、少なくとも80wt-%のカルダノールを含む請求項記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項7】
前記カシューナッツ殻液が、減圧蒸留、蒸留、熱処理、ろ過、脱ガム、またはそれらの組み合わせのいずれかによって精製されている請求項記載の船舶用燃料ブレンド。
【請求項8】
少なくとも50wt-%のカルダノールを含む精製カシューナッツ殻液の船舶用燃料成分としての使用であって、結果として得られる船舶用燃料ブレンドが、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定されて1~700mm2/sである動粘度を有し、および渣船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている使用。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の、EN ISO 3104:1996にしたがって50℃で測定される動粘度が1~700mm2/sである船舶用燃料を製造するための方法であって、残渣の化石ベース成分および/または1つまたは複数の化石フィードを1つまたは複数の再生可能フィードとコプロセッシングすることによって得られるコプロセスされた成分および/またはさらなる再生可能成分を0.5~50vol-%の精製カシューナッツ殻液と混合する工程を含み、ここで前記カシューナッツ殻液は少なくとも50wt-%のカルダノールを含んでおり、結果として得られる船舶用燃料は残渣船舶用燃料に関するISO 8217:2017(E)のカテゴリーの少なくとも1つを満たしている、船舶用燃料を製造するための方法。
【国際調査報告】