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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】経口アビラテロン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/58 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240905BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 5/28 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20240905BHJP
   A61K 51/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K31/58
A61K9/107
A61K47/14
A61K9/48
A61P15/00
A61P5/28
A61P35/00
A61P35/04
A61P13/08
A61K45/00
A61K31/573
A61K41/00
A61K51/00 100
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515131
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022042701
(87)【国際公開番号】W WO2023038933
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,705
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521395746
【氏名又は名称】プロペラ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シャープ, マシュー, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ムーア, ウィリアム, アール., ジュニア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA53
4C076AA56
4C076BB01
4C076CC27
4C076CC30
4C076DD46
4C076DD46F
4C076EE23
4C076EE23F
4C076FF34
4C084AA11
4C084AA12
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC031
4C084ZC032
4C084ZC412
4C084ZC75
4C086AA01
4C086DA10
4C086DA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA11
4C086NA15
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、例えば、性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害、例えば前立腺がん、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば高コルチゾール血症を有する対象への経口投与のための、経口アビラテロンプロドラッグ製剤、関連する方法及びキットである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)デカン酸アビラテロン及び(b)脂質ベースの薬物送達システムを含む医薬組成物であって、デカン酸アビラテロンが、以下の構造:
【化1】

を有し、前記医薬組成物が、デカン酸アビラテロンの経口送達用に製剤化されている、医薬組成物。
【請求項2】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、(1)トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルと、(2)ポリグリセリルエステル及び/又はポリオキシグリセリドを含む界面活性剤とを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、トリグリセリドを含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349、又はカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド)を含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、プロピレングリコールエステルを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)及び/又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12若しくはラウログリコール(商標)90)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、ポリグリセロールエステルを含む界面活性剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む界面活性剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、ポリオキシグリセリドを含む界面活性剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)、オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)又はラウロイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル2130)を含む界面活性剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記デカン酸アビラテロンが、約1mg/g~約250mg/g、例えば約20mg/g~約150mg/gの範囲の濃度で、前記脂質ベースの薬物送達システムにおいて分散している、例えば均一に分散又は溶解している、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
カプセル剤(例えば、ソフトゲルカプセル剤)のような経口剤形の形態で製剤化されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
(1)前記医薬組成物が室温で安定して貯蔵されること、(2)デカン酸アビラテロンの回収が、前記医薬組成物をin vitro分散試験を使用して評価する場合に50%を超えること、及び(3)哺乳動物に経口投与する際、前記医薬組成物が、例えば、本明細書に記載されている前立腺がんのような本明細書に記載されている疾患又は障害を治療するために、アビラテロンの治療的に有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを前記哺乳動物に送達することが可能であること、のうちの1つ又は複数により特徴付けられている、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ラットで試験する場合、アビラテロン血漿濃度プロファイルに基づいて30%を超える経口生物学的利用能を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
約10mg/g~約150mg/gの範囲の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含む医薬組成物であって、前記脂質ベースの薬物送達システムが、(a)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~80重量%の量の脂質;及び(b)前記脂質ベースの薬物送達システムの約20~90重量%の量の1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含み、デカン酸アビラテロンが、以下の構造:
【化2】

を有する、医薬組成物。
【請求項18】
前記脂質が、前記脂質ベースの薬物送達システムの約10%~約50重量%、例えば約20~40重量%の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)を含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記脂質が、前記脂質ベースの薬物送達システムの約10%~約50重量%、例えば約20~40重量%の量のグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC)を含む、請求項17又は18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記脂質が、前記脂質ベースの薬物送達システムの約10%~約50重量%、例えば約20~40重量%の量のモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12若しくはラウログリコール(商標)90)をさらに含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、2つ以上、例えば2つ又は3つの非イオン性界面活性剤を含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記1つ又は複数の非イオン性界面活性剤が、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)及び/又はオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記1つ又は複数の非イオン性界面活性剤が、オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)及び/又はラウロイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル2130)をさらに含む、請求項17~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
約20mg/g~約120mg/gの範囲の濃度で前記脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み、前記脂質ベースの薬物送達システムが、(a)前記脂質ベースの薬物送達システムの約20~40重量%の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));並びに(d)前記脂質ベースの薬物送達システムの約20~40重量%の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
約20mg/g~約120mg/gの範囲の濃度で前記脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み、前記脂質ベースの薬物送達システムが、(a)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%の量のモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)及び/又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12又はラウログリコール(商標)90)を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
約20mg/g~約120mg/gの範囲の濃度で前記脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み、前記脂質ベースの薬物送達システムが、(a)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)前記脂質ベースの薬物送達システムの約0~40重量%の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)前記脂質ベースの薬物送達システムの約10%~40重量%の量のグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
本明細書の実施例のいずれかに記載されているビヒクルを含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項28】
カプセル剤(例えば、ソフトゲルカプセル剤)の形態のような経口投与用に製剤化されている、請求項17~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
(1)前記医薬組成物が、室温で安定して貯蔵されること、(2)デカン酸アビラテロンの回収が、前記医薬組成物をin vitro分散試験を使用して評価する場合に50%を超えること、及び(3)哺乳動物に経口投与する際、前記医薬組成物が、例えば、本明細書に記載されている前立腺がんのような本明細書に記載されている疾患又は障害を治療するために、アビラテロンの治療的に有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを前記哺乳動物に送達することが可能であること、のうちの1つ又は複数により特徴付けられている、請求項17~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
ラットで試験する場合、アビラテロン血漿濃度プロファイルに基づいて30%を超える経口生物学的利用能を有する、請求項17~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記脂質ベースの薬物送達システムが、自己分散型薬物送達システム、例えば自己乳化型薬物送達システム又は自己マイクロ乳化型薬物送達システムである、請求項1~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
哺乳動物に経口投与する際、デカン酸アビラテロンの少なくとも一部が、リンパ系を通して吸収されている、請求項1~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記デカン酸アビラテロンが、実質的に純粋であり、例えば重量で少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、例えば約98.5%、約99%、約99.5%、又はそれ以上の純度を有するとして特徴付けられる、請求項1~32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記デカン酸アビラテロンが、1重量%未満(例えば、0.5重量%未満、例えば0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満)の式:
【化3】

を有するエチルプラステロンデカノエートを有するとして特徴付けられる、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記デカン酸アビラテロンが、検出可能な量のエチルプラステロンデカノエートを有しないとして特徴付けられる、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記デカン酸アビラテロンが、50ppm未満のパラジウムの含有量を有するとして特徴付けられる、請求項33~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記デカン酸アビラテロンが、10ppm未満のパラジウムの含有量を有するとして特徴付けられる、請求項33~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
それを必要とする対象の疾患又は障害を処置又は予防する方法であって、有効量の請求項1~37のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含み、前記疾患又は障害が、性ホルモン依存性良性又は悪性障害、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及びグルココルチコイド過剰に起因する症候群から選択される、方法。
【請求項39】
前記疾患又は障害が、前立腺がん、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膀胱がん、肝細胞癌、肺がん、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、クッシング症候群、クッシング病、古典的又は非古典的な先天性副腎過形成、思春期早発症、男性型多毛症、及びその組合せから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患又は障害が、性ホルモン依存性又はアンドロゲン受容体誘発性がんである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記性ホルモン依存性又はアンドロゲン受容体誘発性がんが、アンドロゲン受容体陽性唾液管癌、又はアンドロゲン受容体陽性多形性神経膠芽細胞腫である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記疾患又は障害が、前立腺がんである、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前立腺がんを有する前記対象が、例えば根治的前立腺摘除に続く前立腺特異抗原の量の上昇を有するとして特徴付けられる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記前立腺がんが、限局性前立腺がん、例えばハイリスクな限局性前立腺がんである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記前立腺がんが、転移性去勢感受性前立腺がん、非転移性去勢感受性前立腺がん、非転移性去勢抵抗性前立腺がん、又は転移性去勢抵抗性前立腺がんである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記前立腺がんが、新たに診断されたハイリスクな転移性ホルモン感受性前立腺がんである、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記前立腺がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)であり、前記対象が、アンドロゲン剥奪療法の失敗の後で無症候性又は軽度な症候性であり、前記対象において化学療法が未だに臨床的に適応でない、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記前立腺がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)であり、前記対象の疾患が、タキサンに基づく、例えばドセタキセルに基づく化学療法レジメンにおいて、又はその後に進行している、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記前立腺がんが、難治性前立腺がんである、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
放射線療法又は外科手術で前記対象を処置するステップをさらに含む、請求項38~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
抗がん剤、ホルモンアブレーション剤、抗アンドロゲン剤、分化剤、抗新生物剤、キナーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗生剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤、挿入剤、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾物質、分裂阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、遺伝学的治療薬、又はその組合せから選択される1つ又は複数の他の薬剤を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾンから選択される1つ又は複数の薬剤を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
化学療法薬、ホルモン補充薬、又はホルモンアブレーション薬から選択される1つ又は複数の他の薬剤を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
アンドロゲン剥奪療法で前記対象を処置するステップをさらに含む、請求項38~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記対象が、非去勢対象である、請求項38~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、前記対象において血清テストステロンレベルを低下させるのに効果的な量でゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト及び/又はアンタゴニストで処置されない、請求項38~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、ブセレリン、リュープロリド、デスロレリン、フェルチレリン、ヒストレリン、ゴナドレリン、レシレリン、ゴセレリン、ナファレリン、ペフォレリン及びトリプトレリンから選択される薬物で処置されない、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、エラゴリクス、リンザゴリクス、及びレルゴリクスから選択される薬物で処置されない、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト及び/若しくはアゴニストに対して感受性があるか、又はその他の形で不耐性である、請求項55~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、グルココルチコイド補充療法で処置されない、請求項55~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、例えばニラパリブ、ルカパリブ、オラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、及びフルゾパリブを前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
第1世代アンドロゲン受容体アンタゴニスト、例えばプロキサルトアミド、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、トピルタミドを前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
第2世代アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、アパルタミド、ダロルタミド又はエンザルタミド)を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
第3世代アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えばN末端ドメイン阻害剤)又はアンドロゲン受容体分解剤分子を、単独で又は1つ若しくは複数の第1世代若しくは第2世代アンドロゲン受容体アンタゴニストと組み合わせて、前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
化学療法剤、例えばタキサンに基づく化学療法剤(例えば、ドセタキセル、カバジタキセル、パクリタキセルなど)又は白金に基づく化学療法剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンなど)を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
免疫療法を前記対象に投与するステップ、例えばシプリューセル-T、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体、例えばペムブロリズマブ若しくはニボルマブ、若しくは抗PD-L1抗体、例えばアベルマブ若しくはアテゾリズマブ)、又は抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ)などを投与するステップをさらに含む、請求項38~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)療法、例えばブリナツモマブ又はソリトマブを前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
キナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ、ダサチニブ、カボザンチニブ、エルダフィチニブ、ドビチニブ、カピバセルチブ、オンバンセルチブ、イパタセルチブ、アフレセルチブ、アリセルチブ、アピトリシブ、オパガニブなどを前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
骨保護剤(例えば、デノスマブ、ゾレドロン酸)を前記対象に投与するステップをさらに含み、前記対象が骨転移を伴う前立腺がん(例えば、CRPC)を有するとして特徴付けられる、請求項38~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
1)抗IL23標的化モノクローナル抗体、例えば、チルドラキズマブ;2)セレニウム、例えば亜セレン酸ナトリウム;3)EZH2阻害剤、例えば、CPI-1205、GSK2816126、又はタゼメトスタット;4)CDK4/6阻害剤、例えば、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ;6)ブロモドメイン及びエクストラ末端ドメイン(BET)阻害剤、例えば、CCS1477、INCB057643、アロブレシブ、ZEN-3694、又はモリブレシブ(GSK525762);7)抗CD105抗体、例えば、TRC105又はカロツキシマブ;8)ニクロサミド;9)A2A受容体アンタゴニスト、例えば、AZD4635;10)PI3K阻害剤、例えば、AZD-8186、ブパルリシブ、又はダクトリシブ;11)さらなる非ステロイド性CYP17A1阻害剤、例えばセビテロネル;12)抗プロゲストゲン、例えば、オナプリストン;13)ナビトクラクス;14)HSP90阻害剤、例えば、オナレスピブ(AT13387);15)HSP27阻害剤、例えば、OGX-427;16)5-アルファ-レダクターゼ阻害剤、例えば、デュタステリド;17)メトホルミン;18)AMG-386;19)デキストロメトルファン;20)テオフィリン;21)ヒドロキシクロロキン;並びに22)レナリドミドから選択される治療剤を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
FLT-3(FMS様チロシンキナーゼ)阻害剤、AXL(アネクセレクト)阻害剤(例えば、ギルテリチニブ)、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤、例えばCDK1、2、4、5、6、7、又は9阻害剤、網膜芽細胞腫(Rb)阻害剤、タンパク質キナーゼB(AKT)阻害剤、SRC阻害剤、IカッパBキナーゼ1(IKK1)阻害剤、PIM-1調節因子、レムールチロシンキナーゼ2(LMTK2)調節因子、Lyn阻害剤、オーロラA阻害剤、ANPK(核タンパク質キナーゼ)阻害剤、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)調節因子、c-jun N末端キナーゼ(JNK)調節因子、ビッグMAPキナーゼ(BMK)調節因子、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)調節因子、及びその組合せから選択される1つ又は複数のキナーゼ調節因子を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項38~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記対象が、前記医薬組成物を投与する前に、化学療法を未実施であるか、又はホルモン療法を未実施である、請求項38~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記対象が、前立腺摘除を受けていない、請求項38~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記対象が、放射線療法、例えば、体幹部定位放射線療法、中性子照射で処置される、請求項38~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記対象が、ラジウム223を投与される、請求項38~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記疾患又は障害が、乳がん、例えば、分子アポクリンHER2陰性乳がん、転移性乳がん、例えばER+転移性乳がん、ER+及びHER2陰性乳がん、AR+トリプルネガティブ乳がんなどである、請求項38に記載の方法。
【請求項77】
アロマターゼ阻害剤、例えば、エクセメスタンを前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記疾患又は障害が、21-ヒドロキシラーゼ欠損症に関連している、請求項38に記載の方法。
【請求項79】
前記医薬組成物が、経口投与される、請求項38~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記医薬組成物が、1日1回から週に1回の範囲、例えば1日1回又は2日若しくは3日に1回、前記対象に投与される、請求項38~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記医薬組成物が、食事を伴って、又は食事を伴わずに、前記対象に投与される、請求項38~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
(a)デカン酸アビラテロン;(b)脂質;及び(c)非イオン性界面活性剤を含む、エマルジョンであって、前記エマルジョンの脂質相が、前記脂質に分散させたデカン酸アビラテロンを含み、デカン酸アビラテロンが、以下の構造:
【化4】

を有する、エマルジョン。
【請求項83】
前記脂質が、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)を含む、請求項82に記載のエマルジョン。
【請求項84】
前記脂質が、グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC)を含む、請求項82又は83に記載のエマルジョン。
【請求項85】
前記脂質が、モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12若しくはラウログリコール(商標)90)をさらに含む、請求項82~84のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項86】
2つ以上、例えば2つ又は3つの非イオン性界面活性剤を含む、請求項82~85のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項87】
前記非イオン性界面活性剤が、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)及び/又はオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む、請求項82~86のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項88】
前記界面活性剤が、オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)及び/又はラウロイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル2130)をさらに含む、請求項87に記載のエマルジョン。
【請求項89】
請求項1~37のいずれか一項に記載の医薬組成物を水と混合することにより製造された、エマルジョン。
【請求項90】
請求項1~37のいずれか一項に記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することにより製造された、エマルジョン。
【請求項91】
それを必要とする対象の疾患又は障害を処置又は予防する方法であって、有効量の請求項82~90のいずれか一項に記載のエマルジョンを前記対象に投与するステップを含み、前記疾患又は障害が、性ホルモン依存性良性又は悪性障害、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及びグルココルチコイド過剰に起因する症候群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本開示は、アビラテロンプロドラッグの新規な経口製剤に一般的に関する。本開示は、様々ながん(例えば前立腺がん、膀胱がん、肝細胞癌、肺がん、乳がん、子宮内膜がん、及び卵巣がんなど)を含むアンドロゲン若しくはエストロゲンホルモン依存性良性若しくは悪性障害、又はアンドロゲン受容体誘発性がんに罹患している患者への投与のため、並びにアンドロゲンの過剰産生に起因する(古典的及び非古典的の両方の先天性副腎過形成、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、思春期早発症、男性型多毛症などを含む)、又はクッシング症候群若しくはクッシング病のような状態でのグルココルチコイド、典型的にはコルチゾールの過剰産生に起因する非腫瘍性症候群の処置のためのような広範囲な適用を対象とする。
【背景】
【0002】
[002]アビラテロン((3β)-17-(ピリジン-3-イル)アンドロスタ-5,16-ジエン-3-オール;CAS番号:154229-19-3;式:C2431NO;分子量:349.5g/mol)は、CYP17A1の阻害剤(コレステロール、ステロイド及び他の脂質の合成を触媒する酵素のシトクロムP450スーパーファミリーのメンバーであり、薬物代謝に関与する)である。CYP17A1は、17α-ヒドロキシラーゼ活性及び17,20-リアーゼ活性の両方を有する。アビラテロンは、CYP17A1の17α-ヒドロキシラーゼ及び17,20-リアーゼ酵素活性の両方を強力に、選択的に阻害する。CYP17A1の17α-ヒドロキシラーゼ活性は、コルチゾールのようなグルココルチコイドの産生に必要である。しかし、CYP17A1のヒドロキシラーゼ及び17,20-リアーゼ活性の両方とも、17α-ヒドロキシプレグネノロンの性ステロイド前駆体、デヒドロエピアンドロステロンへの変換を通したアンドロゲン性(例えば、アンドロステンジオン、テストステロン、及びジヒドロテストステロン)並びにエストロゲン性(エストロン、エストラジオール、エストラトリオール)ステロイドの産生に必要であり、図1を参照されたい。ゆえに、アビラテロンは、生殖腺(主に精巣及び卵巣)で、並びに生殖腺外(例えば、副腎及び腫瘍それ自体)でアンドロゲン及びエストロゲンの合成に干渉する。
【0003】
[003]アビラテロンそれ自体は吸収性が低いが、酢酸アビラテロンプロドラッグとして経口投与することができる。酢酸アビラテロンもまた吸収性が低いが、酢酸エステルプロドラッグの切断に続く血流への吸収性が低いアビラテロンに消化管で変換され得る。酢酸アビラテロン((3β)-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5、酢酸エステル;CAS番号154229-18-2)は、商品名ザイティガ(Zytiga)(登録商標)で去勢抵抗性又は去勢感受性前立腺がんの処置に対して米国で承認されている。酢酸アビラテロンもまた、現在では世界的に利用可能である。
【0004】
[004]経口投与された酢酸アビラテロンプロドラッグが消化管で著しく吸収されないこと(及び、小さいプロドラッグが血漿で検出され得ること)が知られている。代わりに、酢酸アビラテロンが、アビラテロン過飽和の生成をもたらす膣内環境でアビラテロンに加水分解され、アビラテロン吸収に対する強力な駆動力の創出に関与することを示している(Stappaertsら、Eur.J.Pharmaceutics Biopharmaceutics 90:1、2015年)。
【0005】
[005]アビラテロンが副腎によるステロイドの正常な生理的な産生を遮断するので、アビラテロンのプロドラッグ製剤は、副腎機能不全を防ぐために低用量のステロイドの投与と共に通常は処方される。実際に、ザイティガ(登録商標)(250mg錠剤)は、転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者及び転移性去勢感受性前立腺がん(CSPC)患者の処置に対してプレドニゾンと組み合わせる場合のみ米国で承認されている。ザイティガ(登録商標)で提供される処方情報では、CRPC患者に対して1日2回又はCSPC患者に対して1日1回経口投与されるプレドニゾン(5mg)と組み合わせて、1日1回1,000mg(4×250mg錠剤)の経口投与が奨励される。欧州では、ザイティガ(登録商標)の使用は、プレドニゾン又はプレドニゾロンのいずれかと組み合わせる場合のみ承認されている。
【0006】
[006]食事を伴う酢酸アビラテロンの投与が酢酸アビラテロンの吸収を増大する(したがって、増大した可変性が高い曝露をもたらす可能性があり、心血管の副作用及び/又は肝細胞毒性などを含む様々な副作用を潜在的に引き起こし得る)ので、プロドラッグは、食事の少なくとも1時間前又は2時間後の空の胃で消費されなければならない。実際に、ザイティガ(登録商標)に対する処方情報では、空の胃で摂取しなければならず、経口投薬の少なくとも2時間前及び経口投薬の少なくとも1時間後に食事しなければならないと記載されている。
【0007】
[007]処方情報では、転移性CRPCの患者におけるザイティガ(登録商標)の1,000mgの1日経口用量に対して、アビラテロンの定常状態Cmax値が226±178ng/mL(平均値±SD)であり、その曲線下面積(AUC)値が1173±690ng.hr/mL(平均値±SD)であったと説明されている。健康な対象におけるザイティガ(登録商標)の単回用量(1,000mg)交差試験では、アビラテロンの全身曝露が、ザイティガ(登録商標)を食事と共に投与した場合に増大したことを見出された。特に、アビラテロンのCmax及びAUC値は、ザイティガ(登録商標)が低脂肪食(7%脂肪、300カロリー)と共に投与された場合、それぞれおよそ7倍及び5倍高く、ザイティガ(登録商標)が高脂肪食(57%脂肪、825カロリー)と共に投与された場合、それぞれおよそ17倍及び10倍高かった。
【0008】
[008]プロドラッグ酢酸アビラテロンの現在承認されている固体経口剤形は、いくつかの短所を有する。例えば、患者に対して大きな一日丸剤負荷量(1日1回4×250mg錠剤)を必要とする非常に低い生物学的利用能を有する。加えて、低い生物学的利用能と大きい食事効果との組合せにより患者で可変性が高い血液レベルを引き起こす。さらに、アビラテロンが迅速に排除されるので、この承認された投薬レジメンは、アビラテロンの1日Cminをもたらし、転移性CRPC患者における治療効果の喪失に関連すると考えられている。
【0009】
[概要]
[009]本開示は、例えば、性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害、アンドロゲン受容体誘発性がん、並びに/又はアンドロゲン及び/若しくはグルココルチコイド過剰に起因する症候群を有する対象の処置における、新規な経口アビラテロンプロドラッグ製剤、及び経口アビラテロンプロドラッグ製剤の使用方法に一般的に関する。
【0010】
[010]2020年10月6日にPropella Therapeutics,Inc.が発行した米国特許第10,792,292B2号、並びに2020年9月2日に出願した米国仮特許出願第63/073,502号及び2021年2月15日に出願した同63/149,550号は、例えば、酢酸アビラテロンの経口投与で観察される1日Cminレベルより高い継続的な血漿曝露、例えば、アビラテロンプロドラッグ製剤の投与に続く少なくとも1週間、典型的に少なくとも2週間、最大で10週間以上、生物学的利用能の増大、食事効果の排除、丸剤負荷量の低減、投薬頻度の低下、及びアビラテロンの持続的で効果的な血漿レベルをもたらす現在市販されているザイティガ(登録商標)錠剤にわたるブレイクスルーとして、有用なアビラテロンプロドラッグ、特にデカン酸アビラテロンを記載する。新規なアビラテロンプロドラッグ及びその製剤が、性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群を有する対象を処置するための、週に1回、月に1回、2か月に1回、3か月に1回、又はそれより低い頻度での投薬に好適であることが実証された。
【0011】
[011]本開示は、適切な脂質ベースの薬物送達システムで、デカン酸アビラテロンが、血漿アビラテロン濃度に基づく良好から優秀の経口生物学的利用能を伴って経口的に生物学的利用可能であり得、血清アンドロゲンレベルの低下のような血清ステロイドレベルの調節するためのアビラテロンの効果的な血漿濃度を達成することができることに部分的に基づいている。生物学的利用能の向上を伴って、本明細書の経口デカン酸アビラテロン製剤は、1日1回から週に1回の範囲、例えば1日1回又は2日若しくは3日に1回の投薬頻度に適している。本明細書に示す通り、本明細書の医薬組成物の単回経口投与は、24時間以上の期間、CYP17A1の持続的な阻害を達成することができる。ゆえに、本開示は、本明細書に記載される様々な疾患又は障害、例えば本明細書に記載される前立腺がんを処置するためにアビラテロンプロドラッグ、例えばアビラテロン親油性エステル、特にデカン酸アビラテロンを投与するための代替的な方法を提供するが、これも、現在市販されているザイティガ(登録商標)錠剤と比較して有利であり得る。
【0012】
[012]一部の実施形態では、本開示は、以下の例示的な実施形態を提供する。
【0013】
[1](a)デカン酸アビラテロン;及び(b)脂質ベースの薬物送達システムを含む医薬組成物であって、デカン酸アビラテロンが、以下の構造:
【化1】

を有し、医薬組成物が、デカン酸アビラテロンの経口送達用に製剤化されている、医薬組成物。
【0014】
[2]脂質ベースの薬物送達システムが、(1)トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステル;並びに(2)ポリグリセリルエステル及び/又はポリオキシグリセリドを含む界面活性剤を含む、[1]に記載の医薬組成物。
【0015】
[3]脂質ベースの薬物送達システムが、トリグリセリドを含む、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
【0016】
[4]脂質ベースの薬物送達システムが、中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(Labrafac)(商標)リポファイルWL1349、又はカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド)を含む、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
【0017】
[5]脂質ベースの薬物送達システムが、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを含む、[1]~[4]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0018】
[6]脂質ベースの薬物送達システムが、グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(Maisine)(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含む、[1]~[4]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0019】
[7]脂質ベースの薬物送達システムが、プロピレングリコールエステルを含む、[1]~[6]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0020】
[8]脂質ベースの薬物送達システムが、モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)及び/又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12若しくはラウログリコール(Lauroglycol)(商標)90)を含む、[1]~[6]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0021】
[9]脂質ベースの薬物送達システムが、ポリグリセロールエステルを含む界面活性剤を含む、[1]~[8]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0022】
[10]脂質ベースの薬物送達システムが、オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む界面活性剤を含む、[1]~[8]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0023】
[11]脂質ベースの薬物送達システムが、ポリオキシグリセリドを含む界面活性剤を含む、[1]~[10]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0024】
[12]脂質ベースの薬物送達システムが、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)、オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(Labrafil)(登録商標)M1944CS)又はラウロイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル2130)を含む界面活性剤を含む、[1]~[10]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0025】
[13]デカン酸アビラテロンが、約1mg/g~約250mg/g、例えば、約20mg/g~約150mg/gの範囲の濃度で、脂質ベースの薬物送達システムにおいて分散している、例えば均一に分散又は溶解している、[1]~[12]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0026】
[14]カプセル剤(例えば、ソフトゲルカプセル剤)のような経口剤形の形態で製剤化されている、[1]~[13]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0027】
[15]以下:(1)医薬組成物が、室温で安定して貯蔵されること;(2)デカン酸アビラテロンの回収が、医薬組成物をin vitro分散試験を使用して評価する場合に50%を超えること;及び(3)哺乳動物に経口投与する際、医薬組成物が、例えば、本明細書に記載されている前立腺がんのような本明細書に記載されている疾患又は障害を治療するために、アビラテロンの治療的に有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを哺乳動物に送達することが可能であることのうちの1つ又は複数により特徴付けられている、[1]~[14]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0028】
[16]ラットで試験する場合、アビラテロン血漿濃度プロファイルに基づいて30%を超える経口生物学的利用能を有する、[1]~[14]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0029】
[17]約10mg/g~約150mg/gの範囲の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含む医薬組成物であって、脂質ベースの薬物送達システムが、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~80重量%の量の脂質;及び(b)脂質ベースの薬物送達システムの約20~90重量%の量の1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含み、デカン酸アビラテロンが、以下の構造:
【化2】

を有する、医薬組成物。
【0030】
[18]脂質が、例えば、脂質ベースの薬物送達システムの約10%~約50重量%、例えば約20~40重量%の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)を含む、[17]に記載の医薬組成物。
【0031】
[19]脂質が、例えば、脂質ベースの薬物送達システムの約10%~約50重量%、例えば約20~40重量%の量のグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC)を含む、[17]又は[18]に記載の医薬組成物。
【0032】
[20]脂質が、脂質ベースの薬物送達システムの約10%~約50重量%、例えば約20~40重量%の量のモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12、若しくはラウログリコール(商標)90)をさらに含む、[17]~[19]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0033】
[21]脂質ベースの薬物送達システムが、2つ以上、例えば2つ又は3つの非イオン性界面活性剤を含む、[17]~[20]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0034】
[22]1つ又は複数の非イオン性界面活性剤が、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)及び/又はオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む、[17]~[21]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0035】
[23]1つ又は複数の非イオン性界面活性剤が、オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)及び/又はラウロイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル2130)をさらに含む、[17]~[22]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0036】
[24]約20mg/g~約120mg/gの範囲の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み、脂質ベースの薬物送達システムが、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約20~40重量%の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));並びに(d)脂質ベースの薬物送達システムの約20~40重量%の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)を含む、[17]~[23]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0037】
[25]約20mg/g~約120mg/gの範囲の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み、脂質ベースの薬物送達システムが、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%の量のモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)及び/又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12、又はラウログリコール(商標)90)を含む、[17]~[23]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0038】
[26]約20mg/g~約120mg/gの範囲の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み、脂質ベースの薬物送達システムが、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)脂質ベースの薬物送達システムの約0~40重量%の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)脂質ベースの薬物送達システムの約10%~40重量%の量のグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含む、[17]~[23]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0039】
[27]本明細書の実施例のいずれかに記載されているビヒクルを含む、[17]に記載の医薬組成物。
【0040】
[28]カプセル剤(例えば、ソフトゲルカプセル剤)の形態のような経口投与用に製剤化されている、[17]~[27]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0041】
[29]以下:(1)医薬組成物が、室温で安定して貯蔵されること;(2)デカン酸アビラテロンの回収が、医薬組成物をin vitro分散試験を使用して評価する場合に50%を超えること;及び(3)哺乳動物に経口投与する際、医薬組成物が、例えば、本明細書に記載されている前立腺がんのような本明細書に記載されている疾患又は障害を治療するために、アビラテロンの治療的に有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを哺乳動物に送達することが可能であることのうちの1つ又は複数により特徴付けられている、[17]~[28]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0042】
[30]ラットで試験する場合、アビラテロン血漿濃度プロファイルに基づいて30%を超える経口生物学的利用能を有する、[17]~[29]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0043】
[31]脂質ベースの薬物送達システムが、自己分散型薬物送達システム、例えば自己乳化型薬物送達システム又は自己マイクロ乳化型薬物送達システムである、[1]~[30]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0044】
[32]哺乳動物に経口投与する際、デカン酸アビラテロンの少なくとも一部が、リンパ系を通して吸収されている、[1]~[31]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0045】
[33]デカン酸アビラテロンが、実質的に純粋であり、重量で少なくとも95%、好ましくは、少なくとも98%、例えば約98.5%、約99%、約99.5%、又はそれ以上の純度を有するとして特徴付けられる、[1]~[32]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0046】
[34]デカン酸アビラテロンが、1重量%未満(例えば、0.5重量%未満、例えば0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満)の式:
【化3】

を有するエチルプラステロンデカノエートを有するとして特徴付けられる、[33]に記載の医薬組成物。
【0047】
[35]デカン酸アビラテロンが、検出可能な量のエチルプラステロンデカノエートを有しないとして特徴付けられる、[33]に記載の医薬組成物。
【0048】
[36]デカン酸アビラテロンが、50ppm未満のパラジウムの含有量を有するとして特徴付けられる、[33]~[35]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0049】
[37]デカン酸アビラテロンが、10ppm未満のパラジウムの含有量を有するとして特徴付けられる、[33]~[35]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物。
【0050】
[38]それを必要とする対象の疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、有効量の[1]~[37]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含み、疾患又は障害が、性ホルモン依存性良性又は悪性障害、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及びグルココルチコイド過剰に起因する症候群から選択される、方法。
【0051】
[39]疾患又は障害が、前立腺がん、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膀胱がん、肝細胞癌、肺がん、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、クッシング症候群、クッシング病、古典的又は非古典的な先天性副腎過形成、思春期早発症、男性型多毛症、及びその組合せから選択される、[38]に記載の方法。
【0052】
[40]疾患又は障害が、性ホルモン依存性又はアンドロゲン受容体誘発性がんである、[38]に記載の方法。
【0053】
[41]性ホルモン依存性又はアンドロゲン受容体誘発性がんが、アンドロゲン受容体陽性唾液管癌、又はアンドロゲン受容体陽性多形性神経膠芽細胞腫である、[40]に記載の方法。
【0054】
[42]疾患又は障害が、前立腺がんである、[38]に記載の方法。
【0055】
[43]前立腺がんを有する対象が、例えば根治的前立腺摘除に続く前立腺特異抗原の量の上昇を有するとして特徴付けられる、[42]に記載の方法。
【0056】
[44]前立腺がんが、限局性前立腺がん、例えばハイリスクな限局性前立腺がんである、[42]に記載の方法。
【0057】
[45]前立腺がんが、転移性去勢感受性前立腺がん、非転移性去勢感受性前立腺がん、非転移性去勢抵抗性前立腺がん、又は転移性去勢抵抗性前立腺がんである、[42]に記載の方法。
【0058】
[46]前立腺がんが、新たに診断されたハイリスクな転移性ホルモン感受性前立腺がんである、[42]に記載の方法。
【0059】
[47]前立腺がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)であり、対象が、アンドロゲン剥奪療法の失敗の後で無症候性又は軽度な症候性であり、対象において化学療法が未だに臨床的に適応でない、[42]に記載の方法。
【0060】
[48]前立腺がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)であり、対象の疾患が、タキサンに基づく、例えばドセタキセルに基づく化学療法レジメンにおいて、又はその後に進行している、[42]に記載の方法。
【0061】
[49]前立腺がんが、難治性前立腺がんである、[42]に記載の方法。
【0062】
[50]放射線療法又は外科手術で対象を処置するステップをさらに含む、[38]~[49]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0063】
[51]抗がん剤、ホルモンアブレーション剤、抗アンドロゲン剤、分化剤、抗新生物剤、キナーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗生剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤、挿入剤、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾物質、分裂阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、遺伝学的治療薬、又はその組合せから選択される1つ又は複数の他の薬剤を対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[50]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0064】
[52]ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾンから選択される1つ又は複数の薬剤を対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[51]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0065】
[53]化学療法薬、ホルモン補充薬、又はホルモンアブレーション薬から選択される1つ又は複数の他の薬剤を対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[52]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0066】
[54]アンドロゲン剥奪療法で対象を処置するステップをさらに含む、[38]~[53]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0067】
[55]対象が、非去勢対象である、[38]~[53]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0068】
[56]対象が、対象において血清テストステロンレベルを低下させるのに効果的な量でゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト及び/又はアンタゴニストで処置されない、[38]~[53]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0069】
[57]対象が、ブセレリン、リュープロリド、デスロレリン、フェルチレリン、ヒストレリン、ゴナドレリン、レシレリン、ゴセレリン、ナファレリン、ペフォレリン及びトリプトレリンから選択される薬物で処置されない、[56]に記載の方法。
【0070】
[58]対象が、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、エラゴリクス、リンザゴリクス、及びレルゴリクスから選択される薬物で処置されない、[56]に記載の方法。
【0071】
[59]対象が、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト及び/若しくはアゴニストに対して感受性があるか、又はその他の形でアンタゴニスト及び/若しくはアゴニストに不耐性である、[55]~[58]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0072】
[60]対象が、グルココルチコイド補充療法で処置されない、[55]~[59]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0073】
[61]ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、例えば、ニラパリブ、ルカパリブ、オラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、及びフルゾパリブを対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[60]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0074】
[62]第1世代アンドロゲン受容体アンタゴニスト、例えば、プロキサルトアミド、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、トピルタミドを対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[61]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0075】
[63]第2世代アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、アパルタミド、ダロルタミド又はエンザルタミド)を対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[62]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0076】
[64]第3世代アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えばN末端ドメイン阻害剤)又はアンドロゲン受容体分解剤分子を、単独で又は1つ若しくは複数の第1世代若しくは第2世代アンドロゲン受容体アンタゴニストと組み合わせて、対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[63]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0077】
[65]化学療法剤、例えばタキサンに基づく化学療法剤(例えば、ドセタキセル、カバジタキセル、パクリタキセルなど)又は白金に基づく化学療法剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンなど)を対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[64]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0078】
[66]免疫療法を対象に投与するステップ、例えばシプリューセル-T、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体、例えばペムブロリズマブ若しくはニボルマブ、若しくは抗PD-L1抗体、例えばアベルマブ若しくはアテゾリズマブ)、又は抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ)などを投与するステップをさらに含む、[38]~[65]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0079】
[67]二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)療法、例えばブリナツモマブ又はソリトマブを対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[66]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0080】
[68]キナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ、ダサチニブ、カボザンチニブ、エルダフィチニブ、ドビチニブ、カピバセルチブ、オンバンセルチブ、イパタセルチブ、アフレセルチブ、アリセルチブ、アピトリシブ、オパガニブなどを対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[67]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0081】
[69]骨保護剤(例えば、デノスマブ、ゾレドロン酸を対象に投与するステップをさらに含み、対象が、骨転移を伴う前立腺がん(例えば、CRPC)を有するとして特徴付けられる、[38]~[68]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0082】
[70]1)抗IL23標的化モノクローナル抗体、例えば、チルドラキズマブ;2)セレニウム、例えば亜セレン酸ナトリウム;3)EZH2阻害剤、例えば、CPI-1205、GSK2816126、又はタゼメトスタット;4)CDK4/6阻害剤、例えば、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ;6)ブロモドメイン及びエクストラ末端ドメイン(BET)阻害剤、例えば、CCS1477、INCB057643、アロブレシブ、ZEN-3694、又はモリブレシブ(GSK525762);7)抗CD105抗体、例えば、TRC105又はカロツキシマブ;8)ニクロサミド;9)A2A受容体アンタゴニスト、例えば、AZD4635;10)PI3K阻害剤、例えば、AZD-8186、ブパルリシブ、又はダクトリシブ;11)さらなる非ステロイド性CYP17A1阻害剤、例えばセビテロネル;12)抗プロゲストゲン、例えば、オナプリストン;13)ナビトクラクス;14)HSP90阻害剤、例えば、オナレスピブ(AT13387);15)HSP27阻害剤、例えば、OGX-427;16)5-アルファ-レダクターゼ阻害剤、例えば、デュタステリド;17)メトホルミン;18)AMG-386;19)デキストロメトルファン;20)テオフィリン;21)ヒドロキシクロロキン;並びに22)レナリドミドから選択される治療剤を対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[69]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0083】
[71]FLT-3(FMS様チロシンキナーゼ)阻害剤、AXL(アネクセレクト(anexelekto))阻害剤(例えば、ギルテリチニブ)、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤、例えばCDK1、2、4、5、6、7、又は9阻害剤、網膜芽細胞腫(Rb)阻害剤、タンパク質キナーゼB(AKT)阻害剤、SRC阻害剤、IカッパBキナーゼ1(IKK1)阻害剤、PIM-1調節因子、レムールチロシンキナーゼ2(LMTK2)調節因子、Lyn阻害剤、オーロラA阻害剤、ANPK(核タンパク質キナーゼ)阻害剤、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)調節因子、c-jun N末端キナーゼ(JNK)調節因子、ビッグMAPキナーゼ(BMK)調節因子、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)調節因子、及びその組合せから選択される1つ又は複数のキナーゼ調節因子を対象に投与するステップをさらに含む、[38]~[70]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0084】
[72]対象が、医薬組成物を投与する前に、化学療法を未実施であるか、又はホルモン療法を未実施である、[38]~[71]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0085】
[73]対象が、前立腺摘除を受けていない、[38]~[72]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0086】
[74]対象が、放射線療法、例えば、体幹部定位放射線療法、中性子照射で処置される、[38]~[73]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0087】
[75]対象が、ラジウム223を投与される、[38]~[74]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0088】
[76]疾患又は障害が、乳がん、例えば、分子アポクリンHER2陰性乳がん、転移性乳がん、例えばER+転移性乳がん、ER+及びHER2陰性乳がん、AR+トリプルネガティブ乳がんなどである、[38]に記載の方法。
【0089】
[77]アロマターゼ阻害剤、例えばエクセメスタンを対象に投与するステップをさらに含む、[76]に記載の方法。
【0090】
[78]疾患又は障害が、21-ヒドロキシラーゼ欠損症に関連している、[38]に記載の方法。
【0091】
[79]医薬組成物が、経口投与される、[38]~[78]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0092】
[80]医薬組成物が、1日1回から週に1回の範囲、例えば1日1回又は2日若しくは3日に1回、対象に投与される、[38]~[79]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0093】
[81]医薬組成物が、食事を伴って、又は食事を伴わずに、対象に投与される、[38]~[80]のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0094】
[82](a)デカン酸アビラテロン;(b)脂質;及び(c)非イオン性界面活性剤を含む、エマルジョンであって、エマルジョンの脂質相が、脂質に分散させたデカン酸アビラテロンを含み、デカン酸アビラテロンが、以下の構造:
【化4】

を有する、エマルジョン。
【0095】
[83]脂質が、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)を含む、[82]に記載のエマルジョン。
【0096】
[84]脂質が、グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC)を含む、[82]又は[83]に記載のエマルジョン。
【0097】
[85]脂質が、モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12若しくはラウログリコール(商標)90)をさらに含む、[82]~[84]のいずれか一実施形態に記載のエマルジョン。
【0098】
[86]2つ以上、例えば2つ又は3つの非イオン性界面活性剤を含む、[82]~[85]のいずれか一実施形態に記載のエマルジョン。
【0099】
[87]非イオン性界面活性剤が、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)及び/又はオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む、[82]~[86]のいずれか一実施形態に記載のエマルジョン。
【0100】
[88]界面活性剤が、オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)及び/又はラウロイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル2130)をさらに含む、[87]に記載のエマルジョン。
【0101】
[89][1]~[37]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物を水と混合することにより製造された、エマルジョン。
【0102】
[90][1]~[37]のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することにより製造された、エマルジョン。
【0103】
[91]それを必要とする対象の疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、有効量の[82]~[90]のいずれか一実施形態に記載のエマルジョンを対象に投与するステップを含み、疾患又は障害が、性ホルモン依存性良性又は悪性障害、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及びグルココルチコイド過剰に起因する症候群から選択される、方法。
【0104】
[013]本開示の実施形態は、前立腺がんのような性ホルモン依存性又はアンドロゲン受容体誘発性がんの処置を含む性ホルモン依存性障害及び腫瘍学の分野における長期間の切実な必要性を満たすことができる。本開示の実施形態はまた、アンドロゲン過剰に起因する症候群及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば高コルチゾール血症の処置の分野における長期間の切実な必要性も満たすことができる。本開示の実施形態は、新規な経口アビラテロンプロドラッグ製剤、経口アビラテロンプロドラッグ製剤の製造方法、経口アビラテロンプロドラッグ製剤を使用する処置の方法、及び前立腺がんを含む様々な障害に対する療法を必要とする対象への製剤の簡便な投与のためのキットを提供することにより、酢酸アビラテロンの先行技術の製剤(市販されている経口剤形を含む)の主要な短所及び欠点を克服することができる。
【0105】
[014]ゆえに、以下の本発明の詳細な説明をより良好に理解し、当技術分野への本貢献がより良好に評価することができるように、特徴をむしろ広範に概説している。もちろん、以下にさらに記載される追加の特徴も存在する。実際に、上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方とも例示的で説明的であり、本開示のさらなる説明を提供することを意図することは理解すべきである。
【0106】
[015]本態様では、少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、以下の説明に記載されるか又は図面に図示される構造の詳細及び構成要素の配置に本出願を限定しないことは理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な手法で実施し、実行することが可能である。また、本明細書で利用される語法及び専門用語が説明を目的とし、限定するものと考えるべきではないと理解すべきである。
【0107】
[016]このように、当業者は、本開示が基づく概念が、本開示のいくつかの目的を実行するための他の製剤、方法、系、キット、及び組成物の設計のために基本として容易に利用することができることを理解する。したがって、本開示の精神及び範囲から逸脱しない範囲で、同等の構造が本開示に含まれることが重要である。
【0108】
[017]添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、いくつかの実施形態を図示し、説明と共に原理を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】アンドロゲン、エストロゲン、グルココルチコイド、プロゲステロン、及びミネラルコルチコイドの合成でのCYP17A1阻害の効果を示す生化学経路を提示する。
図2A】形態Aと名付けた、実施例1Aで調製したデカン酸アビラテロン(或いは「AbiDec」、「ADEC」、又は「AbDec」として本明細書で略記される)の固体形態の代表的なX線粉末回折(XRPD)スペクトラムを提示する。
図2B】形態Aと名付けた、実施例1Aで調製したデカン酸アビラテロンの固体形態の代表的な示差走査熱量測定(DSC)スペクトラムを示す。
図2C】形態Aと名付けた、実施例1Aで調製したデカン酸アビラテロンの固体形態の代表的な熱重量分析(TGA)を示す。
図2D-1】形態Bでのデカン酸アビラテロンの代表的なXRPDスペクトラムを提示する。
図2D-2】形態Bでのデカン酸アビラテロンの代表的なXRPDスペクトラムを提示する。
図2E】形態Bでのデカン酸アビラテロンの代表的なDSCスペクトラムを示す。
図2F】形態Bでのデカン酸アビラテロンの代表的なTGAを示す。
図2G-1】形態Cでのデカン酸アビラテロンの代表的なXRPDスペクトラムを提示する。
図2G-2】形態Cでのデカン酸アビラテロンの代表的なXRPDスペクトラムを提示する。
図2H】形態Cでのデカン酸アビラテロンの代表的なDSCスペクトラムを示す。
図2I】形態Cでのデカン酸アビラテロンの代表的なTGAを示す。
図3】2つの異なる製剤中のデカン酸アビラテロンの経口投与に続く、血漿でのアビラテロン及びデカン酸アビラテロンの平均血漿濃度を示すグラフを提示する。絶対値での最大Cmaxから最小Cmaxまでの格付けは、以下の通りである:群2の処置からのアビラテロン、群3の処置からのアビラテロン、群2の処置からのデカン酸アビラテロン、及び群3の処置からのデカン酸アビラテロン。
図4A】ビヒクル(群1又はGrp1)、製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続くプロゲステロン(「Prog」)の平均血漿濃度を示すグラフを提示する。
図4B】ビヒクル(群1又はGrp1)の経口投与からの平均血漿濃度と比べた製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続くプロゲステロン(「Prog」)の平均血漿濃度を示すグラフを提示する。
図5A】ビヒクル(群1又はGrp1)、製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続くコルチコステロン(「Cortico」)の平均血漿濃度を示すグラフを提示する。
図5B】ビヒクル(群1又はGrp1)の経口投与からの平均血漿濃度と比べた製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続くコルチコステロン(「Cortico」)の平均血漿濃度を示すグラフを提示する。
図6A】ビヒクル(群1又はGrp1)、製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続くアンドロステンジオン(「Andro」)の平均血漿濃度を示すグラフを提示する。
図6B】ビヒクル(群1又はGrp1)の経口投与からの平均血漿濃度と比べた製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続くアンドロステンジオン(「Andro」)の平均血漿濃度を示すグラフを提示する。
図7A】ビヒクル(群1又はGrp1)、製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続くテストステロン(「T」)の平均血漿濃度を示すグラフを提示する。
図7B】ビヒクル(群1又はGrp1)の経口投与からの平均血漿濃度と比べた製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続くテストステロン(「T」)の平均血漿濃度を示すグラフを提示する。
図8】ビヒクル(群1又はGrp1)、製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続く黄体化ホルモンの平均血漿濃度を示すグラフを提示する。最後に観察した濃度(72時間)に基づいた格付けは、以下の通りである:群2>群3>群1。
図9】製剤1(群2又はGrp2)及び製剤2(群3又はGrp3)の経口投与に続く組織でのアビラテロンの平均組織濃度を示す棒グラフを提示する。
【詳細な説明】
【0110】
[039]広範な態様では、本開示は、新規な経口アビラテロンプロドラッグ製剤、それを必要とする対象での血清ステロイドホルモンレベルを調節するための方法、及びこのようなステロイドホルモンに関連する疾患又は障害を治療又は予防するための方法に関する。本開示の実施形態は、アビラテロンプロドラッグ、特にデカン酸アビラテロンを、対象に経口投与して、CYP17A1活性の持続的阻害及び血清アンドロゲンレベルの低下を達成することができることに部分的に基づいている。
【0111】
[040]米国特許第10,792,292B2号、並びに米国仮特許出願第63/073,502号及び同63/149,550号(各々の内容は、各々の全体を参照により本明細書に組み込まれる)で詳述される通り、デカン酸アビラテロンのようなアビラテロンプロドラッグの非経口投与は、多くの側面で既存の方法にわたって有利であり得、血清テストステロンの急速で持続的な低下、去勢の必要なし、経口酢酸アビラテロン製剤を使用する方法と比較して低い肝臓毒性又は肝臓毒性なし、生物学的利用能の改善、経口酢酸アビラテロン製剤に関連する食事効果の排除、丸剤負荷量の低減、より良好な患者の遵守、投薬頻度の低下、活性薬の持続的で安定な血液レベル、副作用に関連して低下し得るCmaxの低下などを含むが、限定されない。
【0112】
[041]本明細書で論じられる通り、適切な脂質ベースの薬物送達システムで、デカン酸アビラテロンが、血清アンドロゲンレベルの低下のような血清ステロイドレベルの調節するためのアビラテロンの効果的な血漿濃度を達成する良好から優秀の生物学的利用能を伴って経口的に生物学的利用可能であり得ることが見出されている。これは、本明細書に記載されている様々な疾患又は障害、例えば本明細書に記載されている前立腺がんを処置するためにアビラテロンプロドラッグ、例えばアビラテロン親油性エステル、特にデカン酸アビラテロンを投与するための代替的な方法を提供する。
【0113】
[042]したがって、様々な実施形態では、本開示は、新規な経口アビラテロンプロドラッグ製剤、テストステロンレベルの低下のような血清ステロイドホルモンレベルを調節するための方法、及び/又はこのようなステロイドにより媒介されるか、若しくは関連する疾患若しくは障害、例えば性ホルモン依存性若しくはアンドロゲン受容体誘発性がんを処置若しくは予防するための新規な方法を提供する。
【0114】
デカン酸アビラテロン製剤
[043]一部の実施形態では、本開示は、アビラテロンプロドラッグ、例えばアビラテロン親油性エステル、特に、以下の構造:
【化5】

を有するデカン酸アビラテロンを含む、様々な製剤を提供する。
【0115】
[044]典型的に、本明細書の医薬組成物は、(a)デカン酸アビラテロン;及び(b)脂質ベースの薬物送達システムを含み、デカン酸アビラテロンの経口送達用に製剤化されている。
【0116】
[045]本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、任意の脂質ベースのビヒクルを広く指し、デカン酸アビラテロンと製剤化される場合、CYP17A1の阻害、様々なステロイドホルモンレベル、例えばアンドロゲン、エストロゲン、グルココルチコイド、プロゲステロン及びミネラルコルチコイドの調節、並びに/又は本明細書に記載される前立腺がんのような本明細書に記載される疾患若しくは障害の処置のために、アビラテロンの効果的な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを送達する経口投与に好適である。本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、自己分散型薬物送達システム、例えば自己乳化型薬物送達システム又は自己マイクロ乳化型薬物送達システムとして典型的に特徴付けることができる。典型的には、デカン酸アビラテロンは、脂質ベースの薬物送達システムに均一に分散又は溶解している。
【0117】
[046]一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物は、哺乳動物に経口投与する際、リンパ送達系を通してデカン酸アビラテロンの少なくとも一部を送達することが可能であるとして特徴付けられる。脂質ベースの薬物送達システムのリンパ送達は、初回通過代謝を迂回することができるので、より良好な全体の薬物動態プロファイルをもたらし得る。Punjabiら、Current Pharmaceutical Design、27:1992~1998頁(2021);Boraら、Indian Drugs 54(08):5~22頁(2017);Poutonら、Advanced Drug Delivery Reviews 60:625~637頁(2008);及びCoteら、Advanced Drug Delivery Reviews 144:16~34頁(2019)におけるリンパ送達の一般的な考察を参照されたい。実施例の節に示す通り、本明細書の例示的な経口製剤の単回投与は、ラット薬物動態試験において優秀な経口生物学的利用能を達成したが、循環するアンドロゲンレベル(アンドロステンジオン及びテストステロン)も強力に低下させ、プロゲステロンのレベルも上昇させる。理論に拘束されることを望まないが、本明細書のデカン酸アビラテロン(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節の[1]~[37])を含む医薬組成物の哺乳動物への経口投与の際、デカン酸アビラテロンの少なくとも一部がリンパ系を通して吸収されると考えられる。リンパ送達もまた、アビラテロンが、下顎及び腸間膜リンパ節において投薬の72時間後に組織で検出されたことを示す本明細書の組織研究により支持される。
【0118】
[047]本明細書の医薬組成物は、カプセル剤(例えば、ソフトゲルカプセル剤)のような経口剤形の形態で典型的に製剤化されている。
【0119】
[048]本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節の[1]~[37])はまた、以下のうちの1つ又は複数により典型的に特徴付けられる:(1)医薬組成物が、室温で安定して貯蔵されること;(2)デカン酸アビラテロンの回収が、医薬組成物をin vitro分散試験を使用して評価する場合に50%を超えること;及び(3)哺乳動物に経口投与する際、医薬組成物が、例えば、本明細書に記載される前立腺がんのような本明細書に記載される疾患又は障害を治療するために、アビラテロンの治療的に有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを哺乳動物に送達することが可能であること。本明細書で使用される場合、「in vitro分散試験」は、本出願の実施例4に記載される手順にしたがった手順を使用すると理解すべきである。「安定して貯蔵される」とは、貯蔵条件で貯蔵期間、例えば室温で1か月以上(例えば、約1か月間、約3か月間、約6か月間、又はそれより長く)での貯蔵の際、医薬組成物が、(1)実質的に同じ量、例えば、貯蔵の開始時の80~125%以内の量のデカン酸アビラテロンを有すること;(2)実質的に同じ量、例えば、貯蔵の開始時の80~125%以内の量の不純物(全不純物及び/若しくは個別の不純物)を有すること;並びに/又は(3)実質的な物理的特性の変化がなく、例えば、水溶液の外観及び分散性は、貯蔵の開始と実質的に同じままであることを意味する。
【0120】
[049]好ましい実施形態では、本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節の[1]~[37])は、ラットで試験する場合、アビラテロン血漿濃度プロファイルに基づいて30%を超える経口生物学的利用能を有し得る。経口生物学的利用能は、当業者により容易に決定することができる。ラットの経口生物学的利用能を決定するための例示的な方法は、本明細書の実施例の節に示される。
【0121】
脂質ベースの薬物送達システム
[050]本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、1つ又は複数の脂質及び1つ又は複数の界面活性剤を典型的に含む。好適な脂質及び界面活性剤並びにこれらの量は、薬学的使用に一般的に許容されるもの、例えば米国食品医薬品局からの不活性成分データベースに記載されるものを含む。本明細書の医薬組成物に対する特定の脂質及び界面活性剤は、デカン酸アビラテロンの溶解度、医薬組成物の安定性、添加剤の融和性、及び水溶液の医薬組成物の分散性などに基づいて典型的に選択することができる。例えば、一部の実施形態では、脂質及び界面活性剤は、医薬組成物が、約1mg/g~約250mg/gの濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解又は懸濁しているデカン酸アビラテロンを有し得るように選択される。明らかに、250mg/gの濃度は、脂質ベースの薬物送達システムにおけるデカン酸アビラテロンの混合物各1グラムに対して、250mgのデカン酸アビラテロンが存在することを意味する。本開示の他の箇所に記載される脂質ベースの薬物送達システムにおけるデカン酸アビラテロンの濃度も同様と理解すべきである。好ましくは、脂質及び界面活性剤は、医薬組成物が、約20mg/g~約150mg/gの濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを有し得るように選択される。一部の実施形態では、脂質及び界面活性剤は、医薬組成物が、例えば1か月間、3か月間、6か月間、又はそれより長く、室温で安定して貯蔵されるように選択される。一部の実施形態では、脂質及び界面活性剤は、医薬組成物が、室温で脂質ベースの薬物送達システムにデカン酸アビラテロンの溶液(或いは均一な混合物)を含み、溶液(或いは均一な混合物)が、1か月間、3か月間、6か月間、又はそれより長く室温で貯蔵した後、溶液のまま(或いは均一なまま)であり得る、すなわち、目に見える薬物及び/又は添加剤の結晶/沈殿を形成しないように選択される。一部の実施形態では、脂質及び界面活性剤は、デカン酸アビラテロンの回収が、医薬組成物をin vitro分散試験を使用して評価する場合に50%を超える(例えば、55%、60%、70%、80%、90%、若しくは最大で100%、又は記載される値の間の任意の範囲となる)ように選択される。一部の実施形態では、脂質及び界面活性剤は、哺乳動物に経口投与する際、医薬組成物が、例えば、本明細書に記載される前立腺がんのような本明細書に記載される疾患又は障害を治療するために、アビラテロンの治療的に有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを哺乳動物に送達することが可能であるように選択される。一部の実施形態では、脂質及び界面活性剤は、哺乳動物に経口投与する際、医薬組成物が、例えば、CYP17A1を阻害するために、アビラテロンの有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを哺乳動物に送達することが可能であるように選択される。一部の実施形態では、脂質及び界面活性剤は、本明細書の医薬組成物が、ラットで試験する場合、アビラテロン血漿濃度プロファイルに基づいて30%を超える、例えば、最大で60%、70%又はそれ以上の経口生物学的利用能を有し得るように選択される。
【0122】
[051]典型的に、脂質ベースの薬物送達システム用の脂質は、トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルを含む。脂質ベースの薬物送達システム用の界面活性剤は、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を典型的に含む。
【0123】
[052]一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルを含む脂質;並びに(2)非イオン性界面活性剤のような界面活性剤を含む。界面活性剤は、本明細書に記載されているもののいずれかであり得、例えば、界面活性剤は、ポリグリセリルエステル及び/又はポリオキシグリセリドを含み得る。本明細書で使用されるトリグリセリド、モノグリセリド、及びジグリセリドは、脂肪酸のグリセロールのモノ、ジ、又はトリエステルとして理解されるべきであり、本明細書で使用されるプロピレングリコールエステルは、脂肪酸のプロピレングリコールのモノ又はジエステルとして理解されるべきであり、脂肪酸は、例えば飽和又は不飽和であり得る中鎖又は長鎖脂肪酸で典型的にあり得るが、限定されない。当業者は、中鎖脂肪酸が6~12個の炭素の脂肪族尾部を含み、長鎖脂肪酸が13~21個の炭素の脂肪族尾部を含むことを理解しよう。トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、又はプロピレングリコールエステルの一部はまた、界面活性剤と考えられ得る。しかし、本明細書で使用される場合、明らかに、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムのための界面活性剤は、本明細書に定義されるトリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、又はプロピレングリコールエステルではない1つ又は複数の界面活性剤を要すると理解すべきである。脂質ベースの薬物送達システム又は本明細書の医薬組成物において界面活性剤の重量百分率を算出する場合、トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、又はプロピレングリコールエステルではないこれらの界面活性剤のみ、別段指定されないか、又は内容から逆ではない限り、考慮されるべきである。
【0124】
[053]一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステル;並びに(2)ポリグリセリルエステル及び/又はポリオキシグリセリドを含む界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、トリグリセリド及び界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、ジグリセリド及び界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、モノグリセリド及び界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、プロピレングリコールエステル及び界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)トリグリセリド並びにモノグリセリド、ジグリセリド、及びプロピレングリコールエステルから選択される1つ又は複数、並びに(2)界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)トリグリセリド及びプロピレングリコールエステル、並びに(2)界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)トリグリセリド、モノグリセリド、及びジグリセリド;並びに(2)界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及びプロピレングリコールエステル、並びに(2)界面活性剤を含む。好適なトリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、プロピレングリコールエステル、及び界面活性剤は、任意の組合せで本明細書に記載されているもののいずれかを含む。
【0125】
[054]一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)中鎖トリグリセリド;及び(2)界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤を含む。中鎖トリグリセリドは特に限定されない。例えば、一部の実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド、例えば商標名:ラブラファック(商標)リポファイルWL1349で市販されているものであり得る。一部の実施形態では、界面活性剤は、ポリグリセリルエステル及び/又はポリオキシグリセリドを含む。
【0126】
[055]一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、グリセロール/リノール酸グリセリル、例えば商標名:マイシン(登録商標)CCで市販されている製品由来のものを含み、ジエステル画分が優勢である、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリドを有すると考えられる。
【0127】
[056]一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、プロピレングリコールエステルを含む。好適なプロピレングリコールエステルは、例えばモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、商標名:カプムルPG-8で販売)及び/又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、商標名:カプムルPG-12、又はラウログリコール(商標)90で販売)を含む。
【0128】
[057]一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)、並びに本明細書に記載されている界面活性剤を含む。
【0129】
[058]一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349);(2)グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である);並びに本明細書に記載されている界面活性剤を含む。このような実施形態では(例えば、本明細書に記載されている適用可能な実施形態のいずれか、例えば本明細書の概要の節の[6]~[16]及び[19]~[37])、中鎖トリグリセリドのグリセロール/リノール酸グリセリルに対する重量比は、典型的に約5:1~1:5の範囲であり、より典型的に約2:1~約1:2の範囲であり、例えば約1.5:1、約1:1、約1:1.5、若しくは約1:2、又は記載される値の間の任意の範囲である。
【0130】
[059]一部の実施形態では、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムは、(1)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349);(2)モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8);並びに本明細書に記載されている界面活性剤を含む。このような実施形態では(例えば、本明細書に記載されている適用可能な実施形態のいずれか、例えば本明細書の概要の節の[8]~[16]及び[20]~[37])、中鎖トリグリセリドのモノカプリル酸プロピレングリコールに対する重量比は、典型的に約5:1~1:5の範囲であり、より典型的に約2:1~約1:2の範囲であり、例えば約1.5:1、約1:1、約1:1.5、若しくは約1:2、又は記載される値の間の任意の範囲である。
【0131】
[060]一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムにおける界面活性剤は、ポリグリセロールエステルを含み得る。有用なポリグリセロールエステルは特に限定されず、脂肪酸及びグリセロールのホモポリマー、例えば三量体、四量体などから形成されるエステルを含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムにおける界面活性剤は、商標名:プルロールオレイックCC497で市販されている、オレイン酸ポリグリセリル、例えばポリグリセリル-3ジオレエートを含み得る。ポリグリセリル-3ジオレエートとは、分子式:C4584若しくはR-O-(CH-CH(OR)-CH-O)-R(式中R=H)、又はCO-C1733、CAS番号:9007-48-1を有する主要な構成要素を含む、グリセリンのホモ三量体のジオレエートを指す。
【0132】
[061]一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムにおける界面活性剤は、ポリオキシグリセリドを含み得る。有用なポリオキシグリセリドは特に限定されず、脂肪酸及びエトキシル化グリセロールから形成されるエステルを含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムにおける界面活性剤は、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール、例えば、商標名:コリフォールRH40で市販されているものを含み得る。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムにおける界面活性剤は、オレオイルポリオキシル-6グリセリド、例えば、商標名:ラブラフィル(登録商標)M1944CSで市販されているものを含み得る。化学的に、ラブラフィル(登録商標)M1944CSは、モノ、ジ及びトリグリセリド、並びにオレイン酸(C18:1)のPEG-6(MW300)モノ及びジエステルを有し得る。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムにおける界面活性剤は、ラウロイルポリオキシル-6グリセリド、例えば、商標名:ラブラフィル(登録商標)2130CSで市販されているものを含み得る。化学的に、ラブラフィル(登録商標)2130CSは、モノ、ジ及びトリグリセリド、並びにラウリン酸(C12)及びステアリン酸(C18)のPEG-6(MW300)モノ及びジエステルを有し得る。
【0133】
[062]一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムのための界面活性剤は、(1)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);及び(2)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含み得る。本明細書の脂質ベースの薬物送達システムのための界面活性剤が、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール及びオレイン酸ポリグリセリル(例えば、本明細書に記載されている適用可能な実施形態のいずれか、例えば本明細書の概要の節の[12]~[16]及び[22]~[37])を含む場合、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロールのオレイン酸ポリグリセリルに対する重量比は、約5:1~1:5の範囲であり、より典型的に約2:1~約1:2の範囲であり、例えば約1.5:1、約1:1、若しくは約1:1.5、又は記載される値の間の任意の範囲である。
【0134】
[063]一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムのための界面活性剤は、(1)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(2)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));及び(3)オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)を含み得る。このような実施形態では(例えば、本明細書に記載されている適用可能な実施形態のいずれか、例えば本明細書の概要の節の[12]~[16]及び[23]~[37])、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロールのオレイン酸ポリグリセリルに対する重量比は、約5:1~1:5の範囲であり得、より典型的に約2:1~約1:2の範囲であり、例えば約1.5:1、約1:1、若しくは約1:1.5、又は記載される値の間の任意の範囲であり;ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロールのオレオイルポリオキシル-6グリセリドに対する重量比はまた、約5:1~1:5の範囲であり得、より典型的に約2:1~約1:2の範囲であり、例えば約1.5:1、約1:1、若しくは約1:1.5、又は記載される値の間の任意の範囲であり得る。
【0135】
[064]本明細書の脂質及び界面活性剤の組合せは特に限定されない。例えば、一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;並びに(b)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)を含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルから選択される1つ又は複数の脂質をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、プロピレングリコールエステル、例えばモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、モノ、ジ、及び/又はトリグリセリド、例えばグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、本明細書に記載されている1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、第2のポリグリセリルエステル、例えばオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、ポリオキシグリセリド、例えばオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)をさらに含む。
【0136】
[065]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);並びに(c)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルから選択される1つ又は複数の脂質をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、プロピレングリコールエステル、例えばモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、モノ、ジ、及び/又はトリグリセリド、例えばグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、本明細書に記載されている1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、ポリオキシグリセリド、例えばオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)をさらに含む。
【0137】
[066]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);並びに(c)モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、本明細書に記載されている1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、第2のポリグリセリルエステル、例えばオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、ポリオキシグリセリド、例えばオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)をさらに含む。
【0138】
[067]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);並びに(c)グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、本明細書に記載されている1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、第2のポリグリセリルエステル、例えばオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、ポリオキシグリセリド、例えばオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)をさらに含む。
【0139】
[068]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));並びに(d)オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)を含み得る。
【0140】
[069]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含み得る。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)モノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12、又はラウログリコール(商標)90)を含み得る。
【0141】
[070]一部の具体的な実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含み得る。
【0142】
[071]脂質ベースの薬物送達システムの成分の重量百分率は特に限定されない。例えば、一部の実施形態では、トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~80重量%(例えば、約10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、若しくは80重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量であり得、界面活性剤は、脂質ベースの薬物送達システムの約20~90重量%(例えば、約20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%若しくは90重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約50~80重量%又は約40~60重量%)の量である。
【0143】
[072]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;並びに(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)を含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルから選択される1つ又は複数の脂質をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のプロピレングリコールエステル、例えばモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のモノ、ジ、及び/又はトリグリセリド、例えばグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、本明細書に記載されている1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量の第2のポリグリセリルエステル、例えばオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のポリオキシグリセリド、例えばオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)をさらに含む。
【0144】
[073]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);並びに(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルから選択される1つ又は複数の脂質をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のプロピレングリコールエステル、例えばモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のモノ、ジ、及び/又はトリグリセリド、例えばグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、本明細書に記載されている1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のポリオキシグリセリド、例えばオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)をさらに含む。
【0145】
[074]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);並びに(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、本明細書に記載されている1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量の第2のポリグリセリルエステル、例えばオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のポリオキシグリセリド、例えばオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)をさらに含む。
【0146】
[075]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);並びに(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、本明細書に記載されている1つ又は複数の界面活性剤をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量の第2のポリグリセリルエステル、例えばオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))をさらに含む。一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のポリオキシグリセリド、例えばオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)をさらに含む。
【0147】
[076]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約20~40重量%(例えば、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));並びに(d)脂質ベースの薬物送達システムの約20~40重量%(例えば、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)を含み得る。
【0148】
[077]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)及び/又はモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12、又はラウログリコール(商標)90)を含み得る。
【0149】
[078]一部の好ましい実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含み得る。
【0150】
[079]一部の具体的な実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)脂質ベースの薬物送達システムの約0~40重量%(例えば、0重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレオイルポリオキシル2グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含み得る。
【0151】
[080]一部の具体的な実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、実施例の節に記載されるビヒクルのいずれかを含み得る。
【0152】
[081]一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約20重量%のコリフォールRH40、約14重量%のプルロールオレイックCC497、約33重量%のラブラフィル1944CS、及び約33重量%のラブラファックリポファイルWL1349を有し得、「約」とは、記載される値の25%以内を指す。例えば、このような実施形態での約20%は、15%~25%を意味する。
【0153】
[082]一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約20重量%のコリフォールRH40、約14重量%のプルロールオレイックCC497、及び約66重量%のラウログリコール90を有し得、「約」とは、記載される値の25%以内を指す。
【0154】
[083]一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約20重量%のコリフォールRH40、約14重量%のプルロールオレイックCC497、約16重量%のラブラフィル1944CS、約30重量%のマイシンCC、及び約20重量%のラブラファックリポファイルWL1349を有し得、「約」とは、記載される値の25%以内を指す。
【0155】
[084]一部の実施形態では、脂質ベースの薬物送達システムは、脂質ベースの薬物送達システムの約20重量%のコリフォールRH40、約14重量%のプルロールオレイックCC497、約16重量%のラブラフィル1944CS、約30重量%のカプムルPG-8、及び約20重量%のラブラファックリポファイルWL1349を有し得、「約」とは、記載される値の25%以内を指す。
【0156】
[085]USP(US薬局方)、欧州薬局方(PhEur)、日本薬局方、及び中国薬局方を含む様々な薬局方で指定されるもののような、商標名が本明細書で使用される場合は本出願の出願日の時点での商標名に関連する製品の仕様内に、又は、このような製品の一般名が利用可能である場合は本出願の出願日の時点でのこのような一般的な製品の仕様内にある任意の組成物を含むことを意味することを理解すべきである。
【0157】
デカン酸アビラテロン
[086]本明細書の医薬組成物は、約1mg/g~約250mg/g、約10mg/g、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、約150mg/g、約200mg/g、約250mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約10mg/g~約150mg/g、約20~150mg/g、約30~80mg/gなどの範囲の濃度で、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムに分散している、例えば均一に分散又は溶解しているデカン酸アビラテロンを典型的に含む。一部の実施形態では、デカン酸アビラテロンは、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムに溶解している。
【0158】
[087]デカン酸アビラテロンは、その塩基形態で本明細書の医薬組成物に典型的に存在し、別段内容から明らかに逆ではない限り、このように理解されるべきである。しかし、一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物は、その塩基形態でデカン酸アビラテロン、及び/又はその薬学的に許容できる塩を含み得る。
【0159】
[088]本明細書の医薬(pharmarceutical)組成物のためのデカン酸アビラテロンは、典型的には、本明細書に記載されている実質的に純粋な形態である。例えば、本明細書の医薬組成物は、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンを脂質ベースの薬物送達システム及び任意選択の他の成分と混合することから典型的に調製することができる。一部の具体的な実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、本明細書に記載されている結晶形態、好ましくは結晶形態Aであり、医薬組成物は、結晶形態(例えば、形態A)を脂質ベースの薬物送達システム及び任意選択の他の成分と混合すること(例えば、溶解すること、懸濁すること、又はその他の形で混合物を形成すること)から調製することができる。
【0160】
[089]一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物のためのデカン酸アビラテロンは、例えば、重量、HPLC面積、又はその両方で80%を超える、好ましくは90%を超える(例えば、95%超、97%超、98%超、99%超、99.5%超の)純度を有するような、実質的に純粋な形態である。一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物のためのデカン酸アビラテロンは、重量及び/又はHPLC面積で約95%、約97%、約99%、約99.5%、約99.9%、又は所定値の間の任意の範囲の純度により特徴付けることができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物のためのデカン酸アビラテロンは、重量で約95%、約97%、約99%、約99.5%、約99.9%、又は所定値の間の任意の範囲の純度により特徴付けることができる。一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物のためのデカン酸アビラテロンはまた、低い含有量、例えば150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、又は10ppm未満のパラジウムを有するとして特徴付けることができる。一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物のためのデカン酸アビラテロンは、本明細書の表1に示す仕様に準じる(実施例1Bを参照されたい)。実質的に純粋なデカン酸アビラテロンを調製するための例示的な手順は、実施例の節に示す。デカン酸アビラテロンの純度を測定するのに好適なHPLC法もまた、実施例の節に記載される。実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、固体形態(例えば、本明細書に記載されている結晶形態、好ましくは形態A、非晶質形態、若しくはその組合せ)、又は溶液、懸濁液、又は別の形態であり得る。誤解を避けるために、実質的に純粋なデカン酸アビラテロン及び1つ又は複数の他の成分(例えば、本明細書の概要の節の[33]~[37]による医薬組成物)を含む本明細書の医薬組成物は、本明細書の実質的に純粋なデカン酸アビラテロンと1つ又は複数の他の成分との混合物として理解すべきであり、例えば、このような製剤は、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンを1つ又は複数の他の成分、例えば本明細書に記載されている脂質ベースの薬物送達システムと混合すること(例えば、溶解すること、懸濁すること、又はその他の形で混合物を形成すること)から直接又は間接的に得ることができる。
【0161】
実質的に純粋なデカン酸アビラテロン
[090]一部の具体的な実施形態では、本明細書の医薬組成物は、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンを含み、以下の式:
【化6】

又はその薬学的に許容できる塩を有し、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムに分散又は溶解している。一部の実施形態では、医薬組成物は、その塩基形態で実質的に純粋なデカン酸アビラテロンを含み、脂質ベースの薬物送達システムに分散又は溶解している。一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、重量で少なくとも95%、好ましくは、少なくとも98%、例えば約98.5%、約99%、約99.5%、又はそれ以上の純度を有する。一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、重量及び/又はHPLC面積で約95%、約97%、約99%、約99.5%、約99.9%、又は所定値の間の任意の範囲の純度により特徴付けることができる。一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、重量で約95%、約97%、約99%、約99.5%、約99.9%、又は所定値の間の任意の範囲の純度により特徴付けることができる。一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンはまた、低い含有量、例えば150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、又は10ppm未満のパラジウムを有するとして特徴付けることができる。アビラテロンは、パラジウム触媒による交差カップリング反応のステップで典型的に合成する。このように、利用可能なアビラテロンは、望ましくないレベルのパラジウム残渣を一般的に有し、粗デカン酸アビラテロンの製品に運ばれる可能性がある。本明細書に記載されている通り、本開示は、溶媒としてアセトン及び水、並びに活性炭での再結晶化のプロセスを使用することにより、実施例1Bにおいて5ppm未満、特に3.7ppmにデカン酸アビラテロンのパラジウムの含有量を低減する可能性があることを示す。一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、本明細書の表1に示す仕様に準じる(実施例1Bを参照されたい)。一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、エチルプラステロンに由来する不純物を含む。例えば、一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、式:
【化7】

を有するエチルプラステロンデカノエートを含む。典型的に、存在する場合、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、2重量%未満、例えば1重量%未満、0.5重量%未満、例えば0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満の量のエチルプラステロンデカノエートを含む。エチルプラステロンデカノエートの量は、本明細書に記載されているもののようなHPLC法により容易に決定することができる。一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンはまた、検出可能な量のエチルプラステロンデカノエートを含有することはない。アビラテロン出発物質は、高純度で市販の供給源から容易に利用可能である。交差カップリング反応で
【化8】

を使用して、アビラテロンに3-ピリジル基を導入するプロセスから得られるアビラテロン出発物質は、エチルプラステロンに最終的に変換され得る少量の不純物を含有し得る。一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、検出可能な量のエチルプラステロンを含まないアビラテロン出発物質、例えば、
【化9】

との交差カップリングを含まないプロセスから得られるものから調製することができる。実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、固体形態、例えば本明細書に記載されている結晶形態であり得る。例えば、一部の実施形態では、実質的に純粋なデカン酸アビラテロンは、結晶形態Aであり得、以下のピーク:4.6、6.9、8.7、17.5、18.3、18.6、19.1、19.6、及び20.8、度2シータ、±0.2°のうちの1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、若しくは9個)を有するX線粉末回折(XRPD)スペクトラム;約69.0℃での開始温度を伴う吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)パターン;又はその組合せで特徴付けることができる。一部の実施形態では、結晶形態Aは、図2Aに示すのと実質的に同じであるXRPDスペクトラムで特徴付けることができ、例えば、XRPDスペクトラムは、それらの相対強度にかかわらず、図2Aに示すピークに相当するそれぞれの回折角(度2シータ、±0.2°)でのピークを示す。一部の実施形態では、結晶形態Aは、図2Bに示すのと実質的に同じであるDSCスペクトラムで特徴付けることができる。
【0162】
[091]デカン酸アビラテロンを含む本明細書の医薬組成物は、典型的には、本明細書に記載されているような好適なビヒクル中のデカン酸アビラテロンの溶液又は懸濁液である。典型的には、溶液は、デカン酸アビラテロンの固体形態のうちの1つ又は複数、例えば結晶形態A、B、及び/又はCを好適なビヒクルに溶解又は懸濁することにより調製することができる。しかし、一部の実施形態では、医薬組成物はまた、デカン酸アビラテロンのうちの1つ又は複数の固体形態も含む。例えば、一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている結晶形態Aを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている結晶形態Bを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている結晶形態Cを含み得る。
【0163】
[092]一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物はまた、結晶形態Aを含むデカン酸アビラテロンから調製することができる。一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物は、デカン酸アビラテロンの結晶形態Aから調製することができ、XRPDで、デカン酸アビラテロンの形態B及び形態Cを実質的に含まず、例えば検出可能な量の形態B及び形態Cを含まない。一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物は、デカン酸アビラテロンの結晶形態Aから調製することができ、実質的に純粋として特徴付けられ、例えば、結晶形態Aは、(1)50ppm未満、例えば10ppm未満のパラジウムの含有量を有すること;(2)重量で少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、例えば約98.5%、約99%、約99.5%、若しくはそれ以上の純度を有すること;(3)式:
【化10】

を有する1重量%未満(例えば、0.5重量%未満、例えば0.3重量%未満、0.2重量%未満、若しくは0.1重量%未満)のエチルプラステロンデカノエートを有すること;(4)表1に示す仕様に準じること、又は任意のその組合せとして特徴付けることができる。
【0164】
[093]一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物はまた、結晶形態Bを含むデカン酸アビラテロンから調製することができる。一部の実施形態では、結晶形態Bは、結晶形態Aであり得、以下のピーク:4.4、6.6、14.8、16.4、18.1、21.6、及び22.2、度2シータ、±0.2°のうちの1つ若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、若しくは7個)を有するX線粉末回折(XRPD)スペクトラム;それぞれ約60.6℃及び約64.9℃での開始温度を伴う2つの吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)パターン;又はその組合せで特徴付けることができる。一部の実施形態では、結晶形態Bは、FIG.2Dに示すのと実質的に同じであるXRPDスペクトラムで特徴付けることができ、例えば、XRPDスペクトラムは、それらの相対強度にかかわらず、FIG.2Dに示すピークに相当するそれぞれの回折角(度2シータ、±0.2°)でのピークを示す。一部の実施形態では、結晶形態Bは、図2Eに示すのと実質的に同じであるDSCスペクトラムで特徴付けることができる。結晶形態Bは、デカン酸アビラテロンを好適な溶媒、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド(DMA)、メチルtert-ブチルエーテル、2-プロパノール、又はヘプタンに溶解して溶液を形成すること、及び溶液を例えば約-10℃~約-20℃に冷却して結晶形態を形成することにより典型的に調製することができる。例示的な手順は、本明細書の実施例1Cに示す。
【0165】
[094]一部の実施形態では、本明細書の医薬組成物はまた、結晶形態Cを含むデカン酸アビラテロンから調製することができる。一部の実施形態では、結晶形態Cは、結晶形態Aであり得、以下のピーク:4.9、6.3、14.5、及び15.3、度2シータ、±0.2°のうちの1つ若しくは複数を有するX線粉末回折(XRPD)スペクトラム;それぞれ約58.7℃及び約66.6℃での開始温度を伴う2つの吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)パターン;又はその組合せで特徴付けることができる。一部の実施形態では、結晶形態Cは、FIG.2Gに示すのと実質的に同じであるXRPDスペクトラムで特徴付けることができ、例えば、XRPDスペクトラムは、それらの相対強度にかかわらず、FIG.2Gに示すピークに相当するそれぞれの回折角(度2シータ、±0.2°)でのピークを示す。一部の実施形態では、結晶形態Cは、図2Hに示すのと実質的に同じであるDSCスペクトラムで特徴付けることができる。結晶形態Cは、デカン酸アビラテロンを好適な溶媒、例えばエタノールと2-ブタノンとの1:1の混合物に溶解し、蒸発などにより溶媒の量を低減して、結晶形態を形成することにより典型的に調製することができる。例示的な手順は、本明細書の実施例1Cに示す。
【0166】
非イオン性界面活性剤を含む医薬組成物
[095]本明細書の医薬組成物は、本明細書に記載されている脂質ベースの薬物送達システムのいずれかに溶解しているデカン酸アビラテロンを典型的に含む。
【0167】
[096]一部の実施形態では、本開示はまた、約10mg/g~約150mg/g(例えば、約10mg/g、20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、約150mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の範囲の濃度で、脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含む医薬組成物を提供し、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~80重量%の量の脂質;及び(b)脂質ベースの薬物送達システムの約20~90重量%の量の1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含み、デカン酸アビラテロンは、以下の構造:
【化11】

を有する。
【0168】
[097]典型的に、脂質の1つ又は複数の非イオン性界面活性剤に対する重量比は、約5:1~1:5の範囲であり、より典型的に約2:1~約1:2であり、例えば約2:1、約1.5:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、又は記載される値の間の任意の範囲である。
【0169】
[098]好適な脂質は、特に限定されず、本明細書に記載されているトリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルのいずれかを含み得る。
【0170】
[099]好適な非イオン性界面活性剤はまた、特に限定されず、本明細書に記載されているもののいずれかを含み得る。
【0171】
[0100]例えば、一部の実施形態では、脂質は、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、モノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12、又はラウログリコール(商標)90)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)、並びにグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)、並びにモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含み得る。カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド、グリセロール/リノール酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、並びにモノラウリン酸プロピレングリコールの好適な量、比、又は重量パーセントは、任意の組合せで本明細書に記載されているもののいずれかを含む。
【0172】
[0101]典型的には、脂質ベースの薬物送達システムは、2つ以上、例えば2つ又は3つの非イオン性界面活性剤を含む。例えば、一部の実施形態では、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤は、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)及び/又はオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤は、(1)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);及び(2)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤は、(1)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(2)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));及び(3)オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤は、(1)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(2)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));及び(3)ラウロイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル2130)を含む。ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール、オレイン酸ポリグリセリル、オレオイルポリオキシル-6グリセリド及びラウロイルポリオキシル-6グリセリドの好適な量、比、又は重量パーセントは、任意の組合せで本明細書に記載されているもののいずれかを含む。
【0173】
[0102]一部の具体的な実施形態では、医薬組成物は、約20mg/g~約120mg/gの範囲(例えば、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約20~40重量%(例えば、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));並びに(d)脂質ベースの薬物送達システムの約20~40重量%(例えば、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)を含む。
【0174】
[0103]一部の具体的な実施形態では、医薬組成物は、約20mg/g~約120mg/gの範囲(例えば、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含む。
【0175】
[0104]一部の具体的な実施形態では、医薬組成物は、約20mg/g~約120mg/gの範囲(例えば、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のモノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12、又はラウログリコール(商標)90)を含む。
【0176】
[0105]一部の具体的な実施形態では、医薬組成物は、約20mg/g~約120mg/gの範囲(例えば、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の濃度で脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、脂質ベースの薬物送達システムは、(a)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド;(b)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(c)脂質ベースの薬物送達システムの約10~30重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は記載される値の間の任意の範囲)の量のオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));(d)脂質ベースの薬物送達システムの約0~40重量%(例えば、0重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のオレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS);並びに(e)脂質ベースの薬物送達システムの約10~40重量%(例えば、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば約20~40重量%又は10~30重量%など)の量のグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC、主にリノール酸(C18:2)及びオレイン酸(C18:1)のモノ、ジ及びトリグリセリド、ジエステル画分が優勢である)を含む。
【0177】
[0106]一部の具体的な実施形態では、医薬組成物は、本明細書の実施例のいずれかに記載されるビヒクルに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、例えば、実施例2及び3を参照されたい。
【0178】
[0107]一部の実施形態では、医薬組成物は、脂質ベースの薬物送達システムの約20重量%のコリフォールRH40、約14重量%のプルロールオレイックCC497、約33重量%のラブラフィル1944CS、及び約33重量%のラブラファックリポファイルWL1349を有する脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、「約」とは、記載される値の25%以内を指す。デカン酸アビラテロンは、脂質ベースの薬物送達システム中のデカン酸アビラテロンの約20mg/g~約120mg/g(例えば、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の範囲の濃度、最大で最大溶解度で典型的に溶解している。
【0179】
[0108]一部の実施形態では、医薬組成物は、脂質ベースの薬物送達システムの約20重量%のコリフォールRH40、約14重量%のプルロールオレイックCC497、及び約66重量%のラウログリコール90を有する脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、「約」とは、記載される値の25%以内を指す。デカン酸アビラテロンは、脂質ベースの薬物送達システム中のデカン酸アビラテロンの約20mg/g~約120mg/g(例えば、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の範囲の濃度、最大で最大溶解度で典型的に溶解している。
【0180】
[0109]一部の実施形態では、医薬組成物は、脂質ベースの薬物送達システムの約20重量%のコリフォールRH40、約14重量%のプルロールオレイックCC497、約16重量%のラブラフィル1944CS、約30重量%のマイシンCC、及び約20重量%のラブラファックリポファイルWL1349を有する脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、「約」とは、記載される値の25%以内を指す。デカン酸アビラテロンは、脂質ベースの薬物送達システム中のデカン酸アビラテロンの約20mg/g~約120mg/g(例えば、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の範囲の濃度、最大で最大溶解度で典型的に溶解している。
【0181】
[0110]一部の実施形態では、医薬組成物は、脂質ベースの薬物送達システムの約20重量%のコリフォールRH40、約14重量%のプルロールオレイックCC497、約16重量%のラブラフィル1944CS、約30重量%のカプムルPG-8、及び約20重量%のラブラファックリポファイルWL1349を有する脂質ベースの薬物送達システムに溶解しているデカン酸アビラテロンを含み得、「約」とは、記載される値の25%以内を指す。デカン酸アビラテロンは、脂質ベースの薬物送達システム中のデカン酸アビラテロンの約20mg/g~約120mg/g(例えば、約20mg/g、約30mg/g、約40mg/g、約50mg/g、約60mg/g、約70mg/g、約80mg/g、約90mg/g、約100mg/g、約120mg/g、又は記載される値の間の任意の範囲、例えば、約30~80mg/g又は約30~100mg/gなど)の範囲の濃度、最大で最大溶解度で典型的に溶解している。
【0182】
[0111]医薬組成物は、カプセル剤(例えば、ソフトゲルカプセル剤)の形態のような経口投与用に典型的に製剤化され得る。
【0183】
[0112]本明細書に記載されている実施形態のいずれかでは、指定されないか、又は別段内容から逆ではない限り、本明細書の医薬組成物はまた、以下のうちの1つ又は複数により特徴付けられる:(1)医薬組成物が、室温で安定して貯蔵されること;(2)デカン酸アビラテロンの回収が、医薬組成物をin vitro分散試験を使用して評価する場合に50%を超えること(例えば、55%、60%、70%、80%、90%、若しくは最大で100%、又は記載される値の間の任意の範囲);及び(3)哺乳動物に経口投与する際、医薬組成物が、例えば、本明細書に記載される前立腺がんのような本明細書に記載される疾患又は障害を治療するために、アビラテロンの治療的に有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを哺乳動物に送達することが可能であること。例えば、一部の実施形態では、医薬組成物は、例えば1か月間、3か月間、6か月間、又はそれより長く、室温で安定して貯蔵される。一部の実施形態では、医薬組成物は、室温で溶液を含み、溶液は、1か月間、3か月間、6か月間、又はそれより長く室温で貯蔵した後、溶液のままであり得る、すなわち、目に見える薬物及び/又は添加剤の結晶/沈殿を形成しない。一部の実施形態では、医薬組成物は、デカン酸アビラテロンの回収が、医薬組成物をin vitro分散試験を使用して評価する場合に50%を超えること(例えば、55%、60%、70%、80%、90%、若しくは最大で100%、又は記載される値の間の任意の範囲)を特徴とする。一部の実施形態では、医薬組成物は、哺乳動物に経口投与する際、医薬組成物が、例えば、本明細書に記載される前立腺がんのような本明細書に記載される疾患又は障害を治療するために、アビラテロンの治療的に有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを哺乳動物に送達することが可能であることを特徴とする。一部の実施形態では、医薬組成物は、哺乳動物に経口投与する際、医薬組成物が、例えば、CYP17A1を阻害するために、アビラテロンの有効な血漿濃度を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを哺乳動物に送達することが可能であることを特徴とする。
【0184】
[0113]本明細書に記載されている実施形態のいずれかでは、指定されないか、又は別段内容から逆ではない限り、医薬組成物はまた、ラットで試験する場合、アビラテロン血漿濃度プロファイルに基づいて30%を超える、例えば、最大で60%、70%又はそれ以上の経口生物学的利用能により特徴付けることができる。
【0185】
[0114]本明細書に記載されている実施形態のいずれかでは、指定されないか、又は別段内容から逆ではない限り、医薬組成物は、自己分散型薬物送達システム、例えば自己乳化型薬物送達システム又は自己マイクロ乳化型薬物送達システムであり得る。
【0186】
[0115]本明細書に記載されている実施形態のいずれかでは、指定されないか、又は別段内容から逆ではない限り、医薬組成物は、哺乳動物に経口投与する際、デカン酸アビラテロンの少なくとも一部が、リンパ系を通して吸収されていることを特徴とし得る。
【0187】
医薬組成物を調製する方法
[0116]一部の実施形態では、本開示はまた、デカン酸アビラテロン及び本明細書に記載されている脂質ベースの薬物送達システムを含む医薬組成物(例えば、本明細書に記載されている適用可能な実施形態のいずれか、例えば本明細書の概要の節の[1]~[37])を調製する方法も提供する。方法は、デカン酸アビラテロン(例えば、本明細書に記載されている実質的に純粋なデカン酸アビラテロンのいずれか、デカン酸アビラテロンの結晶形態、例えば形態A、B、又はC)を脂質ベースの薬物送達システム(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか)と混合するステップ、例えば溶解するステップを典型的に含む。混合の特定の配列は、典型的に重要ではない。例えば、禁止されていないが、最初にデカン酸アビラテロンと混合する前に脂質ベースの薬物送達システムを調製することを必要としない。一部の実施形態では、デカン酸アビラテロンは、脂質ベースの薬物送達システムの他の構成要素と混合する前に脂質ベースの薬物送達システムのうちの1つ又は複数の構成要素と混合する、例えば溶解することができる。デカン酸アビラテロン及び脂質ベースの薬物送達システムの量は、本明細書に記載されているもののいずれかを含む。
【0188】
エマルジョン
[0117]一部の実施形態では、本開示はまた、デカン酸アビラテロンを含むエマルジョンを提供する。一部の実施形態では、エマルジョンはまた、本明細書に記載されている医薬組成物と考えることができ、必要とする対象に経口投与することができる。
【0189】
[0118]一部の実施形態では、エマルジョンは、(a)デカン酸アビラテロン;(b)脂質;及び(c)非イオン性界面活性剤を含み得、エマルジョンの脂質相は、脂質に分散させたデカン酸アビラテロンを含み、デカン酸アビラテロンは、以下の構造:
【化12】

を有する。
【0190】
[0119]典型的には、脂質の非イオン性界面活性剤に対する重量比は、約5:1~1:5の範囲であり、より典型的に約2:1~約1:2であり、例えば約2:1、約1.5:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、又は記載される値の間の任意の範囲である。
【0191】
[0120]好適な脂質は、特に限定されず、本明細書に記載されているトリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及び/又はプロピレングリコールエステルのいずれかを含み得る。
【0192】
[0121]好適な非イオン性界面活性剤はまた、特に限定されず、本明細書に記載されているもののいずれかを含み得る。
【0193】
[0122]例えば、一部の実施形態では、脂質は、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、グリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、モノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、モノラウリン酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-12、又はラウログリコール(商標)90)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)、並びにグリセロール/リノール酸グリセリル(例えば、マイシン(登録商標)CC)を含み得る。一部の実施形態では、脂質は、カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド(例えば、ラブラファック(商標)リポファイルWL1349)、並びにモノカプリル酸プロピレングリコール(例えば、カプムルPG-8)を含み得る。カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド、グリセロール/リノール酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、並びにモノラウリン酸プロピレングリコールの好適な量、比、又は重量パーセントは、任意の組合せで本明細書に記載されているもののいずれかを含む。
【0194】
[0123]典型的には、エマルジョンは、2つ以上、例えば2つ又は3つの非イオン性界面活性剤を含む。例えば、一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40)及び/又はオレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む。一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、(1)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);及び(2)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート))を含む。一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、(1)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(2)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));及び(3)オレオイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル(登録商標)M1944CS)を含む。一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、(1)ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(例えば、コリフォールRH40);(2)オレイン酸ポリグリセリル(例えば、プルロールオレイックCC497(ポリグリセリル-3ジオレエート));及び(3)ラウロイルポリオキシル-6グリセリド(例えば、ラブラフィル2130)を含む。ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール、オレイン酸ポリグリセリル、オレオイルポリオキシル-6グリセリド及びラウロイルポリオキシル-6グリセリドの好適な量、比、又は重量パーセントは、任意の組合せで本明細書に記載されているもののいずれかを含む。
【0195】
[0124]一部の実施形態では、本開示はまた、デカン酸アビラテロン及び本明細書の脂質ベースの薬物送達システム(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[1]~[37])を含む医薬組成物を水と混合することにより産生される、エマルジョンも提供する。
【0196】
[0125]一部の実施形態では、本開示はまた、デカン酸アビラテロン及び本明細書の脂質ベースの薬物送達システム(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[1]~[37])を含む医薬組成物を哺乳動物に投与することにより産生される、エマルジョンも提供する。
【0197】
アビラテロンプロドラッグを含む医薬組成物
[0126]本明細書の実施形態の多くが、特にデカン酸アビラテロンを指向しているが、本開示はまた、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムにおいてアビラテロンプロドラッグ(デカン酸アビラテロンを含む)の経口製剤を企図する。例えば、一部の実施形態では、経口アビラテロンプロドラッグ製剤は、本明細書の脂質ベースの薬物送達システムにおいて、アビラテロン親油性エステル、例えば、アビラテロンの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、ブタン酸エステル、(吉草酸エステル)ペンタン酸エステル、イソカプロン酸エステル、ブシクレート(buciclate)、シクロヘキサンカルボキシレート、プロピオン酸フェニル、カプロン酸エステル(ヘキサン酸エステル)、エナント酸エステル(ヘプタン酸エステル)、シピオネート、オクタン酸エステル、ノナン酸エステル、デカン酸エステル、ウンデカン酸エステル、ドデカン酸エステル、トリデカン酸エステル、トリデカン酸エステル、ペンタデカン酸エステル、又はヘキサデカン酸エステルを含み得る。
【0198】
[0127]他の好適なアビラテロンプロドラッグは、米国特許第10,792,292B2号並びに米国仮特許出願第63/073,502号及び同63/149,550号に記載されるもののいずれかを含み、各々の内容は、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
[0128]例えば、一部の実施形態では、医薬組成物は、式Iのアビラテロンプロドラッグ:
【化13】

(式中、Rは、R10、O-R10、又はNHR10であり、R10は、C7~30アルキル;C7~30アルケニル;C7~30アルキニル;シクロアルキルで置換し、典型的に5~16の総数の炭素を有するアルキル;フェニルで置換し、典型的に7~16の総数の炭素を有するアルキル;1つ又は複数のアルキルで任意選択で置換し、5~16の総数の炭素を典型的に有するシクロアルキル;並びに
【化14】

のような分岐鎖C5又はC6アルキルから選択される)
又はその薬学的に許容できる塩を含み得る。
【0200】
[0129]一部の実施形態では、R10は、C7~30アルキルである。本明細書で使用される場合、明らかに置換されていると記載されない限り、アルキルは、非置換として理解されるべきである。しかし、アルキルは、直鎖又は分岐鎖のいずれかであり得る。一部の実施形態では、R10は、直鎖C7~30アルキルであり得る。一部の実施形態では、R10は、分岐鎖C7~30アルキルであり得る。一部の実施形態では、R10は、直鎖C7~16アルキルであり、例えば、R10は、式-(CH-CHを有し得、nは、6~15の整数(例えば、6~12、例えば6、7、8、9、10、11、又は12)である。一部の実施形態では、R10は、分岐鎖C7~16アルキルであり得る。
【0201】
[0130]一部の実施形態では、R10はまた、シクロアルキルで置換したアルキルであり得る。典型的には、このような実施形態では、R10は、5~16の総数の炭素を有する、すなわち、アルキル部分及びシクロアルキル部分からの炭素の総数は5~16である。シクロアルキルは、典型的に非置換である。しかし、一部の実施形態では、シクロアルキルは、任意選択で、例えば、1つ又は2つの低級アルキル(例えば、C1~4アルキル)で置換され得る。一部の実施形態では、R10は、C3~6シクロアルキルで置換したアルキルであり得、6~12の総数の炭素を典型的に有する。一部の実施形態では、R10は、C3~6シクロアルキルで置換した直鎖アルキルであり得、例えば、R10は、式-(CH-Cyを有し得、nは、1~6の整数(例えば、1、2、3、4、5、又は6)であり、Cyは、C3~6シクロアルキル(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル)である。一部の実施形態では、R10は、式-(CH-Cyを有し得、nは、1又は2であり、Cyは、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。一部の実施形態では、R10はまた、C3~6シクロアルキルで置換した分岐鎖アルキル(例えば、分岐鎖C2~6)であり得る。本明細書で使用される場合、分岐鎖C2アルキルは、1,1-二置換エチル基、例えば、-CH(CH)-Cyとして理解されるべきである。
【0202】
[0131]一部の実施形態では、R10はまた、フェニルで置換したアルキルであり得る。典型的には、このような実施形態では、R10は、7~16の総数の炭素を有する、すなわち、アルキル部分及びフェニル部分からの炭素の総数は5~16である。一部の実施形態では、R10は、フェニルで置換した直鎖アルキルであり得、例えば、R10は、式-(CH-Cyを有し得、nは、1~6の整数(例えば、1、2、3、4、5、又は6)であり、Cyはフェニルである。一部の実施形態では、R10は、式-(CH-Cyを有し得、nは、1又は2であり、Cyはフェニルである。一部の実施形態では、R10はまた、フェニルで置換した分岐鎖アルキル(例えば、分岐鎖C2~6)であり得る。フェニルは、典型的に非置換である。しかし、一部の実施形態では、フェニルは、例えば、1つ又は2つの低級アルキル(例えば、C1~4アルキル)で任意選択で置換され得る。
【0203】
[0132]一部の実施形態では、R10は、1つ又は複数のアルキルで任意選択で置換したシクロアルキルであり得る。このような実施形態では、R10は、5~16の総数の炭素を典型的に有する、すなわち、シクロアルキル及びその任意選択の置換基の炭素の総数は5~16である。一部の実施形態では、R10は、非置換か又はC1~4アルキルで置換したかのいずれかのC3~6シクロアルキルであり得る。一部の具体的な実施形態では、R10は、
【化15】

であり得る。
【0204】
[0133]一部の実施形態では、R10は、分岐鎖C5又はC6アルキルであり得る。一部の実施形態では、R10は、
【化16】

であり得る。他の分岐鎖C5又はC6アルキルもまた好適である。
【0205】
[0134]一部の実施形態では、R10は、C7~30アルケニル又はC7~30アルキニルのような不飽和脂肪族基であり得る。
【0206】
[0135]一部の実施形態では、式Iの化合物は、アビラテロンのエステルであり、例えば、RはR10であり、R10は本明細書に定義される。一部の実施形態では、式IのRは、C7~16アルキル、例えば、-(CH-CHの式を有するアルキルであり得、nは、6~12の整数(例えば6、7、8、9、10、11、又は12)である。一部の実施形態では、式IのRは、式-(CH-Cyで表され、nは1~6の整数であり、CyはC3~6シクロアルキル又はフェニルであり、例えば、より具体的な実施形態では、nは1又は2であり得、Cyは、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルである。一部の実施形態では、式IのRは、
【化17】

であり得る。一部の具体的な実施形態では、式IのRは、
【化18】

であり得る。Rに対する他の好適な基は、本明細書に定義されるR10のいずれかを含む。
【0207】
[0136]一部の実施形態では、式IのRはまた、O-R10又はNHR10であり得、R10は、本明細書に定義される。
【0208】
[0137]一部の実施形態では、医薬組成物は、式IIの化合物、又はその薬学的に許容できる塩を含み得る。
【化19】

(式中、Rは、本明細書に定義される)
【0209】
[0138]一部の実施形態では、Rは、式IIの化合物がエステル、カルバメート、又はアビラテロンのカルバメートであるように選択することができる。一部の実施形態では、Rは、R20、O-R20、又はNHR20であり、R20は、C1~30アルキル;C2~30アルケニル;C2~30アルキニル;シクロアルキルで置換し、典型的に4~30の総数の炭素を有するアルキル;フェニルで置換し、典型的に7~30の総数の炭素を有するアルキル;並びに1つ又は複数のアルキルで任意選択で置換し、3~30の総数の炭素を典型的に有するシクロアルキルから選択される。
【0210】
[0139]一部の実施形態では、R20は、C1~16アルキルである。一部の実施形態では、R20は、直鎖C1~16アルキルであり得る。一部の実施形態では、R20は、分岐鎖C3~16アルキルであり得る。一部の実施形態では、R20は、分岐鎖C5又はC6アルキルであり得る。一部の実施形態では、R20は、
【化20】

であり得る。一部の実施形態では、R20は、式-(CH-CHを有し得、nは、0~12の整数(例えば、6~12、例えば6、7、8、9、10、11、又は12)である。
【0211】
[0140]一部の実施形態では、R20はまた、シクロアルキルで置換したアルキルであり得る。典型的には、このような実施形態では、R20は、4~30、例えば5~16の総数の炭素を有する(すなわち、アルキル部分及びシクロアルキル部分からの炭素の総数は5~16である)。シクロアルキルは、典型的に非置換である。しかし、一部の実施形態では、シクロアルキルは、例えば、1つ又は2つの低級アルキル(例えば、C1~4アルキル)で任意選択で置換され得る。一部の実施形態では、R20は、C3~6シクロアルキルで置換したアルキルであり得、6~12の総数の炭素を典型的に有する。一部の実施形態では、R20は、C3~6シクロアルキルで置換した直鎖アルキルであり得、例えば、R20は、式-(CH-Cyを有し得、nは、1~6の整数(例えば、1、2、3、4、5、又は6)であり、Cyは、C3~6シクロアルキル(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル)である。一部の実施形態では、R20は、式-(CH-Cyを有し得、nは、1又は2であり、Cyは、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。一部の実施形態では、R20はまた、C3~6シクロアルキルで置換した分岐鎖アルキル(例えば、分岐鎖C2~6)であり得る。
【0212】
[0141]一部の実施形態では、R20はまた、フェニルで置換したアルキルであり得る。典型的には、このような実施形態では、R20は、7~30、例えば7~16の総数の炭素を有する(すなわち、アルキル部分及びフェニル部分からの炭素の総数は7~16である)。一部の実施形態では、R20は、フェニルで置換した直鎖アルキルであり得、例えば、R20は、式-(CH-Cyを有し得、nは、1~6の整数(例えば、1、2、3、4、5、又は6)であり、Cyはフェニルである。一部の実施形態では、R20は、式-(CH-Cyを有し得、nは、1又は2であり、Cyはフェニルである。一部の実施形態では、R20はまた、フェニルで置換した分岐鎖アルキル(例えば、分岐鎖C2~6)であり得る。フェニルは、典型的に非置換である。しかし、一部の実施形態では、フェニルは、例えば、1つ又は2つの低級アルキル(例えば、C1~4アルキル)で任意選択で置換され得る。
【0213】
[0142]一部の実施形態では、R20は、1つ又は複数のアルキルで任意選択で置換したシクロアルキルであり得る。このような実施形態では、R20は、3~30、例えば5~16の総数の炭素を典型的に有する(すなわち、シクロアルキル及びその任意選択の置換基の炭素の総数は5~16である)。一部の実施形態では、R20は、非置換か又はC1~4アルキルで置換したかのいずれかのC3~6シクロアルキルであり得る。一部の具体的な実施形態では、R20は、
【化21】

であり得る。
【0214】
[0143]一部の実施形態では、R20は、C2~30アルケニル又はC2~30アルキニルのような不飽和脂肪族基であり得る。
【0215】
[0144]一部の好ましい実施形態では、式IIの化合物は、アビラテロンエステルであり、例えば、RはR20であり、R20は本明細書に定義される。一部の実施形態では、式IIのRは、C1~16アルキル、例えば、-(CH-CHの式を有するアルキルであり得、nは、0~12の整数である。一部の実施形態では、式IIのRは、式-(CH-Cyで表され、nは1~6の整数であり、CyはC3~6シクロアルキル又はフェニルであり、例えば、より具体的な実施形態では、nは1又は2であり得、Cyは、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルである。一部の具体的な実施形態では、式IIのRは、
【化22】

であり得る。Rに対する他の好適な基は、本明細書に定義されるR20のいずれかを含む。一部の実施形態では、アビラテロンエステルは、アビラテロンの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、ブタン酸エステル、(吉草酸エステル)ペンタン酸エステル、イソカプロン酸エステル、ブシクレート、シクロヘキサンカルボキシレート、プロピオン酸フェニル、カプロン酸エステル(ヘキサン酸エステル)、エナント酸エステル(ヘプタン酸エステル)、シピオネート、オクタン酸エステル、ノナン酸エステル、デカン酸エステル、ウンデカン酸エステル、ドデカン酸エステル、トリデカン酸エステル、トリデカン酸エステル、ペンタデカン酸エステル、又はヘキサデカン酸エステルであり得る。一部の実施形態では、アビラテロンエステルは、酢酸アビラテロン、プロピオン酸アビラテロン、及びデカン酸アビラテロンであり得る。一部の具体的な実施形態では、アビラテロンエステルは、ペンタン酸アビラテロン、ヘキサン酸アビラテロン、ヘプタン酸アビラテロン、デカン酸アビラテロン、イソカプロン酸アビラテロン、又はアビラテロンシピオネートであり得る。
【0216】
[0145]一部の実施形態では、式IIのRはまた、O-R20又はNHR20であり得、R20は、本明細書に定義される。
【0217】
[0146]典型的には、式I又はIIの化合物は、塩基形態で製剤に存在し得る。しかし、一部の実施形態では、式I又はIIの化合物の薬学的に許容できる塩もまた有用である。特にその塩形態と言わないか、又は別段内容から逆ではない限り、式I又はIIの化合物は、本明細書に記載されている医薬組成物においてその塩基形態であり得る。一部の実施形態では、式I又はIIの化合物は、実質的に純粋な形態であり得る。
【0218】
処置の方法
[0147]一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において本明細書に記載されている疾患又は障害を治療する方法を提供する。方法は、治療有効量の本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[1]~[37])又は本明細書に記載されているエマルジョン(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[82]~[90])を対象に経口投与するステップを典型的に含む。典型的には、経口投与は、CYP17A1の効果的な阻害並びに/又はアンドロゲン、エストロゲン、グルココルチコイド、プロゲステロン、及びミネラルコルチコイドのような対象における様々なステロイドホルモンレベルの調節を達成するのに十分な量のデカン酸アビラテロンを対象に送達する。
【0219】
[0148]米国特許第10,792,292B2号、並びに米国仮特許出願第63/073,502号及び同63/149,550号は、アビラテロンプロドラッグ、例えばデカン酸アビラテロンの非経口投与の様々な利点、例えばCYP17A1の持続的な阻害、持続的なPD効果、例えばプロゲステロンレベルの上昇、並びに最大で70日間又はそれより長いコルチゾール、ジヒドロテストステロン及びテストステロンレベルの低下、去勢の必要がないプロドラッグ又はテストステロンレベルを低下させるのに効果的であり一般的に十分な耐容性を示す、例えば試験した用量でのデカン酸アビラテロンの筋肉内投与から観察される肝臓毒性がない別の薬物の第1の投与に続く数日以内のテストステロンの低下を示す。本出願人の先行出願に詳細される通り、理論に拘束されることを望まないが、観察される持続的なPD効果は、アビラテロンによるCYP17A1の緩やかで堅い結合に部分的に起因し得、CYP17A1の不可逆的な阻害効果的に達成しており、例えば、Cheong E.J.Y.ら、J.Pharmacol.Exp.Ther.374:438~451頁(2020)を参照されたい。また理論に拘束されることを望まないが、アビラテロンプロドラッグの筋肉内投与が、アビラテロンの持続的で効果的な血漿レベル並びに例えば精巣に対するアビラテロン及びアビラテロンプロドラッグの好ましい組織分布の両方をもたらし、経口酢酸アビラテロン製剤(例えば、ザイティガ(登録商標))により達成されない血清ステロイドでの観察される効果に寄与し得ると考えられた。
【0220】
[0149]本明細書の実施例の節に示す通り、デカン酸アビラテロンの例示的な脂質ベースの製剤の経口投与は、少なくとも24時間又はそれより長いプロゲステロンレベルの上昇及びテストステロンレベルの低下により証明されるCYP17A1の阻害を同様に達成した。経口投与が、異なる投薬レジメンとしても、本出願の先行する筋肉内投与で観察されるのと類似する薬力学的効果を達成し得ると考えられる。同様に、本明細書の方法が、所望のテストステロンレベルを達成する去勢に依存しないので、去勢されることを望まない、及び/又は生殖腺テストステロンを抑制する薬物に対して感受性があるか、又はその他の形で薬物に不耐性である対象を少なくとも処置するために有利に使用することができるとも考えられる。デカン酸アビラテロンの経口投与が、一般的に十分な耐容性を示し、アビラテロンプロドラッグを投与する前に、肝機能障害、例えば中程度から重度の肝機能障害(チャイルドピュークラスB又はC)に罹患する対象を処置するのに使用することができるとさらに考えられる。
【0221】
[0150]ゆえに、一部の実施形態では、本明細書の経口製剤は、CYP17A1活性を阻害する、グルココルチコイドレベル、例えばコルチゾールレベルを低下させる、性ホルモンレベル、例えばアンドロゲン及び/若しくはエストロゲンのレベルを低下させる、並びに/又は高いグルココルチコイドレベル、例えばコルチゾールレベルに関連する障害を治療する、並びに/又は高い性ホルモンレベル、例えばアンドロゲン及び/若しくはエストロゲンのレベルに起因する障害を治療するのに有利に使用することができる。
【0222】
[0151]したがって、一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において本明細書に記載されている疾患又は障害を治療する方法であって、有効量の本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば概要の節の[1]~[37])を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において本明細書に記載されている疾患又は障害を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載されているエマルジョン(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[82]~[90])を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0223】
[0152]様々な疾患又は障害は、本明細書の方法で処置するのに好適である。例えば、一部の実施形態では、疾患又は障害は、性ホルモン依存性良性又は悪性障害、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及びグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば前立腺がん、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膀胱がん、肝細胞癌、肺がん、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、クッシング症候群、クッシング病、古典的又は非古典的な先天性副腎過形成、思春期早発症、男性型多毛症、及びその組合せから選択される疾患又は障害であり得る。
【0224】
[0153]一部の実施形態では、ホルモン依存性良性又は悪性障害は、アンドロゲン依存性障害及び/又はエストロゲン依存性障害、例えばアンドロゲン又はエストロゲン依存性がんであり得る。一部の実施形態では、性ホルモン依存性良性又は悪性障害は、前立腺がん又は乳がんであり得る。一部の実施形態では、性ホルモン依存性良性又は悪性障害は、CRPC又はCSPCである。一部の実施形態では、性ホルモン依存性良性又は悪性障害は、転移性CRPC又は転移性CSPCであり得る。一部の実施形態では、性ホルモン依存性良性又は悪性障害はまた、子宮内膜がん、卵巣がん、膀胱がん、肝細胞癌、又は肺がんであり得る。
【0225】
[0154]アンドロゲン過剰に起因する及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する様々な非腫瘍性症候群、例えば高コルチゾール血症、例えば、アンドロゲン過剰に起因する症候群、例えば子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、古典的若しくは非古典的な先天性副腎過形成、思春期早発症、男性型多毛症など、及び/又はコルチゾール過剰に起因する症候群、例えばクッシング症候群、クッシング病などはまた、本明細書の方法で処置することもできる。
【0226】
[0155]一部の具体的な実施形態では、本明細書の方法は、性ホルモン依存性又はアンドロゲン受容体誘発性がんを処置するためである。
【0227】
[0156]一部の実施形態では、性ホルモン依存性又はアンドロゲン受容体誘発性がんは、アンドロゲン受容体陽性唾液管癌、又はアンドロゲン受容体陽性多形性神経膠芽細胞腫であり得る。
【0228】
[0157]一部の実施形態では、性ホルモン依存性又はアンドロゲン受容体誘発性がんは、前立腺がん(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか)である。本明細書の方法で処置するのに好適な前立腺がんは、特に限定されず、アビラテロン又はその誘導体(特に酢酸アビラテロン)が、(例えば、米国若しくは欧州で)市販することが承認されているか、又はアビラテロン又はその誘導体(例えば、酢酸アビラテロン)が、本出願の出願日の時点で治験、例えばウェブサイトclinicaltrials.govに登録されている試験の期間中であるか、若しくは試験したことがある前立腺がんのいずれかを含むが、限定されない。例えば、一部の実施形態では、前立腺がんは、原発性/限局性前立腺がん(新たに診断されたか若しくは初期段階)、進行した前立腺がん(例えば再発性前立腺がん、局所進行した前立腺がんなどに対する去勢後)、再発性前立腺がん(例えば、主要な療法に応答しなかった前立腺がん)、非転移性去勢抵抗性前立腺がん、転移性前立腺がん、転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、又はホルモン感受性前立腺がんであり得る。一部の実施形態では、前立腺がんは、限局性前立腺がん、例えば、ハイリスクな限局性前立腺がんである。一部の実施形態では、前立腺がんを有する対象は、例えば根治的前立腺摘除に続く前立腺特異抗原の量の上昇を有すると特徴付けられる。一部の実施形態では、前立腺がんは、転移性去勢感受性前立腺がん、非転移性去勢感受性前立腺がん、非転移性去勢抵抗性前立腺がん、又は転移性去勢抵抗性前立腺がんである。一部の実施形態では、前立腺がんは、新たに診断されたハイリスクな転移性ホルモン感受性前立腺がんである。一部の実施形態では、前立腺がんは、転移性CRPC(mCRPC)であり、対象は、アンドロゲン剥奪療法の失敗の後で無症候性又は軽度な症候性であり、対象において化学療法が未だに臨床的に適応でない。一部の実施形態では、前立腺がんは、転移性CRPC(mCRPC)であり、対象の疾患は、タキサンに基づく化学療法レジメン、例えばドセタキセルに基づくか又はカバジタキセルに基づく化学療法レジメンにおいて、又は化学療法レジメンの後に進行している。一部の実施形態では、前立腺がんは、難治性前立腺がんである。本明細書で使用される場合、別段指定されない限り、成句「難治性前立腺がん」とは、抗がん処置に応答していない前立腺がん、又は抗がん処置に十分応答していない前立腺がんを意味する。難治性前立腺がんはまた、再発する前立腺がん又はぶり返す前立腺がんを含む。本明細書で使用される場合、別段指定されない限り、成句「ぶり返す前立腺がん」とは、一度は抗がん処置に応答したが、このような処置にもはや応答しなくなったか、又はこのような処置にもはや十分応答しない前立腺がんを意味する。本明細書で使用される場合、別段指定されない限り、成句「再発する(又は再発性)前立腺がん」とは、患者が前立腺がんと早期に診断され、処置を受けたか、又はがんが存在しないと事前に診断された後に再発している前立腺がんを意味する。
【0229】
[0158]一部の実施形態では、本明細書の方法はまた、乳がんを処置するのに使用することができる。本明細書の方法で処置するのに好適な乳がんは、特に限定されない。例えば、一部の実施形態では、乳がんは、分子アポクリンHER2陰性乳がん、転移性乳がん、例えばER+転移性乳がん、ER+及びHER2陰性乳がん、AR+トリプルネガティブ乳がんなどであり得る。
【0230】
[0159]一部の実施形態では、疾患又は障害は、21-ヒドロキシラーゼ欠損症に関連しており、本明細書の方法で処置することもできる。
【0231】
[0160]一部の実施形態では、本明細書の方法は、がん、例えば前立腺がん、乳がん、副腎がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、単クローン性免疫グロブリン血症、良性単クローン性免疫グロブリン血症、重鎖病、骨及び結合組織肉腫、脳腫瘍、甲状腺がん、膵がん、下垂体がん、眼がん、腟がん、外陰部がん、子宮頚部がん、子宮がん、子宮内膜がん、卵巣がん、食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、胆嚢がん、胆管癌、肺がん、精巣がん、陰茎がん、口腔がん、皮膚がん、腎がん、ウィルムス腫瘍、並びに膀胱がんを有する対象を処置するのに使用することができる。
【0232】
[0161]一部の実施形態では、本明細書の方法は、1つ又は複数の追加療法で対象を処置するステップを含み得る。例えば、一部の実施形態では、対象は、放射線療法でさらに処置される。一部の実施形態では、方法は、前立腺がんを処置するためであり、併用療法を含むが、これは、例えば、以下の本明細書に記載されている前立腺がんに対する併用処置と題する節で本明細書に記載されているように、対象に1つ又は複数の追加療法を対象に投与するステップをさらに含む。有用な追加療法の非限定例はまた、本明細書の概要の節の[50]~[54]及び[61]~[71]、[73]~[75]、及び[77]に記載されるもののいずれかを含む。
【0233】
[0162]本明細書の方法で処置されるのに好適な対象は、特に限定されず、疾患又は処置の様々な段階及び他の特徴での対象を含む。例えば、一部の実施形態では、対象は、非去勢対象であり得る。一部の実施形態では、対象は、去勢対象であり得る。一部の実施形態では、本明細書の方法はまた、対象が去勢されるか否かにかかわらず、本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書の概要の節の[1]~[37]のいずれか)を対象に投与することができる。一部の実施形態では、対象は、前立腺摘除を受けていない。一部の実施形態では、対象は、アビラテロンプロドラッグを投与する前に、肝機能障害、例えば中程度から重度の肝機能障害(チャイルドピュークラスB又はC)に罹患するとして特徴付けることができる。一部の実施形態では、対象は、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト及び/若しくはアゴニストに対して感受性があるか、又はその他の形でアンタゴニスト及び/若しくはアゴニストに不耐性であるとして特徴付けることができる。一部の実施形態では、対象は、本明細書の医薬組成物を投与する前に、化学療法を未実施であるか、又はホルモン療法を未実施であるとして特徴付けることができる。しかし、一部の実施形態では、対象はまた、本明細書の医薬組成物を投与する前に、化学療法又はホルモン療法で処置することもできる。例えば、一部の実施形態では、対象は、化学療法及び/又はホルモン療法、例えばタキサンに基づく化学療法レジメン、例えば、ドセタキセルに基づく又はカバジタキセルに基づく化学療法において、又はこれらの療法の後に進行している疾患又は障害(例えば、前立腺がん)を有し得る。本明細書に記載されている実施形態のいずれかでは、直接、逆ではない限り、対象は、ヒト対象であり得る。
【0234】
[0163]本明細書の方法のための好適な医薬組成物は、特に限定されず、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書に記載されているデカン酸アビラテロン製剤のいずれか、例えば概要の節に記載されるもののいずれかを含む。典型的には、医薬組成物は、製剤化して、単回経口投与に続く長期間(例えば、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間など)にわたって治療的に有効な血漿レベルのアビラテロンを対象に送達することができる。一部の実施形態では、治療的に有効な血漿濃度のアビラテロンは、少なくとも1ng/ml、例えば、少なくとも2ng/ml、少なくとも4ng/ml、少なくとも8ng/mlの濃度であり得る。一部の実施形態では、治療的に有効な血漿濃度のアビラテロンはまた、約0.5ng/ml以上であり得る。一部の実施形態では、治療的に有効な血漿濃度のアビラテロンはまた、約0.1ng/ml以上であり得る。医薬組成物は、食物と共に又は食物なしで対象に投与することができる。
【0235】
[0164]本明細書の方法に対する投薬の量及び頻度もまた、特に限定されず、本明細書に記載されているもののいずれかを含む。一般的に、医薬組成物は、1日1回から週に1回の範囲、例えば1日1回又は2日若しくは3日に1回、対象に投与される。各投与に対するデカン酸アビラテロンの投薬量は様々であり得、典型的には、対象の体重の0.5mg/kg~200mg/kg、例えば約0.5mg/kg~約200mg/kgの範囲である。
【0236】
ステロイドホルモンレベルを低下させる方法
[0165]本開示の一部の実施形態は、それを必要とする対象において血清ステロイドホルモンレベルを低下させる方法を指向している。
【0237】
[0166]一部の特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において血清テストステロンレベルを低下させる方法であって、本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節の[1]~[37])又は本明細書に記載されているエマルジョン(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[82]~[90])を対象に経口投与するステップを含む、方法を提供する。
【0238】
[0167]血清テストステロンレベルを低下させるための本明細書の方法で処置するのに好適な対象は、特に限定されない。例えば、一部の実施形態では、対象は、非去勢対象であり得る。一部の実施形態では、対象は、去勢対象であり得る。一部の実施形態では、本明細書の方法はまた、対象が去勢されるか否かにかかわらず、本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、本明細書の概要の節の[1]~[37])を対象に投与することができる。一部の実施形態では、血清及び/又は生殖腺テストステロンレベルを低下させるのに効果的である別の薬物は、アビラテロンプロドラッグの投与と同時に、アビラテロンプロドラッグでの処置の間、或いはアビラテロンプロドラッグでの処置と干渉して、対象に投与されない。例えば、一部の実施形態では、対象は、対象において血清テストステロンレベルを低下させるのに有効な量で、投与されたアビラテロンプロドラッグ以外の、生殖腺テストステロンを抑制する薬物で処置されない。一部の実施形態では、対象は、対象において血清テストステロンレベルを低下させるのに効果的な量でゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト及び/又はアゴニストで処置されない。一部の実施形態では、対象は、投与されたアビラテロンプロドラッグ以外の任意の生殖腺テストステロンを抑制する薬物で処置されない。一部の実施形態では、対象は、任意のゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト及び/又はアゴニストで処置されない。一部の実施形態では、対象は、ブセレリン、リュープロリド、デスロレリン、フェルチレリン、ヒストレリン、ゴナドレリン、レシレリン、ゴセレリン、ナファレリン、ペフォレリン及びトリプトレリンから選択される薬物で処置されない。一部の実施形態では、対象は、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、エラゴリクス、リンザゴリクス、及びレルゴリクスから選択される薬物で処置されない。一部の実施形態では、対象は、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト及び/若しくはアゴニストに対して感受性があり得るか、又はその他の形でアンタゴニスト及び/若しくはアゴニストに不耐性であり得る。一部の実施形態では、対象はまた、例えば本明細書に記載されている、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト及び/又はアゴニストで処置することができる。
[0168]テストステロンの低下を必要とする対象は、アンドロゲンで媒介されるか、又はアンドロゲンに関連する1つ又は複数の疾患又は障害に典型的に罹患する。例えば、一部の実施形態では、対象は、性ホルモン依存性がん又はアンドロゲン受容体誘発性がん、例えば、本明細書に記載されているもののいずれかを有するとして特徴付けられる。一部の実施形態では、対象は、アンドロゲン受容体陽性唾液管癌、又はアンドロゲン受容体陽性多形性神経膠芽細胞腫を有するとして特徴付けられる。一部の実施形態では、対象は、前立腺がん(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか)を有するとして特徴付けられる。例えば、一部の実施形態では、前立腺がんは、限局性前立腺がん、例えば、ハイリスクな限局性前立腺がんである。一部の実施形態では、対象は、前立腺摘除を受けていない。一部の実施形態では、対象は、放射線療法でさらに処置される。
【0239】
[0169]一部の実施形態では、本開示はまた、CYP17A1活性を阻害する、例えば17α-ヒドロキシラーゼ活性及び17,20-リアーゼ活性を阻害する方法であって、それを必要とする対象に本明細書の医薬組成物のいずれか(例えば、本明細書の概要の節の[1]~[37]のいずれか)を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、CYP17A1活性を阻害する、例えば17α-ヒドロキシラーゼ活性及び17,20-リアーゼ活性を阻害する方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載されているエマルジョン(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[82]~[90])を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、対象は、例えば本明細書に記載されている、性ホルモン依存性良性又は悪性障害に罹患する。一部の実施形態では、対象は、例えば本明細書に記載されている、アンドロゲン過剰に起因する症候群及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば高コルチゾール血症に罹患する。一部の実施形態では、対象は、本明細書に記載されている性ホルモン依存性がん又はアンドロゲン受容体誘発性がんに罹患する。方法に好適な医薬組成物、対象、投薬レジメン、及び投与経路は、任意の組合せで本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す方法に関連して記載されるもののいずれかを含む。
【0240】
[0170]したがって、一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象においてグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)のレベルを低下させる方法であって、本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書の概要の節の[1]~[37]のいずれか)のいずれかを対象に投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象においてグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)のレベルを低下させる方法であって、本明細書に記載されているエマルジョン(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[82]~[90])を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、対象は、グルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば本明細書に記載されている高コルチゾール血症、例えばクッシング症候群又はクッシング病に罹患する。方法に好適な医薬組成物、対象、投薬レジメン、及び投与経路は、任意の組合せで本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す方法に関連して記載されるもののいずれかを含む。
【0241】
[0171]一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象においてアンドロゲン(例えば、テストステロン)及び/又はエストロゲンのレベルを低下させる方法であって、本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書の概要の節の[1]~[37]のいずれか)のいずれかを対象に投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象においてアンドロゲン(例えば、テストステロン)及び/又はエストロゲンのレベルを低下させる方法であって、本明細書に記載されているエマルジョン(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す[82]~[90])を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、対象は、アンドロゲン受容体誘発性がんに罹患する。一部の実施形態では、対象は、アンドロゲン過剰に起因する症候群、例えば先天性副腎過形成(例えば、古典的又は非古典的な先天性副腎過形成)、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、思春期早発症、男性型多毛症などに罹患する。一部の実施形態では、対象は、がん、例えば前立腺がん又は乳がんに関連するアンドロゲン及び/又はエストロゲンに罹患する。一部の実施形態では、対象は、本明細書に記載されている性ホルモン依存性がんに罹患する。方法に好適な医薬組成物、対象、投薬レジメン、及び投与経路は、任意の組合せで本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節に示す方法に関連して記載されるもののいずれかを含む。
【0242】
[0172]医薬組成物又はエマルジョン中のデカン酸アビラテロンは、前立腺がんのような本明細書に記載されている疾患又は障害を治療するための治療有効量で典型的に含まれる。一部の実施形態では、デカン酸アビラテロンは、性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば高コルチゾール血症を有する対象への経口投与用の、1日1回から週に1回の範囲、例えば1日1回又は2日若しくは3日に1回の投薬頻度に好適な量で医薬組成物又はエマルジョンで存在し得る。
【0243】
併用処置
[0173]一部の実施形態では、本明細書の方法は、同じ投与経路又は異なる投与経路を通して、同時か又は逐次的かのいずれかで対象に1つ又は複数の他の薬物又は薬剤(例えば、別のがん化学療法薬、ホルモン補充薬、又はホルモンアブレーション薬)を投与するステップを含み得る。一部の実施形態では、他の薬物又は薬剤は、プレドニゾン、プレドニゾロン、及び/又はメチルプレドニゾロンのようなステロイドであり得る。一部の実施形態では、他の薬物又は薬剤は、パクリタキセル、ミトキサントロン、及び/又はドセタキセルのような化学療法薬であり得る。本明細書の方法の一部の実施形態では、他の薬剤又は薬物は、GnRHアゴニスト、例えばリュープロリド、デスロレリン、ゴセレリン、又はトリプトレリン、例えば、酢酸リュープロリド(例えば、長時間作用性のIM注射可能な製剤)であり得る。一部の実施形態では、他の薬剤又は薬物は、セオカルシトール、ビカルタミド、フルタミド、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、又はデキサメタゾンを含むが、限定されないグルココルチコイドであり得る。投与される他の薬物又は薬剤の量は、様々であり得、典型的には、単独か又は本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書の概要の節の[1]~[37]のいずれか)と組み合わせるかのいずれかで、それぞれの疾患又は障害(例えば、前立腺がん)を処置するのに効果的である量であり得る。
【0244】
[0174]追加の好適な他の薬物又は薬剤は、本明細書に記載されているものを含む。例えば、有用な他の薬物又は薬剤は、限定されないが、抗がん剤、ホルモンアブレーション剤、抗アンドロゲン剤、分化剤、抗新生物剤、キナーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗生剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤、挿入剤、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾物質、分裂阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、遺伝学的治療薬、及び抗アンドロゲンを含む。
【0245】
[0175]例えば、好適な抗がん剤は、アセマンナン、アクラシノン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミフォスチン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンセスチム、ベキサロテン、ブロクスウリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、ダクリズマブ、デクスラゾキサン、ジラゼプ、ドコサノール、ドキシフルリジン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、ジクロフェナク、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフール、エクセメスタン、エクシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、リン酸フルダラビン、フォルメスタン、フォテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムシタビン、ヘプタプラチン(heptaplatin)、イバンドロン酸、イミキモド、イオベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、レフルノミド、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レトロゾール、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、モルグラモスチム、ナファレリン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パミドロン酸、ペグアスパラガーゼ、ペントサン多硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ピシバニール、ピラルビシン、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ロムルチド、サルグラモスチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンアルファ、トポテカン、トレミフェン、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキセート、ウベニメクス、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビンを含むが、限定されない。好適な抗アンドロゲン剤は、ビカルタミド、フルタミド及びニルタミドを含むが、限定されない。好適な分化剤は、ポリアミン阻害剤;ビタミンD及びその類似体、例えばカルシトリオール、ドキセルカルシフェロール及びセオカルシトール;ビタミンAの代謝物、例えばATRA、レチノイン酸、レチノイド;短鎖脂肪酸;フェニルブチレート;並びに非ステロイド性抗炎症剤、チューブリン相互作用剤、トポイソメラーゼ阻害剤及び薬剤を含むが、限定されない抗新生物剤、アシトレチン、アルストニン、アモナフィド、アンフェチニル、アムサクリン、アンキノマイシン、抗新生物薬、アフィジコリングリシネート、アスパラギナーゼ、バッカリン、バトラシクリン、ベンフルロン、ベンゾトリプト、ブロモホスファミド(bromofosfamide)、カラセミド、塩酸カルメチゾール、クロロスルファキノキサロン(chlorsulfaquinoxalone)、クランフェヌル、クラビリデノン、クリスナトール、クラデルム(curaderm)、シタラビン、シトシチン(cytocytin)、ダカルバジン、ダテリプチニウム、ジヘマトポルフィリンエーテル、ジヒドロレンペロン、ジナリン、ジスタマイシン、ドセタキセル、エリプラビン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エルゴタミン、エトポシド、エトレチネート、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ゲンクアダフニン、ヘキサデシルホスホコリン、ホモハリングトニン、ヒドロキシ尿素、イルモフォシン、イソグルタミン、イソトレチノイン、ロイコレグリン、ロニダミン、メルバロン、メロシアニン誘導体、メチルアニリノアクリジン、ミナクチビン、ミトナフィド、ミトキドン、ミトキサントロン、モピダモール、モトレチニド、N-(レチノイル)アミノ酸、N-アシル化-デヒドロアラニン、ナファザトロム、ノコダゾール誘導体、オクトレオチド、オキザノシンク(oquizanocinc)、パクリタキセル、パンクラチスタチン、パゼリプチン、ピロキサントロン、ポリヘマトポルフィリン、ポリプレイック酸(polypreic acid)、プロビマン、プロカルバジン、プログルミド、ラゾキサン、レテルリプチン、スパトール、スピロシクロプロパン誘導体、スピロゲルマニウム、ストリポルジノン、スーパーオキシドディスムターゼ、テニポシド、タリブラスチン、トコトリエノール、トポテカン、ウクライン、硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビネストラミド(vinestramide)、ビノレルビン、ビントリプトール、ビンゾリジン、及びウィタノリド、p38阻害剤及びCDK阻害剤を含むキナーゼ阻害剤、TNF阻害剤、メタロマトリックスプロテアーゼ阻害剤(MMP)、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ及びエトリコキシブを含むCOX-2阻害剤、SOD模倣物又はαβ阻害剤を含むが、限定されない。好適な代謝拮抗剤は、5-FU-フィブリノゲン、アカンチホリン酸、アミノチアジアゾール、ブレキナールナトリウム、カルモフール、シクロペンチルシトシン、リン酸ステアリン酸シタラビン、シタラビン抱合体、デザグアニン、ジデオキシシチジン、ジデオキシグアノシン、ディドクス、ドキシフルリジン、ファザラビン、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5-フルオロウラシル、N-(2’-フラニジル)-5-フルオロウラシル、イソプロピルピロリジン、メトベンザプリム(methobenzaprim)、メソトレキセート、ノルスペルミジン、ペントスタチン、ピリトレキシム、プリカマイシン、チオグアニン、チアゾフリン、トリメトレキセート、チロシンキナーゼ阻害剤、及びウリシチン(uricytin)から選択され得るが、限定されない。好適なアルキル化剤は、アルドホスファミド類似体、アルトレタミン、アナキシロン、ベストラブシル(bestrabucil)、ブドチタン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シプラテート(cyplatate)、ジフェニルスピロムスチン、二白金細胞分裂阻害剤(diplatinum cytostatic)、エルムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、フォテムスチン、ヘプスルファム、イホスファミド、イプロプラチン、ロムスチン、マホスファミド、ミトラクトール、オキサリプラチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、スピロムスチン、タウロムスチン、テモゾロミド、テロキシロン、テトラプラチン、及びトリメラモールから選択され得るが、限定されない。好適な抗生剤は、アクラシノン、アクチノマイシンD、アクチノプラノン、アドリアマイシン、アエロプリシニン誘導体、アムルビシン、アントラサイクリン、アジノマイシンA、ビスカベリン、硫酸ブレオマイシン、ブリオスタチン1、カリケマイシン、クロモキシマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジトリサルビシンB、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ドキソルビシン-フィブリノゲン、エルサマイシンA、エピルビシン、アーブスタチン、エソルビシン、エスペラミシンA1、エスペラミシンA1b、ホストリエシン、グリドバクチン、グレガチンA、グリンカマイシン、ハービマイシン、コルチコステロイド、例えばヒドロコルチゾン、イダルビシン、イルジン、カズサマイシン、ケサリロジン、メノガリル、マイトマイシン、ネオエナクチン、オキサリシン、オキサウノマイシン、ペプロマイシン、ピラチン、ピラルビシン、ポロトラマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ピリンダニシン(pyrindanycin)A、ラパマイシン、リゾキシン、ロドルビシン、シバノミシン、シウェンマイシン、ソランジシンA、スパルソマイシン、タリソマイシン、テルペンテシン、ソラジン、トリクロザリンA、及びゾルビシンから選択され得るが、限定されない。好適なステロイドの非限定例は、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、又はデキサメタゾンを含む。
【0246】
前立腺がんに対する併用処置
[0176]前立腺がん処置は、多くの場合、例えば、放射線療法、外科手術、アンドロゲン剥奪療法、ホルモン療法、化学療法、免疫療法、及び様々な薬物の組合せを含む、多数の療法を含む。ウェブサイトclinicaltrials.govでの調査では、介入薬剤として列挙されているアビラテロン/酢酸アビラテロンで250を超える治験が同定されており、このような治験の多くは、前立腺がんを処置するための併用療法を含む。本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節の[1]~[37]のいずれ)はまた、酢酸アビラテロンの経口投与を置き換えるか又は補足する様々な併用療法で有利に使用することができる。
【0247】
[0177]方法が非去勢対象を処置する実施形態では、本明細書の方法は、対象の血清テストステロンレベルを低下させるのに効果的な量で、投与されたアビラテロンプロドラッグ以外の生殖腺テストステロンを抑制する薬物で対象を処置しない併用処置を含み得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書の方法は、任意のGnRHアゴニスト及びアンタゴニストで対象を処置しない併用処置を含み得る。
【0248】
[0178]一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において前立腺がん(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか)を併用療法で処置する方法であって、治療有効量の本明細書の医薬組成物(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか、例えば本明細書の概要の節の[1]~[37]のいずれ)、及び1つ若しくは複数の追加療法を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。1つ又は複数の追加療法は、本明細書の医薬組成物と同時に、又は医薬組成物と共に任意の順で逐次的に対象に投与することができ、同じ投与経路又は異なる投与経路を介することができる。一部の実施形態では、本発明の方法は、放射線療法又は外科手術で対象を処置するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、抗がん剤、ホルモンアブレーション剤、抗アンドロゲン剤、分化剤、抗新生物剤、キナーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗生剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤、挿入剤、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾物質、分裂阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、遺伝学的治療薬、又はその組合せから選択される1つ又は複数の他の薬剤を対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、化学療法薬、ホルモン補充薬、又はホルモンアブレーション薬から選択される1つ又は複数の他の薬剤を対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、アンドロゲン剥奪療法で対象を処置するステップを含む。以下の併用療法の多くが前立腺がんに対する様々な処置に関連して記載されるが、本開示はそのように限定されない。一部の実施形態では、以下に記載される併用療法はまた、本明細書に記載されている他のがんのような、本明細書に記載されている他の疾患又は障害の処置に使用することができる。
【0249】
[0179]より詳細な実施形態では、併用療法は、対象にグルココルチコイドを投与することを典型的に含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾンから選択される1つ又は複数の薬剤を対象に投与するステップを含む。しかし、一部の実施形態では、グルコココルチコイド補充療法(例えば、グルココルチコイド、例えばヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、又はデキサメタゾンを投与)は望ましくない。例えば、グルココルチコイドは、糖尿病のような根本的な状態を有し得る対象には禁忌であり得る。一部の実施形態では、方法はまた、対象がグルココルチコイド補充療法で処置されないことを特徴とし得る。一部の実施形態では、対象は、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾンから選択される薬剤で処置されない。一部の実施形態では、方法は、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、例えばエプレレノンを対象に投与するステップを含み得る。例えば、本明細書の実施形態のいずれかでは、グルコココルチコイド補充療法が望ましくないか及び/又は投与されない場合、方法は、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、例えばエプレレノンを対象に投与するステップを含み得る。
【0250】
[0180]本明細書の方法に対する併用療法はまた、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類似体を対象に投与することを介するようなアンドロゲン剥奪療法を含み得る。含まれる場合、併用療法に対する好適なGnRH類似体は、特に限定されず、GnRHアゴニスト及びGnRHアンタゴニストの両方を含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト、例えばブセレリン、リュープロリド、デスロレリン、フェルチレリン、ヒストレリン、ゴナドレリン、レシレリン、ゴセレリン、ナファレリン、ペフォレリン若しくはトリプトレリン、及び/又はGnRHアンタゴニスト、例えばアバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、エラゴリクス、リンザゴリクス、若しくはレルゴリクスを対象に投与するステップを含み得る。一部の実施形態では、対象は本明細書に記載されているGnRHアゴニスト及びGnRHアンタゴニストのいずれかを投与されない。
【0251】
アンドロゲン受容体活性の阻害
[0181]一部の実施形態では、併用療法は、例えばARアンタゴニスト又は薬剤でアンドロゲン受容体(AR)活性を低下させるために対象を処置すること、或いはAR活性を下方制御又は阻害することを含む。
【0252】
[0182]一部の実施形態では、方法は、アンドロゲン受容体(AR)アンタゴニストを対象に投与するステップを含み得る。様々なARアンタゴニストは、当該技術分野で知られており、第1及び第2世代ARアンタゴニスト(例えば、Rice、M.A.ら、Front Oncol.9:801頁(2019)を参照されたい)、並びに第3世代ARアンタゴニスト、例えばN末端ドメイン阻害剤を含むが、限定されない。一部の実施形態では、方法は、プロキサルトアミド、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、トピルタミドなどを含むが、限定されない、第1世代アンドロゲン受容体アンタゴニストを対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、例えばアパルタミド、ダロルタミド又はエンザルタミドを含むが、限定されない、第2世代アンドロゲン受容体アンタゴニストを対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、対象にアパルタミドを投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、対象にエンザルタミドを投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、第3世代アンドロゲン受容体アンタゴニスト、例えばN末端ドメイン阻害剤を対象に投与するステップを含む。N末端ドメイン阻害剤は当該技術分野で知られている。有用な非限定例は、米国出願公報第2020/0123117号に記載されるもののいずれかを含み、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。ARアンタゴニストが投与される実施形態では、1つ又は複数のこのようなアンタゴニストを投与することができ、単独で又は任意の組合せで、第1、第2、又は第3のARアンタゴニストから選択され得ることは留意すべきである。
【0253】
[0183]アンドロゲン受容体を直接標的化する薬剤に加えて、例えば、上流キナーゼ活性及び/又はアンドロゲン受容体転写活性の調節を含む、アンドロゲン受容体活性を調節する他の方法及び/又は薬剤はまた、本明細書の併用療法で使用することができる。例えば、一部の実施形態では、併用療法は、1つ又は複数の上流キナーゼ調節因子を対象に投与することを含み得、上流キナーゼ調節因子の活性化又は阻害は、AR活性を低下させることができる。このような上流キナーゼは、例えば、Shah、K.及びBradbury、N.A.、Cancer cell microenviron.2(4):doi:10.14800/ccm.1023(2015)、並びにKoul H.K.ら、Genes&Cancer 4(9~10):342~359頁(2013)に記載されるように、当該技術分野で知られている.一部の実施形態では、方法は、FLT-3(FMS様チロシンキナーゼ)阻害剤、AXL(アネクセレクト)阻害剤(例えば、ギルテリチニブ)、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤、例えばCDK1、2、4、5、6、7、又は9阻害剤、網膜芽細胞腫(Rb)阻害剤、タンパク質キナーゼB(AKT)阻害剤、SRC阻害剤、IカッパBキナーゼ1(IKK1)阻害剤、PIM-1調節因子、レムールチロシンキナーゼ2(LMTK2)調節因子、Lyn阻害剤、オーロラA阻害剤、ANPK(核タンパク質キナーゼ)阻害剤、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)調節因子、c-jun N末端キナーゼ(JNK)調節因子、ビッグMAPキナーゼ(BMK)調節因子、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)調節因子、及びその組合せから選択される1つ又は複数のキナーゼ調節因子を対象に投与するステップを含む。好適なキナーゼ調節因子/阻害剤は、特に限定されず、知られているもののいずれか、例えば、小分子薬物、モノクローナル抗体のような抗体又はその抗原結合断片を含むポリペプチド、RNA又はDNAに基づく薬剤を含む。
【0254】
[0184]一部の実施形態では、併用療法は、ARを下方制御するか、又はその他の形でAR活性を阻害する薬剤を対象に投与することを含み得る。理論に拘束されることを望まないが、AR活性は、転写及び/若しくは翻訳(例えば、RNAサイレンシング剤(例えば、アンチセンス、siRNA、shRNA、マイクロRNA)、リボザイム及びDNAザイム)と干渉する様々な分子を使用する、ARそれ自体のゲノム及び/若しくは転写レベル、若しくはAR活性を調節する役割を担うARの上流標的及びARにより調製される下流標的のゲノム及び/若しくは転写レベルに、又は例えば、アンタゴニスト、ポリペプチドを切断する酵素、タンパク質の活性(例えば、競合的リガンド)と干渉する小分子などを使用するタンパク質レベルに影響を及ぼし得る。
【0255】
[0185]一部の実施形態では、ARの下方制御又はAR活性の阻害は、標的遺伝子(例えば、本明細書に記載されているAR又はARの好適な上方及び下方標的など)のRNAサイレンシングを通して達成することができる。本明細書で使用される場合、成句「RNAサイレンシング」とは、対応するタンパク質コード遺伝子の発現の阻害又は「サイレンシング」をもたらすRNA分子により媒介される一群の調節機構(例えば、RNA干渉(RNAi)、転写遺伝子サイレンシング(TGS)、転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)、クェリング、共抑制、及び翻訳抑制)を指す。RNAサイレンシングは、植物、動物、及び真菌を含む、多くの種類の生物で観察されている。
【0256】
[0186]本明細書で使用される場合、用語「RNAサイレンシング剤」とは、標的遺伝子の発現を特異的に阻害又は「サイレンシング」することが可能であるRNAを指す。一部の実施形態では、RNAサイレンシング剤は、転写後サイレンシング機構を通してmRNA分子の完全なプロセッシング(例えば、完全翻訳及び/又は発現)を防止することが可能である。RNAサイレンシング剤は、非コードRNA分子、例えば、対らせん構造を含むRNA二重鎖、並びにこのような小さい非コードRNAを産生することができる前駆体RNAを含む。例示的なRNAサイレンシング剤は、二本鎖RNA(dsRNA)、例えば短鎖干渉RNA(siRNA)、miRNA、及びshRNAを含む。一実施形態では、RNAサイレンシング剤は、RNA干渉を誘導することが可能である。別の実施形態では、RNAサイレンシング剤は、翻訳抑制を媒介することが可能である。二本鎖干渉RNA(例えば、siRNA)のらせん構造は結合して、ヘアピン又はステムループ構造(例えば、shRNA又はsh-RNA)を形成する。ゆえに、記載した通り、本開示の一部の実施形態のRNAサイレンシング剤はまた、ショートヘアピンRNA(shRNA)でもあり得る。
【0257】
[0187]本開示の一部の実施形態のRNAサイレンシング剤が、RNAのみを含有するこれらの分子に限定される必要はないが、化学的に修飾したヌクレオチド及び非ヌクレオチドをさらに包含すると理解される。
【0258】
[0188]一部の実施形態では、本明細書に提供されるRNAサイレンシング剤は、細胞透過性ペプチドと機能的に関連し得る。本明細書で使用される場合、「細胞透過性ペプチド」は、細胞の血漿及び/又は核膜を通した膜透過性錯体の輸送に関連するエネルギー非依存性(すなわち、非エンドサイトーシス性)転座特性を付与する短い(約12~30個の残基の)アミノ酸配列又は機能的モチーフを含むペプチドである。
【0259】
[0189]別の実施形態によると、RNAサイレンシング剤は、miRNA又はその模倣物であり得る。用語「microRNA」、「miRNA」、及び「miR」は同義であり、約19~28ヌクレオチド長の非コード一本鎖RNA分子の集合を指し、遺伝子発現を調節する。miRNAは、広範囲の生物で見出され、発症、ホメオスタシス、及び疾患の病因で役割を担うことが示されている。用語「マイクロRNA模倣物」とは、RNAi経路に入り、遺伝子発現を調節することが可能である合成非コードRNAを指す。miRNA模倣物は、内因性マイクロRNA(miRNA)の機能を模倣し、成熟した二本鎖分子又は模倣前駆体(例えば、又はプレmiRNA)として設計され得る。
【0260】
[0190]ARの下方制御又はAR活性の阻害はまた、標的遺伝子(例えば、本明細書に記載されているAR又はARの好適な上方及び下方標的など)の遺伝子編集により達成することができる。遺伝子編集は、例えば、クラスター化した規則的な間隔の短いパリンドロームリピートCRISPR-CAS9システムで実行することができる。CRISPR-CAS9システムは文献に記載されており、例えば、CAS9及びガイドRNAを含み得る。他の遺伝子編集技術もまた文献に記載されており、使用することもできる。
【0261】
[0191]標的(例えば、本明細書に記載されているAR又はARの好適な上方及び下方標的など)を下方制御することが可能である別の薬剤は、標的のmRNA転写物又はDNA配列を特に切断することが可能であるDNAザイム分子である。DNAザイムは、一本鎖及び二本鎖の両方の標的配列を切断することが可能である一本鎖ポリヌクレオチドである(Breakerら、Chemistry and Biology 1995年;2:655頁;Santoroら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1997年;943:4262頁)。DNAザイムに対する一般的なモデル(「10-23」モデル)が提案されている。「10-23」DNAザイムは、各々7~9個のデオキシリボヌクレオチドの2つの基質認識ドメインに挟まれた、15個のデオキシリボヌクレオチドの触媒ドメインを有する。この種類のDNAザイムは、プリン:ピリミジン接合でその基質RNAを効果的に切断することができる(Santoroら、Khachigian、Curr.Opin.Mol.Ther.2002年;4:119~121頁)。
【0262】
[0192]標的(例えば、本明細書に記載されているAR又はARの好適な上方及び下方標的など)の下方制御はまた、標的をコードするmRNA転写物と特にハイブリダイズすることが可能であるアンチセンスポリヌクレオチドを使用することにより影響を及ぼされ得る。
【0263】
[0193]標的(例えば、本明細書に記載されているAR又はARの好適な上方及び下方標的など)を下方制御することが可能である別の薬剤は、標的をコードするmRNA転写物を特に切断することが可能であるリボザイム分子である。リボザイムは、目的のタンパク質をコードするmRNAの切断による遺伝子発現の配列特異的阻害にますます使用されている(Welchら、Curr.Opin.Biotechnol.1998年;9:486~96頁)。
【0264】
[0194]標的(例えば、本明細書に記載されているAR又はARの好適な上方及び下方標的など)を下方制御することが可能である別の薬剤は、標的に結合する及び/又は標的を切断する任意の分子である。このような分子は、標的のアンタゴニスト又は標的の阻害ペプチドであり得る。
【0265】
[0195]標的(例えば、本明細書に記載されているAR又はARの好適な上方及び下方標的など)を下方制御する本開示の一部の実施形態と共に使用することができる別の薬剤は、標的の活性化及び/又は基質の結合を防ぐ分子である。
【0266】
[0196]ARを下方制御するか、又はARの活性を阻害する本開示の一部の実施形態と共に使用することができる別の薬剤は、アンドロゲン受容体分解剤、例えばタンパク質分解誘導キメラ分子(PROTAC)技術に基づくものである。例えば、Kregel、S.ら、Neoplasia 22(2):111~119頁(2020)を参照されたい。
【0267】
[0197]標的(例えば、本明細書に記載されているAR又はARの好適な上方及び下方標的など)を下方制御する本開示の一部の実施形態と共に使用することができる別の薬剤は、標的の転写活性、より詳細にはARの転写活性の活性化を抑制又は下方制御するものである。例えば、このような薬剤は、ARの核移行と干渉するか、ARのタンパク質レベルを下方制御するか、ARへのホルモン結合を低下させるか、転写補助因子(例えば、ステロイド受容体活性化補助因子1(SRC1)及び転写中間因子2(TIF2))の動員と干渉するか、AR-DNA結合、例えば特異的DNA応答要素(ARE若しくはアンドロゲン応答要素)への結合と干渉するか、AR標的遺伝子エンハンサーへのAR動員を阻害するか、並びに/又はARクロマチン結合を阻害するかなど、又はその他の形でDNA結合依存性又は非DNA結合依存性ARシグナル伝達経路を阻害することができる。AR転写活性を阻害するか、又は活性と干渉することができる好適な薬剤は、当該技術分野で知られているもののいずれか、及びこのような活性を阻害するか、又は活性と干渉することが可能である本明細書に例示されるこれらの薬剤のいずれかを含む。例えば、ある特定のARアンタゴニスト、例えば第1世代ARアンタゴニスト(例えば、ビカルタミド)は、ARの核移行を阻害することによりAR転写活性を阻害することが知られている。他の薬剤、例えばヒ素化合物(例えば、三酸化ヒ素)もまた、ARの転写活性を阻害することが知られている。例えば、Rosenblatt A.E.ら、Mol.Endocrinol.23(3):412~421頁(2009)を参照されたい。
【0268】
[0198]一部の実施形態では、併用療法は、1つ又は複数の化学療法剤を対象に投与することを含み得る。好適な化学療法剤は、当該技術分野で知られているもののいずれかを含む。一部の実施形態では、方法は、タキサンに基づく化学療法剤(例えば、ドセタキセル、カバジタキセル、パクリタキセルなど)及び/又は白金に基づく化学療法剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンなど)を対象に投与するステップを含む。
【0269】
[0199]一部の実施形態では、併用療法は、放射線療法で対象を処置することを含み得る。好適な放射線療法は、当該技術分野で知られているもののいずれかを含む。一部の実施形態では、方法は、体幹部定位放射線療法又は中性子照射で対象を処置するステップを含む。
【0270】
[0200]一部の実施形態では、併用療法は、ラジウム223、例えば、ゾーフィゴ(ラジウム223二塩化物)の注射で対象を処置することを含み得る。
【0271】
[0201]一部の実施形態では、併用療法は、1つ又は複数の免疫療法を対象に投与することを含み得る。好適な免疫療法は、当該技術分野で知られているもののいずれかを含む。一部の実施形態では、方法は、シプリューセル-Tを対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与するステップを含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、抗PD-1抗体、例えばペムブロリズマブ若しくはニボルマブ、及び/又は抗PD-L1抗体、例えばアベルマブ若しくはアテゾリズマブを対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、抗CTLA-4抗体、例えばイピリムマブを対象に投与するステップを含む。
【0272】
[0202]一部の実施形態では、併用療法は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)療法、例えばブリナツモマブ又はソリトマブを対象に投与することを含み得る。
【0273】
[0203]一部の実施形態では、併用療法は、1つ又は複数のポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、前立腺がんを有する対象はまた、DNA修復欠損を有する。一部の実施形態では、前立腺がんを有する対象は、DNA修復欠損を有していない。好適なPARP阻害剤は、当該技術分野で知られているもののいずれかを含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、ニラパリブ、ルカパリブ、オラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、及びフルゾパリブから選択されるPARP阻害剤を対象に投与するステップを含む。
【0274】
[0204]一部の実施形態では、併用療法は、1つ又は複数のキナーゼ阻害剤を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、対象は、異常レベルのそれぞれのキナーゼを有するとして特徴付けられる。一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、アンドロゲン受容体の活性を低減し得るか、又はその他の形でがん処置に有益であり得る。好適なキナーゼ阻害剤は、当該技術分野で知られているもののいずれかを含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、スニチニブ、ダサチニブ、カボザンチニブ、エルダフィチニブ、ドビチニブ、カピバセルチブ、オンバンセルチブ、イパタセルチブ、アフレセルチブ、アリセルチブ、アピトリシブ、及びオパガニブから選択されるキナーゼ阻害剤を対象に投与するステップを含む。
【0275】
[0205]一部の実施形態では、併用療法は、1つ又は複数の骨保護剤を対象に投与することを含み得る。このような実施形態では、典型的には、対象は、骨転移を伴う前立腺がん(例えば、CRPC)を有するとして特徴付けられる。好適な骨保護剤は、当該技術分野で知られているもののいずれかを含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、デノスマブ及びゾレドロン酸から選択される骨保護剤を対象に投与するステップを含む。
【0276】
[0206]一部の実施形態では、併用療法は、前立腺がんを処置するのに有用である1つ又は複数の追加薬剤を、単独で又は本明細書のアビラテロンプロドラッグのようなアビラテロン薬と組み合わせて、対象に投与することを含み得る。このような追加薬剤は特に限定されない。例えば、一部の実施形態では、方法は、1)抗IL23標的化モノクローナル抗体、例えば、チルドラキズマブ;2)セレニウム、例えば亜セレン酸ナトリウム;3)EZH2阻害剤、例えば、CPI-1205、GSK2816126、又はタゼメトスタット;4)CDK4/6阻害剤、例えば、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ;6)ブロモドメイン及びエクストラ末端ドメイン(BET)阻害剤、例えば、CCS1477、INCB057643、アロブレシブ、ZEN-3694、又はモリブレシブ(GSK525762);7)抗CD105抗体、例えば、TRC105又はカロツキシマブ;8)ニクロサミド;9)A2A受容体アンタゴニスト、例えば、AZD4635;10)ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、例えば、AZD-8186、ブパルリシブ、又はダクトリシブ;11)さらなる非ステロイド性CYP17A1阻害剤、例えばセビテロネル;12)抗プロゲストゲン、例えば、オナプリストン;13)ナビトクラクス;14)HSP90阻害剤、例えば、オナレスピブ(AT13387);15)HSP27阻害剤、例えば、OGX-427;16)5-アルファ-レダクターゼ阻害剤、例えば、デュタステリド;17)メトホルミン;18)AMG-386;19)デキストロメトルファン;20)テオフィリン;21)ヒドロキシクロロキン;並びに22)レナリドミドから選択される治療剤を対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、併用療法は、FLT-3(FMS様チロシンキナーゼ)阻害剤、AXL(アネクセレクト)阻害剤(例えば、ギルテリチニブ)、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤、例えばCDK1、2、4、5、6、7、又は9阻害剤、網膜芽細胞腫(Rb)阻害剤、タンパク質キナーゼB(AKT)阻害剤、SRC阻害剤、IカッパBキナーゼ1(IKK1)阻害剤、PIM-1調節因子、レムールチロシンキナーゼ2(LMTK2)調節因子、Lyn阻害剤、オーロラA阻害剤、ANPK(核タンパク質キナーゼ)阻害剤、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)調節因子、c-jun N末端キナーゼ(JNK)調節因子、ビッグMAPキナーゼ(BMK)調節因子、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)調節因子、及びその組合せから選択される1つ又は複数のキナーゼ調節因子を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、細胞療法、例えばセントラルメモリーT細胞を含むT細胞媒介性細胞療法はまた、併用療法の一部であり得る。
【0277】
[0207]一部の実施形態では、併用療法は、1)オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブを含むが、限定されない、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤;2)エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、ODM-204、TAS3681を含むが、限定されない、アンドロゲン受容体リガンド結合ドメイン阻害剤;3)ガレテロン、アビラテロン、酢酸アビラテロンを含むが、限定されない、CYP17の追加の阻害剤;4)ドセタキセル、パクリタキセル、カバジタキセル(XRP-6258)を含むが、限定されない、微小管阻害剤;5)ペムブロリズマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブを含むが、限定されない、PD-1又はPD-L1の調節因子;6)酢酸シプロテロン、リュープロリドを含むが、限定されない、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト;7)フィナステリド、デュタステリド、ツロステリド、ベクスロステリド、イゾンステリド、FCE28260、SKF105,111を含むが、限定されない、5-アルファレダクターゼ阻害剤;8)ベバシズマブ(アバスチン)を含むが、限定されない、血管内皮成長因子阻害剤;9)OSU-HDAC42を含むが、限定されない、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;10)VITAXINを含むが、限定されない、インテグリンアルファ-v-ベータ-3阻害剤;11)スニチニブを含むが、限定されない、受容体チロシンキナーゼ阻害剤;12)アルペリシブ、ブパルリシブ、イデラリシブを含むが、限定されない、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤;13)クリゾチニブ、アレクチニブを含むが、限定されない、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤;14)ZD-4054を含むが、限定されない、エンドセリン受容体Aアンタゴニスト;15)MDX-010(イピリムマブ)を含むが、限定されない、抗CTLA4阻害剤;16)OGX427を含むが、限定されない、熱ショックタンパク質27(HSP27)阻害剤;17)ARV-330、ARV-110を含むが、限定されない、アンドロゲン受容体分解剤;18)VPC-14449を含むが、限定されない、アンドロゲン受容体DNA結合ドメイン阻害剤;19)BI-894999、GSK525762、GS-5829を含むが、限定されない、ブロモドメイン及び末端外モチーフ(BET)阻害剤;20)シントカミドを含むが、限定されない、アンドロゲン受容体N末端ドメイン阻害剤;21)ラジウム233又はその塩を含むが、限定されない、アルファ粒子放出放射性治療剤;22)ニクロサミド;又は関連するその化合物;23)タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、ピピンドキシフェン、ラソフォキシフェン、エンクロミフェンを含むが、限定されない、選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM);24)フルベストラント、ZB716、OP-1074、エラケストラント、AZD9496、GDC0810、GDC0927、GW5638、GW7604を含むが、限定されない、選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD);25)アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾールを含むが、限定されない、アロマターゼ阻害剤;26)ミフェプリストン、ロナプリソン(lonaprison)、オナプリストン、アソプリスニル、ロナプリスニル(lonaprisnil)、ウリプリスタル、テラプリストンを含むが、限定されない、選択的プロゲステロン受容体調節因子(SPRM);27)ミフェプリストン、COR108297、COR125281、ORIC-101、PT150を含むが、限定されない、グルココルチコイド受容体阻害剤;28)パルボシクリブ、アベマシクリブ、リボシクリブを含む、CDK4/6阻害剤;29)トラスツズマブ、ネラチニブを含むが、限定されない、HER2受容体アンタゴニスト;並びに30)エベロリムス、テムシロリムスを含むが、限定されない、ラパマイシン(mTOR)阻害剤の哺乳動物標的から選択される1つ又は複数の薬剤を対象に投与することを含み得る。
【0278】
[0208]本発明の併用療法は、任意の具体的な数の追加療法に特に限定されていない。例えば、本明細書の医薬組成物、並びに任意選択のグルココルチコイド、例えばヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾンを投与することに加えて、併用療法は、追加の1、2、3、4、5、6個、又はそれ以上の本明細書に記載されている療法を典型的に含み得る。例えば、一部の実施形態では、併用療法は、1つの追加療法、例えば、本明細書に記載されているもののいずれか1つ、例えば、GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニスト、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、化学療法、PARP阻害剤、キナーゼ阻害剤、免疫療法、放射線療法、外科手術、アンドロゲン剥奪療法などを含み得る。一部の実施形態では、併用療法は、本明細書に記載されている2つ以上の追加療法を含み得る。例えば、一部の特定の実施形態では、併用療法は、PARP阻害剤及びアンドロゲン剥奪療法を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、併用療法は、GnRHアゴニスト及び放射線療法を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、併用療法は、GnRHアゴニスト、化学療法剤、及び放射線療法を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、併用療法は、アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、第1、第2、及び/又は第3世代ARアンタゴニスト)、GnRHアゴニスト、並びに任意選択で放射線療法、化学療法剤、インドメタシン、又は5-アルファレダクターゼ阻害剤を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、併用療法は、アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、第1、第2、及び/又は第3世代ARアンタゴニスト)並びに放射線療法を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、併用療法は、アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、第1、第2、及び/又は第3世代ARアンタゴニスト)並びに化学療法剤を対象に投与することを含み得る。一部の実施形態では、併用療法は、アンドロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、第1、第2、及び/又は第3世代ARアンタゴニスト)並びに抗CTLA4抗体を対象に投与することを含み得る。論じられるこれらの組合せが、有用な組合せの例であり、限定するものではなく、本明細書に記載されている追加療法の他の組合せも可能であると理解すべきである。
【0279】
[0209]一部の実施形態では、本明細書の前立腺がん(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか)を処置する方法が、併用療法と組み合わせないことは留意すべきである。例えば、方法は、1つ又は複数の本明細書に記載されている追加療法を伴わずに、治療有効量の本明細書の医薬組成物を対象に投与するステップを含む。
【0280】
[0210]本明細書の医薬組成物は、アビラテロンの唯一の供給源としてそれを必要とする対象に投与することができる。しかし、一部の実施形態では、他のアビラテロン薬/製剤は除外されない。例えば、一部の実施形態では、本明細書に投与することは、同時に又は任意の順で逐次的にのいずれかで、酢酸アビラテロン、例えばザイティガ(登録商標)製剤の経口投与と組み合わせることができる。一部の実施形態では、対象は、既存のアビラテロン療法に対する補足として本明細書の医薬組成物を使用することができる。
【0281】
[0211]本明細書に提供されるのは、性ホルモン依存性良性又は悪性障害、例えば前立腺がんの対象を処置するための製剤、方法、及びキットである。また提供されるのは、例えば、性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害(例えば前立腺がん)、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば高コルチゾール血症を有する対象を処置するのに有用な製剤を調製するための方法である。ここで、代表的な実施形態を詳細に説明し、その例は添付の図面に図示する。
【0282】
[0212]用語「対象」とは、本明細書で使用される場合、性ホルモン依存性良性又は悪性障害、例えばアンドロゲン依存性障害又はエストロゲン依存性障害(前立腺がん及び乳がんを含む)、アンドロゲン受容体誘発性がんに対する化学療法を受けることが必要か又は可能な動物又はヒト、アンドロゲン過剰に起因する非腫瘍性症候群、例えば子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、先天性副腎過形成(例えば、古典的若しくは非古典的な先天性副腎過形成)、思春期早発症、男性型多毛症など、及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば高コルチゾール血症、例えばクッシング症候群若しくはクッシング病に対する療法を受けることが必要か又は可能な動物又はヒトを意味するが、限定されない。好ましい実施形態では、対象は、ヒト対象である。
【0283】
[0213]用語「他の薬物又は薬剤」とは、本明細書で使用される場合(例えば、少なくとも1つのアビラテロンプロドラッグ製剤を含む少なくとも1つの他の薬物又は薬剤の投与前、投与と同時に、及び投与後に言及する場合)、製剤(複数可)の効能を向上させるか、製剤(複数可)の望ましくない副作用(複数可)を軽減するか、又は特定の障害の処置を改善することが可能である少なくとも1つの他の化合物、製剤、分子、生物学的製剤などを意味する。このような「他の薬物又は薬剤」の任意の好適な投与経路、例えば、経口投与、非経口投与などを使用することができる。性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害(例えばアンドロゲン依存性障害若しくはエストロゲン依存性障害)、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰症候群に起因する症候群、及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば高コルチゾール血症を有する対象を処置する分野の当業者は、意図する目的(複数可)に対してこのような「他の薬物又は薬剤」をどのように選択し、使用するかを知っており、理解している。
【0284】
[0214]製剤は、調節放出デバイス又は方法を介して任意選択で投与することができる。用語「調節放出」は、本明細書で使用される場合、遅延放出、長期若しくは長期間放出、持続放出、又は標的放出などを包含するとして理解すべきである。例えば、一部の実施形態では、調節放出デバイス又は方法は、本開示のプロドラッグ及び製剤のアビラテロンの放出をさらに長期化することができる。一部の実施形態では、調節放出デバイス又は方法はまた、投与の直後よりも後の時点で薬剤又は製品(例えば、薬物又は生物学的製剤)を放出することが可能である任意のデバイス又は方法も含むことができる(例えば、インプラントを含むことができる)。様々な調節放出デバイスは、記載されており(Stubbeら、Pharm.Res.21:1732頁、2004年)、代表的な実施形態に適用可能であり得る。調節放出デバイス又は方法は、対象の利益に対する最良の判断の全ての基準及び使用を考慮した後、当業者による過度の実験を伴わずに同定し、利用することができる。
【0285】
[0215]実施形態の製剤及び薬剤は、前立腺がんを有する対象において、薬理学的又は生理学的に許容でき、例えば前立腺腫瘍組織及び異常若しくは悪性前立腺細胞の存在を低減又は排除するのに効果的な量で投与される。同様に、実施形態の製剤及び薬剤は、予防又は治療有効量で、単独で又は他の治療剤若しくは治療様式(例えば、放射線療法及び外科手術)と組み合わせて投与されるが、予防又は治療有効量は、意図した予防又は治療目的を満たし、このような製剤及び薬剤の投与から利用可能となる利点をもたらす量として理解すべきである。
【0286】
[0216]用語「有効量」、「有効用量」及び「治療的血漿濃度」とは、本明細書で使用される場合、障害、疾患又は状態の発症、存在又は進行を処置するか、遅延させるか、ゆっくりにするか、阻害するか、又は排除することが可能である量、用量、又は濃度を意味するが、限定されない。例えば、「有効量」、「有効用量」又は「治療的血漿濃度」は、前立腺がんを有する対象において、前立腺腫瘍組織及び異常若しくは悪性前立腺細胞の存在を軽減又は排除することが可能であり、疾病を(分的若しくは完全に)治癒するか、又は障害、疾患若しくは状態の発症若しくはさらなる拡大を防ぐのに十分である。さらに例えば、製剤の有効量とは、腫瘍負荷の臨床的に有意な軽減を達成するための、単独で又は他の治療剤若しくは治療様式(例えば、放射線療法及び外科手術)と組み合わせて投与される量を指す。当業者は、いつ腫瘍負荷の臨床的に有意な軽減(又は性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害若しくは本明細書に記載されている別の障害若しくは症候群の改善)が、製剤の投与に続いて起こっているかを理解する。「有効量」、「有効用量」又は「治療的血漿濃度」は、対象に臨床的に有害ではなく、いずれの場合も、いずれの有害な副作用より利点が上回る、量、投与量、又は濃度であると理解される。一例に過ぎないが、デカン酸アビラテロン製剤の有効量又は用量とは、本明細書の医薬組成物の経口投与に続いて、対象においてアビラテロンの少なくとも1ng/ml、例えば、少なくとも1ng/ml、少なくとも2ng/ml、少なくとも4ng/ml、又は少なくとも8ng/mlの血漿濃度を達成することが可能である量を意味し、有効な血漿濃度は、投与に続いて12時間以上、好ましくは24時間以上で達成される。
【0287】
[0217]一般的に、本開示による製剤の投与の投与量の範囲は、所望の効果(複数可)を生じるものである。投与される有用な投与量は、処置される対象の年齢、体重及び健康、投与の様式、経路及びスケジュール、個々の対象の応答、並びに製剤での処置が求められる前立腺がんの種類若しくは病期分類(又は性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害若しくは本明細書に記載されている別の症候群若しくは障害の重症度)によって様々である。投与量はまた、主要な腫瘍及び他の根本的な状態の性質又は重症度、疫学的状態、他の有効な化合物の同時使用、並びに投与経路によって様々である。加えて、投与量は、局所的な過敏症、全身の有害作用、及び免疫寛容のような任意の有害な副作用の存在により決定される。
【0288】
[0218]製剤(及び他の薬剤(複数可))の有効用量は、対象の利益に対する最良の判断の全ての基準及び使用を考慮した後、当業者による過度の実験(例えば、薬物動態試験)を伴わずに決定することができる(最も多くの場合、利用される特定の製剤に左右される)。投与される投与量は、いずれかの事象ではなく、特定の場合に依存し、性ホルモン依存性良性若しくは悪性障害(例えば前立腺がん)、アンドロゲン受容体誘発性がん、アンドロゲン過剰に起因する症候群、及び/又はグルココルチコイド過剰に起因する症候群、例えば高コルチゾール血症に対する臨床的な利点又は改善を誘導するのに十分な量である。
【0289】
[0219]実施形態の製剤及び薬剤は、任意選択で、1つ又は複数の薬学的に許容できる担体、賦形剤、若しくは添加剤と組み合わせて投与され得る(か、又は含み得る)。製剤、投与技術、医薬組成物、医薬組成物を調製する方法、並びに薬学的に許容できる担体、賦形剤、及び添加剤は、当該技術分野で知られており、例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」(以前の「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、University of the Sciences in Philadelphia、Lippincott、Williams&Wilkins、Philadelphia、Pa.(2005))に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0290】
[0220]本明細書で使用される略語は、化学的及び生物学的な分野内での従来の意味を有する。
【0291】
[0221]見出し及び小見出しは、利便性及び/又は正式な遵守のみに使用され、対象技術を限定せず、対象技術の説明の解釈に関連して言及しない。対象開示の1つの見出し又は1つの小見出しで記載される特徴は、様々な実施形態では、他の見出し又は小見出しで記載される特徴と組み合わせることができる。さらに、単一の見出し又は単一の小見出しにおける全ての特徴が実施形態と共に必ずしも使用されるとは限らない。
【0292】
[0222]本明細書で使用される場合、本開示に関連する量を修飾する用語「約」とは、例えば、日常的な試験及び取扱いを通して;このような試験及び取扱いでの誤りを通して;本開示で利用される成分/材料の製造、源、又は純度の差を通して;などで起こり得る数値量での変形を指す。本明細書で使用される場合、「約」の付随した特定値はまた、特定値を含み、例えば、約10%は10%を含む。用語「約」で修飾されるか否かにかかわらず、請求項は、記載した量の等価物を含む。一実施形態では、用語「約」とは、報告した数値の25%以内を意味する。
【0293】
[0223]本明細書の可変部分の具体的な実施形態が、同様の識別子を有する別の具体的な実施形態と同じであり得るか又は異なり得るかも理解されるべきである。
【0294】
[0224]具体的な官能基及び化学用語の定義は、以下により詳細に記述される。化学元素は、元素周期表、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、表紙裏にしたがって同定し、具体的な官能基は、本明細書に記載されているように一般的には定義される。加えて、有機化学の一般的な原理並びに具体的な官能基部分及び反応性は、Thomas Sorrell、Organic Chemistry、University Science Books、Sausalito、1999年;Smith及びMarch、March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley&Sons,Inc.、New York、2001年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers,Inc.、New York、1989年;並びにCarruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、第3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987年に記載される。本開示は、本明細書に記載されている置換基の例示的な列挙により任意の方法に限定されることを意図しない。
【0295】
[0225]本明細書で使用される場合、用語「アルキル」とは、単独で又は別の群の一部として使用される場合、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素を指す。一部の実施形態では、アルキルは、1~30個の炭素原子(すなわち、C1~30アルキル若しくは別の表現ではC~C30アルキル)又は指定した数の炭素(すなわち、メチルのようなCアルキル、エチルのようなCアルキル、プロピル又はイソプロピルのようなCアルキルなど)を含み得る。一実施形態では、アルキル基は、直鎖C1~16アルキル基である。別の実施形態では、アルキル基は、分岐鎖C3~16アルキル基である。明らかに、炭素数の範囲が列挙される場合、当業者により理解されるように範囲内の各個別の整数及びこのような整数の間の下位範囲を包含する。例えば、本明細書の「C7~16」は、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C7~16、C7~15、C7~14、C7~13、C7~12、C7~11、C7~10、C7~9、C7~8、C8~16、C8~15、C8~14、C8~13、C8~12、C8~11、C8~10、C8~9、C9~16、C9~15、C9~14、C9~13、C9~12、C9~11、C9~10、C10~16、C10~15、C10~14、C10~13、C10~12、C10~11、C11~16、C11~15、C11~14、C11~13、C11~12、C12~16、C12~15、C12~14、C12~13、C13~16、C13~15、C13~14、C14~16、C14~15、及びC15~16を包含する。「5~16の炭素数」などのような本明細書に記載されている他の範囲も同様に理解されるべきである。
【0296】
[0226]本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」とは、単独で又は別の群の一部として使用される場合、3~12個の炭素原子(すなわち、C3~12シクロアルキル)又は指定した数の炭素を有する1~3個の環を含有する飽和及び部分飽和(例えば、1つ又は2つの二重結合を含有)の環式脂肪族炭化水素を指す。一実施形態では、シクロアルキル基は、2つの環を有する。一実施形態では、シクロアルキル基は、1つの環を有する。別の実施形態では、シクロアルキル基は、C3~8シクロアルキル基である。別の実施形態では、シクロアルキル基は、C3~6シクロアルキル基である。「シクロアルキル」はまた、上記で定義されるシクロアルキル環が、結合点がシクロアルキル環上にある1つ又は複数のアリール又はヘテロアリール基と縮合する環系を含み、このような場合、炭素数は、シクロアルキル環系の炭素数を指定したままである。非限定的な例示的シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、アダマンチル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルを含む。
【0297】
[0227]本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」とは、単独で又は別の群の一部として使用される場合、1つ又は複数(例えば、1、2、又は3個)の炭素-炭素二重結合を含有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素を指す。一実施形態では、アルケニル基は、C2~16アルケニル基である。
【0298】
[0228]本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」とは、単独で又は別の群の一部として使用される場合、1つ又は複数(例えば、1、2、又は3個)の炭素-炭素三重結合を含有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素を指す。一実施形態では、アルキニルは、1つの炭素-炭素三重結合を有する。一実施形態では、アルキニル基は、C2~16アルキニル基である。
【0299】
[0229]本明細書で使用される場合、用語「アビラテロンプロドラッグ(複数可)」は、式I若しくはIIによる本明細書に記載されている化合物、アビラテロンの親油性エステル、その同位体標識した化合物(複数可)(例えば、重水素に富んだ化合物)、その可能な立体異性体(ジアステレオマー、エナンチオマー、及びラセミ混合物を含む)、その互変異性体、その配座異性体、並びに/又はその薬学的に許容できる塩(例えば、HCl塩のような酸付加塩)のいずれかを含む。プロドラッグの水和物及び溶媒和物は、本開示の組成物と考えられ、プロドラッグ(複数可)は、それぞれ水又は溶媒に関連する。プロドラッグの一部はまた、様々な多形性形態又は非晶質形態で存在し得る。本明細書に記載されているアビラテロンプロドラッグはまた、活性アビラテロンをもたらす生理学的条件下で化学変化を容易に受けるこれらの化合物も含む。加えて、プロドラッグは、ex vivoの環境で化学的又は生化学的方法により変換され得る。本明細書に記載されている実施形態のいずれかでは、別段指定されないか、又は内容から逆ではない限り、アビラテロンプロドラッグは、デカン酸アビラテロンであり得る。
【0300】
[0230]本明細書に記載されているアビラテロンプロドラッグは、天然で最も広く見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する1つ又は複数の原子を含有する同位体標識又は濃縮形態で存在し得る。同位体は、放射性又は非放射性同位体であり得る。水素、炭素、酸素、及び窒素のような原子の同位体は、H、H、13C、14C、15N、及び18Oを含むが、限定されない。これらの他の同位体及び/又は他の原子を含有する化合物は、本開示の範囲内にある。
【0301】
[0231]実線及び破線のウェッジボンドは、当該技術分野での慣用として立体化学を示す。
【0302】
[0232]以下の実施例は、単なる例示の目的で提供され、特許請求する主題の範囲の限定を意図していない。
【0303】
実施例1A.デカン酸からデカン酸アビラテロンの大規模調製
【化23】

[0233]アビラテロン(381.9g、1.09mol)のジクロロメタン(3500mL)中の懸濁液に、トリエチルアミン(165g、1.64mol)及び触媒量のDMAP(13.35g、0.109mol)を添加した。デカン酸(225g、1.31mol)をジクロロメタン(500mL)中の溶液として、懸濁液に添加し、続いてEDCI(293g、1.53mol)を添加し、次いで、反応物を20~25℃で19時間撹拌した。
【0304】
[0234]次いで、10wt%のNaHPO水溶液(4000mL)を添加し、反応物を20分間撹拌した。有機層を分離し、10wt%のNaHPO水溶液(2000mL)及びブライン(2000mL)で抽出した。有機層は、アセトニトリル(4750mL)で交換した溶媒であって、40℃未満に浴の温度を維持して3100gに濃縮した。懸濁液をアセトニトリル(900g)で希釈した。固体を濾過により単離して、510gの粗デカン酸アビラテロンを得た。
【0305】
[0235]510gの粗デカン酸アビラテロンを、40℃でアセトン(4000mL)に溶解した。溶液を濾紙を通して濾過した。濾液を12Lの三口フラスコに移し、5100gに希釈し、40℃まで再加熱して、溶液を形成した。溶液を20℃までゆっくり冷却して、懸濁液を形成した。これを水(1020mL)で希釈し、室温で終夜撹拌した。固体を濾過し、フラスコを濾液ですすぎ、濾過用漏斗に移した。湿潤ケーキを乾燥用トレーに移し、真空オーブンで終夜、40~45℃で乾燥させて、457.1g(90%収率)を白色固体として得、この固体の結晶形態を形態Aと指定する。H NMR(CDCl,400MHz):d 8.62(d,1H,J=1.9Hz),8.31(dd,1H,J=4.9,1.6Hz),7.64(dt,1H,J=7.9,1.9Hz),7.21(ddd,1H,J=8.0,4.9,0.8Hz),6.01-5.97(m,1H),5.44-5.40(m,1H),4.68-4.58(m,1H),2.39-2.23(m,3H),2.27(t,2H,J=7.6Hz),2.12-2.00(m,3H),1.91-1.54(m,10H),1.49(dt,1H,J=11.9,5.1Hz),1.35-1.23(m,12H),1.20-1.07(m,2H),1.08(s,3H),1.05(s,3H),0.88(t,3H,J=6.8Hz).元素分析、理論値(0.055%の水分レベルに対して補正):C、81.0%、H、9.8%、N、2.8%;実測値:C、81.1%、H、10.2%、N、2.8%。この固体の示差走査熱量測定(DSC)パターンは、約69.0℃での開始温度を伴う吸熱ピークを示し、図2Bを参照されたい。
【0306】
[0236]本実施例で得られるデカン酸アビラテロンは、HPLC法を使用して重量での99.7%の純度を有することが決定された。HPLC分析に対して、デカン酸アビラテロンのサンプルを、0.05mg/mL(アッセイ分析用)又は5mg/mL(不純物分析用)の濃度でメタノールにおいて調製した。HPLC条件は以下の通りである:HPLCカラム:ハロC8(2.7um、100×3.0mm);注射体積:5uL;カラム温度:40℃;サンプル温度:周囲;検出:210nm;移動相:25mMの酢酸アンモニウム、pH8.0(MPA)及び95/5アセトニトリル/テトラヒドロフラン(MPB);流速:0.6ml/分;勾配:65/35 MPA/MPBで開始、35分間、100%のMPBを達成、40分まで100%のMPBで維持、40.10分で65/35 MPA/MPBに戻し、45分で終了まで65/35 MPA/MPBを維持。
【0307】
[0237]本実施例で得られる白色固体はまた、X線粉末回折(XRPD)及び示差走査熱量測定(DSC)により特徴付けられた。XRPDを、検出器としてバンテック-500を使用して、シータ/シータ垂直ゴニオメーターを伴うBrukerのD8 Discover X線回折装置で行った。標準条件:電圧40kV、電流40mA、放射線、Cu、温度、周囲、X線源出口のスリットサイズ、0.5mmのピンホール、くちばし状のコリメーター、0.5mm、サンプルホルダー、粉砕石英プレート。動作条件:検出器距離、30cm、カイ積分範囲、4~40度2θ、カウント時間、120秒/フレーム、フレームの数:3、シータ1位、4度、シータ2位、4度、フレーム幅、12、走査軸、結合。使用したソフトウェアは、GADDソフトウェア、General Area Detector Diffraction System、バージョン4.1.50;及びDIFFRAC.EVA、バージョン4.0を含む。DSCを、2~10mgのサンプルサイズを伴うTA装置Q2000(Thermal Advantage V5.0.0-適格)で実施し、10℃/分の加熱速度で25℃から250℃までの範囲で加熱した。代表的なXRPD及びDSCスペクトルは、図2A~2Bに示す。熱重量分析(TGA)もまた、本サンプルで実施した。TGAを、5~20mgのサンプルサイズを伴うTA装置TGA Q500(Thermal Advantage V5.2.5-適格)で実施し、10℃/分の加熱速度で25℃から150℃までの範囲で加熱した。代表的なTGA軌跡は、図2Cに示す。
【0308】
実施例1B.高純度デカン酸アビラテロンの調製
[0238]本実施例は、デカン酸アビラテロンを精製して残留パラジウムを除去するプロセスを示す。本実施例で使用されるデカン酸アビラテロンを、実施例1Aに示すのと類似する手順を使用して調製した。
【0309】
[0239]粗デカン酸アビラテロン(7.17kg)を、室温でアセトン(142kg)に溶解した。活性炭(1.43kg)を添加し、得られるスラリーを、室温で4時間撹拌した。混合物を濾過して、活性炭を除去し、固体をアセトン(142kg)で洗浄した。合わせたアセトン濾液を、40℃で真空蒸留により濃縮した。次いで、濃縮した濾液は、約72Lのアセトンを含有したが、20℃に冷却し、水(4.3kg)をゆっくり添加した。混合物を20℃で12時間撹拌し、デカン酸アビラテロンを濾過により収集した。生成物を、1:1のアセトン/水(7.2kg)で洗浄し、40℃の真空下で乾燥して、5.524kgの純粋なデカン酸アビラテロン(形態A)を得た。分析データは、実施例1Aに記載されるものと一致する。得られたデカン酸アビラテロンの分析の代表的な仕様書は、以下の表1に示す。
【0310】
【表1】
【0311】
[0240]エチルプラステロンデカノエートは、不純物であり得、以下の構造:
【化24】

を有すると考えられる。
【0312】
[0241]得られたデカン酸アビラテロンの純度は、逆相HPLC法を使用して分析した。分離は、3.0×100mmの寸法及び2.7μmの粒径を使用するAdvanced Materials TechnologyハロC8逆相カラムで実行する。直鎖勾配プログラム(20分)は、25mMの水性酢酸アンモニウム緩衝液並びにメタノール及びアセトニトリルの混合物からなる移動相で使用する(表2の下の勾配プロファイルを参照されたい)。作業標準溶液及びサンプル溶液を、メタノール希釈剤で調製した。典型的な注射体積は5μLであり、検出波長は210nmである。
【0313】
【表2】
【0314】
[0242]粗デカン酸アビラテロンは、130ppmのPdを含有した。アセトン/水だけから再結晶で120ppmまでPdレベルを低下させた。しかし、本実施例で記載されるプロセスを利用することにより、最終デカン酸アビラテロンを、3.7ppmしかPdの含有量を有していないように精製することができる。
【0315】
実施例1C.デカン酸アビラテロンの多形体スクリーニング
[0243]多形体スクリーニング試験もまた、デカン酸アビラテロンに対して実行した。形態Aに加えて、実施例1Aに示す通り、デカン酸アビラテロンの2つの他の多形体、すなわち形態B及び形態Cを同定した。
【0316】
[0244]-15℃での冷却による結晶化:約30mgのデカン酸アビラテロンを、最小体積の溶媒に溶解した。完全に溶解していない場合、サンプルを50℃で1時間加熱した。冷凍装置にサンプルを置き、2日後に濾過した(沈殿物が視認可能であった場合)。本結晶化法を使用した結果は、以下の表E1に示す。
【0317】
【表3】
【0318】
[0245]二成分1:1溶媒混合物からの蒸発:約25mgのデカン酸アビラテロンを、約10mLの総体積の溶媒に溶解した。サンプルを、1psiの窒素パージ下で蒸発させた。本結晶化法を使用した結果は、以下の表E2に示す。
【0319】
【表4】
【0320】
[0246]逆溶媒添加:約25mgのデカン酸アビラテロンを、1~2mLの溶媒に溶解し、続いて2~4mLの逆溶媒を添加した。沈殿物を形成した場合、サンプルを濾過した。本結晶化法を使用した結果は、以下の表E3に示す。
【0321】
【表5】
【0322】
[0247]単一の溶媒からの溶媒再結晶:デカン酸アビラテロンを、様々な溶媒を使用して再結晶化した。再結晶化実験の規模は、およそ2~10mLであった。飽和溶液を、飽和温度で様々な溶媒系と接触させて過剰なデカン酸アビラテロンを撹拌することに調製した。固体を溶媒に完全に溶解しなかった場合、母液を、濾過により残留固体から分離した。次いで、母液を飽和温度より高く加熱して、残留するいかなる固体も溶解した。次いで、各溶液の温度を成長温度に調節し、制御した窒素剪断流を導入して、溶媒蒸発を開始した。本試験の期間で使用した溶媒に基づくパネルに対する再結晶化条件は、表E4~E5に要約している。XRD分析を実行した。
【0323】
【表6】
【0324】
【表7】
【0325】
[0248]非競合的スラリー実験:非競合的スラリー実験は、形態Aでのデカン酸アビラテロンを溶媒に曝露し、得られる懸濁液を周囲温度で1週間撹拌することにより実施した。固体を濾過し、XRDで分析して、得られる形態(複数可)を決定した。本試験で使用される溶媒は、水、アセトニトリル、イソプロピルエーテル/アセトニトリル(1:4)、2-ブタノール/水(1:1)、1-プロパノール/水(1:1)、t-ブタノール/水(1:1)、エタノール/水(1:1)、THF/水(1:1)、アセトン/水(1:1)、ジオキサン/水(1:1)、2-ブタノン/水(1:1)、メタノール、DMF/水(1:1)、酢酸エチル/水(1:1)、及びヘプタンを含む。X線散乱挙動に基づいて、非競合的スラリー実験の全ては、出発物質からの変化をもたらさなかった。
【0326】
[0249]競合的試験もまた実行した。競合的スラリー:約20mgのデカン酸アビラテロンを、1~2mLの溶媒に懸濁した。サンプルを3日間撹拌し、濾過した。競合的試験の結果は、以下の表E6に示す。
【0327】
【表8】
【0328】
[0250]形態の特徴付け:溶媒に基づく再結晶化パネルから生成される固体は、粉末XRDで分析した。好ましい粒子効果を緩和するために、2次元検出システムを使用して、全てのXRDスクリーニングデータを収集した。2次元検出器は、パターン変動を軽減する助けとなる同心デバイ円錐に沿って積算した。明るい点が円錐環に出現する場合、ピーク強度での変化を含む観察された回折パターンにおいて著しい変異性をもたらし得る強く好ましい粒子効果を示す。デカン酸アビラテロンの一部のサンプルは、散乱挙動の出現に基づいて好ましい粒子効果を呈した。
【0329】
[0251]この分析の結果から、材料が少なくとも3つの主要な多形体として存在することを明らかになった。観察された形態は、形態A、B、及びCとして指定した。
【0330】
[0252]回折挙動に基づいて異なる形態にデータを分類した後、各形態を試験して、形態の他の特性を分化することができるかを決定した。各形態の特徴付けは、各形態を代表する回折データを他の形態からのデータと比較することにより開始した。これは、一般的にはNMR、DSC、及びTGAが続く。
【0331】
[0253]本試験で使用される初期材料は形態Aであり、実験1Aに示す代表的な特徴付けデータと一致し、以下の概要表E7も参照されたい。
【0332】
[0254]形態Bは、様々な結晶化実験、特に低温(-10~-20℃)で実行される実験で得られた。形態Bの特徴的な回折挙動は、代表的なXRPDスペクトラム、FIG.2Dに示す。形態BのH NMRスペクトラムは、有機不純物を示さず、ADECの期待される構造と一致する。形態Bの代表的なDSC及びTGAスペクトルは、図2E及び2Fに示す。
【0333】
[0255]形態Cは、エタノールと2-ブタノンとの1:1の混合物から蒸発により得られた。形態Cの特徴的な回折挙動は、代表的なXRPDスペクトラム、FIG.2Gに示す。1つの「純粋な」形態Cサンプルに対して得られた回折図が、より大きい回折角で形態Aとの著しい重なりを示すので、一部の形態Aを含有し得ることは留意すべきである。形態CのH NMRスペクトラムは、有機不純物を示さず、ADECの期待される構造と一致する。形態Cの代表的なDSC及びTGAスペクトルは、図2H及び2Iに示す。
【0334】
[0256]以下の表E7は、デカン酸アビラテロンの形態A、B、及びCの代表的な分析を要約している。
【0335】
【表9】
【0336】
[0257]多形体スクリーンの再結晶化実験は、形態A、B、C、又は形態の混合物のいずれかを産生した。形態Aは、非競合的及び競合的スラリー実験に基づいて周囲条件下での熱学的に安定な形態であることが期待される。
【0337】
実施例2.異なるビヒクルでのデカン酸アビラテロンの溶解度
[0258]本実施例では、以下の4つのビヒクルでのデカン酸アビラテロンの溶解度を試験した。各ビヒクルは、特有の塩基、すなわち中鎖トリグリセリド(MCT)/ポリオキシグリセリド、長鎖(LC)モノジグリセリド、並びに2つのプロピレングリコール(PG)モノエステル、カプリル酸及びラウリルを有する。
[0259]ビヒクル1:MCT/ポリオキシグリセリドベース:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/33%のラブラフィル1944CS/33%のラブラファックリポファイルWL1349
[0260]ビヒクル2:PGモノエステルベース:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/66%のラウログリコール90
[0261]ビヒクル3:PGモノエステルベース:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/66%のカプムルPG-8
[0262]ビヒクル4:LCモノジグリセリドベース:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/66%のマイシンCC
【0338】
[0263]異なるビヒクルでのデカン酸アビラテロンの溶解度を、以下の手順にしたがって試験した:
重量で5gのビヒクルを調製する
4mLのバイアルで、約350mgの薬物を秤量し、次いで2mLのビヒクルを添加する
全てのサンプルを超音波処理し、渦撹拌し、次いで25℃で回転装置に置く
その日の終わりに、薬物が完全に溶解しているかを確認するためにサンプルをチェックする。溶解している場合、ろう紙を使用して、追加の薬物を移し、添加した追加量を記録する
2~3日後、各サンプルから約0.5mLを取り出し、微小遠心を使用して濾過する。0.45umの濾紙を使用することができる
その後の時点のために25℃のインキュベーターにバイアルを戻す
サンプルをHPLC法を使用して溶解度を分析した。結果は、2日後及び7日後のサンプルに対して得た。
【0339】
[0264]これらのビヒクルでのデカン酸アビラテロンの溶解度は以下に示し、2日目及び7日目の結果の平均を反映する。
【0340】
【表10】
【0341】
実施例3.追加ビヒクルでのデカン酸アビラテロンの溶解度
[0265]本実施例は、追加ビヒクルでのデカン酸アビラテロンの溶解度を試験する。
[0266]試験されるビヒクルは、以下の組成物を有する:
[0267]ビヒクル1(実施例2を参照):20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/33%のラブラフィル1944CS/33%のラブラファックリポファイルWL1349、対照として使用。
[0268]ビヒクル5:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/33%のマイシンCC/33%のラブラファックリポファイルWL1349
[0269]ビヒクル6:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/16%のラブラフィル1944CS/30%のマイシンCC/20%のラブラファックリポファイルWL1349
[0270]ビヒクル7:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/16%のラブラフィル1944CS/30%のカプムルPG-8/20%のラブラファックリポファイルWL1349
[0271]ビヒクル8:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/16%のラブラフィル1944CS/30%のカプムルPG-12/20%のラブラファックリポファイルWL1349
[0272]ビヒクル9:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/16%のラブラフィル1944CS/30%のラブラフィルM2130CS/20%のラブラファックリポファイルWL1349
【0342】
[0273]試験するサンプル及び溶解度を調製するための手順は、実施例2に記載される手順に類似する。結果は、以下の表に示す。
【0343】
【表11】
【0344】
[0274]実施例2及び3の結果は、デカン酸アビラテロンが様々な脂質ベースのビヒクルでの良好な溶解度を有することを示す。
【0345】
実施例4.デカン酸アビラテロン製剤の分散
[0275]本実施例は、異なるビヒクルでのデカン酸アビラテロン製剤の分散性を試験する。製剤は、ビヒクル1~4(実施例2に示す)及びビヒクル9(カプムルPG-8)を使用して調製した。
【0346】
[0276]分散試験を、以下の一般手順にしたがって行った:
それぞれのビヒクルでの10%未満の溶解度のデカン酸アビラテロン(AbDec)濃度で、各製剤を調製する;
37℃で回転装置にバイアル中の7.92mLの0.1MのHClを平衡させる;
37℃で0.08mLの製剤を0.1MのHCl培地に添加し、回転装置を開始する。80uLを分配するために、分散剤培地をピペット内に引き上げ、数回放出させる;
60分で、25mmの0.45umのPVDF濾紙を通して全体で8mLの体積を濾過する;
IPA(イソプロピルアルコール)を使用して標準の濃度未満の濃度に希釈することによりアッセイ用の各製剤を調製する;
製剤及び分散サンプル並びに標準においてHPLCアッセイを実行する;
また、AbDec最高標準に類似する濃度でIPAにおいてアビラテロンのサンプルを調製する。このサンプルは、HPLC法が遊離Abを検出することができる場合、分散試験の間に形成すべきであることを実証する。
【0347】
[0277]本分散試験の結果は、以下の表に示す。
【0348】
【表12】
【0349】
[0278]本実施例に基づいて、ビヒクル1及び2中のデカン酸アビラテロンが、HCl培地での優秀な回収率又は分散性を有することが見出された。
【0350】
実施例5.追加デカン酸アビラテロン製剤の分散
[0279]本実施例は、異なるビヒクルでのさらなるデカン酸アビラテロン製剤を試験する。製剤は、ビヒクル1(実施例2)及び5~8(実施例3に示す)を使用して調製した。
【0351】
[0280]分散試験は、実施例4に示す一般手順にしたがって行われた。結果は、以下の表に示す。
【0352】
【表13】
【0353】
[0281]結果は、ビヒクル1、6、及び7中のデカン酸アビラテロンが、HCl培地での優秀な回収率又は分散性を有することを示す。
【0354】
実施例6.CD(登録商標)[Crl:CD(登録商標)(SD)]ラットでのデカン酸アビラテロンの単回経口用量の有効性試験
[0282]本試験の目的は、雄のラットへの単回の胃管栄養の経口投薬後の72時間にわたるデカン酸アビラテロンの2つの異なる経口製剤の相対吸収を評価することである。
【0355】
[0283]本実施例はまた、CD(登録商標)[Crl:CD(登録商標)(SD)]ラットの2群(群2、100mg/kgでの製剤1;群3、100mg/kgでの製剤2)に対するデカン酸アビラテロンの単回経口投与に続く、ラットにおいてアビラテロン及びデカン酸アビラテロンの血漿薬物動態、黄体化ホルモンの血清濃度、並びにステロイドアンドロステンジオン、コルチコステロン、プロゲステロン及びテストステロンの血清濃度も決定する。動物の追加群(群1)は、製剤2に対するビヒクルを受け、対照として用いた。加えて、組織を、投薬の72時間後に全ての動物から収集し、アビラテロン及びデカン酸アビラテロンの濃度を決定した。
【0356】
[0284]以下の表は、本実施例の実験計画を示す。
【0357】
【表14】
【0358】
[0285]試験材料の詳細は以下の通りである:
デカン酸アビラテロン製剤1:ビヒクル1中の40mgのデカン酸アビラテロン/mL:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/33%のラブラフィル1944CS/33%のラブラファックリポファイルWL1349。
デカン酸アビラテロン製剤2:ビヒクル2中の40mgのデカン酸アビラテロン/mL:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/66%のラウログリコール90。
対照物品はビヒクル2である:20%のコリフォールRH40/14%のプルロールオレイックCC497/66%のラウログリコール90。
【0359】
[0286]Charles River Laboratories,Inc.製の雄のラット(株CD(登録商標)[Crl:CD(登録商標)(SD)])を本試験で使用した。
【0360】
[0287]血漿及び血清サンプルを、薬物動態又はステロイド分析に対して投薬後の0分、1時間、2時間、4時間、24時間、48時間及び72時間(終点)に収集した。
【0361】
[0288]血漿中のアビラテロン及びデカン酸アビラテロンの、血清中の黄体化ホルモンの、並びに血清中のステロイドの濃度を使用して、可能ならば、以下のパラメーター;Tmax、Cmax、Tlast、Clast、AUClast、AUCinf、AUCinf(推定%)を決定した。
【0362】
[0289]薬物動態分析は、ソフトウェアパッケージであるPhoenix64(8.3.1.5014)(Certara,Inc.)を使用して完了した。
【0363】
[0290]組織(副腎、脳、大腿骨、肝臓、肺、下顎リンパ、腸間膜リンパ、前立腺、胸骨及び精巣)を、投薬の72時間後に収集し、その時点の濃度を提示する。
【0364】
[0291]結果:
[0292]アビラテロン及びデカン酸アビラテロンの血漿濃度に由来する薬物動態パラメーターは、表3及び4に示し、血漿プロファイルは図3に示す。血漿のステロイド濃度での製剤1及び2の経口投与の効果は、図4A、4B、5A、5B、6A、6B、7A、及び7Bにグラフで示す。黄体化ホルモンの平均血漿濃度は、図8にグラフで示す。アビラテロン及びデカン酸アビラテロンの平均及び個別の組織濃度は、表5及び表6に示し、図9にグラフで示す。
【0365】
【表15】
【0366】
【表16】
【0367】
【表17】
【0368】
【表18】
【0369】
[0293]アビラテロン及びデカン酸アビラテロンの血漿濃度:
[0294]製剤1の単回経口投与に続いて、アビラテロンに対するCmaxは404ng/mLであり、Tmaxは2時間の時点であり、AUClastは3418ng.h/mLであった。製剤2の単回経口投与に続いて、アビラテロンに対するCmaxは128ng/mLであり、Tmaxは1~4時間の間にあり、AUClastは1591ng.h/mLであった。ここから、製剤1の経口用量からのアビラテロンの相対曝露は、製剤2よりそれぞれ、Cmax及びAUClastに対して、3.2倍及び2.1倍高かった。製剤1及び2に対するアビラテロンの血漿濃度に基づく経口生物学的利用能は、以下のIVデータに基づいて約59%及び27%である:IV AbiDec 1.2mg/kg:Abi AUC=69.8ng.h/mL(100mg/kg用量に対して5817ng.h/mlと同等)。
【0370】
[0295]製剤1の単回経口投与に続いて、デカン酸アビラテロンに対するCmaxは54.4ng/mLであり、Tmaxは1~4時間の間にあり、AUClastは151ng.h/mLであった。製剤2の単回経口投与に続いて、デカン酸アビラテロンに対するCmaxは2.96ng/mLであり、Tmaxは1~4時間の間にあり、AUClastは25.5ng.h/mLであった。ここから、製剤1の経口用量からのデカン酸アビラテロンの相対曝露は、製剤2よりそれぞれ、Cmax及びAUClastに対して、18.3倍及び5.92倍高かった。
【0371】
[0296]アビラテロン及びデカン酸アビラテロンの組織濃度:
[0297]製剤1の経口投与に続く72時間で、アビラテロンは、比較的低い傾向であるレベルで大腿骨以外の全ての組織で検出され、肝臓(63.6ng/g)及び腸間膜リンパ節(31.0ng/g)で最高濃度だった。製剤2の経口投与に続いて、アビラテロンの濃度は、全ての組織で低いか又はBLQであり、製剤1の結果と一致して、肝臓(19.7ng/g)及び腸間膜リンパ節(14.2ng/g)の最高濃度だった。
【0372】
[0298]考察:
[0299]本試験では、経口投与用のデカン酸アビラテロンの2つの異なる製剤の比較であった。ラットでは、アビラテロン及びデカン酸アビラテロンの曝露は、製剤2と比べて、より良好な相対吸収を示す製剤1の経口投与に続いてより高かった。
【0373】
[0300]両方の製剤は、アンドロステンジオンの血漿濃度を低下させ、プロゲステロンの濃度を上昇させ、テストステロンの濃度を低下させた。コルチコステロンの濃度への効果はなかった。各製剤の効果は、類似する(2倍未満の差)と考えられたが、製剤1の効果は、アビラテロンのより高い曝露と一致して、製剤2より大きい傾向だった。
【0374】
[0301]ステロイドの効果と一致して、黄体化ホルモンへの曝露は、両方の製剤で増大したが、曝露は製剤2より製剤1で高い傾向にあった。
【0375】
[0302]デカン酸アビラテロンではなくアビラテロンは、製剤2より高い製剤1からの濃度である肝臓及び腸間膜リンパ節での最高濃度を伴って、投薬72時間後の組織で検出された。
【0376】
[0303]本開示内に言及される各参照は、それぞれの全体を本明細書に組み込まれる。
【0377】
[0304]種類として記載される本開示の態様について、全ての個々の種は、本開示の別々の態様と個別には考えられる。本開示の態様が特徴を「含む」として記載される場合、実施形態もまた、特徴「からなる」又は「から本質的になる」と企図される。
【0378】
[0305]本明細書に記載される全ての様々な態様、実施形態、及び選択肢は、あらゆる変形と組み合わせることができる。
【0379】
[0306]ここで本発明のいくつかの実施態様を記載してきたが、上記が、単に例示であり、限定されず、単なる例として提示したものであることは当業者には明白であるべきである。多くの変更及び他の実施形態は、当該技術分野の知識の1つの範囲内であり、本発明及び任意のその同等物の範囲内に含まれると企図される。本発明の変形が当業者に容易に明らかであり、本発明がその代替物を含むことを意図すると理解することができる。さらに、多くの変更が当業者には容易に分かるので、図示され、記載されるのと全く同じ構造及び動作に本発明を限定することを望まず、したがって、全ての好適な変更及び等価物は、用いることができ、本発明の範囲内に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D-1】
図2D-2】
図2E
図2F
図2G-1】
図2G-2】
図2H
図2I
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
【国際調査報告】